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特開2023-98852カーボンキャニスタアセンブリ及びエンジン
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  • 特開-カーボンキャニスタアセンブリ及びエンジン 図1
  • 特開-カーボンキャニスタアセンブリ及びエンジン 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098852
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】カーボンキャニスタアセンブリ及びエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
F02M25/08 311A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022206653
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】202123383813.8
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521485715
【氏名又は名称】マーレ オートモーティブ テクノロジーズ (チャイナ) カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26-46, D-70376 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン フイ
【テーマコード(参考)】
3G144
【Fターム(参考)】
3G144BA20
3G144BA40
3G144GA12
3G144GA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コストダウン、吸着効果の確保、故障率の低減を図れるカーボンキャニスタアセンブリ及びエンジンを開示する。。
【解決手段】カーボンキャニスタアセンブリは、主カーボンキャニスタと補助カーボンキャニスタを有し、主カーボンキャニスタは第1キャビティを有し、第1キャビティは円筒状であり、第1キャビティには蒸発した燃料蒸気を吸着するための吸着材料が充填される。補助カーボンキャニスタは第1キャビティと連通する第2キャビティを有し、第2キャビティは円錐台形状であり、円錐台形状の第2キャビティの断面の直径は底部から頂部へ徐々に小さくなる。エンジンは、カーボンキャニスタアセンブリを有して構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンキャニスタアセンブリであって、主カーボンキャニスタと補助カーボンキャニスタを有し、
前記主カーボンキャニスタは第1キャビティを有し、第1キャビティは円筒状であり、第1キャビティは蒸発した燃料蒸気を吸着するための吸着材料が充填され、
前記補助カーボンキャニスタは、第1キャビティと連通する第2キャビティを有し、前記第2キャビティは円錐台形状であり、円錐台形状の前記第2キャビティの断面の直径が底部から頂部へ向かって徐々に小さくなっている
ことを特徴とするカーボンキャニスタアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のカーボンキャニスタアセンブリにおいて、
前記補助カーボンキャニスタは、外部の空気と連通するための大気ポートを備え、前記大気ポートは、前記第2キャビティの小端部に位置して前記第2キャビティと連通することを特徴とするカーボンキャニスタアセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載のカーボンキャニスタアセンブリにおいて、
前記主カーボンキャニスタと前記補助カーボンキャニスタとは、前記第2キャビティの大端部に近い位置で連通することを特徴とするカーボンキャニスタアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載のカーボンキャニスタアセンブリにおいて、
前記主カーボンキャニスタは、オイルタンクと連通する吸着ポートと給気系統と連通する脱着ポートとを備え、前記吸着ポートと前記脱着ポートの両方が第1キャビティと連通していることを特徴とするカーボンキャニスタアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載のカーボンキャニスタアセンブリにおいて、
前記主カーボンキャニスタと前記補助カーボンキャニスタとの連通部に、空のバッファ領域が形成されていることを特徴とするカーボンキャニスタアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載のカーボンキャニスタアセンブリにおいて、
前記主カーボンキャニスタ、前記空のバッファ領域及び前記補助カーボンキャニスタがU字状のキャビティ構造を形成し、前記燃料蒸気が前記カーボンキャニスタアセンブリ内でU字状流路を形成することを特徴とするカーボンキャニスタアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載のカーボンキャニスタアセンブリにおいて、
前記主カーボンキャニスタと前記補助カーボンキャニスタの底部には、ダイヤフラムスプリングが設けられていることを特徴とするカーボンキャニスタアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載のカーボンキャニスタアセンブリにおいて、
前記主カーボンキャニスタと前記補助カーボンキャニスタはナイロン樹脂の射出成形で形成されることを特徴とするカーボンキャニスタアセンブリ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1つに記載のカーボンキャニスタアセンブリを有することを特徴とするエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、自動車部品、特に、カーボンキャニスタアセンブリおよびエンジンの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のガソリン蒸気による環境汚染に直面し、特に家庭用乗用車の分野において国の排出ガス規制がますます厳しくなってきている。そのため、ガソリンエンジンのモデルは、より高い排出ガス規制を満たすために、オイル蒸気の吸着能力と脱着能力を有するカーボンキャニスタ装置を搭載する必要がある。したがって、限られたレイアウトスペースの中で、より効率的なカーボンキャニスタを設置することが自動車メーカーにとって大きな課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在、一部のカーボンキャニスタの補助キャビティの大気ポートにおける端部カーボンベッドの断面には死角が存在する。例えば、ピラミッド構造が採用されているため、死角部の領域におけるカーボンパウダー中のオイルやガスの微粒子を脱着プロセスで大気の入口の清浄空気により吹き飛ばすのが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明は、前述した問題点に鑑み、関連技術の技術的課題の一つを少なくともある程度まで解決することを目的とする。そのために、本願発明は、カーボンベッドの死角部の領域におけるカーボンパウダー中のオイルやガスの微粒子が空気により吹き飛ばしにくいという問題を解決できるカーボンキャニスタアセンブリ及びエンジンを提供するものである。
【0005】
前記技術的課題を解決するために、本願発明は以下のように実現される。
【0006】
本願発明の一態様によれば、本願発明の一実施形態は、主カーボンキャニスタと補助カーボンキャニスタを有するカーボンキャニスタアセンブリを提供する。
【0007】
主カーボンキャニスタは第1キャビティを有し、第1キャビティは円筒状であり、第1キャビティは蒸発した燃料蒸気を吸着するための吸着材料が充填される。
【0008】
補助カーボンキャニスタは、第1キャビティと連通する第2キャビティを有し、第2キャビティは円錐台形状であり、円錐台形状の第2キャビティの断面の直径は底部から頂部へ向かって徐々に小さくなっている。
【0009】
これらのうちのある実施形態において、補助カーボンキャニスタは、外部の空気と連通するための大気ポートを備え、大気ポートは、第2キャビティの小端部に位置して第2キャビティと連通する。
【0010】
これらのうちのある実施形態では、主カーボンキャニスタと補助カーボンキャニスタとは、第2キャビティの大端部に近い位置で連通する。
【0011】
これらのうちのある実施形態では、主カーボンキャニスタは、オイルタンクと連通する吸着ポートと、給気系統と連通する脱着ポートとを備え、前記吸着ポートと前記脱着ポートの両方が第1キャビティと連通する。
【0012】
これらのうちのある実施形態では、主カーボンキャニスタと前記補助カーボンキャニスタとの連通部に、空のバッファ領域が形成される。
【0013】
これらのうちのある実施形態では、主カーボンキャニスタ、空のバッファ領域及び補助カーボンキャニスタがU字状のキャビティ構造を形成し、燃料蒸気がカーボンキャニスタアセンブリ内でU字状流路を形成する。
【0014】
これらのうちのある実施形態において、主カーボンキャニスタと補助カーボンキャニスタの底部には、ダイヤフラムスプリングが設けられている。
【0015】
本願発明の別の態様によれば、本願発明は、カーボンキャニスタアセンブリを有するエンジンを提供する。
【0016】
本願発明の技術的解決手段を実施することにより、少なくとも以下の有益な効果を奏する。
【発明の効果】
【0017】
本願発明の実施形態において、規定されるカーボンキャニスタアセンブリは、主カーボンキャニスタの第1キャビティを円筒形状に設定することにより、第1キャビティにおける死角の形成を効果的に回避できる。補助カーボンキャニスタを円錐台状にして、その円錐台状の第2キャビティの断面の直径が底部から頂部に向かって徐々に小さくなる設定にすることで、第2キャビティに死角が形成されるのを効果的に回避し、燃料蒸気が流れる長さをのばすことができる。このことに基づき、本願の実施形態におけるカーボンキャニスタアセンブリは死角を有さないため、カーボンパウダーなどの吸着材料が第1キャビティと第2キャビティに均一に配置され、カーボンパウダーに吸着された燃料蒸気の微粒子が脱着プロセスで空気により吹き飛ばされやすくなって、カーボンキャニスタアセンブリの再生利用と吸着効果を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、従来技術のカーボンキャニスタアセンブリの概略構造図である。
図2図2は、本願発明のある実施形態で規定されるカーボンキャニスタアセンブリの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明の実施形態における技術的解決手段を、添付図面を参照して明確かつ完全に説明する。以下に説明する実施形態は、本願発明の実施形態の一部であり、その全てでないことは明らかである。本願の実施形態に基づき、当業者が創造的な努力をせずに得られる他の全ての実施形態は本願の範囲に属する。
【0020】
本願の明細書及び特許請求の範囲における「第1」,「第2」等の用語は、類似の対象を区別するために使用されるものであり、特定の対象を記述するために使用されるものではない。また、特定の順序または配列を記述するためのものではない。本願の実施形態が、本願明細書に図示または説明されたもの以外の順序で実施され得るように、使用されるデータは適宜交換可能であり、「第1」,「第2」等の用語で区別される対象は一般に1種類であり、数は限定されない。対象の数は制限されず、例えば第1の対象は1つであってもよいし複数であってもよい。
【0021】
当業者には理解されるように、関連技術のカーボンキャニスタには背景技術で述べたように多少の欠点がある。図1は、既存のカーボンキャニスタアセンブリの部分断面図であり、カーボンキャニスタアセンブリの補助カーボンキャニスタの大気ポートにおける端部カーボンベッドの断面配置構造である。図1に示すように、既存のカーボンキャニスタアセンブリの欠点は、脱着プロセスにおいて、長い直線の縁部、死角またはコーナー部の領域におけるカーボンパウダー400中のオイルとガスの微粒子を大気ポートから入る清浄空気で吹き飛ばしにくいこと、同時にこの縁部と開口の上縁部との間に直角が形成されて過度の通気抵抗という副作用が生じることである。さらに、吸着プロセスでは、この領域での過度の通気抵抗のため、大抵の場合にオイルやガスの微粒子がここでトナー400へ逃げなくなり、トナーの利用効率が低下してしまう。したがって、カーボンパウダーの利用効率を高めるために、カーボンキャニスタアセンブリの構造を改良する必要がある。その具体的な技術方式を以下に説明する。
【0022】
図2を参照すると、本願のある実施形態において、主カーボンキャニスタ100及び補助カーボンキャニスタ200を有するカーボンキャニスタアセンブリが提供される。
【0023】
主カーボンキャニスタ100は、円筒状の第1キャビティ110を有し、第1キャビティ110は、蒸発した燃料蒸気を吸着するためのカーボンパウダーなどの吸着材料で満たされている。これにより、吸着プロセスでは、第1チャンバ110に入る燃料蒸気を吸着して、燃料蒸気が外気へ直接排出されることに起因する大気汚染を防止できる。脱着プロセスでは、第1キャビティ110の内壁が滑らかな構造であって死角がないため、死角にカーボンパウダーが溜まる可能性を最小化し、すべてのカーボンパウダーで燃料蒸気を吸着して吸着効果を高めることができる。したがって、第1チャンバ110に大気が流入するときに、カーボンパウダーに吸着された燃料蒸気をカーボンパウダーから分離してエンジン吸気系統に流入させることに繋がり、燃料蒸気の完全燃焼を利用することが実現され、燃料蒸気の直接排出によるエンジンの燃料消費量の増加を回避できる。
【0024】
補助カーボンキャニスタ200は第2キャビティ210を有し、第2キャビティ210は円錐台形状であり、第2キャビティ210には蒸発した燃料蒸気を吸着するためのカーボンパウダー等の吸着材が充填され、円錐台形状の第2キャビティ210の断面の直径は底部から頂部へ徐々に小さくなる。このことにより、吸着プロセス中には、第2チャンバ210に進入した燃料蒸気をカーボンパウダーで吸着し、燃料蒸気が外気に直接排出されることに起因する大気汚染を防止できる。脱着プロセスでは、第2キャビティ210の内壁が平滑構造であって死角がないため、死角にカーボンパウダーが堆積する可能性が最小化され、すべてのカーボンパウダーで燃料蒸気を吸着して吸着効果を向上させることができる。したがって、大気が第2チャンバ210に進入するとき、カーボンパウダーに吸着された燃料蒸気をカーボンパウダーから分離してエンジン給気系統に進入させることに繋がり、オイルとガスの完全燃焼を利用することが実現され、オイルとガスの直接排出に起因するエンジンの燃料消費量の増加を回避できる。
【0025】
また、第2キャビティ210が第1キャビティ110と連通しているので、燃料蒸気が第1キャビティ110を通って第2キャビティ210に流入可能であり、その結果、燃料蒸気が第1キャビティ110のカーボンパウダー及び第2キャビティ210のカーボンパウダーのそれぞれに吸着されるので、燃料蒸気の吸着性能が向上し、燃料蒸気の排出を効果的に回避できる。同時に、外部の空気も第2キャビティ210を通じて第1キャビティ110に流入可能であるから、第2キャビティ210内のカーボンパウダー及び第1キャビティ110内のカーボンパウダーをそれぞれその空気で浄化でき、燃料蒸気を十分に利用できる。
【0026】
また、第2キャビティ210は円錐台形状であるため、同じカーボンパウダーの条件で空気流路の流路長を長くすることができ、カーボンパウダーに燃料蒸気の微粒子をより効果的かつ十分に吸着させることができる。
【0027】
以上の設定により、本願の実施形態におけるカーボンキャニスタアセンブリには死角が存在しないため、カーボンパウダーが第1キャビティ110と第2キャビティ210に均一に配置され、カーボンパウダーに吸着された燃料蒸気の微粒子が脱着プロセスで空気により容易に吹き飛ばされ、カーボンキャニスタアセンブリのリサイクル及び吸着効果を保証できる。
【0028】
第1キャビティ110及び第2キャビティ210内に充填された吸着材料は、当該技術分野で一般的に使用される、燃料蒸気を吸着できる任意の既存の吸着材料とすることができることに留意されたい。本願の実施形態は、前記吸着材料の供給源、特定の種類、または組成を限定するものではなく、すべてカーボンパウダーなどの工業的に製造されている製品または市販の製品を使用することができる。本願の実施形態は、材料の組成の改良を伴わない。
【0029】
第2キャビティ210は、小端部211と大端部212とを有し、小端部211は第2キャビティ210の頂部に位置し、大端部212は第2キャビティ210の底部に位置する。第2キャビティ210は、底部端の端部直径から大気ポート220の端部、すなわち頂部まで円形断面の構造を採用し、それにより空気流路の同一カーボンパウダーの流路長が長くなり、オイルとガスの微粒子の吸着をより効果的かつ徹底して行うことができる。
【0030】
また、外部との連通を実現するために、補助カーボンタンク200には、第2キャビティ210の小端部211に位置して第2キャビティ210と連通する、外部空気との連通用の大気ポート220が設けられている。これにより、カーボンパウダーに吸着されたガスを、大気ポート220を通じて外部空気へ排出できる。同時に、外部空気も第2キャビティ210及び第1キャビティ110に進入して第2キャビティ210及び第1キャビティ110内のカーボンパウダーを浄化することができるので、浄化されたオイル及びガスをエンジンの吸気系統に入れて燃焼に利用できる。
【0031】
第2キャビティ210の小端部211に大気ポート220が配置され、大気ポート220から離れた端部から大気ポート220が設けられた端部へ第2キャビティ210の断面積が徐々に小さくなっているため、それによって空気流路上の同じトナーの流路長が長くなってオイルやガスの微粒子をより効果的に吸着できる。
【0032】
また、第2チャンバ210が円錐台形状に構成され、第2チャンバ210の小端部211に大気ポート220が配置されているので、大気ポート220への空気の流れがより安定かつスムーズになり、カーボンキャニスタアセンブリの全体の空気流通抵抗が減少し、燃料蒸気がカーボンキャニスタアセンブリに入って規則的に抜け出し、効果的にシステム抵抗が減少してカーボンキャニスタアセンブリの性能が向上する。
【0033】
あるいは、主カーボンキャニスタ100と補助カーボンキャニスタ200との間の連通部は、第2キャビティ210の大端部212に近い。このようにすると、燃料蒸気が第2キャビティ210の大端部212の領域から小端部211の領域へ流れることができ、燃料蒸気の円滑な流れに寄与する。
【0034】
吸着プロセス及び脱着プロセスを実現するために、主カーボンタンク100には、吸着ポート120及び脱着ポート130が設けられている。吸着ポート120はオイルタンクとの連通に用いられ、脱着ポート130はエンジンの給気系統装置との連通に用いられ、吸着ポート120及び脱着ポート130の両方が第1キャビティ110と連通する。これにより、吸着プロセスでは、オイルタンク内の燃料蒸気が吸着ポート120から第1キャビティ110に流入し、第1キャビティ110を通って第2キャビティ210へ流れて、第1キャビティ110及び第2キャビティ210内のカーボンパウダーに燃料蒸気が吸着され、吸着された後のガスが外部の空気へ排出されるので、燃料蒸気が外部環境を汚染するのが防止される。脱着プロセスでは、外部の空気が大気ポート220を介して第2キャビティ210へ流入し、第2キャビティ210を通じて第1キャビティ110へ入るので、第2キャビティ210及び第1キャビティ110内の燃料蒸気がカーボンパウダーから分離され、脱着ポート130を通じてガスと共にエンジンの給気系統に入るので、燃料蒸気の再利用を実現してエンジンの燃料節約性能を向上させることができる。
【0035】
または、主カーボンタンク100と補助カーボンタンク200との間の連通部にバッファ領域300が設けられる。具体的には、主カーボンタンク100と補助カーボンタンク200との間に流路を接続し、その流路の内部キャビティに空のバッファ領域300が形成される。空のバッファ領域300を設定することにより、一方では、第1キャビティ110と第2キャビティ210との間の連通を実現してガスの相互流動を促進し、他方では、ガスを緩衝してガスの流動をより安定かつ円滑にすることができる。
【0036】
または、燃料蒸気がキャニスタセンブリ内でU字状流路を形成するように、主キャニスタ100、空のバッファ領域300及び補助キャニスタ200がU字状のキャビティ構造を形成する。これにより、燃料蒸気の流路をのばすことができるので、燃料蒸気の吸着効果を高めることができる。また、空気の流れをより安定させるとともに円滑にすることができる。
【0037】
トナーが損耗しにくくなるように、主カーボンタンク100及び補助カーボンタンク200の底部にはダイヤフラムスプリングが配置される。これに基づくと、ダイヤフラムスプリングは、主カーボンキャニスタ100及び補助カーボンキャニスタ200を支持し、また、主カーボンキャニスタ100及び補助カーボンキャニスタ200の衝撃を和らげることができるので、車両全体の揺れによって生じるカーボンパウダー粒子間の摩耗の問題を緩和することができる。
【0038】
ある実施形態において、主カーボンキャニスタ100及び補助カーボンキャニスタ200は、ナイロン樹脂で射出成形される。これにより、製造コストを低減することができ、製造が容易になる。
【0039】
本願は、カーボンキャニスタアセンブリを含むエンジンも開示するものである。
【0040】
本実施形態で提供されるエンジンは、前述のカーボンキャニスタアセンブリを含み、前記カーボンキャニスタアセンブリの特徴及び利点の少なくとも全てを有することが理解されるべきである。エンジンは、カーボンキャニスタアセンブリに加えて、エンジン構造の他の部分を含んでいてもよく、エンジン構造の他の部分及びそれらの接続関係は、従来技術を参照することができ、本明細書では説明しない。
【0041】
以上のように、本願発明の実施形態におけるカーボンキャニスタアセンブリは、トナー(カーボンパウダー)の有効性を最大限に活用することができ、油やガスの微粒子が逃げる量を最小限に抑え、周囲環境における炭化水素の増加を回避できる。一方、トナーの有効利用により、製品全体のコストダウンが可能となる。トナーは化学製品であり、カーボンキャニスタ全体のコストの半分を占めるため、トナーの有効活用は製品競争力を高めるために重要なポイントである。また、円形のチャンバ構造と第2チャンバの円錐形の気流により、キャニスタ全体の通気性に対して優れた空気抵抗性能を有する。これは、自動車に給油する際、大量のオイルガスが非常に速くカーボンキャニスタに流れ込み、この時に空気抵抗が大きいと給油ガンが飛んでしまい、アフターサービスの苦情やリコールにまで発展してしまう。したがって、性能の最適化、コストダウン、故障低減の観点から、技術的な工夫と実用性の高い構造となっている。
【0042】
以上、添付図面を参照して本願の実施形態を説明したが、本願は、単に概略的であって限定的ではない前述の特定の実施形態には限定されず、本願の目的と特許請求の範囲の範囲から逸脱しない範囲において、当業者であれば本願の思想に基づいてなし得る多くの態様は全て本願の保護範囲に属する。
【符号の説明】
【0043】
100 主カーボンキャニスタ
110 第1キャビティ
120 吸着ポート
130 脱着ポート
200 補助カーボンキャニスタ
210 第2キャビティ
211 小端部
212 大端部
220 空気ポート
300 バッファ領域
400 トナー
図1
図2
【外国語明細書】