(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098850
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】積層セラミック電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 2/08 20060101AFI20230704BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20230704BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H01G2/08 A
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 201M
H01G4/40 A
H01G4/30 201A
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 511
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205444
(22)【出願日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】10-2021-0190973
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チャン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ペク、ジュン ミ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ダ エウン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒェ ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン ミン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、セオン ヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ミン サン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ホン ソク
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AH01
5E001AH07
5E001AH09
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC25
5E082DD13
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG26
5E082GG28
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本体の内部温度を一定に保ち、高温環境での信頼性を向上させることができる積層セラミック電子部品を提供する。
【解決手段】積層セラミック電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される複数の内部電極121、122を含む本体110と、上記本体の内部に配置された熱電素子140、150及び本体の外側に配置される外部電極131、132を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される複数の内部電極を含む本体と、
前記本体の内部に配置された熱電素子と、
前記本体の外側に配置される外部電極と、を含む
積層セラミック電子部品。
【請求項2】
前記熱電素子は、第1型半導体素子、第2型半導体素子、及び前記第1型半導体素子及び前記第2型半導体素子を連結する連結電極を含む、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項3】
前記本体は、前記複数の内部電極を含む容量形成部及び前記容量形成部の第1方向の両面に配置される第1及び第2カバー部を含み、
前記熱電素子は、前記第1及び第2カバー部の少なくとも一方に配置される、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項4】
前記熱電素子は、前記第1型半導体素子と接続された第1電極及び前記第2型半導体素子と接続された第2電極を含み、前記第1電極及び前記第2電極は、前記外部電極と接続される、請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項5】
前記熱電素子は、前記第1型半導体素子、前記第2型半導体素子、及び前記連結電極をそれぞれ複数個含む、請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項6】
前記熱電素子は、前記本体内に複数個配置される、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項7】
前記熱電素子は、前記第1及び第2カバー部内にそれぞれ配置される第1熱電素子及び第2熱電素子を含む、請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項8】
前記第1熱電素子及び前記第2熱電素子は、それぞれ複数個配置される、請求項7に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項9】
前記熱電素子は、前記本体の第1方向の両面に露出しない、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項10】
前記第1型半導体素子はN型半導体素子であり、前記第2型半導体素子はP型半導体素子である、請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項11】
前記第1型半導体素子及び前記第2型半導体素子の一端側に配置された連結電極と、前記第1型半導体素子及び前記第2型半導体素子の他端側に配置された連結電極との間のレベルに形成されたフィリング部をさらに含む、請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項12】
前記第1型半導体素子及び前記第2型半導体素子は、ペロブスカイト酸化物を含む、請求項2に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項13】
前記第1電極、第2電極、及び連結電極は、Ag、Cu、Ni、及びこれらの合金のうち1種以上を含む、請求項4に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項14】
前記第1及び第2カバー部の厚さは、それぞれ30μm以下である、請求項3に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項15】
前記外部電極は、前記本体上に配置され、導電性金属及びガラスを含む第1電極層と、前記第1電極層上に配置され、導電性金属を含む第2電極層と、を含む、請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
【請求項16】
前記第2電極層は、ニッケル(Ni)を導電性金属として含む第1層と、スズ(Sn)を導電性金属として含む第2層と、を含む多層構造である、請求項15に記載の積層セラミック電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミック電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層セラミック電子部品のうちの一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multilayer Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着されて電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
近年、積層セラミックキャパシタは種々の電子装置の部品として使用されており、自動車用電装部品に対する業界の関心が高まるにつれて、自動車やインフォテインメントシステムなどの過酷な環境での信頼性、特に高温環境での高信頼性が要求されている。
【0004】
また、積層セラミックキャパシタは、電圧印加時に漏れ電流が持続的に増加しつつ、表面温度が急激に増加する。このような状況を考慮して、誘電体層及び内部電極を含んで容量が形成される本体の内部温度を一定に保つことができる積層セラミックキャパシタに対する研究が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の様々な目的の一つは、本体の内部温度を一定に保ち、高温環境での信頼性を向上させることができる積層セラミック電子部品を提供するためにある。
【0006】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に積層される複数の内部電極を含む本体と、上記本体の内部に配置された熱電素子と、上記本体の外側に配置される外部電極と、を含む積層セラミック電子部品を提供する。
【0008】
一実施形態において、上記熱電素子は、第1型半導体素子、第2型半導体素子、及び上記第1型及び第2型半導体素子を連結する連結電極を含むことができる。
【0009】
一実施形態において、上記本体は、上記複数の内部電極を含む容量形成部及び上記容量形成部の第1方向の両面に配置される第1及び第2カバー部を含み、上記熱電素子は、上記第1及び第2カバー部の少なくとも一方に配置されることができる。
【0010】
一実施形態において、上記熱電素子は、上記第1型半導体素子と接続された第1電極及び上記第2型半導体素子と接続された第2電極を含み、上記第1及び第2電極は、上記外部電極と接続されることができる。
【0011】
一実施形態において、上記熱電素子は、上記第1型半導体素子、上記第2型半導体素子、及び上記連結電極をそれぞれ複数個含むことができる。
【0012】
一実施形態において、上記熱電素子は、上記本体内に複数個配置されることができる。
【0013】
一実施形態において、上記熱電素子は、上記第1及び第2カバー部内にそれぞれ配置される第1熱電素子及び第2熱電素子を含むことができる。
【0014】
一実施形態において、上記第1及び第2熱電素子は、それぞれ複数個配置されることができる。
【0015】
一実施形態において、上記熱電素子は、上記本体の第1方向の両面に露出しないことができる。
【0016】
一実施形態において、上記第1型半導体素子はN型半導体素子であり、上記第2型半導体素子はP型半導体素子であることができる。
【0017】
一実施形態において、上記第1型及び第2型半導体素子の一端側に配置された連結電極と、上記第1型及び第2型半導体素子の他端側に配置された連結電極との間のレベルに形成されたフィリング部をさらに含むことができる。
【0018】
一実施形態において、上記第1型及び第2型半導体素子は、ペロブスカイト酸化物を含むことができる。
【0019】
一実施形態において、上記第1電極、第2電極、及び連結電極は、Ag、Cu、Ni、及びこれらの合金のうち1種以上を含むことができる。
【0020】
一実施形態において、上記第1及び第2カバー部の厚さは、それぞれ、30μm以下であることができる。
【0021】
一実施形態において、上記外部電極は、上記本体上に配置され、導電性金属及びガラスを含む第1電極層と、上記第1電極層上に配置され、導電性金属を含む第2電極層と、を含むことができる。
【0022】
一実施形態において、上記第2電極層は、ニッケル(Ni)を導電性金属として含む第1層と、スズ(Sn)を導電性金属として含む第2層と、を含む多層構造であることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の様々な効果の一つとして、本体の内部温度を一定に保ち、高温環境での信頼性を向上させることができる積層セラミック電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品を概略的に示した斜視図である。
【
図2】積層セラミック電子部品の熱電素子を概略的に示した斜視図である。
【
図3】積層セラミック電子部品の熱電素子を概略的に示した斜視図である。
【
図4】積層セラミック電子部品の本体を概略的に示した斜視図である。
【
図6a】
図6aから
図6dは、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
【
図6b】本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
【
図6c】本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
【
図6d】本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0026】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0027】
図面において、第1方向は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品を概略的に示した斜視図であり、
図2及び
図3は、積層セラミック電子部品の熱電素子を概略的に示した斜視図であり、
図4は、積層セラミック電子部品の本体を概略的に示した斜視図であり、
図5は、
図1のI-I'に沿った断面図である。
【0029】
図1から
図5を参照すると、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品100は、誘電体層111及び誘電体層111を間に挟んで第1方向に積層される複数の内部電極121、122を含む本体110、本体110の内部に配置された熱電素子140、150、及び本体110の外側に配置される外部電極131、132を含む。
【0030】
上述したように、積層セラミック電子部品に対しては高温環境での高信頼性が要求されており、積層セラミック電子部品の一つである積層セラミックキャパシタは、電圧印加時に漏れ電流が持続的に増加し、表面温度が急激に上昇する。
【0031】
これに対し、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品100の場合、本体110の内部に熱電素子140、150が配置されることで、本体110の内部の温度、特に、容量形成部Acの温度を一定に保つことができる。
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品100に含まれるそれぞれの構成についてより詳細に説明する。
【0033】
本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示されたように、本体110は六面体形状やこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮や角部の研磨により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0034】
本体110は、第1方向に対向する第1面及び第2面1、2、上記第1面及び第2面1、2と連結され、第2方向に対向する第3面及び第4面3、4、第1面から第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に対向する第5面及び第6面5、6を有することができる。
【0035】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化していることができる。
【0036】
誘電体層111は、セラミック粉末、有機溶剤、及びバインダーを含むセラミックグリーンシートの焼成によって形成されることができる。セラミック粉末は、十分な静電容量が得られる限り特に制限されないが、例えば、チタン酸バリウム系(BaTiO3)材料、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)系材料などを使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0037】
このとき、誘電体層111の厚さは、本体110の大きさと容量を考慮して10μm以下であることができ、積層型電子部品100の小型化及び高容量化のために、0.6μm以下、より好ましくは、0.4μm以下であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】
ここで、誘電体層111の厚さは、内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。誘電体層111の厚さは、本体110の第1方向及び第2方向断面を1万倍率の走査電子顕微鏡を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、任意の誘電体層111の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を求めることができる。また、このような平均値の測定を多数の誘電体層111に拡張して求めると、誘電体層111の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0039】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、容量形成部Acの上部に配置される第1カバー部112と、容量形成部Acの下部に配置される第2カバー部113とを含むことができる。すなわち、カバー部112、113は、容量形成部Acの第1方向に対向する両面から本体110の第1方向に対向する両面までの領域を意味することができる。第1カバー部112及び第2カバー部113は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。第1及び第2カバー部112、113は、本体110の大きさと容量を考慮して、それぞれ300μm以下、100μm以下、又は30μm以下の厚さを有することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。このとき、第1及び第2カバー部112、113の厚さは、第1及び第2カバー部112、113の平均厚さを意味することができ、ここで、厚さは、第1方向への長さを意味することができる。第1及び第2カバー部112、113の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向断面において第2方向に等間隔である30個の地点での厚さを測定した平均値を意味することができる。
【0040】
本体110は、第3方向を基準として、容量形成部Acの側面に配置されるマージン部114、115をさらに含むことができる。マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置される第1マージン部114及び第6面6に配置される第2マージン部115を含むことができる。マージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。マージン部114、115は、誘電体層111と同じ又は異なる材料を含むことができる。マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される個所を除いて、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することによりなるものであることができる。マージン部114、115の厚さは、本体110の大きさと容量を考慮してそれぞれ300μm以下、100μm以下、又は30μm以下であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に配置されることができ、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置されることができる。すなわち、第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する一対の電極であり、誘電体層111の積層方向に沿って本体110の第3面及び第4面3、4に交互に露出するように形成されることができる。
【0042】
例えば、複数の第1内部電極121のそれぞれは、第4面4と離隔して第3面3に露出することができる。また、複数の第2内部電極122のそれぞれは、第3面3と離隔して第4面4に露出することができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、その間に配置されている誘電体層111により互いに電気的に分離されることができる。複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122は、第1方向に交互に積層されることができるが、これに限定されるものではなく、第3方向に交互に積層されてもよい。
【0043】
内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に所定の厚さで導電性金属を含む内部電極用導電性ペーストを印刷することで形成することができる。内部電極121、122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層し、焼成することで本体110の容量形成部Acを形成することができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0044】
内部電極121、122に含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1種以上であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0045】
このとき、内部電極121、122の厚さは、本体110の大きさと容量を考慮して10μm以下であることができ、積層型電子部品100の小型化及び高容量化のために、0.6μm以下、より好ましくは、0.4μm以下であることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
ここで、内部電極121、122の厚さは、内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。内部電極121、122の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向断面を1万倍率の走査電子顕微鏡を用いてスキャンして測定することができる。より具体的には、任意の内部電極の多数の地点、例えば、第2方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を求めることができる。このような平均値の測定を多数の内部電極に拡張して求めると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0047】
外部電極131、132は、本体110の第3面及び第4面3、4に配置されて第1面、第2面、第5面及び第6面1、2、5、6にそれぞれ一部が延長されることができる。外部電極131、132は、複数の第1内部電極121及び複数の第2内部電極122とそれぞれ連結される第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0048】
外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてることができる。さらに、多層構造を有することができる。例えば、外部電極131、132は、本体110上に配置され、導電性金属及びガラスを含む第1電極層131a、132aと、第1電極層131a、132a上に配置され、導電性金属を含む第2電極層131b、132bとを含むことができる。
【0049】
第1電極層131a、132aの導電性金属は、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、及び/またはこれらを含む合金などを含むことができ、好ましくは、銅(Cu)、及び/またはニッケル(Ni)を含むことができるが、これに限定されるものではない。第1電極層131a、132aは、本体110の第3面及び第4面3、4を導電性金属及びガラスを含む導電性ペーストにディッピング(dipping)した後、焼成することで形成されることができる。或いは、導電性金属及びガラスを含むシートを転写する方式で形成されてもよい。これにより、第1電極層131a、132aは焼成電極であることができる。
【0050】
第2電極層131b、132bは、実装特性を向上させることができる。第2電極層131b、132bの種類としては特に限定されないが、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、及び/またはこれらを含む合金などを含むめっき層であってもよく、複数の層から形成されてもよい。第2電極層131b、132bは、例えば、ニッケル(Ni)めっき層又はスズ(Sn)めっき層であってもよく、ニッケル(Ni)めっき層及びスズ(Sn)めっき層が順に形成された形態であってもよい。また、第2電極層131b、132bは、複数のニッケル(Ni)めっき層及び/または複数のスズ(Sn)めっき層を含んでもよい。
【0051】
図面では、積層セラミック電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、これに限定されるものではなく、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的によって変わることができる。
【0052】
本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品100は、本体110の内部に配置される熱電素子140、150を含む。熱電素子140、150が配置される本体110の内部とは、例えば、容量形成部Acの第1方向に対向する両面に配置される第1カバー部112及び/または第2カバー部113を意味することができる。すなわち、熱電素子140、150は、第1及び第2カバー部112、113の少なくとも一方に配置されることができる。熱電素子140、150が第1及び第2カバー部112、113の少なくとも一方に配置される場合、熱電素子140、150は、本体110の第1方向に対向する両面、すなわち、第1面及び第2面1、2に露出しなくてもよい。また、熱電素子140、150は、第1及び第2カバー部112、113内にそれぞれ配置されてもよい。このとき、熱電素子140、150は、第1カバー部112内に配置された第1熱電素子140、及び第2カバー部113内に配置された第2熱電素子150を含むことができる。このとき、熱電素子140、150は、本体110内に複数個配置されることができる。例えば、第1カバー部112内に配置された第1熱電素子140が複数個配置されてもよく、第2カバー部113内に配置された第2熱電素子150が複数個配置されてもよい。第1熱電素子140及び第2熱電素子150のそれぞれの個数は、本体110の第3方向の長さを考慮して適宜選択されることができ、例えば、それぞれ、2個以上、又は3個以上、又は4個以上であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
本発明の一実施形態において、熱電素子140、150は、第1型半導体素子141、151、第2型半導体素子142、152、及び上記第1型及び第2型半導体素子を連結する連結電極143、153を含むことができる。このとき、熱電素子140、150は、第1型半導体素子141、151、2型半導体素子142、152、及び連結電極143、153をそれぞれ複数個含むことができる。上記第1型及び第2型半導体素子が複数個配置される場合、複数の第1型半導体素子141、151及び複数の第2型半導体素子142、152は、第2方向に互いに交互に配置されることができる。上記第1型及び第2型半導体素子の個数は、本体110の第2方向の長さを考慮して適宜選択されることができ、例えば、それぞれ、4個以上であってもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
第1型半導体素子141、151及び第2型半導体素子142、152は、互いに異なる半導体物質からなることができる。例えば、第1型半導体素子141、151はN型半導体素子、第2型半導体素子142、152はP型半導体素子であることができる。この場合、第1型半導体素子及び第2型半導体素子は、単位セルを形成することができる。
【0055】
第1型半導体素子141、151及び第2型半導体素子142、152は、当該技術分野において採用される公知の熱電材料で形成されることができ、より好ましくは、ペロブスカイト(perovskite)酸化物を含むことができる。上記第1型及び第2型半導体素子がペロブスカイト酸化物で形成される場合、酸化雰囲気及び高温での安定性が高くなることができる。このとき、ペロブスカイト酸化物とは、ABO3で表される構造を有する酸化物を意味する。このとき、上記N型半導体素子は、SrxDy1-x、BaxSryLa1-x-y、SrxCayLa1-x-y、SrxLa1-x、Sr(NbxTi1-x)O3、(TbxCa1-x)MnO3、(CaxBi1-x)MnO3、Ca(RuxMn1-x)O3、及び(BaxLa1-x)SnO3、(SrxLa1-x)SnO3などを含むことができる。また、P型半導体素子は、(PrxCa1-x)CoO3、(HoxCa1-x)CoO3、(LaxSr1-x)CoO3、DyCoO3、及びBaBi1xSbxO3などを含むことができる。
【0056】
連結電極143、153は、第1型半導体素子141、151及び第2型半導体素子142、152を電気的に連結し、複数の連結電極143、153は、第1型半導体素子141、151及び第2型半導体素子142、152の一端側と他端側に交互に配置されて上記複数の第1型及び第2型半導体素子を連結することができる。
【0057】
連結電極143、153は、導電性金属として銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金のうち1種以上を含むことができ、より好ましくは、ニッケル(Ni)を含むことができる。上記導電性金属は、優れた電気伝導度を有し、ニッケル(Ni)の場合、第1型半導体素子141、151と第2型半導体素子142、152との間における元素マイグレーション(Migration)を効果的に抑えることができる。
【0058】
連結電極143、153の平均厚さは10μm以下であることができ、好ましくは0.6μm以下、より好ましくは0.4μm以下であることができる。連結電極143、153の平均厚さは、本体110の第1方向及び第2方向断面を1万倍率の走査電子顕微鏡を用いてスキャンして測定することができる。
【0059】
熱電素子140、150は、第1型半導体素子141、151と接続された第1電極144、154と、第2型半導体素子142、152と接続された第2電極145、155とを含むことができる。このとき、第1電極144、154及び第2電極145、155は、外部電極131、132と接続されることができる。連結電極143、153は、導電性金属として銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金のうち1種以上を含むことができ、より好ましくは、ニッケル(Ni)を含むことができる。
【0060】
第1電極144、154は第1外部電極131と接続され、第2電極145、155は第2外部電極132と連結されることができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1電極144、154が第2外部電極132と接続され、第2電極145、155が第1外部電極131と連結されてもよい。外部電極131、132を介して電圧が印加されると、容量形成部Acは交流電圧によって、熱電素子140、150は直流電圧によって作動されることができる。
【0061】
より具体的には、外部電極131、132を介して熱電素子140、150の第1電極144、154及び第2電極145、155に電圧が印加されると、ペルティエ(Peltier)効果によりN型半導体素子内の電子(Electron)は(+)側に、P型半導体素子内の正孔(Hole)は(-)側に熱移動することができる。これにより、第1型半導体素子141、151及び第2型半導体素子142、152の一端側に配置され、容量形成部Acに隣接した連結電極143、153は、吸熱反応によって熱を吸収する冷却部として機能することができる。一方、第1型半導体素子141、151及び第2型半導体素子142、152の他端側に配置され、本体110の第1面及び第2面1、2に隣接した連結電極143、153は、発熱反応によって熱を放出する発熱部として機能することができる。
【0062】
したがって、電圧印加時に温度が急激に上昇する容量形成部Acを冷却することで、本体110の内部温度を一定に保つことができ、高温環境においても信頼性が向上した積層セラミック電子部品100を提供することができる。また、熱電素子140、150は、本体110の内部に配置されて密封(Hermatic Sealing)されていることから、外部からの荷重による応力及び/または熱応力による不良発生を防止することができ、熱電素子140、150の酸化による性能低下を防止することができる。
【0063】
本発明の一実施形態において、第1型半導体素子141、151及び第2型半導体素子142、152の一端側に配置された連結電極143、153と、第1型半導体素子141、151及び第2型半導体素子142、152の他端側に配置された連結電極143、153との間のレベルに形成されたフィリング部160をさらに含むことができる。フィリング部160は、第1型半導体素子141、151の側面、第2型半導体素子142、152の側面、及び連結電極143、153の側面をカバーすることができる。また、第1電極144、154及び第2電極145、155の上面又は下面の少なくとも一部の領域をカバーすることができる。フィリング部160は、第1及び第2カバー部112、113に熱電素子140、150を配置することで段差の発生を防止することができる。フィリング部160を形成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、セラミック材料を使用することができ、誘電体層111を形成するチタン酸バリウム系(BaTiO3)材料などを使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0064】
以下では、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品を製造する方法について具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではなく、本実施形態の積層セラミック電子部品の製造方法に関する説明において、上述した積層セラミック電子部品における説明と重複する説明は省略する。
【0065】
図6a、
図6b、
図6c、
図6dは、本発明の一実施形態に係る積層セラミック電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
【0066】
先ず、誘電体層111及び内部電極121、122を有する本体110を設ける。本体110は、上述したように、内部電極用導電性ペーストが印刷されたセラミックグリーンシートを複数の積層した後、焼成することで形成されることができる。焼成は、窒素(N2)気体と水素(H2)気体が混合された還元雰囲気下で行われることができ、焼成温度は、セラミックグリーンシートの組成と内部電極用導電性ペーストの組成に応じて適宜変更可能であるが、例えば、900℃~1300℃であることができる。
【0067】
次に、本体110上に複数の連結電極143を形成する。連結電極143は、本体110上に所定の厚さでニッケル(Ni)などの導電性金属を含む導電性ペーストを印刷することで形成することができる。
【0068】
その後、各連結電極143上に互いに離隔された複数の第1型半導体素子141及び複数の第2型半導体素子142を形成する。第1型半導体素子141及び第2型半導体素子142の形成方法は、特に制限されないが、例えば、チップ状(いわゆる、バルク状)に製造した後、連結電極143上に配置することで形成されることができる。或いは、連結電極143上にペーストを塗布する方式や蒸着(Deposition)する方式で形成されてもよいが、この場合、上記第1型及び第2型半導体素子の厚さを低減することができる。第1型及び第2型半導体素子がペーストを塗布する方式で形成される場合、上記半導体素子を焼成する段階をさらに含むことができ、焼成温度は、第1型及び第2型半導体素子の組成に応じて適宜変更可能であるが、例えば、700℃~1200℃であることができる。
【0069】
次に、第1型半導体素子141、第2型半導体素子142、及び連結電極143の側面をカバーするフィリング部160を形成することができる。フィリング部160は、例えば、本体110上に連結電極143が形成されていない領域と、連結電極143上に上記第1型及び第2型半導体素子が形成されていない領域とにセラミックスラリーを充填した後、焼成することで形成されることができる。
【0070】
次いで、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷して連結電極143、第1電極144、及び第2電極145を形成した後、第1電極144が第1型半導体素子141と接続され、第2電極145が第2型半導体素子142と接続され、連結電極143が第1型及び第2型半導体素子と接続されるように積層し焼成することで、第1熱電素子140及び第1カバー部112を形成することができる。図示されていないが、第2熱電素子150及び第2カバー部113は、第1熱電素子150と同様の方法により本体110の下部に形成されることができる。
【0071】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当該技術分野における通常の知識を有する者により様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【符号の説明】
【0072】
100 積層セラミック電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
131a、132a 第1電極層
131b、132b 第2電極層
140、150 熱電素子
141、151 第1型半導体素子
142、152 第2型半導体素子
143、153 連結電極
144、144 第1電極
145、155 第2電極
160 フィリング部