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特開2023-98854半導体基材プロセッシング装置およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098854
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】半導体基材プロセッシング装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
C23C16/455
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022207745
(22)【出願日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】63/294,610
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100175178
【弁理士】
【氏名又は名称】桑野 敦司
(72)【発明者】
【氏名】グプタ パリディ
(72)【発明者】
【氏名】大森 拓
(72)【発明者】
【氏名】李卓熹
(72)【発明者】
【氏名】ヴォラ アーディル
(72)【発明者】
【氏名】ダン トッド
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030EA03
4K030HA12
4K030JA11
4K030KA41
(57)【要約】
【課題】半導体基材プロセッシング装置およびその方法を提供する。
【解決手段】半導体基材プロセッシングのための装置および方法が提示される。半導体基材プロセッシング、特にALDのようなプロセスのために使用される弁などの装置については、遅延時間が制御されうるように、信号から弁の開閉までにかかった正確な時間をモニターおよび制御する必要性がある。一実施形態では、反応器、弁、プロセスコントローラ、および弁モニターシステムを備える装置が提示される。プロセスコントローラは、弁に動作的に接続されてもよく、またメモリが提供されてもよい。センサは、電気的センサまたは光学的センサのいずれかであってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基材プロセッシング装置であって、
半導体基材をプロセッシングするための反応器と、
前記基材をプロセッシングするために前記反応器へとガスを提供するための弁と、
前記弁へと動作的に接続され、かつ前記半導体基材をプロセッシングするためのプロセスレシピを保存するためのメモリが提供されたプロセスコントローラであって、前記プロセスレシピに基づいて弁起動信号を生成し、かつ前記レシピに従って前記反応器へと前記ガスを提供するかまたは前記反応器への前記ガスの提供を停止するために、前記弁を開放または閉鎖するように前記弁へと前記弁起動信号を伝送するように配設およびプログラムされたプロセスコントローラと、
前記弁の前記開閉をモニターする弁モニターシステムと、を備える、半導体基材プロセッシング装置。
【請求項2】
前記弁モニターシステムが、前記弁の前記開閉を感知するために前記弁へと動作的に連結されたセンサを備え、かつ前記センサが、前記弁の移動が感知された時に弁移動信号を生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弁モニターシステムが、下記の式(eq1)に示されるように、前記弁移動信号のタイミングから前記弁起動信号のタイミングを減算して前記弁の応答における遅延を決定することによって、前記弁起動信号と前記弁移動信号とを互いに比較するために、前記プロセスコントローラへと動作的に接続されてもよく、
eq1)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間、である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサが光学的センサであり、前記弁が空気弁であり、かつ
前記弁起動信号が、前記空気弁への圧縮空気ラインを起動して、開放させる、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記空気弁が、閉鎖位置マークおよび開放位置マークを有し、かつ
前記プロセスコントローラが、前記空気弁をモニターし、前記空気弁のピストンが前記閉鎖位置マークにある時の時間および前記空気弁のピストンが前記開放位置マークにある時の時間を測定するように、構成され、かつ前記プロセスコントローラが、前記ピストンが前記閉鎖位置マークにある時の時間を前記ピストンが前記開放位置マークにある時の時間から減算することによって遅延時間を計算するように、さらに構成され、かつ
前記プロセスコントローラが、前記遅延時間が所定の遅延時間よりも大きい場合に前記圧縮空気ラインが狭められていることを決定するように、さらに構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
それぞれ、前記弁に対する前記時間遅延が所定の閾値以下である場合、前記時間遅延は、標準反応時間として定義され、かつ前記弁は、標準反応時間弁として決定され、弁に対する前記時間遅延が前記所定の閾値より大きい場合、前記時間遅延は、遅延反応時間として定義され、かつ前記弁は、遅延反応時間弁として決定され、
前記プロセスコントローラはまた、下記の式(eq2)を用いて各遅延反応時間弁に対する補正時間を算出するようにもさらに構成され、
eq2)補正時間=遅延反応時間-標準反応時間、であり、
eq2)において前記標準反応時間は、すべての前記標準反応時間弁の標準反応時間の平均、または前記弁の中の最小標準反応時間とすることができる、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセスコントローラが、下記の式(eq3)を用いて各遅延反応時間弁に対する補正時間を算出するようにさらに構成され、
eq3)補正時間=遅延反応時間-所定の閾値である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記プロセスコントローラが、遅延反応時間弁については、前記補正時間と同じ程度前記レシピより早く弁起動信号を生成し、かつ前記標準反応時間弁については、前記レシピに従って弁起動信号を生成するようにさらに構成される、請求項6~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記プロセスコントローラが、前記遅延反応時間弁に対する前記弁起動信号を元の前記レシピにおいて補正時間と同じ程度よりも早く生成するように、前記遅延反応時間弁に対する前記レシピを更新するようにさらに構成される、請求項7~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
ユーザーから入力を受信してもよく、前記弁の各々の前記時間遅延を表示してもよいユーザーインターフェースであって、前記弁に対する所定の閾値を受信および更新することもできる、ユーザーインターフェース、
をさらに備える請求項3に記載の装置。
【請求項11】
半導体基材プロセッシング装置であって、
半導体基材をプロセッシングするための反応器と、
前記基材をプロセッシングするために前記反応器へとガスを提供するための弁と、
前記弁へと動作的に接続され、かつ前記半導体基材をプロセッシングするためのプロセスレシピを保存するためのメモリが提供されたプロセスコントローラであって、前記プロセスレシピに基づいて弁起動信号を生成し、かつ前記レシピに従って前記反応器へと前記ガスを提供するかまたは前記反応器への前記ガスの提供を停止するために、前記弁を開放または閉鎖するように前記弁へと前記弁起動信号を伝送するように配設およびプログラムされたプロセスコントローラと、
前記弁の前記開閉をモニターするための弁モニターシステムであって、前記弁の前記開閉を感知するために前記弁に動作的に連結されたセンサであって、前記弁の移動が感知された時に弁移動信号を生成するセンサと、前記センサから送信された前記弁移動信号を受信するように構成された、サーバーと、を備える、弁モニターシステムと、
ユーザーから入力を受信し、かつ信号を表示するように構成されたユーザーインターフェースと、を備える、半導体基材プロセッシング装置。
【請求項12】
前記サーバーが、プロセッシングユニットおよびメモリユニットであって、前記メモリユニットが、前記弁移動信号を保存するように構成され、かつ前記プロセッシングユニットが、表示するために保存された弁移動信号をプロセスするように構成された、プロセッシングユニットおよびメモリユニットをさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記サーバーが、下記の式(eq4)を使用して、あらゆる弁に対する時間遅延を算出する、
eq4)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間、である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記サーバーが、受信した前記弁移動信号と関連付けられる時間遅延が、前記レシピ内に保存された所定の閾値より大きい場合、受信した前記弁移動信号と関連付けられる前記弁起動信号は不良であると決定され、受信した前記弁移動信号と関連付けられる時間遅延が、前記レシピ内に保存された所定の閾値以下である場合、受信した前記弁移動信号と関連付けられる前記弁起動信号は良好であると決定されるように、算出された時間遅延に基づいて、受信した前記弁移動信号が良好かまたは不良かを決定するようにさらに構成されてもよい、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
半導体基材をプロセスする方法であって、
レシピに従って、弁起動信号をプロセスコントローラから弁へと送信することと、
前記弁に連結されたセンサから弁移動信号を受信し、および前記プロセスコントローラによって、下記の式(eq5)を用いてすべての弁に対する時間遅延を算出することであって、
(eq5)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間、である、ことと、
前記プロセスコントローラによって、あらゆる弁について、前記弁に対する前記時間遅延が、所定の閾値内であるかどうかを決定することであって、そして、それぞれ、弁に対する前記時間遅延が、前記所定の閾値以下である場合、前記時間遅延が、標準反応時間として定義され、かつ前記弁が、標準反応時間弁として決定され、弁に対する前記時間遅延が、前記所定の閾値より大きい場合、前記時間遅延が、遅延反応時間として定義され、かつ前記弁が、遅延反応時間弁として決定される、決定することと、前記コントローラによって、下記の式(eq6)を用いて各遅延反応時間弁に対する補正時間を算出することであって、
(eq6)補正時間=遅延反応時間-標準反応時間、である、ことと、を含み、
(eq6)における前記標準反応時間が、すべての前記標準反応時間弁の標準反応時間の平均、または前記弁の中の最小標準反応時間とすることができる、方法。
【請求項16】
前記補正時間が、下記の式(eq7)を用いて算出されてもよく、
(eq7)補正時間=遅延反応時間-所定の閾値である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記弁に対する算出された前記補正時間を用いて前記レシピを更新することと、更新された前記レシピに従って、弁起動信号を前記コントローラから前記弁へと送信することと、
をさらに含む、請求項15~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記弁起動信号の送信時間が、前記レシピの送信時間より早い算出された前記補正時間であるように、前記プロセスコントローラから弁へと弁起動信号を送信することをさらに含む、
請求項15~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基材をプロセッシングするための装置および方法に関し、より具体的には、半導体基材プロセッシング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは一般に、原子層堆積(ALD)技法などの、基材の上へと膜を堆積することによって、形成される。ALD技法は一般に、個々の基材上に所望の層を形成するために、比較的短い期間、例えば、ミリ秒のオーダーで、プロセスチャンバへの前駆体の流れを周期的に提供することを採用する。
【0003】
流れは、典型的に、弁コントローラへと提供される、かつ弁コントローラと弁との協働によって実行される「プロセスレシピ」内で定義される所定のスケジュールに従って開閉する、高速弁によって提供されてもよい。ALD技法で堆積される膜の品質は、レシピに追従する程度に依存する場合がある。
【発明の概要】
【0004】
この「発明の概要」は、選択された概念を単純化した形態で紹介するために提供される。これらの概念は、下記の開示の「発明を実施するための形態」において、さらに詳細に記述される。
【0005】
この「発明の概要」は、特許請求される主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図せず、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図しない。
【0006】
1つの実施形態によると、半導体基材プロセッシング装置であって、半導体基材をプロセッシングするための反応器と、基材をプロセッシングするために反応器にガスを提供する弁と、弁に動作的に接続され、かつ半導体基材をプロセッシングするためのプロセスレシピを保存するためのメモリが提供されたプロセスコントローラであって、プロセスレシピに基づいて弁起動信号を生成し、かつレシピに従って反応器へとガスを提供するかまたは反応器へのガスの提供を停止するために、弁を開放または閉鎖するように弁に弁起動信号を伝送するように配設およびプログラムされたプロセスコントローラと、弁の開閉をモニターする弁モニターシステムと、を備える、半導体基材プロセッシング装置が提供されてもよい。
【0007】
少なくとも1つの態様では、弁モニターシステムは、弁の開閉を感知するために弁に動作的に連結されたセンサを備え、またセンサは、弁の移動が感知された時に弁移動信号を生成する。
【0008】
少なくとも1つの態様では、弁モニターシステムは、下記の式(eq1)に示されるように、弁の応答における遅延を決定するために弁移動信号のタイミングから弁起動信号のタイミングを減算することによって弁起動信号と弁移動信号とを互いに比較するために、プロセスコントローラに動作的に接続されてもよい。eq1)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間。
【0009】
少なくとも1つの態様では、センサは光学的センサであり、弁は空気弁であり、また弁起動信号は、開放するために空気弁への圧縮空気ラインを起動する。
【0010】
少なくとも1つの態様では、空気弁は、閉鎖位置マークおよび開放位置マークを有し、プロセスコントローラは、空気弁をモニターし、かつ空気弁のピストンが閉鎖位置マークにある時の時間および空気弁のピストンが開放位置マークにある時の時間を測定するように、構成され、プロセスコントローラは、ピストンが開放位置マークにある時の時間からピストンが閉鎖位置マークにある時の時間を減算することによって遅延時間を計算するようにさらに構成され、またプロセスコントローラは、遅延時間が所定の遅延時間より大きい場合、圧縮空気ラインが狭められていることを決定するようにさらに構成される。
【0011】
少なくとも1つの態様では、それぞれ、弁に対する時間遅延が所定の閾値以下である場合、時間遅延は、標準反応時間として定義され、かつ弁は、標準反応時間弁として決定され、また弁の時間遅延が所定の閾値より大きい場合、時間遅延は、遅延反応時間として定義され、かつ弁は、遅延反応時間弁として決定され、そしてプロセスコントローラは、下記の式(eq2)を用いて各遅延反応時間弁の補正時間を算出するようにもさらに構成される。eq2)補正時間=遅延反応時間-標準反応時間、eq2)において、標準反応時間は、すべての標準反応時間弁の標準反応時間の平均、または弁の中での最小標準反応時間とすることができる。
【0012】
少なくとも1つの態様では、プロセスコントローラは、各遅延反応時間弁に対して、下記の式(eq3)を用いて補正時間を算出するようにさらに構成される。eq3)補正時間=遅延反応時間-所定の閾値。
【0013】
少なくとも1つの態様では、プロセスコントローラは、遅延反応時間弁については、補正時間と同じ程度レシピより早く弁起動信号を生成し、また標準反応時間弁については、レシピに従って弁起動信号を生成するようにさらに構成される。
【0014】
少なくとも1つの態様では、プロセスコントローラは、遅延反応時間弁に対する弁起動信号を元のレシピにおいて補正時間と同じ程度よりも早く生成するように、遅延反応時間弁に対するレシピを更新するようにさらに構成される。
【0015】
少なくとも1つの態様では、装置は、ユーザーから入力を受信してもよく、また弁の各々の時間遅延を表示してもよいユーザーインターフェースをさらに備え、ユーザーインターフェースはまた、弁に対する所定の閾値を受信および更新することもできる。
【0016】
1つの実施形態によると、半導体基材をプロセッシングするための反応器と、基材をプロセッシングするために反応器にガスを提供するための弁と、弁へと動作的に接続され、かつ半導体基材をプロセッシングするためのプロセスレシピを保存するためのメモリが提供されるプロセスコントローラであって、プロセスレシピに基づいて弁起動信号を生成し、かつレシピに従って反応器へとガスを提供するかまたは反応器へのガスの提供を停止するために、弁を開放または閉鎖するように弁起動信号を弁に伝送するように配設およびプログラムされた、プロセスコントローラと、弁の開閉をモニターする弁モニターシステムであって、弁の開閉を感知するために弁に動作的に連結され、かつ弁の移動が感知された時に弁移動信号を生成するセンサと、センサから送信された弁移動信号を受信するように構成されたサーバーと、を備える弁モニターシステムと、ユーザーからの入力を受信し、かつ信号を表示するように構成されたユーザーインターフェースと、を備える半導体基材プロセッシング装置が提供されてもよい。
【0017】
少なくとも1つの態様では、サーバーは、プロセッシングユニットおよびメモリユニットをさらに備え、メモリユニットは、弁移動信号を保存するように構成され、プロセッシングユニットは、表示するために保存された弁移動信号をプロセスするように構成される。
【0018】
少なくとも1つの態様では、サーバーは、下記の式(eq4)を使用して、あらゆる弁に対する時間遅延を算出する。eq4)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間。
【0019】
少なくとも1つの態様では、サーバーは、受信した弁移動信号と関連付けられる時間遅延が、レシピ内に保存された所定の閾値より大きい場合、受信した弁移動信号と関連付けられる弁起動信号は不良であると決定され、受信した弁移動信号と関連付けられる時間遅延が、レシピ内に保存された所定の閾値以下である場合、受信した弁移動信号と関連付けられる弁起動信号は良好であると決定されるように、算出された時間遅延に基づいて、受信した弁移動信号が良好かまたは不良かを決定するようにさらに構成されてもよい。
【0020】
別の実施形態によると、半導体基材をプロセスする方法が提供されてもよく、方法は、弁起動信号をレシピに従ってプロセスコントローラから弁へと送信することと、弁に連結されたセンサから弁移動信号を受信し、およびプロセスコントローラによってすべての弁に対して下記の式(eq5)、(eq5)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間、を用いて時間遅延を算出することと、あらゆる弁に対してプロセスコントローラによって、弁に対する時間遅延が所定の閾値以内であるかどうかを決定することであって、そして、それぞれ、弁に対する時間遅延が所定の閾値以下である場合、時間遅延は標準反応時間として定義され、かつ弁は標準反応時間弁として決定され、弁に対する時間遅延が所定の閾値より大きい場合、時間遅延は遅延反応時間として定義され、かつ弁は遅延反応時間弁として決定される、決定することと、コントローラによって、以下の式(eq6)、(eq6)補正時間=遅延反応時間-標準反応時間、を用いて各遅延反応時間弁に対する補正時間を算出することであって、(eq6)における標準反応時間は、すべての標準反応時間弁の標準反応時間の平均、または弁の中で最小の標準反応時間とすることができる、ことと、を含む。
【0021】
少なくとも1つの態様では、補正時間は、下記の式(eq7)を用いて算出されてもよい。(eq7)補正時間=遅延反応時間-所定の閾値。
【0022】
少なくとも1つの態様では、方法は、弁に対する算出された補正時間を用いてレシピを更新することと、更新されたレシピに従ってコントローラから弁へと弁起動信号を送信することと、をさらに含む。
【0023】
少なくとも1つの態様では、方法は、弁起動信号の送信時間が、レシピのものより早い算出された補正時間であるように、弁起動信号をプロセスコントローラから弁へと送信することをさらに含む。
【0024】
当然のことながら、図内の要素は単純化および明瞭化のために例示されており、必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、図内の要素のうちの一部の寸法は、本開示の例示された実施形態の理解の向上を助けるために他の要素に対して相対的に誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一実施形態による、弁1と弁2との間の差異を示すための、時間に対する弁1および弁2の弁開放信号および弁移動信号の視覚的なグラフを示す。
図2図2(a)は、本発明の一実施形態による、弁2の開放が遅い性質を補償するために、レシピにおいてより遅い弁(弁2)の値を更新する前の信号タイミング変更を例示する。図2(b)は、本発明の一実施形態による、弁2の開放が遅い性質を補償するために、レシピにおいてより遅い弁(弁2)の値を更新した後の信号タイミング変更を例示する。
図3図3は、本発明の一実施形態によるシステムの概略図を示す。
図4図4(a)は、本発明の一実施形態による、弁動作のための次の信号を送信する方法の実施例を例示する。図4(b)は、本発明の一実施形態による、弁動作のための次の信号を送信する方法の実施例を例示する。図4(c)は、本発明の一実施形態による、弁動作のための次の信号を送信する方法の実施例を例示する。
図5図5は、本発明の別の実施形態によるシステムの概略図を例示する。
図6図6は、図4の変形バージョンである、本発明の別の実施形態によるシステムの別の概略図を例示する。
図7図7は、図4の別の変形バージョンである、本発明の別の実施形態によるシステムの別の概略図を例示する。
図8図8は、本発明の別の実施形態によるサーバーの詳細図を例示する。
図9図9は、本発明の別の実施形態によるプロセスコントローラの詳細図を例示する。
図10図10は、本発明の一実施形態による図3のシステムで採用される方法を例示する。
図11図11は、本発明の別の実施形態による図4図6のシステムで採用される別の方法を例示する。
図12図12は、本発明の別の実施形態によるレシピから良好または不良を決定した、レシピの一部およびパルス値の実施例を例示する。
図13図13(a)は、本発明の別の実施形態による弁設定の実施例を例示する。図13(b)は、本発明の別の実施形態による、ラインが狭められることなく弁が開放すると決定された時の弁に対する測定の実施例を例示する。図13(c)は、狭められたラインを有する開放する弁の実施例を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ある特定の実施形態および実施例を下記に開示するが、本発明の具体的に開示された実施形態および/または使用、ならびにその明白な修正および均等物を超えて本発明が延長することは、当業者によって理解されるであろう。それ故に、開示された本発明の範囲は、後述する特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、修正されてもよい、またはデバイス、回路、もしくは膜がその上に形成されてもよい、任意の下地材料(複数可)を含む、任意の下地材料(複数可)を指す場合がある。「基材」は、連続または非連続、剛性または柔軟、中実または多孔質、およびそれらの組み合わせであってもよい。基材は、粉末、プレート、またはワークピースなどの任意の形態であってもよい。プレートの形態の基材は、様々な形状およびサイズのウエハを含んでもよい。基材は、例えば、ケイ素、シリコンゲルマニウム、酸化ケイ素、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、および炭化ケイ素を含む半導体材料から作製されてもよい。
【0028】
例として、粉末の形態の基材は、医薬品製造のための用途を有する場合がある。多孔質基材はポリマーを含んでもよい。ワークピースの例としては、医療機器(例えば、ステントおよびシリンジ)、宝石類、ツーリングデバイス、電池製造のための構成要素(例えば、アノード、カソード、もしくはセパレータ)、または光起電力電池の構成要素などが挙げられてもよい。
【0029】
連続基材は、堆積プロセスが生じるプロセスチャンバの境界を越えて延在してもよい。一部のプロセスでは、連続基材は、プロセスが基材の端部に達するまで継続されるように、プロセスチャンバを通して移動してもよい。連続基材は、任意の適切な形態で連続基材の製造および生産を可能にするために、連続基材供給システムから供給されてもよい。
【0030】
連続基材の非限定的な例としては、シート、不織膜、ロール、箔、ウェブ、柔軟材料、連続フィラメントまたは繊維(例えば、セラミック繊維またはポリマー繊維)の束が挙げられてもよい。連続基材はまた、非連続基材がその上へと取り付けられるキャリアまたはシートを含んでもよい。
【0031】
本明細書に提示された例示は、任意の特定の材料、構造、またはデバイスの実際の姿であることを意味せず、本開示の実施形態を記述するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0032】
示され、かつ記述された特定の実現は、本発明およびその最良の形態の例示であり、態様および実現の範囲をいかなるやり方でも、別の方法で限定することを意図しない。実際、簡潔のために、従来の製造、関連、調製、およびシステムの他の機能的態様を詳細に記述していない場合がある。さらに、様々な図に示される接続線は、様々な要素間の例示的な機能的関係および/または物理的連結を表すことを意図する。多くの代替的もしくは追加的な機能的関係もしくは物理的接続が、実際のシステムにおいて存在してもよく、および/または一部の実施形態では存在しなくてもよい。
【0033】
本明細書に記述される構成および/または取り組みは本質的に例示的であり、かつこれらの特定の実施形態または実施例は、数多くの変形が可能であるため、限定的な意味と考えられるべきではないことが理解されるべきである。本明細書に記述される具体的なルーチンまたは方法は、任意の数のプロセッシング方策のうちの1つ以上を代表する場合がある。それ故に、例示された様々な動作は、例示される順序で実施されてもよく、他の順序で実施されてもよく、または一部の事例では省略されてもよい。
【0034】
本開示の主題は、本明細書に開示の様々なプロセス、システム、および構成、ならびに他の特徴、機能、動作および/または特性のすべての新規かつ自明でない組み合わせおよび部分的組み合わせだけでなく、そのありとあらゆる均等物も含む。
【0035】
半導体基材プロセス、例えば、ALDプロセスでは、基材への前駆体の流れを制御するために、多くの弁が使用されてもよい。また、PEALDおよびPECVDでは、プラズマを基材チャンバへと提供するために、RF発生器も使用されてもよく、また発生器は、正確なタイミングで弁にプラズマを提供するために、正確に制御される必要がある場合がある。
【0036】
弁の開閉が時間通りであることは、結果として基材にわたる前駆体のタイミングおよび基材の品質のもとになりうるため、弁は、正確に制御される必要がある場合がある。
【0037】
したがって、本実施形態の制御機構は、弁だけでなくRF発生器にも適用されてもよい。なぜなら、RF発生器は、PEALDおよび/またはPECVDの弁と同様に、時間通りの移動を有して装備されるべきであるからである。便宜上、例として、弁が使用されるが、これは本実施形態の範囲を限定するものではない。
【0038】
弁は、弁の開閉機構を装備してもよい。機構は、使用されていない時は弁が閉鎖していてもよく一般的な起動信号が受信された時にのみ開放するようなものであってもよい。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態による、弁1と弁2との間の差異を示すための、時間軸での弁1および弁2の「弁起動信号」と、「弁移動信号」との視覚的なグラフを示す。弁起動信号は、前駆体および/またはガスが化学反応のために流れ、かつチャンバ内に入ることができるように、弁コントローラ(図には示されていない)に弁を開放するように命令してもよい。弁移動信号は、弁を開放するように命令してもよく、また弁へと連結されたセンサによって生成されてもよい。半導体基材プロセスでは、弁は正常の状況において通常閉鎖していてもよく、弁起動信号が受信された時のみ開放してもよい。
【0040】
弁1(v1)および弁2(v2)は、同時に弁起動信号を有するが、弁移動信号は、異なる時間がかかる。弁1は、弁起動信号から弁移動信号まで「a」時間かかり、一方で弁2は、弁起動信号から弁移動信号まで、「a」時間より長い、「a+b」時間かかる。時間遅延「b」は、弁2(v2)が、弁1(v1)より反応が遅いことを意味する。この場合、v1とv2が同じ反応で使用され、かつ、反応がv1とv2の同時の開放を必要とするべきである場合、v1とv2の開放の時間遅延(および前駆体が完全には反応しないこと)に起因して反応が十分ではないため、結果としてもたらされる基材の品質は期待されるものより極めて低い。この実施例の時間は通常、ミリ秒(ms)で測定されてもよいが、他の測定が可能でありうる(マイクロ秒(μs)など)。
【0041】
この状況を克服するための一実施形態を図2に示す。
【0042】
図2(a)では、元のレシピが示される。レシピは、ある特定の弁をいつ開放するかなどのような、基材プロセッシングのために実行するスケジュールまたはプランである。図2(a)では、弁1および弁2ならびに工程1~工程3のレシピの一部が記述されている。弁1および弁2は、元のレシピでは、工程2において同時に開放される。
【0043】
しかし、弁2(v2)は、まさに図1に示すように、弁1(v1)より反応が遅い場合があるため、弁2の実際の反応はレシピとは多少異なる。
【0044】
v2の反応時間はv1の反応時間より「b」時間遅いので、v2は、v1より「b」時間早く弁を開放するよう命令される。したがって、図2(b)における「c」時間の長さは、図1における「b」時間と同じである。「a」時間は「標準反応時間」と名付けることができ、また「b」時間は「遅延反応時間」と名付けることができる。「c」時間は、通常「b」時間と同じであるが、弁起動信号が元のレシピより「c」時間(すなわち「b」時間)早く送信されるので、「c」時間は「補正時間」と呼ばれる。
【0045】
コントローラ10は、下記の式(eq1)を使用して、弁の弁移動信号時間から弁起動信号時間(タイムスタンプ)を減算することによって、各弁に対して時間遅延を算出する。
【0046】
(eq1)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間
【0047】
コントローラ10は、弁が所定の閾値(レシピ内の)以内の時間遅延を有する場合、標準反応時間を有する弁を「標準反応時間弁」として決定してもよく、また遅延反応時間を有する弁を「遅延反応時間弁」として決定してもよいことを、決定してもよい。これは、レシピからの閾値を、すべての弁に対する算出された時間遅延と比較することによって行うことができる。
【0048】
更新されたレシピの弁起動信号時間が元のレシピの弁起動信号時間より「c」時間早いように、新しい弁起動信号(v2に対する元のレシピより「c」時間早い)に対してレシピを更新することができる。
【0049】
別の方法として、レシピ自体を更新することなく、更新された弁起動信号時間が、元のレシピの弁起動信号時間より「c」時間早いように、信号タイミングを更新することができる。
【0050】
図9は、プロセスコントローラ10を示す。プロセスコントローラ10は、メモリ10-1と、コンピュータシステムで使用されるCPUなどのプロセッシングユニット10-2と、を備える。プロセスコントローラ10はコンピュータであることに留意すべきである。プロセスコントローラ10は、そのメモリ10-1の中へとデータを保存し、そのメモリ10-1からデータを読み出し、およびそのメモリ10-1上でデータを更新することができ、信号を生成、送信、および受信することができ、ならびにそのプロセッシングユニット10-2を使用して信号の送受信の間の時間を測定することができる。
【0051】
プロセスコントローラ10(以下、コントローラと呼ぶことができる)は、そのプロセッシングユニット10-2を使用して、そのメモリ10-1内に保存されたレシピに基づいて信号を生成するように構成される。しかしながら、プロセスコントローラ10は、プロセッシングユニットを使用することによって、レシピを更新することなく、そのレシピの期限よりさらに前に信号を生成するように、さらに構成することができる。これは、プロセスコントローラ10のコンピューティング実体としての能力が、汎用コンピュータとまったく同じようであることに起因する。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態による半導体基材をプロセッシングするための装置線図を示す。
【0053】
装置は、コントローラ10と、反応器23と、弁21、22、31、32と、それぞれ、弁21、22、31、32に連結されてもよい弁モニターシステム21-1、22-1、31-1、32-1と、ユーザーインターフェース5と、ユーザーインターフェース5およびコントローラ10および弁21、22、31、32およびセンサ21-1、22-1、31-1、32-1の間のリンクと、を備える。弁モニターシステムは、弁の開閉を感知するために弁に動作的に連結されたセンサ21-1、22-1、31-1、32-1を備え、センサは、弁の移動が感知された時に弁移動信号を生成する。
【0054】
ユーザーからレシピ入力を得るために、ユーザーインターフェース5を使用してもよい。これはまた、レシピ実行結果のステータスも表示することもできる。レシピは、コントローラ10内に記憶されてもよく、コントローラ10は、弁起動信号送信時間(タイムスタンプ)および弁移動信号受信時間(タイムスタンプ)のようなレシピ実行を保存する。便宜上、時間は、この明細書ではタイムスタンプを意味することができる。
【0055】
コントローラ10は、その中に保存されたレシピに従って、弁起動信号を送信してもよい。その目的のために、コントローラ10は、データ(レシピのような)を記憶し、信号を生成および送信し、時間とともに信号を受信し、ならびに時間とともに入出の信号を保存することができる。コントローラ10はまた、表示するために、保存されたデータを(時間とともに)ユーザーインターフェースへと送信してもよい。
【0056】
弁21、22、31、32は、タイミング命令を用いて開閉する能力を有する、高精度時間制御を必要とする弁、RF発生器、または何かとすることができる。弁の数は、1つ、または2つ以上とすることができる。
【0057】
弁モニターシステム21-1、22-1、31-1、32-1はそれぞれ弁に連結されてもよい。半導体プロセッシングで使用される弁は通常、閉鎖されていてもよい。RF発生器は、同じ点において、プラズマを生成しない。弁および発生器が起動信号を受信したときにのみ、弁は開放し発生器はプラズマを生成する。弁モニターシステム(センサ)21-1、22-1、31-1、32-1は、それらが連結された弁の開放(および当然のことながら閉鎖)時間を測定する。また、弁モニターシステム(センサ)21-1、22-1、31-1、32-1は、それらが連結された弁の開放を感知する時にのみ、弁移動信号をコントローラ10へと送信するようにも構成されてもよい。
【0058】
図10は、本発明の一実施形態による方法の図を図示する。プロセスレシピは、コントローラ10内にすでに記憶されていてもよい。レシピは、弁を開放するように命令する信号の時間を決定づける。
【0059】
まず、コントローラ10は、レシピ(110)に従って弁へと弁起動信号を送信する。次いで、弁は、信号に応答して開放し、それらが開放する瞬間にセンサ21-1、22-1、31-1、32-1は、弁移動信号をコントローラ10へと送り返して、それらの各々が取り付けられている弁が開放していることを示す。コントローラ10は、センサ21-1、22-1、31-1、32-1から弁移動信号を受信し、各弁のすべての時間遅延を算出する。各弁に対する時間遅延は、下記に示す式(eq2)のように、弁の弁移動信号時間から弁起動信号時間(タイムスタンプ)を減算することによって、算出することができる(120)。
【0060】
(eq2)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間
【0061】
弁モニターシステム(センサ)21-1、22-1、31-1、32-1が、コントローラ10へと動作的に接続されてもよいことも留意されるべきである。
【0062】
時間遅延が算出された後、コントローラ10は、各弁について、弁に対する時間遅延が、所定の閾値内でありうるかどうかを決定し、それぞれ、弁に対する時間遅延が、所定の閾値以下でありうる場合、時間遅延は、標準反応時間として定義されてもよく、かつ弁は、標準反応時間弁として決定されてもよく、弁に対する時間遅延が、所定の閾値より大きいのでありうる場合、時間遅延は、遅延反応時間として定義されてもよく、かつ弁は、遅延反応時間弁として決定されてもよく、コントローラ10はまた、下記の式(eq3)を用いて各遅延反応時間弁に対する補正時間も算出する(130)。
【0063】
(eq3)補正時間=遅延反応時間-標準反応時間
【0064】
別の方法として、コントローラは、下記の式(eq4)を用いて各遅延反応時間弁に対する補正時間を算出するようにさらに構成されてもよい。
【0065】
(eq4)補正時間=遅延反応時間-所定の閾値
【0066】
各弁に対して算出された補正時間が、元のレシピの弁起動信号タイミングを置き換え、更新されたレシピに従って弁起動信号を送信するように、コントローラ10はまた、レシピを更新する(140)。
【0067】
または別の方法として、レシピ自体を更新することなく、更新された弁起動信号時間が、レシピの弁起動信号時間より「補正時間」早いように、信号タイミングを更新することができる(145)。
【0068】
ユーザーインターフェース5はまた、各弁の閾値に対するユーザーからの入力を得て、各弁に対するレシピの閾値を変更することもできる(150)。ユーザーインターフェース5はまた、弁起動信号、弁移動信号、およびレシピなどのデータの結果を表示することもできる(160)。ユーザーインターフェース5は、入力を得る前または得た後のデータを表示してもよい。これは、(150)および(160)において入力を表示することおよび入力を得ることは、順番に実行する必要はなく、(160)は、(150)の前に実行することができることを、意味する。
【0069】
図4は、実施形態の値を用いた実施例を示す。図4では、表は、弁1~弁3、ならびに弁の各々に対する弁起動時間および弁移動時間を示す。
【0070】
示されるように、弁1、弁2、および弁3の弁起動は同じ(0ms)である。しかし、弁1の弁移動信号時間は665msであり、一方で弁2および弁3の弁移動信号時間は、それぞれ197msおよび173msである。しかしながら、閾値は200msに設定されている。したがって、弁1は、「弁移動信号」時間-「弁起動信号」時間値が閾値(200ms)より大きいので、遅延反応時間弁であることが決定され、一方で弁2および弁3は、両方とも、「弁移動信号」時間-「弁起動信号」時間値が200ms未満(それぞれ197msおよび173ms)であるため、標準反応時間弁であることが決定される。
【0071】
弁2の標準反応時間(197ms)または弁3の標準反応時間(173ms)のいずれも、両方とも(eq3)に対する「標準反応時間」とすることができるので、コントローラ10が(下記のeq2を使用して)各弁に対する補正時間を決定するために、「標準反応時間」を算出するべきである。
【0072】
式(eq3)における「標準反応時間」については、値を設定するための3つの代替的なやり方がありうる。
【0073】
第一に、すべての標準反応時間の平均値を式eq2に使用することができる。197と172との平均値は185なので、図4(a)は、480(=665-185)ミリ秒に更新された弁1の弁起動信号時間を示す。これは、弁1の弁起動信号が、レシピより480ms早く生成および送信されることを意味する。
【0074】
第二に、レシピの閾値は、(eq3)における「標準反応時間」として使用することができる。図4(b)では、弁1の弁起動時間は、465(665-200)msへと更新される。これは、弁1の弁起動信号が、元のレシピより465ms早く生成および送信されることを意味する。
【0075】
第三に、すべての標準反応時間の中の最小標準反応時間が、(eq3)における「標準反応時間」に対して使用されてもよい。図4(c)では、弁1の弁起動時間は、492(665-173)msへと更新されてもよい。これは、弁1の弁起動信号が、元のレシピより492ms早く生成および送信されてもよいことを意味する。
【0076】
コントローラ10は、レシピを更新することなく、遅延反応時間弁に対する弁起動信号を生成および送信してもよい。これは、コントローラ10は、その機能においてコンピュータとすることができ、かつ送信されたすべての弁起動信号および受信した弁移動信号は、元のレシピを更新することなく次の信号を推定することができるように、独自のメモリ内に記憶されてもよいため、行うことができる。
【0077】
図5図7では、本発明の装置の3つの異なる実施形態を示す。
【0078】
図は、異なるセットアップを用いて同じ特徴を有する。装置は、プロセスコントローラ11、12、13、弁1300、1310、1301、1311、1302、1312、および弁モニターシステム1600、1601、1602、ならびに反応器1300-2、1301-2、1302-2を備える。
【0079】
弁モニターシステム1600、1601、1602は、センサ1300-1、1301-1、1302-1、およびサーバー1400、1401、1402を備える。
【0080】
プロセスコントローラ11、12、13(以降は「コントローラ」)は、UPC(ユニークプラットフォームコントローラ)1000、1001、1002、PMC(プロセスモジュールコントローラ)1100、1101、1102、およびPLC(プログラマブルロジックコントローラ)1200、1201、1202を備える。UPC、PMC、およびPLCは、ローカルメモリおよびプロセッシングユニットを有するコンピュータであってもよい。この状況では、UPC、PMC、およびPLCはコンピューティング能力、I/O能力、およびメモリ能力を有して、それらの点においてそれらはコンピュータと考えられうるように、コントローラであってもよい。UPC、PMC、およびPLCの名称は、単に各コントローラの機能を代表する場合があり、いかなる特定のものも意味しない。
【0081】
UPC1000、1001、1002は、レシピを保存およびスケジューリングするためのコントローラであってもよい。PMC1100、1101、1102は、弁起動信号を生成するコントローラであってもよい。PLC1200、1201、1202は、コントローラ11、12、13を弁1300、1310、1301、1311、1302、1312へとリンクするI/Oコントローラであってもよい。弁の数は、1つ、または2つ以上であってもよい。
【0082】
センサは、弁の開閉を測定するために弁上に取り付けられてもよく、また弁の動きが感知された時、弁移動信号をサーバー1400、1401、1402へと送信してもよい。センサは、弁のわずかな移動を測定するために十分正確な、光学的または電気的とすることができる。
【0083】
サーバー1400、1401、1402は、センサからの弁移動信号を保存するためであってもよく、またユーザーディスプレイのためのデータを分析するためであってもよい。サーバーは、弁移動信号をタイミング(タイムスタンプ)とともに保存することができ、保存されたデータは、ユーザーディスプレイのためにサーバー内で分析することができる。
【0084】
UPC、PMC、およびPLCは、コンピュータシステムと見なすことができるプロセッサであってもよいことにも留意されるべきである。実際に、UPC、PMC、およびPLCは、それら3つすべてが単一のコントローラ(これもまたコンピュータシステムと見なすことができる)を成すと見なすことができるように、すべて互いに連携して動作する。
【0085】
ユーザーインターフェース5-1、5-2、5-3は、入力(すなわち、閾値)を得ることができ、またはコントローラ11、12、13および/もしくはサーバー1400、1401、1402に保存されたデータを表示することができる。ユーザーインターフェース5-1、5-2、5-3から入力された値は、コントローラ11、12、13の中へと更新することができる。
【0086】
図5は、本発明の別の実施形態の一態様を図示する。
【0087】
上記ですでに記述した特徴に加えて、図5は、UPC1000とPMC1100との間のリンクを制御するスイッチ1500を有する。PLC1200は、弁へと直接的に接続されてもよく、またセンサ1300-1は、保存および分析のために、弁移動信号を弁モニターシステム1600のサーバー1400へと送信してもよい。ユーザーインターフェース5-1は、サーバー1400内に保存された分析データを表示することができるように、またはコントローラ11内に情報を入力することができるように、コントローラ11およびサーバー1400へと接続されてもよい。
【0088】
図6は、本発明の別の実施形態の別の態様を図示する。
【0089】
この態様では、弁モニターシステム1601のサーバー1401は、全体的なシステム性能のためにコントローラ12内に定置されてもよい。
【0090】
図7は、本発明の別の実施形態の別の態様を図示する。これでは、装置の構成は、サーバー1402がコントローラ13とのいかなる直接的な接続も有しないことを除いて、図5とほとんど同じである。
【0091】
図5図7のシステムの概観の間の差異は、装置の能力に起因し、かつ装置の円滑な動作の目的のためである。
【0092】
図8および図9は各々、サーバー1400、1401、1402およびコントローラ10を図示する。前述したように、サーバー1400、1401、1402およびコントローラ10はすべて、それぞれメモリおよびプロセッシングユニットを装備していてもよく、効果的にそれらを独立したコンピュータシステムとしてもよい。
【0093】
図11は、図5図7の中のシステムに対するフローチャートを示す。
【0094】
図5図7の装置上で実行する方法は、以下の通りである。
【0095】
記載したように、レシピは、コントローラ11、12、13内(具体的にはUPC1000、1001、1002内)に、すでに保存されていて実行のために読み出されるのでありうる。
【0096】
まず、コントローラ11、12、13は、弁起動信号(より具体的にはPMC1100、1101、1102内で生成されPLC1200、1201、1202を通して送信され、以降はUPC、PMCまたはPLCの代わりにコントローラが使用される)を接続された弁へと送信するのであり、弁起動信号は、保存されたレシピに従って生成されてもよい(210)。
【0097】
弁1300、1301、1302が応答すると、弁1300、1301、1302へと連結されていてもよい弁モニターシステム1600、1601、1602のセンサ1300-1、1301-1、1302-1は、弁移動信号をサーバー1400、1401、1402に送信し、サーバー1400、1401、1402はそれらを保存する(220)。
【0098】
次いで、サーバー1400、1401、1402は、下記の式(eq5)を使用して、各弁に対する時間遅延を算出する。
【0099】
(eq5)時間遅延=弁移動信号時間-弁起動信号時間
【0100】
また、サーバー1400、1401、1402は、受信した弁移動信号が、算出された時間遅延に基づいて良好でありうるか、または不良でありうるかを決定する。
【0101】
決定プロセスは、受信した弁移動信号と関連付けられた時間遅延が、所定の閾値(コントローラ11、12、13内のレシピに保存されている)より大きいのでありうる場合、受信した弁移動信号と関連付けられた弁起動信号は、不良であると決定されうるようなものであってもよい。
【0102】
そして、受信した弁移動信号と関連付けられた時間遅延が、所定の閾値以下である場合、受信した弁移動信号と関連付けられた弁起動信号は、良好であると決定されてもよい(230)。
【0103】
良好または不良の決定後、ユーザーインターフェース5-1、5-2、5-3に表示するために、このデータを記憶することができる。
【0104】
算出および決定の後、サーバー1400、1401、1402内に記憶されたデータは、ユーザーインターフェース5-1、5-2、5-3を介して表示することができる。コントローラ11、12、13はまた、データ(すなわちレシピ)をユーザーに対して表示することもできるように、ユーザーインターフェース5-1、5-2、5-3へとデータを送信することもできる(240)。
【0105】
弁の所定の閾値の値は、異なる弁は、異なるレベルの重要性だけでなく、それ自体に関連付けられた異なるタイミング遅延を有するので、各弁とは異なる場合がある。したがって、弁の所定の閾値を、別個に、それら自身の間で独立して、更新または変更することが必要である場合がある。
【0106】
この目的のために、各弁に対する新しい閾値が、ユーザーインターフェース5-1、5-2、5-3によってユーザーから入力されてもよく、コントローラ11、12、13は、レシピ(250)内の入力閾値を更新する。
【0107】
図12を用いて、図5図7で図示したシステムに対する実施例、および図11で図示した方法が実証される。
【0108】
更新前の部分的なレシピ(a)および更新後の部分的なレシピ(b)、ならびに弁1に対する関連テーブルディスプレイを、図12に示す。
【0109】
最初に、レシピ(a)において、閾値は200msに設定され、これは200msより大きいあらゆる時間遅延(すなわち、弁移動信号-弁起動信号)は、不良であると決定されることになることを意味する。
【0110】
(a)よりも上方にある表は、弁起動信号時間がすべて0msであり、一方で弁移動信号時間がすべて異なることを示す。より具体的には、パルス#1、#4、および#5は、時間遅延としてそれぞれ665ms、214ms、および265msを有する。#1、#4、および#5の時間遅延は200msより大きく、これは、それらが不良であることを意味する。(これは、G/B[良好/不良]列に示される)他のパルス#2および#3は、それらの時間遅延が閾値(200ms)より小さいため良好である。
【0111】
ここで(b)に注目する場合、弁1の閾値が200ms(1111)ではなく250ms(1111-1)に変更されたため、弁1の良好/不良比が変化したことが確認できる。
【0112】
この閾値変更は、ユーザーインターフェース5-1、5-2、5-3からの閾値入力、およびコントローラ11、12、13内のレシピの更新によっても行うことができることにも留意されるべきである。
【0113】
(b)では、閾値が、250msへと変更/更新されるため、元の(更新前の)レシピで不良であると決定された(1112)パルス#4は、ここでは良好であると決定される(1112-1)。
【0114】
これは、どのようにしてサーバー1400、1401、1402内に記憶されたデータがユーザーインターフェース5-1、5-2、5-3に表示されうるかの実施例であり、一方でグラフィカル表示も可能とすることができる。
【0115】
上記、すなわち110~160、および図10において記述した方法は、命令のセット内に書き込むことができ、それらは、非一時的、コンピュータ可読、かつ有形の媒体上に記憶することができ、それは、方法がコンピュータシステムのプロセッサによってコンピュータシステム上で実行されることができるように、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されることができる。また、上記、すなわち210~250、および図11において記述した方法は、命令のセット内に書き込むことができ、それらは、非一時的、コンピュータ可読、かつ有形の媒体上に記憶することができ、それは、方法がコンピュータシステムのプロセッサによって実行されることができるように、コンピュータシステムのプロセッサによって実行されることができる。
【0116】
図13では、本開示の別の実施形態が例示される。
【0117】
時として、弁自体が正常に機能しうるがしかし周囲の部品が誤動作しうるときがある。
【0118】
一般的に、空気弁2002は、ALDプロセスでは非常に本質的かつ重要な構成要素でありうる。これらは、開放時にラインを通してガスが流れることを可能にし、閉鎖時にラインを通るガスの流れを防止するために、使用されてもよい。
【0119】
空気弁の開閉は、圧縮空気ライン2001によって作動されてもよい。常閉弁については、圧縮空気が弁アクチュエータ(描かれていない)へと入力されると、空気弁のピストン2006を押して、閉鎖位置マーク2010から開放位置マーク2011へと前方に移動させる。圧縮空気の非存在下では、空気弁は通常閉鎖される。
【0120】
圧縮空気入力ライン2001が狭められ/制限されているのでありうる時、弁アクチュエータへの圧縮空気供給は制限され、よって、空気弁2002は、開放するためにより長い時間がかかり、または最悪の場合、開放するよう指令されてもまったく開放しない。開放するために所定の遅延時間より長い時間を有するか、またはプロセスレシピによって命令された時に開放しない、空気弁2002は、不良なウエハ品質を、およびそれ故に生産損失をもたらす可能性がある。
【0121】
光学的センサ2003は、空気弁2002が開放であるか、または閉鎖であるかを決定するように構成されてもよい。プロセスコントローラ2004はまた、光学的センサ2003から光学的信号(例えば、光強度または電気的強度)を読み取るようにも構成される。
【0122】
プロセスコントローラ2004は、圧縮空気ライン2001を起動して、圧縮空気を空気弁2002に入力して開放するように、弁起動信号を送信するように構成されてもよい。プロセスコントローラ2004は、空気弁2002が、閉鎖である(閉鎖位置マーク2010にある)か、または開放である(開放位置マーク2011にある)かを決定するようにさらに構成されてもよい。
【0123】
閉鎖位置マーク2010は、弁2002が閉鎖している時の弁のピストンの位置であってもよく、また開放位置マーク2011は、弁2002が開放している時の弁のピストンの位置、またはオペレーターによって決定される任意の他の位置であってもよい。
【0124】
プロセスコントローラ2004は、プロセスコントローラ2004による弁起動信号の受信時間からの、空気弁2002が閉鎖位置マーク2010にある時の時間、および空気弁2002が開放位置マーク2011にある時の時間を測定するように構成されてもよい。
【0125】
プロセスコントローラ2004はまた、空気弁2002のピストン2006が開放位置マーク2011にある時の時間と、空気弁2002のピストン2006が閉鎖位置マーク2010にある時の時間との間の時間差(遅延時間)を、前者(閉鎖位置の時間)から後者(開放位置の時間)を減算することによって算出するようにも構成されてもよい。
【0126】
この遅延時間は、プロセスコントローラ2004において所定の遅延値と比較することによって、圧縮空気ライン2001が正常(通常動作)であるか、または圧縮空気ライン2001が狭められている、もしくは誤動作しているかを決定するために使用される。
【0127】
測定された遅延時間(遅延時間値)が所定の遅延値以下である場合、圧縮空気ライン2001は、正常に動作していると決定されてもよく、また遅延時間値が所定の遅延値より大きい場合、圧縮空気ライン2001は、狭められている、または異常であると決定されてもよい。
【0128】
図13(a)は、光学的センサ2003を有する本開示の単純化された概観である。圧縮空気ライン2001は、空気弁2002に接続され、光学的センサ2003は、弁がどの程度開放しているかを測定するように構成される。プロセスコントローラ2004は、センサ2003に通信可能に接続されるが、これはまた弁起動信号で弁を開放するために圧縮空気ライン2001に接続されてもよい。光学的センサ2003からのより良好な信号分解能のために、追加的な信号増幅器2005をプロセスコントローラ2004とともに使用することが可能である。
【0129】
図13(b)は、遅延時間(「遅延時間1」)が所定の遅延値、すなわち10msより小さい時の事例を例示する。y軸の信号強度は、プロセスコントローラ2004によって受信された光学的センサ2003からの信号の強度である。この信号は、光、電気、または測定することができるいずれかのものとすることが可能である。信号増幅器2005は、センサ2003からの信号のより良好な読み取りのために、プロセスコントローラ2004に取り付けることが可能である。
【0130】
遅延時間1(5ms)は所定の遅延値(10ms)より小さいので、圧縮空気ライン2001は正常であると決定される。
【0131】
図13(c)は、遅延時間(「遅延時間2」)が所定の遅延値(10 ms)より大きい時の事例を例示する。遅延時間2(30ms)は所定の遅延値(10ms)より大きいので、圧縮空気ライン2001は、狭められかつ異常であると、決定される。
【0132】
弁2002が決して開放しない場合(弁が開放位置まで決して開放しないことを意味する)、弁2002が開放するのを待っている間に、遅延時間は無期限により大きくなる。第2の所定の遅延時間値は、時間を節約し生産性を改善するために、弁の開放時間の測定を停止するためおよび圧縮空気ライン2001が狭められていることを直ちに決定するために、プロセスコントローラ2004に対して使用されてもよい。
【0133】
上述の装置の配設は、本発明の原理の適用の単なる例示であり、特許請求の範囲において定義されるように、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、数多くの他の実施形態および修正がなされてもよい。したがって、本発明の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきではなく、その代わりに、その均等物の全範囲とともに添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
図1
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【外国語明細書】