(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098808
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】セパレータの製造方法およびこれを用いて製造されたセパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/403 20210101AFI20230704BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230704BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230704BHJP
H01M 50/42 20210101ALI20230704BHJP
H01M 50/426 20210101ALI20230704BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20230704BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230704BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230704BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230704BHJP
H01M 50/406 20210101ALI20230704BHJP
【FI】
H01M50/403 Z
H01M50/403 D
H01M50/489
H01M50/417
H01M50/42
H01M50/426
H01M50/429
H01M50/414
H01M50/443 M
H01M50/434
H01M50/403 C
H01M50/406
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107755
(22)【出願日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2021-0191330
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】519103067
【氏名又は名称】ダブル・スコープコリア カンパニー,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522268535
【氏名又は名称】ダブル-スコープ チュンジュ プラント カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100189474
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 修
(72)【発明者】
【氏名】チェ ウォン クン
(72)【発明者】
【氏名】パク テ ボグ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ビョン タク
(72)【発明者】
【氏名】キム ビョン ヒョン
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB04
5H021BB11
5H021BB12
5H021BB13
5H021CC04
5H021EE04
5H021EE05
5H021EE06
5H021EE07
5H021EE10
5H021EE11
5H021EE22
5H021EE32
5H021HH01
(57)【要約】
【課題】多孔性支持体の一面にコーティングされた耐熱層、接着層のような機能層を含むセパレータを製造するに際して、生産性とセパレータの品質をバランスよく実現し、改善できるセパレータの製造方法およびこれを用いて製造されたセパレータを提供する。
【解決手段】(a)第1および第2多孔性支持体をラミネートして、積層体を得る段階と、(b)前記積層体の両面にバインダーおよび溶媒を含む組成物を塗布し、乾燥させて、機能層を形成する段階と、(c)前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2つのセパレータに分割する段階と、を含むセパレータの製造方法およびこれを用いて製造されたセパレータである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1および第2多孔性支持体をラミネートして、積層体を得る段階と、
(b)前記積層体の両面にバインダーおよび溶媒を含む組成物を塗布し、乾燥させて、機能層を形成する段階と、
(c)前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2つのセパレータに分割する段階と、を含む、セパレータの製造方法。
【請求項2】
前記第1および第2多孔性支持体の厚さは、それぞれ、15μm以下である、請求項1に記載のセパレータの製造方法。
【請求項3】
前記第1および第2多孔性支持体は、それぞれ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、エチレンビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンエチルアクリレートおよびこれらのうち2以上の組み合わせまたは共重合物からなる群から選ばれた一つを含む、請求項2に記載のセパレータの製造方法。
【請求項4】
前記バインダーは、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、ポリイミド、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラル、アクリロニトリル-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アルキルアクリレート-アクリロニトリル共重合体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴムおよびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つである、請求項1に記載のセパレータの製造方法。
【請求項5】
前記溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ラクトン、アセトニトリル、n-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ギ酸、ニトロメタン、酢酸、ジメチルスルホキシド、水およびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つである、請求項1に記載のセパレータの製造方法。
【請求項6】
前記組成物は、SiO2、AlO(OH)、Mg(OH)2、Al(OH)3、TiO2、BaTiO3、Li2O、LiF、LiOH、Li3N、BaO、Na2O、Li2CO3、CaCO3、LiAlO2、Al2O3、SiO、SnO、SnO2、PbO2、ZnO、P2O5、CuO、MoO、V2O5、B2O3、Si3N4、CeO2、Mn3O4、Sn2P2O7、Sn2B2O5、Sn2BPO6およびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つの無機粒子をさらに含む、請求項1に記載のセパレータの製造方法。
【請求項7】
前記ラミネート時に前記第1および第2多孔性支持体が相互面接触するように加圧し、前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部を接着させる、請求項1に記載のセパレータの製造方法。
【請求項8】
前記界面の面積に対する前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部の面積の割合は、0.01~0.1である、請求項7に記載のセパレータの製造方法。
【請求項9】
前記分割時に前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部を切断して除去する、請求項8に記載のセパレータの製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のセパレータの製造方法を用いて製造されたセパレータにおいて、
(i)セパレータが巻き取られたロールの中心を第1部材に固定した状態で前記セパレータの縦方向(MD)一端部を水平方向に巻き出して、前記セパレータを水平方向に固定する第2部材に連結する段階と、
(ii)温度25℃、湿度40%の条件で1時間後に前記セパレータの変形を確認し、前記変形による垂直方向の変位を測定する段階と、を含む方法によって測定されたセパレータの特性が、下記条件(1)および(2)のうち少なくとも一つを満たす、セパレータ。
(1)前記セパレータの変形および垂直方向の変位なし。
(2)前記セパレータで垂直方向に5個所以下の下降領域が発生し、前記セパレータが水平方向に固定された面および前記下降領域の最下端の間の距離は、前記セパレータの横方向(TD)幅の10%以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータの製造方法およびこれを用いて製造されたセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、スマートフォン、ノートパソコン、タブレットPCなど小型化、軽量化が要求される各種電気製品の電源に広く用いられており、スマートグリッド、電気自動車用中大型バッテリーに至るまでその適用分野が拡大するにつれて、容量が大きく、寿命が長く、安定性が高いリチウムイオン二次電池の開発が要求されている。
【0003】
前記目的を達成するための手段として、正極と負極を分離させて内部短絡(Internal Short)を防止し、充放電過程でリチウムイオンの移動を円滑にする微細気孔が形成されたセパレータ(Separator)、その中でも熱誘導相分離(Thermally Induced Phase Separation)による気孔の形成に有利であり、経済的であり、セパレータに必要な物性を充足することが容易なポリエチレンなどのポリオレフィンを用いた微細多孔性セパレータに対する研究開発が活発である。
【0004】
しかしながら、溶融点が135℃程度と低いポリエチレンを用いたセパレータは、電池の発熱によって溶融点以上の高温で収縮変形が起こることがある。このような変形によって短絡が発生すると、電池の熱暴走現象を起こして、発火などの安全上の問題点が発生することがある。
【0005】
セパレータの耐熱性を改善するために、多孔性支持体の表面にセラミック粒子をコーティングしたセパレータ、いわゆる、セラミックコーティングセパレータが提案された。ただし、前記セラミックコーティングセパレータは、通気性と関連して相当な技術的課題を残している。すなわち、前記多孔性支持体の表面にセラミック粒子を含む耐熱層をコーティングすると、セパレータの耐熱性は向上するが、前記耐熱層が前記多孔性支持体に形成された気孔を閉鎖してセパレータの通気性を低下させ、それによって、正極と負極間のイオン移動通路が減少して、結果的に、電池の充電および放電性能が大きく低下する問題がある。
【0006】
一方、前記多孔性支持体の表面および/または前記耐熱層の表面に電極に対する接着力を有する接着層をさらに形成して、電極との接着力を向上させ、電池の寿命を延ばそうとする試みが行われたことがあった。
【0007】
耐熱層、接着層のような機能層がコーティングされたセパレータは、一般的に前記多孔性支持体を一定の速度で走行させながら、前記多孔性支持体の一面または両面に前記機能層を形成するための組成物を塗布、乾燥して製造される。
【0008】
従来、厚さが約20μm内外である多孔性支持体の場合、コーティング工程に対する作業性、具体的に、前記多孔性支持体の機械的物性とそれによる走行安定性が適切に確保された。ただし、最近、大容量電池に対する需要が増加するに伴い、前記多孔性支持体の厚さも約15μm以下と薄膜化する傾向にあり、このような薄膜化によって前記多孔性支持体の機械的物性とそれによる走行安定性が不可避的に低下して、前記機能層を形成するための液状の組成物を塗布および乾燥する過程で前記多孔性支持体にシワ、垂下のような変形が起こる問題がある。これに対して、コーティング時に前記多孔性支持体の走行速度を減少させて、作業性を改善する方案が提案されたが、走行速度は、セパレータの生産性に直接的な影響を及ぼす要素であるから、生産性が顕著に低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、多孔性支持体の一面にコーティングされた耐熱層、接着層のような機能層を含むセパレータを製造するに際して、生産性とセパレータの品質をバランスよく実現し、改善できるセパレータの製造方法およびこれを用いて製造されたセパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、(a)第1および第2多孔性支持体をラミネートして、積層体を得る段階と、(b)前記積層体の両面にバインダーおよび溶媒を含む組成物を塗布し、乾燥させて、機能層を形成する段階と、(c)前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2つのセパレータに分割する段階と、を含むセパレータの製造方法を提供する。
【0011】
一実施形態において、前記第1および第2多孔性支持体の厚さは、それぞれ15μm以下であってもよい。
【0012】
一実施形態において、前記第1および第2多孔性支持体は、それぞれ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、エチレンビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンエチルアクリレートおよびこれらのうち2以上の組み合わせまたは共重合物からなる群から選ばれた一つを含んでもよい。
【0013】
一実施形態において、前記バインダーは、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、ポリイミド、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラル、アクリロニトリル-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アルキルアクリレート-アクリロニトリル共重合体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴムおよびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つであってもよい。
【0014】
一実施形態において、前記溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ラクトン、アセトニトリル、n-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ギ酸、ニトロメタン、酢酸、ジメチルスルホキシド、水およびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つであってもよい。
【0015】
一実施形態において、前記組成物は、SiO2、AlO(OH)、Mg(OH)2、Al(OH)3、TiO2、BaTiO3、Li2O、LiF、LiOH、Li3N、BaO、Na2O、Li2CO3、CaCO3、LiAlO2、Al2O3、SiO、SnO、SnO2、PbO2、ZnO、P2O5、CuO、MoO、V2O5、B2O3、Si3N4、CeO2、Mn3O4、Sn2P2O7、Sn2B2O5、Sn2BPO6およびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つの無機粒子をさらに含んでもよい。
【0016】
一実施形態において、前記ラミネート時に前記第1および第2多孔性支持体が相互面接触するように加圧し、前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部を接着させることができる。
【0017】
一実施形態において、前記界面の面積に対する前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部の面積の割合は、0.01~0.1であってもよい。
【0018】
一実施形態において、前記分割時に前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部を切断して除去することができる。
【0019】
本発明の他の一態様は、前記セパレータの製造方法を用いて製造されたセパレータにおいて、(i)セパレータが巻き取られたロールの中心を第1部材に固定した状態で前記セパレータの縦方向(MD)一端部を水平方向に巻き出して、前記セパレータを水平方向に固定する第2部材に連結する段階と、(ii)温度25℃、湿度40%の条件で1時間後に前記セパレータの変形を確認し、前記変形による垂直方向の変位を測定する段階と、を含む方法によって測定されたセパレータの特性が下記条件(1)および(2)のうち少なくとも一つを満たすセパレータを提供する。
(1)前記セパレータの変形および垂直方向の変位なし;(2)前記セパレータで垂直方向に5個所以下の下降領域が発生し、前記セパレータが水平方向に固定された面および前記下降領域の最下端の間の距離は、前記セパレータの横方向(TD)幅の10%以下である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によるセパレータの製造方法は、(a)第1および第2多孔性支持体をラミネートして、積層体を得る段階と、(b)前記積層体の両面にバインダーおよび溶媒を含む組成物を塗布し、乾燥させて、機能層を形成する段階と、(c)前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2つのセパレータに分割する段階と、を含むことによって、セパレータの生産性と品質をバランスよく実現し、改善することができる。
【0021】
本発明の効果は、上記した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または請求範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるセパレータの製造方法を示す図である。
【
図2】
図2(a)および
図2(b)はそれぞれ、
図1のAおよびB領域に該当する積層体の断面を示す図であり、
図2(c)は、分割された2つのセパレータの断面を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の他の一実施形態による積層体の平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の他の一実施形態によるセパレータの特性を測定、評価する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付の図面を参照して本発明を説明することとする。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現することができ、したがって、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係ない部分は省略し、明細書全体を通じて類似の部分に対しては、類似の参照符号を付けた。
【0024】
明細書全体において、任意の部分が他の部分と「連結」されているというとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を間に置いて「間接的に連結」されている場合も含む。また、任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに具備できることを意味する。
【0025】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明することとする。
【0026】
セパレータの製造方法
図1は、本発明の一実施形態によるセパレータの製造方法を示し、
図2(a)および
図2(b)はそれぞれ、
図1のAおよびB領域に該当する積層体の断面を示し、
図2(c)は分割された2つのセパレータの断面を示す。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるセパレータの製造方法は、(a)第1および第2多孔性支持体をラミネートして、積層体を得る段階と、(b)前記積層体の両面にバインダーおよび溶媒を含む組成物を塗布し、乾燥させて、機能層を形成する段階と、(c)前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2つのセパレータに分割する段階と、を含んでもよい。
【0028】
前記(a)段階で、第1および第2多孔性支持体をラミネートして、積層体を得ることができる。前記第1および第2多孔性支持体は、内部に気孔が形成された、多孔膜の一種であってもよく、前記第1および第2多孔性支持体は、素材および物性が同じものであってもよく、このうち少なくとも一つが異なっているものであってもよい。
【0029】
前記第1および第2多孔性支持体は、ポリオレフィンおよび気孔形成剤を含む原料を押出し、Tダイを通じて吐出してシート形態に成形した後、延伸し、前記原料に含まれた前記気孔形成剤を抽出、除去して製造されることができる。
【0030】
前記ポリオレフィンの重量平均分子量は、300,000~2,000,000、好ましくは、300,000~1,000,000、さらに好ましくは、300,000~700,000であってもよく、分子量分布(Mw/Mn)は、3~7であってもよい。前記ポリオレフィンの重量平均分子量が2,000,000超過であれば、粘度が高まって加工性が低下することがあり、300,000未満であれば、粘度が過度に低くなって、原料の分散性が低下したり、セパレータの機械的および/または熱的特性が低下することがある。また、前記ポリオレフィンの分子量分布が3未満であれば、前記ポリオレフィンおよび前記気孔形成剤の分散性が低下して、セパレータで気孔の均一性が低下することがあり、7超過であれば、セパレータの機械的物性が低下することがある。
【0031】
前記ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、エチレンビニルアセテート、エチレンブチルアクリレート、エチレンエチルアクリレートおよびこれらのうち2以上の組み合わせまたは共重合物からなる群から選ばれた一つを含んでもよく、好ましくは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを含んでもよく、さらに好ましくは、ポリエチレンを含んでもよいが、これに限定されるものではない。
【0032】
前記第1および第2多孔性支持体の厚さは、それぞれ、15μm以下、好ましくは、1~15μm、さらに好ましくは、1~10μmであってもよいが、これに限定されるものではない。前記第1および第2多孔性支持体の厚さが1μm未満であれば、前記第1および第2多孔性支持体それぞれの機械的および/または熱的特性が低下することがあり、これらがラミネートされた前記積層体の機械的および/または熱的特性およびそれによるコーティングラインでの走行安定性が低下することがある。反対に、前記第1および第2多孔性支持体の厚さが15μm超過であれば、電池の大容量化およびそれによるセパレータの薄膜化に適していない。前記第1および第2多孔性支持体の厚さが1μm以上であれば、前記第1および第2多孔性支持体それぞれの機械的および/または熱的特性が低下することがなく、これらがラミネートされた前記積層体の機械的および/または熱的特性およびそれによるコーティングラインでの走行安定性が低下することがない。反対に、前記第1および第2多孔性支持体の厚さが15μm以下であれば、電池の大容量化およびそれによるセパレータの薄膜化に適している。
【0033】
図2(a)は、
図1のA領域に該当する積層体の断面図である。
図2(a)を参照すると、前記積層体は、所定の界面を基準として相互面接触するようにラミネートされた前記第1および第2多孔性支持体を含んでもよい。前記ラミネートは、同一幅に裁断されて巻き取られた前記第1および第2多孔性支持体を相互対向するように巻き出すガイド手段、例えば、ガイドロール、および縦方向(MD)に駆動する加圧手段、例えば、加圧ロールを含むラミネーターによって連続的に行われ得る。
【0034】
図3は、本発明の他の一実施形態による積層体の平面図である。
図3を参照すると、前記ラミネート時に前記第1および第2多孔性支持体が相互面接触するように加圧し、かつ、前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部を接着させることができる。前記接着は、前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部に選択的に印加される熱、超音波、高周波、レーザーのような物理的手段によって行われ得、前記接着を通じてコーティングラインを通過する前記積層体の走行安定性およびコーティング作業性を向上させることができ、これを通じて従来のコーティングセパレータに現れる垂下現象などをより効果的に防止することができる。
【0035】
前記界面の面積に対する前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部の面積の割合は、0.01~0.1であってもよい。前記界面の面積に対する前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部の面積の割合が0.01未満であれば、走行安定性およびコーティング作業性を適切に改善できない。前記界面の面積に対する前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部の面積の割合が0.01以上であれば、走行安定性およびコーティング作業性を適切に改善できる。
【0036】
一方、後続工程で前記積層体が円滑に分割されるように、分割時に前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部を切断して除去することができる。除去された前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部は、一般的に廃棄されるが、前記界面の面積に対する前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部の面積の割合が0.1超過であれば、前記第1および第2多孔性支持体の廃棄量が増加し、生産性が低下することがある。除去された前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部は、一般的に廃棄されるが、前記界面の面積に対する前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部の面積の割合が0.1以下であれば、前記第1および第2多孔性支持体の廃棄量が削減し、生産性が低下することがない。
【0037】
特に、前記第1および第2多孔性支持体の横方向(TD)両端部を相互接着させなくても、当該部位で前記組成物が表面張力によって相対的に厚く塗布される、いわゆる、エッジ現象(heavy edge)が発生するので、塗布および乾燥後に、これを切断、除去しなければならない。したがって、本発明による当該部位の接着と切断、除去などは、セパレータの生産性に否定的な影響を及ぼさず、廃棄が不可避な当該部位をコーティング作業性を改善するための手段として適用したものであって、かえって生産性を向上させるのに寄与することができる。
【0038】
前記(b)段階で、前記積層体の両面にバインダーおよび溶媒を含む組成物(スラリー)を塗布し、乾燥させて、前記組成物に含まれた前記溶媒およびその他液状の残留物を一括除去して機能層を形成することができる。前記積層体の両面に塗布される組成物は、組成および物性が同じものであってもよく、このうち少なくとも一つが異なっているものであってもよい。
【0039】
図2(b)は、
図1のB領域に該当する積層体の断面図である。
図1および
図2(b)を参照すると、前記組成物の塗布のためのコーティングラインは、これを通じて走行する前記積層体の上部に配置された第1コーターおよび前記積層体の下部に配置された第2コーターを含んでもよい。
【0040】
前記第1多孔性支持体の上面と前記第2多孔性支持体の下面は、前記積層体の両面を構成することができる。前記第1コーターは、前記積層体の上層を構成する前記第1多孔性支持体の上面に既定の組成を有する前記組成物を塗布して第1機能層を形成することができ、前記第2コーターは、前記積層体の下層を構成する前記第2多孔性支持体の下面に既定の組成を有する前記組成物を塗布して第2機能層を形成することができる。
【0041】
前記第1および第2コーターは、それぞれ、ロールコーター、バーコーター、スプレーコーター、ダイコーター、コンマコーターおよびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つであってもよく、好ましくは、ロールコーターおよび/またはバーコーターであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記バインダーは、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテート、ポリイミド、ポリエチレンオキシド、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリビニルアルコール、シアノエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルスクロース、プルラン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラル、アクリロニトリル-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、アルキルアクリレート-アクリロニトリル共重合体、ポリエチレングリコール、アクリル系ゴムおよびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つであってもよく、好ましくは、カルボキシメチルセルロースおよびアルキルアクリレート-アクリロニトリル共重合体であってもよいが、これに限定されるものではない。例えば、前記機能層において前記カルボキシメチルセルロースおよびアルキルアクリレート-アクリロニトリル共重合体は、それぞれ、1:0.5~1.5の重量比で存在してもよい。
【0043】
前記組成物は、SiO2、AlO(OH)、Mg(OH)2、Al(OH)3、TiO2、BaTiO3、Li2O、LiF、LiOH、Li3N、BaO、Na2O、Li2CO3、CaCO3、LiAlO2、Al2O3、SiO、SnO、SnO2、PbO2、ZnO、P2O5、CuO、MoO、V2O5、B2O3、Si3N4、CeO2、Mn3O4、Sn2P2O7、Sn2B2O5、Sn2BPO6およびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つの無機粒子をさらに含んでもよく、前記無機粒子は、前記機能層および前記セパレータの耐熱性を改善するのに寄与することができる。前記無機粒子は、好ましくは、Al2O3および/または、AlO(OH)であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0044】
前記機能層中の前記無機粒子の含有量は、50~95重量%であってもよい。前記機能層中の前記無機粒子の含有量が50重量%未満であれば、必要なレベルの耐熱性を付与できず、95重量%超過であれば、前記無機粒子の分散性が低下したり、コーティング作業性、加工性が低下することがある。
【0045】
前記無機粒子は、静電気的引力によって結合して凝集する傾向がある。このような無機粒子の凝集は、前記セパレータの表面で物性の均一性を阻害することができる。これに対して、前記組成物は、前記無機粒子の分散性を改善するための添加剤、例えば、分散剤、界面活性剤などをさらに含んでもよい。特に、前記組成物は、分散剤としてヘキサメタリン酸ナトリウム((NaPO3)6)を含んでもよく、前記機能層中の前記ヘキサメタリン酸ナトリウムの含有量は、0.01~1重量%、好ましくは、0.01~0.5重量%であってもよい。前記ヘキサメタリン酸ナトリウムは、前記無機粒子、特に、板状無機粒子の端部に吸着されて、前記端部の(-)電荷を弱化させて、前記無機粒子が凝集するのを効果的に防止して、前記機能層を形成するための前記組成物の貯蔵安定性および前記機能層中の前記無機粒子の分散性を向上させることができる。
【0046】
水溶性組成物を製造するために、前記溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ラクトン、アセトニトリル、n-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ギ酸、ニトロメタン、酢酸、ジメチルスルホキシド、水およびこれらのうち2以上の組み合わせからなる群から選ばれた一つであってもよく、好ましくは、エタノールおよび水、さらに好ましくは、エタノールおよび水がそれぞれ1:10~50の重量比で混合されたものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
前記組成物は、溶媒100重量部に対して、無機粒子30~100重量部、バインダー1~20重量部を含んでもよく、好ましくは、水溶性(水性または水系)であってもよい。前記組成物のうち固形分の含有量は、加工性、作業性、耐熱性間の均衡を考慮して、20~50重量%、好ましくは、30~40重量%に調節することができる。また、前記組成物は、一定量の分散剤、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.01~0.5重量部をさらに含んでもよい。
【0048】
前記積層体の両面、すなわち、一面および他面に形成されたそれぞれの前記機能層の厚さは、同一でも異なっていてもよい。前記積層体の一面または他面に形成された前記機能層の厚さは、1~10μmであってもよい。前記機能層の厚さが1μm未満であれば、必要なレベルの接着性、耐熱性を付与できず、10μm超過であれば、セパレータが厚膜化して、電池または素子の高容量化、小型化、集積化を阻害することができる。
【0049】
一方、前記(b)段階で、前記積層体の両面に前記組成物を塗布する前に、前記積層体を二酸化硫黄(SO2)および酸素(O2)を含む混合ガスの存在下でプラズマ処理することができる。
【0050】
前記プラズマ処理を通じて前記積層体を構成する前記第1および第2多孔性支持体の表面および/または内部気孔の表面を親水化して、前記積層体の両面と前記組成物の結合力を向上させることができ、それによって、セパレータの耐久性、特に、長期耐久性と耐熱性を顕著に向上させることができる。
【0051】
従来、多孔性支持体の表面を親水化するために、硫酸などに一定時間浸漬してスルホン化させる湿式工程(wet process)が主に使用されたが、この場合、前記湿式工程がプラズマ処理に先行または後行なるなど前記プラズマ処理と別に行われて、工程が複雑で、多量の工程廃液が発生する問題がある。
【0052】
これに対して、前記プラズマ処理時に使用される工程ガスは、従来の空気、酸素および/または不活性ガスだけでなく、一定量の二酸化硫黄ガスを含むので、多孔性支持体を硫酸などに浸漬するなどの湿式工程なしに、前記プラズマ処理という単一の乾式工程(dry process)を通じて多孔性支持体の表面と内部気孔の表面に-SO3のような官能基を生成して、すなわち、スルホン化して、多孔性支持体の親水性とイオン伝導性を極大化することができ、従来の複雑な工程を単純化することができ、環境的観点でも有利である。
【0053】
前記プラズマ処理時に使用される工程ガスである前記混合ガスは、二酸化硫黄50~90体積%および酸素10~50体積%、好ましくは、二酸化硫黄60~80体積%および酸素20~40体積%、さらに好ましくは、二酸化硫黄70~80体積%および酸素20~30体積%を含んでもよい。前記混合ガス中、二酸化硫黄の含有量が50体積%未満であれば、前記多孔性支持体に必要なレベルの親水性を実現できず、90体積%超過であれば、工程が不安定になりえる。前記混合ガス中、二酸化硫黄の含有量が50体積%以上であれば、前記多孔性支持体に必要なレベルの親水性を実現でき、90体積%以下であれば、工程が安定になりえる。
【0054】
前記プラズマ処理は、0.5~90分、好ましくは、0.5~20分間行われ得る。前記プラズマ処理が0.5分未満で行われると、前記多孔性支持体が必要なレベルに親水化、スルホン化ができず、90分超過で行われると、親水化度、スルホン化度が一定のレベルに収束して、工程効率が低下することがある。
【0055】
前記(c)段階で、前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を2つのセパレータに分割することができる。
図2(c)は、分割された2つのセパレータの断面を示す。
図2(c)を参照すると、前記積層体は、前記ラミネートによって形成された界面に沿って、前記第1多孔性支持体の一面に前記第1コーターによって形成された第1機能層を含む第1セパレータと、前記第2多孔性支持体の一面に前記第2コーターによって形成された第2機能層を含む第2セパレータに分割されることができる。
【0056】
前記(a)~(c)段階は、連続的に行われることができ、これを通じて、単一のコーティングおよび乾燥ラインを通じて2つの断面コーティングセパレータを同時に得ることができるので、生産性が顕著に向上することができるだけでなく、前記コーティングおよび乾燥ラインで確保された前記支持体の機械的物性、走行安定性、作業性を基にセパレータの物性を従来と同等またはそれ以上のレベルで実現することができる。
【0057】
セパレータ
本発明の他の一態様は、前記セパレータの製造方法を用いて製造されたセパレータにおいて、(i)セパレータが巻き取られたロールの中心を第1部材に固定した状態で前記セパレータの縦方向(MD)一端部を水平方向に巻き出して、前記セパレータを水平方向に固定する第2部材に連結する段階と、(ii)温度25℃、湿度40%の条件で1時間後に前記セパレータの変形を確認し、前記変形による垂直方向の変位を測定する段階と、を含む方法により測定されたセパレータの特性が、下記条件(1)および(2)のうち少なくとも一つを満たすセパレータを提供する。
(1)前記セパレータの変形および垂直方向の変位なし;(2)前記セパレータで垂直方向に5個所以下の下降領域が発生し、前記セパレータが水平方向に固定された面および前記下降領域の最下端の間の距離、すなわち、前記下降領域の深さは、前記セパレータの横方向(TD)幅の10%以下である。
【0058】
本明細書において使用された用語、「下降領域」とは、前記第1および第2部材間に水平方向に固定された前記セパレータが重力によって部分的および/または全体的に解除されて、垂直方向に下降して垂れ下がることによって発生した領域を意味する。前記下降領域は、前記セパレータの縦方向(MD)および/または横方向(TD)に沿って生成されることができ、その形態と規格が特に限定されるものではない。
【0059】
図4は、本発明の他の一実施形態によるセパレータの特性を測定、評価する方法を示す。前記セパレータは、前記(c)段階で分割された前記第1および第2セパレータのうち一つであってもよく、前記第1および/または第2多孔性支持体、前記第1および/または第2コーティング層の組成、厚さ、作用効果などについては、前述したのと同じである。
【0060】
最近、大容量電池に対する需要が増加するに伴い、前記多孔性支持体の厚さも約15μm以下と薄膜化する傾向にあり、このような薄膜化によって前記多孔性支持体の機械的物性とそれによる走行安定性が不可避的に低下して、前記機能層を形成するための液状の組成物を塗布および乾燥する過程で、前記多孔性支持体にシワ、垂下のような変形が起こる問題がある。前記多孔性支持体および前記機能層を含むセパレータに任意のシワ、垂下が発生する場合、電池との組み立て性が低下するだけでなく、長期保管時に前記機能層に含まれた無機粒子、バインダーのような物質の分布が前記シワ、垂下によって不均一になって、セパレータの物性に局部的な偏差を引き起こして、製品の信頼性が低下することがある。
【0061】
このように、液状の組成物をコーティングおよび乾燥して形成された前記機能層を含むセパレータの場合、その平滑度とそれによる物性、構造的安定性を均一に実現し、長期間の間維持することが非常に重要である。
【0062】
前記(a)段階で、前記第1および第2多孔性支持体のラミネートによって形成された前記積層体は、前記(b)段階に要求される機械的物性、走行安定性、コーティング作業性を満たすことができる。具体的に、前記積層体において前記第1および第2多孔性支持体は、厚さとそれによる機械的物性を相互補完して、前記第1および第2多孔性支持体として厚さが薄いものを適用し/適用するか、コーティングラインでの走行速度を80m/分、好ましくは、100m/分以上に上向いた場合にも、適切なコーティング作業性を確保することができる。
【実施例0063】
以下、本発明の実施例に関して詳細に説明することとする。
【0064】
製造例1-1
重量平均分子量(Mw)が350,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が5である高密度ポリエチレン(HDPE)30重量部および40℃での動粘度が70cStであるパラフィンオイル70重量部を混合して、2軸押出器(内径58mm、L/D=56)に投入した。スクリュー回転速度40rpm、200℃の条件で前記2軸押出器で幅が300mmであるTダイ(T-Die)で吐出させた後、温度が40℃であるキャスティングロール(casting roll)を通過させて、厚さが900μmであるベースシートを製造した。
【0065】
前記ベースシートをロール延伸器により110℃で縦方向(MD)に6倍延伸し、テンター延伸機により125℃で横方向(TD)に7倍延伸して、フィルムを製造した。前記フィルムを25℃のジクロロメタン浸出槽に含浸して、1分間パラフィンオイルを抽出、除去し、50℃で5分間乾燥して、多孔性フィルムを製造した。その後、130℃で横方向(TD)に10%弛緩させて熱固定して、厚さが9μmである多孔性支持体を製造した。
【0066】
製造例1-2
重量平均分子量(Mw)が350,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が5である高密度ポリエチレン(HDPE)30重量部および40℃での動粘度が70cStであるパラフィンオイル70重量部を混合して、2軸押出器(内径58mm、L/D=56)に投入した。スクリュー回転速度40rpm、200℃の条件で前記2軸押出器で幅が300mmであるTダイ(T-Die)で吐出させた後、温度が40℃であるキャスティングロール(casting roll)を通過させて、厚さが500μmであるベースシートを製造した。
【0067】
前記ベースシートをロール延伸機により110℃で縦方向(MD)に6倍延伸し、テンター延伸機により125℃で横方向(TD)に7倍延伸して、フィルムを製造した。前記フィルムを25℃のジクロロメタン浸出槽に含浸して、1分間パラフィンオイルを抽出、除去し、50℃で5分間乾燥して、多孔性フィルムを製造した。その後、130℃で横方向(TD)に10%弛緩させて熱固定して、厚さが5μmである多孔性支持体を製造した。
【0068】
製造例1-3
重量平均分子量(Mw)が350,000であり、分子量分布(Mw/Mn)が5である高密度ポリエチレン(HDPE)30重量部および40℃での動粘度が70cStであるパラフィンオイル70重量部を混合して、2軸押出器(内径58mm、L/D=56)に投入した。スクリュー回転速度40rpm、200℃の条件で前記2軸押出器で幅が300mmであるTダイ(T-Die)で吐出させた後、温度が40℃であるキャスティングロール(casting roll)を通過させて、厚さが400μmであるベースシートを製造した。
【0069】
前記ベースシートをロール延伸機により110℃で縦方向(MD)に6倍延伸し、テンター延伸機により125℃で横方向(TD)に7倍延伸して、フィルムを製造した。前記フィルムを25℃のジクロロメタン浸出槽に含浸して、1分間パラフィンオイルを抽出、除去し、50℃で5分間乾燥して、多孔性フィルムを製造した。その後、130℃で横方向(TD)に10%弛緩させて熱固定して、厚さが4μmである多孔性支持体を製造した。
【0070】
製造例2
カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル-アクリロニトリル共重合体ラテックス、アルミナ(酸化アルミニウム、Al
2O
3)、分散剤((NaPO
3)
6)、界面活性剤、水、エタノールを下記表1の割合で混合した後、ボールミルで分散させて、水分散セラミックスラリーを製造した。
【表1】
【0071】
実施例1
前記製造例1-1による前記多孔性支持体2枚(第1および第2多孔性支持体)が相互面接触するようにラミネートされた積層体を得た。
【0072】
前記積層体の両面に製造例2による水分散セラミックスラリーを塗布し、かつ、110メッシュのコーティングロールでグラビアコーティングし、熱風オーブンで80℃の温度で1時間乾燥して、各一面の厚さが3μmである機能層(耐熱層)を形成した。前記コーティングロールに沿って移動する前記積層体の縦方向(MD)走行速度は120m/分であった。
【0073】
前記積層体中、前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を分割して、前記第1多孔性支持体の一面に第1機能層が形成された第1セパレータと、前記第2多孔性支持体の一面に第2機能層が形成された第2セパレータを製造した。
【0074】
実施例2
前記製造例1-1による前記多孔性支持体2枚(第1および第2多孔性支持体)が相互面接触するようにラミネートされた積層体を得た。ラミネート時に前記積層体の界面の総面積の2%に該当する前記積層体の両端部を加熱して、前記積層体の両端部を接合(融着)した。前記積層体の両端部で接合された部位は相互対称であった。
【0075】
前記積層体の両面に製造例2による水分散セラミックスラリーを塗布し、かつ、110メッシュのコーティングロールでグラビアコーティングし、熱風オーブンで80℃の温度で1時間乾燥して、各一面の厚さが3μmである機能層(耐熱層)を形成した。前記コーティングロールに沿って移動する前記積層体の縦方向(MD)走行速度は120m/分であった。
【0076】
前記積層体中、接合された両端部を切断して除去し、前記ラミネートによって形成された界面に沿って前記積層体を分割して、前記第1多孔性支持体の一面に第1機能層が形成された第1セパレータと、前記第2多孔性支持体の一面に第2機能層が形成された第2セパレータを製造した。
【0077】
実施例3
前記製造例1-1の代わりに、前記製造例1-2による前記多孔性支持体2枚(第1および第2多孔性支持体)が相互面接触するようにラミネートされた積層体を適用し、かつ、前記積層体の両面に形成された機能層(耐熱層)の各一面の厚さを2.5μmに変更したことを除いて、前記実施例1と同じ方法で第1および第2セパレータを製造した。
【0078】
実施例4
前記製造例1-1の代わりに、前記製造例1-3による前記多孔性支持体2枚(第1および第2多孔性支持体)が相互面接触するようにラミネートされた積層体を得て、前記積層体の両面に形成された機能層(耐熱層)の各一面の厚さを2μmに変更したことを除いて、前記実施例1と同じ方法で第1および第2セパレータを製造した。
【0079】
比較例1
前記製造例1-1による前記多孔性支持体の一面に製造例2による水分散セラミックスラリーを塗布し、かつ、110メッシュのコーティングロールでグラビアコーティングし、熱風オーブンで80℃の温度で1時間乾燥して、一面に厚さが3μmである機能層(耐熱層)が形成されたセパレータを製造した。前記コーティングロールに沿って移動する前記多孔性支持体の縦方向(MD)走行速度は80m/分であった。
【0080】
比較例2
前記コーティングロールに沿って移動する前記多孔性支持体の縦方向(MD)走行速度を100m/分に変更したことを除いて、前記比較例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0081】
比較例3
前記コーティングロールに沿って移動する前記多孔性支持体の縦方向(MD)走行速度を120m/分に変更したことを除いて、前記比較例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0082】
比較例4
前記製造例1-1の代わりに、前記製造例1-2による前記多孔性支持体を適用し、かつ、前記多孔性支持体の一面に形成された機能層(耐熱層)の厚さを2.5μmに変更したことを除いて、前記比較例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0083】
比較例5
前記コーティングロールに沿って移動する前記多孔性支持体の縦方向(MD)走行速度を100m/分に変更したことを除いて、前記比較例4と同じ方法でセパレータを製造した。
【0084】
比較例6
前記製造例1-1の代わりに、前記製造例1-3による前記多孔性支持体を適用し、かつ、前記多孔性支持体の一面に形成された機能層(耐熱層)の厚さを2μmに変更したことを除いて、前記比較例1と同じ方法でセパレータを製造した。
【0085】
実験例1
前記実施例および比較例で製造されたセパレータの厚さおよび熱収縮率を次のような方法で測定した。温度に対する別途の言及がない場合、常温(25℃)で測定し、その結果を下記表2に示した。
【0086】
-厚さ(μm):微細厚さ測定機を用いて支持体試験片の厚さを測定した。
-熱収縮率(%):130℃のオーブンで1時間、大きさが200×200mmの分離膜試験片をA4紙の間に入れて放置した後、常温冷却して試験片の横及び縦方向の収縮した長さを測定し、下記計算式を用いて熱収縮率を計算した。
熱収縮率(%)=(l
3-l
4)/l
3×100
(上記の計算式において、l
3は収縮前の試料の水平方向または垂直方向の長さであり、l
4は収縮後の試料の水平方向または垂直方向の長さである。)
【表2】
【0087】
実験例2
前記実施例および比較例で製造されたセパレータが巻き取られたロールの中心を台車に固定した状態で前記セパレータの縦方向(MD)一端部を水平方向に巻き出して、前記セパレータを水平方向に固定する治具に連結した(
図4参照)。
【0088】
温度25℃、湿度40%の条件で1時間後に前記セパレータの変形を確認し、前記変形による垂直方向の変位を測定した。前記セパレータの変形による垂下特性を次のような基準によって優秀(◎)、良好(○)、不良(X)で評価し、その結果を下記表3に示した。
-優秀(◎):セパレータの変形および垂直方向の変位がない場合
-良好(○):セパレータで垂直方向に5個所以下の下降領域が発生し、前記セパレータが水平方向に固定された面および前記下降領域の最下端の間の距離が前記セパレータの横方向(TD)幅の10%以下である場合
-不良(X):優秀、良好に該当しない場合
【表3】
【0089】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形が可能であることが理解できる。したがって、以上で記述した実施形態は、すべての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解すべきである。例えば、単一型と説明されている各構成要素は、分散して実施されることもでき、同様に、分散したものと説明されている構成要素も、結合された形態で実施されることができる。
【0090】
本発明の範囲は、後述する請求範囲によって示され、請求範囲の意味および範囲そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈すべきである。