(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098862
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】双方向交流電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 5/00 20060101AFI20230704BHJP
H02H 7/12 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
H02M5/00
H02H7/12 K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022211131
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】110149239
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】505441638
【氏名又は名称】致茂電子股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chroma Ate Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】徐佑
(72)【発明者】
【氏名】胡桂誠
【テーマコード(参考)】
5G053
5H750
【Fターム(参考)】
5G053BA01
5G053BA04
5G053CA01
5G053EB07
5H750AA06
5H750BA01
5H750FF05
5H750FF07
5H750GG02
5H750GG14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電力変換モジュールと、デジタル制御モジュールとを備える双方向交流電力変換装置を提供する。
【解決手段】双方向交流電力変換装置1において、電力変換モジュールは、制御信号に基づいて、入力又は出力される第1交流電力を設定する。デジタル制御モジュール12は、位相同期回路及び制御ユニットを備える。位相同期回路は、入力又は出力される第1交流電力を検出し、振幅成分及び角速度成分が定義されるリアルタイム電圧信号を生成する。制御ユニットは、異なる切り替え周期で取得された振幅成分と少なくとも1つの振幅変化量に基づいて、制御信号を設定する。制御ユニットは、異なる切り替え周期で取得された振幅成分に基づいて、少なくとも1つの振幅変化量を計算し、振幅成分又は少なくとも1つの振幅変化量が異常である場合、制御信号を調整することにより、第1交流電力の入力又は出力を停止するように電力変換モジュールに指示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1交流電力を入力するか又は出力する双方向交流電力変換装置であって、
制御信号に基づいて、入力又は出力される前記第1交流電力を設定する電力変換モジュールと、
前記電力変換モジュールに電気的に接続され、入力又は出力される前記第1交流電力を検出し、振幅成分及び角速度成分が定義されるリアルタイム電圧信号を生成する位相同期回路、及び
前記電力変換モジュール及び前記位相同期回路に電気的に接続され、異なる切り替え周期で取得された前記振幅成分と少なくとも1つの振幅変化量に基づいて、前記制御信号を設定する制御ユニットを備えるデジタル制御モジュールとを備え、
前記制御ユニットは、異なる切り替え周期で取得された前記振幅成分に基づいて、前記少なくとも1つの振幅変化量を計算し、前記制御ユニットが前記振幅成分又は前記少なくとも1つの振幅変化量が異常であると判断する場合、前記制御信号は、前記第1交流電力の入力又は出力を停止するように前記電力変換モジュールを指示する、双方向交流電力変換装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、連続的な複数の切り替え周期における各切り替え周期の前記振幅変化量を判断し、連続的な複数の切り替え周期における各切り替え周期の前記振幅変化量がいずれも第1閾値よりも大きい場合、前記振幅変化量が異常であると判断する、請求項1に記載の双方向交流電力変換装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、連続的な複数の切り替え周期における各切り替え周期の前記振幅成分を判断し、連続的な複数の切り替え周期における各切り替え周期の前記振幅成分がいずれも第2閾値以下である場合、前記振幅成分が異常であると判断する、請求項1に記載の双方向交流電力変換装置。
【請求項4】
前記制御信号は、前記電力変換モジュールのデューティ比を指示し、前記制御ユニットは、前記デューティ比が第3閾値よりも大きいと判断する場合、前記制御信号を設定することにより前記第1交流電力の入力又は出力を停止するように前記電力変換モジュールを指示する、請求項1に記載の双方向交流電力変換装置。
【請求項5】
位相検出器は、前記リアルタイム電圧信号をパーク変換することにより、前記振幅成分と前記角速度成分を取得する、請求項1に記載の双方向交流電力変換装置。
【請求項6】
前記電力変換モジュールは、出力端子を介して測定対象素子から前記第1交流電力を引き出すか又は前記測定対象素子に前記第1交流電力を供給する、請求項1に記載の双方向交流電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方向交流電力変換装置、特に測定対象素子を随時切り離す双方向交流電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交流電力変換装置を用いて測定対象素子に電流を印加する場合、交流電力変換装置から測定対象素子を切り離す(電気的接続を切断する)必要があれば、まず交流電力変換装置の印加電流をゼロにしてこそ、交流電力変換装置から測定対象素子を安全に切り離すことができる。測定対象素子が早期警報なしに交流電力変換装置から切り離される場合、交流電力変換装置は、保護メカニズムをトリガするため、動作を迅速に回復させることができない場合が多い。一例において、測定対象素子が早期警報なしに交流電力変換装置の出力端子から切り離される場合、交流電力変換装置は、測定対象素子が出力端子から切り離されたことを直ちに判断できないため、交流電力変換装置は、依然として開回路になった出力端子から電流を引き出し続ける。この時、交流電力変換装置の出力端子は、異常な高電圧を受ける可能性があり、交流電力変換装置が破壊されることを回避するために、従来の交流電力変換装置は、保護メカニズムを直接的にトリガする。保護メカニズムをトリガすると、測定対象素子が再び接続される場合でも、従来の交流電力変換装置は、保護メカニズムを解除する前に特定のステップによる検査を行う必要がある場合があるため、測定対象素子への電流印加の動作を迅速に回復させることができない。
【0003】
したがって、業界では、測定対象素子を切り離す場合に、保護メカニズムに入ることないが、依然として内部素子を効果的に保護できる新たな交流電力変換装置を必要とする。さらに、測定対象素子が再び接続された場合、測定対象素子に電流を印加する動作を迅速に回復させ、測定対象素子を随時調整できる柔軟性を向上させる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、測定対象素子が出力端子から切り離されるか否かをより感度よく判断できる双方向交流電力変換装置を提供する。測定対象素子が早期警報なしに出力端子から切り離される場合、双方向交流電力変換装置は、測定対象素子の切り離しを直ちに検出し、交流電力の入力又は出力を停止することができ、保護メカニズムに入ることないが、依然として内部素子を効果的に保護することができる。
【0005】
本発明は、第1交流電力を入力するか又は出力し、電力変換モジュールと、デジタル制御モジュールとを備える双方向交流電力変換装置を提供する。電力変換モジュールは、制御信号に基づいて、入力又は出力される第1交流電力を設定する。デジタル制御モジュールは、位相同期回路及び制御ユニットを備える。位相同期回路は、電力変換モジュールに電気的に接続され、入力又は出力される第1交流電力を検出し、振幅成分及び角速度成分が定義されるリアルタイム電圧信号を生成する。制御ユニットは、電力変換モジュール及び位相同期回路に電気的に接続され、異なる切り替え周期で取得された振幅成分と少なくとも1つの振幅変化量に基づいて、制御信号を設定する。制御ユニットは、異なる切り替え周期で取得された振幅成分に基づいて、少なくとも1つの振幅変化量を計算し、制御ユニットが、振幅成分又は少なくとも1つの振幅変化量が異常であると判断する場合、制御信号は、第1交流電力の入力又は出力を停止するように電力変換モジュールを指示する。
【0006】
いくつかの実施例において、制御ユニットは、連続的な複数の切り替え周期における各切り替え周期の振幅変化量を判断し、連続的な複数の切り替え周期における各切り替え周期の振幅変化量がいずれも第1閾値よりも大きい場合、振幅変化量が異常であると判断することができる。また、制御ユニットは、連続的な複数の切り替え周期における各切り替え周期の振幅成分を判断し、連続的な複数の切り替え周期における各切り替え周期の振幅成分がいずれも第2閾値以下である場合、振幅成分が異常であると判断することができる。さらに、制御信号は、電力変換モジュールのデューティ比を指示し、制御ユニットは、デューティ比が第3閾値よりも大きいと判断する場合、制御信号を設定することにより第1交流電力の入力又は出力を停止するように電力変換モジュールを指示することができる。
【0007】
いくつかの実施例において、位相検出器は、リアルタイム電圧信号をパーク変換することにより、振幅成分及び角速度成分を取得することができる。また、電力変換モジュールは、出力端子を介して測定対象素子から第1交流電力を引き出すか又は測定対象素子へ第1交流電力を供給することができる。
【0008】
以上より、本発明に係る双方向交流電力変換装置は、位相同期回路を利用して、入力又は出力される第1交流電力をロックし、リアルタイム電圧信号の振幅成分により測定対象素子が出力端子から切り離されるか否かを判断する。測定対象素子が早期警報なしに出力端子から切り離される場合、双方向交流電力変換装置は、測定対象素子の切り離しを直ちに検出し、交流電力の入力又は出力を停止することができ、保護メカニズムに入ることないが、依然として内部素子を効果的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施例に係る双方向交流電力変換装置の機能ブロック図である。
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の特徴、目的及び機能をさらに説明する。しかしながら、以下の説明は、本発明の実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、すなわち、本発明の特許請求の範囲で行われた均等変化及び修飾は、いずれも本発明の主旨を逸脱せず、本発明の精神及び範囲から逸脱しないため、本発明の更なる実施態様と見なされるべきである。
【0012】
図1に示すように、
図1は、本発明の一実施例に係る双方向交流電力変換装置の機能ブロック図である。
図1に示すように、双方向交流電力変換装置1は、測定対象素子DUTへ交流電力(第1交流電力)を伝送するために、外部電源2と測定対象素子DUTとの間に電気的に接続される。実際には、外部電源2は、商用電源又は他の電圧源であってもよく、双方向交流電力変換装置1に適用可能な測定対象素子DUTは、負荷又は電圧源に限定されない。一例において、測定対象素子DUTが負荷である場合、双方向交流電力変換装置1は、測定対象素子DUTを駆動するように電力を提供することができる。測定対象素子DUTが電圧源である場合、双方向交流電力変換装置1は、測定対象素子DUTから電力を引き出すことにより、測定対象素子DUTから提供される電力を外部電源2に供給することができる。即ち、双方向交流電力変換装置1は、交流電力の伝送方向を制限せず、上記交流電力は、双方向交流電力変換装置1へ入力されるか又は双方向交流電力変換装置1から出力されてもよい。
【0013】
双方向交流電力変換装置1は、電力変換モジュール10と、位相同期回路120及び制御ユニット122を備えるデジタル制御モジュール12とを備える。ここで、電力変換モジュール10は、測定対象素子DUTに電気的に接続される出力端子100を備える。一例において、出力端子100と測定対象素子DUTとの間は、バスバーを介して接続されてもよい。また、制御ユニット122は、位相同期回路120と電力変換モジュール10にそれぞれ電気的に接続され、電力変換モジュール10へ入力されるか又は電力変換モジュール10から出力される第1交流電力を設定するための制御信号を生成することができる。上記制御信号は、パルス幅変調(PWM)信号であってもよく、制御ユニット122は、1つのデューティサイクル(duty cycle)におけるパルス幅変調信号のデューティ比(duty ratio)を決定することにより、電力変換モジュール10から出力された交流電圧又は交流電流の様々なパラメータを設定することができる。
【0014】
実際には、位相同期回路120は、位相検出器(phase detector)を備え、出力端子100と測定対象素子DUTとの間が確実に接続された後、位相検出器は、電力変換モジュール10と測定対象素子DUTとの間で伝送される交流電圧又は交流電流をロックすることができる。例えば、電力変換モジュール10が測定対象素子DUTから電力を引き出すように設定されると仮定し、位相検出器が交流電圧をロックすると、位相同期回路120は、ロックされた交流電圧に基づいてリアルタイム電圧信号を生成することができる。一例において、位相同期回路120によって生成されたリアルタイム電圧信号は、測定対象素子DUTが正常に動作するか否かを判断する手段として使用することができる。すなわち、位相検出器が交流電圧を成功裏にロックする(リアルタイム電圧信号を生成する)場合、制御ユニット122は、測定対象素子DUTがシステムに接続されたと判断することができる。また、位相同期回路120は、リアルタイム電圧信号をパーク変換(park transformation)することにより、リアルタイム電圧信号の振幅成分及び角速度成分を取得することができる。当業者であれば、位相同期回路120の動作原理を理解できるはずであるため、本実施例は、ここで説明を省略する。一例において、位相同期回路120は、各切り替え周期(switching cycle)において対応するリアルタイム電圧信号を取得することができるため、制御ユニット122は、隣接する2つの切り替え周期のリアルタイム電圧信号に基づいて、2つの振幅成分の差異、すなわち振幅変化量を算出することができる。実際には、制御ユニット122は、連続的なN個の切り替え周期のリアルタイム電圧信号に基づいて、対応するN-1個の振幅変化量を記録し、上記N-1個の振幅変化量に基づいて制御信号を設定することができる。
【0015】
実際の例として、電力変換モジュール10が測定対象素子DUTから電力を引き出すように設定されると仮定し、出力端子100と測定対象素子DUTとの間の接続線路が突然切断されると、測定対象素子DUTが早期警報なしに出力端子100から切り離されることをもたらす。本来、双方向交流電力変換装置1と測定対象素子DUTとの間に交流電力を伝送するため、測定対象素子DUTが早期警報なしに出力端子100から切り離されると、この時の交流電圧は、ピーク電圧に近いか又はゼロ電圧に近い可能性がある。以下、本実施例に係る双方向交流電力変換装置1の処理方法をこの2つの場合で説明する。
図1及び
図2に示すように、
図2は、交流電圧を示す概略図である。図面に示すように、測定対象素子DUTが時間T1に出力端子100から切り離されると仮定すると、交流電圧は、ピーク値に近い数値である。この時、制御ユニット122は、リアルタイム(前回の切り替え周期と今回の切り替え周期)のリアルタイム電圧信号から、振幅変化量が突然異常に大きくなり、例えば電圧がピーク値から迅速に減衰するため振幅変化量が予め設定された第1閾値よりも大きいことを知ることができる。実際には、制御ユニット122は、振幅変化量が異常であると判断すると、制御信号を迅速に調整することにより、制御信号が第1交流電力の入力又は出力を停止するように電力変換モジュール10を指示する。例えば、制御ユニット122は、制御信号を調整してデューティ比をゼロにすることにより、第1交流電力を電力変換モジュール10の出力端子100へ入力するか又は電力変換モジュール10の出力端子100から出力することなくゼロ電圧を維持するようにすることができる。
【0016】
本実施例は、ここで第1閾値の正確な数値を限定せず、当業者であれば、第1閾値が伝送された交流電圧に基づいて決定されることを理解することができる。他方では、制御ユニット122は、異常である単一の振幅変化量のみに基づいて、制御信号を直ちに調整するとは限らない。例えば、制御ユニット122は、連続的な複数の隣接する切り替え周期のリアルタイム電圧信号から、振幅変化量が異常であるか否かを判断することができる。例えば、制御ユニット122は、少なくとも連続的な6個の振幅変化量がいずれも予め設定された第1閾値よりも大きいことを知ると、測定対象素子DUTが既に出力端子100から切り離されたことを判断することができる。
【0017】
一例において、測定対象素子DUTが時間T2に出力端子100から切り離されると仮定すると、時間T2の交流電圧がゼロに近いため、出力端子100へ入力されるか又は出力端子100から出力される電流は、本来ゼロに近い。従来の交流電力変換装置で言えば、従来の交流電力変換装置は、測定対象素子が切り離されるか否かを直ちに判断することができないため、誤判断を引き起こしやすい。特に、従来の交流電力変換装置の、電流をデジタル測定する方式としては、ノイズ干渉などの誤差があるため、電流ゼロ点付近で検出された微小な数値が電流ゼロ点であるか否かを決定しにくい。換言すれば、測定対象素子DUTが電流ゼロ点付近で切り離される場合、従来の交流電力変換装置は、保護メカニズムを迅速にトリガするタイミングを把握することができない。これに対し、本実施例の振幅成分は、パーク変換により角速度成分(位相)を分離した数値であるため、制御ユニット122は、電圧振幅が変化するか否かをより速く発見することができる。これにより、測定対象素子DUTが時間T2に出力端子100から切り離される場合、本実施例の制御ユニット122は、振幅変化量により異常が発生するか否かを判断し、制御信号を迅速に調整することにより、制御信号が第1交流電力の入力又は出力を停止するように電力変換モジュール10を指示する。
【0018】
以上の振幅変化量を利用する判断手段は、電力変換モジュール10へ入力されるか又は電力変換モジュール10から出力される交流電圧が大きく変化する場合に適用し、電力変換モジュール10へ入力されるか又は電力変換モジュール10から出力される交流電圧が小さく変化する場合、制御ユニット122は、振幅成分を利用して測定対象素子DUTが切り離されるか否かを判断することができる。一例において、電力変換モジュール10へ入力されるか又は電力変換モジュール10から出力される交流電圧の電圧ピーク値が既知であるため、本実施例では、上記電圧ピーク値を参照して閾値(第2閾値)を設定することができる。実際には、第2閾値は、必ずしも上記電圧ピーク値に等しいわけではなく、上記電圧ピーク値よりも僅かに小さくてもよいが、本実施例は、これを限定しない。実際の例として、電力変換モジュール10が測定対象素子DUTから電力を引き出すように設定され、位相同期回路120の位相検出器がリアルタイム電圧信号をロックして振幅成分及び角速度成分を取得したと仮定する。この時、制御ユニット122は、1つ又は複数の振幅成分が第2閾値よりも低いか否かに基づいて、測定対象素子DUTが切り離されるか否かを判断することができる。例えば、制御ユニット122は、連続的な複数の切り替え周期の振幅成分を記録する可能性があり、連続的な複数の切り替え周期の振幅成分が持続して第2閾値よりも小さい場合、測定対象素子DUTが既に切り離されたと判断することができる。上述のように、本実施例の振幅成分は、パーク変換により角速度成分(位相)を分離した数値であるため、交流電圧が小さく変化しても、制御ユニット122は、測定対象素子DUTが切り離されるか否かを迅速に判断することができる。同様に、制御ユニット122は、測定対象素子DUTが既に切り離されたと判断する場合、制御信号を調整してデューティ比をゼロにすることにより、第1交流電力を電力変換モジュール10の出力端子100へ入力するか又は電力変換モジュール10の出力端子100から出力することなくゼロ電圧を維持するようにすることができる。
【0019】
なお、通常、出力端子100にエネルギー蓄積コンデンサ(例えば、2つの端点の間にブリッジ接続される)がブリッジ接続されるため、エネルギー蓄積コンデンサは、測定対象素子DUTが切り離された後に、サージを引き起こし、さらに電圧値を上昇させる可能性がある。本実施例は、また、サージを回避し、エネルギー蓄積コンデンサの電力を放出するメカニズムを設計する。例えば、電力変換モジュール10が測定対象素子DUTから電力を引き出していると仮定すると、測定対象素子DUTの切り離しによるサージを回避するために、本実施例の電力変換モジュール10は、デューティ比の上限を第3閾値に予め設定することができ、例えば、デューティ比が0.95である。すなわち、制御ユニット122は、電力変換モジュール10のデューティ比が第3閾値よりも大きいと判断する場合、デューティ比が第3閾値よりも大きい潜在的な理由として、交流電圧がピーク値に近い場合に、測定対象素子DUTが切り離されるためであると推測できる。それにより、制御ユニット122は、この時に制御信号を直接調整してデューティ比をゼロにすることにより、第1交流電力を電力変換モジュール10の出力端子100へ入力するか又は電力変換モジュール10の出力端子100から出力することなくゼロ電圧を維持するようにすることができる。また、デジタル制御モジュール12は、出力端子100の電圧及び電流値をさらに監視することができ、電力変換モジュール10は、第1交流電力の入力又は出力を停止した後、デジタル制御モジュール12が出力端子100の電圧及び電流値によりエネルギー蓄積コンデンサが既に電力を放出したと判断するまで、ゼロ電圧を一定の時間維持する。
【0020】
他方では、以上は電力変換モジュール10が測定対象素子DUTから電力を引き出すことを例とするが、実際には、上記実施例は、さらに電力変換モジュール10が測定対象素子DUTに電力を供給することに適用してもよい。すなわち、振幅変化量が第1閾値よりも大きく、振幅成分が第2閾値よりも小さく、電力変換モジュール10のデューティ比が第3閾値よりも大きいなどの異常状況を制御ユニット122が判断することは、電力伝送方向と無関係である。電力変換モジュール10が測定対象素子DUTに電力を供給しても、制御ユニット122は、上記実施例により測定対象素子DUTが切り離されるか否かを判断することができる。
【0021】
以上から分かるように、本実施例の双方向交流電力変換装置1において、測定対象素子DUTが早期警報なしに出力端子100から切り離される場合、制御ユニット122が位相同期回路120によりロックされた交流電圧により生成されたリアルタイム電圧信号に基づいて測定対象素子DUTの切り離しを判断するため、電圧位相の影響による誤判断を減少させることができ、測定対象素子DUTの切り離しによる電圧値の上昇を引き起こす前に、双方向交流電力変換装置1が出力端子100の異常な高電圧により保護メカニズムをトリガすることはないように、制御信号を迅速に調整してデューティ比をゼロにする。双方向交流電力変換装置1は、測定対象素子DUTの切り離しによる保護メカニズムをトリガすることはないため、測定対象素子DUTが再び出力端子100に接続された後、双方向交流電力変換装置1は、動作を迅速に回復させることができる。
【0022】
以上より、本発明に係る双方向交流電力変換装置は、位相同期回路を利用して入力又は出力される第1交流電力をロックし、リアルタイム電圧信号の振幅成分により測定対象素子が出力端子から切り離されるか否かを判断する。測定対象素子が早期警報なしに出力端子から切り離される場合、双方向交流電力変換装置は、測定対象素子の切り離しを直ちに検出し、交流電力の入力又は出力を停止することができ、保護メカニズムに入ることないが、依然として内部素子を効果的に保護することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 双方向交流電力変換装置
10 電力変換モジュール
100 出力端子
12 デジタル制御モジュール
120 位相同期回路
122 制御ユニット
2 外部電源
DUT 測定対象素子
【外国語明細書】