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特開2023-98641積層型電子部品の製造方法及び積層型電子部品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098641
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】積層型電子部品の製造方法及び積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
H01G4/30 311A
H01G4/30 201K
H01G4/30 201N
H01G4/30 517
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】45
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194766
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0189812
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0095543
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、チャン ホ
(72)【発明者】
【氏名】アン、スン クォン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AD03
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E001AH06
5E001AJ02
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ12
5E082JJ23
5E082LL03
5E082MM05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】セラミック積層体の切断工程における不良を防止する、積層型電子部品の製造方法及び積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品の製造方法は、複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンが第1方向に積層されたセラミック積層体100を形成する段階と、セラミック積層体の一面にレーザLを照射する段階と、セラミック積層体において第1方向に一面と対向する他面にレーザLを照射して、セラミック積層体を個別の積層チップ単位で切断する段階と、積層チップを焼成して内部電極及び誘電体層を含むセラミック本体を形成する段階と、セラミック本体の第1側及び第2側に外部電極を形成する段階と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンが第1方向に積層されたセラミック積層体を形成する段階と、
前記セラミック積層体の一面にレーザを照射する段階、及び前記セラミック積層体において前記第1方向に前記一面と対向する他面にレーザを照射する段階を含んで前記セラミック積層体を個別の積層チップ単位で切断する段階と、
前記積層チップを焼成して内部電極及び誘電体層を含むセラミック本体を形成する段階と、
前記セラミック本体の第1側及び第2側に外部電極を形成する段階と、を含む、積層型電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記セラミック本体は、前記第1側に形成され、前記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面と、前記第2側に形成され、前記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面とを含む、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記セラミック本体の第1側及び第2側に形成された傾斜面は曲面又は実質的に平面である、請求項2に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記セラミック本体の第1側の前記複数の傾斜面が連結される第1連結領域と、前記セラミック本体の第2側の前記複数の傾斜面が連結される第2連結領域とは、前記第1方向を基準に互いに異なるレベルに位置する、請求項2に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記セラミック本体の第1側及び第2側は、前記第1方向と垂直な第2方向に対向し、
前記セラミック本体は、前記第2方向の長さが前記第1方向に沿って上部及び下部から中央部に向かうほど増加する、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記セラミック本体は、前記第1方向及び第2方向と垂直な第3方向に対向する第3側及び第4側にそれぞれ形成され、前記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面を含む、請求項5に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記セラミック本体の第1側に形成された複数の傾斜面と前記第1方向がなす角度はそれぞれ3°以下であり、
前記セラミック本体の第2側に形成された複数の傾斜面と前記第1方向がなす角度はそれぞれ3°以下である、請求項2に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記セラミック本体は、前記第1側に形成された前記複数の傾斜面を連結する第1連結面と、前記第2側に形成された前記複数の傾斜面を連結する連結面とをさらに含む、請求項2に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記切断する段階は、
前記セラミック積層体の一面又は他面に照射されたレーザを曲線経路に沿って移動させる段階を含む、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記切断する段階は、
前記セラミック積層体の一面又は他面に照射されたレーザを不規則な経路に沿って移動させる段階を含む、請求項9に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記切断する段階は、
前記セラミック積層体の一面にレーザを照射する段階の少なくとも一部と、前記セラミック積層体の他面にレーザを照射する段階の少なくとも一部とを同時に実行する段階を含む、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記レーザを照射する段階は、
ビームスプリッタにより前記レーザを第1光及び第2光に分割する段階と、前記第1光及び第2光を前記セラミック積層体の一面及び他面にそれぞれ照射する段階と、を含む、請求項11に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記レーザを照射する段階は、
少なくとも2つのレーザ装置からそれぞれ提供されたレーザを前記セラミック積層体の一面及び他面にそれぞれ照射する段階を含む、請求項11に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記切断する段階は、
前記セラミック積層体の一面にレーザを照射する段階及び前記セラミック積層体の他面にレーザを照射する段階を順次に実行する段階を含む、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記切断する段階は、
前記セラミック積層体の一面にレーザを照射する段階及び他面にレーザを照射する段階の間に、前記セラミック積層体を前記第1方向を基準に上下反転させる段階をさらに含む、請求項14に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記切断する段階は、
前記レーザを照射する前に、前記セラミック積層体の一面及び他面のイメージを取得する段階、前記イメージを介して切断領域を設定する段階、及び前記レーザを前記切断領域に照射する段階を含む、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記セラミック積層体を形成する段階は、
前記セラミックグリーンシートを間に挟んで複数の第1内部電極パターン及び複数の第2内部電極パターンを交互に積層する段階を含み、
前記イメージを介して切断領域を設定する段階は、
前記イメージを前記複数の第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンが前記第1方向に重なる第1領域、並びに前記複数の第1内部電極パターン及び第2内部電極パターンが前記第1方向に重ならない第2領域に区分する段階と、前記第2領域に対応する前記セラミック積層体の領域のうち少なくとも一部を前記切断領域に設定する段階と、を含む、請求項16に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記複数の内部電極パターンのそれぞれは、前記第1方向と垂直な第2方向に互いに離隔して配置され、前記第1方向及び前記第2方向と垂直な第3方向に延長するように配置される、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記セラミック積層体は、前記第1方向を基準に最外郭に配置された複数の内部電極パターン上に配置されるカバー領域を含み、
前記カバー領域の平均厚さは40μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項20】
前記セラミック積層体は、前記第1方向を基準に最外郭に配置される複数の内部電極パターン上に配置されるカバー領域を含み、
前記カバー領域の厚さは40μm超過300μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項21】
前記セラミック積層体を形成する段階は、
前記セラミック積層体を前記第1方向に圧着して前記セラミック積層体の少なくとも一部の領域を前記第1方向に陥没させる段階をさらに含む、請求項20に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項22】
前記レーザは集束レンズによって集束され、前記集束されたレーザの直径は1μm~20μmである、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項23】
前記レーザの電力密度は1×10W/cm~1×1014W/cmである、請求項1に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項24】
前記セラミック本体の表面を研磨する段階をさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項25】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される複数の第1内部電極及び第2内部電極を含むセラミック本体と、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極は、前記セラミック本体の第1側及び第2側にそれぞれ延長し、
前記セラミック本体は、前記第1側に形成された複数の曲面、及び前記第2側に形成された複数の曲面を含み、前記第1側の複数の曲面は、互いに連結される領域のうち少なくとも一部が不連続領域であり、前記第2側の複数の曲面は、互いに連結される領域のうち少なくとも一部が不連続領域である、積層型電子部品。
【請求項26】
前記セラミック本体の第1側の前記複数の曲面が連結される第1連結領域と前記セラミック本体の第2側の前記複数の曲面が連結される第2連結領域とは、前記第1方向を基準に互いに異なるレベルに位置する、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項27】
前記セラミック本体の第1側及び第2側は、前記第1方向と垂直な第2方向に対向し、
前記セラミック本体は、前記第2方向の長さが前記第1方向に沿って上部及び下部から中央部に向かうほど増加する、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項28】
前記第1側に形成された複数の曲面及び前記第2側に形成された複数の曲面は凹凸を含む、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項29】
前記セラミック本体は、前記第1側に形成された前記複数の曲面を連結する第1連結面と、前記第2側に形成された前記複数の曲面を連結する連結面とをさらに含む、請求項25から28のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項30】
前記第1内部電極は、前記セラミック本体の第1側に突出し、
前記第2内部電極は、前記セラミック本体の第2側に突出する、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項31】
前記第1内部電極は、前記セラミック本体の第1側と離隔し、
前記第2内部電極は、前記セラミック本体の第2側と離隔する、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項32】
前記セラミック本体の第1側及び第2側は、前記第1方向と垂直な第2方向に対向し、前記セラミック本体は、前記第1方向及び第2方向と垂直な第3方向に対向する第3側及び第4側を含み、
前記第1内部電極は、前記セラミック本体の第1側と連結されるように配置され、前記第2内部電極は、前記セラミック本体の第2側と連結されるように配置され、
前記第1内部電極及び第2内部電極は、前記セラミック本体の第3側及び第4側と離隔するように配置される、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項33】
前記セラミック本体の第1側及び第2側は、前記第1方向と垂直な第2方向に対向し、前記セラミック本体は、前記第1方向及び第2方向と垂直な第3方向に対向する第3側及び第4側を含み、
前記第1内部電極は、前記セラミック本体の第1側、第3側及び第4側と連結されるように配置され、前記第2内部電極は、前記セラミック本体の第2側、第3側及び第4側と連結されるように配置され、
前記セラミック本体の第3側及び第4側にはサイドマージン部が配置される、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項34】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される複数の第1内部電極及び第2内部電極を含むセラミック本体と、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極はそれぞれ前記セラミック本体の第1側及び第2側に延長し、
前記セラミック本体は前記第1側に形成され、前記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面と、前記第2側に形成され、前記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面とを含み、
前記セラミック本体の第1側の前記複数の傾斜面が連結される第1連結領域と、前記セラミック本体の第2側の前記複数の傾斜面が連結される第2連結領域とは、前記第1方向を基準に互いに異なるレベルに位置する、積層型電子部品。
【請求項35】
前記セラミック本体の第1側及び第2側に形成された傾斜面は曲面又は実質的に平面である、請求項34に記載の積層型電子部品。
【請求項36】
前記セラミック本体の第1側及び第2側は、前記第1方向と垂直な第2方向に対向し、
前記セラミック本体は、前記第2方向の長さが前記第1方向に沿って上部及び下部から中央部に向かうほど増加する、請求項34に記載の積層型電子部品。
【請求項37】
前記セラミック本体の第1側に形成された複数の傾斜面と前記第1方向がなす角度はそれぞれ3°以下であり、
前記セラミック本体の第2側に形成された複数の傾斜面と前記第1方向がなす角度はそれぞれ3°以下である、請求項34に記載の積層型電子部品。
【請求項38】
前記第1連結領域及び前記第2連結領域は不連続領域である、請求項34に記載の積層型電子部品。
【請求項39】
前記第1連結領域及び前記第2連結領域のうち少なくとも一つは、前記セラミック本体の前記第1方向の中心から前記第1方向に偏った位置に配置された、請求項34に記載の積層型電子部品。
【請求項40】
前記第1連結領域及び前記第2連結領域は、前記セラミック本体の前記第1方向の中心から互いに反対方向に偏った位置に配置された、請求項34に記載の積層型電子部品。
【請求項41】
前記第1連結領域及び前記第2連結領域の間の前記第1方向の長さは、前記誘電体層の平均厚さ以上である、請求項34に記載の積層型電子部品。
【請求項42】
前記第1連結領域及び前記第2連結領域の間の前記第1方向の長さは0.4μm以上である、請求項34から41のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項43】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される複数の第1内部電極及び第2内部電極を含むセラミック本体と、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、
前記第1内部電極及び前記第2内部電極はそれぞれ前記セラミック本体の第1側及び第2側に延長し、
前記セラミック本体は前記第1側に形成され、前記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面と、前記第2側に形成され、前記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面とを含み、
前記セラミック本体の第1側には、前記複数の傾斜面が連結される不連続領域である第1連結領域が形成され、前記セラミック本体の第2側には、前記複数の傾斜面が連結される不連続領域である第2連結領域が形成され、
前記第1連結領域及び前記第2連結領域のうち少なくとも一つは、前記セラミック本体の前記第1方向の中心から前記第1方向に偏った位置に配置された、積層型電子部品。
【請求項44】
前記第1連結領域及び前記第2連結領域の間の前記第1方向の長さは前記誘電体層の平均厚さ以上である、請求項43に記載の積層型電子部品。
【請求項45】
前記第1連結領域及び前記第2連結領域の間の前記第1方向の長さは0.4μm以上である、請求項43または44に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品の製造方法及び積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用できる。コンピュータ、モバイル機器など、各種の電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
一般的に、積層セラミックキャパシタは、セラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンとを交互に積層してセラミック積層体を形成した後、上記セラミック積層体を所望の製品サイズに合わせて切断することにより形成することができる。
【0005】
現在、セラミック積層体を切断する方法として、ステージとブレードを用いた工法が広く使用されている。上記ブレードを用いた工法は、セラミック積層体を真空ステージに固定させ、ブレードをステージの垂直方向に移動させることにより行われる。
【0006】
しかし、従来のブレードを用いた工法の場合、様々な問題点が存在する。まず、セラミックグリーンシートを積層し圧着してセラミック積層体を形成する際、セラミック積層体の変形が発生することがあるが、ブレードを用いた工法の場合、このようなセラミック積層体の変形を考慮することができない。
【0007】
また、切断時にセラミック積層体とブレードが直接に接触するため、セラミック積層体に加わる剪断応力により切断された積層チップにクラックが発生することがあり、繰り返される切断工程によってブレードに摩耗が発生することで、セラミック積層体の切断面に損傷が発生する可能性がある。
【0008】
最後に、切断後に分離された個別の積層チップが互いに接触する。これにより、積層チップ内部のバインダーや切断時の異物により、積層チップ同士が互いにくっ付く「チップのくっ付き不良」が発生する可能性がある。
【0009】
このような問題点を解決するために、セラミック積層体の上部にレーザを照射する工法が考えられるが、レーザを用いた工法は、レーザの加工深さが深くなるほど加工速度が減少し、工程の効率性が低いという問題点が存在し、レーザは焦点から離れるほど加工線幅が増加するため、セラミック積層体が斜線で切断され、個別の積層チップの断面が台形形状を有するようになる。このとき、積層チップの断面が台形形状を有する場合、外部電極が均一に形成されず、これにより積層セラミックキャパシタの信頼性が低下するという問題点が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明のいくつかの目的の一つは、セラミック積層体の変形による切断不良を防止することである。
【0011】
本発明のいくつかの目的の一つは、切断時に発生する剪断応力によるクラックの発生を防止することである。
【0012】
本発明のいくつかの目的の一つは、チップのくっ付き不良を防止することである。
【0013】
本発明のいくつかの目的の一つは、セラミック積層体の一面及び他面にレーザをそれぞれ照射することにより、工程時間を短縮することである。
【0014】
本発明のいくつかの目的の一つは、セラミック本体の形状を改善し、積層型電子部品の信頼性を改善することである。
【0015】
但し、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、複数のセラミックグリーンシートと複数の内部電極パターンが第1方向に積層されたセラミック積層体を形成する段階と、上記セラミック積層体の一面にレーザを照射する段階、及び上記セラミック積層体において上記第1方向に上記一面と対向する他面にレーザを照射する段階を含んで上記セラミック積層体を個別の積層チップ単位で切断する段階と、上記積層チップを焼成して内部電極及び誘電体層を含むセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体の第1側及び第2側に外部電極を形成する段階と、を含むことができる。
【0017】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される複数の第1内部電極及び第2内部電極を含むセラミック本体と、上記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれが連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極及び第2内部電極は、上記本体の第1側及び第2側にそれぞれ延長し、上記セラミック本体は、上記第1側に形成された複数の曲面と、上記第2側に形成された複数の曲面とを含み、上記第1側の複数の曲面は、互いに連結される領域のうち少なくとも一部が不連続領域であり、上記第2側の複数の曲面は、互いに連結される領域のうち少なくとも一部が不連続領域であることができる。
【0018】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される複数の第1内部電極及び第2内部電極を含むセラミック本体と、上記第1内部電極及び第2内部電極とそれぞれ連結される第1外部電極及び第2外部電極と、を含み、上記第1内部電極及び第2内部電極はそれぞれ上記本体の第1側及び第2側に延長し、上記セラミック本体は上記第1側に形成され、上記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面、及び上記第2側に形成され、上記第1方向に対して傾いた複数の傾斜面を含み、上記セラミック本体の第1側の上記複数の傾斜面が連結される第1連結領域と上記本体の第2側の上記複数の傾斜面とが連結される第2連結領域は、上記第1方向を基準に互いに異なるレベルに位置することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の様々な効果の一つとして、セラミック積層体の変形による切断不良を防止することができる。
【0020】
本発明の様々な効果の一つとして、切断時に発生する剪断応力によるクラックの発生を防止することができる。
【0021】
本発明の様々な効果の一つとして、チップのくっ付き不良を防止することができる。
【0022】
本発明の様々な効果の一つとして、セラミック積層体の一面及び他面にレーザをそれぞれ照射することにより、工程時間を短縮することができる。
【0023】
本発明の様々な効果の一つとして、セラミック本体の形状を改善し、積層型電子部品の信頼性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態によって製造されたセラミック積層体を概略的に示す斜視図である。
図2】セラミック積層体の分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図である。
図5a】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図である。
図5b】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図である。
図6】セラミック積層体の上部平面図及び切断線を概略的に示す図である。
図7】切断された個別の積層チップを概略的に示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図である。
図9】本発明の一実施形態によって製造されたセラミック積層体の一面のイメージを概略的に示す図である。
図10図2の変形例である。
図11図10のセラミック積層体の一面のイメージを概略的に示す図である。
図12】切断された個別の積層チップを概略的に示す斜視図である。
図13図8の変形例である。
図14】本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図である。
図15図14のI-I'線に沿った断面図である。
図16図14のII-II'線に沿った断面図である。
図17図15の変形例である。
図18図15の変形例である。
図19図15の変形例である。
図20図15の変形例である。
図21図15の変形例である。
図22図15の変形例である。
図23図15の変形例である。
図24図15の変形例である。
図25図15の変形例である。
図26図15の変形例である。
図27図14の変形例である。
図28図27のIII-III'線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されてもよく、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0026】
そして、図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。また、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0027】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さ方向、第2方向は長さ方向、第3方向は幅方向と定義することができる。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態によって製造されたセラミック積層体を概略的に示す斜視図であり、図2は、セラミック積層体の分解斜視図であり、図3及び図4は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図であり、図6は、セラミック積層体の上部平面図及び切断線を概略的に示す図であり、図7は、切断された個別の積層チップを概略的に示す斜視図である。
【0029】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、複数のセラミックグリーンシート111と複数の内部電極パターン121、122とが第1方向に積層されたセラミック積層体100を形成する段階と、セラミック積層体100の第1方向に対向する一面及び他面にレーザをそれぞれ照射してセラミック積層体100を個別の積層チップ110単位で切断する段階と、を含む。
【0030】
上述したように、セラミック積層体100をブレードで切断する場合、圧着によるセラミック積層体の変形を考慮することができず、切断時にブレードがセラミック積層体に直接に接触するため、剪断応力によるクラック及びチップのくっ付き不良などが発生する可能性がある。
【0031】
また、セラミック積層体100の上部にのみレーザを照射して切断する場合、工程の効率性が低いという問題点が存在し、切断された個別の積層チップの断面が台形形状を有するため、外部電極が不均一に形成されて積層型電子部品の信頼性が低下する可能性がある。
【0032】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、レーザを照射してセラミック積層体100を切断することにより、セラミック積層体100の変形を考慮することができ、セラミック積層体100を非接触式手段によって切断するため、クラック及びチップのくっ付き不良を防止することができる。また、セラミック積層体100の第1方向に対向する一面及び他面にレーザをそれぞれ照射して切断することにより、生産性を向上することができ、工程時間を短縮することができ、積層型電子部品の断面の形状を制御して信頼性をより向上させることができる。
【0033】
以下、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法に含まれる各段階についてより詳細に説明する。
【0034】
積層型電子部品の製造方法
まず、図1及び図2を参照すると、セラミック積層体100を形成する段階は、複数のセラミックグリーンシート111と複数の内部電極パターン121、122とを第1方向に積層し圧着して実行することができる。具体的に、セラミック積層体100を形成する段階は、セラミックグリーンシート111を間に挟んで複数の第1内部電極パターン121及び複数の第2内部電極パターン122を交互に積層する段階を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の第1内部電極パターン121が形成された第1セラミックグリーンシートと、複数の第2内部電極パターン122が形成された第2セラミックグリーンシートとを交互に積層する段階を含むこともできる。
【0035】
セラミック積層体100は、第1方向を基準に最外郭に配置された複数の内部電極パターン121、122上に配置されるカバー領域112、113を含むことができる。例えば、セラミック積層体100は、第1方向を基準に、最上部に配置された複数の内部電極パターン121、122上に配置された第1カバー領域112及び最下部に配置された複数の内部電極パターン121、122上に配置された第2カバー領域113を含むことができる。カバー領域112、113は、例えば、1つ又は2つのセラミックグリーンシート111を積層することにより形成することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
カバー領域112、113の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化、並びに図8及び図9に関して後述するイメージ500を取得するために、カバー領域112、113の平均厚さは40μm以下であってもよい。カバー領域112、113の平均厚さの下限は特に制限する必要はないが、例えば2μm以上であってもよい。
【0037】
ここで、カバー領域112、113の平均厚さは、カバー領域112、113の第1方向への平均長さを意味することができ、セラミック積層体100の第2方向への長さが半分である断面において、等間隔である5個の地点で測定した第1方向の長さを平均した値であることができる。なお、カバー領域112、113の平均厚さは、第1カバー領域112及び第2カバー領域113のそれぞれの平均厚さを意味する。
【0038】
セラミックグリーンシート111は、セラミック粉末、バインダー、溶剤などを混合してセラミックスラリーを製造し、上記セラミックスラリーをドクターブレード法により数μmの厚さを有するシート(sheet)状に作製したものであってもよい。上記セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム系粉末、鉛複合ペロブスカイト系粉末、又はチタン酸ストロンチウム系粉末などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系粉末は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができる。
【0039】
内部電極パターン121、122は、導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシート111上に印刷することにより形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストを印刷する方法は特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷工法又はグラビア印刷工法により印刷することができる。
【0040】
上記内部電極用導電性ペーストは、導電性金属、共材粉末、分散剤及び溶剤等を含むことができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。上記導電性金属は、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0041】
次に、セラミック積層体100にレーザを照射して積層チップ単位で切断する。具体的に、図3に示すように、セラミック積層体100の第1方向に対向する面を一面及び他面とするとき、上記一面にレーザを照射する段階と上記他面にレーザLを照射する段階を含んでセラミック積層体100を個別の積層チップ110単位で切断する段階を含む。この場合、セラミック積層体100の一面にレーザLを照射してセラミック積層体100を一部切断し、セラミック積層体100の他面にレーザLを照射してセラミック積層体100を完全に切断することができる。
【0042】
レーザLは、レーザ装置300から照射されたものであってもよい。このとき、レーザ装置300は、レーザLを発生させるレーザ発生部310、レーザ発生部310で発生したレーザLを受信するスキャナ320、及びレーザLを集束する集束レンズ330を含むことができる。
【0043】
スキャナ320は、例えば、ガルバノスキャナ(Galvano Scanner)及び/又はAOD(Acoustic Optical Modulator)を含むことができ、セラミック積層体100にレーザを照射する役割を果たすことができる。集束レンズ330は、例えば、エフシータレンズ(F-theta lens)であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法の場合、セラミック積層体100を、非接触式手段であるレーザLによって切断するため、積層チップ110にクラックが発生することを防止することができ、レーザが照射される領域の材料を燃焼させて除去することにより、チップのくっ付き不良などを防止することができる。また、セラミック積層体100の一面Sa及び他面Sbにそれぞれレーザを照射することで生産性を向上させ、工程時間を短縮することができる。
【0045】
また、複数の内部電極パターン121、122及びセラミックグリーンシート111を積層し圧着する過程で発生するセラミック積層体100の変形を考慮して切断経路を設定することにより、切断不良の発生を防止することができる。
【0046】
すなわち、セラミック積層体100を切断する段階は、セラミック積層体100の一面Sa及び他面Sbに照射されたレーザLを曲線経路に沿って移動させる段階を含むことができる。また、セラミック積層体100を切断する段階は、セラミック積層体100の一面Sa及び他面Sbに照射されたレーザLを不規則な経路に沿って移動させる段階を含むことができる。これにより、図6のように、C1-C1切断線及びC2-C2切断線は不規則な曲線であることができる。
【0047】
レーザLを曲線又は不規則な経路に沿って移動させることにより、後述するセラミック本体210の第1マージン部及び第2マージン部間の厚さ(第3方向の長さ)のばらつきを一定に制御することができ、図15と関連して後述する第2内部電極222の一端からセラミック本体210の第1側1までの離隔距離r1と、第1内部電極221の一端からセラミック本体210の第2側2までの離隔距離r2間のばらつきを一定に制御することができる。
【0048】
セラミック積層体100の第1方向に対向する一面Sa及び他面SbにレーザLをそれぞれ照射する方法は特に制限されない。例えば、図3のように、上記レーザを照射する段階が、少なくとも2つのレーザ装置300からそれぞれ提供されたレーザをセラミック積層体100の一面Sa及び他面Sbにそれぞれ照射する段階を含むことにより、セラミック積層体100の一面Saにレーザを照射する段階の少なくとも一部と、セラミック積層体100の他面Sbにレーザを照射する段階の少なくとも一部とを同時に実行することができる。
【0049】
但し、図4の変形例のように、上記レーザを照射する段階が、ビームスプリッタ340でレーザを第1光b1及び第2光b2に分割する段階と、第1光b1及び第2光b2をセラミック積層体100の一面Sa及び他面Sbにそれぞれ照射する段階とを含むことにより、セラミック積層体100の一面Saにレーザを照射する段階の少なくとも一部と、セラミック積層体100の他面Sbにレーザを照射する段階の少なくとも一部とを同時に実行することもできる。ビームスプリッタ340は、第1光b1を通過させ、第2光b2は反射させることができる。このとき、通過した第1光b1は、セラミック積層体100の一面Saに照射されることができ、反射した第2光b2は、複数の反射ミラー350によってセラミック積層体100の他面Sbに照射されることができる。
【0050】
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック積層体100を切断する段階は、セラミック積層体100の一面Saにレーザを照射する段階及びセラミック積層体100の他面Sbにレーザを照射する段階を順次に実行する段階を含むこともできる。
【0051】
図5a及び図5bは、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図である。図5a及び図5bを参照すると、セラミック積層体100の一面Saにレーザを照射する段階及び他面Sbにレーザを照射する段階の間に、セラミック積層体100を第1方向を基準に上下反転させる段階をさらに含むことにより、別途のレーザ装置300を配置したり、レーザ装置300を移動させたりする工程なしに、セラミック積層体100の第1方向に対向する一面Sa及び他面SbにレーザLを順次に照射することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、レーザ装置300を介してセラミック積層体100の一面Saにレーザを照射した後、別途のレーザ装置300を介してセラミック積層体100の他面Sbにレーザを照射することもできる。
【0052】
セラミック積層体100はステージ600上に配置された後、上記レーザによって切断されることができ、セラミック積層体100の大面積加工のために、ステージ600は上記第2方向及び第3方向に移動することができ、レーザの照射地点はスキャナ320によって移動されることができる。
【0053】
ステージ600は、セラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbにそれぞれレーザを照射するために、上記レーザを透過する透明基板であってもよく、例えば、ガラス基板、石英基板、又はシリコン基板のような無機物基板、又は透明樹脂で形成されたフィルム基板であってもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0054】
一実施形態において、レーザの電力密度は、1×10W/cm~1×1014W/cmであってもよい。レーザの電力密度が1×10W/cm未満の場合、工程時間が増加し、工程の効率性が低下する可能性がある。また、レーザの電力密度が1×1014W/cmを超える場合、分離された個別の積層チップ110が破壊される不良が発生する可能性がある。
【0055】
一実施形態において、集束レンズによって集束されたレーザの直径は1μm~20μmであってもよい。上記レーザの直径は、セラミック積層体100の表面に集束されたレーザの直径を意味することができる。上記レーザの直径が1μm未満の場合、集束レンズ330の価格が上昇し、加工線幅の変化が激しくなり、工程の安定性が低下する可能性がある。上記レーザの直径が20μmを超える場合、切断時に内部電極パターン121、122が露出するという問題点が発生する可能性がある。
【0056】
図8は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図であり、図9は、本発明の一実施形態によって製造されたセラミック積層体の一面のイメージを概略的に示す図である。一方、図9では、セラミック積層体100の一面Saのイメージのみを示しているが、後述するように、セラミック積層体100の他面Sbのイメージも同様の方法により取得することができる。
【0057】
図8及び図9を参照すると、一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、上記レーザを照射する前に、セラミック積層体100の一面Sa及び他面Sbのイメージ500を取得する段階、イメージ500を介して切断領域を設定する段階、及び上記レーザを上記切断領域に照射する段階を含むことができる。
【0058】
セラミック積層体100の一面Sa及び他面Sbのイメージ500は、例えば、イメージセンサ400によって取得することができ、イメージセンサ400はレンズ410、CCD420及びイメージ処理部430を含むことができる。ここで、CCD420とは、電荷結合素子(CCD:Carged Coupled Device)を意味し、光を電気的信号に変換させてイメージを得るセンサを意味することができる。
【0059】
より具体的に、セラミック積層体100の一面Sa及び他面Sbのイメージ500を取得する段階は、セラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbに光を入射する段階を含むことができる。上記光は、セラミック積層体100の上部及び下部にそれぞれ配置された照明部440から照射されたものであってもよい。セラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbに照射された光は反射されることができ、内部電極パターン121、122が配置された領域と内部電極パターン121、122が配置されていない領域とでは、上記光の反射率が互いに異なる可能性がある。
【0060】
上記光の波長は、セラミック積層体100において、第1方向を基準に内部電極パターン121、122が配置された領域と、内部電極パターン121、122が配置されていない領域との間の反射率の差が大きい範囲内で設定されることができ、例えば、可視光線領域の波長、より具体的には、400nm~600nmの範囲内で設定されることができる。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、内部電極パターン121、122及びセラミックグリーンシート111の組成に応じて適切な範囲内で設定されることもできる。
【0061】
内部電極パターン121、122に含まれた導電性金属は、上記可視光線領域の波長を有する光の吸収率が高いため、セラミック積層体100において、内部電極パターン121、122が配置されていない領域は、内部電極パターン121、122が配置された領域よりもセラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbに照射された光の反射率が高いことがあり、特に、カバー領域112、113の平均厚さt1が40μm以下であるセラミック積層体100では、内部電極パターン121、122が配置されていない領域と内部電極パターン121、122が配置された領域との間の反射率の差が高いため、イメージ500上でより明確に区別することができる。
【0062】
セラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbで反射された光は、イメージセンサ400のレンズ410によって集束されることができ、上記集束された光はレンズ410上に配置されたCCD420に入力されることができる。上記入力された光はCCD420によって電気的信号に変換されることができ、イメージ処理部430はCCD420から伝達された電気的信号を受信し、上記受信された電気的信号をイメージに変換することにより、セラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbのイメージを取得することができる。
【0063】
このとき、イメージ500の各領域は、セラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbで反射された光の光量に応じて明度が異なることがあり、反射率が高い領域では明度が高く、反射率が低い領域では明度が低いことができる。
【0064】
次に、セラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbのイメージ500を介して切断領域を設定することができる。イメージ500を介して切断領域を設定する段階は、イメージ500を複数の第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が第1方向に重なる第1領域510、並びに複数の第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が第1方向に重ならない第2領域520に区分する段階と、第2領域520に対応するセラミック積層体100の領域のうち少なくとも一部を上記切断領域に設定する段階と、を含むことができる。第1領域510及び第2領域520は、イメージ500における明度の差によって区分することができ、第1領域510の明度は、第2領域520の明度よりも低いことができる。
【0065】
第1領域510は、第1方向を基準に、第1内部電極パターン121と第2内部電極パターン122が重なっているため、第2領域520に比べてセラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbに照射された光の反射率が低いことができる。すなわち、第1領域510は、照射された光の吸収率が高い内部電極パターン121、122の個数が第2領域520より多いため、イメージ500における明度が第2領域520に比べて低くなることができる。同じ観点から、第2領域520は、内部電極パターン121、122の個数が第1領域510より少ないため、イメージ500における明度が第1領域510に比べて高くなることができる。このとき、イメージ500における第2領域520に対応するセラミック積層体100の領域を上記切断領域として設定することができる。
【0066】
また、イメージ500を介して切断領域を設定する段階は、第2領域520を第1方向を基準に第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122のうちいずれか一つのみが配置された第2a領域520aと、第1方向を基準に第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が存在しない第2b領域520bとに区分する段階、並びに第2a領域520a及び第2b領域520bを上記切断領域に設定する段階をさらに含むことができる。
【0067】
第2a領域520aの明度は、第2b領域520bの明度よりも低いことができる。すなわち、第2b領域520bは、照射された光の吸収率が高い内部電極パターン121、122が存在しない領域であり、照明部440から照射された光の反射率が最も高い領域であることができる。
【0068】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法の場合、セラミック積層体100の一面及び他面Sa、Sbのイメージ500を介して圧着によるセラミック積層体100の変形の度合いを検査することができ、変形の度合いを考慮して上記レーザを上記切断領域に照射することができ、上記レーザを曲線及び/又は不規則な経路に沿って移動させることができる。
【0069】
図10図2の変形例であり、図11図10のセラミック積層体100'の一面のイメージ500'を概略的に示す図であり、図12は、切断された個別の積層チップ110'を概略的に示す斜視図である。
【0070】
図10図12を参照すると、一実施形態において、複数の内部電極パターン121'、122'のそれぞれは、第2方向に互いに離隔して配置され、第3方向に延長するように配置されることができる。
【0071】
すなわち、セラミック積層体100'は、セラミックグリーンシート111上に所定の間隔をおいて配置された複数の第1内部電極パターン121'及びセラミックグリーンシート111上に所定の間隔をおいて配置された複数の第2内部電極パターン122'を含むことができる。
【0072】
このとき、複数の第1内部電極パターン121'のそれぞれは、第2方向を基準に互いに平行に配置されてもよく、複数の第2内部電極パターン122'のそれぞれは、第2方向を基準に互いに平行に配置されてもよい。すなわち、複数の第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'は、ストライプ(stripe)状に配置されてもよい。
【0073】
このとき、イメージ500'を介して切断領域を設定する段階は、イメージ500'を第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が第1方向に重なる第1領域510'、並びに第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が重ならない第2領域520'に区分する段階と、第2領域520'に対応するセラミック積層体100'の領域のうち少なくとも一部を上記切断領域に設定する段階と、を含むことができる。第1領域510'及び第2領域520'はイメージ500'における明度の差によって区分することができ、上述したように、第1領域510'の明度は第2領域520'の明度よりも低いことができる。
【0074】
内部電極パターン121'、122'がストライプ状である場合、イメージ500'における第2領域520'に対応するセラミック積層体100'の切断領域にレーザを照射してC2-C2切断線に沿ってセラミック積層体100'を切断することができる。また、予め設定されたC1-C1切断線に沿ってレーザを照射してセラミック積層体100を切断することにより、部品単位の複数の積層チップ110'を形成することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、C1-C1切断線に沿ってセラミック積層体100'を切断した後、C2-C2切断線に沿ってレーザを照射して複数の積層チップ110'を形成することもできる。このとき、切断された第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'は、積層チップ110'の第3方向に対向する両側面に露出することができる。
【0075】
内部電極パターン121'、122'はストライプ状であるため、上記C1-C1切断線の設定方法は特に制限されず、例えば、積層チップ110'の上記第3方向の長さを考慮して第3方向に等間隔である複数のC1-C1切断線を設定することができる。
【0076】
図13は、図8の変形例である。図13を参照すると、一実施形態において、カバー領域112''、113''の平均厚さt2は、40μm超過300μm以下であってもよい。セラミック積層体100''のカバー領域112''、113''の厚さが40μm超過である場合、第1方向を基準に内部電極パターン121、122が配置されていない領域と、内部電極パターン121、122が配置された領域との間の反射率の差が減少し、イメージ500上で区別することが困難になる可能性がある。
【0077】
したがって、セラミック積層体100''を形成する段階は、セラミック積層体100''を圧着してセラミック積層体100''の少なくとも一部の領域を第1方向に陥没させる段階を含むことができる。
【0078】
積層された内部電極パターン121、122及びセラミックグリーンシート111の個数が多い大型の積層型電子部品の場合、第1方向を基準に内部電極パターン121、122が配置された領域と、内部電極パターン121、122が配置されていない領域との間の厚さの差が発生するため、セラミック積層体100''を圧着することにより、内部電極パターン121、122が配置されていない領域を陥没させることができる。また、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が第1方向に重ならない領域は、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が重なる領域よりも厚さが薄いため、圧着時に陥没することができる。
【0079】
その後、上述したように、セラミック積層体100''の一面及び他面のイメージを取得する段階は、照明部440を介してセラミック積層体100''の一面及び他面に光を照射する段階を含むことができ、上記陥没した領域では、上記照射された光が散乱することができる。また、上記散乱した光は、イメージセンサ400によってセラミック積層体100''の一面及び他面のイメージに変換されることができる。
【0080】
このとき、イメージセンサ400は暗視野センサを含むことができる。暗視野センサを介して上記散乱した光のみでイメージ500を取得し、より明確なイメージ500を取得することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0081】
上述のように、セラミック積層体100''の一面及び他面のイメージ500を介して切断領域を設定することができ、上記切断領域は、圧着によって形成されたセラミック積層体100''の陥没した領域を意味することができる。すなわち、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が第1方向に重なる領域は、厚さが最も厚くて圧着時に陥没せず、照明部440によって照射された光が散乱しないことができる。これに対し、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が第1方向を基準に存在しない領域は、厚さが最も薄くて陥没し、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が第1方向を基準に存在しない領域の陥没深さは、第1方向を基準に第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122のうちいずれか一つのみが配置された領域より深いため、各領域は散乱率の差によってイメージ500で区分することができる。
【0082】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、積層チップ110を焼成して後述する内部電極221、222及び誘電体層211を含むセラミック本体210を形成する段階を含む。内部電極221、222は、内部電極パターン121、122を焼成することで形成されたものであってもよく、誘電体層211は、セラミックグリーンシート111を焼成することで形成されたものであってもよい。
【0083】
また、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、セラミック本体210の第1側1及び第2側2に外部電極231、232を形成する段階を含む。
【0084】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、セラミック本体210の表面を研磨する段階をさらに含むことができる。上記研磨する段階は、積層チップ110を焼成した後、外部電極231、232を形成する前に行われることができる。
【0085】
上記研磨する段階を通じてセラミック本体210の表面を研磨することにより、複数のセラミック本体210が製造過程で互いに衝突して割れるチッピング不良を防止することができる。セラミック本体210の表面を研磨する方法は、特に制限されないが、例えば、乾式研磨及び/又は湿式研磨工程によって行われることができる。
【0086】
以下では、本発明の一実施形態による積層型電子部品の各構成についてより詳細に説明する。
【0087】
積層型電子部品
図14は、本発明の一実施形態による積層型電子部品を概略的に示す斜視図であり、図15は、図14のI-I'線に沿った断面図であり、図16は、図14のII-II'線に沿った断面図である。
【0088】
図14図16を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品200Aは、誘電体層211及び内部電極221、222を含むセラミック本体210及び内部電極221、222と連結される外部電極231、232を含む。
【0089】
セラミック本体210は、第2方向に対向する第1側及び第2側1、2、上記第1側及び第2側と連結され、第3方向に対向する第3側及び第4側3、4を含むことができる。第1側~第4側1、2、3、4は、セラミック本体210の第1方向に対向する上面及び下面と連結されることができる。
【0090】
セラミック本体210には、誘電体層211及び内部電極221、222が交互に積層されていてもよい。セラミック本体210を形成する複数の誘電体層211は焼成された状態であって、隣接する誘電体層211間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0091】
誘電体層211の平均厚さは特に限定する必要はない。例えば、積層型電子部品200Aの小型化及び高容量化を達成するために、誘電体層211の平均厚さは0.4μm以下であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0092】
ここで、誘電体層211の平均厚さは、内部電極221、222の間に配置される誘電体層211の平均厚さを意味することができる。誘電体層211の平均厚さは、セラミック本体210の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層211の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層211に拡張して平均値を測定すると、誘電体層211の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0093】
内部電極221、222は誘電体層211と交互に配置されることができ、例えば、互いに異なる極性を有する一対の電極である第1内部電極221と第2内部電極222とが誘電体層211を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。すなわち、複数の第1内部電極221及び複数の第2内部電極222は、その間に配置された誘電体層211によって互いに電気的に分離することができる。
【0094】
複数の第1内部電極221はセラミック本体210の第1側1に延長することができ、複数の第2内部電極222はセラミック本体210の第2側2に延長することができる。より具体的に、複数の第1内部電極221はセラミック本体210の第1側1と連結されることができ、複数の第2内部電極222はセラミック本体210の第2側2と連結されることができる。また、複数の第1内部電極221及び第2内部電極221、222は、セラミック本体210の第3側3及び第4側4と離隔するように配置されることができる。
【0095】
内部電極221、222に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上であってもよいが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0096】
内部電極221、222の平均厚さは特に限定する必要はない。例えば、積層型電子部品200Aの小型化及び高容量化を達成するために、内部電極221、222の平均厚さは0.4μm以下であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
ここで、内部電極221、222の平均厚さは、セラミック本体210の第1方向及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極221、222の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、後述する容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極221、222に拡張して平均値を測定すると、内部電極221、222の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0098】
本発明の一実施形態によると、レーザを介したセラミック積層体100の変形を考慮して切断経路を設定することができるため、第2内部電極222の一端からセラミック本体210の第1側1までの離隔距離r1と、第1内部電極221の一端からセラミック本体210の第2側2までの離隔距離r2との間のばらつきを一定に制御することができる。
【0099】
セラミック本体210は、セラミック本体の内部に配置され、誘電体層211を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の第1内部電極221及び複数の第2内部電極222を含んで容量が形成される容量形成部Acと容量形成部Acの第1方向に対向する両面にそれぞれ配置される第1カバー部212及び第2カバー部213を含むことができる。カバー部212、213は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。カバー部212、213は、内部電極を含まないことを除いては、誘電体層211と同じ構成を有することができる。
【0100】
カバー部212、213の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品200Aの小型化及び高容量化のために、カバー部212、213の平均厚さは20μm以下であってもよい。ここで、カバー部212、213の平均厚さは、第1カバー部212及び第2カバー部213のそれぞれの平均厚さを意味する。カバー部212、213の平均厚さは、カバー部212、213の第1方向の長さを意味し、セラミック本体210の第1方向及び第2方向の断面において、等間隔である5個の地点で測定した第1方向の長さを平均した値であることができる。
【0101】
セラミック本体210は、第3方向を基準に容量形成部Acの側面に配置されるマージン部をさらに含むことができる。マージン部は、セラミック本体210の第3側及び第4側に配置されることができ、マージン部は、セラミック本体210を第1方向及び第3方向に切断した断面において、内部電極221、222の両端とセラミック本体210の境界面との間の領域を意味することができる。マージン部は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極221、222の損傷を防止する役割を果たすことができる。マージン部は、セラミックグリーンシート111上にマージン部が形成される箇所を除いて導電性ペーストを塗布して内部電極パターン121、122を形成することにより形成されたものであってもよい。
【0102】
外部電極231、232は、セラミック本体210の第1側及び第2側1、2に配置されて第3側及び第4側3、4のそれぞれの一部まで延長することができる。また、外部電極231、232は、セラミック本体210の第1方向に対向する上面及び下面に延長することもできる。外部電極231、232は、複数の第1内部電極221及び複数の第2内部電極222とそれぞれ連結された第1外部電極231及び第2外部電極232を含むことができる。
【0103】
外部電極231、232は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに多層構造を有してもよい。例えば、外部電極231、232は導電性金属を含むことができ、外部電極231、232に含まれる導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)及び/又はこれらを含む合金などを含むことができる。
【0104】
外部電極231、232は、セラミック本体210の第1側及び第2側1、2に配置されて第1内部電極221及び第2内部電極222とそれぞれ連結される第1電極層231a、232a及び第1電極層231a、232a上に配置される第2電極層231b、232bを含むことができる。
【0105】
第1電極層231a、232aは、セラミック本体210の第1側1及び第2側2を導電性金属及びガラスを含む外部電極用導電性ペーストにディッピング(dipping)した後、焼成することにより形成することができる。あるいは、導電性金属及びガラスを含むシートを転写する方式で形成することもできる。これにより、第1電極層231a、232aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であることができる。
【0106】
また、第1電極層231a、232aは、例えば、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。第1電極層231a、232aは、導電性金属及び樹脂を含むペーストを塗布及び硬化する方法で形成されることができる。
【0107】
第1電極層231a、232aに含まれる導電性金属は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)及び/又はこれらを含む合金などを含むことができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
第2電極層231b、232bは実装特性を向上させることができる。第2電極層231b、232bの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)及び/又はこれらを含む合金などを含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。第2電極層231b、232bは、例えば、ニッケル(Ni)めっき層又は錫(Sn)めっき層であってもよく、ニッケル(Ni)めっき層及び錫(Sn)めっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、第2電極層231b、232bは、複数のニッケル(Ni)めっき層及び/又は複数の錫(Sn)めっき層を含むこともできる。
【0109】
図面では、積層型電子部品200Aが2つの外部電極231、232を有する構造を説明しているが、これに限定されるものではなく、外部電極231、232の個数や形状などは内部電極221、222の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0110】
本発明の一実施形態による積層型電子部品200Aのセラミック本体210は、第1側1に形成され、第1方向に対して傾いた複数の傾斜面S1、S3と、第2側2に形成され、第1方向に対して傾いた複数の傾斜面S2、S4とを含むことができる。より具体的に、セラミック本体210は、第1側及び第2側1、2にそれぞれ形成され、セラミック本体210の上面と連結される第1傾斜面S1及び第2傾斜面S2と、第1側及び第2側1、2にそれぞれ形成され、セラミック本体210の下面と連結される第3傾斜面S3及び第4傾斜面S4とを含むことができる。
【0111】
上述したように、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、セラミック積層体のレーザを照射する段階を含むことができる。このとき、上記レーザは焦点において加工線幅が最も小さく、焦点から離れるほど加工線幅が増加することができる。したがって、上記レーザによる切断面は第1方向に対して傾くことができる。
【0112】
また、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、セラミック積層体の一面及び他面にレーザをそれぞれ照射する段階を含むため、セラミック本体210は第1側1に形成された複数の傾斜面S1、S3と、第2側2に形成された複数の傾斜面S2、S4とを含むことができる。
【0113】
上述したように、セラミック積層体の一面にのみレーザを照射する場合、加工線幅の増加によってセラミック本体の第1方向及び第2方向の断面は、全体的に台形形状を有することができる。但し、セラミック本体の第1方向及び第2方向の断面が台形形状である場合、外部電極がセラミック本体の表面に均一に形成されず、これにより積層型電子部品の信頼性が低下する可能性がある。
【0114】
これに対し、本発明の一実施形態による積層型電子部品200Aは、セラミック本体210が第1側及び第2側1、2に形成された複数の傾斜面S1、S2、S3、S4を含むことにより、セラミック本体210の第1方向及び第2方向の断面が全体的に六角形形状を有することができ、これにより、外部電極231、232がセラミック本体210の第1側及び第2側1、2の上下部に均一に形成されることができる。
【0115】
このような複数の傾斜面S1、S2、S3、S4を含むセラミック本体210の構造的な特徴により、セラミック本体210は、第2方向の長さが第1方向に沿って上部及び下部から中央部に向かうほど増加することができる。
【0116】
セラミック本体210の複数の傾斜面S1、S2、S3、S4は実質的に平面であってもよい。ここで「実質的に平面」とは、傾斜面S1、S2、S3、S4の大部分の領域は平面であるが、やや平面ではない領域を有していてもよいことを意味し、やや凹凸形状を含むか、又は一部傾いている領域を含むことを意味することができる。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、後述するように、複数の傾斜面は曲面であってもよい。
【0117】
セラミック本体210に含まれる上記複数の傾斜面は、セラミック積層体の一面及び他面にレーザをそれぞれ照射する製造方法によって形成されることができるため、セラミック本体210は、第3側及び第4側3、4にそれぞれ形成され、第1方向に対して傾いた複数の傾斜面をさらに含むこともできる。
【0118】
図15では、セラミック本体210が第1側及び第2側1、2にそれぞれ形成された2つの傾斜面を含むものとして示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、レーザ装置300の変数を調節することにより、セラミック本体210は、第1側及び第2側1、2にそれぞれ形成された3つ以上の傾斜面を含むこともできる。
【0119】
第1~第4傾斜面S1、S2、S3、S4と第1方向がなす角度は特に限定する必要はない。例えば、セラミック本体210の第1側1に形成された第1傾斜面S1及び第3傾斜面S3と第1方向がなす角度θ1、θ3はそれぞれ3°以下であり、セラミック本体210の第2側に形成された第2傾斜面S2及び第4傾斜面S4と第1方向がなす角度θ2、θ4はそれぞれ3°以下であってもよい。上記傾斜面と第1方向がなす角度θ1、θ2、θ3、θ4を3°以下に調節することにより、セラミック本体210の全体的な形状を制御することができる。
【0120】
傾斜面と第1方向がなす角度θ1、θ2、θ3、θ4は、レーザ装置300の変数を調節することにより制御することができ、0°を超えることができる。上記傾斜面と第1方向がなす角度θ1、θ2、θ3、θ4は、それぞれ互いに同一であってもよく、互いに異なってもよい。なお、後述するように、複数の傾斜面S1、S2、S3、S4が曲面である場合、傾斜面S1、S2、S3、S4内の任意の領域と第1方向がなす角度の最大値が3°以下であってもよい。
【0121】
一実施形態において、セラミック本体210の第1側及び第2側1、2に形成された複数の傾斜面S1、S2、S3、S4は凹凸を含むことができる。上記凹凸は、レーザ装置300から照射されたレーザによって形成されることができ、これにより、セラミック本体210と外部電極231、232間の接触面積及び固着強度を向上させることができる。
【0122】
図17図26は、図15の変形例である。
【0123】
本発明の一実施形態による積層型電子部品200B、200Cは、セラミック本体210の第1側及び第2側1、2に形成された傾斜面が曲面であってもよい。すなわち、図17のように、積層型電子部品200Bのセラミック本体210は、第1側及び第2側1、2に形成された複数の傾斜面S1、S2、S3、S4を含み、上記傾斜面は、第2方向に対して凸状の曲面であってもよい。
【0124】
但し、図18の変形例のように、積層型電子部品200Cのセラミック本体210は、第1側及び第2側1、2に形成された複数の傾斜面S1、S2、S3、S4を含み、上記傾斜面は、第2方向に対して凹状の曲面であってもよい。第1側1の複数の傾斜面S1、S2は、互いに連結される領域のうち少なくとも一部が不連続領域であり、第2側2の複数の傾斜面S3、S4は、互いに連結される領域のうち少なくとも一部が不連続領域であることができる。ここで、傾斜面S1、S2、S3、S4が連結される領域は、上述した工程、すなわち、セラミック積層体100の一面と他面に対するレーザ切断工程を適用することにより得られる構造であり、切断される方式に応じて連結される領域は、点、線、面、又はこれらの組み合わせの形であることができる。さらに、上述の不連続領域は、本体210の一断面において連結領域を基準に両方向の傾き線が互いに連続していない形態と定義することができる。
【0125】
セラミック本体210の第1側及び第2側1、2にそれぞれ形成された複数の傾斜面S1、S2、S3、S4が曲面である場合、セラミック本体210と外部電極231、232間の接触面積が向上することができる。これにより、セラミック本体210と外部電極231、232間の固着強度を向上させることができる。
【0126】
複数の傾斜面S1、S2、S3、S4は、上記セラミック積層体に照射されるレーザの電力密度を次第に減少させることによって、第2方向に対して凸状の曲面として形成されることができる。また、複数の傾斜面S1、S2、S3、S4は、上記セラミック積層体に照射されるレーザの電力密度を次第に増加させることによって、第2方向に対して凹状の曲面として形成されることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。このとき、傾斜面S1、S2、S3、S4の曲率はそれぞれ互いに同一であってもよく、互いに異なってもよい。
【0127】
図19図21を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品200D、200E、200Fは、セラミック本体210の第1側1の複数の傾斜面S1、S3が連結される第1連結領域A1及びセラミック本体210の第2側2の複数の傾斜面S2、S4が連結される第2連結領域A2は、第1方向を基準に互いに異なるレベルに位置することができる。
【0128】
一般的に、誘電体層211を形成するセラミックグリーンシート111は、内部電極221、222を形成する内部電極パターン121、122に比べて上記レーザによる加工率が高い可能性がある。これにより、セラミック積層体100の一面及び他面にそれぞれ照射されたレーザは、第1方向を基準に内部電極パターン121、122が配置された地点まで進行する傾向があり得る。これにより、セラミック本体210の第1側1の複数の傾斜面S1、S3が連結される第1連結領域A1及びセラミック本体210の第2側2の複数の傾斜面S2、S4が連結される第2連結領域A2は、第1方向を基準に互いに異なるレベルに位置することができる。第1連結領域A1は、第1方向を基準に第1内部電極221と実質的に同じレベルに位置してもよく、第2連結領域A2は、第1方向を基準に第2内部電極222と実質的に同じレベルに位置してもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0129】
第1連結領域A1及び第2連結領域A2は不連続領域であってもよい。そして、図示の形態にように、第1連結領域A1及び第2連結領域A2のうち少なくとも一つは、本体210の上記第1方向の中心から上記第1方向に偏った位置に配置されてもよく、図19等では、第1連結領域A1及び第2連結領域A2がいずれも本体210の第1方向の中心から偏って位置した例を示す。この場合、第1連結領域A1及び第2連結領域A2は、本体210の上記第1方向の中心から互いに反対方向に偏った位置に配置されることができる。また、第1連結領域A1及び第2連結領域A2間の上記第1方向の長さは、誘電体層211の平均厚さ、例えば0.4μm以上であってもよい。
【0130】
図22図24を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品200G、200H、200Iのセラミック本体210は、第1側1に形成された複数の傾斜面S1、S3を連結する第1連結面S5と、第2側2に形成された複数の傾斜面S2、S4を連結する第2連結面S6とをさらに含むことができる。連結面S5、S6は、複数の傾斜面S1、S2、S3、S4とは異なり、第1方向に対して傾いていなくてもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0131】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法の場合、セラミック積層体100がレーザにより完全に切断されてもよいが、本発明はこれに限定されるものではなく、セラミック積層体100の一面及び他面に照射されたレーザによってセラミック積層体100の一部を切断してスクライビング(scribing)ラインを形成した後、第1方向に物理的な力を加えてセラミック積層体100を切断することもできる。すなわち、セラミック本体210の第1側及び第2側1、2にそれぞれ形成された複数の傾斜面S1、S2、S3、S4はレーザによって形成され、第1側及び第2側1、2にそれぞれ形成された連結面S5、S6は、物理的な力によってセラミック積層体100を切断することにより形成されることができる。
【0132】
図25を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品200Jは、第1内部電極221がセラミック本体210の第1側1に突出し、第2内部電極222がセラミック本体210の第2側2に突出することができる。これにより、内部電極221、222と外部電極231、232間の接触面積を向上させることができる。
【0133】
内部電極221、222は、例えば、セラミック積層体100に照射されるレーザの波長を調節することにより、セラミック本体210の第1側及び第2側1、2に突出させることができる。より具体的に、セラミック成分の吸収率が金属成分の吸収率よりも高い範囲内の波長を有するレーザをセラミック積層体100に照射することにより、誘電体層211を内部電極221、222に比べてさらに除去し、これにより、内部電極221、222をセラミック本体210の第1側及び第2側1、2に突出させることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0134】
図26を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品200Kは、第1内部電極221がセラミック本体210の第1側1と離隔するように配置され、第2内部電極222がセラミック本体210の第2側2と離隔するように配置されることができる。
【0135】
上述したように、金属成分の吸収率がセラミック成分の吸収率よりも高い範囲内の波長を有するレーザをセラミック積層体100に照射することにより、内部電極221、222を誘電体層211に比べてさらに除去し、これにより、内部電極221、222をセラミック本体210の第1側及び第2側1、2と離隔するように配置させることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0136】
図27図14の変形例であり、図28図27のIII-III'線に沿った断面図である。
【0137】
図27及び図28を参照すると、本発明の一実施形態による積層型電子部品200Lは、第1内部電極221がセラミック本体210の第1側、第3側及び第4側1、3、4と連結されるように配置され、第2内部電極222がセラミック本体210の第2側、第3側及び第4側2、3、4と連結されるように配置され、セラミック本体210の第3側及び第4側3、4にはサイドマージン部M1、M2が配置されることができる。より具体的に、サイドマージン部M1、M2は、セラミック本体210の第3側3に配置される第1サイドマージン部M1及びセラミック本体210の第4側4に配置される第2サイドマージン部M2を含むことができる。
【0138】
すなわち、内部電極221、222は、セラミック本体210の第3側及び第4側3、4においてサイドマージン部M1、M2と連結されることができ、サイドマージン部M1、M2は、内部電極221、222による段差を抑制するために、積層後の内部電極221、222がセラミック本体210の第3側及び第4側3、4と連結されるように切断した後、セラミック本体210の第3側及び第4側3、4に誘電体層211を積層して形成することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0139】
本発明の一実施形態による積層型電子部品200Lの内部電極221、222は、上述したストライプ状の内部電極パターン121'、122'を焼成することにより形成されたものであってもよく、積層型電子部品200Lのセラミック本体210は、上述した図12の積層チップ110'を焼成することにより形成されたものであってもよい。
【0140】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0141】
また、「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態で説明した事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に係る説明と理解することができる。
【符号の説明】
【0142】
100、100'、100'':セラミック積層体
110、110':積層チップ
111:セラミックグリーンシート
121、121'、122、122':内部電極パターン
112、112''、113、113'':カバー領域
200A、200B、200C、200D、200E、200F、200G、200H、200I、200J、200K、200L:積層型電子部品
210:セラミック本体
S1、S2、S3、S4:傾斜面
S5、S6:連結面
211:誘電体層
212、213:カバー部
221、222:内部電極
231、232:外部電極
231a、232a:第1電極層
231b、232b:第2電極層
300:レーザ装置
310:レーザ発生部
320:スキャナ
330:集束レンズ
340:ビームスプリッタ
350:反射ミラー
400:イメージセンサ
410:レンズ
420:CCD
430:イメージ処理部
440:照明部
500、500':イメージ
510、510':第1領域
520、520':第2領域
520a:第2a領域
520b:第2b領域
M1、M2:サイドマージン部
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28