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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098858
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】手術用衣類及びその着用方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/12 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
A41D13/12 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】38
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022209559
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】63/294,574
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/145,345
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・ポール・エッシェン
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン・ブロウ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ファン・ノートヴィック
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA04
3B211AA07
3B211AB06
3B211AC24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着用者と無菌環境との間の無菌バリアを維持しつつ自己着用可能な手術用衣類及び方法を提供する。
【解決手段】個人により着用される手術用衣類20である。この手術用衣類は、個人の手及び/又は腕を受容する内空部を規定し、かつ、遠位端を有する袖部28と、袖部の遠位端32に配設されるカフ部38と、を備える。カフ部は、袖部により規定される内空部を延長し、かつ、開口を更に規定する。これに加えて、バリア部材50が設けられる。バリア部材は、開口に近接して内空部内に配設され、バリア部材は、個人の手が、カフ部により規定される開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人により着用される手術用衣類であって、
前記個人の腕を受容する内空部を規定し、かつ、遠位端を有する袖部と、
前記袖部の遠位端に配設されるカフ部であって、前記袖部により規定される前記内空部を延長し、かつ、開口を更に規定する前記カフ部と、
前記開口に近接して前記内空部内に配設されるバリア部材であって、前記個人の腕の手が、前記カフ部により規定される前記開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成される前記バリア部材と、
を備える、手術用衣類。
【請求項2】
前記バリア部材が、前記袖部の遠位端と前記カフ部の近位端との交点において前記内空部内に位置決めされる、請求項1に記載の手術用衣類。
【請求項3】
前記袖部及び前記カフ部により規定される前記内空部を外部環境から少なくとも部分的に包囲するように、前記バリア部材が、前記カフ部により規定される前記開口内に位置決めされる、請求項1に記載の手術用衣類。
【請求項4】
前記バリア部材が、閉塞構成から開放構成へと移行するように構成される、請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の手術用衣類。
【請求項5】
前記バリア部材が前記閉塞構成である場合に、前記バリア部材は、前記袖部により規定される前記内空部と、前記カフ部により規定される前記開口に通じる外部環境と、の間のバリアを規定する、請求項4に記載の手術用衣類。
【請求項6】
前記バリア部材が封止部材を備え、前記封止部材は、前記バリア部材を前記閉塞構成から前記開放構成へと移行させるように構成される、請求項4に記載の手術用衣類。
【請求項7】
前記封止部材が、接着剤と縫合との少なくとも一方を含む、請求項6に記載の手術用衣類。
【請求項8】
前記個人の腕の一部が、前記バリア部材を越えて、前記カフ部により規定される前記開口から伸出し得るように、前記封止部材が前記個人により操作されると、前記バリア部材が、前記閉塞構成から前記開放構成へと移行する、請求項6に記載の手術用衣類。
【請求項9】
前記バリア部材は、締結具により結合される第1の部分及び第2の部分を備え、前記締結具は、前記バリア部材を前記閉塞構成から前記開放構成へと移行させるように構成される、請求項4に記載の手術用衣類。
【請求項10】
前記締結具は、前記バリア部材の前記第1の部分及び前記第2の部分を選択的に結合するように構成されるジッパー、スナップ、面ファスナ、縫合、及び接着剤のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の手術用衣類。
【請求項11】
前記バリア部材は、前記袖部により規定される前記内空部を外部環境から封止するように、前記カフ部により規定される前記開口にまたがるフィルムであり、前記フィルムは、前記個人の手によって突き破り得るように構成される、請求項1に記載の手術用衣類。
【請求項12】
グローブ開口を含むグローブを更に備え、前記グローブ開口は、前記カフ部の一部に重なって、前記グローブと前記袖部との間に連続的な無菌バリアを提供するように構成される、請求項1に記載の手術用衣類。
【請求項13】
前記バリア部材は、前記バリア部材中の1つ又は複数のミシン目により規定される少なくとも第1の部分及び第2の部分を備え、前記ミシン目は、前記バリア部材の前記第1の部分と前記第2の部分との間に脆弱接続部を形成し、前記脆弱接続部は、前記バリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させるために前記個人の手によって破壊可能である、請求項1に記載の手術用衣類。
【請求項14】
前記バリア部材が前記袖部に結合され、前記バリア部材が、前記袖部の遠位端により規定される開口を少なくとも部分的に覆う、請求項1に記載の手術用衣類。
【請求項15】
前記バリア部材が縫合によって前記袖部に結合される、請求項14に記載の手術用衣類。
【請求項16】
前記カフ部が、前記バリア部材に部分的に配設され、縫合によって前記袖部の遠位端に結合される、請求項14又は請求項15に記載の手術用衣類。
【請求項17】
本体部であって、前記本体部から前記袖部が延伸する、前記本体部と、
前記本体部に結合されるフードであって、個人及び/又は手術用ヘルメットを覆うように配設された場合に前記個人の顔面の前方となるように構成される開口を規定する前記フードと、
前記フードにおいて規定された開口を塞ぐように配設される透明フェイスシールドと、
前記透明フェイスシールドに配設される少なくとも1つの取り付け要素であって、前記手術用衣類を前記手術用ヘルメットに対して取り外し可能に結合する前記取り付け要素と、
を更に備える、請求項1に記載の手術用衣類。
【請求項18】
前記透明フェイスシールドが、可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含み、
前記透明フェイスシールドが、
前記フェイスシールドの前記底部に配設される一対の下側取り付け要素と、
前記フェイスシールドの前記頂部に配設される1つの上側取り付け要素と、
を更に備え、前記フェイスシールドが前記手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を前記上側取り付け要素及び前記下側取り付け要素が規定し、
前記フェイスシールドが、前記封止外周部と前記フェイスシールドの外縁との間に配設される境界切り込みを規定し、
前記境界切り込みが、前記一対の下側取り付け要素の少なくとも一方と前記上側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される、請求項17に記載の手術用衣類。
【請求項19】
個人により着用される個人用保護システムであって、
手術用衣類を備え、
前記手術用衣類が、
前記個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成される材料を含む衣類本体と、
前記衣類本体から延びる袖部であって、前記個人の腕を受容する内空部を規定し、かつ、前記袖部の遠位端に開口を規定する、前記袖部と、
を備え、
前記袖部は閉塞構成と開放構成との間で移行可能であり、前記閉塞構成の場合に、前記個人の手が前記開口を通って伸びることを選択的に制限するバリアを規定するバリア部材を前記袖部が含む、個人用保護システム。
【請求項20】
個人により着用される保護衣類であって、
前記個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成される材料を含む衣類本体と、
前記衣類本体から延び、かつ、遠位端及び近位端を有する袖部であって、前記個人の腕を受容する内空部を規定する前記袖部と、
前記袖部の遠位端に配設されるカフ部であって、前記袖部により規定される前記内空部を延長し、かつ、開口を更に規定する前記カフ部と、
前記袖部により規定される前記内空部内に配設されるバリア部材であって、前記個人の手が、前記カフ部により規定される前記開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成される前記バリア部材と、
を備える、保護衣類。
【請求項21】
個人用保護システムを着用する方法であって、
保護衣類が袖部とバリア部材とを含み、
前記袖部は、前記保護衣類を着用する個人の腕を受容するように構成される内空部を規定すると共に、前記袖部の遠位端に開口を規定し、
前記バリア部材は前記内空部内に配設され、前記バリア部材は、外部環境から前記開口を介して前記内空部に至るアクセスを選択的に制限するバリアを規定するように構成され、
前記方法は、
前記保護衣類を用意するステップと、
前記袖部の近位開口を通じて、前記個人の腕を前記内空部に挿入するステップと、
前記個人の手で前記バリア部材に接触するステップであって、グローブが前記開口に装着される前に前記手が前記開口を通じて前記袖部から出ることを前記バリア部材が制限するステップと、
前記グローブが前記開口に装着された後に前記袖部の遠位端の前記開口を通じて前記腕の手を伸ばすステップと、
を含む、方法。
【請求項22】
個人用保護システムを着用する方法であって、
保護衣類が袖部とバリア部材とを含み、
前記袖部は、前記保護衣類を着用する個人の腕を受容するように構成される内空部を規定すると共に、前記袖部の遠位端に開口を規定し、
前記バリア部材は、閉塞構成から開放構成へと移行可能であり、
前記方法は、
前記保護衣類を用意するステップと、
グローブが前記開口に装着される前に、前記バリア部材が前記閉塞構成である間に、前記袖部の近位開口を通じて、前記腕の手を前記内空部に挿入するステップと、
グローブを前記開口に装着するステップと、
前記バリア部材を前記閉塞構成から前記開放構成へと移行させるステップと、
前記個人と外部環境との間の無菌バリアを維持しつつ、前記袖部の遠位端の前記開口を通じて前記手を前記グローブ中に伸ばすステップと、
を含む、方法。
【請求項23】
個人用保護システムを着用する方法であって、
保護衣類が袖部とバリア部材とを含み、
前記袖部は、前記保護衣類を着用する個人の腕を受容するように構成される内空部を規定すると共に、前記袖部の遠位端に開口を規定し、
前記バリア部材は前記内空部内に配設され、前記バリア部材は、外部環境から前記開口を介して前記内空部に至るアクセスを防止する不透過性バリアを規定するように構成され、
前記方法は、
前記保護衣類を用意するステップと、
前記袖部の近位開口を通じて、前記個人の腕の手を前記内空部に挿入するステップと、
前記個人の手で前記バリア部材に接触するステップであって、前記手が前記開口を通じて前記袖部から出ることを前記バリア部材が制限するステップと、
前記手が前記バリア部材を迂回し得るように前記バリア部材を操作するステップと、
前記袖部の遠位端の前記開口を通じて前記手を伸ばすステップと、
を含む、方法。
【請求項24】
換気アセンブリを含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
手術用布により形成されるフードと、前面パネルと、後面パネルと、を備え、
前記後面パネルは、前記前面パネルの両側にそれぞれ結合される第1の部分及び第2の部分を含み、
前記フードは、
前記前面パネルに結合される前部と、
後部と、
前記フードの前記手術用布において規定される第1の開口と、
前記第1の開口を塞ぐように配設される透明フェイスシールドと、
を備え、
前記フードの後部は、前記フードの一部が着用者と前記後面パネルとの間に位置決め可能となるように、前記後面パネルの上縁の下方に延びるのに十分な長さを有する、手術用衣類。
【請求項25】
着用者の頭部に着用されるように構成される手術用ヘルメットと、
前記着用者及び前記手術用ヘルメットを覆うように少なくとも部分的に配設されるように構成される手術用衣類と、
を備える手術用システムであって、
前記手術用ヘルメットは、
前記着用者の周りに空気を循環させる換気システムと、
少なくとも1つの結合部材と、
を備え、
前記手術用衣類は、
フード及び本体部を規定する手術用布と、
前部及び後部を有する前記フードであって、前記前部は前記本体部に結合され、前記前部は、前記着用者及び前記手術用ヘルメットを覆うように配設された場合に前記着用者の顔面の前方となるように構成される開口を規定し、前記後部は、前記本体部の上縁の下方に延び、かつ、前記着用者と前記本体部との間に少なくとも部分的に配設されるように構成されるフラップを規定する、前記フードと、
前記フードにおいて規定された前記開口を塞ぐように配設される透明フェイスシールドと、
前記フード又は前記透明フェイスシールドに配設され、前記フードを前記手術用ヘルメットに対して取り外し可能に結合する少なくとも1つの取り付け要素と、
を備える、手術用システム。
【請求項26】
換気アセンブリを含む手術用ヘルメットを覆うように手術用衣類を着用する方法であって、
前記手術用衣類のフード部の透明フェイスシールドの取り付け要素を前記手術用ヘルメットの結合部材に結合することによって、前記透明フェイスシールドを前記手術用ヘルメットに取り付けるステップと、
前記手術用ヘルメット及び着用者の頭部を覆うように配設されるように、前記手術用衣類の前記フード部の手術用布を操作するステップと、
前記着用者の身体を覆うように、前記手術用衣類の本体部を操作するステップと、
前記手術用衣類の前記フード部の後面から延びる下側フラップが、前記手術用衣類の前記本体部の直下となるように、前記下側フラップを位置決めするステップと、
前記手術用衣類の前記本体部の後部の両側を相互に引き寄せることによって、前記手術用衣類を閉じるステップと、
前記本体部の後部の前記両側を相互に締結することによって、前記手術用衣類を前記着用者に固定するステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
複数の結合部材を含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
布により形成されるシェルと、
可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含むフェイスシールドであって、前記シェルが前記封止外周部に沿って前記フェイスシールドに封止される、前記フェイスシールドと、
前記フェイスシールドの前記底部に配設される一対の下側取り付け要素と、
前記フェイスシールドの前記頂部に配設される1つの上側取り付け要素と、
を備え、前記フェイスシールドが前記手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を前記上側取り付け要素及び前記下側取り付け要素が規定し、
前記フェイスシールドが、前記封止外周部と前記フェイスシールドの外縁との間に配設される境界切り込みを規定し、
前記境界切り込みが、前記上側取り付け要素と前記一対の下側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される、手術用衣類。
【請求項28】
複数の結合部材を含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
可撓性の透明材料で形成され、上部及び下部を含むフェイスシールドと、
前記上部に配設される上側取り付け要素、及び、前記下部に配設される一対の下側取り付け要素であって、各取り付け要素が前記手術用ヘルメットの前記複数の結合部材のうちの1つと取り外し可能に結合するように位置決めされる、前記上側取り付け要素及び前記一対の下側取り付け要素と、
前記フェイスシールドにおいて規定され、前記一対の下側取り付け要素の少なくとも一方と前記上側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される境界切り込みと、
を備え、
各取り付け要素が前記手術用ヘルメットの前記複数の結合部材のうちの1つに結合される場合に生じる湾曲状態の場合の前記フェイスシールドの応力を緩和するように、前記境界切り込みが、前記一対の下側取り付け要素の少なくとも一方と前記上側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される、手術用衣類。
【請求項29】
複数の結合部材を含む手術用ヘルメットと、
手術用衣類と、
を備える個人用保護システムであって、
前記手術用衣類は、
布により形成されるシェルと、
可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含むフェイスシールドであって、前記シェルが前記封止外周部に沿って前記フェイスシールドに封止される、前記フェイスシールドと、
前記フェイスシールドの前記底部において、前記フェイスシールドの前記底部に配設される一対の下側取り付け要素と、
前記フェイスシールドの前記頂部において、前記フェイスシールドの前記頂部に配設される1つの上側取り付け要素と、
を備え、前記フェイスシールドが前記手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を前記上側取り付け要素及び前記下側取り付け要素が規定し、
前記フェイスシールドが、前記封止外周部と前記フェイスシールドの外縁との間に配設される境界切り込みを規定し、
前記境界切り込みが、前記一対の下側取り付け要素の少なくとも一方と前記上側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される、個人用保護システム。
【請求項30】
手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
布により形成されるシェルと、
可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含むフェイスシールドであって、前記シェルが前記封止外周部に沿って前記フェイスシールドに封止される、前記フェイスシールドと、
前記フェイスシールドの前記底部に配設される1つの下側取り付け要素と、
前記フェイスシールドの前記頂部に配設される一対の上側取り付け要素と、
を備え、前記フェイスシールドが前記手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を前記上側取り付け要素及び前記下側取り付け要素が規定し、
前記フェイスシールドが、前記封止外周部と前記フェイスシールドの外縁との間に配設される境界切り込みを規定し、
前記境界切り込みが、前記一対の上側取り付け要素の少なくとも一方と前記下側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される、手術用衣類。
【請求項31】
柔弱シェルと透明フェイスシールドとの間で手術用衣類にウイルス不透過性シールを形成する方法であって、
前記柔弱シェルはウイルスバリアを規定し、前記柔弱シェルは、透明フェイスシールドの取り付けのための第1の形状を有する開口を規定し、前記柔弱シェルは第1の層及び第2の層を含み、
前記方法は、
前記柔弱シェルを用意するステップと、
前記第1の形状に整合する第2の形状を有する支持面の上に前記柔弱シェルの前記開口が少なくとも部分的に配設されて前記支持面に接触するように、前記柔弱シェルを位置決めするステップと、
前記柔弱シェルの前記開口が前記支持面の上に配設されている間に、前記柔弱シェルを加熱プラテンに接触させることにより、前記第1の層を前記第2の層に不可逆的に接合することによって、前記柔弱シェルの前記開口を囲む封止外周領域を規定するステップと、
前記柔弱シェルの前記封止外周領域に接触するように構成される前記透明フェイスシールドの一部と、前記柔弱シェルの前記封止外周領域の一部との少なくとも一方に、接着剤組成物を適用するステップであって、適用される前記接着剤組成物が、前記柔弱シェルの前記開口を囲む外形を規定するように、前記接着剤組成物を適用するステップと、
前記透明フェイスシールドに適用された前記接着剤が前記柔弱シェルの前記封止外周領域に接触するか、又は、前記柔弱シェルの前記封止外周領域に適用された前記接着剤が前記フェイスシールドに接触するように、前記柔弱シェルに対して前記フェイスシールドを位置決めするステップと、
前記柔弱シェルに対して前記フェイスシールドを位置決めするステップの後であって、前記接着剤が硬化ステップを完了する前に、前記フェイスシールド及び前記柔弱シェルの一方に力を印加するステップと、
を含む、方法。
【請求項32】
開口を規定する柔弱シェルと、
前記開口を塞ぐように配設されるように成形される透明フェイスシールドと、
感圧接着剤と、
を備える手術用衣類であって、
前記柔弱シェルが、
第1の層と、
前記第1の層に結合される第2の層と、
を備え、前記第1の層及び前記第2の層が前記開口の周りに封止外周部を規定し、前記第1の層及び前記第2の層は、前記封止外周部の外側よりも前記封止外周部の内部のほうが一体的に強く接合されるように結合され、
前記感圧接着剤が前記透明フェイスシールドと前記柔弱シェルの前記封止外周部との間に配設されて前記透明フェイスシールドを前記柔弱シェルに結合する、手術用衣類。
【請求項33】
開口を規定する柔弱シェルと、
前記開口を塞ぐように配設されるように成形される透明フェイスシールドと、
感圧接着剤と、
を備える手術用衣類であって、
前記柔弱シェルが、
第1の層と、
前記第1の層に結合される第2の層と、
を備え、前記第1の層及び前記第2の層が前記開口の周りに封止外周部を規定し、前記第1の層及び前記第2の層は、前記封止外周部内に第1の厚さを規定すると共に前記封止外周部の外側に第2の厚さを規定するように結合され、前記第1の厚さが前記第2の厚さよりも小さく、
前記感圧接着剤が前記透明フェイスシールドと前記柔弱シェルの前記封止外周部との間に配設されて前記透明フェイスシールドを前記柔弱シェルに結合する、手術用衣類。
【請求項34】
個人により着用される手術用保護衣類であって、
前記個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成される材料を含む衣類本体と、
前記衣類本体から延び、かつ、遠位端及び近位端を有する袖部であって、前記個人の腕を受容する内空部を規定する、前記袖部と、
を備え、
前記袖部は、前記個人の腕の手が不注意で前記袖部から出ることを制限するバリアを規定する、手術用保護衣類。
【請求項35】
個人により着用される手術用保護衣類であって、
前記個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成される材料を含む衣類本体と、
前記衣類本体から延び、かつ、遠位端及び近位端を有する袖部であって、前記個人の腕を受容する内空部を規定する前記袖部と、
前記袖部に結合されて前記内空部を部分的に塞ぎ、かつ、ミシン目を含む袖部インサートと、
を備える、手術用保護衣類。
【請求項36】
手術用保護衣類を製造する方法であって、
内空部を規定する袖部を備える衣類を用意するステップと、
ミシン目を含む袖部インサートの一部が前記内空部を部分的に塞ぐように、前記袖部インサートを前記袖部に取り付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項37】
換気アセンブリを含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
手術用布により形成されるフードと、前面パネルと、後面パネルと、を備え、
前記後面パネルは、前記前面パネルの両側からそれぞれ延びる第1の背面フラップ及び第2の背面フラップを含み、
前記フードは、前記前面パネルに結合される前部と、フードフラップを含む後部と、を規定し、
前記フードフラップが少なくとも部分的に前記第1の背面フラップ及び前記第2の背面フラップの直下に位置決め可能となるように、前記フードフラップと前記第1の背面フラップ及び前記第2の背面フラップとが寸法規定される、手術用衣類。
【請求項38】
個人により着用される手術用アパレルシステムであって、
前記個人の腕を受容する内空部を規定し、かつ、遠位端を有する袖部と、
前記袖部の遠位端に配設されるカフ部であって、前記袖部により規定される前記内空部を延長し、かつ、開口を更に規定する前記カフ部と、
前記開口に近接して前記内空部内に配設されるバリア部材であって、前記個人の腕の手が、前記カフ部により規定される前記開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成される前記バリア部材と、
を備える、手術用アパレルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年12月29日に出願された米国仮特許出願第63/294,574号の優先権及び全ての利益を主張する2022年12月22日に出願された米国特許出願第18/145,345号の優先権及び全ての利益を主張するものであり、両者の全ての内容を本明細書において明示的に援用する。
【0002】
本開示は、一般的には着用可能な手術用衣類に関し、より詳細には、手術用衣類及びその着用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療処置若しくは外科手術中又は手術室においては、無菌状態を保つため、手術室中の全ての人が一般的には、手術用衣類及びグローブを着用する。このような衣類(ガーメント)としては、オーバーヘッドガウン(overhead gown)、タイクローズガウン(tie-close gown)、ジッパー付きガウン(zippered gown)等が挙げられる。手術用衣類及びグローブは、医療処置若しくは外科手術前、並びに医療処置若しくは外科手術中に、非無菌環境から着用者を効果的に隔離すること、又は、液体及び微生物に対する曝露から着用者を保護することに使用可能である。手術用衣類は、無菌ガイドラインを順守し、着用者による二次汚染を制限しつつ、容易に着脱(着用及び脱衣)できることが重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
無菌状態を維持するように手術用衣類及びグローブを着用することが重要である。このため、着用者は一般的に、着用者と手術室又は患者の手術部位等の無菌環境との間の無菌バリアを規定する手術用衣類、グローブ、及び関連する個人用保護装置により形成された無菌バリアの片側に手及び腕を維持する。無菌バリア及び着用者の無菌環境側の手術用衣類の汚染又は無菌状態の喪失を回避するため、アシスタントの使用等、様々な技術が使用されている。通常、アシスタントは、着用者への衣類の固定及び着用者の手へのグローブの固定に必要である。これを達成する1つの方法として、着用者は、袖の端部の開口にグローブが固定されるまで、開口から手及び/又は腕を伸ばさないようにして、着用者の手及び腕が衣類により規定された無菌バリアを越えて、無菌バリアの反対側の無菌環境を汚染する可能性を抑える。現在、着用者は、アシスタントが衣類の袖の開口にグローブを装着する前に手/腕が袖から出て、衣類により設けられた無菌バリアを越えようとしていることに気付き、これを手動で防ぐ必要がある。
【0005】
手術用衣類、グローブ、及び/又は関連する個人用保護装置を着用する際のアシスタントの必要性を低減し、無菌バリアにより規定された無菌環境と非無菌環境との間の偶発的な曝露を防止するため、本開示は、着用者と無菌環境との間の無菌バリアを維持しつつ自己着用可能な手術用衣類及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本概要では、以下の詳細な説明に別途記載の概念の一部を簡略化して紹介する。本概要は、特許請求の範囲に係る主題の範囲を制限することも、特許請求の範囲に係る主題の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することも意図しない。
【0007】
一態様は、個人により着用される手術用衣類である。また、この手術用衣類は、個人の手及び/又は腕を受容する内空部を規定する、遠位端を有する袖部を備える。また、この衣類は、袖部の遠位端に配設され、袖部により規定される内空部を延長し、かつ、開口を更に規定するカフ部を備える。また、この衣類は、開口に近接して内空部内に配設されるバリア部材を備え、バリア部材は、個人の手が、カフ部により規定される開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成される。
【0008】
実施態様には、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含んでいてもよい。手術用衣類において、バリア部材は、袖部の遠位端及びカフ部の近位端の交点(intersection)において内空部内に位置決めされる。バリア部材は、閉塞構成から開放構成へと移行するように構成される。バリア部材は、閉塞構成である場合に、袖部により規定される内空部と、カフ部により規定される開口を通じる外部環境と、の間のバリアを規定する。バリア部材は、袖部の遠位端に結合され、バリア部材は、袖部の遠位端に規定される開口を覆う。先行する請求項のいずれかの手術用衣類は、本体部と、本体部から延伸する袖部と、本体部に結合され、個人及び/又は手術用ヘルメットを覆うように配設された場合に個人の顔面の前方となるように構成される開口を規定するフードと、フードにおいて規定された開口を塞ぐように配設される透明フェイスシールドと、フード及び/又は透明フェイスシールドに配設され、手術用衣類を手術用ヘルメットに対して取り外し可能に結合する少なくとも1つの取り付け要素と、を備えていてもよい。透明フェイスシールドは、可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含み、透明フェイスシールドは、フェイスシールドの底部に配設される一対の下側取り付け要素と、フェイスシールドの頂部に配設される1つの上側取り付け要素と、を更に備え、フェイスシールドが手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を上側取り付け要素及び下側取り付け要素が規定し、フェイスシールドが、封止外周部とフェイスシールドの外縁との間に配設される境界切り込みを規定し、境界切り込みが、一対の下側取り付け要素の少なくとも一方と上側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設されていてもよい。
【0009】
第2の態様は、個人により着用される個人用保護システムである。また、この個人用保護システムは、手術用衣類を備える。また、このシステムは、個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成される材料を含む衣類本体を備える。また、このシステムは、衣類本体から延びる袖部を備え、袖部は、個人の手及び/又は腕を受容する内空部を規定し、かつ、当該袖部の遠位端に開口を規定する。また、このシステムにおいて、袖部は、閉塞構成と開放構成との間で移行可能であり、閉塞構成の場合に、個人の手が開口を通って伸びることを防止するバリアを規定するバリア部材を袖部が含む。
【0010】
第3の態様は、個人により着用される保護衣類である。また、この保護衣類は、個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成される材料を含む衣類本体を備える。また、この衣類は、衣類本体から延び、かつ、遠位端及び近位端を有する袖部を備え、袖部は、個人の手及び/又は腕を受容する内空部を規定する。また、この衣類は、袖部の遠位端に配設されるカフ部を備え、カフ部は、袖部により規定される内空部を延長し、かつ、開口を更に規定する。また、この衣類は、袖部により規定される内空部内に配設されるバリア部材を備え、バリア部材は、個人の手が、カフ部により規定される開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成される。
【0011】
第4の態様は、個人用保護システムを着用する方法である。また、この方法は、保護衣類を用意するステップを含み、保護衣類は袖部とバリア部材とを含み、袖部は、保護衣類を着用する個人の手及び/又は腕を受容するように構成される内空部を規定すると共に、袖部の遠位端に開口を規定し、バリア部材は、内空部内に配設され、バリア部材は、外部環境から開口を介して内空部に至るアクセスを防止するバリアを規定するように構成される。また、この方法は、袖部の近位開口を通じて、個人の手及び/又は腕を内空部に挿入するステップを含む。また、この方法は、個人の手でバリア部材に接触するステップであって、グローブが開口に装着される前に手が開口を通じて袖部から出ることをバリア部材が防止するステップを含む。また、この方法は、グローブが開口に装着された後に袖部の遠位端の開口を通じて手及び/又は腕を伸ばすステップを含む。
【0012】
第5の態様は、個人用保護システムを着用する方法である。また、この方法は、保護衣類を用意するステップを含み、保護衣類は袖部とバリア部材とを含み、袖部は、保護衣類を着用する個人の手及び/又は腕を受容するように構成される内空部を規定すると共に、袖部の遠位端に開口を規定し、バリア部材は、閉塞構成から開放構成へと移行可能である。また、この方法は、グローブが開口に装着される前に、バリア部材が閉塞構成である間に、袖部の近位開口を通じて、個人の手及び/又は腕を内空部に挿入するステップを含む。また、この方法は、グローブを開口に装着するステップを含む。また、この方法は、バリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させるステップを含む。また、この方法は、個人と外部環境との間の無菌バリアを維持しつつ、袖部の遠位端の開口を通じて手及び/又は腕をグローブ中に伸ばすステップを含む。
【0013】
第6の態様は、個人用保護システムを着用する方法である。また、この方法は、保護衣類を用意するステップを含み、保護衣類は袖部とバリア部材とを含み、袖部は、保護衣類を着用する個人の手及び/又は腕を受容するように構成される内空部を規定すると共に、袖部の遠位端に開口を規定し、バリア部材は、内空部内に配設され、バリア部材は、外部環境から開口を介して内空部に至るアクセスを防止する不透過性バリアを規定するように構成される。また、この方法は、袖部の近位開口を通じて、個人の手及び/又は腕を内空部に挿入するステップを含む。また、この方法は、個人の手でバリア部材に接触するステップであって、手が開口を通じて袖部から出ることをバリア部材が防止するステップを含む。また、この方法は、手及び/又は腕がバリア部材を迂回し得るようにバリア部材を操作するステップを含む。また、この方法は、袖部の遠位端の開口を通じて手及び/又は腕を伸ばすステップを含む。
【0014】
第7の態様は、換気アセンブリを含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類である。また、この手術用衣類は、手術用布により形成されるフードと、前面パネルと、後面パネルと、を備える。また、この衣類において、後面パネルは、前面パネルの両側にそれぞれ結合されて、着用者による手術用衣類の着用を補助するために相互分離可能な第1の部分及び第2の部分を含む。また、この衣類において、フードは、前面パネルに結合される前部と、後部と、フードの手術用布において規定される第1の開口と、第1の開口を塞ぐように配設される透明フェイスシールドと、を備え、手術用衣類が着用された場合に着用者の顔面の前方となるようにフェイスシールドが位置決めされ、フードの後部は、フードの一部が着用者と後面パネルとの間に配設されるように、後面パネルの上縁の下方に延びていてもよい。
【0015】
また、第8の態様において、手術用システムは、着用者の頭部に着用されるように構成される手術用ヘルメットを備え、手術用ヘルメットは、着用者の周りに空気を循環させる換気システムと、少なくとも1つの結合部材と、を備えていてもよい。また、このシステムは、着用者及び手術用ヘルメットを覆うように少なくとも部分的に配設されるように構成される手術用衣類を備え、手術用衣類は、フード及び本体部を規定する手術用布と;前部及び後部を有するフードであって、前部は本体部に結合され、前部は、着用者及び手術用ヘルメットを覆うように配設された場合に着用者の顔面の前方となるように構成される開口を規定し、後部は、本体部から取り外されるフラップであって、着用者と本体部との間に少なくとも部分的に配設されるように構成されるフラップを規定する、フードと;フードにおいて規定された開口を塞ぐように配設される透明フェイスシールドと;フード及び/又は透明フェイスシールドに配設され、フードを手術用ヘルメットに対して取り外し可能に結合する少なくとも1つの取り付け要素と;を備えていてもよい。
【0016】
第9の態様は、換気アセンブリを含む手術用ヘルメットを覆うように手術用衣類を着用する方法である。また、この方法は、手術用衣類のフード部の透明フェイスシールドの取り付け要素を手術用ヘルメットの結合部材に結合することによって、透明フェイスシールドを手術用ヘルメットに取り付けるステップを含む。また、この方法は、手術用ヘルメット及び着用者の頭部を覆うように配設されるように、手術用衣類のフード部の手術用布を操作するステップを含む。また、この方法は、着用者の身体(胴体)を覆うように、手術用衣類の本体部を操作するステップを含む。また、この方法は、手術用衣類のフード部の後面から延びる下側フラップを手術用衣類の本体部に押し込むステップを含む。また、この方法は、手術用衣類の本体部の後部の両側を相互に引き寄せることによって、手術用衣類を閉じるステップを含む。また、この方法は、本体部の後部の、互いに隣り合う両側を相互に締結することによって、手術用衣類を着用者に固定するステップを含む。
【0017】
第10の態様は、複数の結合部材を含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類である。また、この手術用衣類は、布により形成されるシェルを備える。また、この衣類は、可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含むフェイスシールドを備え、シェルが封止外周部に沿ってフェイスシールドに封止される。また、この衣類は、フェイスシールドの底部に配設される一対の下側取り付け要素を備える。また、この衣類は、フェイスシールドの頂部に配設される1つの上側取り付け要素を備え、フェイスシールドが手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を上側取り付け要素及び下側取り付け要素が規定する。また、この衣類において、フェイスシールドは、封止外周部とフェイスシールドの外縁との間に配設される境界切り込みを規定する。また、この衣類において、境界切り込みは、上側取り付け要素と一対の下側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される。
【0018】
第11の態様は、複数の結合部材を含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類である。また、この手術用衣類は、可撓性の透明材料で形成され、上部及び下部を含むフェイスシールドを備える。また、この衣類は、上部に配設される上側取り付け要素を備える。また、この衣類は、下部に配設される一対の下側取り付け要素を備える。また、この衣類において、各取り付け要素は、それぞれ、手術用ヘルメットの複数の結合部材のうちの1つと取り外し可能に結合するように位置決めされる。また、この衣類は、フェイスシールドにおいて規定され、一対の下側取り付け要素の少なくとも一方と上側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される境界切り込みを備える。また、この衣類において、各取り付け要素が手術用ヘルメットの複数の結合部材のうちの1つに結合される場合に生じる湾曲状態の場合のフェイスシールドの応力を緩和するように、境界切り込みが、一対の下側取り付け要素の少なくとも一方と上側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設される。
【0019】
上記態様のいずれかについて、その全部又は一部を組み合わせることができる。上記態様のいずれかの特徴について、その全部又は一部を組み合わせることができる。任意の態様に関する上記実施態様のいずれかをその他任意の態様と組み合わせることができる。同じ態様であるか異なる態様であるかに関わらず、上記実施態様のいずれかをその他任意の実施態様と組み合わせることができる。
【0020】
以下、図面を参照して、例示的な実例を詳細に示す。図面は、模式的な構成を表すが、必ずしも原寸に比例しておらず、例示的な一構成の革新的な一態様をよりよく図示及び説明するため、特定の特徴を誇張している場合がある。更に、本明細書に記載の例示的な実例は、何ら網羅的でもなければ、図面に示すと共に以下の詳細な説明に開示する詳細な形態及び構成に限定されることも制限されることも意図しない。添付の図面に関連して考慮する場合に、以下の詳細な説明を参照することによって、より深く理解されるほどに、本発明の利点が容易に認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】着用者に着用された袖部を具備する手術用衣類の斜視側面図である。
図2】一構成に係る、バリア部材が内空部内に位置決めされた袖部に固定されるグローブの部分斜視図である。
図3】一構成に係る、開口及びボタンを含むバリア部材の斜視前面図である。
図4A】別の構成に係る、ミシン目を含むバリア部材の斜視前面図である。
図4B】別の構成に係る、ミシン目を含むバリア部材の斜視前面図である。
図5】更に別の構成に係る、ジッパーを含むバリア部材の斜視前面図である。
図6】更に別の構成に係る、ジップロック(登録商標)機構を含むバリア部材の斜視前面図である。
図7A】更に別の構成に係る、合わせ目を含むバリア部材の斜視前面図である。
図7B】更に別の構成に係る、合わせ目を含むバリア部材の斜視前面図である。
図8】更に別の構成に係る、脆弱接続部を含むバリア部材の斜視前面図である。
図9】更に別の構成に係る、縫合を含むバリア部材の斜視前面図である。
図10】バリア部材を具備する手術用衣類の袖部の部分分解図である。
図11A】手術用ヘルメットと併用される手術用衣類の斜視前面図であり、手術用衣類がフード部及び本体部を含み、本体部が開放背面を有し、フード部が、本体部から取り外される後面フラップを含む。
図11B図11Aの手術用衣類の斜視後面図である。
図11C図11Aの手術用衣類の後面図である。
図12A】手術用衣類を着用するステップの斜視図であり、このステップは、衣類が手術用ヘルメット及び着用者を覆うように配設されるように準備することを含む。
図12B】手術用衣類を着用するステップの斜視図であり、このステップは、手術用衣類を手術用ヘルメットに結合することを含む。
図12C】手術用衣類を着用するステップの斜視図であり、このステップは、手術用ヘルメット及び着用者の頭部の周りにヘッド部を位置決めするように手術用衣類を操作することを含む。
図12D】手術用衣類を着用するステップの斜視図であり、このステップは、着用者の身体を覆うように配設されるように手術用衣類の本体部を操作することを含む。
図12E】手術用衣類を着用するステップの斜視図であり、このステップは、着用者の手を手術用衣類の袖部に通してグローブに挿入することを含む。
図12F】手術用衣類を着用するステップの斜視図であり、このステップは、手術用衣類の閉塞及び/又は締結機構による着用者への固定を行うことを含む。
図12G】手術用衣類を着用するステップの斜視図であり、このステップは、手術用衣類の閉塞及び/又は図12Fに示すステップの代替となる締結機構による着用者への固定を行うことを含む。
図13】手術用衣類及び手術用ヘルメットを具備する手術用アパレルシステムの第1の構成の斜視図であり、ここでは手術用ヘルメットを仮想的に示す。
図14】布及びフェイスシールドを含む図13の手術用衣類の斜視図である。
図15A図14の手術用衣類の透明フェイスシールドの第1の構成の前面図であり、フェイスシールドが境界切り込みを含む。
図15B図15Aのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図15C図13に示すように手術用ヘルメットに取り付けられた場合のような湾曲構成にて配置された図15Aの透明フェイスシールドの斜視図である。
図15D図15Cのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図16A図14の手術用衣類の透明フェイスシールドの第2の構成の前面図であり、フェイスシールドが境界切り込みを含む。
図16B図16Aのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図16C図13に示すように手術用ヘルメットに取り付けられた場合のような湾曲構成にて配置された図16Aの透明フェイスシールドの斜視図である。
図16D図16Cのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図17A図14の手術用衣類の透明フェイスシールドの第3の構成の前面図であり、フェイスシールドが境界切り込みを含む。
図17B図17Aのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図17C図13に示すように手術用ヘルメットに取り付けられた場合のような湾曲構成にて配置された図17Aの透明フェイスシールドの斜視図である。
図17D図17Cのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図18A図14の手術用衣類の透明フェイスシールドの第4の構成の前面図であり、フェイスシールドが境界切り込みを含む。
図18B図18Aのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図18C図13に示すように手術用ヘルメットに取り付けられた場合のような湾曲構成にて配置された図18Aの透明フェイスシールドの斜視図である。
図18D図18Cのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図19A図14の手術用衣類の透明フェイスシールドの第5の構成の前面図であり、フェイスシールドが境界切り込みを含む。
図19B図19Aのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図19C図13に示すように手術用ヘルメットに取り付けられた場合のような湾曲構成にて配置された図19Aの透明フェイスシールドの斜視図である。
図19D図19Cのフェイスシールドの境界切り込みの一部の拡大図である。
図20】手術用衣類を製造するためのプレス機の斜視図であり、このプレス機は、少なくとも一方が加熱面を含む頂板(top plate)及び底板(bottom plate)を具備する。
図21】手術用衣類を製造するための図20のプレス機の側面図である。
図22】手術用衣類を製造するための図20のプレス機の前面図である。
図23A】手術用衣類を製造するための図20のプレス機の頂板の例示的な一構成の上面図である。
図23B図23Aの頂板の分解図である。
図23C図23Aの頂板の側面図である。
図24A】手術用衣類を製造するための図20のプレス機の底板の例示的な一構成の上面図である。
図24B図24Aの底板の分解図である。
図24C図24Aの底板の斜視図である。
図24D図24Aの底板の側面図である。
図25A図20のプレス機の底板の上方に吊り下げられた手術用衣類の手術用布の斜視図であり、この手術用衣類は、プレス機を用いる手術用衣類の製造時に底板の上方に配置される。
図25B】頂板及び底板の側面図であり、底板の上方に配設された手術用衣類の手術用布を含む。
図25C】手術用衣類の手術用布において規定された開口の上方に配置された透明フェイスシールドの断面図であり、この手術用布は、図20のプレス機により事前に熱処理されたものである。
図25D】手術用衣類の手術用布に結合された透明フェイスシールドの断面図であり、この手術用布は、図20のプレス機により事前に熱処理されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面を参照し、これら複数の図面の全体を通して、同じ構造の指定には同じ番号を使用する。図1及び図2には、例示的な構成の手術用衣類(手術用衣服)20を示している。各構成は、本発明の説明のために提供しており、本発明の限定を意味するものではない。例えば、ある構成の一部として図示又は記載の特徴は、別の構成での使用により、関連する代替的な構成をもたらしてもよい。記載の構成の他の改良及び変形についても、本発明の範囲及び思想に含まれると考えられる。
【0023】
本明細書においては手術用衣類20と称するものの、この衣類(ガーメント)は、通常は非無菌環境である着用者と手術室及び/又は患者の手術部位等の無菌環境との間に無菌バリアを規定するドレープ、ガウン、トーガ(toga)、フード、コート、保護袖部、及び/又はカバーオールを含む如何なる種類の医療用及び/又は手術用衣類であってもよいが、これらに限定されない。例えば、図1に示すように、手術用衣類20は、着用者の肩から下方に膝を越えて覆うように構成されたトーガを含んでいてもよい。手術用衣類20は、当該手術用衣類20を着用者の頭部に被せて着用する必要があるオーバーヘッドトーガであってもよい。また、手術用衣類20は、頭上からの着用を必要としない場合も考えられ、着用者の周りで手術用衣類20を閉塞するためのジッパー、面ファスナ(hook and loop)、スナップ、又は一組の紐等の締結具31を具備していてもよい。また、手術用衣類20は、頭部及び頚部エリアを覆う手術用フード12を具備していてもよい。手術用衣類20は、別個のフード12がトーガに結合されていてもよい。また、図面に示すように、手術用フード12は、トーガとの一体化あるいはトーガへの取り付けがなされていてもよいと考えられる。更に、手術用衣類20は、手術用ヘルメット2と組み合わせて用いられるトーガ及び/又はフードを表していてもよいと考えられる。このため、手術用衣類20という用語は、手術用アパレルシステム10若しくは個人用保護システムの一部として手術用ヘルメット2との組み合わせでも利用可能なトーガ、フード12、又は類似の衣類を表していてもよい。
【0024】
手術用衣類20は、以下により詳しく説明する手術用ヘルメットと着用者の頭部の少なくとも一部とを覆うように構成された手術用布(シェルとも称し得る)14を具備していてもよい。手術用衣類20は、図1に示すように、フード部12を含むトーガとして構成されていてもよい。フード12は、着用者が着用した場合に、頭部を覆うと共に、首の下方にわずかな距離しか延びないと考えられる手術用衣類120を表すのに使用可能であることが了解される。ただし、手術用衣類20は更に、トーガ、シャツ、又はジャケットとして構成されていてもよいと考えられる。トーガ20は、着用者が着用した場合に、フード12と同様に頭部を覆うと共に、少なくとも腰まで延びる手術用衣類20を表すことが了解される。
【0025】
手術用衣類20は、水、ごみ、及び他の汚染物質をはじくこと及び/又は吸収することに役立つように、任意好適な手術用布(surgical fabric)14又は布の組み合わせにより製造されていてもよい。手術用布14は、複数の層を具備していてもよい。このような1つの層は、微生物バリアを依然として維持しつつガスを布に通過させ得る微多孔膜(マイクロポーラスフィルム)であってもよい。
【0026】
更に、手術用衣類20は、相互に結合された複数の異なる布で構成されることにより、バリアを規定していてもよいと考えられる。例えば、手術用衣類20は主として、バリア手術用布14及びフィルタ布16により構成されていてもよい。フィルタ布16は、上述のバリア手術用布14よりも透過性ひいては通気性が高くてもよい。フィルタ布16は、着用者の頭部の上方又は着用者の頭部の頭頂(クラウン)近く等、微生物粒子がバリアを通過するリスクが低いエリアに位置付けられ、バリアを通る空気の循環に役立つように構成されていてもよい。バリア手術用布14は、接着剤、縫製(ソーイング)、溶接(溶着)、又はこれらの組み合わせ等、任意好適な手段によってフィルタ布16に取り付けられていてもよい。
【0027】
図1に示すように、手術用衣類20は、フェイスシールド18を更に備えていてもよい。手術用衣類20のフェイスシールド18の部分によれば、着用者は、手術用衣類20が与えるバリアを透かして見ることができる。フェイスシールド18は、大略シート状構造であり、厚さが約1mm以下であってもよい。フェイスシールド18は、フード12等の手術用衣類20の手術用布14に形成された開口又は切り抜き部に組み付け及び/又は取り付けがなされていてもよい。手術用布14は、縫製、スナップ、面ファスナ、接着剤、溶接、又はこれらの組み合わせによって、フェイスシールド18の外縁(周辺)又は縁部周りに取り付けられていてもよい。フェイスシールド18は、ポリカーボネート等の透明材料により構成されていてもよい。このような1つのポリカーボネートは、Sabicにより商標LEXAN(商標)として販売されている。また、手術用衣類12のフェイスシールド18は、明るい光に対する高曝露から着用者の眼を保護するように色付けされていてもよい。更に、フェイスシールド18は、後述の通り、湾曲して様々な頭部サイズに対応し得るように、可撓性であってもよい。
【0028】
また、手術用衣類20は、その周りに位置決めされた1つ又は複数の取り付け要素30を具備していてもよい。取り付け要素30は、衣類ファスナと称する場合もある。取り付け要素30は、以下により詳しく説明するが、手術用衣類20を手術用ヘルメット2に対して解除可能に固定するように構成されている。取り付け要素30は、任意好適な形態であってもよく、また、金属タック、リベット、ボタン、磁石、面ファスナ、スナップ、又は同様の種類の締結具を単独又は組み合わせにて含んでいてもよい。取り付け要素30は、フェイスシールド18の着用者側から内方に延びるように、手術用衣類20のフェイスシールド18に組み付けられていてもよい。また、取り付け要素30は、フード12のバリア手術用布14及び/又はフィルタ布16への組み付けを含めて、手術用衣類20の周りのその他任意の位置又は場所に位置決めされていてもよいと考えられる。取り付け要素30は、接着剤、リベット、スナップ、類似の組み付け機器、又はこれらの組み合わせによって、フェイスシールド18及び/又は布14/16に組み付けられていてもよい。
【0029】
図1及び図2を引き続き参照して、手術用衣類20は、着用者又は個人と手術室又は患者の手術部位等の外部環境24との間に無菌バリアを提供するように構成された材料を含む衣類本体22を備えていてもよい。衣類本体22は、着用者の受容及び/又は少なくとも部分的な囲繞を行うように成形された内部環境26を規定する。衣類本体22は、医療処置若しくは外科手術の実行時並びに/又は手術室内在室時に着用者によって着用されるように手術用衣類20を適応させる特徴を含むように成形されている。これらの特徴には、胴体被覆部、背面被覆部、及び/又は着用者の一部を覆って内部環境26と外部環境24との間に無菌バリアを提供するように構成された付加的な部分を含んでいてもよい。
【0030】
一態様によれば、手術用衣類20及び/又は衣類本体22は、如何なる種類の材料を含んでいてもよい。一例において、この材料は、織物材料(織布)であってもよい。織物材料は、ポリエステル、綿、又はポリエステル-綿混紡であってもよい。また、この材料は、紙、綿、ポリエステル等の繊維又はフィラメント等の不織材料(不織布)であってもよいと考えられる。更に、手術用衣類20は、付加的なバリアの提供及び/又は液体の撥水のための被膜(コーティング)等の補強を有していてもよい。通常、手術用衣類20は使い捨てであって、一度の使用後に廃棄物として破棄される。ただし、手術用衣類20としては、再利用可能な手術用衣類20も可能であり、消毒して複数回使用することも考えられる。
【0031】
手術用衣類20は、衣類本体22から延びた1つ又は複数の袖部(スリーブ)28を備える。図面では説明を目的として袖部を1つしか示していないが、手術用衣類20は、任意数の袖部28を備えていてもよいと考えられる。例えば、手術用衣類20は、本明細書において言及すると共に以下により詳しく説明する特徴のいずれかをそれぞれ含む一対の袖部28を具備していてもよい。袖部28は、衣類本体22の材料と同じ材料を含むことも考えられる。
【0032】
袖部28は、着用者の手及び/又は腕を受容する内空部(ルーメン、内腔部)を規定しており、袖部28は近位端30及び遠位端32を含み、近位端30は衣類本体22に結合されている。袖部28は、衣類本体22から遠位方向に延び、当該袖部28の遠位端32で終端している。更に、袖部28は、個人の手及び/又は腕が当該袖部28の近位端30から遠位端32に向かって袖部28により規定された内空部を通って伸び得るように当該袖部28が衣類本体に結合される近位袖部開口(図示せず)を近位端30に規定していてもよい。更に、袖部28は、遠位袖部開口34を当該袖部28の遠位端32に規定することにより、個人の手が遠位袖部開口34を通って伸び得るようにしてもよい。袖部28に言及する場合の用語「遠位(distal)」は、着用者又は個人の手により近い特徴を示すのに用いられ、個人の胴体により近い特徴を示す「近位(proximal)」とは区別されることが了解される。
【0033】
図1及び図2に示す例示的な構成において、袖部は、カフ部(袖口部)38を更に備えていてもよい。カフ部38は、袖部28の遠位端32に配設されていてもよい。カフ部38は、近位端40及び遠位端42を含む。図1及び図2に示す構成において、カフ部38の近位端40は、遠位袖部開口34への結合及び/又は遠位袖部開口34の少なくとも部分的な囲繞がなされていてもよい。カフ部38は、袖部28により規定された内空部36を更に延ばす(延長する)ように構成されていてもよく、カフ部38の遠位端42には開口又はカフ開口44が規定されている。カフ部38は、任意数の開口を規定し得ると考えられる。例えば、カフ部38は、近位カフ開口及び遠位カフ開口を含む。別の例において、カフ開口44には、親指及び他の指を挿通させる複数及び/又は別個の開口を含んでいてもよい。
【0034】
また、カフ部38は、グローブ(手袋)46を袖部28に固定して、グローブで個人の手及び/又は腕を覆うように位置決めする付加的な手段としても機能し得る。カフ部38は、衣類20及び/又は袖部28により規定された無菌バリアの一部と考えられてもよい。手術用衣類20の着用の一部として、カフ部38は、グローブ46で覆われることにより、外部環境24からカフ開口及び/又は遠位袖部開口を介して衣類20により規定された内部環境26(袖部28及び/又はカフ部により規定された内空部を含む)に至るアクセスを防止するようにしてもよい。このような構成において、グローブ46は、袖部28及び/又はカフ部38の一部に重なって、グローブ46と袖部28との間に連続的な無菌バリアを提供するように構成されたグローブ開口48を含む。
【0035】
従来、医療処置及び/又は外科手術の実行に先立って、無菌領域及び/又はゾーンを維持するための様々な技術及び/又は手順が医療従事者により観察されている。これらの処置は通常、医療従事者が手術室に入ってから処置を完了して手術室を出るまでの医療従事者の移動及び/又は行動に影響を及ぼす。これらの処置には、手術用衣類20の着用に先立つ消毒及び手術用衣類20の着用のための消毒のステップ及び/又はプロセスを含む。無菌領域を定めて維持することは、外科手術等の処置の実行に際して、患者の感染又は悪化のリスクをもたらし得る微生物汚染を防止するために重要である。手術用衣類20を着用するプロセスにおいては、無菌状態を維持する必要がある。着用手順において無菌領域が喪失した場合は、着用手順全体のやり直しが必要となる可能性が高い。
【0036】
上述の通り、手術用衣類20は、着用者と外部環境24との間に無菌バリアを提供するように構成されている。バリアという用語は、2つのエリアの分離に用いられる手術用衣類20等の物体、機器、又は材料を表すのに使用可能である。この場合、手術用衣類20は、医療従事者を周囲環境すなわち手術部位(手術サイト)及び/又は患者から分離するバリアを規定するため、医療従事者に装着されるようになっていてもよい。バリアは、不透過性バリアを表すのに用いられるようになっていてもよく、全ての合理的な粒子及び/又は汚染物質がバリアを通過することのないように構成されている。あるいは、バリアは、半透過性バリアを意味していてもよく、空気等の一部の要素及び/又は粒子がバリアを通過可能であってもよい。このため、様々なレベルの消毒及び/又は様々な種類の汚染を表すのに無菌(sterile)を使用可能である。バリアと組み合わせて使用する場合の無菌は、生物組織、液体、汚染物等の物理的粒子の移動がバリアを通過するのを防止する半透過性バリアを表すのに用いられるようになっていてもよい。あるいは、無菌は、空気又は他の類似するエアロゾル粒子等の微小粒子がバリアを通って移動するのを防止する密閉型(気密型)シール及び/又はバリアを規定するような事実上不透過性バリアを規定するのに用いられるようになっていてもよい。
【0037】
残念ながら、自身の手術用衣類20を着用しながら無菌領域又は環境を維持するのは困難な場合がある。従って、通常は、着用手順において個人を助ける補助が必要となる。より具体的には、アシスタント(補助者)が手術用衣類20を個人に固定するようにしてもよい。着用手順の一部として、アシスタントは、遠位袖部開口34及び/又はカフ開口44を覆うように個人の手にグローブ46を装着する。個人は通常、手術用衣類20の内部環境26が外部環境24に曝されることがないようにするために、袖部28を通じて遠位袖部開口34及び/又はカフ開口44の外側へと手及び腕を伸ばす前に、遠位袖部開口34及び/又はカフ開口44を覆うようにグローブ46が配置されるまで待たなければならず、その逆もまた同様である。別の言い方をすれば、手術用衣類20の内部環境26と外部環境24との間の空気の移動又は汚染を防止するために、グローブが開口34、44を覆うように適用される前に、遠位袖部開口34及び/又はカフ開口44を通じて手及び/又は腕を伸ばすことによって、個人の手が手術用衣類20により規定された無菌バリアを突き破ることがないようにするのが好ましい。現行のガウンを使用すると、個人は、アシスタントが遠位袖部開口34及び/又はカフ開口44を覆うようにグローブ46を装着するのを待つ間、遠位袖部開口34及び/又はカフ開口44を通じた偶発的な手の進行及び/又は摺動によって無菌バリアを破壊してしまう可能性がある。本明細書に記載の手術用衣類20の特徴によれば、個人は、無菌環境を汚染することなく、自身の手術用衣類20を着用可能となるため都合が良い。また、手術用ガウン20の特徴は、手術用衣類20の着用者側の内部環境26と外部環境24との間の任意の偶発的曝露の防止を補助するように設計されている。
【0038】
このため、図2図9の全体を通して、バリア部材50の例示的な形態を示している。バリア部材50は、袖部28により規定された内空部36内に配設され、閉塞構成(closed configuration)と開放構成(open configuration)との間で操作可能であってもよい。バリア部材50は、上述と同様に、不透過性バリア部材を表すのに用いられるようになっていてもよく、閉塞構成の場合に、全ての合理的な粒子及び/又は汚染物質がバリアを通過することのないように構成されていてもよい。あるいは、バリア部材50は、半透過性バリアを表していてもよく、閉塞構成の場合に、個人の手又は汚れた粒子等の他の要素がバリア部材50を通過することのないようにしつつ、空気等の要素及び/又は粒子がバリアを通過し得るように構成されていてもよい。バリア部材50の例示的な一構成において、バリア部材50は、閉塞構成の場合に、空気、エアロゾル、着用者の手、及び/又は物理的粒子等の全ての汚染物質が当該バリア部材50を通過することを防止し得る密閉シールを規定するように構成されていてもよい。例えば、バリア部材50は、空気、エアロゾル、及び/又は他の無限に小さな粒子に対して不透過性の材料により形成されていてもよく、閉塞構成の場合に、無限に小さな粒子が当該バリア部材50を通じて袖部に出入りするのを防止する密閉シールを規定するように、スライダー又は接着剤によって封止(シール)されている。そして、このシールは、適時の開放又は破壊によって、着用者の手がバリア部材を通り過ぎ/通過し得るようになっていてもよい。このようなバリア部材50の具体例については、以下により詳しく説明する。
【0039】
あるいは、バリア部材50の別の例示的な構成において、バリア部材50は、閉塞構成の場合に、着用者の手、汚染物、塵埃、液体汚染物質、及び/又は他の物理的粒子等の他の要素が当該バリア部材50を通過することを防止しつつ、空気又はエアロゾル等の一部の粒子が当該バリアを通過することを防止し得る半透過性を規定するように構成されていてもよいと考えられる。例えば、バリア部材50は、空気の迂回が可能なミシン目(穿孔)を含む材料により形成されていてもよいし、閉塞構成の場合に、空気又は他のエアロゾルが同様に透過可能である一方、汚染物及び/又は着用者の手に対しては依然として不透過性のフィルムを備えていてもよい。
【0040】
バリア部材50は、カフ部38により規定されたカフ開口44に近接して内空部36内に配設され、閉塞構成52にて配置されている場合に、袖部28により規定された内空部36に対する外部環境24からの遠位袖部開口34を介したアクセスを防止するように構成されていてもよい。
【0041】
カフ部38を具備する手術用衣類の一構成において、バリア部材50は、袖部28及び/又はカフ部38の組み合わせにより規定された内空部36内において、袖部28の遠位端32及びカフ部38の近位端40の交点(インターセクション)56に位置決めされていてもよい。交点56においては、遠位袖部開口34がカフ部38の近位端40に適合し、カフ部38の遠位端42及びカフ開口44に向かって開いている。バリア部材50は、袖部28の遠位端32及びカフ部38の近位端40の交点56に位置決めされたものとして説明しているが、袖部28及び/又はカフ部38により規定された内空部内の如何なる点に位置決めされていてもよいと考えられる。例えば、バリア部材50は、カフ部38により規定された内空部の部分内に位置決めされていてもよいと考えられる。例えば、バリア部材50は、閉塞構成の場合に、カフ開口44を被覆及び/又は包囲して、袖部28及びカフ部により規定された内空部36に対する外部環境24からのカフ開口を介したアクセスを防止するように、カフ開口44に近接してカフ部38により規定された内空部内に位置決めされていてもよい。更に別の構成において、バリア部材50は、カフ部38の近位端40と遠位端42との間の点でカフ部38内に位置決めされるように、カフ部38により規定された内空部内の中間点に位置決めされていてもよい。
【0042】
内空部を規定する袖部28は、内面58及び外面60を含む。上述の通り、バリア部材50は、手術用衣類20の袖部28により規定された内空部内に配設されていてもよい。このため、いくつかの構成において、バリア部材50は、袖部28の内面58に結合されている。本明細書における言及の通り、用語「内部(internal及びinterior)」は、手術用衣類20の着用者又は内部環境側を表し、用語「外部(external)」は、手術用衣類20の外部環境側を表す。
【0043】
バリア部材50は、個人の手が開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成されている。これを実現するため、上述の通り、バリア部材50は、閉塞構成52(例えば、図3図4A図4B図7A図8、及び図9参照)と開放構成54(図5図6、及び図7B参照)との間で移行するように構成されていてもよい。閉塞構成52において、バリア部材50は、袖部28により規定された内空部36とカフ部38のカフ開口44及び/又は袖部28の遠位開口を介した外部環境24との間のバリアを規定する。あるいは、開放構成54においては、バリアが破壊され、手術用衣類20の内部環境26がカフ部38のカフ開口44及び/又は袖部28の遠位開口を介して外部環境に曝される。これについては、以下により詳しく論じる。
【0044】
バリア部材50は、手術用衣類を着用している個人によって、閉塞構成52から開放構成54へと移行するように操作されるように構成されている。上述の通り、バリア部材50は、手術用衣類20の内部環境26及び外部環境24を選択的に分離するバリアを袖部28及び/又はカフ部38内に規定する。バリア部材50は、空気が内部環境から袖部28を通じて外部環境24に排出されることを防止し、その逆もまた同様である。
【0045】
バリア部材50は、袖部28及び/又はカフ部38により規定された内空部内に配設されたフィルム62を含んでいてもよい。フィルム62は、外部環境24から、袖部28の内空部36を封止すると共に、個人の手の少なくとも一部によって突き破り得るように構成されている。フィルム62は、カフ部38及び/又は袖部28の内面58に対して取り外し可能に結合されていてもよい。フィルム62は、一部又は全部が取り外し可能又は除去可能であってもよいと考えられる。あるいは、バリア部材50は、袖部28又は衣類本体22の構成材料等の材料により構成されていてもよい。更に、バリア部材は、複数の材料片を含むことも考えられる。材料片は、袖部28及び/又はカフ部38により規定された内空部内に配設されると共に、手術用衣類20を着用している個人による操作によって閉塞構成52から開放構成54へとバリア部材50を移行させ得る様々な種類の締結具によって一体的かつ取り外し可能に結合されていてもよい。例示的な締結具については、以下により詳しく説明する。バリア部材50は、バリアを構成する任意数の材料部64を含んでいてもよい。例えば、図3図4A、及び図5図9を参照して、バリア部材50は、第1の部分64a及び第2の部分64bを備えていてもよい。第1の部分64a及び第2の部分64bは、閉塞構成52の場合に一体的に接合又は結合され、開放構成54の場合に少なくとも部分的に分離されるように構成されていてもよい。あるいは、図4Bに示すように、バリア部材は、複数の部分64a、64b、64c、64dを備えることも考えられる。また、図面には示していないものの、バリア部材50は、単一の一体部材又は材料片のみを備えていてもよいと考えられる。
【0046】
図3図9を参照して、バリア部材50は、閉塞構成52から開放構成54へと当該バリア部材50を選択的に移行させる手段として、操作可能な締結具68を具備する。操作可能な締結具68は、個人による操作によって、個人の手及び/又は腕の一部がバリア部材50を通ること及び/又は越えることにより、袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44から伸出し得るように構成されている。
【0047】
図3を参照すると、一構成において、バリア部材50は、カフ部38及び/又は袖部28の内面58の両側に結合された第1の材料部64a及び第2の材料部64bを備えていてもよい。第1の部分64aは、任意数のバリア開口66を含んでいてもよく、また、第2の部分64bは、バリアが閉塞構成である場合に、開口66と選択的に結合するように構成された対応する数の締結具68を具備していてもよい。例えば、図3に示すように、バリア部材50は、2つの開口66を有する第1の部分64aと、2つのボタン68等、2つの対応する締結具を有する第2の部分64bと、を具備していてもよい。袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44を覆うようなグローブ46の着用の後、個人は、バリア部材50のボタン68の操作によって、第1の部分64aを第2の部分64bから分離することによりバリア部材50を閉塞構成52から開放構成54へと移行させて、個人の手がバリア部材50を越えて及び/又は通って伸び得るようにしてもよい。バリア開口66は、サイズ、形状、及び寸法が異なる如何なる種類の開口であってもよいと考えられる。更に、締結具68は、個人の手及び/又は指によって容易に外せるように構成された如何なる種類の締結具68であってもよいと考えられる。例えば、開口66及び締結具68は、スナップ、面ファスナ、又はバリア部材50の第1及び第2の部分64a、64bを選択的に締結する類似の手段により置き換え可能である。
【0048】
図4A及び図4Bを参照すると、別の構成において、バリア部材50は、着用者による破壊が可能と考えられる任意数のミシン目(穿孔)70又は脆弱接続部を含む1つ又は複数の材料部64a、64b、64c、64dを具備していてもよい。図4Aに示すように、一例において、バリア部材50は、当該バリア部材50の全体に延びて当該バリア部材を第1の部分64a及び第2の部分64bに分離する1つのミシン目70を含む。ここで、ミシン目70は、カフ部38又は袖部28により規定された開口の範囲にわたって延びている。別の例においては、図4Bに示すように、バリア部材50は、ミシン目70a、70b、70c、70dにより区画された4つの部分64a、64b、64c、64dを具備する。ミシン目70a、70b、70c、70dは、如何なる方向に延びていてもよいと考えられる。バリア部材は、任意数の部分及び/又はミシン目で構成されていてもよいと考えられる。袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44を覆うようなグローブ46の着用の後、個人は、ミシン目70に沿ってバリア部材50の引き裂き又は分離を行うことにより、バリア部材50を閉塞構成52から開放構成54へと移行させて、個人の手がバリア部材50を越えて及び/又は通って伸び得るようにしてもよい。部分64a、64b、64c、64dの引き裂き又は分離については、任意の組み合わせが考えられる。例えば、個人は、バリア部材の一方側で2つの部分が結合されたままとなるように、ミシン目70a、70b、70c、70dのいずれかに沿って、バリア部材50の選択された部分64a、64b、64c、64dの引き裂き又は分離のみを行うようにしてもよい。ミシン目70は、如何なる形状、配向、及び/又は構成であってもよいと考えられる。例えば、ミシン目70は、ジグザグ構成であってもよいし、湾曲構成であってもよい。
【0049】
ここで図5を参照すると、更に別の構成において、バリア部材50は、ジッパー72によって相互に結合された第1の材料部64a及び第2の材料部64bを備えていてもよい。例えば、バリア部材50は、継ぎ目(シーム)74に沿って第1の部分64a及び第2の部分64bを結合するためのジッパー72を具備していてもよい。袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44を覆うようなグローブ46の着用の後、個人は、ジッパー72の操作により、継ぎ目74に沿って第1の部分64aと第2の部分64bとの間に開口を形成することによりバリア部材50を閉塞構成52から開放構成54へと移行させて、個人の手がバリア部材50を越えて及び/又は通って伸び得るようにしてもよい。別の言い方をすれば、バリア部材50のジッパーを開いて継ぎ目74を開放することにより、個人の手及び/又は腕がバリア部材50を迂回(バイパス)できるようにしてもよい。ジッパー72の配向及び位置は、異なっていてもよいと考えられる。例えば、ジッパー72は、開口の中心を通過する代わりに、開口の右側寄りを通過するようになっていてもよい。
【0050】
図6を参照すると、更に別の構成において、バリア部材50は、ジップロック(登録商標)機構76又は再封止可能機構76によって一体的に結合された第1の材料部64a及び第2の材料部64bを備えていてもよい。袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44を覆うようなグローブ46の着用の後、個人は、封止部材(シーラー)78への接触によってバリア部材50を封止解除することにより、バリア部材50を閉塞構成52から開放構成54へと移行させて、個人の手がバリア部材50を越えて及び/又は通って伸び得るようにしてもよい。ジッパー72と同様に、ジップロック(登録商標)機構76は、個人の手が伸びて通過し得る程度に封止解除されるようになっていてもよい。また、図面には示していないものの、バリア部材50の第1の部分64a及び第2の部分64bは、磁気若しくは静電シール、又は螺旋ツイストシールのうちの1つによって、一体的かつ取り外し可能に結合されていてもよいと考えられる。
【0051】
手術用衣類20が再利用可能で、ジッパー72、ジップロック(登録商標)76、磁気若しくは静電シール、螺旋ツイストシール、締結具66、68、又は類似の再封止可能機構によって相互に結合された第1の部分64a及び第2の部分64bをバリア部材50が備える構成の場合、バリア部材50は、再着用のため、開放構成54から閉塞構成52へと戻されるようになっていてもよい。このように、別の個人又は同じ個人が別の機会に、バリア部材の破断又は破壊の心配なく、同じ手術用衣類20を着用することができる。
【0052】
図7A及び図7Bを参照すると、更に別の構成において、バリア部材50は、継ぎ目(シーム)80に沿って相互に重なり合うことで一体的に結合された第1の材料部64a及び第2の材料部64bを備えていてもよい。より具体的に、バリア部材50の第1の部分64aは、第2の部分64bの少なくとも1つの部分又は層に重なる部分又は層を含んでいてもよい。図7Aに示すように、第1の部分64aの少なくとも1つの部分が第2の部分64bのある部分を覆うように延びて、閉塞構成における第1の部分64aと第2の部分64bとの間の継ぎ目80を規定する。例えば、開放構成において、第1及び第2の部分64a、64bは、継ぎ目80で重ならずに開口を規定するように拡開及び/又は分離される。他の構成も考えられる。例えば、第1及び第2の部分64a、64bは、複数の層が継ぎ目80で重なり合ったり絡み合ったりするように折り重なっていてもよい。上述の如何なる構成も例示的で、仮想的な一例を示すためのものであり、特許請求の範囲を制限するものと解釈すべきではないことに留意するものとする。
【0053】
バリア部材50は、図7Aにて閉塞構成52が示され、図7Bにて開放構成54が示されている。バリア部材50を開放構成54へと変形するため、個人は、第1及び第2の部分64a、64bを継ぎ目80で拡開及び分離することにより、個人の手が第1及び第2の部分64a、64b間を伸び、かつ、バリア部材50を越えて及び/又は通って伸びることを可能にするようにしてもよい。この代替又は追加として、個人は、継ぎ目80で一体的に折り重なった複数の層間で手を動かすことにより、手がバリア部材50を通って伸びるようにしてもよい。複数の層は、如何なる順序又は寸法にて継ぎ目80で折り重なっていてもよく、また、本発明のバリア部材50を閉塞構成52にて折り重ねる様々な方法に寄与する任意数の合わせ目(folds)を含んでいてもよいと考えられる。
【0054】
図8を参照すると、バリア部材50が第1の材料部64a及び第2の材料部64bを備えていてもよく、これらは、当該バリア部材50の第1の部分64a及び第2の部分64bを一体的に付着させる任意の種類の接着剤82又は封止剤により一体的に結合されていてもよい。接着剤82又は封止剤82は、任意数の部分に付着していてもよいと考えられる。接着剤82は、内部環境26と外部環境24との間で袖部28及び/又はカフ部38の内空部内にシールを規定するのに適した如何なる様態で適用されるようになっていてもよい。例えば、第1及び第2の部分64a、64bが相互に貼り付いて内空部36を封止するように、バリアの第1及び/又は第2の部分64a、64bの一部又は層に沿って接着剤被膜(接着剤コーティング)又は接着剤膜(接着剤フィルム)が適用されるようになっていてもよい。袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44を覆うようなグローブ46の着用の後、個人は、バリア部材50の部分を分離してバリア部材50を破壊又は封止解除することにより、バリア部材50を閉塞構成52から開放構成54へと移行させて、個人の手がバリア部材50を越えて及び/又は通って伸び得るようにしてもよい。このような構成において、個人が力を印加することでバリア部材50を破壊又は封止解除するようにしてもよい。また、図面には示していないものの、接着剤の使用により、カフ部38及び/又は袖部28により規定された内空部の内面58の両側を取り外し可能に結合するようにしてもよいと考えられる。例えば、袖部28により規定された内空部の内面58に接着剤を適用した後、袖部をつまんで、袖部28により規定された内空部内にバリアを規定することによって、グローブ46が開口34、44に装着される前に、手術用衣類20を着用している個人が袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44を通じて手を伸ばすことを選択的に防止してもよい。
【0055】
図9を参照すると、更に別の構成において、バリア部材50は、縫合(スティッチング)84によって一体的に結合された第1の材料部64a及び第2の材料部64bを備えていてもよい。より具体的に、第1の部分64a及び第2の部分64bは、縫い目(スティッチ)又は糸によって一体的に結合されていてもよい。縫合又は糸84は、手術用衣類20を着用している個人が、バリア部材50を越えて及び/又は通って手を伸ばす準備が整った場合に、縫い目の除去及び/又は糸の破壊が可能となるように構成されるものとする。袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44を覆うようなグローブ46の着用の後、個人は、バリア部材50の部分の分離によってバリア部材50を解くことにより、バリア部材50を閉塞構成52から開放構成54へと移行させて、個人の手がバリア部材50を越えて及び/又は通って伸び得るようにしてもよい。材料の巻き付け(coiling)、捩り(twisting)、編み上げ(braiding)、織り込み(weaving)、又は編み込み(knitting)を含む1つ又は複数の工程によって、任意数の部分が一体的に結合されるようになっていてもよいと考えられる。
【0056】
上述の構成の他、締結具68及び/又は封止部材(シール部材)を具備するバリア部材50は、ジッパー、スナップ、面ファスナ、ミシン目、接着剤、縫合、及び脆弱接続部のうちの少なくとも1つを具備していてもよいと考えられる。上述の構成の他の変形例及び/又は組み合わせも考えられる。上述の通り、締結具及び/又は封止部材は、閉塞構成の場合に不透過性及び/又は半不透過性のバリアを規定するためにバリア部材50に配置されていてもよい。封止部材は、無限に小さな粒子に対して不透過となって、閉塞構成の場合に大略密閉のシールを構成するように、バリア部材50の部分間のシールを規定していてもよい。あるいは、封止部材は、バリア部材50の部分間に形成されたシールが半不透過性となるように構成されていてもよい。例えば、空気が封止部材及び/又はバリア部材50を通過するようになっていてもよいが、封止部材は依然として、閉塞構成の場合に、着用者の手等の大きな要素及び/又は物体に対して不透過である。いずれの場合も、封止部材は、着用者による操作によって、閉塞又は封止構成から、着用者の手がバリア部材50を通過し得る開放構成へと移行するようになっていてもよい。
【0057】
更に、いくつかの構成においては、袖部28が移行可能であってもよい。より具体的に、袖部28は、閉塞構成52と開放構成54との間で移行可能であってもよい。袖部28は、バリア部材50と考えられてもよい。このような構成において、袖部28は、上述の特徴を含む如何なる種類の締結具68及び/又は封止部材を具備していてもよい。他の構成においては、袖部28がバリア部材50と考えられない。例えば、袖部28が第1の部分及び第2の部分を含み、バリア部材50が第1及び第2の部分に結合されて、バリアを規定するように構成されていてもよい。
【0058】
更に、バリア部材50を操作する開示の方法と併せて、手術用衣類20の上述の構成のいずれかを使用することにより、個人は、別の人の助けを限定的に借りるか、又は、まったく借りずに、グローブ46が袖部28及び/又はカフ部分38により規定された開口34、44に装着される前に個人の手が内部環境26から出ることなく、手術用ガウン20を着用することができる。更に、バリア部材50の構成に応じて、バリア部材50は、閉塞構成の場合の着用者側と外部環境との間の二次汚染を防止するようにしてもよい。
【0059】
使用時、手術用衣類20は、無菌パッケージを起点とする。その後、アシスタント又は着用者が無菌パッケージを開けて、手術用衣類20を着用してもよい。こうして、着用手順が開始となる。手術用衣類20が着用者により着用されると、着用者又は個人は、袖部28の近位袖部開口を通じて手及び/又は腕を内空部36に挿入し、内空部36内に手及び/又は腕を伸ばす。ただし、個人が遠位袖部開口34を通じて手を伸ばす前に、グローブ装着手順を完了して、手術用衣類20の内部環境26と外部環境24との間の汚染を防止する必要がある。より具体的には、袖部28を通じて、手術用衣類20の内部環境26と外部環境24との間で流体が交換されないようにする。
【0060】
グローブ装着手順を完了するため、グローブ開口48が袖部28及び/又はカフ部38の一部に重なって、グローブ46と袖部28との間に連続的な無菌バリアを提供する。いくつかの構成においては、グローブ46の外面60を袖部28の外面60と同一平面(面一)にして、連続的な無菌バリアを提供してもよい。一方、グローブ46の外面60が袖部28の外面60と同一平面ではないものの、連続的な無菌バリアを依然として提供するように、グローブ46、より具体的には、グローブ開口48が袖部28の外面60に重なっていてもよい。グローブ46は、袖部28の遠位端32の開口を覆い、袖部28の外面60上に少なくとも部分的に置かれて、内空部36と外部環境24との間に袖部28で無菌バリアを形成するように構成される。
【0061】
グローブ装着手順が完了したら、個人は、手でバリア部材50に接触して、バリア部材50を操作することにより、手及び/又は腕がバリア部材50を迂回できるようにする。バリア部材50の操作としては、手及び/又は腕が、バリア部材50を迂回すること、バリア部材50を通って延伸すること、及び/又はバリア部材50を越えて延伸することによって、カフ部38により規定された開口から出ることを可能にするため、内空部36での袖部28の内面58からのバリア部材50の少なくとも一部の分離、引き裂き、取り外し、又は解除が挙げられるが、これらに限定されない。その後、個人は、無菌バリアを維持しつつ、手及び/又は腕をグローブ46中に伸ばすようにしてもよい。これにより、袖部28及びグローブ装着手順に関しては、着用手順が完了となり得る。
【0062】
図10を参照して、この図は、手術用衣類20の袖部28の例示的な一構成の部分分解図である。上述の手術用衣類20と同様に、袖部28の遠位端32が開口34を規定する。適正な無菌レベルを維持しつつ手術用衣類20を着用する適正なステップを完了する前に、着用者が不注意で開口34に手を挿通することを防止するため、バリア部材50が開口34内に配設されていてもよい。また、バリア部材50は、開口34の上方、開口34の周り、開口の周囲等に配設されるものと考慮及び/又は規定されていてもよい。バリア部材50は、袖部に対する縫製(sew)、縫合(stitch)、接着、溶接、又は類似の締結がなされていてもよい。例えば、図10に示す手術用衣類20の構成においては、バリア部材50の外周縁が袖部28の遠位端32に対して縫製又は縫合されていてもよい。バリア部材50を袖部28に縫い付けるため、外周縁が遠位端32及び/又は開口34に近接して、袖部の内面又は外面60に隣接して配置されるようになっていてもよく、また、袖部28及びバリア部材50が一体的に縫い付けられるようになっていてもよい。
【0063】
図10に示すように、バリア部材50は、着用者による破壊が可能と考えられる任意数のミシン目70又は脆弱接続部を含む1つ又は複数の材料部64a、64b、64c、64dを具備していてもよい。例えば、バリア部材50は、当該バリア部材50の全体に延びて当該バリア部材を第1の部分64a、第2の部分64b、第3の部分64c、及び第4の部分64dに分離する1つ又は複数のミシン目70を含んでいてもよい。バリア部材50は、単一の材料片により形成されていてもよく、バリア部材50へのミシン目の付加及び/又は切り込みによって、バリア部材50が必要に応じて着用者の手により破壊され得るようになっていてもよい。ミシン目70は、袖部28又はカフ部38により規定された開口34の全長の一部にわたって延びるように構成されていてもよいし、全長に及ぶように構成されていてもよい。図10に示すように、バリア部材50の4つの部分64a、64b、64c、64dがミシン目70によって区画(線引き)されている。ミシン目70は、任意の方向に延びること及び/又は任意の方向に配向することが可能と考えられる。更に、バリア部材50は、任意数の部分及び/又はミシン目で構成されていてもよいと考えられる。
【0064】
また、上述の通り、図10に示すように、手術用衣類20は、カフ部38を備えていてもよい。カフ部38は、袖部28の遠位端32に配設されていてもよい。カフ部38は、遠位袖部開口34への結合及び/又は遠位袖部開口34の少なくとも部分的な囲繞がなされていてもよい。カフ部38は、バリア部材50及び/又は袖部開口34の周り及び/又は上方に配設されるように構成されていてもよい。カフ部は、縫製、縫合、接着剤、又は類似の締結具によって、バリア部材50及び/又は袖部開口34の一方又は両方に結合されていてもよい。例えば、カフ部38は、袖部28の遠位端32及び/又は開口34に隣接するように位置決めされ、袖部28及び/又はバリア部材50に縫い付けられていてもよい。
【0065】
図11A図11Cを参照して、これらの図は、上述の手術用衣類20のいくつかの付加的かつ任意選択的な特徴を強調しつつ、手術用衣類20の例示的な一構成を追加で示している。図11A図11Cに示すように、手術用衣類20は、フード12及び衣類本体22を含むトーガとして構成されていてもよい。また、フード12をフード部22と称し、衣類本体22を手術用衣類20の本体部22と称する場合もある。
【0066】
フード12及び衣類本体22はいずれも、水、ごみ、及び他の汚染物質をはじくこと及び/又は吸収することに役立つように、任意好適な手術用布14又は布の組み合わせにより形成されていてもよい。手術用布14は、複数の層を具備していてもよい。このような1つの層は、微生物バリアを依然として維持しつつガスを布に通過させ得る微多孔膜であってもよい。
【0067】
更に、手術用衣類20は、相互に結合された複数の異なる布で構成されることにより、バリアを規定していてもよいと考えられる。例えば、フード12は、バリア手術用布14及びフィルタ布16により構成されていてもよい。フィルタ布16は、上述のバリア手術用布14よりも透過性ひいては通気性が高くてもよい。フィルタ布16は、着用者の頭部の上方又は着用者の頭部の頭頂近く等、微生物粒子がバリアを通過するリスクが低いエリアに位置付けられ、バリアを通る空気の循環に役立つように構成されていてもよい。バリア手術用布14は、接着剤、縫製、溶接、又はこれらの組み合わせ等、任意好適な手段によってフィルタ布16に取り付けられていてもよい。
【0068】
衣類本体22は、前部23(前面パネル(フロントパネル)とも称する)と、一対の対向側部25(側面パネル(サイドパネル)とも称する)と、対向側部25によって前部23に結合された後部27(後面パネル(リヤパネル)とも称する)と、を備えていてもよい。後部27は、左右対向部27A、27B(後面フラップ(リヤフラップ)とも称する)を備えていてもよく、これらは、衣類本体22の後部27において規定されて当該左右対向部27A、27Bを分離するスリット29、切り込み、スロット、割れ目、又は類似の開口により形成されている。この後部27のスリット29は、手術用衣類20の着用を容易化するために開口を後部に規定するように構成されていてもよく、それにより、衣類本体22の後部27がスリットを介して開放されて、その結果、ユーザは、着用者の周りに衣類本体22を位置決めすることができる。更に、後面パネル27の左右部27A、27Bは、上縁23A、23Bを更に備えていてもよいと考えられる。上縁23A、23Bは、袖部28及び/又は前部23から延び、衣類本体22から自由な状態あるいは分離した状態(衣類本体22と結合していない状態)となるように構成されていてもよい。
【0069】
フード12は、前部13A及び反対の後部13Bを含んでいてもよい。前部は、開口と、開口内に配設されたシールド18と、を規定することにより、着用者の上方への配設(着用者を覆うような配設)及び/又は手術用ヘルメット2への結合がなされた場合に、シールドが着用者の顔面の前方に配設されるようになっていてもよい。図11A図11Cに示すように、手術用衣類20がトーガ又は手術用ガウンとして構成されている場合、フード12の前部13Aは、衣類本体22に結合されていてもよく、より具体的には、衣類本体22の前部23に結合されていてもよい。
【0070】
フード12の後部13Bは、フード12の底部から延びたフラップ15を更に備えていてもよい。フラップ15は、衣類本体22からの取り外し及び/又は分離がなされるようになっていてもよく、より具体的には、衣類本体22の後部27A、27Bから取り外されるようになっていてもよい。後部13B及び/又はフラップ15が衣類本体22の後部27A、27Bから大略取り外されることにより、手術用衣類20の着用手順が改善され得る。例えば、以下により詳しく説明する通り、フード12及び衣類本体22を含む手術用衣類20を着用する場合、後部13B及び/又はフラップ15が衣類本体22から取り外されると、着用者の頭部及び/又は手術用ヘルメット2の上方でのフード12ひいては手術用衣類20の位置決めのためのフード12の操作性が向上して都合が良い。フラップ15及び後部27A、27Bは、フラップ15が後部27A、27Bの下側、より一般的には、衣類本体22の下側に押し込まれ得るように構成されていてもよい。これにより、フラップ15の少なくとも一部が衣類本体22(すなわち、後部27A、27B)及び着用者に重なる可能性及び/又は衣類本体22(すなわち、後部27A、27B)と着用者との間に配設される可能性がある。フラップ15と衣類本体22(すなわち、後部27A、27B)との重なり(オーバーラップ)は、着用者と外部/手術環境との間の無菌バリアの維持の補助となり得る。
【0071】
手術用衣類20は任意選択として、当該手術用衣類20を着用者に固定するための締結具31を更に具備していてもよい。締結具31Aは、衣類本体22に結合された1つ又は複数の紐で構成されていてもよく、当該紐は、結び合わせ及び/又は個人への巻き付けによって手術用衣類を着用者に固定するように構成されていてもよい。また、締結具は、左右対向部27A、27Bを相互に接続してスリット29を閉じ、手術用衣類を着用者に固定するためのジッパー31B、面ファスナ、スナップ、ボタンと開口部、又は類似の締結具を含んでいてもよい。更に、フード12から延びたフラップ15及び左右対向部27A、27Bが締結具31Cを更に備えていてもよいと考えられる。例えば、左右対向部27A、27B及びフード12のフラップ15がそれぞれ、フード12のフラップ15を左右各部27A、27Bの各々に対して取り外し可能に結合するように構成された締結具31Cを備えていてもよい。締結具31Cは、フラップ15の外面上及び左右各部27A、27Bの各々の内面上に配設されていてもよい。締結具31Cは、スナップ、面ファスナ、ボタンと開口、磁石、又は類似の締結機構のうちの1つを含んでいてもよい。例示的な締結具及び/又は手術用衣類を着用者に固定する手段については、米国特許出願公開第2021/0204621号及び関連する国際特許公開WO2019/226810号により詳しく記載されており、両者の全ての内容を本明細書に援用する。
【0072】
図12A図12Gを参照して、これらは、手術用ヘルメット2を含む手術用アパレルアセンブリ10又は手術用衣類20を着用する方法の様々なステップである。手術用衣類20は、上述の手術用衣類20の特徴の如何なる組み合わせを含んでいてもよいことが示されている。図12Aを参照して、手術用衣類20は、パッケージから取り出された後、当該手術用衣類20、より具体的には、衣類本体22の開放及び/又は展開によって着用者が着用(すなわち、装着)可能となるように持ち上げられるようになっていてもよい。
【0073】
図12Bを参照して、手術用衣類20を着用する方法は、上述の手術用衣類20の取り付け要素30及び手術用ヘルメット2の結合部材8により手術用衣類20が手術用ヘルメット2に対して取り外し可能に結合され得るように、手術用衣類20の操作及び/又は手術用ヘルメット2に対するフード12/透明フェイスシールド18の位置決めを行うステップを更に含んでいてもよい。例えば、図12Bに示すように、透明フェイスシールド18は、複数の取り付け要素30A、30Bを備えていてもよく、また、透明フェイスシールド18は、複数の取り付け要素30A、30Bを手術用ヘルメット2の対応する結合部材8A、8Bに対して取り外し可能に結合するように、手術用ヘルメット2に対して位置決めされるようになっていてもよい。取り付け要素30が強磁性材料又は磁性材料の一方で構成され、結合部材8が磁性材料又は強磁性材料の他方で構成されることにより、これらの一対が相互に隣り合って配設された場合に磁気連結を構成して、手術用ヘルメット2を手術用衣類20に対して取り外し可能に結合するようにしてもよい。
【0074】
図12Cを参照して、手術用衣類20を着用する方法は、手術用衣類20のフード12を操作して、着用者の頭部及び/又は手術用ヘルメット2の上方にフードを位置決めするステップを更に含んでいてもよい。フード12の後部13B及び/又はフラップ15が衣類本体22から取り外された手術用衣類20を使用することにより、着用者の頭部及び/又は手術用ヘルメット2の上方への位置決めに際して、フード12の移動の柔軟性及び/又は範囲が向上し得る。これは、手術用衣類20の一部が手術用ヘルメット2に結合済みの場合に、特に真実及び/又は有利となり得る。例えば、上述のように取り付け要素30を介して透明フェイスシールド18が手術用ヘルメットに結合されている場合、後部13B及び/又はフラップ15が手術用衣類の本体部22から取り外されていると、着用者の頭部及び手術用ヘルメット2の周りへの位置決めに際して、フード12の移動の範囲が大きくなり得る。
【0075】
図12Dを参照して、手術用衣類20を着用する方法は、手術用衣類の衣類本体22を操作して、着用者の身体の周りに手術用衣類20を位置決めするステップを更に含んでいてもよい。これには、着用者の手及び/又は腕を手術用衣類20の袖部28に挿入することを含んでいてもよい。着用者の手及び/又は腕が袖部28に挿入されるため、袖部28は、適時まで手を当該袖部28に包含しておく上述のバリア部材50を更に備えていてもよい。袖部28にバリア部材50を含む手術用衣類20の構成においては、バリア部材50の破壊及び/又は手術用衣類の着用のステップ及び方法が上記と同様に実施されるようになっていてもよい。
【0076】
図12Eを参照して、手術用衣類20を着用する方法は、グローブを着用するステップを更に含んでいてもよい。このステップは、バリア部材50の説明に関して上述したのと同様に実行されるようになっていてもよい。例えば、バリア部材が未損傷の間に、袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44にグローブが装着されるようになっていてもよい。袖部28及び/又はカフ部38により規定された開口34、44を覆うようなグローブ46の着用の後、個人は、ミシン目70に沿ってバリア部材50の引き裂き又は分離を行うことにより、バリア部材50を閉塞構成から開放構成へと移行させて、個人の手がバリア部材50を越えて及び/又は通って伸び得るようにしてもよい。
【0077】
図12Fを参照して、手術用衣類20を着用する方法は、手術用衣類20の閉塞及び/又は着用者への固定のステップを更に含んでいてもよい。例えば、図12Fに示すように、手術用衣類20は、衣類本体の対向後部(両側後部)27A、27Bを分離するスリット29を閉じるためのジッパー31Bを備えていてもよい。図12Fに示すように、衣類を閉じるためのジッパー31Bは、フード12から衣類本体22を下方に延びている。ただし、手術用衣類20は、図11A図11Cに示すように、後部13B及び/又はフラップ15が当該手術用衣類20の衣類本体22から取り外された構成であってもよいと考えられる。この構成においては、フード12がスリット19及び/又は締結具31を含まず、ジッパー31B等の締結具31は、衣類本体22の対向後部27A、27Bの接続のため、衣類本体にのみ配設されることになる。
【0078】
図12Gを参照して、手術用衣類20を着用する方法は、手術用衣類20の閉塞及び/又は着用者への固定のステップを更に含んでいてもよい。例えば、図12Gに示すように、手術用衣類20は、衣類本体22の対向後部(両側後部)27A、27Bを分離するスリット29を閉じるための1つ又は複数の紐31Aを備えていてもよい。一対の紐は、衣類本体22の対向後部27A、27Bを分離するスリット29の両側で衣類本体22に結合され、結び合わせによって、衣類本体22の対向後部27A、27B間の間隙を閉じるように構成されていてもよい。あるいは、手術用衣類20の着用者の全周に巻き付けられるように構成された単一の紐31Aのみが存在していてもよく、紐31Aがそれ自体に結び付けられるか、又は、紐31Aを固定するための付加的な締結機構を具備していてもよいと考えられる。例えば、紐31Aは、衣類本体22上の対応する面ファスナに固定可能な面ファスナを具備していてもよい。
【0079】
図13及び図14を再び参照して、これらの図は、手術用衣類120を含む手術用アパレルシステム110の例示的な一構成を示している。手術用アパレルシステム110は、フード112として構成された手術用衣類120及び手術用ヘルメット102を具備していてもよい。手術用衣類120は、医療用衣類とも称するが、手術用ヘルメット102の上方に配置されるフード又はトーガとして構成されていてもよい。図13に示すように、フード12又はトーガは、手術用ヘルメット102の上方の位置決めされ、手術用ヘルメット102を取り囲むと共に、これに対応して、手術用アパレルシステム110を着用している人の頭部を取り囲むことにより、着用者の顔面及び頭部の後部を覆うように構成されていてもよい。あるいは、手術用衣類120がトーガとして構成されているなら、トーガが手術用ヘルメット102の上方に位置決めされ、手術用ヘルメット102を取り囲むと共に、これに対応して、手術用衣類120を着用している人の頭部、腕、肩、及び胴体を取り囲むように構成されていてもよい。手術用衣類120を手術用ヘルメット102の上方に配置するため、手術用衣類120のフード12は通常、フェイスシールド118が手術用ヘルメット102に対して位置合わせ及び固定された状態で裏返されることになる。フェイスシールド118が手術用ヘルメット102に対して位置決めされたら、通常は、フード112のその他の部分が着用者の頭部の上方に引っ張られて、手術用ヘルメット102の露出した構成要素及び着用者の頭部を覆うことになる。
【0080】
手術用衣類120及び/又はフード112は、着用者と周囲環境との間に、微生物バリア等のバリアを設けるように構成されている。手術用衣類120により形成されたバリアは、着用者及び患者の両者に利益となり得る。手術用衣類120により設けられるバリアは、外科手術の最中に生成され得る患者からの流体又は固体の物質粒子に着用者が接触する可能性を実質的に取り除き得る。バリアは実質的に、外科手術に際して、着用者により放出された如何なる異物をも患者へと移動しないようにすることができる。
【0081】
図13及び図14を参照して、手術用衣類120は、手術用ヘルメット102と着用者の頭部の少なくとも一部とを覆うように構成された手術用布(シェルとも称し得る)114を具備していてもよい。手術用衣類120は、図13及び図14に示すように、フードとして構成されていてもよい。フードは、着用者が着用した場合に、頭部を覆うと共に、首の下方にわずかな距離しか延びないと考えられる手術用衣類120を表すことが了解される。ただし、手術用衣類120は更に、トーガ、シャツ、又はジャケットとして構成されていてもよいと考えられる。トーガ120は、着用者が着用した場合に、フードと同様に頭部を覆うと共に、少なくとも腰まで延びる手術用衣類120を表すことが了解される。
【0082】
手術用衣類120は、水、ごみ、及び他の汚染物質をはじくこと及び/又は吸収することに役立つように、任意好適な手術用布114又は布の組み合わせにより製造されていてもよい。手術用布114は、複数の層を具備していてもよい。このような1つの層は、微生物バリアを依然として維持しつつガスを布に通過させ得る微多孔膜であってもよい。
【0083】
更に、手術用衣類120は、相互に結合された複数の異なる布で構成されることにより、バリアを規定していてもよいと考えられる。例えば、手術用衣類120は主として、バリア手術用布114及びフィルタ布116により構成されていてもよい。フィルタ布116は、上述のバリア手術用布114よりも透過性ひいては通気性が高くてもよい。フィルタ布116は、着用者の頭部の上方又は着用者の頭部の頭頂近く等、微生物粒子がバリアを通過するリスクが低いエリアに位置付けられ、バリアを通る空気の循環に役立つように構成されていてもよい。バリア手術用布114は、接着剤、縫製、溶接、又はこれらの組み合わせ等、任意好適な手段によってフィルタ布116に取り付けられていてもよい。
【0084】
図13及び図14に示すように、手術用衣類120は、フェイスシールド118を更に備えていてもよい。手術用衣類120のフェイスシールド118の部分によれば、着用者は、手術用衣類120が与えるバリアを透かして見ることができる。フェイスシールド118は、大略シート状構造であり、厚さが約1mm以下であってもよい。フェイスシールド118は、手術用衣類120の手術用布114に形成された開口又は切り抜き部に組み付け及び/又は取り付けがなされていてもよい。手術用布114における開口の縁部は、縫製、スナップ、面ファスナ、接着剤、溶接、又はこれらの組み合わせによって、フェイスシールド118に取り付けられていてもよい。例えば、手術用布114は、フェイスシールド118の縁部からある距離でフェイスシールド118に取り付けられていてもよく、手術用布114がフェイスシールド118に取り付けられる場所は、封止外周部(sealing perimeter)138と称する場合もある。フェイスシールド118は、ポリカーボネート等の透明材料により構成されていてもよい。このような1つのポリカーボネートは、Sabicにより商標LEXAN(商標)として販売されている。また、手術用衣類120のフェイスシールド118は、明るい光に対する高曝露から着用者の眼を保護するように色付けされていてもよい。更に、フェイスシールド118は、後述の通り、湾曲して様々な頭部サイズに対応し得るように、可撓性であってもよい。
【0085】
また、手術用衣類120は、その周りに位置決めされた1つ又は複数の取り付け要素130を具備していてもよい。取り付け要素130は、衣類ファスナ又は第2の部材と称する場合もある。取り付け要素130は、手術用衣類120を手術用ヘルメット102に対して解除可能に固定するように構成されている。取り付け要素130は、任意好適な形態であってもよく、また、金属タック、リベット、ボタン、磁石、面ファスナ、スナップ、又は同様の種類の締結具を単独又は組み合わせにて含んでいてもよい。図13に示すように、取り付け要素130は、フェイスシールド118の着用者側から内方に延びるように、手術用衣類120のフェイスシールド118に組み付けられていてもよい。より具体的に、取り付け要素130は、フェイスシールド118の外周部内でフェイスシールド118に配設されていてもよい。また、図面には示していないものの、取り付け要素130は、バリア手術用布114及び/又はフィルタ布116への組み付けを含めて、手術用衣類120周りのその他任意の位置又は場所に位置決めされていてもよいと考えられる。取り付け要素130は、接着剤、リベット、スナップ、同様の組み付け機器、又はこれらの組み合わせによって、フェイスシールド118及び/又は布114、116に組み付けられていてもよい。
【0086】
手術用ヘルメット102は、着用者の頭部の上方に位置決めされたハウジング104を更に具備する。ハウジング104は、シェルとも称されてもよい。ハウジング104は、手術用アパレルシステム110を着用している個人の頭部に適合するように、弓形状に構成されていてもよい。ヘルメット102の他の設計も考えられる。空隙又は開放内部空間を規定するように、ハウジング104の多くの部分が形成されていてもよい。例えば、ハウジング104は、中央空間を備えていてもよい。中央空間は、ハウジング104の後部に向かって位置付けられていてもよい。ハウジング104の頂部には、中央空間へのアクセスを可能にする取り込み開口(吸気開口)又は開口部が存在していてもよい。また、ハウジング104は、中央空間に相互接続され得る内部のダクト状の構造又は通路を形成するように構成されていてもよい。
【0087】
手術用ヘルメット102は、シェル104に結合されて着用者の顔面の前方に位置決めされるフェイスフレーム122を具備していてもよい。フェイスフレーム122は、頂部ビーム106及び下顎バー124、126を含んでいてもよい。頂部ビーム106は、手術用ヘルメット102の前部に結合されていてもよく、下顎バー124、126は、頂部ビーム106から下方に延びていてもよい。下顎バー124、126は、頂部ビーム106から離れるように延びた一対のポスト124を備えていてもよい。一対のポスト124は、頂部ビーム106に結合されていてもよく、この頂部ビーム106は、手術用ヘルメット102の前部を横切って延びるように構成されていてもよい。例えば、図13に示すように、ポスト124は、頂部ビーム106の両端に接続されていてもよい。下顎バー124、126は、大略可撓性又は柔軟性の材料により構成されていてもよい。
【0088】
下顎バー124、126は、ポスト124の対向する自由端の間で延伸可能な底部ビーム126を更に備えていてもよい。下顎バー124、126は、手術用ヘルメット102を着用している人の顎の下方でわずか前方に底部ビーム126が位置付けられるように形成される。底部ビーム126は、ポスト124の自由端から外方に曲げられていてもよい。下顎バー124、126は、手術用ヘルメット102が着用者の頭部に固定された場合に着用者の顔面の前方に位置決めされ、顔面を大略囲むように、頂部ビーム106から外方に延びていてもよい。頂部ビーム106、ポスト124、及び底部ビーム126は、手術用ヘルメットが着用者の頭部上に位置決めされた場合に着用者の顔面の前方に位置決めされた開口を大略規定することから、頂部ビーム106、ポスト124、及び底部ビーム126の組み合わせをフェイスフレーム122と総称する場合がある。
【0089】
複数の結合部材108がフェイスフレーム122に組み付けられていてもよいし、フェイスフレーム122上に配設されていてもよい。結合部材108は、磁性材料を含み、手術用ヘルメット102に対する手術用衣類120のフェイスシールド118の位置合わせ及び/又は取り付けを行うように構成されている。各結合部材108は、対向するポスト124及び/又は底部ビーム124の隣接両端部に近接して、フェイスフレーム122上に位置決めされていてもよい。あるいは、手術用ヘルメット102の結合部材108は、任意好適な方法での配置あるいは構成によって、手術用衣類120の相補的取り付け要素30と協働することにより、手術用衣類120を手術用ヘルメット102に対して解除可能に固定することも可能である。例えば、図13に示すように、各ポスト124が下部ビーム126につながる場所に近接する下部ビーム126の両端部においてフェイスフレーム122上に結合部材108が位置決めされるようになっていてもよい。また、結合部材108は、フェイスフレーム122の上部ビーム106上に配設されていてもよい。手術用ヘルメット102及び/又はフェイスフレーム122は、任意数の結合部材108を有するように構成されていてもよい。例えば、手術用ヘルメット102は、2つの結合部材108を利用するようにしてもよい。あるいは、手術用ヘルメット102は、フェイスフレーム122が単一の結合部材108を備えるか、又は他の構成において、下顎バー124、126及び/若しくは頂部ビーム106の周りで3つ以上の結合部材108が離間し得るように構成されていてもよいと考えられる。面ファスナ、スナップ、強磁性材料を含む結合部材、又は同様の種類の締結具等、磁性材料を含むものの代替及び/又は追加として、他種の結合部材108が用いられるようになっていてもよいと考えられる。他の構成も考えられる。
【0090】
図15A図19Dを参照して、これらは、上述の手術用衣類120のフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの様々な構成を示している。フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの各構成は一般的に、外周縁136を含むと共に、外周縁136からある距離だけ内方に離間した封止外周部138を規定していてもよい。封止外周部138は、手術用布114をフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eに結合可能な場所を特定する(識別する)。また、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの各構成には、上述の通り、手術用衣類120を手術用ヘルメット102に対して取り外し可能に固定するための1つ又は複数の取り付け要素130を含んでいてもよい。フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの各構成には、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの上部146上に配設された少なくとも1つの上側取り付け要素130Aと、フェイスシールドの下部148上に配設された少なくとも1つの下側取り付け要素130B、130Cと、を含んでいてもよい。フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの上下部146、148は、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの長さ全体にわたって長手方向に延びた仮想線150により規定されていてもよい。手術用衣類を手術用ヘルメットに結合するための例示的な取り付け要素130については、米国特許第10,750,800号及び関連する国際特許公開WO2019/147923号により詳しく記載されており、両者の全ての内容を本明細書に援用する。
【0091】
また、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eは、当該フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの外周縁136に凹部140又は窪みを規定する。凹部140は、手術用布114の組み付け中のフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの適正な配向に利用され得る。あるいは、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eは、当該フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの製造において利用され得る。例えば、凹部140は、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの下部に対するフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの上部の識別、及び/又は、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの左部に対するフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの右部の識別に利用され得る。フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの製造時及び/又は組み立て時のフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの適正な配向は、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの表面に対する1つ又は複数の取り付け要素130の適当な位置及び適当な方向での正しい設置の補助となり得る。
【0092】
また、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eは、当該フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eに開口を規定する境界切り込み(bounded cut)144を更に備えていてもよい。境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eは、対向終端部(両側終端部)144A、144B、144C、144D、144E間でフェイスシールド118Aを横切るようにある距離又は長さだけ延びた切り込みとして構成されていてもよい。境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eは、一般的な幅又は厚さがD1である開口をフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eに規定していてもよい。境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eの幅又は厚さは、以下により詳しく説明する通り、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの湾曲又は屈曲時の応力及び/又はひずみを緩和する任意の寸法であってもよい。
【0093】
境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eは、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの外周縁136とフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの封止外周部との間でフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eに位置決めされていてもよい。また、境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eは、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの封止外周部と取り付け要素130との間に位置付けられるように、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eに位置決めされていてもよい。例えば、図15A図19Dに示すように、境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eは、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの上部146上に配設された取り付け要素130Aを封止外周部138から分離するように、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの封止外周部と取り付け要素130との間に位置付けられている。更に、境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eは、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの下部148上の1つ又は複数の下側取り付け要素130B、130Cから上側取り付け要素130Aを分離するように、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eに位置決めされていてもよいと考えられる。フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの上下部146、148は、仮想線150により規定されている。例えば、図15A図19Dに示すように、境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eは、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの上側取り付け要素130と一対の下側取り付け要素130との間に位置付けられている。使用時、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの取り付け要素130と封止外周部138との間、及び/又は、上側取り付け要素130と一対の下側取り付け要素130との間に境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eを配置することによって、フェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの手術用ヘルメット102への取り付けのための湾曲又は屈曲時のフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの表面全体の応力及び/又はひずみが緩和され得る。
【0094】
図15A図19Dに示すフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの構成においては、単一の境界切り込み142A、142B、142C、142D、142Eしか示していないが、フェイスシールド118は、2つ以上の境界切り込み142を含んでいてもよいと考えられる。任意の付加的な境界切り込み142は、手術用衣類12の無菌状態を維持すると共に、手術用布114により覆われていないためにごみ等の物体が手術用衣類120を通過する可能性もある露出開口をフェイスシールド118に形成しないように、フェイスシールド118の外周縁136と封止外周部138との間でフェイスシールド118に位置付けられるものとする。更に、境界切り込み142がフェイスシールド118の湾曲又は屈曲時の応力及び/又はひずみを緩和するように、上側及び下側取り付け要素130に対して、並びに/又は、左側及び右側取り付け要素130に対して、任意の付加的な境界切り込み142がフェイスシールド118に位置決めされていてもよい。
【0095】
図15A図19Dを参照して、これらは、フェイスシールド118Aにおける境界切り込み142Aの第1の構成である。この境界切り込み142Aの構成において、境界切り込み142Aは、図15A及び図15Bに示すように、フェイスシールド118Aが平坦な状態又は構成にて配向した場合に、当該境界切り込み142Aの終端部144A間で当該境界切り込み142Aの長さ全体にわたって大略一定の幅D1を有する。図15Bを参照して、境界切り込み142Aは、大略正方形で均一な終端部144Aを備える。上述の通り、フェイスシールド118Aは、手術用ヘルメット102に結合された場合、湾曲プロファイルを有する湾曲又は屈曲状態となる。図15C及び図15Dは、フェイスシールド118Aの湾曲及び/又は手術用ヘルメット102への結合時に境界切り込み142Aがどのように操作され得るかを示している。フェイスシールドが平坦状態から湾曲状態に操作されると、境界切り込み142A及び取り付け要素130の構成(配置)によって、境界切り込み142Aが元の形状から変化又は変形する可能性がある。例えば、フェイスシールドが湾曲状態となるように操作されると、境界切り込み142Aの形状、幅、及び/又は厚さが変化し得る。図15Dに示すように、境界切り込み142Aは、第3の寸法D3により規定された幅及び/又は厚さを有することが分かる。第3の寸法は、平坦状態の境界切り込み142Aの幅及び/又は厚さを表す第1の寸法D1よりも大きい。図15B及び図15Dを参照して、フェイスシールド118Aが図15Cの湾曲状態となるように操作されると、境界切り込み142Aは、フェイスシールド118Aの上側取り付け要素130Aと一対の下側取り付け要素130B、130Cとの間に位置付けられていることから、フェイスシールド118Aが平坦状態から湾曲状態へと移行する際にフェイスシールド118Aのサイズ及び/又は形状が変化するということが分かる。このように境界切り込み142Aが上側取り付け要素130Aに間をあけて位置付けられた構成により、上側取り付け要素130Aを含むフェイスシールド118Aの部分は、境界切り込み142Aの位置及び形状によってフェイスシールド118Aの形状及び取り付け要素130の配置が制限を受けにくいので、より独立して移動可能となる。このような境界切り込み142A及び取り付け要素130の配置の構成によって、フェイスシールド118Aが湾曲状態の場合の上側取り付け要素に近接するフェイスシールド118Aのひずみが緩和され得る。
【0096】
図15Aに示すように、1つの上側取り付け要素130Aと一対の下側取り付け要素130B、130Cのうちの第1の下側取り付け要素130Cとの間に第1の仮想線152Aが延び、上側取り付け要素と一対の下側取り付け要素のうちの第2の下側取り付け要素130Bとの間に第2の仮想線152Bが延びていてもよい。フェイスシールド118Aが図15Aの平坦状態の場合に、第1の仮想線152A及び/又は第2の仮想線152Bの少なくとも一方が境界切り込み142Aと交差していてもよい。また、第1、第2、及び第3の仮想線152A、152B、152Cが相互に交差して三角形を規定するように、一対の下側取り付け要素130B、130C間に第3の仮想線152Cが延びていてもよい。
【0097】
図16A図16Dを参照して、これらは、境界切り込み142Bの代替構成を示している。図16A図16Dに示す境界切り込み142Bは、上述の境界切り込み142Aの大略全て同じ特徴及び/又は特性を含む。ただし、図16A図16Dの境界切り込み142Bは、終端部144Bの代替構成を含む。図16A図16Bに示すように、境界切り込み142Bは、フェイスシールド118Bが平坦な状態にて配向した場合に、当該境界切り込み142Bの終端部144B間で当該境界切り込み142Bの長さ全体にわたって大略一定の幅D1を有する。境界切り込み142Bの終端部144Bは、螺旋状(渦巻状)又は半円状に構成された第2の境界切り込みを含んでいてもよい。この境界切り込み142Bの終端部144Bの構成によれば、終端部144Bに近接するフェイスシールド118Bの応力及び/又はひずみが更に緩和され得る。例えば、終端部144Bの形状又は構成によれば、フェイスシールド118Bが平坦状態から湾曲状態に及びその逆方向に操作された場合に、終端部144Bにおけるフェイスシールド118Bの亀裂、割裂、破壊、又は類似の損傷が防止され得る。終端部144Bの形状及び/又は構成によれば、手術用ヘルメット102への取り付け及び湾曲状態への移行時に、フェイスシールド118Bが別途屈曲又は湾曲して、異なる曲率が生じ得る。例えば、フェイスシールド118Bが手術用ヘルメット102に結合される場合に、境界切り込み142B及び/又は終端部144Bの構成の利用によって、フェイスシールド118Bの上下両部146、148全体にわたるシールドの均一な曲率プロファイルの生成等、フェイスシールド118Bの異なる曲率プロファイルが生じ得る。このことは、図15A図19Dに示すフェイスシールド118A、118B、118C、118D、118Eの境界切り込み142A、142B、142C、142D、142E及び/又は終端部144A、144B、144C、144D、144Eの様々な各構成に当てはまり得る。
【0098】
図17A図17Dを参照して、これらは、境界切り込み142Cの代替構成を示している。境界切り込み142Cは、大略円形状プロファイルの終端部144Cを備えていてもよい。終端部144Cは、境界切り込み142Cの一般的な幅又は厚さの第1の寸法D1よりも大きな第2の寸法D2を有する開口を規定していてもよい。
【0099】
図18A図18Dを参照して、これらは、境界切り込み142Dの代替構成を示している。境界切り込み142Dは、大略矩形状プロファイルの終端部144Dを備えていてもよい。終端部144Dは、矩形状終端部の配向が境界切り込み142Dの長手方向軸と垂直であることに基づいて、T字状とも称し得る。終端部144Dは、境界切り込み142Dの一般的な幅又は厚さの第1の寸法D1よりも大きな第2の寸法D2を有する開口を規定していてもよい。
【0100】
図19A図19Dを参照して、これらは、境界切り込み142Eの代替構成を示している。境界切り込み142Eは、大略三角形状プロファイルの終端部144Eを備えていてもよい。あるいは、終端部144Eは、V字状プロファイルを有するものとも称し得る。終端部144Eは、三角形又はV字の頂点が境界切り込み142Eの端部に位置決めされ、三角形の1つの辺が境界切り込み142Eの長手方向軸と大略垂直となるように配向している。境界切り込み142Eの長手方向軸と大略垂直な三角形の辺は、境界切り込み142Dの一般的な幅又は厚さの第1の寸法D1よりも大きな第2の寸法D2として規定された長さを有していてもよい。
【0101】
図20図25Dを参照して、これらは、手術用衣類20、120を製造する装置200を示している。図20図22を参照して、これらは、プレス機200で構成されたサンプルを示している。プレス機200は、上述の手術用衣類20、120の製造時に一体的にプレスされるように構成された上側プラテン(upper platen)210及び下側プラテン(lower platen)220を具備していてもよい。手術用衣類の製造時には、上側プラテン210及び/又は下側プラテン220の一方又は両方が加熱され、上側プラテン210と下側プラテン220との間でプレスされている手術用衣類20を熱処理するようにしてもよい。
【0102】
図23A図23Cを参照して、これらは、手術用衣類20、120の製造において使用する上側プラテン210の例示的な一構成を示している。上側プラテン210は、上側接触面212を備えていてもよい。上側接触面212は、大略平坦なプロファイルを有し、手術用衣類20、120の手術用布14、114に接触するように構成されていてもよい。上側プラテン210には、上側接触面212内に凹部216が更に規定されていてもよい。
【0103】
また、上側プラテン210は、加熱要素214を備えていてもよい。加熱要素214は、接触面に隣り合って位置決めされ、上側接触面212を加熱するように構成されていてもよい。加熱要素214は、少なくとも150℃、潜在的には250℃(すなわち、約300°F及び482°F)もの高温まで、上側接触面212を加熱するように構成されていてもよい。
【0104】
図24A図24Dを参照して、これらは、手術用衣類20、120の製造において使用する下側プラテン220の例示的な一構成を示している。下側プラテン220は、下側接触面222を備えていてもよい。下側接触面222は、大略平坦なプロファイルを有し、手術用衣類20、120の手術用布14、114に接触するように構成されていてもよい。また、図面には示していないものの、下側接触面222についても、上側プラテン210に関して説明したものと同様に、加熱要素により加熱されるようになっていてもよい。上側プラテン210及び/又は下側プラテン220の一方又は両方が加熱されるようになっていてもよいと考えられる。
【0105】
下側プラテン220は、下側接触面222から延びた突起(突出部)224を更に備えていてもよい。突起224は、上側接触面212内に規定された凹部216に嵌入するように大略成形されていてもよい。作業時、製造プロセスにおいて上側プラテン210及び下側プラテン220が一体的にプレスされると、突起224が凹部216に嵌入するように構成されている。更に、突起224は、手術用衣類20、120において規定された開口17、117によって手術用衣類が突起224の上方に配置され、手術用衣類20、120の手術用布14、114が下側接触面222に隣接し得るように、手術用衣類20、120の手術用布14、114と共に規定された開口17、117に対応及び/又は嵌入するように成形されていてもよい。
【0106】
突起224は、当該突起の上縁周りに面取り面226を更に備える。面取り面226は、手術用布14、114において規定された開口17、117を突起224の上方に位置合わせ及び/又はガイドして、手術用布14、114を下側接触面222に対して据え付けるように構成されていてもよい。
【0107】
図25A図25Dを参照して、これらは、手術用衣類20、120を製造する方法の様々なステップを示している。図25Aは、手術用衣類20、120において規定された開口17、117を下側プラテン220の突起224の上方に配置するステップを示している。作業時、手術用衣類20、120は、下側プラテン220の上方に吊り下げられ、下側プラテン220の突起224が開口17、117に嵌入するように位置決めされていてもよい。その後、手術用衣類20、120が突起224上へと降ろされて、突起224が開口17、117内に配設されると共に、手術用布14、114が下側プラテン220の下側接触面222に隣接するようになっていてもよい。手術用布14、114が下側プラテンの突起上に降ろされた場合、突起224の面取り縁部226は、突起224周りの開口17、117の位置合わせ及び/又は配向を補助し得る。
【0108】
図25Bを参照して、手術用衣類20、120の手術用布14、114が下側接触面222に対して据え付けられると、上側プラテン210の上側接触面212が加熱要素214により加熱されるようになっていてもよい。その後、プレス機200によって上側プラテン210が降ろされることにより、下側プラテン220の突起224が上側プラテン210の凹部216内に据え付けられ、手術用布14、114の一部が上側接触面212と下側接触面222との間で圧縮されるようになっていてもよい。上側接触面212と下側接触面222との間で、約XXポンド/平方インチの力が手術用布14、114に印加される。また、手術用布14、114は、少なくとも上側接触面212によって、少なくとも150℃(すなわち、約°F)の温度まで加熱される。
【0109】
上述の通り、手術用布14、114は、1つ又は複数の層を備え、織物材料により形成されていてもよい。織物材料は、ポリエステル、綿、又はポリエステル-綿混紡であってもよい。また、この材料は、紙、綿、ポリエステル等の繊維又はフィラメント等の不織材料であってもよいと考えられる。図25C及び図25Dを参照して、手術用布は、接着剤13、113によって一体的に結合された複数の層14A、114A、14B、114B、14C、114Cを含む材料により形成されていてもよい。手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cを圧縮して加熱すると、上側プラテン210と下側プラテン220との間で圧縮された手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの複数の層の部分が封止外周部19、119を規定することになる。封止外周部19、119は、より強く一体的な結合及び/又は織り込みがなされた手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの複数の層を含む。例えば、封止外周部19、119を規定する手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの複数の層がX2の厚さを有し、封止外周部19、119の外側の手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの複数の層がX1の厚さを有して、X1の寸法がX2の寸法より大きくてもよい。更に、封止外周部19、119を規定する手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの幅は、少なくとも10ミリメートル(10mm)であってもよい。より具体的に、封止外周部の幅は、少なくとも15ミリメートル(15mm)であってもよい。更に具体的に、封止外周部の幅は、少なくとも20ミリメートル(20mm)であってもよい。
【0110】
手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの複数の層が上側プラテン210と下側プラテン220との間で圧縮及び加熱され、開口17、117を囲む封止外周部19、119が規定された後は、透明フェイスシールド18、118が開口17、117の上方に配設され、手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの封止外周部19、119に結合されるようになっていてもよい。作業時には、透明フェイスシールド18、118又は手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの封止外周部19、119の一方に接着剤21、121が適用(塗布)されるようになっていてもよい。接着剤には、感圧接着剤を含んでいてもよい。更に、透明フェイスシールド18、118又は手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの封止外周部19、119の一方の表面の少なくとも1ミリメートル(1mm)厚の部分を覆うように、接着剤13、113が適用されるようになっていてもよい。より具体的に、接着剤13、113は、透明フェイスシールド18、118又は手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの封止外周部19、119の一方の表面の少なくとも1ミリメートル(1mm)厚の部分を覆うように適用され得る。少なくとも1ミリメートルの厚さで接着剤13、113が適用されることと、少なくとも5ミリメートル幅の封止外周部19、119が一体的にプレスされることと、の組み合わせによって、現行の消毒規格に合格するのに十分な透明フェイスシールド18、118と手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cとの間のシールが生成される利点がもたらされる。
【0111】
透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの封止外周部19、119の一体的な圧縮によって感圧接着剤が活性化され、透明フェイスシールド18、118が手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cに結合されるようになっていてもよい。透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cは、透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの対向面上の2つの平坦プレートを用いて圧縮されるようになっていてもよい。あるいは、透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cは、封止外周部をトレースすると共に透明フェイスシールド18、118を手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cに押し付ける透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cの対向面上のローラーにより圧縮されるようになっていてもよい。透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cは、約5ポンド/平方インチ(5psi)~約100ポンド/平方インチ(100psi)の範囲の力により圧縮されるようになっていてもよい。より具体的に、透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cは、少なくとも30ポンド/平方インチ(30psi)の力により圧縮されるようになっていてもよい。更に具体的に、透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cは、少なくとも50ポンド/平方インチ(50psi)の力により圧縮されるようになっていてもよい。更に具体的に、透明フェイスシールド18、118及び手術用布14A、114A、14B、114B、14C、114Cは、少なくとも70ポンド/平方インチ(70psi)の力により圧縮されるようになっていてもよい。
【0112】
また、手術用衣類20は一般的に、医療処置又は外科手術中に医師と患者との間にバリアを設けることを意図するが、その使用はこれに限定されない。個人と周囲環境との間にバリアを設けるのが望ましい他の試みにおいても衣類を使用可能であることは、本開示の範囲内である。このように衣類を使用するのが望ましいと考えられる代替的な試みとしては、個人が働く環境において、個人と危険物との間にバリアを設けるのが望ましいものが挙げられる。
【0113】
[付加的な構成を対象とする条項]
【0114】
I.個人により着用される手術用衣類であって、
個人の腕を受容する内空部を規定する、遠位端を有する袖部と、
袖部の遠位端に配設され、袖部により規定された内空部を延ばして開口を更に規定するカフ部と、
開口に近接して内空部内に配設され、個人の腕の手がカフ部により規定された開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成されたバリア部材と、
を備えた、手術用衣類。
【0115】
I-a.バリア部材が、袖部の遠位端及びカフ部の近位端の交点において内空部内に位置決めされた、条項Iに記載の手術用衣類。
I-b.バリア部材が、カフ部により規定された開口内に位置決めされ、外部環境から、カフ部及び袖部により規定された内空部を少なくとも部分的に包囲する、条項Iに記載の手術用衣類。
I-c.バリア部材が、閉塞構成から開放構成へと移行するように構成された、条項I~I-bのいずれか1つに記載の手術用衣類。
I-d.バリア部材が、閉塞構成である場合に、袖部により規定された内空部とカフ部により規定された開口を通じた外部環境との間のバリアを規定する、条項I-cに記載の手術用衣類。
I-e.バリア部材が、当該バリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させるように構成された封止部材を備えた、条項I-cに記載の手術用衣類。
I-f.封止部材が、接着剤又は縫合の少なくとも一方を含む、条項I-eに記載の手術用衣類。
I-g.個人の腕の一部がバリア部材を越えてカフ部により規定された開口から伸出し得るように封止部材が個人により操作された場合に、バリア部材が閉塞構成から開放構成へと移行する、条項I-eに記載の手術用衣類。
I-h.バリア部材が、当該バリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させるように構成された締結具により結合された第1の部分及び第2の部分を備えた、条項I-cに記載の手術用衣類。
I-i.締結具が、バリア部材の第1の部分及び第2の部分を選択的に結合するように構成されたジッパー、スナップ、面ファスナ、縫合、及び接着剤のうちの少なくとも1つを含む、条項I-hに記載の手術用衣類。
I-j.バリア部材が、カフ部により規定された開口に及んで、袖部により規定された内空部を外部環境から封止するフィルムであり、フィルムが、個人の手によって突き破り得るように構成された、条項Iに記載の手術用衣類。
I-k.カフ部の一部に重なって、袖部との間に連続的な無菌バリアを提供するように構成されたグローブ開口を含むグローブを更に備えた、条項I~I-jのいずれか1つに記載の手術用衣類。
I-l.バリア部材が、当該バリア部材中の1つ又は複数のミシン目により規定された少なくとも第1の部分及び第2の部分を備え、ミシン目が、個人の手による破壊によってバリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させ得る脆弱接続部をバリア部材の上記部分間に形成した、条項I~I-kのいずれか1つに記載の手術用衣類。
I-m.バリア部材が、袖部に結合され、バリア部材が、袖部の遠位端により規定された開口を少なくとも部分的に覆う、条項I~I-lのいずれか1つに記載の手術用衣類。
I-n.バリア部材が、縫合によって袖部に結合された、条項I-mに記載の手術用衣類。
I-o.カフ部が、バリア部材を覆うように(バリア部材の上方に)部分的に配設され、縫合によって袖部の遠位端に結合された、条項I-m又はI-nに記載の手術用衣類。
I-p.本体部であって、本体部から袖部が延伸する、本体部と、
本体部に結合され、個人及び/又は手術用ヘルメットを覆うように配設された場合に個人の顔面の前方となるように構成された開口を規定するフードと、
フードにおいて規定された開口を塞ぐように配設された透明フェイスシールドと、
透明フェイスシールド上に配設され、当該手術用衣類を手術用ヘルメットに対して取り外し可能に結合する少なくとも1つの取り付け要素と、
を更に備えた、条項I~I-oのいずれか1つに記載の手術用衣類。
I-q.透明フェイスシールドが、可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含み、透明フェイスシールドが、
当該フェイスシールドの底部上に配設された一対の下側取り付け要素と、
当該フェイスシールドの頂部上に配設された1つの上側取り付け要素と、
を更に備え、上側取り付け要素及び下側取り付け要素が、フェイスシールドが手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を規定し、
フェイスシールドが、封止外周部と当該フェイスシールドの外縁との間に配設された境界切り込みを規定し、
境界切り込みが、上側取り付け要素と一対の下側取り付け要素の少なくとも一方との間に少なくとも部分的に配設された、条項I-pに記載の手術用衣類。
【0116】
II.個人により着用される個人用保護システムであって、
手術用衣類を備え、
手術用衣類は、
個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成された材料を含む衣類本体と、
衣類本体から延び、個人の腕を受容する内空部を規定した袖部であって、当該袖部の遠位端に開口を規定した、袖部と、
を備え、袖部が、閉塞構成と開放構成との間で移行可能であり、閉塞構成の場合に、個人の手が開口を通って伸びることを選択的に制限するバリアを規定するバリア部材を含む、手術用衣類を備えた、個人用保護システム。
【0117】
II-a.バリア部材が、袖部の第1の部分を袖部の第2の部分に結合することにより、個人の手が開口を通って伸びることを防止するバリアを規定するように構成された、条項IIに記載の個人用保護システム。
II-b.バリア部材の少なくとも一部が、バリア部材が閉塞構成から開放構成へと移行する場合に操作されるように構成された、条項IIに記載の個人用保護システム。
II-c.バリア部材が、当該バリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させるように構成され、バリア部材の第1の部分及び第2の部分を選択的に結合するように構成されたジッパー、スナップ、面ファスナ、縫合、及び接着剤のうちの少なくとも1つを含む締結具を備えた、条項II-bに記載の個人用保護システム。
II-d.バリア部材が、袖部の内面又は外面に結合された、条項IIに記載の個人用保護システム。
II-e.手術用衣類が、袖部の遠位端に配設され、袖部により規定された内空部を延ばしてカフ開口を更に規定するカフ部を更に備えた、条項IIに記載の個人用保護システム。
II-f.バリア部材が、閉塞構成である場合に、外部環境から、袖部により規定された内空部を包囲する、条項II-eに記載の個人用保護システム。
II-g.バリア部材が、カフ部により規定されたカフ開口に及ぶ(またがる)フィルムであり、フィルムが、個人の手によって突き破り得るように構成された、条項II-eに記載の個人用保護システム。
II-h.バリア部材が、当該バリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させるように構成された締結具により結合された第1の部分及び第2の部分を備えた、条項IIに記載の個人用保護システム。
II-i.締結具が、バリア部材の第1の部分及び第2の部分を選択的に結合するように構成されたジッパー、スナップ、面ファスナ、縫合、及び接着剤のうちの少なくとも1つを含む、条項II-hに記載の個人用保護システム。
II-j.袖部の近位端が、衣類本体に結合された、条項IIに記載の個人用保護システム。
II-k.袖部が、衣類本体の材料と同じ材料を含む、条項IIに記載の個人用保護システム。
II-l.袖部の一部に重なって、袖部との間に連続的な無菌バリアを提供するように構成されたグローブ開口を含むグローブを更に備えた、条項II~II-hのいずれか1つに記載の個人用保護システム。
II-m.バリア部材が、個人と外部環境との間の無菌バリアを維持しつつ、グローブが袖部の一部に重なるように位置決めされた後に閉塞構成から開放構成へと移行するように構成された、条項II-lに記載の個人用保護システム。
II-n.バリア部材が、当該バリア部材中の1つ又は複数のミシン目により規定された少なくとも第1の部分及び第2の部分を備え、ミシン目が、個人の手による破壊によって袖部を閉塞構成から開放構成へと移行させ得る脆弱接続部をバリア部材の上記部分間に形成した、条項IIに記載の手術用衣類。
II-o.バリア部材が、袖部に結合され、バリア部材が、袖部により規定された開口を選択的に覆う、条項II-nに記載の手術用衣類。
II-p.バリア部材が、縫合によって袖部に結合された、条項II-oに記載の手術用衣類。
II-q.袖部の遠位端に配設されたカフ部を更に備え、カフ部が、バリア部材を覆うように少なくとも部分的に配設され、縫合によって袖部の遠位端に結合された、条項II-o又はII-pに記載の手術用衣類。
【0118】
III.個人により着用される保護衣類であって、
個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成された材料を含む衣類本体と、
衣類本体から延び、遠位端及び近位端を有し、個人の腕を受容する内空部を規定する袖部と、
袖部の遠位端に配設され、袖部により規定された内空部を延ばして開口を更に規定するカフ部と、
袖部により規定された内空部内に配設され、個人の手がカフ部により規定された開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成されたバリア部材と、
を備えた、保護衣類。
【0119】
III-a.バリア部材が、当該バリア部材中の1つ又は複数のミシン目により規定された少なくとも第1の部分及び第2の部分を備え、ミシン目が、個人の手による破壊によって閉塞構成から開放構成へと移行させ得る脆弱接続部をバリア部材の上記部分間に形成した、条項IIIに記載の手術用衣類。
III-b.バリア部材が、袖部に結合され、バリア部材が、袖部により規定された内空部を選択的に包囲する、条項III又はIII-aに記載の手術用衣類。
III-c.バリア部材が、縫合によって袖部に結合された、条項III-bに記載の手術用衣類。
III-d.カフ部が、バリア部材を覆うように部分的に配設され、縫合によって袖部の遠位端に結合された、条項III-b又はIII-cに記載の手術用衣類。
【0120】
IV.個人用保護システムを着用する方法であって、
保護衣類を着用する個人の腕を受容するように構成された内空部及び遠位端の開口を規定する袖部と、内空部内に配設され、外部環境から開口を介した内空部へのアクセスを選択的に制限するバリアを規定するように構成されたバリア部材と、を含む保護衣類を用意するステップと、
袖部の近位開口を通じて、個人の腕を内空部に挿入するステップと、
個人の手でバリア部材に接触するステップであって、バリア部材が、グローブが開口に装着される前に手が開口を通じて袖部から出ることを制限するステップと、
グローブが開口に装着された後に袖部の遠位端の開口を通じて腕の手を伸ばすステップと、
を含む、方法。
【0121】
IV-a.手がバリア部材に接触した後、バリア部材を迂回し得るようにバリア部材を操作するステップを更に含む、条項IVに記載の方法。
IV-b.バリア部材が、ミシン目を含む一片の材料を含み、バリア部材を操作するステップが、手がバリア部材を迂回し得るように、内空部内の袖部の内面からのバリア部材の少なくとも一部の分離/引き裂き/取り外しを行うことを更に含む、条項IV-aに記載の方法。
IV-c.バリア部材が、継ぎ目を規定するジッパーを備え、バリア部材を操作するステップが、バリア部材のジッパーを開いて継ぎ目を開放し、手がバリア部材を迂回できるようにすることを更に含む、条項IV-aに記載の方法。
IV-d.バリア部材を操作するステップが、バリア部材の一部を解放することを更に含む、条項IV-aに記載の方法。
IV-e.バリア部材が、相互に折り重なる複数の層を備え、バリア部材を操作するステップが、バリア部材を拡開して、手がバリア部材を迂回できるようにすることを更に含む、条項IV-aに記載の方法。
IV-f.バリア部材が個人により操作された場合にバリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させて、個人の手の一部がバリア部材を越えて開口から伸出し得るようにするステップを更に含む、条項IVに記載の方法。
IV-g.開口を覆うことが、袖部の外面をグローブの一部と重ねてグローブと袖部との間に連続的な無菌バリアを提供することを含む、条項IV~IV-fのいずれか1つに記載の方法。
【0122】
V.個人用保護システムを着用する方法であって、
保護衣類を着用する個人の腕を受容するように構成された内空部及び遠位端の開口を規定する袖部と、閉塞構成から開放構成へと移行可能なバリア部材と、を含む保護衣類を用意するステップと、
グローブが開口に装着される前に、バリア部材が閉塞構成である間に、袖部の近位開口を通じて、腕の手を内空部に挿入するステップと、
グローブを開口に装着するステップと、
バリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させるステップと、
個人と外部環境との間の無菌バリアを維持しつつ、袖部の遠位端の開口を通じて手をグローブ中に伸ばすステップと、
を含む、方法。
【0123】
VI.個人用保護システムを着用する方法であって、
保護衣類を着用する個人の腕を受容するように構成された内空部及び遠位端の開口を規定する袖部と、内空部内に配設され、外部環境から開口を介した内空部へのアクセスを防止する不透過性バリアを規定するように構成されたバリア部材と、を含む保護衣類を用意するステップと、
袖部の近位開口を通じて、個人の腕の手を内空部に挿入するステップと、
個人の手でバリア部材に接触するステップであって、バリア部材が、手が開口を通じて袖部から出ることを制限するステップと、
手がバリア部材を迂回し得るようにバリア部材を操作するステップと、
袖部の遠位端の開口を通じて手を伸ばすステップと、
を含む、方法。
【0124】
VI-a.袖部の遠位端の開口をグローブで覆うステップであって、グローブが、袖部の外面上に少なくとも部分的に配設されることで、内空部と外部環境との間に袖部と共に無菌バリアを形成するステップを更に含む、条項VIに記載の方法。
VI-b.開口を通じて手を伸ばすステップが、無菌バリアを維持しつつ、開口を覆うように(開口の上方に)配設されたグローブ中に手を伸ばすことを更に含む、条項VI-aに記載の方法。
【0125】
VII.換気アセンブリを含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
手術用布により形成されたフード、前面パネル、及び後面パネルを備え、
後面パネルが、前面パネルの両側にそれぞれ結合された第1の部分及び第2の部分を含み、
フードが、
前面パネルに結合される前部と、
後部と、
フードの手術用布において規定された第1の開口と、
第1の開口を塞ぐように配設された透明フェイスシールドと、
を備え、
フードの後部が、フードの一部が着用者と後面パネルとの間に位置決め可能となるように、後面パネルの上縁の下方に延びるのに十分な長さを有する、手術用衣類。
【0126】
VII-a.フードの手術用布において規定された第2の開口を更に備え、フィルタ布が第2の開口内に配設され、第2の開口が、手術用ヘルメットの換気アセンブリに隣り合ってフィルタ布を配置するように位置決めされた、条項VIIに記載の手術用衣類。
VII-b.透明フェイスシールドが、上部及び下部を含み、
透明フェイスシールドの上部及び下部がそれぞれ、当該手術用衣類を手術用ヘルメットに対して取り外し可能に結合する少なくとも1つの取り付け要素を更に備えた、条項VIIに記載の手術用衣類。
VII-c.少なくとも1つの取り付け要素が、磁性材料又は強磁性材料の一方により形成され、手術用ヘルメットの結合部材に磁気結合するように構成された、条項VII-bに記載の手術用衣類。
VII-d.透明フェイスシールドが、上部及び下部を含み、
第1の取り付け要素が透明フェイスシールドの上部に固定され、
第2の取り付け要素が透明フェイスシールドの下部に固定され、
第1の取り付け要素及び第2の取り付け要素がそれぞれ、手術用ヘルメットの結合部材に対して取り外し可能に結合するように構成された、条項VIIに記載の手術用衣類。
VII-e.後面パネルの第1の部分と第2の部分とが、パネルの長さにわたって延びたスリットにより分離された、条項VIIに記載の手術用衣類。
VII-f.後面パネルの第1の部分と第2の部分とを相互に固定する締結具を更に備えた、条項VII-eに記載の手術用衣類。
VII-g.締結具が、後面パネルの第1の部分と第2の部分とを分離するスリットの長さに沿って配設されたジッパーを備え、ジッパーが、閉塞位置の場合に後面パネルの第1の部分と第2の部分とを相互に固定するように構成された、条項VII-fに記載の手術用衣類。
VII-h.締結具が、後面パネルの第1の部分と第2の部分とを分離するスリットの両側の後面パネル又は前面パネルの一方にそれぞれ結合された少なくとも2つの紐部材(連結部材)を備えた、条項VII-fに記載の手術用衣類。
VII-i.少なくとも2つの紐部材(連結部材)がそれぞれ近位端並びに遠位端を備え、近位端が前面パネル若しくは後面パネルに結合され、
少なくとも2つの紐部材のうちの1つ又は複数の遠位端に面ファスナが配設され、面ファスナは、少なくとも2つの紐部材のうちの1つの遠位端を、前面パネル、後面パネル、又は少なくとも2つの紐部材のうちの別の紐部材、のうちの少なくとも1つに対して取り外し可能に固定するように構成された、条項VII-hに記載の手術用衣類。
【0127】
VIII.手術用システムであって、
着用者の頭部に着用されるように構成された手術用ヘルメットと、
着用者及び手術用ヘルメットを覆うように(着用者及び手術用ヘルメットの上方に)少なくとも部分的に配設されるように構成された手術用衣類と、
を備え、
前記手術用ヘルメットは、
着用者の周りに空気を循環させる換気システムと、
少なくとも1つの結合部材と、
を備え、
前記手術用衣類は、
フード及び本体部を規定する手術用布であって、フードが前部と後部とを有し、前部が本体部に結合されており、着用者及び手術用ヘルメットを覆うように配設された場合に着用者の顔面の前方となるように構成された開口を前部が規定し、後部が、本体部の上縁の下方に延びるフラップを規定し、フラップが着用者と本体部との間に少なくとも部分的に配設されるように構成された、手術用布と、
フードにおいて規定された開口を塞ぐように配設された透明フェイスシールドと、
フード又は透明フェイスシールド上に配設され、フードを手術用ヘルメットに対して取り外し可能に結合する少なくとも1つの取り付け要素と、
を備えた、手術用システム。
【0128】
VIII-a.本体部が、
遠位端を有し、個人の腕を受容する内空部を規定する袖部と、
袖部の遠位端に配設され、袖部により規定された内空部を延ばして開口を更に規定するカフ部と、
開口に近接して内空部内に配設され、個人の手がカフ部により規定された開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成されたバリア部材と、
を更に備えた、条項VIIIに記載の手術用システム。
VIII-b.バリア部材が、袖部の遠位端及びカフ部の近位端の交点において内空部内に位置決めされた、条項VIII-aに記載の手術用システム。
VIII-c.バリア部材が、カフ部により規定された開口内に位置決めされ、外部環境から、カフ部及び袖部により規定された内空部を封止する、条項VIII-aに記載の手術用システム。
VIII-d.バリア部材が、閉塞構成から開放構成へと移行するように構成された、条項VIII-a~VIII-cのいずれか1つに記載の手術用システム。
VIII-e.バリア部材が、閉塞構成である場合に、袖部により規定された内空部とカフ部により規定された開口を通じた外部環境との間のバリアを規定する、条項VIII-cに記載の手術用システム。
VIII-f.バリア部材が、当該バリア部材を閉塞構成から開放構成へと移行させるように構成された封止部材を備えた、条項VIII-cに記載の手術用システム。
VIII-g.封止部材が、ミシン目、接着剤、縫合、及び脆弱接続部のうちの少なくとも1つを含む、条項VIII-fに記載の手術用システム。
VIII-h.少なくとも1つの取り付け要素が、
透明フェイスシールドの底部上に配設された一対の下側取り付け要素と、
透明フェイスシールドの頂部上に配設された1つの上側取り付け要素と、
を備え、上側取り付け要素及び下側取り付け要素が、フェイスシールドが手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を規定し、
透明フェイスシールドが、当該透明フェイスシールドの封止外周部と当該フェイスシールドの外縁との間に配設された境界切り込みを規定し、
境界切り込みが、上側取り付け要素と一対の下側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設された、条項VIII~VIII-gのいずれか1つに記載の手術用システム。
【0129】
IX.換気アセンブリを含む手術用ヘルメットの上に手術用衣類を着用する方法であって、
手術用衣類のフード部の透明フェイスシールド上の取り付け要素を手術用ヘルメット上の結合部材に結合することによって、透明フェイスシールドを手術用ヘルメットに取り付けるステップと、
手術用ヘルメット及び着用者の頭部を覆うように配設されるように、手術用衣類のフード部の手術用布を操作するステップと、
着用者の身体(胴体)を覆うように、手術用衣類の本体部を操作するステップと、
手術用衣類の本体部の直下となるように、手術用衣類のフード部の後面から延びた下側フラップを位置決めするステップと、
手術用衣類の本体部の後部の両側を相互に引き寄せることによって、手術用衣類を閉じるステップと、
本体部の後部の両側を相互に締結することによって、手術用衣類を着用者に固定するステップと、
を含む、方法。
【0130】
IX-a.手術用衣類を着用者に固定するステップが、本体部の後部の両側を相互にジッパー締結することを含む、条項IXに記載の方法。
IX-b.手術用衣類を着用者に固定するステップが、手術用衣類の外部の周りにコードを巻き付けて、閉塞された本体部の後部の両側を保持することを含む、条項IXに記載の方法。
IX-c.本体部の袖部により規定された内空部に着用者の腕を挿入するステップと、
着用者の手でバリア部材に接触するステップであって、グローブが開口に装着される前に手が袖部の遠位端の開口を通じて出ることをバリア部材が防止するステップと、
グローブが開口に装着された後に袖部の遠位端の開口を通じて、バリア部材を越えた腕の手を伸ばすステップと、
を更に含む、条項IX~IX-bのいずれか1つに記載の方法。
【0131】
X.複数の結合部材を含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
布により形成されたシェルと、
可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含むフェイスシールドであって、シェルが封止外周部に沿ってフェイスシールドに封止された、フェイスシールドと、
フェイスシールドの底部上に配設された一対の下側取り付け要素と、
フェイスシールドの頂部上に配設された1つの上側取り付け要素と、
を備え、上側取り付け要素及び下側取り付け要素が、フェイスシールドが手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を規定し、
フェイスシールドが、封止外周部と当該フェイスシールドの外縁との間に配設された境界切り込みを規定し、
境界切り込みが、上側取り付け要素と一対の下側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設された、手術用衣類。
【0132】
X-a.第1の仮想線が上側取り付け要素を一対の下側取り付け要素のうちの第1の下側取り付け要素に接続し、第2の仮想線が上側取り付け要素を一対の下側取り付け要素のうちの第2の下側取り付け要素に接続し、
第1の仮想線及び第2の仮想線の少なくとも一方が、フェイスシールドが平坦状態の場合に境界切り込みと交差する、条項Xに記載の手術用衣類。
X-b.第1の仮想線及び第2の仮想線が、フェイスシールドが平坦構成の場合に境界切り込みと交差する、条項X-aに記載の手術用衣類。
X-c.第3の仮想線が一対の下側取り付け要素を接続し、第1の仮想線、第2の仮想線、及び第3の仮想線が相互に交差して三角形を規定する、条項X-aに記載の手術用衣類。
X-d.一対の下側取り付け要素が、それぞれフェイスシールドの両側部に配設されるように、互いに横方向に間隔をあけて離れている(離間している)、条項Xに記載の手術用衣類。
X-e.上側取り付け要素及び下側取り付け要素がそれぞれ、手術用ヘルメットの複数の結合部材のうちの1つに対応する場所でフェイスシールド上に配設され、
上側取り付け要素及び下側取り付け要素がそれぞれ、強磁性材料又は磁性材料の一方により形成され、複数の結合部材がそれぞれ、強磁性材料又は磁性材料の他方により形成された、条項Xに記載の手術用衣類。
X-f.フェイスシールドが、他の境界切り込みと交差する第2の境界切り込みを更に備えた、条項Xに記載の手術用衣類。
X-g.境界切り込みの一部が、螺旋構成である、条項Xに記載の手術用衣類。
X-h.取り付け要素のうちの少なくとも1つが、封止外周部とフェイスシールドの外縁との間でフェイスシールド上に配設された、条項Xに記載の手術用衣類。
X-i.取り付け要素のうちの少なくとも1つが、遠位面及び対向近位面を含むヘッドを備え、近位面が、ヘッド中の凹部を規定する、条項Xに記載の手術用衣類。
X-j.取り付け要素のうちの少なくとも1つが、手術用ヘルメットの複数の結合部材に対応するスナップ、ピン、面ファスナ、磁石、又はボタン締結具のうちの1つを含む、条項Xに記載の手術用衣類。
X-k.フェイスシールドの第1の側部及び第2の側部を規定する垂直軸を更に備え、
境界切り込みが、第1の部分及び第2の部分のそれぞれによって少なくとも部分的に規定されるように、垂直軸と交差する、条項Xに記載の手術用衣類。
X-l.垂直軸が、上側取り付け要素と交差し、
一対の下側取り付け要素がそれぞれ、垂直軸の両側でフェイスシールド上に配設された、条項X-kに記載の手術用衣類。
X-m.一対の下側取り付け要素が、それぞれ手術用ヘルメットの複数の結合部材のうちの1つに結合された場合にフェイスシールドが湾曲状態となるように、フェイスシールド上に位置決めされ、
境界切り込みが、湾曲状態の場合のフェイスシールドのひずみを緩和するように構成された、条項Xに記載の手術用衣類。
【0133】
XI.複数の結合部材を含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
可撓性の透明材料で形成され、上部及び下部を含むフェイスシールドと、
上部上に配設された上側取り付け要素及び下部上に配設された一対の下側取り付け要素であり、それぞれが手術用ヘルメットの複数の結合部材のうちの1つと取り外し可能に結合するように位置決めされた、上側取り付け要素及び一対の下側取り付け要素と、
フェイスシールドにおいて規定され、上側取り付け要素と一対の下側取り付け要素の少なくとも一方との間に少なくとも部分的に配設された境界切り込みと、
を備え、
取り付け要素がそれぞれ手術用ヘルメットの複数の結合部材のうちの1つに結合される場合に生じる湾曲状態の場合のフェイスシールドの応力を緩和するように、境界切り込みが、上側取り付け要素と一対の下側取り付け要素の少なくとも一方との間に少なくとも部分的に配設された、手術用衣類。
【0134】
XI-a.布により形成され、開口を規定するシェルを更に備え、
フェイスシールドが封止外周部を含み、フェイスシールドがシェルにより規定された開口内に配設されるように、シェルが封止外周部に沿ってフェイスシールドに封止され、
取り付け要素のうちの少なくとも1つが、封止外周部とフェイスシールドの外周縁との間でフェイスシールド上に配設された、条項XIに記載の手術用衣類。
XI-b.フェイスシールド中の境界切り込みが、境界切り込みの両端間で、ある距離だけ延び、当該境界切り込みの長手方向軸と垂直に測定された第1の寸法を有し、
第2の寸法を有する開口部が、フェイスシールドにおいて境界切り込みの両端のそれぞれに規定され、
境界切り込みの両端における応力集中の低減及び/又は亀裂の防止のため、第2の寸法が第1の寸法よりも大きい、条項XIに記載の手術用衣類。
XI-c.フェイスシールドにより規定された境界切り込みが、境界切り込みの両端間で、ある距離だけ延び、
フェイスシールド中の第2の境界切り込みが、境界切り込みの両端における応力集中の低減及び/又は亀裂の防止のため、境界切り込みの両端の少なくとも一方と交差するようにフェイスシールド上に位置決めされた、条項XIに記載の手術用衣類。
XI-d.第2の境界切り込みが、頂点が境界切り込みの両端の一方と連通したV字状である、条項XI-cに記載の手術用衣類。
【0135】
XII.個人用保護システムであって、
複数の結合部材を含む手術用ヘルメットと、
手術用衣類と、
を備え、
手術用衣類は、
布により形成されたシェルと、
可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含むフェイスシールドであって、シェルが封止外周部に沿ってフェイスシールドに封止された、フェイスシールドと、
フェイスシールドの底部において、フェイスシールドの底部上に配設された一対の下側取り付け要素と、
フェイスシールドの頂部において、フェイスシールドの頂部上に配設された1つの上側取り付け要素と、
を備え、上側取り付け要素及び下側取り付け要素が、フェイスシールドが手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を規定し、
フェイスシールドが、封止外周部と当該フェイスシールドの外縁との間に配設された境界切り込みを規定し、
境界切り込みが、上側取り付け要素と一対の下側取り付け要素の少なくとも一方との間に少なくとも部分的に配設された、個人用保護システム。
【0136】
XIII.手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
布により形成されたシェルと、
可撓性の透明材料で形成され、頂部、底部、及び封止外周部を含むフェイスシールドであって、シェルが封止外周部に沿ってフェイスシールドに封止された、フェイスシールドと、
フェイスシールドの底部上に配設された1つの下側取り付け要素と、
フェイスシールドの頂部上に配設された一対の上側取り付け要素と、
を備え、上側取り付け要素及び下側取り付け要素が、フェイスシールドが手術用ヘルメットに対して取り外し可能に組み付けられる3つの組み付け箇所を規定し、
フェイスシールドが、封止外周部と当該フェイスシールドの外縁との間に配設された境界切り込みを規定し、
境界切り込みが、一対の上側取り付け要素の少なくとも一方と下側取り付け要素との間に少なくとも部分的に配設された、手術用衣類。
【0137】
XIV.柔弱シェルと透明フェイスシールドとの間で手術用衣類上にウイルス不透過性シールを形成する方法であって、
ウイルスバリアを規定し、透明フェイスシールドの取り付けのための第1の形状を有する開口を規定し、かつ、第1の層及び第2の層を含む柔弱シェルを用意するステップと、
第1の形状に整合する第2の形状を有する支持面の上方に柔弱シェルの開口が少なくとも部分的に配設されて支持面に接触するように、柔弱シェルを位置決めするステップと、
柔弱シェルの開口が支持面の上方に配設されている間に、柔弱シェルを加熱プラテンに接触させることにより、第1の層を第2の層に不可逆的に接合することによって、柔弱シェルの開口を囲む封止外周領域を規定するステップと、
適用される接着剤組成物が柔弱シェルの開口を囲む外形を規定するように、柔弱シェルの封止外周領域に接触するように構成された透明フェイスシールドの一部又は柔弱シェルの封止外周領域の一部の少なくとも一方に接着剤組成物を適用(塗布)するステップと、
透明フェイスシールドに適用された接着剤が柔弱シェルの封止外周領域に接触するか、又は、柔弱シェルの封止外周領域に適用された接着剤がフェイスシールドに接触するように、柔弱シェルに対してフェイスシールドを位置決めするステップと、
柔弱シェルに対してフェイスシールドを位置決めするステップの後であって、接着剤が硬化ステップを完了する前に、フェイスシールド及び柔弱シェルの一方に力を印加するステップと、
を含む、方法。
【0138】
XIV-a.封止外周領域が、少なくとも10mmの厚さを有する、条項XIVに記載の方法。
XIV-b.封止外周領域が、10mm~25mmの厚さを有する、条項XIV-aに記載の方法。
XIV-c.封止外周領域が、少なくとも15mmの厚さを有する、条項XIV-aに記載の方法。
XIV-d.封止外周領域が、少なくとも20mmの厚さを有する、条項XIV-aに記載の方法。
XIV-e.支持面の上方に延びた第2の形状の成形突起(contoured protrusion)の周りに柔弱シェルの開口が少なくとも部分的に配設されることにより、柔弱シェルの開口が成形突起を少なくとも部分的に囲んで支持面に接触するように、柔弱シェルを位置決めするステップを更に含み、第2の形状が、柔弱シェルにおいて規定された開口の第1の形状に整合し、プラテンが、柔弱シェルを加熱プラテンと接触させるステップにおいて成形突起を受容するプラテン開口を規定する、条項XIV~XIV-dのいずれか1つに記載の方法。
XIV-f.成形突起が上面と外周面とを備え、外周面が上面と支持面との間で延び、成形突起は、外周面が上面と交差する箇所に面取り面(chamfer)、丸縁(rounded edge)、又は斜面(bevel)のうちの1つを規定し、
当該方法が、成形突起の周りで支持面上に柔弱シェルを位置決めする場合に、外周面が上面と交差する箇所の面取り面、丸縁、又は斜面を使用して、柔弱シェルの開口を成形突起と位置合わせするステップを更に含む、条項XIV-eに記載の方法。
XIV-g.柔弱シェルが、通気性のウイルスバリアを提供する材料を含む、条項XIV~XIV-fのいずれか1つに記載の方法。
XIV-h.柔弱シェルを加熱プラテンと接触させた後、支持面及びプラテンの一方を冷却するステップを更に含む、条項XIV~XIV-gのいずれか1つに記載の方法。
XIV-i.加熱プラテンが、加熱要素を含み、加熱要素が、第2の形状に類似の形状を有する、条項XIV~XIV-hのいずれか1つに記載の方法。
XIV-j.支持部が、加熱要素を含み、加熱要素が、第2の形状に類似の形状を有する、条項XIV~XIV-hのいずれか1つに記載の方法。
XIV-k.加熱プラテン及び支持部の両者が、加熱要素を含み、加熱要素が、第2の形状に類似の形状を有する、条項XIV~XIV-hのいずれか1つに記載の方法。
XIV-l.加熱要素が、シェルの開口に対応する閉塞形状にて形成された、条項XIV-i~XIV-kのいずれか1つに記載の方法。
XIV-m.加熱要素が、抵抗加熱要素である、条項XIV-i~XIV-kのいずれか1つに記載の方法。
XIV-n.柔弱シェルが、第3の層を更に備え、第1の層、第2の層、及び第3の層が接着剤によって隣り合う層に接合された、条項XIV~XIV-mのいずれか1つに記載の方法。
XIV-o.第1の層、第2の層、及び第3の層のうちの少なくとも1つが、不織柔弱材料である、条項XIV-nに記載の方法。
XIV-p.透明フェイスシールドが、ポリエステル又はポリカーボネート材料の少なくとも一方により形成された、条項XIVに記載の方法。
XIV-q.接着剤が、封止外周領域の一部が当該接着剤で覆われないように適用される、条項XIV~XIV-pのいずれか1つに記載の方法。
XIV-r.接着剤組成物を適用するステップが、接着剤を透明フェイスシールドの接着剤領域に適用することを含み、
フェイスシールドを位置決めするステップが、透明フェイスシールドに適用された接着剤が柔弱シェルの封止外周領域に接触するか、又は、柔弱シェルの封止外周領域に適用された接着剤がフェイスシールドに接触するように、フェイスシールドを位置決めすることを含む、条項XIV~XIV-qのいずれか1つに記載の方法。
XIV-s.接着剤組成物を適用するステップが、接着剤を柔弱シェルの封止外周領域に適用することを含み、
フェイスシールドを位置決めするステップが、柔弱シェルの封止外周領域に適用された接着剤がフェイスシールドに接触するように、フェイスシールドを位置決めすることを含む、条項XIV~XIV-qのいずれか1つに記載の方法。
XIV-t.柔弱シェルに対してフェイスシールドを位置決めするステップの後、透明フェイスシールド及び柔弱シェルの一方に力を印加するステップが、接着剤が適用される柔弱シェル又は透明フェイスシールドの表面と反対の透明フェイスシールド又は柔弱シェルの表面上でローラーを転がすことを更に含む、条項XIV~XIV-sのいずれか1つに記載の方法。
XIV-u.接着剤をローラーでトレースするステップを更に含む、条項XIV-tに記載の方法。
【0139】
XV.手術用衣類であって、
開口を規定する柔弱シェルであって、
第1の層と、
第1の層に結合された第2の層と、
を備え、第1の層及び第2の層が、開口の周りに封止外周部を規定し、第1の層及び第2の層が、封止外周部の外側よりも封止外周部の内部のほうが一体的に強く接合されるように結合された、柔弱シェルと、
開口を塞ぐように(開口の上方に)配設されるように成形された透明フェイスシールドと、
透明フェイスシールドと柔弱シェルの封止外周部との間に配設され、透明フェイスシールドを柔弱シェルに結合する感圧接着剤と、
を備えた、手術用衣類。
【0140】
XV-a.感圧接着剤が、ゴム系接着剤を含む、条項XVに記載の手術用衣類。
XV-b.感圧接着剤が、シリコーン系接着剤を含む、条項XVに記載の手術用衣類。
【0141】
XVI.手術用衣類であって、
開口を規定する柔弱シェルであって、
第1の層と、
第1の層に結合された第2の層と、
を備え、第1の層及び第2の層が、開口の周りに封止外周部を規定し、第1の層及び第2の層が、封止外周部内に第1の厚さを規定すると共に、封止外周部の外側に第2の厚さを規定するように結合され、第1の厚さが第2の厚さよりも小さい、柔弱シェルと、
開口を塞ぐように配設されるように成形された透明フェイスシールドと、
透明フェイスシールドと柔弱シェルの封止外周部との間に配設され、透明フェイスシールドを柔弱シェルに結合する感圧接着剤と、
を備えた手術用衣類。
【0142】
XVII.個人により着用される手術用保護衣類であって、
個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成された材料を含む衣類本体と、
衣類本体から延び、遠位端及び近位端を有する袖部であって、個人の腕を受容する内空部を規定する袖部であり、かつ、個人の腕の手が不注意で当該袖部から出ることを制限するバリアを規定する袖部と、
を備えた、手術用保護衣類。
【0143】
XVIII.個人により着用される手術用保護衣類であって、
個人と外部環境との間に無菌バリアを提供するように構成された材料を含む衣類本体と、
衣類本体から延び、遠位端及び近位端を有する袖部であって、個人の腕を受容する内空部を規定する袖部と、
袖部に結合されて内空部を部分的に塞ぎ、ミシン目を含む袖部インサートと、
を備えた、手術用保護衣類。
【0144】
XVIII-a.袖部インサートが、内空部全体に延び、内空部を少なくとも部分的に包囲する布により形成された、条項XVIIIに記載の手術用保護衣類。
XVIII-b.袖部インサートが、ミシン目により規定された少なくとも第1の部分及び第2の部分を備え、袖部インサートを閉塞構成から開放構成へと移行させるために個人の手によって破壊可能な脆弱接続部がミシン目によって袖部インサートの第1の部分と第2の部分との間に形成された、条項XVIII又はXVIII-aに記載の手術用保護衣類。
XVIII-c.袖部インサートのミシン目が、第1の線に沿って、かつ、第1の線に交差する第2の線に沿って、規定された、条項XVIII~XVIII-bのいずれか1つに記載の手術用保護衣類。
XVIII-d.袖部インサートが、袖部に縫合された、条項XVIII~XVIII-cのいずれか1つに記載の手術用保護衣類。
XVIII-e.袖部の遠位端に配設され、袖部又は袖部インサートの少なくとも一方に縫合されたカフを更に備えた、条項XVIII~XVIII-dのいずれか1つに記載の手術用保護衣類。
【0145】
XIX.手術用保護衣類を製造する方法であって、
内空部を規定する袖部を備えた衣類を用意するステップと、
ミシン目を含む袖部インサートの一部が内空部を部分的に塞ぐように袖部インサートを袖部に取り付けるステップと、
を含む、方法。
【0146】
XIX-a.袖部により規定された内空部を延ばすカフを袖部の遠位端に縫合するステップを更に含む、条項XIXに記載の方法。
XIX-b.袖部インサートが形成される布を型抜き(ダイカット:die-cutting)してミシン目を形成するステップを更に含む、条項XIX又はXIX-aに記載の方法。
XIX-c.袖部インサートを円形状に切断するステップを更に含む、条項XIX~XIX-bのいずれか1つに記載の方法。
【0147】
XX.換気アセンブリを含む手術用ヘルメットと併用される手術用衣類であって、
手術用布により形成されたフード、前面パネル、及び後面パネルを備え、
後面パネルが、前面パネルの両側からそれぞれ延びた第1の背面フラップ及び第2の背面フラップを含み、
フードが、前面パネルに結合された前部と、フードフラップを含む後部と、を規定し、
フードフラップ並びに第1の背面フラップ及び第2の背面フラップが、フードフラップが少なくとも部分的に第1の背面フラップ及び第2の背面フラップの直下に位置決め可能となるように寸法規定された、手術用衣類。
【0148】
XX-a.後面パネルの第1の部分と第2の部分とが、パネルの長さにわたって延びたスリットにより分離された、条項XXに記載の手術用衣類。
XX-b.後面パネルの第1の部分と第2の部分とを相互に固定する締結具を更に備えた、条項XX-aに記載の手術用衣類。
XX-c.締結具が、後面パネルの第1の部分と第2の部分とを分離するスリットの長さに沿って配設されたジッパーを備え、ジッパーが、閉塞位置の場合に後面パネルの第1の部分と第2の部分とを相互に固定するように構成された、条項XX-bに記載の手術用衣類。
XX-d.締結具が、後面パネルの第1の部分と第2の部分とを分離するスリットの両側の後面パネル又は前面パネルの一方にそれぞれ結合された少なくとも2つの紐部材(連結部材)を備えた、条項XX-bに記載の手術用衣類。
XX-e.少なくとも2つの紐部材(連結部材)がそれぞれ近位端並びに遠位端を備え、近位端が前面パネル若しくは後面パネルに結合され、
少なくとも2つの紐部材のうちの1つ又は複数の遠位端に面ファスナが配設され、面ファスナは、少なくとも2つの紐部材のうちの1つの遠位端を、前面パネル、後面パネル、又は少なくとも2つの紐部材のうちの別の紐部材、のうちの少なくとも1つに対して取り外し可能に固定するように構成された、条項XX-dに記載の手術用衣類。
XX-f.フードフラップが、フード締結具を更に備え、
第1の背面フラップ及び第2の背面フラップがそれぞれ、後面フラップ締結具を備え、
フード締結具及び後面フラップ締結具が、フードフラップを第1の背面フラップ及び第2の背面フラップのそれぞれに対して取り外し可能に結合するように配置された、条項XX~XX-eのいずれか1つに記載の手術用衣類。
XX-g.フード締結具が、フードフラップの外面上に配設され、
後面フラップ締結具が、第1の背面フラップ及び第2の背面フラップのそれぞれの内面上に配設された、条項XX-fに記載の手術用衣類。
XX-h.フード締結具及び後面フラップ締結具が、スナップ、面ファスナ、ボタンと開口、磁石、又は類似の締結機構のうちの1つを含む、条項XX-f又はXX-gに記載の手術用衣類。
【0149】
XXI.個人により着用される手術用アパレルシステムであって、
個人の腕を受容する内空部を規定する、遠位端を有する袖部と、
袖部の遠位端に配設され、袖部により規定された内空部を延ばして開口を更に規定するカフ部と、
開口に近接して内空部内に配設され、個人の腕の手がカフ部により規定された開口を通って伸びることを選択的に防止するように構成されたバリア部材と、
を備えた、手術用アパレルシステム。
【0150】
XXI-a.グローブ開口を含むグローブであって、カフ部及び袖部の少なくとも一方の一部に重なって、カフ部の開口を覆うことにより、内空部内の無菌状態を維持するように構成されたグローブを更に備えた、条項XXIに記載のシステム。
XXI-b.本体部であって、本体部から袖部が延伸する、本体部と、
本体部に結合されるフードであって、個人及び/又は手術用ヘルメットを覆うように配設された場合に個人の顔面の前方となるように構成された開口を規定するフードと、
フードにおいて規定された開口を塞ぐように配設された透明フェイスシールドと、
フード及び/又は透明フェイスシールド上に配設され、当該手術用衣類を手術用ヘルメットに対して取り外し可能に結合する少なくとも1つの取り付け要素と、
を更に備えた、条項XXI又はXXI-aに記載のシステム。
XXI-c.本体部が、
前面パネルと、
前面パネルの両側からそれぞれ延びた第1の背面フラップ及び第2の背面フラップを含む後面パネルと、
を備え、
フードが、前面パネルに結合された前部と、フードフラップを含む後部と、を規定し、
フードフラップ並びに第1の背面フラップ及び第2の背面フラップが、フードフラップが少なくとも部分的に第1の背面フラップ及び第2の背面フラップの直下に位置決め可能となるように寸法規定された、条項XXI-bに記載のシステム。
【0151】
更に、当然のことながら、用語「含む(include、includes、及びincluding)」は、用語「備える(comprise、comprises、及びcomprising)」と同じ意味を有する。
【0152】
上記説明においては、複数の例を記載した。ただし、本明細書に記載の例は、何ら網羅的でもなければ、本発明を如何なる特定形態に制限する意図もない。使用した専門用語は、本質的に、限定ではなく説明の用語の範疇に入るものである。上記教示内容に照らして、多くの改良及び変形が可能であり、本発明は、具体的な説明と異なる実施がなされ得る。
【0153】
本発明の多くの特徴及び利点は、詳細な本明細書から明らかであるため、添付の特許請求の範囲によって、本発明の真の思想及び範囲内に含まれるような本発明の全ての特徴及び利点を網羅することが意図される。更に、当業者であれば、多くの改良及び変形に容易に想到し得るため、図示及び記載の厳密な構成及び動作に本発明を限定することは望まれず、本発明の範囲内に含まれる全ての好適な改良物及び同等物を使用可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図13
図14
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図25D
【外国語明細書】