(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098731
(43)【公開日】2023-07-10
(54)【発明の名称】端末装置を用いたコミュニケーションのためのシステム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/58 20060101AFI20230703BHJP
H04L 67/148 20220101ALI20230703BHJP
H04L 67/146 20220101ALI20230703BHJP
【FI】
H04M3/58 Z
H04L67/148
H04L67/146
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023040330
(22)【出願日】2023-03-15
(62)【分割の表示】P 2022094995の分割
【原出願日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021215239
(32)【優先日】2021-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519283325
【氏名又は名称】株式会社toraru
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西口 潤
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BB09
5K201BC17
5K201CB06
5K201CB10
5K201CC04
5K201EB07
5K201EC06
5K201ED04
5K201EF05
5K201EF06
(57)【要約】
【課題】端末装置を用いたコミュニケーションを継続しながら、そのコミュニケーションに用いる端末装置を切り替えることを可能とする手段を提供する。
【解決手段】ユーザXとユーザYが端末装置12(1)と端末装置12(2)を用いてコミュニケーションしている状態において、ユーザYが端末装置12(2)に所定の操作を行うと、端末装置12(2)は端末装置12(1)の端末識別情報を表す二次元バーコードを表示する。ユーザZが端末装置12(3)によりその二次元バーコードを撮影すると、端末装置12(3)は撮影した二次元バーコードが表す通信開始用情報に含まれる端末識別情報を用いてサーバ装置11から端末装置12(1)のIPアドレスを取得し、端末装置12(1)を呼び出す。ユーザXがその呼び出しに応じる操作を行うと、ユーザXとユーザZが端末装置12(1)と端末装置12(3)を用いてコミュニケーション可能となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末装置、第2の端末装置、及び、第3の端末装置を備え、
前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、及び、前記第3の端末装置の各々は、
ユーザが発出する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した情報を表すデータである自装置取得データを前記ユーザのコミュニケーションの相手の端末装置に送信し、前記相手が発出し前記相手の端末装置が取得した情報を表す他装置取得データを前記相手の端末装置から受信する通信手段と、
前記通信手段が受信した他装置取得データが表す情報を前記ユーザが感知可能な態様で発出する情報発出手段と
を備え、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置がデータ通信を開始した後に、前記第3の端末装置と前記第1の端末装置との間でデータ通信を開始するための情報である通信開始用情報を出力し、前記第1の端末装置及び前記第3の端末装置の少なくとも一方が前記通信開始用情報を用いて前記第1の端末装置と前記第3の端末装置との間のデータ通信を開始する
システム。
【請求項2】
前記第2の端末装置が、前記第1の端末装置を識別する端末識別情報を含む前記通信開始用情報を出力し、前記第3の端末装置が前記通信開始用情報を取得し、前記第3の端末装置が前記通信開始用情報を用いて前記第1の端末装置との間のデータ通信を開始する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第3の端末装置が、前記第3の端末装置を識別する端末識別情報を含む前記通信開始用情報を出力し、前記第1の端末装置が前記第2の端末装置を介して前記通信開始用情報を取得し、前記第1の端末装置が前記通信開始用情報を用いて前記第3の端末装置との間のデータ通信を開始する
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第3の端末装置とは異なる媒体であって、前記第3の端末装置を識別する端末識別情報を含む前記通信開始用情報を保持又は記憶する媒体を備え、
前記媒体が前記通信開始用情報を出力し、前記第1の端末装置が前記第2の端末装置を介して前記通信開始用情報を取得し、前記第1の端末装置が前記通信開始用情報を用いて前記第3の端末装置との間のデータ通信を開始する
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第2の端末装置が、前記第1の端末装置と前記第2の端末装置がデータ通信を行っている仮想的な会議室を識別する会議室識別情報を含む前記通信開始用情報を出力し、前記第3の端末装置が前記通信開始用情報を取得し、前記第3の端末装置が前記通信開始用情報を用いて前記第1の端末装置との間のデータ通信を開始する
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第3の端末装置が、前記第3の端末装置を識別する端末識別情報を含む前記通信開始用情報を出力し、
前記第2の端末装置から、前記第3の端末装置を識別する端末識別情報と前記会議室識別情報とを含む前記通信開始用情報を受信し、前記通信開始用情報を用いて、前記第3の端末装置に前記仮想的な会議室への入室要求を送信するサーバ装置を備える
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の端末装置から受信する情報と前記第3の端末装置から受信する情報とに基づき前記第1の端末装置を識別する端末識別情報を含む前記通信開始用情報を生成し前記第3の端末装置に送信するサーバ装置を備え、
前記第3の端末装置が前記サーバ装置から受信した前記通信開始用情報を用いて前記第1の端末装置との間のデータ通信を開始する
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2の端末装置から受信する情報と前記第3の端末装置から受信する情報とに基づき前記第3の端末装置を識別する端末識別情報を含む前記通信開始用情報を生成し前記第1の端末装置に送信するサーバ装置を備え、
前記第1の端末装置が前記サーバ装置から受信した前記通信開始用情報を用いて前記第3の端末装置との間のデータ通信を開始する
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記サーバ装置は、前記第2の端末装置から受信する前記第2の端末装置の位置情報と前記第3の端末装置から受信する前記第3の端末装置の位置情報とに基づき前記通信開始用情報を生成する
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記サーバ装置は、前記第2の端末装置から受信するコードと、前記第3の端末装置から受信するコードとに基づき前記通信開始用情報を生成する
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項11】
前記サーバ装置は、前記第2の端末装置から受信する前記第2の端末装置が撮影した画像を表す画像データと、前記第3の端末装置から受信する前記第3の端末装置が撮影した画像を表す画像データとに基づき前記通信開始用情報を生成する
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項12】
前記サーバ装置は、前記第2の端末装置から受信する前記第2の端末装置が拾音した音を表す音データと、前記第3の端末装置から受信する前記第3の端末装置が拾音した音を表す音データとに基づき前記通信開始用情報を生成する
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項13】
前記サーバ装置は、前記第2の端末装置から受信する前記第2の端末装置が感知した前記第2の端末装置の物理的な動きを表すモーションデータと、前記第3の端末装置から受信する前記第3の端末装置が感知した前記第3の端末装置の物理的な動きを表すモーションデータとに基づき前記通信開始用情報を生成する
請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項14】
第1の端末装置、第2の端末装置、第3の端末装置、及び、第4の端末装置を備え、
前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、前記第3の端末装置、及び、前記第4の端末装置の各々は、
ユーザが発出する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した情報を表すデータである自装置取得データを前記ユーザのコミュニケーションの相手の端末装置に送信し、前記相手が発出し前記相手の端末装置が取得した情報を表す他装置取得データを前記相手の端末装置から受信する通信手段と、
前記通信手段が受信した他装置取得データが表す情報を前記ユーザが感知可能な態様で発出する情報発出手段と
を備え、
前記第1の端末装置と前記第2の端末装置がデータ通信を開始し、かつ、前記第3の端末装置と前記第4の端末装置がデータ通信を開始した後に、前記第2の端末装置が、前記第1の端末装置を識別する端末識別情報を含み前記第1の端末装置と前記第4の端末装置との間でデータ通信を開始するための情報である通信開始用情報を出力し、
前記第3の端末装置が前記第2の端末装置から取得した前記通信開始用情報を前記第4の端末装置に送信し、
前記第4の端末装置が、前記通信開始用情報を用いて、前記第1の端末装置との間のデータ通信を開始する
システム。
【請求項15】
前記通信開始用情報を画像により出力する
請求項1又は14に記載のシステム。
【請求項16】
前記通信開始用情報を音により出力する
請求項1又は14に記載のシステム。
【請求項17】
前記通信開始用情報を電磁波により出力する
請求項1又は14に記載のシステム。
【請求項18】
前記通信開始用情報を、近距離無線通信規格に従い電波により出力する
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記通信開始用情報を、前記通信開始用情報を出力する端末装置の物理的な動きにより出力する
請求項1又は14に記載のシステム。
【請求項20】
前記通信開始用情報を取得する端末装置がデコード可能なコード化された前記通信開始用情報を出力する
請求項1又は14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は端末装置を用いたコミュニケーションのためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の端末装置を用いたコミュニケーションにおいて、ユーザの一方が、相手とのコミュニケーションを継続しながら、使用している端末装置を変更した場合がある。
【0003】
上記のようなニーズを満たす仕組みが提案されている。例えば、特許文献1には、サーバ装置が、予め第1のユーザにより使用される2つの端末装置(第1の端末装置及び第2の端末装置)の識別番号を対応付けて記憶しておき、第1のユーザが第1の端末装置を用いて第2のユーザとコミュニケーションしているときに、第1の端末装置から、通信相手の端末装置の識別番号と切替指示を受信すると、受信した通信相手の端末装置の電話番号と、記憶している第2の端末装置の電話番号とを用いて、それらの電話番号の端末装置の間の通信接続を確立し、第2の端末装置と通信相手の端末装置とを用いたコミュニケーションを可能とする仕組みが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、携帯端末装置(スマートフォン等)を用いて移動しながら誰かとコミュニケーションをしているユーザが、移動先に置かれている、予め識別番号の登録されていない端末装置(例えば、デスクトップPC(Personal Computer)等)を用いて、それまで行っていたコミュニケーションを継続して行いたい場合がある。
【0006】
また、携帯端末装置を用いて移動しながら誰かとコミュニケーションをしているユーザが、移動先にいる他の人に、それまで自分が行っていた相手とのコミュニケーションを引き継ぎたい場合がある。
【0007】
上記の事情に鑑み、本発明は、端末装置を用いたコミュニケーションを継続しながら、そのコミュニケーションに用いる端末装置を切り替えることを可能とする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の端末装置、第2の端末装置、及び、第3の端末装置を備え、前記第1の端末装置、前記第2の端末装置、及び、前記第3の端末装置の各々は、ユーザが発出する情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が取得した情報を表すデータである自装置取得データを前記ユーザのコミュニケーションの相手の端末装置に送信し、前記相手が発出し前記相手の端末装置が取得した情報を表す他装置取得データを前記相手の端末装置から受信する通信手段と、前記通信手段が受信した他装置取得データが表す情報を前記ユーザが感知可能な態様で発出する情報発出手段とを備え、前記第1の端末装置と前記第2の端末装置がデータ通信を開始した後に、前記第3の端末装置が前記第1の端末装置との間でデータ通信を開始するための情報である通信開始用情報を出力し、前記第3の端末装置が前記通信開始用情報を取得し、前記第3の端末装置が前記通信開始用情報を用いて前記第1の端末装置との間のデータ通信を開始するシステムを提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端末装置を用いたコミュニケーションを継続しながら、そのコミュニケーションに用いる端末装置を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るシステムの全体構成を示した図。
【
図2】一実施形態に係る端末装置が表示する端末識別情報表示画面を模式的に示した図。
【
図3】一実施形態に係る端末装置が表示するコミュニケーション開始画面を模式的に示した図。
【
図4】一実施形態に係る端末装置が表示するコミュニケーション呼出画面を模式的に示した図。
【
図5】一実施形態に係る端末装置が表示するコミュニケーション引渡画面を模式的に示した図。
【
図6】一実施形態に係る端末装置が表示するコミュニケーション引受画面を模式的に示した図。
【
図7】一実施形態に係る端末装置が表示するコミュニケーション切替画面を模式的に示した図。
【
図8A】一変形例に係るシステムの構成を模式的に示した図。
【
図8B】一変形例に係るシステムの構成を模式的に示した図。
【
図9】一変形例に係る端末装置が表示する入室承諾画面を模式的に示した図。
【
図10】一変形例に係る端末装置が表示する入室要求画面を模式的に示した図。
【
図11】一変形例に係る端末装置が表示するコミュニケーション引渡画面を模式的に示した図。
【
図12】一変形例に係る端末装置が表示するコミュニケーション引受画面を模式的に示した図。
【
図13A】一変形例に係るシステムの動作を説明するための図。
【
図13B】一変形例に係るシステムの動作を説明するための図。
【
図14】一変形例に係る端末装置が表示するコミュニケーション引受画面を模式的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態に係るシステム1を説明する。
図1はシステム1の全体構成を示した図である。システム1は、複数のユーザが各々の端末装置を用いてコミュニケーションを行うことを可能とするシステムである。本実施形態において、システム1を利用して行われるコミュニケーションは、2名のユーザの間で行われるものとする。なお、システム1を利用して各々2名により行われるコミュニケーションが、同時に複数、成立してもよい。
【0012】
ところで、本願において、ユーザは人に限られず、人又は他の装置との間でコミュニケーションを行う機能を備えた装置(ロボット等)を含む。また、本願においてコミュニケーションとは、ユーザが解釈できる形態の情報のやりとりを意味する。コミュニケーションにおいてやりとりされる情報の形態は、コミュニケーションを行うユーザの能力等に応じて様々に異なる。例えば、人と人、又は、人と装置の間のコミュニケーションにおいては、端末装置は、文字の表示、言葉の発声、手話等のジェスチャーの表示等の形態でユーザに対する情報の発出が行われる。
【0013】
また、装置と装置の間のコミュニケーションにおいては、ユーザである端末装置に対し、人は解釈できないが装置であるユーザには解釈できる形態の情報が発出されてもよい。なお、ユーザが装置である場合、ユーザが使用する端末装置が、ユーザである装置と一体に構成されていてもよい。例えば、ユーザが通信機能を備えるロボットであるような場合、ロボットはユーザであると同時に、ユーザが使用する端末装置でもあることになる。
【0014】
ただし、以下の説明においては、便宜的にユーザが全て人である場合を例として説明する。
【0015】
システム1は、サーバ装置11と、ユーザの各々が使用する端末装置12を備える。
図1の例では、ユーザX、ユーザY、ユーザZの3名のユーザが示されている。ユーザXは端末装置12(1)を使用し、ユーザYは端末装置12(2)を使用し、ユーザZは端末装置12(3)を使用している。
【0016】
サーバ装置11及び複数の端末装置12の各々は、インターネット9を介してデータ通信を行うことができる。
【0017】
サーバ装置11のハードウェアは、一般的なサーバ装置用のコンピュータであり、各種のデータ処理を行うプロセッサ、プロセッサにより実行されるプログラムを含む各種データを記憶するメモリ、インターネット9を介して端末装置12との間でデータ通信を行う通信インタフェースを備える。
【0018】
端末装置12のハードウェアは、一般的な端末装置用のコンピュータであり、サーバ装置11と同様に、各種のデータ処理を行うプロセッサ、プロセッサにより実行されるプログラムを含む各種データを記憶するメモリ、インターネット9を介して端末装置12との間でデータ通信を行う通信インタフェース(通信手段)を備える。
【0019】
端末装置12は、さらに、ユーザがコミュニケーションにおいて発出する情報を取得する情報取得手段として機能すると共に、ユーザに対しコミュニケーションの相手が発出した情報を発出する情報発出手段として機能するユーザインタフェースを備える。
【0020】
ユーザインタフェースのうち、情報取得手段として機能する構成部としては、例えば、ユーザが発した音声を拾音するマイク(拾音手段)、ユーザの表情やジェスチャー等を画像として撮影するカメラ(撮影手段)、ユーザの情報入力操作を受け付けるキーボード、マウス、タッチパネル等(情報入力手段)等が例示されるがこれに限られない。例えば、端末装置12が、ユーザが触れた時の圧力、温度等を感知する触覚センサを、情報取得手段として機能する構成部の1つとして備えてもよい。
【0021】
また、ユーザインタフェースのうち、情報発出手段として機能する構成部としては、例えば、ユーザに対し音声を発音するスピーカ(発音手段)、ユーザに対しコミュニケーションの相手の表情やジェスチャー等を表す画像や、コミュニケーションの相手が入力した文字等の情報を表示するディスプレイ(表示手段)が例示されるがこれに限られない。例えば、端末装置12が、ユーザのコミュニケーションの相手が触覚センサに触れた時の圧力、温度等をユーザに伝達する触覚伝達デバイスを、情報発出手段として機能する構成部の1つとして備えてもよい。
【0022】
以下の説明においては例として、端末装置12は、いずれも、情報取得手段として機能する構成部としてマイク、カメラ、タッチパネルを備え、情報発出手段として機能する構成部としてスピーカ、ディスプレイを備えるタブレット型PC(Personal Computer)であるものとする。すなわち、端末装置12は、タッチパネルとディスプレイが一体に構成されたタッチスクリーンを備える。なお、端末装置12は、移動通信網を介して電話番号による発呼及び着呼を行うことで音声通話を可能とする機能を備えるタブレット型PCであるスマートフォンであってもよいが、必ずしも電話番号による発呼及び着呼を行う機能を備えなくてもよい。
【0023】
サーバ装置11は、本実施形態に係るアプリケーションプログラム(以下、「サーバアプリ」という)に従ったデータ処理を行うことにより、コミュニケーションを行う2名のユーザの使用する2台の端末装置12の間の通信接続を確立する役割を果たす。
【0024】
なお、サーバ装置11は1台の装置で構成されてもよいが、互いに連係動作する複数台の装置で構成されてもよい。
【0025】
端末装置12は、本実施形態に係るアプリケーションプログラム(以下、「端末アプリ」という)に従ったデータ処理を行うことにより、ユーザのコミュニケーションの相手の端末装置12から受信したデータが表す情報をユーザに対し発出するとともに、ユーザが発出した情報を取得し、取得した情報を表すデータをコミュニケーションの相手の端末装置12に送信し、ユーザ間のコミュニケーションを成立させる役割を果たす。
【0026】
端末アプリは、予め端末装置12にインストールされたプログラムであってもよいし、端末装置12にインストールされているWebブラウザプログラムが実行されている状況下において、例えば、サーバ装置11からダウンロードされるWebページ(正しくは、HTML等の記述言語で記述されたWebページの表示を指示するデータ)に含まれるか、もしくはWebページから参照されてサーバ装置11等からダウンロードされるスクリプトの形式で端末装置12に対し提供されてもよい。スクリプトの形式で提供される端末アプリは、Webブラウザにより解釈され、実行される。なお、以下の説明においては、例として、端末装置12(1)及び端末装置12(2)において実行される端末アプリは、予めそれらの端末装置12にインストールされたプログラムであるものとし、端末装置12(3)において実行される端末アプリは、Webブラウザにより解釈されるスクリプトであるものとする。
【0027】
端末装置12は、例えば端末アプリの起動時に、自装置のIP(Internet Protocol)アドレスをサーバ装置11に通知する。なお、端末装置12がインターネット9に接続する際に用いる通信インタフェースに割り当てられているIPアドレスがローカルIPアドレスである場合、インターネット9上において端末装置12の場所が一意に識別できるように、端末装置12(又は、端末装置12が接続しているLANにおいてNAT変換等を行うルータ)は、LANに割り当てられているグローバルIPアドレスに加えて、LAN内において端末装置12を識別するポート番号をサーバ装置11に通知する。なお、以下の説明において、IPアドレスという場合、グローバルIPアドレスが割り当てられている端末装置12に関してはグローバルIPアドレスを意味し、ローカルIPアドレスが割り当てられている端末装置12に関してはグローバルIPアドレスとポート番号の組み合わせを意味する。
【0028】
サーバ装置11は、上記のように端末装置12からIPアドレスの通知を受けると、通知されたIPアドレスに対し、システム1においてその時点でユニークな端末識別情報を割り当て、IPアドレスと端末識別情報とを対応付けて、データベースに記憶する。また、サーバ装置11は、割り当てた端末識別情報をIPアドレスの送信元の端末装置12に送信する。端末識別情報の形式は、例えば、数字の列、文字列等のいずれであってもよい。また、端末識別情報が、URL(Uniform Resource Locator)であってもよい。端末アプリを実行中の端末装置12は、例えば、所定時間の経過毎に、IPアドレスと自装置に割り当てられた端末識別情報をサーバ装置11に送信する。サーバ装置11は、所定時間以上の期間、いずれの端末装置12からも送信されてこないIPアドレスと端末識別情報の組み合わせを、データベースから削除する。
【0029】
以下に例として、まずユーザXとユーザYがコミュニケーションを行い、その後、そのコミュニケーションを引き継ぐ形でユーザXとユーザZがコミュニケーションを行う場合のシステム1の動作を例として説明する。
【0030】
ユーザXとユーザYのコミュニケーションは、例えば、以下のように開始される。まず、ユーザXとユーザYは各々、端末アプリを実行中の自分の端末装置12に対し所定の操作を行い、端末装置12に端末識別情報表示画面(
図2)を表示させる。
図2は、端末識別情報表示画面を模式的に示した図である。端末識別情報表示画面(
図2)には、その時点で端末装置12に割り当てられている端末識別情報が表示される。
【0031】
ユーザXとユーザYは、端末識別情報表示画面(
図2)に表示される端末識別情報を互いに相手に伝え合う。ユーザXとユーザYが端末識別情報を互いに伝え合う方法は、例えば、電話、電子メール、チャット等のいずれであってもよい。
【0032】
例えば、ユーザXは、端末アプリを実行中の端末装置12(1)に対し所定の操作を行い、端末装置12(1)にコミュニケーション開始画面(
図3)を表示させる。
図3は、コミュニケーション開始画面を模式的に示した図である。コミュニケーション開始画面(
図3)には、端末識別情報の入力欄が表示される。ユーザXは、コミュニケーション開始画面(
図3)の入力欄に、ユーザYから伝えられた端末装置12(2)の端末識別情報を入力し、「呼出」ボタンをタッチする。
【0033】
ユーザXの「呼出」ボタンのタッチ操作に応じて、端末装置12(1)はサーバ装置11にIPアドレス要求を送信する。このIPアドレス要求には、端末装置12(2)の端末識別情報が含まれている。サーバ装置11は、端末装置12(1)から受信したIPアドレス要求に応じて、データベースを参照しIPアドレス要求に含まれる端末識別情報に対応する端末装置12(2)のIPアドレスを特定し、特定したIPアドレスをIPアドレス要求の送信元の端末装置12(1)に送信する。
【0034】
端末装置12(1)は、サーバ装置11に送信したIPアドレス要求に対する応答としてサーバ装置11から送信されてくるIPアドレスを用いて、端末装置12(2)に対する接続要求を送信する。この接続要求には、端末装置12(1)の端末識別情報が含まれている。
【0035】
端末装置12(2)は、端末装置12(1)から送信されてくる接続要求を受信すると、コミュニケーション呼出画面(
図4)を表示すると共に、呼出音の継続的な発音を行い、ユーザYの呼び出しを行う。その際、端末装置12(2)は、呼出音の発音に加えて、もしくは代えて、端末装置12(2)を継続的に振動させてもよい。
図4は、コミュニケーション呼出画面を模式的に示した図である。コミュニケーション呼出画面(
図4)には、呼出元の端末装置12(1)の端末識別情報が表示される。ユーザYは、コミュニケーション呼出画面(
図4)に表示されている端末識別情報と、先にユーザXから伝えられた端末装置12(1)の端末識別情報とを照合することで、この呼び出しがユーザXからの呼び出しであることを確認し、「受話」ボタンをタッチする。
【0036】
ユーザYが、コミュニケーション呼出画面(
図4)の「受話」ボタンをタッチすると、端末装置12(1)と端末装置12(2)を用いて、ユーザXとユーザYの間でコミュニケーションが可能となる。すなわち、端末装置12(1)はユーザXが発出した音声をマイク(情報取得手段の一例)で拾音し、その音声を表す音声データ(自装置取得データの一例)を端末装置12(2)に送信すると同時に、端末装置12(2)から受信する音声データ(他装置取得データの一例)が表すユーザYが発出した音声をスピーカから発音する。同様に、端末装置12(2)はユーザYが発出した音声をマイク(情報取得手段の一例)で拾音し、その音声を表す音声データ(自装置取得データの一例)を端末装置12(1)に送信すると同時に、端末装置12(1)から受信する音声データ(他装置取得データの一例)が表すユーザXが発出した音声をスピーカから発音する。
【0037】
なお、この実施形態においては、ユーザXとユーザYは音声のみによるコミュニケーションを行うものとするが、ユーザXとユーザYのコミュニケーションが他の形態で行われてもよい。すなわち、ユーザXとユーザYのコミュニケーションが、例えば、音声及び動画により行われてもよいし、文字の表示のみによって行われもよい。また、ユーザXとユーザYが手話を使える場合、動画のみによりユーザXとユーザYのコミュニケーションが行われてもよい。
【0038】
以上が、ユーザXとユーザYのコミュニケーションが開始される手順である。上述の例では、ユーザXがユーザYに対し呼び出しを行う例であるが、ユーザYがユーザXに対し呼び出しを行ってもよい。その場合、上記の端末装置12(1)と端末装置12(2)の役割が逆となる。
【0039】
ユーザYは、上記のようにユーザXとのコミュニケーションを開始した後、そのコミュニケーションを維持しながら、ユーザZの近くまで移動する。そして、ユーザYは、端末装置12(2)に対し所定の操作を行い、端末装置12(2)にコミュニケーション引渡画面(
図5)を表示させる。
図5は、コミュニケーション引渡画面を模式的に示した図である。コミュニケーション引渡画面(
図5)には、端末装置12(2)以外の端末装置12が端末装置12(1)との間でコミュニケーションのためのデータ通信を開始するための情報である通信開始用情報を示す二次元バーコードが表示される。
【0040】
この実施形態において、通信開始用情報は、サーバ装置11に対し端末装置12(1)のIPアドレス要求を送信するためのURLである。このURLには、端末装置12(1)の端末識別情報が含まれている。
【0041】
ユーザYは、ユーザZに対しコミュニケーション引渡画面(
図5)を表示している端末装置12(2)を見せる。ユーザZは、端末装置12(3)を操作して、二次元バーコードを読み取るプログラムを起動し、端末装置12(3)のカメラで端末装置12(2)に表示されているコミュニケーション引渡画面(
図5)内の二次元バーコードを撮影する。端末装置12(3)は、カメラで撮影した二次元バーコードをデコードして得られるURLを用いて、サーバ装置11にWebページの送信要求を行う。
【0042】
サーバ装置11は、端末装置12(3)からの送信要求に応じて、まず、端末装置12(3)に対し新たな端末識別情報を割り当て、割り当てた端末識別情報と端末装置12(3)のIPアドレスとを対応付けてデータベースに登録する。続いて、サーバ装置11は、データベースを参照し、端末装置12(3)からの送信要求に含まれる端末装置12(1)の端末識別情報に対応するIPアドレスを特定し、特定したIPアドレスを用いて端末装置12(3)が端末装置12(1)との間でコミュニケーションのためのデータ通信を開始するためのWebページを端末装置12(3)に送信する。
【0043】
端末装置12(3)は、送信要求に対する応答としてサーバ装置11から送信されてくるWebページに従いコミュニケーション引受画面(
図6)を表示する。
図6は、コミュニケーション引受画面を模式的に示した図である。コミュニケーション引受画面(
図6)には、非表示であるが、コミュニケーションの引渡元である端末装置12(2)の端末識別情報と、端末装置12(3)が今からコミュニケーションを開始する相手の端末装置12(1)のIPアドレスが含まれている。
【0044】
コミュニケーション引受画面(
図6)には、「引受」ボタンが表示される。ユーザZがコミュニケーション引受画面(
図6)に表示される「引受」ボタンをタッチすると、端末装置12(3)は端末装置12(1)のIPアドレスを用いて、端末装置12(1)に対する接続要求を送信する。この接続要求には、端末装置12(2)の端末識別情報が含まれている。
【0045】
端末装置12(1)は、端末装置12(3)からの接続要求を受信すると、コミュニケーション切替画面(
図7)を表示する。
図7は、コミュニケーション切替画面を模式的に示した図である。コミュニケーション切替画面(
図7)には、端末装置12(2)の端末識別情報と、「切替」ボタンが表示される。ユーザXは、コミュニケーション切替画面(
図7)に表示される端末識別情報が、予めユーザYから伝えられた端末識別情報であることを確認した後、「切替」ボタンをタッチする。
【0046】
コミュニケーション切替画面(
図7)の「切替」ボタンがタッチされると、端末装置12(1)はそれまで維持していた端末装置12(2)とのコミュニケーションのためのデータ通信を終了し、端末装置12(3)との間でコミュニケーションのためのデータ通信を開始する。その後、端末装置12(1)と端末装置12(3)を介して、ユーザXとユーザZの間でコミュニケーションが行われる。
【0047】
上述したシステム1によれば、端末装置12(1)と端末装置12(2)を介して行われていたコミュニケーションが、ユーザの簡単な操作によって、端末装置12(1)と端末装置12(3)を介して行われるコミュニケーションへと切り替えられる。
【0048】
ここで留意すべき点は、ユーザX、ユーザY、ユーザZのいずれも、システム1を利用するにあたり、ユーザ登録を必要としない点である。
【0049】
また、システム1を利用するための端末アプリが予め端末装置12にインストールされていてもよいが、それも必須ではない。すなわち、汎用的なWebブラウザが実行可能な端末装置12であれば、システム1を利用の際に必要に応じて所定のURLをWebブラウザに入力することでサーバ装置11にアクセスして、コミュニケーション開始画面(
図3)、端末識別情報表示画面(
図2)、コミュニケーション呼出画面(
図4)、コミュニケーション引渡画面(
図5)、コミュニケーション引受画面(
図6)、コミュニケーション切替画面(
図7)等を表示させ、上述したコミュニケーションの開始及びコミュニケーションの受け渡しを行うことができる。
【0050】
[変形例]
上述した実施形態は、本発明の一例であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形されてよい。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す変形例の2以上が適宜組み合わされてもよい。
【0051】
(変形例1)上述した実施形態において、2つの端末装置12の間のコミュニケーションのためのデータ通信は、インターネット9を中継せずに直接、ピアツーピアで行われるものとしたが、これに限られない。例えば、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間のコミュニケーションのためのデータ通信や、端末装置12(1)と端末装置12(3)の間のコミュニケーションのためのデータ通信が、サーバ装置11を経由して行われてもよい。
【0052】
(変形例2)上述した実施形態において、2つの端末装置12の間のコミュニケーションのためのデータ通信は、第1の端末装置12が第2の端末装置12のIPアドレスをサーバ装置11から取得し、取得したIPアドレスを用いて、第2の端末装置12が第1の端末装置12に対し直接、呼び出しを行うことによって開始されるものとしたが、これに限られない。例えば、端末装置12(1)が端末装置12(2)を呼び出すときに、まず、端末装置12(1)とサーバ装置11との間で第1の通信接続を確立し、端末装置12(1)がサーバ装置11に対し端末装置12(2)とのコミュニケーションの開始を要求し、サーバ装置11がその要求に応じて端末装置12(2)を呼び出し、呼び出しに応じた端末装置12(2)とサーバ装置11との間で第2の通信接続を確立し、その後、サーバ装置11が第1の通信接続と第2の通信接続を相互接続することによって、端末装置12(1)と端末装置12(2)との間で通信接続を確立し、その通信接続を介して、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間でコミュニケーションのためのデータ通信が開始されてもよい。
【0053】
(変形例3)上述した実施形態において、サーバ装置11はシステム1を利用する端末装置12に対し端末識別情報を割り当て、その端末装置12のIPアドレスと端末識別情報を対応付けて記憶し、必要に応じて端末識別情報とIPアドレスの変換を行う。これに代えて、サーバ装置11が端末識別情報の割り当てを行わず、端末装置12のIPアドレスがそのまま、端末識別情報として用いられてもよい。
【0054】
(変形例4)上述した実施形態において、サーバ装置11は端末装置12にコミュニケーションの相手の端末装置12のIPアドレスを通知する場合がある。端末装置12に対し、他の端末装置12のIPアドレスの通知を行わない構成が採用されてもよい。その場合、端末装置12にはコミュニケーションの相手の端末装置12の端末識別情報が通知され、IPアドレスは通知されない。そして、端末装置12は、サーバ装置11にコミュニケーションの相手の端末識別情報を送信し、サーバ装置11が端末識別情報からIPアドレスへの変換を行ってコミュニケーションの相手の端末装置12のインターネット上の位置を特定し、呼び出し等を行う。この変形例によれば、コミュニケーションを行うユーザ間で端末装置12のIPアドレスを秘匿し合うことができる。
【0055】
(変形例5)上述した実施形態において、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間で行われていたコミュニケーションが、端末装置12(1)と端末装置12(3)の間のコミュニケーションに切り替えられる際、ユーザXがコミュニケーション切替画面(
図7)において「切替」ボタンをタッチし、コミュニケーションの切り替えを承諾した後に、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間のデータ通信が終了されるものとしたが、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間のデータ通信が終了されるタイミングはこれに限られない。
【0056】
例えば、端末装置12(2)がコミュニケーション引渡画面(
図5)を表示するタイミングや、端末装置12(1)がコミュニケーション切替画面(
図7)を表示するタイミングにおいて、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間のデータ通信が終了されてもよい。これらの場合、ユーザXによるコミュニケーションの切り替えの承諾が行われる前に、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間のコミュニケーションのためのデータ通信が終了されるため、ユーザXにより、例えば所定時間を経過してもコミュニケーションの切り替えの承諾が行われなかった場合に、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間でコミュニケーションのためのデータ通信が自動的に再開されてもよい。その場合、例えば、端末装置12(2)から端末装置12(1)に対し、又は、端末装置12(1)から端末装置12(2)に対し、呼び出しを行い、呼び出された端末装置12がユーザの承諾の操作に応じて、もしくはユーザの操作を要さずに、その呼び出しに応じて、コミュニケーションのためのデータ通信が再開される。
【0057】
(変形例6)上述した実施形態において、端末装置12(2)から端末装置12(3)に通信開始用情報を伝達する方法として、端末装置12(2)が画像を表示し、端末装置12(3)がその画像を撮影する方法が採用されているが、これに限られない。
【0058】
例えば、端末装置12(2)から端末装置12(3)に通信開始用情報を伝達する方法として、端末装置12(2)が通信開始用情報を表す音を発音し、端末装置12(3)がその音を拾音する方法が採用されてもよい。その場合、端末装置12(2)が発音する音は、通信開始用情報を人が解釈可能な音声であってもよいが、端末装置12(3)がデコード可能なコード化された通信開始用情報を表す音であってもよい。
【0059】
また、端末装置12(2)から端末装置12(3)に通信開始用情報を伝達する方法として、端末装置12(2)が通信開始用情報を表す電波を送波し、端末装置12(3)がその電波を受波する方法が採用されてもよい。その場合、端末装置12(2)と端末装置12(3)の間で、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi Direct(登録商標)等のピアツーピア接続が可能な通信プロトコルに従った無線通信が行われてもよい。
【0060】
また、端末装置12(2)と端末装置12(3)の間で、NFC(Near Field Communication、近距離無線通信)の規格に従って、通信開始用情報の伝達が行われてもよい。NFCによる場合、BluetoothやWi-Fi Direct等に従う無線通信による場合に必要となる通信接続の確立のための事前作業(ペアリング)が不要である点において望ましい。この場合、端末装置12(2)はNFC用のリーダライタを備え、リーダライタから端末識別情報を表す電波を送信する。そして、端末装置12(3)はNFC用のリーダライタを備えるか、もしくは外付けのリーダライタが接続された状態で、そのリーダライタに近接される端末識別情報(2)から端末識別情報を表す電波を受信する。
【0061】
また、端末装置12(2)と端末装置12(3)の間で、端末装置の物理的な動きによる通信開始用情報の伝達が行われてもよい。例えば、端末装置12(2)と端末装置12(3)が互いに接触された状態で、端末装置12(2)がコード化された端末識別情報を表す振動を発生し、端末識別情報(3)がその振動をモーションセンサにより検知して、検知した振動をデコードして端末識別情報を受け取ってもよい。この場合、端末装置12(2)は振動発生器(バイブレータ)を内蔵し、端末装置12(3)はモーションセンサを内蔵する必要がある。
【0062】
上述した音、電波、又は、動きを用いる方法は例示であって、さらに他の方法が採用されてもよい。例えば、端末識別情報を表す赤外線等の電磁波を送受信する方法や、端末識別情報を表す画面の明滅等の光信号(電磁波の信号の一例)を撮影する方法等が採用されてもよい。
【0063】
(変形例7)
上述した実施形態において、端末装置12(2)と端末装置12(3)は異なるユーザが使用するものとしたが、これらの端末装置12が同じユーザにより使用されてもよい。例えば、端末装置12(2)がユーザYにより携帯される端末装置であり、端末装置12(3)がユーザYの自宅に配置されている端末装置であり、端末装置12(2)より端末装置12(3)の方が、ディスプレイが大きい、通信速度が速い、等の理由で、ユーザYが自宅では端末装置12(2)より端末装置12(3)を使用したい、という場合がある。そして、このような場合、ユーザYが端末装置12(2)を用いてユーザXとコミュニケーションをしつつ外出先から帰宅し、引き続き端末装置12(3)を用いてユーザXとコミュニケーションを行いたい、と思うような場合がある。そのような場合、システム1によれば、ユーザYは簡単な操作で、ユーザXとコミュニケーションを行うために用いる端末装置を切り替えることができる。
【0064】
(変形例8)
上述した実施形態において、端末装置12(1)の端末識別情報を含む通信開始用情報が、端末装置12(2)から端末装置12(3)へと引き渡され、端末装置12(3)が通信開始用情報を用いて端末装置12(1)を呼び出す。
【0065】
これに代えて、端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報が、端末装置12(3)から端末装置12(2)へと引き渡され、端末装置12(2)がその通信開始用情報を端末装置12(1)に送信し、端末装置12(1)が通信開始用情報を用いて端末装置12(3)を呼び出す構成が採用されてもよい。
【0066】
この変形例において、端末装置12(3)から端末装置12(2)へ通信開始用情報を引き渡す方法としては、上述した実施形態における場合と同様に、二次元バーコード等の図形の表示と撮影による方法、上述した変形例6に示した音の発音と拾音による方法、電波の送受信による方法等のいずれが採用されてもよい。なお、端末装置12(2)から端末装置12(1)への通信開始用情報の送信は、ユーザYとユーザXのコミュニケーションのためのデータ通信に用いられている通信接続が用いられてもよいし、それとは異なる通信接続が用いられてもよい。
【0067】
(変形例9)
上述の変形例8をさらに変形し、端末装置12(3)が端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報を出力し、端末装置12(2)がそれを受け取る代わりに、予め端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報を保持又は記憶している媒体から、端末装置12(2)が通信開始用情報を取得する構成が採用されてもよい。
【0068】
例えば、ユーザZが予め、端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報を表す二次元バーコードを印刷したシートを準備し、身近に配置しておき、端末装置12(2)がその二次元バーコードを撮影して、通信開始用情報を取得してもよい。
【0069】
また、ユーザZが予め、端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報を表す音を録音させた録音再生装置を準備し、身近に配置しておき、端末装置12(2)がその録音再生装置から再生される音を拾音して、通信開始用情報を取得してもよい。
【0070】
また、ユーザZが予め、端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報を記憶させたNFCタグ(読み取り専用のNFC用のデバイス)を準備し、身近に配置しておき、端末装置12(2)がそのNFCタグから通信開始用情報を読み取ることで、通信開始用情報を取得してもよい。
【0071】
また、ユーザZが予め、端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報を表す振動パターンを記憶させた振動発生装置を準備し、身近に配置しておき、ユーザYが端末装置12(2)をその振動発生装置に接触させ、端末装置12(2)が振動発生装置の振動をモーションセンサで検知することで、通信開始用情報を取得してもよい。
【0072】
(変形例10)
上述した実施形態において、システム1を利用して行われるコミュニケーションは、1人対1人で行われるコミュニケーションであるものとしたが、システム1を利用して行われるコミュニケーションが、多人数間で行われるコミュニケーションであってもよい。
【0073】
図8A及び
図8Bは、変形例10に係るシステム1の構成を模式的に示した図である。
図8Aは、例として、ユーザXとユーザYが、ユーザPとユーザQを含む仮想的な会議室Mにおいて多人数間のコミュニケーションを行っている状態のシステム1を示している。なお、ユーザPは端末装置12(4)を用いており、ユーザQは端末装置12(5)を用いている。
図8Bは、ユーザYに代わって、ユーザZが会議室Mにおいて、ユーザX等と多人数間のコミュニケーションを行っている状態のシステム1を示している。
【0074】
この変形例においては、端末装置12(2)から端末装置12(3)に対し、端末装置12(1)の端末識別情報に代えて、会議室Mを識別する会議室識別情報を含む端末識別情報が引き渡される。
【0075】
この変形例においては、サーバ装置11は、システム1を利用する端末装置12のIPアドレスと端末識別情報を対応付けて格納するデータベース(以下、端末装置データベースという)に加え、システム1において開かれる会議室を識別する会議室識別情報と、その会議室に参加している1以上の端末装置12の端末識別情報(又はIPアドレス)を対応付けて格納するデータベース(以下、会議室データベースという)を記憶している。サーバ装置11は、例えば、いずれかのユーザが端末装置12を操作して新たな会議室を開くことを要求すると、その要求に応じてユニークな会議室識別情報を割り当て、その会議室識別情報を会議室データベースに格納すると共に、その会議室識別情報を要求元の端末装置12に通知する。ユーザは、サーバ装置11から通知された会議室識別情報を、その会議室に参加する他のユーザに、電子メール、チャット等により伝える。それらのユーザは、端末装置12を操作し、会議室へ入室するための画面を表示させ、その画面に会議室識別情報を入力することで、会議室に入室し、既に入室している他のユーザとの間でコミュニケーションを行うことができる。サーバ装置11は、新たに入室したユーザが使用している端末装置12の端末識別情報(又はIPアドレス)を、その会議室の会議室識別情報に対応付けて、会議室データベースに格納する。
【0076】
上記のような手順でユーザX、ユーザY、ユーザP、ユーザQが会議室Mに入室している状態が、
図8Aに示される状態である。この状態において、ユーザYが自分に代わってユーザZを会議室Mに入室させたい場合、ユーザYは端末装置12(2)にコミュニケーション引渡画面(
図5)を表示させる。ただし、この変形例においてコミュニケーション引渡画面(
図5)に表示される二次元バーコードは、会議室Mの会議室識別情報を含む通信開始用情報を表す。
【0077】
ユーザXが端末装置12(3)を用いてコミュニケーション引渡画面(
図5)に表示される二次元バーコードを撮影すると、端末装置12(3)は撮影した二次元バーコードをデコードして会議室Mの会議室識別情報を取得し、その会議室識別情報を用いて会議室Mに入室する。これにより、
図8Bに示される状態となり、ユーザXがユーザYに代わって会議室M内で他のユーザとコミュニケーションすることができる。
【0078】
上述した変形例10においては、ユーザZが会議室Mに入室する際に、ユーザYは会議室Mから退室するものとしたが、ユーザYが会議室Mから退室せずに会議室M内に引き続き留まってもよい。この場合、システム1は、会議室Mの入室者を切り替えるのではなく、会議室Mに新たな参加者を招待することになる。
【0079】
また、上述した変形例10においては、端末装置12(2)と端末装置12(3)の使用者が異なっているものとしたが、端末装置12(2)と端末装置12(3)が同じユーザにより使用されてもよい。この場合、ユーザは、会議室Mでのコミュニケーションに用いる端末装置12を切り替えることができる。
【0080】
また、上述した変形例10においては、端末装置12(2)から端末装置12(3)への通信開始用情報の引き渡しは画像の表示及び撮影により行われるが、通信開始用情報の引き渡しが、音の発音と拾音、NFCによる送受信、振動の発生と感知、等の他の方法により行われてもよい。
【0081】
(変形例11)
上述した変形例10をさらに変形して、端末装置12(2)から端末装置12(3)へ会議室Mの会議室識別情報を含む信開始用情報の引き渡しを行う構成に代えて、端末装置12(3)から端末装置12(2)へ端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報の引き渡しを行う構成が採用されてもよい。
【0082】
この変形例においては、端末装置12(3)がコミュニケーション引渡画面(
図5)を表示し、そのコミュニケーション引渡画面(
図5)に含まれる二次元バーコードを端末装置12(2)が撮影する。この場合、コミュニケーション引渡画面(
図5)に含まれる二次元バーコードは、端末装置12(3)の端末識別情報を含む通信開始用情報を表す。
【0083】
端末装置12(2)は、通信開始用情報を取得すると、通信開始用情報に含まれる端末装置12(3)の端末識別情報と、会議室Mの会議室識別情報とを含む呼出要求をサーバ装置11に送信する。サーバ装置11は、端末装置12(2)から受信した呼出要求に含まれる端末識別情報に対応する端末装置12(3)のIPアドレスを端末装置データベースから読み出し、読み出したIPアドレスに宛てて、会議室Mの会議室識別情報を含む入室要求を送信する。
【0084】
サーバ装置11が送信する入室要求は、端末装置12(3)により受信される。端末装置12(3)は入室要求を受信すると、入室承諾画面(
図9)を表示する。
図9は、入室承諾画面を模式的に示した図である。なお、入室承諾画面(
図9)は、上述した実施形態におけるコミュニケーション引受画面(
図6)に代えて表示される画面である。端末装置12(3)は、入室承諾画面(
図9)の表示と共に、呼出音の発音、振動の発生等を行い、ユーザZを呼び出す。その呼び出しに応じてユーザZが入室承諾画面(
図9)の「入室」ボタンをタッチすると、端末装置12(3)は会議室Mに入室した状態となり、ユーザZはユーザX等の会議室M内のユーザとコミュニケーションを行うことができる。
【0085】
この変形例においても、通信開始用情報の引き渡しの方法は、画像の表示と撮影による方法に限られず、音の発音と拾音、NFCによる送受信、振動の発生と感知、等の他の方法により行われてもよい。
【0086】
また、この変形例において、システム1が端末装置12(3)に入室要求を送信するタイミングは、端末装置12(2)が端末装置12(3)から通信開始用情報を受け取った直後のタイミングに限られない。例えば、サーバ装置11が端末装置12(2)から呼出要求を受信した後、すぐさま端末装置12(3)に入室要求を送信するのではなく、例えば会議室データベースに、会議室Mの会議室識別情報に対応付けて、入室要求の送信先の端末装置12(3)の端末識別情報(又はIPアドレス)を格納しておく。その後、会議室Mに入室しているいずれかのユーザ(例えば、ユーザX)による端末装置12(例えば、端末装置12(1))に対する所定の操作に応じて、その端末装置12からサーバ装置11に入室要求の送信要求が送信される。この送信要求には、会議室Mの会議室識別情報が含まれている。サーバ装置11は、送信要求を受信すると、送信要求に含まれる会議室識別情報に対応付けて会議室データベースに格納されている端末装置12(3)の端末識別情報に応じたIPアドレスに宛てて、入室要求を送信する。このような構成のシステム1によれば、会議室Mに入室しているユーザは、望むタイミングでユーザZに対し会議室Mへの入室をリクエストできる。
【0087】
この変形例によれば、会議室に入室しているユーザは、会議室に入室していないユーザの端末装置12に対し呼び出しを行うことができる。そして、呼び出されるユーザは、自分の端末装置12の呼び出しに応じて所定の操作を端末装置12に対し行うことで、容易に会議室に入室できる。
【0088】
上述した利便性が、通信開始用情報の受け渡しを行うユーザが互いに離れた場所にいる場合においても享受されるように、変形例11がさらに変形されてもよい。例えば、ユーザYとユーザZが互いに離れた場所におり、ユーザZからユーザYに対し、例えば電子メールやチャット等により、予め端末装置12(3)の端末識別情報が伝えられる。ユーザYは、端末装置12(2)を用いて会議室Mに入室し、ユーザX等と会議を開始する(
図8A参照)。
【0089】
その後、その会議にユーザZを招き入れたいタイミングで、ユーザYは端末装置12(2)に入室要求画面(
図10)を表示させる。
図10は、入室要求画面を模式的に示した図である。ユーザYは、入室要求画面(
図10)において、ユーザZから伝えられた端末装置12(3)の端末識別情報を入力し、「呼出」ボタンをタッチする。
【0090】
端末装置12(2)は、「呼出」ボタンのタッチに応じて、入室要求画面(
図10)に入力された端末識別情報と会議室Mの会議室識別情報を含む呼出要求をサーバ装置11に送信する。サーバ装置11はその呼出要求に応じて、端末装置12(3)に会議室Mの会議室識別情報を含む入室要求を送信する。端末装置12(3)は、その入室要求に応じて入室承諾画面(
図9)の表示、呼出音の発音等を行う。ユーザZは、入室承諾画面(
図9)の「入室」ボタンをタッチすることで、会議室Mに入室できる。
【0091】
(変形例12)
上述した実施形態において、通信開始用情報は端末装置12(2)から端末装置12(3)に引き渡される。これに代えて、通信開始用情報が、サーバ装置11から端末装置12(3)に引き渡される構成が採用されてもよい。
【0092】
サーバ装置11が通信開始用情報を端末装置12(3)に引き渡す場合、サーバ装置11が、端末装置12(3)に引き渡すべき通信開始用情報を、端末装置12(2)と端末装置12(3)から受信する情報に基づき特定する構成が採用されてもよい。
【0093】
以下に、この変形例の一例として、サーバ装置11が端末装置12(2)と端末装置12(3)から受信する位置情報に基づき、端末装置12(3)に引き渡すべき通信開始用情報を特定する態様を説明する。
【0094】
この態様において、ユーザYがユーザXとのコミュニケーションをユーザZに引き渡す際に、ユーザYは端末装置12(2)に対し所定の操作を行って、
図11に示すコミュニケーション引渡画面を表示させる。また、ユーザZは端末装置12(3)に対し所定の操作を行って、
図12に示すコミュニケーション引受画面を表示させる。
【0095】
図11に示すコミュニケーション引渡画面は、上述した実施形態において表示される
図5に示したコミュニケーション引渡画面に代えて表示される。また、
図12に示すコミュニケーション引受画面は、上述した実施形態において表示される
図6に示したコミュニケーション引受画面に代えて表示される。
【0096】
この態様において、端末装置12(2)及び端末装置12(3)は自装置の位置を特定する機能を備えている。例えば、端末装置12(2)及び端末装置12(3)がGNSS(Global Navigation Satellite System)ユニットを備え、GNSSユニットにより人工衛星から受信する航法メッセージに基づき、自装置の位置を測定してもよいし、Wi-Fi(登録商標)等の通信プロトコルに従い無線通信を行う通信ユニットを備え、アクセスポイントが属するLANに割り当てられているグローバルIPアドレス等に基づき、自装置の大まかな位置を特定してもよい。
【0097】
端末装置12(2)は、コミュニケーション引渡画面(
図11)を表示する際、例えば、端末装置12(2)の端末識別情報と時刻情報等に基づき所定の規則で定まるコードを生成し、コミュニケーション引渡画面(
図11)に表示する。そして、端末装置12(2)は、端末装置12(2)がその時点でコミュニケーションしている端末装置12(1)のIPアドレスと、端末装置12(2)の位置情報と、コミュニケーション引渡画面(
図11)に表示しているコードとを含むコミュニケーション引渡要求をサーバ装置11に送信する。
【0098】
端末装置12(3)は、コミュニケーション引受画面(
図12)を表示する際、端末装置12(3)の位置情報を含むコミュニケーション引受要求をサーバ装置11に送信する。なお、その時点においては、コミュニケーション引受画面(
図12)に表示されるリストは空である。
【0099】
サーバ装置11は、端末装置12(3)からコミュニケーション引受要求を受信すると、その時点において、そのコミュニケーション引受要求に含まれる位置情報が示す位置との距離が所定値以下である位置を示す位置情報を含むコミュニケーション引渡要求を抽出する。続いて、サーバ装置11は、抽出した1以上のコミュニケーション引渡要求に含まれるIPアドレスとコードを対応付けたリストを生成し、そのリストをコミュニケーション引受要求の送信元の端末装置12(3)に送信する。なお、このリストに含まれる端末装置12(1)のIPアドレスが、この態様における通信開始用情報の一例である。
【0100】
端末装置12(3)は、コミュニケーション引受要求に対する応答としてサーバ装置11から送信されてくるリストを受信すると、コミュニケーション引受画面(
図12)にそのリストに含まれるコードを表示する。ユーザZは、ユーザYが見せる端末装置12(2)のコミュニケーション引渡画面(
図11)に表示されているコードを、コミュニケーション引受画面(
図12)のリストから選択した後、「引受」ボタンをタッチする。そのタッチ操作に応じて、端末装置12(3)はタッチされたコードに対応するIPアドレス、すなわち、端末装置12(1)のIPアドレスを用いて、端末装置12(1)に対する接続要求を送信する。
【0101】
端末装置12(1)は、端末装置12(3)から受信した接続要求に応じて、コミュニケーション切替画面(
図7)を表示すると共に、呼出音の発音や振動の発生によりユーザXを呼び出す。ユーザXがその呼び出しに応じて、コミュニケーション切替画面(
図7)の「切替」ボタンをタッチすると、それまで端末装置12(1)と端末装置12(2)との間で行われていたコミュニケーションのためのデータ通信が終了され、端末装置12(1)と端末装置12(3)との間でコミュニケーションのためのデータ通信が開始される。その結果、ユーザXとユーザZがコミュニケーションを行うことができる。
【0102】
なお、サーバ装置11がコミュニケーション引受要求に応じて抽出したコミュニケーション引渡要求が1つのみである場合、ユーザによるコミュニケーション引受画面(
図12)のリストからのコードの選択及び「引受」ボタンのタッチを待つことなく、自動的にその1つのコミュニケーション引渡要求に含まれるIPアドレスを用いた接続要求の送信が行われてもよい。
【0103】
上述した態様においては、サーバ装置11が端末装置12の位置情報を用いて、コミュニケーション引受要求の送信元の端末装置12に送信すべき通信開始用情報を特定する。サーバ装置11がコミュニケーション引受要求の送信元の端末装置12に送信すべき通信開始用情報を特定する方法はそれに限られない。
【0104】
例えば、端末装置12(2)がコミュニケーション引渡画面(
図11)において表示するコード(文字、記号、及び、数字の少なくとも1つの列)を、ユーザZが端末装置12(3)に入力し、サーバ装置11がそれらのコードを用いたマッチングにより、端末装置12(3)に送信すべき通信開始用情報を特定してもよい。この態様において、端末装置12(2)はコミュニケーション引渡画面(
図11)を表示する際、コミュニケーション引渡画面(
図11)に表示するコードと端末装置12(1)のIPアドレスとを含むコミュニケーション引渡要求をサーバ装置11に送信する。また、端末装置12(3)は、ユーザZにより入力されたコードを含むコミュニケーション引受要求をサーバ装置11に送信する。サーバ装置11は、コミュニケーション引受要求を受信すると、その時点で受信しているコミュニケーション引渡要求の中から、コミュニケーション引受要求に含まれるコードと同じコードを含むものを検索し、検索したコミュニケーション引渡要求に含まれるIPアドレスをコミュニケーション引受要求の送信元の端末装置12(3)に送信する。端末装置12(3)は、サーバ装置11から受信したIPアドレスを用いて、端末装置12(1)に対し接続要求を送信する。
【0105】
また、例えば、端末装置12(2)と端末装置12(3)が撮影した画像(静止画又は動画)を表す画像データをサーバ装置11に送信し、それらの画像データを用いたマッチングにより、端末装置12(3)に送信すべき通信開始用情報を特定してもよい。この態様において、ユーザYがユーザXと行っているコミュニケーションをユーザZに引き渡したいときに、ユーザYは端末装置12(2)に所定の操作を行い、通常の動作モードからコミュニケーション引渡要求のための動作モードに切り替えた後、近くの適当な対象物を端末装置12(2)のカメラで撮影する。端末装置12(2)は、撮影した画像を表す画像データと端末装置12(1)のIPアドレスを含むコミュニケーション引渡要求をサーバ装置11に送信する。
【0106】
一方、ユーザYがユーザXと行っているコミュニケーションをユーザZに引き渡したいときに、ユーザZは端末装置12(3)に所定の操作を行い、通常の動作モードからコミュニケーション引受要求のための動作モードに切り替えた後、ユーザYが端末装置12(2)のカメラで撮影する対象物と同じ対象物を端末装置12(3)のカメラで撮影する。端末装置12(3)は、撮影した画像を表す画像データを含むコミュニケーション引受要求をサーバ装置11に送信する。
【0107】
サーバ装置11は、コミュニケーション引受要求を受信すると、その時点で受信しているコミュニケーション引渡要求の中から、コミュニケーション引受要求に含まれる画像データが表す画像との類似度が閾値以上である画像を表す画像データを含むコミュニケーション引渡要求を検索し、検索したコミュニケーション引渡要求に含まれるIPアドレスを端末装置12(3)に送信する。端末装置12(3)は、サーバ装置11から受信したIPアドレスを用いて、端末装置12(1)に対し接続要求を送信する。
【0108】
なお、この態様において、サーバ装置11がコミュニケーション引渡要求とコミュニケーション引受要求のマッチングに用いる画像の類似度は、例えば、静止画から抽出された特徴量を用いて算出される類似度、動画における特徴点の移動ベクトルの類似度、等のいずれが用いられてもよい。
【0109】
また、例えば、端末装置12(2)と端末装置12(3)が拾音した音を表す音データをサーバ装置11に送信し、それらの音データを用いたマッチングにより、端末装置12(3)に送信すべき通信開始用情報を特定してもよい。この態様において、ユーザYがユーザXと行っているコミュニケーションをユーザZに引き渡したいときに、ユーザYは端末装置12(2)に所定の操作を行い、通常の動作モードからコミュニケーション引渡要求のための動作モードに切り替えた後、端末装置12(2)のマイクで周囲の音を拾音する。端末装置12(2)は、拾音した音を表す音データと端末装置12(1)のIPアドレスを含むコミュニケーション引渡要求をサーバ装置11に送信する。
【0110】
一方、ユーザYがユーザXと行っているコミュニケーションをユーザZに引き渡したいときに、ユーザZは端末装置12(3)に所定の操作を行い、通常の動作モードからコミュニケーション引受要求のための動作モードに切り替えた後、端末装置12(3)のマイクで周囲の音を拾音する。端末装置12(3)は、拾音した音を表す音データを含むコミュニケーション引受要求をサーバ装置11に送信する。
【0111】
ここで、端末装置12(2)と端末装置12(3)は互いに近くにあり、それらの端末装置12はほぼ同じ音を拾音する。
【0112】
サーバ装置11は、コミュニケーション引受要求を受信すると、その時点で受信しているコミュニケーション引渡要求の中から、コミュニケーション引受要求に含まれる音データが表す音との類似度が閾値以上である音を表す音データを含むコミュニケーション引渡要求を検索し、検索したコミュニケーション引渡要求に含まれるIPアドレスを端末装置12(3)に送信する。端末装置12(3)は、サーバ装置11から受信したIPアドレスを用いて、端末装置12(1)に対し接続要求を送信する。
【0113】
また、例えば、端末装置12(2)と端末装置12(3)がモーションセンサにより感知した端末装置の物理的な動きを表すモーションデータをサーバ装置11に送信し、それらのモーションデータを用いたマッチングにより、端末装置12(3)に送信すべき通信開始用情報を特定してもよい。この態様において、ユーザYがユーザXと行っているコミュニケーションをユーザZに引き渡したいときに、ユーザYは端末装置12(2)に所定の操作を行い、通常の動作モードからコミュニケーション引渡要求のための動作モードに切り替える。また、ユーザZは端末装置12(3)に所定の操作を行い、通常の動作モードからコミュニケーション引受要求のための動作モードに切り替える。
【0114】
続いて、ユーザYとユーザZは端末装置12(2)と端末装置12(3)を互いに軽くぶつけ合う。このぶつけ合いに伴い、端末装置12(2)と端末装置12(3)は同時に衝撃を受ける。端末装置12(2)は、モーションセンサにより感知した衝撃の波形を表すモーションデータと、その衝撃を感知した時刻を示す時刻情報と、端末装置12(1)のIPアドレスとを含むコミュニケーション引渡要求をサーバ装置11に送信する。一方、端末装置12(3)は、モーションセンサにより感知した衝撃の波形を表すモーションデータと、その衝撃を感知した時刻を示す時刻情報とを含むコミュニケーション引受要求をサーバ装置11に送信する。
【0115】
サーバ装置11は、コミュニケーション引受要求を受信すると、その時点で受信しているコミュニケーション引渡要求の中から、コミュニケーション引受要求に含まれるモーションデータが表す波形との類似度が閾値以上である波形を表すモーションデータを含み、かつ、コミュニケーション引受要求に含まれる時刻情報が示す時刻との差が閾値以下である時刻を示す時刻情報を含むコミュニケーション引渡要求を検索し、検索したコミュニケーション引渡要求に含まれるIPアドレスを端末装置12(3)に送信する。端末装置12(3)は、サーバ装置11から受信したIPアドレスを用いて、端末装置12(1)に対し接続要求を送信する。
【0116】
サーバ装置11がコミュニケーション引受要求の送信元の端末装置12に送信すべき通信開始用情報を特定する方法は、上述したものに限られない。例えば、端末装置12(2)と端末装置12(3)が匂いセンサを備える場合、端末装置12(2)と端末装置12(3)が匂いセンサにより感知した匂いを表す匂いデータを用いたマッチングにより、端末装置12(3)に送信されるべき通信開始用情報(端末装置12(1)のIPアドレス等)が特定されてもよい。また、例えば、端末装置12(2)と端末装置12(3)が触覚センサ(例えば、接触した物の温度、接触した物から受ける圧力等を測定するセンサ群)を備える場合、端末装置12(2)と端末装置12(3)を互いに接触させたときに触覚センサが感知した温度、圧力等を表す触覚データを用いたマッチングにより、端末装置12(3)に送信されるべき通信開始用情報(端末装置12(1)のIPアドレス等)が特定されてもよい。
【0117】
上述した例では、端末装置12(1)の通信相手の端末装置のユーザが、切り替え前と切り替え後で異なるものとした。すなわち、端末装置12(2)のユーザがユーザYであり、端末装置12(3)のユーザがユーザZであるものとした。これらの端末装置12のユーザが、変形例7で述べたように、同じユーザであってもよい。
【0118】
例えば、ユーザYが、自分の端末装置12(2)(例えば、スマートフォン)を用いて、端末装置12(1)を使用しているユーザXとコミュニケーションを行っている場合に、自分の端末装置12(3)(例えば、デスクトップ型PC)を用いてユーザXとのコミュニケーションを引き続き行いたい、という場合、ユーザYが、端末装置12(2)と端末装置12(3)をぶつけ合う等のアクションを行うことで、端末装置12(1)とのコミュニケーションを、端末装置12(2)から端末装置12(3)に切り替え可能としてもよい。
【0119】
また、上述した例において、端末装置12(2)又は端末装置12(3)に対しユーザが行う操作(コミュニケーション引渡要求のための動作モードに切り替える操作等)や、端末装置12(2)又は端末装置12(3)が行う動作(切替画面の表示等)の少なくとも一部が省略されてもよい。例えば、上記のように、コミュニケーションに用いる端末装置12の切替元と切替先のユーザが同じ場合、同じ端末装置12の組の間での切り替えが頻繁に行われる可能性がある。従って、予めコミュニケーションの受け渡しを行う可能性のある複数の端末装置12の端末識別情報を対応付けて、いずれかの装置(例えば、サーバ装置11、又は、端末装置12)に記憶しておき、対応付けられた端末装置12の間でコミュニケーションの受け渡しの要求が行われた場合、ユーザの確認を求めることなく、それらの端末装置12の間でコミュニケーションの切り替えが行われてもよい。
【0120】
(変形例13)
上述した実施形態においては、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間のコミュニケーションから、端末装置12(1)と端末装置12(3)の間のコミュニケーションへの切り替えが行われる。この場合、端末装置12(1)はコミュニケーションの切り替え前と切り替え後の両方において、コミュニケーションに参加している。これに代えて、コミュニケーションの切り替え前と切り替え後において、コミュニケーションの参加者が全て入れ替わるような切り替えを可能としてもよい。
【0121】
図13A及び
図13Bは、この変形例におけるシステム1の動作を説明するための図である。ユーザYとユーザZは、商品展示会の会場にいる。ユーザXは、商品のメーカの職員であり、商品展示会を訪れる潜在顧客に対し商品の説明を行う役割を担っている。ただし、ユーザXは商品展示会の会場から離れた場所にいる。ユーザYは、ユーザXの代理人として商品展示会の会場におり、潜在顧客とユーザXのコミュニケーションを仲介する役割を担っている。
【0122】
ユーザWは、商品展示会に展示されている商品に興味を持っている潜在顧客である。ただし、ユーザWは商品展示会の会場から離れた場所にいる。ユーザZは、ユーザWの代理人として商品展示会の会場におり、商品の説明者とユーザWのコミュニケーションを仲介する役割を担っている。
【0123】
上記のような状況下において、今、端末装置12(1)を使用するユーザXと、端末装置12(2)を使用するユーザYがコミュニケーション中であり、端末装置12(3)を使用するユーザZと、端末装置12(6)を使用するユーザWがコミュニケーション中である(
図13A)。
【0124】
そして、ユーザXとユーザWが、ユーザYとユーザZを介して情報交換を行っている。例えば、ユーザWがユーザZに質問を伝え、ユーザZがその質問を面前のユーザYに伝え、ユーザYがその質問をユーザXに伝える。ユーザXがその質問に対する回答をユーザYに伝え、ユーザYがその回答を面前のユーザZに伝え、ユーザZがその回答をユーザWに伝える。
【0125】
上記のような伝言による情報交換は非効率であるため、コミュニケーションの内容が複雑になってくると、ユーザXとユーザWが直接、コミュニケーションすることが望ましい。その場合、ユーザYは端末装置12(2)に対し所定の操作を行い、コミュニケーション引渡画面(
図5)を端末装置12(2)に表示させる。ここで、コミュニケーション引渡画面(
図5)に表示される二次元バーコードが表す通信開始用情報は、端末装置12(1)のIPアドレスを含んでいる。
【0126】
ユーザZは、端末装置12(3)のカメラで、端末装置12(2)が表示するコミュニケーション引渡画面(
図5)に含まれる二次元バーコードを撮影する。端末装置12(3)は、撮影した二次元バーコードをデコードし、通信開始用情報を取得する。続いて、端末装置12(3)は取得した通信開始用情報を端末装置12(6)に送信する。
【0127】
端末装置12(6)は、端末装置12(3)から受信した通信開始用情報に含まれるIPアドレスを用いて、端末装置12(1)に接続要求を送信する。端末装置12(1)は接続要求を受信すると、
図14に示すコミュニケーション引受画面を表示すると共に呼出音の発音等によるユーザWの呼び出しを行う。ユーザWがその呼び出しに応じてコミュニケーション引受画面(
図14)において「開始」ボタンをタッチすると、端末装置12(1)と端末装置12(2)の間で行われていたコミュニケーションのためのデータ通信が終了され、端末装置12(3)と端末装置12(6)の間で行われていたコミュニケーションのためのデータ通信が終了され、端末装置12(1)と端末装置12(6)の間で新たなコミュニケーションのためのデータ通信が開始される(
図13B)。その結果、ユーザXとユーザWが直接、コミュニケーションできるようになる。
【0128】
この変形例の上述した態様においては、端末装置12(1)のIPアドレスを含む通信開始用情報が端末装置12(2)から端末装置12(3)に引き渡され、端末装置12(3)から端末装置12(6)にその通信開始用情報が送信され、端末装置12(6)がその通信開始用情報に含まれる端末装置12(1)のIPアドレスを用いて端末装置12(1)を呼び出す、という構成が採用されている。これに代えて、端末装置12(6)のIPアドレスを含む通信開始用情報が端末装置12(3)から端末装置12(2)に引き渡され、端末装置12(2)から端末装置12(1)にその通信開始用情報が送信され、端末装置12(1)がその通信開始用情報に含まれる端末装置12(6)のIPアドレスを用いて端末装置12(6)を呼び出す、という構成が採用されてもよい。
【0129】
また、この変形例の上述した態様においては、端末装置12(2)から端末装置12(3)へ通信開始用情報を引き渡す方法として、画像の表示と撮影による方法が採用されているが、通信開始用情報の引き渡しの方法はこれに限られない。例えば、音の発音と拾音、NFCによる送受信、振動の発生と感知、等の他の方法により、通信開始用情報の引き渡しが行われてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1…システム、9…インターネット、11…サーバ装置、12…端末装置。