(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098795
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】セラミック電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
H01G4/30 311A
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022076684
(22)【出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0190537
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、チャン ホ
(72)【発明者】
【氏名】アン、スン クォン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E082AA01
5E082AB03
5E082FF05
5E082FG26
5E082MM05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】積層セラミックグリーンシートを、切断する際に発生する変形、クラックの発生、ブレードの摩耗によるチップ付着不良及び容量の低下を防止するセラミック電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】セラミック電子部品の製造方法は、複数の内部電極パターン121が形成されたセラミックグリーンシート111を積層してセラミック積層体100を形成する段階と、イメージセンサ200(レンズ210、CCD220、イメージ処理部230)で、セラミック積層体の上部のイメージを取得する段階と、イメージによって切断領域を設定する段階と、切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体を切断する段階と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、
前記セラミック積層体の上部のイメージを取得する段階と、
前記イメージによって切断領域を設定する段階と、
前記切断領域にレーザーを照射して前記セラミック積層体を切断する段階と
を含む、セラミック電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記セラミック積層体を形成する段階は、
複数の第1内部電極パターンが形成された第1セラミックグリーンシート及び複数の第2内部電極パターンが形成された第2セラミックグリーンシートを交互に積層する段階を含む、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記イメージによって切断領域を設定する段階は、
前記イメージを前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが前記積層方向に重なる第1領域、及び前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが重ならない第2領域に区分する段階と、前記第2領域に対応する前記セラミック積層体の領域を前記切断領域として設定する段階と、を含む、請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記積層方向に垂直な方向を第2方向としたとき、
前記切断領域にレーザーを照射して前記セラミック積層体を切断する段階は、前記切断領域の第2方向中央に沿ってレーザーを照射する、請求項3に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記内部電極パターンは、ストライプ状である、請求項3に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記イメージにおける前記第1領域の明度は、前記第2領域の明度よりも低い、請求項3に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記イメージによって切断領域を設定する段階は、
前記イメージを前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが前記積層方向に重なる第1領域、前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが重ならない第2領域、及び前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが存在しない第3領域に区分する段階と、前記第2領域及び前記第3領域に対応する前記セラミック積層体の領域を前記切断領域として設定する段階と、を含む、請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項8】
前記イメージにおける前記第1領域の明度は、前記第2領域及び前記第3領域の明度よりも低い、請求項7に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項9】
前記イメージにおける前記第2領域の明度は、前記第3領域の明度よりも低い、請求項8に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項10】
前記セラミック積層体は、前記積層方向を基準として前記複数の内部電極パターンの最外郭に配置されるカバー領域を含み、
前記カバー領域の厚さは40μm以下である、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項11】
前記レーザーは、集束レンズによって集束され、前記集束されたレーザーの直径は1μm~20μmである、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記レーザーの電力密度は、1×107W/cm2~1×1014W/cm2である、請求項1に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記セラミック積層体の切断面と前記積層方向とのなす角度を加工角度としたとき、前記加工角度は3°以下である、請求項1から12の何れか1つに記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記セラミック積層体を形成する段階は、前記セラミック積層体を圧着して前記セラミック積層体の少なくとも一部の領域を前記積層方向に陥没させる段階を含む、請求項2に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記イメージによって切断領域を設定する段階は、
前記イメージを前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが前記積層方向に重なる第1領域、及び前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが重ならない第2領域に区分する段階と、前記第2領域に対応する前記セラミック積層体の領域を前記切断領域として設定する段階と、を含む、請求項14に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項16】
前記積層方向に垂直な方向を第2方向としたとき、
前記切断領域にレーザーを照射して前記セラミック積層体を切断する段階は、前記切断領域の第2方向中央に沿ってレーザーを照射する、請求項15に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項17】
前記内部電極パターンは、ストライプ状である、請求項15に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項18】
前記イメージによって切断領域を設定する段階は、
前記イメージを前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが前記積層方向に重なる第1領域、前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが重ならない第2領域、及び前記第1内部電極パターン及び前記第2内部電極パターンが存在しない第3領域に区分する段階と、前記第2領域及び前記第3領域に対応する前記セラミック積層体の領域を前記切断領域として設定する段階を含む、請求項14に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【請求項19】
前記セラミック積層体は、前記積層方向を基準として前記複数の内部電極パターンの最外郭に配置されるカバー領域を含み、
前記カバー領域の厚さは40μm~300μmである、請求項14に記載のセラミック電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタ又はサーミスタなどのセラミック電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体、セラミック本体の内部に形成された内部電極、及び上記内部電極と接続されるようにセラミック本体の表面に設けられた外部電極を備えている。
【0003】
近年では、電子製品の小型化の傾向に伴い、各種の電子製品に用いられるセラミック部品に対しても小型化及び大容量化が求められている。一般に、かかるセラミック電子部品は、セラミック原料物質を溶剤及びバインダーなどと混合してスラリーを製造した後、これを薄く塗布してセラミックグリーンシートを形成する方法で製造される。上記セラミックグリーンシートは、後に所望の製品のサイズに合わせて切断される。
【0004】
現在、セラミックグリーンシートやセラミック積層体などを切断する方法としては、ステージとブレードを用いた工法が広く使用されている。上記工法は、切断しようとする製品を真空ステージに固定し、ブレードをステージの垂直方向に移しながら切断を行う。
【0005】
しかしながら、ブレードを用いた切断工法の場合、多様な問題が存在していた。先ず、セラミックグリーンシートを積層及び圧着してセラミック積層体を形成するとき、セラミック積層体の変形による不良が発生することがある。ブレードを用いた切断工法の場合、セラミック積層体をブレードの刃に沿って直線で切断しなければならないため、セラミック積層体の変形を考慮することができない。
【0006】
また、切断工程において、セラミック積層体とブレードが直接接触するため、セラミック積層体にせん断応力が加わる。このようなせん断応力により切断された積層チップにクラックが発生することがある。さらに、繰り返される切断工程によってブレードに摩耗が発生することもある。このとき、損傷したブレードでセラミック積層体を切断すると、切断面に損傷が発生することがある。最後に、切断後に分離された個々の積層チップが互いに接触するようになるが、これにより、積層チップの内部バインダーや切断時の異物が原因でチップ付着不良が発生することがある。
【0007】
このような問題点を解決すべく、特許文献2には、積層電子部品を製造するとき、積層グリーンシートにレーザーを照射する工法が提案されているが、依然として、圧着による変形は考慮されていない。また、従来のレーザー切断工程の場合、切断ラインを設定するために、別途の基準マークが挿入されたが、これにより、最終製品の容量が低下するという問題点が存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】日本公開特許第2005-332926号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2005-0036775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の様々な目的の一つは、セラミック積層体の変形による切断不良が発生する問題を解決するためである。
【0010】
本発明の様々な目的の一つは、切断時に発生するせん断応力によって積層チップにクラックが発生する問題を解決するためである。
【0011】
本発明の様々な目的の一つは、切断された積層チップ間の接触によってチップ付着不良が発生する問題を解決するためである。
【0012】
本発明の様々な目的の一つは、レーザーの切断時、セラミック積層体に挿入される基準マークによってセラミック電子部品の容量が低下される問題を解決するためである。
【0013】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態によると、複数の内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を設ける段階と、上記セラミック積層体の上部のイメージを取得する段階と、上記イメージによって切断領域を設定する段階と、上記切断領域にレーザーを照射して上記セラミック積層体を切断する段階と、を含むセラミック電子部品の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の様々な効果の一つとして、セラミック積層体の変形を考慮して切断領域を設定することで、切断不良を防止することができる。
【0016】
本発明の様々な効果の一つとして、切断時に発生するせん断応力によって積層チップにクラックが発生することを防止することができる。
【0017】
本発明の様々な効果の一つとして、切断された積層チップ間の接触によってチップ付着不良が発生することを防止することができる。
【0018】
本発明の様々な効果の一つとして、レーザーの切断時、セラミック積層体に挿入される基準マークによって最終製品の容量が低下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るセラミック積層体を概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法を概略的に示したものである。
【
図4】セラミック積層体の上部イメージを概略的に示したものである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るセラミック積層体の分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るセラミック積層体の上部イメージを概略的に示したものである。
【
図7】本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法を概略的に示したものである。
【
図8】切断された複数の積層チップを示した斜視図である。
【
図9】積層チップの第1方向及び第2方向断面を示した断面図である。
【
図10】積層チップの第1方向及び第3方向断面を示した断面図である。
【
図11】本発明の他の実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法を概略的に示したものである。
【
図12】本発明の他の実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法を概略的に示したものである。
【
図13】本発明の他の実施形態に係るセラミック積層体の上部イメージを概略的に示したものである。
【
図14】セラミック積層体を切断した後、光学顕微鏡(Optical Microscope)を用いて撮影したものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0021】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0022】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さ方向、第2方向は長さ方向、第3方向は幅方向と定義することができる。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係るセラミック積層体を概略的に示した斜視図であり、
図2は、セラミック積層体の分解斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法を概略的に示したものであり、
図4は、セラミック積層体の上部イメージを概略的に示したものであり、
図7は、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法を概略的に示したものであり、
図8は、切断された複数の積層チップを示した斜視図である。
【0024】
図面を参照すると、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法は、複数の内部電極パターン121、122が形成されたセラミックグリーンシート111を積層してセラミック積層体100を設ける段階と、セラミック積層体100の上部のイメージ300を取得する段階と、イメージ300によって切断領域を設定する段階と、上記切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100を切断する段階と、を含む。
【0025】
上述したように、セラミック積層体100をブレードで切断する場合、セラミック積層体の変形を考慮して曲線状に切断することができず、切断時にブレードがセラミック積層体100に直接接触するため、せん断応力によるクラックが発生する恐れがある。
【0026】
これに対し、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法は、切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100を切断するため、セラミック積層体100の変形を考慮して曲線状に切断することができる。また、セラミック積層体100を非接触式手段によって切断するため、せん断応力によるクラックの発生を防止することができる。
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法に含まれる各段階について、より詳細に説明する。
【0028】
先ず、複数の内部電極パターン121、122が形成されたセラミックグリーンシート111を積層及び圧着してセラミック積層体100を設ける。セラミックグリーンシート111は、セラミック粉末、バインダー、溶剤などを混合してセラミックスラリーを製造し、該スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状に作製されたものであることができる。上記セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り、特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系粉末、鉛複合ペロブスカイト系粉末又はチタン酸ストロンチウム系粉末などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系粉末は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができる。
【0029】
内部電極パターン121、122は、導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシート111上に印刷することで形成されることができる。上記内部電極用導電性ペーストを印刷する方法としては、特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷工法又はグラビア印刷工法によって印刷されることができる。また、上記内部電極用導電性ペーストは、導電性金属、共材粉末、分散剤、及び溶剤を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。上記導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1種以上を含むことができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
このとき、セラミック積層体を形成する段階は、複数の第1内部電極パターン121が形成された第1セラミックグリーンシート111及び複数の第2内部電極パターン122が形成された第2セラミックグリーンシート111を交互に積層する段階を含むことができる。
【0031】
次に、セラミック積層体100の上部のイメージ300を取得する。セラミック積層体の上部のイメージ300は、イメージセンサ200によって取得することができるが、イメージセンサ200は、レンズ210、CCD220、及びイメージ処理部230を含むことができる。ここで、CCD220とは、電荷結合素子(CCD:Charged Coupled Device)を意味し、光を電気的信号に変換させてイメージを取得するセンサのことを意味することができる。
【0032】
より具体的には、セラミック積層体100の上部のイメージ300を取得する段階は、セラミック積層体100の上部に光を入射させる段階を含むことができる。上記光は、セラミック積層体100の上部に配置された照明部240から照射されたものであってもよい。このとき、セラミック積層体100の上部に照射された光は反射することができ、内部電極パターン121、122が形成された領域と内部電極パターン121、122が形成されていない領域とは、上記光の反射率が互いに異なることがある。
【0033】
上記光の波長は、内部電極パターン121、122が形成された領域と内部電極パターン121、122が形成されていない領域との間の反射率の差が大きい範囲内で設定されることができ、例えば、可視光線領域の波長、より具体的には、400nm~600nmの範囲内で設定されることができる。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、内部電極パターン121、122及びセラミックグリーンシート111の組成に応じて適宜設定されることができる。内部電極パターン121、122に含まれた導電性金属は、上記範囲内の波長を有する光の吸収率が高いことから、内部電極パターン121、122が形成されていない領域は、内部電極パターン121、122が形成された領域よりも上記セラミック積層体100の上部に照射された光の反射率が高くなることができる。
【0034】
セラミック積層体100の上部から反射された光は、イメージセンサ200のレンズ210によって集束されることができ、上記集束された光は、レンズ210の上部に配置されたCCD220に入力されることができる。このとき、上記入力された光は、CCD220によって電気的信号に変換されることができる。イメージ処理部230は、CCD220から受けた上記電気的信号を受信し、上記受信された電気的信号をイメージに変換することで、セラミック積層体100の上部のイメージ300を取得することができる。このとき、イメージ300の各領域は、セラミック積層体100の上部から反射された光の光量に応じて明度が異なることができ、反射率の高い領域では明度が高くなり、反射率の低い領域では明度が低くなることができる。
【0035】
次に、
図4に図示されたセラミック積層体100の上部のイメージ300によって切断領域を設定する。このとき、イメージ300によって切断領域を設定する段階は、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が上記積層方向に重なる第1領域310、及び第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が重ならない第2領域320に区分する段階と、第2領域320に対応するセラミック積層体100の領域を上記切断領域として設定する段階と、を含むことができる。第1領域310及び第2領域320は、イメージ300における明度の差によって区分されることができ、第1領域310の明度は、第2領域320の明度よりも低くなることができる。
【0036】
第1領域310は、積層方向を基準として第1内部電極パターン121と第2内部電極パターン122が重なっていることから、第2領域320に比べてセラミック積層体100の上部に照射された光の反射率が低くなることができる。すなわち、第1領域310は、照射された光の吸収率が高い内部電極パターン121、122の積層数が第2領域320よりも多いことから、イメージ300における明度が低く現れることができる。逆に、第2領域320は、内部電極パターン121、122の積層数が第1領域310よりも少ないことから、イメージ300における明度が第1領域310に比べて高く現れることができる。このとき、イメージ300における第2領域320に対応するセラミック積層体100の領域を、上記切断領域として設定することができる。
【0037】
また、イメージ300によって切断領域として設定する段階は、イメージ300を、第1領域310、第2領域320、及び第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が存在しない第3領域330に区分する段階と、第2領域320及び第3領域330を上記切断領域として設定する段階と、を含むことができる。第1領域310、第2領域320、及び第3領域330は、イメージ300における明度の差によって区分されることができ、第1領域310の明度は、第2領域320及び第3領域330の明度よりも低くなり、第2領域320の明度は、第3領域330の明度よりも低くなることができる。
【0038】
第3領域330は、照射された光の吸収率が高い内部電極パターン121、122が存在しない領域であって、照射された光の反射率が最も高い領域であることができる。これにより、第1内部電極パターン121又は第2内部電極パターン122が形成された第2領域320の明度は、第3領域330の明度よりも低くなることができる。このとき、イメージ300での第2領域320及び第3領域330に対応するセラミック積層体100の領域を上記切断領域として設定することができる。
【0039】
図4に図示されたように、セラミック積層体100を圧着する過程において内部電極パターン121、122の変形が発生することがある。従来の場合、ブレードでセラミック積層体100を切断したため、セラミック積層体100の変形を考慮して切断領域を設定することができなかった。これに対し、本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法の場合は、セラミック積層体100の上部のイメージ300によって圧着による変形程度を検査することができ、上記切断領域を曲線として設定することができる。また、セラミック積層体100の上部イメージ300によって上記切断領域を設定することで、切断のための別途の基準マークを挿入する必要がなく、これにより、最終セラミック電子部品の容量が低下することを防止することができる。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態に係るセラミック積層体の分解斜視図であり、
図6は、本発明の一実施形態に係るセラミック積層体の上部イメージを概略的に示したものである。
【0041】
本発明の一実施形態において、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122は、ストライプ状であることができる。
図5に図示されたように、第1セラミックグリーンシート111上に所定の間隔をあけて複数のストライプ状の第1内部電極パターン121を形成することができる。また、第2セラミックグリーンシート111上に複数のストライプ状の第2内部電極パターン122を形成することができる。このとき、複数の第1内部電極パターン121は、互いに平行するように形成されてもよく、複数の第2内部電極パターン122は、互いに平行するように形成されてもよい。
【0042】
図6を参照すると、セラミック積層体の上部イメージ300は、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が上記積層方向に重なる第1領域310、及び第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が重ならない第2領域320に区分することができる。ストライプ状の内部電極パターン121、122によって第1領域310及び第2領域320もまた、ストライプ状を有することができる。また、上記第3領域330は存在しなくてもよい。このとき、イメージ300における第2領域320に対応するセラミック積層体100の領域を上記切断領域として設定することができる。
【0043】
次に、
図7を参照すると、上記切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100を切断する段階を含む。レーザーLは、レーザー発生部403から発生することができ、スキャナー402は、発生したレーザーを受信することができる。このとき、スキャナー402は、ガルバノスキャナー(Galvano scanner)及び/またはAOD(Acoustic optical modulator)を含むことができ、イメージ300によって設定された切断領域にレーザーを照射する役割を果たすことができる。このとき、スキャナー402の下部に集束レンズ401を配置して上記切断領域にレーザーを集束することができる。集束レンズ401は、例えば、Fシータレンズ(F-theta lens)であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
セラミック積層体100は、ステージ500上に配置された後、レーザーによって切断されることができ、セラミック積層体100の大面積加工のために、ステージ500は、第2方向及び第3方向に移動することができ、レーザーの照射地点は、スキャナー402によって移動されることができる。
【0045】
セラミック積層体100を非接触式切断手段であるレーザーによって切断することで、分離された複数の積層チップ110にクラックが発生することを防止することができ、熱を加えて上記切断領域の一部を除去することで、チップ付着不良などを防止することができる。
【0046】
このとき、セラミック積層体100を切断するためのレーザーの電力密度は1×107W/cm2~1×1014W/cm2であることができるが、レーザーの電力密度が1×1014W/cm2を超えると、分離された積層チップ110が破壊するといった不良が発生する恐れがある。また、集束レンズ401によって集束されたレーザーの直径は1μm~20μmであることができる。上記レーザーの直径とは、セラミック積層体100の上部表面に集束されたレーザーの直径を意味することができる。レーザーの直径が1μm未満であると、集束レンズ401の価格が上昇し、加工線幅の変化が激しくなり、工程安定性が低下する恐れがある。レーザーの直径が20μmを超えると、切断時に内部電極パターン121、122が露出するという問題点が発生する恐れがある。
【0047】
このとき、イメージ300における第2領域320に対応するセラミック積層体100の切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100を切断することで、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が互いに対向する切断面に交互に露出することができる。例えば、上記切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100を切断する段階は、上記切断領域の一部の領域、例えば、上記切断領域の第2方向中央に沿ってレーザーを照射することができる。すなわち、上記切断領域の第2方向の長さが半分になる地点に第3方向に沿ってレーザーを照射することで、セラミック積層体100を切断することができる。このとき、レーザーが照射された領域が燃焼によって除去されることで、セラミック積層体100を切断することができ、これにより、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が互いに対向する切断面に交互に露出することができる。
【0048】
また、イメージ300における第3領域330と対応するセラミック積層体100の切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100を切断することで、部品単位の複数の積層チップ110を形成することができるが、第3領域330と対応するセラミック積層体100の切断領域にレーザーを照射した後で、第2領域320と対応するセラミック積層体100の切断領域にレーザーを照射してもよいことはいうまでもない。これにより、セラミック積層体100は、個別的な部品単位の複数の積層チップ110に分離されることができる。
【0049】
内部電極パターン121、122がストライプ状である場合、イメージ300における第2領域320に対応するセラミック積層体100の切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100を切断することで、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122が互いに対向する切断面に交互に露出することができる。また、予め設定された第2方向と平行な切断ラインに沿ってレーザーを照射してセラミック積層体100を切断することで、部品単位の複数の積層チップ110を形成することができる。このとき、第1内部電極パターン121及び第2内部電極パターン122は、積層チップ110の第3方向に対向する両側面に露出することができる。内部電極パターン121、122は、ストライプ状であるため、第2方向と平行な切断ラインを設定する方法は大きく限定されない。例えば、積層チップ110の第3方向の長さを考慮して、第3方向に等間隔である複数の切断ラインを設定してもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
図9は、積層チップの第1方向及び第2方向断面を示した断面図であり、
図10は、積層チップの第1方向及び第3方向断面を示した断面図である。
【0051】
このとき、セラミック積層体100の切断面と上記積層方向とのなす角度を加工角度θとしたとき、加工角度θは3°以下であることができる。セラミック積層体100に照射されたレーザーLは焦点で加工線幅が最も小さく、焦点から遠ざかるにつれて加工線幅が増加することができる。よって、切断された積層チップ110の第1方向及び第2方向断面は台形状を有することができる。このとき、セラミック電子部品の実装特性を考慮して積層チップ110の形状を制御するために、加工角度θを3°以下に調整することができる。加工角度θは、集束レンズ401、スキャナー402、及びレーザー発生部403の変数を調整することで制御されることができる。
【0052】
積層チップ110は、複数の内部電極パターン121、122の第3方向端部に配置されたマージン領域114、115を含むことができる。マージン領域114、115は、上記イメージ300の第3領域330に対応するセラミック積層体100の切断領域にレーザーを照射することで形成されたものであってもよい。マージン領域114、115は、物理的又は化学的ストレスによる内部電極パターン121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。本発明の一実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法によると、セラミック積層体100の変形程度を把握してから切断することで、マージン領域114、115のそれぞれの厚さを類似した水準に形成することができる。或いは、内部電極パターン121、122がストライプ状である場合、別途のセラミックグリーンシート111を付着して形成されたものであってもよい。
【0053】
その後、複数の積層チップ110を焼成する段階をさらに含むことができる。内部電極パターン121、122は、焼成によって内部電極になることができ、セラミックグリーンシート111は、焼成によって誘電体層になることができる。また、焼成された積層チップの外部に外部電極を形成する段階をさらに含むことができる。上記外部電極は、例えば、導電性金属を含むことができる。上記導電性金属は、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、タングステン(W)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、及びこれらの合金のうち1種以上の導電性金属であってもよいが、これに制限されるものではない。上記外部電極の形成方法は、例えば、導電性金属を含む導電性ペーストに、焼成された積層チップをディッピング(dipping)して形成することができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、積層チップ110上にシートを転写する方法、電解めっき法、又はスパッタリング法などの多様な方法を使用することができる。複数の積層チップ110は、上記過程を経てから複数のセラミック電子部品になることができる。
【0054】
図11及び
図12は、本発明の他の実施形態に係るセラミック電子部品の製造方法を概略的に示したものであり、
図13は、本発明の他の実施形態に係るセラミック積層体の上部イメージを概略的に示したものである。
【0055】
カバー領域112'、113'の厚さが40μm超過300μm以下である大型のセラミック電子部品の場合、カバー領域112'、113'の厚さが厚いことから、内部電極パターン121'、122'が形成されていない領域と内部電極パターン121'、122'が形成された領域との間の反射率の差が減少するため、イメージ300'における区別が困難になることがある。
【0056】
これにより、セラミック積層体100'を形成する段階は、セラミック積層体100'を圧着してセラミック積層体100'の少なくとも一部の領域を上記積層方向に陥没させる段階を含むことができる。セラミックグリーンシート111'の積層数が多い大型のセラミック電子部品の場合、内部電極パターン121'、122'が形成された領域と内部電極パターン121'、122'が形成されていない領域との間の厚さの差が発生するため、セラミック積層体100'を圧着することで内部電極パターン121'、122'が形成されていない領域を陥没させることができる。また、積層方向に第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が重ならない領域もまた、第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が重なる領域よりも厚さが薄くなるため、圧着時に陥没する恐れがある。
【0057】
その後、上述したように、セラミック積層体100'の上部のイメージを取得する段階は、照明部240'によってセラミック積層体100'の上部に光を照射する段階を含むことができ、上記陥没した領域では上記照射された光が散乱されることができる。また、上記散乱された光は、イメージセンサ200'によってセラミック積層体100'の上部のイメージに変換することができる。このとき、イメージセンサ200'は、暗視野センサを含むことができる。暗視野センサによって上記散乱された光のみでイメージ300'を取得してさらに明確なイメージ300'を取得することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
上述したように、イメージ300'によって切断領域を設定する段階は、イメージ300'を、第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が上記積層方向に重なる第1領域310'、及び第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が重ならない第2領域320'に区分する段階と、第2領域320'に対応するセラミック積層体100'の領域を上記切断領域として設定する段階と、を含むことができる。
【0059】
例えば、上記切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100'を切断する段階は、上記切断領域の一部の領域、例えば、上記切断領域の第2方向中央に沿ってレーザーを照射することができる。すなわち、上記切断領域の第2方向の長さが半分になる地点に第3方向に沿ってレーザーを照射することで、セラミック積層体100'を切断することができる。このとき、レーザーが照射された領域が燃焼によって除去されることで、セラミック積層体100'を切断することができ、これにより、第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が互いに対向する切断面に交互に露出することができる。
【0060】
また、セラミック積層体100'の上部イメージ300'によって切断領域を設定する段階は、イメージ300'を、第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が上記積層方向に重なる第1領域310'、第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が重ならない第2領域320'、及び第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が存在しない第3領域に区分する段階と、第2領域320'及び第3領域330'に対応するセラミック積層体100'の領域を上記切断領域として設定する段階と、を含むことができる。このとき、上記切断領域は、圧着によって形成されたセラミック積層体100'の陥没した領域を意味することができる。
【0061】
内部電極パターン121'、122'の積層によって厚さが最も厚い第1領域310'は陥没せず、照明部240'によって照射された光が散乱されない。これに対し、第1内部電極パターン121'及び第2内部電極パターン122'が存在しない第3領域330'は、厚さが最も薄いことから陥没するようになり、陥没長さが第2領域320'よりも深いため、第3領域330'は第2領域320'に比べて上記照射された光の散乱率が高い。これにより、第1領域310'、第2領域320'、及び第3領域330'は、イメージ300'における明度の差によって区分されることができる。
【0062】
例えば、イメージセンサ200'によってイメージ300'を取得した場合、第3領域330'は第2領域320'よりも明度が高くなり、第2領域320'は第1領域310'よりも明度が高くなることができる。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、イメージセンサ200'の設定条件に応じて第3領域330'が第2領域320'よりも明度が低くなり、第2領域320'は第1領域310'よりも明度が低くなることができる。このとき、イメージ300'での第2領域320'及び第3領域330'に対応するセラミック積層体100'の領域を切断領域として設定することができる。その後、上記切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100'を切断することができる。
【0063】
上述したように、内部電極パターン121'、122'がストライプ状である場合、イメージ300'での第2領域320'に対応するセラミック積層体100'の切断領域にレーザーを照射してセラミック積層体100'を切断し、予め設定された第2方向と平行な切断ラインに沿ってレーザーを照射してセラミック積層体100'を切断することができる。
【0064】
図14は、セラミック積層体を切断した後、光学顕微鏡(Optical Microscope)を用いて撮影したものである。より具体的には、第2領域320及び第3領域330と対応するセラミック積層体100の上部領域にレーザーを照射して複数の積層チップ110を形成した後、光学顕微鏡を用いて切断された積層チップ110の間を撮影したイメージである。これにより、マージン領域114、115が一定の厚さに形成されることが確認でき、切断による積層チップ110の表面損傷を防げることが確認できる。
【0065】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当該技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0066】
100、100' セラミック積層体
110 積層チップ
111、111' セラミックグリーンシート
112、113 カバー領域
114、115 マージン領域
121、121' 第1内部電極パターン
122、122' 第2内部電極パターン
200、200' イメージセンサ
210、210' レンズ
220、220' CCD
230、230' イメージ処理部
240、240' 照明部
300、300' イメージ
310、310' 第1領域
320、320' 第2領域
330、330' 第3領域
401 集束レンズ
402 スキャナー
403 レーザー発生部
500 ステージ
L レーザー
θ 加工角度