(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098712
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料及びその液面被覆用フロート
(51)【国際特許分類】
B01J 20/20 20060101AFI20230703BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20230703BHJP
C02F 1/28 20230101ALI20230703BHJP
【FI】
B01J20/20 E
B01J20/30
C02F1/28 M
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211467
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】202111627124.9
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522258318
【氏名又は名称】生態環境部華南環境科学研究所(生態環境部生態環境応急研究所)
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】曾東
(72)【発明者】
【氏名】賀徳春
(72)【発明者】
【氏名】樊俊銘
(72)【発明者】
【氏名】蘇文幸
(72)【発明者】
【氏名】柳王栄
(72)【発明者】
【氏名】王銀宏
(72)【発明者】
【氏名】鐘伊▲うん▼
(72)【発明者】
【氏名】趙文
(72)【発明者】
【氏名】馬暁蕊
【テーマコード(参考)】
4D624
4G066
【Fターム(参考)】
4D624AA01
4D624AB13
4D624BA02
4D624BB01
4D624BC01
4D624CA07
4G066AA05B
4G066AA37B
4G066AA50B
4G066AA70B
4G066AB06D
4G066AB07B
4G066AB10D
4G066AB12D
4G066AB23B
4G066AC11B
4G066BA09
4G066BA20
4G066BA36
4G066CA29
4G066DA07
4G066FA03
4G066FA21
4G066FA31
4G066FA33
4G066FA34
4G066FA36
4G066FA37
4G066FA40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アンモニア揮発量を低下させるための吸着材料及びその液面被覆用フロートを提供する。
【解決手段】アンモニア吸着材料は、変性ヤシ殻活性炭60~70重量部、過リン酸カルシウム15~20重量部、塩化亜鉛75~80重量部、珪藻土3~8重量部、アルギン酸ナトリウム2~4重量部、ZIF-8結晶粉末90~100重量部を含み、前記液面被覆用フロートは、球体1と、前記球体の中央部外に套設された浮きリング2とを含み、球体の上半部がキャビティであり、球体の下半部が中実構造であり、球体の下半部の中心に主板が設けられ、主板の両側の球体の下半部に複数の溝4が対称に設けられ、溝の間にアンモニア吸着材料が塗布されたセパレータ5が設けられる。本発明の液面被覆用フロートは、細孔構造に富んで、しかも良好なアンモニア吸着性能を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料であって、
変性ヤシ殻活性炭60~70重量部、過リン酸カルシウム15~20重量部、塩化亜鉛7
5~80重量部、珪藻土3~8重量部、アルギン酸ナトリウム2~4重量部、ZIF-8
結晶粉末90~100重量部を含み、
前記アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料は、
塩化亜鉛を1:5の質量比で水に溶解し、15min撹拌した後、変性ヤシ殻活性炭、過
リン酸カルシウム及び珪藻土を加え、さらに45min撹拌した後、8h静置し、次に、
120℃の条件下で2h乾燥し、混合粉末を得る、混合処理のステップS1と、
混合粉末を真空オーブンに投入して、10℃/minの昇温速度で450~500℃に昇
温し、4h保温し、室温26~28℃に自然冷却すると、活性化粉末を得る、活性化処理
のステップS2と、
活性化粉末を1:8の質量比で濃度15~20質量%のシュウ酸溶液に溶解し、30mi
n静置浸漬し、次に、脱イオン水で3回リンスし、洗浄液のpH値を6.5~7とし、8
0℃の条件下で2h乾燥し、次にアルギン酸ナトリウム粉末を加えて、振とう混合を行い
、変性粉末を得る、変性処理のステップS3と、
ZIF-8結晶粉末を1:2の質量比で脱イオン水に溶解し、変性粉末を加えて超音波振
とう混合を30min行い、次に、220℃のオーブンに入れて乾燥して余分な水分を除
去した後、3h保温し、乾燥したアンモニア吸着材料を得る、被覆処理のステップS4と
を含む、
製造方法により製造される、ことを特徴とするアンモニア揮発量を低下させるためのアン
モニア吸着材料。
【請求項2】
前記変性ヤシ殻活性炭の製造方法は、含水率10~15wt%の新鮮なヤシ殻原材料を3
回リンスし、80℃の条件下で12h乾燥し、粉砕して60~80メッシュの篩にかけて
、次に、1:15の質量比で濃度70質量%のエタノール溶液に溶解し、1h超音波処理
し、ろ過してろ過ケーキを得て、残りの溶液を蒸発により回収し、ろ過ケーキを75℃の
条件下で8h乾燥し、変性ヤシ殻粉末を得て、次に、変性ヤシ殻粉末を450℃の条件下
で6h加熱し、変性ヤシ殻活性炭を得て、真空密封して保存することである、ことを特徴
とする請求項1に記載のアンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料。
【請求項3】
前記混合処理のステップS1では、過リン酸カルシウム及び珪藻土は全て粉砕後に60~
80メッシュの篩にかけたものであり、撹拌速度は50~60r/minであり、
変性処理の前記ステップS3では、アルギン酸ナトリウム粉末は粉砕後に60~80メッ
シュの篩にかけたものである、ことを特徴とする請求項1に記載のアンモニア揮発量を低
下させるためのアンモニア吸着材料。
【請求項4】
前記被覆処理のステップS4では、ZIF-8結晶粉末の製造方法は、
硝酸亜鉛六水和物を1:1の質量比で濃度1.5mol/Lのジメチルイミダゾールに溶
解し、混合して2h静置するステップS4-1と、
濃度0.8mol/Lのベンゾイミダゾール溶液と濃度0.05mol/LのN,N-ジ
メチルホルムアミド溶液とを1:3の質量比で混合し、ステップS4-1で得られた混合
液に加え、撹拌速度50r/minで撹拌混合した後、遠心分離し、上清と沈殿を分離し
、得た沈殿を脱イオン水で3回リンスし、乾燥して粉砕し、60~80メッシュの篩にか
け、ZIF-8結晶粉末を得るステップS4-2とである、ことを特徴とする請求項1に
記載のアンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料。
【請求項5】
球体(1)と、前記球体(1)の中央部外に套設された浮きリング(2)とを含み、前記
球体(1)の上半部がキャビティであり、球体(1)の下半部が中実構造であり、球体(
1)の下半部の中心に主板(3)が設けられ、前記主板(3)の両側の球体(1)の下半
部に複数の溝(4)が対称に設けられ、前記溝(4)間にアンモニア吸着材料が塗布され
たセパレータ(5)が設けられ、前記セパレータ(5)に垂直な方向における球体(1)
の下半部に複数の貫通孔(6)が設けられ、前記貫通孔(6)は球体(1)、主板(3)
及びセパレータ(5)を貫通し、貫通孔(6)の内部にアンモニア吸着材料で製造される
スライドロッド(7)が設けられ、前記スライドロッド(7)は主板(3)にスライド可
能に接続される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のアンモニア揮発
量を低下させるためのアンモニア吸着材料を用いて製造された液面被覆用フロート。
【請求項6】
前記スライドロッド(7)の両端の断面積が中央部の断面積よりも大きく、スライドロッ
ド(7)の中央部が前記主板(3)に設けられたチャネルにスライド可能に接続され、制
限リング(8)がスライドロッド(7)の両端に近く設けられ、前記制限リング(8)の
面積が、前記貫通孔(6)の面積よりも小さく、前記チャネルの面積よりも大きい、こと
を特徴とする請求項5に記載のアンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料
を用いて製造された液面被覆用フロート。
【請求項7】
前記球体(1)及び浮きリング(2)は全て発泡ポリプロピレンで製造され、前記球体(
1)は4~6個を1組として、ポリプロピレン製連結棒(9)を介して接続し、前記主板
(3)の内部に前記スライドロッド(7)を磨くための砂が充填されている、ことを特徴
とする請求項5に記載のアンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料を用い
て製造された液面被覆用フロート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアンモニア吸着材料の技術分野に関し、具体的には、アンモニア揮発量を低下さ
せるためのアンモニア吸着材料及びその液面被覆用フロートに関する。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは窒素と水素の化合物であり、分子式がNH3であり、よく使用されている工
業用材料であり、常温では無色ガスであり、刺激臭が強く、水に非常に溶けやすい。アン
モニアは有毒有害なアルカリ性汚染源でもあり、このため、アンモニアに対する浄化吸着
についてのさらなる研究が望まれている。
【0003】
アンモニア処理では、現在のところ、吸着法が一般的に使用されているが、従来技術では
、吸着剤材料の吸着効率が不十分である。特許CN104069790Aでは、アンモニ
ア吸着剤及びその製造方法が開示されており、製造方法が簡単であり、コストが低く、所
定の吸着効率があるが、大量のアンモニアを吸着する場合は、効果が不十分であり、そし
て、環境保全のコンセプトに合致しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した問題に対して、本発明は、アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着
材料及びその液面被覆用フロートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的解決手段は以下の通りである。
アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料であって、変性ヤシ殻活性炭6
0~70重量部、過リン酸カルシウム15~20重量部、塩化亜鉛75~80重量部、珪
藻土3~8重量部、アルギン酸ナトリウム2~4重量部、ZIF-8結晶粉末90~10
0重量部を含み、製造方法は、
塩化亜鉛を1:5の質量比で水に溶解し、15min撹拌した後、変性ヤシ殻活性炭、過
リン酸カルシウム及び珪藻土を加え、さらに45min撹拌した後、8h静置し、次に、
120℃の条件下で2h乾燥し、混合粉末を得る、混合処理のステップS1と、
混合粉末を真空オーブンに投入して、10℃/minの昇温速度で450~500℃に昇
温し、4h保温し、室温26~28℃に自然冷却すると、活性化粉末を得る、活性化処理
のステップS2と、
活性化粉末を1:8の質量比で濃度15~20質量%のシュウ酸溶液に溶解し、30mi
n静置浸漬し、次に、脱イオン水で3回リンスし、洗浄液のpH値を6.5~7とし、8
0℃の条件下で2h乾燥し、次にアルギン酸ナトリウム粉末を加えて、振とう混合を行い
、変性粉末を得る、変性処理のステップS3と、
ZIF-8結晶粉末を1:2の質量比で脱イオン水に溶解し、変性粉末を加えて超音波振
とう混合を30min行い、次に、220℃のオーブンに入れて乾燥して余分な水分を除
去した後、3h保温し、乾燥したアンモニア吸着材料粉末を得る、被覆処理のステップS
4とを含む。
さらに、前記変性ヤシ殻活性炭の製造方法は、含水率10~15wt%の新鮮なヤシ殻原
材料を3回リンスし、80℃の条件下で12h乾燥し、粉砕して60~80メッシュの篩
にかけて、次に、1:15の質量比で濃度70質量%のエタノール溶液に溶解し、1h超
音波処理し、ろ過してろ過ケーキを得て、残りの溶液を蒸発により回収し、ろ過ケーキを
75℃の条件下で8h乾燥し、変性ヤシ殻粉末を得て、次に、変性ヤシ殻粉末を450℃
の条件下で6h加熱し、変性ヤシ殻活性炭を得て、真空密封して保存することである。こ
れにより、ヤシ殻の活性を効果的に向上させ、アンモニアに対する吸着性を向上させるこ
とができる。
さらに、前記混合処理のステップS1では、過リン酸カルシウム及び珪藻土は全て粉砕後
に60~80メッシュの篩にかけたものであり、撹拌速度は50~60r/minであり
、これにより、粒子のサイズを均一にし、吸着効果を高める。
前記変性処理のステップS3では、アルギン酸ナトリウム粉末は粉砕後に60~80メッ
シュの篩にかけたものであり、これは、アルギン酸ナトリウム粉末粒子のサイズを均一に
し、活性化粉末と同じに保つためである。
さらに、前記被覆処理のステップS4では、ZIF-8結晶粉末の製造方法は、
硝酸亜鉛六水和物を1:1の質量比で濃度1.5mol/Lのジメチルイミダゾールに溶
解し、混合して2h静置するステップS4-1と、
濃度0.8mol/Lのベンゾイミダゾール溶液と濃度0.05mol/LのN,N-ジ
メチルホルムアミド溶液とを1:3の質量比で混合し、ステップS4-1で得られた混合
液に加え、撹拌速度50r/minで撹拌混合した後、遠心分離し、上清と沈殿を分離し
、得た沈殿を脱イオン水で3回リンスし、乾燥して粉砕し、60~80メッシュの篩にか
け、ZIF-8結晶粉末を得るステップS4-2とであり、製造されたZIF-8結晶粉
末は、優れた熱安定性と化学的安定性を持つ。
本発明は、
球体と、前記球体の中央部外に套設された浮きリングとを含み、前記球体の上半部がキャ
ビティであり、球体の下半部が中実構造であり、球体の下半部の中心に主板が設けられ、
前記主板の両側の球体の下半部に複数の溝が対称に設けられ、前記溝の間にアンモニア吸
着材料が塗布されたセパレータが設けられ、前記セパレータに垂直な方向における球体の
下半部に複数の貫通孔が設けられ、前記貫通孔は球体、主板及びセパレータを貫通し、貫
通孔の内部にアンモニア吸着材料で製造されるスライドロッドが設けられ、前記スライド
ロッドは主板にスライド可能に接続される、上記アンモニア吸着材料を用いて製造された
液面被覆用フロートをさらに開示する。
また、さらに、前記スライドロッドの両端の断面積が中央部の断面積よりも大きく、スラ
イドロッドの中央部が前記主板に設けられたチャネルにスライド可能に接続され、制限リ
ングがスライドロッドの両端に近く設けられ、前記制限リングの面積が、前記貫通孔の面
積よりも小さく、前記チャネルの面積よりも大きい。これにより、スライドロッドが貫通
孔から抜けないようにし、また、水流の作用によるスライドにより吸着面積が増大する。
また、さらに、前記球体及び浮きリングは全て発泡ポリプロピレンで製造され、前記球体
は4~6個を1組として、ポリプロピレン製連結棒を介して接続し、前記主板の内部に前
記スライドロッドを磨くための砂が充填されている。砂とスライドロッドとの摩擦により
スライドロッドが持続的に吸着効果を高く維持する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
(1)本発明のアンモニア吸着材料では、変性ヤシ殻活性炭と塩化亜鉛を活性化処理する
ことにより吸着性の高い混合粉末を得て、エタノール処理により、ヤシ殻のペクチンやヤ
シ殻由来グリコシドの一部を除去し、これは生成物である活性炭の多孔質構造の形成に有
利であり、次に、この混合粉末をZIF-8結晶粉末に被覆し、豊富な細孔構造及び大比
表面積を有する吸着材料を得て、この吸着材料は安定性が高く、優れたアンモニア吸着性
能がある。
(2)本発明のアンモニア吸着材料では、ZIF-8結晶粉末の製造方法を改良すること
により、ZIF-8構造を破壊することなく変性活性化後の混合粉末と融合可能にし、こ
れにより、環境に優しく、リサイクルを可能とする。
(3)本発明のアンモニア吸着材料を用いて製造された液面被覆用フロートは、アンモニ
ア吸着材料製のセパレータ及びスライドロッドを設けることにより、汚水中のアンモニア
への吸着効果が大幅に向上し、アンモニアの揮発を効果的に抑制し、大気や水の汚染を減
らすことができ、構造がコンパクトであり、安定性が良好であり、実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の液面被覆用フロート全体の構造概略図である。
【
図2】本発明の液面被覆用フロートの正面図である。
【
図3】本発明の液面被覆用フロートの側面図である。
【
図4】本発明の液面被覆用フロートのスライドロッドの構造概略図である。
【
図5】本発明の実施例10における液面被覆用フロートユニットの構造概略図であらう。
【
図6】本発明の実施例11における液面被覆用フロートユニットの構造概略図である。
【
図7】本発明の実施例12における液面被覆用フロートユニットの構造概略図である。
【0008】
[符号の説明]
1-球体
2-浮きリング
3-主板
4-溝
5-セパレータ
6-貫通孔
7-スライドロッド
8-制限リング
9-ポリプロピレン製連結棒
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施例1
アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料であって、変性ヤシ殻活性炭6
5重量部、過リン酸カルシウム16重量部、塩化亜鉛78重量部、珪藻土5重量部、アル
ギン酸ナトリウム3重量部、ZIF-8結晶粉末96重量部を含み、変性ヤシ殻活性炭の
製造方法は、含水率12wt%の新鮮なヤシ殻原材料を3回リンスし、80℃の条件下で
12h乾燥し、粉砕して70メッシュの篩にかけ、次に、質量比1:15の比で濃度70
質量%のエタノール溶液に溶解し、1h超音波処理し、ろ過してろ過ケーキを得て、残り
の溶液を蒸発により回収し、ろ過ケーキを75℃の条件下で8h乾燥し、変性ヤシ殻粉末
を得て、次に、変性ヤシ殻粉末を450℃の条件下で6h加熱し、変性ヤシ殻活性炭を得
て、真空密封して保存することであり、アンモニア吸着材料の製造方法は、
塩化亜鉛を1:5の質量比で水に溶解し、15min撹拌した後、変性ヤシ殻活性炭、全
て粉砕後に70メッシュの篩にかけた過リン酸カルシウム及び珪藻土を加え、さらに撹拌
速度55r/minで45min撹拌した後、8h静置し、次に、120℃の条件下で2
h乾燥し、混合粉末を得る、混合処理のステップS1と、
混合粉末を真空オーブンに投入して、10℃/minの昇温速度で460℃に昇温し、4
h保温し、室温27℃に自然冷却すると、活性化粉末を得る、活性化処理のステップS2
と、
活性化粉末を1:8の質量比で濃度17質量%のシュウ酸溶液に溶解し、30min静置
浸漬し、次に、脱イオン水で3回リンスし、洗浄液のpH値を6.8とし、80℃の条件
下で2h乾燥し、次に、粉砕後に70メッシュの篩にかけたアルギン酸ナトリウム粉末を
加えて、振とう混合を行い、変性粉末を得る、変性処理のステップS3と、
ZIF-8結晶粉末を1:2の質量比で脱イオン水に溶解し、変性粉末を加えて超音波振
とう混合を30min行い、次に、220℃のオーブンに入れて乾燥して余分な水分を除
去した後、3h保温し、乾燥したアンモニア吸着材料粉末を得る、被覆処理のステップS
4とを含み、
ZIF-8結晶粉末の製造方法は以下の通りである。
S4-1:硝酸亜鉛六水和物を1:1の質量比で濃度1.5mol/Lのジメチルイミダ
ゾールに溶解し、混合して2h静置した。
S4-2:濃度0.8mol/Lのベンゾイミダゾール溶液と濃度0.05mol/Lの
N,N-ジメチルホルムアミド溶液とを1:3の質量比で混合し、ステップS4-1で得
られた混合液に加え、撹拌速度50r/minで撹拌混合した後、遠心分離し、上清と沈
殿を分離し、得た沈殿を脱イオン水で3回リンスし、乾燥して粉砕し、70メッシュの篩
にかけ、ZIF-8結晶粉末を得た。
【0010】
実施例2
実施例1に比べて、本実施例では、アンモニア吸着材料の成分の質量配合比が異なった。
アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料であって、変性ヤシ殻活性炭6
0重量部、過リン酸カルシウム15重量部、塩化亜鉛75重量部、珪藻土3重量部、アル
ギン酸ナトリウム2重量部、ZIF-8結晶粉末90重量部を含む。
【0011】
実施例3
実施例1に比べて、本実施例では、アンモニア吸着材料の成分の質量配合比が異なった。
アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料であって、変性ヤシ殻活性炭7
0重量部、過リン酸カルシウム20重量部、塩化亜鉛80重量部、珪藻土8重量部、アル
ギン酸ナトリウム4重量部、ZIF-8結晶粉末100重量部を含む。
【0012】
実施例4
実施例1に比べて、本実施例では、変性ヤシ殻活性炭の製造方法のパラメータが異なった
。
変性ヤシ殻活性炭の製造方法は以下の通りである。含水率wt10%の新鮮なヤシ殻原材
料を3回リンスし、80℃の条件下で12h乾燥し、粉砕して60メッシュの篩にかけ、
次に、1:15の質量比で濃度70質量%のエタノール溶液に溶解し、1h超音波処理し
、ろ過してろ過ケーキを得て、残りの溶液を蒸発により回収し、ろ過ケーキを75℃の条
件下で8h乾燥し、変性ヤシ殻粉末を得て、次に、変性ヤシ殻粉末を450℃の条件下で
6h加熱し、変性ヤシ殻活性炭を得て、真空密封して保存した。
【0013】
実施例5
実施例1に比べて、本実施例では、変性ヤシ殻活性炭の製造方法のパラメータが異なった
。
変性ヤシ殻活性炭の製造方法は以下の通りである。含水率wt15%の新鮮なヤシ殻原材
料を3回リンスし、80℃の条件下で12h乾燥し、粉砕して80メッシュの篩にかけ、
次に、1:15の質量比で濃度70質量%のエタノール溶液に溶解し、1h超音波処理し
、ろ過してろ過ケーキを得て、残りの溶液を蒸発により回収し、ろ過ケーキを75℃の条
件下で8h乾燥し、変性ヤシ殻粉末を得て、次に、変性ヤシ殻粉末を450℃の条件下で
6h加熱し、変性ヤシ殻活性炭を得て、真空密封して保存した。
【0014】
実施例6
実施例1に比べて、本実施例では、アンモニア吸着材料の製造方法のパラメータが異なっ
た。
アンモニア吸着材料の製造方法は、
塩化亜鉛を1:5の質量比で水に溶解し、15min撹拌した後、変性ヤシ殻活性炭、全
て粉砕後に60メッシュの篩にかけた過リン酸カルシウム及び珪藻土を加え、さらに撹拌
速度50r/minで45min撹拌した後、8h静置し、次に、120℃の条件下で2
h乾燥し、混合粉末を得る、混合処理のステップS1と、
混合粉末を真空オーブンに投入して、10℃/minの昇温速度で450℃に昇温し、4
h保温し、室温26℃に自然冷却すると、活性化粉末を得る、活性化処理のステップS2
と、
活性化粉末を1:8の質量比で濃度15質量%のシュウ酸溶液に溶解し、30min静置
浸漬し、次に、脱イオン水で3回リンスし、洗浄液のpH値を6.5とし、80℃の条件
下で2h乾燥し、次に、粉砕後に60メッシュの篩にかけたアルギン酸ナトリウム粉末を
加えて、振とう混合を行い、変性粉末を得る、変性処理のステップS3と、
ZIF-8結晶粉末を1:2の質量比で脱イオン水に溶解し、変性粉末を加えて超音波振
とう混合を30min行い、次に、220℃のオーブンに入れて乾燥して余分な水分を除
去した後、3h保温し、乾燥したアンモニア吸着材料粉末を得る、被覆処理のステップS
4とを含む。
【0015】
実施例7
実施例1に比べて、本実施例では、アンモニア吸着材料の製造方法のパラメータが異なっ
た。
アンモニア吸着材料の製造方法は、
塩化亜鉛を1:5の質量比で水に溶解し、15min撹拌した後、変性ヤシ殻活性炭、全
て粉砕後に80メッシュの篩にかけた過リン酸カルシウム及び珪藻土を加え、さらに撹拌
速度60r/minで45min撹拌した後、8h静置し、次に、120℃の条件下で2
h乾燥し、混合粉末を得る、混合処理のステップS1と、
混合粉末を真空オーブンに投入して、10℃/minの昇温速度で500℃に昇温し、4
h保温し、室温28℃に自然冷却すると、活性化粉末を得る、活性化処理のステップS2
と、
活性化粉末を1:8の質量比で濃度20質量%のシュウ酸溶液に溶解し、30min静置
浸漬し、次に、脱イオン水で3回リンスし、洗浄液のpH値を7とし、80℃の条件下で
2h乾燥し、次に、粉砕後に60~80メッシュの篩にかけたアルギン酸ナトリウム粉末
を加えて、振とう混合を行い、変性粉末を得る、変性処理のステップS3と、
ZIF-8結晶粉末を1:2の質量比で脱イオン水に溶解し、変性粉末を加えて超音波振
とう混合を30min行い、次に、220℃のオーブンに入れて乾燥して余分な水分を除
去した後、3h保温し、乾燥したアンモニア吸着材料粉末を得る、被覆処理のステップS
4とを含む。
【0016】
実施例8
実施例1に比べて、本実施例では、ZIF-8結晶粉末の製造方法の具体的なパラメータ
が異なった。
ZIF-8結晶粉末の製造方法は以下の通りである。
S4-1:硝酸亜鉛六水和物を1:1の質量比で濃度1.5mol/Lのジメチルイミダ
ゾールに溶解し、混合して2h静置した。
S4-2:濃度0.8mol/Lのベンゾイミダゾール溶液と濃度0.05mol/Lの
N,N-ジメチルホルムアミド溶液とを1:3の質量比で混合し、ステップS4-1で得
られた混合液に加え、撹拌速度50r/minで撹拌混合した後、遠心分離し、上清と沈
殿を分離し、得た沈殿を脱イオン水で3回リンスし、乾燥して粉砕し、60メッシュの篩
にかけ、ZIF-8結晶粉末を得た。
【0017】
実施例9
実施例1に比べて、本実施例では、ZIF-8結晶粉末の製造方法の具体的なパラメータ
が異なった。
ZIF-8結晶粉末の製造方法は以下の通りである。
S4-1:硝酸亜鉛六水和物を1:1の質量比で濃度1.5mol/Lのジメチルイミダ
ゾールに溶解し、混合して2h静置した。
S4-2:濃度0.8mol/Lのベンゾイミダゾール溶液と濃度0.05mol/Lの
N,N-ジメチルホルムアミド溶液とを1:3の質量比で混合し、ステップS4-1で得
られた混合液に加え、撹拌速度50r/minで撹拌混合した後、遠心分離し、上清と沈
殿を分離し、得た沈殿を脱イオン水で3回リンスし、乾燥して粉砕し、80メッシュの篩
にかけ、ZIF-8結晶粉末を得た。
【0018】
実施例10
実施例1を基にして、本実施例は、アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着
材料を用いて製造された液面被覆用フロートを提供し、
図1~3に示すように、この液面
被覆用フロートは、球体1と、球体1の中央部外に套設された浮きリング2とを含み、球
体1及び浮きリング2は全て発泡ポリプロピレンで製造され、球体1の上半部がキャビテ
ィであり、球体1の下半部が中実構造であり、球体1の下半部の中心に主板3が設けられ
、主板3の両側の球体1の下半部に複数の溝4が対称に設けられ、溝4の間にアンモニア
吸着材料が塗布されたセパレータ5が設けられ、セパレータ5に垂直な方向における球体
1の下半部に複数の貫通孔6が設けられ、貫通孔6は球体1、主板3及びセパレータ5を
貫通し、
図3、
図4に示すように、貫通孔6の内部にアンモニア吸着材料で製造されるスライドロ
ッド7が設けられ、スライドロッド7は主板3にスライド可能に接続され、スライドロッ
ド7の両端の断面積が中央部の断面積よりも20%大きく、スライドロッド7の中央部が
主板3に設けられたチャネルにスライド可能に接続され、制限リング8がスライドロッド
7の両端に近く設けられ、制限リング8の面積が、貫通孔6の面積よりも10%小さく、
チャネルの面積よりも30%大きく、
図5に示すように、球体1は4個を1組として、ポリプロピレン製連結棒9を介して接続
し、主板3の内部にスライドロッド7を磨くための砂が充填されている。
上記アンモニア吸着材料を用いて製造された液面被覆用フロートによるアンモニア吸着の
作動原理は以下の通りである。
液面被覆用フロートを吸着対象の溶液の液面上に浮かせ、球体1の下半部を液面よりも下
にし、溶液が溝4及び溝4内に設けられてアンモニア吸着材料が塗布されたセパレータ5
を流れるときに、溶液中の遊離アンモニアが吸着され、また、水による動力の作用下で、
スライドロッド7は貫通孔6の内部を往復してスライドし、ただし、制限リング8の作用
により貫通孔6から抜けることはなく、そして、スライド過程においてスライドロッド7
の中央部が主板3内に充填されている砂と摩擦することで磨かれ、これにより、スライド
ロッド7を吸着に適用した場合の耐用年数が長くなる。
【0019】
実施例11
実施例10に比べて、本実施例では、球体1は5個を1組とした点が異なった。
【0020】
実施例12
実施例10に比べて、本実施例では、球体1は6個を1組とした点が異なった。
実験例
実施例1~9で製造されたアンモニア吸着材料についてアンモニア吸着テストを行い、す
なわち、吸着材料20gを石英ウール吸着材料内に充填し、空気を平衡ガスとして混合し
、200ppmのアンモニア混合ガスを調製し、1L/minのガス流量で吸着剤を容れ
た反応器を通し、アンモニア検出器で測定された1分間あたりの出口濃度を記録し、吸着
材料のアンモニア吸着量を取得し、3群の対比例と比較し、テスト結果を表1に示す。
【0021】
【0022】
上記の表から明らかなように、実施例1に記載のアンモニア吸着材料の成分の配合比で製
造されたアンモニア吸着材料は、吸着効率及び飽和吸着量の両方が高く、一般的な材料に
比べて、本発明で限定された範囲で製造されたアンモニア吸着材料は、吸着効率及び飽和
吸着量が両方ともに高いレベルに保持され、
実施例1、4、5及び未変性ヤシ殻で製造された吸着材料の比較結果から、ヤシ殻を変性
処理することにより、細孔構造の大きさが増大し、活性炭の孔形成が促進され、吸着効率
及び飽和吸着量が向上することが分かった。
実施例1、6、7及びZIF-8結晶粉末を添加せずに製造された吸着材料の比較結果か
ら、ZIF-8結晶粉に対する被覆変性粉末処理により、その吸着安定性がさらに向上し
、大比表面積による優位性が発揮し、吸着されたアンモニアの脱着が回避され、これによ
り、吸着効率及び飽和吸着量が向上することが分かった。
実施例1、8、9の比較から、ZIF-8結晶粉末の製造プロセスのパラメータが本発明
により記載された範囲であれば、良好な使用性能があることが分かった。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料の製造方法であって、
前記前記アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料は、
変性ヤシ殻活性炭60~70重量部、過リン酸カルシウム15~20重量部、塩化亜鉛7
5~80重量部、珪藻土3~8重量部、アルギン酸ナトリウム2~4重量部、ZIF-8
結晶粉末90~100重量部を含み、
前記アンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料は、
塩化亜鉛を1:5の質量比で水に溶解し、15min撹拌した後、変性ヤシ殻活性炭、過
リン酸カルシウム及び珪藻土を加え、さらに45min撹拌した後、8h静置し、次に、
120℃の条件下で2h乾燥し、混合粉末を得る、混合処理のステップS1と、
混合粉末を真空オーブンに投入して、10℃/minの昇温速度で450~500℃に昇
温し、4h保温し、室温26~28℃に自然冷却すると、活性化粉末を得る、活性化処理
のステップS2と、
活性化粉末を1:8の質量比で濃度15~20質量%のシュウ酸溶液に溶解し、30mi
n静置浸漬し、次に、脱イオン水で3回リンスし、洗浄液のpH値を6.5~7とし、8
0℃の条件下で2h乾燥し、次にアルギン酸ナトリウム粉末を加えて、振とう混合を行い
、変性粉末を得る、変性処理のステップS3と、
ZIF-8結晶粉末を1:2の質量比で脱イオン水に溶解し、変性粉末を加えて超音波振
とう混合を30min行い、次に、220℃のオーブンに入れて乾燥して余分な水分を除
去した後、3h保温し、乾燥したアンモニア吸着材料を得る、被覆処理のステップS4と
を含む、
製造方法により製造される、ことを特徴とするアンモニア揮発量を低下させるためのアン
モニア吸着材料の製造方法。
【請求項2】
前記混合処理のステップS1では、過リン酸カルシウム及び珪藻土は全て粉砕後に60~
80メッシュの篩にかけたものであり、撹拌速度は50~60r/minであり、
変性処理の前記ステップS3では、アルギン酸ナトリウム粉末は粉砕後に60~80メッ
シュの篩にかけたものである、ことを特徴とする請求項1に記載のアンモニア揮発量を低
下させるためのアンモニア吸着材料の製造方法。
【請求項3】
前記被覆処理のステップS4では、ZIF-8結晶粉末の製造方法は、
硝酸亜鉛六水和物を1:1の質量比で濃度1.5mol/Lのジメチルイミダゾールに溶
解し、混合して2h静置するステップS4-1と、
濃度0.8mol/Lのベンゾイミダゾール溶液と濃度0.05mol/LのN,N-ジ
メチルホルムアミド溶液とを1:3の質量比で混合し、ステップS4-1で得られた混合
液に加え、撹拌速度50r/minで撹拌混合した後、遠心分離し、上清と沈殿を分離し
、得た沈殿を脱イオン水で3回リンスし、乾燥して粉砕し、60~80メッシュの篩にか
け、ZIF-8結晶粉末を得るステップS4-2とである、ことを特徴とする請求項1に
記載のアンモニア揮発量を低下させるためのアンモニア吸着材料の製造方法。