IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターベット インターナショナル ベー. フェー.の特許一覧

特開2023-99059注射可能なイソオキサゾリン医薬組成物および寄生生物の寄生に対するそれらの使用
<>
  • 特開-注射可能なイソオキサゾリン医薬組成物および寄生生物の寄生に対するそれらの使用 図1
  • 特開-注射可能なイソオキサゾリン医薬組成物および寄生生物の寄生に対するそれらの使用 図2
  • 特開-注射可能なイソオキサゾリン医薬組成物および寄生生物の寄生に対するそれらの使用 図3
  • 特開-注射可能なイソオキサゾリン医薬組成物および寄生生物の寄生に対するそれらの使用 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099059
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】注射可能なイソオキサゾリン医薬組成物および寄生生物の寄生に対するそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230704BHJP
   A61P 33/00 20060101ALI20230704BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230704BHJP
   A61K 31/42 20060101ALI20230704BHJP
   A61K 31/365 20060101ALI20230704BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20230704BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230704BHJP
   A61P 33/14 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P33/00
A61K9/10
A61K31/42
A61K31/365
A61K31/7048
A61K9/14
A61P33/14
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023070584
(22)【出願日】2023-04-24
(62)【分割の表示】P 2020524298の分割
【原出願日】2018-11-06
(31)【優先権主張番号】62/582,381
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/608,904
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】フリーホーフ,キース・エー
(72)【発明者】
【氏名】カリーヨ,ブライアン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】寄生生物に対して長期の効力を有し、注射部位刺激のリスクが低減された注射可能なイソオキサゾリン組成物を提供する。
【解決手段】式(I)のイソオキサゾリン化合物またはその塩もしくはN-オキシドを含み、ここで、イソオキサゾリン化合物の粒子径が約25ミクロンから約250ミクロンである、注射可能な医薬組成物、ならびにこれを用いて寄生生物の寄生を予防または処置する方法を提供する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
のイソオキサゾリン化合物であって、式中、
は、ハロゲン、CF、OCFまたはCNであり;
nは、0から3以下の整数、好ましくは1、2または3であり:
mは、1または2であり;
は、C-Cハロアルキル、CFまたはCFClであり、
Tは、5員または6員の環または二環であって、1以上の基Yにより置換されていてもよ
く;
Yは、メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO、NH-C=Sであるか、または
2個の隣接する基Yが一緒になって鎖を形成し;
Qは、X-NR、NR-NR-X-R、X-Rまたは5員のN-ヘテロア
リール環であって、1以上の基により置換されていてもよく;
Xは、CH、CH(CH)、CH(CN)、CO、CSであり;
は、水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メト
キシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメ
チル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチ
ル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチ
ルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、
メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロ
ピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミ
ノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニ
ルアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、シクロアル
キル、
【化2】
であり;
ここで、
は、水素、ハロゲン、シアノまたはハロメチル(CF)であり;
は、水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエ
トキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカル
ボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、
アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジ
メトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチ
ル、シアノメチルアミノカルボニルメチルまたはハロエチルアミノカルボニルエチルであ
り;
は、H、アルキルまたはハロアルキルであり;
は、H、アルキルまたはハロアルキルであり;
または、ここで、RおよびRは一緒になって、
【化3】
よりなる群から選択される置換基を形成する化合物またはその塩もしくはN-オキシドの
粒子、および、薬学的に許容される添加剤を含む注射可能な医薬組成物であって、ここで
、前記イソオキサゾリン化合物は、静的光散乱装置により測定される体積重み付け粒子径
分布のD50が約25ミクロンから約250ミクロンである、前記医薬組成物。
【請求項2】
イソオキサゾリン化合物が組成物中のn懸濁物(n suspension)である、
請求項1の注射可能な医薬組成物。
【請求項3】
粒子径分布D50が約75ミクロンから約150ミクロンである、請求項1~2のいず
れかの注射可能な医薬組成物。
【請求項4】
粒子径分布D50が約90ミクロンから約110ミクロンである、請求項3の注射可能
な医薬組成物。
【請求項5】
イソオキサゾリン化合物がフルララネルである、請求項1~4のいずれかの注射可能な
医薬組成物。
【請求項6】
イソオキサゾリン化合物が約5%w/vから約50%w/vの間の量で存在する、請求
項1~5のいずれかの注射可能な医薬組成物。
【請求項7】
イソオキサゾリン化合物が約25%w/vから約35%w/vの間の量で存在する、請
求項6の注射可能な医薬組成物。
【請求項8】
イソオキサゾリン化合物が約5%w/vから約10%w/vの間の量で存在する、請求
項6の注射可能な医薬組成物。
【請求項9】
組成物がビヒクルで再構成される、請求項1~8のいずれかの注射可能な医薬組成物。
【請求項10】
組成物が別の殺寄生生物化合物をさらに含む、請求項1~9のいずれかの注射可能な医
薬組成物。
【請求項11】
殺寄生生物化合物が大環状ラクトンである、請求項10の注射可能な医薬組成物。
【請求項12】
大環状ラクトン化合物がモキシデクチンおよびミルベマイシンから選ばれる、請求項1
1の注射可能な医薬組成物。
【請求項13】
殺寄生生物化合物がモキシデクチンである、請求項12の注射可能な医薬組成物。
【請求項14】
モキシデクチンが約0.1%w/vから約1.0%w/vの間の量で存在する、請求項
13の注射可能な医薬組成物。
【請求項15】
必要がある動物に有効量の請求項1~14のいずれかの注射可能な医薬組成物を投与す
ることを含む、動物において寄生生物の寄生を処置または予防する方法。
【請求項16】
動物が最小限の注射部位刺激を患う、請求項15の方法。
【請求項17】
動物がコンパニオンアニマルである、請求項15~16のいずれか一項の方法。
【請求項18】
コンパニオンアニマルがイヌである、請求項17の方法。
【請求項19】
注射可能なイソオキサゾリン医薬組成物が、別個の注射可能な殺寄生生物組成物と共に
投与される、請求項15~18のいずれか一項の方法。
【請求項20】
投与が同時または逐次的である、請求項19の方法。
【請求項21】
体積重み付け粒子径分布のD50が約75ミクロンから約130ミクロンであり、およ
び粒子径のD10が約30ミクロンから約50ミクロンである、請求項1~13のいずれ
かの注射可能な医薬組成物。
【請求項22】
動物において寄生生物の寄生を処置または予防するキットであって、2個またはそれよ
り多い容器を含み、
a) 固体結晶のイソオキサゾリン化合物;
b) a)の化合物と懸濁物を形成する能力がある薬学的に許容される添加剤を含むビヒ
クル;および
c) 注射の前に固体結晶のイソオキサゾリン化合物とビヒクルを組み合わせるための指
示書を含み、
ここで、固体結晶のイソオキサゾリン化合物について、体積重み付け粒子径分布のD50
が約75ミクロンから約130ミクロンであり、そして粒子径のD10が約30ミクロン
から約50ミクロンである、前記キット。
【請求項23】
イソオキサゾリン化合物がフルララネルである、請求項22のキット。
【請求項24】
必要がある動物に請求項22または23のキットを投与することを含む、動物において
寄生生物の寄生を処置または予防する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
イソオキサゾリン化合物は当該技術分野で知られており、これらの化合物および抗寄生
生物剤としてのそれらの使用は、例えば、米国特許出願US2007/0066617、
ならびに国際特許出願WO2005/085216、WO2007/079162、WO
2009/002809、WO2009/024541、WO2009/003075、
WO2010/070068およびWO2010/079077中に記載されており、こ
れらの開示、並びに、本明細書中で引用される参考文献は、参照により組み込まれる。こ
の分類の化合物は、外部寄生生物、すなわち、ノミおよびマダニのような寄生性の昆虫お
よびダニ類に対して優れた活性を有することが知られている。
【0002】
イソオキサゾリン化合物の例は、カルバモイルベンズアミドフェニルイソオキサゾリン
(CBPI)化合物である。CBPI化合物の具体例は、4-[5-(3,5-ジクロロ
フェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]
-2-メチル-N-[(2,2,2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-メチル]-
ベンズアミド(CAS RN[864731-61-3])-USANフルララネルであ
る。
【化1】
【0003】
CBPI化合物フルララネルは、特許出願WO2005/085216中に開示されて
いる。
【0004】
WO2015/048371は、スピロ環式イソオキサゾリン化合物、1つのバイオポ
リマーおよび少なくとも1つの担体、溶媒または添加剤を含む長時間作用性の注射可能な
組成物を開示している。
【0005】
WO2016/138339は、少なくとも1つのイソオキサゾリン活性薬剤、ポロキ
サマーおよび共溶媒を含ませるための長時間作用性の注射可能な製剤を開示している。懸
濁物である製剤やイソオキサゾリンの粒子径の開示はない。
【0006】
WO2016/164487は、寄生生物に対する使用のための、少なくとも1つのイ
ソオキサゾリン活性薬剤、薬学的に許容されるポリマーおよび溶媒を含む持続放出性の注
射可能な動物用医薬製剤を開示している。懸濁物である製剤やイソオキサゾリンの粒子径
の開示はない。
【0007】
米国特許第9,609,869号は、農業、園芸、畜産およびコンパニオンアニマルに
関連した有害生物の防除における使用のための、イソオキサゾリン誘導体に基づいた殺虫
性化合物を開示している。注射可能な製剤や動物への投与の開示はない。
【0008】
米国特許出願公開第2017/0239218号は、少なくとも1つのイソオキサゾリ
ン活性薬剤、液状PEGおよび/または中性油を含む、寄生生物を駆除するための長時間
作用性の注射可能な組成物を開示している。懸濁物である製剤やイソオキサゾリンの粒子
径の開示はない。
【0009】
これらの参考文献はいずれも、寄生生物に対して長期の効力を有し、注射部位刺激のリ
スクが低減された注射可能なイソオキサゾリン組成物を同定するという課題に対する解決
手段を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US2007/0066617
【特許文献2】WO2005/085216
【特許文献3】WO2007/079162
【特許文献4】WO2009/002809
【特許文献5】WO2009/024541
【特許文献6】WO2009/003075
【特許文献7】WO2010/070068
【特許文献8】WO2010/079077
【特許文献9】WO2015/048371
【特許文献10】WO2016/138339
【特許文献11】WO2016/164487
【特許文献12】米国特許第9,609,869号
【特許文献13】米国特許出願公開第2017/0239218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、寄生生物に対して長期の効力を有し、注射部位刺激のリスクが
低減された注射可能なイソオキサゾリン組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のある実施形態は、式(I)
【化2】
【0013】
のイソオキサゾリン化合物であって、式中、
は、ハロゲン、CF、OCFまたはCNであり;
nは、0から3以下の整数、好ましくは1、2または3であり:
mは、1または2であり;
は、C-Cハロアルキル、CFまたはCFClであり、
Tは、5員または6員の環または二環であって、1以上の基Yにより置換されていてもよ
く;
Yは、メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO、NH-C=Sであるか、または
2個の隣接する基Yが一緒になって鎖を形成し;
Qは、X-NR、NR-NR-X-R、X-Rまたは5員のN-ヘテロア
リール環であって、1以上の基により置換されていてもよく;
Xは、CH、CH(CH)、CH(CN)、CO、CSであり;
は、水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メト
キシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメ
チル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチ
ル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチ
ルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、
メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロ
ピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミ
ノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニ
ルアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、シクロアル
キル、
【化3】
【0014】
であり;
ここで、
は、水素、ハロゲン、シアノまたはハロメチル(CF)であり;
は、水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエ
トキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカル
ボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、
アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジ
メトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチ
ル、シアノメチルアミノカルボニルメチルまたはハロエチルアミノカルボニルエチルであ
り;
は、H、アルキルまたはハロアルキルであり;
は、H、アルキルまたはハロアルキルであり;
または、ここで、RおよびRは一緒になって、
【化4】
【0015】
よりなる群から選択される置換基を形成する化合物またはその塩もしくはN-オキシドの
粒子、および、薬学的に許容される添加剤を含む注射可能な医薬組成物であって、ここで
、イソオキサゾリン化合物は、静的光散乱装置により測定される体積重み付け粒子径分布
のD50が約25ミクロンから約250ミクロンを有する、医薬組成物である。
【0016】
追加の実施形態は、必要がある動物に有効量の上記の注射可能な医薬組成物を投与する
ことを含む、動物において寄生生物の寄生を処置または予防する方法である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】イヌにおけるフルララネル大粒子懸濁物の皮下投与後の平均フルララネル血漿濃度である。
図2】照射、および、ポロキサマー不存在での効果を実証するための平均フルララネル血漿濃度である。
図3】粒子径分布が異なる注射可能な製剤の平均フルララネル血漿濃度である。
図4】NaCMCおよびポロキサマーの濃度変化、並びに異なるD50粒子径の効果を決定するための平均フルララネル血漿濃度である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
規定された粒子径を有するイソオキサゾリン化合物の粒子を含む本発明の注射可能な組
成物は、望ましい生物学的利用能および効力持続を示す一方で、注射部位において最小限
の刺激しか引き起こさないことが見出された。この組成物はまた、温血動物および鳥獣の
レシピエントに対して望ましい安全性プロファイルを提供する。加えて、かかる組成物の
単回投与は、一般に1以上の寄生生物(例として外部寄生生物、例としてノミ、マダニま
たはダニ(mite))に対して強力な活性を提供する一方、活性の早期発現、活性の長
時間持続、および/または望ましい安全性プロファイルを提供する傾向もあることが発見
された。
【0019】
本発明はまた、抗寄生生物有効量の規定された粒子径の少なくとも1つのイソオキサゾ
リン化合物を薬学的に許容される添加剤と共に含む有効量の注射可能な組成物を投与する
ことを含む、動物における寄生生物の感染および寄生の処置または予防のための方法を提
供する。驚くべきことに、本明細書中に記載される本発明のイソオキサゾリン含有組成物
は、当該技術分野で知られているイソオキサゾリン活性薬剤を含有する他の注射可能な組
成物と比べて、有害な寄生生物(例として外部寄生生物、例えばノミおよびマダニなど)
に対して優位で広スペクトルの効力をより迅速にかつ長い持続時間にわたって呈するが、
注射部位において最小限の刺激しか呈さないことが見出された。
【0020】
本発明の医薬組成物は、皮下または筋肉内注射により投与することができる。同様に静
脈内注射も可能である。
【0021】
定義
イソオキサゾリン化合物は当該技術分野で知られており、この分類の化合物は、寄生生
物の寄生、例えばマダニおよびノミに対して優れた活性を有することが知られている。対
象発明の様々なイソオキサゾリン化合物の実施形態は下に提供される。
【0022】
注射部位刺激は、動物が医薬組成物の注射を受けたときに注射部位および周辺の組織に
おいて生じる損傷である。かかる損傷は、腫脹、皮膚変色および組織壊死であり得る。い
くつかの動物においては何かしらの注射部位刺激は不可避であるが、2から3日よりも長
い間続く2×2cmより大きい注射部位腫脹は、獣医師および動物の所有者によって許容
されないものと一般に考えられる。最小限の注射部位刺激は、2から3日よりも短い間続
く、2×2cmより小さい注射部位刺激を意味する。この基準は、狂犬病ワクチンのよう
な注射を受ける動物との関連で、獣医師およびその顧客によって一般に受け入れられる。
【0023】
本明細書中で用いられるとき、報告される粒子径データは、当業者に周知である慣用的
な粒子技術、例えば静的光散乱(レーザー回折としても知られる)、画像解析またはふる
い分けによって測定されるような体積重み付けされたものである。粒子径測定のさらなる
議論は下に提供される。
【0024】
薬学的に許容される添加剤は、薬剤のためのビヒクルまたは媒体を形成する不活性物質
である。
【0025】
寄生生物の「寄生」とは、ヒトまたは動物にリスクをもたらす数の寄生生物が存在する
ことをいう。この存在は、環境中、例えば動物の寝床中のもの、または動物の皮膚もしく
は毛の上のものなどであり得る。言及される寄生が動物の体内、例として血液中または他
の内部組織中のものであるとき、寄生という用語は、特に述べられないかぎり、その用語
が当該技術分野で一般に理解されるように、用語「感染」と同義であることも意図される
【0026】
懸濁物は、その粒子が流体(液体もしくはガス)または固体と混合されているがこれら
の中で溶解していないときの物質の状態を意味する。
【0027】
希釈剤は、混合物、懸濁物または溶液を希釈するために用いられる物質である。
【0028】
ビヒクルは、その中で医薬的活性薬剤が製剤化されるまたは投与される溶媒(または希
釈剤)として用いられる担体または不活性媒体である。
【0029】
本発明の医薬組成物は、外部寄生生物、すなわちヒトおよび家畜およびコンパニオンア
ニマルに有害なまたはこれらにおいて疾患を広げるもしくは疾患の媒介者として作用する
節足動物の防除においてとりわけ価値がある。
【0030】
重要な節足動物の寄生生物-外部寄生生物(昆虫およびダニ類の有害生物)は、下によ
り詳細に記載される。
【0031】
刺咬昆虫としては、例えば、ウシにおけるウシバエ属種(Hypoderma sp.
)、ウマにおけるガストロフィルス(Gastrophilus)およびげっ歯類におけ
るウサギヒフバエ属種(Cuterebra sp.)のような移動性の双翅目(dip
erous)幼虫、同様に全てのタイプの刺咬性ハエおよび蚊の種を含む。例えば、吸血
性の成虫ハエとしては、例として、ノサシバエ(horn fly)つまりヘマトビア・
イリタンス(Haematobia irritans)、ウシアブ(horse fl
y)つまりアブ属種(Tabanus spp.)、サシバエ(stable fly)
つまりストモキシス・カルシトランス(Stomoxys calcitrans)、ブ
ユ(black fly)つまりブユ属種(Simulium spp.)、メクラアブ
(deer fly)つまりメクラアブ属種(Chrysops spp.)、シラミバ
エ(louse fly)つまりメロファグス・オビヌス(Melophagus ov
inus)、ツェツェバエ(tsetse fly)つまりツェツェバエ属種(Glos
sina spp.)を含む。寄生性のハエのウジとしては、例えば、ウマバエ(bot
fly)(エストルス・オビス(Oestrus ovis)およびウサギヒフバエ属
種(Cuterebra spp.))、クロバエ(blow fly)つまりフェニシ
ア属種(Phaenicia spp.)、ラセンウジバエ(screwworm)つま
りコクリオミア・ホミニボラクス(Cochliomyia hominivorax)
、ウシバエ(cattle grub)つまりウシバエ属種(Hypoderma sp
p.)、およびフリースワーム(fleeceworm)を含む。蚊としては、例えばイ
エカ属種(Culex spp.)、ハマダラカ属種(Anopheles spp.)
およびヤブカ属種(Aedes spp.)を含む。
【0032】
ダニ(mite)としては、ワクモ(chicken mite) デルマニスス・ガ
リナエ(Dermanyssus gallinae);ヒゼンダニ(itch mit
eまたはscab mite)またはヒゼンダニ(mange mite)(コナダニ亜
目(Astigmata))、例えばヒゼンダニ科の種(Sarcoptidae sp
p.)、例えばサルコプテス・スカビエイ(Sarcoptes scabiei);ヒ
ゼンダニ(mange mite)、例えばコリオプテス・ボビス(Choriopte
s bovis)、ソロプテス・オビス(Psoroptes ovis)およびデモデ
クス・カニス(Demodex canis)を包含するキュウセンダニ科の種(Pso
roptidae spp.)など;耳ダニ(ear mite) オトデクテス・シノ
チス(Otodectes cynotis);ツツガムシ(chigger)、例とし
て、ツツガムシ科の種(Trombiculidae spp.)、例えば北米ツツガム
シ(North American chigger)、トロムビクラ・アルフレデュゲ
シ(Trombicula alfreddugesi)を含む。
【0033】
マダニとしては、例えば、ヒメダニ科の種(Argasidae spp.)を包含す
るヒメダニ(soft-bodied tick)、例えばナガヒメダニ属種(Arga
s spp.)およびヒメダニ属種(Ornithodoros spp.);マダニ科
の種(Ixodidae spp.)を包含するマダニ(hard-bodied ti
ck)、例えばイキソデス・リシヌス(Ixodes ricinus)、イキソデス・
スカプラリス(Ixodes scapularis)、リピセファルス・サングイネウ
ス(Rhipicephalus sanguineus)、チマダニ属種(Haema
physalis spp)、デルマセントル・レチクラツス(Dermacentor
reticulatus)、デルマセントル・バリアビリス(Dermacentor
variabilis)、アムブリオマ・アメリカヌム(Amblyomma ame
ricanum)およびウシマダニ属種(Boophilus spp.)を含む。
【0034】
シラミとしては、例えば、吸血性のシラミ、例として、メノポン属種(Menopon
spp.)およびボビコラ属種(Bovicola spp.);刺咬性のシラミ、例
として、ヘマトピヌス属種(Haematopinus spp.)、リノグナトス属種
(Linognathus spp.)およびソレノポテス属種(Solenopote
s spp.)を含む。
【0035】
ノミとしては、例えば、イヌノミ属種(Ctenocephalides spp.)
、例えばイヌノミ(dog flea)(クテノセファリデス・カニス(Ctenoce
phalides canis))およびネコノミ(cat flea)(クテノセファ
リデス・フェリス(Ctenocephalides felis))など;ネズミノミ
属種(Xenopsylla spp.)、例えばケオプスネズミノミ(orienta
l rat flea)(キセノプシラ・ケオピス(Xenopsylla cheop
is))など;ならびにヒトノミ属種(Pulex spp.)、例えばヒトノミ(hu
man flea)(プレクス・イリタンス(Pulex irritans))を含む
【0036】
ナンキンムシとしては、例えば、トコジラミ科(Cimicidae)、つまり例とし
て一般的なトコジラミ(bed bug)(キメクス・レクツラリウス(Cimex l
ectularius));オオサシガメ(kissing bug)としても知られる
オオサシガメ(triatomid bug)を包含するオオサシガメ亜科の種(Tri
atominae spp.);例えばロドニウス・プロリクスス(Rhodnius
prolixus)およびサシガメ属種(Triatoma spp.)を含む。
【0037】
本発明の組成物は、卵、幼虫(nymph)および幼虫(larvae)、若虫および
成虫ステージを含む様々な生活環ステージの寄生生物の処置および防除のために価値があ
る。
【0038】
疑義が生じないようにするため、本明細書中で用いられるとき、本明細書中での「処置
」への言及は治癒的および緩和的な処置への言及を包含し、「外部寄生生物の防除」への
言及は動物上および動物の環境中の有害生物を殺傷すること、撃退すること、駆逐するこ
と、無能力にすること、阻止すること、除去すること、軽減すること、最小化すること、
根絶することを包含する。
【0039】
「外部寄生生物の寄生の防除」は、動物内および/もしくは動物上の寄生生物の数を軽
減もしくは低減させること、ならびに/または動物内もしくは動物上での寄生生物寄生の
発達を全体的もしくは部分的に阻害することを意味する。
【0040】
予防は、新たなまたは次の寄生または感染が確立されることを止めることである。
【0041】
防除または化合物の「効力」は、最初の投与の後に寄生生物のカウントが、5%から約
100%の範囲の量、低減されることを意味する。節足動物(例えば昆虫、ダニ類)の防
除は、殺虫性および/または殺ダニ性であり得る。本発明の化合物の効果は、例えば、殺
卵子性、殺幼虫性(larvicidal)、殺幼虫性(nymphicidal)およ
び/もしくは殺成虫性またはそれらの組み合わせであり得る。効果は、直接的に現れるも
の、すなわち寄生生物を直ちにもしくはいくらかの時間が経過した後に、例えば脱皮が起
こるときに殺傷することもしくはそれらの卵を破壊することであり得て、または間接的に
現れるもの、例えば、産卵数および/もしくは孵化率を低減させることであり得る。
【0042】
本発明による化合物のインビボでの投与について、有効量は「薬学的有効量」と同義で
あり、これは、処置された動物による寄生生物の感染もしくは寄生の症候および/もしく
は徴候を処置もしくは回復させる、もしくは動物内および/もしくは動物上の寄生生物の
数を低減させる、および/または動物内もしくは動物上での寄生生物寄生の発達を全体的
もしくは部分的に阻害する用量または量である。この後者の量は、当業者によって、例え
ば、処置された動物の臨床症状または挙動の変化を観察または検出することにより、並び
にかかる処置後の寄生生物の数の相対的変化を観察または検出することによっても容易に
決定される。
【0043】
薬剤の全身投与は、標的(器官または寄生生物)に血流を通じて達することを意味する
【0044】
動物は、コンパニオンアニマルを包含する哺乳動物を意味する。コンパニオンアニマル
は、イヌ、ネコまたはウマを意味する。
【0045】
再構成可能な製剤は、ビヒクルが1つの容器であり、活性成分が別の容器内にあって、
2つの容器が投与前の同じ時点で合わされる製剤である。
【0046】
ビヒクルは、製剤に必要な添加剤、例えば希釈剤、湿潤剤、消泡剤、ph調整剤などの
うちのいくつかまたは全てを含有する。
【0047】
ある実施形態において、本発明における使用のためのイソオキサゾリン化合物は、薬学
的に許容されるその塩、エステルおよび/またはN-オキシドをも包含する。加えて、イ
ソオキサゾリン化合物への言及は、その多形形態または立体異性体のいずれにも等しく言
及する。
【0048】
ある実施形態において、本発明による医薬組成物は、本発明における使用のためのイソ
オキサゾリンのラセミ混合物を使用し得て、これは上記のイソオキサゾリン化合物のエナ
ンチオマーを等量含有する。あるいは、医薬組成物は、本明細書中に定義されるイソオキ
サゾリンのエナンチオマーのうちの1つがラセミ混合物と比べて富化された立体異性体を
含有するイソオキサゾリン化合物を用い得る。また、医薬組成物は、かかるイソオキサゾ
リン化合物の本質的に純粋な立体異性体を用い得る。本発明における使用のための、かか
る富化または精製されたイソオキサゾリン立体異性体調製物は、当該技術分野で知られて
いる方法により調製され得る。例は、触媒的不斉合成またはジアステレオマー塩の分離を
利用する化学プロセスである(例として:それぞれWO2009/063910およびJ
P2011/051977を参照されたい)。
【0049】
本発明における使用のためのイソオキサゾリンのある実施形態において、Tは、
【化5】
【0050】
から選択され、ここでT-1、T-3およびT-4において、基Yは、水素、ハロゲン、
メチル、ハロメチル、エチルまたはハロエチルである。
【0051】
本発明における使用のためのイソオキサゾリンのある実施形態において、Qは、
【化6】
【0052】
から選択され、ここで、R、R、XおよびZは、上に規定されるとおりであり、そ
して、Zは、
【化7】
【0053】
であり、
は、
【化8】
【0054】
である。
【0055】
ある実施形態において、本発明における使用のためのイソオキサゾリンは、表1中に表
されるとおりである。
【0056】
表1:
【表1】
【0057】
表1(続き):
【表2】
【0058】
ある実施形態において、本発明における使用のためのイソオキサゾリンは、表2中に表
されるとおりである。
【0059】
表2:
【表3】
【0060】
ある実施形態において、本発明における使用のためのイソオキサゾリンは、化合物:
【化9】
【0061】
であり、ここで、R1a、R1b、R1cは、互いに独立して:水素、ClまたはCF
である。
【0062】
好ましくは、R1aおよびR1cはClまたはCFであり、そして、R1bは水素で
あり、Tは、
【化10】
【0063】
であり、ここで、Yは、メチル、臭素、Cl、F、CNまたはC(S)NHであり;n
は、1または2であり;そして、Qは上記のとおりである。
【0064】
本明細書中に定義されるイソオキサゾリンのある実施形態において、RはHであり、
は:-CH-C(O)-NH-CH-CF、-CH-C(O)-NH-CH
-CH、-CH-CH-CFまたは-CH-CFである。
【0065】
本発明による医薬組成物のある実施形態において、イソオキサゾリンは、フルララネル
、アフォキソラネル、ロチラネルまたはサロラネルよりなる群から選択される1以上であ
る。
【0066】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は、4-[5-(3,5-ジクロロフェニ
ル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-2-
メチル-N-[(2,2,2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-メチル]-ベンズ
アミド(CAS RN 864731-61-3-USANフルララネル)である。
【0067】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、WO2007/079162中に開示さ
れた4-[5-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5-ジヒド
ロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-N-[2-オキソ-2-[
(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-1-ナフタレンカルボキサミド
(CAS RN 1093861-60-9、USAN-アフォキソラネル)である。
【0068】
本発明による医薬組成物のある実施形態において、イソオキサゾリンは、ロチラネル(
CAS RN:1369852-71-0;3-メチル-N-[2-オキソ-2-(2,
2,2-トリフルオロエチルアミノ)エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-ト
リクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-1,2-オキサゾール-3-
イル]チオフェン-2-カルボキサミド)である。
【0069】
本発明による医薬組成物のある実施形態において、イソオキサゾリンは、サロラネル(
CAS RN:1398609-39-6;1-(5′-((5S)-5-(3,5-ジ
クロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソ
オキサゾール-3-イル)-3′-H-スピロ(アゼチジン-3,1′-(2)ベンゾフ
ラン)-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノン)である。
【0070】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、(Z)-4-[5-(3,5-ジクロロ
フェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]
-N-[(メトキシイミノ)メチル]-2-メチルベンズアミド(CAS RN 928
789-76-8)である。
【0071】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、WO2009/0080250中に開示
された4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-
イソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-(チエタン-3-イル)ベンズアミド
(CAS RN 1164267-94-0)である。
【0072】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、WO2007/079162中に開示さ
れた4-[5-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5-ジヒド
ロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-N-[2-オキソ-2-[
(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-1-ナフタレンカルボキサミド
(CAS RN 1093861-60-9、USAN-アフォキソラネル)である。
【0073】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、WO2010/070068中に開示さ
れた5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロ
メチル)-3-イソオキサゾリル]-3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2,2,
2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-2-チオフェンカルボキサミド(CAS
RN 1231754-09-8)である。
【0074】
本発明の長時間作用性の注射可能な組成物は、薬学的に許容される添加剤を包含する。
薬学的に許容される添加剤としては、限定されるものではないが、界面活性剤、抗酸化剤
、保存剤、pH安定化剤(例えばバッファー)、および他の非活性の添加剤を含む。別の
実施形態において、本発明の組成物は、約0.01%からの約20%(w/v)の薬学的
に許容される添加剤を含み得る。他の実施形態において、組成物は、約0.01%から約
5%(w/v)、約0.1%から約10%(w/v)、または約0.1%から約5%(w
/v)の薬学的に許容される添加剤を含み得る。他の実施形態において、組成物は、約5
から約15%(w/v)、または約5から約10%(w/v)の薬学的に許容される添加
剤を含み得る。なお別の実施形態において、組成物は、約7から約10%の薬学的に許容
される添加剤を含み得る。
【0075】
界面活性剤は、本発明の組成物中に約0.1%から約10%(w/w)、約1%から約
10%(w/w)、または約5%から約10%(w/w)の濃度で存在し得る。より典型
的には、界面活性剤は、約0.1%から約5%(w/w)、または約1から約5%(w/
w)の濃度で存在し得る。組成物中で用いられ得る界面活性剤の例としては、限定される
ものではないが、グリセリルモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル、ソルビタンモノオレエート(Span(登録商標)20)を包含するソルビタンエ
ステル、ポリビニルアルコール、ポリソルベート20およびポリソルベート80を包含す
るポリソルベート、d-a-トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネー
ト(TPGS)、ラウリル硫酸ナトリウム、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの
コポリマー(例としてポロキサマー、例えばLUTROL(登録商標) F87など)、
ポリオキシル35ヒマシ油(Cremophor(登録商標) EL)、ポリオキシル4
0水素添加ヒマシ油(Cremophor(登録商標) RH40)、ポリオキシル60
水素添加ヒマシ油(Cremophor(登録商標) RH60)を包含するポリエチレ
ングリコールヒマシ油誘導体;プロピレングリコールモノラウレート(LAUROGLY
COL(登録商標));グリセロールカプリレート/カプレート(CAPMUL(登録商
標) MCM)、ポリグリコール化グリセリド)(GELUCIRE(登録商標)、PE
G300カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Softigen(登録商標) 767)
、PEG400カプリル酸/カプリン酸グリセリド(Labrasol(登録商標))、
PEG300オレイン酸グリセリド(Labrafil(登録商標) M-1944CS
)、PEG300リノール酸グリセリド(Labrafil(登録商標) M-2125
CS)を包含するグリセリドエステル;ポリオキシル8ステアレート(PEG400モノ
ステアレート)、ポリオキシル40ステアレート(PEG1750モノステアレートなど
)を包含するポリエチレングリコールステアレートおよびポリエチレングリコールヒドロ
キシステアレートを含む。ポリエチレングリコールステアレート(同義語としてはマクロ
ゴールステアレート、ポリオキシルステアレート、ポリオキシエチレンステアレート、エ
トキシル化ステアレートを含む;CAS No.9004-99-3、9005-08-
7)は、混合型ポリオキシエチレンポリマーのモノステアリン酸エステルおよびジステア
リン酸エステルの混合物である。ポリエチレングリコールヒドロキシステアレートは、ヒ
ドロキシステアリン酸とポリエチレングリコールとのモノエステルおよびジエステルの混
合物である。組成物中で用いられ得る1つのポリエチレングリコールヒドロキシステアレ
ートは、ポリエチレングリコール12-ヒドロキシステアレートである。別の実施形態に
おいて、本発明の組成物は、界面活性剤であるポリエチレングリコール15 12-ヒド
ロキシステアレート(BASFからのKolliphor(登録商標) HS15)、1
2-ヒドロキシステアリン酸と15モルのエチレンオキシドとのモノエステルおよびジエ
ステルの混合物を包含し得る。再度になるが、これらの化合物並びにそれらの量は、当該
技術分野で周知である。本発明の別の実施形態において、本発明の組成物は、界面活性剤
としてポリオキシル35ヒマシ油(Kolliphor(登録商標) EL)を包含し得
る。他の実施形態において、本発明の組成物は、界面活性剤としてポリオキシル40水素
添加ヒマシ油(Kolliphor(登録商標) RH40)またはポリオキシル60水
素添加ヒマシ油を包含し得る。本発明の組成物はまた、界面活性剤の組み合わせを包含し
得る。
【0076】
本発明の組成物は、抗酸化剤、保存剤またはpH安定剤のような他の不活性成分を含有
し得る。これらの化合物は、組成物の技術分野において周知である。抗酸化剤、例えばビ
タミンE、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、クエ
ン酸、フマル酸、リンゴ酸、ナトリウムアスコルベート、ナトリウムメタビサルフェート
、ナトリウムメタビサルファイト、n-プロピルガレート、BHA(ブチル化ヒドロキシ
アニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHAおよびクエン酸、モノチ
オグリセロール、tert-ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ベンジルアルコールなど
は、本発明の組成物に添加され得る。抗酸化剤は、一般に、本発明の組成物中に、組成物
の総重量(w/w)に基づいて約0.01%から約3%、または約0.01から約2%(
w/v)の量で包含される。別の実施形態において、組成物は、約0.05から約1.0
%(w/w)の抗酸化剤のうちの1つまたは混合物を含有する。
【0077】
ベンジルアルコールのような保存剤は、組成物中で約0.01から約10.0%の範囲
の量で好適に用いられ、約0.05から約5.0%が特に好ましい。他の保存剤としては
、パラベン(メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベン)、塩化ベンザルコニウム
、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブロノポール、ブチルパラベン
、セトリミド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、
エチルパラベン、イミド尿素、メチルパラベン、フェノール、フェノキシエタノール、フ
ェニルエチルアルコール、フェニル水銀アセテート、フェニル水銀ボレート、フェニル水
銀ナイトレート、カリウムソルベート、ナトリウムベンゾエート、ナトリウムプロピオネ
ート、ソルビン酸、チメロサールなどを含む。これらの化合物の好ましい範囲は、約0.
01から約5%を含む。
【0078】
組成物のpHを安定化させる化合物も存在し得る。再度になるが、かかる化合物は、こ
れらの化合物の使用方法と同様に、当該技術分野の実務家に周知である。緩衝系としては
、例えば、酢酸/酢酸塩、リンゴ酸/リンゴ酸塩、クエン酸/クエン酸塩、酒石酸/酒石
酸塩、乳酸/乳酸塩、リン酸/リン酸塩、グリシン/グリシメート(glycimate
)、トリス、グルタミン酸/グルタミン酸塩および炭酸ナトリウムよりなる群から選択さ
れる系、特にリン酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウムを含む。
【0079】
油性懸濁物(非水性懸濁物)は、イソオキサゾリン化合物を、植物油、例えば落花生油
、オリーブ油、ゴマ油もしくはココナツ油、または鉱油、例えば流動パラフィン、または
他の薬学的に許容される油の中に懸濁することにより製剤化され得る。油性懸濁物は、増
粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有し得る。これらの組
成物は、抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、または他の公知の保存剤の添加により保存さ
れ得る。
【0080】
本発明のなお別の実施形態において、油性懸濁物である本発明の注射可能な組成物は、
水に非混和性の共溶媒を包含する。これらの共溶媒の限定されない例としては、安息香酸
ベンジル、酢酸エチル、トリアセチン、脂質、C8-C10トリグリセリドのような中鎖
トリグリセリドを包含するトリグリセリド、例えばカプリン酸/カプリル酸トリグリセリ
ドなど、プロピレングリコール誘導体(例としてプロピレングリコールモノラウレート)
、カプリロカプロイルポリオキシル-8 グリセリド(Labrasol)(非イオン性
の水分散性界面活性剤、イソプロピルミリステート、またはこれらの共溶媒のうちの少な
くとも2つの混合物を含む。
【0081】
別の実施形態において、非水性である本発明の注射可能な組成物は、共溶媒として中性
油を包含し得る。中性油は、鎖長がC8からC10である分画された植物性脂肪酸のトリ
グリセリドである。2つの市販製品が、MIGLYOL(登録商標) 810およびMI
GLYOL(登録商標) 812として知られている。別の実施形態において、中性油は
、リノール酸(約4-5%)と組み合わされた鎖長がC8からC10である分画された植
物性脂肪酸のトリグリセリドである。市販製品は、MIGLYOL(登録商標) 818
として知られている。なお別の実施形態において、中性油は、コハク酸と組み合わされた
鎖長がC8およびC10である分画された植物性脂肪酸のグリセリンエステルである。市
販製品は、MIGLYOL(登録商標) 829として知られている。別の実施形態にお
いて、中性油は、鎖長がC8およびC10である飽和植物性脂肪酸のプロピレングリコー
ルジエステルであり得る。市販製品は、MIGLYOL(登録商標) 840(プロピレ
ングリコールジカプリレート/ジカプレート)として知られている。なお別の実施形態に
おいて、共溶媒は、2つまたはそれより多くの中性油の混合物であり得る。
【0082】
水性懸濁物は、イソオキサゾリン化合物を水性懸濁物の製造に適した添加剤との混合物
において含有し得る。かかる添加剤としては、懸濁化剤、例えばカルボキシメチルセルロ
ースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、アルギン
酸ナトリウム、ポルビニルピロリドン(polvinylpyrrolidone)、ト
ラガカントガムおよびアカシアガム;湿潤分散剤、例えば天然起源のホスファチド、例え
ばレシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えばポリオキシエチレン
ステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えばヘプ
タデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール
に由来する部分エステルとの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエ
ート、またはエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステ
ルとの縮合物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートを含む。水性懸濁物はまた
、1以上の保存剤、例えば安息香酸エチル、または安息香酸n-プロピル、p-ヒドロキ
シ安息香酸、1以上の着色料、1以上の香味剤、ならびに1以上の甘味剤および/または
苦味剤、例えば上に記載されたものを含有し得る。
【0083】
水の添加による水性懸濁物の調製に適した分散性の粉末および顆粒は、イソオキサゾリ
ン化合物と湿潤分散剤、懸濁化剤および1以上の保存剤との混合物を提供し得る。好適な
湿潤分散剤および懸濁化剤は、既に上で述べられたものにより例示される。
【0084】
1つの実施形態において、イソオキサゾリン化合物は、液相(希釈剤)が水である水性
懸濁物中に懸濁される。
【0085】
別の実施形態において、水性懸濁物の液相(希釈剤)は、水および共溶媒を含む。
【0086】
イソオキサゾリン化合物を含む本発明の注射可能な組成物中で用いられ得る共溶媒は、
単一の共溶媒または共溶媒のブレンドであり得る。
【0087】
1つの実施形態において、水性である本発明の注射可能な組成物中で用いられる共溶媒
は、水に混和性である極性溶媒を包含する。これらの共溶媒の限定されない例としては、
エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、グリコールエーテル(例として、
限定されるが(but limited to)、ジエチレングリコールモノエチルエー
テル(DGME、Transcutol(登録商標)、ブチルジグリコール、ジプロピレ
ングリコール n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレ
ングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどといっ
たもの)、液状ポリエチレングリコール(PEG)(例えばPEG400)、プロピレン
グリコール、カーボネート(例として、プロピレンカーボネート)、2-ピロリドン、N
-メチルピロリドン、ジメチルイソソルビド(DMI)、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルスルホキシド、グリセロールフォーマル(glycerol formal)またはこ
れらの溶媒のうちの少なくとも2つの混合物を含む。
【0088】
1つの実施形態において、本発明の組成物は、極性のプロトン性溶媒を含み、これらと
しては、限定されるものではないが、アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール
、またはグリコールもしくはグリコールエーテルを含む。別の実施形態において、本発明
の長時間作用性の注射可能な組成物は、極性の非プロトン性溶媒、例えばN-メチルピロ
リドン、ジメチルイソソルビド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドまたはプ
ロピレンカーボネートを含む。
【0089】
ある実施形態において、イソオキサゾリン化合物は、様々な異性体形態で存在し得る。
イソオキサゾリン化合物への言及は、常に、かかる化合物の全ての可能な異性体形態を包
含する。特に述べられないかぎり、特定の立体配座が示されない化合物構造は、化合物の
全ての可能な配座異性体の組成物を、並びに、可能な全ての配座異性体よりもより少なく
含む組成物を包含することが意図される。いくつかの実施形態において、化合物はキラル
化合物である。いくつかの実施形態において、化合物は非キラル化合物である。
【0090】
ある実施形態において、式(I)のイソオキサゾリン化合物は、例えば、特許出願US
2007/0066617、WO2007/079162、WO2009/002809
、WO2009/080250、WO2010/070068、WO2010/0790
77、2011/075591およびWO2011/124998中に記載されるプロセ
スのうちのいずれかに従って、または化学合成の専門家である当業者の能力の範囲内に入
る任意の他のプロセスに従って調製することができる。本発明の生成物の化学的調製のた
め、当業者は、中でも、”Chemical Abstracts”およびその中で引用
される資料の全内容を自由に使用することができるものとみなされる。
【0091】
ある実施形態において、イソオキサゾリン化合物は、組成物中に懸濁されている。ある
実施形態において、懸濁物は水性である。代替的実施形態において、懸濁物は非水性であ
る。
【0092】
ある実施形態において、医薬組成物は、有機溶媒を実質的に含まない。
【0093】
ある実施形態において、医薬組成物は、界面活性剤/湿潤剤を含む。別の実施形態にお
いて、界面活性剤/湿潤剤はポロキサマーである。ポロキサマーの代替は、他の水溶性/
水混和性の非イオン性界面活性剤であり、これらとしてはソルビタン脂肪酸エステル(S
pan)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ポリソルベート/Tween
)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(Cremaphor)、ポリオキシエチレンス
テアレート、レシチンおよびTPGS(d-α-トコフェリルポリエチレングリコール1
000 スクシネート)を含む。界面活性剤/湿潤剤は、組成物中に約0.01%w/v
から約0.5%w/v、または約0.05%w/vから約0.1%w/vの量で存在する
【0094】
ポロキサマーは、中央のポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の疎水
性鎖に2つのポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の親水性鎖が隣接して構
成される非イオン性のトリブロックコポリマーである(米国特許第3,740,421号
を参照されたい)。
【0095】
ポロキサマー124は、ポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピレング
リコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール、CAS番号9003-11-6であ
る。Lutrol L44またはKollisolv P124としても知られている。
【0096】
Lutrol F68は、別のポリ(エチレングリコール)-ブロック-ポリ(プロピ
レングリコール)-ブロック-ポリ(エチレングリコール)であり、ポロキサマー188
またはKolliphor P188としても知られている。
【0097】
レシチンは、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジ
ルイノシトールおよびホスファチジン酸を含む混合グリセロリン脂質である。
【0098】
ある実施形態において、医薬組成物は、懸濁化剤を含む。ある実施形態において、懸濁
化剤はカルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)である。代替的実施形態に
おいて、懸濁化剤は、メチルセルロースまたはポリビニルピロリドンである。
【0099】
ある実施形態において、医薬組成物は、消泡剤を含む。ある実施形態において、消泡剤
はシメチコンである。シメチコンは、α-(トリメチルシリル)-ω-メチルポリ[オキ
シ(ジメチルシリレン)]と二酸化ケイ素との混合物である。
【0100】
ある実施形態において、医薬組成物は、保存剤を含む。ある実施形態において、保存剤
はベンジルアルコールである。代替的実施形態において、保存剤は、m-クレゾール、塩
化ベンザルコニウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベンである。
【0101】
注射可能な医薬組成物は、固体成分を合わせて混合し、次いで固体混合物を希釈剤中で
懸濁することによって作製され得る。
【0102】
注射可能な医薬組成物を調製する方法は、イソオキサゾリン粒子を湿潤剤および希釈剤
と組み合わせることを含む。
【0103】
ある実施形態において、医薬組成物は再構成可能な固体であり、これは注射の前に希釈
剤で再構成される。
【0104】
ある実施形態において、希釈剤は水である。代替的実施形態において、希釈剤は、イソ
オキサゾリン化合物に対する溶解性がほとんどまたは全くない油または溶媒である。
【0105】
医薬組成物は、界面活性剤/湿潤剤をさらに含む。具体的な界面活性剤/湿潤剤および
界面活性剤/湿潤剤の代替物は、本明細書および実施例の中で論じられる。
【0106】
医薬組成物は、懸濁化剤、消泡剤または保存剤のような追加の添加剤をさらに含む。好
適な添加剤および代替の剤の具体例は、下の本明細書および実施例の中で論じられる。
【0107】
イソオキサゾリン化合物の粒子径および測定
規定された粒子径を有するイソオキサゾリン化合物の粒子を含む本発明の注射可能な組
成物は、特に有益な性質を有することが見出された。
【0108】
ある実施形態において、イソオキサゾリン化合物は、静的光散乱装置により測定される
粒子径分布D50が約25ミクロンから約250ミクロン、粒子径が約11ミクロンから
約250ミクロン、粒子径が約50ミクロンから約150ミクロン、粒子径が約75ミク
ロンから約130ミクロン、粒子径が約90ミクロンから約110ミクロン、約30ミク
ロンから約100ミクロンの粒子径を有する。
【0109】
粒子径分布は、存在する粒子の相対量をサイズに応じて記載する。D10は、粒子の1
0%がこれよりも小さいというサイズを表す粒子径分布である。D50は、粒子の50%
がこれよりも小さいというサイズを表す粒子径測定分布である。D90は、粒子の90%
がこれよりも小さいというサイズを表す粒子径測定分布である。
【0110】
特定の実施形態において、粒子径のD10は、約10μm、約20μm、約30μm、
約40μm、約50μm、約60μmまたは約80μmである。
【0111】
特定の実施形態において、粒子径のD50は、約50μm、約75μm、約80μm、
約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm
または約150μmである。
【0112】
特定の実施形態において、粒子径のD90は、約100μm、約130μm、約150
μm、約175μm、約200μmまたは約250μmである。
【0113】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約20から35μmであり、粒子径のD5
0は約90から105μmであり、そして、粒子径のD90は約155から175μmで
ある。
【0114】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約25から30μmであり、粒子径のD5
0は約95から100μmであり、そして、粒子径のD90は約160から170μmで
ある。
【0115】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約10から20μmであり、粒子径のD5
0は約85から110μmであり、そして、粒子径のD90は約170から185μmで
ある。
【0116】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約10から15μmであり、粒子径のD5
0は約95から105μmであり、そして、粒子径のD90は約175から180μmで
ある。
【0117】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約10から25μmであり、粒子径のD5
0は約40から60μmであり、そして、粒子径のD90は約95から100μmである
【0118】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約15から20μmであり、粒子径のD5
0は約45から55μmであり、そして、粒子径のD90は約90から95μmである。
【0119】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約30から50μmであり、そして、粒子
径のD50は約70から130μmである。
【0120】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約35から45μmであり、そして、粒子
径のD50は約90から110μmである。
【0121】
特定の実施形態において、粒子径のD10は約40μmであり、そして、粒子径のD5
0は約100μmである。
【0122】
体積重み付け粒子径は、ふるい分け、顕微鏡検査またはレーザー回折(Malvern
またはSympatec)により測定することができる。体積重み付け粒子径測定は、H
ydro 2000G測定セルを備えたMalvern Mastersizer 20
00を用いて、またはHoriba LA-910レーザー散乱粒子径分布分析装置を用
いて実施することができる。体積重み付け粒子径は、Sympatec Helos装置
により測定することができる。
【0123】
本発明における使用のため、イソオキサゾリン化合物は、本発明による医薬組成物中に
、本発明による最終医薬組成物の約0.1から約50%w/vの間の量で存在する。イソ
オキサゾリンは、本発明による医薬組成物の約10から約45%w/vの間;約20から
約45%w/vの間;約15から35%w/v、または約25%w/vから約35%w/
vの間の、または約1%w/vから約12%w/vの間の、または約3%w/vから約9
%w/vの間の量で存在する。
【0124】
ある実施形態において、本発明による医薬組成物中のイソオキサゾリン化合物の量は、
本発明による医薬組成物の約30%w/vである。ある実施形態において、本発明による
医薬組成物中のイソオキサゾリン化合物の量は、本発明による医薬組成物の約7.5%w
/vである。
【0125】
ある実施形態において、医薬組成物はすぐに使える(ready to use)組成
物である。これは、組成物は注射のためのすぐに使えるということである。別の実施形態
において、医薬組成物は、注射の前に再構成されなければならない。例えば、医薬組成物
は、注射の前に水中で再構成される。
【0126】
ある実施形態において、医薬組成物は、追加の治療剤と組み合わせて投与される。追加
の治療剤の投与は、同じ組成物中で又は別々の組成物中であってもよい。追加の治療剤は
、殺寄生生物剤またはワクチンであり得る。
【0127】
別の実施形態において、追加の治療剤は別の殺寄生生物剤である。ある実施形態におい
て、殺寄生生物剤は大環状ラクトンである。ある実施形態において、大環状ラクトンは、
モキシデクチンまたはミルベマイシンである。
【0128】
他の活性成分は、イソオキサゾリン化合物、アベルメクチン(例としてイベルメクチン
、セラメクチン、ドラメクチン、アバメクチンおよびエプリノメクチン);ミルベマイシ
ン(モキシデクチンおよびミルベマイシンオキシム);プロ-ベンズイミダゾール(例と
してフェバンテル、ネトビミンおよびチオファネート);ベンズイミダゾール誘導体、例
えばチアゾールベンズイミダゾール誘導体(例としてチアベンダゾールおよびカンベンダ
ゾール)、カルバメートベンズイミダゾール誘導体(例としてフェンベンダゾール、アル
ベンダゾール(オキシド)、メベンダゾール、オクスフェンダゾール、パルベンダゾール
、オキシベンダゾール、フルベンダゾールおよびトリクラベンダゾール)など;イミダゾ
チアゾール(例としてレバミソールおよびテトラミゾール);テトラヒドロピリミジン(
モランテルおよびピランテル)、サリチルアニリド(例としてクロサンテル、オキシクロ
ザニド、ラフォキサニドおよびニクロサミド);ニトロフェノール化合物(例としてニト
ロキシニルおよびニトロスカネート(nitroscanate));ベンゼンジスルホ
ンアミド(例としてクロルスロン);ピラジノイソキノリン(例としてプラジカンテルお
よびエプシプランテル);複素環化合物(例としてピペラジン、ジエチルカルバマジンお
よびフェノチアジン);ジクロロフェン、ヒ素剤(例としてチアセタルサミド、メロルサ
ミン(melorsamine)およびアルセナマイド);シクロオクタデプシペプチド
(例としてエモデプシド);パラヘルクアミド(例としてデルカンテル);ならびにアミ
ノ-アセトニトリル化合物(例としてモネパンテル、AAD1566);アミジン化合物
(例としてアミダンテルおよびトリベンジミジン)、これらの全ての薬学的に許容される
形態、例えば塩、溶媒和物またはN-オキシドを包含する群から選択される。
【0129】
ある実施形態において、モキシデクチンは、約0.1%w/vから約1.0%w/vの
間の量で存在する。
【0130】
本発明のある実施形態は、必要がある動物に有効量の上記の注射可能な医薬組成物を投
与することを含む、動物において寄生生物の寄生を処置または予防する方法である。
【0131】
ある実施形態において、動物は、最小限の注射部位刺激を患う。上記のように、最小限
の注射部位刺激は、2から3日よりも短い間続く、2×2cmより小さい注射部位刺激を
意味する。
【0132】
ある実施形態において、動物は、コンパニオンアニマルである。
【0133】
ある実施形態において、コンパニオンアニマルは、イヌまたはネコである。
【0134】
最良の結果のために使用されることになる最適量は、もちろん、使用される具体的なイ
ソオキサゾリン化合物、処置される動物の種、投与の経路および製剤、ならびに寄生生物
の感染または寄生のタイプおよび重症度に依存する。一般に、良好な結果は、式(I)の
イソオキサゾリン化合物を約0.01から200mg/kg動物体重で投与したときに得
られ、1実施形態において、動物体重1kgあたり0.1から100mg、または動物体
重1kgあたり0.5から50mg、または動物体重1kgあたり1から30mgで投与
したときであり、かかる合計用量は1回でまたは分割した用量で与えられる。
【0135】
本発明の方法は、例えば上で列挙されたもののような節足動物の寄生生物の存在に関連
することが知られている疾患および障害の処置において有用であることが当業者により理
解される。かかる疾患(寄生虫病)は、例えば、重度の寄生生物寄生、例えばマダニから
の圧力が動物に病原性の結果を大規模にもたらすような性質がある部位において多数のマ
ダニによるイヌの寄生に起因する。
【0136】
本明細書中で用いられるとき、用語「投与する」または「投与」とは、動物内または動
物上の寄生生物の寄生を防除する目的のために、式(I)の化合物、その塩、溶媒和物も
しくはプロドラッグ、または、式(I)の化合物、その塩、溶媒和物もしくはプロドラッ
グを含有する医薬組成物を、動物に送達することをいう。
【0137】
本発明の化合物の投与は、間欠性であり得、そして、毎日、毎週、2週毎、毎月、隔月
、四半期毎、半年毎、毎年またはこれよりも低い頻度で投与され得る。処置の時間間隔は
、例えば処置される寄生生物(類)、寄生の程度、動物、哺乳類または鳥類のタイプ、お
よびそれが存在する環境のような要因に依存する。
【0138】
注射可能な医薬組成物は、毎日、毎週、毎月、半年に1回または年に1回、投与され得
る。注射可能な医薬組成物は、毎月、2ヶ月毎、3ヶ月毎、4ヶ月毎、5ヶ月毎、6ヶ月
毎、7ヶ月毎、8ヶ月、9ヶ月毎、10ヶ月毎、11ヶ月毎、12ヶ月毎、13ヶ月毎、
14ヶ月毎、15ヶ月毎、16ヶ月毎、17ヶ月毎または18ヶ月毎に投与され得る。
【0139】
ある実施形態において、注射可能なイソオキサゾリン医薬組成物は、別個の注射可能な
殺寄生生物組成物と共に投与される。ある実施形態において、投与は、同時または逐次的
である。
【0140】
注射可能な医薬組成物のある実施形態は、イソオキサゾリン化合物の粒子径のD50は
約75ミクロンから約130ミクロンであり、そして、粒子径のD10は約30ミクロン
から約50ミクロンである。
【0141】
本発明のある実施形態は、動物において寄生生物の寄生を処置または予防するキットで
あって、このキットは、
2個またはそれより多い容器を含み、
a) 固体結晶のイソオキサゾリン化合物;
b) a)の化合物と懸濁物を形成する能力がある薬学的に許容される添加剤を含むビヒ
クル;および
c) 注射の前に固体結晶のイソオキサゾリン化合物とビヒクルを組み合わせるための指
示書、を含む。
【0142】
ここで、固体結晶のイソオキサゾリン化合物について、粒子径のD50は約75ミクロ
ンから約130ミクロンであり、そして、粒子径のD10は約30ミクロンから約50ミ
クロンである。
【0143】
別の実施形態において、イソオキサゾリン化合物は、フルララネルである。
【0144】
別の実施形態は、必要がある動物に上記キットを投与することを含む、動物において寄
生生物の寄生を処置または予防する方法である。
【0145】
追加の実施形態において、注射可能な医薬組成物は、ビヒクルで再構成される。
【0146】
追加の実施形態において、ビヒクルは希釈剤を含み、そして湿潤剤、消泡剤、ph調整
剤および/または懸濁化剤を含んでもよい。
【実施例0147】
実施例1-すぐに使える注射可能なフルララネル懸濁物
表3
【表4】
【0148】
次の手順を用いて、実施例1Aの処方を作製した。
【0149】
1.注射用水の総量の約80%を入れる。
【0150】
2.懸濁化剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC))を加え、オーバ
ーヘッドミキサーで約5分間混合した。
【0151】
3.混合物をホモジナイザーでかたまりがなくなるまでさらに混合した。
【0152】
4.湿潤剤(ポロキサマー124)を加え、オーバーヘッドミキサーで均一になるまで混
合した。
【0153】
5.保存剤(ベンジルアルコール(BA))を加え、オーバーヘッドミキサーで均一にな
るまで混合した。
【0154】
6.リン酸ナトリウムを加え、オーバーヘッドミキサーで均一になるまで混合した。
【0155】
7.フルララネルを加え、ホモジナイザーでかたまりがなくなるまで混合した。
【0156】
8.消泡剤(シメチコン)を、オーバーヘッドミキサーで均一になるまで穏やかに混合し
た(5分間)。
【0157】
9.HClを添加して、混合物のpHをpH 7.0~7.4に調整した。オーバーヘッ
ドミキサーで均一になるまで穏やかに混合(5分間)。
【0158】
10.注射のための最終質量になるまで水を適量加え、次いでオーバーヘッドミキサーで
均一になるまで穏やかに混合した(5分間)。
【0159】
11.結果として得られた製剤を注射用バイアル内に入れ、栓で封をした。
【0160】
12.バイアルを121℃で15分間のサイクルでオートクレーブした。
【0161】
同様の手順を用いて、実施例1AA、1B~1Jおよびプラセボの処方を作製した。バ
ッチサイズは、50mLから1000mLの範囲であった。フルララネル結晶(API)
の体積重み付け粒子径を静的光散乱(レーザー回折)(Sympatec Helos)
により測定して、粒子径分布を決定した。
【0162】
実施例2-注射部位反応の評価
投与部位を、処置日の処置前、投与後30分、投与後1日、次いで投与後3週間まで2
~3日間隔で調べた。イヌが評価時点で投与部位反応を示したら、調査監督者は追加の査
定時点を決定することができた。イヌが最終の予定された査定時点で投与部位反応を示し
たら、個々のイヌに対する追加の査定を、反応が消散するまで2~3日間隔で実行した。
【0163】
投与領域では、最初に、腫脹、紅斑または他の所見を観察した。所見が観察されたかに
かかわらず、腫脹、痛みおよび温度上昇について投与領域を触診した。次のスコアリング
系を用いた:
・紅斑、温度上昇および痛み:
0=反応なし、
1=わずかな反応、
2=中程度の反応、
3=重篤な反応。
【0164】
・腫脹:
サイズ(目盛付き装置で測定):長さ×幅×高さ
硬さ:硬い/軟らかい
移動自在か:はい/いいえ
周辺組織との連接:分離/びまん性。
【0165】
投与部位での他の観察結果(例えば、痂皮、創傷、引っかき)は、記述的用語で記録し
た。
【0166】
各試験群は6~10匹のイヌから構成された。プラセボ群は、フルララネルを何ら受け
なかった。下のデータは、注射部位刺激を有するイヌの匹数、刺激サイズのcmでの記載
、および刺激の持続時間を表す。
【0167】
表4 注射部位刺激
【表5】
【0168】
これらのデータは、フルララネル粒子径がより小さい組成物の注射部位刺激は、粒子径
が大きいもののそれよりも重症であったことを示す。具体的には、フルララネルが約5μ
mの粒子径まで微粒子化された製剤1AAでは12~14日間続く大きな腫脹の注射部位
刺激を生じたが、より大きい粒子の製剤1J(粒子径100μm)では短い期間しか継続
しない軽微な(negliable)腫脹を生じた。これは、プラセボ群の反応と類似し
ていた。
【0169】
実施例3-薬物動態試験
調査A:フルララネルの5ミクロン 7.5%懸濁物(実施例1AA)およびフルララ
ネルの40ミクロン 7.5%懸濁物(実施例1D)を、各々8匹のビーグル犬に15m
g/kg体重(BW)で単回皮下投与した。被験物の局所耐性を、投与後28日まで間隔
を置いて査定した。フルララネル血漿濃度の決定のための血液試料を、処置の前、処置後
2時間および8時間、ならびに、1、2、3、5、7、10、14、21、28、35、
42、49、56、70、84、98、112、126、140および154日の時点で
採取した。
【0170】
調査B:フルララネルの100ミクロン 7.5%懸濁物(実施例1J)を、3匹のビ
ーグル犬に10mg/kg BWで単回皮下投与した。被験物の局所耐性を投与後28日
まで間隔を置いて査定した。フルララネル血漿濃度の決定のための血液試料を、処置の前
、ならびに、処置後1、3、5、7、10、14、21、28、35、49、56、63
および70日の時点で採取した。
【0171】
最初の数日間、全ての製剤の初期吸収は同等であり、これは効力の始まりが同様である
ことを示唆する。100ミクロン懸濁物は、10mg/kg BWで、標的動物の安全性
の点でより好都合な、より低い血漿プロファイルを示す。同時に、血漿濃度は十分なマダ
ニへの効力を示唆するのに十分に高い。40ミクロン懸濁物は、同用量で投与される微粒
子化懸濁物と比べて、84日後の時点で高い血漿濃度を示し、マダニへの効力のより長期
の持続を提供するものと予想される。
【0172】
全体的に、大きい粒子は、注射部位刺激のような有害事象の低いリスクを示しながらマ
ダニへの効力の長期持続を示すのに十分な血液中フルララネルレベルを提供する。
【0173】
実施例4-効力試験
実施例4A
イヌ上のリピセファルス・サングイネウスおよびアムブリオマ・アメリカヌムを用いた
用量性質決定調査を実行し、有効用量を規定した。10、15および20mgフルララネ
ル/kg体重の用量を評価した。これらの調査は未処置の対照群および3つのフルララネ
ル処置群から構成され、各群8から10匹のイヌを含有した。処置前および次いで指定さ
れた処置後の日に、個々のイヌに各々の種のマダニ50匹を寄生させた。寄生の約48か
ら72時間後に全てのイヌ上の生きたマダニを計数し、未処置の対照群に対する%効力ま
たは生きたマダニの%低減を計算することによって有効性を決定した。進行中の調査のう
ちの1つからの結果が表5および6中に表される。
【表6】
【表7】
【0174】
実施例において、アムブリオマ・アメリカヌムおよびリピセファルス・サングイネウス
への効力が試験されたが、その理由は、これらの寄生生物種は用量を制限するマダニであ
ることが知られており(すなわち、これらのマダニに対して有効な用量は他のマダニ種に
対しても有効であろうこと)、ならびに、今日より、ノミに対する効力(90%超の死亡
率)は、少なくともアムブリオマ・アメリカヌムおよびリピセファルス・サングイネウス
に対する活性が観察されているかぎり、式(I)のイソオキサゾリン化合物を伴う組成物
の投与により達成することができると予想することができるためである。
【0175】
したがって、本発明による組成物は、少なくともアムブリオマ・アメリカヌムおよびリ
ピセファルス・サングイネウスの、すなわち少なくとも90日間の期間、コンパニオンア
ニマル、特にイヌおよびネコのノミ寄生を防除するために有効である。
【0176】
実施例4B
追加の用量性質決定調査からの結果をまとめる。これらの調査では、イヌ成体において
3つの用量(10、15および20mg/kg)を評価した。注射可能なフルララネル懸
濁製剤を、上の実施例1J中に示されるように調製した。1つの調査では、リピセファル
ス・サングイネウス マダニに対する有効性を試験した(表7を参照されたい)。処置後
約6ヶ月でのノミに対する効力を評価した2つ目の調査は、イヌで試験した(表8を参照
されたい)。
【表8】
【表9】
【0177】
これらの調査からの結果は、それぞれ少なくとも7ヶ月および12ヶ月の、注射可能な
懸濁物中のフルララネルのR.サングイネウスに対する有効性を実証した。
【0178】
15および20mg/kg用量の効力はまた、注射後6ヶ月間、A.アメリカヌムに対
して実証された。
【0179】
3つの用量全てが、処置後6ヶ月でイヌ上の生きたノミを低減させるのに100%有効
であることが実証された。ノミはマダニよりもフルララネルに感受性であることが実証さ
れていることから、ノミに対する効力は12ヶ月間続くことが予測される。これは特に用
量を制限する種であるR.サングイネウスおよびA.アメリカヌムに当てはまる。
【0180】
実施例5-再構成可能である注射可能なフルララネル製剤
注射可能なフルララネル懸濁製剤の追加の例を、再構成可能な製剤として調製した。次
の手順を用いて、処方5Aを作製した。
【0181】
A.ビヒクル
1.注射用水の総量の約80%を入れる。
【0182】
2.懸濁化剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム(NaCMC))を加え、オーバ
ーヘッドミキサーで約5分間混合した。
【0183】
3.混合物をホモジナイザーでかたまりがなくなるまでさらに混合した。
【0184】
4.湿潤剤(ポロキサマー124)を加え、オーバーヘッドミキサーで均一になるまで混
合した。
【0185】
5.保存剤(ベンジルアルコール(BA))を加え、オーバーヘッドミキサーで均一にな
るまで混合した。
【0186】
6.リン酸ナトリウムを加え、オーバーヘッドミキサーで均一になるまで混合した。
【0187】
7.消泡剤(シメチコン)を、オーバーヘッドミキサーで均一になるまで穏やかに混合し
た(5分間)。
【0188】
8.HClを添加して、混合物のpHをpH 7.0~7.4に調整した。オーバーヘッ
ドミキサーで均一になるまで穏やかに混合(5分間)。
【0189】
9.注射のための最終質量になるまで水を適量加え、次いでオーバーヘッドミキサーで均
一になるまで穏やかに混合した(5分間)。
【0190】
10.結果として得られた製剤を注射用バイアル内に入れ、栓で封をした。
【0191】
11.バイアルを121℃で15分間のサイクルでオートクレーブした。
【0192】
B.活性成分
1.固体のフルララネルをバイアルに加えて封をした。
2.バイアルをガンマ線照射により最終的に滅菌した。
【0193】
C.再構成注射可能製剤の形成
1.Aのバイアルのビヒクルを、Bの活性成分バイアルに加え、振盪する。
2.結果として生じた懸濁物を注射のために準備した。
【0194】
同様の手順を用いて、実施例5B~Hの製剤を作製した。バッチサイズは50mLから
1000mLの範囲であった。
【0195】
フルララネル結晶(API)の体積重み付け粒子径を静的光散乱(レーザー回折)(S
ympatec Helos)により測定して、粒子径分布を決定した。
【0196】
製剤5A~Hの組成は表9に与えられる。
【0197】
表9
【表10】
【0198】
実施例6-再構成可能である注射可能なフルララネル製剤の薬物動態試験
実施例5の製剤についての薬物動態特性の評価を、下記以外は実施例3中に記載される
ように実行した。
【0199】
実施例6A:
製剤5B(フルララネル、D50=100ミクロン、15%懸濁物、5B(照射)およ
び5D(照射、ポロキサマー無し)の試料を、それぞれ16匹および16匹のビーグル犬
に20mg/kg BWで単回皮下投与した。被験物の局所耐性を投与後21日まで間隔
を置いて査定した。フルララネル血漿濃度の決定のための血液試料を、処置の前、処置後
8時間、ならびに、1、3、5、7、10、14、21、28、35、42、49、56
、70、84、98、112、126、140、154、168および182日の時点で
採取した。
【0200】
図2を参照されたい。
【0201】
実施例6B:
製剤5A(フルララネル100ミクロン(D10=20、D50=100) 15%懸
濁物)、5B(フルララネル100ミクロン(D10=40、D50=100) 15%
懸濁物)、および5C(フルララネル130ミクロン(D10=50、D50=130)
15%懸濁物)の試料を、各々10匹のビーグル犬に20mg/kg BWで単回皮下
投与した。被験物の局所耐性を投与後21日まで間隔を置いて査定した。フルララネル血
漿濃度の決定のための血液試料を、処置の前、処置後8時間、ならびに、1、3、5、7
、10、14、21、28、35、42、49、56、70、84、98、112、12
6、140、154、168および182日の時点で採取した。
【0202】
図3を参照されたい。
【0203】
実施例6C:
製剤5B(フルララネル100ミクロン 15%懸濁物)、5E(フルララネル100
ミクロン 15%懸濁物、2.3% NaCMCを含む)、5F(フルララネル100ミ
クロン 15%懸濁物、0.05%ポロキサマーを含む)、5G(フルララネル77ミク
ロン 15% 懸濁物)および5H(フルララネル116ミクロン懸濁物)の試料を、各
々10匹のビーグル犬に20mg/kg BWで単回皮下投与した。被験物の局所耐性を
投与後21日まで間隔を置いて査定した。フルララネル血漿濃度の決定のための血液試料
を、処置の前、処置後8時間、ならびに、1、3、5、7、10、14、21、28、3
5、42、49、56、70、84、98、112、126、140、154、168お
よび182の時点で採取した。
【0204】
図4を参照されたい。
【0205】
実施例7-再構成可能製剤の注射部位反応の評価
実施例5の製剤の評価を、実施例2中に記載されたように実行した。
【0206】
これらの製剤は、実施例6中に記載された薬物動態実験の際に評価された。実施例5の
製剤の評価の際、著しい注射反応はなかった。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】