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特開2023-98972釣り餌、釣り餌を製造するための成形可能な組成物、釣り餌を製造するための方法、及び成形可能な組成物の使用
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  • 特開-釣り餌、釣り餌を製造するための成形可能な組成物、釣り餌を製造するための方法、及び成形可能な組成物の使用 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023098972
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】釣り餌、釣り餌を製造するための成形可能な組成物、釣り餌を製造するための方法、及び成形可能な組成物の使用
(51)【国際特許分類】
   A01K 97/04 20060101AFI20230704BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A01K97/04 B
A01K85/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023063068
(22)【出願日】2023-04-07
(62)【分割の表示】P 2021547319の分割
【原出願日】2020-02-20
(31)【優先権主張番号】19158188.3
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】521355740
【氏名又は名称】コーアェル - テホ オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コッコネン、ヤリ
(72)【発明者】
【氏名】シロトラ、ユハ
(72)【発明者】
【氏名】ディック、エバーハルト
(72)【発明者】
【氏名】ゲットリンク、ソーニャ
(72)【発明者】
【氏名】ビルト、シグリッド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、釣り餌、釣り餌を製造するための成形可能な組成物、釣り餌を製造するための方法、及び成形可能な組成物の使用に関する。
【解決手段】成形可能な組成物は、水、ゲル化剤、及び可塑剤を含む基本溶液を含む。成形可能な組成物はさらに、基本溶液の体積中に少なくとも1つの架橋剤を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、ゲル化剤及び可塑剤を含む基本溶液であって、体積を有する基本溶液、及び
基本溶液の体積内の少なくとも1つの架橋剤
を含む釣り餌を製造するための成形可能な組成物。
【請求項2】
基本溶液がグルコースシロップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の成形可能な組成物。
【請求項3】
成形可能な組成物が少なくとも1つの塩を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の成形可能な組成物。
【請求項4】
ゲル化剤がゼラチンであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項5】
ゼラチンが少なくとも120kDa、好ましくは少なくとも130kDa、より好ましくは140kDaの平均分子量を有することを特徴とする、請求項4に記載の成形可能な組成物。
【請求項6】
ゼラチンが100kDaを超える分子量を有する割合を有し、その割合がゼラチンの総量の少なくとも35重量%であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の成形可能な組成物。
【請求項7】
可塑剤が、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、又はエリスリトールなどの糖アルコールであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項8】
成形可能な組成物が生分解性繊維を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項9】
基本溶液が5~50重量%のゼラチン、好ましくは10~50重量%のゼラチン、より好ましくは20~50重量%のゼラチンを含むことを特徴とする、請求項4~8のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項10】
基本溶液が15~60重量%の糖アルコール、好ましくは20~60重量%の糖アルコール、より好ましくは30~60重量%の糖アルコールを含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項11】
基本溶液が5~50重量%の水、好ましくは20~50重量%の水、より好ましくは20~40重量%の水を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項12】
基本溶液が0~50重量%のグルコースシロップを含むことを特徴とする、請求項2~11のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項13】
架橋剤が、オレウロペインを含む架橋剤又はオリーブ葉抽出物などの植物由来のポリフェノールを含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項14】
成形可能な組成物が1~2重量%の架橋剤を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項15】
成形可能な組成物が0.5~4重量%の塩を含むことを特徴とする、請求項3~14のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項16】
魚を誘引するための少なくとも1つの添加剤を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項17】
成形可能な組成物が少なくとも1つの潤滑剤を含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項18】
成形可能な組成物がナノクレイを含むことを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の成形可能な組成物。
【請求項19】
少なくとも70℃の温度で、水、ゲル化剤、及び可塑剤を含む基本溶液であって、体積を有する基本溶液を形成すること、
基本溶液の体積に架橋剤を添加することにより成形可能な組成物を形成すること、及び
成形可能な組成物を少なくとも1つの型に注ぎ、釣り餌を形成すること
を含む釣り餌を製造するための方法。
【請求項20】
前記方法が、魚を基本溶液に引き付けるための少なくとも1つの添加剤を添加することを含むことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記方法が、前記基本溶液に繊維を添加することを含むことを特徴とする、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記方法が、釣り餌を周囲温度に冷却することを含むことを特徴とする、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
釣り餌を製造するための、請求項1~18のいずれか一項に記載の成形可能な組成物の使用。
【請求項24】
請求項1~18のいずれか一項に記載の成形可能な組成物で製造された釣り餌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り餌、釣り餌を製造するための成形可能な組成物、釣り餌を製造するための方法、及び成形可能な組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人工のソフトな釣り餌は、多くの場合、ポリ塩化ビニル(PVC)から製造される。これらの種類の釣り餌は生分解性ではないため、環境に害を及ぼす可能性がある。
生分解性の餌はしばしば簡単に分解し、あまりにも早く役に立たなくなる。さらに、それらの特性は最適とはほど遠い。
【発明の概要】
【0003】
発明の簡単な説明
本発明の目的は、上記の問題を解決するために、釣り餌、釣り餌を製造するための成形可能な組成物、釣り餌を製造するための方法、及び成形可能な組成物の使用を提供することである。本発明の目的は、釣り餌、釣り餌を製造するための成形可能な組成物、釣り餌を製造するための方法、及び成形可能な組成物の使用によって達成され、これらは、独立請求項に記載されていることによって特徴づけられる。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に開示されている。
【0004】
本発明の釣り餌は生分解性で耐久性がある。
本発明の釣り餌はいくつかの利点を提供する。釣り餌は、既存のポリ塩化ビニル(PVC)ソフト釣り餌と同じように使用できる。釣り餌は、スポーツフィッシングや商業釣りを含むあらゆる種類の釣りで自然な餌として機能する。釣り餌の素材は、魚、釣り餌の使用者、環境に無害である。つまり、素材は環境保護的で安全である。素材は水中で無害な成分に分解する。分解は、淡水と塩水の両方で起こる。素材も堆肥化可能である。
【0005】
素材は扱いやすく、すなわち、べたついたり、ぬるぬるしたり、乱雑だったり、臭いものではない。釣り餌は、必要に応じて清澄で透明にすることができる。釣り餌の素材が水に濡れると、つまり水を吸収すると、釣り餌は動きに非常に敏感になり、振動しやすくなる。つまり、釣り餌は大きく動き簡単に動く。
【0006】
素材の水への溶解速度、並びに素材の密度、柔らかさ、及び伸びは、レシピによって制御及び調整することができる。香り、フレーバー、カラーリリースを同時に制御できる。釣り餌の浮力を高めるために、素材を曝気又は発泡させることができる。
【0007】
製造時に釣り餌に加えるフレーバーと香りに加えて、素材が液体を吸収するので、使用中にフレーバーと香りを加えることができる。
【0008】
廃棄物の発生量が少なく、費用対効果が高いため、生産プロセスは持続可能である。釣り餌は、最終的な小売パッケージに直接注入することができる。さらに、製造プロセスでは、同じ製品に異なる密度、色、フレーバーを組み合わせることができる。
【0009】
本明細書では、特定の用語が使用される。
成形可能な組成物とは、型に流し込むことによって成形できることを意味する。成形可能な組成物が固化するまで、型を放置する。型は、開いた型又は閉じた型であり得る。
【0010】
可塑剤とは、釣り餌の柔軟性と柔らかさを高める成分を意味する。水は、成形可能な組成物の成分としていかなる場合でも使用されるため、除外される。
【0011】
魚を引き付けるための添加剤とは、魚を引き付ける可能性のあるあらゆる成分を意味する。添加剤は、色、フレーバーなどの視覚的誘引物質、又は魚が食べる食品の香り、又はフェロモンなどの香りであり得る。
【0012】
架橋剤とは、特定のゲル化剤を架橋する能力を有するように選択された薬剤を意味する。架橋剤は、釣り餌の強度を増加させ、架橋剤の量を変えることによって(すなわち、架橋の程度を調整することによって)及び/又は架橋剤自体を変更することによって必要に応じて調整可能な、予測可能な分解特性を釣り餌に与える。
【0013】
釣り餌とは、魚、カニなどの甲殻類、又はタコなどの軟体動物を捕まえるために使用される餌を意味する。主な用途は魚を捕まえることである。
釣り餌を製造するために、成形可能な組成物が最初に作られる。成形可能な組成物は、水、ゲル化剤及び可塑剤を含む基本溶液を含む。ゲル化剤は、タンパク質を含むゲル化剤又は多糖類を含むゲル化剤であり得る。ゲル化剤は、動物由来の成分又は植物由来の成分を含み得る。動物由来の成分は、例えば、ゼラチン及びコラーゲンを含む。植物由来の成分は、例えば、ペクチン及び寒天を含む。ゼラチンとコラーゲンは、タンパク質を含む成分に属する。ペクチンと寒天は、多糖類を含む成分に属する。好ましいゲル化剤はゼラチンであるが、他のゲル化剤を単独で又はゼラチンに加えて使用することができる。
【0014】
任意のゼラチンを使用することができるが、好ましい選択は、平均分子量が少なくとも120kDaである速硬化性ゼラチンである。平均分子量は、少なくとも130kDa又は少なくとも140kDaであり得る。平均分子量はゲルクロマトグラフィーによって決定される。上記のゼラチンは、100kDaを超える分子量を有する割合を有し得、その割合は、ゼラチンの総量の少なくとも35重量%である。そのようなゼラチンは、様々なコラーゲン含有素材、特にブタ、ウシ、家禽又は魚の結合組織又は骨から得ることができる。
【0015】
水とゲル化剤に加えて、基本溶液は、釣り餌の柔軟性と柔らかさを高める可塑剤を含む。可塑剤は、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、又はグリセロールなどの糖アルコールであり得る。好ましい糖アルコールはグリセロールである。糖アルコールは、成形組成物の好ましいレオロジー特性に寄与する。
【0016】
ゼラチンなどのゲル化剤を水に溶かし、糖アルコールなどの可塑剤を加える。グルコースシロップも加えることができる。
【0017】
基本溶液は、5~50重量%のゼラチン、5~50重量%の水、及び15~60重量%の糖アルコールを含み得る。基本溶液は、0~50重量%のグルコースシロップを含み得る。すなわち、基本溶液がグルコースシロップを含まないことも可能である。グルコースシロップは、好ましくは、50以上、好ましくは60以上のデキストロース当量を有する高度に加水分解されたグルコースシロップである。
【0018】
一実施形態によれば、基本溶液は、10~15重量%のゼラチン、30~35重量%の水、10~15重量%のグルコースシロップ、及び35~45重量%のグリセロールなどの糖アルコールを含み得る。
【0019】
別の実施形態によれば、基本溶液は、25~30重量%のゼラチン、25~30重量%の水、20~25重量%のグルコースシロップ、及び20~25重量%のグリセロールなどの糖アルコールを含み得る。
【0020】
さらに別の実施形態によれば、基本溶液は、10~15重量%のゼラチン、30~35重量%の水、及び50~55重量%のグリセロールなどの糖アルコールを含み得る。
【0021】
さらに別の実施形態によれば、基本溶液は、25~35重量%のゼラチン、30~40重量%の水、及び30~40重量%のグリセロールなどの糖アルコールを含み得る。
【0022】
成形可能な組成物の基本溶液が最初に調製される。 ゼラチン成分は、約70~80℃の温度を有する熱水に溶解される。次に、糖アルコール、例えばグリセロール、及び特定のレシピに含まれている場合はグルコースシロップなどの可塑剤が追加される。塩成分も基本溶液に加えることができる。塩成分は、1つの塩又は異なる塩の混合物を含み得る。塩成分はまた、補助剤を含み得る。
【0023】
基本溶液は、好ましくはわずかな過圧を使用して沸騰させられ、その後、水が蒸発するように負圧下で処理される。基本溶液の乾燥物質含量は、蒸発によって調整することができる。
【0024】
基本溶液が目的の固形分を含んだ後、魚を引き付けるための少なくとも1つの添加剤を加えることができる。魚を誘引するための添加剤は、色などの視覚的誘引物質、又は魚が食べる食物の香りなどのフレーバー又は香りであり得る。適切なフレーバー又は香りベースの誘引物質は、例えば、魚油、魚粉、軟体動物(ムール貝など)及び足の関節のある動物(甲殻類など)である。必要に応じて、誘引物質は、釣り餌での使用に適した方法ですりつぶすか又は粉砕することができる。適切な目に見える誘引物質は、例えば、生分解性である可能性のある色及びきらめきである。魚を誘引するための添加剤に加えて、添加剤は、例えば、pH調節物質又は塩又は酸などの防腐剤を含み得る。
【0025】
成形可能な組成物を形成するために、架橋剤も基本溶液に添加される。架橋剤は、特定のゲル化剤を架橋する能力を有するように選択される。好ましい架橋剤は、自然界に見られる架橋剤又はそれらの合成同等物である。適切な架橋剤は、植物由来のポリフェノール又は植物由来のポリフェノールを含む抽出物などの植物由来の架橋剤である。植物由来のポリフェノールは、例えば、オレウロペイン、タンニン酸、没食子酸及びヒドロキシ桂皮酸を含む。ヒドロ桂皮酸には、コーヒー酸、カフタル酸(caftaric acid)、フェルラ酸が含まれる。植物由来のポリフェノールを含む抽出物は、例えば、オリーブの葉の抽出物、コーヒー、ブドウジュースを含む。
【0026】
一実施形態によれば、植物由来の架橋剤が使用される。植物由来のポリフェノール又はオリーブ葉抽出物などの植物由来のポリフェノールを含む抽出物は、ゼラチン、水、及びグリセロールなどの糖アルコールを含む基本溶液を含む成形組成物中の架橋剤として使用される。基本溶液及び架橋剤に加えて、成形組成物は、魚を誘引するための少なくとも1つの誘引物質を含む。ゼラチンは、少なくとも120kDa、好ましくは少なくとも130kDa、より好ましくは140kDaの平均分子量を有する速硬化性ゼラチンであり得る。成形組成物は、生分解性繊維を含み得る。
【0027】
一般に、架橋剤は、特定のゲル化剤を架橋することができる非毒性の架橋剤の中から選択することができる。架橋剤は、アルデヒド、ジアルデヒド、イソシアネート、ジイソシアネート、カルボジイミド、及びアルキルジハライドに属し得る。
【0028】
架橋剤は、成形可能な組成物において二重の役割を果たし得る。架橋特性に加えて、架橋剤は、魚を引き付けるための添加剤として作用し得る。例えば、架橋剤は、魚を引き付ける明るい色を有し得る。
【0029】
成形可能な組成物は、天然繊維、人工繊維、又は再生繊維に属し得る生分解性繊維を含み得る。繊維は、例えば、セルロース、再生セルロース、ポリビニルアルコール(PVOH)又はポリ乳酸(PLA)であり得る。繊維は釣り餌に余分な強さを与える。繊維はまた、釣り餌の質感を微調整する。繊維の特性、例えばそれらの長さは、釣り餌の他の成分と互換性があるように選択される。成形可能な組成物への繊維の分布は重要な要因であり得る。繊維の長さはせいぜい2mmであり得る。繊維は細くて柔軟な場合がある。成形可能な組成物におけるそれらのシェアは、せいぜい2重量%であり得る。
【0030】
基本溶液、添加剤及び架橋剤が成形可能な組成物を形成する。成形可能な組成物のpHは、好ましくは約5.5であり、すなわち、pHはわずかに酸性でなければならない。成形可能な組成物は、組成物を鋳造型に注ぐことによって魚の餌に成形される。成形組成物の温度は、成形時に少なくとも80℃であることが好ましい。鋳造型は、別個の型であっても、販売パッケージの一部であってもよい。すなわち、釣り餌は、販売パッケージの一部を形成するトレイに直接成形される。釣り餌は、例えば特定の魚種が食べる小さな魚、ワーム、又はその他の水生動物に似せることができる。
【0031】
上記の成分に加えて、成形可能な組成物は、潤滑剤を含み得る。潤滑剤は、長鎖脂肪酸及び/又は長鎖アルコールを含み得る。別の潤滑剤は、例えば、エルカミド、オレアミド、ステアラミド、又はベヘナミドを含み得る。さらに別の潤滑剤は、融点が100℃未満である植物ベースのワックスであり得る。
【0032】
成形可能な組成物はまた、その目的が餌の重量及び/又はセット及び/又は餌の溶解度を調整することであり得る粒子を含み得る。そのような粒子には、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、ヘクトライト、ハロイサイトなどの粘土鉱物のナノ粒子であるナノクレイを含む。
【0033】
釣り餌は鋳造型中で冷え始める。同時に、釣り餌の素材が架橋し始める。素材は、成形後すぐに十分に固くなる可能性がある。
【0034】
釣り餌の物性は、架橋剤によって調整することができる。特定の架橋剤の量と特性は、釣り餌の物理的特性に影響を与える。架橋剤が基本溶液の全体積に広がるので、釣り餌はその体積全体に安定な特性を有し、したがって、それは予測可能な分解特性を有する。分解特性は、架橋剤の選択とその量によって調整できる。ゼラチンに関連して、架橋剤がゼラチンの固化を助けるので、速硬化性ゼラチンの代わりに他のゼラチンを使用することが可能である。
【0035】
最終製品、すなわち餌は、65~95重量%の乾燥物質と5~35重量%の水を含んでいる。好ましくは、最終製品は、85~90重量%の乾燥物質及び10~15重量%の水を含む。低含水率は釣り餌の貯蔵寿命を延ばし、型からの蒸発の必要がないので閉じた型を使用することを可能にする。閉じた型は、釣り餌の完全な三次元形状を可能にするため、有利である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1a図1aは釣り餌の例を示す。
図1b図1bは釣り針を示す。
図1c図1cは、図1bの釣り針で突き刺した図1aの釣り餌を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
図1aは、釣り餌1の例を示している。釣り餌1は、図1aに示されているような魚の形を有し得る。形は捕食性の魚を引き付け得る。図1bは釣り針2を示し、これは例えば、釣り竿のラインに取り付けられた釣り針であり得る。釣り餌1は、図1cの釣り針2によって突き刺される。
【0038】
釣り餌のサンプルを製造した。釣り餌は、次の機能をテストすることによって評価された。

A.素材がどれだけ柔らかいか
B.素材が壊れる前にどれだけよく伸びるか
C.素材が釣り針を取り付け、その後使用するのにどれだけ耐えられるか
D.素材が釣り針にどれだけしっかりと保持されているか
E.素材が2時間の水浴及びその後の12時間の乾燥空気にどれだけ耐えられるか
【0039】
評点1(悪い)から10(良い)をサンプルに与えた。目標とする評点は7(最小)から10(最大)であった。
【0040】
魚を誘引するための添加剤と架橋剤を含む混合物を調製した。架橋剤はオリーブ葉抽出物であり、混合物中のその量は20重量%であった。
【実施例0041】
例1
ゲル強度280g(280ブルーム)のゼラチン26.1kg、水63.9kg、コーンシロップ26.3kg、グリセロール78.8kgを含む基本溶液を沸騰させた。水は、-0.6バールから-0.33バールの負圧及び92.5℃から99.5℃の温度を有する真空チャンバー内で、80重量%の全固形分に達するように蒸発させた。成形可能な組成物を形成するために、魚を誘引するための添加剤及び架橋剤を含む混合物を基本溶液に添加した。混合物の量は、成形可能な組成物の総質量の9重量%であった。成形可能な組成物を油を塗った型に注ぎ、釣り餌を形成した。
【0042】
次の結果が得られた。
A.9
B.7
C.7
D.9
E.5
【0043】
例2
ゲル強度280g(280ブルーム)のゼラチン62.2kg、水62.2kg、コーンシロップ53.7kg、グリセロール53.7kgを含む基本溶液を沸騰させた。水は、-0.6バールから-0.33バールの負圧及び92.5℃から99.5℃の温度を有する真空チャンバー内で、80重量%の全固形分に達するように蒸発させた。成形可能な組成物を形成するために、魚を誘引するための添加剤及び架橋剤を含む混合物を基本溶液に添加した。混合物の量は、成形可能な組成物の総質量の9重量%であった。成形可能な組成物を油を塗った型に注ぎ、釣り餌を形成した。
【0044】
次の結果が得られた。
A.9
B.7
C.8
D.9
E.6
【0045】
例3
ゲル強度280g(280ブルーム)のゼラチン26.5kg、水65kg、グリセロール103.5kgを含む基本溶液を沸騰させた。負圧-0.6バール、温度92℃~96℃の真空チャンバー内で、全固形分80重量%に達するように水を蒸発させた。成形可能な組成物を形成するために、魚を誘引するための添加剤及び架橋剤を含む混合物を基本溶液に添加した。混合物の量は、成形可能な組成物の総質量の9重量%であった。成形可能な組成物を油を塗った型に注ぎ、釣り餌を形成した。
【0046】
次の結果が得られた。
A.9
B.9
C.9
D.9
E.6~7
【0047】
例4
ゲル強度300g(300ブルーム)のゼラチン30kg、水35kg、グリセロール35kgを含む基本溶液を沸騰させた。総固形分が80重量%に達するように、真空チャンバー内で水を蒸発させた。魚を誘引するための添加剤と架橋剤を含む混合物を、成形可能な組成物を形成するために基本溶液に加えた。混合物の量は、成形可能な組成物の総質量の9重量%であった。成形可能な組成物を油を塗った型に注ぎ、釣り餌を形成した。
【0048】
次の結果が得られた。
A.9
B.9
C.9
D.9
E.7
【0049】
技術が進歩するにつれて、本発明の概念が様々な方法で実施され得ることは当業者には明らかであろう。本発明及びその実施形態は、上記の例に限定されず、特許請求の範囲内で変動し得る。

図1a
図1b
図1c
【手続補正書】
【提出日】2023-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも70℃の温度で、水、ゼラチン、及び糖アルコールを含む基本溶液を形成すること、
基本溶液を沸騰させること、
基本溶液の乾燥物質含量を調整するために負圧下で水を蒸発させること、
水を基本溶液から蒸発させた後に基本溶液全体に架橋剤を添加することにより成形可能な組成物を形成すること、及び
成形可能な組成物を少なくとも1つの型に注ぎ、釣り餌を形成すること
を含む釣り餌を製造するための方法。
【請求項2】
前記方法が、魚を基本溶液に引き付けるための少なくとも1つの添加剤を添加することを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、前記基本溶液に繊維を添加することを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、釣り餌を周囲温度に冷却することを含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
10~15重量%の水含量を有する、型で成形されたゲル状釣り餌であって、水、ゼラチン及び糖アルコールを含む基本溶液、及び基本溶液全体に少なくとも1つの架橋剤を含む、上記ゲル状釣り餌。
【請求項6】
基本溶液がグルコースシロップを含むことを特徴とする、請求項5に記載の釣り餌。
【請求項7】
架橋剤が、オレウロペインを含む架橋剤又はオリーブ葉抽出物などの植物由来のポリフェノールを含むことを特徴とする、請求項5~6のいずれか一項に記載の釣り餌。
【請求項8】
釣り餌が少なくとも1つの潤滑剤を含むことを特徴とする、請求項5~7のいずれか一項に記載の釣り餌。
【請求項9】
釣り餌がナノクレイを含むことを特徴とする、請求項5~8のいずれか一項に記載の釣り餌。
【外国語明細書】