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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098779
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】照明付き庇の取付構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 7/02 20060101AFI20230704BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20230704BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230704BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20230704BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230704BHJP
【FI】
E04B7/02 501D
F21S8/04 110
F21V23/00 160
F21S8/02 100
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215448
(22)【出願日】2021-12-29
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小池 夏樹
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】建物の外壁面に照明器具を有する庇体を容易に取り付けるための照明付き庇の取付構造を提供する。
【解決手段】建物の外壁の屋外側より前方へ張り出した庇体30に照明器具40を取り付ける照明付き庇の取付構造10において、庇体は、複数の中空30cの庇材31を連設して構成したものであり、複数の庇材の内、少なくとも1つの庇材31aの下面30bには配線穴31bが形成され、配線穴を覆うように庇材31aの下面に取り付けられた電源コード41a付きの照明器具とを備え、庇体は、取付部材20を介して外壁の屋外側に取り付けられ、取付部材は、所定の位置に複数の貫通孔20c、20dを備える。貫通孔20cには、ボルトを挿通して外壁と取付部材を固定し、貫通孔20dには、配線穴から庇材31aの中空30cに引き込まれ、庇材31aの基端30dから引き出された電源コードが挿通される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁の屋外側より前方へ張り出した庇体に照明器具を取り付ける照明付き庇の取付構造において、
前記庇体は、複数の中空の庇材を連設して構成したものであり、
複数の前記庇材の内、少なくとも1つの前記庇材の下面には配線穴が形成され、前記配線穴を覆うように前記庇材の下面に取り付けられた電源コード付きの前記照明器具とを備え、
前記庇体は、取付部材を介して外壁の屋外側に取り付けられ、前記取付部材は、所定の位置に複数の貫通孔を備え、
ボルトを挿通して外壁と前記取付部材を固定する少なくとも1つの前記貫通孔と、前記配線穴から前記庇材の中空に引き込まれ、前記庇材の基端から引き出された前記電源コードを挿通する少なくとも1つの前記貫通孔が形成されていることを特徴とする、照明付き庇の取付構造。
【請求項2】
前記取付部材は、外壁に固定される縦片と、前記庇体を支持する横片とからなり、前記縦片の下方には、前記縦片より前方へ突出した支持片を備え、
前記支持片の先端には、前記庇体の基端が当接し、前記縦片と前記庇体の基端との間には空間が設けられ、前記空間は、前記電源コードの通路であることを特徴とする、請求項1に記載の照明付き庇の取付構造。
【請求項3】
前記庇体の基端上面には、前記縦片より前方へ突出するように水切カバー材が取り付けられ、前記縦片の上方には、前記縦片より前方へ突出したカバー取付片を備え、
前記カバー取付片に前記水切カバー材を固定し、前記縦片と前記水切カバー材との間には空間が設けられ、前記空間は、前記電源コードの通路であることを特徴とする、請求項1または2記載の照明付き庇の取付構造。
【請求項4】
前記電源コードは、少なくとも1つの前記貫通孔に連なる位置に設けられた外壁の貫通孔に挿通され、外壁の屋内側に引き込まれることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の照明付き庇の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁面に照明器具を有する庇体を容易に取り付けるための照明付き庇の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内部に空洞を有する庇本体内に照明器具が内蔵され、庇本体の後板部に形成された開口部内に、建物の庇固定板に形成された開口部内に配置されているコンセントタイプの接続端子と電気的に接続されるプラグタイプの接続端子が配置され、この庇側の接続端子が照明器具と電気的に接続されている照明器具付き庇が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-27350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したような照明器具付き庇では、コンセントタイプの接続端子とプラグタイプの接続端子の接続を確実に行う位置に両者を配置しなければならず、庇や建物の状況によって位置が合わず、接続できない等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、建物の外壁面に照明器具を有する庇体を容易に取り付けるための照明付き庇の取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
請求項1に記載の発明は、建物の外壁の屋外側より前方へ張り出した庇体に照明器具を取り付ける照明付き庇の取付構造において、前記庇体は、複数の中空の庇材を連設して構成したものであり、複数の前記庇材の内、少なくとも1つの前記庇材の下面には配線穴が形成され、前記配線穴を覆うように前記庇材の下面に取り付けられた電源コード付きの前記照明器具とを備え、前記庇体は、取付部材を介して外壁の屋外側に取り付けられ、前記取付部材は、所定の位置に複数の貫通孔を備え、ボルトを挿通して外壁と前記取付部材を固定する少なくとも1つの前記貫通孔と、前記配線穴から前記庇材の中空に引き込まれ、前記庇材の基端から引き出された前記電源コードを挿通する少なくとも1つの前記貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の特徴点に加え、前記取付部材は、外壁に固定される縦片と、前記庇体を支持する横片とからなり、前記縦片の下方には、前記縦片より前方へ突出した支持片を備え、前記支持片の先端には、前記庇体の基端が当接し、前記縦片と前記庇体の基端との間には空間が設けられ、前記空間は、前記電源コードの通路であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明の特徴点に加え、前記庇体の基端上面には、前記縦片より前方へ突出するように水切カバー材が取り付けられ、前記縦片の上方には、前記縦片より前方へ突出したカバー取付片を備え、前記カバー取付片に前記水切カバー材を固定し、前記縦片と前記水切カバー材との間には空間が設けられ、前記空間は、前記電源コードの通路であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1~3のいずれか1項に記載の発明の特徴点に加え、前記電源コードは、少なくとも1つの前記貫通孔に連なる位置に設けられた外壁の貫通孔に挿通され、外壁の屋内側に引き込まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、建物の外壁の屋外側より前方へ張り出した庇体に照明器具を取り付ける照明付き庇の取付構造において、庇体は、複数の中空の庇材を連設して構成したものであり、複数の庇材の内、少なくとも1つの庇材の下面には配線穴が形成され、配線穴を覆うように庇材の下面に取り付けられた電源コード付きの照明器具とを備え、庇体は、取付部材を介して外壁の屋外側に取り付けられ、取付部材は、所定の位置に複数の貫通孔を備えているため、現場ごとに貫通孔の位置を変更する必要がないので、加工時に共通の治具で穴あけが行え、加工コストが抑えられる。また、ボルトを挿通して外壁と取付部材を固定する少なくとも1つの貫通孔と、配線穴から庇材の中空に引き込まれ、庇材の基端から引き出された電源コードを挿通する少なくとも1つの貫通孔が形成されているため、貫通孔に挿通するだけで電源コードが案内できるので作業性がよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は上記の通りであり、取付部材は、外壁に固定される縦片と、庇体を支持する横片とからなり、縦片の下方には、縦片より前方へ突出した支持片を備え、支持片の先端には、庇体の基端が当接し、縦片と庇体の基端との間には空間が設けられ、空間は、電源コードの通路であるため、支持片が前方へ突出した分だけの空間により、庇材の基端から引き出された電源コードと、電源コードを挿通する取付部材の貫通孔とが連なる位置でなくても、空間内を電源コードが通って貫通孔まで移動することができるので、照明器具が取り付けられた庇材と、電源コードを通す貫通孔との位置合わせが不要なので作業性がよい。また、現場において、照明器具が取り付けられた庇材の位置を変更したい時でも、電源コードを挿通する貫通孔の位置を気にせずに変更が行えるので、利便性が高い。
【0012】
請求項3に記載の発明は上記の通りであり、庇体の基端上面には、縦片より前方へ突出するように水切カバー材が取り付けられ、縦片の上方には、縦片より前方へ突出したカバー取付片を備え、カバー取付片に水切カバー材を固定し、縦片と水切カバー材との間には空間が設けられ、空間は、前記電源コードの通路であるため、水切カバー材が縦片より前方へ突出した分だけの空間により、庇材の基端から引き出された電源コードと、電源コードを挿通する取付部材の貫通孔とが連なる位置でなくても、空間内を電源コードが通って貫通孔まで移動することができるので、照明器具が取り付けられた庇材と、電源コードを通す貫通孔との位置合わせが不要なので作業性がよい。また、現場において、照明器具が取り付けられた庇材の位置を変更したい時でも、電源コードを挿通する貫通孔の位置を気にせずに変更が行えるので、利便性が高い。
【0013】
請求項4に記載の発明は上記の通りであり、電源コードは、少なくとも1つの貫通孔に連なる位置に設けられた外壁の貫通孔に挿通され、外壁の屋内側に引き込まれるため、貫通孔同士を連ねるだけでスムーズに電源コードを屋内側に送ることができ、作業性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】庇体の先端が下方に傾斜した照明付き庇の取付構造を示す外観図である。
図2図1の照明付き庇の取付部材付近を示す一部拡大断面図である。
図3】取付部材の外観図である。
図4】照明付き庇の取付部材付近を下面側から見た図である。
図5】照明付き庇の取付部材付近を下面側から見た図である(照明器具なし)。
図6】(a)庇体の接合部を先端側から見た図である(先端カバー材なし)、(b)図6(a)の庇体の変形例を示す図である。
図7】複数の照明付き庇の取付部材付近を下面側から見た図である。
図8】照明付き庇の取付部材付近の変形例を示す一部拡大断面図である。
図9】庇体の基端が下方に傾斜した照明付き庇の取付構造の変形例を示す外観図である。
図10図9の照明付き庇の取付部材付近を示す一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、図を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態に係る照明付き庇の取付構造10は、図1に示すように、建物の外壁2の屋外側Aより前方へ張り出すように取付部材20を介して庇体30が取り付けられ、庇体30の内部に照明器具40が取り付けられている。
【0017】
取付部材20は、図2に示すように、庇体30を支持するためのものである。本実施形態に係る取付部材20は、図3に示すように、外壁2に固定される縦片20aと、後述の庇体30を支持する横片20bとでL型をなすようにアルミニウムの押出成形で形成され、庇体30の長さに合わせて設定される。この縦片20aには、ボルト51を挿通するための貫通孔20cが長手方向に対し、所定の間隔で上下に形成され、後述の照明器具40に電気接続され、給電のための電源コード41aを挿通するための貫通孔20dが長手方向に対し、所定の間隔で上下に形成され、縦片20aおよび横片20bには、庇体30を支持するためのレール溝20eを備えている。なお、庇体30を支持できればよいので、レール溝20eに限定されない。
【0018】
また、縦片20aの下方には、庇体30の基端30dを支持するための支持片20fが縦片20aより前方へ突出している。本実施形態に係る支持片20fは、図2に示すように、支持片20fの先端が下方に垂下し、さらに、縦片20aより前方へ突出した庇支持面20gと連なった階段状に形成されている。すなわち、庇体30を取付部材20に取り付けると、支持片20fの先端に庇体30の基端30dが当接するとともに、庇支持面20gに庇体30の基端30dよりの下面30bが支持されるため、庇体30が取付部材20側への入り込みを防ぎ、所定の位置に確実に支持される。そして、この庇体30の基端30dと取付部材20の縦片20aとの間に空間Pが設けられる。この空間Pは、取付部材20を取り付けるためのボルト51のボルト頭、ナットなど突出する部分が干渉しないようにするとともに、後述の電源コード41aの通路Sを兼ねている。
【0019】
この取付部材20を介して外壁2に庇体30が固定される。本実施形態に係る庇体30は、図1に示すように、外壁2の屋外側Aより前方へ張り出した方向に押出しされた上面30aと下面30bとの間に中空30cからなるアルミニウムの押出成形で形成され、その庇体30が外壁2の長さ方向に合わせて庇材31同士の端部を接合して構成されている。具体的には、図6(a)に示すように、庇材31同士を嵌合によって接合したり、図6(b)に示すように、庇材31’同士を回動によって接合したりして庇体30、30’が形成される。この庇材31、31’の内、少なくとも1つの庇材31a、31a’には、図4に示すように、後述の照明器具40が下面30bの配線穴31bを覆うように取り付けられている。なお、庇体30は外壁2の屋外側Aより前方へ張り出していればよく、外壁2の長さ方向に押出しされたアルミニウムの押出成形材でもよい。
【0020】
この配線穴31bを有する庇材31aには、配線穴31bより小穴の取付穴31cが設けられている。すなわち、図5に示すように、配線穴31bより上方の左右に取付穴31cが備えられ、配線穴31bと2つの取付穴31cとで三角形になる位置に開けられている。配線穴31bには、図2に示すように、後述の照明器具40の電源コード41aを庇材31aの中空30c内に引き込むための穴であり、取付穴31cは、図6(a)、図6(b)に示すように、照明器具40を庇材31aの下面30bに固定するためのネジ53を挿通するための穴である。
【0021】
次に、照明器具40は、図2に示すように、庇体30の内、少なくとも1つの庇材31aの下面30bに取り付けられ、庇体30の下方を明るく照らすものである。本実施形態に係る照明器具40は、図4に示すように、LED基板41bと、LED基板41bが埋め込まれた円形の取付部41cと、取付部41cを覆うカバー材41dと、取付部41cに電気接続され、給電のための電源コード41aとから構成されている。この取付部41cには、上記した庇材31aの取付穴31cに連なる取付穴41eを備え、この取付穴41eと庇材31aの取付穴31cにネジ53を挿通し、締結することで庇材31aの下面30bに取付部41cが取り付けられる。さらに、この取付部41cにカバー材41dを係合することで、図4に示すように、庇体30の内、少なくとも1つの庇材31aに照明器具40が取り付けられる
【0022】
この電源コード41aは、図6(a)、図6(b)に示すように、庇材31aの配線穴31bから庇材31aの中空30c内に引き込まれ、図4に示すように、庇材31aの基端30dから引き出される。そして、庇体30の基端30dと取付部材20の縦片20aとの間に空間Pが電源コード41aの通路Sとなり、近くの取付部材20の貫通孔20dと後述の外壁2の貫通孔2bから屋内側Bに挿通される。すなわち、庇材31aの位置と貫通孔20d、2bの位置とが連なっていなくても、電源コード41aは空間P(通路S)を通って自由に移動することが可能なため、図7に示すように、上の庇材31aの電源コード41aは、下の庇材31付近の貫通孔20d、2bから挿通し、下の庇材31aの電源コード41aは、上の庇材31との接合付近の貫通孔20d、2bから挿通している。これにより、現場ごとに貫通孔20dの穴あけ加工の位置を変更する手間がない。また、現場において、照明器具40が取り付けられた庇材31aの位置を変更したい時でも、電源コード41aを挿通する貫通孔20dの位置を気にせずに変更が行える。なお、本実施形態では上下に形成されている貫通孔20dの下側を使用し、外壁2の長さ方向に変更した構成であったが、変更できるのは外壁2の長さ方向に限らず、種々のものが考えられる。
【0023】
例えば、図8に示すように、電源コード41aを上側の貫通孔20d、2bに挿通した照明付き庇の取付構造10Aでもよい。すなわち、庇材31aの基端30dから引き出された電源コード41aを庇体30の基端30dと取付部材20の縦片20aとの間の空間Pだけでなく、水切カバー材33の内面33aと取付部材20の縦片20aとの間の空間P’(通路S’)までを使用して電源コード41aを上側の貫通孔20d、2bに挿通させる。これにより、現場の条件によって様々な貫通孔20dを選択することができ、利便性が高い。また、水切カバー材33により、電源コード41aは外部から視認できないので、意匠性がよい。
【0024】
外壁2は、図2に示すように、ALCなどを用いたコンクリートからなり、屋外側Aに庇体30が取り付けられる。本実施形態に係る外壁2は、図2図4に示すように、屋外側Aから屋内側Bまで貫通した貫通孔2aおよび2bが形成されている。具体的には、貫通孔2aは、取付部材20の貫通孔20cと連なるように形成され、取付部材20を外壁2に取り付けるためのものである。一方、貫通孔2bは、取付部材20の貫通孔20dと連なるように形成されていて、電源コード41aを屋内側Bに挿通させるためのものである。挿通された電源コード41aは、屋内側の電源(図示なし)に接続される。
【0025】
上記した照明付き庇の取付構造10の庇体30は、図1に示すように、庇体30の先端30eが基端30dより下方に傾斜するいわゆる前勾配型であるが、庇体30の傾斜はこれに限らない。
【0026】
例えば、図9に示すように、庇体30の基端30dが先端30eより下方に傾斜する後勾配型(もしくは逆勾配型)の照明付き庇の取付構造10Bでもよい。すなわち、図10に示すように、取付部材20’には、外壁2に固定される縦片20a’と、庇体30を支持する横片20b’とからなり、縦片20a’には、ボルト51を挿通するための貫通孔20c’が長手方向に対し、所定の間隔で形成され、照明器具40に電気接続され、給電のための電源コード41aを挿通するための貫通孔20d’が長手方向に対し、所定の間隔で形成されている。また、縦片20a’には、庇体30の基端30dの上面30aを支持するための引っ掛け片20iと、庇体30の基端30dを支持するための支持片20f’が縦片20a’より前方へ突出し、横片20b’には、庇体30の基端30dの下面30bを支持する庇支持面20g’を備える。すなわち、庇体30を取付部材20’に取り付けると、支持片20f’に庇体30の基端30dが当接するとともに、庇支持面20g’に庇体30の基端30dよりの下面30bが支持されるため、庇体30が取付部材20’側への入り込みを防ぎ、所定の位置に確実に支持される。そして、この庇体30の基端30dと取付部材20’の縦片20a’との間に空間Pが設けられる。この空間Pは、取付部材20’を取り付けるためのボルト51のボルト頭、ナットなど突出する部分が干渉しないようにするとともに、電源コード41aの通路Sを兼ねている。なお、上述した実施形態は上記と同じ部材には、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0027】
上記した照明付き庇の取付構造10は、図4に示すように、予め形成された外壁2の貫通孔2bと取付部材20の貫通孔20dが連なるように、外壁2の貫通孔2aと取付部材20の貫通孔20cとにボルト51を挿通し、外壁2の屋外側Aに取付部材20を取り付ける。次に、図2に示すように、少なくとも1つの庇材31aが含まれた庇体30を取付部材20の横片20bのレール溝20eにボルト52のボルト頭を挿入し、雄ネジを庇体30の基端30dに設けられた貫通孔31dに挿通させ、庇体30の上面30aで支持金具32の一方の片を介して締結し、他方の片は、取付部材20の縦片20aのレール溝20eにボルト52のボルト頭を挿入し、雄ネジを他方の片に挿通して締結する。締結されると、図7に示すように、庇体30の基端30dと取付部材20の縦片20aとの間の空間Pが設けられ、この空間P(通路S)に、予め庇材31aの中空30cに挿通されている電源コード41aを引き出してくる。この電源コード41aを近くの貫通孔20d、貫通孔2bに挿通して、屋内側Bの電源(図示なし)に接続する。以上で取り付けが完了する。
【0028】
以上説明したように、本実施形態によれば、建物の外壁2の屋外側Aより前方へ張り出した庇体30、30’に照明器具40を取り付ける照明付き庇の取付構造10、10A、10Bにおいて、庇体30、30’は、複数の中空30cの庇材31、31’を連設して構成したものであり、複数の庇材31、31’の内、少なくとも1つの庇材31a、31a’の下面30bには配線穴31bが形成され、配線穴31bを覆うように庇材31a、31a’の下面30bに取り付けられた電源コード41a付きの照明器具40とを備え、庇体30、30’は、取付部材20、20’を介して外壁2の屋外側Aに取り付けられ、取付部材20、20’は、所定の位置に複数の貫通孔20c、20c’、20d、20d’を備えているため、現場ごとに貫通孔20c、20c’、20d、20d’の位置を変更する必要がないので、加工時に共通の治具で穴あけが行え、加工コストが抑えられる。また、ボルト51を挿通して外壁2と取付部材20、20’を固定する少なくとも1つの貫通孔20c、20c’と、配線穴31bから庇材31a、31a’の中空30cに引き込まれ、庇材31a、31a’の基端30dから引き出された電源コード41aを挿通する少なくとも1つの貫通孔20d、20d’が形成されているため、貫通孔20d、20d’に挿通するだけで電源コード41aが案内できるので作業性がよい。
【0029】
また、取付部材20、20’は、外壁2に固定される縦片20a、20a’と、庇体30、30’を支持する横片20b、20b’とからなり、縦片20a、20a’の下方には、縦片20a、20a’より前方へ突出した支持片20f、20f’を備え、支持片20f、20f’の先端には、庇体30、30’の基端30dが当接し、縦片20a、20a’と庇体30、30’の基端30dとの間には空間Pが設けられ、空間Pは、電源コード41aの通路Sであるため、支持片20f、20f’が前方へ突出した分だけの空間Pにより、庇材31a、31a’の基端30dから引き出された電源コード41aと、電源コード41aを挿通する取付部材20、20’の貫通孔20d、20d’とが連なる位置でなくても、空間P内を電源コード41aが通って貫通孔20d、20d’まで移動することができるので、照明器具40が取り付けられた庇材31a、31a’と、電源コード41aを通す貫通孔20d、20d’との位置合わせが不要なので作業性がよい。また、現場において、照明器具40が取り付けられた庇材31a、31a’の位置を変更したい時でも、電源コード41aを挿通する貫通孔20d、20d’の位置を気にせずに変更が行えるので、利便性が高い。
【0030】
また、庇体30、30’の基端30d上面30aには、縦片20a、20a’より前方へ突出するように水切カバー材33が取り付けられ、縦片20a、20a’の上方には、縦片20a、20a’より前方へ突出したカバー取付片20hを備え、カバー取付片20hに水切カバー材33を固定し、縦片20a、20a’と水切カバー材33との間には空間P’が設けられ、空間P’は、前記電源コード41aの通路S’であるため、水切カバー材33が縦片20a、20a’より前方へ突出した分だけの空間P’により、庇材31a、31a’の基端30dから引き出された電源コード41aと、電源コード41aを挿通する取付部材20、20’の貫通孔20d、20d’とが連なる位置でなくても、空間P’内を電源コード41aが通って貫通孔20d、20d’まで移動することができるので、照明器具40が取り付けられた庇材31a、31a’と、電源コード41aを通す貫通孔20d、20d’との位置合わせが不要なので作業性がよい。また、現場において、照明器具40が取り付けられた庇材31a、31a’の位置を変更したい時でも、電源コード41aを挿通する貫通孔20d、20d’の位置を気にせずに変更が行えるので、利便性が高い。
【0031】
また、電源コード41aは、少なくとも1つの貫通孔20d、20d’に連なる位置に設けられた外壁2の貫通孔2bに挿通され、外壁2の屋内側Bに引き込まれるため、貫通孔20d、20d’、2a同士を連ねるだけでスムーズに電源コード41aを屋内側Bに送ることができ、作業性がよい。
【符号の説明】
【0032】
2 外壁
2a 貫通孔
10、10A、10B 照明付き庇の取付構造
20、20’ 取付部材
20a、20a’ 縦片
20b、20b’ 横片
20c、20c’ 貫通孔
20d、20d’ 貫通孔
20e レール溝
20f、20f’ 支持片
20g、20g’ 庇支持面
20h カバー取付片
20i 引っ掛け片
30、30’ 庇体
30a 上面
30b 下面
30c 中空
30d 基端
30e 先端
31、31’ 庇材
31a、31a’ 庇材
31b 配線穴
31c 取付穴
31d 貫通孔
32 支持金具
33 水切カバー材
33a 内面
40 照明器具
41a 電源コード
41b LED基板
41c 取付部
41d カバー材
41e 取付穴
51、52 ボルト
53 ネジ
A 屋外側
B 屋内側
P、P’ 空間
S、S’ 通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10