(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098889
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】刺激用装置
(51)【国際特許分類】
A61H 19/00 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
A61H19/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023046476
(22)【出願日】2023-03-23
(62)【分割の表示】P 2019549466の分割
【原出願日】2018-03-07
(31)【優先権主張番号】1730063-3
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】1730086-4
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】519323023
【氏名又は名称】アルムグレン,リカード
【氏名又は名称原語表記】ALMGREN,Rikard
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルムグレン,リカード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】改良されたディルド(dildo)またはバイブレータなどの、身体の性感帯の刺激用装置を提供する。
【解決手段】ディルドおよび/またはバイブレータなどの、身体の性感帯の刺激用装置1であって、当該装置1は、約40℃超の温度に加熱する時点で可塑的に成型可能になり、且つ正常体温以下で寸法的に安定であるところの、加熱により繰り返し成型可能な高分子コア2を含む。その成型性の結果、本装置1は、様々な種類の刺激のために別個の物品を不要にすることができる。引張性及び弾性のある外皮3が、高分子コア2を囲む。外皮3は、装置1の形状を滑らかにし、高分子コア2を再成形するときに精度の必要性を低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディルドおよび/またはバイブレータなどの、身体の性感帯の刺激用装置において、
加熱により繰り返し成型可能な高分子コア(2)であって、加熱時に可塑的に成型可能となり、且つ可塑性が生じる温度未満の温度で寸法的に安定である、高分子コア(2)を備えることを特徴とする、身体の性感帯の刺激用装置。
【請求項2】
前記高分子コア(2)は、多形プラスチックポリマー、好ましくはPCL(ポリカプロラクトン)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記高分子コア(2)を囲む外皮(3)であって、プラスチック、ゴムまたはこれらの混合物で作られた引張性及び弾性のある外皮(3)を備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記外皮(3)は、少なくとも約2mm、好ましくは約2~5mmの範囲の厚さを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記外皮(3)は、一端部において、外皮材料または外皮適合性材料のプラグ(3’)の挿入によって封止されている、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記高分子コア(2)と並んで配置された物体(601)を備えており、当該物体は前記高分子コアの融点未満の温度で熱成型可能ではない、請求項3~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記高分子コア(2)に対して内部または外部に伝熱関係で配置された電気的な加熱要素(15)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱要素(15)は、前記高分子コア(2)に組み込まれた可撓性の抵抗加熱ワイヤまたは抵抗加熱バンドである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記加熱要素(15)は、電流導電性の可撓性炭素繊維バンドである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記加熱要素(15)は、前記高分子コア(2)に封入された再充電可能な蓄電池(6)に電気的に接続されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記加熱要素(15)は、外部電源からの電力を操作して前記加熱要素を加熱する供給用の接続端子(12)に電気的に接続されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記加熱要素は、赤外線光源(502)である、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
前記高分子コア(2)に対し伝熱関係で配置された、少なくとも40℃の温度を有する温液または熱液を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
バイブレータを具体化する、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置であって、
バイブレータ本体(1)を備えており、このバイブレータ本体は、当該バイブレータ本体に作用すべく蓄電池(6)で駆動するところの電気モータ(5)の起動時に、振動状態に設定されるように少なくとも部分的に配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項15】
寸法的に安定な第1のモータカプセル(4)に収容された少なくとも1つの振動発生電気モータ(5)が、前記高分子コア(2)内に配置されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
可撓性の固定リンク(9;305)および電流導体(10;304)によって可変相対距離で前記第1のモータカプセル(4)に接続される寸法的に安定な第2のモータカプセル(7;303)に収容された、少なくとも1つの追加の電気モータ(8;302)を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記蓄電池(6)は、前記第1のモータカプセル(4)または前記第2のモータカプセル(7)のうちの1つに収容されている、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記バイブレータの起動および制御のための制御手段(14)が、前記外皮(3)の内側に配置されている、請求項14~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記バイブレータモータ(5;8)および/または前記加熱要素(15)に制御信号を無線送信するための受信器(16)を備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記高分子コア(2)内に自由に浮いた状態で配置される別個の物体(401,402等)を備え、前記物体は任意的には、前記高分子コアが可塑化状態にあるときに、前記高分子コアの表面近くの前進位置に移動するか、又は、前記高分子コアの内部により深く押し込まれる、請求項1~19のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディルド(dildo)またはバイブレータなどの、身体の性感帯の刺激用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
活発な性生活が男女の間での全般的な健康の改善につながり得ることが一般に知られている。本発明は、男女の性生活のこの観点を認識する男女に対処するものである。
【0003】
より詳細には、本発明は、身体の性感帯の刺激のために調整された装置に関するものであり、性感帯は外側に露出されるだけではなく、身体の開口部内に隠されている。この目的のための既知の製品は、それらの製品が製造に際して付与される形状が、材料および製造プロセスの選択によって決定される使用(用途)および刺激行為のいくつかの組み合わせのみを許容するという事実によって妨げられている。ディルドおよびバイブレータなど、この種の装置で通常使用される材料の種類としては、プラスチック、金属、および時には燃焼済みの鉱物(ガラス、磁器、粘土)、または木材が挙げられる。所与の形状に起因する使用上の制限により、様々な使用(用途)に通じた同一製造者から多数の種類の存在が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、ディルドまたはバイブレータの製造において恒久的に設定される定形状によって制限される使用(用途)と関連付けられた上述の問題を取り除くことである。
【0006】
本発明によれば、ユーザによって再成形され得ると共に、性的刺激の様々な使用(用途)および程度/組み合わせに調整することができるディルドおよび/またはバイブレータを提供することを通じて課題を解決するものである。
【0007】
より詳細に、本発明は、ディルドおよび/またはバイブレータなど、身体の性感帯の刺激用装置を簡潔に開示し、当該装置は、加熱する時点で可塑的に成型可能になり、かつ可塑性が生じる温度未満の温度で寸法的に安定である、加熱により繰り返し成型可能な高分子コアを備える。
【0008】
より詳細に、本装置は、加熱する時点で繰り返し再成形することができ、約40℃(一般に約38~42℃)以上の温度に加熱するときに可塑的に成型可能になり、かつ体温(約37℃)以下で寸法的に安定である、高分子コアを含む。
【0009】
本発明の一実施形態では、高分子コアは、熱可塑性物質を含む。
【0010】
PCL(ポリカプロラクトン)などの多形プラスチックポリマーが特に好ましい。
【0011】
本装置は、プラスチック、ゴムまたはこれらの混合物で作製された、引張性及び弾性のある外皮(tensile, elastic skin)を含むことが好ましく、この外皮は高分子コアを囲むものである。
【0012】
外皮は、少なくとも約2mm、好ましくは約2~5mmの範囲の厚さを有することができる。
【0013】
一実施形態では、外皮は、外皮材料または外皮適合性材料のプラグの挿入によって封止された(両)端部のうちの1つにある。
【0014】
本体は、高分子コアとともに、好ましくは外皮の内側に配置されてもよい。この本体は、高分子コアの融点未満の温度で熱成型可能なものではない。
【0015】
高分子コアを熱成型するための伝熱関係にするために、導電性加熱要素を介して、または外部から加えられた熱によって加熱を適用することができる。
【0016】
したがって、電気的な加熱要素(電熱要素)は、高分子コアに対して内部または外部に伝熱関係で配置されてもよい。加熱要素は、高分子コアに組み込まれるか、または埋め込まれる、可撓性(flexible)の抵抗加熱ワイヤまたは抵抗加熱バンドとして実現することができる。本発明の一実施形態では、加熱要素は、可撓性の電流導電性の炭素繊維バンドである。
【0017】
加熱要素は、高分子コアに封入または収容される再充電可能な蓄電池に電気的に接続されてもよい。
【0018】
代替的実施形態では、加熱要素はその代わりに、外部電源からの電力を操作して加熱要素を加熱する供給用の接続端子に電気的に接続される。
【0019】
加熱要素は、赤外線光源であってもよい。
【0020】
本発明の一実施形態では、温度上昇はそれ故に、外部から高分子プラスチックの温度に影響を及ぼす周波数で赤外線熱放射によって生じる。本発明の別の実施形態では、温度上昇は、高分子コアに伝熱関係で調整された、少なくとも約40℃の温度で水などの熱液によって生じ、結果として高分子プラスチックの温度に影響を与える。
【0021】
更なる実施形態では、本発明は、バイブレータ本体を含むバイブレータに適用されており、このバイブレータ本体はバイブレータ本体に作用するように蓄電池で駆動する、電気モータの起動によって振動状態で設定されるように少なくとも部分的に配置される。
【0022】
少なくとも1つの振動発生電気モータは、高分子コア内に位置する寸法的に安定な第1のモータカプセルに収容することができる。
【0023】
少なくとも1つの追加の電気モータは、可撓性の固定リンクおよび電流導体によって可変相対距離で第1のモータカプセルに接続される寸法的に安定な第2のモータカプセルに収容することができる。
【0024】
上述の蓄電池は、第1のモータカプセルまたは第2のモータカプセルのうちの1つに収容されることが有利である。
【0025】
バイブレータの起動および制御のための制御手段は、外皮の内側に配置されることが有利である。
【0026】
さらに、制御信号をバイブレータモータおよび/または加熱要素に無線送信するための受信器は、外皮の内側に位置してもよい。
【0027】
高分子コア内に自由に浮いて配置される別個の物体は、任意的に、高分子コアの表面近くの前進位置に移動するか、または高分子コアが可塑化状態であるとき、高分子コアの中により深く押し込むことができる。
【0028】
本発明によって提供される更なる特徴、詳細および利点は、添付の特許請求の範囲に更に定義されるように、以下の実施形態の詳細な説明において開示する。
【0029】
本発明の実施形態は、添付の図を参照しながら、下記により詳しく開示する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態に従う装置を示す断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に従う装置を示す対応断面図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に従う装置を示す対応断面図である。
【
図4】本発明の第4の実施形態に従う装置を示す対応断面図である。
【
図5】装置を加熱するためのハウジングを断面図で示す図である。
【
図6】更に別の利用しやすい実施形態での装置を断面図で示す図である。
【
図7】分解断面図において本発明の一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
最初に、本発明はバッテリ駆動のディルド/バイブレータに関して述べるが、本発明の中心的観点はそれにもかかわらず、モータのないディルド/バイブレータにおいて、またはバイブレータ機能の起動の有無にかかわらず、例示した装置の様々な変形例において利用することができることを強調しなければならない。
【0032】
図1には、本発明による装置が、バイブレータ機能を有するディルド(dildo)の形態で示されている。このディルドは、コア2を有するバイブレータ本体1を含んでおり、このコアは周囲の外皮3によって、完全に囲まれている、又は、このコアの主要部分に対して少なくとも囲まれる。電気モータ5を収容する第1のモータカプセル4は、蓄電池またはバッテリ6のように、コアに埋め込まれる。したがって、
図1による装置は、1群の電池駆動式マッサージ/バイブレータ物品に属しており、この物品は例えば、所望により様々な環境および状況での使用に従うように適合される。
【0033】
追加の電気モータ8を収容する第2のモータカプセル7は、可撓性だが非引張性(flexible but non-tensile)のリンク9を介して第1のモータカプセル4に接続され、電流導体10を介して蓄電池6に電気的に結合される。リンク9は、モータカプセル4とモータカプセル7との間の最大相対距離が電流導体10の長さを超えないことを同時に確保しながら、これらのモータカプセル間の相対距離を縮めることを可能にする。
【0034】
前記リンク9および導線(導電ワイヤ)10は、保護体またはケーシング11内に埋め込まれてもよく、このケーシングはコア2内のモータカプセル4とモータカプセル7との間の空隙(cavity)を占める。この保護体またはケーシング11は、プラスチック、ゴム又はこれらの混合物などの、引張性及び弾性のある材料(tensile and elastic material)で作製されることが好ましい。この保護体またはケーシング11は、例えばシリコーンで作製され得ることが有利である。
【0035】
モータカプセル4および(適用可能な場合に)モータカプセル7は、寸法的に安定であり、このことは本明細書では、これらのモータカプセルが、バイブレータの使用時にユーザによって加えられた体重などの圧力に、変形することなく耐えることができることを意味する。これらのモータカプセルは、より詳しく後述するようにバイブレータの再成形と関連した温度上昇にも耐えることができる。
【0036】
モータカプセル4(および、適用可能な場合にモータカプセル7)は、木材、プラスチックまたは金属で作製することができ、埋め込まれた構成要素を密接に囲むシェルまたは固体として成形することができる。
【0037】
発電機はそれぞれ、各モータに動作可能に接続され、バイブレータ本体内で振動を発生させるようにモータで駆動することができる。前記発電機は、それ自体が既知であるように、モータ軸に結合された偏心配置の重力点を有するてん輪(balance wheel)を含むことができる。
【0038】
蓄電池6の充電は、この蓄電池の外部充電ユニットへの接続のためにバイブレータの外側に配置された端子12によって達成される。この接続端子12は、USB接触部として、または同軸接触部のソケットとして実現することができ、電流導体13を介して蓄電池を外部充電ユニットに接続する。一般に、図示しない充電ユニットは、それ自体が既知であるように、変圧器および整流器(AC/DC変換器)を含む。
【0039】
バイブレータの操作および制御のための制御手段14を有する操作手段は、外部からのアクセスを容易にするバイブレータ本体内の位置で外皮3の内側に配置される。制御手段14は、バイブレータをオンおよびオフに切り替えるための回路遮断器と、モータ5およびモータ8における回転速度の段階的または連続的増減のための感圧接触部とを含むことができる。
【0040】
外皮3は、耐水性、耐油性、引張性および弾性のある材料で作製される。外皮3は、プラスチック、ゴムまたはこれらの混合物で作製されることが好ましい。当然のことながら、外皮3は、有毒成分またはアレルゲン成分を含まない。好適な材料はシリコーン(シリコン樹脂)である。外皮3は、コア2を中心として成型することができる。
【0041】
外皮3は、一方では摩耗に耐える能力に関して決定され、かつ他方では過度の緩衝なくユーザに振動を伝える能力に関して決定される厚さを有する。一般に、外皮3は、少なくとも2mm、好ましくは2~5mmの範囲の厚さを有する。当然のことながら、外皮の性質は、材料の硬度に依存している。主題の目的のために、ショアA25~55の範囲(ASTM D2240タイプA)の材料硬度が有利に選択され得る。
【0042】
本発明は、比較的低い可塑化温度で塑性的に成型可能な状態に変えながら、正常体温以下で寸法的に安定である熱成型可能なポリマー材料で作製された成型可能なコア2を開示している。本明細書では、可塑化温度は、材料が成型可能になり、かつ冷却後にそのままになる変形が付与され得る温度を指す。これに関して、寸法的に安定であるというのは、以下では高分子コア2とも名付けられたコア2が、正常体温(約37℃)以下で可撓性かつ弾力性/弾性であり得るが、この温度では一般に、破壊強度より低い応力または張力の下で永久的な変形を受けないという意味である。高分子コア2の考えられる材料は、例えば熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性物質である。
【0043】
高分子コア2は、約40℃超の温度で塑性的に成型可能になる、加熱により繰り返し成型可能な熱可塑性物質を含むことが好ましい。いわゆる多形プラスチックポリマー、およびとりわけポリエステルプラスチックが特に好ましい。
【0044】
高分子コア2の設計のための特に有利な材料はPCLであり、これはポリカプロラクトン(polycaprolactone)の略語である。PCLは、約42℃超の温度で可塑化状態に変える多形プラスチックポリマーであり、約60℃の融点を有するが、正常体温で弾性である。
【0045】
加熱要素15は、高分子コア2を可塑化温度に加熱するために配置される。換言すれば、加熱要素は、高分子コア2との伝熱関係で配置される。加熱要素15は、高分子コア2に埋め込まれてもよく、組み込まれてもよい。
【0046】
一実施形態では、加熱要素15は、高分子コア2に埋め込まれた可撓性の炭素繊維バンドの形態で実現される。炭素繊維バンドは、電気的に導電性であり、電源に接続されたときに抵抗を形成する。この性質は、特に電気加熱ブランケット、椅子の座部または衣類など、様々な用途で使用される。炭素繊維バンドの表面の温度は、炭素繊維バンドの表面積を供給される電流に適合することによって決定することができる。本発明では、この方法は、最高約50~55℃の表面温度を可能にするために使用される。炭素繊維バンドは、1つまたは複数の形態で、実質的に平行な走行長で、またはループもしくはコイルの形態で提供することができる。加えて、炭素繊維バンドは、高分子コアの再成形中に転位に対抗するために、モータカプセル4およびモータカプセル7に取り付けられてもよい。
【0047】
あるいは、加熱要素15は、加熱要素の外部温度を約50~55℃に制限する可撓性かつ断熱被覆を有する電気抵抗加熱ワイヤの形態で実現することができる。このように、絶縁加熱ワイヤは、高分子コア2に埋め込まれたループまたはコイルとして形成されてもよい。
【0048】
しかし、加熱要素15はまた、熱可塑性物質/ポリマーの加熱のために中波または長波周波数域で、例えば赤外線放射を供給する電動ヒートベッドからの外部から加えられた放射加熱を選択して完全に除外されてもよい。加熱要素15はまた、温液または熱液からの外部から加えられた熱を選択して完全に除外されてもよく、この熱はその液体で部分的または完全に装置を囲むことによって熱可塑性物質/ポリマーにおける温度に影響を及ぼす。
【0049】
加熱要素15を加熱することは、蓄電池6からの電流供給を用いて達成することができる。あるいは、加熱要素は、外部電源からの電流を操作して加熱要素を加熱する供給用の接続端子に接続されてもよい。前記接続端子は、同じ端子12であり得、この端子は端子12が蓄電池の充電と加熱要素の加熱とを変えるためのスイッチとともに配置されるならば、充電電流を蓄電池に移動させることを目的としている。
【0050】
モータ、蓄電池および加熱要素の制御用の電子部品および機能性は、蓄電池6と関連して電子回路基板16に組み立てることができる。回路基板16は、適用可能な場合、外部制御ユニットによって生成され、かつ例えば遠隔制御ユニット、携帯電話から、またはコンピュータのアプリケーションを介してコンピュータから、ブルートゥース(登録商標)送信などの無線送信によって転送された、制御信号の受信器も含むことができる。
【0051】
これに関連して、加熱要素15は、このように装置の形状への深い深達変化に必要とされる加熱時間と比較して、形状の浅い修正に必要な加熱時間を短縮するために、高分子コア2の周辺領域に配設されてもよいことにも留意されたい。この実施形態で提供される技術的効果は、例えば、高分子コアの外側領域または周辺領域に埋め込まれ且つ自由に浮いているいくつかのより硬く、寸法的に安定な物体または球体を進めて、このように装置にこぶ状またはくぼみのある外面を付与するために使用することができる。
【0052】
高分子コアは、製造時に埋め込まれた構成要素の周囲に成型することができる。外皮は、連続的な製造工程で高分子コアの周囲に成型することができる。材料の選択に応じて、外皮および高分子コアは、共流延プロセスで組み合わすことができる。
【0053】
あるいは、外皮はその後、最終製造工程で搭載および封止することができる。例えば、高分子コアは、ホースまたはソックスの形状で予め製造された外皮の開放端を通って挿入されてもよく、高分子コアはその後、その開放端で封止される。
【0054】
封止することは、溶融または接着によって達成することができ、外皮材料または外皮適合性材料で作製された封止プラグ3’(
図7参照)の挿入および固定を更に含むことができる。
【0055】
外皮は、形状にかかわらず高分子コアを中心として密に載置するために、コアを中心として収縮性圧力をかけるように小型であってもよい。外皮と高分子コアとの付着は、例えば、接着、クリンピングなどの様々な他の方法によって、または外皮と高分子コアとの界面で溶融することによって確保することができる。
【0056】
有利な一実施形態として、本発明は、可撓性のシリコーン外皮の内側に(任意には、1つまたは複数の振動モータと組み合わせて)囲まれた、多形プラスチックポリマーを含む繰り返し再成型可能な高分子コアにおいて実現される。
【0057】
約42℃~60℃の温度でのPCLなどの多形プラスチックポリマーの成型性は、塑像製作用粘土と比較することができる。添付図面では、ディルドおよび/またはバイブレータの可塑性は、コアの可塑化状態でコアの局所膨張と収縮での利用可能な方向を概略的に示す紹介した双方向矢印で示す。
【0058】
約42℃以下に冷却すると、この材料は、(例えば、硬い靴底またはプラスチックタブ内のプラスチックに多少類似した)半可撓性プラスチックに相当する伸び性(elongation)および破断強度を有する固体形態に急速に硬化する。例えばシリコーンの外皮は、コアの熱可塑性ポリマーより高い伸び性(elongation)を有する。したがって、外皮は、破断のない再成形に対応することができ、それにより、ディルド/バイブレータは、完全ユニットとして、高分子コアのあらゆる形状を採用することができる。
【0059】
可塑化温度に加熱することは、好ましくは高分子コアに埋め込まれた炭素繊維バンドへの電流の供給によって装置の内側に引き起こすことができる。熱放射表面を適切に寸法決めすることによって、炭素繊維バンドは、約50~55℃など、十分に高い表面温度を放射するように調整することができる。加熱することは、再充電可能なバッテリを用いて、または変圧器を介した電気幹線への接続によって達成することができる。
【0060】
あるいは、加熱することは、赤外線光源などの外部加熱源によって達成されてもよく、この加熱源はバッテリまたは電気幹線に接続される。ヒートベッドを形成するボックスは、この目的のために提供することができる。加熱することはまた、少なくとも約40℃の温度を有する水などの温液または熱液中で装置を洗い流したり、または下げたりすることによって達成され得る。
【0061】
本装置を囲む外皮はまた、装置の再成形時に生じるより高い温度からユーザを保護する。ユーザの観点では、顕著な態様は、再成形直後に使える状態にする快適な表面温度を仮定することである。
【0062】
言及すべきこととして、多形プラスチックポリマーは言わば、加熱されるたびに放出される貯蔵エネルギーを使用し、それにより(材料が本体内に閉じ込められ、材料の一部が失われないならば)材料は使い果たされないことである。もし破損が最終的に発生した場合、この材料は、加熱する時点で容易にともに溶融する。
【0063】
バイブレータの実施形態では、モータおよび電子接続は、既知の仕様であり得、例えば、異なる及び/又は可変の周波数およびパルス繰り返し数(pulse rate)を持った1つまたは複数の電気モータを含むことができる。
【0064】
ディルド/バイブレータにおける材料のユニークな組成および組み合わせの結果、ユーザ自身が、基本形状だが可変性の形状から始まり、特定の使用のために装置を成形し、適合させることができることから、様々な種類の装置に対する必要性が減少または省略される。
【0065】
図1に示す細長い基本形状に代替する実施形態の例として、楕円または卵形設計(但しそうでなければ対応する構造)のバイブレータ本体200を
図2に示す。
図2のバイブレータ内の残りの構成要素は、
図1の装置内の対応する構成要素と同一であり得ることにより、したがって同じ参照番号を受け入れている。
【0066】
更に別の代替的実施形態300を
図3に示す。この場合、
図1の基本形状は更に、突出付属物301を備える。バイブレータ機能を有する更に追加のモータ302は、付属物301内に配設された第3のモータカプセル303内に取り付けられる。電流導体304および固定リンク305は、実質的に同じ方法で、かつ
図1の装置を参照して前述したように対応する機能性を用いて、第3のモータカプセル303を第1のモータカプセル4に結び付ける。
図3の実施形態における残りの構成要素は、
図1の実施形態における対応する構成要素と同一であり得、したがって同じ参照番号を受け入れている。
【0067】
本装置の第4の実施形態を
図4に開示する。
図4の装置は、
図1のバイブレータ本体1に実質的に対応したバイブレータ本体400を含む。しかし、相違点は、バイブレータ本体400が高分子コア2に埋め込まれた一組の別個の固体または非固体401、402などを含むことである。高分子コアを可塑化状態に加熱すると、前述したように、物体401、402は任意に、こぶ状またはくぼみのある外観を装置に提供するために、周辺の方向に変位し、より進行した位置に移り得る。そうでなければ、逆に、物体は、より平滑な(滑らかな)外観をバイブレータ本体400に提供するために高分子コアの中により深く押し込むことができる。言わば、高分子コア内に自由に浮いている、これらの物体401、402は、ディルド/バイブレータ内の他の位置に移動することができる。
図4の実施形態の残りの構成要素は、
図1の実施形態における対応する構成要素と同一であり得、したがって同じ参照番号を受け入れている。
【0068】
前述したように、本装置によって提供される便益もまた、組み込まれたバイブレータ機能がない代替的実施形態で有利に利用することができる。さらに、代替的実施形態では、高分子コア内で可塑化温度に達するのに必要とされる熱は、外部熱源から供給することができる。このような場合、組み込まれた加熱要素は全く必要とされない。
【0069】
図5を参照すると、断面図で示す加熱ステーション500は、内部加熱容量がない本発明の装置に対応する。加熱ステーション500は、電熱源502、好ましくは赤外線光源502がリフレクタ(反射体)503の下に配置される、ハウジング501を含む。ハウジングの底部には、熱源によって照射しながら、装置が載置されるベッド504が配置される。ベッド504は、高分子コア2の材料と同様の熱伝導率を有する材料で作製されることが好ましい。このような場合、ベッド504内の温度を検出するように配置される温度センサ505はまた、装置の高分子コアが可塑化温度に達しているときに関して近い表示を提供することができる。温度センサ505は、ハウジング501の外部に配置された制御手段506に接続することができる。温度センサ505と制御手段506との間で伝達することは、無線であってもよく、または固定ワイヤによって行われてもよい。制御手段506は、ベッド504が予め設定された温度に達しているとき、加熱源502への電流を遮断するサーモスタットを含むことができる。ハウジング501は、その内壁から装置に向かって熱を反射させる金属で作製することができる。ハウジング壁は、空気循環および加熱源からの放射熱の分散のための開口部507を含むことができる。ハウジング501は、装置を挿入し、この装置をベッド504に載置するための1つの開放側(オープンサイド)を含んでもよい。あるいは、ハウジングは、基部プレート508に着脱可能に載置されてもよい。
【0070】
図6の実施形態600は、外皮3の内側に高分子コア2とともに配置された物体601を含む。物体601は、高分子コアが可塑的に成型可能である任意の温度において寸法的に安定であるハンドルを提供する。実際には、物体601は、全く熱成型可能ではないか、または高分子コア2内で使用されたポリマーの融点未満で少なくとも熱成型可能ではないプラスチック材料で作製することができる。物体601は、コアのポリマーおよび外皮のゴムまたは合成ゴムに適合する任意の材料(例えばプラスチック、セルロース系ポリマー、または木材など)で作製することができる。
【0071】
したがって、基本形状から始まり、本発明は、ディルドおよび/またはバイブレータなどの装置を、丸くなった先端もしくは尖った先端を有する様々な角があり、細長くかつ薄く、または短くかつ小型の形状に成形し、装置の中心部において、または装置の端部に向かってこぶを装置に適用し、あるいは加熱し、練り合わせ、かつ手で単純な操作を適用することによって、任意に突出付属物または膨らみなどを有する球体の球形または扁平な形状を装置に付与する、可能性をユーザに提供する。
【0072】
上述したように、本発明の装置は、発熱にかかわらず寸法的に安定であり且つ当該装置の内側を動き回り得る材料で作製された、様々な幾何学的形状(円形、三角形、正方形など)での別個の物体も含むことができる。
【0073】
最終的に言及すべきこととして、ユーザの革新的精神のみが、上記開示のようなディルドおよび/またはバイブレータによって提供されるほとんど無限の成型性により達成され得ることに対する制限を設定する。
【符号の説明】
【0074】
1 バイブレータ本体
2 高分子コア
3 外皮
3’ 封止プラグ
4 (第1の)モータカプセル
5 電気モータ
6 蓄電池(又はバッテリ)
7 (第2の)モータカプセル
8 追加の電気モータ
9 リンク
10 電流導体(又は導電ワイヤ)
12 接続端子
14 制御手段
15 加熱要素
16 電子回路基板(受信器を含み得る)
401,402 物体(固体または非固体)
502 赤外線光源
601 物体
【手続補正書】
【提出日】2023-04-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディルドおよび/またはバイブレータなどの、身体の性感帯の刺激用装置であって、
加熱により繰り返し成型可能な高分子コア(2)、および、前記高分子コア(2)を囲む外皮(3)を備えており、
前記高分子コア(2)は、基本形状から、前記基本形状とは異なるユーザが定めた形状に形を変えられるように加熱時に可塑的に成型可能となり、且つ可塑性が生じる温度未満の温度では、前記ユーザが定めた形状で形が安定するものであり、
前記外皮(3)の内側には、前記高分子コア(2)と並んで配置された物体(601)を備えており、当該物体(601)は、前記高分子コアの融点未満の温度で熱成型可能ではない材料で作られていると共に、ハンドルを提供する、ことを特徴とする、身体の性感帯の刺激用装置。
【請求項2】
前記高分子コア(2)は、多形プラスチックポリマー、または、PCL(ポリカプロラクトン)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外皮(3)は、プラスチック、ゴムまたはこれらの混合物で作られた引張性及び弾性のある外皮(3)である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記外皮(3)は、少なくとも2mm、または、2~5mmの範囲の厚さを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記外皮(3)は、一端部において、外皮材料または外皮適合性材料のプラグ(3’)の挿入によって封止されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記高分子コア(2)に埋め込まれた電気的な加熱要素(15)を更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記加熱要素(15)は、前記高分子コア(2)に組み込まれた可撓性の抵抗加熱ワイヤもしくは抵抗加熱バンドである、又は、
前記高分子コア(2)に組み込まれた電流導電性の可撓性炭素繊維バンドである、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱要素(15)は、前記高分子コア(2)に封入された再充電可能な蓄電池(6)に電気的に接続されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記加熱要素(15)は、外部電源からの電力を操作して前記加熱要素を加熱する供給用の接続端子(12)に電気的に接続されている、請求項6記載の装置。
【請求項10】
前記加熱要素は、赤外線光源(502)である、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
バイブレータ本体(1)と、
前記バイブレータ本体に組み入れられた、請求項1~10のいずれか一項に記載の身体の性感帯の刺激用装置と、
を備えたバイブレータであって、
前記バイブレータ本体(1)は、当該バイブレータ本体に作用すべく蓄電池(6)で駆動するところの電気モータ(5)の起動時に、振動状態に設定されるように構成されている、ことを特徴とするバイブレータ。
【請求項12】
第1のモータカプセル(4)に収容された少なくとも1つの振動発生電気モータ(5)が、前記高分子コア(2)内に配置されている、請求項11に記載のバイブレータ。
【請求項13】
可撓性の固定リンク(9;305)および電流導体(10;304)によって可変相対距離で前記第1のモータカプセル(4)に接続される第2のモータカプセル(7;303)に収容された、少なくとも1つの追加の電気モータ(8;302)を備える、請求項12に記載のバイブレータ。
【請求項14】
前記外皮(3)の内側に配置された、前記バイブレータの起動および制御のための制御手段(14)と、
前記電気モータ(5)および/または前記加熱要素(15)に制御信号を無線送信するための受信器(16)と、
を更に備える、請求項11に記載のバイブレータ。
【外国語明細書】