IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユピテルの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098908
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】システム及びプログラム等
(51)【国際特許分類】
   G01D 9/00 20060101AFI20230704BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20230704BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20230704BHJP
   G07C 1/00 20060101ALI20230704BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
G01D9/00 X
G04G5/00 J
G04G21/00 D
G07C1/00 C
G07C5/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023054651
(22)【出願日】2023-03-30
(62)【分割の表示】P 2019056778の分割
【原出願日】2019-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】小川 智昭
(72)【発明者】
【氏名】小池 茂
(72)【発明者】
【氏名】小林 典仙
(72)【発明者】
【氏名】上 三千洋
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
(57)【要約】
【課題】時刻を用いるシステムであって、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下において、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻を特定できるシステム等、従来のシステムよりも優れたシステムを提供する。
【解決手段】システム901は、複数の車両の各々に搭載されているドライブレコーダ1と、ドライブレコーダ1に対し時刻情報を送信するタイムレコーダ2と、タイムレコーダ2に対し時刻情報を送信する時刻サーバ3と、タイムレコーダ2が生成する勤怠情報等の各種情報を記憶するデータサーバ4を備える。ドライブレコーダ1は、例えば所定時間が経過する毎に、無線通信によりタイムレコーダ2から現在時刻を示す時刻情報を受信する。ドライブレコーダ1は内部時計を備え、内部時計が計時する時刻を、タイムレコーダ2から受信した時刻情報を用いて校正する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得することなくユーザによる情報の手入力を要することなく時刻を特定するための情報を取得する機能と、取得した前記時刻を特定するための情報を用いて時刻を特定する機能とを備える特定手段
を備えるシステム。
【請求項2】
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得することなくユーザによる情報の手入力を要することなく前記時刻を特定するための情報を外部のシステムから受信する通信機能を有する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、前記通信機能によりネットワーク上の前記外部のシステムから送信される時刻の通知を目的としない情報を受信し、前記時刻の通知を目的としない情報に付随する情報から前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有する
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、前記通信機能によりネットワーク上で通信される自システムを宛先としない情報を受信し、前記自システムを宛先としない情報から前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有する
請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、撮影された画像を表す情報を取得し、前記画像から前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有する
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、拾音された音を表す情報を取得し、前記音から前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、人が認識するよりも高い精度で装置が認識できる形式の前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有する
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、誤り検出訂正のための情報を伴う前記時刻を特定するための情報を取得し、前記誤り検出訂正のための情報を用いて前記時刻を特定するための情報の誤りを検出した場合、当該誤りを前記誤り検出訂正のための情報を用いて訂正する機能を有する
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、ばらつきのある複数の前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有し、
前記特定手段が備える前記時刻を特定する機能は、ばらつきのある複数の前記時刻を特定するための情報を用いて時刻を特定する機能を有する
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
所定の周期で信号を発する発振器を有し、前記発振器が発する信号に基づき時刻を計時する内部時計を備え、
前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、前記所定の周期と基準となる周期との差異を示す情報を、前記時刻を特定するための情報として取得する機能を有し、
前記特定手段は、前記差異を示す情報を用いて、前記内部時計が計時する時刻を補正する機能を備える
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記発振器が信号を発する周期に影響を与える物理量を計測する計測手段を備え、
前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、前記計測手段が計測した物理量に応じた、前記発振器が信号を発する周期を示す情報を、前記時刻を特定するための情報として取得する機能を有する
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記時刻を特定するための情報を取得する機能を第1の取得する機能とし、
前記特定手段は、時刻サーバから直接的に時刻を特定するための情報を取得する機能、衛星測位システムの受信部から直接的に時刻を特定するための情報を取得する機能、及び、ユーザにより手入力された時刻を特定するための情報を取得する機能のうちの1以上を第2の取得する機能として備え、
前記内部時計が計時する時刻を補正する機能は、前記第2の取得する機能により取得した情報を用いて前記内部時計が計時する時刻を補正する機能を有する
請求項10又は11に記載のシステム。
【請求項13】
前記時刻を特定するための情報及び前記時刻を特定するための情報を用いて特定した時刻を示す情報の少なくとも一方を、時刻を特定するための情報として外部のシステムに送信する送信手段を備える
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシステムを第1のシステムとし、
前記第1のシステムを複数備え、
複数の前記第1のシステムの各々が同一の情報元から前記時刻を特定するための情報を取得する
第2のシステム。
【請求項15】
請求項7に記載のシステムを第1のシステムとし、
前記第1のシステムが取得する前記時刻を特定するための情報を、人が認識するよりも高い精度で装置が認識できる形式で出力する出力手段を備える
第3のシステム。
【請求項16】
請求項7に記載のシステムを第1のシステムとして備え、
請求項15に記載の第3のシステムを備える
第4のシステム。
【請求項17】
請求項8に記載のシステムを第1のシステムとし、
前記第1のシステムが取得する前記時刻を特定するための情報を、誤り検出訂正のための情報を伴う情報として出力する出力手段を備える
第3のシステム。
【請求項18】
請求項8に記載のシステムを第1のシステムとして備え、
請求項17に記載の第3のシステムを備える
第4のシステム。
【請求項19】
コンピュータを、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシステムが備える特定手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項20】
コンピュータを、
請求項15又は17に記載の第3のシステムが備える出力手段
として機能させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例えば、時刻を特定する技術等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1がある。特許文献1には、接続ケーブルで接続されたドライブレコーダとカーナビゲーション装置(以下、「カーナビ」という)を備えるシステムが記載されている。ドライブレコーダはカーナビから基準日時データを取得し、取得した基準日時データに基づいて設定した日時データを、撮影した画像データに関連付けて記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-257849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時刻を用いるシステムの多くは、例えばRTC(Real Time Clock)等の内部時計を備え、内部時計により計時した時刻を用いる。内部時計の多くは、比較的安価な水晶振動子が周期的に発する信号に基づき計時を行うが、水晶振動子が発する信号の周期は必ずしも設計値と一致せず、時間の経過に伴い内部時計が計時する時刻が正しい時刻からずれてゆく、という問題がある。
【0005】
また、時刻を用いるシステムに外部から電力供給がされない期間中に内部時計に電力を供給するバッテリーの蓄電量が不足すると、内部時計の動作が停止し、システムに対する外部からの電力供給が再開された際、内部時計が正しい時刻を計時できない、という問題がある。
【0006】
上記の不都合を解消するための方法として、まず、時刻を用いるシステムに操作ボタン等のユーザインタフェースを設け、ユーザがそのユーザインタフェースに対し時刻を示す情報(以下、「時刻情報」という)を手入力する操作を行うことが考えられる。この場合、時刻を用いるシステムはユーザにより手入力された時刻情報を用いて時刻を特定し用いることができる。ただし、ユーザが時刻情報を手入力するのは煩わしい。
【0007】
ユーザによる情報の手入力を要さない方法として、例えば、時刻を用いるシステムが時刻情報を配信している時刻サーバから直接的に時刻情報を取得することが考えられる。時刻サーバとしては、例えば、NTP(Network Time Protocol)、PTP(Precision Time Protocol、IEEE 1588)等の通信プロトコルに従い時刻情報をパケットで送信するものや、電波時計による受信を想定して時刻情報を電波に変調して送信するもの等がある。この場合、時刻を用いるシステムは、時刻サーバから取得した時刻情報を用いて時刻を特定し用いることができる。また、時刻を用いるシステムが、衛星測位システムの受信部(以下、「GNSS(Global Navigation Satellite System)ユニット」という)から直接的に時刻情報を取得することが考えられる。この場合、時刻を用いるシステムは、GNSSユニットが人工衛星から受信した時刻情報をGNSSユニットから取得し、取得した時刻情報を用いて時刻を特定し用いることができる。
【0008】
しかしながら、時刻を用いるシステムが、例えば物理的な理由や金銭的な理由等によって、時刻サーバとGNSSユニットのいずれからも直接的に時刻情報を取得できない場合がある。例えば、時刻を用いるシステムが通信機能を備えない場合や、通信機能を備えていても時刻サーバに属するネットワークに接続できない場合、時刻を用いるシステムは時刻サーバから直接的に時刻情報を取得できない。また、時刻を用いるシステムがGNSSユニットを備えない場合や、GNSSユニットを備えていても障害物等の影響で人工衛星からの電波を受信できない場合、時刻を用いるシステムはGNSSユニットから直接的に時刻情報を取得できない。
【0009】
本発明の目的は、例えば、時刻を用いるシステムであって、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下において、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻を特定できるシステム等、従来のシステムよりも優れたシステムを提供することである。
【0010】
本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得することなくユーザによる情報の手入力を要することなく時刻を特定するための情報を取得する機能と、取得した前記時刻を特定するための情報を用いて時刻を特定する機能とを備える特定手段を備えるシステムとするとよい。
【0012】
上記システムによれば、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻が特定される。
【0013】
時刻サーバは、例えばインターネット上のサーバとするとよく、例えばNTP(Network Time Protocol)サーバとすると特によい。衛星測位システムの受信部は、例えばGPS(Global Positioning System)の受信モジュールとするとよい。システムが時刻サーバ又はシステムが衛星測位システムの受信部から直接的に情報を取得する、というのは、時刻サーバ又は衛星測位システムの受信部がシステムに対し送信又は出力した情報をシステムが受け取ることとするとよい。ユーザによる情報の手入力は、例えばユーザがボタン等の物理的な操作子やディスプレイに表示されたアイコン等の仮想的な操作子等を操作して情報を入力することとするとよい。
【0014】
上記の時刻を特定するための情報は、時刻そのものを示す情報としてもよい。しかし、上記の時刻を特定するための情報は、時刻そのものを示さない情報とすると特によい。時刻そのものを示さない情報は、例えば時計のある風景を撮影した画像を表す情報、衛星測位システムの受信部が出力する1PPS(Pulse Per Second)信号等の経過時間を示す情報等とするとよい。時刻を特定するとは、例えば何時何分という情報を特定することとするとよい。
【0015】
(2)前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得することなくユーザによる情報の手入力を要することなく前記時刻を特定するための情報を外部のシステムから受信する通信機能を有するシステムとするとよい。
【0016】
上記システムによれば、上記システムが有する通信機能を用いることで、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻が特定される。
【0017】
外部のシステムは、例えば、時刻サーバから直接的に時刻を特定するための情報を取得するシステムとし、上記システムは外部のシステムを介して時刻サーバから間接的に時刻を特定するための情報を取得するとよい。また、外部のシステムは、例えば、衛星測位システムの受信部を備えるシステムとし、上記システムは外部のシステムを介して衛星測位システムの受信部から間接的に時刻を特定するための情報を取得するとよい。
【0018】
上記の外部のシステムは、時刻を記録する機能を備えると特によい。この時刻を記録する機能は、例えば、所定のイベントが発生した時刻を記録する機能とするとよい。所定のイベントとは、例えば、特定の場所に人がいたこととするとよく、特に特定の場所に特定の人がいたこととするとよい。所定のイベントは、例えば、駅の改札を通行人が通過したこととするとよい。また、所定のイベントは、例えば、労働者が出勤したこと又は退勤したこととするとよい。上記の外部のシステムは、例えば、労働者の出勤時刻及び退勤時刻を記録するタイムレコーダを備えるとよい。上記システムは、例えば、上記システムで行われる処理により生成される情報とタイムレコーダが記録する労働者の出勤時刻及び退勤時刻とを関連付けて記憶する機能を備えるとよい。上記システムで行われる処理により生成される情報は、例えば、撮影した画像を表す情報とするとよい。
【0019】
上記の外部のシステムは内部時計と、当該内部時計が計時する時刻を補正する機能を備えると特によい。この内部時計が計時する時刻を補正する機能は、例えば、上記の外部のシステムが時刻サーバから直接的に取得した時刻を示す情報を用いて時刻を補正する機能とするとよい。また、この内部時計が計時する時刻を補正する機能は、例えば、上記の外部のシステムが衛星測位システムの受信部から直接的に取得した時刻を特定するための情報を用いて時刻を補正する機能とするとよい。また、この内部時計が計時する時刻を補正する機能は、例えば、ユーザにより手入力された時刻を特定するための情報を用いて時刻を補正する機能とするとよい。上記システムは、例えば、内部時計と当該内部時計が計時する時刻を補正する機能を備える外部のシステムから、補正された時刻を示す情報を取得するとよい。
【0020】
上記の外部のシステムは、移動するシステムとすると特によい。外部のシステムは、例えば、ユーザの携帯端末とするとよい。上記システムは、ユーザが上記システムに無線通信可能な距離まで接近したときにユーザの携帯端末から時刻を特定するための情報を取得するとよい。例えば、ユーザが上記システムに近接したときに、ユーザの携帯端末と上記システムが、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信規格に従う通信接続を確立し、当該通信接続を介して、上記システムがユーザの携帯端末から時刻を特定するための情報を受信するとよい。例えば、上記システムが複数あり、これら複数の上記システムの各々が、接近してきたユーザの同じ携帯端末から時刻を特定するための情報を取得してもよい。この場合、複数の上記システムが特定する時刻は互いに同期された時刻となる。
【0021】
また、外部のシステムは、例えば、車載装置とするとよい。上記システムは、車両が上記システムに接近したときに車両に搭載されている車載装置から時刻を特定するための情報を取得するとよい。例えば、上記システムが複数あり、これら複数の上記システムの各々が、近くを走行する車両に搭載された同じ車載装置から時刻を特定するための情報を取得してもよい。この場合、複数の上記システムの各々が特定する時刻は互いに同期された時刻となる。
【0022】
(3)前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、前記通信機能によりネットワーク上の前記外部のシステムから送信される時刻の通知を目的としない情報を受信し、前記受信した情報に付随する情報から前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有するシステムとするとよい。
【0023】
上記システムによれば、上記システムが有する通信機能を用いて時刻の通知を目的としない情報が通信されるネットワークに接続することで、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻が特定される。
【0024】
時刻の通知を目的としない情報は、例えば、WebサーバからHTTPによる通信で送信されるメッセージ本体とするとよい。上記システムは、例えば、WebサーバからHTTPによる通信でメッセージ本体を受信し、メッセージ本体に付随するHTTPヘッダから時刻を特定するための情報を取得するとよい。この場合、上記システムはWebサーバにアクセスすることで時刻を特定することができる。
【0025】
また、時刻の通知を目的としない情報に付随する情報から取得される時刻を特定するための情報は、例えば、時刻の通知を目的としないデータの送信時刻とするとよい。上記システムは、例えば、WebサーバからHTTPによる通信でメッセージ本体を受信し、メッセージ本体に付随するHTTPヘッダから、時刻を特定するための情報として、メッセージ本体の送信時刻を取得するとよい。また、上記システムは、例えば、メールサーバからSMTPによる通信でメールを受信し、受信したメールから、時刻を特定するための情報として、メールの送信時刻を取得するとよい。上記システムは、例えば、メールサーバからSMTPによる通信でメールを受信し、受信したメールに含まれるメッセージ本体から時刻を特定するための情報を取得してもよいが、受信したメールのメッセージ本体に付随するSMTPヘッダから、例えばメールの送信時刻を、時刻を特定するための情報として取得すると、時刻を特定するための情報の探索が容易となるため、特によい。
【0026】
ただし、プロトコルはHTTPやSMTPに限られず、各種プロトコルが用いられてよい。特に、アプリケーション層でメッセージ本体に付加されるヘッダから時刻を特定するための情報を取得するとよい。
【0027】
(4)前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、前記通信機能によりネットワーク上で通信される自システムを宛先としない情報を受信し、前記自システムを宛先としない情報から前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有するシステムとするとよい。
【0028】
上記システムによれば、上記システムが有する通信機能を用いて自システムを宛先としない情報が通信されるネットワークに接続することで、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻が特定される。
【0029】
上記システムは、例えば、複数の外部のシステムの間で通信される情報を受信し、当該情報から時刻を特定するための情報を取得するとよい。上記システムは、例えば、複数の外部のシステムの間で通信される情報を中継する中継装置を備え、当該中継装置が受信する情報から時刻を特定するための情報を取得するとよい。
【0030】
上記システムは、ネットワーク上で通信される自システムを宛先としない情報を受信し、当該情報のメッセージ本体から時刻を特定するための情報を取得してもよいが、メッセージ本体に付随するヘッダから時刻を特定するための情報を取得すると、時刻を特定するための情報の探索が容易となるため、特によい。
【0031】
(5)前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、撮影された画像を表す情報を取得し、前記画像から前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有するシステムとするとよい。
【0032】
上記システムによれば、上記システムが有する画像を表す情報を取得する機能を用いて、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻が特定される。
【0033】
上記システムは、例えば、画像を認識して時刻を特定するための情報を取得するとよい。上記システムは、例えば、画像から時計を認識し、認識した時計が示す時刻を認識するとよい。また、上記システムは、例えば、画像に時刻を特定するための情報が含まれているか否かを判定し、画像に時刻を特定するための情報が含まれていると判定した場合、画像から時刻を特定するための情報を取得するとよい。また、上記システムは、例えば、取得した画像を表す情報を時刻の特定ではない目的で利用する利用手段を備え、当該利用手段に利用される画像を表す情報から時刻を特定するための情報を取得するとよい。取得した画像を表す情報を時刻の特定ではない目的で利用する利用手段は、例えば、取得した画像を表す情報を記録する録画装置、取得した画像を表す情報を配信する映像配信装置等とするとよい。
【0034】
また、上記システムは、例えば、撮影手段を備え、当該撮影手段により撮影した画像を表す情報を、時刻を特定するための情報として取得するとよい。また、上記システムは、例えば、ドライブレコーダを備え、当該ドライブレコーダが備える撮影手段によって車両の周囲の風景を撮影し、撮影した画像を認識し、当該画像に時計が含まれるか否かを判定し、当該画像に時計が含まれると判定した場合、当該時計が示す時刻を認識することによって時刻を特定するとよい。上記システムは、例えば、ドライブレコーダを搭載した車両が時計の近辺を走行するときに撮影した画像から時刻を特定するとよい。
【0035】
上記システムは、時刻を特定するための情報として、1枚の画像を表す情報を取得してもよいし、複数枚の画像を表す情報を取得してもよい。上記システムは、例えば、時計の写っている1枚の画像から時刻を特定してもよいし、時系列で連続して撮影された同じ時計の写っている複数枚の画像から時刻を特定してもよい。
【0036】
また、上記システムは、例えば、時刻を特定するための情報として、可視光通信規格に従い時間の経過に伴い変化する可視光を時系列で撮影した複数の画像を表す情報を取得し、これらの複数の画像から時刻を特定するとよい。例えば、ユーザの携帯端末が可視光通信規格に従い時刻を示す可視光を発する場合、上記システムはユーザの携帯端末が発する可視光を時系列で撮影した複数の画像を表す情報を取得することで、時刻を特定することができる。また、上記システムは、例えば、赤外線通信規格に従い時間の経過に伴い変化する赤外線を時系列で撮影した複数の画像を表す情報を取得し、これらの複数の画像から時刻を特定するとよい。また、上記システムは、例えば、ユーザによる時刻を示す数値の入力操作に応じて赤外線リモコンから発せられる赤外線を時系列で撮影した複数の画像を表す情報を取得し、これらの複数の画像から時刻を特定するとよい。また、上記システムは、例えば、可視光通信又は赤外線通信のための専用の受光手段を備えず、撮影手段を備え、可視光通信又は赤外線通信の規格に従い外部のシステムから発せられる可視光又は赤外線を撮影手段によって撮影し、撮影した画像に基づき時刻を特定すると特によい。
【0037】
(6)前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、拾音された音を表す情報を取得し、前記音から前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有するシステムとするとよい。
【0038】
上記システムによれば、上記システムが有する音を表す情報を取得する機能を用いて、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻が特定される。
【0039】
上記システムは、例えば、人が発した声を表す情報を取得し、当該声から時刻を特定するための情報を認識するとよい。この場合、例えば、ユーザが時刻を発声すると、上記システムにおいて時刻の特定が行われる。また、上記システムは、例えば、拾音手段を備え、当該拾音手段により拾音した音から時刻を特定するための情報を取得するとよい。
【0040】
(7)前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、人が認識するよりも高い精度で装置が認識できる形式の前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有するシステムとするとよい。
【0041】
上記システムによれば、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく、例えば、時刻を特定するための情報として、時計の画像、文字を示す画像、時刻を発声した音声等の人が認識しやすい形式の情報を上記システムが取得する場合と比較して、高い精度で時刻が特定される。
【0042】
上記システムは、例えば、バーコードを表す情報を取得し、当該バーコードをデコードして時刻を特定するための情報を取得するとよい。また、上記システムは、例えば、音響カプラの規格に従い変調された音を表す情報を取得し、当該音を復調して時刻を特定するための情報を取得するとよい。
【0043】
(8)前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、誤り検出訂正のための情報を伴う前記時刻を特定するための情報を取得し、前記誤り検出訂正のための情報を用いて前記時刻を特定するための情報の誤りを検出した場合、当該誤りを前記誤り検出訂正のための情報を用いて訂正する機能を有するシステムとするとよい。
【0044】
上記システムによれば、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下であり、誤りが含まれる可能性がある時刻を特定するための情報が取得される状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく、高い精度で時刻が特定される。
【0045】
上記システムは、例えば、QRコード(登録商標)等の誤り検出訂正のための情報を伴う二次元コードを表す画像を、時刻を特定するための情報として取得し、当該二次元コードをデコードして得られる情報を用いて時刻を特定するとよい。
【0046】
(9)前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、ばらつきのある複数の前記時刻を特定するための情報を取得する機能を有し、前記特定手段が備える前記時刻を特定する機能は、ばらつきのある複数の前記時刻を特定するための情報を用いて時刻を特定する機能を有するシステムとするとよい。
【0047】
上記システムによれば、上記システムが取得する個々の時刻を特定するための情報にばらつきがあっても、複数の情報を用いることで確からしい時刻が特定される。
【0048】
上記システムは、例えば、ばらつきのある複数の時刻を特定するための情報の統計値を特定し、当該統計値を用いて時刻を特定するとよい。この統計値は、例えば平均値であるとよい。また、この統計値は最頻値であるとよい。また、上記システムは、例えば、ばらつきのある複数の時刻を特定するための情報から異常値を除去し、異常値を含まないばらつきのある複数の時刻を特定するための情報の統計値を特定し、当該統計値を用いて時刻を特定すると特によい。
【0049】
また、上記システムは、例えば、各々に異なる時計が写った複数の画像を表す情報を、時刻を特定するための情報として取得し、当該複数の画像の各々から時刻を認識し、認識した複数の時刻の統計値を時刻として特定するとよい。
【0050】
(10)所定の周期で信号を発する発振器を有し、前記発振器が発する信号に基づき時刻を計時する内部時計を備え、前記特定手段が備える前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、前記所定の周期と基準となる周期との差異を示す情報を、前記時刻を特定するための情報として取得する機能を有し、前記特定手段は、前記差異を示す情報を用いて、前記内部時計が計時する時刻を補正する機能を備えるシステムとするとよい。
【0051】
上記システムによれば、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下において、内部時計が備える発振器が実際に発する信号の周期と基準となる周期との間に差異を生じる場合であっても、ユーザによる情報の手入力を要することなく、内部時計が計時する時刻に基づき高い精度で時刻が特定される。
【0052】
上記の内部時計は、例えば、RTC(Real-Time Clock)とするとよい。上記の周期を示す情報は、例えば、衛星測位システムの受信部が1秒の周期で発する1PPS信号を用いて特定された情報とするとよい。上記の時刻を特定するための情報を取得する機能は、メモリ等の記憶手段に記憶されている周期を示す情報を、時刻を特定するための情報として当該記憶手段から読み出すことにより取得する機能を有するとよい。
【0053】
例えば、内部時計が有する発振器が発する信号の基準となる周波数がX(kHz)であり、1PPS信号を用いて特定された、実際に発振器が発する信号の周波数がY(kHz)である場合、上記システムの時刻を特定するための情報を取得する機能が、時刻を特定するための情報としてX/Yの値を示す情報を取得し、上記システムが、X/Yの値を用いて内部時計が計時する時刻を補正する機能を備えるとよい。
【0054】
(11)前記発振器が信号を発する周期に影響を与える物理量を計測する計測手段を備え、前記時刻を特定するための情報を取得する機能は、前記計測手段が計測した物理量に応じた、前記発振器が信号を発する周期を示す情報を、前記時刻を特定するための情報として取得する機能を有するシステムとするとよい。
【0055】
上記システムによれば、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下において、内部時計が備える発振器が実際に発する信号の周期と基準となる周期との間に差異を生じ、かつ、発振器がおかれる環境の物理量の変化によってその差異が影響を受ける場合であっても、ユーザによる情報の手入力を要することなく、内部時計が計時する時刻に基づき高い精度で時刻が特定される。
【0056】
発振器が信号を発する周期に影響を与える物理量は、例えば温度とするとよい。上記システムは、例えば、温度計を備え、温度計により現在の温度を計測し、計測した温度に応じた、発振器が信号を発する周期を示す情報を取得して、当該周期を用いて内部時計が計時する時刻を補正するとよい。
【0057】
(12)前記時刻を特定するための情報を取得する機能を第1の取得する機能とし、前記特定手段は、時刻サーバから直接的に時刻を特定するための情報を取得する機能、衛星測位システムの受信部から直接的に時刻を特定するための情報を取得する機能、及び、ユーザにより手入力された時刻を特定するための情報を取得する機能のうちの1以上を第2の取得する機能として備え、前記内部時計が計時する時刻を補正する機能は、前記第2の取得する機能により取得した情報を用いて前記内部時計が計時する時刻を補正する機能を有するシステムとするとよい。
【0058】
上記システムによれば、第2の取得する機能によって、時刻サーバ又は衛星測位システムの受信部のいずれかから直接的に取得した時刻を特定するための情報、もしくは、ユーザにより手入力された時刻を特定するための情報を用いて補正された内部時計が計時する時刻に基づき、第2の取得する機能が利用できない状況下においても、高い精度で時刻が特定される。
【0059】
上記の第2の取得する機能は、例えば、ユーザにより手入力された現在の時刻を示す情報を取得する機能であり、上記の内部時計が計時する時刻を補正する機能は、当該現在の時刻を示す情報を用いて、内部時計が計時する時刻を補正する機能を有するとよい。また、上記の第2の取得する機能は、例えば、衛星測位システムの受信部が発する1PPS信号を取得する機能を有し、上記の第1の取得する機能は、例えば、当該1PPS信号を用いて発振器が信号を発する周期を示す情報を、時刻を特定するための情報として生成することによって取得し、上記の内部時計が計時する時刻を補正する機能は、例えば、当該周期を用いて内部時計が計時する時刻を補正する機能を有するとよい。
【0060】
(13)前記時刻を特定するための情報及び前記時刻を特定するための情報を用いて特定した時刻を示す情報の少なくとも一方を、時刻を特定するための情報として外部のシステムに送信する送信手段を備えるシステムとするとよい。
【0061】
上記システムによれば、上記システムと外部のシステムの間で時刻の同期が行われる。
【0062】
例えば、上記システムと同様の構成のシステムを上記の外部のシステムとするとよい。また、上記システムと同様の構成の複数のシステムを上記の外部のシステムとするとよい。この場合、上記システム及び上記システムと同様の構成の複数のシステムの間で時刻の同期が行われる。
【0063】
例えば、上記システムを車載装置とし、上記システムを搭載している複数の車両が駐車場等に駐車されているときに、第1の車両に搭載されている上記システムが外部のシステムから時刻を特定するための情報を取得し、当該情報を用いて時刻を特定し、特定した時刻を示す情報を、時刻を特定するための情報として第2の車両に搭載されている上記システムに送信し、第2の車両に搭載されている上記システムが第1の車両に搭載されている上記システムから受信した時刻を特定するための情報を用いて時刻を特定し、特定した時刻を示す情報を、時刻を特定するための情報として第3の車両に搭載されている上記システムに送信する、という具合に、順次、複数の上記システムの間で時刻を特定するための情報を通信することで、複数の上記システムが同期した時刻を特定するとよい。
【0064】
(14)上記システムを第1のシステムとし、第1のシステムを複数備え、複数の第1のシステムの各々が同一の情報元から時刻を特定するための情報を取得する第2のシステムとするとよい。
【0065】
上記第2のシステムによれば、複数の第1のシステムの間で時刻の同期が行われる。
【0066】
上記第2のシステムが備える複数の第1のシステムの各々が、例えば、同一の情報元から発せられた時刻を特定するための情報を所定の期間内に取得するとよい。また、情報元から発せられる情報の空間的な到達範囲が限られており、当該到達範囲内に存在する複数の第1のシステムが、同一の情報元から時刻を特定するための情報を取得するとよい。例えば、複数の第1のシステムを、同じ車両に搭載されている複数の車載装置(例えば、ドライブレコーダ)とし、情報元を、当該車両の搭乗者又は当該搭乗者の携帯端末(例えば、スマートフォン)とし、車両内で搭乗者が発声する時刻を示す音声又は車両内で搭乗者の携帯端末(例えば、スマートフォン)が発音する時刻を示す音を複数の第1のシステム(例えば、ドライブレコーダ)が拾音し、複数の第1のシステム(例えば、ドライブレコーダ)の各々が拾音した音声又は音から時刻を特定するとよい。また、例えば、複数の第1のシステムを、同じ室内に配置されている複数のネットワークカメラとし、情報元を、その室内に配置されている時計(例えば、タイムレコーダの時刻表示部)とし、複数の第1のシステム(ネットワークカメラ)の各々が同じ時計を撮影した画像から時刻を特定するとよい。
【0067】
(15)上記システムを第1のシステムとし、前記第1のシステムが取得する前記時刻を特定するための情報を、人が認識するよりも高い精度で装置が認識できる形式で出力する出力手段を備える第3のシステムとするとよい。
【0068】
上記第3のシステムによれば、例えば、時刻を特定するための情報として、時計の画像、文字を示す画像、時刻を発声した音声等の人が認識しやすい形式の情報を出力する場合と比較して、上記第1のシステムにおいて高い精度で時刻が特定される。
【0069】
例えば、上記第1のシステムをドライブレコーダとし、上記第3のシステムをユーザの携帯端末とするとよい。例えば、第3のシステムであるユーザの携帯端末が時刻を示すQRコードを表示し、第1のシステムであるドライブレコーダがユーザの携帯端末に表示されたQRコードを撮影し、撮影した画像を、時刻を特定するための情報として取得し、当該QRコードをデコードして時刻を特定するとよい。例えば、第3のシステムであるユーザの携帯端末が音高により時刻を示す音を発音し、第1のシステムであるドライブレコーダが内蔵するマイクでユーザの携帯端末から発音される音を拾音し、拾音した音を表す情報を、時刻を特定するための情報として取得し、当該音の音高から時刻を特定するとよい。
【0070】
(16)上記第1のシステムと上記第3のシステムを備える第4のシステムとするとよい。
【0071】
上記第4のシステムによれば、上記第1のシステムにおいて、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく、例えば、時刻を特定するための情報として、時計の画像、文字を示す画像、時刻を発声した音声等の人が認識しやすい形式の情報が用いられる場合と比較して、高い精度で時刻が特定される。
【0072】
(17)上記システムを第1のシステムとし、前記第1のシステムが取得する前記時刻を特定するための情報を、誤り検出訂正のための情報を伴う情報として出力する出力手段を備える第3のシステムとするとよい。
【0073】
上記第3のシステムによれば、例えば、上記第3のシステムから上記第1のシステムへの情報の伝達経路において情報に誤りが生じる可能性がある状況下においても、上記第1のシステムにおいて高い精度で時刻が特定される。
【0074】
(18)前記第1のシステムと前記第3のシステムを備える第4のシステムとするとよい。
【0075】
上記第4システムによれば、上記第1のシステムにおいて、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下であり、時刻を特定するための情報の伝達経路において情報に誤りが生じる可能性がある状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく、高い精度で時刻が特定される。
【0076】
(19)コンピュータを、上記システムが備える特定手段として機能させるためのプログラムとするとよい。
【0077】
上記プログラムによれば、コンピュータを用いて、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく時刻を特定するシステムが実現される。
【0078】
(20)コンピュータを、上記第3のシステムが備える出力手段として機能させるためのプログラムとするとよい。
【0079】
上記プログラムによれば、コンピュータを用いて、上記第1のシステムが、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下においても、ユーザによる情報の手入力を要することなく高い精度で時刻を特定できるようにする第3のシステムが実現される。
【0080】
上述した(1)から(20)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(20)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0081】
ユーザは、時刻サーバ及び衛星測位システムの受信部のいずれからも直接的に情報を取得できない状況下のシステムに時刻を特定させるために、情報を手入力しなくてよい。
【0082】
本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】一実施形態に係るシステムの全体構成を示した図。
図2】一実施形態に係るドライブレコーダの外観を示した図。
図3】一実施形態に係るドライブレコーダの内部構造を示した図。
図4】一実施形態に係るタイムレコーダの内部構造を示した図。
図5】一実施形態に係る端末装置に接続された表示装置に表示される動画の再生画 面の例。
図6】一実施形態の一変形例に係るシステムにおける再生画面の例。
図7】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図8】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図9】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図10】一実施形態の一変形例に係るドライブレコーダとタブレットPCが行う処 理のシーケンスの例を示した図。
図11】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図12】一実施形態に係るシステムの全体構成を示した図。
図13】一実施形態に係るドライブレコーダがHTTPサーバから受信する応答情 報の例。
図14】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図15】一実施形態の一変形例に係るタイムレコーダが受信した情報の例。
図16】一実施形態に係るシステムの全体構成を示した図。
図17】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図18】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図19】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図20】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図21】一実施形態の一変形例に係るシステムにおいて、タブレットPCが時刻情 報を伝達する仕組みを説明するための図。
図22】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図23】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図24】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図25】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図26】一実施形態の一変形例に係るドライブレコーダが車両に搭載されて使用さ れる状態を示した図。
図27】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図28】一実施形態の一変形例に係るドライブレコーダが車両に搭載されて使用さ れる状態を示した図。
図29】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
図30】一実施形態に係るシステムの全体構成を示した図。
図31】一実施形態の一変形例に係るシステムの全体構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0084】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るシステムであるドライブレコーダ1を含むシステム901の全体構成を示した図である。システム901は、車両運行会社(例えば、タクシー会社やバス会社等)の管理下の複数の車両の各々に搭載されているドライブレコーダ1と、ドライブレコーダ1の各々に対し時刻を特定するための情報(以下、「時刻情報」という)を送信する装置であるタイムレコーダ2(同一の情報元の一例)と、タイムレコーダ2に対し時刻情報を送信する装置である時刻サーバ3と、タイムレコーダ2が生成する勤怠情報等の各種情報を記憶するデータサーバ4を備える。
【0085】
図1には、例として、車両ID(Identifier)「0001」により識別される車両と車両ID「0002」により識別される車両の各々に搭載された計2台のドライブレコーダ1が示されているが、システム901を構成するドライブレコーダ1の数はシステム901を利用する車両の台数によって変化する。
【0086】
ドライブレコーダ1とタイムレコーダ2は、例えば、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の通信プロトコルに従い無線により通信を行う。ドライブレコーダ1は、例えば、車両の電源が入れられると、車両のバッテリーから電力の供給を受けて動作を開始する。ドライブレコーダ1は、動作の開始時と、動作中に所定時間(例えば、10秒間等)が経過する毎に、タイムレコーダ2と通信接続の確立を試み、通信接続を確立すると、タイムレコーダ2から現在時刻を示す時刻情報を受信する。ドライブレコーダ1は内部時計を備え、内部時計が計時する時刻を、タイムレコーダ2から受信した時刻情報を用いて校正して、校正後の時刻を現在時刻として特定する。従って、車両の運転者が、例えば、事務所内に駐車している車両の電源を入れたときや、事務所外から車両を運転して事務所内へと移動してきたときに、ドライブレコーダ1はユーザの操作を要することなく、タイムレコーダ2から時刻情報を受信し、内部時計が計時する時刻を校正する。
【0087】
タイムレコーダ2と時刻サーバ3は有線(例えば、イーサネット(登録商標)等)又は無線(例えば、WiFi等)で通信することができる。時刻サーバ3は、例えば車両運行会社の事務所外に配置され、インターネット等のWANを介してタイムレコーダ2と通信を行う。時刻サーバ3は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System、衛星測位システム)の受信部を備え、人工衛星に搭載された原子時計で計時された現在時刻を示す時刻情報を人工衛星から無線で受信し、受信した時刻情報を外部の装置に送信する。時刻サーバ3は時刻情報を、例えば、NTP(Network Time Protocol)を用いて、外部の装置に送信する。
【0088】
タイムレコーダ2とデータサーバ4は有線又は無線で通信することができる。データサーバ4は、例えば車両運行会社の事務所内に設置され、LANを介してタイムレコーダ2と通信を行う。
【0089】
図2は、ドライブレコーダ1の外観を示した図である。ドライブレコーダ1は、円筒形状の本体11を備え、その本体11の軸方向の一方端部側に、取付用ブラケット12を装着した構成を採る。本体11は、前後で2分割(半割)された第1ケース111と第2ケース112とを突き合わせることで構成される。第1ケース111の一方端部1111と、第2ケース112の一方端部1121は、その外形寸法が一回り小さく形成され、その先端外周面に雄ネジ部が形成される。さらに、一方端部1111、一方端部1121と本体11の軸方向の中央部位との間には、外径の相違に基づく段差面が形成される。
【0090】
取付用ブラケット12は、第1ケース111の一方端部1111と第2ケース112の一方端部1121の外径に略一致する(若干大きい)内径を有するリング部121と、取付板122と、両者を連結する連結柱部と、を備えている。取付板122は、リング部121の直径方向に対して、所定角度に傾斜状に配置している。そして、この取付板122の取り付け面1221に、両面接着テープ等の接着部材を取り付け、その接着部材を介して車両のフロントガラスに固定する。
【0091】
本体11の一方端部1111と一方端部1121にリング部121を装着した状態で、一方端部1111と一方端部1121の外周面に形成した雄ネジ部に、ナット部材13を装着する。ナット部材13は、扁平な円盤状のキャップ形態からなり、その内周面に雄ネジ部に符合する雌ネジ部が形成されている。ナット部材13を締め付けることで、リング部121の軸方向両面は、ナット部材13と、本体11の上記の段差面との間で、挟み込まれて固定される。これにより、リング部121を第1ケース111の一方端部1111と第2ケース112の一方端部1121に装着すると、ナット部材13にてしっかりと締結する前は、リング部121はその中心軸を回転中心として第1ケース111の一方端部1111と第2ケース112の一方端部1121に対して相対的に正逆回転させることができる。そして、両者の相対角度位置が所望の状態で、ナット部材13を締め付けることで、任意の相対角度位置の状態で取付用ブラケット12を固定できる。なお、本体11の段差面と、それに対向するリング部121の側面にそれぞれ三角波状(鋸刃状)の歯部を設けると、その歯部同士がかみ合ってしっかりと固定できる。
【0092】
上述したように、ドライブレコーダ1は、取付板122の上面に取り付けた両面テープ(図示省略)その他の接着部材を用いて車両のフロントガラスに接着して固定する。よって、本実施形態のドライブレコーダ1は、各種フロントガラスの角度(25~75度)に合わせて調整可能となる。つまり、取付板122はフロントガラスの角度と平行になるが、上述のように、取付板122(取付用ブラケット12)に対する本体11の相対角度を調整できるので、取付板122(フロントガラス)の角度に関係なく、本体11を基本の上下方向をたとえば垂直面(地面に対する)と平行にすることができる。もちろん、本体11を基本の上下方向と、地面に対する垂直面とのなす角を適宜の角度に設定することもできる。従って、1つのドライブレコーダ1にて、異なる種類の車両に実装することができる。
【0093】
また、ナット部材13の中央部には円形の貫通孔131が形成されている。この貫通孔131から第1ケース111の一方端部1111と第2ケース112の一方端部1121の先端面が外部に露出し、この先端面の露出部分に、ボリュームダイヤル14、DCジャック15等のユーザの操作対象のものが設けられている。係る構成を採ることで、限られた本体11のスペースに操作対象を設置することができるとともに、操作時にユーザの注意をひきつけられる結果、ナット部材13に緩みがないか確認することを容易にできる。
【0094】
DCジャック15には、たとえばシガーソケットに接続する電源ケーブルの一端に取り付けたDCプラグ(図示せず)を装着することで、本実施形態のドライブレコーダ1は、車両のバッテリーからの電源供給を可能とする。このように、電源ケーブルの引き出しを本体11の側面から行うようにしたので、ルームミラーの横或いは近傍にドライブレコーダを取り付けることで、ルームミラーに電源ケーブルを隠すことができ、見た目にも美しくすることができる。さらに、係るDCジャック15を経由して車両側から電源供給を受けることで、ドライブレコーダ1単独で使用することができる。
【0095】
また、第1ケース111には、CCDカメラ16が露出状態で設置されている。このCCDカメラ16にて、車両の前方を撮影する。さらに図示省略するが、本体11内に、マイクを内蔵するとよい。マイクにより周囲の音声を拾音できる。
【0096】
さらに、本体11の他方端部には、外部の装置と情報の受け渡しを行うための接続ケーブルを接続するインタフェースや、SDメモリカード用スロット部を備えている。
【0097】
図3は、ドライブレコーダ1の内部構造を示した図である。ドライブレコーダ1は、本体11内に、事故検知センサ101、一時記憶メモリ102、内部時計103、スピーカ104、スイッチ105、マイク106、制御部107、インタフェース108をさらに備える。事故検知センサ101は、加速度センサ等の衝撃検知センサにより実現される。一定の衝撃(加速度)を検知した場合、事故(衝突)があったとする。また、一定の衝撃の閾値を適宜に設定することで、事故発生以外にも、急ブレーキ・急ハンドル時にも検出信号が出力されるようにすることもできる。
【0098】
一時記憶メモリ102は、例えばCCDカメラ16で撮像した画像データ等を一時的に記憶するRAMであり、少なくとも現在から一定時間以上過去までに撮像した画像データが常時記憶されるようにしている。但し、記憶容量は有限であるため、一定の基準で古い画像データは削除する。一定の基準は、例えば、一定時間以上前に記憶した画像データや、記憶するメモリ容量が一定以上となった場合などとすることができる。本実施形態では、一時記憶メモリ102は、リングバッファにより構成する。
【0099】
スピーカ104は、たとえば、スイッチ105における操作音や、各種のメッセージ(ガイド・警報等)が報知される。ボリュームダイヤル14は、このスピーカ104の出力レベルを調整するものである。
【0100】
また、制御部107は、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器を利用して所定の情報を出力する。ドライブレコーダ1の機能は、制御部107に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部107のEEPROM上に格納され、これを制御部107に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0101】
制御部107の有するプログラムによってコンピュータが実現する機能としては、画像記録機能、画像出力機能、内部時計の校正機能などがある。
【0102】
制御部107は、ドライブレコーダの基本機能を実現するための回路であり、CCDカメラ16で撮影された映像(画像データ)を映像ファイルとして一時記憶メモリ102に記憶したり、事故検知センサ101からの検出信号に基づき、上記の撮像した画像データ(映像ファイル)を不揮発性メモリに格納したりする。本実施形態では、不揮発性メモリとして、カードスロット109(例えば、SDメモリカード用スロット)に装着したメモリカード17(例えば、SDメモリカード)を用いる。このメモリカード17を取り外し、パソコンに接続したメモリカードリーダ等に装着することで、当該パソコンにデータを取り込むことができる。また、記録した映像等は、上記のようにメモリカード17(記録メディア)を着脱して外部に取り出すことに限らず、有線・無線による通信(データ伝送)により行うことができる。また、有線による通信を行うためには、本体に、通信ケーブルを接続するためのコネクタ・USB等を備えると良い。
【0103】
この画像データを記録する画像記録機能をさらに詳しく説明すると、CCDカメラ16にて常時、運転者の視点(視野)から自車と周辺状況を撮像するとともに、その撮像した画像データをリングバッファ等の一時記憶メモリ102に記憶する。この一時記憶メモリ102に記憶する映像は、逐次最新のものに更新され、設定された時間分だけ過去の映像データが保持される。
【0104】
そして、事故や急ブレーキ・急ハンドル時に発生する衝撃を事故検知センサ101が検出した(センサの出力値が閾値を超えた)場合、その閾値を超えた(衝撃検出)時点より前の一定期間の画像データ(映像)を一時記憶メモリ102から読み出して不揮発性メモリ(メモリカード17)に格納すると共に、閾値を超えた時点以降はその後に撮像したCCDカメラ16の映像をメモリカード17に直接或いは一時記憶メモリ102を経由して記録することで衝撃前及び衝撃後の所定時間にわたる映像を不揮発性メモリたるメモリカード17に保存する。また、このとき、マイク106を内蔵していた場合、マイク106で拾音した周囲の音声も、画像データに関連付けて録音する。この録音も、一時記憶メモリ102に一時的に記憶し、画像データをメモリカード17に格納する際に、その録音した音声データもメモリカード17に格納する。映像と共に音声も付加されると、臨場感が増すので好ましい。
【0105】
内部時計103は、例えば、RTCを有し、現在時刻を継続して計時する。インタフェース108は、外部の装置との間で通信を行うインタフェースである。本実施形態において、ドライブレコーダ1は、インタフェース108を介して、タイムレコーダ2との間で通信を行う。
【0106】
図4は、タイムレコーダ2の内部構造を示した図である。タイムレコーダ2は、表示部21、操作ボタン22、読取部23、印字部24、内部時計25、インタフェース26、制御部27を備える。また、タイムレコーダ2の本体には、ユーザがタイムカードに打刻を行う際にタイムカードをタイムレコーダ2に挿入するためのスリットが設けられている。
【0107】
表示部21は、例えば液晶ディスプレイであり、現在時刻等の情報を表示する。操作ボタン22は、ユーザの操作を受け付けるボタンである。操作ボタン22は、物理的なボタンであっても、タッチスクリーンに表示される仮想的なボタンであってもよい。ユーザは、タイムカードへの打刻時に、操作ボタン22を操作して、その打刻が出勤、退勤等のいずれに応じた打刻であるかをタイムレコーダ2に入力する。
【0108】
読取部23は、例えば、光学スキャナであり、タイムカードに予め印字されている運転者を識別する運転者ID(例えば、社員番号)を読み取る。なお、タイムカードに印字されている運転者IDは、人間が識別可能な文字等であっても、読取部23が読み取りやすいバーコード等の画像であってもよい。
【0109】
印字部24は、例えば、熱転写方式のプリンタであり、タイムレコーダ2に挿入されたタイムカードに、内部時計25が計時する現在時刻を印字(打刻)する。内部時計25は、例えば、RTCを有し、現在時刻を継続して計時する。
【0110】
インタフェース26は、外部の装置との間で通信を行うインタフェースである。本実施形態において、タイムレコーダ2は、インタフェース26を介して、ドライブレコーダ1の各々、時刻サーバ3及びデータサーバ4との間で通信を行う。
【0111】
制御部27は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータであり、メモリに記憶されているプログラムに従いプロセッサがデータ処理を行うことでタイムレコーダ2の各構成部の動作を制御し、タイムレコーダ2の各種機能を実現する。制御部27が実現する機能としては、時刻サーバ3から受信した時刻情報を用いて内部時計25が計時する現在時刻を校正する機能、内部時計103が計時する現在時刻を表示部21により表示する機能、タイムレコーダ2に挿入されたタイムカードの所定位置(現在の日付とユーザが操作ボタン22を操作して指定した出勤/退勤等の別に応じて定まる位置)に内部時計25が計時する現在時刻を印字部24により印字する機能、タイムカードへの打刻に伴い特定される運転者毎の勤怠情報をインタフェース26によりデータサーバ4に送信する機能等がある。
【0112】
データサーバ4は、例えば、車両とドライブレコーダ1の対応関係を示す情報を格納する車両・ドライブレコーダ対応関係テーブルと、運転者に対する車両の割り当てを示す情報を格納する車両割当データベースと、運転者の勤怠情報を格納する勤怠データベースを格納している。
【0113】
車両・ドライブレコーダ対応関係テーブルが格納する情報は、いずれの車両にいずれのドライブレコーダ1が搭載されているかを示す。車両・ドライブレコーダ対応関係テーブルは、車両毎のレコードを格納し、各レコードは、例えば、車両を識別する車両ID(例えば、車両番号等)と、車両に搭載されているドライブレコーダ1を識別するドライブレコーダID(例えば、ドライブレコーダ1のシリアル番号等)を格納する。車両・ドライブレコーダ対応関係テーブルが格納する情報は、例えば、車両運行会社の管理者が端末装置に入力し、その端末装置からデータサーバ4に送信されたものである。
【0114】
車両割当データベースが格納する情報は、各車両がどの時間帯にいずれの運転者に割り当てられているかを示す。車両割当データベースは、例えば車両IDにより識別される車両毎の割当テーブルの集まりであり、割当テーブルは、例えば、「○○年○○月○○日○○時○○分~○○年○○月○○日○○時○○分」といった時間帯毎のレコードを格納し、各レコードは、例えば、時間帯を示す情報と、その時間帯に車両が割り当てられている運転者を識別する運転者ID(例えば、社員番号)を格納する。車両割当データベースが格納する情報は、例えば、車両運行会社の管理者が端末装置に入力し、その端末装置からデータサーバ4に送信されたものである。
【0115】
勤怠データベースが格納する情報は、各運転者がどの時間帯に勤務していたかを示す。勤怠データベースは、例えば運転者IDにより識別される運転者毎の勤怠テーブルの集まりであり、勤怠テーブルは、例えば、「○○年○○月○○日○○時○○分」といった時刻毎のレコードを格納し、各レコードは、例えば、時刻を示す情報と、その時刻に運転者の勤怠の状態がいずれの状態に変化したか(例えば、出勤、退勤等)を示す情報を格納する。勤怠データベースが格納する情報は、運転者がタイムレコーダ2にタイムカードを挿入する毎に、タイムレコーダ2がデータサーバ4に送信してくる情報が蓄積されたものである。
【0116】
ドライブレコーダ1の各々は、既述のように、自装置がCCDカメラ16により撮影した映像(動画)とマイク106により拾音した音を対応付けた情報(以下、音付動画情報という)をメモリカード17に記憶する。音付動画情報は、動画を表す情報として、所定の周期(例えば、1/30秒等)で撮影された静止画を表す静止画情報を含んでいる。ドライブレコーダ1は、これらの静止画情報を記憶する際、CCDカメラ16により静止画を撮影した時点において内部時計103により計時した現在時刻を示す時刻情報と、その時点で車両の割当を受けている運転者の勤務の状態(勤務中、勤務外等)を示す勤務状態情報とを静止画情報に対応付けて記憶する。以下、ドライブレコーダ1は、時刻情報及び勤務状態情報を音付動画情報に含む形で記憶するものとするが、時刻情報及び勤務状態情報の少なくとも一方を、音付動画情報とは別の情報として記憶してもよい。
【0117】
既述のように、例えば、車両の運転者が、事務所内に駐車している車両の電源を入れたときや、事務所外から車両を運転して事務所内へと移動してきたときに、その車両に搭載されているドライブレコーダ1とタイムレコーダ2は無線による通信接続を確立する。
【0118】
ドライブレコーダ1は、タイムレコーダ2との間に通信接続を確立すると、自装置を識別するドライブレコーダIDをタイムレコーダ2に送信する。
【0119】
タイムレコーダ2は、ドライブレコーダ1からドライブレコーダIDを受信すると、まず、車両・ドライブレコーダ対応関係テーブルを参照し、受信したドライブレコーダIDにより識別されるドライブレコーダ1が搭載された車両を識別する車両IDを特定する。続いて、タイムレコーダ2は、車両割当データベースを参照し、特定した車両IDにより識別される車両がその時点で割り当てられている運転者を識別する運転者IDを特定する。続いて、タイムレコーダ2は、勤怠データベースから、特定した運転者IDにより識別される運転者の最新の勤怠情報を読み出す。続いて、タイムレコーダ2は、特定した車両IDと、運転者IDと、勤怠データベースから読み出した勤怠情報が示す運転者の現在の勤務状態(例えば、勤務中、勤務外等)を示す勤務状態情報と、その時点で内部時計25が計時した現在時刻を示す時刻情報を、ドライブレコーダ1に送信する。
【0120】
ドライブレコーダ1は、タイムレコーダ2から受信した車両IDと運転者IDと勤務状態情報を制御部107のメモリに記憶する。また、ドライブレコーダ1は、タイムレコーダ2から受信した時刻情報を用いて、自装置の内部時計103が計時する時刻を校正する。例えば、ドライブレコーダ1は、タイムレコーダ2から受信した時刻情報が示す現在時刻と、その時刻情報を受信した時点から、時刻情報の生成及び送受信に要する所定時間だけ前の時点において内部時計103が計時していた現在時刻との時間差を算出し、内部時計103が計時する現在時刻にその時間差を加算(内部時計103が内部時計25より遅れていた場合)又は減算(内部時計103が内部時計25より進んでいた場合)することにより、校正後の現在時刻を計時する。すなわち、ドライブレコーダ1は、時刻情報を用いて現在時刻を特定する特定手段を備える。
【0121】
ドライブレコーダ1は、その後、CCDカメラ16により撮影される静止画を表す静止画情報に、内部時計103が計時した校正後の現在時刻を示す時刻情報と、制御部107のメモリに記憶している最新の車両ID、運転者ID、及び、勤務状態情報とを対応付けて蓄積することで、動画を表す動画情報を生成する。ドライブレコーダ1は、このように生成する動画情報に対し、マイク106により拾音した音を表す音情報を時間軸上で同期するように対応付けることで、音付動画情報を生成する。なお、校正後の現在時刻を示す時刻情報は、例えば、音付動画情報とは別の情報として、例えばメモリカード17に記憶されてもよいし、音付動画情報のフレーム内、ヘッダ(又はフッダ)内、管理領域(例えば、設定ファイル、ログファイル等)内のいずれに記憶されてもよい。
【0122】
車両運行会社の管理者は、自社の駐車場に駐車されている車両に搭載されているドライブレコーダ1のメモリカード17をカードスロット109から取り外し、パソコン等の端末装置に内蔵又は外付で接続されたカードリーダにそのメモリカード17を差し込んで、メモリカード17に記憶されている音付動画情報を端末装置のメモリに移動する。その後、車両運行会社の管理者は、メモリカード17をドライブレコーダ1のカードスロット109に戻す。
【0123】
端末装置は、自装置のメモリに移動した音付動画情報が表す動画を、例えば、端末装置に内蔵又は外付で接続された表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)により表示する機能を備える。図5は、車両運行会社の管理者が用いる端末装置に接続された表示装置に表示される動画の再生画面の例である。図5に示されるように、再生画面においては、CCDカメラ16により撮影された動画が再生表示される。また、再生画面においては、現在表示されている画像の撮影が行われた車両の車両IDと、画像が撮影された時刻(撮影時刻)と、撮影時刻に車両を運転していた運転者の運転者ID(例えば、社員番号)と、その運転者の勤務状態が表示される。
【0124】
再生画面に表示される撮影時刻は、ドライブレコーダ1が内部時計103により計時した現在時刻であり、内部時計103が計時する現在時刻は、タイムレコーダ2から送信された時刻情報を用いて校正された現在時刻である。従って、ドライブレコーダ1が内部時計103により計時する現在時刻と、タイムレコーダ2が内部時計25により計時する現在時刻は実質的に同期されている。従って、システム901によれば、ドライブレコーダ1とタイムレコーダ2の内部時計の計時する現在時刻のずれにより、再生画面に誤った撮影時刻、運転者ID、又は、勤務状態が表示されてしまう、という不都合は生じない。
【0125】
(第1実施形態の変形例)
(1-1)
上述したシステム901において、ドライブレコーダ1が音付動画情報に含まれる静止画情報に対応付けて記憶する時刻情報は、内部時計103により計時した現在時刻を、タイムレコーダ2から受信した時刻情報を用いて校正したものを示す。ドライブレコーダ1が、内部時計103により計時し校正した後の現在時刻に加え、校正前の現在時刻を示す時刻情報を、音付動画情報に含まれる静止画情報に対応付けて記憶してもよい。
【0126】
図6は、この変形例に係るシステム901における再生画面の例である。この変形例においては、図6に示されるように、再生画面に「撮影時刻(標準)」と「撮影時刻(タイムレコーダ)」という2つの撮影時刻が表示される。撮影時刻(標準)は、静止画の撮影の時点において内部時計103により計時された校正前の現在時刻であり、撮影時刻(タイムレコーダ)は、静止画の撮影の時点において内部時計103により計時された校正前の現在時刻に対し、内部時計103と内部時計25の計時する時刻の時間差を加算又は減算して補正した後の現在時刻である。
【0127】
この変形例によれば、例えば、車両運行会社の管理者等は、音付動画情報に含まれる撮影時刻が恣意的に変更されていないことを容易に確認できる。
【0128】
(1-2)
上述したシステム901において、ドライブレコーダ1はタイムレコーダ2から運転者IDと勤務状態情報を受信し、それらを音付動画情報に含まれる静止画情報に対応付けて記憶する。タイムレコーダ2は、ドライブレコーダ1に運転者IDと勤務状態情報を送信せず、ドライブレコーダ1は、運転者IDと勤務状態情報を音付動画情報に含まれる静止画情報に対応付けて記憶しなくてもよい。
【0129】
この変形例において、ドライブレコーダ1は、例えば、音付動画情報のヘッダ情報に、画像の撮影を行った自装置のドライブレコーダIDを含める。そして、車両運行会社の管理者が用いる端末装置は、例えば、再生画面を表示する際、再生する音付動画情報のヘッダ情報に含まれているドライブレコーダIDと、表示する静止画に対応付けられている撮影時刻を示す時刻情報とをデータサーバ4に送信し、その応答として、データサーバ4から、その静止画の撮影が行われた車両の車両IDと、その撮影が行われた時の車両の運転者の運転者ID、及び、その運転者の勤務状態を示す情報を受信する。車両運行会社の管理者が用いる端末装置は、データサーバ4から受信した情報が示す車両ID、運転者ID、及び、勤務状態を再生画面(図5参照)に表示する。
【0130】
この変形例によれば、ドライブレコーダ1が生成し記憶する音付動画情報のデータ形式を、車両ID、運転者ID、及び、勤務状態情報を格納できるデータ形式とする必要がない。
【0131】
(1-3)
上述したシステム901においては、タイムレコーダ2から時刻を特定するための情報として現在時刻を示す時刻情報を取得し、取得した時刻情報を用いて内部時計により計時する現在時刻を校正する装置の種別はドライブレコーダである。タイムレコーダ2から時刻情報を取得する装置の種別はドライブレコーダに限られない。
【0132】
図7は、この変形例の一例に係るシステム902の全体構成を示した図である。システム902は、システム901が備える複数のドライブレコーダ1に代えて、複数の監視カメラ5を備える。システム902のタイムレコーダ2、データサーバ4、及び、監視カメラ5は工場に配置されている。タイムレコーダ2は工場で勤務する職員の勤怠管理に用いられる。複数の監視カメラ5は工場内の異なる位置に設置され、工場の内部を異なる画角で継続的に撮影し、撮影した画像を動画として記憶する。監視カメラ5は、CCDカメラ等のカメラと、マイクと、メモリと、継続的に現在時刻を計時する内部時計と、外部の装置と情報の受け渡しを行うインタフェースと、監視カメラ5の各構成部を制御するコンピュータである制御部を備える。
【0133】
タイムレコーダ2は、所定時間(例えば、30分間等)の経過毎に、その時点で内部時計25により計時した現在時刻を示す時刻情報を無線で監視カメラ5に送信する。監視カメラ5は、タイムレコーダ2から受信する時刻情報を用いて、自装置の内部時計により継続的に計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。従って、複数の監視カメラ5の各々が特定する現在時刻は、実質的にタイムレコーダ2が特定する現在時刻と一致する。
【0134】
監視カメラ5は、カメラにより所定の周期で撮影した複数の静止画を表す静止画情報を含む動画情報を生成する。監視カメラ5は、動画情報に含まれる複数の静止画情報の各々に、それらの静止画情報を生成した時点において内部時計により計時した現在時刻を示す時刻情報を対応付ける。従って、動画情報は、静止画情報が表す静止画の各々の撮影時刻を示す時刻情報を含む。監視カメラ5は、動画情報とマイクにより拾音した音を表す音情報とを対応付けて音付動画情報を生成し、生成した音付動画情報を一時的にメモリに記憶する。
【0135】
監視カメラ5は、一時的にメモリに記憶した音付動画情報を順次、タイムレコーダ2に送信する。監視カメラ5は、タイムレコーダ2に送信した音付動画情報を順次、メモリから削除する。タイムレコーダ2は、監視カメラ5から受信した音付動画情報を一時的に制御部27のメモリに記憶し、記憶した音付動画情報を順次、データサーバ4に送信する。タイムレコーダ2は、データサーバ4に送信した音付動画情報を順次、メモリから削除する。
【0136】
工場の管理者等は、パソコン等の端末装置を用いて、データサーバ4に記憶されている音付動画情報が表す動画と音を再生する。その際、端末装置に接続された表示装置には、動画を構成する静止画と、その静止画の撮影時刻が順次表示される。システム902によれば、表示装置に表示される撮影時刻が、タイムレコーダ2の内部時計25により計時される現在時刻から実質的にずれることがない。従って、工場の管理者等は、例えば、勤怠情報が示す勤務中の職員が工場内で業務を行っているか、又、勤怠情報が示す勤務外の職員が工場内で業務を行っていないか、を正しく確認できる。
【0137】
(1-4)
上述したシステム901においては、ドライブレコーダ1が内部時計103により計時する時刻を校正するために用いる時刻情報の発信元の装置の種別はタイムレコーダである。ドライブレコーダ1が取得する時刻情報の発信元の装置の種別はタイムレコーダに限られない。
【0138】
図8は、この変形例の一例に係るシステム903の全体構成を示した図である。システム903は、システム901が備えるタイムレコーダ2、時刻サーバ3及びデータサーバ4に代えて、カーナビ6と複数の人工衛星7を備える。
【0139】
システム903のカーナビ6と複数のドライブレコーダ1は、同じ車両に搭載される。複数のドライブレコーダ1のうちの一つは、例えば、車両のフロントガラス内から前方を撮影し、他の一つは、例えば、車両のリアガラス内から後方を撮影する、というように、複数のドライブレコーダ1は同じ車両の異なる場所に設置され、車両内から異なる方向を撮影する。
【0140】
カーナビ6は、衛星測位システムの受信部であるGNSSユニットと、メモリと、タッチスクリーンと、スピーカと、無線により外部の装置と情報の送受信を行うインタフェースと、内部時計と、カーナビ6の各構成部を制御するコンピュータである制御部を備える。カーナビ6は、メモリに地図を表す地図情報を記憶している。
【0141】
カーナビ6が備えるGNSSユニットは、複数の人工衛星7の各々から送信される情報を受信し、受信した情報を用いて自装置の地球上における位置(例えば、緯度経度)を特定する。GNSSユニットが人工衛星7から受信する情報には、人工衛星7に搭載されている原子時計により計時された現在時刻を示す時刻情報が含まれる。カーナビ6は、GNSSユニットにより人工衛星7から取得した時刻情報を用いて自装置の内部時計が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。
【0142】
カーナビ6は、車両が走行中に、GNSSユニットにより継続的に自装置の位置を特定し、特定した位置を概ね中心位置とする地図をタッチスクリーンに表示する。また、カーナビ6は、タッチスクリーンに対しユーザが行うタッチ操作により車両の移動先である目的地が入力されている場合、GNSSユニットにより特定される車両の現在位置から目的地までの移動経路を特定し、特定した移動経路示す線を地図に重ねてタッチスクリーンに表示する。車両の運転者は、カーナビ6が地図上に表示する線が示す移動経路に従い車両を走行させることで、容易に目的地に到達できる。
【0143】
カーナビ6は車両のバッテリーから電力の供給を受けて動作する。車両の運転者により車両の電源が入れられ、バッテリーからカーナビ6への電力供給が開始されると、カーナビ6は起動し、GNSSユニットにより人工衛星7からの情報の取得を試みる。カーナビ6は、人工衛星7からの情報の取得に成功すると、人工衛星7から取得した情報に含まれる時刻情報を用いて、自装置の内部時計が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。
【0144】
カーナビ6は、起動後に最初に人工衛星7からの情報の取得に成功し、人工衛星7から取得した情報に含まれる時刻情報を用いて自装置の内部時計が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定すると、特定した現在時刻を示す時刻情報を無線で複数のドライブレコーダ1の各々に送信する。その後、カーナビ6は、所定時間(例えば、30分間等)の経過毎に、その時点で内部時計25により計時した現在時刻を示す時刻情報を無線で複数のドライブレコーダ1の各々に送信する。
【0145】
ドライブレコーダ1は、カーナビ6から受信する時刻情報を用いて、内部時計103により継続的に計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。従って、複数のドライブレコーダ1の各々が特定する現在時刻は、実質的にカーナビ6が特定する現在時刻と一致する。システム903によれば、同じ車両に搭載された複数のドライブレコーダ1が生成する動画情報に含まれる撮影時刻の間にずれが生じることがない。
【0146】
なお、ドライブレコーダ1が画像を撮影中は内部時計103の校正を行えない場合がある。その場合には、ドライブレコーダ1が画像の撮影を行っていない間に内部時計103の校正を行うとよい。
【0147】
(1-5)
上述したシステム903においては、同じ車両に搭載された複数のドライブレコーダ1の各々が内部時計103により計時する時刻を校正するために用いる時刻情報の発信元の装置の種別はカーナビである。同じ車両に搭載された複数のドライブレコーダ1が取得する時刻情報の発信元の装置の種別はカーナビに限られない。
【0148】
図9は、この変形例の一例に係るシステム904の全体構成を示した図である。システム904は、システム903が備えるカーナビ6と人工衛星7に代えて、タブレットPC8と時刻サーバ3を備える。タブレットPC8は、車両の搭乗者(運転者を含む)のいずれかにより携帯される装置であり、プロセッサ、メモリ、内部時計、タッチスクリーン(出力手段の一例)、通信インタフェースを備えるスレート型のパソコンである。タブレットPC8は、携帯電話の機能を備えるスマートフォンであってもよい。システム904が備える時刻サーバ3は、システム901が備える時刻サーバ3と同様の構成を備える。
【0149】
タブレットPC8が備える通信インタフェースは、例えば3G、4G、LTE等の通信規格に従い移動体通信網に接続する通信ユニットと、例えばBluetooth等の通信プロトコルに従い近距離無線による通信を行う通信ユニットを有する。タブレットPC8は移動体通信網を介してインターネットに接続し、インターネット経由で時刻サーバ3から時刻情報を受信する。タブレットPC8は、時刻サーバ3から受信した時刻情報を用いて、自装置の内部時計が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。
【0150】
タブレットPC8は、システム904のために準備されたプログラム(以下、「専用アプリ」という)をバックグラウンドで実行している状態でドライブレコーダ1との間に近距離無線による通信接続を確立すると、その時点で自装置の内部時計により計時した現在時刻を示す時刻情報をドライブレコーダ1に送信する。ドライブレコーダ1は、タブレットPC8から受信した時刻情報を用いて、内部時計103が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。
【0151】
図10は、ドライブレコーダ1とタブレットPC8が行う処理のシーケンスの例を示した図である。車両に搭載されたドライブレコーダ1は、時計調整を促すための時刻調整専用のUUID(Universally Unique Identifier)を作成して、所定時間(例えば、1分間等)が経過する毎に、近距離無線の通信プロトコル(例えば、Bluetooth)に従いビーコン(例えば、Bluetooth Beacon)を送信している。
【0152】
ドライブレコーダ1が定期的なビーコンの送信を開始及び終了する契機としては、例えば、車両がACC OFFとなったことを契機に開始し、ACC ONとなったことを契機に終了する構成、ACC OFFの間はビーコンを送信せず、ACC ONになったことを契機にビーコンの送信を開始し、所定時間(例えば、数秒間)の間にタブレットPC8から接続がなければビーコンの送信を終了する構成、ドライブレコーダ1が動作中は長い時間間隔で常に所定の時間間隔でビーコンの送信を行う構成、等が挙げられる。
【0153】
専用アプリがバックグラウンドで動作しているタブレットPC8を携帯した搭乗者が車両に搭乗すると、タブレットPC8はドライブレコーダ1が送信したビーコンを検出する。タブレットPC8は、ビーコンの検出に応じて、ビーコンの送信元のドライブレコーダ1との間でBluetoothに従う通信接続を確立する。
【0154】
タブレットPC8は、ドライブレコーダ1との間に通信接続を確立すると、時計設定要求をドライブレコーダ1に送信する。この時計設定要求には、タブレットPC8が自装置の内部時計により計時した現在時刻(時刻サーバ3から取得した時刻情報を用いて校正した時刻)を示す時刻情報が含まれている。ドライブレコーダ1は、タブレットPC8から受信した時計設定要求に含まれる時刻情報を用いて、内部時計103が計時に用いる基準時刻を示す時計データを更新する。これにより、内部時計103により計時される時刻が校正される。続いて、ドライブレコーダ1は、時計データの更新を完了したことを通知する時計設置応答をタブレットPC8に送信する。
【0155】
タブレットPC8は、ドライブレコーダ1から時計設定応答を受信すると、例えば、ドライブレコーダ1との間で確立している通信接続を切断する。ただし、タブレットPC8は、ドライブレコーダ1から時計設定応答を受信した後、ドライブレコーダ1との間で確立している通信接続を保持し、例えば、所定時間(例えば、30分間)の経過毎に、保持している通信接続を用いて、その時点で特定した現在時刻を示す時刻情報を含む時計設定要求をドライブレコーダ1に送信してもよい。この場合、ドライブレコーダ1は、所定時間(例えば、30分間)の経過毎に、タブレットPC8から受信する時計設定要求に含まれる時刻情報を用いて、内部時計103が計時に用いる基準時刻を示す時計データを更新する。
【0156】
上述したシーケンスに従う処理が、同じ車両に搭載された複数のドライブレコーダ1の各々とタブレットPC8との間で行われる。
【0157】
システム904によれば、車両の搭乗者が車両に乗り込めば、搭乗者がドライブレコーダ1に対し時刻調整のための操作を要することなく、ドライブレコーダ1の内部時計103の時刻調整が行われる。
【0158】
また、同じ車両に搭載された複数のドライブレコーダ1の各々が特定する現在時刻は、実質的にタブレットPC8が特定する現在時刻と一致する。従って、システム904によれば、同じ車両に搭載された複数のドライブレコーダ1が生成する動画情報に含まれる撮影時刻の間にずれが生じることがない。
【0159】
なお、上述したシステム904において、タブレットPC8は時刻サーバ3から時刻情報を取得するが、これに代えて、例えば、タブレットPC8がGNSSユニットを備え、人工衛星から受信する電波が示す時刻情報を用いて、自装置の内部時計が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定してもよい。
【0160】
(1-6)
上述したシステム903においては、カーナビ6から取得した時刻情報を用いて内部時計が計時する時刻を校正する装置は、カーナビ6と同じ車両に搭載された複数のドライブレコーダである。これに代えて、カーナビ6から時刻情報を取得した時刻情報を用いて内部時計が計時する時刻を校正する装置が、車両が通過する複数の場所の各々に設置された装置であってもよい。
【0161】
図11は、この変形例の一例に係るシステム905の全体構成を示した図である。システム905は、複数の人工衛星7と、車両に搭載されたカーナビ6と、複数の施設(図11で例示される施設A及び施設B)の各々に設置されたタイムレコーダ2A及びタイムレコーダ2Bを備える。
【0162】
車両が屋外を走行中に、カーナビ6はGNSSユニットにより人工衛星7から送信される情報を受信し、受信した情報に含まれる時刻情報を用いて、内部時計が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。
【0163】
その後、車両が施設A内に移動すると、カーナビ6は施設A内のタイムレコーダ2Aとの間で、例えばBluetooth等の近距離無線の通信プロトコルに従う通信接続を確立し、自装置の内部時計により計時した現在時刻を示す時刻情報をタイムレコーダ2Aに送信する。タイムレコーダ2Aは、カーナビ6から受信した時刻情報を用いて、内部時計25が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。
【0164】
その後、車両が施設B内に移動すると、カーナビ6は施設B内のタイムレコーダ2Bとの間で、例えばBluetooth等の近距離無線の通信プロトコルに従う通信接続を確立し、自装置の内部時計により計時した現在時刻を示す時刻情報をタイムレコーダ2Bに送信する。タイムレコーダ2は、カーナビ6から受信した時刻情報を用いて、内部時計25が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。
【0165】
上記のように車両が複数の施設内を通過すると、それらの複数の施設の各々に設置されたタイムレコーダ2が特定する現在時刻は、実質的にカーナビ6が特定する現在時刻と一致する。システム905によれば、カーナビ6を搭載した車両が複数の施設内を通過する度に、それらの複数の施設の各々に設置されたタイムレコーダ2が特定する現在時刻の間のずれが解消する。
【0166】
(1-7)
上述したシステム901においては、タイムレコーダ2は時刻情報を時刻サーバ3からネットワーク経由で受信する。これに代えて、例えば、タイムレコーダ2が電波時計モジュールを備え、原子時計により計時を行っている送信局から送信される時刻情報を示す電波を電波時計モジュールで受信して用いてもよい。
【0167】
[第2実施形態]
図12は、本発明の一実施形態に係るシステム906の全体構成を示した図である。システム906は、会社の事務所に配置されているHTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバ9と、車両に搭載されているドライブレコーダ1を備える。HTTPサーバ9は、HTTPに従い、外部の装置からの要求に応じて各種情報を要求元の装置に送信する装置である。本実施形態において、HTTPサーバ9は会社が管理するイントラネットに接続されている。HTTPサーバ9は、プロセッサ、メモリ、通信インタフェースを備えるコンピュータであり、通信インタフェースにより有線及び無線で外部の装置と情報の送受信を行う。HTTPサーバ9が通信インタフェースにより行う無線通信は、例えばWiFi、Bluetooth等の通信プロトコルに従う近距離無線通信である。
【0168】
システム906が備えるドライブレコーダ1は、システム901が備えるドライブレコーダ1と同様の構成を備える。ただし、システム906が備えるドライブレコーダ1は、Webブラウザ機能を備える。
【0169】
システム906において、ドライブレコーダ1はインタフェース108によりHTTPサーバ9との間で無線通信を行う。なお、図12においては、ドライブレコーダ1とHTTPサーバ9が1対1通信(例えば、WiFi Direct等による通信)を行うことが想定されているが、HTTPサーバ9が中継装置(例えば、無線LANブリッジ等)を介して、ドライブレコーダ1を含む複数の装置との間で通信を行ってもよい。その場合、ドライブレコーダ1は中継装置を介してHTTPサーバ9と通信を行う。
【0170】
車両が、例えば会社の事務所に近接する駐車場に向かい移動してきて、車両に搭載されているドライブレコーダ1と事務所内に設置されているHTTPサーバ9が無線による通信接続の確立に成功すると、ドライブレコーダ1はWebブラウザ機能を用いて、予めドライブレコーダ1に登録されているHTTPサーバ9のURL又はIPアドレスを用いてHTTPサーバ9にアクセス要求を行う。そのアクセス要求に応じて、HTTPサーバ9は応答情報をドライブレコーダ1に送信する。
【0171】
図13は、ドライブレコーダ1がHTTPサーバ9から受信する応答情報の例である。図13に示される応答情報のうち、<HTML>以降の部分がメッセージ本体であり、<HTML>より前の部分がHTTPヘッダである。応答情報に含まれるHTTPヘッダには、応答情報の送信時刻を示す時刻情報(例えば、GMT(Greenwich Mean Time)を示す時刻情報)が含まれている。図13において、破線で囲まれた部分が時刻情報である。ドライブレコーダ1は、応答情報に含まれる時刻情報を用いて、内部時計103により計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。
【0172】
システム906によれば、ドライブレコーダ1を搭載した車両が事務所の近隣に移動すると、ドライブレコーダ1に対するユーザの操作を要することなく、ドライブレコーダ1の内部時計103が計時する時刻の校正が行われる。
【0173】
なお、ドライブレコーダ1が事務所の近隣においてWiFi等に従いネットワーク(イントラネット等)に接続し、メモリカード17等に記録している音付動画情報等をネットワーク経由でデータサーバに送信する場合がある。そして、ドライブレコーダ1は、音付動画情報等の送信中にHTTPサーバ9にアクセスできない場合がある。そのような場合、ドライブレコーダ1は、例えば、データサーバに対する情報の送信の開始前や完了後に、HTTPサーバ9にアクセスし、内部時計103の校正を行えばよい。また、ドライブレコーダ1が、データサーバに対する情報の送信を一時的に停止し、HTTPサーバ9にアクセスして内部時計103の校正を完了した後、再度、データサーバにアクセスし、未送信の情報を行ってもよい。
【0174】
(第2実施形態の変形例)
(2-1)
上述したシステム906において、時刻情報を受信するシステムであるドライブレコーダ1は、時刻情報を送信するシステムであるHTTPサーバ9から、自システムであるドライブレコーダ1を宛先とする情報を受信し、受信した情報に含まれる時刻情報を取得する。時刻情報を受信するシステムの種別はドライブレコーダに限られず、また、時刻情報を送信するシステムの種別はHTTPサーバに限られない。また、時刻情報を受信するシステムは、ネットワーク上で通信される自システムを宛先としない情報を受信し、受信した情報から時刻情報を取得してもよい。
【0175】
図14は、この変形例の一例に係るシステム907の全体構成を示した図である。システム907は、時刻情報を含む情報を送信するシステムであるグループウェアサーバ71と、時刻情報を含む情報を受信するシステムであるタイムレコーダ2及び複数の端末装置72と、中継装置73を備える。中継装置73は無線又は有線でグループウェアサーバ71、タイムレコーダ2、及び、複数の端末装置72の各々と接続され、これらのシステムの間の通信を中継する。システム907が備えるグループウェアサーバ71、タイムレコーダ2、複数の端末装置72、及び、中継装置73は、例えば会社の事務所内に設置され、イントラネットを構成する。
【0176】
グループウェアサーバ71は、例えば、端末装置72からの要求に応じて、HTTPに従い要求元の端末装置72に情報を送信する。グループウェアサーバ71が端末装置72を宛先として送信する情報は、イントラネット上の全てのシステムにより受信されるが、情報を受信したシステムは、通常、自システムを宛先とする情報を使用し、自システムを宛先としない情報は破棄する。システム907において、タイムレコーダ2は、グループウェアサーバ71が端末装置72を宛先として送信した情報を監視し、その情報が時刻情報を含む場合、その時刻情報を取得して用いる。
【0177】
具体的には、タイムレコーダ2は、グループウェアサーバ71が端末装置72を宛先として送信した情報を受信すると、自システムを宛先としないその情報を破棄する前に、その情報のHTTPヘッダに含まれる時刻情報を取得し、取得した時刻情報を用いて内部時計25により計時される時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として取得する。
【0178】
図15は、タイムレコーダ2が受信した情報の例を示した図である。図15において、破線で囲まれている部分が、この情報の送信時刻を示す時刻情報である。図15に示される情報はグループウェアサーバ71からいずれかの端末装置72に宛てて送信された情報であり、タイムレコーダ2を宛先としない情報であるが、タイムレコーダ2はこの情報に含まれる時刻情報を、内部時計25により計時される時刻の校正に用いる。
【0179】
システム907によれば、タイムレコーダ2に対するユーザの操作を要することなく、タイムレコーダ2の内部時計25が計時する時刻の校正が行われる。
【0180】
(2-2)
上述したシステム906において、HTTPサーバ9とドライブレコーダ1の間の通信はHTTPに従い行われる。また、上述したシステム907において、グループウェアサーバ71と端末装置72との通信はHTTPに従い行われる。本発明に係るシステムにおいて、これらのシステム間の通信がHTTP以外の通信プロトコル(例えば、RTSP等)に従い行われてもよい。
【0181】
(2-3)
上述したシステム906において、ドライブレコーダ1はHTTPサーバ9から受信した情報のヘッダに含まれる時刻情報を取得する。また、上述したシステム907において、タイムレコーダ2はグループウェアサーバ71から受信した情報のヘッダに含まれる時刻情報を取得する。本発明に係るシステムにおいて、時刻情報を取得するシステムが、ヘッダからではなくメッセージ本体から時刻情報を取得してもよい。例えば、システム907において、グループウェアサーバ71が端末装置72に宛先とした電子メールを送信し、タイムレコーダ2がその電子メールのメッセージ本体に含まれる送信時刻を示す情報を、内部時計25により計時する時刻を校正する時刻情報として取得してもよい。
【0182】
(2-4)
上述したシステム907において、タイムレコーダ2が受信する情報は、イントラネットにおいて送受信される情報であるが、タイムレコーダ2が、インターネットを介して送受信される情報を受信してもよい。例えば、システム907がグループウェアサーバ71に代えて、インターネットに接続された複数のHTTPサーバを備え、例えば、それらの複数のHTTPサーバの各々が、いずれかの端末装置72からの要求に応じて、要求元の端末装置72を宛先として送信した情報をタイムレコーダ2が受信し、受信した情報に含まれる時刻情報を内部時計25が計時する時刻の校正に用いてもよい。
【0183】
この変形例においては、タイムレコーダ2が受信する情報の送信元の装置は不特定多数のHTTPサーバであるため、それらのHTTPサーバが備える内部時計が計時する現在時刻は必ずしも正しいとは限らない。従って、タイムレコーダ2は、HTTPサーバから自システムを宛先としない情報を受信した場合、その情報に含まれる時刻情報が異常値であるか否かを判定し、異常値と判定した時刻情報は用いない。例えば、情報の送信元のHTTPサーバの内部時計が故障等していると、そのHTTPサーバは、情報の送信時刻として、既定値(例えば、UNIX(登録商標)時刻の開始時刻である1970年1月1日0時0分0秒等)を用いる場合がある。タイムレコーダ2は、受信した情報に含まれる時刻情報が示す時刻が既定値を示す場合は、その時刻を異常値と判定し、用いない。
【0184】
また、HTTPサーバの内部時計が計時する時刻が正しい時刻から大きくずれているときがある。そのようなHTTPサーバから送信された情報のHTTPヘッダに含まれる時刻情報が示す時刻を異常値と判定するために、タイムレコーダ2は、内部時計25により計時する現在時刻とHTTPサーバから受信した情報に含まれる時刻情報が示す送信時刻とを比較し、それらの時間差が所定の閾値以上であれば、そのHTTPサーバから受信した情報に含まれる時刻情報が示す時刻を異常値と判定し、用いない。
【0185】
タイムレコーダ2が、HTTPサーバから受信した情報に含まれる時刻情報が示す時刻が異常値であるか否かを判定する方法は上述したものに限られない。例えば、タイムレコーダ2は、HTTPサーバから情報を受信すると、受信した情報に含まれる時刻情報が示す時刻に所定時間を加えた時刻と、その時点で内部時計25により計時した時刻との時間差を示す時間差情報を記憶する。この所定時間は、例えば、HTTPサーバが情報の送信にあたり送信時刻を取得した時刻から、HTTPサーバから送信された情報がタイムレコーダ2により受信されるまでに要する平均的な時間として予め設定された時間である。タイムレコーダ2は、様々なHTTPサーバから受信した情報の各々に関し、上記の時間差情報を記憶し、例えば、所定時間が経過毎に、もしくは、所定数の時間差情報を記憶する毎に、記憶した時間差情報が示す時間差のうち、例えば、所定の信頼区間の外側の値を示す時間差を異常値と判定する。
【0186】
タイムレコーダ2は、上記のように判定した異常値を除外し、異常値でないと判定した時間差の中から確からしい時間差を特定する。確からしい時間差の特定の方法としては、例えば、2つ以上、同じ値の時間差があれば、その時間差を確からしい時間差として特定することが考えられる。また、確からしい時間差の特定の方法として、異常値でないと判定した時間差の統計値を算出することが考えられる。タイムレコーダ2が算出する統計値としては、例えば、平均値、中央値、最頻値等が挙げられる。タイムレコーダ2は、特定した確からしい時間差を用いて、内部時計25により計時する時刻を校正する。
【0187】
この変形例によれば、タイムレコーダ2が複数のHTTPサーバの各々から取得する時刻情報が示す時刻にばらつきがあっても、タイムレコーダ2は内部時計25により計時する時刻を校正できる。
【0188】
[第3実施形態]
図16は、本発明の一実施形態に係るシステム908の全体構成を示した図である。システム908は、車両に搭載されたドライブレコーダ1と、車両の搭乗者(運転者を含む)が携帯するタブレットPC8を備える。
【0189】
システム908が備えるドライブレコーダ1は、システム901が備えるドライブレコーダ1と同様の構成を備える。ただし、システム908が備えるドライブレコーダ1は、CCDカメラ16により撮影した画像に含まれるバーコード(例えば、QRコード等の二次元バーコード)を復号する機能を備える。
【0190】
システム908が備えるタブレットPC8は、システム904が備えるタブレットPC8と同様の構成を備える。ただし、システム908が備えるタブレットPC8は、システム908のために準備されたプログラム(以下、「時刻コード表示アプリ」という)を実行することで、自装置の内部時計により計時した現在時刻を示す二次元バーコードをタッチスクリーンに表示する機能を備える。時刻コード表示アプリを実行中のタブレットPC8は、タッチスクリーンに、例えば秒単位の現在時刻を示す二次元バーコードを、1秒毎に更新表示する。
【0191】
車両の搭乗者は、車両の電源が入れられ、車両のバッテリーから電力の供給を受けてドライブレコーダ1が動作している時に、時刻コード表示アプリを実行中のタブレットPC8のタッチスクリーンを、ドライブレコーダ1のCCDカメラ16の撮影方向にかざす。ドライブレコーダ1は、例えば、1秒毎に、CCDカメラ16により撮影した静止画に二次元バーコードが含まれているか否かの判定を行い、二次元バーコードが含まれていると判定した場合、その二次元バーコードを復号し、時刻情報を取得する。
【0192】
ドライブレコーダ1は、上記のように取得した時刻情報を用いて、内部時計103が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。ドライブレコーダ1は、内部時計103が計時する時刻を二次元バーコードから取得した時刻情報を用いて校正する処理を完了すると、スピーカ104によって、例えば、「時刻調整が完了しました。」等の音声メッセージを発音する。車両の搭乗者は、この音声メッセージを聞いて、タブレットPC8をCCDカメラ16の撮影方向にかざすのをやめる。
【0193】
なお、ドライブレコーダ1は、タブレットPC8がCCDカメラ16の撮影方向にかざされている間、内部時計103が計時する時刻の校正のための処理を無駄に繰り返さないように、二次元バーコードから時刻情報を取得した場合、その後、所定時間(例えば、5分間)は、CCDカメラ16により撮影した静止画に二次元バーコードが含まれているか否かの判定を行わない。
【0194】
システム908において、ドライブレコーダ1が時刻情報の取得に用いる静止画は、本来は車両が走行中の状況を記録するために撮影した静止画である。従って、システム908によれば、車両の搭乗者は、例えば、通常モードから時刻調整モードへ切り替えるための操作等を行う必要はなく、単に時刻コード表示アプリを実行中のタブレットPC8をCCDカメラ16にかざすだけで、ドライブレコーダ1に内部時計103の時刻を校正させることができる。
【0195】
なお、システム908において、タブレットPC8は二次元バーコードにより時刻情報を表示する。二次元バーコードは、人が認識するよりも高い精度で装置が認識できる情報の表示形式の一例である。従って、タブレットPC8が数値等によって時刻情報を表示する場合と比較し、ドライブレコーダ1は時刻情報を高い精度で認識することができる。
【0196】
また、タブレットPC8は、誤り検出訂正のための情報を伴う時刻情報を示す二次元バーコードを表示するとなおよい。例えば、QRコードが示す情報には、誤り検出訂正のための情報が含まれる。従って、タブレットPC8がQRコードによって時刻情報を表示してもよい。この場合、ドライブレコーダ1は撮影した静止画に含まれるQRコードを復号する際、QRコードに含まれる誤り検出訂正の情報を用いて、QRコードが示す時刻情報に欠損等の誤りがないか確認し、欠損等の誤りがあれば、QRコードに含まれる誤り検出訂正のための情報を用いて時刻情報の誤りを訂正し、訂正後の時刻情報が示す時刻を内部時計103により計時する時刻の校正に用いる。
【0197】
(第3実施形態の変形例)
(3-1)
上述したシステム908において、ドライブレコーダ1が二次元バーコードを復号して取得する時刻情報が示す時刻は、その取得が行われる時点の現在時刻よりも過去の時刻である。なぜなら、上述したシステム908が備えるドライブレコーダ1は、タブレットPC8が内部時計により時刻を計時した後、その時刻を示す二次元バーコードを生成しタッチスクリーンにより表示を開始するまでに要する時間と、二次元バーコードがタブレットPC8のタッチスクリーンに表示された後、ドライブレコーダ1がCCDカメラ16によりその二次元バーコードを撮影し、撮影した画像に含まれる二次元バーコードの復号を完了するまでの時間を考慮しないためである。また、タブレットPC8が内部時計により計時する秒単位の時刻が変化するタイミングと、ドライブレコーダ1が、CCDカメラ16により撮影された静止画に二次元バーコードが含まれているか否かの判定を行うタイミングは必ずしも一致しない。従って、それらのタイミングの間には最大1秒間のずれが生じる。従って、ドライブレコーダ1が二次元バーコードを復号して取得した時刻情報が示す時刻を、その時点における現在時刻とみなして内部時計103により計時する時刻の校正を行うと、校正後の時刻は正しい現在時刻から少しずれた時刻となる。
【0198】
上記の不都合を軽減するために、ドライブレコーダ1が以下の処理を行うようにしてもよい。なお、以下の説明において、例として、CCDカメラ16は1/30秒毎に撮影を行うものとする。
【0199】
まず、ドライブレコーダ1は、1/30秒毎にCCDカメラ16により撮影した静止画に二次元バーコードが含まれるか否かの判定を行う。ドライブレコーダ1は、静止画に二次元バーコードが含まれていると判定した場合、その二次元バーコードを復号して時刻情報を取得し、取得した時刻情報を一時的に記憶する。この変形例においては、ドライブレコーダ1は二次元バーコードから時刻情報を1度取得した後も、後続の静止画の各々に関し二次元バーコードを含むか否かの判定と、静止画に含まれる二次元バーコードの復号と、復号により取得した時刻情報の記憶を繰り返し行う。
【0200】
ドライブレコーダ1は、新たに時刻情報を取得すると、最後に取得し記憶している時刻情報と新たに取得した時刻情報を比較し、それらが異なっていると、新たに取得した時刻情報が示す時刻に所定時間を加えた時刻を現在時刻として特定し、特定した現在時刻を用いて、内部時計103により計時する時刻の校正を行う。ここで所定時間とは、タブレットPC8が内部時計により時刻を計時した後、その時刻を示す二次元バーコードを生成しタッチスクリーンにより表示を開始するまでに要する時間(以下、「二次元バーコードの表示に要する時間」という)と、二次元バーコードがタブレットPC8のタッチスクリーンに表示された後、ドライブレコーダ1がCCDカメラ16によりその二次元バーコードを撮影し、撮影した画像に含まれる二次元バーコードの復号を完了するまでの時間(以下、「二次元バーコードの読取に要する時間」という)の合計であり、予め一般的な処理速度のタブレットPCを用いて計測等を行うことにより特定されている時間である。
【0201】
なお、タブレットPC毎に異なる処理速度を考慮する場合、例えば、タブレットPC8が、内部時計により計時した時刻そのものを示す二次元バーコードを表示するのではなく、内部時計により計時した時刻に対し、上述の二次元バーコードの表示に要する時間(タブレットPC8の処理速度が反映された時間)を加えた時刻を示す二次元バーコードを表示してもよい。この場合、ドライブレコーダ1は、二次元バーコードから取得した時刻情報が変化したタイミングで、変化後の時刻情報が示す時刻に対し、上述の二次元バーコードの読取に要する時間を加えた時刻を現在時刻として特定する。ドライブレコーダ1は、そのように特定した現在時刻を用いて、内部時計103により計時する時刻の校正を行う。この場合、ドライブレコーダ1は、1秒よりも高い精度で、内部時計103により計時される時刻を校正することができる。
【0202】
(3-2)
上述したシステム908において、ドライブレコーダ1はCCDカメラ16により撮影した静止画から二次元バーコードを認識する。これに代えて、ドライブレコーダ1が、CCDカメラ16により撮影した静止画から時計を認識し、認識した時計が示す時刻を特定してもよい。
【0203】
図17は、この変形例の一例に係るシステム909の全体構成を示した図である。システム909は、車両に搭載されたドライブレコーダ1を備える。システム909が備えるドライブレコーダ1は、システム908が備えるドライブレコーダ1と比較し、CCDカメラ16により撮影した静止画から、二次元バーコードではなく時計(アナログ時計及びデジタル時計のいずれでもよい)を認識する点が異なっている。
【0204】
車両の搭乗者が、例えば自分の腕に装着している時計74を、動作中のドライブレコーダ1のCCDカメラ16の撮影方向にかざすと、ドライブレコーダ1はCCDカメラ16により撮影した静止画から時計74を認識し、認識した時計74がアナログ時計であれば時計74内の針の位置に基づき、また、認識した時計74がデジタル時計であれば時計74内の数値に基づき、時計74が示す時刻を特定する。ドライブレコーダ1は、そのように特定した時刻を示す時刻情報を用いて、内部時計103により計時する時刻の校正を行う。
【0205】
なお、ドライブレコーダ1が、文字盤のないアナログ時計を認識した場合、そのアナログ時計の方向を特定するために、例えば、静止画から、アナログ時計が装着されている腕及びその腕に繋がる手の親指を認識してもよい。この場合、ドライブレコーダ1は、腕が伸びている方向に直交する方向であって、小指側に向かう方向を、アナログ時計の12時の方向と特定する。また、ドライブレコーダ1が、腕に代えてアナログ時計のバンドを認識し、そのバンドの伸びる方向であって、小指側に向かう方向を、アナログ時計の12時の方向と特定してもよい。
【0206】
システム909によれば、車両の搭乗者は、時計をドライブレコーダ1のCCDカメラ16にかざすことで、ドライブレコーダ1に内部時計103が計時する時刻を校正させることができる。
【0207】
なお、システム909において、ドライブレコーダ1は動作中、常時、CCDカメラ16により撮影した画像に時計が含まれているか否かを監視してもよいが、例えば、電源が入れられて起動した直後や、ユーザがドライブレコーダ1に時刻調整のための操作を行った後に、「腕時計をかざして下さい。」といった通知を行い、その後の所定時間長の期間においてのみ、CCDカメラ16により撮影した画像に時計が含まれているか否かを監視してもよい。また、前回の時刻調整が行われた後、所定時間が経過した時点から所定時間長の期間においてのみ、CCDカメラ16により撮影した画像に時計が含まれているか否かを監視してもよい。
【0208】
また、システム909において、ドライブレコーダ1が、内部時計103が計時する時刻を校正する際、ユーザに対し所定のボタンの押下等の確認を促す通知を行ってもよい。
【0209】
上述したシステム909においては、ドライブレコーダ1はCCDカメラ16により車両の搭乗者の腕時計を撮影した画像から時刻を特定するが、CCDカメラ16が撮影する時計は搭乗者の腕時計に限られない。例えば、CCDカメラ16の撮影範囲に車両のインパネ(instrument panel)が入っている場合、ドライブレコーダ1はCCDカメラ16により撮影した画像から、インパネに含まれる時計が示す時刻を特定してもよい。
【0210】
また、車両の搭乗者が装着している時計74の時刻の精度が高くない場合がある。従って、ドライブレコーダ1が、CCDカメラ16により撮影した時計74の画像が示す時刻に基づき内部時計103により計時する時刻を校正することに代えて、例えば、内部時計103が計時する時刻と、時計74の画像から特定した時刻との間に所定の閾値以上の乖離がある場合に、ドライブレコーダ1が、例えば「時刻設定が大幅にずれています。時刻を設定して下さい。」といった時刻調整の必要性をユーザに気付かせるための通知を行ってもよい。
【0211】
(3-3)
上述したシステム908及びシステム909において、カメラで撮影した静止画から時刻情報を取得する装置の種別はドライブレコーダであるが、その装置の種別はドライブレコーダに限られない。図18は、この変形例の一例に係るシステム910の全体構成を示した図である。システム910は、タイムレコーダ2と、監視カメラ75を備える。タイムレコーダ2と監視カメラ75は、例えば工場等の屋内に配置される。システム910が備えるタイムレコーダ2の構成は、システム901が備えるタイムレコーダ2の構成と同様である。監視カメラ75は半天球カメラを備える点でシステム902が備える監視カメラ5と異なるが、他の点は監視カメラ5と同様の構成を備える。
【0212】
監視カメラ75は、例えば、工場の天井に設置されており、天井から下の空間の全方向をカバーする範囲を同時に撮影する。タイムレコーダ2は、表示部21が監視カメラ75の位置から見えるように配置されている。従って、監視カメラ75が撮影する静止画には、タイムレコーダ2が表示する時刻を示す数値が写り込む。
【0213】
監視カメラ75は、例えば、所定時間(例えば、30分間等)の経過毎に、撮影した静止画から、タイムレコーダ2が表示する時刻を認識し、認識した時刻を用いて、自装置の内部時計が計時する時刻を校正する。
【0214】
システム910によれば、監視カメラ75が内部時計により計時する現在時刻と、タイムレコーダ2が内部時計25により計時する現在時刻が、実質的に一致する。そのため、監視カメラ75が生成し記憶する動画情報に含まれる時刻情報が示す撮影時刻と、タイムレコーダ2が勤怠情報の生成に用いる時刻との間に、それらの装置の内部時計が計時する時刻のずれに起因する不整合が生じることはない。
【0215】
なお、監視カメラ75の撮影範囲とタイムレコーダ2の位置が変化しない場合、監視カメラ75が撮影する画像内におけるタイムレコーダ2が時刻を表示する領域の位置は変化しない。従って、例えば、ユーザが、監視カメラ75が撮影した画像における時計の領域を円で囲む等により指定し、監視カメラ75がユーザにより指定された領域から時計の認識を行ってもよい。この場合、例えば、ユーザはノートパソコン等の端末装置を監視カメラ75に接続し、端末装置に表示される監視カメラ75が撮影した画像に対しマウス等により時計の領域を指定する操作を行えばよい。
【0216】
また、タイムレコーダ2の時刻表示がアナログ時計式の表示である場合、端末装置に表示される画像において、ユーザが、例えば12時の方向等の基準方向を指定してもよい。
【0217】
(3-4)
上述したシステム909において、ドライブレコーダ1は車両の搭乗者によりかざされる時計を、CCDカメラ16により撮影した静止画から識別する。これに代えて、ドライブレコーダ1が、CCDカメラ16により撮影した静止画から、車両の外に配置されている時計を識別し、識別した時計が示す時刻を内部時計103が計時する時刻の校正に用いてもよい。
【0218】
図19は、この変形例の一例に係るシステム911の全体構成を示した図である。システム911は、車両に搭載されたドライブレコーダ1とカーナビ6を備える。システム911が備えるカーナビ6は、例えばBluetooth等の通信プロトコルに従い無線により、自装置が計測した車両の位置(例えば、緯度と経度)を示す車両位置情報と、車両位置情報が示す位置の経時変化により特定される車両の走行方向を示す走行方向情報を継続的にドライブレコーダ1に送信する。
【0219】
ドライブレコーダ1は、屋外の道路から見える位置に配置されている様々な時計の各々に関し、その時計の位置(例えば、緯度と経度)を示す時計位置情報を格納した時計位置テーブルを記憶している。ドライブレコーダ1は、例えば、所定時間(例えば、10秒間等)の経過毎に、カーナビ6から継続的に受信する車両位置情報と走行方向情報に基づき、時計位置テーブルに格納されているいずれかの時計位置情報が示す時計の位置の中から、CCDカメラ16の画角内に入る位置を抽出する。以下、時計位置テーブルに格納されている時計位置情報が示す時計の位置の中から、CCDカメラ16の画角内に入る時計の位置が1以上、抽出される期間を「時計撮影期間」という。ドライブレコーダ1は、時計撮影期間の開始時刻と終了時刻を記憶する。
【0220】
ドライブレコーダ1は、ある時計撮影期間の終了時刻を記憶すると、その時計撮影期間の間にCCDカメラ16により撮影した静止画の各々から時計の認識を試み、認識した時計の同定を行い、同じ時計と判定したものの中から画像が最も鮮明なものを選択し、選択した画像が表す時計が示す時刻を特定する。
【0221】
画像が表す時計がデジタル時計であれば、ドライブレコーダ1はOCRにより時刻を特定する。画像が表す時計がアナログ時計であれば、ドライブレコーダ1は、例えば、画像が表す建物の上下ラインの方向を鉛直方向として特定し、特定した鉛直方向を12時-6時の方向として、時針と分針の位置に基づき時刻を特定する。ドライブレコーダ1は、そのように特定した時刻と、その画像の撮影時刻(内部時計103により計時した時刻)との時間差を示す時間差情報を記憶する。
【0222】
車両が走行するうちに、ドライブレコーダ1は、車両の移動経路の近傍に配置されている複数の時計の各々に関し、上述した時間差情報を記憶してゆく。ドライブレコーダ1は、そのように記憶する時間差情報が、例えば所定数に達すると、記憶しているそれらの時間差情報が示す時間差のうち、例えば、信頼区間95%内のものを選択し、選択した時間差の統計値(例えば、平均値等)を算出する。
【0223】
ドライブレコーダ1は、上記のように算出した時間差の統計値を用いて、内部時計103が計時する時刻を校正する。
【0224】
システム911によれば、車両の搭乗者は車両を走行させることにより、ドライブレコーダ1に対し操作を行うことなく、ドライブレコーダ1に内部時計103が計時する時刻を校正させることができる。
【0225】
なお、上記のシステム911において、ドライブレコーダ1は、時計位置情報が示す位置に近づいたときに画像から時計を認識し、時刻を特定する。これに代えて、ドライブレコーダ1が、例えば車両の走行速度が所定の閾値より遅い期間中に常時、画像からの時計の認識と時刻の特定を行ってもよい。
【0226】
(3-5)
上述したシステム908において、タブレットPC8は二次元バーコードを表示し、ドライブレコーダ1はタブレットPC8が表示する二次元バーコードを読み取り、復号することで、時刻情報を取得する。これに代えて、タブレットPC8がタッチスクリーンによって可視光通信規格に従い変化する色を表示し、ドライブレコーダ1がCCDカメラ16によりタブレットPC8のタッチスクリーンを撮影し、撮影した画像が示す色の変化が示す時刻情報を取得してもよい。
【0227】
図20は、この変形例の一例に係るシステム912の全体構成を示した図である。システム912は、車両に搭載されたドライブレコーダ1と、車両の搭乗者(運転者を含む)が携帯するタブレットPC8を備える。システム912において、タブレットPC8は、システム912のために準備されたプログラム(以下、「時刻色表示アプリ」という)を実行することで、自装置の内部時計により計時した現在時刻を示す経時変化する可視光(色)をタッチスクリーンに表示する機能を備える。時刻色表示アプリを実行中のタブレットPC8は、タッチスクリーンに、例えば分単位の現在時刻を可視光通信規格に従い示す、変化する色を背景色として表示する。
【0228】
図21は、システム912において、タブレットPC8がタッチスクリーンに背景色として表示する色を変化させることによって、時刻情報を伝達する仕組みを説明するための図である。例えば、システム912において用いられる可視光通信規格においては、紫(例えば、波長が380-450 nmの範囲内の電磁波)が1つの情報を示す一連の色の区切り(ストップビット)を示し、赤(例えば、波長が620-750 nmの範囲内の電磁波)が二進法の「0」を示し、緑(例えば、波長が495-570 nmの範囲内の電磁波)が二進法の「1」を示す。タブレットPC8は、例えば、1/30秒の周期で、紫→赤→緑→赤→赤→緑→・・・、と変化する背景色の画像をタッチスクリーンに表示する。
【0229】
ドライブレコーダ1は、CCDカメラ16により撮影を行う毎に、撮影した静止画からタブレットPC8の画像の認識を試みる。ドライブレコーダ1は、CCDカメラ16により撮影した静止画からタブレットPC8の画像の認識に成功すると、続いて、認識したタブレットPC8の画像に含まれる背景色を特定する。ドライブレコーダ1は、例えば、認識したタブレットPC8の画像のうち、タッチスクリーン全体の面積に対する均一な色の領域の面積の比率が所定値(例えば、70%等)以上であれば、その色を背景色として特定する。
【0230】
ドライブレコーダ1は、上記のように特定した背景色を示す色情報を記憶する。ドライブレコーダ1は、背景色として最初に紫を認識した後、再度、紫を認識すると、その間に記憶した色情報が示すビット列が示す時刻情報を特定する。ドライブレコーダ1は、そのように特定した時刻情報を用いて、内部時計103が計時する時刻を校正し、校正後の時刻を現在時刻として特定する。ドライブレコーダ1は、内部時計103が計時する時刻を校正する処理を完了すると、スピーカ104によって、例えば、「時刻調整が完了しました。」等の音声メッセージを発音する。車両の搭乗者は、この音声メッセージを聞いて、タブレットPC8をCCDカメラ16の撮影方向にかざすのをやめる。
【0231】
システム912によれば、車両の搭乗者はドライブレコーダ1に対し操作を行うことなく、時刻色表示アプリを実行中のタブレットPC8をドライブレコーダ1のCCDカメラ16にかざすことで、ドライブレコーダ1に内部時計103が計時する時刻を校正させることができる。
【0232】
(3-6)
上述したシステム912において、ドライブレコーダ1はタブレットPC8のタッチスクリーンに表示される可視光を撮影し、撮影した可視光の色が示す時刻情報を取得する。ドライブレコーダ1が、タブレットPC8のタッチスクリーンに表示される光に代えて、赤外線リモコンから発せられる赤外光を撮影し、撮影した赤外光が示す時刻情報を取得してもよい。
【0233】
図22は、この変形例の一例に係るシステム913の全体構成を示した図である。システム913は、車両に搭載されたドライブレコーダ1と、車両の搭乗者(運転者を含む)が操作する赤外線リモコン76を備える。赤外線リモコン76は、ユーザの操作を受け付ける複数のボタンを有し、ユーザがそれらのボタンのいずれかを押すと、押されたボタンに応じた数値等を示す赤外線の信号を発光部から発する。赤外線により数値等を示す方式としては、例えば、赤外線の送出時間と非送出時間の長さの組み合わせによってビット値を示す方式等が挙げられる。
【0234】
ドライブレコーダ1は、CCDカメラ16により撮影を行う毎に、撮影した静止画に赤外線が写り込んでいるか否かを判定し、写り込んでいれば、その静止画の撮影時刻を記憶する。車両の搭乗者が、赤外線リモコン76の発光部をドライブレコーダ1のCCDカメラ16に向けて、現在時刻を示す数値(例えば、「13時15分30秒」であれば、「131530」等)に応じたボタンを順次押した後、「OK」ボタンを押すと、ドライブレコーダ1は、赤外線リモコン76から赤外線が発せられた期間(赤外線の送出期間)内の撮影時刻を全て記憶する。ドライブレコーダ1は、記憶した撮影時刻が示す赤外線の送出期間と、それらの送出期間の間の期間(赤外線の非送出期間)の長さに基づき、赤外線リモコン76から発せられた信号が示すビット列を特定し、特定したビット列が示す時刻を特定する。
【0235】
ドライブレコーダ1は、上記のように時刻を特定すると、特定した時刻を用いて、内部時計103により経時する時刻を校正する。ドライブレコーダ1は、内部時計103が計時する時刻を校正する処理を完了すると、スピーカ104によって、例えば、「時刻調整が完了しました。」等の音声メッセージを発音する。
【0236】
システム913によれば、車両の搭乗者は赤外線リモコン76をドライブレコーダ1に向けた状態で、赤外線リモコン76に対し時刻の入力操作を行うことで、ドライブレコーダ1に内部時計103が計時する時刻を校正させることができる。
【0237】
(3-7)
上述したシステム908において、タブレットPC8は現在時刻を示す画像を表示し、ドライブレコーダ1はその画像を撮影し、撮影した画像が示す現在時刻を特定する。これに代えて、タブレットPC8が現在時刻を示す音を発し、ドライブレコーダ1はその音を拾音し、拾音した音が示す現在時刻を特定してもよい。
【0238】
図23は、この変形例の一例に係るシステム914の全体構成を示した図である。システム914は、車両に搭載されたドライブレコーダ1と、車両の搭乗者(運転者を含む)が携帯するタブレットPC8を備える。システム914において、タブレットPC8はスピーカを備え、システム914のために準備されたプログラム(以下、「時刻音発信アプリ」という)を実行することで、自装置の内部時計により計時した現在時刻を示す音をスピーカから発音する機能を備える。音により現在時刻を示す方式としては、例えば、DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)、振幅変調方式、周波数変調方式、位相変調方式、それらの組み合わせ等が挙げられる。
【0239】
ドライブレコーダ1は、継続的に、マイク106により拾音した音に、現在時刻を示す音(例えば、変調された音)が含まれているか否かを判定し、含まれていれば、その音が示す現在時刻を特定する。車両の搭乗者が、車内でタブレットPC8に時刻音発信アプリを実行させると、タブレットPC8は現在時刻を示す音を発し、ドライブレコーダ1はその音が示す現在時刻を特定する。
【0240】
ドライブレコーダ1は、上記のように現在時刻を特定すると、特定した現在時刻を用いて、内部時計103により経時する時刻を校正する。ドライブレコーダ1は、内部時計103が計時する時刻を校正する処理を完了すると、スピーカ104によって、例えば、「時刻調整が完了しました。」等の音声メッセージを発音する。
【0241】
システム914によれば、車両の搭乗者は車内でタブレットPC8に時刻音発信アプリを実行させることで、ドライブレコーダ1に内部時計103が計時する時刻を校正させることができる。
【0242】
(3-8)
上述したシステム914において、ドライブレコーダ1はタブレットPC8が発する音から時刻情報を取得する。これに代えて、ドライブレコーダ1が車両の搭乗者(運転者を含む)が発する音声から時刻情報を取得してもよい。
【0243】
図24は、この変形例の一例に係るシステム915の全体構成を示した図である。システム915は、車両に搭載されたドライブレコーダ1を備える。
【0244】
ドライブレコーダ1は、継続的に、マイク106により拾音した音から音声を認識する処理を行う。そして、ドライブレコーダ1は、マイク106により拾音した音から所定の言葉(例えば、「今の時刻は?」等)を認識すると、内部時計103により計時した現在時刻を通知する音声メッセージ(例えば、「○○時○○分です。」等)をスピーカ104から発する。車両の搭乗者は、この音声メッセージが通知する現在時刻と、例えば自分の携帯する時計が示す現在時刻とを比較し、それらが実質的に一致していなければ、自分の携帯する時計が示す現在時刻を通知する音声(例えば、「今の時刻は○○時○○分です。」等)を発声する。
【0245】
ドライブレコーダ1は、車両の搭乗者が発声した音声を認識し、認識した音声に含まれる時刻情報を取得する。ドライブレコーダ1は、音声から取得した時刻情報を用いて、内部時計103により経時する時刻を校正する。ドライブレコーダ1は、内部時計103が計時する時刻を校正する処理を完了すると、例えば、「時刻調整を行いました。今の時刻は○○時○○分です。」等の音声メッセージをスピーカ104から発する。車両の搭乗者は、この音声メッセージにより、ドライブレコーダ1が計時する時刻が正しく校正されていることを確認する。
【0246】
システム915によれば、車両の搭乗者はドライブレコーダ1と対話することで、ドライブレコーダ1に内部時計103が計時する時刻を校正させることができる。
【0247】
[第4実施形態]
図25は、本発明の一実施形態に係るシステム916の全体構成を示した図である。ドライブレコーダ1の内部時計103は、周期的に信号を発する発振器1031(例えば、温度補償水晶発振器(TCXO)等の水晶発振器)と、基準時刻以降に発振器1031が発した信号の数をカウントして現在時刻の計時を行う計時部1032を備える。発振器1031が信号を発する周期は、発振器1031が有する振動子の発振周波数により定まるが、振動子の加工時の誤差等により発振周波数が設計値からずれるときがある。振動子の発振周波数が設計値からずれると、内部時計103が計時する時刻が時間の経過に伴い正しい時刻からずれていく。システム916は、GNSSユニットが出力する1PPS(Pulse Per Second)信号というパルス信号を用いて、上記の不都合を解消する。
【0248】
システム916は、GNSSユニット77と、補正乗数算出装置78と、ドライブレコーダ1を備える。図25に示されるGNSSユニット77と、補正乗数算出装置78と、ドライブレコーダ1は、ドライブレコーダ1の製造が行われる工場内に配置されている。システム916が備えるドライブレコーダ1は、システム901が備えるドライブレコーダ1と同様の構成に加え、不揮発性メモリ110を備える。
【0249】
GNSSユニット77は、人工衛星7から送信される情報を受信し、自装置の位置(例えば、緯度経度)を計測する装置である。GNSSユニット77が人工衛星7から受信する情報には、GNSSユニット77が自装置の位置を計測するために用いる時刻情報が含まれている。この時刻情報は、人工衛星7に搭載されている原子時計により生成される時刻情報であり、内部時計103が計時する時刻を示す時刻情報より精度が高い。GNSSユニット77は、人工衛星7から受信した時刻情報に基づき、1秒毎に1PPS信号を出力する1PPS信号出力部771を有する。
【0250】
補正乗数算出装置78は、操作子781と、補正乗数算出部782と、補正乗数出力部783を有する。操作子781は、補正乗数算出装置78に対する作業員の操作を受け付ける操作ボタン等である。補正乗数算出部782は、操作子781に対し所定の操作が行われたことをトリガに、GNSSユニット77の1PPS信号出力部771から1秒毎に1PPS信号を受け取るとともに、ドライブレコーダ1の内部時計103が有する発振器1031から一定の周期(所定の周期の一例)で信号を受け取り、1PPS信号の受信タイミングにより特定される所定時間T(例えば、1分間等)において発振器1031から受け取る信号の数をカウントする。以下、補正乗数算出装置78がカウントする信号の数を計測信号数Cmと呼ぶ。
【0251】
補正乗数算出部782は、発振器1031が設計された周期(基準となる周期の一例)で信号を出力する場合に所定時間T(例えば、1分間等)に出力する信号の数(以下、この数を設計信号数Cdと呼ぶ)を計測信号数Cmで除した値を、補正乗数M(所定の周期と基準となる周期との差異を示す情報の一例)として算出する。すなわち、M=Cd/Cmである。
【0252】
補正乗数出力部783は、補正乗数算出部782が算出した補正乗数Mをドライブレコーダ1に出力する。ドライブレコーダ1は、補正乗数算出装置78の補正乗数出力部783から受け取った補正乗数Mを不揮発性メモリ110に記憶する。
【0253】
上記のように、不揮発性メモリ110に記憶された補正乗数Mは、ドライブレコーダ1が出荷され、車両に搭載されて使用される際に、計時部1032が発振器1031から受け取る信号に基づき現在時刻を計時する際に用いられる。図26は、システム916が備えるドライブレコーダ1が車両に搭載されて使用される状態を示した図である。
【0254】
計時部1032は、基準時刻以降、発振器1031から受け取る信号の数を継続的にカウントしている。以下、計時部1032が現在カウントしている信号の数を計測信号数Dmとする。計時部1032は、以下の式に従い基準時刻からの現在時点までの経過時間P(秒)を算出する。ただし、Fは発振器1031が有する振動子の発振周波数(Hz)の設計値である。
P=(Dm×M)/F
【0255】
例えば、発振器1031が有する振動子の発振周波数の設計値Fが32.768 kHzである場合、所定時間Tを1分間とすると、設計信号数Cdは1,966,080となる。例えば、計測信号数Cmが1,966,078であれば、この振動子の発振周波数は設計値より低い(信号が出力される周期が長い)ことになる。この場合、補正乗数M=1,966,080/1,966,078となる。
【0256】
仮に、発振器1031が有する振動子の実際の発振周波数が設計値Fと一致するならば、基準時刻からの経過時間PはDm/Fとなる。しかしながら、上記の例の場合、Dm/Fにより算出される経過時間は、実際の経過時間Pよりも短い。従って、この場合、内部時計103が計時する現在時刻は、実際の現在時刻より時間の経過に伴い遅れていく。計測信号数Dmに代えて、計測信号数Dmに補正乗数M(この場合、M>1)を乗じた値が用いられると、内部時計103が計時する現在時刻と実際の現在時刻との間に差が生じない。
【0257】
システム916によれば、内部時計103が有する発振器1031が信号を出力する周期が、振動子の加工時の誤差等の原因により設計された値と一致しなくても、その点に起因して、内部時計103が計時する現在時刻が実際の現在時刻からずれることはない。
【0258】
(第4実施形態の変形例)
(4-1)
内部時計が備える発振器が信号を発する周期が外界の環境パラメータ(物理量)によって変化する場合がある。例えば、内部時計が備える発振器が水晶を振動子として用いる水晶発振器である場合、発振器が信号を発する周期は温度により影響を受ける。上述したシステム916においては、それらの環境パラメータが内部時計103の計時する現在時刻に与える影響は考慮されないが、それらの環境パラメータの影響が考慮されてもよい。
【0259】
図27は、この変形例の一例に係るシステム917の構成を示した図である。システム917が備えるドライブレコーダ1は、システム916が備えるドライブレコーダ1が備える構成に加え、温度計1000(計測手段の一例)を備える。
【0260】
システム917が備える補正乗数算出装置78の補正乗数算出部782は、操作子781に対し所定の操作が行われたことをトリガに、補正乗数Mを算出するとともに、ドライブレコーダ1から温度計1000が計測した温度を示す温度情報を受け取り、受け取った温度情報を算出した補正乗数Mと共に補正乗数出力部783に引き渡す。補正乗数出力部783は、補正乗数算出部782から受け取った補正乗数Mと温度情報をドライブレコーダ1に出力する。ドライブレコーダ1は、補正乗数算出装置78から受け取った補正乗数Mと温度情報を対応付けて不揮発性メモリ110に記憶する。
【0261】
例えば、作業員は工場内において、加熱器及び冷却器を備えた容器内にドライブレコーダ1を配置し、ドライブレコーダ1の周りの温度を、ドライブレコーダ1が使用時に置かれる環境において変化し得る範囲内で、例えば1度ずつ変化させては、操作子781に対し所定の操作を行い、補正乗数算出装置78にその温度における補正乗数Mを算出させる。補正乗数算出装置78により算出された補正乗数Mは、算出時にドライブレコーダ1が置かれていた環境の温度を示す温度情報と対応付けられて、不揮発性メモリ110に記憶される。
【0262】
ドライブレコーダ1が使用される際に、内部時計103の計時部1032は、例えば所定時間(例えば10秒間等)の経過毎に、温度計1000からその時点の温度を示す温度情報を受け取り、受け取った温度情報に対応付けて記憶されている補正乗数Mを不揮発性メモリ110から読み出して、読み出した補正乗数Mを現在時刻の計時に用いる。図28は、システム917が備えるドライブレコーダ1が使用される際に計時部1032が温度計1000から温度情報を受け取り、不揮発性メモリ110から補正乗数Mを読み出し、発振器1031から信号を受け取る様子を示した図である。
【0263】
なお、上記の説明においては、発振器1031が信号を発する周期に影響を与える外界の環境パラメータ(物理量)として温度が用いられる例を説明したが、温度に加えて、もしくは代えて、他の種類の物理量が用いられてもよい。
【0264】
システム917によれば、内部時計103が備える発振器1031が信号を発する周期が外界の環境パラメータ(物理量)によって変化する場合であっても、その環境パラメータの変化に起因する、内部時計103が計時する現在時刻の実際の現在時刻からのずれが軽減される。
【0265】
(4-2)
上述したシステム916及びシステム917においては、補正乗数Mの算出はドライブレコーダ1が出荷される前に工場において行われる。これに代えて、補正乗数Mの算出が車両に搭載されたドライブレコーダ1の使用中に行われてもよい。
【0266】
図29は、この変形例の一例に係るシステム918の構成を示した図である。システム918は、車両に搭載されたカーナビ6とドライブレコーダ1を備える。システム918が備えるカーナビ6は、1PPS信号出力部771を有するGNSSユニット77を備える。また、システム918が備えるドライブレコーダ1は、システム917において補正乗数算出装置78が備えるものとした補正乗数算出部782を備える。
【0267】
システム918において、ドライブレコーダ1は動作の開始直後に、補正乗数算出部782により補正乗数Mを算出し、算出した補正乗数Mを不揮発性メモリ110に記憶する。その後、ドライブレコーダ1は動作中、例えば所定時間(例えば10分間等)の経過毎に、補正乗数算出部782により補正乗数Mを新たに算出し、算出した新たな補正乗数Mで不揮発性メモリ110に記憶している補正乗数Mを上書きする。内部時計103は、不揮発性メモリ110に記憶されている補正乗数Mが更新される毎に、更新後の補正乗数Mを不揮発性メモリ110から読み出して、現在時刻の計時に用いる。
【0268】
システム918によれば、内部時計103が備える発振器1031が信号を発する周期が設計値からずれても、そのずれに起因する、内部時計103が計時する現在時刻の実際の現在時刻からのずれが軽減される。
【0269】
(4-3)
上述したシステム916及びシステム917においては、内部時計103の補正のために1PPS信号を用いる。1PPS信号に代えて、所定の時間間隔で出力される他の種類の信号が用いられてもよい。例えば、カーナビ6とドライブレコーダ1がUSART(Enhanced Universal Synchronous Asynchronous Receiver Transmitter)または、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)と呼ばれるモジュールを備え、有線接続によりデータの送受信を行う場合、Start Bitと呼ばれる信号が所定の時間間隔で送受信される。ドライブレコーダ1が、カーナビ6から送信されてくるStart Bitをカウントすることで、補正乗数Mを算出してもよい。
【0270】
[第5実施形態]
図30は、本発明の一実施形態に係るシステム919の全体構成を示した図である。システム919は、車両に搭載されたカーナビ6と、1台のドライブレコーダ1Aと、1台以上のドライブレコーダ1Bを備える。カーナビ6は、システム903が備えるカーナビ6と同様の構成を備える。ドライブレコーダ1A及びドライブレコーダ1Bは、システム901が備えるドライブレコーダ1と同様の構成を備える。ドライブレコーダ1Aは、カーナビ6とBluetooth等の通信プロトコルに従い通信を行い、ドライブレコーダ1Bはドライブレコーダ1AとBluetooth等の通信プロトコルに従い通信を行う。
【0271】
ドライブレコーダ1Aは、システム903におけるドライブレコーダ1と同様に、カーナビ6から時刻情報を受信し、受信した時刻情報を用いて自装置の内部時計103により計時する時刻を校正する。また、ドライブレコーダ1Aは、自装置の内部時計103により計時した時刻(カーナビ6から受信した時刻情報を用いて校正した後の時刻)を示す時刻情報をドライブレコーダ1Bに送信する。ドライブレコーダ1Bは、ドライブレコーダ1Aから受信した時刻情報を用いて、自装置の内部時計103により計時する時刻を校正する。
【0272】
システム919によれば、ドライブレコーダ1A及びドライブレコーダ1Bは、車両の搭乗者による時刻調整のための操作を要することなく、正しい時刻を計時する。
【0273】
(第5実施形態の変形例)
上述したシステム919においては、同じ車両に搭載された複数のドライブレコーダの間で時刻情報の送受信が行われる。これに代えて、各々が異なる車両に搭載された複数のドライブレコーダの間で時刻情報の送受信が行われてもよい。
【0274】
図31は、この変形例の一例に係るシステム900の構成を示した図である。システム900は、例えば道路を走行中の複数の車両の各々に搭載されたドライブレコーダ1(図示略)と、いずれかの車両の搭乗者が携帯するタブレットPC8を備える。システム900が備えるタブレットPC8は、システム904が備えるタブレットPC8と同様の構成を備える。また、システム900が備えるドライブレコーダ1は、システム901が備えるドライブレコーダ1と同様の構成を備える。以下、図31に示される車両a~nの各々に搭載されているドライブレコーダ1を、ドライブレコーダ1a~1nとする。ドライブレコーダ1a~1nの各々は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)を拡張したBluetooth Meshの規格に従い、メッシュネットワークを構築する。
【0275】
例えば、車両iの搭乗者がタブレットPC8を携帯して車両iに乗り込んだ後、車両iの電源が入れられると、ドライブレコーダ1iは、タブレットPC8から時刻情報を受信し、受信した時刻情報を用いて自装置の内部時計103により計時する時刻を校正する。その後、ドライブレコーダ1iは、所定時間(例えば、10分間等)が経過するまで、車両iの近隣を走行しているいずれかの車両に搭載されているドライブレコーダ1との間で通信接続の確立を試みる。
【0276】
ドライブレコーダ1iは、いずれかのドライブレコーダ1との間で通信接続の確立に成功すると、タブレットPC8から受信した時刻情報(以下、時刻情報Xという)と、自装置の内部時計103により計時した現在時刻を示す時刻情報(以下、時刻情報Yという)を、通信接続の相手のドライブレコーダ1に送信する。図31の矢印は、ドライブレコーダ1iはドライブレコーダ1fとドライブレコーダ1jの各々との間で通信接続の確立に成功し、時刻情報Xと時刻情報Yをそれらのドライブレコーダ1に送信したことを示している。
【0277】
なお、ドライブレコーダ1iはドライブレコーダ1fとドライブレコーダ1jの各々との間で同時に通信接続を確立する必要はない。ドライブレコーダ1iは、例えば、ドライブレコーダ1fとの間で通信接続を確立し、時刻情報Xとその時点において内部時計103により計時した現在時刻を示す時刻情報Yをドライブレコーダ1fに送信した後、ドライブレコーダ1fとの間の通信接続を解除し、その後、ドライブレコーダ1jとの間で通信接続を確立し、時刻情報Xとその時点において内部時計103により計時した現在時刻を示す時刻情報Yをドライブレコーダ1jに送信した後、ドライブレコーダ1jとの間の通信接続を解除する。
【0278】
また、ドライブレコーダ1の各々は、一度、通信接続を確立し、時刻情報Xと時刻情報Yの送受信を行った相手のドライブレコーダ1を識別するドライブレコーダIDを所定時間(例えば、1時間等)が経過するまで記憶しておき、記憶しているドライブレコーダIDにより識別されるドライブレコーダ1とは通信接続の確立を行わないようにしてもよい。そうすれば、ドライブレコーダ1が、同じ相手との間で時刻情報Xと時刻情報Yを繰り返し送受信する無駄が生じない。
【0279】
上記のように、ドライブレコーダ13Iから時刻情報Xと時刻情報Yを受信したドライブレコーダ1fとドライブレコーダ1jは、受信した時刻情報Yを用いて自装置の内部時計103により計時する時刻を校正する。続いて、ドライブレコーダ1fは、時刻情報Xが示す時刻から所定時間(例えば、10分間等)が経過するまで、車両fの近隣を走行しているいずれかの車両に搭載されているドライブレコーダ1との間で通信接続の確立を試み、通信接続の確立に成功すると、通信接続の相手のドライブレコーダ1に、ドライブレコーダ1iから受信した時刻情報Xと、自装置の内部時計103により計時した現在時刻を示す時刻情報Yを送信する。図31の矢印は、ドライブレコーダ1fはドライブレコーダ1gとの間で通信接続の確立に成功し、時刻情報Xと時刻情報Yをドライブレコーダ1gに送信したことを示している。
【0280】
ドライブレコーダ1jもドライブレコーダ1fと同様に、時刻情報Xが示す時刻から所定時間(例えば、10分間等)が経過するまで、車両jの近隣を走行しているいずれかの車両に搭載されているドライブレコーダ1との間で通信接続の確立を試み、通信接続の確立に成功すると、通信接続の相手のドライブレコーダ1に、ドライブレコーダ1iから受信した時刻情報Xと、自装置の内部時計103により計時した現在時刻を示す時刻情報Yを送信する。図31の矢印は、ドライブレコーダ1jはドライブレコーダ1kとの間で通信接続の確立に成功し、時刻情報Xと時刻情報Yをドライブレコーダ1kに送信したことを示している。
【0281】
上記のように、近隣のドライブレコーダ1から時刻情報を受信したドライブレコーダ1が、別の近隣のドライブレコーダ1に時刻情報を送信することで、複数のドライブレコーダ1において、内部時計103により計時される時刻の校正が行われる。その際、それらのドライブレコーダ1が搭載されている車両の搭乗者は、ドライブレコーダ1に対し時刻調整のための操作を要さない。
【0282】
なお、図31の例では、ドライブレコーダ1hはドライブレコーダ1gとドライブレコーダ1lの両方から時刻情報を受信するが、この場合、ドライブレコーダ1hは、例えば、後着の時刻情報Yに伴う時刻情報Xが示す時刻が先着の時刻情報Yに伴う時刻情報Xが示す時刻より新しい場合に限り、後着の時刻情報Yを用いるなど、所定の規則に従いいずれかの時刻情報Yを選択し、選択した時刻情報Yを用いて内部時計103が計時する時刻の校正を行う。
【0283】
[変形例]
上述した実施形態において、ドライブレコーダ1の内部時計103が計時する時刻を校正するための時刻情報は、GNSSユニットにより生成されたもの、時刻サーバにより生成されたもの、タブレットPCにより生成されたもの、時計の画像から生成されたもの等がある。これらの2以上が用いられてもよい。その場合、ドライブレコーダ1が内部時計103の校正に用いた時刻情報の種別を記録しておき、例えば画像の再生時に、その画像の撮影時刻と共に、その撮影時刻の校正に用いた時刻情報の種別を、例えばアイコン等により、表示してもよい。
【0284】
また、ドライブレコーダ1が、時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報を記録しておき、例えば画像の再生時に、その画像の撮影時刻と共に、その撮影時刻の校正が行われた位置を表示してもよい。
【0285】
また、ドライブレコーダ1が内部時計103の校正に用いた時刻情報、その種別、内部時計103が計時した現在時刻(校正前の現在時刻と校正後の現在時刻)を示す時刻情報等を、ブロックチェーンに書き込むようにするとよい。この場合、時刻情報等は、例えば、LPWA(Low Power Wide Area)等によって、リアルタイムにブロックチェーンに書き込まれてもよいし、例えば、PCビューワに取り込んだときなどにブロックチェーンに書き込まれてもよい。この場合、時刻情報の改ざんが防止される。
【符号の説明】
【0286】
1…ドライブレコーダ、2…タイムレコーダ、3…時刻サーバ、4…データサーバ、5…監視カメラ、6…カーナビ、7…人工衛星、8…タブレットPC、9…HTTPサーバ、11…本体、12…取付用ブラケット、13…ナット部材、14…ボリュームダイヤル、15…DCジャック、16…CCDカメラ、17…メモリカード、21…表示部、22…操作ボタン、23…読取部、24…印字部、25…内部時計、26…インタフェース、27…制御部、71…グループウェアサーバ、72…端末装置、73…中継装置、74…時計、75…監視カメラ、76…赤外線リモコン、77…GNSSユニット、78…補正乗数算出装置、101…事故検知センサ、102…一時記憶メモリ、103…内部時計、104…スピーカ、105…スイッチ、106…マイク、107…制御部、108…インタフェース、109…カードスロット、110…不揮発性メモリ、111…第1ケース、112…第2ケース、121…リング部、122…取付板、131…貫通孔、771…1PPS信号出力部、781…操作子、782…補正乗数算出部、783…補正乗数出力部、900~919…システム、1000…温度計、1031…発振器、1032…計時部、1111…一方端部、1121…一方端部、1221…取り付け面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2023-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部時計により計時した時刻情報を、撮影した動画情報に対応づけて記憶する機能と、
前記内部時計の時刻情報の校正を行った位置を示す位置情報を記録する機能と
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記記録した動画情報の再生時に、前記校正が行われた位置を表示する機能を備えたこと
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記内部時計の校正に用いた時刻情報の生成に用いたものの種別を記録する機能を備えたこと
を特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
校正に用いた時刻情報の生成に用いたものの種別を表示する機能を備えたこと
を特徴とする請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。