(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098843
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】光学干渉フィルタ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20230704BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20230704BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B5/26
H01L27/146 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022200166
(22)【出願日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/265,566
(32)【優先日】2021-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/063,930
(32)【優先日】2022-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ジェイ オケンファス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】励起光を遮断し、サンプルによって放出された光を通過させるための追加の構成要素を必要としない光学フィルタの提供
【解決手段】光学干渉フィルタは、基板と、基板上に配置される複数の層の複数のセットと、を備える。複数の層のそれぞれのセットは、少なくとも第1の酸化物を含む第1の層と、第1の層の上に配置され、少なくとも第2の酸化物を含む第2の層と、第2の層の上に配置され、少なくとも水素およびシリコンを含む第3の層と、を含む。光学干渉フィルタは、第1のスペクトル範囲(例えば、585ナノメートルから700ナノメートルまで)に関連する光を透過させ、第2のスペクトル範囲(例えば、440ナノメートルから475ナノメートルまで)に関連する光を遮断するように構成されてよい。第3の層は、第1のスペクトル範囲に対する第3の層の減衰係数の4倍より大きい第2のスペクトル範囲に対する減衰係数を有していてよい。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学干渉フィルタであって、
基板と、
前記基板上に配置される複数の層の複数のセットと、
を備え、
複数の層のそれぞれのセットは、
少なくともタンタルおよび酸素、または、少なくともニオブ、チタン、および酸素を含む第1の層と、
少なくともシリコンおよび酸素を含み、前記第1の層の上に配置される第2の層と、
少なくとも水素およびシリコンを含み、前記第2の層の上に配置される第3の層と、
少なくともシリコンおよび酸素を含み、前記第3の層の上に配置される第4の層と、
を含み、
前記光学干渉フィルタは、第1のスペクトル範囲に関連する光を透過させ、第2のスペクトル範囲に関連する光を遮断するように構成され、
前記第3の層は、前記第1のスペクトル範囲に対する前記第3の層の減衰係数の4倍より大きい前記第2のスペクトル範囲に対する減衰係数を有する、
光学干渉フィルタ。
【請求項2】
前記第1の層は、少なくとも五酸化タンタル(Ta2O5)材料または少なくともニオブチタン酸化物(NbTiOx)材料を含み、
前記第2の層は、少なくとも二酸化シリコン(SiO2)材料を含み、
前記第3の層は、少なくとも水素化シリコン(Si:H)材料を含み、
前記第4の層は、少なくとも別のSiO2材料を含む、
請求項1に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項3】
前記第1のスペクトル範囲は、585ナノメートルから700ナノメートルまでであり、
前記第2のスペクトル範囲は、440ナノメートルから475ナノメートルまでであり、
前記第3の層は、少なくとも水素化シリコン(Si:H)材料を含み、
前記第3の層は、475ナノメートルで0.8より大きい第1の減衰係数を有し、
前記第3の層は、600ナノメートルで0.2以下の第2の減衰係数を有する、
請求項1に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項4】
前記第2の層の第1の表面は、前記第1の層の表面の上に配置され、
前記第3の層の第1の表面は、前記第2の層の第2の表面の上に配置され、
または、
前記第4の層の第1の表面は、前記第3の層の第2の表面の上に配置される、
請求項1に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項5】
前記第1のスペクトル範囲は、585ナノメートルから700ナノメートルまでであり、
前記光学干渉フィルタは、前記第1のスペクトル範囲に関連する光の透過率レベルの閾値以上の透過率レベルを有するように構成され、
前記透過率レベルの閾値は、10%である、
請求項1に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項6】
前記第2のスペクトル範囲は、440ナノメートルから475ナノメートルであり、
前記光学干渉フィルタは、前記第2のスペクトル範囲に関連する光の遮断レベルの閾値以上の遮断レベルを有するように構成され、
前記遮断レベルの閾値は、光学密度(OD)4である、
請求項1に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項7】
複数の層の前記複数のセットの上に配置される複数の層の1つまたは複数の他のセットをさらに含み、
複数の層のそれぞれのセットは、
少なくともタンタルおよび酸素、または、少なくともニオブ、チタン、および酸素を含む第5の層と、
少なくともシリコンおよび酸素を含む第6の層と、
を含み、
複数の層の前記他のセットは、少なくとも水素およびシリコンを含む層を含まない、
請求項1に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項8】
光学干渉フィルタであって、
基板と、
前記基板上に配置される複数の層の複数のセットと、
を備え、
複数の層のそれぞれのセットは、
少なくとも第1の酸化物を含む第1の層と、
少なくとも第2の酸化物を含み、前記第1の層の上に配置される b第2の層と、
少なくとも水素およびシリコンを含み、前記第2の層の上に配置される第3の層と、
を含み、
前記光学干渉フィルタは、第1のスペクトル範囲に関連する光を透過させ、第2のスペクトル範囲に関連する光を遮断するように構成され、
前記第3の層は、前記第1のスペクトル範囲に対する前記第3の層の減衰係数の4倍より大きい前記第2のスペクトル範囲に対する減衰係数を有する、
光学干渉フィルタ。
【請求項9】
前記第1の層は、少なくとも五酸化タンタル(Ta2O5)材料または少なくともニオブチタン酸化物(NbTiOx)材料を含み、
前記第2の層は、少なくとも二酸化シリコン(SiO2)材料を含み、
前記第3の層は、少なくとも水素化シリコン(Si:H)材料を含む、
請求項8に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項10】
前記第1のスペクトル範囲は、585ナノメートルから700ナノメートルまでであり、
前記第2のスペクトル範囲は、440ナノメートルから475ナノメートルまでであり、
前記第3の層は、第2のスペクトル範囲に対して0.8より大きい減衰係数を有し、
前記第3の層は、前記第1のスペクトル範囲に対して0.2以下の減衰係数を有する、
請求項8に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項11】
複数の層のそれぞれのセットは、複数の層の前記複数のセットにおいて、
少なくとも前記第2の酸化物を含む前記第3の層の上に配置される第4の層をさらに含む、
請求項8に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項12】
前記第1のスペクトル範囲は、585ナノメートルから700ナノメートルまでであり、
前記光学干渉フィルタは、前記第1のスペクトル範囲に関連する光の透過率レベルの閾値以上の透過率レベルを有するように構成され、
前記透過率レベルの閾値は、10%である、
請求項8に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項13】
前記第2のスペクトル範囲は、440ナノメートルから475ナノメートルであり、
前記光学干渉フィルタは、前記第2のスペクトル範囲に関連する光の遮断レベルの閾値以上の遮断レベルを有するように構成され、
前記遮断レベルの閾値は、光学密度(OD)4である、
請求項8に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項14】
複数の層の前記複数のセットの上に配置される複数の層の1つまたは複数の他のセットをさらに含み、
複数の層のそれぞれのセットは、
少なくとも前記第1の酸化物を含む第5の層と、
少なくとも前記第2の酸化物を含む第6の層と、
を含み、
複数の層の前記他のセットは、少なくとも水素およびシリコンを含む層を含まない、
請求項8に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項15】
光学干渉フィルタであって、
基板と、
前記基板上に配置される複数の層の複数のセットと、
を備え、
複数の層のそれぞれのセットは、
少なくとも第1の酸化物を含む第1の層と、
少なくとも第2の酸化物を含み、前記第1の層の上に配置される第2の層と、
前記第2の層の上に配置される第3の層と、
を含み、
前記光学干渉フィルタは、第1のスペクトル範囲に関連する光を透過させ、第2のスペクトル範囲に関連する光を遮断するように構成され、
前記第3の層は、前記第1のスペクトル範囲に対する前記第3の層の減衰係数の4倍より大きい前記第2のスペクトル範囲に対する減衰係数を有する、
光学干渉フィルタ。
【請求項16】
前記第1の層は、
タンタルおよび酸素、
ニオブ、チタン、および酸素、
水素およびゲルマニウム、
水素およびシリコン、
水素、シリコン、およびゲルマニウム、
シリコン、
または、
ゲルマニウムの少なくとも1つを含み、
前記第2の層は、
シリコンおよび酸素、
アルミニウムおよび酸素、
または、
マグネシウムおよびフッ素の少なくとも1つを含み、
前記第3の層は、
水素およびゲルマニウム、
水素およびシリコン、
水素、シリコン、およびゲルマニウム、
シリコン、
または、
ゲルマニウムの少なくとも1つを含む、
請求項15に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項17】
複数の層のそれぞれのセットは、複数の層の前記複数のセットにおいて、
少なくとも前記第2の酸化物を含む前記第3の層の上に配置される第4の層をさらに含む、
請求項15に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項18】
前記第1のスペクトル範囲は、585ナノメートルから700ナノメートルまでであり、
前記第2のスペクトル範囲は、440ナノメートルから475ナノメートルまでである、
請求項15に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項19】
前記光学干渉フィルタは、前記第1のスペクトル範囲に関連する光の透過率レベルの閾値以上の透過率レベルを有するように構成され、
前記透過率レベルの閾値は、10%である、
請求項15に記載の光学干渉フィルタ。
【請求項20】
前記光学干渉フィルタは、前記第2のスペクトル範囲に関連する光の遮断レベルの閾値以上の遮断レベルを有するように構成され、
前記遮断レベルの閾値は、光学密度(OD)4である、
請求項15に記載の光学干渉フィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年12月16日に出願された「OPTICAL FILTER」という名称の米国特許出願第63/265,566号に対する優先権を主張するものであり、この先の出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
【背景技術】
【0002】
光学装置は、光に関する情報を取得するために利用されてよい。例えば、光学装置は、光に関連する1セットの波長に関する情報を取得してよい。光学装置は、情報を取得する複数のセンサ素子(例えば、複数の光学センサ、複数のスペクトルセンサ、および/または複数の画像センサ)の1セットを含んでよい。例えば、複数のセンサ素子の1アレイが、複数の波長に関する情報を取得するために利用されてよい。複数のセンサ素子のアレイは、光学フィルタに関連付けられてよい。光学フィルタは、複数のセンサ素子のアレイを通過する光の第1の波長範囲に関連する通過帯域を含んでよい。光学フィルタは、光の第2の波長範囲が、複数のセンサ素子のアレイを通過させることから遮断することに関連付けられてよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態において、光学干渉フィルタであって、基板と、基板上に配置される複数の層の複数のセットと、を備え、複数の層のそれぞれのセットは、少なくともタンタルおよび酸素、または、少なくともニオブ、チタン、および酸素を含む第1の層と、少なくともシリコンおよび酸素を含み、第1の層の上に配置される第2の層と、少なくとも水素およびシリコンを含み、第2の層の上に配置される第3の層と、少なくともシリコンおよび酸素を含み、第3の層の上に配置される第4の層と、を含み、光学干渉フィルタは、第1のスペクトル範囲に関連する光を透過させ、第2のスペクトル範囲に関連する光を遮断するように構成され、第3の層は、第1のスペクトル範囲に対する第3の層の減衰係数の4倍より大きい第2のスペクトル範囲に対する減衰係数を有する、光学干渉フィルタである。
【0004】
いくつかの実施形態において、光学干渉フィルタであって、基板と、基板上に配置される複数の層の複数のセットと、を備え、複数の層のそれぞれのセットは、少なくとも第1の酸化物を含む第1の層と、少なくとも第2の酸化物を含み、第1の層の上に配置される第2の層と、少なくとも水素およびシリコンを含み、第2の層の上に配置される第3の層と、を含み、光学干渉フィルタは、第1のスペクトル範囲に関連する光を透過させ、第2のスペクトル範囲に関連する光を遮断するように構成され、第3の層は、第1のスペクトル範囲に対する第3の層の減衰係数の4倍より大きい第2のスペクトル範囲に対する減衰係数を有する、光学干渉フィルタである。
【0005】
いくつかの実施形態において、光学干渉フィルタであって、基板と、基板上に配置される複数の層の複数のセットと、を備え、複数の層のそれぞれのセットは、少なくとも第1の酸化物を含む第1の層と、少なくとも第2の酸化物を含み、第1の層の上に配置される第2の層と、第2の層の上に配置される第3の層と、を含み、光学干渉フィルタは、第1のスペクトル範囲に関連する光を透過させ、第2のスペクトル範囲に関連する光を遮断するように構成され、第3の層は、第1のスペクトル範囲に対する第3の層の減衰係数の4倍より大きい第2のスペクトル範囲に対する減衰係数を有する、光学干渉フィルタである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本明細書に記載の実施例の概要を示す図である。
【
図3A】本明細書に記載の光学フィルタの構成の一例に関連する図である。
【
図3B】本明細書に記載の光学フィルタの構成の一例に関連する図である。
【
図3C】本明細書に記載の光学フィルタの構成の一例に関連する図である。
【
図3D】本明細書に記載の光学フィルタの構成の一例に関連する図である。
【
図4A】本明細書に記載の光学フィルタの構成の一例に関連する図である。
【
図4B】本明細書に記載の光学フィルタの構成の一例に関連する図である。
【
図4C】本明細書に記載の光学フィルタの構成の一例に関連する図である。
【
図4D】本明細書に記載の光学フィルタの構成の一例に関連する図である。
【
図5】光学フィルタにおける層の減衰係数(k)性能の一例、および光学フィルタの透過率性能の一例を示す図である。
【
図6】光学フィルタの角度シフト性能の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の実施例の詳細な説明は、添付の図面を参照する。異なる図面の同一の参照番号は、同一または類似する構成要素を指してよい。以下の説明では、分光計を一例として使用する。しかしながら、本明細書に記載の技術、原理、手順、および方法は、任意のセンサで使用されてよく、他の複数の光学センサおよび複数のスペクトルセンサに限定されるものではない。
【0008】
光学フィルタは、サンプルが発する光の波長または波長帯域を選択的に通過させる、および/またはサンプルを照射する光の波長または波長帯域を選択的に遮断する分光用途に使用される。例えば、蛍光分光アプリケーションでは、励起光のビームがサンプルを照らし、より長い波長の光が検出されて、その光学スペクトルが取得され、および/または励起光による励起に応答して試料によって放射される蛍光の総レベルを決定するために検出される。
【0009】
ある場合、光学フィルタは、励起光を遮断し、サンプルから放射される光を通過させる複数の構成要素を含む。例えば、光学フィルタは、光の波長の第1の帯域を吸収する(例えば、光学フィルタの1つ以上の他の構成要素によって反射される散乱光を吸収する)ダークミラー、光の波長の第2の帯域を遮断する誘導透過フィルタ(ITF)、光の波長の第3の帯域を通過させる長波パス(LWP)フィルタ(例えば、誘電体LWP)を含むことができる。したがって、これには、複数のコーティング工程、複数の真空処理工程、複数のウエハレベル処理(WLP)工程、複数の組み立て工程、または光学フィルタの個々の構成要素を製造するためのその他の複数の工程(例えば、複数の異なる温度および/または複数の処理環境を必要とする)を必要とする。そして、光学フィルタは、光学フィルタを含む関連する分光デバイスの複雑さ(およびコスト)を増加させる。
【0010】
さらに、光学フィルタに向けられた光(例えば、試料によって放射される光)の入射角(AOI)が設定された入射角(例えば、0度(通常)、30度、45度など)から少なくとも閾値量(例えば、設定された入射角から20度以上の偏差、設定された入射角から40度以上の偏差、および/または設定された入射角から60度以上の偏差)だけ変化すると、光学フィルタ性能が低下する可能性がある。例えば、光学フィルタは、AOIが増加すると、より低い波長に向かってシフトする可能性がある。このようにして、光学フィルタは、不必要な光または望ましくない光(例えば、励起光の1つ以上の部分およびサンプルによって放出されない他の光)を通過させてよく、通過した光を受光する分光装置の光センサの検出精度に影響を与える可能性がある。
【0011】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、単一のコーティングを含む光学フィルタ(例えば、光学干渉フィルタ)を提供する。コーティングは、複数の層の複数のセットを含んでよく、複数の層のそれぞれのセットは、少なくとも第1の酸化物(例えば、少なくともタンタルおよび酸素、または少なくともニオブ、チタン、および酸素)を含む第1の層を含み、第1の層の上に配置され、少なくとも第2の酸化物(例えば、少なくともシリコンおよび酸素)を含む第2の層を含み、第2の層の上に配置され、少なくとも別の材料(例えば、少なくとも水素およびシリコン)を含む第3の層を含む。いくつかの実施形態では、層のそれぞれのセットは、少なくとも第2の酸化物(例えば、少なくともシリコンおよび酸素)を含む第3の層の上に配置される第4の層も含んでよい。したがって、光学フィルタは、440nmから475nm(例えば、440nm以上475nm以下)などの励起波長帯域に関連する光を遮断および/または減衰させ、光学フィルタは、585nmから700nm(例えば、580nm以上700nm以下)などの発光波長帯域に関連する光を通過および/または透過させる。換言すれば、いくつかの実施形態では、光学フィルタは、青色光および/または緑色光の一部を含む励起光を遮断または減衰させ、赤色光および/または近赤外(NIR)光の一部を含む放射光(例えば、対象によって放出されたフルオロフォア分子に関連する)を通過または透過させる。
【0012】
このように、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、励起光を遮断し、サンプルによって放出された光を通過させるための追加の構成要素を必要としない光学フィルタを提供する。したがって、光学フィルタを製造するために必要な処理ステップの数は、典型的な多成分光学フィルタを製造するために必要な処理ステップよりも少ない。これにより、(例えば、典型的な光学フィルタおよび追加の構成要素を含む分光デバイスと比較して)光学フィルタを含む関連する分光デバイスの複雑さ(およびコスト)が減少する。
【0013】
さらに、あるいは、このようにして、低角度シフト光学フィルタは、(例えば、入射角が増大する入射光について)より低い波長へのシフト量を減少させる。したがって、これにより、低角度シフト光学フィルタを通過する望ましくない光の量が減少し、低角度シフト光学フィルタを通過する光を受け取る光センサの検出精度が向上する。
【0014】
図1は、本明細書に記載の実施例100の概要を示す図である。
図1に示されるように、実施例100は、センサシステム110(例えば、蛍光検出システム)を含む。センサシステム110は、光学システムの一部であってもよく、センサの決定に対応する電気出力を提供してもよい。センサシステム110は、光学フィルタ130を含む光学フィルタ構造120と、光学センサ140と、を含む。例えば、光学フィルタ構造120は、遮断機能および通過帯域フィルタリング機能を実行する光学フィルタ130を含んでよい。別の例では、光学フィルタ130は、光学センサ140における複数のセンサ要素のアレイに位置合わせされてよい。
【0015】
本明細書で説明するいくつかの実施形態は、センサシステム内の光学フィルタに関して説明されてよいが、本明細書で説明する実施形態は、別のタイプのシステムで使用されてよく、センサシステムの外部、あるいは、他の複数の構成で使用されてよい。
【0016】
図1にさらに示されるように、参照番号が150で表される入力光信号150は、1つ以上の入射角θで光学フィルタ構造120に向けられる。例えば、入力光信号150-1および入力光信号150-2は、それぞれ、入射角θ
0(例えば、設定された入射角)および入射角θで、光学フィルタ構造120に向けられてよい。入力光信号は、特定のスペクトル範囲(例えば、585nmから700nmのスペクトル範囲、または別のスペクトル範囲)に関連する光を含んでよいが、これに限定されない。入力光信号は、例えば、異なるスペクトル範囲(例えば、440nmから475nmのスペクトル範囲、または別のスペクトル範囲)に関連する他の光(例えば、励起光)によって照射されるサンプル(例えば、生物学的サンプル)によって放射される光(例えば、放射光)を含んでよい。光は、光学センサ140に伝播して、光学センサ140が光の測定を実行できるようにされてよい。別の例において、光学センサ140は、他のいくつかの実施形態の中で、テスト機能、検知機能、または通信機能などの別の機能を実行してよい。
【0017】
図1にさらに示されるように、参照番号が160で表される第1のスペクトル範囲を有する入力光信号の第1の部分160は、光学フィルタ130および光学フィルタ構造120によって通過されない。例えば、光学フィルタ130における複数の高屈折率材料層および複数の低屈折率材料層を含み得る複数の誘電体薄膜層の複数の誘電体フィルタスタックは、光の第1の部分を、反射させ(例えば、第1の方向に)、吸収させ、および/またはその他の方法で遮断させるように構成されてよい。この場合、光の第1の部分は、光学フィルタ130のバンドパスに含まれない、光学フィルタ130に入射する光の閾値部分であってよい。参照番号が170で表される入力光信号の第2の部分170は、光学フィルタ130および光学フィルタ構造120によって通過される。例えば、光学フィルタ130は、第2のスペクトル範囲を有する光の第2の部分を光学センサ140に向かって(例えば、第2の方向に)通過させてよい。この場合、光の第2の部分は、585nmから700nmのスペクトル範囲内の入射光の10%以上など、光学フィルタ130のバンドパス内で光学フィルタ130に入射する光の閾値部分であってよい。本明細書でより詳細に説明するように、光の第2の部分は、閾値角度のシフト未満で光学フィルタ130を通過してよい。
【0018】
図1にさらに示されるように、光学センサ140を通過する入力光信号の第2の部分170に基づいて、光学センサ140は、蛍光透視法、撮像、周囲光の検知、物体の存在の検出、測定の実行、または通信の促進など、他の複数の例において、使用されるように、センサシステム110に出力電気信号180を提供してよい。いくつかの実施形態では、光学フィルタ130および光学センサ140は、別の構成で利用されてよい。例えば、光学フィルタ130は、入力光信号の第2の部分を、入力光信号と共線的に通過させるのではなく、入力光信号の第2の部分を、別の方向の異なる位置に配置される光学センサ140に向けられるように通過させてよい。
【0019】
上述のように、
図1は、一例として開示されている。他の複数の実施例は、
図1に関して説明したものとは異なる場合があってよい。
【0020】
図2A-
図2Bは、光学フィルタ200の一例を示す図である。いくつかの実施形態では、光学フィルタ200は、光学干渉フィルタであってよく、および/または、他の複数の実施例の中で、スペクトルフィルタ、マルチスペクトルフィルタ、バンドパスフィルタ、ブロッキングフィルタ、長波長通過フィルタ、ダイクロイックフィルタ、線形可変フィルタ、循環可変フィルタ、ファブリペローフィルタ、吸収フィルタのうちの少なくとも1つを含んでよい。
図2A-
図2Bは、光学フィルタ200のそれぞれの積層の一例を示している。
【0021】
図2Aに示されるように、光学フィルタ200は、基板205、および、複数の層210の1つ以上のセット(例えば、複数の光学フィルタ層の1つ以上のセット)を含んでよい。基板205は、ガラス基板、ポリマー基板、ポリカーボネート基板、シリコン(Si)基板、ゲルマニウム(Ge)基板、または、アクティブデバイス基板(例えば、他の複数の実施例の中で、フォトダイオード(PD)、PDアレイ、アバランシェフォトダイオード(APD)、APDアレイ、電荷結合素子(CCD)センサ、および/または、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサなど)を含んでよい。いくつかの実施形態では、基板205の厚さは、20ミクロン(μm)、50μm、および/または、500μm以上であってよい。さらに、または、代わりに、基板205の厚さは、特定の厚さ閾値以下であってよい。例えば、特定の厚さ閾値は、10ミリメートル(mm)または5mm以下であってよい。
【0022】
複数の層210の1つ以上のセットのうちの複数の層210のそれぞれのセットは、第1の層215、第2の層220、および第3の層225を含んでよい。第2の層220は、(例えば、スタック構成で)第1の層215の上に(例えば、直接的または間接的に)配置されてよく、第3の層225は、第2の層220の上に(例えば、直接的または間接的に)配置されてよい。いくつかの実施形態では、複数の層210のそれぞれのセットは、また、第3の層225の上に(例えば、直接的または間接的に)配置され得る第4の層230を含んでもよい。例えば、
図2Aに示されるように、第2の層220の第1の表面(例えば、底面)は、第1の層215の表面(例えば、上面)上に(例えば、直接的に)配置されてよく、第3の層225の第1の表面(例えば、底面)は、第2の層220の第2の表面(例えば、上面)上に(例えば、直接的に)配置されてよく、第4の層230の第1の表面(例えば、底面)は、第3の層225の第2の表面(例えば、上面)上に(例えば、直接的に)配置されてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の層は、第1の層215と第2の層220との間に配置されてよく、第2の層220と第3の層225との間に配置されてよく、および/または、第3の層225と第4の層230との間に配置されてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、複数の層210の1つ以上のセットは、基板205(例えば、
図2Aに示されるような)の単一の表面(例えば、上面)上に配置されてよい。あるいは、光学フィルタ200が複数の層210の複数のセット(例えば、複数の層210の2つ以上のセット)を含む場合、複数の層210の少なくとも1つのセットは、基板205の第1の表面(例えば、上面)上に配置されてよく、複数の層210の少なくとも1つの他のセットは、基板205の第2の表面(例えば、底面)上に配置されてよい。
【0024】
第1の層215は、少なくとも、タンタルおよび酸素、および/または、少なくともニオブ、チタン、および酸素を含む第1の材料を含んでよい。例えば、第1の材料は、少なくとも五酸化タンタル(Ta2O5)材料などの少なくとも第1の酸化物と、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料(例えば、タンタル、酸素、水素、シリコン、アルミニウ、窒素、二酸化シリコン(SiO2)材料、酸化アルミニウム(Al2O3)材料、酸化ハフニウム(HfO2)材料、窒化シリコン(Si3N4)材料、および/または、窒化アルミニウム(AlN)材料)を含んでよい。別の例として、第1の材料は、少なくともニオブチタン酸化物(NbTiOx)材料を含んでよく、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料(例えば、ニオブ、チタン、酸素、五酸化ニオブ(Nb2O5)材料、および/または五酸化ニオブタンタル(Nb2-XTaXO5)材料)を含んでよい。いくつかの実施形態では、第1の材料は、タンタルおよび酸素の少なくとも1つ、ニオブ、チタン、および酸素の少なくとも1つ、水素およびゲルマニウムの少なくとも1つ、シリコンおよびゲルマニウムの少なくとも1つ、水素、シリコン、およびゲルマニウムの少なくとも1つ、シリコンの少なくとも1つ、または、ゲルマニウムの少なくとも1つを含んでよい。例えば、第1の材料は、五酸化タンタル(Ta2O5)材料、酸化チタンニオブ(NbTiOX)材料、水素化ゲルマニウム(Ge:H)材料、シリコンゲルマニウム(SiGe)材料、水素化シリコンゲルマニウム(SiGe:H)材料、シリコン(Si)材料、シリコンおよび水素(SiH)材料、水素化シリコン(Si:H)材料、または、ゲルマニウム(Ge)材料、および、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の要素または材料のうちの少なくとも1つを含んでよい。したがって、第1の層215は、スペクトル範囲(例えば、400nmから700nm、または別のスペクトル範囲)に関連する光に対して、1.9から2.5まで(例えば、1.9以上2.5以下)の屈折率を有していてよい。
【0025】
第2の層220は、少なくとも、シリコンおよび酸素を含む第2の材料を含んでよい。例えば、第2の材料は、少なくとも、二酸化シリコン(SiO2)材料などの少なくとも第2の酸化物、および/または、1つ以上の他の元素または材料(例えば、シリコン、酸素、酸化シリコン(SiOX)材料、ここで、Xは2未満、窒化シリコン(SiN)材料、アルミニウムシリコン(AlSi)材料、および/または別の材料)を含んでよい。いくつかの実施形態では、第2の材料は、シリコンおよび酸素、アルミニウムおよび酸素、または、マグネシウムおよびフッ素のうちの少なくとも1つを含んでよい。例えば、第2の材料は、二酸化シリコン(SiO2)材料、酸化アルミニウム(Al2O3)材料、またはフッ化マグネシウム(MgF)材料のうちの少なくとも1つ、およびいくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料を含んでよい。したがって、第2の層220は、スペクトル範囲(例えば、400nmから700nm、または別のスペクトル範囲)に関連する光に対して、1.3から1.7まで(例えば、1.3以上1.7以下)の屈折率を有していてよい。
【0026】
第3の層225は、少なくとも、水素およびシリコンを含む第3の材料を含んでよい。例えば、第3の材料は、少なくとも、シリコン水素(SiH)材料および/または水素化シリコン(Si:H)材料、および/または、1つ以上の他の元素または材料(例えば、シリコン、水素、シリコン(Si)材料、シリコンおよび水素(SiH)材料、水素化シリコン(Si:H)材料、ヘリウムを含む水素化シリコン(Si:H-He)材料、窒素を含む水素化シリコン(Si:H-N)材料、アモルファスシリコン(Si)材料、および/または別の材料)を含んでよい。いくつかの実施形態では、第3の材料は、水素およびゲルマニウム、水素およびシリコン、水素、シリコン、およびゲルマニウム、シリコン、あるいは、ゲルマニウムを含んでよい。例えば、第3の材料は、水素化ゲルマニウム(Ge:H)材料、シリコンゲルマニウム(SiGe)材料、水素化シリコンゲルマニウム(SiGe:H)材料、シリコン(Si)材料、シリコンおよび水素(SiH)材料、水素化シリコン(Si:H)材料、またはゲルマニウム(Ge)材料、および、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料を含んでよい。したがって、第3の層225は、スペクトル範囲(例えば、400nmから700nm、または別のスペクトル範囲)に関連する光に対して、3.2から4.0まで(例えば、3.2以上4.0以下)の屈折率を有していてよい。
【0027】
第4の層230は、少なくとも、シリコンおよび酸素を含む第4の材料を含んでよい。例えば、第4の材料は、二酸化シリコン(SiO2)材料、および/または、1つ以上の他の元素または材料(例えば、シリコン、酸素、酸化シリコン(SiOX)材料、ここで、Xは2未満、窒化シリコン(SiN)材料、アルミニウムシリコン(AlSi)材料、および/または別の材料)を含んでよい。いくつかの実施形態では、第4の材料は、シリコンおよび酸素、アルミニウムおよび酸素、または、マグネシウムおよびフッ素のうちの少なくとも1つを含んでよい。例えば、第4の材料は、二酸化シリコン(SiO2)材料、酸化アルミニウム(Al2O3)材料、またはフッ化マグネシウム(MgF)材料のうちの少なくとも1つ、およびいくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料を含んでよい。第4の材料は、(例えば、第2の層220の)第2の材料と同一の材料であってもよいし、あるいは、第2の材料とは異なる材料であってもよい。いくつかの実施形態では、第4の材料は、第2の層220の第2の材料と同一の材料であってもよいし、あるいは、第2の層220の第2の材料と類似の材料であってもよい(例えば、少なくとも第2の酸化物を含んでもよい)。したがって、第4の層230は、スペクトル範囲(例えば、400nmから700nm、または別のスペクトル範囲)に関連する光に対して、1.3から1.7まで(例えば、1.3以上1.7以下)の屈折率を有していてよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の層210のセットのそれぞれの層は、特定の厚さに関連付けられる。例えば、第1の層215、第2の層220、第3の層225、および第4の層230のそれぞれは、5nmから2000nmまで(例えば、5nm以上2000nm以下の厚さ)の範囲のそれぞれの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、第2の層220(例えば、第2の材料を含む)および第4の層230(例えば、第4の材料を含む)のそれぞれは、2nmから厚さ閾値まで(例えば、2nm以上厚さ閾値以下の厚さ)の範囲のそれぞれの厚さを有していてよい。厚さ閾値は、例えば、4nm、6nm、8nm、10nm、15nm、20nm、30nm、40nm、および/または50nm以下であってよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、光学フィルタ200が、複数の層210の複数のセット(例えば、複数の層210の2つ以上のセット)を含む場合、複数の層210の第1のセットの層は、複数の層210の第2のセットの対応する層と、同一の厚さまたは異なる厚さを有していてよい。例えば、複数の層の第1のセットの第1の層215、第2の層220、第3の層225、および第4の層230は、それぞれが、複数の層の第2のセットの第1の層215、第2の層220、第3の層225、および第4の層230の対応する厚さと同一の厚さ(例えば、等しい、1nm以下の閾値内)を有していてよい。あるいは、複数の層の第1のセットの第1の層215、第2の層220、第3の層225、および第4の層230は、それぞれが、複数の層の第2のセットの第1の層215、第2の層220、第3の層225、および第4の層230とは異なる厚さを有していてよい。したがって、複数の層210の複数のセットのうちの複数の層210のそれぞれのセットは、複数の層210の複数のセットのうちの複数の層210の別のセットの厚さと同一の厚さのプロファイルか、または、異なる厚さのプロファイルを有していてよい。
【0030】
したがって、複数の層210の1つのセットにおけるそれぞれの層の層厚、および/または、複数の層210の1つ以上のセットの量は、意図した通過帯域、意図した透過率、および/または別の光学特性など、光学フィルタ200における様々な光学特性の意図したセットに基づいて選択されてよい。例えば、複数の層210のセットにおけるそれぞれの層の層厚、および/または、複数の層210の1つ以上のセットの量は、光学フィルタ200が、第1のスペクトル範囲(例えば、585nmから700nm、または別のスペクトル範囲)を通過させ、および/または、第2のスペクトル範囲(例えば、440nmから475nm、または別のスペクトル範囲)を遮断することを可能にするように選択されてよい。
【0031】
図2Bに示されるように、光学フィルタ200は、基板205、複数の層210の1つ以上のセット、および複数の層235の1つ以上の他のセット(例えば、光学フィルタにおける複数の層の1つ以上の他のセット)を含んでよい。複数の層235の1つ以上の他のセットは、複数の層210の1つ以上のセットの上に(例えば、複数の層210の1つ以上のセットの複数の層の特定のセットの上に)配置されてよい。例えば、
図2Bに示されるように、複数の層235の1つ以上の他のセットは、複数の層210の特定のセット(例えば、層210の上部セット)の表面(例えば、上面)上に配置されてよい。
【0032】
複数の層235の1つ以上の他のセットのうちの複数の層235のそれぞれの他のセットは、第5の層240および第6の層245を含んでよい。
図2Bに示されるように、第6の層245は、(例えば、スタック構成で)第5の層240の上に(例えば、直接または間接的に)配置されてよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の他の層は、第5の層240と第6の層245との間に配置されてよい。
【0033】
第5の層240は、少なくとも、タンタルおよび酸素、および/または、少なくともニオブ、チタン、および酸素を含む第5の材料を含んでよい。例えば、第5の材料は、少なくとも、五酸化タンタル(Ta2O5)材料を含んでよく、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料(例えば、タンタル、酸素、水素、シリコン、アルミニウム、窒素、二酸化シリコン(SiO2)材料、および/または、窒化アルミニウム(AlN)材料)を含んでよい。別の例として、第5の材料は、少なくとも、ニオブチタン酸化物(NbTiOX)材料を含んでよく、いくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料(例えば、ニオブ、チタン、酸素、五酸化ニオブ(Nb2O5)材料、および/または、五酸化ニオブタンタル(Nb2-XTaXO5)材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、第5の材料は、タンタルおよび酸素、ニオブ、チタン、および酸素、水素およびゲルマニウム、シリコンおよびゲルマニウム、水素、シリコン、およびゲルマニウム、シリコン、またはゲルマニウムのうちの少なくとも1つを含んでよい。例えば、第1の材料は、五酸化タンタル(Ta2O5)材料、酸化チタンニオブ(NbTiOX)材料、水素化ゲルマニウム(Ge:H)材料、シリコンゲルマニウム(SiGe)材料、水素化シリコン、ゲルマニウム(SiGe:H)材料、シリコン(Si)材料、シリコンおよび水素(SiH)材料、水素化シリコン(Si:H)材料、またはゲルマニウム(Ge)材料、およびいくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料のうちの少なくとも1つを含んでよい。いくつかの実施形態では、第5の材料は、第1の層215の第1の材料と同一の材料であってもよいし、あるいは、第1の層215の第1の材料と類似の材料であってもよい(例えば、少なくとも第1の酸化物を含んでもよい)。したがって、第5の層240は、スペクトル範囲(例えば、400nmから700nm、または別のスペクトル範囲)に関連する光に対して、1.9から2.5まで(例えば、1.9以上2.5以下)の屈折率を有していてよい。
【0034】
第6の層245は、少なくとも、シリコンおよび酸素を含む第6の材料を含んでよい。例えば、第6の材料は、二酸化シリコン(SiO2)材料、および/または、1つ以上の他の元素または材料(例えば、シリコン、酸素、酸化シリコン(SiOX)材料、ここで、Xは2未満、窒化シリコン(SiN)材料、アルミニウムシリコン(AlSi)材料、および/または別の材料)を含んでよい。いくつかの実施形態では、第6の材料は、シリコンおよび酸素、アルミニウムおよび酸素、またはマグネシウムおよびフッ素のうちの少なくとも1つを含んでよい。例えば、第6の材料は、二酸化シリコン(SiO2)材料、酸化アルミニウム(Al2O3)材料、またはフッ化マグネシウム(MgF)材料のうちの少なくとも1つ、およびいくつかの実施形態では、1つ以上の他の元素または材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、第6の材料は、図示されているように、第2の層220の第2の材料と同一の材料であってもよいし、あるいは、第2の層220の第2の材料と類似の材料であってもよい(例えば、少なくとも第2の酸化物を含んでもよい)。したがって、第6の層245は、スペクトル範囲(例えば、400nmから700nm、または別のスペクトル範囲)に関連する光に対して、1.3から1.7まで(例えば、1.3以上1.7以下)の屈折率を有していてよい。
【0035】
したがって、複数の層235の他のセットは、水素およびシリコン、水素およびゲルマニウム、水素、シリコン、およびゲルマニウム、シリコン、またはゲルマニウムを少なくとも含む層を含まなくてよい。一例として、複数の層235の他のセットは、第3の材料を含む層を含まなくてよい(例えば、第3の層225を含まなくてよい)。
【0036】
いくつかの実施形態では、複数の層235の他のセットのそれぞれの層は、特定の厚さに関連付けられる(例えば、複数の層210のセットのそれぞれの層に関して、本明細書で開示されるのと同様の方法で)。例えば、第5の層240および第6の層245のそれぞれは、5nmから2000nmまで(例えば、5nm以上2000nm以下の厚さ)の範囲のそれぞれの厚さを有していてよい。いくつかの実施形態では、第6の層245(例えば、第6の材料を含む)は、2nmから厚さ閾値まで(例えば、2nm以上厚さ閾値以下の厚さ)の範囲の厚さを有していてよい。厚さ閾値は、例えば、4nm、6nm、8nm、10nm、15nm、20nm、30nm、40nm、および/または50nm以下であってよい。
【0037】
したがって、複数の層210のセットにおけるそれぞれの層の層厚、および/または、複数の層210の別のセットにおけるそれぞれの層の層厚、および/または、複数の層210の1つ以上のセットの量、および/または、複数の層235の1つ以上のセットの量は、意図した通過帯域、意図した透過率、および/または別の光学特性など、光学フィルタ200における様々な光学特性の意図したセットに基づいて選択されてよい。例えば、複数の層210のセットにおけるそれぞれの層の層厚、および/または、複数の層210の別のセットにおけるそれぞれの層の層厚、および/または、複数の層210の1つ以上のセットの量、および/または、複数の層235の1つ以上のセットの量は、光学フィルタ200が、第1のスペクトル範囲(例えば、585nmから700nm、または別のスペクトル範囲)を通過させ、および/または、第2のスペクトル範囲(例えば、440nmから475nm、または別のスペクトル範囲)を遮断することを可能にするように選択されてよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、光学フィルタ200(および/または複数の層210の1つ以上のセットおよび/または複数の層235の1つ以上の他のセット)は、第1のスペクトル範囲に関連する光の透過率レベル閾値を満たす透過率レベルを有するように構成されてよい。例えば、光学フィルタ200(および/または複数の層210の1つ以上のセットおよび/または複数の層235の1つ以上の他のセット)は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の透過率レベル閾値以上の透過率レベルを有するように構成されてよい。透過率レベル閾値は、例えば、10%、15%、20%、25%、35%、50%、65%、75%、85%、および/または95%以上であってよい。追加的または代替的に、光学フィルタ200(および/または複数の層210の1つ以上のセットおよび/または複数の層235の1つ以上の他のセット)は、第2のスペクトル範囲に関連する光の遮断レベル閾値を満たす遮断レベルを有するように構成されてよい。例えば、光学フィルタ200(および/または複数の層210の1つ以上のセットおよび/または複数の層235の1つ以上の他のセット)は、440nmから475nmまでのスペクトル範囲に関連する光の遮断レベル閾値以上の遮断レベルを有するように構成されてよい。遮断レベル閾値は、例えば、光学密度(OD)1、OD1.5、OD2、OD3、OD4、OD5、および/またはOD6以上であってよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、複数の層210の1つ以上のセットのそれぞれにおける第3の層225は、第1のスペクトル範囲に関連する「低い」減衰係数と、第2のスペクトル範囲に関連する「高い」減衰係数と、を有するように構成されてよい(例えば、光学フィルタ200による第1のスペクトル範囲の透過率レベルおよび光学フィルタ200による第2のスペクトル範囲の遮断レベルを促進するため)。例えば、第3の層225は、第1のスペクトル範囲に対する(例えば、第1のスペクトル範囲内のそれぞれの波長に対する、または、第1のスペクトル範囲内の特定の波長に対する)第3の層225の減衰係数の閾値倍数以上である第2のスペクトル範囲に対する(例えば、第2のスペクトル範囲内のそれぞれの波長に対する、または、第2のスペクトル範囲内の特定の波長に対する)減衰係数を有していてよい。閾値倍数は、例えば、3、4、5、6以上、または、別の数であってよい。例えば、第3の層225(例えば、第3の材料を含む)は、600nmにおける例えば、585nmから700nmまでの第1のスペクトル範囲における)第3の層225の減衰係数の4倍以上である475nmにおける(例えば、440nmから475nmまでの第2のスペクトル範囲における)第3の層225の減衰係数を有していてよい。追加の詳細は、
図5に関連して本明細書で説明される。
【0040】
いくつかの実施形態では、1つ以上の他の層は、光学フィルタ200に、1つ以上の保護層、1つ以上のキャップ層など(例えば、複数の層210の1つ以上のセットおよび複数の層235の1つ以上の他のセットに環境保護を提供するため)、および/または、1つ以上の他のフィルタリング機能(例えば、他の複数の例の中で遮断物または反射防止コーティング)を提供するための1つ以上の層を含めてよい。例えば、単一表面構成では、誘電体層(例えば、二酸化シリコン(SiO2)材料、二酸化ジルコニウム(ZrO2)材料、および/または酸化イットリウム(Y2O3)材料などの酸化物材料、窒化シリコン(Si3N4)材料、窒化チタン(TiN)材料、および/または窒化ジルコニウム(ZrN)材料などの窒化物材料、および/または環境保護を提供する別の材料を少なくとも含む)などのような追加的な層(例えば、キャップ層)は、複数の層210の1つ以上のセットおよび複数の層235の1つ以上の他のセットの表面(例えば、上面)上に配置されてよい。
【0041】
上述したように、
図2Aおよび
図2Bは、複数の例として提供される。他の複数の例は、
図2Aおよび
図2Bに関して説明したものとは異なる場合がある。
【0042】
図3A-
図3Dは、本明細書に記載の光学フィルタ200の構成300の一例に関連する図である。
【0043】
図3Aに示されるように、構成300の一例では、光学フィルタ200は、基板(例えば、それは、
図2Aおよび
図2Bに関して、本明細書で説明した基板205と同一の基板、または、類似する基板)上に配置された複数の層310の1つ以上のセット(例えば、
図2Aおよび
図2Bに関連して本明細書で説明した複数の層210の1つ以上のセットと同一のセットまたは類似するセット)、および/または、複数の層320の1つ以上のセット(例えば、
図2Aおよび
図2Bに関連して本明細書で説明した複数の層235の1つ以上のセットと同一のセットまたは類似するセット)を含んでよい。
図3Aに示されるように、複数の層310の1つのセットは、(例えば、スタック構成で)、少なくとも五酸化タンタル(Ta
2O
5)材料を含む第1の層と、少なくとも二酸化シリコン(SiO
2)材料を含む第2の層と、少なくとも水素化シリコン(Si:H)材料を含む第3の層と、少なくとも二酸化シリコン(SiO
2)材料を含む第4の層と、を含む。複数の層320の1つのセットは、少なくとも五酸化タンタル(Ta
2O
5)材料を含む第5の層と、少なくとも二酸化シリコン(SiO
2)材料を含む第6の層と、を含む。
【0044】
図3Bは、光学フィルタ200の構成300の一例における通過帯域の透過率性能および角度シフト性能を示す図である。
図3Bおよび曲線330によって示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の13%以上(65%のピークで)を透過してよい。この際、光は、0度の入射角を有している。
図3Bおよび曲線332によって、さらに示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の16%以上(61%のピークで)を透過してよい。この際、光は、20度の入射角を有している。曲線334によって示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の21%以上(63%のピークで)を透過してよい。この際、光は、40度の入射角を有している。曲線336によって示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の25%以上(62%のピークで)を透過してよい。この際、光は、60度の入射角を有している。
【0045】
いくつかの実施形態では、光学フィルタ200の通過帯域の中心波長における角度シフトは、0度から60度までの間の入射角について、中心波長の1.0%以下であってよい。例えば、光学フィルタが、655nmの中心波長に対して構成される場合、光学フィルタは、例えば、最大60度の入射角で6.55nm以下の角度シフトを有していてよい。いくつかの実施形態では、光学フィルタ200は、中心波長において、10%、15%、20%、25%、35%、50%、65%、75%、85%、および/または95%(例えば、0度から60度までの間の入射角における光学フィルタ200のピーク透過率)以上のような、透過率レベル閾値以上の透過率レベルを達成してよい。さらに、光学フィルタは、±10%以下、±5%以下、または±1%以下のリップルを達成してよい。ここで、リップルは、0度から60度までの間の入射角における通過帯域全体の透過率の偏差を表す。
【0046】
図3Cは、光学フィルタ200の構成300の一例におけるブロッキング部分のブロッキング性能および角度シフト性能を示す図である。
図3Cに示されるように、光学フィルタ200は、0度の入射角を有するとき(曲線340によって示されている)、20度の入射角を有するとき(曲線342によって示されている)、40度の入射角を有するとき(曲線344によって示されている)、および60度の入射角を有するとき(曲線346によって示されている)など、440nmから475nmまでのスペクトル範囲に関連する光のOD4(例えば、10
-2%以下を透過する)以上を遮断してよい。
【0047】
図3Dは、光学フィルタ200の構成300の一例における層の厚さの一例を示す図である。
図3Dに示されるように、光学フィルタ200は、複数の層310の複数のセットおよび複数の層320の複数のセットを含んでよい。
図3Dに示されるように、複数の層210の複数のセットおよび複数の層320の複数のセットにおけるそれぞれの層の層厚は、別の層と同一の厚さである特定の厚さであってもよいし、別の層と異なる厚さである特定の厚さであってもよい。
【0048】
上記のように、
図3A-
図3Dは、複数の例として提供される。他の複数の例は、
図3A-
図3Dに関して説明したものとは異なっていてよい。
【0049】
図4A-
図4Dは、本明細書に記載の光学フィルタ200の構成400の一例に関連する図である。
【0050】
図4Aに示されるように、構成400の一例において、光学フィルタ200は、基板(例えば、
図2Aおよび
図2Bに関連して本明細書で説明した基板205と同一の基板または類似する基板)上に配置された複数の層410(例えば、
図2Aおよび
図2Bに関連して本明細書で説明した複数の層210の1つ以上のセットと同一のセットまたは類似するセット)の1つ以上のセットおよび/または複数の層420(例えば、
図2Aおよび
図2Bに関連して本明細書で説明した複数の層235の1つ以上の他のセットと同一のセットまたは類似するセット)の1つ以上のセットを含んでよい。
図4Aに示されるように、複数の層410の1つのセットは、(例えば、スタック構成において)、少なくともニオブチタン酸化物(NbTiO
X)材料を含む第1の層と、少なくとも二酸化シリコン(SiO
2)材料を含む第2の層と、少なくとも水素化シリコン(Si:H)材料を含む第3の層と、少なくとも二酸化シリコン(SiO
2)材料を含む第4の層と、を含む。複数の層420の1つのセットは、少なくともニオブチタン酸化物(NbTiO
X)材料を含む第5の層と、少なくとも二酸化シリコン(SiO
2)材料を含む第6の層と、を含む。
【0051】
図4Bは、光学フィルタ200の構成400の一例における通過帯域の透過率性能および角度シフト性能を示す図である。
図4Bおよび曲線430によって示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の10%以上(67%のピークで)を透過してよい。この際、光は、0度の入射角を有している。
図4Bおよび曲線432によって、さらに示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の23%以上(67%のピークで)を透過してよい。この際、光は、20度の入射角を有している。曲線434によって示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の26%以上(73%のピークで)を透過してよい。この際、光は、40度の入射角を有している。を透過することができる。曲線436によって示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の28%以上(68%のピークで)を透過してよい。この際、光は、60度の入射角を有している。を透過することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、光学フィルタ200の通過帯域の中心波長における角度シフトは、0度から60度までの間の入射角について、中心波長の1.0%以下であってよい。例えば、光学フィルタが655nmの中心波長に対して構成される場合、光学フィルタは、例えば、最大60度の入射角で6.55nm以下の角度シフトを有していてよい。いくつかの実施形態では、光学フィルタ200は、中心波長において、10%、15%、20%、25%、35%、50%、65%、75%、85%、および/または95%(例えば、0度から60度までの間の入射角における光学フィルタ200のピーク透過率)以上のような、透過率レベル閾値以上の透過率レベルを達成してよい。さらに、光学フィルタは、±10%以下、±5%以下、または±1%以下のリップルを達成してよい。ここで、リップルは、0度から60度までの間の入射角における通過帯域全体の透過率の偏差を表す。
【0053】
図4Cは、光学フィルタ200の構成400の一例におけるブロッキング部分のブロッキング性能および角度シフト性能を示す図である。
図4Cに示されるように、光学フィルタ200は、0度の入射角を有するとき(曲線440によって示されている)、20度の入射角を有するとき(曲線442によって示されている)、40度の入射角を有するとき(曲線444によって示されている)、および60度の入射角を有するとき(曲線446によって示されている)など、440nmから475nmまでのスペクトル範囲に関連する光のOD4(例えば、10
-2%以下を透過する)以上を遮断してよい。
【0054】
図4Dは、光学フィルタ200の構成400の一例における層厚の一例を示す図である。
図4Dに示されるように、光学フィルタは、複数の層410の複数のセットおよび複数の層420の複数のセットを含んでよい。
図4Dに示されるように、複数の層410の複数のセットおよび複数の層420の複数のセットにおけるそれぞれの層の層厚は、別の層と同一の層厚である特定の厚さであってもよいし、別の層と異なる層厚である特定の厚さであってもよい。
【0055】
上記のように、
図4A-
図4Dは、複数の例として提供される。他の複数の例は、
図4A-
図4Dに関して説明したものとは異なっていてよい。
【0056】
図5は、光学フィルタ200の第3の層225の減衰係数(k)性能の一例、および光学フィルタ200の透過率性能の一例を示す図である。
図5および曲線510に示されるように、第3の層225は、光の波長が増加するにつれて減少する減衰係数を有するように構成されてよい。このように、第3の層225は、第1のスペクトル範囲(例えば、585nmから700nmまで)に関連する低い減衰係数と、第2のスペクトル範囲(例えば、440nmから475nmまで)に関連する高い減衰係数と、を有するように構成されてよい。例えば、第3の層225は、第1のスペクトル範囲に対する(例えば、第1のスペクトル範囲内のそれぞれの波長に対する、または、第1のスペクトル範囲内の特定の波長に対する)第3の層225の減衰係数の閾値倍数以上である第2のスペクトル範囲に対する(例えば、第2のスペクトル範囲内のそれぞれの波長に対する、または、第2のスペクトル範囲内の特定の波長に対する)減衰係数を有していてよい。閾値倍数は、例えば、3、4、5、6以上、または、別の数であってよい。
【0057】
一例として、
図5に示されるように、第3の層225は、475nmで0.8以上の第1の減衰係数(例えば、第2のスペクトル範囲内にある)、および600nmで0.2以下の第2の減衰係数(例えば、第1のスペクトル範囲内にある)を有していてよく、第1の減衰係数は、第2の減衰係数の少なくとも4倍以上である。別の例として、さらに、
図5に示されるように、第3の層225は、第2のスペクトル範囲に対して(例えば、440nmから475nmまでのそれぞれの波長に対して)0.8以上の第1の減衰係数を有していてよい。第1の減衰係数は、例えば、第2のスペクトル範囲に対して0.8以上1.3以下であってよい。第2の減衰係数は、第1のスペクトル範囲に対して(例えば、585nmから700nmまでのそれぞれの波長に対して)、0.2以下である。第2の減衰係数は、例えば、第1のスペクトル範囲に対して0.02以上0.2以下であってよい。したがって、第1の減衰係数は、第2の消衰係数の少なくとも4倍以上である。
【0058】
このように、第3の層225は、第1のスペクトル範囲に関連する光の透過、および、第2のスペクトル範囲に関連する光の遮断を促進する。したがって、
図5および曲線520によって示されるように、光学フィルタ200は、585nmから700nmまでのスペクトル範囲に関連する光の10%以上(67%のピークで)を透過してよい。この際、光は、20度の入射角を有している。さらに、光学フィルタ200は、0度の入射角を有するとき、440nmから475nmまでのスペクトル範囲に関連する光のOD4(例えば、10
-2%以下を透過する)以上を遮断してよい。
【0059】
上述したように、
図5は一例として提供される。他の複数の例は、
図5に関して説明したものとは異なっていてよい。
【0060】
図6は、OD4カットオン波長(例えば、535nm)(「波長」)における光学フィルタ200の角度シフト性能の一例を示す図である。複数のドット610によって示されるように、複数の異なる入射角に対して、光学フィルタ200は、多成分干渉光学フィルタ(例えば、複数のドット620によって示されている)よりも、波長に関連する光の透過および/または遮断に関連する角度シフトが小さくてよい。
図6に示すように、光学フィルタ200は、多成分干渉光学フィルタと比較して、入射角10度から入射角80度までの間における波長の角度シフトを、少なくとも30%から50%低減する。したがって、光学フィルタ200は、「低角度シフト」光学フィルタと呼ばれてよい。このようにして、光学フィルタ200は、光学フィルタ200によって透過される不要な光または望ましくない光の量を低減する。これは、光学フィルタ200によって通過される光を受け取る光学センサの検知精度を改良する。
【0061】
上述のように、
図6は、一例として提供されている。他の複数の例は、
図6に関して説明したものとは、異なっていてよい。
【0062】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であること、または実施形態を開示された正確な形態に限定されることを意図するものではない。変更および変形は、上記の開示に照らして行われてよく、または実施形態の実施から取得されてよい。
【0063】
本明細書で使用される「コンポーネント」という用語は、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして広く解釈されることを意図している。本明細書に記載のシステムおよび/または方法は、異なる形態のハードウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実施できることは明らかであろう。これらのシステムおよび/または方法を実施するために使用される実際の特殊な制御ハードウェアまたはソフトウェアコードは、複数の実施形態を限定するものではない。したがって、システムおよび/または方法の動作および挙動は、特定のソフトウェアコードを参照することなく本明細書に記載されている-本明細書の説明に基づいて、システムおよび/または方法を実施するためにソフトウェアおよびハードウェアを使用できることが理解される。
【0064】
本明細書で使用されるとき、閾値を満たすことは、文脈に応じて、値が閾値よりも大きい、閾値以上、閾値よりも小さい、閾値以下、閾値に等しい、閾値と等しくないなどを意味するものとする。
【0065】
複数の特徴の特定の組み合わせが、特許請求の範囲に記載され、および/または明細書に開示されているが、これらの組み合わせは、さまざまな実施形態の開示を限定することを意図していない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に特に記載されていない、および/または明細書に開示されていない方法で組み合わされてよい。以下にリストされたそれぞれの従属請求項は、1つの請求項のみに直接従属してよいし、さまざまな実施形態の開示には、請求項セット内の他のすべての請求項と組み合わせた各従属請求項が含まれる。本明細書で使用されるように、複数のアイテムのリストの「少なくとも1つ」を指す語句は、単一のメンバーを含む、それらのアイテムの任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b、またはcの少なくとも1つ」は、a、b、c、a-b、a-c、b-c、a-b-c、および複数の同一のアイテムとの任意の組み合わせを含めることを意図する。
【0066】
ここで使用される要素、行為、または指示は、明示的に記載されていない限り、重要または不可欠であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「a」および「an」は、1つまたは複数の項目を含むことを意図しており、「1つまたは複数」と交換可能に使用されてよい。さらに、本明細書で使用されるとき、冠詞「その」は、冠詞「その」に関連して参照される1つまたは複数の項目を含むことを意図しており、「1つまたは複数」と交換可能に使用されてよい。さらに、本明細書で使用される「セット」という用語は、1つまたは複数のアイテム(例えば、関連する複数のアイテム、関連しない複数のアイテム、または関連する複数のアイテムと関連しない複数のアイテムとの組み合わせ)を含むことを意図しており、「1つまたは複数」と交換可能に使用されてよい。1つのアイテムのみが意図されている場合は、「1つだけ」という語句または類似する言葉が使用される。また、本明細書で使用される「has」、「have」、「having」などの用語は、制限の無い用語であることを意図している。さらに、「~に基づく」という語句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的に、~に基づく」を意味することを意図している。また、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、連続で使用される場合に包括的であることを意図しており、別段の明示的な記載がない限り、「および/または」と交換可能に使用されてよい(例えば、「いずれか」または「の一つにすぎない」と組み合わせて使用される場合)。さらに、「below」、「lower」、「bottom」、「above」、「upper」、「top」などの空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために本明細書で使用されて、図に示されているように、別の1つの要素(複数の要素)または1つの特徴(複数の特徴)に対する1つの要素または特徴の関係が説明されてよい。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中または動作中の装置、デバイス、および/または要素のさまざまな向きを包含することを意図する。複数の装置は、別の方向(90度回転した方向または他の方向に)に向けられてもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子も同様に、それに応じて解釈されてよい。
【0067】
本明細書で使用される「X材料」という用語(Xは、Ta2O5、SiO2、またはSi:Hなどの化学組成である)は、少なくとも閾値パーセンテージのXがX材料に含まれることを示す。閾値パーセンテージは、例えば、1%、5%、10%、25%、50%、75%、85%、90%、95%、および/または99%以上であってよい。また、材料が特定の化学名または化学式で言及されている場合、その材料は、化学名で識別される化学量論的に正確な化学式の非化学量論的変化を含んでよい。例えば、本明細書に記載の窒化アルミニウム(AlN)材料は、Xが0.8から1.2の範囲に存在するAlNXを含むことができる。
【符号の説明】
【0068】
100 実施例
110 センサシステム
120 光学フィルタ構造
130 光学フィルタ
140 光学センサ
150 入力光信号
160 入力光信号の第1の部分
170 入力光信号の第2の部分
180 出力電気信号
200 光学フィルタ
205 基板
210 複数の層
215 第1の層
220 第2の層
225 第3の層
230 第4の層
235 複数の層
240 第5の層
245 第6の層
300 構成
310 複数の層
320 複数の層
330 曲線
332 曲線
334 曲線
336 曲線
340 曲線
342 曲線
344 曲線
346 曲線
400 構成
410 複数の層
420 複数の層
430 曲線
432 曲線
434 曲線
436 曲線
440 曲線
442 曲線
444 曲線
446 曲線
510 曲線
520 曲線
610 ドット
620 ドット
【外国語明細書】