(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098682
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】圧電デバイス
(51)【国際特許分類】
H03H 9/02 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
H03H9/02 K
H03H9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206652
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2021214107
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135828
【弁理士】
【氏名又は名称】飯島 康弘
(72)【発明者】
【氏名】太田 正明
(72)【発明者】
【氏名】阿部 信孝
(72)【発明者】
【氏名】楠木 孝男
(72)【発明者】
【氏名】植田 貴博
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正彦
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA03
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108EE03
5J108EE07
5J108EE18
5J108GG03
5J108GG15
5J108GG16
5J108GG17
(57)【要約】
【課題】計測温度を圧電体の温度に近づけることが容易化される圧電デバイスを提供する。
【解決手段】水晶振動子1は、水晶素子5と、実装基体11と、感温素子13と、を有している。実装基体11は、凹部R1を有している。凹部R1の底面には水晶素子5が実装されている。感温素子13は、凹部R1を気密封止している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子と、
凹部を有しており、前記凹部の底面に前記圧電素子が実装されている実装基体と、
前記凹部を気密封止している感温素子と、
を有している圧電デバイス。
【請求項2】
前記感温素子は、前記凹部の底面に沿う方向において前記実装基体と互いに当接していない
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記感温素子は、前記凹部の上端に嵌っている部分を有している
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記感温素子は、前記実装基体の上端を外周側から囲んでいる部分を有している
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記感温素子は、
素子本体と、
前記素子本体の外部に露出している2つの素子端子と、を有しており、
前記実装基体は、
前記凹部の底面を有している基板部と、
前記凹部の内周面を有している枠部と、
前記枠部の上端に位置しており、前記2つの素子端子に接合されている2つの接続電極と、を有しており、
前記素子本体と前記枠部の上端とは、前記枠部の上端に沿って環状に延びる封止領域において互いに接合されており、
前記2つの接続電極の少なくとも1つは、前記封止領域よりも内周側に位置している
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
前記感温素子は、
素子本体と、
前記素子本体の外部に露出している2つの素子端子と、を有しており、
前記実装基体は、
前記凹部の底面を有している基板部と、
前記凹部の内周面を有している枠部と、
前記枠部の上端に位置しており、前記2つの素子端子に接合されている2つの接続電極と、を有しており、
前記素子本体と前記枠部の上端とは、前記枠部の上端に沿って環状に延びる封止領域において互いに接合されており、
前記2つの接続電極の少なくとも1つは、前記封止領域よりも外周側に位置している
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項7】
前記感温素子は、
素子本体と、
前記素子本体の外部に露出している2つの素子端子と、を有しており、
前記実装基体は、
前記凹部の底面を有している基板部と、
前記凹部の内周面を有している枠部と、
前記枠部の上端に位置しており、前記2つの素子端子に接合されている2つの接続電極と、
前記枠部の上端に位置しており、前記枠部の上端に沿って延びて環状を呈しており、前記素子本体と接合される封止用の金属層と、を有しており、
前記2つの接続電極のうち1つは、前記枠部の上端において前記金属層とつながっている
請求項1に記載の圧電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子及び水晶発振器等の圧電デバイスが知られている(例えば下記特許文献参照)。このような圧電デバイスは、圧電素子と、圧電素子を保持しているパッケージとを有している。圧電素子は、圧電体(例えば水晶ブランク)と、圧電体に重なる2つの励振電極と、2つの励振電極から引き出されている2つの引出電極とを有している。2つの引出電極は、例えば、パッケージが有しているパッドと導電性の接合材によって接合されることによって、パッケージに対する圧電素子の実装に寄与する。
【0003】
上記のような圧電デバイスとして、サーミスタ等の感温素子を有しているものが知られている。感温素子が検出した温度は、例えば、温度変化に起因する圧電素子の特性変化を補償することに利用される。
【0004】
感温素子は、パッケージに実装されている。例えば、特許文献1では、パッケージは、第1凹部と、当該第1凹部とは反対側に開口する第2凹部とを有している。圧電素子は、第1凹部に収容されて、第1凹部の底面に実装される。また、第1凹部は、蓋体によって塞がれて気密封止される。感温素子は、チップ型の部品であり、第2凹部に収容されて、第2凹部の底面に実装される。具体的には、感温素子の2つの端子と、第2凹部の底面に位置している2つのパッドとが導電性の接合材によって接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、計測温度を圧電体の温度に近づけることが容易化される圧電デバイスが提供されることが待たれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る圧電デバイスは、圧電素子と、凹部を有しており、前記凹部の底面に前記圧電素子が実装されている実装基体と、前記凹部を気密封止している感温素子と、を有している。
【発明の効果】
【0008】
上記の構成によれば、例えば、計測温度を圧電体の温度に近づけることが容易化される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る水晶振動子を示す分解斜視図。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は感温素子の素子端子に係る変形例を示す平面図。
【
図5】感温素子の素子端子に係る他の変形例を示す平面図。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は感温素子の形状に係る変形例を示す断面図。
【
図7】
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)は感温素子と実装基体との固定に係る変形例を示す断面図。
【
図8】パッケージにおける配線の具体例を示す斜視図。
【
図9】パッケージにおける配線の他の具体例を示す斜視図。
【
図10】パッケージにおける配線の更に他の具体例を示す平面図。
【
図11】実施形態に係る水晶振動子の利用例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。従って、例えば、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。図面同士において同一の部材の寸法比率も一致しない。また、細部の図示が省略されることがあり、一部の形状が誇張されて図示されることがある。ただし、上記は、実際の寸法比率が図面のとおりとされてもよいこと、及び図面から形状及び寸法比率等の特徴が抽出されてよいことを否定するものではない。
【0011】
図面には、便宜上、直交座標系D1-D2-D3を付すことがある。実施形態に係る圧電デバイスは、いずれの方向が上下方向又は水平方向とされてもよい。ただし、便宜上、+D3側を上方とした表現をすることがある。また、平面視又は平面透視は、特に断りが無い限り、D3方向に平行に見ることを指す。
【0012】
相対的に後に説明される態様(実施形態及び変形例)の説明においては、基本的に、先に説明された態様との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項は、先に説明された態様と同様とされたり、類推されたりしてよい。先に説明された態様の説明は、矛盾等が生じない限り、後に説明される態様に援用されてよい。複数の態様において、互いに対応する部材については、便宜上、相違点があっても同一の符号を付すことがある。
【0013】
平面形状の縁部を指す用語としての「辺」は、一般に、多角形の縁部(換言すれば直線)を指すが、実施形態の説明では、便宜上、多角形でなくてもよい形状の縁部(例えば曲線状であってもよい縁部)に用いられることがある。同様に、「長辺」及び「短辺」は、一般に、長方形の辺を指すが、実施形態の説明では、便宜上、長方形でなくてもよい形状(ただし、4つの縁部を概念できる形状)の縁部若しくは縁部に類する部位に用いられることがある。「平行」は、通常、直線同士の距離が一定である関係を指すが、実施形態の説明では、便宜上、直線でなくてよい線(例えば曲線)同士の距離が一定である関係に用いられることがある。矩形又は矩形状というとき、特に断りが無い限り、角部が面取りされているなど、厳密に正方形又は狭義の長方形でなくてもよいものとする。矩形以外の多角形についても同様である。
【0014】
(水晶振動子の概要)
図1は、実施形態に係る水晶振動子1(以下、「水晶」の語を省略することがある。)の構成を示す分解斜視図である。
図2は、
図1とは反対側から水晶振動子1を見た分解斜視図である。
図3は、
図1のIII-III線における断面図である。
【0015】
振動子1は、例えば、表面実装されるチップ型の電子部品である。具体的には、振動子1の形状は、全体として、概略、薄型(D3方向の寸法がD1方向の寸法及びD2方向の寸法よりも小さい形状)の直方体状とされている。そして、直方体の下面には、4隅に層状の4つの端子3が設けられている。4つの端子3と、不図示の回路基板53(後述する
図12参照)の不図示のパッドとが導電性の接合材(例えばはんだ)によって接合されることによって、振動子1は、回路基板53に固定されるとともに電気的に接続される(すなわち、実装される。)。
【0016】
振動子1は、水晶素子5と、水晶素子5を保持するパッケージ9(符号は
図3)とを有している。水晶素子5は、例えば、4つの端子3のうち2つを介して交流電圧が印加されることによって振動する。この振動は、例えば、信号の強度(例えば電圧又は電流)が一定の周波数で振動する発振信号の生成に利用される。発振信号の周波数は任意である。
【0017】
パッケージ9は、振動子1の外郭を構成しており、上述した端子3を有している。また、パッケージ9は、例えば、凹部R1を有している実装基体11と、凹部R1を塞ぐ蓋体(13の符号が付されている構成要素を参照)とを有している。水晶素子5は、凹部R1に収容される。そして、凹部R1の上面開口が蓋体(13)によって塞がれることによって、気密封止空間が構成され、水晶素子5が封止される。気密封止空間は、真空状態とされている、又は、適宜なガス(例えば窒素)が封入されている。また、実装基体11は、その下面に上述の4つの端子3を有している。水晶素子5は、凹部R1の底面に実装される。これにより、水晶素子5は、2つの端子3と電気的に接続されている。
【0018】
蓋体は、チップ型の感温素子13によって構成されている。換言すれば、感温素子13は、パッケージ9に保持されるのではなく、パッケージ9の一部を構成している。感温素子13は、例えば、4つの端子3のうち他の2つを介して温度に応じた信号を出力する。この信号は、例えば、温度変化に対する水晶素子5の特性変化を補償することに利用される。
【0019】
ここで、パッケージ9は、その下面に位置する端子3によって回路基板53(
図11)に実装される。従って、回路基板53に実装されている他のデバイスの熱は、回路基板53を介してパッケージ9の下面側から伝わりやすい。その結果、例えば、図示の例とは異なり、振動子1が有している感温素子が、凹部R1の底面に実装されるもの、又は実装基体11の下面に実装されるものであると、計測温度が過剰に外部の熱の影響を受け、水晶素子5の温度から計測温度が乖離する可能性がある。しかし、本実施形態のように、感温素子13が凹部R1を塞ぐ蓋体であると、感温素子13が水晶素子5に対してパッケージ9の下面とは反対側に位置することによって、上記のような現象が生じる蓋然性を低減することが可能である。
【0020】
以上が実施形態に係る振動子1の概要である。以下では、概略、下記の順で振動子1について説明する。
1.水晶素子5
2.実装基体11(感温素子13との接合に係る部分を除く)
3.感温素子13
4.実装基体11と感温素子13との接合
5.変形例
6.実施形態及び変形例のまとめ
【0021】
(1.水晶素子)
水晶素子5は、例えば、水晶ブランク15(換言すれば圧電体)と、水晶ブランク15に重なっている2以上(図示の例では1対)の導体パターン17(図示の例では第1導体パターン17A及び第2導体パターン17Bの2つ)とを有している。1対の導体パターン17によって水晶ブランク15に電圧が印加されることによって水晶ブランク15が振動する。これにより、水晶素子5は、既述の機能を発揮する。水晶素子5の具体的な構成は、種々のものとされてよい。例えば、水晶素子5の構成は、公知の種々のものとされてよい。
【0022】
なお、水晶ブランク15は、エッチングによって作製される態様において、エッチングに対する水晶の異方性に起因して、側面等に傾斜面(別の観点では結晶面)を有していることがある。実施形態の説明では、そのような傾斜面の存在については基本的に無視する。寸法等の説明において、厳密性が要求される場合においては、その説明は、合理性を欠いたり、矛盾が生じたりしない限り、傾斜面を無視して運用されてもよいし、傾斜面を考慮して運用されてもよい。例えば、水晶ブランク15のD1方向の長さというとき、当該長さは、水晶ブランク15の上面又は下面の長さ(結晶面を除いた長さ)であってもよいし、平面透視における最大長さ(結晶面を考慮した長さ)であってもよい。
【0023】
図示の例では、水晶素子5は、いわゆるATカット型の水晶素子とされている。ATカット型の水晶素子5において、水晶ブランク15は、概略、板状の形状を有している。また、1対の導体パターン17は、板状の水晶ブランク15の両方の主面(板形状の最も広い面。板形状の表裏。)に重なる1対の励振電極19と、1対の励振電極19から引き出されている1対の引出電極21とを有している。
【0024】
1対の励振電極19は、水晶ブランク15に電圧を印加することに寄与する。ATカット型においては、水晶ブランク15に交流電圧が印加されることによって、いわゆる厚み滑り振動が生じる。1対の引出電極21は、水晶素子5の実装に寄与する。より詳細には、図示の例では、1対の引出電極21と後述する1対のパッド25とが1対の接合材29(
図3)によって接合されることによって、水晶素子5は、パッケージ9に対して電気的に接続されるとともに固定され、さらに、片持ち梁状に支持される。
【0025】
図示の例以外の水晶素子としては、例えば、以下のものを挙げることができる。屈曲振動を利用する音叉型の素子。輪郭すべり振動を利用するCTカット若しくはDTカットの素子。厚み滑り振動を利用する、ATカット以外のカット角(例えばBTカット)の素子。SAW(surface acoustic wave)を利用する素子。なお、このような素子も、例えば、圧電体(例えば水晶)と、圧電体を励振する2以上の励振電極と、2以上の励振電極から引き出されている2以上の引出電極と、を有している。SAWを利用する素子においては、圧電体の層は、他の材料からなる層と重なっていてもよい。
【0026】
なお、本実施形態の説明では、便宜上、特に断り無く、水晶素子5がATカット型のものであることを前提とした表現をすることがある。
【0027】
図示の例のように、板状の水晶ブランク15と、水晶ブランク15の両方の主面に重なる1対の励振電極19と、1対の励振電極19から引き出される1対の引出電極21とを有する水晶素子5(ATカット型とは限らない。)において、水晶ブランク15、励振電極19及び引出電極21のより具体的な構成(平面形状等)は適宜に設定されてよい。
【0028】
例えば、水晶ブランク15、励振電極19及び引出電極21の形状は、水晶素子5の両面のいずれが実装側(-D3側)とされてもよい構成とされていてもよいし、そのような構成とされていなくてもよい(図示の例)。例えば、水晶素子5は、D1方向(図示の例では水晶素子5の長手方向)に延びる不図示の中心線に対して概略180°回転対称の構成とされていてもよいし、そのような構成とされていなくてもよい(図示の例)。
【0029】
また、例えば、水晶ブランク15の平面形状は、矩形状(図示の例)、円形状、楕円形状又は矩形以外の多角形とされてよい。また、水晶ブランク15の平面形状は、多角形の任意の数の辺(例えば矩形状の1辺、2辺、3辺又は4辺)を外側に曲線状に膨らませた形状とされてもよい。また、水晶ブランク15の平面形状は、一部に突起又は切欠きを有する形状であってもよい。また、例えば、水晶ブランク15の平面形状は、D1方向を長手方向とする形状(D1方向の最大長さがD2方向の最大長さよりも長い形状)であってもよいし、そのような区別ができない形状であってもよい。
【0030】
また、例えば、水晶ブランク15の厚さは、一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。後者の例としては、特に図示しないが、以下のものを挙げることができる。1対の励振電極19と重なって励振される中央の領域(メサ部)が、その外周の領域よりも厚い、いわゆるメサ型。上記とは逆に、1対の励振電極19と重なって励振される中央の領域(逆メサ部)が外周の領域よりも薄い、いわゆる逆メサ型。1対の励振電極19と重なって励振される振動部と、当該振動部の縁部の一部(例えば1辺、2辺又は3辺)に隣接し、振動部よりも厚く、1対の引出電極21が位置する固定部と、を有するもの。外周部において外周縁に近づくほど薄くなるベベル型。
【0031】
また、例えば、励振電極19の平面形状は、水晶ブランク15の平面形状(又は上述したメサ部、逆メサ部若しくは振動部の平面形状。本段落において、以下、同様。)に対して、類似する形状であってもよいし(図示の例)、そのような形状でなくてもよい。前者としては、例えば、水晶ブランク15の平面形状-励振電極19の平面形状が、矩形状-矩形状、円形状-円形状、又は楕円形状‐楕円形状である態様を挙げることができる。後者としては、例えば、水晶ブランク15の平面形状-励振電極19の平面形状が、矩形状-円形状、矩形状-楕円形状、又は楕円形状-矩形状である態様を挙げることができる。励振電極19の平面形状が水晶ブランク15の平面形状に類似するか否かに関わらず、水晶ブランク15の平面形状についての既述の説明は、矛盾等が生じない限り、励振電極19の平面形状に援用されてよい。
【0032】
また、例えば、1対の引出電極21は、励振電極19から水晶ブランク15の一端側へ引き出されている。より詳細には、例えば、既に触れたように、特に符号を付さないが、各引出電極21は、励振電極19から延びる配線部と、配線部を介して励振電極19と接続されているパッド状の端子部とを有している。端子部は、パッド25に接合される部分である。
【0033】
厚み滑り振動を利用する水晶素子5においては、水晶ブランク15の厚さ(本段落においては、特に断りがない限り、励振電極19が重なっている部分における厚さ。)は、発振信号の周波数を決定する因子となっている。例えば、公知のように、ATカットの水晶素子においては、基本的には、f=1.67×n/tの関係が成り立つ。ここで、fは周波数(MHz)、nは利用される振動の次数、t(mm)は厚さである。水晶素子5は、基本波モードを利用するものであってもよいし、オーバートーンモードを利用するものであってもよい。既述のように、発振信号の周波数は任意であり、ひいては、水晶ブランク15の厚さも任意である。例えば、水晶ブランク15の厚さは、5μm以上、10μm以上、30μm以上又は50μm以上とされてよく、また、200μm以下、100μm以下、50μm以下又は30μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0034】
ATカット型の水晶ブランク15の最大厚さは、既述の説明から理解されるように、上記の周波数を規定する厚さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。いずれにせよ、水晶ブランク15の最大厚さは任意である。ATカット型又は他の型の水晶ブランク(若しくは水晶素子)の最大厚さは、例えば、30μm以上、50μm以上又は100μm以上とされてよく、また、300μm以下、200μm以下、100μm以下又は50μm以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0035】
導体パターン17の材料は、例えば、金属とされてよい。金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、金(Au)若しくは銀(Ag)又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金を挙げることができる。導体パターン17は、単一の材料からなる1層の導体層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の導体層が積層されて構成されていてもよい。導体パターン17は、例えば、その面積全体に亘って材料の構成が同じであってもよいし、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0036】
(2.実装基体(感温素子との接合に係る部分を除く))
パッケージ9は、既述のように、振動子1の外郭を構成しており、その外形は、振動子1の外形の説明で述べたように、概ね薄型の直方体状である。パッケージ9(振動子1)の寸法は任意である。振動子1が比較的小さいものである場合の例を挙げると、平面視における長手方向又は短手方向(D1方向又はD2方向)の長さは、0.6mm以上2.0mm以下である。厚さ(D3方向の長さ)は、0.2mm以上1.5mm以下である。
【0037】
パッケージ9は、既述のように、実装基体11と、感温素子13(蓋体)とを有している。実装基体11は、例えば、絶縁基体23と、絶縁基体23に位置している種々の導体とを有している。種々の導体は、例えば、既述の端子3、水晶素子5が実装される2つのパッド25(
図1及び
図3)、パッケージ9内の電気的接続に寄与する複数の配線27(
図3)を含んでいる。複数の配線27は、例えば、2つのパッド25と2つの端子3とを接続する2つの配線27を含んでいる。
【0038】
以下における実装基体11の説明は、概略、下記の順で行う。
2.1.絶縁基体23
2.2.実装基体11の導体
2.3.接合材29
【0039】
(2.1.絶縁基体)
絶縁基体23の形状、寸法及び材料は任意である。絶縁基体23は、実装基体11の大部分を構成しており、その外形(凹部R1を無視した形状)は、概略、薄型の直方体状である。凹部R1は、絶縁基体23の上面(+D3側の面)に開口している。特に図示しないが、平面視において、絶縁基体23の角部は、平面又は曲面によって面取りされていたり、凹部(キャスタレーション)を有していたりしてもよい。
【0040】
絶縁基体23は、凹部R1を有しているから、凹部R1の底面を構成している基板部23aと、凹部R1の壁部を構成している枠部23bとを有していると捉えられてよい。なお、絶縁基体23は、基板部23aと枠部23bとを積層して作製されてもよいし、そのような製造方法とは異なる製造方法によって作製されてもよい。前者としては、例えば、枠部23bとなる1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートに凹部R1となる開口を形成し、開口が形成された上記セラミックグリーンシートと、基板部23aとなる1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートとを積層して焼成する方法が挙げられる。後者としては、例えば、1層(又は2層以上)のセラミックグリーンシートにプレスによって凹部R1を形成して焼成する方法が挙げられる。後者の製造方法から理解されるように、基板部23a及び枠部23b(別の観点では互いに異なる絶縁層)は、絶縁基体23の形状及び/又は絶縁基体23内の導体層に基づいて概念される便宜上のものであってよい。
【0041】
基板部23aは、例えば、概略、平板状である。換言すれば、基板部23aは、第1基板面23cと、その反対側に面している第2基板面23dとを有しており、両面は互いに平行な平面状である。第1基板面23cは、凹部R1の底面を構成している。第2基板面23dは、パッケージ9の下面を構成している。基板部23aの平面形状は、例えば、絶縁基体23の外形が直方体状であることに対応して矩形状である。すなわち、基板部23aは、平面視において、互いに対向する1対の長辺と、互いに対向する1対の短辺とを有している。なお、長辺と短辺との長さの比は任意である。基板部23aの厚さも任意である。
【0042】
枠部23bは、例えば、基板部23aの上面の縁部に沿って延びている。枠部23bの平面視における外縁の形状は、例えば、基板部23aの外縁と概ね一致する形状である。枠部23bの内縁の形状(平面視における凹部R1の形状)は、例えば、枠部23bの外縁の4辺と概ね平行な4辺を有する矩形状である。枠部23bは、例えば、一定の厚さを有している。枠部23bの外周面及び内周面は、例えば、D3方向に概ね平行である。ただし、図示の例とは異なり、例えば、枠部23bの内周面は、上方(+D3側)ほど凹部R1の径が大きくなるように傾斜していてもよい。なお、そのような傾斜の有無に関わらず、実施形態の説明で言及される平面視における凹部R1の形状及び寸法は、特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、凹部R1の上面開口(枠部23bの上面(枠部上面23e)の内縁)のものであってもよいし、凹部R1の底面のものであってもよい。
【0043】
枠部23bの厚さ(凹部R1の深さ)、又は第1基板面23cから感温素子13の後述する本体下面13cまでの高さは、例えば、水晶素子5の厚さ等に応じて適宜に設定されてよい。これらの寸法は、例えば、従来の振動子1と同様とされて構わない。
【0044】
枠部23bの幅(内周面から外周面までの長さ)は任意である。本実施形態においては、後に詳述するように、感温素子13と電気的に接続される接続電極31(
図1及び
図3)が枠部23bの上面(枠部上面23e)に設けられる。従って、枠部23b(及び/又は枠部上面23e)の幅は、従来のパッケージに比較して、広くされていてもよい。また、当該幅は、従来と同様の大きさとされていてもよい。この場合は、例えば、枠部上面23eに重なる封止材33(符号は
図3)の幅を従来よりも狭くすることによって、枠部上面23eに接続電極31を配置するための領域が確保されてよい。
【0045】
枠部23b及び/又は枠部上面23eの幅(一定でない場合は、最大幅若しくは接続電極31が位置する辺の幅)は、例えば、基板部23aの長手方向又は短手方向の長さに対して、1/20以上、1/10以上又は1/5以上とされてよく、また、1/3以下、1/4以下又は1/5以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0046】
凹部R1の平面視における大きさは、例えば、水晶素子5の平面視における大きさを考慮して適宜に設定されてよい。必要に応じて、感温素子13の平面視における大きさが考慮されてもよい。例えば、平面視において、凹部R1の長手方向(D1方向)の径(高さ方向の位置等によって異なる場合は例えば最大径)は、水晶素子5の長手方向の径(例えば最大径)に対して、1.05倍以上、1.1倍以上、1.2倍以上又は1.5倍以上とされてよく、また、2倍以下、1.5倍以下又は1.3倍以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてもよい。
【0047】
なお、凹部R1の平面視における形状は、図示の例とは異なり、矩形状でなくてもよい。別の観点では、枠部上面23eにおいて、内縁は外縁に平行でなくてもよい。例えば、水晶素子が振動用の腕又は実装用の腕を有する態様を想定する。このとき、平面視において、枠部上面23eは、腕と水晶素子の他の部位との間に挿入される凸部を有していてもよい。このような凸部は、例えば、感温素子13に接続される接続電極31の配置領域を確保することに寄与し得る。
【0048】
絶縁基体23(基板部23a及び枠部23b)の材料は任意であり、例えば、セラミックとされてよい。セラミックの具体的な種類は任意であり、例として、酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、及びLTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)を挙げることができる。もちろん、絶縁基体23の材料は、セラミック以外の材料であってもよいし、複数種類の材料を含む複合材料であってもよい。
【0049】
(2.2.実装基体の導体)
既述のように、実装基体11は、4つの端子3、2つのパッド25及び配線27を有している。
【0050】
4つの端子3は、例えば、基板部23aの第2基板面23dに重なる層状(パッド状)の導体(例えば金属)によって構成されている。端子3の位置、形状及び寸法は任意である。例えば、4つの端子3は、第2基板面23dの4隅に位置している。なお、このようにいうとき、平面視において、各端子3は、第2基板面23dの互いに交差する2つの縁部(長辺及び短辺)から離れていてもよいし、離れていなくてもよい(図示の例)。また、4隅に位置しているか否かは、基板部23aの寸法、端子3の寸法、基板部23aの縁部と端子3の縁部との距離等に基づいて合理的に判断されてよい。後述するパッド25等についても同様である。
【0051】
水晶素子5に接続される2つの端子3と、感温素子13に接続される2つの端子3との位置関係は任意である。例えば、前者の2つの端子3は、基板部23aの長手方向の一方側(-D1側)に位置し、後者の2つの端子3は、基板部23aの長手方向の他方側(+D1側)に位置してよい。また、例えば、前者の2つの端子3は、1対の対角に位置し、後者の2つの端子3は、他の1対の対角に位置してよい。
【0052】
2つのパッド25は、例えば、基板部23aの第1基板面23cに重なる層状(パッド状)の導体(例えば金属)によって構成されている。パッド25の位置、形状及び寸法は任意である。例えば、2つのパッド25は、基板部23aの中央よりも基板部23aの長手方向の一端側(-D1側)に位置しているとともに、基板部23aの短手方向に並んでいる。より詳細には、2つのパッド25は、凹部R1の底面の4隅のうち、長手方向の一方側に位置する2つの隅に位置している。
【0053】
複数の配線27のそれぞれは、適宜な構成とされてよい。例えば、各配線27は、以下のいずれか1つを含んでいてよい。絶縁基体23(基板部23a及び/又は枠部23b)を厚さ方向(D3方向)に貫通するビア導体。絶縁基体23(基板部23a及び/又は枠部23b)の表面(上面、下面及び/又は側面)に重なる層状導体(層状配線)。絶縁基体23の内部(例えば基板部23aと枠部23bとの境界)に位置し、D1-D2平面(第1基板面23c)に沿っている(例えば平行な)層状導体。なお、絶縁基体23の側面に重なる層状導体は、キャスタレーション(凹部)の内面に配置された層状導体を含む。
【0054】
図3に例示されているパッド25と端子3とを接続する配線27は、基板部23aを貫通するビア導体のみによって構成されている。水晶素子5(2つのパッド25)と接続される2つの端子3の双方が基板部23aの長手方向の一方側に位置する態様において、
図3に示されていないパッド25と端子3とを接続する配線27も同様とされてよい。また、水晶素子5と接続される2つの端子3が基板部23aの1対の対角に位置するか否かに関わらず、水晶素子5と接続される2つの配線27は、図示以外の態様とされて構わない。
【0055】
なお、ビア導体と導体層(配線27を構成するものだけでなく、パッド25、端子3、接続電極31等を含む。)との接続部において、材料等の観点から見たときに、導体層の上面又は下面とビア導体の下端面又は上端面とが接合されていてもよいし、ビア導体が導体層を貫通していてもよいし、そのような区別が不可能であってもよい。以下では、便宜上、いずれの態様であっても、ビア導体が導体層の上面又は下面に接合されているという捉え方を前提とした表現をすることがある。
【0056】
導体層(端子3、パッド25及び配線27)は、単一の材料からなる1層の導体層によって構成されていてもよいし、互いに異なる材料からなる複数の導体層が積層されて構成されていてもよい。また、導体層は、領域によって材料の構成が異なっていてもよい。
【0057】
ビア導体(配線27)の具体的な構成は、種々の構成とされてよい。例えば、ビア導体は、中実(内部に空洞がない態様)であってもよいし(図示の例)、中空状であってもよい。また、ビア導体は、その全体が同じ材料によって構成されていてもよいし、内部と外周面とが異なる材料によって構成されていてもよい。また、例えば、ビア導体は、直柱状であってもよいし、テーパ状であってもよいし、適宜な位置にフランジを有していてもよい。
【0058】
上述した各種の導体(導体層、ビア導体、端子3、パッド25及び配線27)の材料は、例えば、金属とされてよい。金属としては、例えば、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)若しくはプラチナ(Pt)又はこれらの少なくとも1つを主成分とする合金を挙げることができる。
【0059】
(2.3.接合材)
水晶素子5とパッド25とを接合する導電性の接合材29は、例えば、導電性接着剤である。導電性接着剤は、特に図示しないが、絶縁性のバインダーと、当該バインダーに分散されている導電性フィラー(導電性粉末)とを有している。バインダーは、有機材料(例えば樹脂、より詳細には熱硬化性樹脂)であってもよいし、無機材料であってもよい。樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はビスマレイミド樹脂とされてよい。導電性フィラーの材料は、例えば、金属とされてよい。金属は、例えば、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケル若しくは鉄、又はこれらの1つ以上を主成分とする合金とされてよい。
【0060】
(3.感温素子)
感温素子13の種類(別の観点では温度の検出原理)は任意である。例えば、感温素子13は、サーミスタ、測温抵抗体、熱電対又はダイオードであってよい。また、例えば、感温素子13のうち、温度の検出に直接に寄与する機能部(例えばサーミスタでは抵抗体(狭義のサーミスタ))は、外部(凹部R1内の空間)に露出していてもよいし、封止部によって覆われていてもよい。封止部の材料は任意であり、例えば、ガラス、セラミック又は樹脂等の絶縁材料とされてよい。
【0061】
図示の例では、感温素子13は、素子本体13aと、1対の素子端子13bとを有している。素子本体13aは、例えば、2つの素子端子13bを介して電圧が印加される。また、別の観点では、素子本体13aは、温度に応じた強度の信号を2つの素子端子13bの少なくとも一方から出力する。
【0062】
素子本体13aは、先の説明から理解されるように、例えば、少なくとも機能部を含み、さらに、機能部を覆う封止部を有していてもよい。素子本体13aの形状は、例えば、概略、薄型の直方体状(より詳細には図示の例では板形状)とされてよい。
【0063】
2つの素子端子13bは、例えば、素子本体13aの外部(より詳細には実装基体11側(-D3側))に露出している。このようにいうとき、素子端子13bは、例えば、素子本体13aの-D3側の面(本体下面13cということがある。)に重なる層状導体であってもよいし、少なくとも本体下面13cにおいて露出している部分を有する導体(必ずしも層状導体とは限らない。)であってもよい。素子端子13bの材料は任意であり、例えば、実装基体11の種々の導体の材料の説明は、素子端子13bの材料に援用されてよい。
【0064】
なお、実施形態における感温素子13の位置、形状及び寸法に係る説明は、特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、素子本体13aの位置、形状及び寸法に援用されてよい。さらに、素子本体13aが機能部のみからなるにせよ、機能部以外の部位(例えば封止部)を有するにせよ、感温素子13の位置、形状及び寸法に係る説明は、特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、機能部の位置、形状及び寸法に援用されてよい。
【0065】
感温素子13の形状及び寸法は、凹部R1を塞ぐことができる限り、任意である。図示の例では、感温素子13(より詳細には素子本体13a)は、概略、平板状の部材である。その平面形状は、概略、枠部23bの平面形状と同じであり、すなわち、矩形状である。別の観点では、感温素子13の外縁は、枠部23bに沿って(例えば平行に)延びている。平面透視において、感温素子13の外縁は、例えば、その全体が枠部23b(より詳細には枠部上面23e)の内縁に対して外側に位置している。また、平面透視において、感温素子13の外縁の一部又は全部は、枠部23bの外縁に対して、一致していてもよいし(図示の例)、内側に位置していてもよいし、外側に位置していてもよい。
【0066】
感温素子13の厚さは任意である。例えば、感温素子13の厚さ(厚さが一定でない場合は、例えば、最小厚、平均厚又は最大厚)は、水晶素子5(又は水晶ブランク15)の厚さ(厚さが一定でない場合は、例えば、励振電極19の領域における厚さ、最小厚又は最大厚)に対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。
【0067】
(4.実装基体と感温素子との接合)
実装基体11と感温素子13とは、凹部R1を気密封止するために接合されるとともに、感温素子13の2つの素子端子13bと実装基体11の2つの端子3とを電気的に接続するために接合される。以下の説明では、概略、下記の順に説明する。
4.1.封止のための接合
4.2.電気的接続のための接合
【0068】
(4.1.封止のための接合)
封止のための接合は、凹部R1を気密封止できる限り、種々の方法とされてよい。図示の例では、実装基体11と感温素子13との間に封止材33(符号は
図3)が介在して両者を接合している。より詳細には、図示の例では、封止材33は、枠部23bの上面に重なっている第1金属層35と、導電性の感温素子13の下面に重なっている第2金属層37とを有している。そして、例えば、第1金属層35及び第2金属層37が互いに重なっている状態で、これらの金属層が加熱及び加圧されることによって(換言すれば金属層が加熱及び加圧されることによって)両者が溶接される。
【0069】
なお、封止材33は、その一部又は全部が実装基体11又は感温素子13の一部と捉えられても構わない。例えば、第1金属層35は、実装基体11の一部と捉えられてもよい。第2金属層37は、感温素子13の一部として捉えられてもよい。実施形態の説明では、便宜上、主として、実装基体11及び感温素子13とは別個の部材として封止材33を捉えた表現をする。ただし、特に断り無く、封止材33を実装基体11又は感温素子13の一部として捉えた表現をすることもある。
【0070】
導電性の封止材33(第1金属層35及び/又は第2金属層37。以下、本段落において同様。)は、特に図示しないが、基準電位が付与される端子3に対して配線27を介して接続されてよい。基準電位が付与される端子3は、例えば、感温素子13と接続される2つの端子3の1つであってよい。封止材33と端子3とを接続する経路と、感温素子13と端子3とを接続する経路とは少なくとも一部同士が共用されてよい。なお、感温素子13は、基準電位を利用しないものであってもよい。この場合において、導電性の封止材33は、例えば、電気的に浮遊状態とされたり、基準電位用の不図示の端子3が追加されることによって基準電位が付与されたりしてよい。
【0071】
第1金属層35及び第2金属層37の材料は任意である。例えば、第2金属層37の材料は、ろう材とされ、第1金属層35は、第2金属層37の濡れ性を向上させる材料とされてよい。このような態様における具体的な材料も任意である。例えば、第2金属層37の材料は、銀ロウ又は金錫とされてよい。第1金属層35の材料は、例えば、タングステン又はモリブデンからなる層の表面にニッケルメッキ及び金メッキが順次施された構成とされてよい。
【0072】
実装基体11と感温素子13との接合方法は、上記以外の種々の方法とされてもよい。
【0073】
例えば、封止材33は、金属(別の観点では導電材料)に限定されず、絶縁材料であってもよい。そのような材料としては、例えば、ガラスが挙げられる。換言すれば、ガラス封止が行われてもよい。ガラスの具体的な種類としては、例えば、鉛系若しくは鉛フリー系の低融点ガラスが挙げられる。鉛フリー系としては、例えば、ビスマス系又は錫系が挙げられる。低融点ガラスのガラス転移温度は、例えば、200℃以上500℃以下である。
【0074】
また、例えば、溶接及びろう付けとは異なり、溶融を伴わずに接合が行われてもよい。別の観点では、第2金属層37は、ろう材でなくてよい。例えば、第1金属層35と第2金属層37との接合は、拡散接合(別の表現では金属間直接接合)であってもよい。より詳細には、例えば、第1金属層35及び第2金属層37の互いに重なる面に所定の処理(例えば研磨及び/又は活性化処理)を施し、これらの金属層を融点未満の温度条件化で加圧してよい。加熱は、行われてもよいし、行われなくてもよい。
【0075】
導電性又は絶縁性の封止材33を加熱する方法は、種々の方法とされてよい。例えば、加熱は、振動子1を炉に配置することによって行われてもよいし、超音波の照射によって行われてもよいし、レーザー光の照射によって行われてもよいし、これらの組み合わせによって行われてもよい。
【0076】
封止材33(別の観点では第1金属層35及び/又は第2金属層37。以下、特に断りが無い限り、本段落及び次段落において同様。)の平面視における形状及び寸法は、平面透視において枠部上面23eとの重複領域が枠状(環状)をなすように設定されている。例えば、封止材33は、平面透視において、枠部上面23eに収まる形状及び寸法を有している。図示の例では、封止材33(別の観点では第1金属層35)の外縁は、枠部上面23eの外縁に一致している。また、封止材33(別の観点では第2金属層37)の外縁は、本体下面13cの外縁に一致している。ただし、封止材33の外縁の一部又は全部は、枠部上面23e及び/又は本体下面13cの外縁に一致していなくてもよい。
【0077】
既述のように、枠部上面23eには感温素子13と接続される接続電極31が設けられる。従って、少なくとも接続電極31の配置位置においては、封止材33は、基本的には(第1金属層35の+D1側の部分を除いて)、枠部上面23eの内縁から離れている。別の観点では、例えば、少なくとも接続電極31の配置位置においては、封止材33の幅(内縁から外縁までの長さ)は、基本的には、枠部上面23eの幅よりも狭くされている。接続電極31の配置位置以外においては、封止材33の内縁は、枠部上面23eの内縁から離れていてもよいし(図示の例)、枠部上面23eの内縁に一致していてもよい。換言すれば、接続電極31の配置位置以外においては、封止材33の幅は、枠部上面23eの幅に対して、狭くてもよいし、同等であってもよい。
【0078】
封止材33が導電性の場合においては、封止材33は、例えば、基本的に(第1金属層35の+D1側の部分を除いて)、2つの接続電極31から離れている。ただし、封止材33は、2つの接続電極31のうち1つ(図示の例では+D1側の接続電極31)と枠部上面23e上においてつながっていてもよい。この場合、2つの接続電極31のうち1つ(別の観点では感温素子13の2つの素子端子13bの1つ)は、例えば、基準電位が付与されるものであってよい。また、絶縁性の封止材33は、2つの接続電極31の一方又は双方に対して接触していてよい。
【0079】
1つの接続電極31と導電性の封止材33(例えば第1金属層35)とがつながっている態様において、両者は、互いに異なる材料によって構成されていてもよいし、互いに同一の材料によって一体的に形成されていてもよい。後者の態様において、1つの接続電極31及び第1金属層35は、その厚さ及び平面形状から区別可能でなくてもよい。例えば、第1金属層35が、平面透視において、枠部上面23eの1辺の全長かつ全幅に重なっており、その一部の領域が1つの接続電極31として利用されてもよい。
【0080】
これまでの説明からも理解されるように、封止材33は、全周に亘って一定の幅で延びていてもよいし(図示の例)、幅を変化させながら延びていてもよい。後者の態様としては、例えば、枠部上面23eが有する4辺のうち、各辺においては幅が一定で、辺同士で幅が異なる態様が挙げられる。この場合、例えば、接続電極31が配置される辺における封止材33の幅が、接続電極31が配置されない辺における封止材33の幅よりも狭くされてよい。また、封止材33が幅を変化させながら延びる他の態様としては、例えば、各辺において、幅が変化する態様が挙げられる。より具体的には、例えば、接続電極31の配置領域及びその周囲においてのみ幅が狭くなる態様が挙げられる。
【0081】
封止材33の幅の具体的な大きさは任意である。例えば、封止材33の幅(例えば最小幅)は、枠部上面23eの幅(上記の封止材33の幅と同じ位置における幅)に対して、1/10以上、1/5以上、1/3以上又は1/2以上とされてよく、また、4/5以下、3/4以下、2/3以下又は1/2以下とされてよい。上記の下限と上限とは、矛盾が生じないように任意のもの同士が組み合わされてよい。また、枠部上面23eの幅に関して先に例示した下限及び/又は上限の任意のものと、封止材33の幅に関する上記の下限及び/又は上限の任意のものとが組み合わされてもよい。
【0082】
封止材33の厚さは、例えば、その全周に亘って一定である。封止材33の厚さの具体的な値は任意である。例えば、封止材33の厚さは、水晶素子5(又は水晶ブランク15)の厚さ(最小厚又は最大厚)に対して、薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。第1金属層35の厚さは、例えば、10μm以上30μm以下とされてよく、また、当該範囲よりも厚くされても構わない。第2金属層37の厚さは、例えば、10μm以上40μm以下とされてよく、また、当該範囲よりも厚くされても構わない。
【0083】
(4.2.電気的接続のための接合)
1対の素子端子13bは、例えば、感温素子13のうち、平面透視において枠部上面23eと重複する領域に位置している。これにより、感温素子13が凹部R1に被せられた状態で、1対の素子端子13bと、枠部上面23eに位置する1対の接続電極31とが対向し、両者が接続される。
【0084】
平面透視において、1対の素子端子13bは、枠部上面23e内の任意の領域に位置してよい。例えば、各素子端子13bは、枠部上面23eの4辺のうち、1辺に収まっていてもよいし(図示の例)、2辺以上に亘って延びていてもよい。なお、以下の説明では、特に断りが無い限り、また、矛盾等が生じない限り、1つの素子端子13bは、1辺に収まっていると捉えられてよい。
【0085】
また、例えば、1つの素子端子13bは、枠部上面23eの4辺のうち、長辺及び短辺のいずれに位置していてもよい。また、2つの素子端子13bは、互いに同じ1辺に位置していてもよいし、互いに異なる2辺に位置していてもよい(図示の例)。上記の互いに異なる2辺は、互いに対向する2辺であってもよいし(図示の例)、互いに交差する2辺であってもよい。
【0086】
また、例えば、枠部上面23eの1辺に収まる1つの素子端子13bは、1辺の長さ方向の任意の領域に位置してよい。例えば、1つの素子端子13bは、1辺の全体に位置してもよいし(図示の例)、1辺の一部に位置してもよい。後者の態様において、1つの素子端子13bは、1辺の端部側に位置してもよいし、1辺の中央側に位置してもよい。
【0087】
平面透視したとき、1対の素子端子13bは、例えば、封止材33(別の観点では第2金属層37)よりも内側に位置している。より詳細には、例えば、1対の素子端子13bは、例えば、導電性の封止材33(別の観点では第1金属層35及び/又は第2金属層37)から離れている。ただし、1対の素子端子13bの1つ(図示の例では+D1側の素子端子13b)は、本体下面13c(枠部上面23e)において導電性の封止材33とつながっていてもよい。この場合、上記1つの素子端子13bは、例えば、基準電位が付与されるものであってよい。また、1対の素子端子13bの1つ又は双方は、絶縁性の封止材33に対して、接触していてもよいし、非接触であってもよい。
【0088】
1つの素子端子13bと導電性の封止材33(例えば第2金属層37)とがつながっている態様において、両者は、互いに異なる材料によって構成されていてもよいし、互いに同一の材料によって一体的に形成されていてもよい。後者の態様において、1つの素子端子13b及び第2金属層37は、その厚さ及び平面形状から区別可能でなくてもよい。例えば、第2金属層37が平面透視で枠部上面23eの1辺の全長かつ全幅に亘る広さを有しており、その一部の領域が1つの素子端子13bとして利用されてもよい。
【0089】
平面透視したとき、1対の素子端子13bは、上記のように封止材33よりも内側に位置している限り、枠部上面23e内において、幅方向(内縁から外縁への方向)の任意の領域に位置してよい。例えば、1対の素子端子13bは、枠部上面23eの幅方向中央よりも内側に位置していてもよいし、幅方向中央に重なっていてもよいし、枠部上面23eの内縁に重なっていてもよいし、枠部上面23eの内縁から外側に離れていてもよい。素子端子13bは、枠部上面23eの内縁よりも内側に位置する部分を有していてもよい。
【0090】
既述の位置の説明からも理解されるように、平面視における素子端子13bの形状及び寸法は任意である。例えば、素子端子13bの平面形状は、枠部上面23eの1辺に位置する矩形状であってもよいし(図示の例)、枠部上面23eの4辺のうちの2辺に沿う概略L字状であってもよいし、枠部上面23eの4辺のうちの3辺に沿う概略U字状であってもよい。また、1辺に位置する素子端子13bの形状は、矩形状に限定されず、他の形状(例えば、円形状、楕円形状又は矩形以外の多角形状等)であってもよい。
【0091】
また、例えば、枠部上面23eの内縁の1辺の長さに対する1つの素子端子13bの長さは、1/2未満であってもよいし、1/2以上であってもよい。また、例えば、枠部上面23eの幅に対する素子端子13bの幅は、1/3未満であってもよいし、1/3以上であってもよい。
【0092】
素子端子13bの厚さは任意である。ただし、
図1~
図3の例では、平面状の本体下面13cと平面状の枠部上面23eとの間にて、接続電極31と素子端子13bとが互いに対向して接合されるから、素子端子13bの厚さは、封止材33の厚さ未満である。ただし、枠部上面23eにおいて、接続電極31の配置領域を第1金属層35の配置領域よりも低くすることなどによって、素子端子13bの厚さを封止材33の厚さ以上とすることも可能である。
図1~
図3の例において、素子端子13bの厚さは、第2金属層37の厚さよりも薄くてもよいし、同等でもよいし、厚くてもよい。本段落における素子端子13bの厚さの説明は、接続電極31の厚さに援用されてよい。このとき、第2金属層37の語は、第1金属層35の語に置換されてよい。
【0093】
既に触れたように、実装基体11は、2つの素子端子13bと接続される接続電極31を有している。接続電極31と素子端子13bとは互いに対向して接合される。平面透視したとき、接続電極31と素子端子13bとは概ね一致してもよいし、重複しつつも互いにずれていてもよい。いずれにせよ、平面透視における素子端子13bの位置、形状及び寸法に関する既述の説明は、矛盾等が生じない限り、平面透視における接続電極31の位置、形状及び寸法に援用されてよい。
【0094】
2つの接続電極31は、2つの配線27を介して2つの端子3と電気的に接続されている。配線27が種々の構成とされてよいことについては既に述べた。
図3の例では、実装基体11の長手方向においてパッド25とは反対側(+D1側)に位置している接続電極31と端子3とを接続する配線27は、枠部23b及び基板部23aを貫通するビア導体のみによって構成されている。また、パッド25側(-D1側)に位置している接続電極31は、枠部23bを貫通するビア導体と、枠部23bの下面に位置する導体層と、基板部23aを貫通する不図示のビア導体とによって構成されている。
【0095】
接続電極31の材料も任意である。例えば、接続電極31の材料は、実装基体11の種々の導体(3、25及び/又は27)の材料と同じであってもよいし、封止材33(例えば第1金属層35)の材料と同じであってもよい。いずれにせよ、実装基体11の種々の導体の材料及び/又は封止材33の材料の説明は、接続電極31の材料に援用されてよい。
【0096】
素子端子13bと接続電極31との接合方法は種々の方法とされてよい。例えば、両者は、その間に介在する導電性の接合材(不図示)によって接合されてよい。導電性の接合材は、導電性接着剤であってもよいし、金属材料であってもよい。金属材料は、はんだ(鉛フリーはんだを含む。以下、同様。)であってもよいし、ろう材であってもよい。また、素子端子13b及び接続電極31は、金属間直接接合によって接合されてもよい。接続電極31及び素子端子13bの接合方法は、第1金属層35及び第2金属層37の接合方法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0097】
素子端子13bと接続電極31との接合は、例えば、封止材33によって実装基体11と感温素子13とを接合する封止工程の前に行われてよい。封止工程において素子端子13b及び接続電極31(並びに接合材が介在する場合は接合材)における温度は、例えば、両者を接合する導電性接着剤の耐熱温度未満、又は両者を接続する金属材料(はんだ若しくはろう材。素子端子13b自体及び/又は接続電極31自体であってもよい。次段落において同様。)の溶融温度未満とされる。ただし、金属材料は、溶融して再度接着されても構わない。
【0098】
上記とは異なり、素子端子13bと接続電極31との接合は、封止材33によって実装基体11と感温素子13とを接合する封止工程と同時に行われてもよい。例えば、封止工程のときの熱によって、素子端子13bと接続電極31との間の導電性接着剤が硬化したり、素子端子13bと接続電極31との間の金属材料(素子端子13b及び接続電極31の少なくとも一方に接合されていない状態のもの)が溶融されたりしてもよい。また、第2金属層37の材料と同一の材料によって第2金属層37と一体的に形成される素子端子13bが封止工程において接続電極31と接合されてよいことは明らかである。
【0099】
なお、封止工程の後に、素子端子13bと接続電極31とを接合することも可能である。例えば、封止工程において素子端子13b及び接続電極31における温度は、例えば、両者を接続する金属材料の溶融温度未満とされる。その後、超音波の照射等によって素子端子13b及び接続電極31を加熱したり、適宜な器具によって感温素子13を局所的に加圧したりしてよい。
【0100】
(5.変形例)
以下、変形例について、概略、下記の順で説明を行う。
5.1.接続電極31に係る変形例(
図4(a)~
図5)
5.2.素子本体13aに係る変形例(
図6(a)~
図7(c))
【0101】
(5.1.接続電極に係る変形例)
図4(a)、
図4(b)及び
図5は、変形例に係る実装基体11A、11B及び11Cの平面図である。これらの図では、水晶素子5も図示されている。
【0102】
既述のように、接続電極31(別の観点では素子端子13b)の位置、形状及び寸法は種々のものとされてよい。
図4(a)、
図4(b)及び
図5は、
図1~
図3に例示した接続電極31の位置、形状及び寸法とは異なる例を示す図となっている。具体的には、以下のとおりである。なお、特に図示しないが、変形例に係る接続電極31と接続される素子端子13bの位置、形状及び寸法は、変形例に係る接続電極31の位置、形状及び寸法と概略同様である。
【0103】
図4(a)に示す例では、2つの接続電極31は、実施形態とは逆に、第1金属層35(別の観点では封止材33)よりも外側に位置している。ただし、1つの接続電極31(+D1側の接続電極31)は、第1金属層35とつながっている。この場合、既述のように、両者は、異なる材料によって形成されていてもよいし、同一の材料によって一体的に形成されていてもよい。
【0104】
実施形態における接続電極31、素子端子13b、封止材33(第1金属層35及び/又は第2金属層37)の位置、形状及び寸法の説明は、矛盾等が生じない限り、
図4(a)に示す変形例に援用されてよい。ただし、内縁と外縁との語を適宜に置換するなどの読み替えが合理的に行われてよい。
【0105】
例えば、実施形態の説明では、封止材33の外縁は、その全部が枠部上面23eの外縁に一致していてもよいし、一部及び全部が枠部上面23eの外縁から離れていてもよいことを述べた。
図4(a)の例では、封止材33の内縁は、その全部が枠部上面23eの内縁に一致していてもよいし、一部及び全部が枠部上面23eの内縁から離れていてもよい。
【0106】
また、例えば、実施形態の説明では、封止材33の内縁は、少なくとも接続電極31の配置領域において、枠部上面23eの内縁から離れていることを述べた(ただし、1つの接続電極31が第1金属層35の一部とみなせる部分を除く。)。
図4(a)の例では、封止材33の外縁は、少なくとも接続電極31の配置領域において、枠部上面23eの外縁から離れている(ただし、1つの接続電極31が第1金属層35の一部とみなせる部分を除く。)。
【0107】
図4(a)の例では、第1金属層35(封止材33)は、接続電極31が位置している辺(図示の例では短辺)において、その内縁を枠部上面23eの内縁に一致させている。接続電極31が位置していない辺(図示の例では長辺)において、第1金属層35(封止材33)は、その外縁を枠部上面23eの外縁に一致させ、また、枠部上面23eの幅よりも狭い幅を有している。これまでの説明からも明らかなように、第1金属層35(封止材33)の位置及び幅は図示の態様に限定されない。例えば、第1金属層35(封止材33)は、接続電極31が位置していない辺において、枠部上面23eの幅と同等の幅を有していてもよい。
【0108】
図4(b)に示す例では、2つの接続電極31は、
図4(a)に示す例と同様に、第1金属層35よりも外側に位置している。ただし、いずれの接続電極31も第1金属層35から離れている。
図4(b)の例においても、
図4(a)の例と同様に、内縁と外縁とを置換するなどしつつ、実施形態における接続電極31、素子端子13b、封止材33(第1金属層35及び/又は第2金属層37)の位置、形状及び寸法の説明が援用されてよい。
【0109】
図4(b)の例では、第1金属層35(封止材33)は、接続電極31が位置している辺(図示の例では短辺)において、
図4(a)の例と同様に、その内縁を枠部上面23eの内縁に一致させている。接続電極31が位置していない辺(図示の例では長辺)において、第1金属層35(封止材33)は、
図4(a)と同様に、枠部上面23eの幅よりも狭い幅を有している。ただし、
図4(a)の例とは異なり、第1金属層35(封止材33)は、その内縁を枠部上面23eの内縁に一致させている。これまでの説明からも明らかなように、第1金属層35(封止材33)の位置及び幅は図示の態様に限定されない。例えば、第1金属層35(封止材33)は、接続電極31が位置していない辺において、枠部上面23eの幅と同等の幅を有していてもよい。
【0110】
図5に示す例では、2つの接続電極31は、
図1~
図3に示す例と同様に、第1金属層35よりも内側に位置している。ただし、いずれの接続電極31も第1金属層35から離れている。
【0111】
特に図示しないが、1つの接続電極31が第1金属層35よりも内側に位置し、かつ1つの接続電極31が第1金属層35よりも外側に位置していてもよい。
【0112】
図1~
図3では、1つの接続電極31が第1金属層35とつながっており、2つの素子端子7bの双方が第2金属層37とつながっていない態様が例示された。ただし、第1金属層35とつながっている1つの接続電極31と接合される1つの素子端子7bも第2金属層37とつながっていてよい。また、図示の例とは逆に、2つの接続電極31の双方が第1金属層35とつながっておらず、1つの素子端子7bが第2金属層37とつながっていてもよい。また、2つの接続電極31の双方が第1金属層35とつながっておらず、2つの素子端子7bの双方が第2金属層37とつながっていなくてもよい。上記のことは、少なくとも1つの接続電極31が封止材33に対して内側に位置する態様、及び少なくとも1つの接続電極31が封止材33に対して外側に位置する態様のいずれにおいても成立してよい。
【0113】
(5.2.素子本体に係る変形例)
図6(a)、
図6(b)、
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)は、変形例に係る水晶振動子1D、1E、1F、1G及び1Hの一部を示す断面図である。これらの図は、
図3の上方部分に対応している。なお、これらの図面においては、平面視における接続電極31等の配置に関して、実施形態の配置を例に取っている。ただし、平面視における接続電極31等の配置は、
図4(a)~
図5を参照して説明した変形例のものであっても構わない。
【0114】
図6(a)に示す例では、感温素子13D(素子本体13a)の形状は、平板状以外の形状とされている。具体的には、感温素子13Dは、凹部R1に対向する領域が他の領域に対して凹部R1側に厚くなっている。このような構成により、例えば、水晶素子5に近い位置で素子本体13aの体積を確保したり、素子本体13aを水晶素子5に近づけたりできる。別の観点では、素子本体13aの枠部上面23eに重なる領域を薄くすることによって、パッケージ9Dを薄型化できる。
【0115】
感温素子13Dにおいて、厚くされている領域の広さ及び厚さは任意である。図示の例では、厚くされている領域は、平面視において凹部R1よりも小さく、また、凹部R1の中央側に位置している。従って、厚くされている領域は、凹部R1の内周面から離れている。ただし、厚くされている領域は、凹部R1と同等の広さを有していたり、任意の方向において凹部R1と同等の径を有したりすることによって、凹部R1に嵌っていてもよい。また、厚くされている領域の厚さは、例えば、枠部上面23eに重なっている領域の厚さに対して、1.2倍以上、1.5倍以上又は2倍以上とされてよい。感温素子13Dが水晶素子5に接触しない限り、上限は特に制限されない。
【0116】
図6(b)に示す例では、感温素子13E(素子本体13a)の形状は、
図6(a)の例と同様に、平板状以外の形状とされている。ただし、感温素子13Eは、
図6(a)の例とは逆に、枠部上面23eに重なる領域(枠状の領域)が他の領域に対して枠部上面23e側に厚くなっている。このような構成により、例えば、感温素子13Eの強度を確保できる。また、感温素子13Eを全体的に厚くした場合に比較して、パッケージ9E内の空間の容積を確保することができる。
【0117】
感温素子13Eにおいて、厚くされている領域の広さは、図示の例のように、枠部上面23eの広さと同等であってもよいし、さらに凹部R1側に広がっていてもよい。この場合、例えば、平面透視において、厚くされている領域の内縁は、水晶素子5の外縁よりも外側であってよい。また、感温素子13Eにおいて、厚くされている領域の厚さは任意である。例えば、厚くされている領域の厚さは、凹部R1に対向している領域の厚さに対して、1.2倍以上、1.5倍以上又は2倍以上とされてよい。上限は特に制限されない。
【0118】
図1~
図3、
図6(a)及び
図6(b)の例では、感温素子(13等)は、実装基体11に対して、凹部R1の底面に沿う方向(D1-D2平面に沿う方向)において当接していない。例えば、感温素子(13等)は、実装基体11に対して、凹部R1内において、及び実装基体11の外周面において、当接していない。一方、
図7(a)~
図7(c)に示す例は、感温素子(13等)が実装基体(11F等)にD1-D2平面に沿う方向において当接する態様の例となっている。具体的には、以下のとおりである。
【0119】
図7(a)に示すパッケージ9Fにおいて、感温素子13は、平面視において、枠部23bの外縁よりも内側に収まる広さとされている。また、枠部23bの上面において、感温素子13と対向する領域は、その外側の領域(枠状の領域)よりも低くされている。そして、感温素子13は、枠部23bの上端の内部(凹部R1の上端)に嵌っている。封止のための接合、及び感温素子13と実装基体11Fとの電気的接続のための接合は、例えば、実施形態と同様に、感温素子13と枠部23bの上面との互いに重なる領域において行われてよい。
【0120】
枠部23bにおいて、相対的に低くされている領域の幅(内縁から外縁までの長さ)、及び相対的に高くされている領域の幅の大きさは任意であり、例えば、両者は、互いに同等であってもよいし、一方が他方よりも大きくてもよい。また、枠部23bにおいて、相対的に低くされている領域と相対的に高くされている領域との高さの差も任意である。例えば、両者の高さの差に関連して、感温素子13の上面の高さ(D3方向の位置)は、枠部23bの相対的に高くされている領域の高さ(D3方向の位置)に対して、低くてもよいし、同等でもよいし(図示の例)、高くてもよい。
【0121】
なお、枠部23bにおいて、上面のうちの第1領域を第2領域よりも低くする方法は種々の方法とされてよい。例えば、凹部R1の形成と同様に、第2領域にセラミックグリーンシートが積層されることによって第2領域が相対的に高くされたり、又は第1領域がプレスによって相対的に低くされたりしてよい。また、第1領域に対して研磨、研削、切削又はレーザー加工を施すことによって第1領域が相対的に低くされてもよい。他の変形例においても同様である。
【0122】
図7(b)に示すパッケージ9Gにおいて、枠部23bの上面は、内縁側の領域(枠状の領域)が外縁側の領域よりも低くされている。一方、感温素子13Gは、上記の内縁側の領域に対向する領域(枠状の領域)に亘って、枠部23b側に突出する凸部13gを有している。そして、凸部13gは、枠部23bの上端の内部(凹部R1の上端)に嵌っている。
【0123】
凸部13gの幅(内縁から外縁までの長さ)及び突出量(D3方向の長さ)は任意である。例えば、凸部13gの幅は、枠部23bの幅に対して、1/2未満であってもよいし、1/2程度であってもよいし、1/2以上であってもよい。また、凸部13gの突出量は、感温素子13の、凸部13gの配置領域以外の領域の厚さに対して、小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。本段落における説明は、後述する凸部13h(
図7(c))に援用されてよい。
【0124】
図7(b)の例では、封止のための接合、及び感温素子13Gと実装基体11Gとの電気的接続のための接合は、例えば、凸部13gの外側の領域において行われている。ただし、封止のための接合及び電気的接続のための接合の少なくとも一方は、凸部13gにおいて行われてもよい。
【0125】
図7(c)に示すパッケージ9Hにおいて、枠部23bの上面は、
図7(b)の例とは逆に、外縁側の領域(枠状の領域)が内縁側の領域よりも低くされている。一方、感温素子13Hは、上記の外縁側の領域に対向する領域(枠状の領域)に亘って、枠部23b側に突出する凸部13hを有している。そして、凸部13hは、枠部23bの上端を囲んでいる。
【0126】
図7(c)の例では、封止のための接合、及び感温素子13Hと実装基体11Hとの電気的接続のための接合は、例えば、凸部13hの内側の領域において行われている。ただし、封止のための接合及び電気的接続のための接合の少なくとも一方は、凸部13hにおいて行われてもよい。
【0127】
図7(a)~
図7(c)では、枠部23bの上面のうち+D3側に面している領域にて封止のための接合及び電気的接続のための接合が行われている。ただし、当該接合に代えて、又は加えて、枠部23bの上面のうち段差の内周側又は外周側に面している領域にて封止のための接合及び/又は電気的接続のための接合が行われてもよい。
【0128】
以上の実施形態及び変形例は適宜に組み合わされて構わない。例えば、
図6(a)の感温素子13Dの一部の領域(例えば凹部R1の内周面から離れている領域)が厚くされる構成は、
図7(a)、
図7(b)及び
図7(c)の変形例に組み合わされてもよい。
【0129】
(6.実施形態及び変形例のまとめ)
以上のとおり、圧電デバイス(水晶振動子1)は、圧電素子(水晶素子5)と、実装基体11と、感温素子13と、を有している。実装基体11は、凹部R1を有している。凹部R1の底面には水晶素子5が実装されている。感温素子13は、凹部R1を気密封止している。
【0130】
従って、例えば、既述のように、感温素子13が凹部R1の底面側からの熱の影響を過剰に受ける蓋然性が低減される。その結果、計測温度が水晶素子5の温度に追従することが期待される。また、例えば、感温素子13が蓋体に兼用されていることから、振動子1の小型化に有利である。振動子1の製造過程においては、水晶素子5を実装基体11に実装した後、かつ凹部R1を塞ぐ前に、実装基体11を介して水晶素子5の検査を行ったり、周波数特性の調整のためにレーザー光によって励振電極19を削ったりすることがある。このような場合において、感温素子13は、実装基体11の内部に実装されるものではないから、検査によって水晶素子5及び実装基体11が不良品と判定されたときに感温素子13が無駄にならない。また、例えば、レーザー光によって感温素子13が削られることがない。感温素子と蓋体とが別であると、レーザー光等によって周波数調整をした後、感温素子を実装基体11に固定したときと、蓋体を実装基体11に固定したときとの双方において周波数特性が変化する可能性があり、ひいては、周波数特性の変化が大きくなる可能性がある。しかし、両者の固定が共になされることから、周波数特性の変化が低減されることが期待される。以上のように周波数調整が容易化されることによって、例えば、生産性が向上する。
【0131】
感温素子13は、実装基体11に対して凹部R1の底面に沿う方向(D1-D2平面に沿う方向)において互いに当接していなくてよい(
図1~
図3、
図6(a)及び
図6(b)参照)。例えば、感温素子(13等)は、実装基体11に対して、凹部R1内において、及び実装基体11の外周面において、当接していない。
【0132】
この場合、例えば、感温素子13の外周部と実装基体11の枠部23bとを接合するときに、D1-D2平面に沿う方向において両者の相対変位が許容される。その結果、感温素子13と実装基体11との間に生じる熱応力が低減されることが期待される。
【0133】
感温素子13は、凹部R1の上端に嵌っている部分を有していてよい(
図7(a)及び
図7(b)参照)。
【0134】
この場合、例えば、感温素子13と実装基体11との位置決め精度が向上する。その結果、例えば、素子端子13bと導電性の封止材33との意図されていない短絡が生じる蓋然性が低減される。また、例えば、素子本体13aと水晶素子5との相対位置の精度が向上し、ひいては、計測温度の精度が向上する。また、例えば、断面視において、感温素子13と実装基体11との境界面が平面状でなくなり、屈曲部を有するから、封止性が向上する。また、例えば、
図6(a)の説明で述べたように、感温素子13Dの凹部R1に重複する領域の全体を厚くして凹部R1の上端に感温素子13Dを嵌めた場合においては、感温素子13Dの体積を確保することが容易化されるなどの効果が奏される。
【0135】
感温素子13は、実装基体11の上端を外周側から囲んでいる部分を有していてよい(
図7(c)参照)。
【0136】
この場合、例えば、上記の感温素子13が凹部R1の上端に嵌る部分を有している態様と同様に、感温素子13と実装基体11との位置決め精度が向上させることができ、また、感温素子13と実装基体11との境界面を屈曲させて封止性を向上させることができる。また、例えば、感温素子13の縁部の強度が補強されることによって、縁部から亀裂が生じる蓋然性が低減される。
【0137】
感温素子13は、素子本体13aと、素子本体13aの外部に露出している2つの素子端子13bと、を有していてよい。実装基体11は、基板部23aと、枠部23bと、2つの接続電極31と、を有してよい。基板部23aは、凹部R1の底面を有していてよい。枠部23bは、凹部R1の内周面を有していてよい。2つの接続電極31は、枠部23bの上端に位置してよく、2つの素子端子13bに接合されてよい。素子本体13aと枠部23bの上端とは、枠部23bの上端に沿って環状に延びる封止領域(封止材33の配置領域)において互いに接合されていてよい。2つの接続電極31の少なくとも1つは、上記封止領域(封止材33)よりも内周側に位置していてよい(
図1~
図3及び
図5参照)。
【0138】
この場合、例えば、封止材33よりも内周側に位置する接続電極31は、水晶素子5と共に封止されて保護される。その結果、例えば、振動子1の耐久性が向上する。また、例えば、素子端子13b及び接続電極31の接合と、封止のための接合とは、いずれも枠部23bの上面において行われるから、両者を共に行うことが可能である。
【0139】
また、2つの接続電極31の少なくとも1つは、上記封止領域(封止材33)よりも外周側に位置していてもよい(
図4(a)及び
図4(b)参照)。
【0140】
この場合、例えば、素子端子13bを素子本体13aの端部に位置させやすい。一方、一般的な感温素子は、両端に素子端子を有している。従って、既に流通されている感温素子を感温素子13として利用したり、又は従来の感温素子から感温素子13への設計変更を低減したりできる。
【0141】
実装基体11は、第1金属層35を有してよい。第1金属層35は、枠部23bの上端に位置してよく、枠部23bの上端に沿って延びて環状を呈してよく、素子本体13aと(直接的に又は第2金属層37を介して間接的に)接合される封止用のものであってよい。2つの接続電極31のうち1つは、枠部23bの上端において第1金属層35とつながっていてよい。
【0142】
この場合、例えば、第1金属層35、及び/又は第1金属層35と接続される接続電極31の面積を確保することが容易である。なお、1つの接続電極31が第1金属層35とつながっている態様は、1つの接続電極31が第1金属層35に含まれている態様を含んでよい。
【0143】
<パッケージにおける配線の具体例>
これまでに述べたとおり、パッド25及び接続電極31の平面視における配置位置は任意であり、また、パッド25に接続される端子3と接続電極31に接続される端子3との平面視における位置関係も任意である。配線27は、パッド25、接続電極31及び端子3の配置に応じて種々の構成とされてよく、さらに、パッド25、接続電極31及び端子3の配置が特定のものである場合においても、種々の構成とされてよい。以下では、パッド25、接続電極31及び端子3の配置が特定のものである場合における配線27の構成の具体例を示す。なお、以下の説明で参照する図面では、便宜上、層状導体に隠れて見えないビア導体を、点線で示さずに、実線で示すことがある。
【0144】
【0145】
図8の例では、2つの接続電極31(別の観点では2つの素子端子13b)は、実施形態とは異なり、実装基体11の枠部上面23e(感温素子13)の1つの短辺に共に位置している。2つのパッド25に接続される2つの端子3が第2基板面23dの2つの対角に位置しているとともに、2つの接続電極31に接続される2つの端子3が他の2つの対角に位置している。また、
図8の例では、
図1の例と同様に、2つのパッド25は、第1基板面23cの長手方向の一方側(-D1側)に位置し、短手方向(D2方向)に並んでいる。2つの接続電極31は、第1基板面23cの長手方向の他方側(+D1側)に位置し、短手方向(D2方向)に並んでいる。
【0146】
2つのパッド25のうち一方(
図8の例では-D1側かつ-D2側のパッド25A)と端子3とを接続する配線27Aは、基板部23aを厚さ方向に貫通するビア導体27bによって構成されている。ビア導体27bは、一端がパッド25Aに接続され、他端が、-D1側かつ-D2側に位置する端子3に接続されている。2つのパッド25のうち他方(
図8の例では-D1側かつ+D2側のパッド25B)と端子3とを接続する配線27Bは、パッド25Bから長手方向の他方側(+D1側)へ延びる層状導体27aと、層状導体27aに重なる位置にて基板部23aを厚さ方向に貫通するビア導体27bによって構成されている。層状導体27aは、第1基板面23cに重なっている。ビア導体27bは、一端が層状導体27aに接続され、他端が、+D1側かつ+D2側に位置する端子3に接続されている。このような2つの配線27によって、2つのパッド25は、2つの対角に位置している端子3に接続されている。
【0147】
2つの接続電極31のうち一方(
図8の例では+D1側かつ-D2側の接続電極31A)と端子3とを接続する配線27Cは、基板部23a及び枠部23bを厚さ方向に貫通するビア導体27dによって構成されている。このビア導体27dは、一端が接続電極31Aに接続され、他端が、+D1側かつ-D2側に位置する端子3に接続されている。2つの接続電極31のうち他方(
図8の例では+D1側かつ+D2側の接続電極31B)と端子3とを接続する配線27Dは、接続電極31から第1金属層35(別の観点では封止材33。以下、
図8~
図10の説明において、矛盾等が生じない限り、同様。)へ延びる層状導体27cと、第1金属層35と、第1金属層35に重なる位置にて基板部23a及び枠部23bを厚さ方向に貫通するビア導体27dによって構成されている。層状導体27cは、枠部上面23eに重なっている。ビア導体27dは、一端が第1金属層35に接続され、他端が、-D1側かつ+D2側に位置する端子3に接続されている。このような2つの配線27によって、2つの接続電極31は、2つの対角に位置している端子3に接続されている。
【0148】
なお、配線27Bの層状導体27aは、一部又は全部が枠部23bと重なっていても構わない(基板部23aと枠部23bとの間に位置していても構わない。)。配線27Dの層状導体27cが延びる方向及び形状等は任意である。
図8の例では、層状導体27cは、+D1側(枠部23bの外縁の短辺側)に延びている。図示の例とは異なり、層状導体27cは、例えば、+D2側(枠部23bの外縁の長辺側)へ延びてもよい。また、層状導体27cは、接続電極31のD2方向の長さと同じ長さを有しつつ、+D1側へ延びてもよい。層状導体27cの材料及び/又は厚さは、接続電極31及び/又は第1金属層35の材料及び/又は厚さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。層状導体27cは、材料、厚さ及び平面形状等の観点において、接続電極31及び/又は第1金属層35と、明瞭に区別できなくても構わない。配線27Dのビア導体27dに加えて、又は代えて、キャスタレーションの内面に配置された層状導体が用いられてもよい。
【0149】
接続電極31Bと接続される端子3は、例えば、基準電位が付与されるものとされてよい。もちろん、接続電極31Bは、基準電位以外の電位が付与されても構わない。
【0150】
図9は、配線27の他の具体例を示す斜視図である。この図は、
図8と同様の図である。
【0151】
図9の例では、配線27Dの構成のみが
図8の例と異なっている。配線27Dは、第1金属層35を含んでいない。別の観点では、接続電極31Bは、第1金属層35と電気的に接続されていない。具体的には、配線27Dは、接続電極31Bから-D1側へ延びる層状導体27cと、層状導体27cに重なるビア導体27dとによって構成されている。ビア導体27bは、一端が層状導体27cに接続され、他端が、-D1側かつ+D2側に位置する端子3に接続されている。
【0152】
図8及び
図9の配線27の具体例によれば、例えば、平面視において電位が変化する配線27を封止材33よりも内側に位置させることが容易である。その結果、例えば、配線27を封止したり、配線27を電磁気的にシールドしたりすることが容易化される。
【0153】
図10は、配線27の更に他の具体例を示す平面図である。この図は、
図4(a)と同様の図である。
【0154】
図10の例においても、
図8の例と同様に、2つのパッド25に接続される2つの端子3が第2基板面23dの2つの対角に位置しているとともに、2つの接続電極31に接続される2つの端子3が他の2つの対角に位置している。2つのパッド25及び2つの接続電極31の位置は、
図4(a)等を参照して説明したとおりである。
図10の例において、配線27A及び27Bは、
図8の例におけるものと同様である。
【0155】
2つの接続電極31のうち一方(
図10の例では-D1側に位置する接続電極31C)と端子3とを接続する配線27Cは、基板部23a及び枠部23bを厚さ方向に貫通するビア導体27dによって構成されている。このビア導体27dは、一端が接続電極31Cに接続され、他端が、-D1側かつ+D2側に位置する端子3に接続されている。2つの接続電極31のうち他方(
図10の例では+D1側に位置する接続電極31D)と端子3とを接続する配線27Cは、基板部23a及び枠部23bを厚さ方向に貫通するビア導体27dによって構成されている。このビア導体27dは、一端が接続電極31Dに接続され、他端が、+D1側かつ-D2側に位置する端子3に接続されている。このような2つの配線27によって、2つの接続電極31は、2つの対角に位置している端子3に接続されている。
【0156】
なお、
図10の例では、接続電極31Dと第1金属層35とが接続されている。従って、配線27Dのビア導体27dの上端は、接続電極31Dと共に第1金属層35に接続されていてもよいし(図示の例)、接続電極31Dのみに接続されていてもよいし、第1金属層35のみに接続されていてもよい。配線27C及び/又は27Dのビア導体27dに加えて、又は代えて、キャスタレーションの内面に配置された層状導体が用いられてもよい。接続電極31Dと接続される端子3は、例えば、基準電位が付与されるものとされてよい。もちろん、これまでにも述べたように、接続電極31Dは、基準電位以外の電位が付与されても構わない。
【0157】
図10の配線27の具体例によれば、例えば、電位が異なる配線27が交差することを避けやすい。その結果、配線27同士の電気的な干渉が低減される。ひいては、振動子の特性が向上する。
【0158】
<水晶振動子の利用例>
図11は、水晶振動子1の利用例を示す模式図である。なお、便宜上、実施形態の符号を用いるが、ここでの説明は、変形例に適用されてよい。
【0159】
図11の下段の断面図に示すように、振動子1は、例えば、回路基板53に実装されて利用される。より詳細には、既述のとおり、互いに対向する端子3と回路基板53の上面の不図示のパッドとが両者の間の導電性の接合材(符号省略)によって接合される。なお、振動子1は、回路基板53以外の基体に実装されても構わない。例えば、振動子1は、基板の概念からは乖離した形状を有する基体(例えばパッケージを構成する基体)に実装されてもよい。なお、ここでの説明において、回路基板53の語は、矛盾等が生じない限り、その上位概念としての基体の語に置換されてよい。
【0160】
回路基板53に実装された振動子1は、絶縁性の封止材55によって封止されていてもよいし(図示の例)、封止されていなくてもよい。封止材55の材料としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂には絶縁性(あるいは導電性)のフィラーが混ぜられていてもよい。封止材55の物性(例えば断熱性及び剛性)は適宜に設定されてよい。封止材55は、例えば、振動子1の上面及び側面を覆いつつ、回路基板53の上面に接合されている。封止材55は、振動子1と回路基板53との間に介在していていもよいし、介在していなくてもよい。封止材55は、図示の例とは異なり、振動子1の上面を覆っていなくてもよい。封止材55は、振動子1と共に、回路基板53に実装された他の電子部品を封止していてもよい。
【0161】
回路基板53は、例えば、配線板(例えばプリント配線板)と、配線板に実装又は内蔵された1以上の電子要素とを有している。電子要素としては、例えば、集積回路素子(IC:Integrated Circuit)、キャパシタ、インダクタ及び抵抗体が挙げられる。そして、回路基板53は、
図11の上段に示すように、1以上の電子要素によって構成された種々の回路(53a~53d)を有している。なお、便宜上、「回路」と称するが、種々の回路の一部又は全部は、プロセッサがプログラムを実行することによって実現されても構わない。回路基板53が有している回路は、例えば、以下のとおりである。
【0162】
発振回路53aは、交流電流を水晶素子5に印加して発振信号を生成する。温度補償回路53b(
図11では「補償回路」と略して表記)は、感温素子7が検出した検出温度に応じた信号を発振回路53aに入力することによって、温度に起因する水晶素子5の周波数特性の変化を補償する。より詳細には、感温素子7は、温度に応じた信号レベル(例えば電圧又は電流)を有するアナログ信号を出力する。A/D回路53dは、感温素子7からのアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。換算回路53cは、A/D回路53dからのデジタル信号の値を温度に換算して補償回路53bに出力する。なお、振動子1と回路基板53(別の観点では回路基板53が有する回路のうち少なくとも発振回路53a)との組み合わせは、発振器53として捉えられてよい。
【0163】
以上の実施形態及び変形例において、水晶振動子1、1D、1E、1F、1G及び1Hそれぞれは、圧電デバイスの一例である。水晶素子5は圧電素子の一例である。
【0164】
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0165】
圧電体は、水晶に限定されない。例えば、圧電体は、他の単結晶であってもよいし、多結晶からなるもの(例えばセラミック)であってもよい。なお、水晶に適宜なドーパントが添加されたものは水晶の一種であるものとする。
【0166】
圧電デバイスは、水晶振動子(圧電振動子)に限定されない。例えば、圧電デバイスは、圧電素子(例えば水晶素子)に加えて、圧電素子に電圧を印加して発振信号を生成する集積回路素子(IC:Integrated Circuit)を有する発振器であってもよい。また、圧電デバイスは、発振信号の生成に寄与するものではなくてもよい。例えば、圧電デバイスは、ジャイロセンサであってもよい。また、圧電デバイスは、圧電素子、感温素子及びIC以外の電子素子を備えていてもよい。
【0167】
上記から理解されるように、圧電デバイスが有するパッド(例えばパッド25及び接続電極31)の数及び外部端子(例えば端子3)の数は任意であり、また、複数のパッド及び複数の外部端子の接続関係も任意である。例えば、発振器においては、圧電素子及び感温素子は、圧電デバイスの外部端子ではなく、ICに電気的に接続されてよい。
【0168】
圧電デバイスにおいて、圧電素子をパッケージングするパッケージの構造は、適宜な構成とされてよい。例えば、パッケージは、上面及び下面に凹部を有する断面H型のものであってもよい。この場合、下面の凹部には、例えば、上記のICが実装されてよい。また、パッケージは、恒温槽を有していてもよい。また、圧電デバイスは、表面実装されるものでなくてもよく、例えば、スルーホール実装されるものであってもよい。圧電デバイスが表面実装型か否かに関わらず、パッケージの外部端子(実施形態では端子3)は、層状でなくてもよく、例えば、ピン状とされてよい。
【0169】
感温素子は、実装基体(別の観点では端子3)と電気的に接続されていなくてもよい。例えば、感温素子の上面(凹部とは反対側の面)に素子端子を設け、ボンディングワイヤによって、素子端子と、圧電デバイスが実装される回路基板53とを電気的に接続してもよい。
【0170】
圧電素子の実装基体に対する実装態様は、種々のものとされてよい。例えば、圧電素子は、2つの引出電極に接合される2つの導電性の接合材によって両端支持されてもよい。また、例えば、圧電素子は、1つの引出電極に導電性の接合材が接合されるとともに、1つの引出電極にボンディングワイヤが接合されてもよい。また、圧電素子の一端又は両端を支持するための接合材として、引出電極の領域とは異なる領域に接合される絶縁性(導電性とすることも可能)の接合材が用いられてもよい。
【0171】
感温素子は、チップ型の素子の概念に必ずしも当てはまらなくてもよい。例えば、従来の圧電デバイスの蓋体と同様又は類似した蓋体の、実装基体側の面に感温膜(例えば薄膜サーミスタ)を設けることによって、蓋体及び感温膜からなる感温素子が構成されてもよい。
【0172】
実施形態の説明では、感温素子が圧電素子に対して凹部の底面とは反対側に位置することによって、凹部の底面側の温度が計測温度に及ぼす影響が低減され、計測温度が圧電素子の温度に追従しやすくなる効果について特に着目した。ただし、そのような効果は、必ずしも奏されなくてもよい。そのような効果が奏されなくても、感温素子が凹部を塞ぐ構成によって種々の効果が奏され得る。例えば、既述のように、感温素子が蓋体に兼用されることになり、圧電デバイスが小型化される。圧電素子を実装基体に実装した後、かつ凹部を塞ぐ前の検査又は加工が感温素子に及ぼす影響が低減される。
【0173】
本開示からは以下の概念を抽出可能である。
(概念1)
圧電素子と、
凹部を有しており、前記凹部の底面に前記圧電素子が実装されている実装基体と、
前記凹部を気密封止している感温素子と、
を有している圧電デバイス。
(概念2)
前記感温素子は、前記凹部の底面に沿う方向において前記実装基体と互いに当接していない
概念1に記載の圧電デバイス。
(概念3)
前記感温素子は、前記凹部の上端に嵌っている部分を有している
概念1に記載の圧電デバイス。
(概念4)
前記感温素子は、前記実装基体の上端を外周側から囲んでいる部分を有している
概念1に記載の圧電デバイス。
(概念5)
前記感温素子は、
素子本体と、
前記素子本体の外部に露出している2つの素子端子と、を有しており、
前記実装基体は、
前記凹部の底面を有している基板部と、
前記凹部の内周面を有している枠部と、
前記枠部の上端に位置しており、前記2つの素子端子に接合されている2つの接続電極と、を有しており、
前記素子本体と前記枠部の上端とは、前記枠部の上端に沿って環状に延びる封止領域において互いに接合されており、
前記2つの接続電極の少なくとも1つは、前記封止領域よりも内周側に位置している
概念1~4のいずれか1つに記載の圧電デバイス。
(概念6)
前記感温素子は、
素子本体と、
前記素子本体の外部に露出している2つの素子端子と、を有しており、
前記実装基体は、
前記凹部の底面を有している基板部と、
前記凹部の内周面を有している枠部と、
前記枠部の上端に位置しており、前記2つの素子端子に接合されている2つの接続電極と、を有しており、
前記素子本体と前記枠部の上端とは、前記枠部の上端に沿って環状に延びる封止領域において互いに接合されており、
前記2つの接続電極の少なくとも1つは、前記封止領域よりも外周側に位置している
概念1~5のいずれか1つに記載の圧電デバイス。
(概念7)
前記感温素子は、
素子本体と、
前記素子本体の外部に露出している2つの素子端子と、を有しており、
前記実装基体は、
前記凹部の底面を有している基板部と、
前記凹部の内周面を有している枠部と、
前記枠部の上端に位置しており、前記2つの素子端子に接合されている2つの接続電極と、
前記枠部の上端に位置しており、前記枠部の上端に沿って延びて環状を呈しており、前記素子本体と接合される封止用の金属層と、を有しており、
前記2つの接続電極のうち1つは、前記枠部の上端において前記金属層とつながっている
概念1~6のいずれか1つに記載の圧電デバイス。
【符号の説明】
【0174】
1…水晶振動子(圧電デバイス)、5…水晶素子(圧電素子)、11…実装基体、13…感温素子、R1…凹部。