(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098778
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】外壁面用化粧材の取付構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20230704BHJP
E04F 10/08 20060101ALI20230704BHJP
E04B 7/02 20060101ALN20230704BHJP
【FI】
E04F13/08 H
E04F10/08
E04B7/02 501D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215447
(22)【出願日】2021-12-29
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山梨 巧貴
【テーマコード(参考)】
2E105
2E110
【Fターム(参考)】
2E105FF02
2E105FF06
2E105FF12
2E105FF26
2E105GG01
2E110AA42
2E110AA48
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA12
2E110CA04
2E110CA09
2E110CA13
2E110CA18
2E110DA12
2E110DA16
2E110DC03
2E110DC12
2E110DC36
2E110GA33W
2E110GA33Y
2E110GB01Y
2E110GB23Y
(57)【要約】
【課題】建物の外壁面に化粧材を容易に取り付けるための外壁面用化粧材の取付構造を提供することを課題とする。
【解決手段】外壁2の屋内側Aには下地材3が設けられ、外壁2の屋外側Bには取付部材20が固定され、取付部材20を介して化粧材30が設けられる建物の外壁2より屋外側Bに取り付けられる化粧材30の取付構造10において、屋内側Aから取付部材20までを固定する固定手段11を備え、取付部材20まで連なる貫通孔P、20cに固定手段11を挿通する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁の屋内側には下地材が設けられ、外壁の屋外側には取付部材が固定され、前記取付部材を介して前記化粧材が設けられる建物の外壁より屋外側に取り付けられる化粧材の取付構造において、
屋内側から前記取付部材までを固定する固定手段を備え、
前記取付部材まで連なる貫通孔に前記固定手段を挿通することを特徴とする、外壁面用化粧材の取付構造。
【請求項2】
前記固定手段は、座板およびボルトとからなり、前記座板には前記ボルトを挿通するための前記貫通孔が形成され、前記貫通孔の内面または上面に有する突部の内面が雌ネジ孔であることを特徴とする、請求項1に記載の外壁面用化粧材の取付構造。
【請求項3】
前記ボルトは、ボルト頭および雄ネジとからなり、前記雄ネジは、屋内側に取り付けられた前記座板の前記貫通孔に挿通し、前記雄ネジの先端を外壁の屋外側に突出させ、前記取付部材の前記貫通孔に前記雄ネジの先端を挿通して締付固定することを特徴とする、請求項2に記載の外壁面用化粧材の取付構造。
【請求項4】
前記突部は、ナットとからなり、前記ナットは、前記貫通孔の上面に溶接固定されていることを特徴とする、請求項2に記載の外壁面用化粧材の取付構造。
【請求項5】
前記固定手段は、つぶれ防止材を介して前記化粧材を締結固定することを特徴とする、請求項1または2記載の外壁面用化粧材の取付構造。
【請求項6】
前記下地材の屋内側には、前記座板と同形状の凹部を形成し、前記凹部には、前記座板が取り付けられ、前記凹部は座グリ加工によって座グリ径が50~60mm程度で加工されていることを特徴とする、請求項2または3記載の外壁面用化粧材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁面に化粧材を容易に取り付けるための外壁面用化粧材の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外壁に庇を取り付ける位置に設けられた壁側接合部は、平板により覆われた状態となっているとともに、平板の前面に壁側係合部が取り付けられている。一方、庇の後面側には、庇側接合部が設けられ、庇側接合部には、庇側係合部が設けられている。そして、壁側係合部に庇側係合部を係合させることで、外壁に庇を仮止めできるようになっている外壁の部材取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したような外壁の部材取付構造では、庇のような長尺材を部材同士の係合だけで外壁に仮止めするため、長尺材同士の係合は部材の交差、変形、外壁面の凹凸状況などによっては仮止めの係合が外れる恐れがあるため、庇が脱落する等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、建物の外壁面に化粧材を容易に取り付けるための外壁面用化粧材の取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
請求項1に記載の発明は、建物の外壁の屋内側には下地材が設けられ、外壁の屋外側には取付部材が固定され、前記取付部材を介して化粧材が設けられる建物の外壁より屋外側に取り付けられる化粧材の取付構造において、屋内側から前記取付部材までを固定する固定手段を備え、前記取付部材まで連なる貫通孔に前記固定手段を挿通することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記固定手段は、座板およびボルトとからなり、前記座板には前記ボルトを挿通するための前記貫通孔が形成され、前記貫通孔の内面または上面に有する突部の内面が雌ネジ孔であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の特徴点に加え、前記ボルトは、ボルト頭および雄ネジとからなり、前記雄ネジは、屋内側に取り付けられた前記座板の前記貫通孔に挿通し、前記雄ネジの先端を外壁の屋外側に突出させ、前記取付部材の前記貫通孔に前記雄ネジの先端を挿通して締結固定することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明の特徴点に加え、前記突部は、ナットとからなり、前記ナットは、前記貫通孔の上面に溶接固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2記載の発明の特徴点に加え、前記固定手段は、つぶれ防止材を介して前記化粧材を締結固定することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項2または3記載の発明の特徴点に加え、前記下地材の屋内側には、前記座板と同形状の凹部を形成し、前記凹部には、前記座板が取り付けられ、前記凹部は座グリ加工によって座グリ径が50~60mm程度で加工されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、建物の外壁の屋内側には下地材が設けられ、外壁の屋外側には取付部材が固定され、取付部材を介して化粧材が設けられる建物の外壁より屋外側に取り付けられる化粧材の取付構造において、屋内側から取付部材までを固定する固定手段を備え、取付部材まで連なる貫通孔に固定手段を挿通するだけで化粧材の取付部材が固定できるので、作業性がよい。
【0013】
請求項2に記載の発明は上記の通りであり、固定手段は、座板およびボルトとからなり、座板にはボルトを挿通するための貫通孔が形成され、貫通孔の内面または上面に有する突部の内面が雌ネジ孔であるため、座板とボルトを別々にすることで下地材から取付部材までの貫通孔の長さ(外壁の幅)が異なっていても、長さの異なるボルトのみを準備するだけで、座板は共通部材が使用できるので、部品コストが抑えられる。また、現場の条件によってボルトの挿通方向を変更することもでき、利便性がよい。
【0014】
請求項3に記載の発明は上記の通りであり、ボルトは、ボルト頭および雄ネジとからなり、雄ネジは、屋内側に取り付けられた座板の貫通孔に挿通し、雄ネジの先端を外壁の屋外側に突出させ、取付部材の貫通孔に雄ネジの先端を挿通して締結固定するため、ボルトの先端を外壁の屋外側から突出させておくことで、作業者1人でも容易に作業が行えるので、人件費が抑えられ、作業性もよい。
【0015】
請求項4に記載の発明は上記の通りであり、突部は、ナットとからなり、ナットは、貫通孔の上面に溶接固定されているため、予めボルトをナットに挿通させておくことで、作業者1人でも容易に作業が行えるので、人件費が抑えられる。また、現場によってボルトの長さが異なっていても、ボルトを溶接する必要がないので、加工の手間が省ける。
【0016】
請求項5に記載の発明は上記の通りであり、固定手段は、つぶれ防止材を介して化粧材を締結固定するため、下地材が木材などの材質や外壁がサイディングなどの材質のものであっても、つぶれ防止材を挟持させることで、締結固定をする時に下地材や外壁の変形、破損を防ぎ、使い勝手がよい。
【0017】
請求項6に記載の発明は上記の通りであり、下地材の屋内側には、座板と同形状の凹部を形成し、凹部には、座板が取り付けられ、凹部は座グリ加工によって座グリ径が50~60mm程度で加工されているため、市販の工具によって座グリ加工が施せるので施工がし易い。また、凹部を50~60mm程度の切削にすることで下地材の強度が維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】外壁面用化粧材の取付構造を示す断面図である。
【
図2】(a)固定手段の斜視図、(b)座板の断面図、(c)座板の変形例を示す断面図である。
【
図3】(a)固定手段のボルトを座板に挿通した図、(b)固定手段を外装および下地材に固定する図である。
【
図4】(a)取付部材を外壁に固定する図、(b)取付部材を外壁に固定し、化粧材を取り付けた図である。
【
図5】(a)幅が薄い外壁に固定手段を取り付けた図、(b)幅が厚い外壁に固定手段を取り付けた図である。
【
図6】(a)外壁面用化粧材の取付構造の変形例1を示す断面図、(b)外壁面用化粧材の取付構造の変形例2を示す断面図である。
【
図7】外壁面用化粧材の取付構造の変形例3を示す断面図である。
【
図9】外壁面用化粧材の取付構造の変形例4を示す断面図である
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図を参照しつつ説明する。
【0020】
本実施形態に係る外壁面用化粧材の取付構造10は、
図1に示すように、外壁2の屋内側Aには下地材3と、外壁2の屋外側Bには取付部材20が固定手段11によって固定され、取付部材20を介して化粧材30が取り付けられている。
【0021】
固定手段11は、
図1に示すように、外壁2に取付部材20を介して化粧材30を取り付けるためのものである。本実施形態に係る固定手段11は、
図2(a)に示すように、円形の座板12とボルト13とからなり、座板12にボルト13を挿通して使用する。具体的には、
図2(b)に示すように、座板12の中央には、直径が大きい貫通孔12aが形成され、貫通孔12aの外周に貫通孔12aより直径が小さく、後述の下地材3および外壁2に固定するための取付孔12bが2箇所形成され、貫通孔12aの上面には、突部となる四角形状のナット12cが溶接によって取り付けられている。このナット12cは、雌ネジ孔12dを有し、貫通孔12aと同じ直径または貫通孔12aの方が僅かに大きい直径からなり、貫通孔12aと連設されるように固定されている。なお、貫通孔12aと雌ネジ孔12dは、後述の下地材3の貫通孔3cおよび外壁2の貫通孔2aと連なる貫通孔Pの一部である。また、ナット12cは、六角などの多角や丸形形状でもよい。また、
図2(c)に示すように、座板12’の貫通孔12aに雌ネジ孔12a’を形成し、ボルト13を挿通してもよい。
【0022】
ボルト13は、
図2(a)に示すように、ボルト頭13aと雄ネジ13bとからなり、ボルト頭13aの外接円は、ナット12cの外接円よりも大きい。すなわち、
図3(a)に示すように、雄ネジ13bの先端を工具によってナット12cの上面12e側から雌ネジ孔12d、貫通孔12aに挿通すると、ナット12cの上面12eにボルト頭13aの下面13cが圧着される。この工具による圧着を行うときにボルト頭13aの外接円>ナット12cの外接円であるため、電動工具に取り付けられる支持具(図示なし)がナット12cに接触しないので、座板12に対し、ボルト13を容易に取り付けられる。
【0023】
ボルト13の雄ネジ13bは、
図1に示すように、屋内側Aから貫通孔Pを挿通し、化粧材3を屋外側Bに取り付けるためのものである。本実施形態に係る雄ネジ13bは、外壁2の屋外側Bより突出するだけの長さを備えている。すなわち、
図3(b)に示すように、後述の外壁2の幅Lよりも雄ネジ13bの長さMの方が長いため、貫通孔Pに挿通した雄ネジ13bが外壁2の屋外側Bに突出され、この突出された雄ネジ13bによって、後述の取付部材20が締結される。この雄ネジ13bは、座板12とは別部材であるため、
図5(a)に示すように、外壁2の幅Lが薄い場合は雄ネジ13bがの長さMが短いのを使用し、
図5(b)に示すように、外壁の幅Lが厚い場合は雄ネジ13bの長さMが長いのを使用することができる。これにより、同じ座板12を使用して、種々のボルト13を使用することができるので、座板12は共通部材が使用でき、部品コストを抑えることができる。また、現場によってボルト13の長さが異なっていても、ボルト13を溶接する必要がないので、加工の手間が省ける。なお、取り付けの条件によっては、下地材3に座板12を取り付けておき、外壁2の屋外側Bから取付部材20を介してボルト13を挿通することもでき、作業者1人でも容易に作業が行える(図示なし)。
【0024】
外壁2は、
図1に示すように、ALCなどを用いたコンクリートからなり、屋外側Bに化粧材30が取り付けられる。本実施形態に係る外壁2は、
図3(b)に示すように、屋内側Aから屋外側Bまで貫通した貫通孔2aが形成され、貫通孔12a、雌ネジ孔12dおよび後述の下地材3の貫通孔3cと連なる貫通孔Pの一部である。また、
図4(a)に示すように、貫通孔2aの屋内側Aの上下には、座板12を取り付けるためのネジ15が螺着されている。
【0025】
下地材3は、
図1に示すように、鋼材などからなり、外壁2の屋内側Aに取り付けられている。本実施形態に係る下地材3は、
図3(b)に示すように、断面L字形のアングル材で、縦片3aは外壁2に固定し、横片3bは建物躯体(図示なし)に固定され、縦片3aには貫通孔3cが形成され、貫通孔12a、雌ネジ孔12dおよび貫通孔2aと連なる貫通孔Pの一部である。
【0026】
次に、取付部材20について説明する。
取付部材20は、
図1に示すように、化粧材30を支持するためのものである。本実施形態に係る取付部材20は、
図4(a)に示すように、外壁2に固定される縦片20aと、化粧材30を支持する横片20bとでL型をなすようにアルミニウムの押出成形で形成され、化粧材30の長さに合わせて設定される。この縦片20aにはボルト13の雄ネジ13bを挿通するための貫通孔20cが上下に形成され、縦片20aおよび横片20bには、化粧材30を支持するためのレール溝20dを備えている。なお、貫通孔20cは、貫通孔Pと連なる位置に開けられている。
【0027】
この取付部材20を介して外壁2に固定される化粧材30は、
図1に示すように、外壁2より前方へ張り出した庇材31である。本実施形態に係る庇材31は、
図4(b)に示すように、外壁2から突出した方向に押出しされたアルミニウムの押出成形で形成され、その庇材31が外壁2の長さ方向に合わせて庇材31同士の端部を接合して構成されている。この庇材31を取付部材20の横片20bのレール溝20dにボルト32のボルト頭32aを挿入し、雄ネジ32bを庇材31の貫通孔31aに挿通させ、庇材31の上面に突出した雄ネジ32bを支持金具33の横片33bの貫通孔33cに挿通して締結する。次に、取付部材20の縦片20aのレール溝20dにボルト32のボルト頭32aを挿入し、雄ネジ32bを縦片33aの貫通孔33dに挿通して締結すると庇材31が取付部材20に取り付けられる。なお、庇材31は外壁2より前方へ張り出していればよく、外壁2の長さ方向に押出しされたアルミニウムの押出成形材や板材、曲げ材でもよい。なお、化粧材30は上記した実施形態のものに限らず、種々のものが考えられる。
【0028】
例えば、
図6(a)に示すように、外壁2より前方へ張り出した取付部材21の下面に化粧材30Aのルーバー材34を取り付けた外壁面用化粧材の取付構造10Aでもよい。すなわち、外壁2の屋内側Aの下地材3に座板12を取り付け、座板12側からボルト13の雄ネジ13bを貫通孔Pに挿通し、外壁2の屋外側Bに雄ネジ13bの先端を突出させる。次に、この雄ネジ13bの先端に取付部材21を締結し、取付部材21の下面にルーバー材34を固定するだけで、取り付けが行える。なお、上述した実施形態は上記と同じ部材には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0029】
また、
図6(b)に示すように、取付部材21’を介して外壁2の長さ方向に沿って取り付けた化粧材30Bのスパンドレル35での外壁面用化粧材の取付構造10Bでもよい。この構成においては、外壁2の屋内側Aの下地材3に座板12を取り付け、座板12側からボルト13の雄ネジ13bを貫通孔Pに挿通し、外壁2の屋外側Bに雄ネジ13bの先端を突出させる。次に、この雄ネジ13bの先端に取付部材21’を締結し、取付部材21’より前方に目地材36を介してスパンドレル35を固定するだけで取り付けが行える。なお、上述した実施形態は上記と同じ部材には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0030】
上記した外壁面用化粧材の取付構造10、10A、10Bの外壁2は、ALCなどを用いたコンクリートからなり、下地材3は、鋼材などを用いているが、外壁2および下地材3の材質はこれに限らず、種々のものが考えられる。
【0031】
例えば、
図7に示すように、サイディング材などを用いた外壁2’に固定手段11Aによって取付部材20’を固定し、取付部材20’を介して化粧材30Cを取り付けた外壁面用化粧材の取付構造10Cでもよい。すなわち、外壁2’の屋内側Aから座板12を介してボルト13の雄ネジ13bを貫通孔Pに挿通し、外壁2’の屋外側Bに雄ネジ13bの先端を突出させる。次に、この雄ネジ13bの先端に取付部材20を締結する時に、下地材3と取付部材20’間に位置する外壁2’に対し、雄ネジ13bと平行の方向の力(矢印方向)が屋外側Bから屋内側Aに働くため、サイディング材などの外壁2’が破損する恐れがある。そのため、外壁2’の貫通孔2a’に予め、つぶれ防止材14を埋め込んでおく。これにより、締結作業を行っても、矢印方向の作用力による外壁2’への負担が軽減され、外壁2’が破損することを防ぐ。
【0032】
前述の
図1で示す庇材31では、庇材31の先端が基端より下方に傾斜するいわゆる前勾配型であったが、
図7で示す上述した実施形態の取付部材20’によって庇材31の基端が先端より下方に傾斜する後勾配型(逆勾配型)であり、この取付部材20’であっても、前述と同様の効果を奏する。すなわち、取付部材20’には、外壁2’に固定される縦片20a’と、化粧材30を支持する横片20b’とでL型をなし、縦片20a’には、ボルト13の雄ネジ13bを挿通するための貫通孔20c’が上下に形成され、貫通孔20c’間に化粧材30Cを支持するための引っ掛け片20eを備え、横片20b’には、庇材31を取り付けるための取付孔20fが形成されている。
【0033】
この庇材31を取付部材20’の引っ掛け片20eに支持金具33’の縦片33a’の先端を引っ掛けて、横片33b’を庇材31の上面に当接させる。次に、横片33b’の貫通孔33c’、庇材31の貫通孔31a、取付部材20’の横片20b’の貫通孔20fをボルト32の雄ネジ32bを挿通して締結すると、庇材31が取り付けられる。なお、本実施形態に係る取付部材20’を取付部材20に変更した構成でもよい。上述した実施形態は上記と同じ部材には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0034】
つぶれ防止材14は、
図8に示すように、筒状に形成されており、筒状の中空部が挿通部14aを形成している。この挿通部14aの長さNは、
図7に示すように、外壁2’の幅Lの厚さと同じである。よって、外壁2’に埋め込まれて取り付けられている。
【0035】
次に、
図9を用いて下地材3の変形例を説明する。
この外壁面用化粧材の取付構造10Dは、木材などを用いた下地材3’に座板12を取り付け、サイディング材などを用いた外壁2’に固定手段11Bによって取付部材20を固定し、取付部材20を介して化粧材30を取り付けたものである。本実施形態に係る外壁面用化粧材の取付構造10Dでは、下地材3’の屋内側Aに内壁4を有し、屋外側B’に通気層Sを介して外壁2’が配置された構成である。具体的には、下地材3’の屋内側Aには内壁4が取り付けられているため、固定手段11Bを固定するための空間が存在しない。そのため、下地材3’に座グリ加工により凹部3dを形成し、凹部3d内に座板12を取り付ける。これにより、凹部3d内に座板12およびボルト頭13aが収まるため、内壁4の取り付けに干渉しない。なお、座板12の直径は50~60mm程度が好ましいため、座グリ径も50~60mm程度で加工ができ、一般的な工具での施工が行える。
【0036】
また、下地材3’の屋外側B’には通気層Sを介して外壁2’が取り付けられている。具体的には、屋内側Aから座板12を介してボルト13の雄ネジ13bを下地材3’の貫通孔3c’、外壁2’の貫通孔2a’の貫通孔Pに挿通し、外壁2’の屋外側Bに雄ネジ13bの先端を突出させている。次に、この雄ネジ13bの先端に取付部材20を締結する時に、下地材3’と取付部材20間に位置する外壁2’および通気層Sに対し、雄ネジ13bと平行の方向の力(矢印方向)が屋外側Bから屋内側Aに働くため、サイディング材などの外壁2’が破損する恐れがある。そのため、外壁2’の貫通孔2a’および通気層Sに予め、つぶれ防止材14を埋め込んでおく。これにより、締結作業を行っても、矢印方向の作用力による外壁2’への負担が軽減され、外壁2’が破損することを防ぐ。なお、上述した実施形態は上記と同じ部材には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0037】
上記した外壁面用化粧材の取付構造10は、
図3(a)に示すように、予め、座板12にボルト13の雄ネジ13bをナット12cの雌ネジ孔12dに締結させ、ナット12cの上面12eとボルト頭13aの下面13cを圧着させておき、
図3(b)に示すように、予め形成された外壁2および下地材3の貫通孔2a、3cに座板12の貫通孔12aおよび雌ネジ孔12dが連なる貫通孔Pを形成するように取付孔12bにネジ15を挿通して外壁2に座板12を取り付けると、貫通孔Pから外壁2の屋外側Bに雄ネジ13bの先端が突出する。そして、
図4(a)に示すように、取付部材20の貫通孔20cに雄ネジ13bを挿通し、ナット16で締結することで、
図4(b)に示すように、取付部材20が外壁2の屋外側Bに取り付き、続いて取付部材20に化粧材30を取り付ける。以上で取り付けが完了する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、建物の外壁2、2’の屋内側Aには下地材3、3’が設けられ、外壁2、2’の屋外側Bには取付部材20、20’、21、21’が固定され、取付部材20、20’、21、21’を介して化粧材30、30A、30Bが設けられる建物の外壁2、2’より屋外側Bに取り付けられる化粧材30、30A、30B、30Cの取付構造10、10A、10B、10C、10Dにおいて、屋内側Aから取付部材20、20’、21、21’までを固定する固定手段11、11A、11Bを備え、取付部材20、20’、21、21’まで連なる貫通孔P(貫通孔2a、2a’、3c、3c’、12a、雌ネジ孔12a’、12d)、20c、20c’に固定手段11、11A、11Bを挿通するだけで化粧材30、30A、30B、30Cの取付部材20、20’、21、21’が固定できるので、作業性がよい。
【0039】
また、固定手段11、11A、11Bは、座板12、12’およびボルト13とからなり、座板12にはボルト13を挿通するための貫通孔12aが形成され、貫通孔12aの内面または上面に有する突部の内面が雌ネジ孔12a’、12dであるため、座板12、12’とボルト13を別々にすることで下地材3、3’から取付部材20、20’、21、21’までの貫通孔P、20c、20c’の長さ(外壁2、2’の幅L)が異なっていても、長さの異なるボルト13のみを準備するだけで、座板12、12’は共通部材が使用できるので、部品コストが抑えられる。また、現場の条件によってボルト13の挿通方向を変更することもでき、利便性がよい。
【0040】
また、ボルト13は、ボルト頭13aおよび雄ネジ13bとからなり、雄ネジ13bは、屋内側Aに取り付けられた座板12、12’の貫通孔12aに挿通し、雄ネジ13bの先端を外壁2、2’の屋外側Bに突出させ、取付部材20、20’、21、21’の貫通孔20c、20c’に雄ネジ13bの先端を挿通して締付固定するため、ボルト13の先端を外壁2、2’の屋外側Bから突出させておくことで、作業者1人でも容易に作業が行えるので、人件費が抑えられ、作業性もよい。
【0041】
また、突部は、ナット12cとからなり、ナット12cは、貫通孔12aの上面に溶接固定されているため、予めボルト13をナット12cに挿通させておくことで、作業者1人でも容易に作業が行えるので、人件費が抑えられる。また、現場によってボルト13の長さMが異なっていても、ボルト13を溶接する必要がないので、加工の手間が省ける。
【0042】
また、固定手段11A、11Bは、つぶれ防止材14を介して化粧材30、30A、30B、30Cを締結固定するため、下地材3、3’が木材などの材質や外壁2’がサイディングなどの材質のものであっても、つぶれ防止材14を挟持させることで、締結固定をする時に下地材3、3’や外壁2’の変形、破損を防ぎ、使い勝手がよい。
【0043】
また、下地材3’の屋内側Aには、座板12、12’と同形状の凹部3dを形成し、凹部3dには、座板12、12’が取り付けられ、凹部3dは座グリ加工によって座グリ径が50~60mm程度で加工されているため、市販の工具によって座グリ加工が施せるので施工がし易い。また、凹部3dを50~60mm程度の切削にすることで下地材3’の強度が維持できる。
【符号の説明】
【0044】
2、2’ 外壁
2a、2a’ 貫通孔
3、3’ 下地材
3a 縦片
3b 横片
3c、3c’ 貫通孔
3d 凹部
4 内壁
10、10A、10B、10C、10D 外壁面用化粧材の取付構造
11、11A、11B 固定手段
12、12’ 座板
12a 貫通孔
12a’雌ネジ孔
12b 取付孔
12c ナット
12d 雌ネジ孔
12e 上面
13 ボルト
13a ボルト頭
13b 雄ネジ
13c 下面
14 つぶれ防止材
14a 挿通部
15 ネジ
16 ナット
20、20’、21、21’ 取付部材
20a、20a’ 縦片
20b、20b’ 横片
20c、20c’ 貫通孔
20d レール溝
20e 引っ掛け片
20f 貫通孔
30、30A、30B、30C 化粧材
31 庇材
31a 貫通孔
32 ボルト
32a ボルト頭
32b 雄ネジ
33、33’ 支持金具
33a、33a’ 縦片
33b、33b’ 横片
33c、33c’ 貫通孔
33d 貫通孔
34 ルーバー材
35 スパンドレル
36 目地材
A 屋内側
B、B’ 屋外側
L 幅
M、N 長さ
P 貫通孔
S 通気層