(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098801
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】積層型電子部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 201K
H01G4/30 311D
H01G4/30 311F
H01G4/30 311Z
H01G4/30 512
H01G4/30 513
H01G4/30 517
H01G4/30 201M
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022091359
(22)【出願日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0190626
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、テ ギョム
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギ ロン
(72)【発明者】
【氏名】ムン、セオン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】アン、ビュン ロク
(72)【発明者】
【氏名】チャ、キョウン ジン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AH01
5E001AH03
5E001AH07
5E001AJ01
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC38
5E082BC39
5E082BC40
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE26
5E082EE35
5E082FG04
5E082FG54
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
5E082LL02
5E082LL03
5E082MM24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性に優れた積層型電子部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、容量形成部Acのうち明るさの強度がカバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域が占める面積分率を制御することにより、内部電極121、122間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などを抑制することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含み、
複数の誘電体層を含み、前記誘電体層と前記第1方向に交互に配置される複数の内部電極とを含む容量形成部、及び前記容量形成部の前記第1方向の両端面に配置されるカバー部を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記本体の第1及び第2方向の断面を前記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、前記第2方向の両端35μmを除いた領域をML、前記MLのうち明るさの強度が前記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNL、前記MLの面積に対する前記NLの面積の割合をSLとするとき、前記SLは5.5面積%以下である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記本体の第1及び第3方向の断面を前記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、前記第3方向の両端35μmを除いた領域をMW、前記MWのうち明るさの強度が前記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNW、前記MWの面積に対する前記NWの面積の割合をSWとするとき、SWは5.5面積%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記本体を、前記第3方向に均等な間隔を有する3個の地点において第1及び第2方向に切断した3つの断面で測定した前記SLはいずれも5.5面積%以下を満たす、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記本体を、上記第2方向に均等な間隔を有する3個の地点において、第1及び第3方向を切断した3つの断面で測定した前記SWはいずれも5.5面積%以下を満たす、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、
前記MLで測定した前記内部電極連結性の平均値が80%以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、
前記MLで測定した前記内部電極連結性の標準偏差が1.3以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、
前記MLで測定した前記内部電極連結性のCV値が1.8%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、
前記MWで測定した前記内部電極連結性の平均値が80%以上である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、
前記MWで測定した前記内部電極連結性の標準偏差が1.3以下である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、
前記MWで測定した前記内部電極連結性のCV値が1.8%以下である、請求項2に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記複数の内部電極の平均厚さは0.4μm以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記誘電体層の平均厚さは0.45μm以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記カバー部の平均厚さは15μm以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記積層型電子部品の前記第2方向の最大サイズは0.66mm以下であり、前記第3方向の最大サイズは0.33mm以下である、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含み、
複数の誘電体層を含み、前記誘電体層と前記第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含む容量形成部、及び前記容量形成部の前記第1方向の両端面に配置されるカバー部を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記本体の第1及び第2方向の断面を前記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、前記第2方向の両端35μmを除いた領域をML、内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、
前記MLで測定した前記内部電極連結性の標準偏差は1.3以下である、積層型電子部品。
【請求項16】
前記本体の第1及び第3方向の断面を前記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、前記第3方向の両端35μmを除いた領域をMWとするとき、
前記MWで測定した前記内部電極連結性の標準偏差は1.3以下である、請求項15に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記ML及びMWで測定した前記内部電極連結性の平均値が80%以上である、請求項16に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記ML及びMWで測定した前記内部電極連結性のCV値が1.8%以下である、請求項16に記載の積層型電子部品。
【請求項19】
前記MLのうち明るさの強度が前記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNL、前記MLの面積に対する前記NLの面積の割合をSL、
前記MWのうち明るさの強度が前記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNW、前記MWの面積に対する前記NWの面積の割合をSWとするとき、
前記SL及びSWは5.5面積%以下である、請求項16に記載の積層型電子部品。
【請求項20】
前記本体を、前記第3方向に均等な間隔を有する3個の地点において、第1及び第2方向に切断した3つの断面のMLで測定した内部電極連結性の標準偏差はいずれも1.3以下である、請求項15から19のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項21】
前記内部電極の平均厚さは0.4μm以下である、請求項15から19のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項22】
前記誘電体層の平均厚さは0.45μm以下である、請求項15から19のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項23】
前記カバー部の平均厚さは15μm以下である、請求項15から19のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項24】
前記積層型電子部品の前記第2方向の最大サイズは0.66mm以下であり、前記第3方向の最大サイズは0.33mm以下である、請求項15から19のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項25】
連続的に供給される高分子シート上にシリコンパターンをコーティングする段階と、
前記シリコンパターンがコーティングされた高分子シート上に内部電極用ペーストを塗布する段階と、
シリコンパターン上に配置された内部電極用ペーストを連続的に供給されるセラミックグリーンシートに転写してセラミックグリーンシート上に内部電極パターンを印刷する段階と、
前記内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する段階と、
前記積層体を切断して単位積層体を得る段階と、
前記単位積層体を焼結して本体を得る段階と、
前記本体に外部電極を形成して積層型電子部品を得る段階と、を含む、積層型電子部品の製造方法。
【請求項26】
前記高分子シートは、前記高分子シートが巻かれたロールから前記高分子シートを巻き戻すロールに移動することによって連続的に供給される、請求項25に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項27】
前記セラミックグリーンシートは、前記セラミックグリーンシートが巻かれたロールから前記セラミックグリーンシートを巻き戻すロールに移動することによって連続的に供給される、請求項25に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項28】
前記内部電極パターンの厚さ偏差は0.1μm以下である、請求項25に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項29】
前記本体は、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含み、複数の誘電体層を含み、前記誘電体層を間に挟んで第1方向に対向するように配置される複数の内部電極を含む容量形成部、及び前記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部を含み、
前記本体の第1及び第2方向の断面を前記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、前記第2方向の両端35μmを除いた領域をML、MLのうち明るさの強度が前記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNL、前記MLの面積に対する前記NLの面積の割合をSLとするとき、SLは5.5面積%以下である、請求項25に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項30】
前記本体の第1及び第3方向の断面を前記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、前記第3方向の両端35μmを除いた領域をMW、MWのうち明るさの強度が前記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNW、前記MWの面積に対する前記NWの面積の割合をSWとするとき、SWは5.5面積%以下である、請求項29に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項31】
前記複数の内部電極の平均厚さは0.4μm以下である、請求項29に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項32】
前記誘電体層の平均厚さは0.45μm以下である、請求項29に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項33】
前記本体は、第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含み、複数の誘電体層を含み、前記誘電体層を間に挟んで第1方向に対向するように配置される複数の内部電極を含む容量形成部、及び前記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部を含み、
前記本体の第1及び第2方向の断面を前記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、前記第2方向の両端35μmを除いた領域をML、内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、前記MLで測定した内部電極連結性の標準偏差は1.3以下である、請求項25から32のいずれか一項に記載の積層型電子部品の製造方法。
【請求項34】
前記本体の第1及び第3方向の断面を前記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、前記第3方向の両端35μmを除いた領域をMWとするとき、
前記MWで測定した内部電極連結性の標準偏差は1.3以下である、請求項33に記載の積層型電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器など、各種の電子機器の小型化、高出力化に伴い、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。
【0004】
積層型セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、内部電極及び誘電体層の厚さを薄く形成することができる技術が必要である。しかし、内部電極の厚さが薄くなるほど、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの問題点が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のいくつかの目的の一つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0006】
本発明のいくつかの目的の一つは、内部電極連結性の均一な積層型電子部品を提供することである。
【0007】
本発明のいくつかの目的の一つは、内部電極の平滑度に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、信頼性の高い小型、高容量の積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明のいくつかの目的の一つは、生産性に優れながらも信頼性に優れた積層型電子部品の製造方法を提供することである。
【0010】
ただし、本発明の目的は上述の内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含み、複数の誘電体層を含み、上記誘電体層と上記第1方向に交互に配置される複数の内部電極を含む容量形成部、及び上記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記本体の第1及び第2方向の断面を上記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、上記第2方向の両端35μmを除いた領域をML、MLのうち明るさの強度が上記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNL、上記MLの面積に対する上記NLの面積の割合をSLとするとき、SLは5.5面積%以下であってもよい。
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含み、複数の誘電体層を含み、上記誘電体層を間に挟んで第1方向に対向するように配置される複数の内部電極を含む容量形成部、及び上記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記本体の第1及び第2方向の断面を上記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、上記第2方向の両端35μmを除いた領域をML、内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、上記MLで測定した内部電極連結性の標準偏差が1.3以下であってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、連続的に供給される高分子シート上にシリコンパターンをコーティングする段階と、上記シリコンパターンがコーティングされた高分子シート上に内部電極用ペーストを塗布する段階と、シリコンパターン上に配置された内部電極用ペーストを連続的に供給されるセラミックグリーンシートに転写してセラミックグリーンシート上に内部電極パターンを印刷する段階と、上記内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する段階と、上記積層体を切断して単位積層体を得る段階と、上記単位積層体を焼結して本体を得る段階と、上記本体に外部電極を形成して積層型電子部品を得る段階と、を含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のいくつかの効果の一つは、容量形成部の明るさの強度(Intensity of Brightness)が、上記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域の面積分率を制御することにより、積層型電子部品の信頼性を向上させたことである。
【0015】
本発明のいくつかの効果の一つは、内部電極連結性を均一にして積層型電子部品の信頼性を向上させたことである。
【0016】
本発明のいくつかの効果の一つは、内部電極の平滑度を向上させて積層型電子部品の信頼性を向上させたことである。
【0017】
本発明のいくつかの効果の一つは、積層型電子部品の破壊電圧を向上させたことである。
【0018】
本発明のいくつかの効果の一つとして、信頼性の高い小型、高容量の積層型電子部品を提供することができる。
【0019】
本発明のいくつかの効果の一つは、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させたことである。
【0020】
本発明のいくつかの効果の一つは、生産性を向上させながらも、信頼性に優れた積層型電子部品が製造できることである。
【0021】
ただし、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものである。
【
図3】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図4】
図1の誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示す分解斜視図である。
【
図5】
図1のI-I'線に沿った断面図であって、測定領域を説明するための図である。
【
図6】
図1のII-II'線に沿った断面図であって、測定領域を説明するための図である。
【
図7】
図2のP領域を拡大した図であって、内部電極連結性を説明するための図である。
【
図8】試験番号1の第1及び第2方向の断面を工具顕微鏡で観察した画像である。
【
図9】
図8の画像をSigmaScan Proを用いて分析した画像である。
【
図10】
図8のP1、P2、P3及びP4領域を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)でスキャンした画像である。
【
図11】試験番号1の第1及び第3方向の断面を工具顕微鏡で観察した画像である。
【
図12】
図11の画像をSigmaScan Proを用いて分析した画像である。
【
図13】試験番号4の第1及び第2方向の断面を工具顕微鏡で観察した画像である。
【
図14】
図13の画像をSigmaScan Proを用いて分析した画像である。
【
図15】
図13のP1、P2、P3及びP4領域を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像である。
【
図16】試験番号5の第1及び第3方向の断面を工具顕微鏡で観察した画像である。
【
図17】
図16の画像をSigmaScan Proを用いて分析した画像である。
【
図18】
図16のP1、P2、P3及びP4領域を走査電子顕微鏡(SEM)でスキャンした画像である。
【
図19】ライン性不良面積割合によるBDV割合を示すグラフである。
【
図20】本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図である。
【
図21】
図12のA、B及びC領域を拡大して示す模式図である。
【
図22】内部電極パターンが印刷されたセラミックグリーンシートを示すものである。
【
図23】本発明の製造方法によって内部電極パターンを印刷した場合、
図22の点線に沿って内部電極パターンの厚さを測定したグラフである。
【
図24】グラビア印刷方法によって内部電極パターンを印刷した場合、
図22の点線に沿って内部電極パターンの厚さを測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張することができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0024】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0025】
図面において、第1方向は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0026】
[積層型電子部品]
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、
図2は、
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図3は、
図1のII-II'線に沿った断面図であり、
図4は、
図1の誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示す分解斜視図であり、
図5は、
図1のI-I'線に沿った断面図であって、測定領域を説明するための図であり、
図6は、
図1のII-II'線に沿った断面図であって、測定領域を説明するための図である。
【0027】
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について説明する。
【0028】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含み、複数の誘電体層111を含み、上記誘電体層と上記第1方向に交互に配置される複数の内部電極121、122を含む容量形成部Ac、及び上記容量形成部の上記第1方向の両端面に配置されるカバー部112、113を含む本体100と、上記本体上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記本体の第1及び第2方向の断面を上記第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、上記第2方向の両端35μm(D1)を除いた領域をML、MLのうち明るさの強度が上記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNL、上記MLの面積に対する上記NLの面積の割合をSLとするとき、SLは5.5面積%以下であってもよい。
【0029】
積層型電子部品の一つである積層型セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、内部電極及び誘電体層の厚さを薄く形成することができる技術が必要である。しかし、内部電極の厚さが薄くなるほど、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの問題点が発生する可能性がある。
【0030】
本発明者らが検討した結果、内部電極の厚さが薄くなるほど、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの問題点が発生する理由は、内部電極の平滑度が低下し、内部電極連結性が不均一になることによって発生することを確認した。ただし、積層型電子部品の小型化及び高容量化に伴い、内部電極及び誘電体層の積層数が次第に増加しており、積層型電子部品に含まれた内部電極の連結性及び内部電極の平滑度を定量的に分析するためには多くの労力と時間が必要である。そこで、本発明者らは、内部電極連結性の均一性及び内部電極の平滑度は容量形成部AcのMLのうち明るさの強度が上記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域の面積分率SLとの相関関係があることを明らかにし、上記SLを制御することにより、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの問題点を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0031】
本発明の一実施形態によると、容量形成部AcのMLのうち明るさの強度が上記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域の面積分率SLを制御することにより、内部電極連結性を均一に確保することができ、内部電極の平滑度を向上させ、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの問題点を解決することができる。以下では、積層型電子部品100の各構成要素を詳細に説明する。
【0032】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0033】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0034】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0035】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に限定されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)等が挙げられる。
【0036】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0037】
一方、誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はない。例えば、誘電体層111の平均厚さtdは0.2μm以上2μm以下であってもよい。
【0038】
ただし、一般に誘電体層を0.6μm未満の厚さに薄く形成する場合、特に誘電体層の厚さが0.45μm以下の場合には信頼性が低下するおそれがあった。
【0039】
本発明の一実施形態によると、内部電極連結性が均一で内部電極の平滑度に優れるため、誘電体層111の平均厚さが0.45μm以下の場合であっても優れた信頼性を確保することができる。したがって、誘電体層111の平均厚さが0.45μm以下である場合に、本発明による信頼性向上効果がより顕著になることができる。
【0040】
誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、一つの誘電体層を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0041】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで第1方向に対向するように配置される複数の内部電極121、122を含む容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の両端面に配置されるカバー部112、113とを含むことができる。
【0042】
また、容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を反復的に積層して形成することができる。なお、容量形成部Acは、第1内部電極121と第2内部電極122が重なる領域を意味することができる。
【0043】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0044】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0045】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0046】
一方、カバー部112、113の平均厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の平均厚さは15μm以下であってもよい。カバー部112、113の平均厚さは第1方向のサイズを意味することができ、容量形成部Acの上部において等間隔の5個の地点で測定した上部カバー部112、113の第1方向のサイズを平均した値又は容量形成部Acの下部において等間隔の5個の地点で測定した下部カバー部の第1方向のサイズを平均した値であることができる。
【0047】
また、上記容量形成部Acの側面には、マージン部114、115が配置されることができる。マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置されたマージン部114と、第6面6に配置されたマージン部115とを含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両側面に配置されてもよい。
【0048】
マージン部114、115は、
図3に示すように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面において、第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0049】
マージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除いて、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってもよい。
【0050】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に幅方向に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0051】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されてもよい。内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1及び第2内部電極121、122は誘電体層111を間に挟んで第1方向に交互に配置されることができる。
【0052】
図2を参照すると、第1内部電極121は本体110の第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は本体110の第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3及び第4面4には、外部電極131、132が配置されて内部電極121、122と連結されることができる。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。
【0053】
図4を参照すると、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。内部電極121、122は、高容量の積層型電子部品を実現するために400層以上積層されてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0054】
本体110の第1及び第2方向の断面を第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部Acにおいて、第2方向の両端35μmを除いた領域をML、MLのうち明るさの強度が上記カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNL、上記MLの面積に対する上記NLの面積の割合をSLとするとき、SLは5.5面積%以下であってもよい。SLを5.5面積%以下とすることで、内部電極連結性を均一に確保することができ、内部電極121、122の平滑度を向上させ、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの発生を抑制することができる。
【0055】
ここで、内部電極連結性とは、内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比と定義することができる。例えば、
図7に示すように、内部電極121のいずれか一地点で測定された全体電極の長さをb、及び実際に電極が形成された部分の長さをそれぞれe1、e2、e3、e4と規定すると、全体電極の長さbに対して実際に電極が形成された部分の長さの和(e=e1+e2+e3+e4)の割合で上記内部電極連結性を表すことができる。平滑度とは、内部電極121、122の表面が平坦な程度を意味することができ、内部電極121、122の厚さが均一であるほど平滑度が高いと判断することができる。SLが5.5面積%超の場合には、内部電極連結性が不均一になるおそれがあり、内部電極連結性及び内部電極121、122の平滑度が低下するおそれがある。
【0056】
明るさの強度がカバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域は、内部電極連結性が不均一であるか、内部電極121、122の厚さが薄い領域である可能性がある。容量形成部Acは内部電極121、122が含まれており、工具顕微鏡で観察する時にカバー部112、113より明るく見えるが、容量形成部Acのうち内部電極連結性が低いか、内部電極121、122の厚さが薄い領域は相対的に暗く観察され、明るさの強度がカバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域は、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの問題点を発生させる可能性がある。
【0057】
また、内部電極連結性の均一性及び内部電極の平滑度は、内部電極パターンの平滑度に大きく影響され、一つのチップに含まれる内部電極の場合、一般に同一の印刷方法により内部電極パターンを印刷したセラミックグリーンシートを積層して形成するため、内部電極パターンの平滑度が低い領域は積層方向(第1方向)に重なることがある。これにより、カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下の明るさの強度を有する領域は積層方向にラインを形成することがあり、このような不良をライン性不良という。
図16及び
図17を参照すると、カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下の明るさの強度を有する領域が積層方向に明確にラインを形成しており、ライン性不良が発生したことが確認できる。以下、ライン性不良とは、カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下の明るさの強度を有する領域を意味することができ、ライン性不良が発生したというのは、カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下の明るさの強度を有する領域の面積分率が5.5面積%超であることを意味することができる。
【0058】
さらに、積層型電子部品100の小型化及び高容量化に伴い、内部電極121、122及び誘電体層111の厚さが薄くなり、積層数が次第に増加しており、積層型電子部品に含まれた内部電極の連結性及び内部電極の平滑度を定量的に分析するためには、多くの労力と時間が必要である。しかし、本発明の一実施形態によると、カバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して、110%以上126%以下の明るさの強度を有する領域の面積分率を測定することにより、内部電極121、122が全体的に均一な内部電極連結性を有するか否か、内部電極121、122の平滑度が全体的に優れているか否かを判断することができる。したがって、簡単な測定方法により積層型電子部品100に含まれた内部電極121、122が全体的に内部電極連結性に優れ、平滑度に優れることを保証することができる。
【0059】
明るさの強度(Intensity of Brightness)とは、対象物を光学顕微鏡で撮影した画像を、画像分析プログラムを用いて分析する時にIntensityで表現される値であることができ、明度を相対的な値で表した数値であることができる。上記画像分析プログラムは、SigmaScan Pro、Olympus Stream Essentials 2.4などであることができ、Intensityは0~255の範囲の値を有することができる。
【0060】
以下では、カバー部の明るさの強度(Intensity of Brightness)の平均値及びSLを測定する方法に対する具体的な例を説明するが、明るさの強度(Intensity of Brightness)の測定方法をこれに限定するものではないことに留意する必要がある。
【0061】
まず、本体110を第3方向の中央までポリシングして第1及び第2方向の断面を露出させた後、工具顕微鏡を用いて100倍率で観察した第1及び第2方向の断面に対する光学画像を保存する。このとき、工具顕微鏡の種類は特に限定する必要はないが、Olympus Stream Essentials 2.4プログラムが搭載されたOlympus社のBX53Mを用いることができる。観察環境に応じて観察される光学画像の明るさの強度が異なってもよく、光学画像においてカバー部の明るさの強度が100以上130以下のIntensityを有するように観察環境を調節すれば、SigmaScan Proを用いてカバー部及び容量形成部の明るさの強度を分析及び比較することがより容易になることができる。
図8及び
図13は、上述した方法によりOlympus社のBX53Mを用いて得られた光学画像である。一方、Olympus Stream Essentials 2.4プログラム、SigmaScan Proなどを用いると、明るさの強度(Intensity of Brightness)を確認することができ、これらのプログラムにおいて明るさの強度はIntensityで表現される。
【0062】
その後、SigmaScan Proを用いて上記光学画像を分析することができる。SigmaScan Proは、視覚情報の構造とサイズを研究するための画像分析パッケージを提供するプログラムである。上記光学画像をSigmaScan Proメニューにおいて「convert to gray scale」によって画像変換を行う。その後、SigmaScan Proメニューにおいて「Trace Measurementのline Intensity」設定後、
図5のMC領域でカバー部112、113の明るさの強度の平均値を測定することができる。以後、カバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下に該当するIntensityを有する領域を特定の色で表すように設定した後、MLの全面積のうち特定の色を有する領域の面積分率を測定することによってSLを求めることができる。
図9及び
図14は、上述した方法によりSigmaScan Proを用いて得られた光学画像であり、カバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下に該当するIntensityを有する領域を赤色で表したものである。
【0063】
図5を参照すると、本体110の第1及び第2方向の断面を第1方向に3等分した領域のうち、中央に配置された容量形成部Acにおいて、第2方向の両端35μm(D1)を除いた領域をMLとする。測定領域をこのように限定したのは、カバー部112、113又は長さ方向のマージン部の影響を受ける可能性がある領域を除外するためである。ここで、容量形成部Acは、第1内部電極121と第2内部電極122とが重なった領域を意味することができ、第1方向の最上部に配置された内部電極から第1方向の最下部に配置された内部電極までの領域のうち、第1及び第2内部電極が重ならない領域を除いた領域を容量形成部Acとする。容量形成部Acの第2方向の一端は、第2内部電極122の第3面と離隔した端を第1方向に連結した領域を意味することができ、容量形成部Acの第2方向の他端は、第1内部電極121の第4面と離隔した端を第1方向に連結した領域を意味することができる。
【0064】
なお、カバー部112、113の明るさの強度の平均値は、カバー部112、113を第2方向に3等分した領域のうち、中央に配置された領域MCで測定したものであってもよく、本体の外側及び容量形成部Acに隣接した領域は除外するためにカバー部112、113を第1方向に4等分した領域のうち、中央の2つの領域に配置された領域で測定したものであってもよい。
【0065】
一方、SLが小さくなるほど、内部電極連結性をより均一に確保することができ、内部電極121、122の平滑度をより向上させることができるため、その下限は特に限定しない。
【0066】
一実施形態において、本体110の第1及び第3方向の断面を第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部Acにおいて、第3方向の両端35μmを除いた領域をMW、MWのうち明るさの強度がカバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNW、上記MWの面積に対する上記NWの面積の割合をSWとするとき、SWは5.5面積%以下であってもよい。SWを5.5面積%以下とすることで、内部電極連結性を均一に確保することができ、内部電極121、122の平滑度を向上させ、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの発生を抑制することができる。SWが5.5面積%超の場合には内部電極連結性が不均一になるおそれがあり、内部電極連結性及び内部電極の平滑度が低下するおそれがある。
【0067】
以下では、カバー部112、113の明るさの強度の平均値及びSWを測定する方法に対する具体的な例を説明するが、明るさの強度の測定方法をこれに限定するものではないことに留意する必要がある。
【0068】
まず、本体110を第2方向の中央までポリシングして第1及び第3方向の断面を露出させた後、工具顕微鏡を用いて100倍率で観察した第1及び第3方向の断面に対する光学画像を保存する。
図11及び
図16は、上述した方法によりOlympus社のBX53Mを用いて得られた光学画像である。
【0069】
その後、上記光学画像をSigmaScan Proメニューにおいて「convert to gray scale」によって画像変換を行う。SigmaScan ProメニューにおいてTrace Measurementのline Intensity設定後、
図6のMC'領域でカバー部112、113の明るさの強度の平均値を測定することができる。以後、カバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下に該当するIntensityを有する領域を特定の色で表すように設定した後、MWの全面積のうち特定の色を有する領域の面積分率を測定することによりSWを求めることができる。
図12及び
図17は、上述した方法によりSigmaScan Proを用いて得られた光学画像であり、カバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下に該当するIntensityを有する領域を赤色で表したものである。
【0070】
図6を参照すると、本体110の第1及び第3方向の断面を第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部Acにおいて、第2方向の両端35μm(D2)を除いた領域をMWとする。測定領域をこのように限定したのは、カバー部112、113又は幅方向のマージン部114、115の影響を受ける可能性がある領域を除外するためである。
【0071】
なお、カバー部112、113の明るさの強度の平均値は、カバー部112、113を第3方向に3等分した領域のうち中央に配置された領域MC'で測定したものであってもよく、本体の外側及び容量形成部Acに隣接した領域は除外するためにカバー部112、113を第1方向に4等分した領域のうち、中央の2つの領域に配置された領域で測定したものであってもよい。
【0072】
一方、SWが小さくなるほど内部電極連結性をより均一に確保することができ、内部電極112、113の平滑度をより向上させることができるため、その下限は特に限定しない。
【0073】
一実施形態において、SL及びSWがいずれも5.5面積%以下であってもよい。一つの第1及び第2方向の断面と、一つの第1及び第3方向の断面のいずれか一つでのみライン性不良が観察される場合がある。したがって、第1及び第2方向の断面と第1及び第3方向の断面において全てカバー部の明るさの強度の平均値の110%以上126%以下である明るさの強度を有する領域の面積分率を低くすることで、内部電極112、113が全体的に均一な内部電極連結性を有するか否か、内部電極112、113の平滑度が全体的に優れているか否かをより明確に保証することができる。
【0074】
一実施形態において、本体110を、第3方向に均等な間隔を有する3個の地点において、第1及び第2方向に切断した3つの断面で測定した上記SLはいずれも5.5面積%以下を満たすことができる。
【0075】
第1及び第3方向の断面でのみライン性不良が観察される場合、一つの第1及び第2方向の断面でのみSLを測定すると、SLが低く測定される場合がある。したがって、本体110を第3方向に均等な間隔を有する3個の地点において、第1及び第2方向に切断した3つの断面で測定したSLがいずれも5.5面積%以下を満たすことにより、内部電極112、113が全体的に均一な内部電極連結性を有するか否か、内部電極112、113の平滑度が全体的に優れているか否かをより明確に保証することができる。
【0076】
一実施形態において、本体110を、第2方向に均等な間隔を有する3個の地点において、第1及び第3方向を切断した3つの断面で測定した上記SWはいずれも5.5面積%以下を満たすことができる。
【0077】
第1及び第2方向の断面でのみライン性不良が観察される場合、一つの第1及び第3方向の断面でのみSWを測定すると、SWが低く測定される場合がある。したがって、本体110を第2方向に均等な間隔を有する3個の地点において、第1及び第3方向に切断した3つの断面で測定したSWがいずれも5.5面積%以下を満たすことにより、内部電極112、113が全体的に均一な内部電極連結性を有するか否か、内部電極112、113の平滑度が全体的に優れているか否かをより明確に保証することができる。
【0078】
一実施形態において、MLに配置された内部電極112、113は、内部電極連結性の平均値が80%以上であってもよい。すなわち、MLで測定した内部電極連結性の平均値が80%以上であってもよい。内部電極連結性が全体的に均一であっても内部電極連結性の平均値が低すぎる場合、信頼性が低下し、容量が低下する可能性があるため、MLに配置された内部電極112、113は内部電極連結性の平均値が80%以上であることが好ましい。
【0079】
ここで、内部電極連結性とは、内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比と定義することができる。例えば、
図7に示すように、内部電極121のいずれか一地点で測定された全体電極の長さをb、及び実際に電極が形成された部分の長さをそれぞれe1、e2、e3、e4と規定すると、全体電極の長さbに対して実際に電極が形成された部分の長さの和(e=e1+e2+e3+e4)の割合で内部電極連結性を表すことができる。
【0080】
一実施形態において、MLに配置された内部電極121、122は、内部電極連結性の標準偏差が1.3以下であってもよい。すなわち、MLで測定した内部電極連結性の標準偏差が1.3以下であってもよい。内部電極連結性の標準偏差が1.3以下の場合、内部電極連結性が均一であるため、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの発生を抑制することができる。
【0081】
一実施形態において、MLに配置された内部電極121、122は、内部電極連結性のCV値が1.8%以下であってもよい。すなわち、MLで測定した内部電極連結性のCV値が1.8%以下であってもよい。内部電極連結性のCV値が1.8%以下の場合、内部電極連結性が均一であるため、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの発生を抑制することができる。
【0082】
一実施形態において、MWに配置された内部電極121、122は、内部電極連結性の平均値が80%以上であってもよい。すなわち、MWで測定した内部電極連結性の平均値が80%以上であってもよい。内部電極連結性が全体的に均一であっても内部電極連結性の平均値が低すぎる場合、信頼性が低下し、容量が低下する可能性があるため、MWに配置された内部電極は内部電極連結性の平均値が80%以上であることが好ましい。
【0083】
一実施形態において、MWに配置された内部電極121、122は、内部電極連結性の標準偏差が1.3以下であってもよい。すなわち、MWで測定した内部電極連結性の標準偏差が1.3以下であってもよい。内部電極連結性の標準偏差が1.3以下の場合、内部電極連結性が均一であるため、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの発生を抑制することができる。
【0084】
一実施形態において、MWに配置された内部電極121、122は、内部電極連結性のCV値が1.8%以下であってもよい。すなわち、MWで測定した内部電極連結性のCV値が1.8%以下であってもよい。内部電極連結性のCV値が1.8%以下の場合、内部電極連結性が均一であるため、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの発生を抑制することができる。
【0085】
内部電極連結性の平均値、標準偏差及びCV値を測定する方法は特に限定されない。具体的な例を挙げると、MWに配置された内部電極連結性の平均値は、MWにおいて70μm×90μmのサイズを有する任意の4つの領域P1、P2、P3、P4で内部電極連結性の値を測定した後、その値を算術平均して求めることができる。また、上記4つの領域における電極連結性の値に対する標準偏差及びCV値を内部電極連結性の標準偏差及びCV値とすることができる。このとき、標準偏差はマイクロソフトのエクセルプログラムにおいてSTDEVP関数を用いて求めた値であることができ、CV値(%)は「(標準偏差/平均)×100」により求めることができる。
【0086】
一方、内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0087】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができ、本発明はこれに限定されるものではない。
【0088】
なお、内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はない。例えば、内部電極121、122の平均厚さteは0.2μm以上2μm以下であってもよい。ただし、一般に内部電極を0.6μm未満の厚さに薄く形成する場合、特に内部電極の厚さが0.4μm以下の場合には信頼性が低下するおそれがあった。
【0089】
本発明の一実施形態によると、内部電極連結性が均一で内部電極の平滑度に優れるため、内部電極121、122の平均厚さが0.4μm以下の場合であっても優れた信頼性を確保することができる。したがって、内部電極121、122の厚さが平均0.4μm以下である場合に、本発明による効果がより顕著になることができ、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0090】
上記内部電極121、122の平均厚さteは内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、一つの内部電極を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0091】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されてもよい。外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0092】
図1を参照すると、外部電極131、132は、サイドマージン部114、115の第2方向の両端面を覆うように配置されてもよい。本実施形態では、セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0093】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0094】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に形成されためっき層131b、132bを含むことができる。電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0095】
また、電極層131a、132aは、本体上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、又は焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0096】
また、電極層131a、132aは、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング(Sputtering)工法などを用いて形成されてもよい。
【0097】
電極層131a、132aに使用される導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極と電気的に連結可能な材料であれば特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0098】
めっき層131b、132bは、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0099】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bは、Niめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0100】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。ただし、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、0603(長さ×幅、0.6mm×0.3mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100であるとき、本発明による信頼性及び破壊電圧の向上効果がより顕著になることができる。
【0101】
したがって、製造誤差、外部電極のサイズ等を考慮すると、積層型電子部品100の長さが0.66mm以下、幅が0.33mm以下である場合、本発明による信頼性向上効果がより顕著になることができる。ここで、積層型電子部品100の長さは、積層型電子部品100の第2方向の最大サイズを意味することができ、積層型電子部品100の幅は、積層型電子部品100の第3方向の最大サイズを意味することができる。
【0102】
一方、本発明の一実施形態によると、第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面を含み、複数の誘電体層111を含み、上記誘電体層を間に挟んで第1方向に対向するように配置される複数の内部電極121、122を含む容量形成部Ac、及び上記容量形成部の第1方向の両端面に配置されるカバー部112、113を含む本体110と、上記本体上に配置される外部電極131、132と、を含み、上記本体の第1及び第2方向の断面を第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部Acにおいて、第2方向の両端35μmを除いた領域をML、内部電極の長さに対する実際に内部電極が形成された部分の長さの比を内部電極連結性とするとき、上記MLで測定した内部電極連結性の標準偏差が1.3以下であってもよい。
【0103】
一実施形態において、上記本体の第1及び第3方向の断面を第1方向に3等分した領域のうち中央に配置された容量形成部において、第3方向の両端35μmを除いた領域をMWとするとき、上記MWで測定した内部電極連結性の標準偏差が1.3以下であってもよい。
【0104】
一つの第1及び第2方向の断面と、一つの第1及び第3方向の断面のいずれか一つでのみライン性不良が観察される場合があり得る。したがって、ML及びMWにおいて内部電極連結性の標準偏差を1.5以下とすることにより、内部電極121、122が全体的に均一な内部電極連結性を有するか否か、内部電極121、122の平滑度が全体的に優れているか否かをより明確に保証することができ、内部電極間の短絡、容量の低下、破壊電圧の低下などの発生をより確実に抑制することができる。
【0105】
一実施形態において、ML及びMWに配置された内部電極121、122は、内部電極連結性の平均値が80%以上であってもよい。一実施形態において、ML及びMWに配置された内部電極121、122は、内部電極連結性のCV値が1.8%以下であってもよい。
【0106】
一実施形態において、MLのうち明るさの強度が上記カバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNL、上記MLの面積に対する上記NLの面積の割合をSL、MWうち明るさの強度が上記カバー部112、113の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下である領域をNW、上記MWの面積に対する上記NWの面積の割合をSWとするとき、SL及びSWは5.5面積%以下であってもよい。
【0107】
[積層型電子部品の製造方法]
上述した本発明の一実施形態による積層型電子部品100をより容易に製造し、かつ製造時間を短縮し、大量に生産することができる製造方法について説明する。ただし、上述した本発明の一実施形態による積層型電子部品100を製造するための製造方法は、下記に述べる製造方法に限定されるものではないことに留意する必要がある。
【0108】
図20は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法を概略的に示す図であり、
図21は、
図20のA、B、C領域を拡大して簡略に示す模式図である。
図20及び
図21を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法について詳細に説明する。
【0109】
本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法は、連続的に供給される高分子シートS上にシリコンパターンSPをコーティングする段階と、上記シリコンパターンSPがコーティングされた高分子シートS上に内部電極用ペーストEPを塗布する段階と、シリコンパターンSP上に配置された内部電極用ペーストEPを連続的に供給されるセラミックグリーンシートGSに転写してセラミックグリーンシート上に内部電極パターンEP'を印刷する段階と、上記内部電極パターンEP'が印刷されたセラミックグリーンシートGSを積層して積層体を形成する段階と、上記積層体を切断して単位積層体を得る段階と、上記単位積層体を焼結して本体を得る段階と、上記本体に外部電極を形成して積層型電子部品を得る段階と、を含むことができる。
【0110】
セラミックグリーンシートに内部電極パターンを印刷する従来の方法には、グラビア印刷、スクリーン印刷などがある。しかし、従来の印刷工法では、内部電極パターンを均一かつ平滑に印刷することに限界があった。特に、内部電極の厚さが次第に薄くなるほど、このような限界はさらに大きくなる。
【0111】
本発明によると、コーティングオフセット印刷(Coating Off-set Printing)方式を適用することにより、内部電極パターンEP'を均一かつ平滑に印刷することが可能であり、内部電極パターンEP'が薄くなっても電極パターンを均一かつ平滑に印刷することができる。
【0112】
コーティングオフセット印刷は、グラビア印刷及びスクリーン印刷とは異なり、メッシュマスク(mesh mask)や網点のある設計デザインを使用せず、シートSの表面にシリコンパターンSPをコーティングした後、シリコンパターンSPがコーティングされたシートSの一面に全体的に内部電極用ペーストEPを塗布するため、ペーストを均一かつ平滑に塗布するのに有利であるという利点がある。以下、本発明の一実施形態による製造方法について、各段階別に説明する。
【0113】
[シリコンパターンコーティング段階]
連続的に供給される高分子シートSにシリコンパターンSPをコーティングする。シリコン(Si)を用いてパターンを形成する場合、10nm以下にシリコンパターンSPを形成することができ、薄い厚さの内部電極パターンEP'を転写するのに有利であるという利点がある。
【0114】
また、一つのシリコンパターンSPによって1回の転写が行われ、シートS及びシリコンパターンSPを再使用しないため、別途の洗浄が不要であり、内部電極パターンEP'の均一性及び平滑性を向上させることができる。
【0115】
高分子シートSを連続的に供給する方法は特に限定する必要はない。一実施形態において、高分子シートSは、シートが巻かれたロール11から高分子シートを巻き戻すロール12に移動することによって連続的に供給されることができる。このとき、高分子シートSは、シリコンパターンをコーティングしやすいポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene Terephthalate)フィルムであってもよい。
【0116】
高分子シートSにシリコンパターンSPをコーティングする方法は特に限定する必要はない。例えば、シリコンパターンコーティングSPのためにロールツーロールインクジェット方式によってシリコンインクをノズルを介して噴射及び乾燥させて所望のパターンでコーティングすることができる。
【0117】
高分子シートが巻かれたロール11から高分子シートを巻き戻すロール12に移動する中間領域には、移動ロール80が配置されて高分子シートが安定して供給されるようにすることができる。
図12及び
図13を参照すると、シリコンパターンSPがコーティングされた高分子シートSを、A領域から内部電極用ペーストを塗布するB領域に移動ロール80を用いて移動させることができる。このとき、A領域とB領域との間に乾燥装置71が設けられてシリコンパターンSPを乾燥させることができる。
【0118】
[内部電極用ペースト塗布段階]
その後、B領域では連続的に供給され、シリコンパターンSPがコーティングされた高分子シートSの一面に全体的に内部電極用ペーストEPを塗布することができる。内部電極用ペーストEPを塗布する方法は特に限定されない。例えば、ダイコータ20を用いて内部電極用ペーストEPを塗布することができる。ダイコータ20は、スリットを介して内部電極用ペーストEPを高分子シートS上に塗布することができ、ダイコータ20と高分子シートS間の距離を調節することにより、高分子シートSに塗布される内部電極用ペーストEPの厚さを調節することができる。
【0119】
図12及び
図13を参照すると、内部電極用ペーストEPが塗布された高分子シートSをB領域から内部電極パターンEP'を印刷するC領域に移動ロール80を用いて移動させることができる。
【0120】
一方、内部電極用ペーストEPが溶剤の多いwet状態で転写工程を行うと、シリコンパターンSPに内部電極用ペーストEPの残留物が発生する可能性があり、内部電極パターンEP'の均一性及び平滑性が低下するおそれがある。そこで、B領域とC領域との間には、内部電極用ペーストEP'を乾燥させる乾燥装置72が設けられて内部電極用ペーストEPを乾燥させることができる。これにより、内部電極用ペーストEPの流動性を最小化して内部電極パターンEP'の均一性及び平滑性を向上させることができる。
【0121】
[内部電極パターン印刷段階]
その後、C領域では、シリコンパターンSP上に配置された内部電極用ペーストEPを連続的に供給されるセラミックグリーンシートGSに転写し、セラミックグリーンシートGS上に内部電極パターンEP'を印刷することができる。
【0122】
セラミックグリーンシートGSは、セラミックグリーンシートGSが巻かれたロール61からセラミックグリーンシートGSを巻き戻すロール62に移動することによって連続的に供給されることができる。セラミックグリーンシートが巻かれたロール61からセラミックグリーンシートを巻き戻すロール62に移動する中間領域には、移動ロール80が配置されてセラミックグリーンシートが安定して供給されるようにすることができる。
【0123】
シリコンパターンSP上に配置された内部電極用ペーストEPは、高分子シート圧動ロール13とセラミックグリーンシート圧動ロール63との間を通過しながらセラミックグリーンシートGS上に転写され、内部電極パターンEP'となることができる。セラミックグリーンシート圧動ロール63は、高分子シート圧動ロール13が回転する方向と反対方向に回転して圧力を加えることによって、シリコンパターンSP上に配置された内部電極用ペーストEPをセラミックグリーンシートGS上に転写することができる。その後、内部電極パターンEP'が印刷されたセラミックグリーンシートGSは乾燥装置73を通過して乾燥されることができる。
【0124】
一実施形態において、内部電極パターンEP'の厚さ偏差は0.1μm以下であってもよい。内部電極パターンEP'の厚さ偏差を0.1μm以下とすることにより、平滑度に優れた内部電極121、122を形成することができ、容量形成部Acの段差を抑制することができる。
【0125】
図22は、内部電極パターンEP'が印刷されたセラミックグリーンシートGSを示すものである。
図23は、本発明の製造方法によって内部電極パターンEP'を印刷した場合、
図22の点線Ldに沿って内部電極パターンEP'の厚さを測定したグラフである。
図24は、グラビア印刷方法によって内部電極パターンEP'を印刷した場合、
図22の点線Ldに沿って内部電極パターンEP'の厚さを測定したグラフである。
【0126】
図23を参照すると、内部電極パターンEP'の最大厚さと最小厚さとの差が0.1μm以下であって、厚さが非常に均一であることが確認できる。これに対し、
図24を参照すると、内部電極パターンEP'の端部が中央部より厚くなる現象であるサドル(saddle)現象が発生し、内部電極パターンEP'の最大厚さと最小厚さとの差が0.2μm以上であって、内部電極パターンEP'の厚さが不均一であることが確認できる。
【0127】
内部電極パターンEP'の平均厚さは特に限定する必要はなく、所望する内部電極121、122の厚さを考慮して決定することができる。ただし、一般に内部電極を0.6μm未満の厚さに薄く形成する場合、特に内部電極の厚さが0.4μm以下の場合には信頼性が低下するおそれがあった。
【0128】
本発明の一実施形態によると、内部電極パターンEP'の厚さが均一で平滑度に優れるため、容量形成部Acの段差を抑制することができ、焼結後の内部電極121、122の平均厚さが0.4μm以下の場合であっても優れた信頼性を確保することができる。
【0129】
したがって、内部電極パターンEP'の平均厚さを制御して焼結後の内部電極121、122の平均厚さが0.4μm以下である場合に、本発明による効果がより顕著になることができ、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0130】
セラミックグリーンシートGSの平均厚さも特に限定する必要はなく、所望する誘電体層111の厚さを考慮して決定することができる。ただし、本発明の一実施形態によると、内部電極パターンEP'の厚さが均一で平滑度に優れるため、容量形成部の段差を抑制することができ、誘電体層111の平均厚さが0.45μm以下の場合であっても優れた信頼性を確保することができる。
【0131】
したがって、セラミックグリーンシートGSの平均厚さを制御して焼結後の誘電体層111の平均厚さが0.45μm以下である場合に、本発明による効果がより顕著になることができ、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0132】
[本体形成段階]
その後、内部電極パターンEP'が印刷されたセラミックグリーンシートGSを積層して積層体を形成することができる。積層体を積層方向(第1方向)から加圧して、圧着させることができる。その後、上記積層体を一つの積層型電子部品100の本体110に対応するサイズに切断して単位積層体を得ることができる。このとき、内部電極パターンEP'の一端が第2方向の両端面(end surface)を介して交互に露出するように切断することができる。その後、上記単位積層体を焼結して本体110を得ることができる。
【0133】
[外部電極形成段階]
その後、上記本体110に外部電極131、132を形成して積層型電子部品100を製造することができる。外部電極131、132を形成する方法は特に限定されず、導電性金属及びガラスを含むペーストにディッピングする方法を用いることができ、導電性金属を含むシートを転写する方式で形成することもできる。また、導電性金属及び樹脂を含むペーストを用いたり、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング(Sputtering)工法などを用いたりして外部電極を形成することもできる。また、めっき工程をさらに行って外部電極131、132がめっき層131b、132bを含むようにしてもよい。
【0134】
(実施例)
ライン性不良面積割合による効果を確認するために、ライン性不良面積割合が異なるサンプルチップを準備した。ここで、ライン性不良とは、カバー部の明るさの強度の平均値に対して110%以上126%以下の明るさの強度を有する領域を意味する。
【0135】
表1において、製造方法は内部電極パターンを印刷する方法を意味する。内部電極パターンを印刷する方法を除く他の工程は同一条件でサンプルチップを製造した。Aは、上述した本発明の一実施形態による積層型電子部品の製造方法によって内部電極パターンを形成し、Gはグラビア印刷方法により内部電極パターンを形成し、Sはスクリーン印刷方法により内部電極パターンを形成したものである。
【0136】
表1においてライン性不良は、本体の第1及び第2方向の断面のML領域又は第1及び第3方向の断面のMW領域で測定したものであり、測定方法は上述したように光学顕微鏡及びSigmaScan Proを用いて測定した。
【0137】
表1において、内部電極連結性は全ての試験番号について測定してはおらず、試験番号1、4及び5について内部電極連結性を測定した。試験番号1は、
図8に示すP1、P2、P3、P4領域をSEMでスキャンした画像である
図10の画像から内部電極連結性を測定し、試験番号4は、
図13に示すP1、P2、 P3、P4領域をSEMでスキャンした画像である
図15の画像から内部電極連結性を測定し、試験番号5は、
図16に示すP1、P2、P3、P4領域をSEMでスキャンした画像である
図18の画像から内部電極連結性を測定した。その後、各平均値、標準偏差及びCV値を計算して下記表1に記載した。
【0138】
表1において、BDV(破壊電圧、Breakdown voltage)割合は、各試験番号当たり100個のサンプルチップを準備した後、電圧を上昇させながら短絡が発生する電圧をBDVとし、100個のサンプルに対するBDV平均値を求めた。試験番号1のBDV平均値を基準値(100%)にして、試験番号2~7の平均BDV値の割合をBDV割合として記載した。
【0139】
【0140】
試験番号1~3の場合、ライン性不良の面積分率が5.5面積%以下であって、BDV特性が非常に優れ、内部電極連結性の標準偏差が1.3以下、CV値が1.8%以下であって、内部電極連結性の散布が極めて優れている。試験番号4~7の場合、ライン性不良の面積分率が5.5面積%を超え、内部電極連結性の標準偏差及びCV値が高く、BDV割合が86%に急激に低下したことが確認できる。試験番号1~7のライン性不良面積割合によるBDV割合を示す
図19を参照すると、ライン性不良の面積分率が5.5面積%超の場合、BDV割合が急激に減少することが確認できる。
【0141】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0142】
また、本発明で使用された「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記に提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態で説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に係る説明として理解されることができる。
【0143】
本発明で使用された用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0144】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
121、122:内部電極
Ac:容量形成部
112、113:カバー部
114、115:マージン部
131、132:外部電極