(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098857
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】変位検出回路およびその方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0354 20130101AFI20230704BHJP
【FI】
G06F3/0354 444
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022209398
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】21218215.8
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596162740
【氏名又は名称】イーエム・ミクロエレクトロニク-マリン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム・サビー
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ・ピエロボン
【テーマコード(参考)】
5B087
【Fターム(参考)】
5B087AA02
5B087BB04
5B087BB21
5B087DE07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】画素配列を有するポインティングデバイスに対して、変位検出方法を実施する変位検出回路を有する端末装置及び基地局装置を提供する。
【解決手段】ポインティングデバイス(199)において、変位検出回路(100)は、少なくとも1つの主計算機(110)と、少なくとも1つの補助計算機(111、112、113)と、少なくとも1つの比較部(130)と、少なくとも1つの動き検出器(150)と、を備える。少なくとも1つの主計算機(110)は、少なくとも1つの画素配列(190)の平均に対応する少なくとも1つの主平均(210)を計算する。少なくとも1つの主平均(210)は、少なくとも1つの補助計算機(111、112、113)の少なくとも1つの補助平均(211、212、213)と比較される。比較の結果、少なくとも1つの動き検出器(150)は、ポインティングデバイス(199)の変位の少なくとも1つの方向を示す。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の上で、および/またはそこから離れるように、少なくとも1つの方向(250)に変位するように構成されたポインティングデバイス(199)の画素配列(190)に対する変位検出方法(500)であって、前記画素配列(190)は、第1列(191)と、第2列(192)と、第3列(193)とを備え、前記変位検出方法(500)は、
・前記画素配列(190)の平均に対応する、主平均(210)の主計算(510)と、
・前記第1列(191)と、前記第2列(192)と、前記第3列(193)との内の、1つの列の平均に対応する、補助平均(211、212、213)の補助計算(511、512、513)と、
・前記補助平均(211、212、213)と前記主平均(210)との比較(530)と、
・前記ポインティングデバイス(199)の前記変位の前記少なくとも1つの方向(250)における動き検出(550)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの方向(250)は、第1方向(251)と、第2方向(252)とを含み、前記動き検出(550)は、前記主平均(210)よりも大きい前記補助平均(211、212、213)が、主方向(253)にシフトするか、前記主平均(210)よりも大きい前記補助平均(211、212、213)が副方向(254)にシフトする場合、前記第1方向(251)を示す、請求項1に記載の変位検出方法(500)。
【請求項3】
前記補助平均(211、212、213)は、前記第1列(191)の1つの平均と、前記第2列(192)の1つの平均と、前記第3列(193)の1つの平均とを含み、前記主方向(253)および前記副方向(254)の内の、前記少なくとも1つの方向(253、254)にシフトした、主平均(210)よりも大きな前記補助平均(211、212、213)の数に応じて、前記変位の高さを数値化(570)するように構成された、前記変位の1つの数値化(570)を含む、請求項1に記載の変位検出方法(500)。
【請求項4】
前記表面上の実際の変位値を、前記ポインティングデバイス(199)の設定変位値に等しくなるように設定する、ゼロ設定(505)を含む、請求項1に記載の変位検出方法(500)。
【請求項5】
前記動き検出(550)は、前記ゼロ設定(505)に応じた、前記ポインティングデバイス(199)の高さ計算を含む、請求項1に記載の変位検出方法(500)。
【請求項6】
前記高さ計算は、前記ポインティングデバイス(199)の前記設定変位値に応じた、高さの前記実際の変位値の修正(590)を含む、請求項1に記載の変位検出方法(500)。
【請求項7】
第1列(191)と、第2列(192)と、第3列(193)とを備える画素配列(190)を有するポインティングデバイス(199)に対して、請求項1に記載の前記変位検出方法(500)を実施するように構成された変位検出回路(100)であって、前記変位検出回路(100)は、
・主平均(210)を計算するように構成された主計算機(110)であって、前記少なくとも1つの主平均(210)は、前記少なくとも1つの画素配列(190)の平均に対応する、前記主計算機(110)と、
・前記第1列(191)と、前記第2列(192)と、前記第3列(193)との内の、1つの列の平均に対応する、補助平均(211、212、213)を計算するように構成された、補助計算機(111、112、113)と、
・前記補助平均(211、212、213)を、前記主平均(210)と比較(530)するように構成された比較部(130)と、
・前記ポインティングデバイス(199)の変位の少なくとも1つの方向(250)を検出(550)するように構成された動き検出器(150)と、
を備える変位検出回路。
【請求項8】
前記方向(250)は、第1方向(251)と、第2方向(252)とを含み、前記動き検出器(150)は、前記主平均(210)よりも大きい前記補助平均(211、212、213)が、前記主方向(253)にシフトするか、前記主平均(210)よりも大きい前記補助平均(211、212、213)が前記副方向(254)にシフトする場合、前記第1方向(251)を示すように構成される、請求項7に記載の変位検出回路(100)。
【請求項9】
前記動き検出器(150)は、前記主平均(210)よりも大きな前記補助平均(211、212、213)が、前記主方向(253)および前記副方向(254)の内の、前記方向(253、254)にシフトする場合、前記変位の高さを数値化(570)するように構成される、請求項7に記載の変位検出回路(100)。
【請求項10】
請求項1に記載の変位検出方法(500)を実施するように構成された、請求項7に記載の変位検出回路(100)を少なくとも1つ備える、ポインティングデバイス(199)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にパーソナルコンピューターのディスプレイなどの画面上のカーソルの位置を制御するためのポインティングデバイスに関する。そのようなポインティングデバイスは、例えば、表示画面上のカーソルの位置を制御するためのマウスを含み得る。
【0002】
より具体的には、本発明は、光検出器アレイを有する光学動き検出装置を備えた光学ポインティングデバイスの分野に関する。光検出器アレイは、光源照射により照明された、表面の部分の、変化する強度パターンを測定し、光検出器アレイと、表面の照明された部分との間の相対移動についての情報を抽出する。
【背景技術】
【0003】
水平方向変位を検出するシステムが設計されている。そのようなシステムにおいては、センサと、動作表面との、高さよりも距離が固定されているものとされ、センサ上で反射されたスポットライトは、画素配列のアクティブ領域内の中央に向けられていた。
【0004】
さらに、組付け時、システムは公差を呈する。したがって、実際の高さと公称高さとは異なる。また、マウスのユーザは、使用時にそれを表面から浮かせ得る。レンズが構成する光路により、高さの変更に応じて、画素配列上の照明点の位置が一水平軸に沿って移動する。
【0005】
スポットライトのこのような移動は、センサの追跡能力に多数の悪影響を及ぼす。第一に、画素配列のアクティブ領域の一部のみが照明される。これは、センサにより、変位を測定するために使用される情報が少なくなることを意味する。さらに、センサが、スポットライトの移動を高さの変化によるものではなく、動作表面の水平移動によるものと誤解釈しかねない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
照明表面部分からポインティングデバイスが浮いたことを検出する方法がWO2006063981に記載されている。この方法は、光学ポインティングデバイスが動いていないときに、焦点喪失を利用し、光学ポインティングデバイスが動いているときには、第1のものよりも大きい第2のものを利用する。この検出方法はさらに、光学ポインティングデバイスのセンサに対して、表面が呈する動き特徴の平均数に応じて変化する焦点喪失閾値を利用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、これら欠点を解消することを意図し、したがってその目的は、表面の上で、および/またはそこから離れるように、少なくとも1つの方向に変位するように構成されたポインティングデバイスの少なくとも1つの画素配列に対する変位検出方法を提供することである。前記少なくとも1つの画素配列は、少なくとも1つの第1列と、少なくとも1つの第2列と、少なくとも1つの第3列とを備える。前記変位検出方法は、
・前記少なくとも1つの画素配列の平均に対応する、少なくとも1つの主平均の主計算と、
・少なくとも1つの第1列と、少なくとも1つの第2列と、少なくとも1つの第3列との内の、少なくとも1つの列の平均に対応する少なくとも1つの補助平均の補助計算と、
・前記少なくとも1つの補助平均と前記少なくとも1つの主平均との比較と、
・前記ポインティングデバイスの前記変位の前記少なくとも1つの方向における動き検出と、
の内の少なくとも1つを含む。
【0008】
この構成により、前記変位検出方法は、スポットライトに基づく高さ変化を検出し、最適な追跡能力を補償するため、それに対応し得る。
【0009】
実施形態によると、前記少なくとも1つの方向は、少なくとも1つの第1方向と、少なくとも1つの第2方向とを含む。前記少なくとも1つの動き検出は、前記少なくとも1つの主平均よりも大きい前記少なくとも1つの補助平均が、前記少なくとも1つの主方向にシフトするか、前記少なくとも1つの主平均よりも大きい前記少なくとも1つの補助平均が前記少なくとも1つの副方向にシフトする場合、前記少なくとも1つの第1方向を示す。
【0010】
この構成により、前記変位検出方法は、ポインティングデバイスの、前記少なくとも1つの方向における変位を検出し得る。
【0011】
実施形態によると、前記少なくとも1つの補助平均は、前記少なくとも1つの第1列の少なくとも1つの平均、前記少なくとも1つの第2列の少なくとも1つの平均、前記少なくとも1つの第3列の少なくとも1つの平均を含む。少なくとも1つの主平均よりも大きい、前記少なくとも1つの補助平均が、前記少なくとも1つの主方向および前記少なくとも1つの副方向の内の、前記少なくとも1つの方向にシフトする場合、前記変位の高さを数値化するように構成された前記変位の少なくとも1つの数値化を含む。
【0012】
実施形態によると、前記変位検出方法は、前記表面上の実際の変位値を、前記ポインティングデバイスの設定変位値に等しくするための、少なくとも1つのゼロ設定を含む。
【0013】
この構成により、前記少なくとも1つのゼロ設定が設定され得る。
【0014】
実施形態によると、前記少なくとも1つの動き検出は、前記少なくとも1つのゼロ設定に応じた、前記ポインティングデバイスの少なくとも1つの高さ計算を含む。
【0015】
実施形態によると、前記少なくとも1つの高さ計算は、前記ポインティングデバイスの前記設定変位値に応じた、高さの実際の変位値に対する少なくとも1つの修正を含む。
【0016】
実施形態によると、前記少なくとも1つの方向は、少なくとも1つの第1方向と、少なくとも1つの第2方向とを含む。前記少なくとも1つの動き検出器は、前記少なくとも1つの補助平均が前記少なくとも1つの主平均よりも大きい場合に、前記少なくとも1つの第1方向を示し、または前記少なくとも1つの補助平均が前記少なくとも1つの主平均よりも小さい場合に、少なくとも1つの第2方向を示すように構成される。
【0017】
これら構成のいずれかにより、前記少なくとも1つの動き検出器は、前記少なくとも1つの方向におけるポインティングデバイスの変位を検出し得る。
【0018】
実施形態によると、前記少なくとも1つの動き検出器は、少なくとも1つの主平均よりも大きい前記少なくとも1つの補助平均が、前記少なくとも1つの主方向および前記少なくとも1つの副方向の内の前記少なくとも1つの方向にシフトする場合、前記変位の高さを数値化するように構成される。
【0019】
これら構成のいずれかにより、前記少なくとも1つの補助平均、好ましくは、前記補助平均の大部分が少なくとも1つの主平均よりも大きいまたは小さい場合に、変位の高さが数値化され得る。
【0020】
本発明は、これら欠点を解消することを意図し、したがってその目的は、本発明の実施形態に係る変位検出方法を実施するように構成された、本発明の実施形態に係る少なくとも1つの変位検出回路を備えるポインティングデバイスを提供することである。
【0021】
この構成により、前記変位検出方法は、スポットライトに基づいて高さの変化を検出し得、最適な追跡能力を補償するようにそれに対応し得る。
【0022】
本発明の上述およびその他の目的、特徴、態様、および利点が、次の添付図面を参照した、例示的で非限定な実施形態の以下の説明により明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る、ポインティングデバイス199に対する変位検出回路100を示す。
【
図2】実施形態に係る、ポインティングデバイス199に対する変位検出方法500を示す。
【
図3】実施形態に係る、前記変位検出方法500を実施する前記変位検出回路100を示す。
【
図4】前記表面900に対して、前記ポインティングデバイス199が浮いた、または近づいている場合の、動的変位検出方法500を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ポインティングデバイス199に対する前記変位検出方法500を実施するように構成された変位検出回路100を示す。前記ポインティングデバイス199は、表面900を照明するように構成された少なくとも1つの光源910と、少なくとも1つの第1列191、少なくとも1つの第2列192、および少なくとも1つの第3列193を有する少なくとも1つの画素配列190とを備える。各列は、前記表面900から反射光を受光するように構成される。本明細書において、以下、前記少なくとも1つの画素配列190の一部、より具体的には前記少なくとも1つの第1列191、前記少なくとも1つの第2列192、および前記少なくとも1つの第3列193の内の少なくとも2列が受光する光の強度は同一で、それ以外が受光する光の強度と異なる。
【0025】
反射光量は、前記表面900の粗さに応じて変動し得る。したがって、前記変位検出方法500は、前記表面上の実際の変位値を、前記ポインティングデバイス199の設定変位値に等しく設定するため、少なくとも1つのゼロ設定505を含み得る。事実、前記実際の変位値が、前記少なくとも1つの画素配列190により誤って解釈され得、前記ポインティングデバイス199が、例えば前記実際の変位値より遅い、または速いカーソル速度を送信し得る。したがって、
図4に示すように、前記少なくとも1つのゼロ設定505により、前記ポインティングデバイス199の設定変位値に、前記表面上の実際の変位値を等しく設定する。当然、前記少なくとも1つのゼロ設定505は、前記変位検出方法500の任意の時点で生じ得る。
【0026】
図2に示すように、前記変位検出回路100は、少なくとも1つの主計算機110と、少なくとも1つの補助計算機111、112、113と、少なくとも1つの比較部130と、少なくとも1つの動き検出器150とを備え得る。
【0027】
上述のように、前記少なくとも1つの画素配列190は、前記表面900からの反射光を受光し得、前記少なくとも1つの主計算機110は、前記少なくとも1つの画素配列190による受光量の平均に対応する、少なくとも1つの主平均210を計算し得る。
【0028】
前記少なくとも1つの補助計算機111、112、113は、前記少なくとも1つの第1列191、前記少なくとも1つの第2列192、および前記少なくとも1つの第3列193の内の少なくとも1つの列191、192、193の平均に対応し得る、少なくとも1つの補助平均211、212、213を計算し得る。好ましくは、前記少なくとも1つの補助平均211、212、213は、前記少なくとも1つの第1列191の少なくとも1つの第1平均211と、前記少なくとも1つの第2列192の少なくとも1つの第2平均212と、前記少なくとも1つの第3列193の少なくとも1つの第3平均213とを含み得る。言い換えると、前記少なくとも1つの補助平均211、212、213は、前記少なくとも1つの第1列191、前記少なくとも1つの第2列192、および前記少なくとも1つの第3列193の平均に対応しないものであり得、一方で、前記少なくとも1つの第1列191の前記少なくとも1つの第1平均211と、前記少なくとも1つの第2列192の前記少なくとも1つの第2平均212と、前記少なくとも1つの第3列193の前記少なくとも1つの第3平均213とを含む組であり得る。
【0029】
前記少なくとも1つの主計算機110と、前記少なくとも1つの補助計算機111、112、113とが、前記少なくとも1つの主平均210と、前記少なくとも1つの補助平均211、212、213とを計算し得た後、前記少なくとも1つの比較部130が二値的に、前記少なくとも1つの補助平均211、212、213と、前記少なくとも1つの主平均210とを比較530し得る。より正確には、前記少なくとも1つの第1平均211、前記少なくとも1つの第2平均212、および前記少なくとも1つの第3平均213である、補助平均211、212、213がそれぞれ、個別に前記少なくとも1つの主平均210と比較され得る。前記少なくとも1つの補助平均211、212、213が、前記少なくとも1つの主平均210よりも大きい場合、前記少なくとも1つの補助平均211、212、213には「1」が付され、そうでない場合に「0」が付され得る。
【0030】
前記少なくとも1つの主方向253および前記少なくとも1つの副方向254は、前記少なくとも1つの第1列191、前記少なくとも1つの第2列192、および前記少なくとも1つの第3列193から選択された少なくとも1つの参照列195に応じて定義され得る。前記少なくとも1つの参照列195は、前記少なくとも1つのゼロ設定505時に選択され得る。
【0031】
事実、前記少なくとも1つの主平均210より大きい前記少なくとも1つの補助平均211、212、213が、前記少なくとも1つの主方向253および前記少なくとも1つの副方向254の内の、前記少なくとも1つの方向253、254にシフトする場合、前記少なくとも1つの動き検出器150は少なくとも1つの第1方向251、即ち、前記ポインティングデバイス199が前記表面900から浮き得ることを示し得る。例えば、前記少なくとも1つの参照列195として前記少なくとも1つの第1列191が選択された場合、前記補助平均212、213の大部分が、前記少なくとも1つの第1列191、即ち、前記少なくとも1つの参照列195にシフトし得、前記少なくとも1つの動き検出器150は、前記補助平均212、213の大部分が、前記少なくとも1つの主方向253にシフトしたことを検出550し得る。この理屈は、適宜の変更の上、前記少なくとも1つの参照列195として選択された前記少なくとも1つの第3列193についても当てはまる。
【0032】
前記少なくとも1つの第2列192が前記少なくとも1つの参照列195で、前記少なくとも1つの主平均210より大きい前記少なくとも1つの第3補助平均213が、前記少なくとも1つの第1列191へシフトする場合、前記少なくとも1つの動き検出器150は、前記少なくとも1つの主方向253へのシフトを検出550し得、前記少なくとも1つの動き検出器150は、少なくとも1つの第1方向251、即ち、前記ポインティングデバイス199が前記表面900から浮き得ることを示し得る。同じく前記少なくとも1つの第2列192が前記少なくとも1つの参照列195で、前記少なくとも1つの主平均210より大きい前記少なくとも1つの第1補助平均211が、前記少なくとも1つの第3列193へシフトする場合、前記少なくとも1つの動き検出器150は、前記少なくとも1つの副方向254へのシフトを検出550し得、前記少なくとも1つの動き検出器150は、少なくとも1つの第2方向252、即ち、前記ポインティングデバイス199が前記表面900に近づき得ることを示し得る。
【0033】
有利には、前記ポインティングデバイス199は若干上昇し得るので、前記少なくとも1つの画素配列190により受光される前記反射光はシフトし得、その結果、前記反射光はまず、前記ポインティングデバイス199が表面上にある際に、前記少なくとも1つの第1列191、前記少なくとも1つの第2列192、および前記少なくとも1つの第3列193を照明し得、前記ポインティングデバイス199が若干上昇すると、前記反射光は、前記少なくとも1つの第1列191および前記少なくとも1つの第2列192のみを照明し得る。この場合、前記少なくとも1つの第2列192が前記少なくとも1つの参照列195であれば、前記少なくとも1つの比較部130は、前記少なくとも1つの補助平均211、213を前記少なくとも1つの主平均210と比較530し得、前記補助平均211、213の大部分が、前記少なくとも1つの主方向253にシフトするため、前記少なくとも1つの動き検出器150は、ポインティングデバイス199の変位の前記少なくとも1つの第1方向251を検出550し得る。
【0034】
前記少なくとも1つの比較530により、前記少なくとも1つの動き検出器150は、前記少なくとも1つの補助平均211、212、213、好ましくは前記補助平均211、212、213の大部分が前記少なくとも1つの主平均210よりも大きい場合に、変位の高さを数値化570し得る。より正確には、前記変位の前記少なくとも1つの数値化570は、前記少なくとも1つの参照列195に応じた、前記少なくとも1つの主方向253または前記少なくとも1つの副方向254へシフトする前記少なくとも1つの補助平均211、212、213の数を数えることで変位の高さを数値化570し得る。前記ポインティングデバイス199の前記少なくとも1つの高さ計算は、前記少なくとも1つのゼロ設定505に応じて実現される。
【0035】
事実、この例において、前記少なくとも1つの第2列192は前記少なくとも1つの参照列195であり得、前記少なくとも1つのゼロ設定505が実現されると、全ての列191、192、193が反射光を受光し得る。但し、前記少なくとも1つの第1列191、前記少なくとも1つの第2列192、および前記少なくとも1つの第3列193の内の少なくとも2列が受光する前記光の強度は等しく、それ以外が受光する光の強度はそれと異なり、好ましくはそれより低い。前記ポインティングデバイス199が若干上昇し得たと同時に、前記少なくとも1つの画素配列190が受光した反射光はシフトし得、前記反射光は、前記少なくとも1つの第1列191および前記少なくとも1つの第2列192のみを等しい強度にて照明し得る。その結果、前記少なくとも1つの数値化570は、前記少なくとも1つの第1列191および前記少なくとも1つの第2列192で数を数え得、変位の高さが例えば0.5mmとして数値化570され得る。前記ポインティングデバイス199がさらに上昇または浮かされ得ると、前記少なくとも1つの画素配列190が受光する前記反射光はさらにシフトし得、前記反射光が前記少なくとも1つの第1列191および前記少なくとも1つの第2列192のみを照明する一方で、前記少なくとも1つの第3列193がほぼ全く受光しなくなり得る。これは受光強度の値がほぼゼロであることを意味する。この結果、前記少なくとも1つの数値化570は、前記少なくとも1つの参照列195の一方側の前記少なくとも1つの第1列191のみで数を数え得、変位の高さは例えば1mmとして数値化570され得る。当然、前記ポインティングデバイス199の前記少なくとも1つの高さ計算が前記少なくとも1つのゼロ設定505に応じたものであるため、変位の高さは0.5mmまたは1mmより低くまたは高くなり得る。
【0036】
上述のように、前記ポインティングデバイス199が若干上昇すると、前記反射光による前記少なくとも1つの列191、192への照明が減少し得、前記ポインティングデバイス199は、例えば前記実際の変位値よりも遅いカーソル速度を送信し得る。事実、前記変位検出方法500は、スポットライトに基づいて、高さ変化を検出し得、最適な追跡能力を補償するためにそれに対応し得る。したがって、前記少なくとも1つの高さ計算は、前記ポインティングデバイス199の前記設定変位値に応じた、高さにおける実際の変位値に対する少なくとも1つの修正590を含み得る。これは、カーソルの速度をある程度修正することでもあり得る。
【0037】
図4は、前記ポインティングデバイス199に対する、動的形式の前記変位検出方法500を示す。図で見られ得るように、前記表面上の実際の変位値を、前記ポインティングデバイス199の設定変位値に等しくするように、前記少なくとも1つのゼロ設定505が生じ得る。
【0038】
その後、前記少なくとも1つの主計算機110は、少なくとも1つの主平均210を計算し得る。これは、μi,jで示され、前記少なくとも1つの画素配列190の受光する反射光の量の平均に対応する。そして前記少なくとも1つの補助計算機111、112、113は、前記少なくとも1つの列191、192、193の平均に対応し得る、少なくとも1つの補助平均211、212、213であるμyを計算し得る。ここでは前記少なくとも1つの列を示し得る。
【0039】
前記少なくとも1つの主計算機110と、前記少なくとも1つの補助計算機111、112、113とが、前記少なくとも1つの主平均μ
i,jと、前記少なくとも1つの補助平均μ
yとを計算し得た後、前記少なくとも1つの比較部130は、前記少なくとも1つの補助平均211、212、213を比較530し得る。前記少なくとも1つの比較530の結果は、
図4に示すように二値として得られ得る。
【0040】
前記少なくとも1つの補助平均μyと、前記少なくとも1つの主平均μi,jおよび/またはrefで示す前記少なくとも1つの参照列との前記少なくとも1つの比較530の結果に応じて、前記少なくとも1つの動き検出器150は、ポインティングデバイス199の変位の少なくとも1つの方向250を検出550し得る。
【0041】
事実、前記補助平均μyの大部分が前記少なくとも1つの主方向253に、即ち、前記少なくとも1つの参照列refの一方側にシフトする場合、前記少なくとも1つの動き検出器150は、少なくとも1つの第1方向251、即ち、前記ポインティングデバイス199が前記表面900から浮かされ得ることを示し得る。
【符号の説明】
【0042】
100 変位検出回路
110 主計算機
111、112、113 補助計算機
130 比較部
150 動き検出器
190 画素配列
191 第1列
192 第2列
193 第3列
199 ポインティングデバイス
210 主平均
211、212、213 補助平均
250 方向
251 第1方向
252 第2方向
253 主方向
254 副方向
500 変位検出方法
505 ゼロ設定
510 主計算
511、512、513 補助計算
530 比較
550 検出
570 数値化
590 修正
【外国語明細書】