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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098631
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201C
H01G4/30 201N
H01G4/30 201H
H01G4/30 201A
H01G4/30 201K
H01G4/30 512
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192540
(22)【出願日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0189813
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0067673
(32)【優先日】2022-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ウォン ス
(72)【発明者】
【氏名】ホン、キ ピョ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウン ジョン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC06
5E001AF03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH03
5E001AH07
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC19
5E082BC31
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ06
5E082JJ07
5E082JJ23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気容量、構造的安定性、耐湿信頼性等の少なくとも一つの特性を向上する積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】積層型キャパシタは、誘電体層110及び誘電体層を間に挟んで第1方向Xに積層された第1、第2内部電極121、122を含み、第1方向に対向する第1、第2面S1、S2、第1、第2面と連結され、第2方向Yに対向する第3、第4面S3、S4、第1面~第4面と連結され、第3方向Zに対向する第5面S5、第6面を含む活性部101と、活性部の第3、第4面をカバーし、第1内部電極と連結された第1外部電極131a、131bと、活性部の第5、第6面をカバーし、第2内部電極と連結された連結電極132a、132bと、活性部の第5、第6面側で連結電極をカバーするサイドマージン部111、112と、活性部の第5、第6面側でサイドマージン部をカバーし、連結電極と連結された第2外部電極133a、133bと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層された第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む活性部と、
前記活性部の前記第3面及び前記第4面をカバーし、前記第1内部電極と連結された第1外部電極と、
前記活性部の前記第5面及び前記第6面をカバーし、前記第2内部電極と連結された連結電極と、
前記活性部の前記第5面及び前記第6面側で前記連結電極をカバーするサイドマージン部と、
前記活性部の前記第5面及び前記第6面側で前記サイドマージン部をカバーし、前記連結電極と連結された第2外部電極と、を含む、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記第1外部電極、前記連結電極及び前記第2外部電極は、それぞれ一対で備えられる、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
一対の前記第2外部電極は、前記活性部の前記第5面及び前記第6面をそれぞれカバーし、前記第1面及び前記第2面に延長された、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
一対の前記第2外部電極は、前記活性部の前記第1面及び前記第2面をそれぞれカバーし、前記第5面及び前記第6面に延長された、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記活性部は、前記第1方向の長さが前記第2方向の長さより長い形状である、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
記サイドマージン部は、前記第2方向に測定した長さが前記連結電極より長い、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
記第2外部電極は、前記第2方向に測定した長さが前記連結電極より長い、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
記第2外部電極は、前記第2方向に測定した長さが前記サイドマージン部より短い、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
記第2外部電極は、前記活性部の前記第1面、前記第2面、前記第5面、前記第6面をカバーするリング形状である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
記連結電極は、前記活性部の前記第1面、前記第2面、前記第5面、前記第6面をカバーするリング形状である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記連結電極は、前記活性部の前記第1面及び前記第2面に延長され、
前記連結電極及び前記第2外部電極は、前記活性部の前記第1面及び前記第2面で連結される、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記サイドマージン部を貫通して前記連結電極と前記第2外部電極とを連結する少なくとも一つの導電性ビアをさらに含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記誘電体層と前記サイドマージン部は、第1セラミック焼結体及び第2セラミック焼結体をそれぞれ含み、前記第1セラミック焼結体及び前記第2セラミック焼結体は、平均グレインサイズが互いに異なる、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記第1セラミック焼結体及び前記第2セラミック焼結体は、平均グレインサイズの差が5%以上である、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記第1セラミック焼結体及び前記第2セラミック焼結体は、平均グレインサイズの差が5%未満であり、
前記第1セラミック焼結体及び前記第2セラミック焼結体に含まれたグレインのサイズ分布をそれぞれ第1及び第2分布とするとき、前記第1及び第2分布の標準偏差は10%以上である、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記誘電体層と前記サイドマージン部は、第1セラミック焼結体及び第2セラミック焼結体をそれぞれ含み、前記第1セラミック焼結体及び前記第2セラミック焼結体は色が互いに異なる、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記第1セラミック焼結体及び前記第2セラミック焼結体は、断面から得られた画像のグレーレベル差が10レベル以上である、請求項16に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
前記第1内部電極は、前記活性部の前記第3面及び前記第4面に延長された、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項19】
前記第1内部電極は、前記活性部の前記第5面及び前記第6面に延長された、請求項18に記載の積層型キャパシタ。
【請求項20】
前記第1内部電極は、前記活性部の前記第5面及び前記第6面に延長された複数の突出部を有する、請求項19に記載の積層型キャパシタ。
【請求項21】
前記第1内部電極において、前記複数の突出部は、前記活性部の前記第3面~前記第6面に対して傾斜した側面を有する、請求項20に記載の積層型キャパシタ。
【請求項22】
前記第1内部電極において、前記傾斜した側面に該当する領域は、前記第1方向に前記第2内部電極と重ならない、請求項21に記載の積層型キャパシタ。
【請求項23】
前記連結電極は、前記複数の突出部の間に該当する領域に配置された、請求項20に記載の積層型キャパシタ。
【請求項24】
前記第2内部電極は、前記活性部の前記第5面及び前記第6面に延長された、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項25】
前記第2方向に測定した幅を基準に、前記第2内部電極において前記活性部の前記第5面及び前記第6面に延長された領域の幅は、前記連結電極の幅より広い、請求項24に記載の積層型キャパシタ。
【請求項26】
前記第2内部電極は平板形状である、請求項24に記載の積層型キャパシタ。
【請求項27】
前記第2内部電極は、前記第5面及び前記第6面に延長された複数の突出部を有する、請求項24に記載の積層型キャパシタ。
【請求項28】
前記連結電極は、前記サイドマージン部に形成された溝に配置された、請求項1から27のいずれか一項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項29】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層された第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面~前記第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む活性部と、
前記活性部の前記第3面及び前記第4面をカバーし、前記第1内部電極と連結された第1外部電極と、
前記活性部の前記第5面及び前記第6面をカバーし、前記第2内部電極と連結された連結電極と、
前記活性部の前記第5面及び前記第6面をカバーし、複数の離隔した領域を有するサイドマージン部と、
前記活性部の前記第5面及び前記第6面側で前記サイドマージン部をカバーし、前記連結電極と連結された第2外部電極と、を含み、
前記サイドマージン部は、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を含み、前記連結電極は、前記第1サイドマージン部及び前記第2サイドマージン部の間に配置された、積層型キャパシタ。
【請求項30】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む活性部と、
前記活性部の少なくとも一面をカバーし、前記複数の内部電極と連結された連結電極と、
前記連結電極をカバーし、前記一面及び前記複数の内部電極の積層方向に垂直な方向を幅方向とするとき、前記幅方向に測定した長さが前記連結電極より長い絶縁部と、
前記絶縁部をカバーしながら前記連結電極と連結された外部電極と、を含む、積層型キャパシタ。
【請求項31】
前記外部電極は、前記幅方向に測定した長さが前記連結電極より長い、請求項30に記載の積層型キャパシタ。
【請求項32】
前記外部電極は、前記幅方向に測定した長さが前記絶縁部より短い、請求項30または31に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
キャパシタは、電気を蓄えることができる素子であって、基本的に2つの電極を対向させ、電圧をかけると、各電極に電気が蓄積されるものである。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されてキャパシタの内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合、電極の極性が交変しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
このようなキャパシタは、電極間に備えられる絶縁体の種類に応じて、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極の間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシタ、電極材料としてタンタルを使用するタンタルキャパシタ、電極の間にチタンバリウムのような高誘電率の誘電体を使用するセラミックキャパシタ、電極の間に備えられる誘電体として高誘電率系セラミックを多層構造で使用する積層セラミックキャパシタ(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極の間の誘電体としてポリスチレンフィルムを使用するフィルムキャパシタなど、様々な種類に分類することができる。
【0004】
このうち、積層セラミックキャパシタは、温度特性及び周波数特性に優れ、小型に実現可能であるという利点を有しており、最近、高周波回路など様々な分野に多く応用されている。最近では、積層セラミックキャパシタをより小さく実現するための試みが続けられており、そのために、誘電体層、内部電極、外部電極を薄く形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的のうち一つは、電気容量が向上した積層型キャパシタを提供することである。
【0006】
本発明の目的のうち他の一つは、構造的安定性が向上した積層型キャパシタを提供することである。
【0007】
本発明の目的のうち他の一つは、耐湿信頼性が向上した積層型キャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は、一例を挙げて積層型キャパシタの新規な構造を提案する。具体的に、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層された第1及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む活性部と、上記活性部の第3面及び第4面をカバーし、上記第1内部電極と連結された第1外部電極と、上記活性部の第5面及び第6面をカバーし、上記第2内部電極と連結された連結電極と、上記活性部の第5面及び第6面側で上記連結電極をカバーするサイドマージン部と、上記活性部の第5面及び第6面側で上記サイドマージン部をカバーし、上記連結電極と連結された第2外部電極と、を含む。
【0009】
一実施形態において、上記第1外部電極、連結電極、及び第2外部電極はそれぞれ一対で備えられることができる。
【0010】
一実施形態において、上記一対の第2外部電極は、上記活性部の第5面及び第6面をそれぞれカバーし、上記第1面及び第2面に延長されることができる。
【0011】
一実施形態において、上記一対の第2外部電極は、上記活性部の第1面及び第2面をそれぞれカバーし、上記第5面及び第6面に延長されることができる。
【0012】
一実施形態において、上記活性部は、上記第1方向の長さが上記第2方向の長さより長い形状であってもよい。
【0013】
一実施形態において、上記サイドマージン部は、上記第2方向に測定した長さが上記連結電極より長くてもよい。
【0014】
一実施形態において、上記第2外部電極は、上記第2方向に測定した長さが上記連結電極より長くてもよい。
【0015】
一実施形態において、上記第2外部電極は、上記第2方向に測定した長さが上記サイドマージン部より短くてもよい。
【0016】
一実施形態において、上記第2外部電極は、上記活性部の第1面、第2面、第5面、第6面をカバーするリング形状であってもよい。
【0017】
一実施形態において、上記連結電極は、上記活性部の第1面、第2面、第5面、第6面をカバーするリング形状であってもよい。
【0018】
一実施形態において、上記連結電極は、上記活性部の第1面及び第2面に延長され、上記連結電極と上記第2外部電極は、上記活性部の第1面及び第2面に連結されることができる。
【0019】
一実施形態において、上記サイドマージン部を貫通して上記連結電極と上記第2外部電極とを連結する少なくとも一つの導電性ビアをさらに含むことができる。
【0020】
一実施形態において、上記誘電体層と上記サイドマージン部は、第1及び第2セラミック焼結体をそれぞれ含み、上記第1及び第2セラミック焼結体は、平均グレインサイズが互いに異なることができる。
【0021】
一実施形態において、上記第1及び第2セラミック焼結体は、平均グレインサイズの差が5%以上であってもよい。
【0022】
一実施形態において、上記第1及び第2セラミック焼結体は、平均グレインサイズの差が5%未満であり、上記第1及び第2セラミック焼結体に含まれたグレインのサイズ分布をそれぞれ第1及び第2分布とするとき、上記第1及び第2分布の標準偏差は10%以上であることができる。
【0023】
一実施形態において、上記誘電体層と上記サイドマージン部は、第1及び第2セラミック焼結体をそれぞれ含み、上記第1及び第2セラミック焼結体は、色が互いに異なることができる。
【0024】
一実施形態において、上記第1及び第2セラミック焼結体は、断面から得られた画像のグレーレベル差が10レベル以上であってもよい。
【0025】
一実施形態において、上記第1内部電極は、上記活性部の上記第3及び第4面に延長されることができる。
【0026】
一実施形態において、上記第1内部電極は、上記活性部の上記第5面及び第6面に延長されることができる。
【0027】
一実施形態において、上記第1内部電極は、上記活性部の上記第5及び第6面に延長された複数の突出部を有することができる。
【0028】
一実施形態において、上記第1内部電極において、上記複数の突出部は、上記活性部の第3面~第6面に対して傾斜した側面を有することができる。
【0029】
一実施形態において、上記第1内部電極において、上記傾斜した側面に該当する領域は、上記第1方向に上記第2内部電極と重ならなくてもよい。
【0030】
一実施形態において、上記連結電極は、上記複数の突出部の間に該当する領域に配置されることができる。
【0031】
一実施形態において、上記第2内部電極は、上記活性部の上記第5及び第6面に延長されることができる。
【0032】
一実施形態において、上記第2方向に測定した幅を基準に、上記第2内部電極において、上記活性部の上記第5及び第6面に延長された領域の幅は、上記連結電極の幅より広くてもよい。
【0033】
一実施形態において、上記第2内部電極は平板形状であってもよい。
【0034】
一実施形態において、上記第2内部電極は、上記第5及び第6面に延長された複数の突出部を有することができる。
【0035】
一実施形態において、上記連結電極は、上記サイドマージン部に形成された溝に配置されることができる。
【0036】
一方、本発明の他の側面は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層された第1及び第2内部電極と、を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含む活性部と、上記活性部の第3面及び第4面をカバーし、上記第1内部電極と連結された第1外部電極と、上記活性部の第5面及び第6面をカバーし、上記第2内部電極と連結された連結電極と、上記活性部の第5面及び第6面をカバーするサイドマージン部と、上記活性部の第5面及び第6面側で上記サイドマージン部をカバーし、上記連結電極と連結された第2外部電極と、を含み、上記サイドマージン部は第1及び第2サイドマージン部を含み、上記連結電極は、上記第1及び第2サイドマージン部の間に配置された積層型キャパシタを提供する。
【0037】
本発明のさらに他の側面は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで積層された複数の内部電極を含む活性部と、上記活性部の少なくとも一面をカバーし、上記複数の内部電極と連結された連結電極と、上記連結電極をカバーし、上記一面及び上記複数の内部電極の積層方向に垂直な方向を幅方向とするとき、上記幅方向に測定した長さが上記連結電極より長い絶縁部及び上記絶縁部をカバーしながら上記連結電極と連結された外部電極と、を含む積層型キャパシタを提供する。
【0038】
一実施形態において、上記外部電極は、上記幅方向に測定した長さが上記連結電極より長くてもよい。
【0039】
一実施形態において、上記外部電極は、上記幅方向に測定した長さが上記絶縁部より短くてもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一例による積層型キャパシタの場合、電気容量、構造的安定性、耐湿信頼性などの特性のうち少なくとも一つの特性が向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの外観を概略的に示すものであり、斜視図に該当する。
図2】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの外観を概略的に示すものであり、分解斜視図に該当する。
図3】第1内部電極を示す平面図である。
図4】第2内部電極を示す平面図である。
図5図3及び図4の内部電極が重なる領域を従来例と比較して示すものである。
図6】本発明の実施例(a)及び比較例(b、c)において、積層型キャパシタの一領域を示す平面図である。
図7】誘電体層及びサイドマージン部の一領域を拡大して示すものである。
図8】積層型キャパシタを製造する工程例を示す。
図9】電極塗布装置を用いた電極塗布工程を示す。
図10】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図11】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図12】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図13】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図14】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図15】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図16】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図17】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図18】内部電極用パターンを切断して個別化する工程、及びこれにより得られる内部電極の形態を示す。
図19】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図20】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図21】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図22】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図23】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図24】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図25】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図26】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図27】変形された例による積層型キャパシタを示す。
図28】連結電極の幅W1に応じた第1及び第2内部電極の重なり面積の増加率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張されてもよく、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0043】
そして、図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0044】
図1及び図2は、本発明の一実施形態による積層型キャパシタの外観を概略的に示すものであり、それぞれ斜視図及び分解斜視図に該当する。図3及び図4はそれぞれ第1内部電極及び第2内部電極を示す平面図であり、図5は、図3及び図4の内部電極が重なる領域を従来例と比較して示すものである。そして図6は、本発明の実施例(a)と比較例(b、c)において積層型キャパシタの一領域を示す平面図である。
【0045】
まず、図1図4を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100は、活性部101、第1外部電極131a、131b、連結電極132a、132b、サイドマージン部111、112、第2外部電極133a、133bを含む。ここで、連結電極132a、132bは活性部101をカバーしながら第2内部電極122と連結され、第2外部電極133a、133bはサイドマージン部111、112をカバーしながら連結電極132a、132bと連結される。
【0046】
活性部101は、誘電体層110及び誘電体層110を間に挟んで第1方向(X方向)に積層された第1及び第2内部電極121、122を含む。活性部101は、形状の面で、第1方向(X方向)に対向する第1面S1及び第2面S2、第1面S1及び第2面S2と連結され、第2方向(Y方向)に対向する第3面S3及び第4面S4、第1面~第4面S1、S2、S3、S4と連結され、第3方向(Z方向)に対向する第5面S5及び第6面S6を含む。ここで、第1方向(X方向)、第2方向(Y方向)、第3方向(Z方向)は互いに垂直であってもよい。活性部101の面が互いに連結されたというのは、物理的に直接連結されたこと以外にも、活性部101の他の要素によって互いに連結されたことを含む。また、活性部101は、第1方向(X方向)の長さL1と第2方向(Y方向)の長さL2と実質的に同一であってもよく、これは内部電極121、122の積層数を十分に確保して電気容量を向上させるのに好適であり得る。活性部101は、最上部及び最下部に配置され、一つ以上の誘電体層110が積層された構造のカバー層113、114を含むことができる。この場合、カバー層113、114の平均厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型キャパシタ100の単位体積当たりの容量を向上させるために、カバー層113、114の平均厚さは15μm以下であることができ、上部のカバー層113及び下部のカバー層114のそれぞれにおいて等間隔の5個の地点で測定した値の平均値であることができる。
【0047】
活性部101の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように活性部101は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で活性部101に含まれたセラミック粉末の収縮により、活性部101は、完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。活性部101に含まれた誘電体層110は焼成された状態であって、隣接する誘電体層110間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。誘電体層110を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、チタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料としては、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa、Zr等が一部固溶した(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。また、誘電体層110を形成する原料としては、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0048】
誘電体層110の平均厚さは特に限定する必要はない。例えば、誘電体層110の平均厚さは0.2μm以上10μm以下であってもよい。誘電体層110の平均厚さは、第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層110の平均厚さを意味することができる。誘電体層110の平均厚さは、活性部101の一断面(例えば、X-Y断面)を1万倍率の走査電子顕微鏡でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層110を第2方向(Y方向)に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層110に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0049】
第1及び第2内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定の厚さで導電性金属(例えば、Ni、Ag、Cu、Ti、Pd、Pt、Sn等)を含むペーストをスクリーン印刷法、グラビア印刷法などの方法で印刷した後、これを焼成して得ることができる。一方、第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは特に限定する必要はない。例えば、第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは0.2μm以上3μm以下であってもよい。第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは、活性部101の一断面(例えば、X-Y断面)を1万倍率の走査電子顕微鏡でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0050】
図示された形態のように、第1内部電極121は、活性部101の第3面S3及び第4面S4に延長されて第1外部電極131a、131bと連結されることができる。また、第1内部電極121は、活性部101の第5面S5及び第6面S6にも延長されることができる。具体的な例として、図3に示す形態のように、第1内部電極121は、活性部101の第5面S5及び第6面に延長された複数の突出部Pを有することができ、これにより、第1内部電極121はアルファベット「H」と類似した形状を有することができる。第2内部電極122は、活性部101の第5面S5及び第6面S6に延長されて連結電極132a、132bと連結されることができる。この場合、図4に示す形態のように、第2内部電極122は平板形状であってもよい。また、連結電極132a、132bは、複数の突出部Pの間に該当する領域に配置されてもよい。
【0051】
このような第1及び第2内部電極121、122の形状は、相互間に第1方向(X方向)に重なり面積が増加することによって、電気容量の向上をもたらすことができる。すなわち、図5を参照すると、本実施形態において、第1及び第2内部電極121、122が第1方向(X方向)に重なる領域A1は実線で、従来の重なる領域A2は点線で示されているが、同じサイズを有する部品を基準にしたとき、A1はA2より増加した面積を有し、これにより電気容量が向上することができる。第1及び第2内部電極121、122の重なり面積が増加できるのは、後述するように、サイドマージン部111、112を採用することで、第1及び第2内部電極121、122のマージン(外部から離隔した距離)を最小化することができるからである。さらに、第1及び第2内部電極121、122のマージンが減少することによって、第1及び第2内部電極121、122を積層する過程で発生し得る段差の問題も最小化することができ、これは、積層型キャパシタ100の構造的安定性及び信頼性の向上に繋がることができる。図27は、連結電極の幅W1に応じた第1及び第2内部電極の重なり面積の増加率を示すものである。ここで、重なり面積の増加率は、従来の場合(図5のA2面積を有する場合)と比較したものであり、(1)は図10のように2つのパターンP1、P2で第1及び第2内部電極121、122を製造した場合を、(2)は図11のように、1つのパターンP3で第1及び第2内部電極121、122を製造した場合に該当する。図27のグラフの結果から分かるように、本実施形態を採用することにより、従来と比較して重なり面積が増加することができ、ここで、連結電極の幅W1が増加するほど、増加幅が鈍化することは、第1内部電極121の突出部Pの幅が減少したためと言える。
【0052】
第1外部電極131a、131bは、活性部101の第3面S3及び第4面をカバーし、第1内部電極121と連結される。この場合、第1外部電極131a、131bは一対備えられ、第3面S3及び第4面S4にそれぞれ配置されることができる。積層型キャパシタ100を基板等に実装する場合、第1外部電極131a、131bは信号ラインと連結されることができ、これにより積層型キャパシタ100は3端子キャパシタとして機能することができる。
【0053】
連結電極132a、132bは、活性部101の第5面S5及び第6面S6をカバーし、第2内部電極122と連結される。この場合、連結電極132a、132bは一対で備えられ、活性部101の第5面S5及び第6面S6にそれぞれ配置されることができる。本実施形態の場合、第2内部電極122は、第2外部電極133a、133bと直接連結されるよりも、これらの間に連結電極132a、132bが配置されて電気接続構造が実現される。図2に示すように、連結電極132a、132bは、活性部101の第1面S1及び第2面S2に延長されることができ、この場合、連結電極132a、132bと第2外部電極133a、133bとは、活性部101の第1面S1及び第2面S2で連結されることができる。
【0054】
図示された形態のように、サイドマージン部111、112は、第2方向(Y方向)に測定した長さが連結電極132a、132bより長くてもよい。また、第2外部電極133a、133bは、第2方向(Y方向)に測定した長さが連結電極132a、132bより長くてもよい。また、第2外部電極133a、133bは、第2方向(Y方向)に測定した長さがサイドマージン部111、112より短くてもよい。
【0055】
一方、連結電極132a、132bと第2外部電極133a、133bの連結方式は異なってもよく、例えば、図19の変形例のように導電性ビア134a、134bによって電気接続が実現されてもよい。本変形例において、さらに含まれた導電性ビア134a、134bの場合、サイドマージン部111、112を貫通して連結電極131a、131bと第2外部電極133a、133bとを連結することができる。図10では、活性部101の第5面S5側及び第6面S6側のそれぞれに複数の導電性ビア134a、134bが存在するが、それぞれに一つの導電性ビア134a、134bが存在することもできる。連結電極132a、132bと第2外部電極133a、133bとが導電性ビア134a、134bによって接続される場合、連結電極132a、132bは活性部101の第1面S1及び第2面S2をカバーするように延長されなくてもよい。必須ではないが、導電性ビア134a、134bは、連結電極132a、132bと同じ物質から形成されてもよく、この場合、工程の効率性が向上することができる。導電性ビア134a、134bは、サイドマージン部111、112を活性部101に貼り付ける前に、予めサイドマージン部111、112に形成することもでき、サイドマージン部111、112をホール加工した後、ここに導電性ペーストを充填して得ることができる。
【0056】
これとは異なり、サイドマージン部111、112が活性部101に貼り付けられた状態で導電性ビア134a、134bを形成することもできる。また他の例として、図20に示す形態のように、連結電極132a、132bは、サイドマージン部111、112に形成された溝Rに配置されることもでき、本変形例のような構造を有する場合、サイドマージン部111、112の溝Rに連結電極132a、132bを形成するための導電性ペーストを形成した後、これを活性部101に貼り付ける方法も用いることができる。さらに他の例として、図21に示す形態のように、サイドマージン部111、112は、一つではなく、複数のシートに分離された形態を有することもできる。具体的に、サイドマージン部111、112は、第1サイドマージン部111a、111bと第2サイドマージン部112a、112bとを含むことができる。この場合、連結電極132a、132bは、サイドマージン部111、112によってカバーされるよりは、第1サイドマージン部111a、111bと第2サイドマージン部112a、112bとの間に配置された構造として実現されることができる。
【0057】
図6の(a)は、Z方向から積層型キャパシタ100を見た平面図であり、第2外部電極133a、133bは図示していない。図6の(b)、図6の(c)の従来例は、連結電極がなく、外部電極33及び内部電極21、22の連結形態が示されている。図6の(a)を参照すると、本実施形態の場合、第2方向(Y方向)に測定した幅を基準に、第2内部電極121において、活性部101の第5面S5及び第6面S6に延長された領域の幅W2は、連結電極132a、132bの幅W1より広くてもよい。これは、図6の(b)、図6の(c)の従来例と比較して、第2内部電極121と連結電極132a、132bの不一致(mis-align)の可能性が著しく低減できる条件である。図6に対する更なる説明は後述する。
【0058】
第2外部電極133a、133bは、活性部101の第5面S5及び第6面S6側でサイドマージン部111、112をカバーし、上述したように連結電極132a、132bと連結される。第2外部電極133a、133bは一対備えられることができ、この場合、一対の第2外部電極133a、133bは、活性部101の第5面S5及び第6面S6をそれぞれカバーし、第1面S1及び第2面S2に延長されることができる。ただし、図22の変形例のように、第2外部電極133は一対に分離されずに一体構造として形成されてもよく、具体的な例として、第2外部電極133は活性部101の第1面、第2面、第5面、第6面S1、S2、S5、S6をカバーするリング(ring)形状であってもよい。また、図23の変形例のように、連結電極132a、132bは一対に分離されずに一体構造として形成されてもよく、連結電極132は活性部101の第1面、第2面、第5面、第6面S1、S2、S5、S6をカバーするリング(ring)形状であってもよい。図23では、第2外部電極を示していないが、第2外部電極は、図1及び図22に示した形態のうちいずれでも採用することができる。そして、図22及び図23に示すリング構造は、後述する実施形態にも全て適用することができる。
【0059】
一方、第1外部電極131a、131b、連結電極132a、132b、第2外部電極133a、133bは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよい。第1外部電極131a、131b、連結電極132a、132b、第2外部電極133a、133bを形成する工程の例として、導電性金属を含むシートを転写する方式、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング(Sputtering)工法などを用いることができる。第1外部電極131a、131b、連結電極132a、132b、第2外部電極133a、133bに使用される導電性金属は、静電容量の形成のために上記内部電極と電気的に連結できる材質であれば、特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。また、第1外部電極131a、131b及び第2外部電極133a、133bの外側には、必要な機能に応じて電極層201、202を使用することができ、例えば、樹脂電極層201、めっき層202などが順次に追加配置されてもよい。
【0060】
サイドマージン部111、112は、活性部101の第5面S5及び第6面S6側で連結電極131a、131bをカバーする。図示された形態のように、サイドマージン部111、112は一対備えられてもよく、この場合、一対のサイドマージン部111、112は、活性部101の第5面S5及び第6面S6側にそれぞれ配置されてもよい。サイドマージン部111、112は、活性部101の第5面S5及び第6面S6にサイドマージン部用セラミックグリーンシートを貼り付けて形成されてもよい。サイドマージン部111、112は、物理的または化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができ、上述したように内部電極121、122を形成するためのマージン領域を減らすことにより、内部電極121、122の重なり面積を向上させることができる。これをより具体的に説明すると、小型かつ高容量の積層型キャパシタを実現するために、内部電極121、122を活性部101の表面に延長させることで、内部電極121、122を最大化することができる。このために、活性部101の第3方向(Z方向)に内部電極121、122をカバーするようにサイドマージン部用セラミックグリーンシートを別途貼り付けた後、焼成する方法を用いることができる。
【0061】
このような利点に加えて、本実施形態の構造を有する積層型キャパシタ100の場合、サイドマージン部111、112を使用することで、耐湿信頼性を向上させることができる。これについて図6を参照して説明すると、本実施形態に該当する図6の(a)の場合、内部電極121、122は連結電極132a、132bと連結され、これらをカバーするサイドマージン部111、112が採用される。これにより、矢印で表した耐湿浸透経路が長くなることができる。これとは異なり、図6の(b)の従来例では、サイドマージン部がなく、内部電極21、22と外部電極33とが直接連結されるため、耐湿浸透が容易となるが、このような問題点は図6の(c)の従来例のように、内部電極21、22と外部電極33の整列度(alignment)が良くない場合に、さらに顕著になる可能性がある。
【0062】
誘電体層110とサイドマージン部111、112は、グレインサイズや色などによって区別することができる。具体的に、図7を参照すると、誘電体層110は第1セラミック焼結体を含み、サイドマージン部111、112は第2セラミック焼結体を含む場合、上記第1セラミック焼結体に含まれた粒子G1と、上記第2セラミック焼結体に含まれたグレインG2とは、平均サイズが互いに異なることがある。図7の(a)は、上記第1セラミック焼結体の平均グレインサイズが上記第2セラミック焼結体の平均グレインサイズより小さい場合を示し、逆に図7の(b)は、上記第1セラミック焼結体の平均グレインサイズが上記第2セラミック焼結体の平均グレインサイズより大きい場合を示す。また、上記第1及び第2セラミック焼結体の色は互いに異なることがあり、このように互いに異なる色は目視で区別することもできる。このような色の差は、明度、彩度、色相のうち少なくとも一つの差を意味することができ、セラミック焼結体のグレインサイズや成分の差によって発生することができる。具体的な例として、上記第1セラミック焼結体に含まれたグレインのサイズ分布(第1分布)及び上記第2セラミック焼結体に含まれたグレインのサイズ分布(第2分布)において、上記第1及び第2分布の平均グレインサイズの差が5%以上であることができ、この場合、上記第1及び第2セラミック焼結体は目視で区別できる程度の色差が生じる可能性がある。また、上記第1及び第2分布において、平均グレインサイズ値の差が大きくない場合(5%未満)であっても、標準偏差の差が10%以上である場合には、上記第1及び第2セラミック焼結体は目視で区別できる程度の色差が生じる可能性がある。そして、上記第1及び第2セラミック焼結体における色の差は明度の差から効果的に区別することができ、例えば、少なくとも一つの断面から得られた画像のグレーレベル(0~255)において10レベル以上の差がある場合に、有意な色の差があると定義することができる。
【0063】
誘電体層110とサイドマージン部111、112に含まれたグレインのサイズを測定する方法の具体的な例について説明する。まず、グレインG1、G2のサイズは、積層型キャパシタ100を第2方向(Y方向)の中央の位置まで研磨して第1及び第3方向の断面(X-Z断面)を露出させた後、露出した断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、光学顕微鏡(Optical microscope)を用いて観察した画像から測定することができる。得られた画像を画像処理プログラムを用いてグレインG1、G2の境界を明確にした後、それぞれの面積を算出し、算出された面積を円相当径に換算してグレインG1、G2のサイズを得ることができる。
【0064】
一方、実施形態に応じては、活性部101とは別途の工程で作製されたサイドマージン部111、112が採用されない場合もある。この場合、サイドマージン部111、112は一般的な絶縁部と称することができ、例えば、上記絶縁部は誘電体からなることができる。そして、上記絶縁部をなす誘電体は、活性部101の誘電体層110と同じ物質を含むことができる。一般的な絶縁部の形態で提供される場合でも、上記絶縁部の幅方向の長さは上述した形態、すなわち、連結電極132a、132bや第2外部電極133a、133bより長くてもよく、且つ、第2外部電極133a、133bは、幅方向の長さが連結電極132a、132bより長くてもよい。ここで、幅方向の長さは、活性部101の一面、すなわち、本実施形態では、第5面S5及び第6面S6、並びに複数の内部電極121、122の積層方向(X方向)に垂直な方向(Y方向)と定義することができる。
【0065】
図8を参照して積層型キャパシタを製造する方法の一例を説明し、上述した構成要素の一部については図面番号を省略している。本工程例は、図8の(a)から8の(g)の順に進行することができる。まず、活性部101を形成するが、本工程は、セラミックグリーンシートと内部電極パターンを交互に積層し、単位素子にダイシングする段階などを含むことができる。一例として、セラミックグリーンシート上にスクリーン印刷法、グラビア印刷法などで内部電極パターンを形成し、これらを繰り返し積層することができる。ダイシング工程の場合、機械的加工、レーザ加工などのように当技術分野において周知された方法を使用することができる。図8の(a)は、ダイシング段階を経た後の単位素子形態の活性部101を示す。
【0066】
次に、活性部101の表面に連結電極を形成する。この場合、図8の(b)のような印刷工法を使用することができ、これを図9を参照してさらに具体的に説明する。図9は、電極印刷装置の動作例を示す。本印刷工程の場合、部品側のホイール(wheel)201が回転しながら活性部101の表面に導電性ペーストPを塗布することにより所定形状のパターンを形成し、これは、上述した連結電極用パターン132a、132bに該当する。この場合、連結電極用パターン132a、132bの一部は、活性部101の上面及び下面(上述した実施形態では、第1面及び第2面)に移動してこれらをカバーすることができる。図示された形態のように、多数の活性部101がキャリアシート200に配置されてもよく、例えば、キャリアシート200の溝に結合して活性部101の一側と他側を露出させることができる。そして、キャリアシート200は下方に移動して印刷工程が順次に進行することができる。この場合、活性部101の一側と他側に連結電極用パターンを形成することができ、これらは同時に形成されることもできる。導電性ペーストPは、金属、ガラス、バインダーなどを含むことができ、活性部101の表面に塗布時に導電性ペーストPの量と形成領域を制御するために、ホイールブレード(wheel blade)203が提供されることができる。そして、トレイ210に保管された導電性ペーストPは、トレイ側のホイール202を介して部品側のホイール201に移動することができる。連結電極132a、132bを形成する方法としては、これ以外にも、ディッピング(dipping)工程、転写工程などを用いることもできる。ただし、図9に示す印刷工程は、特定領域に連結電極132a、132bを精密に形成するのにさらに好適であり得る。また、本実施形態のようにサイドマージン部を形成する前に連結電極132a、132bを形成する場合、内部と外部電極が連結される領域で発生しやすい耐湿浸透が効果的に抑制されることができる。
【0067】
連結電極132a、132bの形成後、図8の(c)に示す形態のように、サイドマージン部用グリーンシート111、112を活性部101に貼り付ける。具体的な工程例として、サイドマージン部用グリーンシート111、112を弾性材質のキャリアに配置した後、これを活性部101の一面に加圧密着することができる。図8の(d)は、サイドマージン部用グリーンシート111、112が貼り付けられた後、焼成段階を経る前の状態である積層体101Aを示し、その後に積層体101Aを焼成する。積層体101Aを焼成した後に、図8の(e)に示す形態のように、積層体101Aに外部電極用ペーストMを塗布し、これは、連結電極132a、132bと連結された第2外部電極133a、133bを形成するためのものである。外部電極用ペーストMの塗布工程は、図8の(b)で説明したものと同様の印刷工程で行うことができ、その他にもディッピング工程、転写工程などを用いることもできる。外部電極用ペーストMが塗布された後には、これを焼成する工程が実行されることができる。
【0068】
次に、第1外部電極131a、131bを形成し、図8の(f)のように転写工程を用いることができる。転写工程の具体的な例として、導電性金属を含むシート231に積層体101Bを加圧することにより、シート231の一部が脱着する方式であり、積層体101Bにおいて互いに対向する両面に対して実行されることができる。図8の(g)は、外部電極が形成された状態の積層型キャパシタ100を示し、必要に応じて、上述したように第1及び第2外部電極131a、131bをカバーする更なる電極層、樹脂電極層、めっき層などを形成することもできる。
【0069】
一方、図8の(a)の活性部101の形成段階に関連し、図10図18を参照して内部電極の形成方法及びこれにより得られる様々な形状について、より具体的な例示を説明する。上述した切断工程により内部電極は個別化され、まず、図10の(a)及び図10の(b)は、点線に沿ってダイシングが行われることで、それぞれ第1内部電極121及び第2内部電極122が部品単位に個別化される形態を示す。この場合、図10は、第1内部電極121と第2内部電極122が別個のパターンP1、P2で形成された例を示す。これとは異なり、図11は、第1内部電極121と第2内部電極122とが連結された状態で一つのパターンP3で形成された例を示しており、この場合、第1内部電極121上に第2内部電極122が位置するようにパターンP3が積層される。図10及び図11のパターンP1、P2、P3を介して得られた第1内部電極121及び第2内部電極122は、それぞれ図3及び図4に示す構造を有することができる。
【0070】
図12は、前述の実施形態とは異なる形状の内部電極を得るための内部電極用パターンP4を示す。図12において、第1内部電極121と第2内部電極122とは互いに連結されている。図13は切断工程後の個別化された状態の内部電極を示し、図13の(a)は第1内部電極121、図13の(b)は第2内部電極122に該当する。本例において、第1内部電極121は図3と同じ形状に実現され、第2内部電極122の場合、活性部101の第5面S5及び第6面S6に延長された複数の突出部Pを有する。
【0071】
図14は、さらに他の形状の内部電極を得るための内部電極用パターンP5を示し、第1内部電極121と第2内部電極122とは物理的に連結されていないものの、全体として一つのパターンP5で作製されることができる。図15は、図14のパターンP5を用いて得られた内部電極を示し、図15の(a)は第1内部電極121、図15の(b)は第2内部電極122に該当する。本例において、第1内部電極121は、突出部のない平板状に形成される。第2内部電極122の場合、活性部101の第5面S5及び第6面S6に延長された突出部Pを有する。ここで、第2内部電極122の突出部Pは、第5面S5及び第6面S6にそれぞれ1個ずつ配置され、第2方向(Y方向)に第2内部電極122の中央部に配置されることができる。
【0072】
図16は、さらに他の形状の内部電極を得るための内部電極用パターンP6を示し、第1内部電極121と第2内部電極122とは互いに連結されている。図17は、図16のパターンP5を用いて得られた内部電極を示し、図17の(a)は第1内部電極121、図17の(b)は第2内部電極122に該当する。本例において、第2内部電極122は、突出部のない平板状に形成される。第1内部電極121の場合、活性部101の第5面S5及び第6面S6に延長された複数の突出部Pを有する。この場合、第1内部電極121において、複数の突出部Pは、活性部101の第3面~第6面S3-S6に対して傾斜した側面Sを有する。サイドマージン部111、112の接合度が高くない場合、活性部101から一部の領域が剥離する可能性があるが、この場合、活性部101の角部は耐湿に脆弱になるおそれがある。本例のように、第1内部電極121の突出部Pが傾斜した側面Sを有する場合、活性部101の角における耐湿不良の可能性を低減することができる。この場合、電気容量の低下を起こさないために、第1内部電極121において傾斜した側面Sに該当する領域のうち少なくとも一部は、内部電極121、122の積層方向である第1方向(X方向)に第2内部電極122と重ならなくてもよい。傾斜した側面Sを形成するために第1内部電極121、122の一部を除去する場合、可能な範囲で第2内部電極122と重なる領域を最小限に除去することにより、電気容量が低下することを防止することができる。一方、図16に示す形態とは異なり、図18のように、第1内部電極121及び第2内部電極122が別個のパターンP7、P8で形成されてもよく、図18の(a)は第1内部電極121に、図18の(b)は第2内部電極122に該当する。
【0073】
図24図27を参照して本発明の更なる実施形態を説明する。ここで、図25図24の分解斜視図、図27図26の分解斜視図に該当する。本変形例の場合、内部電極121、122、連結電極131a、131bの形状などは、前述の実施形態と実質的に同一であり、外部電極が配置された方式や活性部の形状の面でのみ差がある。まず、図24及び図25を参照すると、本変形例による積層型キャパシタ200の場合、第2外部電極133a、133bが前述の実施形態と異なる位置に形成される。具体的に、一対の第2外部電極133a、133bは、活性部101の第1面S1及び第2面S2をそれぞれカバーし、第5面S5及び第6面S6に延長される。このような形態によって、一対の第2外部電極133a、133bのそれぞれは、一つの連結電極のみと連結されるものではなく、一対の連結電極132a、132bと同時に連結されることができる。第2外部電極133a、133bの形成位置が変わることで、積層型キャパシタ200は第3方向(Z方向)に基板等に実装されることができ、この場合、内部電極121、122は実装面に垂直な方向に配置されることができる。
【0074】
次に、図26及び図27を参照すると、本変形例による積層型キャパシタ300の場合、一対の第2外部電極133a、133bは、活性部101の第1面S1及び第2面S2をそれぞれカバーし、第5面S5及び第6面S6に延長される。このような形態によって、一対の第2外部電極133a、133bのそれぞれは、一つの連結電極のみと連結されるものではなく、一対の連結電極132a、132bと同時に連結されることができる。本変形例において、活性部101は、第1方向(X方向)の長さL1が第2方向(Y方向)の長さL2より長い形状である。積層型キャパシタ300が第3方向(Z方向)に基板等に実装される場合、内部電極121、122は実装面に垂直な方向に配置されることができる。また、活性部101が上述した長さ条件を有することによって、基板等に第3方向(Z方向)に実装する際に内部電極121、122の積層数を高く維持して電気容量特性を満たしながらも、薄い厚さを有するロープロファイル(Low-Profile)構造を実現するのに好適になることができる。
【0075】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であることは、当技術分野における通常の知識を有する者には自明であり、これも添付の特許請求の範囲に記載されている技術的思想に属すると言える。
【符号の説明】
【0076】
100、200、300:積層型キャパシタ
101:活性部
110:誘電体層
111、112:サイドマージン部
113、114:カバー層
121、122:内部電極
131a、131b:第1外部電極
132a、132b:連結電極
133a、133b:第2外部電極
134a、134b:導電性ビア
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