(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098787
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】運動強度/バッテリー消費量を推定する自転車用ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/30 20180101AFI20230704BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230704BHJP
【FI】
G16H20/30
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021215462
(22)【出願日】2021-12-29
(71)【出願人】
【識別番号】520119253
【氏名又は名称】吉原 和男
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和男
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049CC11
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】自転車/電動アシスト自転車の利用を促進するには、目的地までの移動経路だけでなく、運動強度やバッテリー消費量が提示される必要がある。
【解決手段】ナビゲーションシステム(100)は、移動経路の運動強度を推定する運動強度推定部(20)と、バッテリー消費量を推定するバッテリー消費量推定部(29)を備え、利用者の走行パターンに応じた運動強度とバッテリー消費量を推定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
IoT端末を備え、
前記IoT端末は時刻を取得する時刻取得部と、位置座標と位置座標にひもづけられた標高を取得する位置座標取得部を備え、
前記時刻取得部が取得した走行開始時の時刻と走行終了時の時刻から走行時間を計算する走行時間計算部を備え、
前記位置座標取得部が取得した位置座標の遷移から利用者の移動距離を計算する移動距離計算部を備え、
前記時刻取得部が取得した時刻における前記位置座標取得部が取得した位置座標の気温と湿度を取得する気象条件取得部を備え、
前記位置座標取得部により取得された標高の遷移から獲得標高を計算する獲得標高計算部を備え、
前記走行時間計算部が計算した走行時間、前記移動距離計算部が計算した移動距離、前記気象条件取得部が取得した気温と湿度、前記獲得標高計算部が計算した獲得標高から運動強度を計算する運動強度計算部を備える、
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が選択した目的地までの移動経路の運動強度、バッテリー消費量を推定する自転車用ナビゲーションシステムに係わる技術である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者が過去に訪れた施設のカテゴリを判別、利用者が好むカテゴリに含まれる未訪問の施設を推奨する技術が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コロナ禍以降、自転車と電動アシスト自転車の市場が拡大している。特に長距離を快適に移動出来るスポーツ自転車や電動アシスト自転車の普及は、カーボンニュートラルの推進、移動の格差の緩和、有酸素運動による健康増進が期待出来る。
【0005】
自転車の航続距離や登坂能力は、搭乗者の体力に依存するため、自転車で初めての土地を走るのは不安がつきまとう。特に自転車で傾斜のきつい坂を登るのは体力を消耗する。電動アシスト自転車はモーターによるアシストが得られるため、体力は求められないがバッテリーの充電が切れるとただ重いだけの自転車になってしまう。
【0006】
電動アシスト自転車の充電スポットを整備して欲しいという要望も見受けられるが、電動アシスト自転車は家庭用コンセントで充電する事が前提のため、充電には長い時間がかかる。外出先で充電を行う場合には目的地で時間をかけて充電するか、途中で休憩の際に細目に充電する事になるため、多数の充電スポットが必要となる。
【0007】
自転車の更なる普及のためには、利用者の自転車搭乗時の運動強度とバッテリー消費量を可視化し、利用者がナビゲーションシステムで選択した目的地への移動経路の運動強度、バッテリー消費量が推定される事が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係わるナビゲーションシステムは、IoT端末を備え、前記IoT端末は時刻を取得する時刻取得部と、位置座標と位置座標にひもづけられた標高を取得する位置座標取得部を備え、前記時刻取得部が取得した走行開始時の時刻と走行終了時の時刻から走行時間を計算する走行時間計算部を備え、前記位置座標取得部が取得した位置座標の遷移から利用者の移動距離を計算する移動距離計算部を備え、前記時刻取得部が取得した時刻における前記位置座標取得部が取得した位置座標の気温と湿度を取得する気象条件取得部を備え、前記位置座標取得部により取得された標高の遷移から獲得標高を計算する獲得標高計算部を備え、前記走行時間計算部が計算した走行時間、前記移動距離計算部が計算した移動距離、前記気象条件取得部が取得した気温と湿度、前記獲得標高計算部が計算した獲得標高から運動強度を計算する運動強度計算部を備える。
【0009】
好適には、前記IoT端末は、前記時刻取得部が取得した時刻、前記位置座標取得部が取得した位置座標と標高、前記走行時間計算部が計算した走行時間、前記移動距離計算部が計算した移動距離、前記気象条件取得部が取得した気温と湿度、前記獲得標高計算部が計算した獲得標高、前記運動強度計算部が計算した運動強度を記録する走行データ記録部を備える。
【0010】
より好適には、前記IoT端末は、利用者が所有している自転車の種別をシティサイクル、スポーツ自転車、電動アシスト自転車として登録出来る自転車種別登録部を備え、前記自転車種別登録部に登録された自転車の種別に応じて、運動強度を補正する補正係数が登録された補正係数登録部を備え、前記補正係数登録部に登録された補正係数を用いて、前記運動強度計算部が計算した運動強度を補正する運動強度補正部を備える。
【0011】
より好適には、前記IoT端末は、利用者が走行を開始する地点を選択する走行開始地点選択部と、目標地点を選択する目標地点選択部と、走行する日付を選択する日付選択部を備え、前記走行開始地点選択部で利用者が走行開始地点を選択し、前記目標地点選択部で目標地点を選択し、前記日付選択部で走行する日付を選択した場合に、走行開始地点から目標地点までの移動経路を定める移動経路決定部を備え、前記位置座標取得部は前記移動経路決定部が定めた移動経路の位置座標と標高を取得し、前記移動距離計算部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の位置座標から移動距離を計算し、前記気象条件取得部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の位置座標の、前記日付選択部で選択された走行する日付の気温と湿度を取得し、前記獲得標高計算部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の標高の遷移から獲得標高を計算し、前記移動距離計算部が計算した移動経路の移動距離と、前記気象条件取得部が取得した移動経路の位置座標の走行する日付の気温と湿度、前記獲得標高計算部が計算した移動経路の獲得標高から、推定される運動強度を推定する運動強度推定部を備える。
【0012】
より好適には、前記IoT端末は、自転車で移動する際に推奨される目標地点が記録された推奨目標地点記録部を備え、前記走行開始地点選択部で利用者が走行を開始する地点を選択し、前記日付選択部で走行する日付が選択された場合に、前記移動経路決定部は、前記走行開始地点選択部で利用者が選択した走行開始地点と、前記推奨目標地点記録部に記録された任意の目標地点間の移動経路を定め、前記運動強度推定部は、前記移動経路決定部が定めた利用者が選択した走行開始地点と任意の目標地点間の移動経路の運動強度を推定、前記運動強度推定部が推定した運動強度と前記走行データ記録部に記録された運動強度を比較し、運動強度が近似する目標地点と移動経路を決定する推奨目標地点決定部を備える。
【0013】
より好適には、前記IoT端末は、前記走行データ記録部に記録された走行時間、移動距離、獲得標高から、前記運動強度推定部が推定した運動強度を補正する補正係数を生成する補正係数生成部を備え、前記運動強度補正部は前記補正係数生成部が生成した補正係数を用いて前記運動強度推定部が推定した運動強度を補正する。
【0014】
より好適には、前記ナビゲーションシステムは、管理サーバを備え、前記IoT端末は、前記走行データ記録部に記録された走行データを前記管理サーバに通知する通知部を備え、前記管理サーバは、前記IoT端末の前記通知部から通知された走行データを利用者ごとに記録する記録部を備え、前記記録部に記録された走行データが近似する利用者のデータを相互に補完するデータ補完部を備える。
【0015】
より好適には、前記IoT端末の前記気象条件取得部は、前記走行開始地点選択部で利用者が選択した走行を開始する地点における、前記日付選択部で選択された日付の天候(晴れ、曇り、雨、雪)を取得し、利用者に表示する天候表示部を備える。
【0016】
また、前記ナビゲーションシステムは、電動アシスト自転車を備え、前記電動アシスト自転車はバッテリー容量を前記IoT端末に通知するバッテリー容量通知部を備え、前記IoT端末は、前記時刻取得部が取得した時刻と前記位置座標取得部が取得した位置座標の遷移から移動速度を計算する移動速度計算部を備え、前記位置座標取得部が取得した標高の位置座標辺りの遷移から斜度を計算する斜度計算部を備え、前記移動速度計算部が計算した移動速度、前記斜度計算部が計算した斜度、前記バッテリー容量通知部から通知されたバッテリー容量に基づきバッテリー消費量マップを生成するバッテリー消費量マップ生成部を備える。
【0017】
好適には、前記IoT端末の前記移動経路決定部は、前記走行開始地点選択部で利用者が走行を開始する地点を選択し、前記目標地点選択部で目標地点を選択した場合に、走行開始地点から目標地点までの移動経路を決定し、前記位置座標取得部は前記移動経路決定部が決定した移動経路の位置座標と標高を取得し、前記移動距離計算部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の位置座標から移動距離を計算し、前記斜度計算部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の位置座標と標高の遷移から移動経路の斜度を計算し、前記移動距離計算部が計算した移動経路の移動距離、前記斜度計算部が計算した移動経路の斜度、前記バッテリー消費量マップ生成部が生成したバッテリー消費量マップから、バッテリー消費量を推定するバッテリー消費量推定部を備える。
【0018】
より好適には、前記電動アシスト自転車は、モーターの回転数と発生トルクを前記IoT端末に通知するモーター出力通知部と、モーターの回転数と発生トルクに基づくモーターの効率マップを前記IoT端末に通知するモーター効率マップ通知部を備え、前記IoT端末は、前記移動速度計算部が計算した移動速度、前記斜度計算部が計算した斜度、前記モーター効率マップ通知部により通知されたモーター効率マップから、前記電動アシスト自転車のギアの変速マップを生成する変速マップ生成部を備える。
【0019】
より好適には、前記IoT端末は、前記モーター出力通知部により通知されたモーターの回転数と発生トルク、前記移動速度計算部が計算した移動速度、前記斜度計算部が計算した斜度と、前記変速マップ生成部が生成した変速マップに基づき、変速時期を利用者に通知する変速時期通知部を備える。
【0020】
また、ナビゲーションシステムは、電動アシスト自転車のバッテリーの定格容量を含むWebサイトを備え、前記Webサイトは、前記IoT端末の前記バッテリー消費量マップ生成部が生成したバッテリー消費量マップを取得する取得部を備え、前記Webサイトの電動アシスト自転車のバッテリーの定格容量と、前記取得部が取得したバッテリー消費量マップから、走行可能距離を推定する走行可能距離推定部を備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、利用者が選択した目的地までの移動経路の運動強度、バッテリー消費量を推定することで、自転車の利用促進を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施例に係るナビゲーションシステムの概略構成を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るナビゲーションシステムの実施例について図面を用いて説明する。
【0024】
図1は、ナビゲーションシステムの概略構成を説明する図である。
【0025】
ナビゲーションシステム100は、IoT端末1、管理サーバ2、電動アシスト自転車3、Webサイト4が接続される。
【0026】
IoT端末1は、時刻取得部5、位置座標取得部6、走行時間計算部7、移動距離計算部8、気象条件取得部9、獲得標高計算部10、運動強度計算部11、走行データ記録部12、自転車種別登録部13、補正係数登録部14、運動強度補正部15、走行開始地点選択部16、目標地点選択部17、日付選択部18、移動経路決定部19、運動強度推定部20、推奨目標地点記録部21、推奨目標地点決定部22、補正係数生成部23、通知部24、天候表示部25、移動速度計算部26、斜度計算部27、バッテリー消費量マップ生成部28、バッテリー消費量推定部29、車両諸元記録部30、変速マップ生成部31、変速時期通知部32、走行可能距離推定部33を含む。
【0027】
管理サーバ2は、記録部34、データ補完部35を含む。
【0028】
電動アシスト自転車3は、バッテリー容量測定部36、モーター出力通知部37、モーター効率マップ通知部38を含む。
【0029】
Webサイト4は、取得部39、走行可能距離推定部40を含む。
【0030】
自転車の航続可能距離や登坂性能は搭乗者の体力に依存するため、行ったことの無い土地に行くのは不安がつきまとう。特に自転車で傾斜のきつい坂を登るのは体力を消耗するし、気温や湿度と言った気候条件に応じて運動強度は異なるため、普段の自分の運動強度がどの程度か把握出来ると行ったことの無い土地に行く際の参考になる。
【0031】
このため、ナビゲーションシステム100は、IoT端末1を備え、IoT端末1は時刻を取得する時刻取得部5と、位置座標と位置座標にひもづけられた標高を取得する位置座標取得部6を備え、時刻取得部5が取得した走行開始時の時刻と走行終了時の時刻から走行時間を計算する走行時間計算部7を備え、位置座標取得部6が取得した位置座標の遷移から利用者の移動距離を計算する移動距離計算部8を備え、時刻取得部5が取得した時刻における位置座標取得部6が取得した位置座標の気温と湿度を取得する気象条件取得部9を備え、位置座標取得部6により取得された標高の遷移から獲得標高を計算する獲得標高計算部10を備え、走行時間計算部7が計算した走行時間、移動距離計算部8が計算した移動距離、気象条件取得部9が取得した気温と湿度、獲得標高計算部10が計算した獲得標高から運動強度を計算する運動強度計算部11を備える。
【0032】
また、IoT端末1の時刻取得部5が取得した時刻、位置座標取得部6が取得した位置座標と標高、走行時間計算部7が計算した走行時間、、移動距離計算部8が計算した移動距離、気象条件取得部9が取得した気温と湿度、獲得標高計算部10が計算した獲得標高、運動強度計算部11が計算した運動強度を記録する走行データ記録部12を備える。
【0033】
一般的なサイクルコンピュータは獲得標高が表示されるため、利用者は獲得標高が馴染み易いので、運動強度計算部11は運動強度の計算に獲得標高を用いるが、運動強度計算部11が運動強度を計算する際に移動経路の獲得標高ではなく移動経路の斜度を用いても良い。
【0034】
IoT端末1の気象情報取得部9は風速と風向きと日射量を取得し、運動強度計算部11は運動強度を計算する際に気象条件取得部9が取得した風速と風向きと日射量による影響を考慮する事が望ましい。風速と風向きは自転車の移動速度に影響を与え、日射量は体感温度に影響を与えるためである。
【0035】
利用者が搭乗している自転車の種別に応じて運動強度は異なるため、自転車の種別に応じて運動強度を補正する。このため、IoT端末1は、利用者が所有している自転車の種別をシティサイクル、スポーツ自転車、電動アシスト自転車として登録出来る自転車種別登録部13を備え、自転車種別登録部13に登録された自転車の種別に応じて、運動強度を補正する補正係数が登録された補正係数登録部14を備え、補正係数登録部14に登録された補正係数を用いて、運動強度計算部11が計算した運動強度を補正する運動強度補正部15を備える。
【0036】
より厳密に運動強度を補正する場合には、自転車の種別ではなく自転車の製品名に基づき補正が行われる事が望ましい。自転車の製品名により運動強度を補正する場合には、製品名毎に運動強度の補正係数が登録された補正係数登録部14が必要となる。
【0037】
利用者がナビゲーションシステムで目的地を探す際、目的地までの移動経路の運動強度を提示する事で、利用者が行った事の無い土地を走行する際の不安を軽減する。このため、IoT端末1は、利用者が走行を開始する地点を選択する走行開始地点選択部16と、目標地点を選択する目標地点選択部17と、走行する日付を選択する日付選択部18を備え、走行開始地点選択部16で利用者が走行開始地点を選択し、目標地点選択部17で目標地点を選択し、日付選択部18で走行する日付を選択した場合に、走行開始地点から目標地点までの移動経路を定める移動経路決定部19を備え、位置座標取得部6は移動経路決定部19が定めた移動経路の位置座標と標高を取得し、移動距離計算部8は位置座標取得部6が取得した移動経路の位置座標から移動距離を計算し、気象条件取得部9は位置座標取得部6が取得した移動経路の位置座標の、日付選択部18で選択された走行する日付の気温と湿度を取得し、獲得標高計算部10は位置座標取得部6が取得した移動経路の標高の遷移から獲得標高を計算し、移動距離計算部8が計算した移動経路の移動距離、気象条件取得部9が取得した移動経路の位置座標の走行する日付の気温と湿度、獲得標高計算部10が計算した移動経路の獲得標高から、推定される運動強度を推定する運動強度推定部20を備える。
【0038】
利用者が目的地の選択に迷っている場合、過去に自転車を利用した際の運動強度に基づき目的地が推奨される事が望ましい。このため、IoT端末1は、自転車で移動する際に推奨される目標地点が記録された推奨目標地点記録部21を備え、走行開始地点選択部16で利用者が走行を開始する地点を選択し、日付選択部18で走行する日付が選択された場合に、移動経路決定部19は、走行開始地点選択部16で利用者が選択した走行開始地点と、推奨目標地点記録部21に記録された任意の目標地点間の移動経路を定め、運動強度推定部20は、移動経路決定部19が定めた利用者が選択した走行開始地点と任意の目標地点間の移動経路の運動強度を推定、運動強度推定部20が推定した運動強度と走行データ記録部12に記録された運動強度を比較し、運動強度が近似する目標地点と移動経路を決定する推奨目標地点決定部22を備える。
【0039】
移動経路が同じでも走行ペースが異なれば運動強度は異なるため、IoT端末1の運動強度推定部20が計算した移動経路の諸条件に基づく運動強度は、利用者の走行ペースに応じて補正される事が望ましい。このため、IoT端末1は、走行データ記録部12に記録された走行時間、移動距離、獲得標高から、運動強度推定部20が推定した運動強度を補正する補正係数を生成する補正係数生成部23を備え、運動強度補正部15は補正係数生成部23が生成した補正係数を用いて運動強度推定部20が推定した運動強度を補正する。
【0040】
利用者の走行パターンに偏りがある場合、IoT端末1の走行データ記録部12に記録されたデータでは、補正係数生成部23により適切な補正係数を生成出来ないため、他の利用者の走行データにより補完される事が望ましい。このため、ナビゲーションシステム100は、管理サーバ2を備え、IoT端末1は、走行データ記録部12に記録されたデータを管理サーバ2に通知する通知部24を備え、管理サーバ2は、IoT端末1の通知部24から通知された走行データを利用者ごとに記録する記録部34を備え、記録部34に記録された走行データが近似する利用者のデータを相互に補完するデータ補完部35を備える。
【0041】
利用者が搭乗している自転車の種別によって推定される運動強度は異なるため、IoT端末1は、自転車種別登録部13に登録された自転車の種別に基づき、補正係数登録部14に登録された補正係数を用いて、運動強度推定部20が計算した運動強度を補正する運動強度補正部15を備える。
【0042】
IoT端末1の運動強度推定部20が運動強度を推定する際、日付選択部18で選択された日付の気温と湿度を気象情報取得部9が取得出来ない場合には、過去の気象情報の統計データから気温と湿度を取得することが望ましい。
【0043】
IoT端末1の運動強度推定部20が運動強度を推定する際、より正確な運動強度を推定したい場合には、気象情報取得部9は気温と湿度だけでなく、風速と風向き、日射量を取得し、運動強度推定部20は気象情報取得部9が取得した気温と湿度、風速と風向き、日射量に基づき運動強度を推定する。
【0044】
自転車は耐候性が低いため、レジャー目的の場合には雨や雪の日には利用しない利用者が多いため、IoT端末1の気象条件取得部9は、走行開始地点選択部16で利用者が選択した走行を開始する地点における、日付選択部18で選択された日付の天候(晴れ、曇り、雨、雪)を取得し、利用者に表示する天候表示部25を備える。
【0045】
利用者が電動アシスト自転車に搭乗している場合、運動強度よりもモーターのアシストを受けて走行出来る距離が重要となるが、モーターのアシストを受けて走行出来る距離は、移動経路の斜度、走行ペース、変速パターンに依存する。このため、ナビゲーションシステム100は、電動アシスト自転車3を備え、電動アシスト自転車3はバッテリー容量をIoT端末1に通知するバッテリー容量通知部36を備え、IoT端末1は、時刻取得部5が取得した時刻と位置座標取得部6が取得した位置座標の遷移から移動速度を計算する移動速度計算部26を備え、位置座標取得部6が取得した標高の位置座標辺りの遷移から斜度を計算する斜度計算部27を備え、移動速度計算部26が計算した移動速度、斜度計算部27が計算した斜度、バッテリー容量通知部36から通知されたバッテリー容量に基づきバッテリー消費量マップを生成するバッテリー消費量マップ生成部28を備える。
【0046】
利用者の走行パターンに偏りがある場合、IoT端末1のバッテリー消費量マップ生成部28は適切なバッテリー消費量マップを生成出来ないため、IoT端末1は、管理サーバ2の記録部34に記録された走行データが近似する利用者の走行データをデータ補完部35により補完する事で、バッテリー消費量マップ生成部28により適切なバッテリー消費量マップを生成する。
【0047】
電動アシスト自転車3のバッテリー消費量は、利用者の体重を含む電動アシスト自転車3の総重量の影響を受けるため、管理サーバ2のデータ補完部35を通じて走行データを補完する場合には、利用者に体重の登録を求める事が望ましい。
【0048】
電動アシスト自転車3のバッテリー消費量は、利用者の体力、変速パターンに変化が無ければ、斜度に比例する関数となる。これは利用者の体力が変わらなければ、移動速度は斜度と相関性が見られるためである。このため、IoT端末1の移動経路決定部19は、走行開始地点選択部16で利用者が走行を開始する地点を選択し、目標地点選択部17で目標地点を選択した際に、走行開始地点から目標地点までの移動経路を決定し、位置座標取得部6は移動経路決定部19が決定した移動経路の位置座標と標高を取得し、移動距離計算部8は位置座標取得部6が取得した移動経路の位置座標から移動距離を計算し、斜度計算部27は位置座標取得部6が取得した移動経路の位置座標と標高の遷移から移動経路の斜度を計算し、移動距離計算部8が計算した移動経路の移動距離、斜度計算部27が計算した移動経路の斜度、バッテリー消費量マップ生成部28が生成したバッテリー消費量マップから、バッテリー消費量を推定するバッテリー消費量推定部29を備える。
【0049】
また、利用者の移動速度は斜度だけでなく道路環境の影響も受ける。自転車専用道や路側帯が広く見通しが良い道路と、歩行者が多かったり見通しの悪い道路では移動速度は大きく異なるため、IoT端末1の位置座標取得部6が取得する位置座標には道路環境の情報が付与され、位置座標取得部6が取得した位置座標に付与された道路環境の情報に応じて移動速度が補正され、バッテリー消費量推定部は補正された移動速度に基づきバッテリー消費量マップを参照することが望ましい。
【0050】
利用者の移動速度は斜度と相関性が見られるが移動距離が長くなると、疲労から移動速度が低下するため、IoT端末1のバッテリー消費量マップ生成部28が生成するバッテリー消費量マップは、移動距離に応じて複数生成される事が望ましい。例えば、移動距離30kmまでと移動距離が30km~100kmでは、異なるバッテリー消費量マップが用意される事が望ましい。
【0051】
また、気温や湿度によっても利用者の疲労は異なるために、移動速度が変化する事が想定される。このため、IoT端末1のバッテリー消費量マップ生成部28が生成するバッテリー消費量マップは、気温や湿度に応じて複数生成され、バッテリー消費量推定部29でバッテリー消費量を推定する際には、利用者が走行開始地点選択部16で走行開始地点を選択し、目標地点選択部17で目標地点を選択した際、日付選択部18で走行する日付を選択、気象条件取得部9により、走行開始地点付近の気温と湿度を取得し、気候条件取得部9により取得された走行開始地点付近の気温と湿度に基づきバッテリー消費量マップが選択される事が望ましい。
【0052】
IoT端末1のバッテリー消費量推定部29が推定した、走行開始地点から目的地の移動経路を走行した際のバッテリー消費量に基づき、電動アシスト自転車3のバッテリー残量が利用者に提示される事が望ましい。このため、IoT端末1は、電動アシスト自転車3の製品名ごとにバッテリーの定格容量を含む車両諸元が記録された車両諸元記録部30を備え、自転車種別登録部13に登録された自転車の製品名に基づき、車両諸元記録部30からバッテリーの定格容量を取得し、バッテリー消費量推定部29が推定した走行開始地点から目標地点の移動経路を走行した際のバッテリー消費量をバッテリーの定格容量から差し引いたバッテリー残量を利用者に提示する事が望ましい。
【0053】
利用者が目的地の選択に迷っている場合、電動アシスト自転車3で目的地まで移動した際のバッテリー残量に基づき、目的地が推奨される事が望ましい。このため、IoT端末1の移動経路決定部19は、走行開始地点選択部16で利用者が走行を開始する地点を選択した際に、走行開始地点から推奨目標地点記録部21に記録された推奨される目標地点までの移動経路を決定し、バッテリー消費量推定部29は移動距離計算部8が計算した移動経路の移動距離、斜度計算部27が計算した移動経路の斜度、バッテリー消費量マップ生成部28が生成したバッテリー消費量マップから、バッテリー消費量を推定、自転車種別登録部13に登録された自転車の製品名に基づき、車両諸元記録部30からバッテリーの定格容量を取得し、バッテリー消費量推定部29が推定したバッテリー消費量をバッテリーの定格容量から差し引いたバッテリー残量が適切な目標地点と移動経路を推奨することが望ましい。
【0054】
電動アシスト自転車のバッテリー消費量は、利用者の変速パターンの影響を受ける。利用者が最適なギアを選択すれば、より長い距離をモーターのアシストを受けながら走行出来るため、IoT端末1は最適な変速時期を利用者に通知する。
【0055】
このため、電動アシスト自転車3は、モーターの回転数と発生トルクをIoT端末1に通知するモーター出力通知部37と、モーターの回転数と発生トルクに基づくモーターの効率マップをIoT端末1に通知するモーター効率マップ通知部38を備え、IoT端末1は、移動速度計算部26が計算した移動速度と斜度計算部27が計算した斜度、モーター効率マップ通知部38により通知されたモーター効率マップから、電動アシスト自転車3のギアの変速マップを生成する変速マップ生成部31を備え、モーター出力通知部37により通知されたモーターの回転数と発生トルク、移動速度計算部26が計算した移動速度、斜度計算部27が計算した斜度、変速マップ生成部31が生成した変速マップに基づき、変速時期を利用者に通知する変速時期通知部32を備える。
【0056】
電動アシスト自転車3のモーターのアシスト受けて走行出来る距離は、メーカーのWebサイトで公開されているが、利用者の利用方法に応じてモーターのアシストを受けて走行出来る距離は異なるため、既に電動アシスト自転車を利用している者が電動アシスト自転車の買い替えを検討する場合には、利用者の走行データに基づき、モーターのアシストを受けて走行出来る距離が提示される事が望ましい。
【0057】
このため、ナビゲーションシステム100は、電動アシスト自転車3のバッテリーの定格容量を含むWebサイト4を備え、Webサイト4は、IoT端末1のバッテリー消費量マップ生成部28が生成したバッテリー消費量マップを取得する取得部39を備え、Webサイト4の電動アシスト自転車のバッテリーの定格容量と、取得部39が取得したバッテリー消費量マップから、走行可能距離を推定する走行可能距離推定部40を備える。
【0058】
また、利用者が現在保有している電動アシスト自転車3がモーターのアシストを受けて走行出来る距離が提示されることが望ましいため、IoT端末1の自転車種別登録部13に登録された製品名に基づき、車両諸元記録部30からバッテリーの定格容量を取得、バッテリーの定格容量とバッテリー消費量マップ生成部28が生成したバッテリー消費量マップに基づき、走行可能距離推定部33により利用者が現在保有している電動アシスト自転車3がモーターのアシストを受けて走行出来る距離が推定される事が望ましい。
【0059】
本実施形態は、更に以下の変形例も考えられる。
【0060】
第1の観点のナビゲーションシステムは、前記IoT端末は、前記時刻取得部が取得した時刻、前記位置座標取得部が取得した位置座標と標高、前記走行時間計算部が計算した走行時間、前記移動距離計算部が計算した移動距離、前記気象条件取得部が取得した気温と湿度、前記獲得標高計算部が計算した獲得標高、前記運動強度計算部が計算した運動強度を記録する走行データ記録部を備える。
【0061】
第2の観点のナビゲーションシステムは、前記IoT端末は、利用者が所有している自転車の種別をシティサイクル、スポーツ自転車、電動アシスト自転車として登録出来る自転車種別登録部を備え、前記自転車種別登録部に登録された自転車の種別に応じて、運動強度を補正する補正係数が登録された補正係数登録部を備え、前記補正係数登録部に登録された補正係数を用いて、前記運動強度計算部が計算した運動強度を補正する運動強度補正部を備える。
【0062】
第3の観点のナビゲーションシステムは、前記IoT端末は、利用者が走行を開始する地点を選択する走行開始地点選択部と、目標地点を選択する目標地点選択部と、走行する日付を選択する日付選択部を備え、前記走行開始地点選択部で利用者が走行開始地点を選択し、前記目標地点選択部で目標地点を選択し、前記日付選択部で走行する日付を選択した場合に、走行開始地点から目標地点までの移動経路を定める移動経路決定部を備え、前記位置座標取得部は前記移動経路決定部が定めた移動経路の位置座標と標高を取得し、前記移動距離計算部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の位置座標から移動距離を計算し、前記気象条件取得部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の位置座標の、前記日付選択部で選択された走行する日付の気温と湿度を取得し、前記獲得標高計算部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の標高の遷移から獲得標高を計算し、前記移動距離計算部が計算した移動経路の移動距離と、前記気象条件取得部が取得した移動経路の位置座標の走行する日付の気温と湿度、前記獲得標高計算部が計算した移動経路の獲得標高から、推定される運動強度を推定する運動強度推定部を備える。
【0063】
第4の観点のナビゲーションシステムは、前記IoT端末は、自転車で移動する際に推奨される目標地点が記録された推奨目標地点記録部を備え、前記走行開始地点選択部で利用者が走行を開始する地点を選択し、前記日付選択部で走行する日付が選択された場合に、前記移動経路決定部は、前記走行開始地点選択部で利用者が選択した走行開始地点と、前記推奨目標地点記録部に記録された任意の目標地点間の移動経路を定め、前記運動強度推定部は、前記移動経路決定部が定めた利用者が選択した走行開始地点と任意の目標地点間の移動経路の運動強度を推定、前記運動強度推定部が推定した運動強度と前記走行データ記録部に記録された運動強度を比較し、運動強度が近似する目標地点と移動経路を決定する推奨目標地点決定部を備える。
【0064】
第5の観点のナビゲーションシステムは、前記IoT端末は、前記走行データ記録部に記録された走行時間、移動距離、獲得標高から、前記運動強度推定部が推定した運動強度を補正する補正係数を生成する補正係数生成部を備え、前記運動強度補正部は前記補正係数生成部が生成した補正係数を用いて前記運動強度推定部が推定した運動強度を補正する。
【0065】
第6の観点のナビゲーションシステムは、管理サーバを備え、前記IoT端末は、前記走行データ記録部に記録された走行データを前記管理サーバに通知する通知部を備え、前記管理サーバは、前記IoT端末の前記通知部から通知された走行データを利用者ごとに記録する記録部を備え、前記記録部に記録された走行データが近似する利用者のデータを相互に補完するデータ補完部を備える。
【0066】
第7の観点のナビゲーションシステムは、前記IoT端末の前記気象条件取得部は、前記走行開始地点選択部で利用者が選択した走行を開始する地点における、前記日付選択部で選択された日付の天候(晴れ、曇り、雨、雪)を取得し、利用者に表示する天候表示部を備える。
【0067】
第8の観点のナビゲーションシステムは、電動アシスト自転車を備え、前記電動アシスト自転車はバッテリー容量を前記IoT端末に通知するバッテリー容量通知部を備え、前記IoT端末は、前記時刻取得部が取得した時刻と前記位置座標取得部が取得した位置座標の遷移から移動速度を計算する移動速度計算部を備え、前記位置座標取得部が取得した標高の位置座標辺りの遷移から斜度を計算する斜度計算部を備え、前記移動速度計算部が計算した移動速度、前記斜度計算部が計算した斜度、前記バッテリー容量通知部から通知されたバッテリー容量に基づきバッテリー消費量マップを生成するバッテリー消費量マップ生成部を備える。
【0068】
第9の観点のナビゲーションシステムは、前記IoT端末の前記移動経路決定部は、前記走行開始地点選択部で利用者が走行を開始する地点を選択し、前記目標地点選択部で目標地点を選択した場合に、走行開始地点から目標地点までの移動経路を決定し、前記位置座標取得部は前記移動経路決定部が決定した移動経路の位置座標と標高を取得し、前記移動距離計算部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の位置座標から移動距離を計算し、前記斜度計算部は前記位置座標取得部が取得した移動経路の位置座標と標高の遷移から移動経路の斜度を計算し、前記移動距離計算部が計算した移動経路の移動距離、前記斜度計算部が計算した移動経路の斜度、前記バッテリー消費量マップ生成部が生成したバッテリー消費量マップから、バッテリー消費量を推定するバッテリー消費量推定部を備える。
【0069】
第10の観点のナビゲーションシステムは、前記電動アシスト自転車は、モーターの回転数と発生トルクを前記IoT端末に通知するモーター出力通知部と、モーターの回転数と発生トルクに基づくモーターの効率マップを前記IoT端末に通知するモーター効率マップ通知部を備え、前記IoT端末は、前記移動速度計算部が計算した移動速度、前記斜度計算部が計算した斜度、前記モーター効率マップ通知部により通知されたモーター効率マップから、前記電動アシスト自転車のギアの変速マップを生成する変速マップ生成部を備える。
【0070】
第11の観点のナビゲーションシステムは、前記IoT端末は、前記モーター出力通知部により通知されたモーターの回転数と発生トルク、前記移動速度計算部が計算した移動速度、前記斜度計算部が計算した斜度と、前記変速マップ生成部が生成した変速マップに基づき、変速時期を利用者に通知する変速時期通知部を備える。
【0071】
第12の観点のナビゲーションシステムは、電動アシスト自転車のバッテリーの定格容量を含むWebサイトを備え、前記Webサイトは、前記IoT端末の前記バッテリー消費量マップ生成部が生成したバッテリー消費量マップを取得する取得部を備え、前記Webサイトの電動アシスト自転車のバッテリーの定格容量と、前記取得部が取得したバッテリー消費量マップから、走行可能距離を推定する走行可能距離推定部を備える。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、利用者が選択した目的地までの移動経路の運動強度、バッテリー消費量を推定することで、自転車の利用を促進するのに好適である。
【符号の説明】
【0073】
1 IoT端末
2 管理サーバ
3 電動アシスト自転車
4 Webサイト
5 時刻取得部
6 位置座標取得部
7 走行時間計算部
8 移動距離計算部
9 気象条件取得部
10 獲得標高計算部
11 運動強度計算部
12 走行データ記録部
13 自転車種別登録部
14 補正係数登録部
15 運動強度補正部
16 走行開始地点選択部
17 目標地点選択部
18 日付選択部
19 移動経路決定部
20 運動強度推定部
21 推奨目標地点記録部
22 推奨目標地点決定部
23 補正係数生成部
24 通知部
25 天候表示部
26 移動速度計算部
27 斜度計算部
28 バッテリー消費量マップ生成部
29 バッテリー消費量推定部
30 車両諸元記録部
31 変速マップ生成部
32 変速時期通知部
33 走行可能距離推定部
34 記録部
35 データ補完部
36 バッテリー容量通知部
37 モーター出力通知部
38 モーター効率マップ通知部
39 取得部
40 走行可能距離推定部