(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098797
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20230704BHJP
H01F 17/06 20060101ALI20230704BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01F27/00 R
H01F17/06 D
H01F17/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022087319
(22)【出願日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0191597
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、クァン イル
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB04
5E070CB12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】十分なインダクタンス特性を実現しつつ、小型化に有利なインダクタ部品を提供すること。
【解決手段】インダクタ部品は、第1方向Xに互いに対向する第1面S1及び第2面S2と、第1面及び第2面と連結され、第2方向Yに互いに対向する第3面S3及び第4面S4とを含む本体110と、本体内に配置され、第1方向に延長された第1導体121と、本体内に第1導体に隣接して配置され、第1方向に延長された第2導体122と、本体の第3面に配置された第1パッド131及び第2パッド132と、第2方向に延長され、第1導体及び第1パッドを連結する第1導電性ビア141と、第2方向に延長され、第2導体及び第2パッドを連結する第2導電性ビア142と、を含む。第2導体は、第1導体に対して第1方向にシフトして配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に互いに対向する第1面及び第2面と、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面とを含む本体と、
前記本体内に配置され、前記第1方向に延長された第1導体と、
前記本体内に前記第1導体に隣接して配置され、前記第1方向に延長された第2導体と、
前記本体の第3面に配置された第1パッド及び第2パッドと、
前記第2方向に延長され、前記第1導体及び前記第1パッドを連結する第1導電性ビアと、
前記第2方向に延長され、前記第2導体及び前記第2パッドを連結する第2導電性ビアと、を含み、
前記第2導体は、前記第1導体に対して前記第1方向にシフトして配置されたインダクタ部品。
【請求項2】
前記第1及び第2導体は、それぞれ複数個備えられ、一方向に交互に配置された、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記一方向は、上記第1及び第2方向に垂直な第3方向である、請求項2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
上記第1及び第2方向に垂直な方向を第3方向としたとき、
前記第1及び第2導体は、一部の領域が前記第3方向に重なる範囲で前記第1方向にシフトして配置された、請求項1から3のいずれか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記本体内に前記第1及び第2導体を連結する他の導体が存在しない、請求項1から3のいずれか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記第1パッド及び第1導電性ビアは、それぞれ一対備えられ、前記第1導体の一端と他端に接続された、請求項1から3のいずれか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
前記第2パッド及び第2導電性ビアは、それぞれ一対備えられ、前記第2導体の一端と他端に接続された、請求項1から3のいずれか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記第1導体の一端と他端は、他の領域よりも幅が広い第1パッド領域であり、
前記第2導体の一端と他端は、他の領域よりも幅が広い第2パッド領域である、請求項1から3のいずれか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記第1及び第2導体は、前記第1及び第2パッド領域の一部の領域が前記第1方向に重なるように配置された、請求項8に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記第1及び第2導体は、それぞれ複数個備えられ、前記第1方向に配列された、請求項1から3のいずれか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項11】
第1方向に互いに対向する第1面及び第2面と、前記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面とを含む本体と、
前記本体内に配置され、前記第1方向に延長されたロッド状の第1導体と、
前記本体内に前記第1導体に隣接して配置されたコイル状の第2導体と、
前記本体の第3面に配置された第1パッド及び第2パッドと、
前記第2方向に延長され、前記第1導体及び前記第1パッドを連結する第1導電性ビアと、
前記第2方向に延長され、前記第2導体及び前記第2パッドを連結する第2導電性ビアと、を含むインダクタ部品。
【請求項12】
前記第1及び第2導体は、それぞれ複数個備えられ、一方向に交互に配置された、請求項11に記載のインダクタ部品。
【請求項13】
前記第1導体は、それぞれ複数個備えられ、前記複数の第1導体のうち少なくとも2つは、前記第1方向長さが互いに異なる、請求項11に記載のインダクタ部品。
【請求項14】
前記本体内に配置され、第3方向に延長されたロッド状の第3導体をさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載のインダクタ部品。
【請求項15】
前記第3方向は、前記第1及び第2方向に垂直であり、
前記第1及び第2導体は、前記第3方向に隣接して配置された、請求項14に記載のインダクタ部品。
【請求項16】
前記第2及び第3導体は、少なくとも一部の領域が前記第1方向に重なるように配置された、請求項15に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロプロセッサの場合、様々な機能を実現するために、異なるレベルの電圧が必要であり、それを管理するための統合電圧レギュレータ(Integrated voltage regulator)技術が要求される。このためには、マイクロプロセッサ内にインダクタ部品が必要とされ、多数の導電体トレースを備えたMIA(Magnetic Inductor Array)構造のインダクタ部品が活用されている。MIA構造のインダクタ部品は、パッケージ基板に実装され、インダクタ部品の外部の導電体とともにインダクタ構造をなすことができる。
【0003】
近年、マイクロプロセッサの小型化に対する要求が増大するにつれて、インダクタ部品のサイズも減少している。そのため、インダクタ部品の小型化によって十分なインダクタンス特性を実現することが難しくなり、これに伴って、インダクタ部品のQファクター(factor)が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開 第2020/0013533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の一つは、十分なインダクタンス特性を実現しつつ、小型化に有利なインダクタ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための方法として、本発明は、一例を通してインダクタ部品の新規な構造を提案しようとする。具体的には、第1方向に互いに対向する第1面及び第2面と、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面とを含む本体と、上記本体内に配置され、上記第1方向に延長された第1導体と、上記本体内に上記第1導体に隣接して配置され、上記第1方向に延長された第2導体と、上記本体の第3面に配置された第1パッド及び第2パッドと、上記第2方向に延長され、上記第1導体及び上記第1パッドを連結する第1導電性ビアと、上記第2方向に延長され、上記第2導体及び上記第2パッドを連結する第2導電性ビアと、を含み、上記第2導体は、上記第1導体に対して上記第1方向にシフトして配置された形態である。
【0007】
一実施形態において、上記第1及び第2導体は、それぞれ複数個備えられ、一方向に交互に配置されることができる。
【0008】
一実施形態において、上記一方向は、上記第1及び第2方向に垂直な第3方向であることができる。
【0009】
一実施形態において、上記第1及び第2方向に垂直な方向を第3方向としたとき、上記第1及び第2導体は、一部の領域が上記第3方向に重なる範囲で上記第1方向にシフトして配置されることができる。
【0010】
一実施形態において、上記本体内に上記第1及び第2導体を連結する他の導体が存在しないことができる。
【0011】
一実施形態において、上記第1パッド及び第1導電性ビアは、それぞれ一対備えられ、上記第1導体の一端と他端に接続されることができる。
【0012】
一実施形態において、上記第2パッド及び第2導電性ビアは、それぞれ一対備えられ、上記第2導体の一端と他端に接続されることができる。
【0013】
一実施形態において、上記第1導体の一端と他端は、他の領域よりも幅が広い第1パッド領域であり、上記第2導体の一端と他端は、他の領域よりも幅が広い第2パッド領域であることができる。
【0014】
一実施形態において、上記第1及び第2導体は、上記第1及び第2パッド領域の一部の領域が上記第1方向に重なるように配置されることができる。
【0015】
一実施形態において、上記第1及び第2導体は、それぞれ複数個備えられ、上記第1方向に配列されることができる。
【0016】
本発明の他の側面は、第1方向に互いに対向する第1面及び第2面と、上記第1面及び第2面と連結され、第2方向に互いに対向する第3面及び第4面とを含む本体と、上記本体内に配置され、上記第1方向に延長されたロッド状の第1導体と、上記本体内に上記第1導体に隣接して配置されたコイル状の第2導体と、上記本体の第3面に配置された第1パッド及び第2パッドと、上記第2方向に延長され、上記第1導体及び上記第1パッドを連結する第1導電性ビアと、上記第2方向に延長され、上記第2導体及び上記第2パッドを連結する第2導電性ビアと、を含むインダクタ部品を提供する。
【0017】
一実施形態において、上記第1及び第2導体は、それぞれ複数個備えられ、一方向に交互に配置されることができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1導体は、それぞれ複数個備えられ、上記複数の第1導体のうち少なくとも2つは、上記第1方向長さが互いに異なることができる。
【0019】
一実施形態において、上記本体内に配置され、第3方向に延長されたロッド状の第3導体をさらに含むことができる。
【0020】
一実施形態において、上記第3方向は、上記第1及び第2方向に垂直であり、上記第1及び第2導体は、上記第3方向に隣接して配置されることができる。
【0021】
一実施形態において、上記第2及び第3導体は、少なくとも一部の領域が上記第1方向に重なるように配置されることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、インダクタ部品の十分なインダクタンス特性及び小型化を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態のインダクタ部品を概略的に示した透過斜視図である。
【
図3】
図2におけるA領域を拡大して示したものである。
【
図6】変形例で採用されることができる第1及び第2導体の形態を示す。
【
図7】変形例で採用されることができる第1及び第2導体の形態を示す。
【
図8】変形例で採用されることができる第1及び第2導体の形態を示す。
【
図9】変形例で採用されることができる第1及び第2導体の形態を示す。
【
図10】変形例で採用されることができる第1及び第2導体の形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本出願において使用された用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含んでいる。本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたもの等の存在又は付加の可能性を前もって排除するものではないと理解すべきである。そして、明細書全体において、「~上に」とは、対象部分の上又は下に位置することを意味するものであり、必ずしも重力方向を基準に上側に位置することを意味するものではない。また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触されている場合まで包括する概念として使用する。図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示しており、本発明が必ずしも図示されたものに限定されるわけではない。
【0025】
以下、本発明の実施形態に係るインダクタ部品について添付図面を参照して詳細に説明する。添付図面を参照して説明するにあたり、同一又は対応する構成要素には同一の図面番号を付し、これに対する重複する説明は省略する。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態のインダクタ部品を概略的に示した透過斜視図であり、
図2、
図4、
図5は、
図1のインダクタ部品の断面図であり、
図3は、
図2におけるA領域を拡大して示したものである。
【0027】
図1から
図5を参照すると、本実施形態に係るインダクタ部品10は、本体110、第1導体121、第2導体122、第1パッド131、第2パッド132、第1導電性ビア141、及び第2導電性ビア142を含み、ここで、第2導体122は、第1導体121に隣接して配置され、第1導体121に対して第1方向(X方向)にシフトして配置される。図示の便宜上、
図1では、第1及び第2導体121、122を1個ずつのみ図示した。
【0028】
本体110は、インダクタ部品100の外観をなし、全体的に六面体状に形成されることができる。本体110は、第1方向(X方向)に互いに対向する第1面S1及び第2面S2と、第1面S1及び第2面S2と連結され、第2方向(Y方向)に互いに対向する第3面S3及び第4面S4とを含む。この場合、本体110の第3面S3は、インダクタ部品100を他の基板やパッケージなどに配置する際に、実装面として用いられることができる。
図3を参照すると、本体110は、磁性粒子111及び絶縁樹脂112を含むことができる。この場合、本体110は、絶縁樹脂及び絶縁樹脂に分散された金属磁性粉末を含む磁性複合シートを一つ以上積層して形成されることができる。絶縁樹脂112は、エポキシ(epoxy)、ポリイミド(polyimide)、液晶結晶性ポリマー(Liquid Crystal Polymer)などを単独又は混合して含むことができるが、これに限定されるものではない。磁性粒子111は、鉄(Fe)、シリコン(Si)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)、銅(Cu)、ホウ素(B)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択されたいずれか1種以上を含むことができる。例えば、磁性粒子111は、純鉄粉末、Fe-Si系合金粉末、Fe-Si-Al系合金粉末、Fe-Ni系合金粉末、Fe-Ni-Mo系合金粉末、Fe-Ni-Mo-Cu系合金粉末、Fe-Co系合金粉末、Fe-Ni-Co系合金粉末、Fe-Cr系合金粉末、Fe-Cr-Si系合金粉末、Fe-Si-Cu-Nb系合金粉末、Fe-Ni-Cr系合金粉末、及びFe-Cr-Al系合金粉末のうち少なくとも1種以上を用いて形成されることができる。磁性粒子111は、非晶質又は結晶質であることができる。例えば、磁性粒子111は、Fe-Si系非晶質合金粉末であることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。磁性粒子11は、平均直径が約0.1μm~30μmであることができるが、これに制限されるものではない。一方、本明細書において、直径とは、D
90又はD
50などで表される粒度分布を意味することができる。
【0029】
第1及び第2導体121、122は、本体110内に配置され、第1方向(X方向)に延長された形態である。具体的に図示された形態のように、第1及び第2導体121、122は、第1方向(X方向)に形成されたロッド(rod)状を有することができ、電気伝導度の高い金属、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、又はこれらの合金などで形成されることができる。ここで、ロッド状は、第1及び第2導体121、122の第1方向(X方向)の長さが、他の方向(Y方向、Z方向)よりも長い形態であることができる。
【0030】
本実施形態の場合、第2導体122は、第1導体121に対して第1方向(X方向)にシフトして配置され、このようなシフト配置方式を用いて、本体110内にさらに多数の導体121、122が含まれることができる。
図2を参照すると、第1及び第2導体121、122がシフト配置された形態は、互いに隣接した第1及び第2導体121、122において、それぞれの一端が第1方向(X方向)に所定の間隔Sを隔てて離隔されたことを意味することができる。図示されたように、第1及び第2導体121、122は、それぞれ複数個備えられ、一方向に交互に配置されることができ、より具体的には、上記一方向は、第1及び第2方向(X方向及びY方向)に垂直な第3方向(Z方向)であることができる。そして、第1及び第2導体121、122は、一部の領域が第3方向(Z方向)に重なる範囲で第1方向(X方向)にシフトして配置されることができ、若し、第3方向(Z方向)に重なる領域がない場合には、本体110の第1方向(X方向)長さが過度に増加するため、インダクタ部品100の小型化に不利になる恐れがある。第1及び第2導体121、122は、インダクタ部品100が基板やパッケージなどに実装される場合、上記基板やパッケージに存在する導体と連動して、全体的にインダクタ構造を形成することができるため、第1及び第2導体121、122は、本体110内では互いに接続されなくてもよい。すなわち、本体110内に第1及び第2導体121、122を連結する他の導体が存在しないことができる。一方、本実施形態では、一つの本体110内に第1及び第2導体121、122がそれぞれ4個ずつ、すなわち、総8個の導体121、122が配置された形態を示しているが、第1及び第2導体121、122は、それぞれ、1個、2個、3個ずつ備えられてもよく、5個以上ずつ備えられてもよい。
【0031】
本実施形態のように、第1及び第2導体121、122を本体110内でシフトされるように配置することで、第1及び第2導体121、122間の間隔を狭くすることができ、一つのインダクタ部品100にさらに多数の導体121、122を配置することができる。従来は、本実施形態のように8個の導体121、122を有する場合、2個のインダクタ部品、すなわち4個の導体を有するインダクタ部品を2個採用しなければならなかったが、本実施形態では、一つのインダクタ部品100にさらに多数の導体121、122を配置することができる。具体的な例としては、シフト配置構造ではなく、導体が4個備えられた従来のMIA部品(長さ×幅:1.6mm×1.3mm)を一方向に2個配列する場合よりも、本実施形態のようにシフト配置構造の導体を8個含む一つのインダクタ部品は、長さ×幅が約2.4mm×1.45mm水準と、実装面積を約20%水準に低減することができた。さらに、従来のMIA部品を11個使用する場合に比べて、これを一つのインダクタ部品に一体化した場合、長さ×幅が約2.4mm×7.3mm水準と、実装面積を約24%水準に低減することができる。本実施形態によると、同じ性能基準でありながらマイクロプロセッサなどの内部におけるインダクタ部品100の個数及び実装面積を低減することができ、パッケージサイズの減少、パッケージ組み立て費用の削減などの有益な効果が期待される。
【0032】
第1パッド131及び第2パッド141は、本体110の第3面S3に配置される。また、第1導電性ビア141は、第2方向(Y方向)に延長され、第1導体121と第1パッド131を連結する。第2導電性ビア142は、第2方向(Y方向)に延長され、第2導体122と第1パッド132を連結する。図示されたように、第1パッド131及び第1導電性ビア141は、それぞれ一対備えられ、第1導体121の一端と他端に接続されることができる。同様に、第2パッド132及び第2導電性ビア142は、それぞれ一対備えられ、第2導体122の一端と他端に接続されることができる。第1及び第2導体121、122と同様に、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、又はこれらの合金などの導電性物質で形成されることができる。
【0033】
図6から
図10を参照し、変形した実施形態について説明する。先ず、
図6の実施形態の場合、第1及び第2導体121、122にパッド領域P1、P2が形成されている。具体的には、第1導体121の一端と他端は、他の領域よりも幅が広い第1パッド領域P1であり、第2導体122の一端と他端は、他の領域よりも幅が広い第2パッド領域P2である。この場合、第1導電性ビア141は、第1導体121の第1パッド領域P1と接続され、第2導電性ビア142は、第2導体122の第2パッド領域P2と接続されることができる。この場合、第1及び第2導体121、122は、第1及び第2パッド領域P1、P2の一部の領域が第1方向(X方向)に重なるように配置されることができる。このように第1及び第2パッド領域P1、P2が第1方向(X方向)に一部重なることで、第1及び第2導体121、122の間隔が最小限に抑えられ、これにより、本体110内に配置されることができる導体121、122の数が増加されることができる。また、これは、同じ性能を有するインダクタ部品100のサイズを低減することができるという効果を奏する。
図6の実施形態で使用されたパッド領域P1、P2は、下記で説明する
図7の実施形態にも適用されることができる。
【0034】
次に、
図7の実施形態の場合、さらに多数の導体121、122を有する形態として、第1導体121は、複数個備えられて第1方向(X方向)に配列される。同様に、第2導体122は、複数個備えられて第1方向(X方向)に配列される。この場合、パッド131、132及び導電性ビア141、142も、第1及び第2導体121、122の形態に合わせてその数が増えることができる。
【0035】
次いで、
図8の実施形態の場合、インダクタ部品200は、互いに異なる形状の導体、すなわち、ロッド状の導体221及びコイル状の導体222を含む形態である。
図8の(a)は本体210内の断面を示しており、
図8の(b)は本体210の第3面S3を示している。本変形例において、第1導体221は第1方向(X方向)に延長されたロッド状であり、これに隣接して配置された第2導体222はコイル形状である。この場合、第1及び第2導体221、222は、それぞれ複数個備えられ、一方向に交互に配置されることができる。コイル状の第2導体222の場合、支持部材220により支持されることができ、第2導体222は、支持部材220の上面及び下面の両方に配置されることができる。支持部材220は、エポキシ樹脂のような熱硬化性絶縁樹脂、ポリイミドのような熱可塑性絶縁樹脂、及び感光性絶縁樹脂のうち少なくとも一つを含む絶縁材料で形成されることができる。或いは、上述した少なくとも一つの樹脂にガラス繊維又は無機フィラーのような補強材が含浸された絶縁材料で形成されることができる。一例において、支持部材220は、銅張積層板(Copper Clad Laminate,CCL)、銅張積層板から銅箔が除去された絶縁材料(Unclad CCL)、プリプレグ(prepreg)、ABF(Ajinomoto Build-up Film)、FR-4、BT(Bismaleimide Triazine)フィルム、及びPID(Photo Imagable Dielectric)フィルムなどの絶縁材料で形成されることができるが、これに制限されるものではない。無機フィラーとしては、シリカ(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、炭化ケイ素(SiC)、硫酸バリウム(BaSO
4)、タルク、泥、雲母粉、水酸化アルミニウム(Al(OH)
3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)
2)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ホウ素(BN)、ホウ酸アルミニウム(AlBO
3)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、及びジルコン酸カルシウム(CaZrO
3)からなる群から選択される少なくとも1種以上が使用されることができる。
【0036】
コイル状の第2導体222は、支持部材220の少なくとも一面にめっき工程により形成されることができ、この場合、第2導体222は、シード層及び電解めっき層を含むことができる。ここで、電解めっき層は、単層構造であってもよく、多層構造であってもよい。多層構造の電解めっき層は、ある一つの電解めっき層を別の電解めっき層がカバーするコンフォーマル(conformal)な膜構造で形成されてもよく、ある一つの電解めっき層の一面のみに別の一つの電解めっき層が積層された形状に形成されてもよい。コイル状の第2導体222は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、又はこれらの合金などの導電性物質で形成されることができるが、これに限定されるものではない。さらに、コイル状の第2導体222は、巻線型のコイル構造を有してもよい。
【0037】
本体210の第3面S3には、第1パッド231及び第2パッド232が配置され、前述した実施形態のように、第1導体221及び第1パッド231は第1導電性ビア241により、第2導体222及び第2パッド232は第2導電性ビア242により連結される。図示されたように、第1導体221の一端と他端は第1パッド領域P1として、第2導体222の一端と他端は第2パッド領域P2として形成されることができ、この場合、コイル構造と接続された第2パッド領域P2の幅(第3方向、すなわち、Z方向幅)が第1パッド領域P2の幅よりも広いことができる。本変形例のように、互いに異なる特性を有する第1導体221及び第2導体222を一つのインダクタ部品200内に混用することで、インダクタ部品200の活用度を高めることができ、さらに、
図9及び
図10の変形例のように、さらに多様な導体を含むことができる。具体的には、
図9の変形例のように、第1導体221は、互いに長さが異なるものを含み、よって、第2導体222との重なり領域の長さが調整されることができる。すなわち、第1導体221は、複数個備えられ、これらのうち、少なくとも2つは、互いに第1方向長さ(X方向)が異なることができる。また、
図10の変形例のように、他の方向に配置されたロッド状の導体223をさらに含むことができる。第3導体223は、ロッド状であって、第1及び第2方向(X方向及びY方向)に垂直な第3方向(Z方向)に延長された形態を有する。第3導体223の一端と他端は第3パッド領域P3として形成されることができる。また、第1及び第2導体221、222は、第3方向(Z方向)に隣接して配置され、第2及び第3導体222、223は、少なくとも一部の領域が第1方向(Z方向)に重なることができる。第1導体221とは異なる方向に配置された第3導体223をさらに含むことで、第2導体222とは異なる方向に重なる領域を確保することができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0039】
100、200 インダクタ部品
110、210 本体
111 磁性粒子
112 絶縁樹脂
121、221 第1導体
122、222 第2導体
131、231 第1パッド
132、232 第2パッド
141、241 第1導電性ビア
142、242 第2導電性ビア