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特開2023-99042表面誘導クロップを使用するボリュームレンダリング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099042
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】表面誘導クロップを使用するボリュームレンダリング
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/14 20060101AFI20230704BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230704BHJP
   G06T 15/08 20110101ALI20230704BHJP
【FI】
A61B6/14 300
A61B6/03 360D
A61B6/03 360G
G06T15/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069060
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2020511970の分割
【原出願日】2018-08-29
(31)【優先権主張番号】PA201770656
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】508158023
【氏名又は名称】3シェイプ アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アナス ケーア-ニルスン
(72)【発明者】
【氏名】エーダム カーステン ストート
(57)【要約】
【課題】患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法を提供する。
【解決手段】患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法であって、患者の体内の第1身体構造及び第2身体構造についてのデータを含む3Dボリュームデータセットを取得することと、第1クリッピング面及び第2クリッピング面を有する境界ボックスを画定することであって、境界ボックスは、ボリュームレンダリングで使用される3Dボリュームデータセットの一部を画定することと、少なくとも部分的に第1クリッピング面を第1身体構造の表面スキャンと置き換えることと、表面スキャンが3Dボリュームデータと同じ尺度及び向きを有するように、表面スキャンの向き及びサイズを定めることであって、表面スキャンにおける歯の表面は、対応する3Dボリュームデータと整列されることと、を含むように構成する。
【選択図】図4C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法であって、
-前記患者の体内の第1身体構造及び第2身体構造についてのデータを含む3Dボリュームデータセットを取得することと、
-第1クリッピング面及び第2クリッピング面を有する境界ボックスを画定することであって、前記境界ボックスは、ボリュームレンダリングで使用される前記3Dボリュームデータセットの一部を画定することと、
-少なくとも部分的に前記第1クリッピング面を前記第1身体構造のトポグラフィ面と置き換えることと、
-前記境界ボックスによって画定された前記3Dボリュームデータのセットのボリュームレンダリングによって前記第1身体構造の2D投影を生成することであって、前記置き換えられた第1クリッピング面が、前記第2身体構造に関する3Dボリュームデータを除外するために適用される、ことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1身体構造が、前記患者の顎部の第1顎の歯構造を含み、前記第2身体構造が、前記患者の顎部の前記第1顎と対向する第2顎の歯構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者の顎部の第1顎の身体構造が、前記患者の顎部の前記第1顎の顎骨又は歯の少なくとも一部の構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記ボリュームレンダリングに含まれる前記3Dボリュームデータを囲繞するように配置される境界ボリュームを生成することを含み、前記境界ボリュームの1つの面の少なくとも一部が前記第1クリッピング面によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ボリュームレンダリングが、少なくとも部分的にレイトレーシングに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1クリッピング面が前記第1身体構造から離れる方へ移動するように、前記第1クリッピング面と前記3Dボリュームデータとの間にオフセットが与えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法であって、
-前記患者の体内の第1身体構造及び第2身体構造についてのデータを含む3Dボリュームデータセットを取得することと、
-前記第1身体構造のトポグラフィ面を表す第1部分を含む第1デジタル3D表示を取得することと、
-少なくとも部分的に前記第1デジタル3D表示の前記トポグラフィ面に従った形状のクリッピング面を有する境界ボリュームを画定することと、
-前記3Dボリュームデータセットのボリュームレンダリングによって前記第1身体構造の2D投影を生成することであって、前記境界ボリュームが、前記第2身体構造に関する3Dボリュームデータを除外するために適用される、ことと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略的に、コンピュータ断層撮影(CT)データなどの3Dボリュームデータのボリュームレンダリングにおいて、望ましくない又は重要ではないデータを切り取る(crop away)ための表面情報の使用に関する。本開示は、歯科などのいくつかの医療分野において用途を有する。
【背景技術】
【0002】
3Dボリュームデータのボリュームレンダリングは、走査される物体に対して所与の視点から見たように、物体の2Dの投影を生成できる。異なる各視点について、新たな2D投影が生成される。ボリュームレンダリングが特定の身体構造に関する3Dボリュームデータのみを選択しなければならないとき、クリッピング平面及び/又は境界ボックスを使用して、他の身体構造に関する3Dボリュームデータを除外できる。ボリュームレンダリングに含まれるべき3Dボリュームデータを囲繞するクリッピング平面は、クリッピング平面の外部に位置する物体が、生成された2D投影において見えないように画定される。例えば、患者の身体の3Dボリュームデータをボリュームレンダリングするとき、視線をブロックするような部分からのデータを除外するためにクリッピング平面が使用されるとき、所与の身体部位の内側の点がより良く見える。米国特許第9390546号明細書は、3D超音波画像における咬合の除去に関するクリッピング面を説明する。
【0003】
しかしながら、クリッピング平面又は単純な境界ボックスは、特に介在部分を有する咬合物体がある場合、選択された部分に関する3Dボリュームデータの充分に詳細な選択を提供することができない。クリッピング平面又は境界ボックスが、選択された身体部位に関するデータを完全に分離するように配置できない場合、レンダリング処理の結果は、他の身体部位に関する部分を更に含むか、又は、選択された身体部位のいくつかの部分を省略しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
介在面を有する咬合物体の高度に選択的なボリュームレンダリングを与えると言う問題が残る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの実施形態に従って、患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法を開示する。方法は、
-患者の身体の第1及び第2身体構造についてのデータを含む3Dボリュームデータセットを取得すること、
-第1身体構造のトポグラフィを表す第1部分を含む第1デジタル3D表示を取得することと、
-少なくとも部分的に第1デジタル3D表示の第1部分から第1クリッピング面を画定することと、
-3Dボリュームデータのセットのボリュームレンダリングによって第1身体構造の2D投影を生成することであって、第1クリッピング面が第2身体構造に関する3Dボリュームデータを除外するために適用される、ことと、
を含む。
【0006】
1つの実施形態に従って、患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法を開示する。方法は、
-患者の身体の第1及び第2身体構造についてのデータを含む3Dボリュームデータセットを取得することと、
-第1身体構造のトポグラフィを表す第1部分を含む第1デジタル3D表示を取得することと、
-少なくとも部分的に第1デジタル3D表示の第1部分から境界ボリュームを画定することと、
-3Dボリュームデータのセットのボリュームレンダリングによって第1身体構造の2D投影を生成することであって、境界ボリュームが第2身体構造に関する3Dボリュームデータを除外するために適用される、ことと、
を含む。
【0007】
単純な平面ではなく第1身体構造の形状を考慮に入れるクリッピング面の使用は、介在する身体構造からの3Dボリュームデータをボリュームレンダリングにおいて分離できるようにし、かつ、生成された2D投影が、第1身体構造に関するデータのみから生成できるようにする。同じことが、形状を考慮に入れる境界ボリュームの使用についても言え、単純な境界ボックスがボリュームレンダリングにおいて適用される場合に比べて優れた結果を与える。
【0008】
第1デジタル3D表示は、第1身体構造のトポグラフィを表す情報を提供できる任意のスキャン技術によって取得できる。歯など可視身体構造の場合、例えば口腔内スキャナを使用する表面スキャンが第1デジタル3D表示を提供できるが、患者体内に埋め込まれた身体構造の場合、第1デジタル3D表示は、表面下スキャン技術、例えば、光コヒーレンス断層撮影、超音波及び例えば造影剤を使用するX線スキャン、並びに、その後の記録されたデータの区分化によって得られる。
【0009】
本開示については主に歯科の適用に関して説明するが、説明する方法、コンピュータプログラム製品及びシステムは、高度に選択的なボリュームレンダリングの実施が少なくともほぼ不可能になる介在面がある構造のボリュームデータの任意のセットに適用できる。同様に、患者は、人間又は動物とすることができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、第1身体構造は、患者の顎部(jaws)の第1顎(上顎又は下顎)における歯構造を含み、第2身体構造は、患者の顎部の対向する第2顎の歯構造を含む。顎部の第1顎の歯構造は、顎部の第1顎の顎骨及び/又は歯の少なくとも一部とすることができ、3Dボリュームデータセットは、この顎骨及び/又は歯についてのデータを含む。3Dボリュームデータは、更に、顎部の対向する第2顎の歯構造についてのデータ、特に対向する顎の歯についてのデータを含む可能性がある。本明細書において開示するクリッピング面又は境界ボリュームの役割は、ボリュームレンダリングにおいて顎部の第2顎の歯構造に関するボリュームデータなどのデータを除外することであり、単純なクリッピング平面又は境界ボックスに依存する先行技術に比べて3Dボリュームデータの選択を改良する。
【0011】
例えばインプラント治療を計画するために、患者をX線スキャンすることによって取得された3Dボリュームデータセットは、上顎及び下顎の歯及び顎骨に関するデータなど両顎の歯構造についてのデータを含むことがしばしばある。顎部の第1顎の歯に応じた形状のクリッピング面又は境界ボリュームの使用は、第1顎の歯構造に関する3Dボリュームデータの2D投影を生成するボリュームレンダリングが、ボリュームレンダリングにおいて第1顎からのいくつかの3Dボリュームデータが省略されることなく、対向する顎からのボリュームデータを効率よく除外できるようにする。即ち、生成された2D投影において、第1顎への視界をブロックする可能性のある顎部の第2顎からの部分を2D投影が含まないように、第1デジタル3D表示から画定された第1クリッピング面が適用されたとき、第2顎の歯構造に関する3Dボリュームデータは、ボリュームレンダリングにおいて除外されることができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、第1デジタル3D表示は、第1表面スキャンを含み、第1部分は、患者の顎部の第1顎の1本または複数本の歯のトポグラフィを表す。ボリュームレンダリングが選択された顎の歯(及び顎骨)に関する3Dボリュームデータのみを選択できるようにするために、歯が咬合して配置されるときの歯のトポグラフィを考慮に入れることは、特に有利である。歯のトポグラフィを無視する単純なクリッピング平面が、咬合配置された歯から記録された3Dボリュームデータのために使用される場合、生成された2D投影は、対向する顎についての3Dボリュームデータを含むか、又は、選択された顎からのいくつかのデータがボリュームレンダリングに含まれない。第1クリッピング面を画定するときに患者の歯のトポグラフィを考慮すると、たとえ患者の口が閉じられて上下の顎が咬合して配置された状態でCTスキャンが記録されても、対向する顎からのボリュームデータは、第1顎のボリュームレンダリングにおいて除外できる。このような事例において、平坦なクリッピング平面又は平坦な面のみ有する境界ボックスは、歯を上下の顎から区別するために使用されることができない。
【0013】
患者の歯群の表面スキャンは、当業者には既知の様々な様式、例えば口腔内スキャンによって、又は、歯の印象若しくは印象から作られた物理的歯型を走査することによって、取得できる。表面スキャンは、歯のトポグラフィを表すトポグラフィデータを含み、選択的レンダリングが行われる口腔の部分の1本または複数本の歯のトポグラフィを表す第1部分を有する。第1部分に対応する第1表面スキャンの部分は、例えばコンピュータ画面に表示される表面スキャンの視覚化において第1部分を指し示すポインタツールを使用するなど、様々な様式で選択できる。
【0014】
いくつかの実施形態において、方法は、ボリュームレンダリングに含まれる3Dボリュームデータを囲繞するように配置された1つ又は複数の境界ボリュームを生成することを含み、1つの境界ボリュームの1つの面の少なくとも一部は、第1クリッピング面によって形成される。
【0015】
米国特許第9036881号明細書において、例えば患者の顎部の一方の顎の歯の修正3Dモデルは、他の部分に関する3Dボリュームデータを削除することによって生成される。ボリュームレンダリングによって2D投影を生成するときに、どの3Dボリュームデータが使用されるかを代わりに選択する本開示のいくつかの実施形態においては、全ての利用可能なデータを保管でき、全てのデータは、生成された2D投影と一緒に2Dスライスにおいて視覚化できる。
【0016】
開示する実施形態の方法は、患者の歯の詰め物上での散乱によって生じた3Dボリュームデータにおける欠損など、生成された2D投影における散乱誘導欠損を避けるためにも使用できる。第2身体構造に関する3Dボリュームデータを除外する代わりに又はそれに加えて、3Dボリュームデータにおける散乱欠損は、ボリュームレンダリングにおいて除外される。即ち、より良い視界を選択できる他に、クリッピング面に基づくクロップは、顎自体からのデータのみを選択するので、咬合における又は歯付近の散乱欠損を示すことなく、CT散乱クリーニング法の必要を無くす。
【0017】
いくつかの実施形態において、方法は、少なくとも部分的に第1デジタル3D表示の第2第1部分からの第2クリッピング面を画定することを更に含む。第2クリッピング面は、ボリュームレンダリングプロセスにおいて使用される3Dボリュームデータの選択の反対側の境界を画定するために使用できる。第2クリッピング面は、その後、ボリュームレンダリングに含まれる3Dボリュームデータが2つのクリッピング平面の間に位置するように配置される。歯科において、第2クリッピング面は、単に咬合歯の介在面から離れた位置にある3Dボリュームデータの境界を画定するだけのことが多いので、平面である場合がある。いくつかの実施形態において、第1及び第2クリッピング面は、3Dボリュームデータのどれがボリュームレンダリングに含まれるかを選択するために使用された境界ボリュームの一部である。
【0018】
3Dボリュームデータは、コンピュータ断層撮影(CT)X線又はコーンビームCT(CBCT)スキャンなどのX線スキャン、又は、MRI及びOCTなどのその他のスキャン技術によって記録できる。歯科において、3Dボリュームデータは、顎骨、歯肉、パレットなど、口腔の硬組織又は軟組織の両方についてのデータ、及び、患者の皮膚などの顔面組織についてのデータを含む可能性がある。更に、3Dボリュームデータは、インプラントなど口腔内の異物、スキャンポスト又はその他の異物を含む可能性がある。
【0019】
いくつかの実施形態において、ボリュームレンダリングは、少なくとも部分的にレイトレーシングに基づく。レイトレーシングにおいて、光線は、仮想画面において各ピクセルについての3Dボリュームデータを介して選択された視点から追跡される。最終ピクセルカラーは、そのボリュームを通過するときに、光線が交差する各ボクセルからの色を(前から後へ)累積した結果である。(視点から見て)第1クリッピング面の前に位置する3Dボリュームデータは、ボリュームレンダリングにおいて除外される。同様に、第2クリッピング面の後に位置する3Dボリュームデータも除外される。境界ボリュームを使用する実施形態において、境界ボリューム内に位置する3Dボリュームデータのみがボリュームレンダリングにおいて考慮に入れられる。
【0020】
いくつかの実施形態において、第1クリッピング面が第1身体構造から離れる方へ移動するように、第1クリッピング面と3Dボリュームデータとの間にはオフセットが与えられる。歯科において、これは、顎部の第1顎の歯から離れる方へ第1クリッピング面を移動することに相当する。オフセットは、第1デジタル3D表示及び3Dボリュームデータセットによって与えられる歯のトポグラフィの表示に僅かな逸脱があっても又はその整列に小さい誤差があっても、第1身体構造に関する3Dボリュームデータがボリュームレンダリングにおいて除外されないようにする。
【0021】
本開示の様々な実施形態は、以上及び以下で説明する方法、システム及びコンピュータプログラム製品、並びに、各々上述の第1形態に関連して説明した利点及び利益の1つ以上を生じる対応する方法、システム及びコンピュータプログラム製品を含み、かつ、各々上述の第1形態に関連して説明しかつ/又は特許請求の範囲において開示する実施形態に対応する1つ又は複数の実施形態を有する、様々な形態、に関連する。
【0022】
1つの実施形態に従って、コンピュータ命令がデータ処理ユニットにおいて実行されるとき、実施形態のいずれかに従った方法をデータ処理ユニットに実施させるためのコンピュータ命令を含む、コンピュータプログラム製品を開示する。コンピュータプログラム製品は、非一時的コンピュータ可読媒体に埋め込まれ得る。
【0023】
1つの実施形態に従って、コンピュータ命令がデータ処理ユニットにおいて実行されるとき、実施形態のいずれかに従った方法をデータ処理ユニットに実施させるためのコンピュータ命令を含む、コンピュータプログラム製品でコード化された非一時的コンピュータ可読媒体を開示する。
【0024】
1つの実施形態に従って、コンピュータ命令がデータ処理ユニットにおいて実行されるとき、データ処理ユニットと、実施形態のいずれかに従った方法をデータ処理ユニットに実施させるためのコンピュータ命令を含むコンピュータプログラム製品でコード化された非一時的コンピュータ可読媒体と、を備えるシステムを開示する。
【0025】
1つの実施形態に従って、患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法を開示する。方法は、
-患者の顎部の第1顎の歯構造についてのデータ及び顎部の対向する第2顎の歯構造についてのデータを含む3Dボリュームデータを取得することと、
-患者の顎部の第1顎の1本または複数本の歯のトポグラフィを表す第1部分を含む第1表面スキャンを取得することと、
-少なくとも部分的に第1表面スキャンの第1部分から第1クリッピング面を画定することと、
-3Dボリュームデータのセットのボリュームレンダリングによって顎部の第1顎の歯構造の2D投影を生成することであって、第1クリッピング面が第2顎の歯構造に関する3Dボリュームデータを除外するために適用される、ことと、
を含む。
【0026】
1つの実施形態に従って、患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法を開示する。方法は、
-患者の顎部の第1顎の歯構造についてのデータ及び顎部の対向する第2顎の歯構造についてのデータを含む3Dボリュームデータセットを取得することと、
-患者の顎部の第1顎の1本または複数本の歯のトポグラフィを表す第1部分を含む第1表面スキャンを取得することと、
-少なくとも部分的に第1表面スキャンの第1部分によって形成される第1クリッピング面を有する境界ボリュームを画定することと、
-3Dボリュームデータのセットのボリュームレンダリングによって顎部の第1顎の歯構造の2D投影を生成することであって、境界ボリュームが、第2顎の歯構造に関する3Dボリュームデータが除外されるようにボリュームレンダリングに含まれるボリュームデータを選択するために適用される、ことと、
を含む。
【0027】
本開示の上述の及び/又は付加的な目的、特徴及び利点は、添付図面を参照する下記の例示的かつ非限定的な本開示の実施形態の詳細な説明によってさらに明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】1つの実施形態に従って患者から記録された3Dボリュームデータの2D投影を示す図である。
図2A】2つの顎に関する3Dボリュームデータを分離する先行技術の方法を図解する図である。
図2B】2つの顎に関する3Dボリュームデータを分離する先行技術の方法を図解する図である。
図2C】2つの顎に関する3Dボリュームデータを分離する先行技術の方法を図解する図である。
図2D】2つの顎に関する3Dボリュームデータを分離する先行技術の方法を図解する図である。
図3】1つの実施形態に従った表面スキャンからのデータを示す図である。
図4A】1つの実施形態に従ってどのように構造化クリッピング面(structured clipping surface)から境界ボリュームを画定できるのかを示す図である。
図4B】1つの実施形態に従ってどのように構造化クリッピング面(structured clipping surface)から境界ボリュームを画定できるのかを示す図である。
図4C】1つの実施形態に従ってどのように構造化クリッピング面(structured clipping surface)から境界ボリュームを画定できるのかを示す図である。
図5A】1つの実施形態に従って選択性が改良された3Dボリュームデータの2D投影を示す図である。
図5B】1つの実施形態に従って選択性が改良された3Dボリュームデータの2D投影を示す図である。
図5C】1つの実施形態に従って選択性が改良された3Dボリュームデータの2D投影を示す図である。
図6】1つの実施形態に従って選択性が改良された3Dボリュームデータの2D投影を示す図である。
図7】1つの実施形態に従ったステップを示す図である。
図8】1つの実施形態に従ったシステムを図解する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
下記の説明において、本開示をどのように実施するかの例として示す添付図面を参照する。
【0030】
図1は、1つの実施形態に従ってコンピュータ断層撮影(CT)X線スキャンによって患者から記録した3Dボリュームデータの2D投影を示す。コンピュータ断層撮影、特にX線コンピュータ断層撮影は、広く使用されるボリューム画像化原理である。概略的に、放射線源及び放射線感応イメージセンサは、一列に配置され、被験体がその間に位置付けられる。被験体は、放射線を減衰する。放射線源-検出器の配置体は、典型的に被験体の周りで円形又はその円弧上で複数の位置へ動かされ、画像は、全ての位置で撮影される。被験体内の減衰係数の空間的容積分布を表す3Dボリュームデータセットは、記録された画像から生成できる。患者の歯群のCTスキャンは、歯のトポグラフィ及び顎骨密度などの患者の歯構造の構造に関する情報を抽出するために一般に使用される。CTデータは、歯の外面、又は、歯根若しくは神経などの内部構造の両方に関連する可能性がある。
【0031】
図1に示す3Dボリュームデータ100は、上顎歯101(即ち、上顎の歯)、下顎歯102(即ち、下顎の歯)及び下顎骨103についてのデータを含む。3Dボリュームデータは、各々が走査対象ボリュームにおける対応する位置について物質のX線の減衰に関するCT数を有する、ボクセルのグリッドとして提示される。CT数は、下記の式で与えられる。
CT数=K*(Uvoxel-Uwater)/Uwater
式において、Uvoxel及びUwaterは、それぞれ算定ボクセル減数係数及び水の減衰係数であり、Kは、整数の定数である。2D投影は、レイトレーシングを使用して生成され、光線は、仮想画面において各ピクセルについての3Dボリュームデータを介して選択される視点から追跡される。最終ピクセルカラーは、そのボリュームを通過するときに、光線が交差する各ボクセルからの色を(前から後に)累積した結果である。各ボクセルの色を測定するために、ボクセル「強さ」を色に変換する色関数が使用される。このような色関数を使用することによって、エアボクセルを(半)透明と見なすことができ、例えば、皮膚、骨及び歯に所望の色を割り当てることができる。
【0032】
CTデータは、例えば、患者の下顎におけるインプラントの位置を計画するために取得でき、操作者は、下顎のみにおける歯及び顎骨からのデータのボリュームレンダリングを見ることを望む。CTスキャンデータのボリュームレンダリングを処理するための市販のソフトウェアは、しばしば操作者がレンダリングのためのボリュームを選択できるようにする。このボリュームは、上顎及び下顎に関するスキャンデータを切り開くクリッピング平面及び/又は該当するボリュームを囲繞する単純な境界ボックスによって示すことができる。
【0033】
患者の歯が咬合したままCTデータが記録されるとき、このような境界ボックスまたはクリッピング平面は、多くの患者についてのデータを正確に分離できない。これは、上前歯が下顎の数本の歯の咬合面より下方まで延びる前方歯に関して言える。または、いくつかの歯又は小臼歯又は大臼歯の咬合面においては、しばしば、上顎及び下顎の歯の咬合面を完全に分離するクリッピング平面を画定できないことがしばしばある。
【0034】
図2は、単純なクリッピング平面を使用して、一方の顎に関する3Dボリュームデータを対向する顎に関するデータから分離しようとするときに生じる可能性のある問題を図解する。この例において、目的は、下顎についての3Dボリュームデータの2D投影を生成することであるが、目的が上顎からのデータのみを選択する場合にも明らかに上記の問題が生じる。
【0035】
図2Aにおいて、水平線205a及び205bは、両方とも図の平面の中へ延びるクリッピング平面の断面表示である。線205aに沿って配置されたクリッピング平面に基づくボリュームレンダリングの結果をまず検討すると、図2Bから、この配置が、下顎の歯及び顎骨に関する全ての3Dボリュームデータが2D投影208に含まれるようにすることが分かる。しかし、図から分かるように、対向する顎の歯201に関する3Dボリュームデータも、生成された2D投影に含まれて、下顎の歯202のいくつかの面への視線をブロックする。
【0036】
図2C及び図2Dは、線205bに沿った第1クリッピング平面を適用する3Dボリュームデータ200のボリュームレンダリングによって生成された2D投影を示す。図2Cは、患者の側面からの視点で生成された2D投影を示し、図2Dは、視点が患者の前面からの場合の2D投影を示す。線205bに沿った第1クリッピング平面は、上顎の歯に関する全ての3Dボリュームデータがクリッピング平面の上方に位置するように配置される。ボリュームレンダリングにおいてこのようなクリッピング平面を適用することによって、対向する顎の歯が下顎の歯202への視線をブロックしないようにする。しかし、図2C及び図2Dに同様に示すように、生成された投影は、それぞれ下顎の後方歯202a及び前歯202bの咬合面及び切端面についてのボリュームデータを含まない。
【0037】
図3は、1つの実施形態に従った下顎の歯の表面スキャンの視覚的表示を示す。図3に示す表面スキャン311は、下顎の歯のトポグラフィを表す歯データ312及び歯肉の歯肉データ313を有する。表面スキャンは、例えば、3Shape A/Sが製造するTRIOSスキャナなどの口腔内スキャナを使用して記録できる。
【0038】
図4は、構造化クリッピング面を有する境界ボリュームを使用して、どのように1つの実施形態に従ってより選択的なボリュームレンダリングを提供できるかを示す。
【0039】
図4Aは、3Dボリュームデータ400、及び、ボリュームレンダリングにおいて使用される3Dボリュームデータの部分を画定する単純な境界ボックス415を示す。境界ボックス415は、第1クリッピング面405と第2クリッピング面416とを有する。第1クリッピング面は平面状であり、図2Aに示す第1クリッピング平面と同様に配置される。図2に同様に示すように、第1クリッピング面のこの配置は、上顎の歯についてのいくつかの3Dボリュームデータがボリュームレンダリングに含まれるようにする。
【0040】
図4Bは、下顎の歯の表面スキャンから画定された第1クリッピング面を有するように単純な境界415を修正することによって、どのように境界ボリュームが生成されるかを示す。境界ボックスは、境界ボリューム418の第1クリッピング面が、患者の歯のトポグラフィに従った形状を有するセクション419及びその背後の維持されるセクション420を有するように、第1クリッピング平面の一部分を表面スキャンと置き換えることによって修正され、歯の背後にある顎骨の部分をボリュームレンダリングに含めることができる。
【0041】
図4Cは、歯形状の部分419、維持されるセクション420、及び、歯形状の部分を取り囲むセクション421を含む、歯構造の第1クリッピング面を有する境界ボリューム418を示す。少なくとも1つの領域において歯の第1部分のトポグラフィに応じた形状を有する構造化第1クリッピング面は、ボリュームレンダリングが、図5に関して以下に説明するボリュームレンダリングのための適切な3Dボリュームデータをより正確に選択できる、と言う利点を有する。
【0042】
図5は、1つの実施形態に従って選択性が改良された3Dボリュームデータの2D投影を示す。
【0043】
図5A及び図5Bは、3Dボリュームデータをクロップするときに、境界ボリュームが歯のトポグラフィを考慮に入れる、3Dボリュームデータの2D投影を示す。図4B及び図4Cに示す構造化第1クリッピング面を有する境界ボリュームが、これらの2D投影が生成されるときに使用される。
【0044】
図5Aにおいて、2D投影524は、患者の顔の側面に位置する視点から見たレンダリングされた3Dボリュームデータを示す。この2D投影と、図2B及び図2C(単純な平面状の第1クリッピング面を有する境界ボックスが使用される)に示される2D投影と、の比較は、歯形状を有する第1クリッピング面が、どのように下顎に関する3Dボリュームデータの高度な選択的ボリュームレンダリングによって、クロップを提供するかを示す。3Dボリュームデータの選択の改良は、後方歯525の咬合面を2D投影に含められるようにし、2D投影において、前方歯526の切端面は、視線を妨げる対向する上顎からのボリュームデータ無しに見える。
【0045】
改良は、患者の顔の前面に位置する視点から見たボリュームレンダリングされた3Dボリュームデータの2D投影を示す図5Bの2D投影527においても明白である。この2D投影は図2Dに示すものと比較されるべきであり、改良された第1クリッピング平面の使用は、後方歯525の咬合面が2D投影527に含まれかつ前方歯526の切端面が視線を遮る対向する上顎からのボリュームデータ無しに見えるように、3Dボリュームデータをボリュームレンダリングするときに、より高い選択性を与えることは明らかである。
【0046】
図5Cは、2D投影が下顎の歯の内部構造も表すように、異なる種類の組織、即ち顎骨、歯の象牙質及びエナメル質についての閾値を使用して生成された2D投影を示す。これによって、レンダリングされた3Dボリュームデータが、これらの内部構造についてのデータを含むようにする。これは、歯の表面に関連しないボリュームデータを削除することによって新しい3Dモデルが生成される先行技術の手法に対する本開示の方法の利点の1つである。開示する方法においては、新しい2D投影は、ボリュームレンダリングによって各視点について生成され、すべての3Dボリュームデータが維持され、選択は、どのデータがボリュームレンダリングに含まれるかのみに関する。
【0047】
図6は、1つの実施形態に従って患者から記録された3Dボリュームデータを見るように構成されたユーザーインターフェイス629の部分を示す。
【0048】
2D投影624は、下顎のみの歯構造に関する3Dボリュームデータを選択するために、ボリュームレンダリングにおいて改良された第1クリッピング平面を使用することによって、生成される。2D投影を表示することに加えて、ユーザーインターフェイスは、パノラマ図631、並びに、3Dボリュームデータセットの軸方向図632、直交図633及び接線図634を示す3枚の2Dスライスも示す。この図は、開示する方法が、全ての3Dボリュームデータが維持され、生成された2D投影624と一緒に様々な図631、632、633及び634に表示できると言う利点を与えることを示す。
【0049】
図7は、1つの実施形態に従って、患者の下顎からのDボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングするために適用されたときの方法のステップを含むフローチャート740を示す。即ち、クロップは、上顎からのデータが、ボリュームレンダリングにおいて除外されるようにする。
【0050】
ステップ741において、患者の歯及び顎骨の3Dボリュームデータセットが取得される。3Dボリュームデータは、X線コンピュータ断層撮影スキャンによって与えられてもよく、方法を実現するように構成されたデータ処理システムのマイクロプロセッサにロードされてもよい。
【0051】
ステップ742において、下顎の歯の表面スキャンが、例えば3Shape A/Sから供給されるTRIOSスキャナを使用した口腔内スキャンによって取得され、マイクロプロセッサにロードされる。表面スキャンは、下顎の歯のトポグラフィを表すデータを含む。
【0052】
ステップ743において、第1クリッピング面が、取得された表面スキャンから画定される。第1クリッピング面は、境界ボリュームの部分として画定することができ、図4Bに示すように境界ボックスの一部分を表面スキャンと取り換えることによって形成できる。表面スキャン又は画定クリッピング面は、表面スキャンにおける歯の表面が対応する3Dボリュームデータと整列するように、3Dボリュームデータと同じ尺度及び向きを有するように向き及びサイズが定められる。
【0053】
整列は、表面スキャン及び3Dボリュームデータの対応する点を検出して、これらの点を整列することによって又は手動プロセスによって、表面スキャンと3Dボリュームデータの対応する部分との間の相違を最小化するために、Iterative Closest Pointアルゴリズムを使用して実施できる。
【0054】
ステップ744において、下顎の3Dボリュームデータの2D投影は、3Dボリュームデータのボリュームレンダリングにおいて第1クリッピング平面を適用することによって生成される。第1クリッピング面が境界ボリュームの一部であるとき、境界ボリュームは、第1クリッピング面が歯に沿うように配置され、ボリュームの第2クリッピング面は、下顎のボリュームデータに対向して配置される。
【0055】
図8は、患者の歯群からの3Dボリュームデータの選択的ボリュームレンダリングが歯の口腔内スキャンに基づく、1つの実施形態に従ったシステムの概略図である。システム850は、コンピュータ可読媒体852と、マイクロプロセッサ853の形式の電子データ処理装置と、を備える、コンピュータ装置851を備える。システムは、更に、視覚表示ユニット856と、操作者がコンピュータシステムの機能性を利用できるようにしかつデータを入力し視覚表示ユニット856上で視覚化されたユーザーインターフェイスの仮想ボタンを起動するための少なくとも1つのアクセス装置及び/又はインターフェイスと、を有する。アクセス装置及び/又はインターフェイスは、キーボード、マウス、タッチスクリーン、スタイラス、ジョイスティック、ライトペン、トラックボール、音声対話機能、3次元グローブ、ソリッド三次元マウスボール、グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)、ディスプレイ画面、プリンタ及びその他の既知の入力または出力装置及びインターフェイスを含むことができるが、これらに限定されない。図8において、アクセス装置は、コンピュータキーボード854及びコンピュータマウス855である。視覚表示ユニット856は、例えば、コンピュータ画面とすることができる。コンピュータは、多様なソフトウェアアプリを実行できる汎用コンピュータ又は特定機能に限定された専用装置とすることができる。コンピュータは、任意のタイプ、数、形式または構成のプロセッサ、システムメモリ、コンピュータ可読媒体、周辺機器及びオペレーティングシステムを含むことができる。コンピュータは、デスクトップ、ラップトップ、タブレットPC又はその他の既知の形式のパソコンを含む、パソコン(PC)を含むことができる。
【0056】
コンピュータ装置851は、患者の歯の表面スキャン及び3Dボリュームデータセットの両方を受信でき、これらのデータは、両方とも、コンピュータ可読媒体852に保存でき、処理のためにマイクロプロセッサ853にロードできる。表面スキャンは、例えば3Shape TRIOS A/S製造のTRIOS 3口腔内スキャナなどの口腔内スキャナ857を使用して記録された歯のデジタル3D表示として取得できる。3Dボリュームデータは、例えばコーンビームCTスキャナ858を使用して記録できる。
【0057】
マイクロプロセッサに本発明の方法のステップのいくつかを実施させるためのコンピュータ命令を含むコンピュータプログラム製品は、非一時的コンピュータ可読媒体852に保存される。例えば、コンピュータプログラム製品は、表面スキャン及び3Dボリュームデータセットを操作し整列するため及び2D投影を生成するためにボリュームレンダリングにおいて使用されるレイトレーシングを実施するためのアルゴリズムを有することができる。コンピュータシステムは、取得されたデータを自動的に又は操作者のコマンドに応じて実施できる方法のステップを実行できるようにする。
【0058】
表面スキャン及び3Dボリュームデータが使用者の支援によって整列される場合、システム850は、操作者が、視覚表示ユニット856上で表面スキャン及び3Dボリュームデータの視覚表示をドラグ又は回転するために、例えばコンピュータマウスを使用して、正確な解剖学的配置を最良に反映する空間的配置に従って、表面スキャン及び3Dボリュームデータを配置できるようにする。操作者が相対的配置に満足したら、操作者は、ユーザーインターフェイスの仮想プッシュボタンを起動し、空間的関係は、コンピュータ可読媒体852に保存される。コンピュータ可読媒体852はまた、例えばICPベースのアルゴリズムなど自動的に整列を実施するための命令も有することができる。
【0059】
いくつかの実施形態について詳細に説明し図示したが、本開示は、これらの実施形態に限定されず、下記の特許請求の範囲によって規定される内容の範囲内で、他の様式でも実現できる。特に、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用可能であり、構造的及び機能的修正を加えることができることが、分かるはずである。
【0060】
1つの請求項が、先行する請求項のいずれかに言及する場合があり、「いずれか」は、先行する請求項の「いずれか1項又はそれ以上」を意味するものと解釈される。
【0061】
本明細書において使用される場合、用語「含む/備える(comprise)」は、提示される特徴、完成品、ステップ又は構成要素の存在を特定するものと見なされるが、1つ又は複数の他の特徴、完成品、ステップ、構成要素又はそれらのグループの存在又は付加を妨げるものではないことが強調される。
【0062】
以上及び以下で説明される方法の特徴は、ソフトウェアにおいて実現され、データ処理システム又はコンピュータ実行可能命令の実行によって得られるその他の処理手段で実行できる。命令は、記憶媒体から又はコンピュータネットワークを介して別のコンピュータからRAMなどのメモリにロードされたプログラムコード手段とすることができる。代替的に、説明する特徴は、ソフトウェアの代わりに配線回路によって、又は、ソフトウェアとの組み合わせで実現できる。
【符号の説明】
【0063】
100 ボリュームデータ
101 上顎歯
102 下顎歯
103 下顎骨
200 ボリュームデータ
201 歯
202 歯
202a 後方歯
202b 前歯
205a 水平線
205b 水平線
208 2D投影
209 2D投影
311 表面スキャン
312 歯データ
313 歯肉データ
400 ボリュームデータ
405 第1クリッピング面
415 境界ボックス
416 第2クリッピング面
418 境界ボリューム
419 セクション(部分)
420 セクション
421 セクション
524 2D投影
525 後方歯
526 前方歯
527 2D投影
528 2D投影
624 2D投影
629 ユーザーインターフェイス
631 パノラマ図
632 軸方向図
633 直交図
634 接線図
850 システム
851 コンピュータ装置
852 コンピュータ可読媒体
853 マイクロプロセッサ
854 コンピュータキーボード
855 コンピュータマウス
856 視覚表示ユニット
857 口腔内スキャナ
858 CTスキャナ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-04-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者からの3Dボリュームデータを選択的にボリュームレンダリングする方法であって、
-前記患者の体内の第1身体構造及び第2身体構造についてのデータを含む3Dボリュームデータセットを取得することと、
-第1クリッピング面及び第2クリッピング面を有する境界ボックスを画定することであって、前記境界ボックスは、ボリュームレンダリングで使用される前記3Dボリュームデータセットの一部を画定することと、
-少なくとも部分的に前記第1クリッピング面を前記第1身体構造の表面スキャンと置き換えることと、
前記表面スキャンが前記3Dボリュームデータと同じ尺度及び向きを有するように、前記表面スキャンの向き及びサイズを定めることであって、前記表面スキャンにおける歯の表面は、対応する3Dボリュームデータと整列されることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1身体構造が、前記患者の顎部の第1顎の歯構造を含み、前記第2身体構造が、前記患者の顎部の前記第1顎と対向する第2顎の歯構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者の顎部の第1顎の身体構造が、前記患者の顎部の前記第1顎の顎骨又は歯の少なくとも一部の構造を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記ボリュームレンダリングに含まれる前記3Dボリュームデータを囲繞するように配置される境界ボリュームを生成することを含み、前記境界ボリュームの1つの面の少なくとも一部が前記第1クリッピング面によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ボリュームレンダリングが、少なくとも部分的にレイトレーシングに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1クリッピング面が前記第1身体構造から離れる方へ移動するように、前記第1クリッピング面と前記3Dボリュームデータとの間にオフセットが与えられる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
下顎の3Dボリュームデータの2D投影は、前記3Dボリュームデータのボリュームレンダリングにおいて前記第1クリッピング面を適用することによって生成され、前記第1クリッピング面は、境界ボリュームの一部であり、前記境界ボリュームは、前記第1クリッピング面が前記歯に沿い、前記境界ボリュームの前記第2クリッピング面が前記下顎の前記3Dボリュームデータに対向して位置する、ように配置される請求項1に記載の方法。