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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098816
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20230704BHJP
   C08J 5/04 20060101ALI20230704BHJP
   C08K 5/09 20060101ALI20230704BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20230704BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20230704BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20230704BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20230704BHJP
   C08K 5/524 20060101ALI20230704BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20230704BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20230704BHJP
   C08L 63/08 20060101ALI20230704BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
C08L67/02
C08J5/04 CFD
C08K5/09
C08L23/08
C08K3/01
C08K3/016
C08K5/13
C08K5/524
C08K7/14
C08K9/06
C08L63/08
C08L33/14
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022155647
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】110149359
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.201,TUNG HWA N.RD.,TAIPEI,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195017
【弁理士】
【氏名又は名称】水間 章子
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲テ▼超
(72)【発明者】
【氏名】曹 俊哲
(72)【発明者】
【氏名】鄭 文瑞
(72)【発明者】
【氏名】劉 岳欣
【テーマコード(参考)】
4F072
4J002
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA08
4F072AB09
4F072AC06
4F072AD04
4F072AD09
4F072AD37
4F072AD52
4F072AE07
4F072AE10
4F072AE14
4F072AF15
4F072AF19
4F072AG05
4F072AK02
4F072AK15
4F072AL11
4J002BB082
4J002BB153
4J002BG073
4J002CD193
4J002CF061
4J002DE136
4J002DE236
4J002DH037
4J002DH047
4J002DH057
4J002DJ016
4J002DJ046
4J002DL008
4J002EG026
4J002EJ007
4J002EU187
4J002EW047
4J002EW067
4J002FA048
4J002FB158
4J002FD018
4J002FD037
4J002FD137
4J002FD203
4J002FD206
4J002GQ00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハロゲンフリー及び無毒の難燃性製品を得るために、リン系難燃剤及び窒素系難燃剤によってPET材料の難燃性を改善する、耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料を提供する。
【解決手段】本発明は、PET樹脂と、核剤と、難燃剤と、酸化防止剤と、桿状の充填及び強化材料と、相溶化剤とを含む耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料を提供する。PET樹脂は、バージンペレット又は環境に優しい再生ペレットを含み、再生材料の導入の要求に応えることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PET樹脂と、
核剤と、
難燃剤と、
酸化防止剤と、
桿状の充填及び強化材料と、
相溶化剤とを含む、
耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項2】
前記耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の全重量に基づくと、前記PET樹脂の添加量は58重量%から72重量%であり、前記核剤の添加量は0.5重量%から2重量%であり、前記難燃剤の添加量は10重量%から18重量%であり、前記酸化防止剤の添加量は0.1重量%から1重量%であり、前記桿状の充填及び強化材料の添加量は10重量%から15重量%であり、前記相溶化剤の添加量は3重量%から6重量%である、請求項1に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項3】
前記PET樹脂は、バージンペレット又は環境に優しい再生ペレットを含む、請求項1に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項4】
前記PET樹脂のインヘレント粘度は0.55から1.0である、請求項1に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項5】
前記核剤は、有機核剤、無機核剤、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項6】
前記有機核剤は、有機ナトリウム塩を含み、前記有機ナトリウム塩は、安息香酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム、又はエチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)を含む、請求項5に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項7】
前記無機核剤は、無機マイクロナノ粉末を含み、前記無機マイクロナノ粉末は、タルク、二酸化チタン、シリカ、又は炭酸カルシウムを含む、請求項5に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項8】
前記難燃剤は、ハロゲンフリーの難燃剤であり、前記ハロゲンフリーの難燃剤は、窒素系難燃剤、リン系難燃剤、又はそれらの複合混合物を含む、請求項1に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項9】
前記酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ハイブリッド系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、複合系酸化防止剤、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項10】
前記桿状の充填及び強化材料は、シロキサン変性ガラス繊維を含む、請求項1に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【請求項11】
前記相溶化剤は、エチレンメチルアクリレートグリシジルメタクリレート共重合体(E-MA-GMA)、ポリオレフィンエラストマーグラフトグリシジルメタクリレート(POE-g-GMA)、ポリエチレングラフトグリシジルメタクリレートグリセリド(PE-g-GMA)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はポリエステル材料に関し、特に、耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料に関する。
【0002】
将来的に、市場は、次第に循環経済、エネルギー節約及び炭素削減の傾向につながるであろう。このような市場の傾向の下、低炭素再生材料の製品の導入は、将来の産業的発展の重要な目標である。再生材料の導入は、機械的特性及び加工性が影響を受けないことを前提としており、環境に優しい再生材料の導入は、プラスチックを削減し、世界規模でエネルギーを節約するという目標を達成することを促進するであろう。
【0003】
PETポリエステル材料は、プラスチック材料の中で最も完成した再生産業チェーンを有する材料であり、そのリサイクル源は、プラスチックボトル、離型フィルム、産業フィルムなどを含む。固相重合及び鎖伸張変性を経て、再生PETの機械的特性は、バージンPETと同等になり得る。しかしながら、その耐衝撃性、結晶化速度、剛性(曲げ弾性率)及び難燃性は、コンピューター部品、オフィスケーシング、及びバッテリー電気ケーシングなどのハイエンドの電子製品及び電気製品のニーズを満たすことができない。
【0004】
上記に基づいて、耐衝撃性、結晶化速度、剛性(曲げ弾性率)及び難燃性を効果的に改善する、耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の開発は、当業者が熱望している目標である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、ハロゲンフリー及び無毒の難燃性製品を得るために、リン系難燃剤及び窒素系難燃剤によってPET材料の難燃性を改善する、耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料を提供する。混合及び変性技術により、PET材料の遅い結晶化速度、不十分な衝撃強度及び剛性の問題を改善することができるため、コンピューター部品、オフィスキャビネット、バッテリー及び電気ハウジング、コネクターなどの電子製品及び電気製品に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示による耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料は、PET樹脂と、核剤と、難燃剤と、酸化防止剤と、桿状の充填及び強化材料と、相溶化剤とを含む。
【0007】
本開示の一実施形態において、耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の全重量に基づくと、PET樹脂の添加量は58重量%から72重量%であり、核剤の添加量は0.5重量%から2重量%であり、難燃剤の添加量は10重量%から18重量%であり、酸化防止剤の添加量は0.1重量%から1重量%であり、桿状の充填及び強化材料の添加量は10重量%から15重量%であり、相溶化剤の添加量は3重量%から6重量%である。
【0008】
本開示の一実施形態において、PET樹脂は、バージンペレット又は環境に優しい再生ペレットを含む。環境に優しい再生ペレットの源は、ボトル、フィルム材料、布地、又は産業用の再生された環境に優しいポリエステルペレット(離型フィルムなど)のための再生ペレットを含む。
【0009】
本開示の一実施形態において、PET樹脂のインヘレント粘度(I.V.)は0.55から1.0である。
【0010】
本開示の一実施形態において、核剤は、有機核剤、無機核剤、又はそれらの混合物を含む。
【0011】
本開示の一実施形態において、有機核剤は、有機ナトリウム塩を含み、有機ナトリウム塩は、安息香酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム、又はエチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)を含む。
【0012】
本開示の一実施形態において、無機核剤は、無機マイクロナノ粉末を含み、無機マイクロナノ粉末は、タルク、二酸化チタン、シリカ、又は炭酸カルシウムを含む。
【0013】
本開示の一実施形態において、難燃剤は、ハロゲンフリーの難燃剤であり、ハロゲンフリーの難燃剤は、窒素系難燃剤、リン系難燃剤、又はそれらの複合混合物を含む。
【0014】
本開示の一実施形態において、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ハイブリッド系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、複合系酸化防止剤、又はそれらの組み合わせを含む。
【0015】
本開示の一実施形態において、桿状の充填及び強化材料は、シロキサン変性ガラス繊維を含む。
【0016】
本開示の一実施形態において、相溶化剤は、エチレンメチルアクリレートグリシジルメタクリレート共重合体(E-MA-GMA)、ポリオレフィンエラストマーグラフトグリシジルメタクリレート(POE-g-GMA)、ポリエチレングラフトグリシジルメタクリレートグリセリド(PE-g-GMA)、又はそれらの組み合わせを含む。
【発明の効果】
【0017】
上記に基づいて、本開示は、ハロゲンフリー及び無毒の難燃性製品を得るために、リン系難燃剤及び窒素系難燃剤によってPET材料の難燃性を改善する、耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料を提供する。混合及び変性技術により、PET材料の遅い結晶化速度、不十分な衝撃強度及び剛性の問題を改善することができるため、コンピューター部品、オフィスキャビネット、バッテリーハウジング及び電気ハウジング、コネクターなどの電子製品及び電気製品に使用することができる。さらに、本開示で使用されるPET材料は、PETバージン樹脂に加えて、環境に優しい再生PET(PCR-PET)であり得、その機械的特性、難燃性特性及び加工性は、バージン樹脂と同等である。したがって、再生材料を取り込むという要件を達成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。ただし、これらの実施形態は一例であり、本開示はこれに限定されない。
【0019】
本明細書において、「ある数値から別の数値」で表される範囲は、明細書における範囲内の数値の全てを記載することを避けるための簡略化した表現である。したがって、特定の数値範囲の記載は、明細書における任意の数値及びそのより小さい数値範囲の場合と同様に、数値範囲内の任意の数値と、その数値範囲内の任意の数値によって定義されるより小さい数値範囲とをカバーするものである。
【0020】
本開示による耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料は、PET樹脂と、核剤と、難燃剤と、酸化防止剤と、桿状の充填及び強化材料と、相溶化剤とを含む。以下、上記成分について詳細に説明する。
【0021】
PET樹脂
本実施形態において、PET樹脂は、バージンペレット又は環境に優しい再生ペレットを含み得、環境に優しい再生ペレットの源は、再生材料の取り込みの必要性を達成するために、ボトル、フィルム材料、布地、又は産業用の再生された環境に優しいポリエステルペレット(離型フィルムなど)のための再生ペレットを含み得る。ただし、本開示はこれに限定されない。PET樹脂のインヘレント粘度は、例えば0.55から1.0である。耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の全重量に基づくと、PET樹脂の添加量は、例えば58重量%から72重量%である。
【0022】
核剤
本実施形態において、核剤は、有機核剤、無機核剤、又はそれらの混合物を含み得る。有機核剤は、有機ナトリウム塩を含み得、有機ナトリウム塩は、安息香酸ナトリウム、モンタン酸ナトリウム、又はエチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)を含み得る。無機核剤は、無機マイクロナノ粉末を含み得、無機マイクロナノ粉末は、タルク、二酸化チタン、シリカ、又は炭酸カルシウムを含み得る。耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の全重量に基づくと、結晶性核剤の添加量は、例えば0.5重量%から2重量%であり、好ましくは1重量%から1.5重量%である。核剤を添加すると、PET材料の結晶化及び固化の速度が上昇し、それによって加工性が改善する。
【0023】
難燃剤
本実施形態において、RoHSの及び製品のハロゲンフリーの要求を満たすために、難燃剤はハロゲンフリー難燃剤である。ハロゲンフリーの難燃剤は、窒素系難燃剤、リン系難燃剤、又はそれらの複合混合物を含み得る。リン系難燃剤は、ビスリン酸ペンタエリトリトールメラミン塩(MPP)、ポリリン酸アンモニウム(APP)、トルエンキシリルリン酸塩、又は次亜リン酸塩を含み得る。窒素系難燃剤は、メラミンシアヌレート(MCA)、メラミン等を含み得る。より具体的には、次亜リン酸塩とメラミンシアヌレート(MCA)との化合物の効果がより良い。次亜リン酸塩とメラミンシアヌレート(MCA)の比率は、4:1から1:1であり、最良の比率は、例えば2:1である。耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の全重量に基づくと、難燃剤の添加量は、例えば10重量%から18重量%である。難燃剤は、表面上での炭化によるPETの燃焼を抑制して、難燃性特性を改善することができる。
【0024】
酸化防止剤
本実施形態において、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、ハイブリッド系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、複合系酸化防止剤、又はそれらの組み合わせを含み得る。耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の全重量に基づくと、酸化防止剤の添加量は、例えば0.1重量%から1重量%である。酸化防止剤は、材料の耐熱性と加工性とを改善することができる。
【0025】
桿状の充填及び強化材料
本実施形態において、桿状の充填及び強化材料は、シロキサン変性ガラス繊維を含み得る。表面がシロキサンで変性され、相溶性が改善する。ガラス繊維の直径は、例えば、10μmから13μmであり、カットストランドの長さは、例えば、3mmから4mmである。耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の全重量に基づくと、桿状の充填及び強化材料の添加量は、例えば10重量%から15重量%である。桿状の充填及び強化材料は、材料の衝撃強度及び剛性を効果的に改善することができ、物理的性質の改善効果は、桿状の充填及び強化材料の分散度に直接的に関係している。したがって、PET中の桿状の充填及び強化材料の分散性を改善するために、GMAでグラフトされた相溶化剤を同時に導入する必要がある。
【0026】
相溶加剤
本実施形態において、相溶化剤は、エチレンメチルアクリレートグリシジルメタクリレート共重合体(E-MA-GMA)、ポリオレフィンエラストマーグラフトグリシジルメタクリレート(POE-g-GMA)、ポリエチレングラフトグリシジルメタクリレートグリセリド(PE-g-GMA)、又はそれらの組み合わせを含み得る。耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の全重量に基づくと、相溶化剤の添加量は、例えば3重量%から6重量%である。相溶化剤は、桿状の充填及び強化材料とPET樹脂との相溶性を改善して、材料の強化効果を改善することができる。
【0027】
本開示の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料の改質プロセスは、以下の工程を含む。まず、PET樹脂と、核剤と、酸化防止剤と、相溶化剤とを、230℃から250℃の主供給温度で押出機に加える。その後、難燃剤を供給温度230℃から250℃で押出機に加える。次に、桿状の充填及び強化材料を、255℃から275℃の供給温度で押出機に加える。最後に、245℃から265℃の真空温度で、本開示の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料を製造する。
【0028】
以下、本開示の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料を実施例によって詳細に説明する。ただし、以下の実施例は、本開示を限定することを意図していない。
【実施例0029】
本開示によって提案されたポリエステル組成物が優れた機械的特性を有し、さらに良好な難燃性特性を有し得ることを証明するために、この実施例は特に以下で実施される。
【0030】
試験方法
比重:ASTM D792
引張強度、伸び:ASTM D638
曲げ強度、曲げ弾性率:ASTM D790
難燃剤:UL94
【0031】
材料特性評価
コンピュータ部品用のPC+ABSと、未変性PETと、難燃性変性のない15%ガラス繊維強化PET(PET+15%GF)と、本開示の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料とについて、上記試験方法によって試験し、その結果を以下の表1に示す。表1中、本開示の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料は、63.7重量%のPET樹脂と、1重量%の結晶性核剤と、15重量%の難燃剤と、0.3重量%の酸化防止剤と、15重量%の桿状の充填及び強化材料と、5重量%の相溶化剤とを含む。
【0032】
表1に示すように、本開示の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料は、未変性PET及び難燃性変性のない15%ガラス繊維強化PET(PET+15%GF)と比較して、コンピュータ部品用のPC+ABSと同様の難燃性を有し、良好な機械的特性も有する。
【0033】
【表1】
【0034】
要約すると、本開示の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料は、難燃剤と、核剤と、桿状の充填及び強化材料などの添加剤を含む。核剤を添加すると、PET材料の結晶化及び固化の速度が上昇し、それによってその加工性が改善する。難燃剤は、表面上の炭化によるPETの燃焼を抑制し、難燃性を改善することができる。桿状の充填及び強化材料は、材料の衝撃強さ及び剛性を効果的に改善することができ、物理的特性の改善効果は、桿状の強化材料の分散度に直接的に関係する。したがって、桿状の強化材料を改善するために、GMAでグラフトされた相溶化剤を同時に導入する必要がある。酸化防止剤は、材料の耐熱性と加工性とを改善することができる。このようにして、PET材料の遅い結晶化速度、不十分な衝撃強度及び剛性の問題を効果的に改善することができるため、射出成形によって、コンピューター部品、オフィスキャビネット、バッテリーハウジング及び電気ハウジング、コネクターなどの電子製品及び電気製品に使用することができる。さらに、本開示で使用されるPET材料は、PETバージンペレットに加えて、環境に優しい再生PET(PCR‐PET)に取り込むこともでき、機械的特性、難燃性特性、及び加工性は、バージンペレットと同等である。その結果、再生材料の導入の要求を達成することができ、より循環経済の傾向に沿ったものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本開示の耐衝撃性及び難燃性ポリエステル材料は、射出成形によって、コンピューター部品、オフィスキャビネット、バッテリーハウジング及び電気ハウジング、コネクターなどの電子製品及び電気製品に適用され得る。
【外国語明細書】