(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098870
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】音拡散器、及び音拡散器を介して音を拡散する方法
(51)【国際特許分類】
H04R 11/02 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
H04R11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022212207
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】102021000032897
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102021000032906
(32)【優先日】2021-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】523002024
【氏名又は名称】パワーソフト ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】POWERSOFT S.P.A
【住所又は居所原語表記】Via E.Conti,5,50018 Scandicci(Firenze),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【弁理士】
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【弁理士】
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ラストルッチ クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ブラッチョティ レオナルド
【テーマコード(参考)】
5D021
【Fターム(参考)】
5D021AA12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】音拡散器及び音拡散器を介して音を拡散する方法を提供する。
【解決手段】音拡散器は、ハウジングと、ハウジングの内部に配置された変換器とを備える。変換器は、それぞれが長手方向軸Aに対して横方向であるそれぞれの平面γ上に横たわるコイル200とコイルが巻かれるコアと、コイルを部分的に取り囲み空隙Tによってコアから分離されている、第1の部分300b’及び第2の部分300b’’を備える外側横方向部分とを含む強磁性回路300と、空隙の内側に配置され、長手方向軸Aと平行な移動方向M1に沿って移動可能な永久磁石400a、400bと、を含む。コイルは、移動方向に沿った磁石の移動を誘発するための励磁磁界を発生させる。音拡散器はさらに、長手方向軸に平行な移動方向に沿った磁石の移動が長手方向軸に沿った放射器の振動に対応するように、磁石に動作可能に結合された放射器を備える。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音拡散器であって、
- ハウジングと、
- 前記ハウジング内に配置された変換器であって、
長手方向軸に対して横方向であるそれぞれの平面内にそれぞれ横たわる複数の巻線を含むコイルであって、前記複数の巻線は前記長手方向軸に沿って並置される、コイルと、
強磁性回路であって、前記コイルが巻き付けられた中央部分を備えるコアと、前記コイルの側方に配置され、前記コイルを少なくとも部分的に取り囲む外側横方向部分であって、長手方向に延びる空隙によって前記コアから分離された外側横方向部分とを含む強磁性回路と、
前記空隙に配置され、前記長手方向軸と平行な移動方向に沿って移動可能な少なくとも1つの磁石であって、永久磁石である少なくとも1つの磁石とを含み、
前記移動方向に沿って移動するように前記磁石を誘発する励磁磁界を生成するように前記コイルが励磁可能である、変換器と、
- 放射器と、
- 前記放射器が前記ハウジングに対して振動することを可能にするように構成されたサスペンションとを備え、
前記長手方向軸に平行な前記移動方向に沿った前記磁石の移動が、前記長手方向軸に沿った前記放射器の振動に対応するように、前記放射器が前記少なくとも1つの磁石に動作可能に結合される、
音拡散器。
【請求項2】
- 前記コイルの前記複数の巻線が、前記長手方向軸を取り囲み、
- 前記コイルが、前記長手方向軸に対して横方向である複数の直線部分を備え、
- 前記外側横方向部分が、前記コイルを取り囲む複数の部分を備え、対応する前記複数の直線部分と協働して複数の空隙を画定し、
前記音拡散器が複数の磁石を備え、前記複数の磁石の各磁石が、前記複数の空隙のそれぞれの空隙に配置される、
請求項1に記載の音拡散器。
【請求項3】
- 前記複数の直線部分が、それぞれの湾曲接続セクションによって相互に接合された第1、第2、第3及び第4の直線部分を備え、前記第1及び第2の直線部分が相互に向き合い、前記第3及び第4の直線部分が相互に向き合い、
- 前記外側横方向部分の前記複数の部分が、第1、第2、第3及び第4の部分を含み、
- 前記複数の磁石が、前記第1の直線部分と前記外側横方向部分の前記第1の部分との間に配置された第1の磁石、前記第2の直線部分と前記第2の部分との間に配置された第2の磁石、前記第3の直線部分と前記第3の部分との間に配置された第3の磁石、及び前記第4の直線部分と前記第4の部分との間に配置された第4の磁石を備え、前記第1、第2、第3及び第4の磁石が、前記長手方向軸と平行なそれぞれの移動方向に沿って移動可能である、
請求項2に記載の音拡散器。
【請求項4】
前記複数の磁石の各磁石が、前記長手方向軸に対して横方向である方向に沿って、且つ前記それぞれの直線部分に平行に延び、前記複数の磁石が、前記コイルの湾曲接続セクションに位置するそれぞれの角状要素によって接合されて、前記長手方向に沿って移動可能な剛性構造を形成する、請求項3に記載の音拡散器。
【請求項5】
前記複数の磁石の各磁石のそれぞれの移動方向に沿った移動を可能にするために、それぞれが角状要素に結合される4つの案内装置を備える、請求項4に記載の音拡散器。
【請求項6】
各案内装置が、
- 長手方向に向けられた案内軸の周りに延びる内面であって、前記コアに接続される内面と、
- 前記案内軸の周りに延び、キャビティを画定するために内面を取り囲み、前記複数の磁石のうちの一対の磁石に接続される外面と、
- リングを形成するためにそれ自体に閉じられ、前記内面及び前記外面に接触した状態で前記キャビティ内に配置され、前記内面と前記外面との間の相対運動に応答して長手方向に移動しながらそれらの上を転がる弾性要素と
を備える、請求項5に記載の音拡散器。
【請求項7】
前記複数の磁石の各磁石が、前記長手方向に反対側の第1の端部及び第2の端部と、南極及び北極とを有し、前記北極と南極のそれぞれは、前記第1の端部と前記第2の端部との間を前記長手方向軸と平行に延び、前記磁石と前記さらなる磁石は、前記コイルに面する同じ極を有し、前記第3の磁石と前記第4の磁石は、前記コイルに面する同じ極を有する、請求項3~6のいずれか一項に記載の音拡散器。
【請求項8】
前記強磁性回路が、前記コイルの側方に位置し且つ前記コイルと前記少なくとも1つの磁石との間に配置された内側横方向部分を備え、前記内側横方向部分が、前記コイルに近接して高透磁率ゾーンを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の音拡散器。
【請求項9】
前記ゾーンが、前記内側横方向部分を、前記長手方向軸に平行な方向に沿って並置され且つ前記空隙に向けられたそれぞれの磁極拡張部を画定する上部サブ部分と下部サブ部分とに分割するように、前記長手方向軸に対して横方向のスロットによって画定される、請求項8に記載の音拡散器。
【請求項10】
前記内側横方向部分の前記上部サブ部分及び前記下部サブ部分が、前記コアと一体に作られ、前記中央部分から前記外側横方向部分に向かって突出する、請求項9に記載の音拡散器。
【請求項11】
前記コアが、前記長手方向軸に沿って延びて前記中央部分を画定し、前記長手方向軸に対して横方向に、前記長手方向軸から離れる方向に突出して、前記上部サブ部分を備える上部突出ゾーンと前記下部サブ部分を備える下部突出ゾーンとを画定し、前記上部突出ゾーンと前記下部突出ゾーンは、前記長手方向軸に対して横方向である、前記コイルの中心を通る平面に関して対称に前記コイルを下と上で取り囲む、請求項9に記載の音拡散器。
【請求項12】
前記少なくとも1つの磁石と前記放射器との間に配置され且つ前記少なくとも1つの磁石と反対方向に前記放射器を移動させる少なくとも1つの作動部材を含む機械式伝達装置を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の音拡散器。
【請求項13】
前記コアが焼結磁性複合体(SMC)によって作られる、請求項1~6のいずれか一項に記載の音拡散器。
【請求項14】
案内装置であって、
- 長手方向に向けられた案内軸の周りに延びる内面と、
- 前記案内軸の周りに延び、前記内面を取り囲んでキャビティを画定する外面と、
- リングを形成するためにそれ自体に閉じられた弾性要素であって、前記内面及び前記外面と接触した状態で前記キャビティ内に配置され、前記内面と前記外面との間の相対運動に応答して長手方向に移動しながらそれらの上を転がる、弾性要素とを含み、
前記内面が前記コアに接続され、前記外面が前記少なくとも1つの磁石に接続され、又は前記内面が前記少なくとも1つの磁石に接続され、前記外面が前記コアに接続される、案内装置、
を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の音拡散器。
【請求項15】
前記長手方向軸に対する断面において、前記複数の磁石が正多角形の辺として配置され、前記正多角形は、前記長手方向軸を通る中心を有する円に内接している、請求項2~6のいずれか一項に記載の音拡散器。
【請求項16】
前記コイルが単一コイルであり、前記中央部分が前記長手方向軸に沿って延びる、請求項1~6のいずれか一項に記載の音拡散器。
【請求項17】
音拡散器を用いて音を拡散させる方法であって、
- 変換器を準備するステップであって、前記変換器が、
それぞれが長手方向軸に対して横方向であるそれぞれの平面内に延びる複数の巻線を備えるコイルであって、前記複数の巻線が長手方向軸に沿って並置されるコイルと、
強磁性回路であって、
前記コイルが巻かれる中央部分を備えるコアと、
前記コイルの側方に配置され、空隙によって前記コイルから分離された外側横方向部分と
を備える強磁性回路と、
少なくとも1つの磁化可能な要素と
を備える、変換器を準備するステップと、
- 前記磁化可能な要素を前記空隙内に位置決めするステップと、
- 前記変換器の外側に設けられ、前記磁化可能な要素を磁化するように構成された補助磁化回路を準備するステップと、
- 永久磁石を作るために前記補助磁化回路を作動させることによって、前記空隙に配置された前記磁化可能な要素を磁化するステップと
を含む方法。
【請求項18】
- 前記コイルの前記複数の巻線が前記長手方向軸を取り囲み、
- 前記コイルが、前記長手方向軸に対して横方向である複数の直線部分、すなわち、湾曲接続セクションによって互いに接合された第1、第2、第3及び第4の直線部分を備え、前記第1及び第2の直線部分が相互に向き合い、前記第3及び第4の直線部分が相互に向き合い、
- 前記外側横方向部分が、前記コイルを取り囲む複数の部分を備え、対応する前記複数の直線部分と協働して複数の空隙を画定し、前記外側横方向部分の前記複数の部分は、第1、第2、第3及び第4の部分を含み、
前記方法が、複数の永久磁石を作るように前記補助磁化回路を作動させることによる、前記磁化可能な要素の磁化ステップを含み、各磁石は、前記複数の空隙のそれぞれの空隙に配置され、前記複数の磁石は、前記長手方向軸と平行なそれぞれの移動方向に沿って移動可能な第1、第2、第3及び第4の磁石を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
- 前記複数の磁石を一緒に接合するために、前記コイルの前記湾曲接続セクションに対応して複数の角状要素を提供するステップと、
-それぞれが複数の角状要素の一の角状要素に結合される4つの案内装置を提供するステップと、
- 前記案内装置によって、前記複数の磁石をそれぞれの移動方向に沿って案内するステップと
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
- 前記磁石と前記音拡散器の放射器との間に動作可能に配置された作動部材を含む機械式伝達装置を提供するステップと、
- 前記磁石の動きを、前記機械式伝達装置を介して前記放射器に伝達するステップと
を含む、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音拡散器、及び音拡散器を介して音を拡散する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の分野は、音再生システム、特に音拡散器の分野であり、この分野では、良好な音性能レベルを提供することができ、同時に小型の寸法を維持することができる製品を有する必要性がますます感じられている。
【0003】
換言すると、コンパクトであるが同時にSPL(Sound Pressure Level:音圧レベル)パラメータの値に関して高い音性能レベルを保証することができる拡散器を得る必要性がますます感じられている。
【0004】
周知のように、音拡散器は、コイル又は磁石が移動可能な電気機械変換器を備える。
【0005】
これらの変換器の一例は、(特許文献1)に示されており、ここではコイルが巻かれた低リラクタンスの磁性材料のコアによって境界を定められた空間内で、磁石が並進によって移動可能である。この状況において、コイルは、磁石が磁界中に入れられ、垂直方向に沿って並進するように、励磁電流によって電力を供給される。これらの磁石は、音拡散器の膜と関連付けられ、音拡散器から出る音を生成するように設計された音響負荷容積の動き、したがって変動を引き起こす。
【0006】
不利なことに、(特許文献1)に示される変換器は、全体的な寸法及び性能レベルに関連するいくつかの欠点を有する。
【0007】
より詳細には、音拡散器の動作に必要な電力を増大する必要性がある場合、磁石の質量が増加する。この状況において、磁石の動きが特に複雑になり、エネルギー消費の点で負担が大きくなる。
【0008】
さらに、音拡散器の動作に必要な電力を増大する必要性がある場合、音拡散器の寸法、ひいては重量とコストが大幅に増加する。
【0009】
さらなる欠点は、コイルに対する磁石の配置に起因するものである。磁石が移動する間、磁石は発生した磁界に完全に入れられた状態に維持されない。この状況において、磁界に入らない部分が損失となり、音変換器の全体的な効率に影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0508570A2号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015256911A1号明細書
【特許文献3】IT102022000026061号明細書
【特許文献4】イタリア国特許出願第102021000001487号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の技術的目的は、したがって、先行技術の欠点を克服することができる、音拡散器と、音拡散器を介して音を拡散するための方法とを提供することである。
【0012】
本発明の目標は、したがって、その全体的な寸法、特に磁石の移動方向における寸法を増大することなく、それに関連付けられた音拡散器の音膜の高度な機械的運動を生じさせることを可能にする変換器を有する音拡散器を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目標は、低いエネルギー消費量で高い力及び運動を生じさせることができる変換器を有する音拡散器を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目標は、単純且つ効率的な音拡散器を介して音を拡散する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
示された技術的目的及び特定された目標は、付随する請求項の1つ又は複数に記載された技術的特徴を備える音拡散器と、音拡散器を介して音を拡散するための方法とによって実質的に達成される。従属項は本発明の可能な実施形態に対応する。
【0016】
特に、示された技術的目的及び特定された目標は、音拡散器用の変換器によって達成される。
【0017】
好ましくは、しかし必ずではなく、変換器は、音を再生するための音拡散器との関連で使用される。
【0018】
また、本発明による変換器は、いわゆるバスボードに使用することも可能である。
【0019】
代替的に、変換器は、ヘリコプター及び同様の乗り物の騒音及び振動の能動的制御のためのシステムで使用するのに適している。
【0020】
代替的に、変換器は、車両、例えばトラック等に向けた能動的振動ダンパー、及び/又は車両サスペンションの内部で使用される。
【0021】
また、変換器は、破壊的振動試験及び/又は材料試験装置(例えば、牽引/圧縮試験機)にも使用され得る。
【0022】
また、変換器は、振動コンベアにも使用することができる。
【0023】
また、変換器は、エネルギー収集システムにも使用することができる。
【0024】
変換器は、長手方向軸に対して横方向であるそれぞれの平面内に横たわる複数の巻線を含むコイルを備える。複数の巻線は、長手方向軸に沿って並置される。特に、コイルの複数の巻線は、長手方向軸を取り囲むことができる。
【0025】
変換器はまた、コイルが巻かれる中央部分と、コイルの側方に位置し、少なくとも部分的にコイルを取り囲む外側横方向部分とを備える、コアを含む強磁性回路を備える。
【0026】
外側横方向部分は、空隙、すなわち空気によってコアから分離される。空隙は長手方向に延びる。
【0027】
この変換器はまた、空隙の内部に配置された少なくとも1つの磁石を備える。この磁石は、永久磁石、すなわち、それ自身の磁界を作り出すことができる磁性体である。
【0028】
本発明の一態様によれば、磁石は第1の端部と第2の端部とを有する。この状況において、磁石は第1の端部と第2の端部との間に長手方向軸に平行に延びる南極と北極とを有する。
【0029】
換言すると、磁石は反対の極性を有する2つの対向面を有する。
【0030】
磁石は、長手方向軸に平行な移動方向に沿って空隙内を移動可能である。
【0031】
より詳細には、移動方向に沿った磁石の移動は、コイルを励磁することによって、すなわち、コイル内の電流の通過によって発生する励磁磁界(magnetic energizing field)によって誘発される。
【0032】
変換器の一例は、(特許文献2)によって開示されており、ここでは、それぞれがコア部分の周りに巻かれた一対のコイルがあり、2つのコア部分は、移動可能な磁石がその中に配置される空隙を画定するように並んで配置される。したがって、コイルは並んで配置され、2つのコア部分のそれぞれは、他方のコア部分に対して、実際には、2つのコイルの一方の側に位置し、他方のコア部分と協働して空隙を画定する外側横方向部分を画定する。
【0033】
対照的に、本発明によれば、変換器は、1つのコイルのみを有し、コイルは、コア部分の周囲(特に、中央部分の周囲)に巻かれ、コアが協働して空隙を画定する外側側方部分は、(特許文献2)に記載のものに代わって、さらなるコイルで囲まれていない。
【0034】
さらなる違いは、コイルの巻線が長手方向軸の周りに巻かれることであり、したがって、この変換器が、長手方向軸に沿って往復運動で移動可能な放射器を含む音響拡散器で使用される場合、コイルは長手方向軸、すなわち、放射器が振動する軸と整列される。
【0035】
一例によれば、コイルは単コイルである。好ましくは、中央部分は長手方向軸に沿って延びる。
【0036】
強磁性回路は、コイルの側方に位置し、コイルと少なくとも1つの磁石との間に配置された内側横方向部分も備え得る。
【0037】
内側横方向部分は、コイルに近い(面する)高透磁率ゾーンを有する。
【0038】
可能な実施形態によれば、高透磁率ゾーンは、内側横方向部分を、長手方向軸に平行な方向に沿って並置され且つ空隙の方に向けられたそれぞれの磁極拡張部を画定する上部サブ部分と下部サブ部分とに分割するように、長手方向軸に対して横方向であるスロットによって画定される。
【0039】
可能な実施形態によれば、内側横方向部分の上部サブ部分及び下部サブ部分(したがって、内側横方向部分)は、コアと一体に作られ、コイルの周囲に巻き付く外側横方向部分に向かって中央部分に対して外側に突出する。
【0040】
換言すると、上部サブ部分と下部サブ部分は、コイルのほぼ周囲全体に巻き付くように延びるが、コイルがそのゾーンにおいて空隙と磁石に面することができるようにスロットに近い領域のみ空けたまま残す。
【0041】
一実施形態によれば、コアは長手方向軸に沿って延び、中央部分を画定する。換言すると、中央部分は長手方向軸に沿って延びる。コアは、長手方向軸に対して横方向である方向に、長手方向軸から離れる方に突出し、上部突出ゾーンと下部突出ゾーンを画定してもよい。特に、上部突出ゾーンは上部サブ部分を備え、下部突出ゾーンは下部サブ部分を備える。好ましくは、上部突出ゾーン及び下部突出ゾーンは、長手方向軸を横切り、コイルの中心を通過する軸に関して対称に配置される。換言すると、突出ゾーンは、長手方向軸を横切り、コイルの中心を通過する平面に関して対称に上下でコイルを取り囲む、すなわち、上部突出ゾーン及び下部突出ゾーンは、長手方向軸を横切り、コイルの中心を通過する平面に対して対称に同じ延在を有する。
【0042】
変換器の可能なアーキテクチャによれば、特に放射状アーキテクチャによれば、コイルは実質的に円形の形状を有する。この状況において、外側横方向部分は、コイルを取り囲む外側リングを形成する環状形状を有する。外側リングはコイルと同心であり、コイルと共に空隙「T」を画定する円形クラウンを形成する。
【0043】
この実施形態によれば、磁石も環状形状を有し、コイルを完全に取り囲む磁気リングを画定する。磁気リングは、北極と南極の一方がコイルの円形延在部全体にわたってコイルに面する一方、他方の極が外側側壁に面するように、空隙「T」内に位置決めされる。
【0044】
外側側壁と同様に、内側側壁も環状形状を有し、コイルを取り囲む内側リングを画定する。内側リングはコイルと磁気リングの間に配置される。この状況において、コイルは完全に強磁性回路に埋め込まれ、スロットによって空いた部分に限り空隙に面する。
【0045】
変換器の放射状アーキテクチャは、その寸法をコンパクトに保ちつつ変換器の効率を高めることができるので、特に有利である。
【0046】
一実施形態において、コイルは、長手方向軸に対して横方向である、複数の直線部分を備える。外側横方向部分は、コイルを取り囲む複数の部分を備え得る。複数の部分は、対応する複数の直線部分と協働して、複数の空隙を画定し得る。拡散器、又は変換器は、複数の磁石を備えることができ、複数の磁石の各磁石は、複数の空隙のそれぞれの空隙に配置されてもよい。特に、各磁石は、外側横方向部分の複数の部分のうちの1つの部分とコイルの複数の直線部分のうちの1つの直線部分との間に配置されてもよい。
【0047】
好ましくは、長手方向軸に対する断面において、複数の磁石は、正多角形の辺として配置される。特に、正多角形は、長手方向軸を通過する中心を有する円に内接している。
【0048】
変換器の別の可能なアーキテクチャによれば、コイルは、長手方向軸に対して横方向である主延在方向に沿って細長い形状を有する。
【0049】
この実施形態によれば、コイルは、主延在方向に平行な第1の直線部分と、第1の直線部分の反対側の、主延在方向に平行な第2の直線部分とを備える。
【0050】
第1及び第2の直線部分は、丸みを帯び(すなわち、湾曲接続セクション)、主延在方向に対して横方向であるそれぞれの接続部分によって相互に接合される。
【0051】
この実施形態によれば、外側横方向部分は、互いに分離され、長手方向軸に関して対称にコイルの側方に配置された第1及び第2の部分を備える。
【0052】
外側横方向部分の第1及び第2の部分は、実質的に平行六面体の形状であり、主延在方向に平行に延びる。
【0053】
外側横方向部分の第1及び第2の部分は、それぞれ、コイルの第1の直線部分及び第2の直線部分に面する。外側横方向部分の第1及び第2の部分は、空隙のコイルの第1の直線部分及び第2の直線部分から分離される。
【0054】
好ましい実施形態によれば、外側横方向部分の第1及び第2の部分は、主延在方向に沿って、コイルの第1の直線部分及び第2の直線部分と実質的に同じ延在を有する。
【0055】
この実施形態によれば、変換器はまた、長手方向軸に関して磁石に対称に空隙内に配置されたさらなる磁石を備える。さらなる磁石は永久磁石である。
【0056】
本記載を通じて、さらなる磁石は、「第1の磁石」という用語で示すことができる磁石と同様に、「第2の磁石」という用語で示すこともできる。
【0057】
磁石とさらなる磁石の一方は、コイルの第1の直線部分と外側横方向部分の第1の部分との間に配置され、他方は、コイルの第2の直線部分と外側横方向部分の第2の部分との間に配置される。
【0058】
さらなる磁石は、長手方向軸に平行な移動方向に沿って移動可能である。
【0059】
実施形態の一態様によれば、磁石及びさらなる磁石は、それぞれ第1及び第2の直線部分に面し、主延在方向と平行なそれぞれの軸方向に沿って延びる細長い形状を有する。
【0060】
さらなる態様によれば、第1の直線部分及び磁石は、第2の直線部分及びさらなる磁石が同じ軸方向の延在を有するように、同じ軸方向の延在を有する。
【0061】
使用時、コイルが電流によって励磁されて励磁磁界を発生させると、磁石及びさらなる磁石の両方が、空隙内で、それぞれの移動方向に沿って移動される。特に、磁石とさらなる磁石によって生成された磁界は、磁石とさらなる磁石がそれぞれの移動方向に沿って移動(上昇及び下降)するように、励磁磁界によって乱される。この磁石及びさらなる磁石の動きによって、変換器が動作可能に接続された拡散器の放射器の振動が引き起こされる。
【0062】
磁石とさらなる磁石がそれぞれの移動方向に沿って同時に移動するように、変換器は、コイルが励磁されると磁石とさらなる磁石の移動をそれぞれの移動方向に沿って一体化させるために磁石とさらなる磁石に動作可能に接続された支持体を備える。
【0063】
本発明の一態様によれば、支持体は、閉鎖形状を有し、且つ磁石及びさらなる磁石用のハウジングシートを長手方向軸に関して対称に画定するように主延在方向に沿って細長い。
【0064】
本発明の一態様によれば、変換器はまた、長手方向軸に対して横方向である支持体の移動を防止するように構成された、好ましくは金属から作られた、保持バンドを備える。
【0065】
換言すると、保持バンドは、少なくとも1つの磁石の移動に続いて長手方向軸に平行な方向に沿って支持体が並進することを制限するように構成される。
【0066】
本発明の一態様によれば、保持バンドは、支持体の移動が保持バンドの曲がりに対応するように弾性的に変形可能である。
【0067】
有利には、保持バンドは、それぞれの移動方向に沿った磁石の移動を許容するのと同時に異なる方向に沿った不要な移動を防止する。
【0068】
有利には、保持バンドはまた、変換器全体のコンパクト性と密閉性を保証する。
【0069】
一例によれば、複数の直線部分は第1、第2、第3及び第4の直線部分を備える。複数の直線部分、特に第1、第2、第3及び第4の直線部分は、それぞれの湾曲接続セクションによって相互に接合されることができる。
【0070】
一例において、第1及び第2の直線部分は、相互に向き合ってもよい。第3及び第4の直線部分は、相互に向き合ってもよい。好ましくは、第1、第2、第3及び第4の直線部分は、長手方向軸に対して横方向である同じ平面内に横たわる。
【0071】
外側横方向部分の複数の部分は、第1、第2、第3及び第4の部分を含み得る。第1、第2、第3及び第4の部分は、互いに分離可能であり、長手方向軸に関して対称にコイルに対して横方向に配置することができる。
【0072】
複数の磁石は、第1の磁石と、第2の磁石と、第3の磁石と、第4の磁石とを含み得る。
【0073】
好ましくは、第1の磁石は、第1の直線部分と外側横方向部分の第1の部分との間に配置され、第2の磁石は、第2の直線部分と第2の部分との間に配置され、第3の磁石は、第3の直線部分と第3の部分との間に配置され、第4の磁石は、第4の直線部分と第4の部分との間に配置される。
【0074】
第1、第2、第3及び第4の磁石は、長手方向軸に平行な、それぞれの移動方向に沿って移動可能である。
【0075】
一実施形態によれば、各磁石(すなわち、第1の磁石、第2の磁石、第3の磁石及び第4の磁石)は、長手方向軸を横切り、それぞれの直線部分に平行な方向に沿って延びる。
【0076】
一実施形態において、複数の磁石は、それぞれの角状要素によって相互に接合される。好ましくは、角状要素は、長手方向に沿って移動可能な剛性構造を形成するように、コイルの湾曲接続セクションに対応して配置される。
【0077】
一実施例によれば、第1の直線部分と第1の磁石は、第2の直線部分と第2の磁石、第3の直線部分と第3の磁石、第4の直線部分と第4の磁石と同様に、長手方向軸に対する同じ横方向の延在を有する。
【0078】
一実施形態によれば、音拡散器は、案内装置、特に4つの案内装置を備える。各案内装置は、それぞれの移動方向に沿った複数の磁石の各磁石の移動を可能にするために、複数の角状要素に結合されることができる。
【0079】
案内装置は、単一の案内装置であり得ることが観察される。
【0080】
各案内装置は、移動方向に沿った磁石の移動を制限するように構成されている一方、長手方向軸に対して横方向である方向における移動を防止している。
【0081】
案内装置に関しては、これは、参照により本明細書に組み込まれている、同一出願人による(特許文献3)に記載されているものに従って作ることができる。
【0082】
「結合された」という用語は、例えば、案内装置の外面が角状要素と一致できること、又は、角状要素が案内装置の外面を画定すること、又は、案内装置の外面を画定する筒に角状要素が接続されることを意味することに留意されたい。
【0083】
各案内装置は、長手方向に向けられた案内軸の周囲に延びる内面を備える。各案内装置は、案内軸の周囲に延び、キャビティを画定するために内面を取り囲む外面を備える。各案内装置は、キャビティ内に配置され、内面及び外面と接触し、内面と外面との間の相対運動に応答して長手方向に移動しながらそれらの上を転がる複数のボールベアリングを含み得る。好ましくは、各案内装置は、それ自体に閉じられたリングを形成し、内面及び外面と接触した状態でキャビティ内に配置され、内面と外面との間の相対運動に応答して長手方向に移動しながらそれらの上を転がる弾性要素、例えばバネを備える。
【0084】
内面はコアに(直接又は間接的に)接続可能であり、外面は磁石、すなわち、少なくとも1つの磁石に(直接又は間接的に)接続可能であり、又は内面は磁石、すなわち、少なくとも1つの磁石に(直接又は間接的に)接続可能であり、外面はコアに(直接又は間接的に)接続可能である。
【0085】
好ましくは、外面は複数の磁石のうちの一対の磁石に接続され、内面はコアに接続され、又は外面はコアに接続され、内面は複数の磁石のうちの一対の磁石に接続される。
【0086】
内面及び外面は長手方向に沿って様々な形状に従って発展することも可能であることが観察される(例えば、それらは長手方向軸に平行なそれぞれの平面に沿って発展できる)。したがって、弾性要素を内面と外面によって形成されたキャビティ内に挿入し、それら表面間で長手方向に回転するようにすることができる。この場合、弾性要素は、リングを形成するためにそれ自体に閉じられなくてもよい。
【0087】
一例によれば、案内装置は、本記載の1つ又は複数の態様に従って作製可能な、好ましくは金属製の保持バンドを備える。保持バンドは、移動方向に沿った磁石の移動を制限し、移動方向に対して横方向である方向に沿った移動を防止するように構成される。保持バンドは、角状要素に接続することができる。保持バンドは、保持バンドの複数のセクションを画定する第1、第2、第3及び第4のセクションを備え得る。保持バンドの複数のセクションのうちの一対のセクションは、その一端で、角状要素に接続されることができる。保持バンドの複数のセクションのうちの各セクションは、その中央領域で、好ましくは共同で、例えば接続要素を介して、外側横方向部分の複数の部分の対応する部分に接続することができる。各セクションは弾性的に変形可能であり、その結果、角状要素の移動は、角状要素が接続されている保持バンドのセクションの曲がりに対応する。
【0088】
1つの可能な実施形態によれば、複数の磁石の各磁石は、第1の端部と第2の端部を有する。第1の端部は長手方向において第2の端部の反対側にある。各磁石は南極と北極を含む。好ましくは、各北極及び各南極は、長手方向軸と平行に第1の端部と第2の端部との間に延びる。
【0089】
換言すると、各磁石は、第1の側と、第1の側と反対の第2の側とを有する。第1の側及び第2の側は、長手方向、すなわち、長手方向軸と平行な方向に沿って延びる。この場合、各磁石は、磁石の第1及び第2の側の一方に配置された南極と、磁石の第1及び第2の側の他方に配置された北極とを備える。
【0090】
好ましくは、第1の磁石及び第2の磁石は、コイルに面する同じ極を有する。存在する場合、第3の磁石及び第4の磁石は、コイルに面する同じ極を有する。
【0091】
したがって、第1、第2、第3及び第4の磁石を有する実施形態は、放射状構成に最も近似している。これにより、拡声器によって展開される同じ力について、より含まれた可動質量(すなわち、磁石の質量)が可能となり、周波数において、特に高周波数に向かって、より拡張された通過域を得ることが可能になる。
【0092】
一例によれば、音拡散器、すなわち変換器は、熱伝導性樹脂マトリックスを備え、マトリックスはコイル及びコアの少なくとも一部を組み込んでいる。
【0093】
一例において、コアは焼結磁性複合体、SMCによって作られる。焼結磁性複合体は、高誘電率、高透磁率を特徴とし、また、寄生電流による損失を低減し、材料ヒステリシスを低減することができる。
【0094】
本発明の技術的目的及び目標はまた、音拡散器用変換器の製造方法によって達成される。
【0095】
この方法は、長手方向軸に対して横方向であるそれぞれの平面上にそれぞれ延びる複数の巻線を備えたコイルを備える変換器を準備するステップを含む。複数の巻線は、長手方向軸に沿って並置される。変換器はまた、コイルが巻かれる中央部分と、コイルの側方に位置し、空隙によってコイルから分離される外側横方向部分とを備えるコアを備える強磁性回路を備える。変換器はまた、少なくとも1つの磁化可能な要素を備える。
【0096】
可能な実施形態によれば、変換器は、互いに反対側で磁化可能で、長手方向軸に関して対称であり得る一対の要素を備える。
【0097】
本方法はまた、少なくとも1つの磁化可能な要素を空隙内に位置決めするステップと、変換器の外側に、磁化可能な要素を磁化するように構成された補助磁化回路を準備するステップとを含む。
【0098】
次に、本方法は、永久磁石(又は、さらなる磁化可能な要素がある場合には、さらなる永久磁石)を作るように補助磁化回路を作動させることによって、少なくとも1つの磁化可能な要素を磁化するステップを含む。
【0099】
有利には、変換器の内側で一旦磁化可能な要素を磁化する可能性は、変換器の組立てを促すことを可能にする。
【0100】
本記載はまた、音拡散器を介して音を拡散する方法を提供する。本方法は、長手方向軸に対して横方向であるそれぞれの平面上にそれぞれ延びる複数の巻線を有するコイルを備える変換器を準備するステップを含み、複数の巻線は長手方向軸に沿って並置される。変換器は、コイルが巻かれる中央部分と、コイルの側方に位置し、空隙によってコイルから分離される外側横方向部分とを備えるコアを備える強磁性回路、並びに、少なくとも1つの磁化可能な要素を備える。
【0101】
本方法は、磁化可能な要素を空隙内に位置決めするステップを含む。本方法は、変換器の外側に、磁化可能な要素を磁化するように構成された補助磁化回路を準備する段階を提供する。本方法は、永久磁石を作るために補助磁化回路を作動させることによって、空隙内に配置された磁化可能な要素を磁化するステップを含む。
【0102】
一例によれば、コイルの巻線は長手方向軸を取り囲み、コイルは長手方向軸に対して横方向である複数の直線部分を備え、複数の直線部分は、湾曲接続セクションによって相互に接合された第1、第2、第3及び第4の直線部分を含み、第1及び第2のストレート部分は相互に向き合い、第3及び第4の部分は相互に向き合う。外側横方向部分は、コイルを取り囲み、対応する複数の直線部分と協働して複数の空隙を画定する複数の部分を備えてもよく、ここで外側横方向部分の複数の部分は第1、第2、第3及び第4の部分を備える。
【0103】
一例によれば、本方法は、複数の永久磁石を作るために補助磁化回路を作動することによって、磁化可能な要素を磁化するステップを含む。各磁石は、複数の空隙のそれぞれの空隙内に配置され、複数の磁石は、長手方向軸に平行なそれぞれの移動方向に沿って移動可能な第1、第2、第3及び第4の磁石を備える。
【0104】
可能な実施形態において、本方法は、複数の磁石を一緒に接合するために、コイルの湾曲接続セクションに対応して角状要素を提供するステップを含む。本方法は、4つの案内装置を提供するステップを含むことができ、そのそれぞれは、複数の角状要素の一の角状要素に結合される。本方法は、案内装置によって、複数の磁石をそれぞれの移動方向に沿って案内するステップを含むことができる。
【0105】
各案内装置は、本記載の1つ又は複数の態様に従って作製することができる。
【0106】
一実施形態によれば、本方法は、磁石と(又は複数の磁石と)音拡散器の放射器との間に動作可能に配置された作動部材(又は複数の作動部材)を含む機械式伝達装置を提供するステップと、機械式伝達装置を介して磁石(又は複数の磁石)の動きを放射器に伝達する段階とを提供する。
【0107】
本発明はまた、ハウジングを備える音拡散器に関する。
【0108】
可能な実施形態によれば、拡散器はケースも備え得る。
【0109】
音拡散器はまた、ハウジングの内部に配置された変換器であって、コイルと、コイルによって発生する磁界の作用下で移動方向に沿って往復運動で移動可能な少なくとも1つの磁石、特に永久磁石とを備える変換器を備える。
【0110】
音拡散器はまた、ハウジングに接続されたサスペンションと、サスペンションに接続された放射器とを含むラジエント構造を備える。
【0111】
サスペンションは、放射器をハウジングに対して振動させることができるように構成されている。
【0112】
特に、サスペンションは、少なくとも1つの磁石の移動方向と平行な長手方向軸に沿って、放射器が往復運動で移動することを可能にする。
【0113】
この状況において、長手方向軸に平行な移動方向に沿った磁石の動きが、長手方向軸に沿った放射器の振動、特に反対方向の振動に対応するように、放射器は少なくとも1つの磁石に動作可能に結合される。
【0114】
有利には、変換器の質量は音拡散器の音結合システムの質量と同等であるので、音拡散器が平衡化され、動作中に生じる機械的振動を最小限に抑えるように、質量が慣性的に対向されることを可能にするべく少なくとも1つの磁石の動きを放射器の動きと逆にすることは好都合である。
【0115】
一例によれば、音拡散器は、好ましくは放射器を少なくとも1つの磁石と反対の方向に動かすための、又は放射器を少なくとも1つの磁石と同じ方向に動かすための、少なくとも1つの磁石と放射器との間に配置された少なくとも1つの作動部材を含む機械式伝達装置を備える。
【0116】
機械式伝達装置、特に作動部材は、ホモキネティックインバータ(homokinetic inverter)を構成する。放射器の移動の振幅及び磁石の移動の振幅は、同じであっても異なっていてもよく、換言すると、その伝達比は1又は1以外であることができる。
【0117】
例えば、機械式伝達装置は、放射器を複数の磁石と反対の方向に移動するための、又は、放射器を複数の磁石と同じ方向に移動するための複数の作動部材を含み得る。
【0118】
複数の作動部材は、放射器を第1の磁石に対して移動するための第1の作動部材と、放射器を第2の磁石に対して移動するための第2の作動部材と、放射器を第3の磁石に対して移動するための第3の作動部材と、放射器を第4の磁石に対して移動するための第4の作動部材とを備えることができる。
【0119】
したがって、インバータのシステム、すなわち機械式伝達装置は周辺的であり、放射器を磁石に結合する力のより良い分配を可能にし、これは、放射器自体の圧力耐性を促し、より軽量で経済的な構造を可能にする。一例によれば、作動部材、又は複数の作動部材は、案内装置を構成することができ、すなわち、作動部材は、移動方向に対して横方向である方向の移動を防止しながら移動方向に沿った磁石又は複数の磁石の移動を制限する、又は案内するように構成することができる。
【0120】
本発明のさらなる特徴及び利点は、音拡散器用変換器、音拡散器及び変換器の製造方法の非排他的な実施形態の以下に続く非限定的な記載の中でより明らかになる。
【0121】
本記載は、本発明の範囲を制限することなく、単に説明のために提供される添付図面を参照して以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【
図2】機械式伝達装置のない変換器のさらなる斜視図である。
【
図5A-5B】変換器のさらなる実施形態の断面図及び上面図である。
【
図7】本発明による機械式変換器が後付けで適用された先行技術の音拡散器の断面を示す。
【
図8】変換器が位置決めされた音拡散器の斜視図である。
【
図9】本発明により製造された音拡散器の概略的な斜視図である。
【
図10A-10C】本発明の1つ又は複数の態様による音拡散器である。
【
図11】本発明の1つ又は複数の態様による音拡散器である。
【
図12A-12G】本発明の1つ又は複数の態様による変換器である。
【
図13A】本発明の1つ又は複数の態様による、長手方向軸を通過する対称面に沿った変換器の断面を概略的に示す。
【
図13B】
図12Bの線Bに沿った断面における、本発明の1つ又は複数の態様による変換器を示す。
【
図14A-14D】本発明の1つ又は複数の態様による変換器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
添付の図面を参照すると、番号100は音拡散器「C」のための変換器を示す。
【0124】
変換器100は、長手方向軸「A」に対して横方向であるそれぞれの平面γ内にそれぞれが横たわる複数の巻線201を含むコイル200を備える。複数の巻線201は長手方向軸「A」に沿って並置される。
【0125】
換言すると、コイル200は、その巻線201が互いに平行であるように長手方向軸「A」によって定められる方向に沿って巻かれる。
【0126】
変換器100はまた、コイル200が巻かれた中央部分300aを備えるコアを含む強磁性回路300を備える。
【0127】
強磁性回路300はまた、コイル200の側方に配置され、少なくとも部分的にコイル200を取り囲む外側横方向部分300bを備える。
【0128】
図4及び5A~5Bに示されるように、外側横方向部分300bは、長手方向に延びる空隙「T」によってコアから離間される。
【0129】
変換器100はまた、空隙「T」の内側に配置された少なくとも1つの磁石400aを備える。磁石400aは永久磁石である、すなわち、それ自体の磁界を生成することができる磁性体である。
【0130】
磁石400aは、長手方向軸「A」に平行な移動方向「M1」に沿って移動可能である。
【0131】
より詳細には、移動方向M1に沿った磁石400aの移動は、コイル200を励磁することによって(すなわちその内側の電流の通過によって)発生する励磁磁界によって誘発される。
【0132】
この状況において、変換器100が音拡散器「C」に取り付けられ、コイル200が励磁信号によって励磁されると、励磁磁界が生成される。励磁磁界は永久磁石400aを移動方向「M1」に沿って移動する永久磁石400aの磁界と相互作用する。磁石400aの移動は次に音拡散器「C」の放射器30bの振動又は並進を引き起こし、これにより音拡散器「C」は音を発することができる。
【0133】
好ましい実施形態によれば、磁石400aは第1の端部400a’と第2の端部400a’’とを有する。
【0134】
磁石400aは、長手方向軸「A」と平行に第1の端部400a’と第2の端部400a’’との間に延びる南極「Sa」及び北極「Na」を有する。
【0135】
図3A又は5Aに示されるように、この状況において、磁石400aは、南極「Sa」及び北極「Na」にそれぞれ対応する2つの対向面を実質的に有する。
【0136】
磁石400aが空隙「T」に位置決めされるとき、南極「Sa」と北極「Na」の一方は全体的にコイル200の方を向き、他方は外側側壁300bの方を向いている。
【0137】
本発明によれば、強磁性回路300はまた、コイル200の側方に位置し、コイル200と少なくとも1つの磁石400aとの間に配置された内側横方向部分300cを備える。
【0138】
内側横方向部分300cは、コイル200に近い高透磁率ゾーンを有する。
【0139】
このゾーンは、磁石400aの磁界の磁力線が
図6Bに示すような形状を有することを可能にし、すなわち、以下に詳細に記載するように、コイル200が励磁されていないときの磁界が、コアの内部ではなく内側横方向部分300cの内部で閉じることを可能にする。
【0140】
可能な実施形態によれば、高透磁率ゾーンは、内側横方向部分300cを、長手方向軸「A」に平行な方向に沿って並置され且つ空隙「T」の方を向くそれぞれの磁極拡張部を画定する上部サブ部分300c’と下部サブ部分300c’’に分割するように長手方向軸「A」に対して横方向であるスロット「I」によって画定される。
【0141】
図4及び5Aの断面図に示すように、内側横方向部分300cの上部サブ部分300c’及び下部サブ部分300c’’は、コアと一体に作られて、外側横方向部分300bに向かって中央部分300aに対して突出してもよい。この状況において、内側横方向部分300c及び中央部分300aは、強磁性回路300が断面において実質的にH形状を有するように成形される。
【0142】
例えば
図4に示すように、上部サブ部分300c’と下部サブ部分300c’’は連動して、スロット「I」が作られる箇所を除くコイル200のほぼ全体を巻き込むように作用する。
【0143】
換言すると、コイル200は、スロット「I」に近い部分を除いて強磁性回路300に埋め込まれ(又は覆われ)、スロット「I」は一方で空隙「T」に直接面している。
【0144】
スロットの存在は、特に、それが
図6Bに示されるような磁界の拡張を可能にするように低リラクタンス(又は高透磁率)のゾーンを形成するので有利である。この状況において、少なくとも1つの磁石400aは、空隙「T」の内側の平衡位置、すなわちそれが実質的にスロット「I」に完全に面する位置にある。電流がコイル200の内側に流されると、電流は、磁石400aの磁界と相互作用すると移動方向「M1」に沿った移動を誘発する励磁磁界を誘起する。
【0145】
好ましい実施形態によれば、内側横方向部分300c及び/又は中央部分300aは、長手方向軸「A」に対して横方向である方向に沿って互いに整列された複数のプレートを備える(
図3B)。
【0146】
添付図面に示される実施形態を参照すると、
図5A及び5Bは、変換器100の可能な実施形態を示し、ここで変換器100は実質的に半径方向の広がりを有する。
【0147】
この実施形態によれば、コイル200は実質的に円形であり、コアの中央部分300aの周囲に巻かれる。この状況において、外側横方向部分300bは、コイル200を取り囲む外側リングを形成する環状の形状を有する。外側リングは、コイル200と同心であり、空隙「T」を画定する円形クラウンを一緒に形成する。
【0148】
この実施形態によれば、
図5Bに示されるように、少なくとも1つの磁石400aは同じく環状の形状を有し、コイル200を完全に取り囲む磁気リングを画定する。磁気リングは、空隙「T」の内側に位置決めされ、それにより、北極「Na」と南極「Sa」の一方の極はコイル200の円形の広がり全体に向かってコイル200の方を完全に向き、一方で他方の極は外側側壁300bの方を向く。
【0149】
換言すると、
図5Aの断面に示されるように、磁気リングは、長手方向軸「A」に平行な方向に沿って、それぞれ磁石400aの北極「Na」及び南極「Sa」を定める2つの部分に分割され、そのそれぞれはコイル200又は外側側壁300bのどちらか一方に完全に面している。
【0150】
図5Bの例では、南極「Sa」はコイル200に面し、一方、北極「Na」は外側側壁300bに面する。
【0151】
コイル200、外側リング、及び磁気リングは、長手方向軸「A」に対して同心であり、長手方向軸「A」を中心にして配置される。
【0152】
この実施形態によれば、内側横方向部分300cはまた、外側リングと同心の内側リングを画定する環状形状を有する。内側リングは、コイル200と磁気リングとの間に配置される。
【0153】
この状況において、スロット「I」は、上部サブ部分300c’及び下部サブ部分300c’’を画定するように環状に延びる。
【0154】
図5Aに示すように、この場合も、上部サブ部分300c’及び下部サブ部分300c’’は、コイル200をそれぞれ上下で覆ってそれに巻き付くように、中央部分300aから突出する。上部サブ部分300c’と下部サブ部分300c’’は、次に、空隙「T」の方を向いたコイル200の面(又は壁)の周りに少なくとも部分的に巻き付くために、長手方向軸「A」に平行な方向に沿って互いに向かって移動する。
【0155】
したがって、使用時には、コイル200が電流によって励磁されると、磁気リングの磁界と相互作用して移動方向「M1」に沿ったその移動を引き起こす励磁磁界が発生する。この移動は、変換器100が関連付けられる音拡散器「C」の放射器30bの移動又は振動を引き起こす。
【0156】
有利なことに、上記の変換器100の放射状アーキテクチャは、コイル200が強磁性回路300によって完全に取り囲まれて巻かれているため、実質的に全ての損失を排除することが可能である。
【0157】
図2~4の実施形態を参照すると、コイル200は、長手方向軸「A」に対して横方向である主延在方向「X」に沿った細長い形状を有している。
【0158】
この実施形態によれば、コイル200は、主延在方向「X」に平行な第1の直線部分200aと、第1の直線部分200aに面し、主延在方向「X」に平行な第2の直線部分200bとを備える。
【0159】
第1及び第2の直線部分200a、200bは、丸みを付けられて、主延在方向「X」に対して横方向であるそれぞれの接続部分200cによって接合される(
図3C)。
【0160】
この実施形態によれば、外側横方向部分300bは、互いに分離され、長手方向軸「A」に関して対称であるコイル200の横に配置された第1及び第2の部分300b’、300b’’を備える。
【0161】
例えば
図3A~3Cに示されるように、外側横方向部分300bの第1及び第2の部分300b’、300b’’は、それぞれ、第1の直線部分200a及び第2の直線部分200bに面する。
【0162】
外側横方向部分300bの第1及び第2の部分300b’、300b’’は、空隙「T」により、コイル200の第1の直線部分200a及び第2の直線部分200bから分離される。
【0163】
好ましい実施形態によれば、外側横方向部分300bの第1及び第2の部分300b’、300b’’は、主延在方向「X」に沿って、コイル200の第1の直線部分200a及び第2の直線部分200bと実質的に同じ延在を有する。
【0164】
この実施形態によれば、変換器100はまた、長手方向軸「A」に関して磁石400aと対称である空隙「T」の内側に配置されたさらなる磁石400bを備える。さらなる磁石400bは、永久磁石である。
【0165】
図3B及び4に示されるように、磁石400aとさらなる磁石400bの一方は、コイル200の第1の直線部分200aと、外側横方向部分300bの第1の部分300b’との間に配置される一方、磁石400aとさらなる磁石400bの他方は、コイル200の第2の直線部分200bと外側横方向部分300bの第2の部分300b’’との間に配置される。
【0166】
さらなる磁石400bは、長手方向軸「A」に平行な移動方向「M2」に沿って移動可能である。
【0167】
より詳細には、コイル200が励磁されて励磁磁界を発生させると、移動方向「M2」に沿ったさらなる磁石400bの移動が誘発される。この状況において、コイル200の励磁に続いて、磁石400a及びさらなる磁石400bの両方が、それぞれの移動方向「M1」、「M2」に沿って(互いに平行に)移動させられて、変換器100が取り付けられた音拡散器「C」の放射器30bの振動が引き起こされる。
【0168】
実施形態の一態様によれば、磁石400a及びさらなる磁石400bは、それぞれコイル200の第1及び第2の直線部分200a、200bに面し、主延在方向「X」に平行なそれぞれの軸方向に沿って延びる細長い形状を有する。
【0169】
実施形態の別の態様によれば、第1の直線部分200a及び磁石400aは、同じ軸方向の延在を有し、第2の直線部分200b及びさらなる磁石400bは、同じ軸方向の延在を有する。
【0170】
より詳細には、コイル200は対称であり、したがって、第1の直線部分200aの軸方向の延在は、第2の直線部分200bの軸方向の延在と等しく、したがって、磁石400aの軸方向の延在は、さらなる磁石400bの軸方向の延在と等しい。
【0171】
図3Bに示すように、磁石400a及びさらなる磁石400bは、同じ極「Sa」、「Na」、「Sb」、「Nb」をコイル200に向ける。
【0172】
上記図面では、磁石400aとさらなる磁石400bは、共に北極「Na」、「Nb」をコイル200に向けている。代替的に、磁石400a及びさらなる磁石400bは共に、南極「Sa」、「Sb」をコイル200に向け、ひいては、外側横方向部分300bの第1及び第2の部分300b’、300b’’に北極「Na」、「Nb」を向けることが可能である。
【0173】
本実施形態によれば、強磁性回路300の中央部分300a及び内側横方向部分300cは、主延在方向「X」に沿った細長い形状を有する。この状況において、スロット「I」は、長手方向軸「A」を横切り、主延在方向「X」に平行に延びる。
【0174】
スロット「I」は横方向部分を上部部分300c’と下部部分300c’’とに分割する。
【0175】
図4に示されるように、この実施形態によれば、コイル200の第1及び第2の直線部分200a、200bは、強磁性回路300の中央部分300aと横並びに配置され、底部及び上部で、内側横方向部分300cの上部及び下部サブ部分300c’、300c’’によって包まれる。
【0176】
この状況において、コイル200の第1及び第2の直線部分200a、200bは、実質的にそれらの全延在に沿って強磁性回路300内に入れられる一方、接続部分200cは強磁性回路300から突出する。
【0177】
この態様は、損失を最小限に抑え、変換器100の効率を高めるので、特に有利である。
【0178】
より詳細には、コイル200は強磁性回路300のほぼ内側全体に延びるので、強磁性回路300内に入らない接続部分200cによって与えられる効率の損失を簡単に補償(すなわち最小化)することが可能である。
【0179】
使用中、したがって、磁石400a及びさらなる磁石400bは、電流がコイル200に流れない場合、平衡位置にある、すなわち、内側横方向部分内に作られたスロット「I」に対向する。
【0180】
コイル200が電流によって励磁されると、磁石400a及びさらなる磁石400bの平衡を乱すことができる励磁磁界が強磁性回路300内に生成される。特に、励磁磁界は、磁石400a及びさらなる磁石400bによって生成された磁界と相互作用し、それら磁石をそれぞれの移動方向「M1」、「M2」に沿って移動させる。結果、磁石400a及びさらなる磁石400bの移動により、変換器100が取り付けられた音拡散器「C」の放射器30bの振動(又は並進)が引き起こされ、音の生成を可能にする。
【0181】
磁石400a及びさらなる磁石400bがそれぞれの移動方向「M1」、「M2」に沿って同時に移動するように、変換器100は、磁石400及びさらなる磁石400bに動作可能に接続された支持体600を備え、それにより、コイル200が励磁されると磁石400a及びさらなる磁石400bの移動をそれぞれの移動方向「M1」、「M2」に沿って一体的にするようにする。
【0182】
本発明の一態様によれば、支持体600は閉鎖された形状を有し、磁石400a及びさらなる磁石400bのための収容シートを長手方向軸「A」に関して対称に画定するように主延在方向「X」に沿って細長い(
図2)。
【0183】
使用時、コイル200が励磁されると、磁石400a及びさらなる磁石400bは、励磁磁界から同時に励磁されて移動する。磁石400a、400bは支持体600に接続されているので、支持体600を長手方向軸「A」に沿って並進運動するように駆動する。次いで支持体600は、長手方向軸「A」に平行な方向に沿って、したがって、磁石400a及びさらなる磁石400bの移動方向「M1」、「M2」に平行に、往復運動する。
【0184】
本発明の一態様によれば、支持体600は、移動方向「M1」、「M2」に沿った磁石400a、400bの下降及び上昇運動における上限及び下限ストッパとして機能する。
【0185】
有利には、支持体600は、それぞれの移動方向「M1」、「M2」に沿った磁石400a、400bのストロークが、磁石400a、400bがコイル200の励磁によって発生する磁界に常に入れられたままであるようなものである。
【0186】
換言すると、その移動中、すなわち使用時の構成において、磁石400a、400bは常に励磁磁界に入れられたままである。
【0187】
本発明の一態様によれば、変換器100は、長手方向軸「A」に沿って互いに相対的に並置され、格納空間を形成するような2つの半殻部800a、800bを備える格納殻部800を備える(
図3A)。
【0188】
好ましくは、半殻部800a、800bは、「U」字形であり、それぞれ、強磁性回路300の外側横方向部分300bと係合するように設計された2つのフランジを備える。
【0189】
より詳細には、例えば
図3Aの実施形態に示されるように、格納空間は2つの半殻部800a、800bによって上下で区切られる一方、強磁性回路300の外側横方向部分300bによって横方向で区切られる。
【0190】
コイル200は半殻部800a、800bと一体であり、格納空間内に固定位置を維持するような方法でそれらに固定される。
【0191】
図1に示されるように、支持体600は、磁石400a及びさらなる磁石400bと係合する部分については格納空間内に挿入される一方、残りの部分については格納空間の外にある。
【0192】
本発明の一態様によれば、変換器100はまた、長手方向軸「A」に対して横方向である支持体600の移動を防止するように構成された、好ましくは金属で作られた保持バンド700を備える。
【0193】
換言すると、保持バンド700は、支持体600が少なくとも1つの磁石400aの動きに続いて長手方向軸「A」に平行な方向に沿って並進することを制限するように構成される。
【0194】
本発明の一態様によれば、保持バンド700は、以下で詳細に記載するように、支持体600の動きが保持バンド700の曲がりに対応するように弾性的に変形可能である。
【0195】
図1又は2に示されるように、保持バンド700は、変換器100を取り囲み、主延在方向「X」に平行に延び、変換器100を完全に取り囲む。
【0196】
この状況において、支持体600は、主延在方向「X」に沿って互いに反対側に支持体600の端部に形成され、保持バンド700を安定的に受けるように構成された第1及び第2のハウジングシート600a、600b(視認不可)を有する。
【0197】
好ましい実施形態によれば、保持バンド700は、第1及び第2のハウジングシート600a、600bの間で第1の半殻部800aに沿って主延在方向「X」に平行に延びる第1のセクション700aを有している。保持バンド700はまた、第1及び第2のハウジングシート600a、600bの間で第2の半殻部800bに沿って主延在方向「X」に平行に延在する第2のセクション700bを有している。
【0198】
保持バンド700の第1及び第2のセクション700a、700bは、第1及び第2のハウジングシート600a、600bに、例えばネジによって枢着されている。
【0199】
また、保持バンド700の第1及び第2のセクション700a、700bは、第1及び第2の半殻部800a、800b、好ましくはそれらの中央領域(
図1)にも、例えばネジによって枢着されている。この状況において、磁石400a、400bがそれぞれの移動方向「M1」、「M2」に沿って移動され、支持体600が長手方向軸「A」に平行にそれらと一体となって並進すると、保持バンド700の第1及び第2のセクション700a、700bは第1及び第2のハウジングシート600a、600b及び半殻部800a、800bに枢着されているので、保持バンド700が曲げを受ける。
【0200】
有利には、保持バンド700は、それぞれの移動方向「M1」、「M2」に沿った磁石400a、400bの移動を可能にし、同時に、異なる方向に沿った不要な移動を防止する。
【0201】
有利には、保持バンド700はまた、変換器100全体のコンパクト性及び密閉性を保証する。
【0202】
したがって、本発明による変換器100は、少なくとも磁石1つ400aの(又は、必要に応じて、存在する場合さらなる磁石400bの)移動方向に小さなサイズを有する。
【0203】
本発明による変換器100は、高い電気機械的効率と良好な強度を有するだけでなく、かなりの構造上の単純性も有する。
【0204】
本発明による変換器100は、適度なコストと、高品質の磁性材料の適度な使用とを有しているが、それというのも、変換器100は高品質の磁性材料が磁石のエネルギー積の最適点で働くことを可能にするからである。
【0205】
本発明はまた、音拡散器「C」のための変換器100の作製方法に関する。
【0206】
方法は、長手方向軸「A」に対して横方向であるそれぞれの平面γにそれぞれが延びる複数の巻線201を備えるコイル200を備える変換器100を準備するステップを含む。複数の巻線201は長手方向軸「A」に沿って並置される。変換器100はまた、コイル200が巻かれた中央部分300aと、コイル200の横に配置され、空隙「T」によってコイル200から分離された外側横方向部分300bとを備えるコアを備える強磁性回路300を備える。変換器100はまた、少なくとも1つの磁化可能な要素を備える。
【0207】
可能な実施形態によれば、変換器100は、互いに反対側で磁化可能であり、且つ長手方向軸「A」に関して対称であり得る一対の要素を備える。
【0208】
方法はまた、空隙「T」内に磁化可能な要素を位置決めするステップと、変換器100の外側で、磁化可能な要素を磁化するように構成された補助磁化回路10を準備するステップとを含む。
【0209】
可能な実施形態によれば、補助回路10は
図6Aに示されるようなアーキテクチャを有する。特に、補助回路10は、磁化可能な要素を磁化することができる磁界を生成することができる磁化コイル11を備える。
【0210】
方法は次に、永久磁石400a(又はさらなる磁化可能な要素がある場合、さらなる磁石400b)を作るように補助磁化回路10を活性化することによって、少なくとも1つの磁化可能な要素を磁化するステップを含む。
【0211】
有利には、変換器100の内部で一旦磁化可能な要素を磁化する可能性により、変換器100の組み立てを容易にすることが可能である。
【0212】
本記載はまた、ハウジング20を備える音拡散器「C」に関するものである。
【0213】
示された実施形態によれば、ハウジング20は、断面が円形の形状をしている。代替的に、ハウジング20は、断面において、任意の形状を有していてもよい。
【0214】
音拡散器「C」はまた、ハウジング20の内部に配置され(
図8)、コイル200と、コイル200によって発生する磁界の作用下に移動方向「M1」に沿って往復運動で移動可能な少なくとも1つの磁石400a、好ましくは永久磁石とを備える変換器100を備えている。
【0215】
例えば、音拡散器「C」は、上に記載したような変換器100を備え得る。
【0216】
添付図面に示される実施形態によれば、音拡散器「C」は、
図1~4の実施形態による変換器100を備える。
【0217】
また、音拡散器「C」は、ハウジング20に接続されたサスペンション30aと、サスペンション30aに接続された放射器30bとを備えるラジエント構造30を備える。
【0218】
サスペンション30aは、放射器30bがハウジング20に対して振動することを可能にするように構成されている。
【0219】
特に、サスペンション30aは、少なくとも1つの磁石400aの移動方向「M1」に平行な長手方向軸「A」に沿って、放射器30bが往復運動することを可能にする。
【0220】
この状況において、放射器30bは、長手方向軸「A」に平行な移動方向「M1」に沿った磁石400aの移動が長手方向軸「A」に沿った放射器30bの振動に対応するように、少なくとも1つの磁石400aに動作可能に結合される。
【0221】
より詳細には、音拡散器「C」は、放射器30bを少なくとも1つの磁石400aに対して反対方向に移動させるための、少なくとも1つの磁石400aと放射器30bとの間に配置された少なくとも1つの作動部材40を備える機械式伝達装置を備える。
【0222】
換言すると、作動部材40は、1つの方向における移動方向「M」に沿った磁石400aの移動が反対方向における長手方向軸「A」に沿った放射器30bの移動に対応するようなものである。
【0223】
有利には、このようにして、後述するように、音拡散器「C」に作用する慣性力を平衡化させて、不要な振動を回避することが可能である。
【0224】
本発明の一態様によれば、作動部材40は、変換器100に枢着された一対の回転部材41a、41bを備える。
【0225】
より詳細には、作動部材40の回転部材41a、41bは、それぞれ、変換器100の強磁性回路300の外側側壁300b上の接続点「P」で枢着される(
図1)。
【0226】
本発明の一態様によれば、接続点「P」において、回転部材41a、41bは、ピンによって枢着される。好ましくは、ボール又はローラベアリングがピンと回転部材41a、41bとの間に配置される。
【0227】
代替的に、回転部材41a、41bは、適合機構によって、すなわち、作動部材40のボディの弾性変形を介して力及び動きの伝達を行う可撓性機構によって、外側側壁300bに関連付けられる。例えば、適合機構は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる、本発明と同じ出願人の名の下で(特許文献4)に記載されたように作製されてもよい。その特許出願に記載された適合機構によれば、適合機構の一方の端部はパッシブなラジエントパネルに接続され、別の端部は(補償のために)塊に接続される。この種の適合機構が本解決策に使用される場合、第1の端部は放射器30b(この場合、音波を生成するアクティブな役割を有する)に接続され、適合機構の他方の端部は、磁石400aに(したがって、磁石400aと一体の塊に)(直接又は間接的に)接続される。特に、2つの磁石が存在する場合、各磁石に1つの2つの適合機構が存在する。
【0228】
この状況において、作動部材40の弾性変形によって、磁石400aの動き(すなわち、並進)を、放射器30bも移動されるように変換器100の放射器30bに伝達することが可能である。
【0229】
代替的に、適合機構及び/又はシステムと、摺動又は回転との組み合わせを提供することも可能である。この状況において、かなりの塊の導入を回避し、変換器100の移動の線形性を維持することができる。
【0230】
添付図面に示される実施形態によれば、一対の回転部材41a、41bは、長手方向軸「A」に対して横方向である整列方向に沿って並置される。
【0231】
換言すると、一対の回転部材41a、41bは、それらの接続点「P」が、長手方向軸「A」を横切り、且つ主延在方向「X」に平行な整列方向に沿って整列するように、強磁性回路300の外側側壁300bに接続される。
【0232】
好ましくは、作動部材40の回転部材41a、41bは、接続点「P」が中心位置を占める実質的に円形の形状を有する。
【0233】
回転部材41a、41bは、移動方向「M1」に沿った少なくとも1つの磁石400aの移動に応答して、互いに逆回転する。
【0234】
図1に示すように、作動部材40はまた、放射器30bと一体の接続体42を備える。
【0235】
接続体42は、放射器30bを移動させるために、長手方向軸「A」に平行な方向に沿って往復運動で移動可能である。
【0236】
本発明の一態様によれば、接続体42は、一対の回転部材41a、41bと放射器30bとの間に配置される。
【0237】
図1に示されるように、一対の回転部材41a、41bは、接続体42に関して対称に位置決めされる。
【0238】
より詳細には、接続体42は、後述するように、回転部材41a、41bの回転が接続体42の移動(往復並進移動)に対応するように、一対の回転部材41a、41bに動作可能に接続される。
【0239】
本発明の一態様によれば、移動方向「M1」に沿った少なくとも1つの磁石400aの第1の方向への移動が、長手方向軸「A」に沿った放射器30bの第1の方向とは反対の第2の方向への同時移動に対応するように、機械式伝達装置がホモキネティックインバータを構成している。この状況において、放射器30bのストロークと、少なくとも1つの磁石400aのストロークとは、互いに異なる振幅を有する。
【0240】
より詳細には、ホモキネティックインバータは、磁石400aの第1の方向への並進移動を、第1の方向とは反対の第2の方向への放射器30bの並進移動に変換することを可能にする。
【0241】
したがって、使用中、磁石400aの第1の方向への並進により、回転部材41a、41bが回転し、したがって、接続体42が第1の方向とは反対の第2の方向へ並進する。
【0242】
したがって、磁石400aの移動と放射器30bの移動は同時であり、同じ方向(又は平行な方向)に沿って向けられるが、向きは逆である。
【0243】
これらの移動の振幅は等しいか、又は異なっていてもよく(すなわち、第1の振幅による放射器30bの並進は、第2の振幅による磁石400aの並進に対応し、ここで第1の振幅と第2の振幅は等しくてもよく、又は第1の振幅は第2の振幅より小さい又は大きくてもよい)、これはホモキネティックインバータによって与えられた伝達比が1又は1以外であることを意味することに注目されたい。一例によれば、放射器30bの質量は磁石400aの(及び変換器100の)質量未満であり、これに対応して、放射器30bのストロークの振幅は磁石400aのそれよりも大きい。
【0244】
この態様は、大きなストロークを得るために変換器100の又は放射器30bの質量を過度に増大する必要がないので、特に有利である。
【0245】
好ましい実施形態によれば、接続体42は、長手方向軸「A」に平行に延びる補償プレート50によって一対の回転部材41a、41bのそれぞれに接続される。
【0246】
補償プレート50は、長手方向軸「A」に対して横方向である方向に沿った接続体42の移動を補償するために少なくとも部分的に可撓性である。
【0247】
添付図面に示されるように、一対の回転部材41a、41bはそれぞれ、補償プレート50が接続点と接続体42の間に延びるように、それぞれの補償プレート50への接続点を有する。
【0248】
添付図面に示される実施形態によれば、作動部材40は、少なくとも1つの磁石400aを一対の回転部材41a、41bに接続するように構成されたさらなる補償プレート50を備える。
【0249】
変換器が支持体600を備える
図1に示される実施形態によれば、一対の回転部材41a、41bは、支持体600の並進が回転部材41a、41bの回転に対応するようにそれぞれの補償プレート50によって支持体600に接続される。
【0250】
使用時、変換器100のコイル200の内部に電流が流されると、励磁磁界が生成される。この励磁磁界は、少なくとも1つの磁石400aの磁界を乱し、又は変化させ、移動方向「M1」に沿った磁石400aの往復運動を引き起こす。
【0251】
この状況において、一対の回転部材41a、41bが少なくとも1つの磁石400aに動作可能に接続されているので、磁石400aの移動は、接続点「P」を中心とする回転部材41a、41bの回転に対応する。
【0252】
回転するとき、回転部材41a、41bは、補償プレート50によって、移動方向「M1」に平行な方向に沿って並進する接続体42に運動を伝達する。特に、少なくとも1つの磁石400aが上昇する場合、接続体42は下降し、一方、少なくとも1つの磁石400aが下降する場合、接続体42は上昇する。
【0253】
換言すると、回転部材41a、41bは、回転するとき、少なくとも1つの磁石400aの運動の反転を引き起こし、それにより接続体42の(ひいては、それに接続された音拡散器「C」の放射器30bの)反対方向の移動を引き起こすようにする。
【0254】
有利には、上記の機械式伝達装置によって、システムの運動によって発生する機械的な振動なしに、惰性によって平衡化したシステムを作るような方法で力を平衡化させることが可能である。
【0255】
有利には、変換器100の質量は音拡散器「C」の音結合システムの質量と同等であるので、上に記載したものなどの機械式伝達装置、すなわち、音拡散器「C」が平衡化され、動作中に生じる機械的振動を最小限に抑えるように、動きを逆にすることができ、質量が慣性的に対向されることを可能にする伝達装置を使用することは好都合である。
【0256】
有利には、上に記載されるような伝達ユニット40は、変換器100とラジエント構造30との間の運動及び力の伝達において非線形的な導入を防止する。
【0257】
添付図面に示される好ましい実施形態によれば、変換器100は、磁石400aと同時に移動可能なさらなる磁石400bを備える。さらなる磁石400bは、移動方向「M1」に平行なさらなる移動方向「M2」に沿って往復運動で移動可能である。この状況において、機械式伝達装置は、さらなる磁石400bに対して反対方向に放射器30bを移動するためのさらなる磁石400bと放射器30bとの間に配置されたさらなる作動部材60を備える。
【0258】
可能な実施形態によれば、さらなる作動部材60はまた、ホモキネティックインバータを構成する。
【0259】
図1に示されるように、作動部材40及びさらなる作動部材60は、変換器100に関して対称に位置決めされる。
【0260】
さらに、使用中、磁石400a及びさらなる磁石400bは同時に移動できるので、作動部材40及びさらなる作動部材60は、作動部材40について上に記載された方法に従って同時に移動可能である。
【0261】
より詳細には、コイル200は電流によって励磁されると、変換器100の平衡を乱すような励磁磁界を発生させる。この状況において、磁石400a及びさらなる磁石400bは、それぞれの移動方向「M1」、「M2」に沿って往復運動(上下)で同時に移動し、作動部材40、60のそれぞれの一対の回転部材41a、41b、61a、61bの回転を引き起こす。
【0262】
回転部材41a、41b、61a、61bの回転は次に、各作動部材40、60の支持体42、62の移動を引き起こす。特に支持体42、62は、音拡散器「C」の慣性的な平衡が存在するように磁石400a及びさらなる磁石400bの方向と反対方向に移動される。この状況において、音拡散器「C」の放射器30bは、磁石400a、磁石400bに対して反対方向に移動されるように、支持体42、62と同時に且つ一緒に移動される。
【0263】
有利には、
図7にも示されているように、機械式伝達装置は、先行技術の音拡散器の可動磁石変換器に後付けで適用することができる。
【0264】
本発明はまた、音拡散器「C」の低周波数における応答を拡張するための方法に関するものである。この方法は、ハウジング20と、ハウジング20の内部に配置された変換器100とを備える音拡散器「C」を準備するステップを含む。変換器100は、コイル200と、少なくとも1つの磁石400aとを備える。
【0265】
可能な実施形態によれば、変換器100は、上に記載したように作製される。
【0266】
音拡散器「C」はまた、ハウジング20に接続されたサスペンション30aと、サスペンション30aに接続された放射器30bとを含むラジエント構造30を備える。
【0267】
サスペンション30aは、放射器30bが移動できるように、特に往復運動で移動できるように構成されている。
【0268】
音拡散器「C」はまた、磁石400aと放射器30bとの間に動作可能に配置された少なくとも1つの作動部材40を備える機械式伝達装置を備える。
【0269】
好ましい実施形態によれば、作動部材40は上に記載したように作られる。
【0270】
方法は、コイル200を用いて、磁石400aを移動方向「M1」に沿って往復運動で移動させるための励磁磁界を発生させるステップを含む。
【0271】
好ましくは、励磁磁界は、コイル200の内部に電流を流すことによって生成される。
【0272】
次に、方法は、磁石400aの移動を機械式伝達装置によって放射器30bに伝達するステップを含む。
【0273】
この状況において、方法は、移動方向「M1」に平行な長手方向軸「A」に沿って、磁石400aに対して反対方向に往復運動で放射器30bを移動させるステップを含む。
【0274】
本発明の一態様によれば、機械式伝達装置はホモキネティックインバータを構成する。この状況において、伝達ステップは、第1の方向に移動方向「M1」に沿って少なくとも1つの磁石400aを移動するサブステップと、第1の方向と反対の第2の方向に長手方向軸「A」に沿って放射器30bを移動するサブステップとを含む。これらの移動ステップは互いに同時である。
【0275】
この状況において、機械式伝達装置は1でない伝達比を定め、ここで放射器30bのストロークは磁石400aのストロークの振幅と異なる振幅を有する。
【0276】
代替的に、機械式伝達装置は1である伝達比を定め、ここで放射器30bのストロークは磁石400aのストロークの振幅に等しい振幅を有する。
【0277】
図10A、10B及び10Cは、ハウジング本体20とサスペンション30aと放射器30bとを備える音拡散器Cを示し、
図10B及び10Cにおいて、ハウジング本体20の内側に配置された変換器100を見ることができる。
【0278】
一実施形態によれば、コイル200は第1の直線部分200a、第2の直線部分200b、第3の直線部分200c及び第4の直線部分200dを備える。第1の直線部分200a、第2の直線部分200b、第3の直線部分200c及び第4の直線部分200dは、湾曲接続セクションによって相互に接合される。
【0279】
第1の直線部分200a及び第2の直線部分200bは相互に向き合い、第3の直線部分200c及び第4の直線部分200dは相互に向き合う。直線部分は全て長手方向軸Aに対して横方向である平面内にあり、長手方向軸Aに関して対称に配置される。
【0280】
示された例において、直線部分は、長手方向軸に対して横方向である平面内で正方形を画定する。
【0281】
外側横方向部分300bは、第1の部分300b’、第2の部分300b’’、第3の部分300b’’’及び第4の部分300b’’’’を備える。第1の部分300b’、第2の部分300b’’、第3の部分300b’’’及び第4の部分300b’’’’は、互いに分離され、複数の空隙Tを画定するように、それぞれコイル200の第1の直線部分200a、第2の直線部分200b、第3の直線部分200c及び第4の直線部分200dに対して(又はその側面に対して)横方向に配置される。
【0282】
いくつかの実施形態において、変換器100は複数の磁石を備え、特に、第1の磁石400a、第2の磁石400b、第3の磁石400c及び第4の磁石400dを備える。第1の磁石400aは、第1の直線部分200aと第1の部分300b’との間の、複数の空隙Tのうちの対応する空隙に配置される。第2の磁石400bは、第2の直線部分200bと第2の部分300b’’との間の、複数の空隙Tのうちの対応する空隙に配置される。第3の磁石400cは、第3の直線部分200cと第3の部分300b’’’との間の、複数の空隙Tのうちの対応する空隙に配置される。第4の磁石400dは、第4の直線部分200dと第4の部分300b’’’’との間の、複数の空隙Tのうちの対応する空隙に配置される。
【0283】
第1の磁石400aは、長手方向軸Aと平行な第1の移動方向M1に沿って空隙T内で移動可能である。第2の磁石400bは、長手方向軸Aと平行な第2の移動方向M2に沿って空隙T内で移動可能である。第3の磁石400cは、長手方向軸Aと平行な第3の移動方向M3に沿って空隙T内で移動可能である。第4の磁石400dは、長手方向軸Aと平行な第4の移動方向M4に沿って空隙T内で移動可能である。
【0284】
したがって、コイル200が励磁されて励磁磁界を発生させると、それぞれの移動方向M1、M2、M3、M4に沿って磁石400a、400b、400c、400dの移動が誘発される。この(互いに平行な)移動方向に沿った磁石の移動により、変換器100が配置された音拡散器Cの放射器30bの振動が引き起こされる。
【0285】
各磁石400a、400b、400c、400dは、長手方向軸Aを横切り、各直線部分200a、200b、200c、200dに平行な方向に沿って延びる。
【0286】
磁石は、長手方向に沿って移動可能な剛性構造を形成するように、コイル200の湾曲接続セクションに対応して配置された、それぞれの角状要素900によって一緒に接合される。特に、剛性構造は長手方向軸Aに対して横方向である方向に沿った(すなわち、長手方向軸Aに対して横方向であるいずれかの方向に沿った)移動を許容しない一方、長手方向に沿った移動を許容する。
【0287】
各磁石400a、400b、400c、400dは、したがって、長手方向軸Aに対して横方向の延びと、長手方向の延びとを有する。実際には、各磁石400a、400b、400c、400dは、第1の端部400a’と第2の端部400a’’との間で長手方向に沿って延びる2つの対向面を有する。さらに、各磁石400a、400b、400c、400dは、第1の端部400a’と第2の端部400a’’との間に延びる南極「Sa」と北極「Na」とを有する。磁石400a、400b、400c、400dが空隙Tに配置されると、第1の磁石400a及び第2の磁石400bは、第1の直線部分200a及び第2の直線部分200bに面する同じ極を有し、第3の磁石400c及び第4の磁石400dは、第3の直線部分200c及び直線部分200dに面する同じ極を有する。
【0288】
特に、一例によれば、音拡散器Cは4つの案内装置を備え、そのそれぞれは複数の角状要素900のうちの一の角状要素900に結合される。案内装置は、それぞれの移動方向M1、M2、M3、M4に沿った各磁石400a、400b、400c、400dの移動を許容する。案内装置は、角状要素900によって画定された外面900’を備える。外面900’は長手方向軸Aに平行な案内軸Gの周囲に延びる。
【0289】
変換器100は、上側半殻部800aと下側半殻部800bとを備える。案内装置は、内面800’を備える。内面800’は、上部半殻部800aによって画定される。特に、上部半殻部800aは、4つの長手方向部分を備え、角状要素900の内部に挿入され、案内装置のための内面800’を画定している。したがって、内面800’は、案内軸Gの周りに延びる。外面900’は、キャビティを画定するように内面800’を取り囲む。各案内装置は、内面800’と外面900’との間の相対運動に応答して長手方向に移動しながらそれらの上を転がるように、内面800’と外面900’とに接触した状態でキャビティ内に配置されたリングを形成するためにそれ自体に閉じられた弾性要素M、好ましくはバネを備える。上部半殻部800aは、強磁性回路300のコアに共同接続され、したがって、内面800’は、上部半殻部800aを介して、コアに接続されている。また、角状要素900は、複数の磁石400a、400b、400c、400dのうちの一対の磁石に共同接続されており、したがって、外面900’は、角状要素900を介して、角状要素900が接続された一対の磁石に接続されている。このようにして、磁石400a、400b、400c、400dがそれぞれの移動方向M1、M2、M3、M4に沿って移動すると、外面900’は磁石と共同して移動し、静止している内面800’に対してスライドし、弾性要素は外面900’と内面800’との間で転がる。
【0290】
一実施形態において、外側横方向部分300bは、長手方向及び長手方向に対して横方向である方向に延びる複数の空隙Tによってコアから分離されていることが観察される。内側横方向部分300cは、磁界が、コイル200が励磁されていないときに、コア内ではなく内側横方向部分300c内で閉じることを可能にするように、コイル200の近くに高透磁率ゾーンを有する。
【0291】
高透磁率ゾーンは、内側横方向部分300cを、長手方向軸Aに平行な方向に沿って並置され且つ空隙Tに面したそれぞれの極片を画定する上部サブ部分300c’と下部サブ部分300c’’に分割するように、長手方向軸Aに対して横方向であるスロットIによって画定される。
【0292】
図13F及び13Gに例として示されるように、コアは上部と下部とを備える。上部及び下部は、周囲にコイル200が巻かれ、長手方向軸Aに沿って延びる、コアの中央部分300aを形成するように協働する。上部及び下部は、コイル200を収容するためのシートを画定する。コアは長手方向軸Aに対して横方向である方向に、長手方向軸から離れる方に突出し、それにより、内側横方向部分300cの上部サブ部分300c’を含む上部突出ゾーンと、内側横方向部分300cの下部サブ部分300c’’を備える下部突出ゾーンとを画定する。上部サブ部分300c’及び下部サブ部分300c’’は次に、空隙Tの方を向くコイル200の側(又は壁)を少なくとも部分的に巻くために長手方向軸Aに平行な方向に沿って互いの方に移動する。上部サブ部分300c’及び下部サブ部分300c’’は、協働してスロットIを画定し、スロットIは長手方向軸Aを取り囲む。特に、上部サブ部分300c’及び下部サブ部分300c’’は、スロットIが作製された地点を除いてコイル200の全周囲の周りに巻き付くように協働することができる。同様に、スロットIは、湾曲接続セクションに対応する地点を除いてコイル200の全周囲を取り囲むことができる。したがって、コイル200は、他方では空隙Tに直接面する(すなわち、複数の空隙に直接面する)スロットIに近い部分を除いて、強磁性回路300内に埋め込まれる(又はそれによって覆われる)。
【0293】
したがって、コイル200の第1の直線部分200a、第2の直線部分200b、第3の直線部分200c、及び第4の直線部分200dは、コアの中央部分300aに対して横方向に配置される、すなわち、コイル200の第1の直線部分200a、第2の直線部分200b、第3の直線部分200c、及び第4の直線部分200dは、コアの中央部分300aの周囲に巻き付く。
【0294】
コイル200の第1の直線部分200a、第2の直線部分200b、第3の直線部分200c、及び第4の直線部分200dは、長手方向軸Aを横切り、コイル200の中心を通過する平面に関して上下で、内側横方向部分300cの上下サブ部分300c’、300c’’によって囲まれる。
【0295】
特に、コイル200の曲線接続部分に対応して、コア、特に上部サブ部分300c’及び下部サブ部分300c’’が中断され、したがって、コイル200の湾曲接続セクションは、コアに対して長手方向軸Aから外側に離れる方に突出する。
【0296】
上部半殻部800aに加えて、格納殻部800は下部半殻部800bも備え、上部半殻部800a及び下部半殻部800bは、長手方向軸「A」に沿って相互に並置され、外側横方向部分300bの第1の部分300b’、第2の部分300b’’、第3の部分300b’’’及び第4の部分300b’’’’に係合するよう構成される。上部半殻部800a及び下部半殻部800bは、中央部分300cと係合するように構成され得る。
図14A~14Cは、単に例として、機械式伝達装置の様々な実施形態を示している。機械式伝達装置は、複数の磁石400a、400b、400c、400dのうちの対応する磁石と放射器30bとの間に配置され、放射器30bを、磁石に対して同方向又は反対方向に移動させる複数の作動部材40(すなわち、第1、第2、第3及び第4の作動部材40a、40b、40c、40d)を備え、このように、それぞれの移動方向M1、M2、M3、M4に沿った磁石の一方向の変位は、同方向又は反対方向の放射器30bの長手方向軸Aに沿った変位に対応する。
【0297】
本明細書の一態様によれば、複数の各作動部材40は、単一の回転部材41を備え、個々の回転部材41は、外側横方向部分300bの複数の部分300b’、300b’’、300b’’’、300b’’’’の対応する部分上の接続点で枢動される。各作動部材40は、放射器30bに動きを伝達するように、放射器30bに接続された接続体42をさらに備えている。
【0298】
図11に単に例として示される実施形態によれば、音響拡散器Cは放射器30bと、サスペンション30aと、さらなる放射器30b’と、さらなるサスペンション30a’とを備える。この場合、作動部材40は、放射器30bに接続された接続体42と、さらなる放射器30b’に接続されたさらなる接続体42’’とを備える。
【0299】
図14C及び14Dに例として示される、好ましくは金属で作られ弾性的に変形可能な保持バンドを備える案内装置が存在する。保持バンドは、外側横方向部分300bの第1の部分300b’に対応して配置された第1のセクション700aと、第2の部分300b’’に対応して配置された第2のセクション700bと、第3の部分300b’’’に対応して配置された第3のセクション700cと、第4の部分300b’’’’に対応して配置された第4のセクション700dとを備える。各セクション700a、700b、700c、700dは一対の端部を備え、各端部は角状要素900に接続される。このようにして、保持バンドは、外側横方向部分300bを周囲で取り囲む。示される例において、案内装置は複数の接続要素を備え、保持バンドのセクション700a、700b、700c、700dの中央領域を、外側横方向部分300bのそれぞれの部分に接続する。移動方向に沿った磁石400a、400b、400c、400dの移動に続いて、角状要素は移動し、保持バンドは撓む。セクションの端部は角状要素900と一緒に移動する一方、中央領域は静止したままである。
【0300】
本発明は先行技術の欠点を排除して本目的を達成する。
【0301】
特に、本発明は、少なくとも1つの磁石の移動方向において小型全体サイズを有する変換器及び音拡散器を提供する。
【0302】
本発明は、高い電気機械的効率と頑丈さを備えた変換器を提供する。
【0303】
本発明は、組立てが容易な変換器を提供する。
【0304】
本発明は、低周波数で動作する場合でも慣性レベルで平衡化された音拡散器を提供する。
【0305】
本発明は、コンパクトな寸法であるが高いSPL値を備えた音拡散器を提供する。
【0306】
参照のために英数字順にリストされた以下のパラグラフは、本発明を記載する非限定的な例示的なモードである。
【0307】
A.音拡散器(C)用の変換器(100)であって、
- 長手方向軸(A)に対して横方向であるそれぞれの平面(γ)内にそれぞれ横たわる複数の巻線(201)を含むコイル(200)であって、複数の巻線(201)は長手方向軸(A)に沿って並置される、コイル(200)と、
- 強磁性回路(300)であって、
コイル(200)が巻き付けられた中央部分(300a)を備えるコアと、
コイル(200)の側方に配置され、コイル(200)を少なくとも部分的に取り囲む外側横方向部分(300b)であって、長手方向に延びる空隙(T)によってコアから分離された外側横方向部分(300b)と
を含む強磁性回路(300)と、
- 空隙(T)に配置され、長手方向軸(A)と平行な移動方向(M1)に沿って移動可能な少なくとも1つの磁石(400a)であって、永久磁石である少なくとも1つの磁石(400a)とを備え、
移動方向(M1)に沿って移動するように磁石(400a)を誘発する励磁磁界を生成するようにコイル(200)が励磁可能である、
変換器(100)。
【0308】
A.1.強磁性回路(300)が、コイル(200)の側方に配置され、コイル(200)と少なくとも1つの磁石(400a)との間に配置された内側横方向部分(300c)を備え、内側横方向部分(300c)がコイル(200)に近接して高透磁率ゾーンを有する、パラグラフAに記載の変換器。
【0309】
A.1.1.前記ゾーンが、内側横方向部分(300c)を、長手方向軸(A)に平行な方向に沿って並置され且つ空隙(T)に向けられたそれぞれの磁極拡張部を画定する上部サブ部分(300c’)と下部サブ部分(300c’’)とに分割するように、長手方向軸(A)に対して横方向であるスロット(I)によって画定される、パラグラフA.1に記載の変換器。
【0310】
A.1.1.1.内側横方向部分(300c)の上部サブ部分(300c’)及び下部サブ部分(300c’’)が、コアと一体に作られ、中央部分(300a)から外側横方向部分(300b)の方に突出する、パラグラフA.1.1に記載の変換器。
【0311】
A.2.少なくとも1つの磁石(400a)が、第1の端部(400a’)と第2の端部(400a’’)とを有し、磁石(400a)が南極(Sa)と北極(Na)とを有し、そのそれぞれが長手方向軸(A)に平行に第1の端部(400a’)と第2の端部(400a’’)との間に延びる、パラグラフA~A.1.1.1.のいずれか1つに記載の変換器。
【0312】
A.3.コイル(200)が、長手方向軸(A)に対して横方向である優勢な延在方向(X)に沿って細長い形状であり、コイル(200)が、優勢な延在方向(X)に平行な第1の直線部分(200a)と、第1の直線部分(200a)の反対側にあり優勢な延在方向(X)に平行な第2の直線部分(200b)とを備える、パラグラフA~A.2のいずれか1つに記載の変換器。
【0313】
A.3.1.長手方向軸(A)周りで磁石(400a)と対称に空隙(T)内に配置され、長手方向軸(A)と平行な移動方向(M2)に沿って移動可能なさらなる磁石(400b)を備え、外側横方向部分(300b)が、互いに分離され、コイル(200)の側方に長手方向軸(A)周りで対称に配置された第1及び第2の部分(300b’、300b’’)を備える、パラグラフA.3に記載の変換器。
【0314】
A.3.1.1.磁石及びさらなる磁石(400a、400b)が、それぞれ第1及び第2の直線部分(200a、200b)に面し、優勢な延在方向(X)に平行なそれぞれの軸方向に沿って細長い形状である、パラグラフA.3.1に記載の変換器。
【0315】
A.3.1.2.磁石及びさらなる磁石(400a、400b)が、コイル(200)に面する同じ極(Sa、Na、Sb、Nb)を有する、パラグラフA.3.1又はパラグラフA.3.1.1に記載の変換器。
【0316】
A.3.1.3.第1の直線部分(200a)及び磁石(400a)が同じ軸方向寸法を有し、第2の直線部分(200b)及びさらなる磁石(400b)が同じ軸方向寸法を有する、パラグラフA.3.1~A.3.1.2のいずれか1つに記載の変換器。
【0317】
A.3.1.4.磁石(400)及びさらなる磁石(400b)に動作可能に接続され、磁石(400a)及びさらなる磁石(400b)をそれぞれの移動方向(M1、M2)に沿って一体的に移動させる支持体(600)を備える、パラグラフA.3.1~A.3.1.3のいずれか1つに記載の変換器。
【0318】
A.3.1.4.1.前記支持体(600)が長手方向軸(A)に対して横方向に移動することを防止するように構成された保持バンド(700)を備える、パラグラフA.3.1.4に記載の変換器。
【0319】
A.3.1.4.1.1.支持体(600)を動かすことが保持バンド(700)を曲げることに対応するように、保持バンド(700)が弾性的に変形可能である、パラグラフA.3.1.4.1に記載の変換器。
【0320】
A.4.
- コイル(200)は、断面が実質的に円形であり、
- 外側横方向部分(300c’、300c’’)が、コイル(200)を取り囲む外側リングを画定する環状形状を有し、
- 少なくとも1つの磁石(400a、400b)が、コイル(200)を取り囲む外側リングを画定する環状形状を有し、
コイル(200)、外側リング、及び磁気リングが同心であり、前記長手方向軸(A)を中心にして配置される、
パラグラフA~A.2のいずれか1つに記載の変換器。
【0321】
A.4.1.内側横方向部分が、外側リングと同心である内側リングを画定する環状形状を有する、パラグラフA.4及びパラグラフA.1に記載の変換器。
【0322】
- 少なくとも1つの磁石(400a)と放射器(30b)との間に配置され、少なくとも1つの磁石(400a)に関して反対の向きに放射器(30b)を移動させる少なくとも1つの作動部材(40)を備える機械式伝達装置。
【0323】
B.音拡散器(C)であって、
- ハウジング(20)と、
- ハウジング(20)内に配置された、先行パラグラフの1つ又は複数に記載の変換器(100)と、
- 放射器(30b)と、
- 放射器(30b)がハウジング(20)に対して振動することを可能にするように構成されたサスペンション(30a)とを備え、
長手方向軸(A)に平行な移動方向(M1)に沿った磁石(400a)の移動が、前記長手方向軸(A)に沿った放射器(30b)の振動に対応するように、放射器(30b)が少なくとも1つの磁石(400)に動作可能に結合される、音拡散器(C)。
【0324】
B.1.少なくとも1つの磁石(400a)と放射器(30b)との間に配置され、少なくとも1つの磁石(400a)に関して反対の向きに放射器(30b)を移動させる少なくとも1つの作動部材(40)を備える機械式伝達装置を備える、パラグラフBに記載の音拡散器。
【0325】
B.1.1.作動部材(40)が、変換器(100)に枢着された一対の回転部材(41a、41b)を備え、回転部材(41a、41b)は、移動方向(M1)に沿った磁石(400a)の移動に応答して、互いに逆方向に回転する、パラグラフB.1に記載の音拡散器。
【0326】
B.1.1.1.一対の回転部材(41a、41b)が、長手方向軸(A)に対して横方向の整列方向に沿って互いに並置される、パラグラフB.1.1に記載の音拡散器。
【0327】
B.1.2.作動部材(40)が、放射器(30b)と一体の接続要素(42)を備え、接続体(42)が、放射器(30b)を移動させるために、長手方向軸(A)と平行な方向に沿って往復運動で移動可能である、パラグラフB.1~B.1.1.1のいずれかに記載の音拡散器。
【0328】
B.1.2.1.回転部材(41a、41b)の動作が接続体(42)の移動に対応するように、接続体(42)が一対の回転部材(41a、41b)に動作的に接続される、パラグラフB.1.2及びB.1.1に記載の音拡散器。
【0329】
B.1.2.1.1.接続体(42)が、一対の回転部材(41a、41b)と放射器(30b)との間に配置され、一対の回転部材(41a、41b)が、接続体(42)に関して対称に配置される、パラグラフB.1.2.1に記載の音拡散器。
【0330】
B.1.2.1.2.長手方向軸(A)に平行に延び、接続体(42)を一対の回転部材(41a、41b)のそれぞれに接続する補償プレート(50)を備え、補償プレート(50)が、長手方向軸(A)に対して横方向である方向に沿った接続体(42)の移動を補償するために少なくとも部分的に可撓性である、パラグラフB.1.2.1又はB.1.2.1.1に記載の音拡散器。
【0331】
B.1.3.機械式伝達装置が、さらなる磁石(400b)と放射器(30b)との間に配置され、さらなる磁石(400b)に関して反対の向きに放射器(30b)を移動させるさらなる作動部材(60)を備え、作動部材(40)とさらなる作動部材(60)は変換器(100)に関して対称に配置される、パラグラフB.1から及びパラグラフA.3.1までのいずれかに記載の音拡散器。
【0332】
B.1.4.機械式伝達装置がホモキネティックインバータを構成し、それによって、第1の向きにおける移動方向(M1)に沿った少なくとも1つの磁石(400a)の移動が、長手方向軸(A)に沿った放射器(30b)の、第1の向きとは反対の第2の向きにおける同時移動に対応し、放射器(30b)のストロークと少なくとも1つの磁石(400a)のストロークが等しい又は異なる長さである、パラグラフB.1~B.1.3のいずれか1つに記載の音拡散器。
【0333】
C.音拡散器(C)用の変換器(100)を製造する方法であって、
- 変換器(100)を準備するステップであって、変換器(100)が、
それぞれが長手方向軸(A)に対して横方向であるそれぞれの平面(γ)内に延びる複数の巻線(201)を備えるコイル(200)であって、複数の巻線(201)は長手方向軸(A)に沿って並置される、コイル(200)と、
強磁性回路(300)であって、
コイル(200)が巻かれる中央部分(300a)を備えるコアと、
コイル(200)の側方に配置され、空隙(T)によってコイル(200)から分離された外側横方向部分(300b)と
を備える強磁性回路(300)と、
少なくとも1つの磁化可能な要素と
を備える、変換器(100)を準備するステップと、
- 磁化可能な要素を空隙(T)内に位置決めするステップと、
- 変換器(100)の外側にあり、磁化可能な要素を磁化するように構成された補助磁化回路(10)を準備するステップと、
- 永久磁石(400a)を作るために、補助磁化回路(10)を作動させることによって、空隙(T)内に配置された磁化可能な要素を磁化するステップと
を含む方法。
【0334】
D.音拡散器(C)の低周波数応答を拡張する方法であって、
- 音拡散器(C)を準備するステップであって、音拡散器(C)が、
ハウジング(20)と、
ハウジング(20)の内部に配置され、コイル(200)及び少なくとも1つの磁石(400a)を備える変換器(100)と、
ハウジング(20)に接続され、長手方向軸(A)に沿って往復運動で移動可能な放射器(30b)と、
磁石(400a)と放射器(30b)との間に動作可能に配置された少なくとも1つの作動部材(40)を備える機械式伝達装置と
を備える、音拡散器(C)を準備するステップと、
- 長手方向軸(A)に平行な移動方向(M1)に沿って往復運動で磁石(400a)を移動させるための励磁磁界を、コイル(200)を介して発生させるステップと、
- 磁石(400a)の移動を機械式伝達手段によって放射器(30b)に伝達するステップと、
- 磁石(400a)に関して反対の向きに放射器(30b)を長手方向軸(A)に沿って往復運動で移動させるステップと
を含む方法。
【0335】
D.1.機械式伝達装置がホモキネティックインバータを構成し、伝達するステップが以下のサブステップ:
- 少なくとも1つの磁石(400a)を移動方向(M1)に沿って第1の方向へ移動させるサブステップと、
- 放射器(30b)を長手方向軸(A)に沿って、第1の向きと反対の第2の向きに移動させるサブステップとを含み、
移動させるステップは互いに同時である、
パラグラフDに記載の方法。
【0336】
D.2.機械式伝達装置が1又は1以外の伝達比を定め、ここで前記放射器(30b)のストロークの長さと少なくとも1つの磁石(400a)のストロークの長さは等しいか異なる、パラグラフD又はD.1に記載の方法。
【符号の説明】
【0337】
10 補助磁化回路
11 磁化コイル
20 ハウジング
30 ラジエント構造
30a サスペンション
30a’ さらなるサスペンション
30b 放射器
30b’ さらなる放射器
40 作動部材
40a 作動部材
40b 作動部材
40c 作動部材
40d 作動部材
41 回転部材
41a 回転部材
41b 回転部材
42 接続体
42’ 接続体
42’’ 接続体
50 補償プレート
60 作動部材
61a 回転部材
61b 回転部材
62 支持体
100 変換器
200 コイル
200a 第1の直線部分
200b 第2の直線部分
200c 接続部分
200d 第4の直線部分
201 巻線
300 強磁性回路
300a 中央部分
300b 外側横方向部分
300b’ 第1の部分
300b’’ 第2の部分
300b’’’ 第3の部分
300b’’’’ 第4の部分
300c 内側横方向部分
300c’ 上部サブ部分
300c’’ 下部サブ部分
400a 磁石
400a’ 第1の端部
400a’’ 第2の端部
400b さらなる磁石
400c 磁石
400d 磁石
600 支持体
600a 第1のハウジングシート
600b 第2のハウジングシート
700 保持バンド
700a 第1のセクション
700b 第2のセクション
700c 第3のセクション
700d 第4のセクション
800 格納殻部
800’ 内面
800a 半殻部
800b 半殻部
900 角状要素
900’ 外面
A 長手方向軸
C 音拡散器
I スロット
M1 移動方向
M2 移動方向
M3 移動方向
M4 移動方向
Na 北極
Nb 北極
P 接続点
Sa 南極
Sb 南極
T 空隙
X 主延在方向
【外国語明細書】