(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099029
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】炎症の診断および処置のための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/12 20160101AFI20230704BHJP
A61K 31/20 20060101ALI20230704BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230704BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A23L33/12
A61K31/20
A61P29/00
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067618
(22)【出願日】2023-04-18
(62)【分割の表示】P 2018000321の分割
【原出願日】2018-01-04
(31)【優先権主張番号】15/393,799
(32)【優先日】2016-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517238846
【氏名又は名称】ガバメント オブ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ、アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー オブ ザ ネイビー
【氏名又は名称原語表記】GOVERNMENT OF THE UNITED STATES OF AMERICA, AS REPRESENTED BY THE SECRETARY OF THE NAVY
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファニー ケイ ベン-ワトソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】炎症および様々な炎症関連状態(慢性疾患の貧血、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、心臓血管疾患、ガン、老化、神経変性疾患(アルツハイマー病および他の形態の認知症を含む)および他の関連した状態を含む)の処置および予防のための組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩を含む炎症治療用サプリメントであって、該少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸は、C15:0、C17:0、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、サプリメントを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩を含む炎症治療用サプリメントであって、
該少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸は、C15:0、C17:0、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、サプリメント。
【請求項2】
血清コレステロールエステルC15:0濃度が60μMより大きい値、又は血清ホスファチジルコリンC17:0濃度が30μMより大きい値を達成することによって炎症を治療するための請求項1に記載のサプリメント。
【請求項3】
前記少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸がヘプタデカン酸である、請求項1又は2のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項4】
前記少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸がペンタデカン酸である、請求項1又は2のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項5】
前記サプリメントが偶数鎖飽和脂肪酸を実質的に含まない、請求項1~4のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項6】
前記サプリメントが、複数の異なる奇数鎖飽和脂肪酸をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項7】
前記サプリメントが、少なくとも1つの非常に長い偶数鎖飽和脂肪酸をさらに含み、該少なくとも1つの非常に長い偶数鎖飽和脂肪酸が、C20:0、C22:0、C24:0、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項8】
前記サプリメントが、少なくとも1つの偶数鎖飽和脂肪酸をさらに含み、該少なくとも1つの偶数鎖飽和脂肪酸が、C16:0、C18:0、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項9】
前記サプリメントが単位剤形である、請求項1~8のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項10】
前記サプリメントが、少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩を、体重1kgあたり、1.5mg~11mg投与するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項11】
前記サプリメントが、体重1kgあたり2.5mg~11mgの少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩を投与するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項12】
前記サプリメントが、1日1回の投与のために構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載のサプリメント。
【請求項13】
前記サプリメントが、0.01mg~10000mgの少なくとも1つの奇数鎖飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩をさらに含む、請求項1から12までのいずれか1項記載のサプリメント。
【請求項14】
前記サプリメントが、炎症のマーカー又は炎症の症状を調節するように構成されている、請求項1から13のいずれか一項に記載のサプリメント。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載のサプリメントを含む、食品又は飲料添加物又は成分。
【請求項16】
炎症の治療又は予防のための医薬品の製造における、請求項1~14のいずれか1項に記載のサプリメントの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[連邦政府支援による研究開発に関する記載]
合衆国政府は、連邦政府補助金N00014-15-1-2131(全米海洋哺乳類財団
)を受けた対象発明への権原移転に従って本発明において所有権上の権利を有する。使用
許諾に関する問合せは参照番号NC105245とともに下記に対して行うことができる
:Office of Research and Technical Applic
ations、Space and Naval Warfare Systems C
enter,Pacific、Code 72120、San Diego、CA、92
152;電話(619)553-5118;eメール:ssc_pac_t2@navy
.mil。
【0002】
炎症および炎症関連状態(心血管代謝疾患、ガン、および老化の様々な状態を含む)の
処置または予防のための組成物で、脂肪酸ならびにその塩および誘導体を含む組成物と、
炎症および炎症関連状態(心血管代謝疾患、ガン、および老化の様々な状態を含む)の処
置または予防のための方法とが、炎症および様々な炎症関連状態(慢性疾患の貧血、イン
スリン抵抗性、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、高血圧、糖尿病、非アルコー
ル性脂肪性肝疾患、心臓血管疾患、ガン、老化、神経変性疾患(アルツハイマー病および
他の形態の認知症を含む)および他の関連した状態を含む)を処置するための組成物およ
び方法を含めて提供される。
【背景技術】
【0003】
炎症は、赤血球沈降速度、血液中のC反応性タンパク質、サイトカインおよび他のマー
カーが高いこと、ならびに/あるいは、血液中のアルカリホスファターゼが低いことが持
続した期間にわたって検出されることによって示される。慢性炎症が、急性炎症の処置さ
れなかった原因から生じる場合があり、または、急性原因が分からずに数カ月にわたって
発症する場合がある。慢性炎症は、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム、ガン、心
臓血管疾患、および老化の様々な疾患を含めて非常によく見られる様々な疾患の共通する
要素である。炎症が、これらの状態に対する原因因子または寄与因子として確認されてお
り、そのようなものとして、炎症が、これらの状態を防止するための、管理するための、
また、処置するための治療標的として提案されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
炎症および随伴状態の処置または予防のための様々な組成物および方法が提供される。
これらの組成物は、1つまたは複数の脂肪酸、脂肪酸の誘導体、あるいはそれらの塩を含
む(ただし、これらは、本明細書中に記載されるように、他の医薬品との組合せで、また
は様々な処置療法の一部として投与される場合がある)。提供された組成物は、慢性炎症
に関連するマーカーを調節するために効果的である。様々な方法が、前記組成物を投与す
るために提供される。
したがって、一般に適用可能な第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される
様々な局面または実施形態のいずれとも自由に組合せ可能である局面)において、1つま
たは複数の脂肪酸またはその医薬的に許容され得る塩(ただし、前記1つまたは複数の脂
肪酸は、奇数鎖脂肪酸および超長偶数鎖脂肪酸からなる群から選択される)と、医薬的に
許容され得るキャリアとを含む医薬組成物が提供される。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記1つまたは複数
の脂肪酸はヘプタデカン酸またはペンタデカン酸である。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記組成物は偶数鎖
脂肪酸を実質的に含まない。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記1つまたは複数
の脂肪酸はベヘン酸またはリグノセリン酸である。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記組成物は、少な
くとも1つの奇数鎖脂肪酸と、少なくとも1つの超長偶数鎖脂肪酸とを含む。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記1つまたは複数
の脂肪酸はヘプタデカン酸およびベヘン酸を含む。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記組成物は単位投
薬形態物である。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記医薬組成物は、
1kgの体重あたり2.5mg~11mgの上記1つまたは複数の脂肪酸またはその医薬
的に許容され得る塩を患者に投与するために構成される。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記医薬組成物は、
1日あたり1回の投与のために構成される。
第1の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記医薬組成物は、
0.01mg~10000mgの上記1つまたは複数の脂肪酸またはその医薬的に許容さ
れ得る塩を含む。
一般に適用可能な第2の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面ま
たは実施形態のいずれとも自由に組合せ可能である局面)において、炎症および炎症関連
状態の処置または予防のための医薬品の製造における、上記第1の局面またはそのどのよ
うな実施形態であってもその実施形態の医薬組成物の使用であって、前記炎症関連状態が
、慢性疾患の貧血、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、高血
圧、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、心臓血管疾患、ガン、老化、神経変性疾患、
アルツハイマー病および認知症からなる群から選択される、使用が提供される。
第2の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記使用は、炎症の
処置または予防のための医薬品の上記製造においてである。
第2の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記医薬組成物は、
炎症のマーカーまたは炎症の症状を調節するために構成される。
第2の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、炎症の前記マーカー
が、奇数鎖脂肪酸割合、奇数鎖脂肪酸の血清中濃度、奇数鎖脂肪酸の赤血球膜中濃度、血
清中の総奇数鎖脂肪酸、赤血球膜中の総奇数鎖脂肪酸、血清フェリチン、赤血球沈降速度
、血清アルカリホスファターゼ、血清CRP、IL-6、TNFα、c-Jun N末端
キナーゼ、ATMおよび単球走化性タンパク質-1からなる群から選択される。
第2の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記医薬組成物は、
上記1つまたは複数の脂肪酸の血清中濃度または赤血球膜中濃度を処置前の値よりも少な
くとも約0.001×10-4Mだけ増大させるために構成される。
一般に適用可能な第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面ま
たは実施形態のいずれとも自由に組合せ可能である局面)において、炎症および炎症関連
状態(慢性疾患の貧血、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、
高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、心臓血管疾患、ガン、老化、神経変性疾
患(アルツハイマー病および他の形態の認知症を含む)および他の関連した状態を含む)
を処置する、または予防する方法であって、その必要性のある患者に、効果的な量の1つ
または複数の脂肪酸またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含み、前記1つ
または複数の脂肪酸が、1つまたは複数の奇数鎖脂肪酸、1つまたは複数の超長偶数鎖脂
肪酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、方法。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記1つまたは複数
の脂肪酸またはその医薬的に許容され得る塩は、上記1つまたは複数の脂肪酸またはその
医薬的に許容され得る塩と、医薬的に許容され得るキャリアとを含む単位投薬形態物での
医薬組成物として提供される。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記単位投薬形態物
は、0.01mg~10000mgの上記1つまたは複数の脂肪酸またはその医薬的に許
容され得る塩を含む。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記1つまたは複数
の奇数鎖脂肪酸はヘプタデカン酸またはペンタデカン酸である。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記医薬組成物は偶
数鎖脂肪酸を実質的に含まない。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記1つまたは複数
の超長偶数鎖脂肪酸はベヘン酸またはリグノセリン酸である。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記医薬組成物は複
数の異なる脂肪酸を含む。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、2.5mg~11m
gの上記1つまたは複数の脂肪酸またはその医薬的に許容され得る塩が、上記患者に、1
kgの体重あたり、1日あたり投与される。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記1つまたは複数
の脂肪酸またはその医薬的に許容され得る塩が、1日あたり1回、上記患者に投与される
。
第3の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面または実施形態のい
ずれとも自由に組合せ可能である局面)の1つの実施形態において、上記1つまたは複数
の脂肪酸の血清中濃度または赤血球膜中濃度が処置前の値よりも少なくとも約0.001
×10-4Mだけ増大させられる。
一般に適用可能な第4の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面ま
たは実施形態のいずれとも自由に組合せ可能である局面)において、実質的には本明細書
中に記載されるような組成物が提供される。
一般に適用可能な第5の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面ま
たは実施形態のいずれとも自由に組合せ可能である局面)において、実質的には本明細書
中に記載されるような組成物が提供される。
一般に適用可能な第6の局面(すなわち、本明細書中において特定される様々な局面ま
たは実施形態のいずれとも自由に組合せ可能である局面)において、実質的には本明細書
中に記載されるような使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A-B】変更後の魚餌を摂っている間の個々のイルカの間における低下した赤血球沈降速度およびアルカリホスファターゼに関するデータを提供する。
図1Aでの点線は、炎症(または大きい赤血球沈降速度)が、変更餌を摂っている間に低下した研究動物を表す。
図1Bでの点線は、炎症(高いアルカリホスファターゼ)が、変更餌を摂っている間に低下した研究動物を表す。
【0006】
【
図2A-B】単純な線形回帰モデルを、変更後の魚餌を摂るイルカにおいて使用して、赤血球沈降速度に関してコレステロールエステルC15:0およびホスファチジルコリンC17:0の血清中濃度との間での逆の関連についてのデータを提供する。
【0007】
【
図3A-B】単純な線形回帰モデルを、変更後の魚餌を摂るイルカにおいて使用して、赤血球沈降速度に関して超長偶数鎖飽和脂肪酸(C20:0およびC22:0)のヘキソシルセラミド形態の血清中濃度との間での逆の関連についてのデータを提供する。
【0008】
【
図4A-D】単純な線形回帰モデルを、変更後の魚餌を摂るイルカにおいて使用して、超長偶数鎖飽和脂肪酸(C22:0およびC24:0)のヘキソシルセラミド形態に関してコレステロールエステルC15:0およびホスファチジルコリンC17:0の血清中濃度との間での正の関連についてのデータを提供する。
【0009】
【
図5】イルカに与えられる奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂肪酸の連日経口服用と、変更後の魚餌を摂るイルカにおける低下した赤血球沈降速度および緩和された炎症を予測するものであった達成される得られた血清脂肪酸濃度とをまとめるフローチャートを提供する。
【0010】
【
図6A-C】高脂肪餌誘発肥満マウスを処置することの12週間の後における連日経口での合成C15:0の長期間抗炎症効果についてのデータを提供する;具体的には、サイトカインのインターロイキン6(IL-6)、インターロイキン18(IL-18)および単球走化性タンパク質-1(MCP-1)(これはケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド2(CCL2)とも呼ばれる)はすべてが、ビヒクル対照と比較して低下した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
様々な炎症関連状態および随伴状態(慢性疾患の貧血、インスリン抵抗性、メタボリッ
クシンドローム、自己免疫疾患、高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、心臓血
管疾患、ガン、老化、神経変性疾患(アルツハイマー病および他の形態の認知症を含む)
および他の関連した状態を含む)を処置するための、1つまたは複数の脂肪酸を含む組成
物、および随伴する方法が提供される。
【0012】
慢性炎症は、免疫系の高まった、長期に及ぶ活性化(高まった炎症誘発性サイトカイン
レベルを含む)を伴う無症状状態である。様々なサイトカイン(腫瘍壊死因子アルファ(
TNF-α)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン1ベータ(IL-1
β)、インターロイキン18(IL-18)および単球走化性タンパク質-1(MCP-
1)を含む)が慢性炎症の他の要素と同様に、心臓血管疾患(アテローム性動脈硬化を含
む)の根本的原因または一因として確認されている。全身性炎症により、内皮細胞機能不
全、血管緊張における変化、および凝固のアップレギュレーションが生じており、これら
により、アテローム性動脈硬化症および広範な心臓血管疾患合併症が結果的には引き起こ
されている。
【0013】
慢性炎症は、メタボリックシンドローム(エネルギーの利用および貯蔵の広範囲に及ぶ
障害)の根本にある原動力として認識されている。様々なサイトカイン(IL-6、IL
-1β、IL-18、MCP-1を含む)が慢性炎症の他の要素と同様に、メタボリック
シンドロームの根本的原因または一因として確認されている。メタボリックシンドローム
には、世界中では4人に1人が、合衆国では3人に1人が罹患していると推定される。メ
タボリックシンドロームには、心臓血管疾患、糖尿病(とりわけ2型糖尿病)および他の
状態(例えば、多嚢胞性卵巣症候群、脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、コレステ
ロール胆石、喘息、睡眠障害および一部の形態のガンなど)を発症する危険性が伴う。メ
タボリックシンドロームは、腹部(中心性)肥満、血圧上昇、インスリン上昇、上昇した
空腹時血漿グルコース、上昇した血清トリグリセリド、低下した高密度リポタンパク質(
HDL)レベル、前炎症性状態(これは臨床的にはC反応性タンパク質(CRP)の上昇
によって認識される)および前血栓症状態によって特徴づけられる。
【0014】
慢性疾患の貧血は、炎症の貧血および炎症性貧血とも呼ばれており、慢性的な基礎状態
に伴う貧血である。この基礎状態(これは、例えば、感染症、炎症またはガンである場合
がある)は、酸素運搬能を数多くの機構によって、一般には循環RBCの集団を低下させ
ることに関連づけられる機構によって低下させる場合がある。一般には、ACDが、軽度
の症状を伴って、または症状を何ら伴うことなく、ゆっくり発達し、現れる。
【0015】
炎症が、腫瘍増殖のための病巣として、また、腫瘍細胞の生存および遊走を手助けする
ものとして両方で働く、ガンに至らせる重要な根底的なものとして認識されている。その
ようなものとして、様々な抗炎症剤が、ガン患者のための有望な治療選択肢として提案さ
れている。
【0016】
炎症は、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性骨髄腫、多発性硬化症および
乾癬を含めて様々な自己免疫疾患の主要な要素である。IL-6が、1型糖尿病および関
節リウマチ(これらに限定されない)を含めて多くの自己免疫疾患の病理発生において知
られており、または、重要な役割をそれらの病理発生において果たしている場合があり、
そのようなものとして、様々な抗IL-6分子が自己免疫疾患のための候補治療剤となっ
ている。
【0017】
老化は、時間とともに生じる生物における一連の形態学的変化および機能的変化を示す
。この用語はまた、生物がその最大生殖能に達した後で生物学的機能が低下することを示
す。炎症が、ミトコンドリアDNAに対する変異、および他のプロセスを介して老化に関
連づけられ得ると考えられている。様々なサイトカイン(IL-6、IL-18およびM
CP-1を含む)が炎症の他の要素と同様に、老化に伴う様々な合併症の根本的原因また
は一因として確認されている。炎症を軽減することにより、老化の変性プロセスが遅くな
る場合がある。
【0018】
神経変性状態(例えば、アルツハイマー病など)に罹患する被験体は、認知症が臨床的
に検出されるかなり前に炎症を呈する場合がある。アミロイドベータ(神経変性疾患の発
達に関係していると考えられるペプチド)が、ニューロン損傷を結果的には引き起こすこ
とがある炎症および付随したサイトカイン上昇に相関づけられる場合がある。様々なサイ
トカイン(IL-6、IL-18およびMCP-1を含む)が炎症の他の要素と同様に、
認知症(アルツハイマー病を含む)の根本的原因または一因として確認されている。炎症
を軽減することはまた、ニューロンをアミロイドベータの毒性から保護すること、認知症
(アルツハイマー病を含む)を発症する危険性を低下させること、または、認知症(アル
ツハイマー病を含む)の進行を妨げることをもたらす場合がある。
【0019】
限定されないが、炎症および様々な随伴状態(例えば、心臓血管疾患、インスリン抵抗
性、メタボリックシンドローム、自己免疫疾患、高血圧、糖尿病、慢性疾患の貧血、非ア
ルコール性脂肪性肝疾患、ガン、老化、神経変性疾患(アルツハイマー病および他の形態
の認知症を含む)および他の関連した状態など)を含めて、本明細書中に示される様々な
状態に対する保護因子および危険因子を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど
)において検出するための方法を提供することが、様々な実施形態のいくつかの実施形態
の目的の1つである。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、炎症(これ
に限定されない)を含めて様々な状態を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど
)において処置するための方法を提供することである。様々な実施形態のいくつかの実施
形態の目的の1つが、炎症(これに限定されない)を含めて様々な状態を哺乳動物被験体
において、例えば、イルカおよびヒトについて検出するための方法を提供することである
。1つまたは複数の脂肪酸または脂肪酸誘導体(奇数鎖脂肪酸(例えば、ヘプタデカン酸
)および/またはある種の偶数鎖脂肪酸(例えば、ベヘン酸など)を含むが、これらに限
定されない)の血清中レベル、血漿中レベルまたは赤血球膜中レベルを哺乳動物被験体(
例えば、イルカおよびヒトなど)において増大させるための方法を提供することが、様々
な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つである。様々な実施形態のいくつかの実施
形態の目的の1つが、炎症(これに限定されない)を含めて所与の状態を処置するための
、または防止するための脂肪酸サプリメントまたは脂肪酸処方治療剤を提供することであ
る。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、費用効果的な様式で達成する
ことが容易である、炎症を含めて本明細書中に示される状態を哺乳動物被験体(例えば、
イルカおよびヒトなど)において検出し、かつ/または処置するための方法を提供するこ
とである。
【0020】
様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、炎症のマーカーを哺乳動物被験
体(例えば、イルカおよびヒトなど)において調節するための方法を提供することである
。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、炎症を哺乳動物被験体(例えば
、イルカおよびヒトなど)において検出するための方法を提供することである。様々な実
施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、炎症を哺乳動物被験体(例えば、イルカお
よびヒトなど)において処置するための方法を提供することである。様々な実施形態のい
くつかの実施形態の目的の1つが、炎症を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトな
ど)において予防するための方法を提供することである。様々な実施形態のいくつかの実
施形態の目的の1つが、炎症および随伴状態(慢性疾患の貧血、インスリン抵抗性、メタ
ボリックシンドローム、自己免疫疾患、高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、
老化の様々な疾患、心臓血管疾患、ガン、神経変性疾患(アルツハイマー病および他の形
態の認知症を含む)および他の関連した状態を含む)を含めて本明細書中に示される状態
を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)において予防するための方法を提供
することである。
【0021】
様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、奇数鎖脂肪酸を哺乳動物被験体
(例えば、イルカおよびヒトなど)の血清、血漿または赤血球膜において増大させるため
の方法を提供することである。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、超
長偶数鎖脂肪酸を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)の血清において増大
させるための方法を提供することである。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の
1つが、炎症を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)において検出するため
の、または処置するための方法を提供することである。様々な実施形態のいくつかの実施
形態の目的の1つが、奇数鎖脂肪酸を、他の脂肪酸を実質的に含むことなく哺乳動物被験
体(例えば、イルカおよびヒトなど)において提供することである。様々な実施形態のい
くつかの実施形態の目的の1つが、1つまたは複数の奇数鎖脂肪酸を、偶数鎖脂肪酸を実
質的に含むことなく哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)において提供する
ことである。
【0022】
慢性炎症を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)において検出し、処置す
るための方法を提供することが、様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つであ
る。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪
酸または超長偶数鎖脂肪酸など)を、慢性炎症を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよび
ヒトなど)において処置するために提供することである。様々な実施形態のいくつかの実
施形態の目的の1つが、炎症を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)におい
て予防するための方法を提供することである。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目
的の1つが、炎症に伴う状態を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)におい
て検出するための、または処置するための方法を提供することである。様々な実施形態の
いくつかの実施形態の目的の1つが、ベヘン酸および/またはヘプタデカン酸のサプリメ
ントを、炎症を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)において処置するため
に提供することである。
【0023】
様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、奇数鎖脂肪酸および超長偶数鎖
脂肪酸の生体利用可能な形態物を哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒトなど)に提
供することである。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、1つまたは複
数の奇数鎖脂肪酸を1つまたは複数のある種の偶数鎖脂肪酸とともに哺乳動物被験体(例
えば、イルカおよびヒトなど)に提供することである。いくつかの実施形態の目的の1つ
が、奇数鎖脂肪酸およびある種の偶数鎖脂肪酸の両方を哺乳動物被験体(例えば、イルカ
およびヒトなど)の血清において増大させるための方法を提供することである。様々な実
施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、哺乳動物被験体(例えば、イルカおよびヒ
トなど)の血清、血漿または赤血球膜における脂肪酸伸長のための方法を提供することで
ある。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、哺乳動物被験体(例えば、
イルカおよびヒトなど)の血清、血漿または赤血球膜における脂肪酸の鎖短縮のための方
法を提供することである。様々な実施形態のいくつかの実施形態の目的の1つが、様々な
奇数鎖脂肪酸形態および超長偶数鎖脂肪酸形態(中性形態(例えば、遊離脂肪酸、コレス
テロールエステル、ジアシルグリセリドおよびトリアシルグリセリド)、リン脂質(例え
ば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリ
ンおよびリゾホスファチジルエタノールアミン)およびスフィンゴ脂質(例えば、セラミ
ド、ヘキソシルセラミドおよびスフィンゴシン)を含む)の濃度を哺乳動物被験体(例え
ば、イルカおよびヒトなど)の血清、血漿または赤血球膜において変化させるための方法
を提供することである。
【0024】
炎症を処置するための、ある種の偶数鎖脂肪酸の1つまたは複数を含む組成物および関
連した方法が提供される。1つまたは複数の生体利用可能な偶数鎖脂肪酸を含む組成物が
提供される。
【0025】
上記目的の1つまたは2つ以上が、本明細書中に記載されるような様々な組成物、方法
および使用によって提供され、または達成される。
【0026】
[定義]
用語「アルコール」は、本明細書中で使用される場合、広義の用語であり、当業者にと
ってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(しかも、特別な意味また
は特別に定義された意味に限定されることはなく)、したがって、限定されないが、1つ
もしくは複数のヒドロキシ基を組み込む、あるいは、1つもしくは複数のヒドロキシ基に
よって置換される、または、1つもしくは複数のヒドロキシ基を含むために官能基化され
る本明細書中に記載されるようなどのような化合物をも示す。
【0027】
用語「誘導体」は、本明細書中で使用される場合、広義の用語であり、当業者にとって
のその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(しかも、特別な意味または特
別に定義された意味に限定されることはなく)、したがって、限定されないが、1つもし
くは複数の誘導体基を組み込む、あるいは、1つもしくは複数の誘導体基によって置換さ
れる、または、1つもしくは複数の誘導体基を含むために官能基化される本明細書中に記
載されるようなどのような化合物をも示す。誘導体には、エステル、アミド、無水物、酸
ハロゲン化物、チオエステル、リン酸エステル、三リン酸エステルおよびβ-スルフェニ
ル誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
用語「炭化水素」は、本明細書中で使用される場合、広義の用語であり、当業者にとっ
てのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(しかも、特別な意味または
特別に定義された意味に限定されることはなく)、したがって、限定されないが、炭素原
子および水素原子のみを含むどのような部分をも示す。官能基化された、または置換され
た炭化水素部分は、本明細書中のどこか他のところで記載されるような1つまたは複数の
置換基を有する。
【0029】
用語「脂質」は、本明細書中で使用される場合、広義の用語であり、当業者にとっての
その通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(しかも、特別な意味または特別
に定義された意味に限定されることはなく)、したがって、限定されないが、とりわけ、
飽和および不飽和のオイルおよびワックス、誘導体、アミド、グリセリド、脂肪酸、脂肪
アルコール、ステロールおよびステロール誘導体、リン脂質、セラミド、スフィンゴ脂質
、トコフェロール類ならびにカロテノイドを示す。
【0030】
用語「医薬的に許容され得る」は、本明細書中で使用される場合、広義の用語であり、
当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(しかも、特別
な意味または特別に定義された意味に限定されることはなく)、したがって、限定されな
いが、妥当な医学的判断の範囲の範囲内で、合理的な危険/利益比と釣り合う過度な毒性
、刺激、アレルギー応答または他の問題合併症を伴うことなく、ヒトおよび動物の組織と
の接触のために、ならびに/あるいは、ヒトおよび動物による消費のために好適であるそ
のような化合物、物質、組成物および/または投薬形態物を示す。
【0031】
用語「医薬的に許容され得る塩」および用語「その医薬的に許容され得る塩」は、本明
細書中で使用される場合、広い用語であり、当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意
味が与えられなければならず(しかも、特別な意味または特別に定義された意味に限定さ
れることはなく)、したがって、限定されないが、医薬的に許容され得る非毒性の酸また
は塩基から調製される塩を示す。好適な医薬的に許容され得る塩には、金属塩、例えば、
アルミニウムの塩、亜鉛の塩、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩およ
びカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩
など)など;有機塩、例えば、リジン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロ
プロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチル
グルカミン)、プロカインおよびトリスの塩;遊離酸および遊離塩基の塩;無機塩、例え
ば、硫酸塩、塩酸塩および臭化水素酸塩;ならびに、現在、医薬において広く使用されて
いる他の塩、および、当業者に広く知られている様々な情報源(例えば、The Mer
ck Indexなど)に列挙される他の塩が含まれる。非毒性であり、かつ、所望され
る活性を実質的に妨げないならば、好適な構成成分はどのようなものであれ、本明細書中
で議論される治療剤の塩を作製するために選択することができる。塩に加えて、当該化合
物の医薬的に許容され得る前駆体および誘導体を用いることができる。医薬的に許容され
得るアミド、低級アルキル誘導体および保護された誘導体もまた、好ましい実施形態の組
成物および方法における使用のために好適であり得る。好ましい実施形態の化合物を医薬
的に許容され得る塩の形態で投与することが可能である場合があるが、一般には、当該化
合物を中性形態で投与することが好ましい。
【0032】
用語「医薬組成物」は、本明細書中で使用される場合、広義の用語であり、当業者にと
ってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(しかも、特別な意味また
は特別に定義された意味に限定されることはなく)、したがって、限定されないが、本明
細書中に開示される1つまたは複数の化合物と、他の化学的成分(例えば、希釈剤または
キャリアなど)との混合物を示す。医薬組成物は、化合物を生物に投与することを容易に
する。医薬組成物はまた、化合物を無機または有機の酸または塩基と反応させることによ
って得ることができる。医薬組成物は一般には、具体的な意図された投与経路に合わせて
作製されるであろう。
【0033】
本明細書中で使用されるように、「キャリア」は、本明細書中で使用される場合、広義
の用語であり、当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず
(しかも、特別な意味または特別に定義された意味に限定されることはなく)、したがっ
て、限定されないが、細胞内または組織内への化合物の取り込みを容易にする化合物を示
す。例えば、限定されないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)が、多くの有機化合物
が被験体の細胞または組織に取り込まれることを容易にする一般に利用されているキャリ
アである。水、生理食塩水溶液、エタノールおよび鉱油もまた、ある種の医薬組成物にお
いて用いられるキャリアである。
【0034】
本明細書中で使用されるように、「希釈剤」は、本明細書中で使用される場合、広義の
用語であり、当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(
しかも、特別な意味または特別に定義された意味に限定されることはなく)、したがって
、限定されないが、医薬組成物における成分で、薬理学的活性を欠いており、しかし、製
薬的に必要である場合がある、または製薬的に望ましい場合がある成分を示す。例えば、
希釈剤が、製造および/または投与のためにその質量が小さすぎる強力な薬物の嵩を増加
させるために使用される場合がある。希釈剤はまた、注入、経口摂取または吸入によって
投与されるための薬物を溶解するための液体である場合がある。この技術分野における一
般的な形態の希釈剤が、ヒト血液の組成を模倣する緩衝化された水溶液(例えば、限定さ
れないが、リン酸塩緩衝化生理的食塩水など)である。
【0035】
本明細書中で使用されるように、「賦形剤」は、本明細書中で使用される場合、広義の
用語であり、当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(
しかも、特別な意味または特別に定義された意味に限定されることはなく)、したがって
、限定されないが、嵩、粘稠度、安定性、結合能、潤滑、崩壊能など(これらに限定され
ない)を組成物に与えるために医薬組成物に加えられる物質を示す。「希釈剤」は一種の
賦形剤である。
【0036】
本明細書中で使用されるように、「被験体」は、本明細書中で使用される場合、広義の
用語であり、当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(
しかも、特別な意味または特別に定義された意味に限定されることはなく)、したがって
、限定されないが、処置、観察または実験の対象である動物を示す。「動物」には、冷血
脊椎動物および温血脊椎動物ならびに無脊椎動物が含まれ、例えば、魚類、甲殻類、爬虫
類などが含まれ、具体的には哺乳動物が含まれる。「哺乳動物」には、限定されないが、
イルカ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ
、霊長類(例えば、サル、チンパンジーおよび無尾猿など)が含まれ、具体的にはヒトが
含まれる。いくつかの実施形態において、被験体はヒトである。
【0037】
本明細書中で使用される場合、用語「処置する」、用語「処置」、用語「治療的」また
は用語「治療」は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意味が
与えられなければならず(しかも、特別な意味または特別に定義された意味に限定される
ことはなく)、したがって、限定されないが、疾患または状態の完全な治癒または消滅を
必ずしも意味しない。疾患または状態の何らかの望まれないマーカー、徴候または症状の
何らかの緩和はどのような程度であっても、処置および/または治療であると見なすこと
ができる。さらには、処置には、患者の全体的な幸福感または外観を悪化させるかもしれ
ない行為が含まれる場合がある。
【0038】
用語「治療効果的な量」および用語「効果的な量」は、本明細書中で使用される場合、
広義の用語であり、当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければな
らず(しかも、特別な意味または特別に定義された意味に限定されることはなく)、した
がって、限定されないが、示される生物学的応答または医学的応答を誘発する、活性な化
合物または医薬剤の量を示すために使用される。例えば、化合物の治療効果的な量は、処
置されている被験体の状態のマーカーまたは症状を防止するために、軽減するために、ま
たは改善するために、あるいは、処置されている被験体の生存を延長させるために必要と
される量とすることができる。この応答が、組織、系、動物またはヒトにおいて生じるこ
とがあり、この応答には、処置されている疾患の徴候または症状の緩和が含まれる。治療
効果的な量の決定は、本明細書中に提供される開示を考慮すると、十分に当業者の能力の
範囲内である。用量として要求される本明細書中に開示される化合物の治療効果的な量は
、投与経路、処置されている動物のタイプ(ヒトを含む)、および、検討中の具体的動物
の身体的特徴に依存するであろう。用量は、所望される効果を達成するために調節するこ
とができ、しかし、医療分野の当業者が認識するであろう体重、食事、併用薬物療法およ
び他の因子のような様々な要因に依存するであろう。
【0039】
用語「溶媒」は、本明細書中で使用される場合、広義の用語であり、当業者にとっての
その通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず(しかも、特別な意味または特別
に定義された意味に限定されることはなく)、したがって、限定されないが、他の化合物
または手段のための溶解力のいくつかの特性を有する化合物であって、極性または非極性
で、直鎖型または分枝型で、環状または脂肪族、芳香族、ナフテン系であることが可能で
あり、かつ、とりわけ、アルコール、誘導体、ジエステル、ケトン、酢酸エステル、テル
ペン、スルホキシド、グリコール、パラフィン、炭化水素、無水物、複素環式化合物(こ
れらに限定されない)が含まれる化合物を示す。
【0040】
本明細書中に示される百分率、比率または他の量はどれも、別途示される場合を除き、
重量基準である。
【0041】
[奇数鎖脂肪酸および超長偶数鎖脂肪酸]
脂肪酸には、飽和脂肪酸および不飽和脂肪酸が含まれる。本明細書中に提供される場合
、様々な脂肪酸が、当業者によって用いられるような従来の命名法を使用して示され、記
載される。飽和脂肪酸は炭素-炭素の二重結合を含まない。不飽和脂肪酸は、少なくとも
1つの炭素-炭素の二重結合を含む。モノ不飽和脂肪酸は1つだけの炭素-炭素の二重結
合を含む。多価不飽和脂肪酸は2つ以上の炭素-炭素の二重結合を含む。脂肪酸における
二重結合は一般にはシス型である;しかしながら、トランス型の二重結合もまた可能であ
る。二重結合の位置をΔnによって示すことができ、この場合、nは、二重結合している
炭素原子のそれぞれの対の小さい方の番号を有する炭素を示す。総炭素数:二重結合数、
Δ二重結合位置の形式での簡便な表記法を用いることができる。例えば、20:4Δ5,
8,11,14は、20個の炭素原子と、4つの二重結合とを有し、二重結合が、5位炭
素原子と6位炭素原子との間、8位炭素原子と9位炭素原子との間、11位炭素原子と1
2位炭素原子との間、および、14位炭素原子と15位炭素原子との間に位置する脂肪酸
(ただし、炭素原子1はカルボン酸基の炭素である)を示す。ステアリン酸(オクタデカ
ン酸)は飽和脂肪酸である。オレイン酸(cis-Δ9-オクタデセン酸)はモノ不飽和
脂肪酸であり、リノレン酸(all-cis-Δ9,12,15-オクタデカトリエン酸
)は多価不飽和脂肪酸である。炭素の総数の前に「C」を置くことができ、かつ、二重結
合の位置を明記しないこともでき、例えば、C20:4は、20個の炭素原子と、4つの
二重結合とを有する脂肪酸を示す。
【0042】
脂肪酸が様々な名称によって示される場合がある:例えば、ヘプタデカン酸が、ヘプタ
デシル酸、マルガリン酸およびn-ヘプタデシル酸、またはC17:0として示される場
合がある。脂肪酸が、この技術分野では知られているように脂質番号によって示される場
合がある。
【0043】
いくつかの実施形態において、脂肪酸は、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸である
ことが可能である。さらなる実施形態において、1つまたは複数の脂肪酸は、少なくとも
1つの奇数鎖脂肪酸または少なくとも1つの超長偶数鎖脂肪酸を含むことができる。
【0044】
奇数鎖脂肪酸の例が、マルガリン酸(ヘプタデカン酸、C17:0)、ペラルゴン酸(
ノナン酸、C9:0)、ウンデカン酸(C11:0)、ノナデカン酸(C19:0)、ペ
ンタデカン酸(C15:0)、アラキドン酸((5Z,8Z,11Z,14Z)-イコサ
-5,8,11,14-テトラエン酸)、アドレン酸(all-cis-7,10,13
,16-ドコサテトラエン酸)およびオスボンド酸(osbond acid)(all
-cis-4,7,10,13,16-ドコサペンタエン酸)である。一般に、上記1つ
または複数の奇数鎖脂肪酸は、9個の炭素原子~31個の炭素原子(9個、11個、13
個、15個、17個、19個、21個、23個、25個、27個、29個または31個の
炭素原子)を有し、例えば、15個~21個の炭素原子を有し、例えば、17個の炭素原
子を有する;しかしながら、ある特定の実施形態においては、より大きい奇数個またはよ
り小さい奇数個の炭素原子が許容可能であり得る。一般に、上記1つまたは複数の奇数鎖
脂肪酸は飽和型である;しかしながら、ある特定の実施形態においては、モノ不飽和また
は多価不飽和の奇数鎖脂肪酸が許容可能であり得る。
【0045】
奇数鎖脂肪酸には、飽和炭化水素鎖または不飽和炭化水素鎖が含まれる場合がある。奇
数鎖脂肪酸がカルボキシル誘導体として存在する場合がある。奇数鎖脂肪酸が、塩として
、例えば、カルボキシル基における塩として存在する場合がある。いくつかの実施形態に
おいて、1つの奇数鎖脂肪酸が存在する場合があり、2つの奇数鎖脂肪酸が存在する場合
があり、3つの奇数鎖脂肪酸が存在する場合があり、または、それ以上の奇数鎖脂肪酸が
存在する場合がある。いくつかの実施形態において、複数の奇数鎖脂肪酸を含む混合物に
おける奇数鎖脂肪酸は、不飽和の量、炭化水素鎖の長さ、誘導体化の様々な段階によって
、または他の構造的特徴によって区別される場合がある。
【0046】
奇数鎖脂肪酸が、バターを含めていくつかの乳製品に微量で見出されており、また、あ
る魚の構成要素である(例えば、Mansson HL(2008)、Fatty ac
ids in bovine milk fat、Food Nutr.Res.、52
:4;Luzia LA、Sampaio GR、Castellucci CMN、T
orres EAFS(2013)、The influence of season
on the lipid profiles of five commercia
lly important species of Brazilian fish、
Food Chem.、83:93~97を参照のこと)。様々な研究では、奇数鎖脂肪
酸を含む食物の1日あたりの食事摂取量を増大させることにより、血清中または血漿中の
レベルが首尾よく増大することが明らかにされている(例えば、Benatar J.R
.、Stewart R.A.H.(2014)、The effects of ch
anging dairy intake on trans and saturat
ed fatty acid levels - results from a ra
ndomized controlled study、Nutr.J.、13:32を
参照のこと)。
【0047】
本明細書中で使用される場合、脂肪酸(例えば、偶数鎖脂肪酸など)に対して適用され
るような用語「超長」は、少なくとも20個の炭素原子を有するそのような脂肪酸を示し
、例えば、20個~26個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ベヘン酸(C22:0)
を示す。
【0048】
上記1つまたは複数の超長偶数鎖脂肪酸は、例えば、20個、22個、24個、26個
、28個または30個の炭素原子を有することができる;しかしながら、ある特定の実施
形態においては、より大きい偶数個またはより小さい偶数個の炭素原子が許容可能であり
得る。一般に、上記1つまたは複数の超長偶数鎖脂肪酸は飽和型である;しかしながら、
ある特定の実施形態においては、モノ不飽和または多価不飽和の超長偶数鎖脂肪酸が許容
可能であり得る。超長偶数鎖脂肪酸がカルボキシル誘導体として存在する場合がある。超
長偶数鎖脂肪酸が、塩として、例えば、カルボキシル基における塩として存在する場合が
ある。いくつかの実施形態において、1つの超長偶数鎖脂肪酸が存在する場合があり、2
つの超長偶数鎖脂肪酸が存在する場合があり、3つの超長偶数鎖脂肪酸が存在する場合が
あり、または、それ以上の超長偶数鎖脂肪酸が存在する場合がある。
【0049】
いくつかの実施形態において、複数の超長偶数鎖脂肪酸を含む混合物における超長偶数
鎖脂肪酸は、不飽和の量、炭化水素鎖の長さ、誘導体化の様々な段階によって、または他
の構造的特徴によって区別される場合がある。超長偶数鎖脂肪酸は生体利用可能な形態で
提供される場合がある。
【0050】
超長偶数鎖脂肪酸が、プラカシー(pracaxi)油(これはペンタクレトラ・マク
ロロバ(Pentaclethra macroloba)の木の種子から得られる)お
よびベン油(これはワサビノキ(Moringa oleifera)の種子から得られ
る)に微量で見出される。純粋な超長偶数鎖脂肪酸または精製された超長偶数鎖脂肪酸が
、様々な物理的状態で存在する場合がある。例えば、ベヘン酸は、室温で安定である白色
~クリーム色の粉末または結晶として存在する。ベヘン酸を、少量での研究目的のために
好適な形態で、いくつかの商用供給者(例えば、Sigma-Aldrich corp
.、St.Louis、MO)から購入することができる。他の超長偶数鎖脂肪酸または
その塩もしくは誘導体が、オイル、固体、結晶性固体として存在する場合がある。
【0051】
一般に、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)は遊離脂肪酸ま
たはその誘導体として提供することができる。そのような誘導体には、アシルグリセリド
が含まれるが、これに限定されない。アシルグリセリドは、3つまでのアシル脂肪酸エス
テルにより置換される場合がある。したがって、アシルグリセリドは、モノアシルグリセ
リド(MAG)、ジアシルグリセリド(DAG)またはトリアシルグリセリド(TAG)
であることが可能である。グリセリドは2種以上の脂肪酸エステルを含むことができる。
例えば、グリセリドはヘプタデカン酸エステルおよびドコサン酸エステルを含むことがで
きる。グリセリドはまた、構造化トリアシルグリセリド(STAG)、プラスマロゲンま
たはリン脂質であることが可能である。脂肪酸エステルは、sn1位もしくはsn2位ま
たは両方の位置においてであることが可能である。sn1位およびsn2位が、同じ脂肪
酸エステルまたは異なる脂肪酸エステルによって置換されることが可能である。限定され
ない一例として、構造化トリアシルグリセリドはsn-1,3-C17-sn-2-オレ
オイルを挙げることができる。
【0052】
いくつかの実施形態において、脂肪酸を、遊離脂肪酸、コレステロールエステル、グリ
セロールエステル(これには、モノアシルグリセリド(MAG)、ジアシルグリセリド(
DAG)またはトリアシルグリセリド(TAG)が含まれるが、これらに限定されない)
、リン脂質(これには、ホスファチジルコリン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチ
ジルエタノールアミン、リゾホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルセリ
ンが含まれるが、これらに限定されない)、セラミド(これには、ヘキソシルセラミドが
含まれるが、これに限定されない)またはスフィンゴ脂質として提供することができる。
ホファチジルコリンの限定されない一例が2,3-ジ-C17:0-ホスファチジルコリ
ンである。リゾホファチジルコリンの限定されない一例が2-リゾ-3-ジ-C17:0
-ホスファチジルコリンである。いくつかの実施形態において、脂肪酸の誘導体はβ-ス
ルフェニル誘導体であることが可能である。β-スルフェニル誘導体(例えば、酸または
エステルなど)は体内においてβ-酸化に対して抵抗性を有し得ると考えられる。限定さ
れない一例として、ヘプタデカン酸のβ-スルフェニル誘導体がテトラデシルチオ酢酸で
ある。様々な誘導体を、当業者には知られている様々な標準的な方法によって合成するこ
とができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、脂肪酸が、特定のタイプの脂質(例えば、セラミド、リ
ン脂質、スフィンゴ脂質、膜脂質、糖脂質またはトリグリセリド)の構成成分として提供
される場合がある。
【0054】
いくつかの実施形態において、脂肪酸(例えば、超長偶数鎖脂肪酸など)が、生体利用
可能な形態で提供される。用語「生体利用効率」は、投与された用量のうちの割合で、全
身循環に達する変化していない薬物の割合を示し、薬物の主要な薬物動態学的特性の1つ
である。定義により、薬剤が静脈内投与されたとき、その生体利用効率は100%である
。本明細書中で用いられる場合、用語「生体利用可能な」は、静脈内以外の投与方法(例
えば、経口治療剤)を使用するときに身体によって首尾よく吸収される当該脂肪酸の形態
を示す。いくつかの実施形態において、超長偶数鎖脂肪酸に基づく組成物は、吸収を最適
化する適合化を含む場合がある。いくつかの実施形態において、超長偶数鎖脂肪酸は構造
化トリアシルグリセリドとして提供することができる。さらなる実施形態において、脂肪
酸は構造化トリアシルグリセリドのsn-2位に存在する。
【0055】
純粋な脂肪酸または精製された脂肪酸が、様々な物理的状態で存在する場合がある。例
えば、ヘプタデカン酸は、室温で安定である灰白色の粉末として存在する;この化合物を
、少量での研究目的のために好適な形態で、いくつかの商用供給者(例えば、Sigma
-Aldrich corp.、St.Louis、MO)から購入することができる。
他の脂肪酸またはその塩もしくは誘導体は、オイル、固体、結晶性固体または気体として
存在する場合がある。
【0056】
奇数鎖脂肪酸もしくは超長偶数鎖脂肪酸またはそれらの医薬的に許容され得る塩もしく
は誘導体が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくと
も約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくと
も約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくと
も約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%の純度、または実質的
に純粋な純度(例えば、バルク形態物における当該脂肪酸またはその医薬的に許容され得
る塩もしくは誘導体の百分率)で提供される場合があり、ただし、実質的に純粋なには、
限定されないが、不純物の存在からの生理学的な影響が検出できないようなレベルで不純
物を含む製造物が含まれる場合がある。脂肪酸の混合物、例えば、奇数鎖脂肪酸および/
または超長偶数鎖脂肪酸あるいはそれらの医薬的に許容され得る塩また誘導体の混合物な
どは、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約4
0%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約8
0%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約9
9%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%の純度、または実質的に純粋
な純度で存在する場合がある。脂肪酸またはその混合物、あるいはその医薬的に許容され
得る塩または誘導体は、他の脂肪酸または脂肪酸誘導体を含まない場合があり、トリグリ
セリドを含まない場合があり、あるいはリン脂質を含まない場合がある。限定されないが
、本明細書中に提供されるような奇数鎖脂肪酸は、偶数鎖脂肪酸を単独で、または群とし
て実質的に含まない場合がある;偶数鎖脂肪酸には、例えば、ミリスチン酸(C14:0
)、パルミチン酸(C16:0)またはステアリン酸(C18:0)が含まれる。いくつ
かの実施形態において、本明細書中に提供されるような奇数鎖脂肪酸は、短鎖脂肪酸(S
CFA)、中鎖脂肪酸(MCFA)、長鎖脂肪酸(LCFA)または超長鎖脂肪酸(VL
CFA)を実質的に含まない場合がある。
【0057】
脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはその医薬的に許容
され得る塩もしくは誘導体は、どのような供給源からのものであってもよい。いくつかの
実施形態において、脂肪酸またはその医薬的に許容され得る塩もしくは誘導体は天然の供
給源に存在する場合があり、天然の供給源から単離される場合があり、半合成品である場
合があり、合成品である場合があり、あるいは、これらの1つまたは複数の混合物である
場合がある。脂肪酸またはその医薬的に許容され得る塩もしくは誘導体は実験室で製造さ
れる場合があり、自然界で産生される場合があり、酵素プロセスによって製造される場合
があり、野生の微生物によって産生される場合があり、遺伝子改変された微生物によって
産生される場合があり、動物組織から単離される場合があり、化学合成によって製造され
る場合があり、または、これらのプロセスの複数によって製造される場合がある。
【0058】
脂肪酸は天然の供給源(例えば、魚油)から得られる場合があり、または、この技術分
野において知られているような様々な方法によって合成することができる。いくつかの実
施形態において、脂肪酸には、純化されていない、または精製されていない天然産物に存
在する望まれない成分が混入している場合がある。そのような状況では、所望されない成
分を除くこと、または、所望される成分の濃度を、公知の分離技術または精製技術を使用
して増大させることが望ましいと考えられ得る。
【0059】
どのような化合物であれ、記載される化合物においては、すべての互変異性形態もまた
包含されることが意図される。限定されないが、カルボキシル基のすべての互変異性体が
包含されることが意図される。
【0060】
どのような化合物であれ、EまたはZとして定義され得る幾何異性体を生じさせる1つ
または複数の二重結合を有する本明細書中に記載される化合物においては、それぞれの二
重結合が独立して、EまたはZあるいはそれらの混合であり得る。
【0061】
本明細書中に開示される化合物が、満たされない原子価を有する場合、その原子価は水
素またはその同位体(例えば、水素-1(プロチウム)および水素-2(重水素))によ
り満たされるものとする。
【0062】
本明細書中に記載されるような脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸
など)には、様々な結晶性形態(これらはまた、多形体として知られており、この場合、
多形体には、化合物の同じ元素組成の種々の結晶充填配置が含まれる)、非晶質相、塩、
溶媒和物および水和物が含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載され
る化合物は、医薬的に許容され得る溶媒(例えば、水またはエタノールなど)との溶媒和
形態で存在する。他の実施形態において、本明細書中に記載される化合物は非溶媒和形態
で存在する。溶媒和物は化学量論的量または非化学量論量のどちらでも溶媒を含み、医薬
的に許容され得る溶媒(例えば、水またはエタノールなど)を用いた結晶化のプロセスの
期間中に形成される場合がある。水和物が、溶媒が水であるときに形成され、または、ア
ルコラートが、溶媒がアルコールであるときに形成される。加えて、本明細書中に提供さ
れる化合物は、溶媒和形態と同様に、非溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶
媒和形態は、本明細書中に提供される化合物および方法の目的のためには非溶媒和形態と
等価であると見なされる。
【0063】
本明細書中に記載される化合物は同位体標識することができる。いくつかの状況におい
て、同位体(例えば、重水素など)による置換は、より大きい代謝安定性から生じるある
特定の治療的利点(例えば、増加したインビボ半減期または低下した投薬量要求など)を
与える場合がある。同位体置換は、例えば、化合物における原子の運命を追跡するための
機会を提供することによって、化合物の投与に対する被験体の応答をモニターすることに
おいて有益である場合がある。化合物構造において表されるようなそれぞれの化学元素に
は、前記元素のどのような同位体であっても含まれる場合がある。例えば、化合物構造に
おいて、水素原子は、化合物に存在することが明示的に開示または理解される場合がある
。水素原子が存在し得る化合物のどのような位置においてであっても、当該水素原子は、
水素-1(プロチウム)および水素-2(重水素)(これらに限定されない)を含めて、
水素のどのような同位体であっても可能である。したがって、化合物に対する本明細書中
での言及は、文脈が明確に別途示す場合を除き、すべての可能な同位体形態を包含する。
【0064】
様々な脂肪酸が食事に多く存在することが、被験体におけるメタボリックシンドローム
の発生に相関づけられている(例えば、Forouhi N、Koulman A、Sh
arp S、Imamura F、Kroger J、Schulze M他(2014
)、Differences in the prospective associa
tion between individual plasma phospholi
pid saturated fatty acids and incident t
ype 2 diabetes:the EPIC-InterAct case-co
hort study、Lancet Diabetes Endocrinol.、2
:810~8を参照のこと)。実際、全脂乳消費がメタボリックシンドロームマーカーの
低下した危険性と相関づけられている(例えば、Kratz M、Marcovina
S、Nelson JE、Yeh MM、Kowdley KV、Callahan H
S他(2014)、Dairy fat intake is associated
with glucose tolerance,hepatic and syste
mic insulin sensitivity,and liver fat bu
t not beta-cell function in humans、Am.J.
Clin.Nutr.、99:1385~96を参照のこと)。
【0065】
脂肪酸(1つまたは複数)が有益な効果を有する機構(1つまたは複数)は十分に理解
されていない。理論によって限定されることを望まないが、脂肪酸またはその誘導体が体
内の様々な代謝プロセスによる伸長(鎖長における増大)または鎖短縮を受けて、異なる
脂肪酸またはその誘導体を形成し得ることが考えられる。ある特定の脂肪酸の過酸化では
、シグナル伝達特性を体内において有する生成物が生じる場合がある。ある特定の鎖長の
脂肪酸が、本明細書中で示される1つまたは複数の状態に対して実質的に寄与するシグナ
ル伝達生成物をもたらすことが考えられる。いくつかの実施形態において、奇数鎖脂肪酸
が伸長させられて、超長鎖脂肪酸(例えば、超長偶数鎖脂肪酸など)を形成する。さらな
る実施形態において、超長偶数鎖脂肪酸が奇数鎖脂肪酸に鎖短縮され得る。体内における
超長偶数鎖脂肪酸のレベルが、1つまたは複数の奇数鎖脂肪酸の投与後において増大する
場合がある。体内における奇数鎖脂肪酸のレベルが、1つまたは複数の超長偶数鎖脂肪酸
の投与後において増大する場合がある。
【0066】
[1つまたは複数の脂肪酸を含む医薬組成物]
脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはその塩もしくは誘
導体と、少なくとも1つの賦形剤とを含む配合物が提供される。様々な実施形態の化合物
を経口配合物で投与することが一般には好ましい;しかしながら、他の投与経路もまた意
図される。
【0067】
本明細書中に記載される医薬組成物は単独で被験体に投与することができ、あるいは、
併用療法の場合のように他の活性な薬剤と混合される組成物において、または、キャリア
、希釈剤、賦形剤もしくはそれらの組合せと混合される組成物において投与することがで
きる。配合は、選ばれる投与経路に依存している。本明細書中に記載される化合物の配合
および投与のための様々な技術が当業者には知られている(例えば、“Remingto
n:The Science and Practice of Pharmacy”、
Lippincott Williams&Wilkins、第20版(2003年6月
1日)、ならびに、“Remington’s Pharmaceutical Sci
ences”、Mack Pub.Co.、第18版および第19版(1985年12月
および1990年6月、それぞれ)を参照のこと)。
【0068】
本明細書中に開示される医薬組成物は、それ自体が知られているプロセスによって、例
えば、混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、封入、錠剤化または抽
出の従来のプロセスによって製造される場合がある。本明細書中に開示される薬学的組合
せにおいて使用される化合物の多くは、医薬的に許容され得る対イオンとの塩として提供
される場合がある。
【0069】
化合物を投与する多数の技術がこの技術分野には存在しており、これらには、経口送達
、直腸送達、局所的送達、エアロゾル送達、注入送達および非経口送達(筋肉内注射、皮
下注射、静脈内注射、髄内注射、クモ膜下腔内注射、直接的な脳室内注射、腹腔内注射、
鼻腔内注射および眼内注射を含む)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で
は、当業者には知られているであろうような前記方法または他の方法のどのような組合せ
も意図される(例えば、“Remington:The Science and Pr
actice of Pharmacy”、Lippincott Williams&
Wilkins、第20版(2003年6月1日)、ならびに、“Remington’
s Pharmaceutical Sciences”、Mack Pub.Co.、
第18版および第19版(1985年12月および1990年6月、それぞれ)を参照の
こと)。
【0070】
実際には、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはその塩
もしくは誘導体は、従来の医薬品配合技術に従って医薬用キャリアとの十分な混合で有効
成分として組み合わされる場合がある。キャリアは、投与のために所望される調製形態に
依存する広範囲の様々な形態を取ることができる。したがって、本明細書中に提供される
医薬組成物は、経口投与のために好適である個別の単位物で、それぞれが所定量の有効成
分を含有する個別の単位物(例えば、カプセル剤、カシェ剤または錠剤など)として提供
することができる。さらに、組成物は、油剤として、粉末剤として、顆粒剤として、溶液
剤として、水性液体における懸濁物として、非水性の液体剤として、水中油型エマルショ
ンとして、または油中水型の液体エマルションとして提供することができる。上記で示さ
れる一般的な投薬形態物に加えて、本明細書中に提供される化合物またはその医薬的に許
容され得る塩もしくは誘導体はまた、制御放出手段および/または送達デバイスによって
投与することができる。組成物は薬学の様々な方法のいずれかによって調製することがで
きる。一般に、そのような方法は、有効成分を、1つまたは複数の必要な成分を構成する
キャリアと連携させる工程を含む。一般に、組成物は、有効成分を液体キャリアまたは微
細に分割された固体キャリアまたは両者と均一かつ十分に混合することによって調製され
る。製造物はその後、所望される体裁に都合よく成形することができる。
【0071】
配合物はまた、全身的様式ではなく、むしろ、局所的様式で投与することができ、例え
ば、化合物を感染領域内に直接、多くの場合にはデポー配合物または持続放出配合物で注
入することにより投与することができる。さらには、標的化された薬物送達システムが、
例えば、組織特異的抗体で被覆されるリポソームにおいて使用されることがあるかもしれ
ない。
【0072】
医薬組成物は、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはそ
の塩もしくは誘導体を所望の治療効果のために効果的である量で含有する場合がある。い
くつかの実施形態において、医薬組成物は単位投薬形態物であり、単位投薬形態物あたり
約0.1mgまたはそれ以下から約5000mgまたはそれ以上までを含む。さらなる実
施形態において、医薬組成物は、単位投薬形態物あたり約1mg~約500mg、または
、単位投薬形態物あたり約500mg~約5000mgを含む。そのような投薬形態物は
、固体、半固体、液体、エマルションである場合があり、あるいは、吸入投与のためのエ
アロゾルなどによる送達のために適合化される場合がある。
【0073】
用いられる医薬用キャリアは、例えば、固体、液体または気体であることが可能である
。固体キャリアの例には、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペ
クチン、アカシアゴム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸が含まれる。液体
キャリアの例が、糖シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、低級アルコールおよび水であ
る。気体状キャリアの例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。
【0074】
本明細書中に提供される医薬組成物は、水における活性化合物(1つまたは複数)の溶
液または懸濁物として調製することができる。好適な界面活性剤を含むことができる(例
えば、ヒドロキシプロピルセルロースなど)。分散物もまた、グリセロール、液状ポリエ
チレングリコール、および、オイルにおけるそれらの混合物において調製することができ
る。さらに、防腐剤を、例えば、微生物の有害な成長を防止するために含むことができる
。
【0075】
注射可能な使用のために好適である本明細書中に提供される医薬組成物には、無菌の水
性の溶液または分散物が含まれる。さらには、組成物は、そのような無菌の注射可能な溶
液または分散物をその場で調製するための滅菌粉末の形態であることが可能である。医薬
組成物は製造および貯蔵の条件のもとで安定でなければならず、したがって、好ましくは
、微生物(例えば、細菌および真菌など)の汚染作用から保護されなければならない。キ
ャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレング
リコールおよび液状ポリエチレングリコール)、植物油およびそれらの好適な混合物を含
有する溶媒または分散媒体であることが可能である。
【0076】
上述のキャリア成分に加えて、上記で記載される医薬配合物は、1つまたは複数のさら
なるキャリア成分(例えば、希釈剤、緩衝剤、香味矯臭剤、バインダー、表面活性剤、増
粘剤、滑剤および保存剤(酸化防止剤を含む)など)を適宜含むことができる。さらには
、他の補助剤を、配合物を意図されたレシピエントの血液と等張性にするために含むこと
ができる。本明細書中に提供される化合物またはその医薬的に許容され得る塩あるいは誘
導体を含有する組成物はまた、希釈のための粉末形態または液体高濃度物形態で調製する
ことができる。
【0077】
脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはその塩もしくは誘
導体はリポソームとして配合することができる。脂肪酸はリポソームの脂質部分の成分と
することができ、またはリポソームの水性部分に閉じ込めることができる。脂肪酸(例え
ば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはその塩もしくは誘導体はまた、シ
クロデキストリンと共配合することができる。そのようなシクロデキストリンとして、例
えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテルシクロ
デキストリンを挙げることができる。
【0078】
本明細書中では、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)または
その塩もしくは誘導体を少なくとも1つのさらなる活性な薬剤との組合せで含む組成物が
意図される。脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはその塩
もしくは誘導体と、前記少なくとも1つのさらなる活性な薬剤とは、単一配合物において
、または一緒に提供される多数の配合物において存在する場合があり、あるいは配合され
ない場合がある(例えば、賦形剤およびキャリアを含まない場合がある)。いくつかの実
施形態において、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはそ
の塩もしくは誘導体は、単一組成物において一緒に1つまたは複数のさらなる薬剤ととも
に投与することができる。例えば、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪
酸など)またはその塩もしくは誘導体の化合物を1つの組成物において投与することがで
き、また、前記さらなる薬剤の少なくとも1つを第2の組成物において投与することがで
きる。さらなる実施形態において、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪
酸など)またはその塩もしくは誘導体と、前記少なくとも1つのさらなる活性な薬剤とが
、キットにおいて共包装される。例えば、薬物製造者、薬物再販売者、医師、調合薬局ま
たは薬剤師は、開示された化合物または製造物と、患者への送達のための別の成分とを含
むキットを提供することができる。
【0079】
本明細書中に記載されるいくつかの実施形態は、治療効果的な量の本明細書中に記載さ
れる1つまたは複数の化合物(例えば、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖
脂肪酸など)またはその医薬的に許容され得る塩もしくは誘導体)と、医薬的に許容され
得るキャリア、希釈剤、賦形剤またはそれらの組合せとを含むことができる医薬組成物に
関連する。医薬組成物は、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)
またはその塩もしくは誘導体を、例えば、組成物の1%超で、2%以上で、3%以上で、
4%以上で、5%以上で、6%以上で、7%以上で、8%以上で、9%以上で、10%以
上で、20%以上で、30%以上で、40%以上で、50%以上で、60%以上で、70
%以上で、80%以上で、90%以上で、95%以上で、または98%以上で含むことが
できる。いくつかの実施形態において、医薬組成物は、複数の脂肪酸(例えば、奇数鎖脂
肪酸および/または超長偶数鎖脂肪酸の1つまたは複数など)またはそれらの塩もしくは
誘導体を、例えば、組成物の1%超で、2%以上で、3%以上で、4%以上で、5%以上
で、6%以上で、7%以上で、8%以上で、9%以上で、10%以上で、20%以上で、
30%以上で、40%以上で、50%以上で、60%以上で、70%以上で、80%以上
で、90%以上で、95%以上で、または98%以上で含むことができる。
【0080】
超長偶数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体と、奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは
誘導体と、少なくとも1つの賦形剤とを含む配合物が提供される。一般には、様々な実施
形態の化合物を経口配合物で投与することが好ましい;しかしながら、本明細書中で示さ
れるように、他の投与経路もまた意図される。いくつかの実施形態において、医薬組成物
は、超長偶数鎖脂肪酸および奇数鎖脂肪酸またはそれらの塩もしくは誘導体を、例えば、
組成物の1%超で、2%以上で、3%以上で、4%以上で、5%以上で、6%以上で、7
%以上で、8%以上で、9%以上で、10%以上で、20%以上で、30%以上で、40
%以上で、50%以上で、60%以上で、70%以上で、80%以上で、90%以上で、
95%以上で、または98%以上で含むことができ、例えば、組成物の1%~98%で、
またはその間のどのような量であっても含むことができる。配合物に存在する奇数鎖脂肪
酸または塩もしくは誘導体の、超長偶数鎖脂肪酸または塩もしくは誘導体に対する、重量
基準での比率は、5:95、10:90、15:85、20:80、25:75、30:
70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、6
5:35、70:30、75:25、80:20、85:15、90:10、または95
:5であることが可能である。いくつかの実施形態において、配合物に存在する脂肪酸は
25%~75%の奇数鎖脂肪酸(1つまたは複数)またはその塩もしくは誘導体を含み、
残りが超長偶数鎖脂肪酸(1つまたは複数)またはその塩もしくは誘導体を含む。
【0081】
[食品]
脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)またはその塩もしくは誘
導体を含む食品および他の食料品が提供され、ただし、この場合、食品における脂肪酸の
量が強化されている(例えば、富化または濃縮されている)。本明細書中に提供される脂
肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)は、被験体によって消費され
るための食品に加えられる場合がある。脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖
脂肪酸など)は、食品の1つまたは複数の成分に組み入れられる場合がある。脂肪酸(例
えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)は成分として調理される場合があり、
または調理されない場合がある。上記化合物、または上記化合物を含む調理物が、調理前
に、調理期間中に、または調理後に加えられる場合がある。調理は、限定されないが、加
熱調理すること、混合すること、味付けすること、風味付けすること、ブレンドすること
、煮ること、油を使って調理すること、焼くこと、または、この技術分野で知られている
他のプロセスを含む場合がある。強化は好ましくは、本明細書中のどこか他のところで記
載されるような脂肪酸の治療的な1日投薬量を提供するようなレベルにおいてである;し
かしながら、有益な効果がまた、そのような投薬量よりも少ない量で得られる場合がある
。
【0082】
本明細書中に提供されるような脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸
など)またはその塩もしくは誘導体は、自然界で知られている様々なプロセスの操作によ
って、例えば、植物、動物、細菌または真菌の代謝プロセスを変化させることによって、
食品における構成成分として存在する場合がある。脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または
超長偶数鎖脂肪酸など)またはその塩もしくは誘導体の濃度を増大させるための、植物、
動物、細菌または真菌の遺伝的改変が意図される。例として、脂肪酸を、少なくとも約1
%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少な
くとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約
10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約
50%またはそれ以上の濃度で、例えば、1%~2%または3%または4%または5%ま
たは6%または7%または8%または9%または10%または20%または30%または
40%または50%の濃度で食品に存在させることが可能である。
【0083】
[適応症]
炎症および様々な炎症関連状態を処置するための組成物および方法が提供される。これ
らの状態には、下記のものが含まれるが、それらに限定されない:慢性疾患の貧血、イン
スリン抵抗性、メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾
患、心臓血管疾患、ガン、老化の様々な疾患、および神経変性疾患(アルツハイマー病お
よび他の形態の認知症を含む);メタボリックシンドロームおよび様々な随伴状態(II
型糖尿病、肥満、糖尿病前症、グルコース不耐性、妊娠糖尿病(GDM)、空腹時高血糖
(IFG)、損なわれたアディポネクチン産生、食後高血糖、脂質異常症、食後脂質異常
症、高脂血症、高トリグリセリド血症、ポスト高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性
、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非ア
ルコール性脂肪性肝炎(NASH)、低インスリン血症、脂肪肝疾患、上昇したグルコー
スレベル、上昇したインスリンレベル、上昇したLDL-コレステロールレベル、上昇し
たトリグリセリドレベル、低いHDL-コレステロールレベル、および代謝異常鉄過剰症
候群(DIOS)を含む);高フェリチン血症および様々な随伴状態(感染、新生物、慢
性炎症または急性炎症、自己免疫疾患、DIOSおよび他の鉄過剰症ならびに鉄貯蔵障害
、スティル病、特発性関節炎、血球貪食性リンパ組織球症、マクロファージ活性化症候群
、様々な肝臓状態(NAFLD、NASHおよび肝細胞ガンを含む)、慢性炎症の貧血、
および神経変性疾患(アルツハイマー病および他の形態の認知症を含む)を含む);なら
びに様々な貧血障害(これらには、溶血性貧血(これには、サラセミア、遺伝性球状赤血
球症、遺伝性楕円赤血球症、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症、ピルビン
酸キナーゼ欠損症、免疫溶血性貧血、同種免疫溶血性貧血、薬剤性溶血性貧血、機械的溶
血性貧血および発作性夜間ヘモグロビン尿症が含まれるが、これらに限定されない)、慢
性疾患の貧血(この場合、基礎状態として、例えば、自己免疫障害(例えば、クローン病
、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、乾癬、1型糖尿病、多発性硬化症および潰瘍
性大腸炎を挙げることができる)、ガンを含む新生物性障害(例えば、リンパ腫、ホジキ
ン病および肝細胞ガンなど)、長期感染症(例えば、細菌感染症、ウイルス感染症および
真菌感染症など)、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、ホジキン病、メタボリックシンドロー
ム、糖尿病(例えば、2型糖尿病)、および炎症の他の原因が含まれるが、これらに限定
されない)。
【0084】
老化は、時間とともに生じる生物における一連の形態学的変化および機能的変化を示す
。この用語はまた、生物がその最大生殖能に達した後で生物学的機能が低下することを示
す。炎症が、ミトコンドリアDNAに対する変異、および他のプロセスを介して老化に関
連づけられ得ると考えられている。
【0085】
神経変性状態(例えば、アルツハイマー病など)に罹患する被験体は、認知症が臨床的
に検出されるかなり前に炎症を呈する場合がある。アミロイドベータ(神経変性疾患の発
達に関係していると考えられるペプチド)が、ニューロン損傷を結果的には引き起こすこ
とがある炎症および付随したサイトカイン上昇に相関づけられる場合がある。炎症を軽減
することはまた、ニューロンをアミロイドベータの毒性から保護することをもたらす場合
がある。Schmidt他(2002)、Early inflammation an
d dementia:a 25-year follow-up of the Ho
nolulu-Asia aging study、Ann Neurol、52:16
8~174、および、Blasko他(2004)、How inflammation
can affect the brain and support the de
velopment of Alzheimer’s disease in old
age:the role of microglia and astrocytes
、Aging Cell、3:169~176を参照のこと。
【0086】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、神経変性
疾患の処置、予防、防止または維持のために指示される。これらの実施形態の変型におい
て、疾患はアルツハイマー病である。これらの実施形態のさらなる変型において、疾患は
パーキンソン病である。これらの実施形態のさらにさらなる変形において、疾患はハンチ
ントン病または筋萎縮性側索硬化症である。ある特定の実施形態において、本明細書中に
提供される組成物または方法はアミロイド斑を減少させることができる。
【0087】
炎症が、溶血、および慢性疾患の貧血の一因となる場合がある。理論によって限定され
ることを望まないが、炎症からのサイトカインにさらされる赤血球(RBC)は、促進さ
れた食作用を受けると考えられている。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供
される組成物および方法は、慢性疾患の貧血の処置、予防、防止または維持のために指示
される。
【0088】
理論によって限定されることを望まないが、奇数鎖飽和脂肪酸リン脂質レベルを血清、
血漿および細胞において増大させることにより、炎症が縮小し得ると考えられている。得
られたより高い血清コレステロールエステルまたはリン脂質奇数鎖飽和脂肪酸により独立
して、より低度の炎症が予測される。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は、高フェリ
チン血症または高フェリチン血症関連状態の処置、予防、防止または維持のために指示さ
れる。
【0090】
フェリチンは、重要な細胞内鉄貯蔵タンパク質である。フェリチンは、代謝要求のため
の利用可能な鉄源を提供すると考えられている。体内の鉄が、循環RBCにおけるヘモグ
ロビン、発達中の赤芽球、鉄含有タンパク質、輸送中の結合鉄、フェリチン、およびヘモ
シデリンにおいて見出され得る。平均的な成人の全身鉄含有量は数グラムの程度である。
【0091】
高フェリチン血症は、高レベルの血清フェリチンを伴う血液状態である。高いフェリチ
ンは鉄過剰症のマーカーとなり得る。しかしながら、高フェリチン血症にはまた、感染、
新生物、慢性炎症または急性炎症、スティル病、特発性関節炎、血球貪食性リンパ組織球
症、自己免疫疾患、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、マクロファージ活性化症候
群、様々な肝臓状態(NAFLD、NASHおよび肝細胞ガンを含む)、慢性炎症の貧血
、および神経変性疾患(アルツハイマー病および他の形態の認知症を含む)を含めて様々
な全身状態が伴う。上昇したフェリチンにはまた、様々な炎症状態が伴い、上昇したフェ
リチンは急性期反応物質であると見なすことができる。上昇したフェリチンが伴う炎症状
態には、全身性エリテマトーデス、多発血管炎性肉芽腫症、関節リウマチ、心膜炎を伴う
強皮症、炎症性腸疾患および移植片対宿主病が含まれる。上昇したフェリチンが伴う肝臓
状態には、肝硬変(例えば、非アルコール性脂肪性肝炎または原発性胆汁性肝硬変に起因
する肝硬変)、自己免疫性肝炎、移植片対宿主病、一過性の低血圧に起因する肝不全、毒
物摂取、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、ウイルス性肝炎および急性肝
傷害が含まれる。一部の状況では、高フェリチン血症は、明白な原因を有しない場合があ
る。
【0092】
貧血状態が、正色素性であるとして分類されることがあり、これは一般には、RBCに
おけるヘモグロビンの濃度が病理学的ではなく、不十分な数のRBCが存在する貧血状態
であると理解される。貧血状態が、正球性であるとして分類されることがあり、これは一
般には、RBCがサイズにおいて異常でない貧血状態であると理解される。正球性、正色
素性の貧血には、慢性疾患の貧血(ACD)および溶血性貧血が含まれる。
【0093】
RBCが、老化に起因して循環から除かれることがある。理論によってとらわれること
を望まないが、RBCは、代謝活性における低下、進行性の細胞形状変形、膜再構成、酸
化損傷、微小胞形成、および表面除去マーカーの露出を含み得る様々な年齢依存的変化を
受ける。これらの変容により、赤血球が破壊されるマクロファージによる食作用が誘発さ
れる場合がある。プロテアーゼのカルパインが、細胞質カルシウムの増大によって誘発さ
れ得るプロセスにおいて活性化され得ると考えられている。RBC破壊の上昇した速度に
より、貧血状態が引き起こされる場合がある。
【0094】
慢性疾患の貧血(ACD)は、炎症の貧血および炎症性貧血とも呼ばれており、慢性的
な基礎状態に伴う貧血である。基礎状態は、骨髄における赤血球の生成を抑制する場合が
あり、赤血球の寿命を縮める場合があり、または、身体がどのように鉄を使用するかに関
して様々な問題を生じさせる場合がある。一般には、ACDが、軽度の症状を伴って、ま
たは症状を何ら伴うことなく、ゆっくり発達し、現れる。
【0095】
炎症が、ACDの病理発生において役割を果たしている場合がある。理論によってとら
われることを望まないが、多くの慢性疾患において存在する炎症性サイトカインが、赤血
球生成を低下させること、および、老化細胞の成熟前分解を惹起させることの両方を生じ
させるので、貧血を引き起こしていると考えられている。したがって、細網内皮系のサイ
トカインおよび細胞が、鉄の恒常性、赤血球系始原体細胞の生成、エリスロポエチンの産
生およびRBCの寿命(これらのそれぞれが貧血状態の一因であり得る)に影響を及ぼし
ている。さらに、ACDには、身体における鉄の恒常性異常が伴う場合がある。細網内皮
系の細胞の内部おける鉄の増大した取り込みおよび保持が認められる場合がある。ACD
を有する被験体では、フェリチンのレベルが上昇している場合がある。
【0096】
本明細書中に提供されるいくつかの実施形態において、被験体はイルカである場合があ
る;しかしながら、これらの実施形態の方法、使用および組成物はヒトに適用されること
が一般には意図される。ヒト被験体と同様に、バンドウイルカ(Tursiops tr
uncatus)被験体もまた、貧血に、また、高いインスリン、グルコース、トリグリ
セリド、脂肪肝疾患および鉄過剰症を含めてメタボリックシンドロームになりやすいと考
えられ得る。イルカにおける鉄過剰症は、主に肝臓のクッパー細胞における過度な鉄沈着
が関与するので、年齢とともに進行性であり得るし、これには、上昇したインスリン、脂
質および肝臓酵素が伴い得る。この疾患には、HFE遺伝子における変異または研究され
た急性期タンパク質における増大のどちらもが伴わない。ヒトと同様に、イルカにおける
鉄過剰症は、従来は静脈切開により処置されており、反復した処置が、血清フェリチンの
再発する上昇のために生涯を通して必要とされる。イルカにおける鉄過剰症および高フェ
リチン血症の根本的原因は不明である。
【0097】
いくつかの実施形態において、処置される状態は炎症である。
【0098】
いくつかの実施形態において、処置される状態は、本明細書中に示されるマーカーによ
って示されるような炎症である。
【0099】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法により、炎症要素のマーカ
ーが、前記マーカーが臨床的徴候をもたらしているときには調節される。
【0100】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は炎症の症状を緩和する。
【0101】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は炎症の危険性を軽減させ
る。
【0102】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、血清中、血漿中または
赤血球膜中の奇数鎖脂肪酸のレベルを増大させる。
【0103】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、血清中、血漿中または
赤血球膜中の超長偶数鎖脂肪酸のレベルを増大させる。さらなる実施形態において、血清
中、血漿中または赤血球膜中の超長偶数鎖脂肪酸のレベルが、1つまたは複数の奇数鎖脂
肪酸またはその塩もしくは誘導体の投与の後において増大する場合がある。
【0104】
いくつかの実施形態において、処置される状態は慢性疾患の貧血である。
【0105】
いくつかの実施形態において、処置される状態は自己免疫疾患である。
【0106】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は血清中の超長偶数鎖脂肪
酸のレベルを増大させる。
【0107】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物および方法は炎症のマー
カーを調節する。ある特定の実施形態において、マーカーは、血清中、血漿中または赤血
球膜中の奇数鎖脂肪酸割合、奇数鎖脂肪酸の血清中濃度、血漿中濃度または赤血球膜中濃
度、血清中、血漿中または赤血球膜中の総奇数鎖脂肪酸、赤血球沈降速度、アルカリホス
ファターゼ、血清フェリチン、CRP(C反応性タンパク質)、IL-6およびTNFα
(ならびにインスリン抵抗性に伴う他のサイトカイン)、c-Jun N末端キナーゼ(
JNK)、ATM(血管拡張性失調症変異)または単球走化性タンパク質-1である。い
くつかの実施形態において、奇数鎖脂肪酸が、糖脂質の構成成分として測定される。さら
なる実施形態において、奇数鎖脂肪酸が、リン脂質の構成成分として測定される。さらに
さらなる実施形態において、マーカーは、血清中または赤血球膜中の超長偶数鎖脂肪酸割
合、超長偶数鎖脂肪酸の血清中濃度、血清中の総超長偶数鎖脂肪酸である。
【0108】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、炎症のマーカーの濃度
を測定する工程を含む。当業者は、本明細書中に記載される様々な方法(これらに限定さ
れない)を含めて、そのような測定のための様々な好適な方法を行うことができるであろ
う。
【0109】
本明細書中には、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)の所与
の用量を所定の間隔で、または被験体の裁量に委ねられる間隔で投与する工程を含む処置
方法が提供される。
【0110】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中、
血漿中または赤血球膜中の全脂肪酸に対する奇数鎖脂肪酸の血清中、血漿中または赤血球
膜中の閾値割合をそれぞれもたらす場合がある。例えば、閾値の値が、約0.05%また
はそれ以下から90%またはそれ以上までの値である場合があり、例えば、少なくとも約
0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少
なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.
7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0%、少なくと
も約1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、
少なくとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1
.8%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なく
とも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%
、少なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約
3.0%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4.0%、少なくとも約4.5%、少な
くとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約
9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約2
5%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約4
5%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約8
0%、少なくとも約90%、または90%超の値である場合がある。
【0111】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、奇数鎖脂
肪酸の血清中もしくは血漿中の濃度または奇数鎖脂肪酸の赤血球膜中濃度におけるベース
ライン値(例えば、処置されている患者における処置前の値、または、特定の患者集団に
おいて認められる一般的な値)を超える増大をもたらす場合がある。例えば、血清中もし
くは血漿中の奇数鎖脂肪酸または奇数鎖脂肪酸の赤血球膜中濃度が、少なくとも約1μg
/mlだけ、少なくとも約2μg/mlだけ、少なくとも約3μg/mlだけ、少なくと
も約4μg/mlだけ、少なくとも約5μg/mlだけ、少なくとも約6μg/mlだけ
、少なくとも約7μg/mlだけ、少なくとも約8μg/mlだけ、少なくとも約9μg
/mlだけ、少なくとも約10μg/mlだけ、少なくとも約15μg/mlだけ、少な
くとも約20μg/mlだけ、少なくとも約25μg/mlだけ、少なくとも約30μg
/mlだけ、少なくとも約35μg/mlだけ、少なくとも約40μg/mlだけ、少な
くとも約45μg/mlだけ、少なくとも約50μg/mlだけ、または50μg/ml
超だけ増大させられる場合がある。いくつかの実施形態において、奇数鎖脂肪酸の血清中
濃度または奇数鎖脂肪酸の赤血球膜中濃度が、ベースライン値(例えば、処置されている
患者における処置前の値、または、特定の患者集団において認められる一般的な値)より
も少なくとも約0.01×10-4Mだけ、少なくとも約0.05×10-4Mだけ、少
なくとも約0.1×10-4Mだけ、少なくとも約0.2×10-4Mだけ、少なくとも
約0.3×10-4Mだけ、少なくとも約0.4×10-4Mだけ、少なくとも約0.5
×10-4Mだけ、少なくとも約0.6×10-4Mだけ、少なくとも約0.7×10-
4Mだけ、少なくとも約0.8×10-4Mだけ、少なくとも約0.9×10-4Mだけ
、少なくとも約1×10-4Mだけ、少なくとも約2×10-4Mだけ、または少なくと
も約3×10-4Mだけ増大する場合がある。
【0112】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中も
しくは血漿中の総奇数鎖脂肪酸または赤血球膜中の総奇数鎖脂肪酸における増大をもたら
す場合がある。例えば、血清中の総奇数鎖脂肪酸または赤血球膜中の総奇数鎖脂肪酸が、
ベースライン値(例えば、処置されている患者における処置前の値、または、特定の患者
集団において認められる一般的な値)よりも少なくとも約5μg/mlだけ、少なくとも
約6μg/mlだけ、少なくとも約7μg/mlだけ、少なくとも約8μg/mlだけ、
少なくとも約9μg/mlだけ、少なくとも約10μg/mlだけ、少なくとも約15μ
g/mlだけ、少なくとも約20μg/mlだけ、少なくとも約25μg/mlだけ、少
なくとも約30μg/mlだけ、少なくとも約35μg/mlだけ、少なくとも約40μ
g/mlだけ、少なくとも約45μg/mlだけ、少なくとも約50μg/mlだけ、少
なくとも約60μg/mlだけ、少なくとも約70μg/mlだけ、少なくとも約80μ
g/mlだけ、少なくとも約90μg/mlだけ、少なくとも約100μg/mlだけ、
少なくとも約150μg/mlだけ、少なくとも約200μg/mlだけ、少なくとも約
250μg/mlだけ、少なくとも約300μg/mlだけ、少なくとも約350μg/
mlだけ、少なくとも約400μg/mlだけ、少なくとも約450μg/mlだけ、少
なくとも約500μg/mlだけ、または500μg/ml超だけ増大させられる場合が
ある。
【0113】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中ま
たは赤血球膜中の全脂肪酸に対する血清中、血漿中または赤血球膜中の奇数鎖脂肪酸にお
けるベースライン値(例えば、処置されている患者における処置前の値、または、特定の
患者集団において認められる一般的な値)を超える増大をそれぞれもたらす場合がある。
例えば、血清中、血漿中または赤血球膜中の奇数鎖脂肪酸が、ベースライン値(例えば、
処置されている患者における処置前の値、または、特定の患者集団において認められる一
般的な値)よりも少なくとも約0.01%だけ、少なくとも約0.05%だけ、少なくと
も約0.1%だけ、少なくとも約0.2%だけ、少なくとも約0.3%だけ、少なくとも
約0.4%だけ、少なくとも約0.5%だけ、少なくとも約0.6%だけ、少なくとも約
0.7%だけ、少なくとも約0.8%だけ、少なくとも約0.9%だけ、少なくとも約1
%だけ、少なくとも約1.1%だけ、少なくとも約1.2%だけ、少なくとも約1.3%
だけ、少なくとも約1.4%だけ、少なくとも約1.5%だけ、少なくとも約1.6%だ
け、少なくとも約1.7%だけ、少なくとも約1.8%だけ、少なくとも約1.9%だけ
、少なくとも約2%だけ、少なくとも約2.1%だけ、少なくとも約2.2%だけ、少な
くとも約2.3%だけ、少なくとも約2.4%だけ、少なくとも約2.5%だけ、少なく
とも約2.6%だけ、少なくとも約2.7%だけ、少なくとも約2.8%だけ、少なくと
も約2.9%だけ、少なくとも約3%だけ、少なくとも約3.5%だけ、少なくとも約4
%だけ、少なくとも約4.5%だけ、少なくとも約5%だけ、または5%超だけ増大させ
られる場合がある。
【0114】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、上昇した
赤血球沈降速度における低下をもたらす場合がある。
【0115】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、上昇した
アルカリホスファターゼにおける低下をもたらす場合がある。
【0116】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清フェ
リチンにおける低下をもたらす場合がある。例えば、血清フェリチンが、ベースライン値
(例えば、処置されている患者における処置前の値、または、特定の患者集団において認
められる一般的な値)よりも少なくとも約10ng/mlだけ、少なくとも約100ng
/mlだけ、少なくとも約200ng/mlだけ、少なくとも約300ng/mlだけ、
少なくとも約400ng/mlだけ、少なくとも約500ng/mlだけ、少なくとも約
600ng/mlだけ、少なくとも約700ng/mlだけ、少なくとも約800ng/
mlだけ、少なくとも約900ng/mlだけ、少なくとも約1000ng/mlだけ、
少なくとも約1100ng/mlだけ、少なくとも約1200ng/mlだけ、少なくと
も約1300ng/mlだけ、少なくとも約1400ng/mlだけ、少なくとも約15
00ng/mlだけ、少なくとも約2000ng/mlだけ、少なくとも約2500ng
/mlだけ、少なくとも約3000ng/mlだけ、少なくとも約3500ng/mlだ
け、少なくとも約4000ng/mlだけ、少なくとも約4500ng/mlだけ、少な
くとも約5000ng/mlだけ、少なくとも約6000ng/mlだけ、少なくとも約
7000ng/mlだけ、少なくとも約8000ng/mlだけ、少なくとも約9000
ng/mlだけ、少なくとも約10000ng/mlだけ、または10000ng/ml
超だけ低下させられる場合がある。
【0117】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、指定のレ
ベルを下回る血清フェリチンにおける低下をもたらす場合がある。例えば、血清フェリチ
ンが、約20000ng/ml未満に、約15000ng/ml未満に、約12000n
g/ml未満に、約10000ng/ml未満に、約8000ng/ml未満に、約50
00ng/ml未満に、約2000ng/ml未満に、約1000ng/ml未満に、ま
たは約500ng未満に低下させられる場合がある。
【0118】
いくつかの実施形態において、奇数鎖脂肪酸が、当該奇数鎖脂肪酸またはすべての奇数
鎖脂肪酸の血清中または血漿中の総パーセントを、所定の閾値の値を超えて維持するため
に投与される。これらの実施形態の様々な変形において、奇数鎖脂肪酸はヘプタデカン酸
である。さらなる変形において、奇数鎖脂肪酸が、当該奇数鎖脂肪酸またはすべての奇数
鎖脂肪酸の血清リン脂質パーセントを、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4
%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.2
%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、約2%、約2.2%、2.4%または2.6
%を超えて維持するために投与される。
【0119】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中ま
たは赤血球膜中の全脂肪酸に対する超長偶数鎖脂肪酸の血清中、血漿中または赤血球膜中
の閾値割合をそれぞれもたらす場合がある。例えば、閾値の値が、約0.05%またはそ
れ以下から90%またはそれ以上までの値である場合があり、例えば、少なくとも約0.
05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なく
とも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%
、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0%、少なくとも約
1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、少な
くとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1.8
%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも
約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%、少
なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約3.
0%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4.0%、少なくとも約4.5%、少なくと
も約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%
、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%
、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%
、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%
、少なくとも約90%、または90%超の値である場合がある。
【0120】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、超長偶数
鎖脂肪酸の血清中もしくは血漿中の濃度または超長偶数鎖脂肪酸の赤血球膜中濃度におけ
るベースライン値(例えば、処置されている患者における処置前の値、または、特定の患
者集団において認められる一般的な値)を超える増大をもたらす場合がある。例えば、血
清中の超長偶数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸の赤血球膜中濃度が、少なくとも約0.
01μg/mlだけ、少なくとも約0.05μg/mlだけ、少なくとも約0.1μg/
mlだけ、少なくとも約0.4μg/mlだけ、少なくとも約1μg/mlだけ、少なく
とも約2μg/mlだけ、少なくとも約3μg/mlだけ、少なくとも約4μg/mlだ
け、少なくとも約5μg/mlだけ、少なくとも約6μg/mlだけ、少なくとも約7μ
g/mlだけ、少なくとも約8μg/mlだけ、少なくとも約9μg/mlだけ、少なく
とも約10μg/mlだけ、少なくとも約15μg/mlだけ、少なくとも約20μg/
mlだけ、少なくとも約25μg/mlだけ、少なくとも約30μg/mlだけ、少なく
とも約35μg/mlだけ、少なくとも約40μg/mlだけ、少なくとも約45μg/
mlだけ、少なくとも約50μg/mlだけ、または50μg/ml超だけ増大させられ
る場合がある。いくつかの実施形態において、超長偶数鎖脂肪酸の血清中濃度または超長
偶数鎖脂肪酸の赤血球膜中濃度が、ベースライン値(例えば、処置されている患者におけ
る処置前の値、または、特定の患者集団において認められる一般的な値)よりも少なくと
も約0.001×10-4Mだけ、少なくとも約0.005×10-4Mだけ、少なくと
も約0.05×10-4Mだけ、少なくとも約0.01×10-4Mだけ、少なくとも約
0.05×10-4Mだけ、少なくとも約0.1×10-4Mだけ、少なくとも約0.2
×10-4Mだけ、少なくとも約0.3×10-4Mだけ、少なくとも約0.4×10-
4Mだけ、少なくとも約0.5×10-4Mだけ、少なくとも約0.6×10-4Mだけ
、少なくとも約0.7×10-4Mだけ、少なくとも約0.8×10-4Mだけ、少なく
とも約0.9×10-4Mだけ、少なくとも約1×10-4Mだけ、少なくとも約2×1
0-4Mだけ、または少なくとも約3×10-4Mだけ増大する場合がある。
【0121】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中も
しくは血漿中の総超長偶数鎖脂肪酸または赤血球膜中の総超長偶数鎖脂肪酸における増大
をもたらす場合がある。例えば、血清中の総超長偶数鎖脂肪酸または赤血球膜中の総超長
偶数鎖脂肪酸が、ベースライン値(例えば、処置されている患者における処置前の値、ま
たは、特定の患者集団において認められる一般的な値)よりも少なくとも約0.05μg
/mlだけ、少なくとも約0.1μg/mlだけ、少なくとも約0.5μg/mlだけ、
少なくとも約1μg/mlだけ、少なくとも約5μg/mlだけ、少なくとも約6μg/
mlだけ、少なくとも約7μg/mlだけ、少なくとも約8μg/mlだけ、少なくとも
約9μg/mlだけ、少なくとも約10μg/mlだけ、少なくとも約15μg/mlだ
け、少なくとも約20μg/mlだけ、少なくとも約25μg/mlだけ、少なくとも約
30μg/mlだけ、少なくとも約35μg/mlだけ、少なくとも約40μg/mlだ
け、少なくとも約45μg/mlだけ、少なくとも約50μg/mlだけ、少なくとも約
60μg/mlだけ、少なくとも約70μg/mlだけ、少なくとも約80μg/mlだ
け、少なくとも約90μg/mlだけ、少なくとも約100μg/mlだけ、少なくとも
約150μg/mlだけ、少なくとも約200μg/mlだけ、少なくとも約250μg
/mlだけ、少なくとも約300μg/mlだけ、少なくとも約350μg/mlだけ、
少なくとも約400μg/mlだけ、少なくとも約450μg/mlだけ、少なくとも約
500μg/mlだけ、または500μg/ml超だけ増大させられる場合がある。
【0122】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、血清中、
血漿中または赤血球膜中の全脂肪酸に対する血清中、血漿中または赤血球膜中の超長偶数
鎖脂肪酸におけるベースライン値(例えば、処置されている患者における処置前の値、ま
たは、特定の患者集団において認められる一般的な値)を超える増大をそれぞれもたらす
場合がある。例えば、血清中または赤血球膜中の超長偶数鎖脂肪酸が、ベースライン値(
例えば、処置されている患者における処置前の値、または、特定の患者集団において認め
られる一般的な値)よりも少なくとも約0.01%だけ、少なくとも約0.05%だけ、
少なくとも約0.1%だけ、少なくとも約0.2%だけ、少なくとも約0.3%だけ、少
なくとも約0.4%だけ、少なくとも約0.5%だけ、少なくとも約0.6%だけ、少な
くとも約0.7%だけ、少なくとも約0.8%だけ、少なくとも約0.9%だけ、少なく
とも約1%だけ、少なくとも約1.1%だけ、少なくとも約1.2%だけ、少なくとも約
1.3%だけ、少なくとも約1.4%だけ、少なくとも約1.5%だけ、少なくとも約1
.6%だけ、少なくとも約1.7%だけ、少なくとも約1.8%だけ、少なくとも約1.
9%だけ、少なくとも約2%だけ、少なくとも約2.1%だけ、少なくとも約2.2%だ
け、少なくとも約2.3%だけ、少なくとも約2.4%だけ、少なくとも約2.5%だけ
、少なくとも約2.6%だけ、少なくとも約2.7%だけ、少なくとも約2.8%だけ、
少なくとも約2.9%だけ、少なくとも約3%だけ、少なくとも約3.5%だけ、少なく
とも約4%だけ、少なくとも約4.5%だけ、少なくとも約5%だけ、または5%超だけ
増大させられる場合がある。
【0123】
いくつかの実施形態において、超長偶数鎖脂肪酸が、当該超長偶数鎖脂肪酸またはすべ
ての超長偶数鎖脂肪酸の血清リン脂質パーセントまたは血漿リン脂質パーセントを、所定
の閾値の値を超えて維持するために投与される。これらの実施形態の様々な変形において
、超長偶数鎖脂肪酸はベヘン酸である。さらなる変形において、超長偶数鎖脂肪酸が、当
該超長偶数鎖脂肪酸またはすべての超長偶数鎖脂肪酸の血清リン脂質パーセントを、約0
.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、
約0.8%、約0.9%、約1%、約1.2%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、
約2%、約2.2%、2.4%または2.6%を超えて維持するために投与される。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される組成物または方法は赤血球数に
おける増大をもたらす場合がある。例えば、赤血球数のレベルが、ベースライン値(例え
ば、処置されている患者における処置前の値、または、特定の患者集団において認められ
る一般的な値)よりも少なくとも約0.1細胞/μLだけ、少なくとも約0.2細胞/μ
Lだけ、少なくとも約0.3細胞/μLだけ、少なくとも約0.4細胞/μLだけ、少な
くとも約0.5細胞/μLだけ、少なくとも約0.6細胞/μLだけ、少なくとも約0.
7細胞/μLだけ、少なくとも約0.8細胞/μLだけ、少なくとも約0.9細胞/μL
だけ、少なくとも約1細胞/μLだけ、少なくとも約1.2細胞/μLだけ、少なくとも
約1.4細胞/μLだけ、少なくとも約1.6細胞/μLだけ、または少なくとも約2細
胞/μLだけ増大させられる場合がある。
【0125】
[併用療法]
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示される化合物(例えば、奇数鎖脂肪酸
またはその塩もしくは誘導体、あるいは、超長偶数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体
など)、あるいは、本明細書中に記載される化合物またはその塩もしくは誘導体を含む医
薬組成物は、1つまたは複数のさらなる活性な薬剤との組合せで使用される場合がある。
奇数鎖脂肪酸もしくは超長偶数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体の化合物との組合せ
で、あるいは、奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体、超長偶数鎖脂肪酸またはその
塩もしくは誘導体の化合物を含む組成物との組合せで使用することができるさらなる活性
な薬剤の例には、本明細書中に示される様々な状態を処置するために現在使用されている
薬剤、および、そうでない場合には医療科学界に知られているような薬剤が含まれるが、
これらに限定されない。
【0126】
いくつかの実施形態において、奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体、超長偶数鎖
脂肪酸またはその塩もしくは誘導体の化合物、あるいは、奇数鎖脂肪酸またはその塩もし
くは誘導体、超長偶数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体の化合物を含む組成物は、本
明細書中に記載される1つ、2つ、3つまたはそれ以上のさらなる活性な薬剤と一緒に使
用することができる。そのような薬剤には、第2の脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または
超長偶数鎖脂肪酸など)またはその塩もしくは誘導体が含まれるが、これらに限定されな
い。いくつかの実施形態において、組成物は、少なくとも1つの奇数鎖脂肪酸またはその
塩もしくは誘導体と、少なくとも1つの超長偶数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体と
を含むことができる。
【0127】
いくつかの実施形態において、奇数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体、超長偶数鎖
脂肪酸またはその塩もしくは誘導体の化合物、あるいは、奇数鎖脂肪酸またはその塩もし
くは誘導体、超長偶数鎖脂肪酸またはその塩もしくは誘導体の化合物を含む組成物は、メ
タボリックシンドローム、高フェリチン血症、炎症、酸化ストレスの状態または貧血状態
を含めて本明細書中に示される状態の処置、防止、維持または予防のための、あるいは当
該状態のマーカーの調節のための別の薬剤(1つまたは複数)との組合せで使用すること
ができる(例えば、投与することができる、または摂取することができる)。
いくつかの実施形態において、前記状態は、溶血性貧血(これには、サラセミア、遺伝
性球状赤血球症、遺伝性楕円赤血球症、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症
、ピルビン酸キナーゼ欠損症、免疫溶血性貧血、同種免疫溶血性貧血、薬剤性溶血性貧血
、機械的溶血性貧血および発作性夜間ヘモグロビン尿症が含まれるが、これらに限定され
ない)、慢性疾患の貧血(この場合、基礎状態として、例えば、自己免疫障害(例えば、
クローン病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、1型糖尿病および潰瘍性大腸炎な
ど)、ガンを含む新生物性障害(例えば、リンパ腫およびホジキン病など)、長期感染症
(例えば、細菌感染症、ウイルス感染症および真菌感染症など)、関節リウマチ、潰瘍性
大腸炎、ホジキン病、メタボリックシンドローム、糖尿病(例えば、2型糖尿病)、およ
び慢性炎症の他の原因を挙げることができる)、貧血、再生不良性貧血(これには、先天
性形成不良性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血およびファンコーニ貧血が含まれ
るが、これらに限定されない)、鉄欠乏性貧血、異常なRBCサイズの貧血(これには、
巨赤芽球性貧血および小球性貧血が含まれるが、これらに限定されない)、ビタミン欠乏
性貧血(これには、悪性貧血が含まれるが、これに限定されない)、RBC変異の貧血(
これには、サラセミア、鉄芽球性貧血および鎌状赤血球貧血が含まれるが、これらに限定
されない)でありうる。例えば、本明細書中に開示される脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸
または超長偶数鎖脂肪酸など)の化合物は、鉄キレーター、アルビグルチド、アレグリタ
ザル、バラグリタゾン、カナグリフロジン、CJ-30001(CJ Cheiljed
ang Corporation)、CJ-30002(CJ Cheiljedang
Corporation)、Diamyd(登録商標)(グルタミン酸デカルボキシラ
ーゼ(rhGAD65))、デュラグルチド、エキセンジン4、ゲミグリプチン(gem
igliptin)、リキシセナチド、ロベグリタゾン(lobeglitazone)
、シェンケ(shengke)I(Tibet Pharmaceuticals)、S
K-0403(Sanwa Kagaku Kenkyusho)、テネリグリプチン、
テプリズマブ、トホグリフロジン、アカルボース、アログリプチン安息香酸塩、クロルプ
ロパミド、Diab II(Biotech Holdings)、エキセナチド、グリ
ベンクラミド、グリクラジド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリセンチド(
glisentide)、グリソラミド(glisolamide)、HL-002(H
anAII Biopharma)、インスリン(ヒト)、インスリン、インスリンアナ
ログ(Eli Lilly(登録商標))、インスリンアスパルト、インスリンデテミル
、インスリングラルギン、インスリンリスプロ、Janumet(登録商標)、リナグリ
プチン、リラグルチド、メトホルミン、ミグリトール、ミチグリニド、ナテグリニド、N
ovo Mix 30(登録商標)(Novo Nordisk(登録商標))、ピオグ
リタゾン、プラムリンチド、レパグリニド、ロシグリタゾンマレイン酸塩、サクサグリプ
チン、シタグリプチン、Tresiba、トラザミド、トルブタミド、ビルダグリプチン
、ボグリボース、ベザフィブラート、ジフルニサル、ケイ皮酸、カルブタミド、グリブリ
ド(グリベンクラミド)、グリボルヌリド、グリヘキサミド(glyhexamide)
、フェンブタミド(phenbutamide)およびトルシクラミドから選択される1
つまたは複数の薬剤との組合せで使用することができ、あるいは、スルホニルウレア類、
非スルホニルウレア系分泌促進物質、グルカゴン様ペプチド、エキセンジン-4ポリペプ
チド、ベータ3アドレナリン受容体アゴニスト、PPARアゴニスト、ジペプチジルペプ
チダーゼIV阻害剤、ビグアニド類、アルファ-グルコシダーゼ阻害剤、免疫調節剤、ス
タチン類およびスタチン含有組合せ剤、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アデノシンA
1受容体アゴニスト、アデノシンA2受容体アゴニスト、アルドステロンアンタゴニスト
、アルファ1アドレナリン受容体アンタゴニスト、アルファ2アドレナリン受容体アンタ
ゴニスト、アルファ2アドレナリン受容体アゴニスト、アンギオテンシン受容体アンタゴ
ニスト、抗酸化剤、ATPアーゼ阻害剤、心房性ペプチドアゴニスト、ベータアドレナリ
ン受容体アンタゴニスト、カルシウムチャネルアゴニスト、カルシウムチャネルアンタゴ
ニスト、ジグアニド類、利尿剤、ドパミンD1受容体アゴニスト、エンドペプチダーゼ阻
害剤、エンドセリン受容体アンタゴニスト、グアニル酸シクラーゼ刺激剤、ホスホジデリ
バチベアーゼ(phosphodiderivativease)V阻害剤、プロテイン
キナーゼ阻害剤、Cdc2キナーゼ阻害剤、レニン阻害剤、トロンボキサンシンターゼ阻
害剤、バソペプチダーゼ阻害剤、バソプレシンIアンタゴニスト、バソプレシン2アンタ
ゴニスト、血管形成阻害剤、終末糖化産物阻害剤、胆汁酸結合剤、胆汁酸輸送阻害剤、骨
形成刺激剤、アポリポタンパク質A1アゴニスト、DNAトポイソメラーゼ阻害剤、コレ
ステロール吸収阻害剤、コレステロールアンタゴニスト、コルデリバチベイル(chol
derivativeyl)誘導体輸送タンパク質アンタゴニスト、サイトカイン合成阻
害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤、ドパミンD2受容体アゴニスト、エンドセリン受容体
アンタゴニスト、成長ホルモンアンタゴニスト、インスリン感受性改善薬、リパーゼ阻害
剤、脂質過酸化阻害剤、リポタンパク質Aアンタゴニスト、ミクロソーム輸送タンパク質
阻害剤、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤、一酸化窒素シンターゼ阻害
剤、酸化剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、ラジカル形成アゴニスト、血小板凝集アンタゴ
ニスト、プロスタグランジンシンターゼ刺激剤、コレステロール逆輸送活性化因子、rh
oキナーゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体調節剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤
、スクアレンシンターゼ阻害剤、トロンボキサンA2アンタゴニスト、アミリンアゴニス
ト、カンナビノイド受容体アンタゴニスト、コレシストキニンAアゴニスト、副腎皮質刺
激ホルモン放出因子アゴニスト、ドパミン取り込み阻害剤、Gタンパク質共役受容体調節
剤、グルタミン酸アンタゴニスト、グルカゴン様ペプチド-1アゴニストリパーゼ阻害剤
、メラニン凝集ホルモン受容体アンタゴニスト、神経成長因子アゴニスト、ニューロペプ
チドYアゴニスト、ニューロペプチドYアンタゴニスト、SNRI類、タンパク質チロシ
ンホスファターゼ阻害剤、セロトニン2C受容体アゴニストを含む部類の薬剤から選択さ
れる1つまたは複数の薬剤とともに使用することができ、あるいは、他の薬剤とともに、
例えば、神経伝達物質もしくは神経イオンチャネルに影響を及ぼす中枢神経系剤(これに
は、抗うつ剤(ブプロピオン)、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(GW320659
)、選択的セロトニン2c受容体アゴニスト、選択的5HT2c受容体アゴニスト、抗痙
攣剤(トピラマート、ゾニサミド)、ドパミンアンタゴニスト、カンナビノイド-1受容
体アンタゴニスト(CB-1受容体アンタゴニスト)(リモナバン)が含まれる);レプ
チン/インスリン/中枢神経系経路剤(これには、レプチンアナログ、レプチン輸送促進
剤および/またはレプチン受容体促進剤、毛様体神経栄養因子(Axokine)、ニュ
ーロペプチドYアンタゴニストおよびagouti関連ペプチドアンタゴニスト、プロオ
ピオメラノコルチン調節転写物促進剤およびコカイン・アンフェタミン調節転写物促進剤
、α-メラニン細胞刺激ホルモンアナログ、メラノコリチン(melanocoriti
n)-4受容体アゴニスト、ならびに、インスリン代謝/活性に影響を及ぼす薬剤[これ
には、タンパク質チロシンホスファターゼIB阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子活性化
受容体-ガンマ受容体アンタゴニスト、短時間作用性ブロモクリプチン(エルゴセット(
ergoset))、ソマトスタチンアゴニスト(オクトレオチド)およびアディポネク
チン/Acrp30(Famoxinまたは脂肪酸代謝的酸化誘発剤)が含まれる]が含
まれる);胃腸神経経路剤(これには、コレシストキニン活性(CCK)、PYY活性、
NPY活性およびPP活性を増大させる薬剤、グルカゴン様ペプチド-1活性を増大させ
る薬剤(エキセンジン-4、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤)、ならびに、グレリ
ン活性を低下させる薬剤、同様にまた、アミリンアナログ(プラムリンチド)が含まれる
);安静時代謝速度を増大させ得る薬剤(選択的β-3刺激剤/アゴニスト、脱共役タン
パク質ホモログおよび甲状腺受容体アゴニスト);他のより多様な薬剤(これには、メラ
ニン凝集ホルモンアンタゴニスト、フィトスタノール(phytostanol)アナロ
グ、機能性オイル、P57、アミラーゼ阻害剤、成長ホルモンフラグメント、硫酸デヒド
ロエピアンドロステロンの合成アナログ、脂肪細胞の11B-ヒドロキシステロイドデヒ
ドロゲナーゼ1型活性のアンタゴニスト、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト
、脂肪酸合成の阻害剤(セルレニンおよびC75)、カルボキシペプチダーゼ阻害剤、イ
ンダノン/インダノール系化合物、アミノステロール類(トロズスクエミン(trodu
squemine)/トロズラミン(trodulamine))、および、他の胃腸リ
パーゼ阻害剤(ATL962)が含まれる);アンフェタミン類(例えば、デキストロア
ンフェタミンなど);他の交感神経作用性のアドレナリン作用剤(これには、フェンテル
ミン、ベンズフェタミン、フェンジメトラジン、マジンドールおよびジエチルプロピオン
が含まれる)とともに使用することができ、あるいは、下記から選択される1つまたは複
数の薬剤とともに使用することができる:エコピパム(ecopipam);オキシント
モジュリン(OM);グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)の阻
害剤;ガストリン放出ペプチド;ニューロメジンB;エンテロスタチン;アンフェブタモ
ン(amfebutamone)、SR-58611;CP-045598;AOD-0
604;QC-BT16;rGLP-1;1426(HMR-1426);N-5984
;ISIS-113715;ソラベグロン(solabegron);SR-14777
8;Org-34517;メラノタン(melanotan)-II;セチリスタット;
c-2735;c-5093;c-2624;APD-356;ラダファキシン(rad
afaxine);フルアステロン(fluasterone);GP-389255;
856464;S-2367;AVE-1625;T-71;オレオイル-エストロン(
oleoyl-estrone);ペプチドYY[3-36](鼻腔内用);アンドロゲ
ン受容体アゴニスト;PYY3-36;DOV-102677;タガトース;SLV-3
19;1954(Aventis Pharma AG);オキシントモジュリン、Th
iakis;ブロモクリプチン、PLIVA;糖尿病/高脂血症療法、Yissum;C
KD-502;甲状腺受容体ベータアゴニスト;ベータ-3アドレナリン受容体アゴニス
ト;CDK-Aアゴニスト;ガラニンアンタゴニスト;ドパミンD1 D2アゴニスト;
メラノコルチン調節剤;ベロンガミン(verongamine);ニューロペプチドY
アンタゴニスト;メラニン凝集ホルモン受容体アンタゴニスト;二重PPARアルファ/
ガンマアゴニスト;CGEN-P-4;キナーゼ阻害剤;ヒトMCH受容体アンタゴニス
ト;GHS-Rアンタゴニスト;グレリン受容体アゴニスト;DG70阻害剤;コチニン
;CRF-BP阻害剤;ウロコルチンアゴニスト;UCL-2000;インペンタミン(
impentamine);β-3アドレナリン作動性受容体;ペンタペプチドMC4ア
ゴニスト;トロズスケミン(trodusquemine);GT-2016;C-75
;CPOP;MCH-1受容体アンタゴニスト;RED-103004;
アミノステロール類;オレキシン-1アンタゴニスト;ニューロペプチドY5受容体アン
タゴニスト;DRF-4158;PT-15;PTPアーセ阻害剤;A37215;SA
-0204;糖脂質代謝産物;MC-4アゴニスト;プロズレスタン(produles
tan);PTP-1B阻害剤;GT-2394;ニューロペプチドY5アンタゴニスト
;メラノコルチン受容体調節剤;MLN-4760;PPARガンマ/デルタ二重アゴニ
スト;NPY5RA-972;5-HT2C受容体アゴニスト;ニューロペプチドY5受
容体アンタゴニスト(フェニルウレアアナログ);AGRP/MC4アンタゴニスト;ニ
ューロペプチドY5受容体アンタゴニスト(ベンゾイミダゾール);グルココルチコイド
アンタゴニスト;MCHR1アンタゴニスト;アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤;
R-1496;HOB1調節剤;NOX-B11;ペプチドYY3-36(エリゲン(e
ligen));5-HT1調節剤;膵臓リパーゼ阻害剤;GRC-1087;CB-1
アンタゴニスト;MCH-1アンタゴニスト;LY-448100;ボンベシンBRS3
アゴニスト;グレリンアンタゴニスト;MC4アンタゴニスト;ステアロイルCoAデサ
チュラーゼ調節剤;PPAR汎アゴニスト;EP-01492;ホルモン感受性リパーゼ
阻害剤;脂肪酸結合タンパク質4阻害剤;チオラクトン誘導体;タンパク質チロシンホス
ファターゼIB阻害剤;MCH-1アンタゴニスト;P-64;PPARガンマリガンド
;メラニン凝集ホルモン受容体アンタゴニスト;チアゾール系胃運動促進剤(gastr
oprokinetic);PA-452;T-226296;A-331440;免疫
薬物ワクチン;糖尿病/肥満治療剤(Bioagency,Biofrontera D
iscovery GmbH);P-7(Genfit);DT-011M;PTP1B
阻害剤;抗糖尿病性ペプチドコンジュゲート;KATPアゴニスト;肥満治療剤(Lex
icon);5-HT2アゴニスト;MCH-1受容体アンタゴニスト;GMAD-1/
GMAD-2;STG-a-MD;血管形成阻害剤;Gタンパク質共役受容体アゴニスト
;ニコチン様治療剤(ChemGenex);抗肥満剤(Abbott);メラニン凝集
ホルモン;GW-594884A;MC-4Rアゴニスト;ヒスタミンH3アンタゴニス
ト;オーファンGPCR調節剤;MITO-3108;NLC-002;HE-2300
;IGF/BBP-2-13;5-HT2Cアゴニスト;ML-22952;ニューロペ
プチドY受容体アンタゴニスト;AZ-40140;抗肥満療法(Nisshin Fl
our);GNTI;メラノコルチン受容体調節剤;アルファ-アミラーゼ阻害剤;ベー
タ-3アドレナリン受容体アゴニスト;ob遺伝子産物(Eli Lilly&Co.)
;SWR-0342-SA;SWR-0335;SP-18904;経口インスリン模倣
剤;肥満治療剤(7TM Pharma);ベータ-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ
ーゼ(HSD)阻害剤;QRX-431;E-6776;RI-450;メラノコルチン
-4アンタゴニスト;メラノコルチン4受容体アゴニスト;肥満治療剤(CuraGen
);レプチン模倣体;A-74498;第二世代レプチン;NBI-103;CL-31
4698;CP-114271;ベータ-3アドレナリン受容体アゴニスト;NMI-8
739;UCL-1283;BMS-192548;CP-94253;PD-1601
70;ニコチンアゴニスト;LG-100754;SB-226552;LY-3551
24;CKD-711;L-751250;PPAR阻害剤;Gタンパク質治療剤;肥満
療法(Amylin Pharmaceuticals Inc.);BW-1229;
モノクローナル抗体(ObeSys/CAT);L-742791;(S)-シブトラミ
ン;MBU-23;YM-268;BTS-78050;tubby様タンパク質遺伝子
;ゲノミクス(摂食障害;Allelix/Lilly);MS-706;GI-264
879A;GW-409890;FR-79620アナログ;肥満療法(Hybrige
nics SA);ICI-198157;ESP-A;5-HT2Cアゴニスト;PD
-170292;AIT-202;LG-100641;GI-181771;抗肥満治
療剤(Genzyme);レプチン調節剤;GHRH模倣体;肥満療法(Yamanou
chi Pharmaceutical Co.Ltd.);SB-251023;CP
-331684;BIBO-3304;コレステン-3-オン類;LY-362884;
BRL-48962;PY-1アンタゴニスト;A-71378;.RTM.-ジデスメ
チルシブトラミン(didesmethylsibutramine);肥満治療剤(B
ristol-Myers Squibb Co.);肥満治療剤(Ligand Ph
armaceuticals Inc.);LY-226936;NPYアンタゴニスト
;CCK-Aアゴニスト;FPL-14294;PD-145942;ZA-7114;
CL-316243;SR-58878;R-1065;BDBP-3226;HP-2
28;タリベグロン(talibegron);FR-165914;AZM-008;
AZM-016;AZM-120;AZM-090;AZM-131;AZM-132;
AZM-134;AZM-127;AZM-083;AZM-115;AZM-140;
ボメロフェリン(vomeropherin);BMS-187257;D-3800;
遺伝子発見(Axys/Glaxo);BRL-26830A;SX-013;ERR調
節剤;アジプシン;AC-253;A-71623;A-68552;BMS-2102
85;TAK-677;MPV-1743;肥満治療剤(Modex);GI-2485
73;エクソピパム(exopipam);SSR-125180;肥満治療剤(Mel
acure Therapeutics AB);BRL-35135;SR-1461
31;P-57;CGP-71583A;RF-1051;BMS-196085;マニ
ファキシン(manifaxine);DMNJ(Korea Research In
stitute of Bioscience and Biotechnology)
;BVT-5182;LY-255582;SNX-024;ガラニンアンタゴニスト;
ニューロキニン-3アンタゴニスト;デクスフェンフルラミン;マジンドール;ジエチル
プロピオン;フェンジメトラジン;ベンズフェタミン;アンフェブタモン;セルトラリン
;AOD-9604;ATL-062;BVT-933;GT389-255;SLV3
19;HE-2500;PEG-アクソキン(axokine);L-796568;お
よびABT-239;リモナバン、シブトラミン、オルリスタット、PYYまたはそのア
ナログ、CB-1アンタゴニスト、レプチン、フェンテルミンおよびエキセンジンアナロ
グ;GPR119アンタゴニスト(例えば、アナンダミド;AR-231,453;MB
X-2982;オレオイルエタノールアミド;PSN-365,963;PSN-632
,408;パルミトイルエタノールアミド);GPR120アゴニスト;GPR40アゴ
ニスト;およびSGLT2阻害剤。
加えて、本明細書中に提供されるような脂肪酸または塩または誘導体は、下記から選択
される1つまたは複数の薬剤との組合せで使用することができる:Altoprev(ロ
バスタチン)、Crestor(ロスバスタチン)、Lescol(フルバスタチン)、
Lipitor(アトルバスタチン)、Livalo(ピタバスタチン)、Pravac
hol(プラバスタチン)、Zocor(シンバスタチン)、抗血小板薬、ベータ遮断剤
、ACE阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、利尿剤、抗凝固剤、アスピリン、胆汁酸捕
捉剤、エゼチミブ、フィブラート系薬剤、糖タンパク質Ilb/IIIa受容体阻害剤、
ナイアシン(ニコチン酸)、ニトラート系薬剤、血小板阻害剤、血栓溶解剤、リシノプリ
ル(経口用)、アテノロール(経口用)、Bystolic(経口用)、Diovan(
経口用)、ヒドロクロロチアジド(経口用)、メトプロロールコハク酸塩(経口用)、ア
ムロジピン(経口用)、Norvasc(経口用)、Toprol XL(経口用)、B
enicar(経口用)、メトプロロール酒石酸塩(経口用)、ロサルタン(経口用)、
リシノプリル-ヒドロクロロチアジド(経口用)、クロニジンHCl(経口用)、Dio
van HCT(経口用)、Cozaar(経口用)、プロプラノロール(経口用)、ス
ピロノラクトン(経口用)、Azor(経口用)、カルベジロール(経口用)、Core
g(経口用)、Benicar HCT(経口用)、Exforge(経口用)、Ava
pro(経口用)、Lotrel(経口用)、ベラパミル(経口用)、フロセミド(経口
用)、Lasix(経口用)、Hyzaar(経口用)、Tekturna(経口用)、
エナラプリルマレイン酸塩(経口用)、Micardis(経口用)、ロサルタン-ヒド
ロクロロチアジド(経口用)、ラミプリル(経口用)、Lopressor(経口用)、
Altace(経口用)、Micardis HCT(経口用)、Avalide(経口
用)、ジルチアゼム(経口用)、トリアムテレン-ヒドロクロロチアジド(経口用)、ラ
ベタロール(経口用)、テラゾシン(経口用)、アムロジピン-ベナゼプリル(経口用)
、ヒドララジン(経口用)、Atacand(経口用)、ベナゼプリル(経口用)、Tr
ibenzor(経口用)、トリアムテレン(経口用)、ドキサゾシン(経口用)、ニフ
ェジピン(経口用)、Ziac(経口用)、Aldactone(経口用)、Maxzi
de(経口用)、Cartia XT(経口用)、プラゾシン(経口用)、Cardiz
em CD(経口用)、Zestril(経口用)、Dyazide(経口用)、ビソプ
ロロールフマル酸塩(経口用)、Tenex(経口用)、Tenormin(経口用)、
Coreg CR(経口用)、Prinivil(経口用)、バルサルタン(経口用)、
アテノロール-クロルタリドン(経口用)、Edarbyclor(経口用)、ベナゼプ
リル-ヒドロクロロチアジド(経口用)、硫酸第一鉄(経口用)、Ferrlecit(
静注用)、Feraheme(静注用)、Feosol(経口用)、Infed(注射用
)、Integra(経口用)、Ferrex 150 Forte(経口用)、Tan
dem Dual Action(経口用)、Ferrex 150(経口用)、グルコ
ン酸第一鉄(経口用)、Corvite 150(経口用)、Integra F(経口
用)、NovaFerrum(経口用)、鉄(硫酸第一鉄)(経口用)、Vitron-
C(経口用)、葉酸、コルチコステロイド類、リツキシマブ、IVIG、プレドニゾン、
メチルプレドニゾロン(経口用)、Kenalog(注射用)、Medrol(Pak)
(経口用)、Medrol(経口用)、デキサメタゾン(経口用)、Depo-Medr
ol(注射用)、プレドニゾロン(経口用)、DexPak 13 Day(経口用)、
Solu-Medrol(静注用)、ヒドロコルチゾン(経口用)、Cortef(経口
用)、Deltasone(経口用)、トリアムシノロンアセトニド(注射用)、コルチ
ゾン(経口用)、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル(Aricept)、
リバスチグミン(Exelon)およびガランタミン(Razadyne)など)、メマ
ンチン、Aricept、Namenda、Namenda XR、Razadyne
ER、Alpha E、ビタミンE、Hydergine、Namzaric、ドパミン
アゴニスト(例えば、プラミペキソール(Mirapex)、ロピニロール(Requi
p)、ロチゴチン(Neupro(パッチ用))およびアポモルフィン(Apokyn)
など)、抗コリン剤(例えば、ベンズトロピン(Cogentin)およびトリヘキシフ
ェニジルなど)、MAO-B阻害剤(例えば、(Eldepryl、Zelapar)お
よびラサギリン(Azilect)など)、COMT阻害剤(例えば、エンタカポン(C
omtan)、カルビドパ/レボドパ(Sinemet(登録商標)など)、アマンタジ
ン、テトラベナジン(Xenazine)、ハロペリドール(Haldol)、クロルプ
ロマジン、リスペリドン(Risperdal)、クエチアピン(Seroquel)、
オランザピン(Zyprexa)、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、メフェナ
ム酸、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、フルフェナム酸、トルメチン、
ケトロラク、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ナプロキセ
ン、ナプロキセンナトリウム、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン
、オキサプロジンピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ロル
ノキシカム、シンノキシカム(cinnoxicam)、スドキシカム(sudoxic
am)およびテノキシカム。
【0128】
加えて、本明細書中に開示される脂肪酸の化合物は、他の医薬品(例えば、アンドロゲ
ンホルモン(例えば、エリスロポエチンなど)、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC、コ
ハク酸、ナイアシン、ピリドキシン、リボフラビン、ビオチン、チアミン、ギ酸カルシウ
ム、Aminoxin、Anadrol-50、Chromagen Forte、Ep
oetin alfa、Epogen、Fe C Tab Plus、FeRiva、F
eRivaFA、Ferocon、Ferotrin、Ferralet 90、Fer
rex 28、Ferrogels Forte、FoliTab 500、Fumat
inic、Hematogen Forte、Hemetab、Integra Plu
s、Irospan 42/6、Lenalidomide、Maxaron Fort
e、Myferon 150 Forte、MyKidz Iron、NovaFerr
um、Oxymetholone、Procrit、Proferrin-Forte、
Pyridoxine、Repliva 21/7、RevlimidおよびTrico
nなど)の投与が可能であるように、鉄デキストラン、鉄スマラート、多糖類鉄、フマル
酸鉄、カルボニル鉄、アスパルトグリシン酸第一鉄、ヘム鉄ポリペプチド(これはときに
は指示され得ることがある)、ビスグリシン酸第一鉄から選択される1つまたは複数の薬
剤との組合せで使用することができる。
【0129】
[投薬]
当業者には容易に明らかであろうように、投与されるべき有用なインビボ投薬量、およ
び、具体的な投与様式は、年齢、体重、状態の重篤度、および、処置される哺乳動物種、
用いられる様々な化合物の具体的形態、ならびに、これらの化合物が用いられる具体的な
使用法に依存して変化するであろう。効果的な投薬量レベルの決定、すなわち、所望され
る結果を達成するために必要な投薬量レベルの決定が、通常の方法を使用して、例えば、
インビボ研究を使用して当業者によって達成され得る。例えば、“Estimating
the Maximum Safe Starting Dose in Initi
al Clinical Trials for Therapeutics in A
dult Healthy Volunteers”(米国食品医薬品局、2005年7
月)が参照される場合がある。
【0130】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、治療効果的な量の本明
細書中に提供される組成物を投与することを含む場合がある。いくつかの実施形態におい
て、治療効果的な量が、炎症を含む本明細書中に示される状態のマーカーの調節を参照す
ることによって決定される場合がある。いくつかの実施形態において、治療効果的な量が
、本明細書中に示される状態の症状の調節を参照することによって決定される場合がある
。さらに他の実施形態においては、炎症を含む本明細書中に示される状態の処置のための
様々な指針(これらに限定されない)を含めて、本明細書中に記載される状態のための様
々な確立された指針が参照される場合がある。
【0131】
投薬量は、所望される効果および治療的徴候(例えば、マーカー値など)に依存して広
範囲に変化する場合がある。代替において、投薬量が、当業者によって理解されるように
、患者の表面積または体重に基づく場合があり、また、患者の表面積または体重に基づい
て計算される場合がある。正確な投薬量は事例毎に決定されるであろうし、または、場合
により、情報に基づく被験体の裁量に委ねられるであろう。成人患者のための毎日の投薬
計画では、例えば、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)または
その塩もしくは誘導体の経口用量、あるいは、複数の脂肪酸またはその塩もしくは誘導体
の混合物の経口用量が、約0.01mg~約10000mg、約1mg~約5000mg
、約5mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、または約50mg~約50
0mgである場合がある。単回用量は、脂肪酸またはその塩もしくは誘導体を、約0.0
1mg、約0.1mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約
100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg
、約800mg、約900mg、約1000mg、約2000mg、約5000mgまた
はそれ以上で含む場合がある。投薬量は被験体の体重に従って調節される場合があり、例
えば、投薬量は、約0.001mg/kg、約0.01mg/kg、約0.1mg/kg
、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/
kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/
kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約
30mg/kgまたはそれ以上である場合がある。投薬は、個々の被験体について適切で
あるように、単回投薬、あるいは、1日または複数の日の過程において与えられる2回ま
たはそれ以上の連続である場合がある。いくつかの実施形態において、化合物は、連続治
療の期間にわたって、例えば、約1週間またはそれ以上(例えば、1週間、2週間、3週
間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間またはそれ以上)にわたって、数週間にわ
たって、約1ヶ月またはそれ以上(例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、
6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月またはそれ以上)にわ
たって、約1年またはそれ以上にわたって、あるいは複数年にわたって投与されるであろ
う。いくつかの実施形態において、脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪
酸など)またはその塩もしくは誘導体は、1日あたり1回で、1日あたり2回で、1日あ
たり3回で、またはそれ以上で投与または摂取することができる。
【0132】
当業者によって理解されるであろうように、ある特定の状況では、本明細書中に開示さ
れる化合物を、被験体を効果的に処置するために、上述の好ましい投薬量範囲を超える量
で投与することが必要である場合がある。
【0133】
所定のスケジュールでの投与のために設定される単位投薬形態物もまた提供される(例
えば、所定量の組成物を含む個別包装物)。1日あたり1回~3回での投与のために設定
される単位投薬形態物が好ましい;しかしながら、ある特定の実施形態においては、単位
投薬形態物を、1日あたり3回を超える投与のために、または1日あたり1回よりも少な
い投与のために設定することが望ましい場合がある。
【0134】
投薬量および投薬間隔が、所定のパラメーター、指標またはマーカー値、あるいは最小
有効濃度(MEC)を維持するために十分である活性部分の血漿中レベルを提供するため
に個々の被験体に合わせて調節される場合がある。所望の結果を達成するために必要であ
る投薬量は、個体の特徴および投与経路に依存するであろう。しかしながら、様々なアッ
セイが、例えば、HPLCアッセイまたはバイオアッセイが、血清中の濃度を求めるため
に使用される場合がある。
【0135】
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される化合物および方法は、例えば、
米国特許第7,651,845号、米国特許第8,251,904号、米国特許第8,2
51,904号、米国特許第4,985,015号、米国特許第8,827,957号、
米国特許第4,252,159号、米国特許第5,318,521号、米国特許第4,7
18,430号、米国特許出願公開第2011/0190702号、ドイツ国特許DE2
615061において提供されるようなデバイス、およびそのようなデバイスを使用する
方法と併せて、また、例えば、米国特許出願公開第2012/0072236号において
提供されるような診断デバイスと併せて使用される場合がある。
【0136】
[診断およびモニタリング]
本明細書中には、炎症を含む本明細書中に示される様々な状態の診断およびモニタリン
グのための方法が提供される。
【0137】
いくつかの実施形態において、診断方法またはモニタリング方法は、体液における脂肪
酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)の割合を測定する工程を含む場
合がある。いくつかの実施形態において、診断方法またはモニタリング方法は、炎症を含
めて本明細書中に示される状態のマーカーを被験体において測定する工程を含む場合があ
る。いくつかの実施形態において、診断方法またはモニタリング方法は、慢性疾患の貧血
のマーカーを測定する工程を含む場合がある。いくつかの実施形態において、1つのマー
カーと別のマーカーとの相関関係が有益であると判明する場合がある。いくつかの実施形
態において、炎症または関連症状が、赤血球沈降速度の閾値レベルを参照することによっ
て、例えば、あるいは血清中の奇数鎖脂肪酸または血清中の超長偶数鎖脂肪酸の閾値レベ
ルを参照することによって診断される場合がある。いくつかの実施形態において、炎症を
含めて本明細書中に示される状態が、当該状態のマーカーの閾値レベルを参照することに
よって、例えば、血清中の奇数鎖脂肪酸割合、奇数鎖脂肪酸の血清中濃度、血清中の総奇
数鎖脂肪酸、血清中の超長偶数鎖脂肪酸、血清中の総超長偶数鎖脂肪酸、または、2つの
血清脂肪酸の間における比率の閾値レベルを参照することによって診断される場合がある
。例えば、閾値が、炎症を含めて本明細書中に示される状態の症状またはマーカーを参照
することによって決定される場合がある。例えば、状態はメタボリックシンドロームであ
り得る。
【0138】
被験体における脂肪酸(例えば、奇数鎖脂肪酸または超長偶数鎖脂肪酸など)の割合、
または、炎症を含めて本明細書中に示される状態のマーカーは、どのような手段によって
でもモニターされる場合がある。分析用のサンプルは、被験体のどのような体液または組
織からであっても由来する場合があり、例えば、血清、血漿、赤血球膜、尿および便に由
来する場合がある。
【実施例0139】
実施例1
海軍海洋哺乳類プログラム(MMP)におけるイルカは、メタボリックシンドロームお
よび鉄代謝異常疾患を含めて様々な慢性疾患および老化の様々な疾患に関する十分に研究
されたイルカ集団であり、この集団は、とりわけ年齢とともに炎症を生じさせやすい(V
enn-Watson S、Smith CR、Gomez F、Jensen ED(
2011)、Physiology of aging among healthy,
older bottlenose dolphins(Tursiops trunc
atus):comparisons with aging humans、J Co
mp Phys B、181:667~680を参照のこと)。MMPイルカは、サラソ
タ湾イルカに暮らす野生イルカと比較して、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗
性および鉄貯蔵疾患に対する感受性がより大きい(Venn-Watson他(2016
)、Increased dietary intake of saturated
fatty acid heptadecanoic acid(C17:0) ass
ociated with decreasing ferritin and all
eviated metabolic syndrome in dolphins、P
LOS ONE、10(7):e0132117を参照のこと)。MMPイルカはまた、
サラソタ湾のイルカと比較して、総血清奇数鎖飽和脂肪酸レベルがより低く、かつ、超長
偶数鎖飽和脂肪酸レベルがより低い(表1)。MMPイルカにおける炎症についての提案
された危険因子には、高齢、慢性疾患および餌が含まれ得る。餌魚における違い(および
特定の種類の魚に伴うある種の脂肪酸における違い)が炎症の危険性の原因であり得ると
仮定することができる。
【0140】
この研究では、炎症に対する影響が、脂肪酸プロフィルを20頭のMMPイルカ(「A
群イルカ」)において餌により変更することによって調べられた。これらのイルカはサン
ディエゴ湾内の網囲いの中で暮らした。これら20頭のA群イルカの餌を、同じキロカロ
リーを維持しながら、75%のカラフトシシャモ(それに加えて、イカ、ニシンまたはサ
バの25%混合物)の基準餌から、25%のカラフトシシャモと、50%のボラと、イカ
、ニシンまたはサバからの25%の混合物とからなる餌に変更した。血液採取日において
、A群イルカには、それらの1日の餌の1/3がそれらの日常的な一晩の断食の後の午前
中、および、食後2時間において水中で与えられ、訓練された血液サンプルが採血された
(典型的には午前10:00頃)。さらに10頭のMMPイルカ(「B群イルカ」)が、
研究期間全体を通して基準となるカラフトシシャモ餌で維持された。これら2つの群を比
較したとき、年齢、性別または体重における違いはなかった(表2)。
【0141】
カラフトシシャモ、すなわち、MMPイルカに与えられる主たる基準魚種は、C17:
0が検出できなかった(0.007g/100g未満)。ボラ、すなわち、変更餌におい
て与えられる主たる魚種は、67mg/100gのC17:0を有した。他の魚について
は、C17:0が下記のように測定された:ニシン=19mg/100g、および、サバ
=22mg/100g。イカではC17:0が検出できなかった(Venn-Watso
n他(2016)、Increased dietary intake of sat
urated fatty acid heptadecanoic acid(C17
:0) associated with decreasing ferritin
and alleviated metabolic syndrome in dol
phins、PLOS ONE、10(7):e0132117もまた参照のこと)。
【0142】
イルカの基準餌および変更餌の1日あたりの脂肪酸摂取量の比較が、奇数鎖飽和脂肪酸
C17:0の摂取量が300mgの1日平均から1,100mgに増大したこと(およそ
4倍の増大)、および、奇数鎖飽和脂肪酸C15:0の摂取量が1,300mgの1日平
均から4,500mgに増大したこと(およそ3倍の増大)が明らかにされたことを含め
て示される(表3)。超長偶数鎖飽和脂肪酸C24:0が0mgの1日平均摂取から30
0mgに増大した。159kgの研究イルカのおおよその平均体重を仮定すると、変更餌
により、28mg/kg体重でのC15:0のおおよその1日経口用量が与えられた。C
17:0の変更後のおおよその1日経口用量が7mg/kg体重であった。C24:0の
変更後のおおよその1日経口用量が1.9mg/kg体重であった。変更餌および基準餌
を比較したとき、総脂肪摂取量、C18:0またはC22:0における変化はなかった。
偶数鎖脂肪酸(C14:0、C16:0およびC20:0)の1日摂取量、同様にまた、
総オメガ3脂肪、総多価不飽和脂肪および総飽和脂肪の1日摂取量が、変更餌では減少し
た。
【0143】
食後2時間でのサンプルをA群イルカおよびB群イルカからベースライン(0ヶ月目)
において、また、変更餌に切り替えた後での3つの時点で、すなわち、1ヶ月目、3ヶ月
目および6ヶ月目において採取した。イルカを血清脂肪酸濃度(全体および様々な形態)
および炎症の指標(赤血球沈降速度およびアルカリホスファターゼを含む)について評価
した。
【0144】
血清脂肪酸濃度(奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂肪酸を含む)、同様にまた
、赤血球沈降速度およびアルカリホスファターゼにおける変化を、1ヶ月目、3ヶ月目お
よび6ヶ月目の期間中の研究イルカにおいて比較し、また、反復測定によるANOVAを
使用して0ヶ月目に対して比較した。A群イルカおよびB群イルカについて貧血のマーカ
ーについての結果が表4に示される。赤血球沈降速度がA群イルカでは1ヶ月目までに、
また、6ヶ月目まで通して低下した。アルカリホスファターゼがA群イルカでは3ヶ月目
までに、また、6ヶ月目まで通して低下した。これらの変化がB群イルカには存在しなか
った。赤血球沈降速度が高い個々のA群イルカは、変更餌を摂っている間に、炎症が消散
しつつあったことが、
図1A~
図1Bにおいて明らかである。
【0145】
50%のボラを加える変更餌が20頭のA群イルカに6ヶ月間にわたって与えられたと
き(これにより、C17:0の1日あたりの平均食餌摂取量を300mgから1100m
gに増大させ、C15:0の1日あたりの平均摂取量を1,300mgから4,500m
gに増大させたとき)、血清中の総奇数鎖飽和脂肪酸濃度が、0ヶ月目と比較して1ヶ月
目までに増大し、増大した血清中濃度が6ヶ月の期間中を通して維持された(表5)。具
体的には、1カ月目において、血清中の総C15:0濃度が94±33uMに増大し、血
清中の総C17:0濃度が82±21uMに増大した。加えて、多数の奇数鎖飽和脂肪酸
形態の増大した濃度が、0ヶ月目と比較して、変更餌の期間中を通してA群イルカの間で
認められ、これには、上昇したC15:0中性脂肪酸およびC17:0中性脂肪酸(例え
ば、トリアシルグリセリド)ならびに上昇したC15:0リン脂質およびC17:0リン
脂質(例えば、ホスファチジルコリンおよびリゾホスファチジルコリン)が含まれた(表
6)。奇数鎖飽和脂肪酸の様々な形態におけるこれらの変化はB群対照イルカでは存在し
なかった。したがって、28mg/kg体重でのC15:0または7mg/kg体重での
C17:0のおおよその連日経口服用が、これらのそれぞれの奇数鎖飽和脂肪酸における
上昇した濃度を達成するために使用される場合がある。
【0146】
50%のボラを加える変更餌が20頭のA群イルカに6ヶ月間にわたって与えられたと
き、C26:0(超長偶数鎖飽和脂肪酸)の総血清中濃度が、0ヶ月目と比較して1ヶ月
目までに増大し、増大した血清中濃度が6ヶ月の期間中を通して維持された(表5)。加
えて、多数のさらなる超長偶数鎖飽和脂肪酸形態の増大した濃度が、0ヶ月目と比較して
、変更餌の期間中を通してA群イルカの間で認められ、これには、上昇した血清中の22
:0セラミド濃度および22:0ヘキソシルセラミド濃度、ならびに、上昇したC24:
0セラミド濃度、C24:0ジヒドロセラミド濃度およびC24:0ヘキソシルセラミド
濃度が含まれた(表6)。超長偶数鎖飽和脂肪酸の様々な形態におけるこれらの変化がB
群対照イルカには存在しなかった。偶数鎖飽和脂肪酸(C16:0およびC18:0)は
、変更餌を摂っている間はA群イルカの間では変化も、低下もどちらも生じなかった。し
たがって、1.9mg/kg体重でのC24:0のおおよその連日経口服用が、超長偶数
鎖飽和脂肪酸における上昇した濃度を達成するために使用される場合がある。
【0147】
変更餌でのA群イルカにおける奇数鎖飽和脂肪酸の増大した血清中濃度は、低下した赤
血球沈降速度の独立した線形の予測因子であった(表7)。具体的には、C15:0コレ
ステロールエステルおよびC17:0ホスファチジルコリンの増大した血清中濃度により
、より低い赤血球沈降速度が独立して予測された。
図2A~
図2Bは、より低い赤血球沈
降速度に関してこれらの奇数鎖飽和脂肪酸形態の上昇したレベルとの間での直接の関連を
明らかにしている。これらの図は閾値効果もまた明らかにする;すなわち、60uMを超
える血清中のコレステロールエステルC15:0濃度、または、30uMを超える血清中
のホスファチジルコリンC17:0濃度を達成することにより、15mm/hr未満の赤
血球沈降速度がもたらされた。したがって、奇数鎖飽和脂肪酸の血清中濃度を、奇数鎖飽
和脂肪酸の増大した連日経口摂取を介して増大させることにより、炎症を改善することが
できる。
図2A~
図2Bに示されるように、60uMを超える血清中のコレステロールエ
ステルC15:0濃度、または、30uMを超える血清中のホスファチジルコリンC17
:0濃度の提案された治療的閾値を使用することにより、より低い赤血球沈降速度もまた
維持される場合がある。
【0148】
変更餌でのA群イルカにおける超長偶数鎖飽和脂肪酸の増大した血清中濃度は、改善さ
れた赤血球指標(すなわち、貧血)の独立した線形の予測因子であった(表7)。具体的
には、C20:0およびC22:0のヘキソシルセラミド形態の増大した濃度により、よ
り低い赤血球沈降速度が独立して予測された。
図3A~
図3Bは、赤血球沈降速度が低下
することとこれらの超長偶数鎖飽和脂肪酸形態のレベルの上昇との間の線形関連を明らか
にしている。これらの図は閾値効果もまた明らかにする;すなわち、0.20uMを超え
る血清中のヘキソシルセラミドC20:0濃度、または、0.11uMを超える血清中の
ヘキソシルセラミドC22:0濃度を達成することにより、15mm/hr未満の赤血球
沈降速度がもたらされた。したがって、超長偶数鎖飽和脂肪酸の血清中濃度を上昇させる
ことにより、赤血球指標を改善することができ、かつ、貧血を緩和することができる。図
3A~
図3Bに示されるように、0.20uMを超える血清中のヘキソシルセラミドC2
0:0濃度、または、0.11uMを超える血清中のヘキソシルセラミドC22:0濃度
の提案された治療的閾値を使用することにより、より低い赤血球沈降速度もまた維持され
る場合がある。
【0149】
貧血を改善することの独立した予測因子である奇数鎖飽和脂肪酸の増大した血清中濃度
は、貧血を改善することの独立した予測因子である超長偶数鎖飽和脂肪酸の増大した血清
中濃度と相関した。
図4A~
図4Dにおいて明らかにされるように、C15:0のコレス
テロールエステル形態の増大する血清中濃度は、C22:0およびC24:0のヘキソシ
ルセラミド形態の増大する血清中濃度との正の関連を有した。C17:0のホスファチジ
ルコリン形態の増大する血清中濃度は、C22:0およびC24:0のヘキソシルセラミ
ド形態の増大する血清中濃度との正の関連を有した。したがって、奇数鎖飽和脂肪酸の連
日経口摂取の結果としての様々な奇数鎖飽和脂肪酸形態の増大した血清中濃度にはまた、
目標とする様々な超長偶数鎖脂肪酸形態の血清中濃度における増大が伴う。
【0150】
図5には、下記のことを含めて、上記イルカ研究からの結果がまとめられる:1)奇数
鎖飽和脂肪酸の増大した経口摂取は総奇数鎖飽和脂肪酸および様々な奇数鎖飽和脂肪酸形
態の増大した血清中濃度をもたらす;2)超長偶数鎖飽和脂肪酸の増大した経口摂取は様
々な超長偶数鎖飽和脂肪酸形態の増大した血清中濃度をもたらす;3)増大した奇数鎖飽
和脂肪酸経口摂取に起因する奇数鎖飽和脂肪酸の増大した血清中濃度には、様々な超長偶
数鎖飽和脂肪酸形態の増大した血清中濃度が伴う;および4)奇数鎖飽和脂肪酸または超
長偶数鎖飽和脂肪酸の増大した血清中濃度により、赤血球沈降速度における直線的な低下
および緩和された炎症が独立して予測される。
【0151】
[サンプルの採取および輸送]
血液を、(血清脂肪酸プロフィルのための)BD Vacutainer血清分離器チ
ューブに、または、EDTA(K3)を含有する真空チューブに採取した。血清分離器チ
ューブを採取の30分~60分のうちに3000rpmで10分間遠心分離し、輸送まで
の処理期間中、冷却した。血清を凍結用バイアルに移し、参照研究所への終夜宅配便によ
るドライアイスでの輸送まで-80℃で貯蔵した。
【0152】
[サンプル分析]
総血清脂肪酸プロフィルが、Kennedy Krieger Instituteに
おけるGenetics Laboratoriesによって行われた。脂肪酸を、以前
に記載されたようにAT-Silar-100カラム(Grace、Columbia、
Maryland 21044)を使用するペンタフルオロベンジルブロミド脂肪酸誘導
体のキャピラリーガスクロマトグラフィー/質量分析法によって分析した。それぞれのラ
ンは、データが公表される前に臨床研究室品質管理に合格することが要求された。CV%
が典型的には10%未満であった。血清中のパーセント脂肪酸を、研究イルカ間の血清に
おける潜在的変動性を低下させることを助けるためのより堅固な指標として使用した。
【0153】
様々な脂肪酸クラスを含めて、血清脂肪酸濃度の決定が、複合リピドミクスを使用して
、Metabolon,Inc.(Durham、North Carolina)によ
って行われた。脂質を、内部標準物の存在下、ジクロロメタンおよびメタノールを改変さ
れたBligh-Dyer抽出において使用してサンプルから抽出し、下側の有機相を分
析のために使用した。抽出物を窒素下で濃縮し、10mMの酢酸アンモニウムを含有する
0.25mLのジクロロメタン:メタノール(50:50)において再構成した。抽出物
を注入-MS分析のためのバイアルに入れ、MS分析を、正モードおよび負モードの両方
のエレクトロスプレーを使用する、SelexIONを備えたSciex5500QTR
APで行った。それぞれのサンプルについて、2回の分析を、それぞれの分析においてモ
ニターされる脂質クラスのために最適化されるIMS-MS条件を用いて行った。550
0QTRAPを、最大で14の脂質クラスからの1,100超の脂質についての推移をモ
ニターするためにMRMモードで稼働させた。個々の脂質種を、既知濃度の指定された内
部標準についてのシグナル強度に対する標的化合物についてのシグナル強度の比率に基づ
いて定量化した。脂質クラスの濃度をクラス内のすべての分子種の和から計算し、脂肪酸
組成を、それぞれのクラスの中における個々の脂肪酸の割合を計算することによって求め
た。
【0154】
魚の脂肪酸プロフィルが、Covance Laboratories(Madiso
n、Wisconsin 53703)によって行われた。下記の魚種のそれぞれが水と
混合され、均一性のためにホモジネートされた:カナダ産およびアイスランド産のカラフ
トシシャモ(Mallotus villosus)、ニシン(Clupea hare
ngus)、サバ(Scomber japonicus)、イカ(Loligo op
alescens)およびボラ(striped mullet)(Mugil cep
halus)。脂質を抽出し、0.5Nのメタノール性水酸化ナトリウムにより鹸化し、
14%のBF3-メタノールによりメチル化した。脂肪酸の得られたメチルエステルをヘ
プタンにより抽出した。内部標準物を脂質抽出の前に加えた。脂肪酸のメチルエステルを
、定量化のための外部標準物を使用してガスクロマトグラフィーによって分析した。これ
らのデータを使用して、それぞれの研究イルカについてのそれぞれの脂肪酸の総1日摂取
量を、それらの1)研究前の基準餌、および、2)研究中の変更餌(A群)または基準餌
(B群)について魚種によって摂食された餌の記録に基づいて計算した。
【0155】
1mlのEDTAを含む全血液から60分間の赤血球沈降速度を決定するために、市販さ
れている血液沈降システム(Westerngren法に関連している)を用いた。企業
の研究所にて、Olympus AU600(Olympus America社、Ce
nter Valley、ペンシルベニア州)を用いた。
【0156】
統計学的分析を、World Programming Systemソフトウエア(
World Programming Ltd.、Hampshire、英国)を使用し
て行った。有意性を、0.05以下のP値として定義した。個々の脂肪酸の1日あたりの
平均食餌摂取量を、ウィルコクソンの順位和検定を使用してA群およびB群のイルカにつ
いて研究前の餌と研究中の餌との間で比較した。1ヶ月目、3ヶ月目および6ヶ月目から
得られる赤血球指標値(ヘマトクリット、血中血球容積、ヘモグロビンおよび赤血球数)
および血清脂肪酸濃度(全体および個々の種類)を、反復測定によるANOVA(混合モ
デル)を使用してA群およびB群のイルカについて0ヶ月目と比較した。増大した血清中
濃度を対照においてではなく、変更餌で有した脂肪酸を段階的回帰モデルに含め(例えば
、C17:0全体、トリアシルグリセリド形態、ホスファチジルコリン形態、リゾホスフ
ァチジルコリン形態、ホスファチジルエタノールアミン形態およびリゾホスファチジルエ
タノールアミン形態を1つのモデルに含め)、どの形態が、ヘマトクリット、血中血球容
積、ヘモグロビンまたは赤血球数の独立した予測因子であるかを求めた。その後、赤血球
指標の独立した予測因子である脂肪酸を、単純な線形回帰を使用して、赤血球指標との直
線関係について検証した。赤血球指標の独立した予測因子であり、かつ、(0.05以下
のP値および0.1以上のR2として定義される)これらの指標との正の直線関連を有す
る脂肪酸を、改善された炎症を独立して予測する脂肪酸として特徴づけた。
【0157】
表1には、海軍海洋哺乳類プログラム(MMP)のイルカと、サラソタ湾の野生イルカ
との間における、赤血球指標、血清中の総奇数鎖脂肪酸(総脂肪酸の%)および血清中の
総超長偶数鎖脂肪酸(総脂肪酸の%)の比較が示される。
【表1】
【0158】
表2には、変更後の魚餌に置かれるA群イルカと、ベースライン餌で維持されるB群イ
ルカとの間における人口統計学的比較が示される。
【表2】
【0159】
表3には、各群について、基準餌と、試験用餌との間における1日あたりの総栄養摂取
量の比較が示される。
【表3】
【0160】
表4には、変更餌でのA群事例イルカおよびベースライン餌でのB群対照イルカの間に
おける炎症の指標の比較が示される。
【表4】
【0161】
表5には、変更餌でのA群事例イルカおよびベースライン餌でのB群対照イルカの間に
おける総血清脂肪酸濃度の比較が示される。
【表5】
【0162】
表6には、変更餌でのA群事例イルカにおける0カ月目からの変化が有意(P≦0.0
5)である様々な血清脂肪酸形態濃度の比較が示される。これらの変化が、ベースライン
餌でのB群対照イルカには存在しなかった(データは示していない)。
【表6】
【0163】
表7には、変更餌を摂っている間のA群イルカにおいて低下した赤血球沈降速度の独立
した線形予測因子であった血清脂肪酸が示される。
【表7】
【0164】
血清中奇数鎖飽和脂肪酸の濃度の上昇と超長偶数鎖飽和脂肪酸は独立して、赤血球沈降速
度とアルカリホスファターゼ、の炎症の2因子の線形予測因子である。炎症をもつイルカ
が奇数鎖飽和脂肪酸と超長偶数鎖飽和脂肪酸の摂取を、魚餌種を変えることで増加させた
場合、赤血球沈降速度とアルカリホスファターゼのレベルが下がる、即ち炎症を軽減する
。このことから奇数鎖飽和脂肪酸と超長偶数鎖飽和脂肪酸の欠乏が、ヒトにおいて炎症と
それに起因する慢性疾患の背景にある、治療可能な原因であるかもしれない。これはバン
ドウイルカとヒトが大きな脳をもち、異常な代謝や加齢と関連する状態を含む類似の疾病
が発生する長寿の種であるためかもしれない。このようにイルカはヒトの健康と関係する
価値ある動物モデルを提供している。
【0165】
いくつかの類似点がイルカとヒトとの間で特定されている。例えば、イルカおよびヒト
は長寿命である。イルカの平均寿命が野生では20年であり、MMPにおいては32年で
あり、最大寿命がおよそ60年である。イルカとヒトとの間における共通する長い寿命に
より、慢性貧血を含めて、ヒトにおける慢性疾患および加齢関連疾患の知識が改善されつ
つある。加えて、イルカおよびヒトは、大きい脳を有する。哺乳動物の中で、ヒトは最大
の脳重量比(EQ=7.4)を有する(脳重量比は、種の身体サイズが与えられるとき、
予想された脳サイズに対する実際の脳サイズとして定義される)。ヒトに次ぐものがバン
ドウイルカ(EQ=5.3)であり、バンドウイルカはチンパンジー(EQ=2.4)よ
りも大きく、マウス(EQ=0.5)よりもはるかに大きい。ヒトと同様に、生きている
イルカの陽電子放射断層撮影でイルカの脳では高レベルのグルコース消費が見出された。
このように、大きな脳のサイズに高度のグルコース要求性が伴って、ヒトとイルカで共通
のグルコース代謝とそれに関係する体の状態を有する要因となったと思われる。
【0166】
イルカおよびヒトは、グルコース代謝に付随する共通の遺伝的適合化と同様に、類似す
るグルコース輸送系を有する。成体イルカは、GLUT-1輸送因子イソ型を使用する赤
血球グルコース輸送のための高い能力を有する;この発見の前は、この能力は霊長類に限
定されると考えられていた。クジラ目動物および霊長類における共通の赤血球グルコース
輸送系は、中枢神経系の大きいグルコース要求のためであると考えられている。また、イ
ルカのゲノムが、米国海軍海洋哺乳動物プログラムでのイルカに基づいてBaylor大
学によって部分的に配列決定されている。イルカは、寿命が長く、脳が大きい種(ヒトお
よびゾウを含む)に固有である遺伝的な進化的適合化を有する。さらに、イルカおよびヒ
トは、グルコース代謝に関わる類似する遺伝子を有する(海軍研究事務所援助の研究、未
発表)。従って、イルカはヒトの炎症、メタボリックシンドローム、高フェリチン血症、
とそれに伴う状態についての適切なモデルである。
【0167】
[イルカおよびヒトは類似の疾患および疾患合併症を発症する]
ヒトと同様に、普通のバンドウイルカ(Tursiops truncatus)は、
高グルコースに伴うハプトグロビンの上昇と同様に、赤血球沈降速度の上昇、アルカリホ
スファターゼの上昇、およびセルロプラスミンの上昇を含む、炎症を発症し得る。サンデ
ィエゴ湾(カリフォルニア州)に暮らす海軍海洋哺乳動物プログラムで管理されるイルカ
は、代謝に関する十分に研究された集団であり、この群は、サラソタ湾(フロリダ州)に
生息する野生のバンドウイルカ群と比較して、より低いヘマトクリットおよびヘモグロビ
ンを有する。重要なことではあるが、メタボリックシンドロームおよび炎症についてのイ
ルカの事例集団および参照集団の存在は、ヒト集団の類似する比較物に相当する。
【0168】
ヒトと同様に、イルカは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を発症し得る。N
AFLDが野生の捕集イルカおよび管理された捕集イルカの両方で見出されており、この
ことは、イルカがメタボリックシンドロームに対する一般的な生理学的感受性を有するこ
とを裏づけている。NAFLDには、ヒトおよびイルカでは炎症が伴い、NAFLDは肝
炎および肝硬変に進行する。両方の種における長期間の低レベルの炎症を伴うこれらの代
謝障害の進行には、インスリン抵抗性および悪化したグルコース制御が伴う。
【0169】
ヒトと同様に、イルカは、高いフェリチン(高フェリチン血症)および鉄を伴う慢性状
態を発症し得る。ヒトおよびイルカにおけるこの疾患は、主に肝臓のクッパー細胞におけ
る過度な鉄沈着、年齢に伴う進行、ならびに、炎症、上昇した脂質、インスリンおよび肝
臓酵素との関連を伴う。イルカにおけるこの代謝状態には、HFE遺伝子におけるどちら
の変異も伴わない。
【0170】
イルカは、ヒトが加齢する際と類似する年齢関連の血液変化を発症する。具体的には、
絶対的リンパ球、血清グロブリンおよび平均血小板容積が、年を取ること(=30歳から
50歳までの加齢)により直線的に増大する。平均白血球、好中球、血清グロブリン、赤
血球沈降速度、血清コレステロールおよび血清トリグリセリド、ならびに、好中球増加症
、高グロブリン血症および高コレステロール血症の罹患率が、老齢イルカが年を取るにつ
れてより高くなりがちであった。本研究では、高齢のイルカが、炎症の出現を含む高齢の
ヒトにおいて見出される変化と類似する血液学的値および血清化学値における変化を有す
ることが明らかにされた。そのようなものとして、バンドウイルカは、ヒトにおける加齢
についての有用な比較モデルとして役立ち得る。
【0171】
上記理由により、イルカおよびヒトは、炎症を含む様々なヒト疾患のための重要かつ妥
当な動物モデルとしてイルカを裏づける解剖学、生理学および疾患状態に関連づけられる
重要な共通する基礎をともに有する。イルカについて本明細書中に引用される結果もまた
、ヒトのために有益であり得る。
【0172】
実施例2
ヒトにおいて、肥満、老化、心血管代謝疾患および認知症(アルツハイマー病を含む)
には、アディポカイン(サイトカイン)、インターロイキン6(IL-6)、インターロ
イキン18(IL-18)および単球走化性タンパク質-1(MCP-1)の上昇を含め
て、炎症が伴う(添付された参考文献、Targher他)。実施例1からの結果の後に
おいて、合成された奇数鎖飽和脂肪酸の経口投与は従来の実験室動物モデルにおいて炎症
を低下させるであろうと仮定することができる。
【0173】
この研究では、合成ペンタデカン酸(C15:0)の連日経口投与の炎症に対する影響
を肥満マウスモデルにおいて調べた。20匹のC57BL/6Jマウスに高脂肪食(HF
D)(D12492、kcal数の60%が脂肪)を8週間にわたって与えた。その後、
研究マウスを10匹からなる下記の2つの群に分けた:ビヒクル対照およびC15:0処
置(5mg/kg体重)。5mg/kgの予測された治療用量はイルカモデルにおける変
更餌の研究に基づいていた。試験品は、室温で安定である合成粉末形態であり、Sigm
a-Aldrichから購入した(製品W433400(99%以上のC15:0))。
試験品を、HFDを自由に摂ることを続けながら、12週間(84日間)にわたって胃管
栄養法により毎日与えた。体重および食物摂取量を毎週測定した。IL-6、IL-18
およびMCP-1の血清中レベルを84日目に測定した。処置群からのデータを、ウィル
コクスン順位和分析を使用して対照群と比較した。有意性を、0.05以下のP値として
定義した。
【0174】
C15:0処理群におけるマウスは研究期間中を通して試験品に耐えた。早期死亡が処
置群におけるマウスの中では生じなかった;対照群における1匹のマウスが7週目に予定
外の死亡となった。変化が、研究群を比較したとき、体重、パーセント体重変化または食
物摂取量において何ら見出されなかった(示されず)。
【0175】
C15:0処置群をビヒクル対照群と比較したとき、C15:0(5mg/kg)によ
り処置される被験体は、対照と比較して、より低度の炎症およびより低いアディポカイン
(IL-6、IL-18およびMCP-1)を有した(表8、
図6A~
図6C)。
【0176】
表8には、経口での合成C15:0により84日間処置される肥満マウスと、ビヒクル
対照との間における血清アディポカイン(サイトカイン)レベルの比較が示される。
【表8】
【0177】
奇数鎖脂肪酸(ヘプタデカン酸またはC17:0、および、ペンタデカン酸またはC1
5:0)は、反芻動物の全脂乳製品に存在する飽和脂肪酸である。奇数鎖飽和脂肪酸が第
一胃内の細菌によって組み立てられ、第一胃から乳汁に移行する。市販の乳製品が本研究
で調べられたとき、奇数鎖飽和脂肪酸がバターおよび全脂ヨーグルトにおいて最も高く、
無脂肪乳製品には存在していなかった。興味深いことに、高脂肪食品を避ける消費者動向
にもかかわらず、ヒトにおける乳製品消費には、炎症のより低いマーカーと、インスリン
抵抗性症候群、メタボリックシンドロームおよび2型糖尿病のより低い危険性とを含めて
、多数の健康上の利益が伴っている。今日まで、ヒトの炎症および代謝に対する乳製品の
様々な利益の機構は明らかにされていない。様々な実施形態の方法を使用する結果に基づ
いて、奇数鎖飽和脂肪酸が、ヒトにおける乳製品の抗炎症利益において重要な役割を果た
すものであるかもしれないことが提案され得る。
【0178】
これらの利益を利用するために、奇数鎖飽和脂肪酸を、錠剤、カプセル化ピル、ジェル
キャップピル、液体懸濁物、スプレー剤または粉末としての形態を含めて、どのような形
態のものであれサプリメント、食品添加物、食品強化剤、飲料添加物、飲料強化剤または
医薬品において酸で使用することができる。加えて、ヒトおよび動物のサンプル(これに
は、血液(血清、血漿および赤血球膜)、尿および便が含まれる)における奇数鎖飽和脂
肪酸のための様々な診断試験および診断アッセイを使用して、低い奇数鎖飽和脂肪酸を検
出することができ、また、奇数鎖飽和脂肪酸レベルを患者において連続してモニターする
ことができる。奇数鎖飽和脂肪酸の使用により、1)上昇した赤血球沈降速度、炎症の他
のバイオマーカー、および様々な随伴合併症(これには、慢性疾患の貧血、インスリン抵
抗性、メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、心臓
血管疾患、ガン、老化の様々な疾患、神経変性疾患(アルツハイマー病および他の形態の
認知症を含む)および他の関連した状態が含まれる)の防止、抑制および処置を達成する
ことができる。これらの重大な健康上の影響がイルカにおいてだけ防止され得るのではな
く、血液パネルにおける類似性のために、ヒト哺乳動物において同様に防止され得る。
【0179】
これらのデータは、炎症を給餌研究において緩和することに対する、奇数鎖飽和脂肪酸
および超長偶数鎖飽和脂肪酸についての直接的な影響には、奇数鎖飽和脂肪酸および超長
偶数鎖飽和脂肪酸がより豊富な魚が関与したことを示唆している。変更された餌における
他の栄養物の血清フェリチンに対する潜在的影響(または累積的影響)は明らかにされて
いない。1)奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂肪酸のより高い濃度が、より低い
赤血球沈降速度の独立した予測因子として確認されること、2)給餌研究の期間中におけ
る奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂肪酸の実証された増大した食餌摂取量および
濃度が確認されること、ならびに、3)対照の間では存在しなかった、赤血球沈降速度お
よびアルカリホスファターゼにおける低下と、奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂
肪酸の血清中濃度における増大とが1ヶ月目までに同時であったことが確認されることに
より、餌の奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂肪酸を増大させることが、低下した
赤血球沈降速度およびアルカリホスファターゼの一因であったという証拠がもたらされ、
このことは、奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂肪酸が、炎症を処置するため、同
様にまた、他の随伴状態または関連状態を処置するため、に使用され得ることを示してい
る。
【0180】
奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂肪酸の不足を、炎症の危険性または原因を検
出するために使用することができる。奇数鎖飽和脂肪酸および超長偶数鎖飽和脂肪酸を含
む栄養補助食品は、炎症および随伴状態を消散させるために役立ち得る。
【0181】
以下の材料は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。:Colegrove K.
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【0182】
炎症または関連する状態に関する、または適用可能な方法と組成物は、以下の参考文献に
考察されており、これら文献は参照により全体が本明細書中に組み込まれる:Blood
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【0183】
上記説明では、本発明を実施するために意図される最良の態様、ならびに、本発明を創
出し、使用する様式およびプロセスが、本発明が関連する技術分野のどのような当業者で
あっても本発明を創出し、使用することを可能にするような十分で、明快で、簡潔で、か
つ正確な用語で示される。しかしながら、本発明は、上記で議論される最良の態様からの
改変および代替組み立てで、十分に同等である様々な改変および代替組み立てを受け入れ
ることができる。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されない。そ
れどころか、本発明は、発明の主題を具体的に指摘し、かつ、明確に主張する下記の請求
項によって一般的に表されるような本発明の精神および範囲に含まれるすべての改変およ
び代替組み立てを包含する。開示は図面および前記説明において例示されており、また、
詳しく記載されているが、そのような例示および記載は、限定的ではなく、例証的または
例示的であるとみなされるものとする。
【0184】
本明細書中に引用されるすべての参考文献はそれらの全体が参照によって本明細書中に
組み込まれる。参照によって組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書
に含まれる開示と矛盾するならば、本明細書は、そのような矛盾するどのようなものにも
取って代わることおよび/または優先することが意図される。
【0185】
別途定義される場合を除き、すべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、
当業者にとってのその通常的かつ慣例的な意味が与えられなければならず、しかも、本明
細書中に明確にそのように定義される場合を除き、特別な意味または特別に定義された意
味に限定されないものとする。特定の術語の使用は、開示のある特定の特徴または局面を
記載するときには、当該術語が、その術語が関連する開示の様々な特徴または局面のどの
ような具体的特質をも包含するために限定されるように本明細書中で再定義されることに
なることを暗示しているように解釈してはならないことに留意しなければならない。本出
願において使用される用語および語句、ならびにそれらの変形は、とりわけ添付された請
求項においては、別途明確に述べられる場合を除き、限定であるとは対照的に、開放型で
あるとして解釈されなければならない。前記の様々な例として、用語‘includin
g’(含む、包含する)は、‘including,without limitati
on’(限定されないが、・・・を含む)、または‘including but no
t limited to’(・・・を含むが、これらに限定されない)などを意味する
ように読み取られなければならない;用語‘comprising’(含む)は、本明細
書中で使用される場合、‘including’(含む、包含する)、‘contain
ing’(含有する)、または‘characterized by’(によって特徴づ
けられる)と同義的であり、かつ、包括的または開放型であり、また、さらなる要素また
は方法工程で、列挙されていない要素または方法工程を除外しない;用語‘having
’(有する)は、‘having at least’(・・・を少なくとも有する)と
して解釈されなければならない;用語‘includes’(含む)は、‘includ
es but is not limited to’(・・・を含むが、これらに限定
されない)として解釈されなければならない;用語‘example’(例)は、議論さ
れている項目の例示的な実例を提供するために使用され、その網羅的または限定的な列挙
を提供するためには使用されない;形容詞、例えば、‘known’(公知の、知られて
いる)、‘normal’(普通の)、‘standard’(標準的な)、および、類
似する意味の用語などは、記載される項目を所与の期間に、または、所与の時点で利用可
能な項目に限定するとして解釈してはならず、代わりに、現在において、または将来のど
の時点においてでも利用可能であるかもしれない、または知られているかもしれない公知
の技術、普通の技術または標準的な技術を包含するように読み取られなければならない;
‘preferably’(好ましくは)、‘preferred’(好ましい)、‘d
esired’(所望される、所望の)、または‘desirable’(望ましい)の
ような用語、および、類似する意味の単語の使用は、ある特定の特徴が、本発明の構造ま
たは機能にとって決定的であること、本質的であること、または重要でさえあることを暗
示するとして理解してはならず、代わりに、本発明の特定の実施形態において利用される
ことがある、または利用されないことがある代替的な特徴またはさらなる特徴を強調する
ことが単に意図されるとして理解されなければならない。同じように、接続詞‘and’
(および、かつ)によりつながれる一群の項目は、それらの項目のありとあらゆる項目が
当該グループ分けにおいて存在することを要求するとして読み取ってはならず、むしろ、
別途明確に述べられる場合を除き、‘and/or’(および/または)として読み取ら
れなければならない。同様に、接続詞‘or’(または、もしくは)によりつながれる一
群の項目は、その群の中で相互に排他的であることを要求するとして読み取ってはならず
、むしろ、別途明確に述べられる場合を除き、‘and/or’(および/または)とし
て読み取られなければならない。
【0186】
値の範囲が与えられる場合、当該範囲の上限および下限ならびに上限と下限との間にお
ける間のそれぞれの値が実施形態に包含されることが理解される。
【0187】
実質的にいかなるものであれ、本明細書中における複数形および/または単数形の用語
の使用に関して、当業者は、文脈および/または適用に対して適切であるように複数形か
ら単数形に、および/または単数形から複数形に言い換えることができる。様々な単数形
/複数形の入れ替えが、明確さのために本明細書中に明確に示される場合がある。不定冠
詞(‘a’または‘an’)は、複数であることを除外しない。単一のプロセッサーまた
は他のユニットが、請求項に示されるいくつかの項目の機能を満たす場合がある。ある特
定の手段が、相互に異なる従属請求項において示されるという単なる事実は、これらの手
段の組合せが都合よく使用され得ないことを示していない。請求項におけるどの参照符号
も、範囲を限定するとして解釈してはならない。
【0188】
導入された請求項限定記載(claim recitation)の特定の数が意図さ
れるならば、そのような意図は請求項では明示的に記載されるであろうし、また、そのよ
うな限定記載がない場合には、そのような意図は何ら存在しないことが、当業者によって
さらに理解されるであろう。例えば、理解の一助として、下記の添付された請求項は、請
求項限定記載を導入するために、‘at least one’(少なくとも1つ)およ
び‘one or more’(1つまたは複数)の導入句の使用を含む場合がある。し
かしながら、そのような語句の使用は、同じ請求項が‘one or more’(1つ
または複数)または‘at least one’(少なくとも1つ)の導入句および不
定冠詞(例えば、‘a’または‘an’)を含むときでさえ、‘a’または‘an’の不
定冠詞による請求項限定記載の導入は、そのような導入された請求項限定記載を含むどの
ような特定の請求項も、ただ1つだけのそのような限定記載を含む実施形態に限定するこ
とを暗示するように解釈してはならない(例えば、‘a’および/または‘an’は典型
的には、‘at least one’(少なくとも1つ)または‘one or mo
re’(1つまたは複数)を意味するように解釈されなければならない);同じことが、
請求項限定記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても当てはまる。加えて
、導入された請求項限定記載の特定の数が明示的に記載されるとしても、当業者は、その
ような限定記載は典型的には、記載された数を少なくとも意味するように解釈されなけれ
ばならないことを認識するであろう(例えば、「2つの限定記載」のむきだしの限定記載
、すなわち、他の修飾語を伴わない場合には、典型的には、少なくとも2つの限定記載、
または、3つ以上の限定記載を意味する)。さらには、「A、BおよびCなどの少なくと
も1つ」に類似する慣例が使用されるそれらの場合、一般にはそのような解釈は、当業者
が当該慣例を理解するであろう意味で意図される(例えば、「A、BおよびCの少なくと
も1つを有するシステム」は、Aを単独で有するシステム、Bを単独で有するシステム、
Cを単独で有するシステム、Aと、Bとを一緒に有するシステム、Aと、Cとを一緒に有
するシステム、Bと、Cとを一緒に有するシステム、および/または、Aと、Bと、Cと
を一緒に有するシステムなどを含むであろうが、これらに限定されないであろう)。「A
、BまたはCなどの少なくとも1つ」に類似する慣例が使用されるそれらの場合、一般に
はそのような解釈は、当業者が当該慣例を理解するであろう意味で意図される(例えば、
「A、BまたはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aを単独で有するシステム、
Bを単独で有するシステム、Cを単独で有するシステム、Aと、Bとを一緒に有するシス
テム、Aと、Cとを一緒に有するシステム、Bと、Cとを一緒に有するシステム、および
/または、Aと、Bと、Cとを一緒に有するシステムなどを含むであろうが、これらに限
定されないであろう)。2つ以上の代替的な用語を与える離接的な語および/または句は
事実上どれも、明細書、請求項または図面においてであろうとも、当該用語の1つ(当該
用語のどちらか)または両方の用語を含む様々な可能性を意図することが理解されなけれ
ばならないことが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、句「AまたはB
」は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むことが理解されるであろ
う。
【0189】
本明細書において使用される成分および反応条件などの量を表すすべての数字は、用語
「約」によってすべての場合において修飾されるとして理解されるものとする。したがっ
て、反することが示される場合を除き、本明細書中に示される数値パラメーターは、得よ
うとする所望の性質に依存して変化し得る近似値である。いずれにせよ、また、均等論を
、優先権を本出願に対して主張するどのような出願においてであってもそのような出願に
おけるどのような請求項の範囲に対してであっても適用することを制限する試みとしてで
はなく、それぞれの数値パラメーターは、有効数字の数および通常の丸め法に照らして解
釈されなければならない。
【0190】
さらに、上記は、明確化および理解の目的のための例示および例として少し詳しく記載
されているにもかかわらず、ある特定の変更および改変が実施され得ることが当業者には
明らかである。したがって、記載および実施例は、本発明の範囲を、本明細書中に記載さ
れる具体的な実施形態および実施例に限定するとして解釈してはならず、むしろ、本発明
の真の範囲および精神を伴うすべての改変および代替もまた包含するように解釈されなけ
ればならない。