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特開2023-98692デジタル印刷システムにおける品質制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098692
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】デジタル印刷システムにおける品質制御
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230703BHJP
【FI】
B41J2/01 101
B41J2/01 451
B41J2/01 305
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022209202
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】63/294,075
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アブラハム,ガットマン
(72)【発明者】
【氏名】シャイ,シルバースタイン
(72)【発明者】
【氏名】ヨアフ,グロス
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB27
2C056EB36
2C056EC12
2C056EC34
2C056EC35
2C056FA13
2C056FD13
2C056HA29
2C056HA46
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デジタル印刷システム(DPS)における品質制御を行うためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】DPSは、インク画像を中間転写部材の表面から基板に転写するためのインプレッションステーションを備える。インプレッションステーションは、インク画像の転写中に基板を圧胴に沿って運ぶためにそれがDPSを通過する際に基板の前縁を把持および保持するように動作可能な1つ以上のグリッパを収容する圧胴を備える。撮像装置は圧胴上での基板の前進中にグリッパの少なくとも一部および基板の少なくとも一部に関連づけられている関心領域(ROI)を含むデジタル画像をキャプチャするように動作可能である。制御装置は、デジタル画像に基づいてグリッパに対する基板の位置のエラーを示すように構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル印刷システムであって、
フレキシブルベルトを含む中間転写部材(ITM)であって、前記ITMは、その表面上にインク画像を形成させるように動作可能である、ITMと、
前記インク画像を前記ITMの表面から基板に転写するように構成されたインプレッションステーションであって、前記インプレッションステーションは、
前記インク画像の転写中に回転可能な圧胴の回転軸に沿って前記基板を運ぶために、それがデジタル印刷システムを通過する際に前記基板の前縁である前記基板のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能な1つ以上のグリッパを収容する圧胴ギャップを有する回転可能な圧胴であって、前記グリッパエッジの後端は前記グリッパエッジと前記基板の残りの部分とを区別しており、かつ前記グリッパのグリッパ下線と一致しており、かつ前記グリッパエッジの先端は前記グリッパエッジの前記後端に対向している、回転可能な圧胴、および
その上に前記インク画像が形成された前記ITMの表面が回転可能な圧力シリンダと前記回転可能な圧胴との間を通る際に前記回転可能な圧胴と同期し、かつそれに対向する方向に回転して前記インク画像の転写を可能にするように動作可能な回転可能な圧力シリンダ
を備える、インプレッションステーションと、
画質制御システムであって、
前記回転している圧胴上での前記基板の前進中に、前記1つ以上のグリッパの少なくとも一部および前記基板の少なくとも一部に関連づけられている関心領域(ROI)を含むデジタル画像をキャプチャするように動作可能な撮像装置であって、前記ROIの上縁は前記1つ以上のグリッパの前記少なくとも一部および前記グリッパエッジの少なくとも一部に関連づけられており、かつ前記ROIの下縁は前記基板の残りの部分の少なくとも一部に関連づけられている撮像装置、および
制御装置であって、
前記ROIにおいて前記ROIの前記上縁の上端から前記ROIの前記下縁の下端まで延在している複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定し、それにより前記複数の異なる列の画素のために暗明遷移点を生成し、
前記暗明遷移点をグリッパエッジモデルに当てはめることにより前記グリッパエッジの前記先端を決定し、
その後に二次暗明遷移点である前記グリッパエッジの先端からの画素の閾値数を超える暗明遷移点をグリッパモデルに当てはめることにより前記グリッパの前記グリッパ下線を決定し、
前記グリッパエッジの前記先端を前記グリッパの前記グリッパ下線と比較し、
前記比較に基づいて、前記グリッパエッジの前記先端と前記グリッパの前記グリッパ下線との適切な関係を示す1つ以上の基準の少なくとも1つの基準が満たされていないこと、すなわち前記グリッパに対する前記基板の位置のエラーを示すことを決定し、かつ
前記少なくとも1つの基準が満たされていないという決定に基づき1つ以上の動作を行う
ように構成された制御装置
を備える、画質制御システムと
を備える、デジタル印刷システム。
【請求項2】
前記1つ以上の基準は前記グリッパエッジの先端と前記グリッパのグリッパ下線との間の所望の変位範囲を含む、請求項1に記載のデジタル印刷システム。
【請求項3】
前記1つ以上の基準は所定の差よりも小さい前記グリッパエッジの先端の第1の傾きと前記グリッパのグリッパ下線の第2の傾きとの差を含む、請求項1に記載のデジタル印刷システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、
前記代表的な明るい濃淡値および前記代表的な暗い濃淡値に基づいて前記それぞれの列の画素のために前記代表的な明るい濃淡値と前記代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、および
所定の関係に従って前記遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有する前記それぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するために前記それぞれの列の画素を検索すること
により、前記複数の異なる列の画素の各列の画素のために前記暗明遷移点を決定するように構成されており、
ここでは暗明遷移点は前記濃淡遷移画素または前記濃淡遷移画素のサブ画素である、請求項1に記載のデジタル印刷システム。
【請求項5】
前記所定の関係は、
(a)前記所与の画素濃淡値は、前記遷移濃淡値と同一であるか前記それぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記遷移濃淡値に最も近い、
(b)前記所与の画素濃淡値は、前記遷移濃淡値と同一であるか前記遷移濃淡値よりも小さい前記それぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記遷移濃淡値に最も近い、または
(c)前記所与の画素濃淡値は、前記遷移濃淡値と同一であるか前記遷移濃淡値よりも大きい前記それぞれの異なる列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記遷移濃淡値に最も近い
のうちの1つである、請求項4に記載のデジタル印刷システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、
前記代表的な明るい濃淡値および前記代表的な暗い濃淡値に基づいて前記それぞれの列の画素のために前記代表的な明るい濃淡値と前記代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、
所定の関係に従って前記遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有する前記それぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するために前記それぞれの列の画素を検索すること、
前記濃淡遷移画素の所与の数の画素内である前記それぞれの列の画素内の画素の群からなる短い列を定めること、
前記短い列のために第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値を与えること、
前記第2の明るい濃淡値および前記第2の暗い濃淡値に基づいて前記短い列のために前記第2の明るい濃淡値と前記第2の暗い濃淡値との間である第2の遷移濃淡値を計算すること、および
第2の所定の関係に従って前記第2の遷移濃淡値に関する第2の所与の画素濃淡値を有する第2の濃淡遷移画素のために前記短い列を検索すること
により前記ROIにおいて前記複数の異なる列の画素の各列の画素のために前記暗明遷移点を決定するように構成されており、
ここでは暗明遷移点は前記第2の濃淡遷移画素または前記第2の濃淡遷移画素のサブ画素である、請求項1に記載のデジタル印刷システム。
【請求項7】
前記第2の所定の関係は、
前記第2の所与の画素濃淡値は前記第2の遷移濃淡値と同一であるか前記短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記第2の遷移濃淡値に最も近い、
前記第2の所与の画素濃淡値は前記第2の遷移濃淡値と同一であるか、前記第2の遷移濃淡値よりも小さい前記短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記第2の遷移濃淡値に最も近い、または
前記第2の所与の画素濃淡値は前記第2の遷移濃淡値と同一であるか、前記第2の遷移濃淡値よりも大きい前記短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記第2の遷移濃淡値に最も近い
のうちの1つである、請求項6に記載のデジタル印刷システム。
【請求項8】
前記動作は、(a)前記デジタル印刷システムのオペレータに警報を与えること、(b)前記基板を拒絶すること、または(c)前記デジタル印刷システムの動作を中断することのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のデジタル印刷システム。
【請求項9】
デジタル印刷システムにおいて品質制御を行うための方法であって、デジタル印刷システムは、
フレキシブルベルトを含む中間転写部材(ITM)であって、前記ITMは、その表面にインク画像を形成させるように動作可能である、ITMと、
前記インク画像を前記ITMの表面から基板に転写するように構成されたインプレッションステーションであって、前記インプレッションステーションは、
前記インク画像の転写中に回転可能な圧胴の回転軸に沿って前記基板を運ぶために、それがデジタル印刷システムを通過する際に前記基板の前縁である前記基板のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能な1つ以上のグリッパを収容する圧胴ギャップを有する回転可能な圧胴であって、前記グリッパエッジの後端は前記グリッパエッジと前記基板の残りの部分とを区別しており、かつ前記グリッパのグリッパ下線と一致しており、かつ前記グリッパエッジの先端は前記グリッパエッジの後端に対向している、回転可能な圧胴、および
その上に前記インク画像が形成された前記ITMの表面が回転可能な圧力シリンダと前記回転可能な圧胴との間を通る際に前記回転可能な圧胴と同期し、かつそれに対向する方向に回転して前記インク画像の転写を可能にするように動作可能な回転可能な圧力シリンダ
を備える、インプレッションステーションと、
画質制御システムであって、
前記回転している圧胴上での前記基板の前進中に、前記1つ以上のグリッパの少なくとも一部および前記基板の少なくとも一部に関連づけられている関心領域(ROI)を含むデジタル画像をキャプチャするように動作可能な撮像装置であって、前記ROIの上縁は前記1つ以上のグリッパの少なくとも一部および前記グリッパエッジの少なくとも一部に関連づけられており、かつ前記ROIの下縁は前記基板の残りの部分の少なくとも一部に関連づけられている撮像装置、および
制御装置
を備える、画質制御システムと、
を備え、
前記方法は、前記制御装置によって行われ、かつ
前記ROIにおいて前記ROIの上縁の上端から前記ROIの下縁の下端まで延在している複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定し、それにより前記複数の異なる列の画素のために暗明遷移点を生成することと、
前記暗明遷移点をグリッパエッジモデルに当てはめることにより前記グリッパエッジの先端を決定することと、
その後に二次暗明遷移点である前記グリッパエッジの先端からの画素の閾値数を超える暗明遷移点をグリッパモデルに当てはめることにより前記グリッパのグリッパ下線を決定することと、
前記グリッパエッジの先端を前記グリッパのグリッパ下線と比較することと、
前記比較に基づいて、前記グリッパエッジの先端と前記グリッパのグリッパ下線との適切な関係を示す1つ以上の基準の少なくとも1つの基準が満たされていないこと、すなわち前記グリッパに対する前記基板の位置のエラーを示すことを決定することと、
前記少なくとも1つの基準が満たされていないという決定に基づき1つ以上の動作を行うことと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記ROIは前記基板の全ての幅に関連づけられている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の基準は前記グリッパエッジの先端と前記グリッパのグリッパ下線との間の所望の変位範囲を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の基準は所定の差よりも小さい前記グリッパエッジの先端の第1の傾きと前記グリッパのグリッパ下線の第2の傾きとの差を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の異なる列の画素の各列の画素のために前記暗明遷移点を決定することは、
それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、
前記代表的な明るい濃淡値および前記代表的な暗い濃淡値に基づいて前記それぞれの列の画素のために前記代表的な明るい濃淡値と前記代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、および
所定の関係に従って前記遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有する前記それぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するために前記それぞれの列の画素を検索すること
により行われ、
ここでは暗明遷移点は前記濃淡遷移画素または前記濃淡遷移画素のサブ画素である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記所定の関係は、
(a)前記所与の画素濃淡値は、前記遷移濃淡値と同一であるか前記それぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記遷移濃淡値に最も近い、
(b)前記所与の画素濃淡値は、前記遷移濃淡値と同一であるか前記遷移濃淡値よりも小さい前記それぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記遷移濃淡値に最も近い、または
(c)前記所与の画素濃淡値は、前記遷移濃淡値と同一であるか前記遷移濃淡値よりも大きい前記それぞれの異なる列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記遷移濃淡値に最も近い、
のうちの1つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ROIにおいて前記複数の異なる列の画素の各列の画素のために前記暗明遷移点を決定することは、
前記それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、
前記代表的な明るい濃淡値および前記代表的な暗い濃淡値に基づいて前記それぞれの列の画素のために前記代表的な明るい濃淡値と前記代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、
所定の関係に従って前記遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有する前記それぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するために前記それぞれの列の画素を検索すること、
前記濃淡遷移画素の所与の数の画素内である前記それぞれの列の画素内の画素の群からなる短い列を定めること、
前記短い列のために第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値を与えること、
前記第2の明るい濃淡値および前記第2の暗い濃淡値に基づいて前記短い列のために前記第2の明るい濃淡値と前記第2の暗い濃淡値との間である第2の遷移濃淡値を計算すること、
第2の所定の関係に従って前記第2の遷移濃淡値に関する第2の所与の画素濃淡値を有する第2の濃淡遷移画素のために前記短い列を検索すること
により行われ、
ここでは暗明遷移点は前記第2の濃淡遷移画素または前記第2の濃淡遷移画素のサブ画素である、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の所定の関係は、
前記第2の所与の画素濃淡値は前記第2の遷移濃淡値と同一であるか前記短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記第2の遷移濃淡値に最も近い、
前記第2の所与の画素濃淡値は前記第2の遷移濃淡値と同一であるか、前記第2の遷移濃淡値よりも小さい前記短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記第2の遷移濃淡値に最も近い、または
前記第2の所与の画素濃淡値は前記第2の遷移濃淡値と同一であるか、前記第2の遷移濃淡値よりも大きい前記短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から前記第2の遷移濃淡値に最も近い
のうちの1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記動作は、(a)前記デジタル印刷システムのオペレータに警報を与えること、(b)前記基板を拒絶すること、または(c)前記デジタル印刷システムの動作を中断することのうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
その中に具体化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読プログラムコードは、デジタル印刷システムにおいて品質制御を行うための方法を行うために前記デジタル印刷システムの制御装置によって実行可能であり、前記デジタル印刷システムは、
フレキシブルベルトを含む中間転写部材(ITM)であって、前記ITMは、その表面にインク画像を形成させるように動作可能である、ITMと、
前記インク画像を前記ITMの表面から基板に転写するように構成されたインプレッションステーションであって、
前記インク画像の転写中に回転可能な圧胴の回転軸に沿って前記基板を運ぶために、それが前記デジタル印刷システムを通過する際に前記基板の前縁である前記基板のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能な1つ以上のグリッパを収容する圧胴ギャップを有する回転可能な圧胴であって、前記グリッパエッジの後端は前記グリッパエッジと前記基板の残りの部分とを区別しており、かつ前記グリッパのグリッパ下線と一致しており、かつ前記グリッパエッジの先端は前記グリッパエッジの後端に対向している回転可能な圧胴、および
その上に前記インク画像が形成された前記ITMの表面が回転可能な圧力シリンダと前記回転可能な圧胴との間を通る際に前記回転可能な圧胴と同期し、かつそれに対向する方向に回転して前記インク画像の転写を可能にするように動作可能な回転可能な圧力シリンダ
を備える、インプレッションステーションと、
画質制御システムであって、
前記回転している圧胴上での前記基板の前進中に、前記1つ以上のグリッパの少なくとも一部および前記基板の少なくとも一部に関連づけられている関心領域(ROI)を含むデジタル画像をキャプチャするように動作可能な撮像装置であって、前記ROIの上縁は前記1つ以上のグリッパの少なくとも一部および前記グリッパエッジの少なくとも一部に関連づけられており、かつ前記ROIの下縁は前記基板の残りの部分の少なくとも一部に関連づけられている撮像装置、および
前記制御装置
を備える、画質制御システムと、
を備え、
前記方法は、
前記ROIにおいて前記ROIの上縁の上端から前記ROIの下縁の下端まで延在している複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定し、それにより前記複数の異なる列の画素のために暗明遷移点を生成することと、
前記暗明遷移点をグリッパエッジモデルに当てはめることにより前記グリッパエッジの先端を決定することと、
その後に二次暗明遷移点である前記グリッパエッジの先端からの画素の閾値数を超える暗明遷移点をグリッパモデルに当てはめることにより前記グリッパのグリッパ下線を決定することと、
前記グリッパエッジの先端を前記グリッパのグリッパ下線と比較することと、
前記比較に基づいて、前記グリッパエッジの先端と前記グリッパのグリッパ下線との適切な関係を示す1つ以上の基準の少なくとも1つの基準が満たされていないこと、すなわち前記グリッパに対する前記基板の位置のエラーを示すことを決定することと、
前記少なくとも1つの基準が満たされていないという決定に基づき1つ以上の動作を行うことと、
を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル印刷システムにおける品質制御に関する。特に本発明は、デジタル印刷システムにおいてグリッパに対する基板の位置のエラーを検出するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル印刷装置は間接的なインクジェット印刷プロセスを使用することができ、ここではインクジェット印刷ヘッドが中間転写部材(ITM)の表面にインク液滴を堆積させてインク画像を形成し、次いでITMがこの画像を基板上に転写する。確実にITM上の画像を基板上に正確に転写するために、デジタル印刷装置の回転可能な圧胴上に装着されているグリッパは、ITMから基板上への画像の転写中に基板を把持および保持する。しかしITM上の画像を基板上に正確に転写するために、グリッパは基板を把持して、基板の位置とグリッパとの所定の関係を達成しなければならない。
【0003】
従って、デジタル印刷システムにおいてグリッパに対する基板の位置のエラーを検出するための新しいシステムおよび方法が当該技術分野において必要とされている。
【0004】
現在開示されている主要部の背景技術として関連しているとみなされる参考文献が以下に列挙されている。本明細書における参考文献の承認は、これらが何らかの方法で現在開示されている主要部の特許性に関連しているということを意味するものとして推測されるものではない。
【0005】
2020年12月3日に公開された米国特許出願公開第2020/0376860号(「Pakerら」)は、印刷基板の少なくとも一部の画像をキャプチャするためのカメラと、画像から基板の側端の一部の位置を決定して所定の位置からの印刷基板の距離を決定するための制御装置と、決定された位置に基づいて基板全体を基板の輸送方向に対して横方向に調整するための調整装置とを備える印刷装置を提供している。
【0006】
2007年6月28日に公開された米国特許出願公開第2007/0144368号(「Barazaniら」)は、a)インプレッションローラー、b)グリッパが開いている場合に印刷媒体を受け入れ、画像が印刷される間に印刷媒体をインプレッションローラーに対して保持するために閉じ、かつ印刷媒体をインプレッションローラーから解放するために開くグリッパ、およびc)グリッパが開いているか閉じているかを感知する少なくとも1つのセンサを備える、画像を印刷媒体上に印刷するためのシステムを開示している。
【0007】
2008年5月1日に公開された米国特許出願公開第2008/0101895号(「Holcombら」)は、少なくとも1つの可動グリッパジョーおよび少なくとも1つのグリッパジョーと共に移動するために結合されているセンサ部材を備えるグリッパアセンブリを開示している。センサ部材はスロットを備える。センサは少なくとも部分的にスロット内に位置しており、センサ部材の近接を誘導により検出するための少なくとも1つのインダクタを備える。
【0008】
2012年11月8日に公開された米国特許出願公開第2012/0280447号(「Kayanuma」)は、そのシート前端部においてクランパとプラテンドラムとの間で掴まれるシートを開示している。クランパには弾性を有する押圧部材が設けられており、押圧部材は2つの突起部を有する。運搬中に押圧面はシートの前端部にしっかりと接触し、突起部は弾性変形して圧縮される。シートの傾斜を補正する場合、突起部がシートの前端部を押圧している間にのみクランパを回転させる。
【0009】
2005年11月2日に公開された日本国特許第3712547号(「Mitsubishi Heavy Ind社」)は、枚葉印刷機においてスインググリッパを介してシートをフィーダボードユニットから印刷装置に運ぶための給紙制御方法、およびフィーダボードユニットからスインググリッパにシートが転写された場合のシート状況を開示している。日本特許第3712547号は不正給紙を検出する装置に関する。
【0010】
2012年4月26日に公開された日本特許出願公開第2012/081770号(「Kuska」)は、シート状物体が無駄になるのを防ぐことにより印刷のために必要とされるコストを大幅に削減させることを開示している。見当部と接触している前端を有するシート状物体の見当不良を検出する見当センサによって見当不良が検出された場合に、制御装置はインクジェットプリンタを制御して見当不良識別マークをシート状物体に付ける。同時に制御装置は、見当不良を有するシート状物体を不良品パイルに紙積するために、胴抜き装置によって胴抜きが行われるように制御を行う。
【0011】
2018年10月4日に公開された米国特許出願公開第2018/0281382号(「Umezawaら」)は、インク画像の形成領域およびインク画像がカットシートに転写される転写領域を循環的に通過するように移動する転写部材と、カットシートを転写部材に連続的に供給する供給部とを有する印刷装置を提供している。印刷装置制御部は、同じサイズの複数のカットシート上に連続的に印刷する場合には印刷対象の画像を表している画像データを処理するために要した時間に基づいてカットシートの供給を停止し、カットシートの供給が停止されたタイミングで転写領域を通過する転写部材上の部分的領域にはインク画像を形成せず、転写部材の移動を継続しながら残りの領域にインク画像を形成する。
【0012】
2006年8月10日に公開された米国特許出願公開第2006/0175559号(「Fischerら」)は、印刷用原版を記録するためにそこに当該板を保持する感光ドラムを有する感光部、そのドラムに沿って軸方向に移動し、かつ露光ビームを当該版に集中させる露光ヘッドを備える、記録材料(特に印刷版)の縁を検出するための装置および方法を開示している。光ファイバーはドラム表面および照明装置に嵌め込まれており、ドラムに沿って軸方向に移動し、ファイバーの中に半径方向に光を放射する。ファイバーにある光検出器はその中に放射された光を受信する。その中に放射された光を当該版で覆うことを使用して当該版の縁を検出する。照明装置を移動させる送り駆動のサイクルを数えることにより、その縁の軸方向位置を決定する。あるいは光源の光はファイバーの中に軸方向に放射され、ファイバーによって半径方向に放射された光は送り駆動装置によって移動する光検出器を用いて受け取られる。
【0013】
2019年8月1日に公開された米国特許出願公開第2019/0232638号(「Ziegenbalgら」)は、それぞれが基板案内ユニットおよび基板処理装置を有する複数の異なる処理ステーションによりシート状基板を連続的に処理する機械構成を開示している。処理ステーションの少なくとも1つは、基板処理装置として基板上に印刷する少なくとも1つのノンインパクト印刷装置を有する。少なくとも1つのノンインパクト印刷装置を備える処理ステーションは印刷胴を有する。各ノンインパクト印刷装置は印刷胴の外周に配置されている。印刷胴は3倍のサイズまたは4倍のサイズであってもよい。2倍のサイズまたは3倍のサイズの転写ドラム、あるいは対応する供給胴はこの印刷胴の直接上流に配置されている。あるいは、2倍のサイズまたは3倍のサイズの転写ドラムあるいは対応する転写胴はこの印刷胴の直接下流に配置されている。
【0014】
2008年12月4日に公開された米国特許出願公開第2008/0295724号(「Lohwegら」)は、印刷機でのその処理中に印刷基板上での印刷エラーの発生を検出するための方法であって、印刷機の機能的構成要素に複数のセンサを設けて印刷基板の処理中に印刷機の挙動を監視する工程と、印刷機の挙動のインライン分析を行って、印刷基板上での印刷エラーの発生につながるかその可能性が高い、あるいは印刷基板の良好な印刷品質につながるかその可能性が高い印刷機の特徴的挙動の発生を決定する工程と含む方法について記載している。印刷機の挙動のインライン分析は好ましくは、印刷機の挙動のファジィパターン分類を行うことを含む。この提案されている方法の一実施形態によれば、印刷機の挙動のインライン分析は印刷基板のインライン光学検査と組み合わせられる。
【発明の概要】
【0015】
現在開示されている主要部の第1の態様によれば、フレキシブルベルトを含む中間転写部材(ITM)であって、ITMは、その表面上にインク画像を形成させるように動作可能である、ITMと、インク画像をITMの表面から基板に転写するように構成されたインプレッションステーションであって、インク画像の転写中に回転可能な圧胴の回転軸に沿って基板を運ぶために、それがデジタル印刷システムを通過する際に基板の前縁である基板のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能な1つ以上のグリッパを収容する圧胴ギャップを有する回転可能な圧胴であって、グリッパエッジの後端はグリッパエッジと基板の残りの部分とを区別しており、かつグリッパのグリッパ下線と一致しており、かつグリッパエッジの先端はグリッパエッジの後端に対向している回転可能な圧胴、およびその上にインク画像が形成されたITMの表面が回転可能な圧力シリンダと回転可能な圧胴との間を通る際に回転可能な圧胴と同期し、かつそれに対向する方向に回転してインク画像の転写を可能にするように動作可能な回転可能な圧力シリンダを備えるインプレッションステーションと、画質制御システムであって、回転している圧胴上での基板の前進中に、1つ以上のグリッパの少なくとも一部および基板の少なくとも一部に関連づけられている関心領域(ROI)を含むデジタル画像をキャプチャするように動作可能な撮像装置であって、ROIの上縁は1つ以上のグリッパの少なくとも一部およびグリッパエッジの少なくとも一部に関連づけられており、かつROIの下縁は基板の残りの部分の少なくとも一部に関連づけられている撮像装置、およびROIにおいてROIの上縁の上端からROIの下縁の下端まで延在している複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定し、それにより複数の異なる列の画素のために暗明遷移点を生成し、暗明遷移点をグリッパエッジモデルに当てはめることによりグリッパエッジの先端を決定し、その後に二次暗明遷移点であるグリッパエッジの先端からの画素の閾値数を超える暗明遷移点をグリッパモデルに当てはめることによりグリッパのグリッパ下線を決定し、グリッパエッジの先端をグリッパのグリッパ下線と比較し、その比較に基づいて、グリッパエッジの先端とグリッパのグリッパ下線との適切な関係を示す1つ以上の基準の少なくとも1つの基準が満たされていないこと、すなわちグリッパに対する基板の位置のエラーを示すことを決定し、かつ少なくとも1つの基準が満たされていないという決定に基づき1つ以上の動作を行うように構成された制御装置を備える画質制御システムとを備えるデジタル印刷システムが提供される。
【0016】
場合によっては、ROIは基板の全ての幅に関連づけられている。
【0017】
場合によっては、1つ以上の基準はグリッパエッジの先端とグリッパのグリッパ下線との間の所望の変位範囲を含む。
【0018】
場合によっては、1つ以上の基準は所定の差よりも小さいグリッパエッジの先端の第1の傾きとグリッパのグリッパ下線の第2の傾きとの差を含む。
【0019】
場合によっては、制御装置は、それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値に基づいてそれぞれの列の画素のために代表的な明るい濃淡値と代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、および所定の関係に従って遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有するそれぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するためにそれぞれの列の画素を検索することにより、複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定するように構成されており、ここでは暗明遷移点は濃淡遷移画素または濃淡遷移画素のサブ画素である。
【0020】
場合によっては、所定の関係は、(a)「所与の画素濃淡値は遷移濃淡値と同一であるかそれぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」、(b)「所与の画素濃淡値は遷移濃淡値と同一であるか遷移濃淡値よりも小さいそれぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」、または(c)「所与の画素濃淡値は遷移濃淡値と同一であるか遷移濃淡値よりも大きいそれぞれの異なる列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」のうちの1つである。
【0021】
場合によっては、遷移濃淡値は代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値の平均である。
【0022】
場合によっては、代表的な明るい濃淡値はそれぞれの異なる列の画素中の最も明るい画素に関連づけられており、代表的な暗い濃淡値はそれぞれの異なる列の画素中の最も暗い画素に関連づけられている。
【0023】
場合によっては、制御装置は、それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値に基づいてそれぞれの列の画素のために代表的な明るい濃淡値と代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、所定の関係に従って遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有するそれぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するためにそれぞれの列の画素を検索すること、濃淡遷移画素の所与の数の画素内であるそれぞれの列の画素内の画素の群からなる短い列を定めること、短い列のために第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値を与えること、第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値に基づいて短い列のために第2の明るい濃淡値と第2の暗い濃淡値との間である第2の遷移濃淡値を計算すること、および第2の所定の関係に従って第2の遷移濃淡値に関する第2の所与の画素濃淡値を有する第2の濃淡遷移画素のために短い列を検索することにより、ROIにおいて複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定するように構成されており、ここでは暗明遷移点は第2の濃淡遷移画素または第2の濃淡遷移画素のサブ画素である。
【0024】
場合によっては、第2の所定の関係は「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」、「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか、第2の遷移濃淡値よりも小さい短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」、または「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか、第2の遷移濃淡値よりも大きい短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」のうちの1つである。
【0025】
場合によっては、第2の遷移濃淡値は第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値の平均である。
【0026】
場合によっては、第2の明るい濃淡値は短い列における最も明るい画素に関連づけられており、第2の暗い濃淡値は短い列における最も暗い画素に関連づけられている。
【0027】
場合によっては、グリッパエッジモデルはランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズムを暗明遷移点に適用することにより決定され、グリッパモデルはRANSACアルゴリズムを二次暗明遷移点に適用することにより決定される。
【0028】
場合によっては、当該動作は、(a)デジタル印刷システムのオペレータに警報を与えること、(b)基板を拒絶すること、または(c)デジタル印刷システムの動作を中断することのうちの1つ以上を含む。
【0029】
場合によっては、撮像装置は(a)スキャナまたは(b)1つ以上のカメラのうちの1つを含む。
【0030】
現在開示されている主要部の第2の態様によれば、フレキシブルベルトを含む中間転写部材(ITM)であって、ITMは、その表面にインク画像を形成させるように動作可能である、ITMと、インク画像をITMの表面から基板に転写するように構成されたインプレッションステーションであって、インク画像の転写中に回転可能な圧胴の回転軸に沿って基板を運ぶために、それがデジタル印刷システムを通過する際に基板の前縁である基板のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能な1つ以上のグリッパを収容する圧胴ギャップを有する回転可能な圧胴であって、グリッパエッジの後端はグリッパエッジと基板の残りの部分とを区別しており、かつグリッパのグリッパ下線と一致しており、かつグリッパエッジの先端はグリッパエッジの後端に対向している回転可能な圧胴、およびその上にインク画像が形成されたITMの表面が回転可能な圧力シリンダと回転可能な圧胴との間を通る際に回転可能な圧胴と同期し、かつそれに対向する方向に回転してインク画像の転写を可能にするように動作可能な回転可能な圧力シリンダを備えるインプレッションステーションと、画質制御システムであって、回転している圧胴上での基板の前進中に、1つ以上のグリッパの少なくとも一部および基板の少なくとも一部に関連づけられている関心領域(ROI)を含むデジタル画像をキャプチャするように動作可能な撮像装置であって、ROIの上縁は1つ以上のグリッパの少なくとも一部およびグリッパエッジの少なくとも一部に関連づけられており、かつROIの下縁は基板の残りの部分の少なくとも一部に関連づけられている撮像装置、および制御装置を備える画質制御システムとを備えるデジタル印刷システムにおいて品質制御を行うための方法であって、前記方法は制御装置によって行われ、かつROIにおいてROIの上縁の上端からROIの下縁の下端まで延在している複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定し、それにより複数の異なる列の画素のために暗明遷移点を生成することと、暗明遷移点をグリッパエッジモデルに当てはめることによりグリッパエッジの先端を決定することと、その後に二次暗明遷移点であるグリッパエッジの先端からの画素の閾値数を超える暗明遷移点をグリッパモデルに当てはめることによりグリッパのグリッパ下線を決定することと、グリッパエッジの先端をグリッパのグリッパ下線と比較することと、その比較に基づいて、グリッパエッジの先端とグリッパのグリッパ下線との適切な関係を示す1つ以上の基準の少なくとも1つの基準が満たされていないこと、すなわちグリッパに対する基板の位置のエラーを示すことを決定することと、少なくとも1つの基準が満たされていないという決定に基づき1つ以上の動作を行うこととを含む方法が提供される。
【0031】
場合によっては、ROIは基板の全ての幅に関連づけられている。
【0032】
場合によっては、1つ以上の基準はグリッパエッジの先端とグリッパのグリッパ下線との間の所望の変位範囲を含む。
【0033】
場合によっては、1つ以上の基準は所定の差よりも小さいグリッパエッジの先端の第1の傾きとグリッパのグリッパ下線の第2の傾きとの差を含む。
【0034】
場合によっては、複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定することは、それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値に基づいてそれぞれの列の画素のために代表的な明るい濃淡値と代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、および所定の関係に従って遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有するそれぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するためにそれぞれの列の画素を検索することにより行われ、ここでは暗明遷移点は濃淡遷移画素または濃淡遷移画素のサブ画素である。
【0035】
場合によっては、所定の関係は、(a)「所与の画素濃淡値は遷移濃淡値と同一であるかそれぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」、(b)「所与の画素濃淡値は遷移濃淡値と同一であるか遷移濃淡値よりも小さいそれぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」、または(c)「所与の画素濃淡値は遷移濃淡値と同一であるか遷移濃淡値よりも大きいそれぞれの異なる列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」のうちの1つである。
【0036】
場合によっては、遷移濃淡値は代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値の平均である。
【0037】
場合によっては、代表的な明るい濃淡値はそれぞれの異なる列の画素中の最も明るい画素に関連づけられており、代表的な暗い濃淡値はそれぞれの異なる列の画素中の最も暗い画素に関連づけられている。
【0038】
場合によっては、ROIにおいて複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定することは、それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値に基づいてそれぞれの列の画素のために代表的な明るい濃淡値と代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、所定の関係に従って遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有するそれぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するためにそれぞれの列の画素を検索すること、濃淡遷移画素の所与の数の画素内であるそれぞれの列の画素内の画素の群からなる短い列を定めること、短い列のために第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値を与えること、第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値に基づいて短い列のために第2の明るい濃淡値と第2の暗い濃淡値との間である第2の遷移濃淡値を計算すること、第2の所定の関係に従って第2の遷移濃淡値に関する第2の所与の画素濃淡値を有する第2の濃淡遷移画素のために短い列を検索することにより行われ、ここでは暗明遷移点は第2の濃淡遷移画素または第2の濃淡遷移画素のサブ画素である。
【0039】
場合によっては、第2の所定の関係は「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」、「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか、第2の遷移濃淡値よりも小さい短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」、または「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか、第2の遷移濃淡値よりも大きい短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」のうちの1つである。
【0040】
場合によっては、第2の遷移濃淡値は第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値の平均である。
【0041】
場合によっては、第2の明るい濃淡値は短い列における最も明るい画素に関連づけられており、第2の暗い濃淡値は短い列における最も暗い画素に関連づけられている。
【0042】
場合によっては、グリッパエッジモデルはランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズムを暗明遷移点に適用することにより決定され、グリッパモデルはRANSACアルゴリズムを二次暗明遷移点に適用することにより決定される。
【0043】
場合によっては、当該動作は、(a)デジタル印刷システムのオペレータに警報を与えること、(b)基板を拒絶すること、または(c)デジタル印刷システムの動作を中断することのうちの1つ以上を含む。
【0044】
場合によっては、撮像装置は(a)スキャナまたは(b)1つ以上のカメラのうちの1つを含む。
【0045】
現在開示されている主要部の第3の態様によれば、その中に具体化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータ可読プログラムコードは、デジタル印刷システムにおいて品質制御を行うための方法を行うためにデジタル印刷システムの制御装置によって実行可能であり、デジタル印刷システムは、フレキシブルベルトを備える中間転写部材(ITM)であって、ITMは、その表面にインク画像を形成させるように動作可能であるITMと、インク画像をITMの表面から基板に転写するように構成されたインプレッションステーションであって、インク画像の転写中に回転可能な圧胴の回転軸に沿って基板を運ぶために、それがデジタル印刷システムを通過する際に基板の前縁である基板のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能な1つ以上のグリッパを収容する圧胴ギャップを有する回転可能な圧胴であって、グリッパエッジの後端はグリッパエッジと基板の残りの部分とを区別しており、かつグリッパのグリッパ下線と一致しており、かつグリッパエッジの先端はグリッパエッジの後端に対向している回転可能な圧胴、およびその上にインク画像が形成されたITMの表面が回転可能な圧力シリンダと回転可能な圧胴との間を通る際に回転可能な圧胴と同期し、かつそれに対向する方向に回転してインク画像の転写を可能にするように動作可能な回転可能な圧力シリンダを備えるインプレッションステーションと、画質制御システムであって、回転している圧胴上での基板の前進中に、1つ以上のグリッパの少なくとも一部および基板の少なくとも一部に関連づけられている関心領域(ROI)を含むデジタル画像をキャプチャするように動作可能な撮像装置であって、ROIの上縁は1つ以上のグリッパの少なくとも一部およびグリッパエッジの少なくとも一部に関連づけられており、かつROIの下縁は基板の残りの部分の少なくとも一部に関連づけられている撮像装置および制御装置を備える画質制御システムとを備え、本方法は、ROIにおいてROIの上縁の上端からROIの下縁の下端まで延在している複数の異なる列の画素の各列の画素のために暗明遷移点を決定し、それにより複数の異なる列の画素のために暗明遷移点を生成することと、暗明遷移点をグリッパエッジモデルに当てはめることによりグリッパエッジの先端を決定することと、その後に二次暗明遷移点であるグリッパエッジの先端からの画素の閾値数を超える暗明遷移点をグリッパモデルに当てはめることによりグリッパのグリッパ下線を決定することと、グリッパエッジの先端をグリッパのグリッパ下線と比較することと、その比較に基づいて、グリッパエッジの先端とグリッパのグリッパ下線との適切な関係を示す1つ以上の基準の少なくとも1つの基準が満たされていないこと、すなわちグリッパに対する基板の位置のエラーを示すことを決定することと、少なくとも1つの基準が満たされていないという決定に基づき1つ以上の動作を行うこととを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供される。
【0046】
現在開示されている主要部を理解し、かつ実際にどのようにしてそれを実施することができるかを理解するために、次に単に非限定的な例として、添付の図面を参照しながら当該主要部がここで説明されることになる。図面に示されている構成要素および特徴の寸法は説明の便宜上および明確性のために選択されており、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】現在開示されている主要部に係るデジタル印刷システムの一例の立面概略図である。
図2】現在開示されている主要部に係る回転可能な圧胴の一例の断面概略図である。
図3】現在開示されている主要部に係る複数のグリッパの配置の一例の概略図である。
図4】現在開示されている主要部に係る画質制御システムの一例のブロック図である。
図5】現在開示されている主要部に係る画質制御システムの撮像装置によってキャプチャされたデジタル画像内の関心領域(ROI)の一例の概略図である。
図6】現在開示されている主要部に係るデジタル印刷システムにおいてグリッパに対する基板の位置のエラーを検出するための一連の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下の詳細な説明では、現在開示されている主要部の完全な理解を提供するために数多くの具体的な詳細が記載されている。但し、現在開示されている主要部はこれらの具体的な詳細がなくとも実施できることが当業者によって理解されるであろう。他の例では、周知の方法、手順および構成要素は現在開示されている主要部を曖昧にしないために詳細に説明されていない。
【0049】
記載されている図面および説明において、同一の符号は異なる実施形態または構成に共通する構成要素を示す。
【0050】
特に具体的に記載されていな限り、以下の考察から明らかになるように、本明細書全体を通して「キャプチャする」、「決定する」、「当てはめる」、「比較する」、「行う」、「定める」、「提供する」、「計算する」、「検索する」、「適用する」、「拒否する」または「中断する」などの用語を利用する考察は、特にデータを操作し、かつ/または他のデータに変換するコンピュータの動作および/またはプロセスを含む動作および/またはプロセスを含み、前記データは例えば電子量などの物理量として表され、かつ/または前記データは物理的オブジェクトを表すことが理解される。「コンピュータ」、「プロセッサ」、「処理回路」および「制御装置」という用語は、非限定的な例として、パーソナルデスクトップ/ラップトップコンピュータ、サーバ、コンピューティングシステム、通信装置、スマートフォン、タブレットコンピュータ、スマートテレビ、プロセッサ(例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)など)、様々なタスクの性能を共有する複数の物理マシンの群、単一の物理マシン上に共在する仮想サーバ、あらゆる他の電子計算装置および/またはそれらの任意の組み合わせを含む、データ処理能力を有するあらゆる種類の電子装置を包含するように広く解釈されるべきである。
【0051】
本明細書で使用される「例えば」、「さらなる例」、「~など」、「例えば」という語句およびそれらの変形は、現在開示されている主要部の非限定的な実施形態を記述している。本明細書において「1つの事例」、「いくつかの事例」、「他の事例」またはそれらの変形について言及する場合、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造または特性が現在開示されている主要部の少なくとも1つの実施形態に含まれていることを意味する。従って「1つの事例」、「いくつかの事例」、「他の事例」という語句またはそれらの変形の出現が必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。
【0052】
特に具体的に記載されていない限り、明確性のために異なる実施形態の文脈に記載されている現在開示されている主要部の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせで提供されている場合もあることが理解される。逆に簡潔性のために単一の実施形態の文脈に記載されている現在開示されている主要部の様々な特徴は別々に、あるいは任意の好適な部分的組み合わせで提供されている場合もある。
【0053】
現在開示されている主要部の実施形態では、図6に示されているものよりも少ない、それらよりも多い、および/またはそれらとは異なる段階が実行される場合がある。図1図5は、現在開示されている主要部の実施形態に係るシステムアーキテクチャの一般的な概略図を示す。図4の各モジュールは、本明細書において定義および説明されている機能を行うソフトウェア、ハードウェアおよび/またはファームウェアのあらゆる組み合わせから構成することができる。図4のモジュールは1つの位置に集中化されていても、2箇所以上の位置にわたって分散されていてもよい。現在開示されている主要部の他の実施形態では、本システムは図4に示されているものよりも少ない、それよりも多い、および/またはそれとは異なるモジュールを備えていてもよい。
【0054】
本明細書における方法に関するあらゆる言及は、必要な変更を加えて当該方法を実行することができるシステムに適用されるべきであり、かつ必要な変更を加えてコンピュータによって実行されると当該方法の実行が生じる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に適用されるべきである。
【0055】
本明細書におけるシステムに関するあらゆる言及は、必要な変更を加えて本システムによって実行することができる方法に適用されるべきであり、かつ必要な変更を加えて本システムによって実行することができる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体に適用されるべきである。
【0056】
本明細書における非一時的コンピュータ可読媒体に関するあらゆる言及は、必要な変更を加えて非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されている命令を実行することができるシステムに適用されるべきであり、かつ必要な変更を加えて非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されている命令を読み込むコンピュータによって実行することができる方法に適用されるべきである。
【0057】
次に、現在開示されている主要部に係るデジタル印刷システム100の一例の立面概略図である図1に注目する。
【0058】
現在開示されている主要部によれば、デジタル印刷システム100は中間転写部材(ITM)210、すなわち複数のガイドローラー232、240、260、253、255、242の上に装着されたITM210を備えるように構成されている。図1に示されているガイドローラーの数および配置は単に例示のためのものであって非限定的であることに留意されたい。図1の例では、ITM210は矢印2012によって示されているように時計回りの方向に回転する。
【0059】
場合によっては、ITM210はフレキシブルベルトまたはエンドレスベルトとして形成することができる。場合によっては、ITM210は剥離層でコーティングされた強化もしくは支持層を含むフレキシブルベルトまたはエンドレスベルトとして形成することができる。
【0060】
デジタル印刷システム100は画像形成ステーション212および乾燥ステーション214を備えるように構成されている。画像形成ステーション212は印刷バー222(それぞれが例えばC、M、YおよびKのうちの1つで表されている)を備えるように構成されている。画像形成ステーション212は、ITM210の表面にインク画像を形成するために印刷バー222を用いて(例えば液滴の堆積により)ITM210上にインクを堆積させるように構成されている。乾燥ステーション214はITM210の表面のインク画像を乾燥させるように構成されている。
【0061】
デジタル印刷システム100はインプレッションステーション216を備えるようにさらに構成されている。インプレッションステーション216は、ITM210の表面に形成されているインク画像を基板231に転写し、その結果、印刷画像が基板231上に形成されるように構成されている。その上に印刷画像が形成された基板231を以後、互換可能に印刷基板231と呼ぶ。基板231は紙またはボール紙製品などの枚葉基板として示されているが、それは代わりとして連続供給(巻取り)基板であってもよい。場合によっては、デジタル印刷システム100は両面印刷(すなわち、基板231の両側への印刷)を可能にするように構成することができ、ここでは両面印刷を可能にするために、デジタル印刷システム100は複数のインプレッションステーションを備えるように構成することができる。
【0062】
インプレッションステーション216は、回転可能な圧力シリンダ218および回転可能な圧胴220を備える。場合によっては、図1に示すようにインプレッションステーション216は圧力シリンダアセンブリ318を備え、これは回転可能な圧力シリンダ218と回転可能な圧力シリンダ218の外周の大きな部分の周りに配置された圧縮性ブランケット219とを備える。
【0063】
回転可能な圧力シリンダ218は、ITM210の表面および基板231が回転可能な圧力シリンダ218と回転可能な圧胴220との間を通る際に、回転可能な圧胴220と同期し、かつそれに対向する方向に回転して、その上にインク画像が形成されたITM210の表面から基板231へのインク画像の転写を可能にするように動作する。図1の例示では回転可能な圧胴220は、基板231のシートを輸送するために矢印2010によって示されているように反時計回りの方向に回転可能である。さらに、回転可能な圧力シリンダ218は、矢印2011によって示されているように時計回りの方向に回転可能である。場合によっては、当該技術分野で知られているように、回転可能な圧力シリンダ218および回転可能な圧胴220上の胴歯車および/または胴枕を使用して、回転可能な圧力シリンダ218の回転を回転可能な圧胴220と同期させることができる。
【0064】
デジタル印刷システム100は画質制御システムを備えるように構成されている。画質制御システムは、特に図4を参照しながら本明細書においてさらに詳述されているように、撮像装置270および制御装置(図1には図示せず)を備えるように構成されている。撮像装置270は図1に示すように回転可能な圧胴220に隣接して、あるいは印刷基板231の検査を可能にするデジタル印刷システム100内のあらゆる他の好適な位置に位置決めすることができる。
【0065】
当業者であれば、図1に示されている全ての構成要素が必要とされるわけではないことを理解するであろう。また、デジタル印刷システム100がさらなる特徴および例えば冷却ステーションまたは1つ以上のクリーニングステーションなどの構成要素を備えることができることを理解することができる。
【0066】
デジタル印刷システム100は、基板シートをインプレッションステーション216に沿い、かつ出力トレイに向かって移動させるように構成された基板運搬システム(図示せず)をさらに備える。場合によっては、基板運搬システムはチェーンデリバリ(図示せず)を備えていてもよく、ここではチェーンデリバリは、特にインプレッションステーション216を含む1つ以上のインプレッションステーションを介して基板231の入力トレイ(図1に示されている)と出力トレイの間に延在している。基板運搬システムは、特に図2図3および図5を参照しながら本明細書においてさらに詳述されている特に1つ以上のグリッパ350を含むグリッパをさらに備えることができる。基板運搬システム内のグリッパは全て、基板231を把持して、例えばチェーンデリバリに沿って入力トレイから出力トレイに移動させるように構成することができる。基板運搬システム内の各グリッパ(またはグリッパのセット)は、基板231を把持して例えばチェーンデリバリに沿って平面および曲面に沿って移動させるように構成されている。基板運搬システムに関するさらなる詳細は、2020年10月8日に公開された国際特許出願第2020/201889A1号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
次に、現在開示されている主要部に係る回転可能な圧胴220の一例の断面概略図である図2に注目する。
【0068】
現在開示されている主要部によれば、回転可能な圧胴220は、例えば図2に示すように1つ以上のグリッパ350を収容する圧胴ギャップ320を有するように構成することができる。グリッパ350は、基板231が例えば出力トレイ(図示せず)に向かってデジタル印刷システム100を通り抜ける際に基板231の前縁である基板231のグリッパエッジ233を把持および保持するように動作可能である。具体的にはグリッパ350は、画質制御システム(図2には図示せず)によるITM210から基板231へのインク画像の転写中および印刷基板231の検査中に回転可能な圧胴220の回転方向2010に沿って基板231を運ぶために、基板231のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能である。場合によっては、図2に示すようにグリッパ350をグリッパバー351の一端に取り付けることができ、その対向端は回転可能な圧胴220に取り付けられている。特にグリッパ350およびグリッパバー351を備える図2に示されている圧胴ギャップ320内のグリッパ構成はグリッパ構成の非限定的な例であること、およびデジタル印刷システム100を通して基板231を運ぶための基板231のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能なあらゆるグリッパ構成が本開示の範囲内であることが本明細書において強調される。
【0069】
次に、現在開示されている主要部に係る複数のグリッパ350の配置の一例の概略図である図3に注目する。
【0070】
現在開示されている主要部によれば、回転可能な圧胴220は圧胴ギャップ320を備えるように構成することができる。回転可能な圧胴220、例えば圧胴ギャップ320は例えば図2に示すように、1つ以上のグリッパ350を収容するように構成することができる。場合によっては、グリッパ350は図3に示すように、(i)回転可能な圧胴220の回転方向2010に垂直な軸方向2020に沿って位置合わせされており、(ii)回転可能な圧胴220の外面に対して平らな一列のクリップであってもよく、この一列のクリップは特に図2を参照して本明細書において先に詳述されているように、基板231のグリッパエッジを把持および保持するように動作可能である。図3に示されている複数のグリッパ350の配置は1つ以上のグリッパ350の配置の非限定的な例であること、および基板231のグリッパエッジ233を把持および保持するように動作可能な1つ以上のグリッパ350のあらゆる配置が本開示の範囲内であることが本明細書において強調される。場合によっては、回転可能な圧胴220は、特に図1を参照して本明細書において先に考察されているように、胴歯車および/または胴枕360を備えるように構成することができる。
【0071】
次に、現在開示されている主要部に係る画質制御システム400の一例のブロック図である図4に注目する。
【0072】
現在開示されている主要部によれば、画質制御システム400は特に図5を参照しながら本明細書においてさらに詳述されているように、デジタル画像をキャプチャするように動作可能な撮像装置270を備えるように構成することができる。撮像装置270は例えば図1に示すように、印刷基板231の検査を可能にするデジタル印刷システム100内の任意の好適な位置に位置づけることができる。場合によっては、撮像装置270は(a)スキャナまたは(b)1つ以上のカメラのうちの1つを含むことができる。場合によっては、カメラはコンタクトイメージセンサ(CIS)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサなどの任意の好適な画像センサを備えていてもよい。
【0073】
場合によっては、画質制御システム400は印刷基板231上に印刷されたインクの品質を監視するように構成された分光光度計(図示せず)を備えるように構成することができる。
【0074】
画質制御システム400は、データを記憶するように構成されたメモリ410(例えば、データベース、記憶システム、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはあらゆる他の種類のメモリを含むメモリなど)をさらに備えるか、そうでなければそれらに関連づけられていてもよい。メモリ410は、グリッパ350に対する印刷基板231の位置のエラーを検出するための一連の動作を行うためのコンピュータプログラム命令を記憶するように構成することができる。場合によっては、メモリ410は記憶されたデータの検索および/または更新および/または削除を可能にするようにさらに構成することができる。場合によっては、メモリ410は分散させることができることに留意されたい。
【0075】
画質制御システム400は制御装置420も備える。場合によっては、撮像装置270および制御装置420の少なくとも一部は同じ位置に位置していてもよい。あるいは、撮像装置270および制御装置420は異なる位置に位置していてもよい。
【0076】
制御装置420は1つ以上の処理装置(例えば中央処理装置)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(例えば、マイクロコントローラユニット(MCU))あるいは特に撮像装置270を含む関連する画質制御システム400リソースを制御するため、および画質制御システム400リソースに関連する動作を可能にするために独立または協働してデータを処理するように構成されている任意の他の計算装置または多重および/または並行および/または分散処理ユニットを含むモジュールであってもよい。画質制御システム400リソースに関連する動作としては、特に図6を参照しながら本明細書においてさらに詳述されているように、特に撮像装置270によってキャプチャされたデジタル画像に基づきグリッパ350に対する印刷基板231の位置のエラーを検出するための一連の動作が挙げられる。本明細書において、分光光度計が存在する場合には制御装置420は画質制御システム400の分光光度計の出力を処理するように構成することができることに留意されたい。
【0077】
場合によっては、制御装置420は印刷基板231上の画像の品質を評価するように構成することができる。画像の品質は、限定されるものではないが、印刷基板231との完全な画像見当合わせ、色と色(CTC)の見当合わせ、印刷された幾何学的形状、画像均一性、色のプロファイルおよび再現性ならびに印刷ノズルの機能性などの様々な属性を監視することにより評価することができる。場合によっては、制御装置420は、幾何学的歪みまたは上記属性の1つ以上における他のエラーを自動的に検出するように構成することができる。例えば制御装置420は、印刷基板231上に印刷される画像の設計(すなわち期待される)版(本明細書では印刷される画像の「マスタ」または「ソース画像」ともいう)と印刷基板231上の実際の画像とを比較するように構成することができる。
【0078】
場合によっては、制御装置420は上記エラーを示す歪みを検出するための任意の好適な種類の画像処理ソフトウェアを適用するように構成することができる。場合によっては、制御装置420は誤作動しているモジュールに修正動作を適用するために検出された歪みを分析し、かつ/または検出された歪みを補償するためにデジタル印刷システム100の別のモジュールまたはステーションに命令を送るように構成することができる。
【0079】
場合によっては、デジタル印刷システム100は、例えば基板231のベベルまたはマージンに試験マーク(図示せず)を印刷するように構成することができる。撮像装置270によって試験マークの画像を取得することにより、制御装置420は、C2C見当合わせ、画像と基板の見当合わせ、本明細書では「バーとバー幅δ」または「色と色幅差」と呼ぶ色間の異なる幅、様々な種類の局所的歪み、および表裏見当不良(両面印刷において)などの様々な種類の歪みを測定するように構成することができる。場合によっては、制御装置420は、(i)第1の所定のセットの閾値を超える歪みを有する印刷基板231を例えば拒絶トレイ(図示せず)に分類し、(ii)第2のより低い所定のセットの閾値を超える歪みを有する印刷基板231のために修正動作を開始し、かつ(iii)例えば第2のセットの閾値未満の小さい歪みを有する印刷基板231を出力トレイ(図示せず)に出力するように構成することができる。
【0080】
場合によっては、制御装置420は例えば印刷されたテストマークのパターンを分析することにより、ITM210の移動軸に平行な軸またはITM210の移動軸に直交する軸の少なくとも1つにおいて生じた拡大縮小、傾斜または波形歪みなどのさらなる幾何学的歪みを検出するようにさらに構成することができる。
【0081】
場合によっては、制御装置420は、分光光度計(図示せず)から受信された信号に基づき、印刷された色のプロファイルおよび再現性における逸脱を検出するように構成することができる。
【0082】
場合によっては、制御装置420は画質制御システム400によって取得された信号に基づき、スクラッチ、ピンホールまたはエッジ欠けなどの印刷基板231またはITM210における様々な種類の欠陥を検出するように構成することができる。場合によっては、制御装置420は、画質制御システム400によって取得された信号に基づいて、色むら、サテライト滴および液飛びなどの印刷関連の欠陥を検出するように構成することができる。
【0083】
場合によっては、制御装置420は印刷基板231の一部の画像と画像の設計版のそれぞれの参照部分とを比較することにより、これらの欠陥を検出するように構成することができる。場合によっては、制御装置420は欠陥を分類し、かつその分類および所定の基準に基づいて、指定された所定の基準内でない欠陥を有する印刷基板231を拒絶するようにさらに構成することができる。
【0084】
場合によっては、制御装置420は例えば欠陥密度が指定された閾値を超える場合に、デジタル印刷システム100の動作を中断するか否かを決定するように構成することができる。場合によっては、制御装置420はデジタル印刷システム100において修正動作を開始するように構成することができる。修正動作は印刷動作を停止し、次いで修正動作を行うことにより、実行中に(デジタル印刷システム100が印刷プロセスを続ける間)またはオフラインで行うことができる。場合によっては、別の制御装置は欠陥密度が指定された閾値を超えた場合に修正動作を開始するかデジタル印刷システム100の動作を停止するように構成することができる。
【0085】
本明細書において、上に列挙されている制御装置420によって行われる動作は限定的ではないこと、および制御装置420はデジタル印刷システム100によって行われる画像印刷プロセスの品質を制御するためのあらゆる動作を行うように構成することができることに留意されたい。
【0086】
次に、現在開示されている主要部に係る画質制御システム400の撮像装置270によってキャプチャされたデジタル画像内の関心領域(ROI)500の一例の概略図である図5に注目する。
【0087】
現在開示されている主要部によれば、撮像装置270は、回転している圧胴220上での印刷基板231の前進中に、1つ以上のグリッパ350の少なくとも一部および印刷基板231の少なくとも一部に関連づけられているROI500を含むデジタル画像をキャプチャするように動作可能である。場合によっては、図5に示すようにROI500は1つ以上のグリッパ350の全てに関連づけられている。場合によっては、図5に示すようにROI500は基板231の幅「x」の全てに関連づけられている。グリッパ350はグリッパ上線510とグリッパ下線520との間に延在している。
【0088】
グリッパ350は、基板231を回転可能な圧胴220の回転軸2010に沿い、かつ例えば出力トレイ(図示せず)に向かって運ぶために、基板231の前縁である基板231のグリッパエッジ233を把持および保持するように動作可能である。グリッパ350が基板231を運んでいる間に、ITM210からのインク画像は特に図1を参照しながら本明細書において先に考察されているように基板231に転写され、かつデジタル画像は撮像装置270によってキャプチャされる。基板231のグリッパエッジ233の後端はグリッパエッジ233と基板231の残りの部分540とを区分しており、グリッパ350のグリッパ下線520と一致している。基板231の先端であるグリッパエッジ233の先端は、グリッパエッジ233の後端に対向している。ROI500の上縁は1つ以上のグリッパ350の少なくとも一部(図5ではグリッパ350の全て)およびグリッパエッジ233の少なくとも一部(図5ではグリッパエッジ233の全て)に関連づけられており、ROI500の下縁は基板231の残りの部分540の少なくとも一部に関連づけられている。
【0089】
ROI500は複数の異なる列の画素530を含む。異なる列の画素530の各列の画素はグリッパ上線510であるROI500の上縁の上端からROI500の下縁の下端550まで延在している。異なる列の画素530の各列の画素は2つの連続する垂直の破線560の間の領域によって図5に表されている。なお図5の異なる列の画素530は単に例示のために示されており、限定的ではない。
【0090】
次に、現在開示されている主要部に係るデジタル印刷システム100においてグリッパ350に対する基板の位置231におけるエラーを検出するための一連の動作600の一例を示すフローチャートである図6に注目する。
【0091】
現在開示されている主要部によれば、画質制御システム400は例えば制御装置420を用いて、撮像装置270によってキャプチャされたデジタル画像のROI500における複数の異なる列の画素530の各列の画素のために暗明遷移点を決定し、それにより複数の異なる列の画素530のために暗明遷移点を生成するように構成することができる(ブロック604)。
【0092】
場合によっては、画質制御システム400は、(a)それぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値を与えること、(b)代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値に基づいてそれぞれの列の画素のために代表的な明るい濃淡値と代表的な暗い濃淡値との間である遷移濃淡値を計算すること、および(c)所定の関係に従って遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有するそれぞれの列の画素の濃淡遷移画素を決定するためにそれぞれの列の画素を検索することにより、複数の異なる列の画素530の各列の画素のために暗明遷移点を決定するように構成することができる。場合によっては、複数の異なる列の画素530の各列の画素のための暗明遷移点は、それぞれの列の画素の濃淡遷移画素またはそれぞれの列の画素の濃淡遷移画素のサブ画素であってもよい。
【0093】
場合によっては、それぞれの列の画素のための暗明遷移点に関連づけられている濃淡遷移画素のサブ画素は、例えば線形、キュービックもしくは他の補間を用いて濃淡遷移画素に最も近いそれぞれの列の画素中の画素の画素濃淡値に基づいて決定することができる。あるいは場合によっては、濃淡遷移画素のサブ画素は、濃淡遷移画素の画素濃淡値の遷移濃淡値への近接に従って決定することができる。
【0094】
上記のとおり、それぞれの列の画素のための濃淡遷移画素は、所定の関係に従ってそれぞれの列の画素のための遷移濃淡値に関する所与の画素濃淡値を有する。場合によっては、所定の関係は「所与の画素濃淡値は遷移濃淡値と同一であるかそれぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」というものであってもよい。あるいは場合によっては、所定の関係は「所与の画素濃淡値は遷移濃淡値と同一であるか遷移濃淡値よりも小さいそれぞれの列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」というものであってもよい。さらなる代替条件として場合によっては、所定の関係は「所与の画素濃淡値が遷移濃淡値と同一であるか遷移濃淡値よりも大きいそれぞれの異なる列の画素中の全ての画素の画素濃淡値の中から遷移濃淡値に最も近い」というものであってもよい。本明細書において、所定の関係は上に提供されている可能性に限定されないことに留意されたい。
【0095】
場合によっては、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための遷移濃淡値は固定値であってもよく、すなわちそれぞれの列の画素に代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値に基づいて計算されない。
【0096】
場合によっては、複数の異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための遷移濃淡値は、それぞれの列の画素のための代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値の平均であってもよい。あるいは場合によっては、それぞれの列の画素のための遷移濃淡値は異なる列の画素530の少なくともいくつかのための代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値の統計分布に基づいて計算することができる。
【0097】
本明細書において、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための遷移濃淡値の決定または計算は、上に提供されている例に限定されない任意の数の方法で行うことができることに留意されたい。
【0098】
場合によっては、複数の異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための代表的な明るい濃淡値はそれぞれの列の画素における最も明るい画素に関連づけることができる。例えば代表的な明るい濃淡値は、それぞれの列の画素中の最も明るい画素の濃淡値であってもよい。追加または代わりとして場合によっては、複数の異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための代表的な暗い濃淡値はそれぞれの列の画素における最も暗い画素に関連づけることができる。例えば代表的な暗い濃淡値は、それぞれの列の画素中の最も暗い画素の濃淡値であってもよい。
【0099】
場合によっては、複数の異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための代表的な明るい濃淡値はそれぞれの列の画素における最も下の画素の濃淡値であってもよい。追加または代わりとして場合によっては、複数の異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための代表的な暗い濃淡値はそれぞれの列の画素における最も上の画素の濃淡値であってもよい。
【0100】
場合によっては、複数の異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値の一方または両方は、それぞれの列の画素中のいずれかの画素の実際の濃淡値とは無関係である所定の値であってもよい。
【0101】
場合によっては、複数の異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値の少なくとも1つは、それぞれの列の画素中の画素の画素値の統計分布に従って決定することができる。
【0102】
場合によっては、複数の異なる列の画素530のそれぞれの列の画素のための代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値の少なくとも1つは、複数の異なる列の画素530の2つ以上の所与の列の画素中の画素の画素値の統計分布に従って決定することができる。場合によっては、所与の列の画素は異なる列の画素530の全てであってもよい。なお本明細書において、それぞれの列の画素のための代表的な明るい濃淡値および代表的な暗い濃淡値の決定は、上に提供されている例に限定されない任意の数の方法で行うことができる。
【0103】
場合によっては、異なる列の画素530の各列の画素のために濃淡遷移画素を決定したら、画質制御システム400は、例えば制御装置420を用いて異なる列の画素530の各列の画素のために、(a)濃淡遷移画素の所与の数の画素内であるそれぞれの列の画素内の画素の群からなる短い列を定めること、(b)短い列のために第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値を与えること、(c)第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値に基づいて短い列のために第2の明るい濃淡値と第2の暗い濃淡値との間である第2の遷移濃淡値を計算すること、および(d)第2の所定の関係に従って第2の遷移濃淡値に関する第2の所与の画素濃淡値を有する第2の濃淡遷移画素のために短い列を検索することを行って、それぞれの列の画素のために暗明遷移点を決定するように構成することができる。この例では、それぞれの列の画素のための暗明遷移点は、第2の濃淡遷移画素または第2の濃淡遷移画素のサブ画素である。場合によっては、それぞれの列の画素のための暗明遷移点に関連づけられている第2の濃淡遷移画素のサブ画素は、例えば線形、キュービックもしくは他の補間を用いて第2の濃淡遷移画素に最も近いそれぞれの列の画素の短い列の画素における画素濃淡値に基づいて決定することができる。
【0104】
場合によっては、第2の所定の関係は「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」というものであってもよい。あるいは場合によっては、第2の所定の関係は「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか、第2の遷移濃淡値よりも小さい短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」というものであってもよい。さらなる代替条件として場合によっては、第2の所定の関係は「第2の所与の画素濃淡値は第2の遷移濃淡値と同一であるか、第2の遷移濃淡値よりも大きい短い列中の全ての画素の画素濃淡値の中から第2の遷移濃淡値に最も近い」というものであってもよい。場合によっては、所定の関係(上に定義されている)および第2の所定の関係は同じであってもよい。本明細書において、第2の所定の関係は上に提供されている可能性に限定されないことに留意されたい。
【0105】
場合によっては、異なる列の画素530の短い列のそれぞれの列の画素のための第2の遷移濃淡値は、短い列のための第2の明るい濃淡値および短い列のための第2の暗い濃淡値の平均であってもよい。あるいは場合によっては、短い列のための第2の遷移濃淡値は、異なる列の画素530の短い列の少なくともいくつかのための第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値の統計分布に基づいて計算することができる。
【0106】
本明細書において、異なる列の画素530の短い列のそれぞれの列の画素のための第2の遷移濃淡値の決定または計算は、上に提供されている例に限定されない任意の数の方法で行うことができることに留意されたい。
【0107】
場合によっては、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素内の短い列のための第2の明るい濃淡値は短い列における最も明るい画素に関連づけることができる。例えば、第2の明るい濃淡値は短い列における最も明るい画素の濃淡値であってもよい。追加または代わりとして場合によっては、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素内の短い列のための第2の暗い濃淡値は短い列における最も暗い画素に関連づけることができる。例えば、第2の暗い濃淡値は短い列における最も暗い画素の濃淡値であってもよい。
【0108】
場合によっては、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素内の短い列のための第2の明るい濃淡値は短い列における最も下の画素の濃淡値であってもよい。追加または代わりとして場合によっては、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素内の短い列のための第2の暗い濃淡値は短い列における最も上の画素の濃淡値であってもよい。
【0109】
場合によっては、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素内の短い列のための第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値の少なくとも1つは、短い列における画素の画素値の統計分布に従って決定することができる。
【0110】
場合によっては、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素内の短い列のための第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値は、異なる列の画素530のそれぞれの列の画素内の2つ以上の所与の短い列における画素の画素値の統計分布に従って決定することができる。場合によっては、所与の短い列は異なる列の画素530の短い列の全てであってもよい。
【0111】
なお本明細書において、それぞれの列の画素内の短い列のための第2の明るい濃淡値および第2の暗い濃淡値の決定は、上に提供されている例に限定されない任意の数の方法で行うことができる。
【0112】
図6の一連の動作600に戻ると、画質制御システム400は、例えば制御装置420を用いて、以下のように暗明遷移点に基づいてグリッパ350に対する基板231の位置のエラーを決定するように構成することができる。
【0113】
画質制御システム400は、暗明遷移点をグリッパエッジモデルに当てはめることにより、グリッパエッジ233の先端(すなわち基板231の先端)を決定するように構成することができる(ブロック608)。
【0114】
画質制御システム400は、その後に二次暗明遷移点であるグリッパエッジ233の先端からの画素の閾値数を超える暗明遷移点をグリッパモデルに当てはめることにより、グリッパ350のグリッパ下線520を決定するように構成することができる(ブロック612)。
【0115】
場合によっては、グリッパエッジモデルはランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)アルゴリズムを暗明遷移点に適用することにより決定され、グリッパモデルはRANSACアルゴリズムを二次暗明遷移点に適用することにより決定される。場合によっては、グリッパエッジモデルおよびグリッパモデルは、RANSACアルゴリズム以外のアルゴリズムを暗明遷移点および二次暗明遷移点に適用することにより決定される線形モデルであってもよい。場合によっては、グリッパエッジモデルおよびグリッパモデルは一定値モデルまたは高次多項式機能モデルであってもよい。グリッパエッジモデルは暗明遷移点が当てはめられる任意のモデルであってもよく、グリッパモデルは二次暗明遷移点が当てはめられる任意のモデルであってもよいことに留意されたい。
【0116】
画質制御システム400はグリッパエッジ233の先端をグリッパ350のグリッパ下線520と比較するように構成することができる(ブロック616)。
【0117】
画質制御システム400は、グリッパエッジ233の先端とグリッパ350のグリッパ下線520との比較に基づいて、グリッパエッジ233の先端とグリッパ350のグリッパ下線530との適切な関係を示す1つ以上の基準の少なくとも1つの基準が満たされていないこと、すなわちグリッパ350に対する基板231の位置のエラーを示すことを決定するようにさらに構成することができる(ブロック620)。
【0118】
場合によっては、1つ以上の基準はグリッパエッジ233の先端とグリッパ350のグリッパ下線530との間の所望の変位範囲を含むことができる。場合によっては、所望の変位範囲は数ミリメートル(例えば、約3ミリメートル~約5ミリメートル)のオーダーであってもよい。場合によっては、所望の変位範囲は基板231の種類に依存していてもよい。
【0119】
追加または代わりとして場合によっては、1つ以上の基準は所定の差よりも小さいグリッパエッジの先端の第1の傾き233とグリッパ350のグリッパ下線530の第2の傾きとの差を含むことができる。場合によっては、所定の差は数ミリラジアン(例えば、約3ミリラジアン~約5ミリラジアン)のオーダーであってもよい。
【0120】
画質制御システム400は、グリッパエッジ233の先端とグリッパ350のグリッパ下線530との間の適切な関係を示す1つ以上の基準の少なくとも1つの基準が満たされていないという決定に基づき1つ以上の動作を行うようにさらに構成することができる(ブロック624)。
【0121】
場合によっては、1つ以上の動作は、(a)デジタル印刷システム100のオペレータに警報を与えること、(b)基板231を拒絶することまたは(c)デジタル印刷システム100の動作を中断することのうちの1つ以上を含むことができる。
【0122】
場合によっては、自動化両面印刷プロセスを行うデジタル印刷システム100のために、画質制御システム400は、グリッパの少なくとも一部および基板231の裏面(すなわち、第2の印刷される側)の少なくとも一部に関連づけられているデジタル画像のROI500に基づいて、一連の動作600に従ってグリッパに対する基板231の位置のエラーを決定することにより、自動化両面印刷プロセスにおける表裏見当不良を監視するように構成することができる。
【0123】
図6を参照すると、ブロックのいくつかをまとめて統合されたブロックにするか数個のブロックに分けることができること、および/または他のブロックを追加してもよいことに留意されたい。さらに場合によっては、これらのブロックを本明細書に記載されている順番とは異なる順番で行うことができる。ブロックのいくつかは任意であることもさらに留意されたい。このフローチャートはそれらを実現する本システム要素も参照しながら記述されているが、これは決して義務的なものではなく、これらのブロックを本明細書に記載されている要素以外の要素によって行うことができることにも留意すべきである。
【0124】
当然のことながら、現在開示されている主要部はその用途において本明細書に含まれている説明に記載されている詳細または図面に示されている詳細に限定されない。現在開示されている主要部は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践および実施することができる。故に当然のことながら、本明細書において用いられている表現および用語は説明のためのものであり、限定的なものとしてみなされるべきはない。従って当業者であれば、現在開示されている主要部のいくつかの目的を実施するために、本開示の基となる概念を他の構造、方法およびシステムを設計するための基礎として容易に利用できることを理解するであろう。
【0125】
現在開示されている主要部に係るシステムは、好適にプログラムされたコンピュータとして少なくとも部分的に実行できることも理解されるであろう。同様に、現在開示されている主要部は開示されている方法を実行するためにコンピュータによって読取り可能なコンピュータプログラムを意図している。現在開示されている主要部は、開示されている方法を実行するためのマシンによって実行可能な命令のプログラムを有形に具体化する機械可読メモリをさらに意図している。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】