(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099100
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】ホモタウリンおよびその塩の製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/185 20060101AFI20230704BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230704BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230704BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/32 20060101ALI20230704BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230704BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230704BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230704BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230704BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20230704BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230704BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20230704BHJP
A61K 9/22 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A61K31/185
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/32
A61P25/00
A61P25/32
A61P27/16
A61P11/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P25/14
A61P25/18
A61P25/06
A61P25/22
A61P29/00
A61P3/04
A61P21/00
A61P25/08
A61K9/16
A61K9/22
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073242
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2019563191の分割
【原出願日】2018-05-17
(31)【優先権主張番号】62/507,532
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/660,690
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517383630
【氏名又は名称】コンフルーエンス ファーマシューティカルズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ペイエ,ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ドニパーシ,バドリーナート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薬物の錠剤またはカプセル製剤を飲み込むことができないか、または飲み込めそうにない患者を治療するために、胃腸の問題を誘発しないアカンプロセートの経口製剤、並びに長期の投薬間隔にわたって持続的かつ一貫した曝露を提供するアカンプロセートの経口製剤を提供する。
【解決手段】複数のペレットを含む経口投与可能な医薬製剤を提供する。当該ペレットは、コア、放出コーティングおよび腸溶性コーティングを含み、当該放出コーティングは例えばHPMCを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のペレットを含む経口投与可能な医薬製剤であって、
前記ペレットが、コア、放出コーティングおよび腸溶性コーティングを含み、
前記コアがアカンプロセートカルシウムおよび希釈剤を含み、前記放出コーティングがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含み、前記腸溶性コーティングがメタクリル酸またはその誘導体のポリマーを含む、
医薬製剤。
【請求項2】
前記希釈剤が、微結晶セルロース(MCC)またはセルロースゲル、例えばAvicel PH101を含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項3】
前記コアが、重量で約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、または約30%~約60%のアカンプロセートカルシウムを含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項4】
前記放出コーティングが、エチルセルロース以外の熱可塑性セルロースエーテル、または1つ以上の熱可塑性セルロースエーテルとエチルセルロースとの混合物を含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項5】
前記放出コーティングが、HPMCまたは、HPMCと、エチルセルロース10標準、エチルセルロース20標準またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないエチルセルロースとの混合物を含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項6】
前記放出コーティングがHPMCとエチルセルロースとの混合物を含み、前記エチルセルロースに対するHPMCの比が重量で約4.5~約0.5、約4~約1、約3.5~約1.5、約3~約2、または約2.5である、請求項1に記載のペレット。
【請求項7】
前記放出コーティングがHPMCとエチルセルロースとの混合物を含み、前記エチルセルロースに対するHPMCの比が重量で約4.5~約1、約4~約1、約3.5~約1、約3~約1、約2.5~約1、約2~約1、または約1.5~約1である、請求項1に記載のペレット。
【請求項8】
前記放出コーティングがHPMCとエチルセルロースとの混合物を含み、前記エチルセルロースに対するHPMCの比が重量で約1以上である、請求項1に記載のペレット。
【請求項9】
前記腸溶性コーティングが、アニオン性ポリマー、例えば、アクリレートおよび/もしくはメタクリレートラジカルならびにそれらのエステルを含むポリマーまたはコポリマーを含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項10】
前記腸溶性コーティングが、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマーである、請求項9に記載のペレット。
【請求項11】
酸残基とエステル残基との比が約1:3~約3:1、または約1:2~約1:1の範囲である、請求項10に記載のペレット。
【請求項12】
重量で少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%のアカンプロセートカルシウムを含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項13】
重量で少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、または少なくとも約7%のHPMCを含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項14】
重量で5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、または0.5%未満のエチルセルロースを含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項15】
重量で30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満のアニオン性ポリマーを含む、請求項1に記載のペレット。実例として、アニオン性ポリマーは、アクリレートおよび/またはメタクリレートラジカルならびにそのエステルを含むポリマーまたはコポリマー、例えばEudragitである。
【請求項16】
アセトン、イソプロパノールなどの有機溶媒を合計で総4000ppm未満含む、請求項1に記載のペレット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2017年5月17日に出願された米国仮特許出願第62/507,532号および2018年4月20日に出願された米国仮特許出願第62/660,690号に対する利益を主張するものであり、それら各々の全開示を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本明細書に記載の発明は、薬剤として使用するためのスプリンクル製剤に関する。より具体的には、本明細書に記載の発明は、ホモタウリンまたはその誘導体もしくは塩を含むコア、放出コーティングおよび腸溶性コーティングを含むペレットに関する。
【背景技術】
【0003】
N-アセチルホモタウリンまたはアカンプロセートとも呼ばれる3-(アセチルアミノ)プロピルスルホン酸は、中枢神経系(CNS)の複数の受容体に影響を及ぼすと思われるγ-アミノ酪酸(GABA)の天然に存在する構造類似体であるホモタウリンの誘導体である。抗グルタミン酸作動薬として、アカンプロセートは、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体のアンタゴニストとして神経薬理学的効果を発揮することが報告されている。報告されるところによると、その作用機序には、Ca2+流入を遅らせるためのCa2+チャネルの遮断およびc-fos発現の低減が含まれ、メッセンジャーRNA転写の変化および選択された脳領域におけるNMDA受容体のサブユニット組成に対する付随する修飾をもたらす(Zornoza et al.,CNS Drug Reviews,2003,9(4),359-374;およびRammes et al.,Neuropharmacology 2001,40,749-760)。また、アカンプロセートは一般に興奮性グルタミン酸作動性神経伝達と相互作用し、特に代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(mGluR5)のアンタゴニストとして相互作用し得るという証拠もある(De Witte et al.,CNS Drugs2005,19(6),517-37)。アカンプロセートのグルタミン酸作動性作用機序は、アルコール依存症に対するアカンプロセートの効果を説明することができ、神経保護などの他の治療活動を示唆している。
【0004】
米国特許第6,391,922号および米国特許第6,689,816号は、不安障害、気分障害、精神病性障害、身体表現性障害、および運動障害に起因する精神神経症状を含む精神神経障害の治療を開示している。米国特許第7,745,493号は、遅発性ジスキネジア、チック障害、トゥレット症候群および眼瞼痙攣、ならびに他の限局性ジストニアを含む運動障害の治療を開示している。米国特許第8,865,769号は、多発性硬化症、アルツハイマー病、アルツハイマー病関連障害、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、神経障害性疼痛、アルコール性神経障害、アルコール依存症またはアルコール禁断症、および脊髄損傷などのグルタミン酸興奮毒性およびアミロイド毒性に関連する神経障害の治療のための組み合わせおよび方法を開示している。
【0005】
公開された米国特許出願第2011/0294879号は、脆弱X症候群、脆弱X関連振戦/運動失調症候群、およびダウン症候群の治療を開示している。国際特許公開第2010093859A1号は、併存症または特発性自閉症および脆弱X症候群と診断された対象の治療を開示している。
【0006】
アカンプロセートは、生物薬剤学分類システム(BCS)のクラスIII化合物に指定されており、これは、細胞膜全体にわたって溶解性が高くかつ受動的透過性が低い極性分子である。結果として、ヒトにおけるアカンプロセートの経口バイオアベイラビリティは約11%に過ぎないと報告されており、胃腸管からの薬物の吸収が不十分であるため、その認容性が制限される可能性がある。更なる結果は、治療効果を達成するために比較的大きな錠剤が必要になったことである。
【0007】
Forest PharmaによってCampral(登録商標)として上市されているアカンプロセートカルシウムは、2004年にFDAによって最初に承認された。Campral(登録商標)は、治療開始時に禁酒しているアルコール依存症患者におけるアルコール禁酒の維持に適応がある。Campral(登録商標)は、経口投与用の腸溶性コーティング錠剤として供給される。各Campral(登録商標)錠剤には、300mgのアカンプロセートに相当する333mgのアカンプロセートカルシウムが含まれている。Campral(登録商標)333mg錠剤は、腸溶性コーティングされた、白色で円形の両凸錠剤である。Campral(登録商標)の推奨用量は、1日3回服用する333mg錠剤2錠(666mg)である。一部の患者では、より低い用量が有効である場合がある。食事に関係なく投薬が行われる場合もあるが、臨床試験中は食事による投薬が採用されており、毎日3食を規則的に食べる患者に推奨されている。腸溶性コーティング錠剤として、コーティングが破壊されると、上部消化管を通過して吸収のために下部消化管へと移動する前に、錠剤が即座に溶解する。咀嚼や切断などによって丸薬の腸溶性コーティングが破壊されると、副作用が観察され、下痢、吐き気、嘔吐などの胃腸障害が増加する。
【0008】
Campral(登録商標)錠剤のサイズは10mmであり、小児患者および成人患者の両方にとって問題となる。FDAは、ジェネリック錠剤やカプセルのサイズ、形状およびその他の物理的属性に関するガイダンス草案を発行した。これは、多くの個人が錠剤やカプセルを飲み込む難しさを概説し、様々な有害事象および患者の治療計画の違反につながる可能性がある。www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatory/information/guidances/ucm377938.pdf。このガイダンスでは、米国の1600万人を超える人々が錠剤やカプセルを飲み込むのが困難であると推定している。錠剤のサイズおよび形状は、咽頭および食道を通る製品の通過に影響を与える可能性があり、患者の製品を飲み込む能力に直接影響を与える可能性がある。この通過の困難さは、食道内での製品の崩壊、潰瘍、狭窄または穿孔の可能性、ならびに痛み、吐き気、窒息および誤嚥などの他の有害事象を引き起こす可能性がある。FDAが提示した研究では、直径8mmを超える錠剤は、患者の苦情や困難の増加、食道通過時間の増加に関連していることが示唆されている。
【0009】
脆弱X症候群(FXS)および共存自閉症の対象を対象としたCampral(登録商標)の臨床研究では、コミュニケーションおよび社会的相互作用のスキルが大幅に向上していることが実証された。Erickson et al,J.Autism Dev.Disord.(2010)。しかしながら、この研究で治療された脆弱X対象の大半において副作用である胃腸の苦痛(悪心および嘔吐)が一般的に観察された。更に、脆弱X症候群の小児患者(n=1,361人のFXS患者)の40%~90%が、固形丸薬全体を飲み込むのがかなり困難であったことが報告されている。Bailey D.B.,et.al.Medication Untilization for Targeted Symptoms in Children and Adults with Fragile X Syndrome:US Survey.J Dev Behav Pediatr.2012 33:62-69。その難しさは、Campral(登録商標)を使用した非盲検パイロット研究のために患者を募集する際の障壁になると報告されている。
【0010】
薬物の錠剤またはカプセル製剤を飲み込むことができないか、または飲み込めそうにない患者を治療するために、胃腸の問題を誘発しないアカンプロセートの経口製剤に対する必要性は長年にわたって切望されているが未だ満たされていない。また、3時間、4時間、5時間、6時間またはそれ以上などの長期の投薬間隔にわたって持続的かつ一貫した曝露を提供するアカンプロセートの経口製剤に対する必要性も長年にわたって切望されているが未だ満たされていない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】投薬1日目~4日目の参照錠剤と比較した、本明細書に記載される製剤のイヌにおけるC
maxを示す。各製剤の投薬量(dosing)を、各例で2×333mgのアカンプロセートカルシウム(BID)に正規化した。4日目に、試験製剤のいずれの間にも、統計的差異は観察されなかった。
【
図2】投薬1日目~4日目の参照錠剤と比較した、本明細書に記載される製剤のイヌにおけるAUC
lastを示す。各製剤の投薬量を、各例で2×333mgのアカンプロセートカルシウム(BID)に正規化した。4日目に、試験製剤のいずれの間にも、統計的差異は観察されなかった。
【
図3】投薬1日目の参照錠剤と比較した、本明細書に記載される製剤のイヌにおける循環アカンプロセートの観察された濃度を示す。各製剤の投薬量を、各例で2×333mgのアカンプロセートカルシウム(BID)に正規化した。
【
図4】投薬4日目の参照錠剤と比較した、本明細書に記載される製剤のイヌにおける循環アカンプロセートの観察された濃度を示す。各製剤の投薬量を、各例で2×333mgのアカンプロセートカルシウム(BID)に正規化した。
【発明の概要】
【0012】
ペレットを含む、複数のアカンプロセートを含む経口投与可能なスプリンクル製剤が本明細書に記載されている。本明細書に記載されるペレットが、Camprol(登録商標)およびAcamprol(登録商標)錠剤を含む従来の製剤、ならびに他の報告されているスプリンクル製剤よりも改善された薬物動態パラメーターを示すことが予想外に発見されている。
【0013】
本明細書に記載されるペレットは、コア、放出コーティングおよび腸溶性コーティング、ならびに任意の追加コーティングを含む。
【0014】
コアは、医薬品活性成分(API)としてのアカンプロセートなどのホモタウリンまたはその誘導体、および場合により希釈剤を含む。放出コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのエチルセルロース(EC)以外の熱可塑性セルロースエーテル、またはHPMCとECなどの熱可塑性セルロースエーテルの混合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。本明細書で定義されるように、HPMCおよびHPMC-EC混合物がコアに放出コーティングを与えることを理解されたい。したがって、本質的にHPMCもしくはHPMC-EC混合物からなる放出コーティングが、放出特性を付与するための十分に確立された、またはHPMCまたはHPMC-EC混合物の放出特性を実質的に変更する他の成分を含まないことを理解されたい。しかしながら、HPMCもしくはHPMC-EC混合物から本質的になる放出コーティングには、放出特性を付与するための十分に確立または認識されていない追加成分、またはHPMCもしくはHPMC-EC混合物の放出特性を実質的に変更しない追加成分をいくつでも含んでよいことも理解されたい。
【0015】
本発明の他の態様と共に本明細書で使用される際、本質的に~からなるという移行句(transitional phase)は、対応する並列の意味を有する。
【0016】
本明細書に記載のスプリンクル製剤が、従来の腸溶性コーティングを含んでもよいことを理解されたい。実例として、腸溶性コーティングは、メタクリル酸もしくはその任意の誘導体のポリマー、または前述のものの組み合わせを含む。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に記載される発明の例示的な一実施形態において、活性成分は、ホモタウリンまたはその誘導体、例えば、アセチルアミノプロパンスルホネート、アセチルアミノプロパンスルホン酸塩、タルトリミド、タウロムスチンなどである。別の実施形態において、活性成分は、3-アセトアミドプロパン-1-スルホン酸(N-アセチルホモタウリン、またはアカンプロセートとも呼ばれる)またはその医薬的に許容される塩である。別の実施形態において、活性成分はアカンプロセートカルシウムである。任意の形態の活性成分を、本明細書に記載されるスプリンクル製剤に使用または組み込むことができることを理解されたい。例えば、アカンプロセートカルシウムの形態Bを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる製剤が本明細書に記載されている。加えて、アカンプロセートカルシウムを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなるが、形態Bを実質的に含まない、または完全に含まない製剤が本明細書に記載されている。
【0018】
本発明のいくつかの例示的な実施形態が、以下の項によって説明される:
【0019】
本明細書には、複数のペレットを包含するスプリンクル製剤が記載されており、当該ペレットはコア、放出コーティングおよび腸溶性コーティングを含む。
【0020】
当該コアがアカンプロセートカルシウム、および場合により1つ以上の希釈剤を含む、前項のペレット。
【0021】
当該希釈剤がアカシア、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール(PEG)、ポビドン、スクロース、デンプン、または前述のものの任意の組み合わせを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0022】
当該希釈剤が、微結晶セルロース(MCC)またはセルロースゲル、例えばAvicel PH101を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、前項のいずれか1つのペレット。
【0023】
当該コアが、重量で約30%~約80%、約30%~約75%、約30%~約70%、約30%~約65%、または約30%~約60%のアカンプロセートカルシウムを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0024】
当該コアが、重量で約40%~約80%、約40%~約75%、約40%~約70%、約40%~約65%、または約40%~約60%のアカンプロセートカルシウムを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0025】
当該コアが、重量で約50%~約90%、約50%~約85%、約50%~約80%、約50%~約75%、約50%~約70%、約50%~約65%、または約50%~約60%のアカンプロセートカルシウムを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0026】
当該コアが、重量で約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%、約60%~約70%、または約60%~約65%のアカンプロセートカルシウムを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0027】
当該放出コーティングが、EC以外の熱可塑性セルロースエーテル、または1つ以上の熱可塑性セルロースエーテルとECとの混合物を含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0028】
当該放出コーティングが、HPMCまたはHPMCとECとの混合物を含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる、前項のいずれか1つのペレット。例示的なECには、エチルセルロース10標準、エチルセルロース20標準、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
当該放出コーティングがHPMCを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、ECを含まないかまたは実質的に含まない、前項のいずれか1つのペレット。
【0030】
当該放出コーティングがHPMCとECとの混合物を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、ECに対するHPMCの比が重量で約4.5~約0.5、約4~約1、約3.5~約1.5、約3~約2、または約2.5である、前項のいずれか1つのペレット。
【0031】
当該放出コーティングがHPMCとECとの混合物を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、ECに対するHPMCの比が重量で約5~約1、約4.5~約1、約4~約1、約3.5~約1、約3~約1、約2.5~約1、約2~約1、または約1.5~約1である、前項のいずれか1つのペレット。
【0032】
当該放出コーティングが、HPMCとECとの混合物を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、ECに対するHPMCの比が重量で約1以上である、前項のいずれか1つのペレット。
【0033】
当該放出コーティングが、HPMCとECとの混合物を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなり、ECに対するHPMCの比が重量で1より大きい、前項のいずれか1つのペレット。
【0034】
当該放出コーティングが、1つ以上の賦形剤、例えば、乳化剤、カルナウバワックス、シェラックなど、および前述のものの任意の組み合わせを更に含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0035】
当該放出コーティングが、クエン酸トリエチル、クエン酸トリエチルおよび関連クエン酸アセチルトリエチルエステル、クエン酸トリブチル、およびクエン酸アセチルトリブチル、ならびにそれらの組み合わせなどのクエン酸エステルを更に含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0036】
当該HPMCまたはHPMCとECとの混合物が、重量で、当該放出コーティングの少なくとも約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、または約80%である、前項のいずれか1つのペレット。
【0037】
当該放出コーティングが約5w/w%~約30w/w%、約5w/w%~約25w/w%、約5w/w%~約20w/w%、約5w/w%~約15w/w%、約5w/w%~約10w/w%、または約5w/w%~約7w/w%の追加重量を当該コアに加える、前項のいずれか1つのペレット。本明細書のこのような各例において、重量増加パーセントは、場合により(+w)/wとして表される。
【0038】
当該放出コーティングが約3w/w%~約15w/w%、約3w/w%~約12w/w%、約3w/w%~約10w/w%、または約3w/w%~約7w/w%の追加重量を当該コアに加える、前項のいずれか1つのペレット。重量差は、個々のコア、複数のコア、または複数のコアの平均として適用可能であることを理解されたい。
【0039】
当該腸溶性コーティングが、アニオン性ポリマー、例えばアクリレートおよび/もしくはメタクリレートラジカルならびにそれらのエステルを含むポリマーまたはコポリマーを含む、前項のいずれか1つのペレット。実例として、当該腸溶性コーティングは、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマーである。実例として、酸残基とエステル残基との比は約1:3~約3:1、または約1:2~約1:1の範囲である。
【0040】
当該腸溶性コーティングが、Eudragit S、Eudragit L30 D55およびEudragit L100 D55などのEudragit Lを含むがこれらに限定されない、Eudragitポリマーを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる、前項のいずれか1つのペレット。
【0041】
当該腸溶性コーティングが、乳化剤、凝結防止剤、流動促進剤などの1つ以上の賦形剤を更に含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0042】
当該腸溶性コーティングが、クエン酸エステル、例えばクエン酸トリエチル、クエン酸トリエチルおよび関連クエン酸アセチルトリエチルエステル、クエン酸トリブチルおよびクエン酸アセチルトリブチル、ならびにそれらの組み合わせを更に含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0043】
当該腸溶性コーティングがタルクを更に含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0044】
当該アニオン性コポリマーが、重量で、当該腸溶性コーティングの少なくとも約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、または約70%である、前項のいずれか1つのペレット。
【0045】
クエン酸エステルおよびタルクを更に含み、タルクに対するクエン酸エステルの比が重量で約1以下、約0.75以下、または約0.5以下である、前項のいずれか1つのペレット。
【0046】
当該腸溶性コーティングが、約30w/w%~約60w/w%、約30w/w%~約55w/w%、約30w/w%~約50w/w%、約30w/w%~約45w/w%、または約30w/w%~約40w/w%の追加重量を当該放出コーティングされたコアに加える、前項のいずれか1つのペレット。
【0047】
当該腸溶性コーティングが、約35w/w%~約60w/w%、約35w/w%~約55w/w%、約35w/w%~約50w/w%、約35w/w%~約45w/w%、または約35w/w%~約40w/w%の追加重量を当該放出コーティングされたコアに加える、前項のいずれか1つのペレット。
【0048】
当該腸溶性コーティングが、約40w/w%~約60w/w%、約40w/w%~約55w/w%、約40w/w%~約50w/w%、または約40w/w%~約45w/w%の追加重量を当該放出コーティングされたコアに加える、前項のいずれか1つのペレット。重量差は、個々の放出コーティングされたコア、複数の放出コーティングされたコア、または複数の放出コーティングされたコアの平均として適用可能であることを理解されたい。
【0049】
重量で少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、または少なくとも約60%のアカンプロセートカルシウムを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0050】
重量で少なくとも約35%、少なくとも約36%、少なくとも約37%、少なくとも約38%、少なくとも約39%、少なくとも約40%、少なくとも約41%、少なくとも約42%、少なくとも約43%、少なくとも約44%、または少なくとも約45%のアカンプロセートカルシウムを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0051】
重量で少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、または少なくとも約7%のHPMCを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0052】
重量で少なくとも約0.5%、少なくとも約1%、少なくとも約1.5%、少なくとも約2%、少なくとも約2.5%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、少なくとも約4.5%、または少なくとも約5%のHPMCを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0053】
重量で5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1.5%未満、1%未満、または0.5%未満のECを含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0054】
重量で30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満のアニオン性ポリマーを含む、前項のいずれか1つのペレット。実例として、アニオン性ポリマーは、アクリレートおよび/またはメタクリレートラジカルならびにそのエステルを含むポリマーまたはコポリマー、例えばEudragitである。
【0055】
アセトン、イソプロパノールなどの有機溶媒を合計で5000ppm未満、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、500ppm未満、または100ppm未満含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0056】
イソプロパノールを5000ppm未満、4000ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、500ppm未満、または100ppm未満含む、前項のいずれか1つのペレット。
【0057】
アセトン、イソプロパノールなどの有機溶媒を実質的に含まない、または含まない、前項のいずれか1つのペレット。
【0058】
イソプロパノールもしくはアセトン、またはその両方を実質的に含まない、または含まない、前項のいずれか1つのペレット。
【0059】
本明細書における重量パーセントまたは重量比の各説明は、個々のペレットおよび複数のペレットに適用可能であり、パーセントまたは比が複数のペレットの平均を指すことを理解されたい。また、複数のペレットがバルクサンプルまたは個々の投薬単位のいずれかを指すことができることも理解されるべきである。
【0060】
当該活性成分が均一に分散している、前項のいずれか1つのペレット。
【0061】
当該コアの質感が実質的に滑らかである、前項のいずれか1つのペレット。
【0062】
当該コアが実質的に非多孔性である、前項のいずれか1つのペレット。
【0063】
当該コアおよび/または放出コーティングされたコアが実質的に球形である、前項のいずれか1つのペレット。
【0064】
別の実施形態において、約0.25~約3mm、または約0.25~約2.5mm、または約0.25~約2mm、または約0.25~約1.5mm、または約0.5mm~約3mm、または約0.5~約2.5mm、または約0.5mm~約2mm、または約0.5mm~約1.5mmの範囲のサイズの複数のペレットが本明細書に記載されている。別の実施形態において、投薬単位中のペレットの大半は前述の範囲内にある。ペレットのサイズは、「スプリンクルと表示された医薬品のビーズサイズ(Bead Size for Drug Products Labeled for Sprinkle)」(現米国FDAガイダンス(http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatory information/guidances/ucm240243.pdf)に準拠)に記載されている方法などの任意の従来法によって求めることができる。
【0065】
別の実施形態において、約0.25~約1mm、または約0.5~約1mm、約0.25~約0.75mm、または約0.5~約0.75mmの範囲のサイズの複数のペレットが本明細書に記載されている。別の実施形態において、投薬単位中のペレットの大半は前述の範囲内である。
【0066】
別の実施形態において、約0.5mm~約3mm、または約0.5mm~約2.5mm、または約0.5~約2mm、または約0.5mm~約1.5mmの範囲のサイズの複数のペレットが本明細書に記載されており、当該ペレットは、重量で少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%のアカンプロセートナトリウムを含む。
【0067】
別の実施形態において、約0.25~約1mm、または約0.5~約1mm、または約0.5~約0.75mmの範囲のサイズの複数のペレットが本明細書に記載されており、当該ペレットは重量で少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、または少なくとも70%のアカンプロセートナトリウムを含む。
【0068】
ペレットサイズおよび薬物負荷は他を考慮して選択できることを理解されたい。例えば、より小さいペレットまたはペレット範囲は、実例として、より大きいペレットまたはペレット範囲よりも高い薬物負荷を有してもよい。
【0069】
別の実施形態において、pH1.2で10%未満、7%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満のアカンプロセートの放出を達成するスプリンクル製剤が本明細書に記載されている。
【0070】
別の実施形態において、pH6.8緩衝液中で30分以内に70%超、75%超、80%超、85%超、または90%超のアカンプロセートの放出を達成するスプリンクル製剤が本明細書に記載されている。
【0071】
別の実施形態において、pH6.8緩衝液中で90分以内に85%超、90%超、92%超、95%超、または97%超のアカンプロセートの放出を達成するスプリンクル製剤が本明細書に記載されている。
【0072】
別の実施形態において、pH6.8緩衝液中で60分以内に85%超、90%超、92%超、95%超、または97%超のアカンプロセートの放出を達成するスプリンクル製剤が本明細書に記載されている。
【0073】
API放出が、pH1.2および/またはpH6.8緩衝液で任意の従来のインビトロアッセイを使用して評価されることを理解されたい。
【0074】
別の実施形態において、本明細書に記載のペレットは、医薬スプリンクル製剤に包含される。
【0075】
別の実施形態において、複数のペレットまたはその医薬製剤は、潤滑剤、着色剤、流動剤、流動促進剤、充填剤、香料、香味料、香味増強剤、香味マスキング剤もしくは発泡剤、または上記の任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含む。
【0076】
別の実施形態において、本明細書に記載のペレットおよびその医薬製剤は、疾患の治療に有用である。
【0077】
別の実施形態において、本明細書に記載のペレットおよびその医薬製剤は、疾患を治療するための薬剤の製造に有用である。
【0078】
別の実施形態において、本明細書に記載のペレットおよびその医薬製剤は、疾患を治療する方法において有用であり、当該方法は、実例として、本明細書に記載の組成物または投薬単位を約5.5以下のpHを有する食品の上または中に振りかけることにより投与することを含み、当該食品は摂取されるものである。当該組成物および投薬単位は、同時にまたは同時に摂取されるように構成および適合されている。
【0079】
別の実施形態において、当該食品はアップルソースまたはヨーグルトである。
【0080】
別の実施形態において、投薬単位が記載されている。
【0081】
別の実施形態において、投薬単位はカプセルに含まれる複数のペレットである。
【0082】
別の実施形態において、投薬単位は、アルミニウムパウチなどのサシェに含まれる複数のペレットである。
【0083】
別の実施形態において、投薬単位は、ストローに含まれる複数のペレットである。
【0084】
別の実施形態において、活性成分はアカンプロセートカルシウムであり、単位用量は約100mg~約2500mgまたはアカンプロセートに相当する。
【0085】
別の実施形態において、単位用量は約333mgのアカンプロセートカルシウムを含む。
【0086】
別の実施形態において、単位用量は約600、約400、約300、または約200mgのアカンプロセートカルシウムを含む。
【0087】
別の実施形態において、単位用量は約600、約400、約300、または約200mgのアカンプロセートを含む。
【0088】
別の実施形態において、1つ以上の投薬単位が、1日に1~4回、または1日に2~3回投与される。
【0089】
別の実施形態において、1つまたは2つの投薬単位が1日に3回投与される。
【0090】
別の実施形態において、1つまたは2つの投薬単位が1日に2回投与される。
【0091】
上記および本出願内の他の箇所に記載された態様および実施形態の全ての許容可能な組み合わせが、本明細書に記載された本発明の更なる態様および実施形態であることを理解されたい。
【0092】
「バイオアベイラビリティ」は、対象への薬物の投与後に対象の全身循環に到達する薬物の速度および量を指し、例えば、ある薬物の血漿または血中濃度対時間プロファイルを評価することにより求めることができる。
【0093】
「腸溶性コーティング」は、胃のより低いpHから薬物を保護し、分解を減少させ、および/または早期溶解を減少または防止するために、経口薬剤にまたはその上に適用されるポリマーバリアを指す。胃でのアカンプロセートカルシウムの放出は、胃腸の苦痛および/または胃の刺激を引き起こすことが報告されている。
【0094】
「医薬的に許容される」は、連邦政府または州政府の規制当局によって承認されているもしくは承認可能なもの、または動物、特にヒトで使用される米国薬局方もしくは他の一般的に認められた薬局方に列挙されているものを指す。
【0095】
「塩」は、陽イオンおよび陰イオンの集合体からなる化合物を指す。本開示の化合物の塩には、化学量論形態および非化学量論形態の塩が含まれる。特定の実施形態において、薬剤におけるその潜在的な使用のため、活性成分の塩は医薬的に許容される塩である。
【0096】
「医薬的に許容される塩」は、親化合物の所望の薬理活性を有する化合物の塩を指す。活性成分がアカンプロセートである場合、塩はカルシウム塩であってもよい。
【0097】
「医薬組成物」は、少なくとも1つの活性成分と、少なくとも1つの活性成分が共に対象に投与される少なくとも1つの医薬的に許容されるビヒクルとを指す。
【0098】
「スプリンクル製剤」は、楕円形またはほぼ球形または円筒形であり得る腸溶性コーティングされたビーズまたはペレットを指し、現在FDAによって0.82mm~3.04mm(±10%の変動)のサイズであると定義されており、咀嚼の有無にかかわらず食品と共に経口投与される。スプリンクルは、円筒形、端が丸い円筒形、ダンベル形、楕円形または球形など、いくつかの形状で製造することができる。“Guidance for Industry Size of Beads in Drug Products Labeled for Sprinkle,” U.S. Department of Health and Human Services Food and Drug Administration Center for Drug Evaluation and Research(CDER) May 2012 CMC Rev. 1を参照のこと。より球形のペレットは、次の属性の1つ以上を有し得ることを理解されたい:より低い偏心率、より少ないおよび/またはより小さな平面領域、より少ないおよび/またはより低い尖頭、先端または突起、より少ないおよび/またはより浅い谷部、凹みまたは窪み。
【0099】
「サシェ」は、2つの層を4辺全てで結合するなどして作成された小さく柔軟なパッケージである。製薬業界では、この用語はしばしば、液体、粉末、クリーム、ペーストまたは顆粒として提供できる製剤の用量を含有する、使い捨ての密封された柔軟なアルミニウムパウチを指す。
【0100】
「対象」は、哺乳動物、例えばヒトを指す。
【0101】
「持続放出」または「調節放出」は、同じ投与経路による同じ化合物の即時放出製剤の投与により達成される期間と比較して長期間にわたる、対象の全身循環において化合物またはその活性代謝物の治療的または予防的濃度を達成するのに有効な速度での医薬組成物の剤形からの化合物の放出を指す。いくつかの実施形態において、化合物の放出は、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、およびいくつかの実施形態では少なくとも約16時間、少なくとも約20時間、または少なくとも約24時間の期間にわたって行われる。
【0102】
任意の疾患を「治療する」またはその「治療」は、疾患もしくは障害の臨床症状の少なくとも1つを阻止もしくは改善すること、疾患もしくは疾患の臨床症状の少なくとも1つを獲得するリスクを低減すること、疾患もしくは疾患の臨床症状の少なくとも1つの発症を低減すること、または、疾患もしくは疾患の臨床症状の少なくとも1つを発症するリスクを低減することを指す。「治療する」または「治療」はまた、物理的に(例えば、認識可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメーターの安定化)、またはその両方で疾患を阻害すること、および、対象にとって認識可能であるまたは認識可能でない場合がある少なくとも1つの物理的パラメーターを阻害することを指す。特定の実施形態において、「治療する」または「治療」は、たとえ対象がまだ疾患の症状を経験していないまたは提示していないとしても、疾患または障害にさらされているかまたはかかりやすい対象において、疾患または少なくとも1つ以上のその症状の発症を遅らせることを指す。
【0103】
「治療上有効な量」は、疾患、または疾患の臨床症状の少なくとも1つを対象に投与した場合、疾患またはその症状の治療に影響を及ぼすのに十分な化合物の量を指す。「治療上有効な量」は、例えば、化合物、疾患および/または疾患の症状、疾患および/または疾患もしくは障害の症状の重症度、治療すべき対象の年齢、体重および/または健康、ならびに処方医の判断に応じて異なり得る。任意の所与の例における適切な量は、当業者によって確認され得るか、日常的な実験によって決定可能である。
【0104】
「治療上有効な用量」は、対象の疾患または障害の有効な治療を提供する用量を指す。治療上有効な用量は、化合物ごとに、および対象ごとに異なり、対象の状態および送達経路などの要因に依存する場合がある。治療上有効な用量は、当業者に知られている日常的な薬理学的手順に従って決定され得る。
【0105】
別の実施形態において、API化合物はペレットのコア中に均一に分散され、放出コーティングに封入され、更に腸溶性コーティングに封入されてペレットを形成する。腸溶性コーティングは、低pHで溶解性が低いため、ペレットが胃から排出される後まで、ペレットからのAPIの放出を遅らせる。中性の腸上部では、腸溶性コーティングが溶解し、放出コーティングが露出する。放出コーティングは、約5を超えるpHで徐々に溶解し、APIを徐々に放出する。
【0106】
本明細書に記載のペレットは、HPMCまたはHPMCとECとの混合物を含む放出コーティングを含む。本明細書に記載されているように、HPMCはコアの希釈剤としても使用できることを理解されたい。HPMCまたはHPMCとECとの混合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる放出コーティングが、Camprol(登録商標)およびAcamprol(登録商標)、およびEC放出コーティングを含む代替スプリンクル製剤と比較して、より優れたPK性能特性を提供できることが予想外に発見されている。
【0107】
本明細書において、HPMCおよびHPMCとECとの混合物が、pH6.8で同等のコーティング厚でEC単独と比較してコア中の活性成分のより速い放出を提供することが予想外に発見された。放出コーティングの厚さが放出に関係し、より薄いコーティングがより完全な放出を提供することが理解される。それにも関わらず、HPMCまたはHPMCとECとの混合物を含む、本質的にそれからなる、またそれからなる放出コーティングが、同等の厚さのECコーティング、更にはそれより薄い厚さのECコーティングと比較して、より完全な放出を提供することが予想外に発見された。
【0108】
理論に束縛されるものではないが、本明細書では、より球形の形状が約6.8のpHなどの所定のpHでのより迅速なおよび/またはより完全な放出など、より良い放出プロファイル、および/または複数用量にわたるより一貫した放出プロファイルを提供すると考えられる。しかしながら、ECのみを使用すると、コアがより完全に球状になり、pH6.8でより早い放出の開始および/または十分に速放性であるペレットを提供する際、非常に薄い放出コーティングが必要になる場合があることが予想外に発見された。非常に薄い放出コーティングは一貫して製造することが難しく、よくできていてもより漏れやすい傾向があり、これは胃でのAPIの早期放出、および/または胃腸の苦痛、摂取量の低下または曝露の変動を引き起こす腸管での放出のスパイクを引き起こす可能性がある。
【0109】
より薄い放出コーティングの代替として、HPMCおよびHPMCとエチルセルロースとの混合物が、漏れを防ぐのに十分な厚さで適用可能であると同時に、適切な時間でpH6.8で迅速な放出の開始およびより速放性であるコーティングを提供できることが予想外に発見された。また、コーティングの厚さのフレキシビリティが高くなると、品質の保証および制御が改善されて、技術的な製造上の利点が得られることも理解される。
【0110】
予想外に、より速放性の放出製剤が、治療される宿主動物へのより高くかつ良好な持続的曝露を提供することが発見されている。例えば、放出が遅すぎると、腎臓クリアランス速度が吸収速度と競合し、APIの持続的な循環レベルの低下および治療効果の低下につながることも発見されている。したがって、持続放出は腎臓クリアランス速度よりも有利に速いことを理解されたい。更に、放出が遅すぎると、無傷のペレットが糞便中で観察され、APIの持続的な循環レベルが低下し、治療効果が低下する。
【0111】
本明細書において、より速いpH6.8アッセイ放出プロファイルは、驚くべきことに、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、または少なくとも8時間にわたって、インビボでの持続的かつ最小限に変動するAPIの循環レベルと相関することが発見されている。
【0112】
例えば、
図3に示されるように、666mgのアカンプロセートカルシウムに対応する用量により、宿主動物で1~5μg/mLがほぼ12時間循環し、および宿主動物で2~5μg/mLが6時間を超えて循環するペレットが本明細書に記載されている。
【0113】
更に、本明細書では、HPMCまたはHPMCとエチルセルロースとの混合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる放出コーティングが、より良好なAPI回収率を提供し得ることが観察されている。本明細書では、HPMCまたはHPMCとエチルセルロースとの混合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなるコーティングが、しばしば60%のAPI回収率を提供するエチルセルロースコーティングと比較して、約80%超、約85%超、約90%超、約92%超、または約95%超のAPI回収率を提供し得ることが観察されている。
【0114】
別の実施形態において、エチルセルロースコーティングを有するペレットなどの従来のペレットと比較してより低い漏れを示すペレットが本明細書に記載される。漏れは胃腸の苦痛を引き起こす可能性があるため、より厚い腸溶性コーティングが必要になる場合がある。本明細書に記載の放出コーティングにより、より薄い腸溶性コーティングを使用できることが本明細書で発見されている。より薄い腸溶性コーティングの結果として、pH1.2での早期放出が依然として軽減され、pH6.8での腸溶性コーティングのより速くかつより完全な溶解が達成される。したがって、
図3に示すように、pH6.8での放出開始の遅延が最小限に抑えられる。ここでは、本明細書に記載のペレットは約1時間で1μg/mLを超える持続用量に達するが、Acamprolは4時間後まで循環を開始しない。
【0115】
加えて、HPMCまたはHPMCとエチルセルロースとの混合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる放出コーティングは、コーティングプロセスで使用される腸溶性コーティングの分散液の使用を可能にするのに十分な弾性を有することが本明細書で予想外に発見されている。多くの従来の腸溶性コーティング組成物は、アセトンおよび/またはイソプロパノールなどの有機溶媒を含む。有機溶媒は、最先端の技術を使用して除去することが困難であることが観察された。例えば、残留イソプロパノールは、数時間の乾燥、硬化時間の延長、より高いアセトン/イソプロパノール比を含む腸溶性コーティング組成物の使用、代替賦形剤の使用、噴霧装置の変更、および腸溶性コーティングのレベルや厚さの低下の後でも3000ppm、4000ppm、更には5000ppmを超えるレベルで日常的に見出された。全ての場合において、イソプロパノールのレベルは依然として最適レベルを上回っていた。
【0116】
驚くべきことに、非常に可溶性のアカンプロセートカルシウムAPI、および中性pHでAPIの迅速な開始と迅速な放出を提供するように設計された放出コーティングを使用しても、本明細書に記載の放出コーティングは水性腸溶性コーティング組成物の使用を可能にすることが発見された。したがって、本明細書には、残留有機溶媒の低閾値レベルを満たすペレット、ならびにアセトンおよびイソプロパノールなどの残留有機溶媒を実質的に含まない、または完全に含まないペレットも記載されている。
【0117】
代替実施形態において、本明細書に記載のペレットは、Eudragitポリマーなどのメタクリル酸の1つ以上のポリマーと、エチルセルロースおよび/またはHPMCとを含む放出調節剤を含む腸溶性コーティングを含む。理論に拘束されるものではないが、本明細書では、Eudragitポリマーなどのメタクリル酸のポリマーとエチルセルロースおよび/またはHPMCとの混合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる放出コーティングが、エチルセルロースコーティングと比較して、より良好なPK性能特性を提供し得ると考えられる。例えば、Eudragitポリマーなどのメタクリル酸のポリマーとエチルセルロースおよび/またはHPMCとの混合物を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる放出コーティングは、pH1.2でほぼゼロまたはゼロの放出を提供し得るが、pH6.8ではより速くかつより完全な放出を提供し得る。
【0118】
EP0453001A1に記載されるコーティング、他のメタクリル酸コポリマー、メチルヒドロキシプロピルセルロースフタレート、ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)など、および前述のものの任意の組み合わせを包含する、他の代替腸溶性コーティングも本明細書に記載されている。ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1(Eudragit(登録商標)L 100;メタクリル酸コポリマー、USP/NFタイプA)およびポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2(Eudragit(登録商標)S;メタクリル酸コポリマー、USP/NFタイプB)が本明細書に記載されている。
【0119】
本明細書に記載のペレット製剤は、場合により、潤滑剤、着色剤、流動剤、流動促進剤、充填剤、香料、香味マスキング剤、香味料、甘味料などの香味増強剤(人工および天然の両方)、発泡剤など、および前述のものの任意の組み合わせなどの1つ以上の追加の添加剤を含むことができる。
【0120】
例示的な潤滑剤には、アジピン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、硬化植物油、塩化ナトリウム、ステロテックス、ポリオキシエチレン、モノステアリン酸グリセリル、タルク、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、軽質鉱物油など、「Compritol」製品として販売されているベヘン酸グリセリルなどのワックス状脂肪酸エステルが含まれ、市販の潤滑剤には「Stear-O-Wet」および「Myvatex TL」など、ならびに前述のものの任意の組み合わせが含まれる。
【0121】
例示的な流動促進剤には、デンプン、タルク、ラクトース、ステアリン酸塩、二塩基性リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、Cabosil、Syloidおよび二酸化ケイ素エアロゲルなど、ならびに前述のものの任意の組み合わせが含まれる。
【0122】
サシェの嵩を増加させるための例示的な充填剤には、硫酸カルシウム、二塩基および三塩基の両方、デンプン、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、加工デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトールなど、ならびに前述のものの任意の組み合わせが含まれる。
【0123】
例示的な香味料には、天然および合成香味液体、揮発油、合成香味油、香味芳香剤、油、液体、オレオレジン、ならびに、植物、葉、花、果実、茎およびそれらの組み合わせに由来する抽出物、例えばクエン酸油、例えばレモン、オレンジ、グレープ、ライム、グレープフルーツおよびフルーツエッセンス、リンゴ、ナシ、モモ、グレープ、ストロベリー、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットまたはその他のフルーツ香味料が含まれる。他の例示的な香味料には、ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)などのアルデヒドおよびエステル;シトラール、すなわち、α-シトラール(レモン、ライム);ネラール、すなわち、β-シトラール(レモン、ライム);デカナール(オレンジ、レモン);アルデヒドC-8(柑橘類果実);アルデヒドC-9(柑橘類果実);アルデヒドC-12(柑橘類果実);トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド);2,6-ジメチルオクタナール(緑色果物);2-ドデデナール(dodedenal)(柑橘類、マンダリン);など、ならびに前述のものの任意の組み合わせが含まれる。
【0124】
例示的な甘味料には、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、果糖、およびそれらの混合物(担体として使用しない場合);サッカリンおよびナトリウム塩などの様々な塩;アスパルテームなどのジペプチド甘味料;ジヒドロカルコン化合物、グリチルリチン;ステビア・レバウディアナ(Stevia Rebaudiana)(ステビオサイド);クロロ誘導体またはスクラロースなどのスクロース;ならびにソルビトール、マンニトール、キシリトールなどの糖アルコール、水素化デンプン加水分解物、および3,6-ジヒドロ-6-メチル-1-1-1,2,3-オキサチアジン-4-オン-2,2-ジオキシドなどの合成甘味料、特にカリウム塩(アセスルファム-K)、およびそのナトリウムおよびカルシウム塩が含まれる。
【0125】
活性成分の不快な味を隠すのを助けるために、発泡剤が含まれてもよい。
【0126】
例示的な色添加剤には、食品、薬物および化粧品着色剤(FD&C)、医薬品および化粧品着色剤(D&C)、または外部の医薬品および化粧品着色剤(Ext.D&C)が含まれる。これらの着色剤は、染料、レーキ、ならびに特定の天然および派生着色料である。有用なレーキには、水酸化アルミニウムまたは他の適切な担体に吸収された染料が含まれる。
【0127】
活性成分または活性成分を含む医薬組成物の適切な投与量は、いくつかの十分に確立されたプロトコルのいずれかに従って決定されてもよい。例えば、マウス、ラット、イヌ、および/またはサルを使用した研究などの動物研究を使用して、医薬化合物の適切な用量を決定してもよい。動物研究の結果を外挿して、例えばヒトなどの他の種で使用する用量を決定することができる。本明細書では、イヌが、pH1.2およびpH6.8でのインビトロ放出アッセイを所望のPKプロファイルと相関させるのに有用な種であると判断されている。30分で少なくとも70%、90分で少なくとも90%など、APIを迅速に放出するペレットは、長時間(12時間)循環での高いAPI循環レベル(1~5μg/mL)を提供する。
【0128】
本明細書に記載されるペレットおよびその製剤は、グルタミン酸-GABA不均衡として特徴付けられる神経伝達もしくは認知障害、ERKシグナル伝達経路の破壊もしくは調節不全を特徴とする障害、または脳の発達、学習、記憶、および認知に異常をもたらすRAS病を含むがこれらに限定されない広範な疾患の治療に有用である。例示的な疾患には、以下が含まれるがこれらに限定されない:自閉症スペクトラム障害、広汎性発達障害-他に特定されない、特発性自閉症、脆弱X症候群、アスペルガー症候群、レット症候群、精神障害の診断および統計マニュアルVで更に参照される小児崩壊障害、アルコール依存症、耳鳴り、睡眠時無呼吸、パーキンソン病、パーキンソン病(PD)におけるレボドパ誘発性ジスキネジア、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病(HD)、皮質拡延性抑制、片頭痛、統合失調症、不安、遅発性ジスキネジー、痙性、多発性硬化症、様々な種類の痛み、または過食、加齢性認知障害を有するもしくはそのリスクのある対象、軽度認知障害(MCI)、認知症、前駆症状AD、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、双極性障害、筋萎縮性側索障害硬化症(ALS)、がん治療関連の認知障害、薬物誘発性もしくは毒素誘発性認知障害、強迫行動、物質中毒、ダウン症候群、神経障害、ならびに/または障害に関連する1つ以上の神経学的欠陥もしくは症状(例えば、良性小児てんかん、側頭葉てんかん、視覚的空間的欠陥、不安、攻撃性、多動、興奮、反復行動、異常もしくは限定的な社会的相互作用、言語および学習の困難、および/もしくはそれらの組み合わせ)を軽減、停止、改善、もしくは予防するための精神遅滞。
【0129】
特定の実施形態において、精神遅滞、自閉症スペクトラム障害、ダウン症候群および脆弱X症候群の小児は、本明細書に記載の製剤で治療することができる。小児は、乳児期(生後約0から約1年まで)、小児期(乳児期から思春期まで)および思春期(生後約8年から生後約18年まで)に治療できる。
【0130】
対象における疾患の治療に有効である活性成分の量は、部分的に状態の性質に依存し、当技術分野で知られている標準的な臨床技術によって決定することができる。更に、インビトロまたはインビボアッセイを使用して、最適な投与量範囲を特定できる。投与される活性成分の治療有効量は、他の要因の中でも、治療される対象、対象の体重、疾患の重症度、投与方法、および処方医の判断にも依存し得る。
【0131】
薬物の単位用量は一般に約100mg~約2500mgである。好ましくは、単位用量は約200~約500mg(例えば、約333mg)である。単位剤形は、典型的には1日に1~4回、好ましくは1日に2~3回投与される。
【0132】
本明細書に記載されるペレット製剤は、典型的には経口投与を意図されている。例えば、ペレットはサシェまたはストローに包装することができ、使用時に開封し、薬品は摂取のために食品に振りかける。アップルソースやヨーグルトなどの好ましい食品のpHは約5.5未満でる。ペレットはカプセルに入れることもでき、カプセルはそのまま摂取するか、カプセルを開封して内容物を食品にふりかけて摂取することができる。
【0133】
本明細書に記載のペレットおよび製剤は、グループIのmGluRアンタゴニスト、非定型抗精神病化合物を含む抗精神病薬、神経弛緩薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン-ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)、抗うつ薬、抗不安薬、GABAB受容体アゴニスト、ムスカリン受容体アンタゴニスト、刺激薬、ニコチン性受容体アゴニスト、エンドカンナビノイド受容体アンタゴニスト、AMP A作動薬、α2アドレナリンアゴニスト、または抗けいれん薬などであるが、これらに限定されない他の治療活性化合物と同時投与できる、または同時投与に適合させることができることを理解されたい。
【0134】
本明細書で引用される各刊行物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0135】
実施例
アカンプロセートカルシウム原薬は、IndSwiftから99.5%~100%程の高いアッセイ%で、白色またはオフホワイトの粉末として市販されている。別段の指示がない限り、希釈剤、放出コーティングの成分、または腸溶性コーティングの成分として使用される本明細書に記載の全ての賦形剤は、市販の供給源から入手される。
【0136】
APIは胃腸刺激を引き起こすと報告されているため、アカンプロセートカルシウムの現在市販されている2つの製剤は、腸溶性コーティングされた錠剤Campral(Forest Laboratoriesによって米国で販売され、Merck KGaAによって米国外で販売されている)およびAcampral(Sun Pharmaceuticals)である。本明細書では、腸溶性ポリマーでコーティングされたペレットは、経口投与された場合に胃へのAPIの早期放出を最低限に抑えるまたは回避すると考えられている。
【0137】
アカンプロセートスプリンクル剤形の例示的な目標とする製品特徴を、以下の表にまとめる。
【表1】
【0138】
2つの異なるサイズ/直径を有する例示的なコアペレットを調製した。2つのコアサイズの放出特性、およびそれらから調製された対応するペレットに、有意差はなかった。
【0139】
本明細書に記載されるペレットは、従来の機器および技術を使用して製造および評価することができる。例えば、例示的な機器は、同時係属中のPCT国際出願第PCT/US2016/030725号に記載されている。
【0140】
アッセイ法や溶解法など、スプリンクルの評価に使用される分析方法を次の表にまとめる。
【表2】
【表3】
【表4】
【0141】
実施例。アカンプロセートカルシウムコアの製造(#16/20ASTMおよび#25/30ASTM)。2つの例示的な異なるコアサイズ(#16/20および#25/30)のペレットについて説明する。1.2mmまたは0.8mmのメッシュサイズでAvicel PH101などのAPI+希釈剤の湿塊を押し出すことによってコアを製造した。いずれの場合も、押し出された材料をスフェロナイザーに2.1のプレートRPMにて10分間投入して、ほぼ球形のコーティングされていないコアを得た。
【表5】
【0142】
200mgのスプリンクルはそれぞれ、100mgまたは120mgのアカンプロセートカルシウムAPIに相当した。スプリンクルのアッセイは、98%w/w以上であった。
【0143】
【0144】
【0145】
放出コーティング組成物は、処理装置での潜在的な損失を考慮して、20%過剰の固形物を含む。
【0146】
実施例。中間の放出コーティングコアを次の表に示す。約50:50~約80:20(約60:40を含む)など、任意のAPI:希釈剤比を有するコアを使用することができる。
【表8】
【0147】
放出コーティング組成物は、処理装置での潜在的な損失を考慮して、20%過剰の固形物を含む。
【表9】
【0148】
実施例。腸溶性コーティングされたペレット。放出コーティングされたコアは、Eudragit L 100 55ポリマーなどの腸溶性コーティングで更にコーティングされている。腸溶性コーティングの処方組成を次の表に示す。
【表10】
【0149】
実施例。腸溶性コーティングの例示的な製造手順を以下の表に示す。
【表11】
【0150】
スプリンクルは、アップルソースやヨーグルトなどの食用マトリックスで投与することを目的としている。本明細書では、ほとんどのブランドのアップルソースが3~3.6の範囲のpHを有することが理解される。pH3.0および4.5での薬物放出を決定するために、スプリンクルについて溶出試験を実施し、結果を次の表に示す。
【表12】
【表13】
【0151】
pH3.0および4.5でのスプリンクルの薬物放出は、120分後にNMT2%であることが観察された。
【0152】
実施例。アカンプロセートカルシウムペレットの安定性。ペレットサンプルを、安定性を調べるべく以下のように充填する:
包装-スプリンクルの重量を量り、アルミニウムサシェ入れて密封する。
充填重量-800~900mg(計量されたスプリンクルは、333mgのアカンプロセートカルシウムに相当)
条件-25℃/60%RHまたは40℃/75%RH
時点-開始時、1、3、6、および12か月目
評価-アッセイ、関連物質および溶解
【0153】
実施例。例示的なアカンプロセートカルシウムスプリンクルおよび溶解プロファイル。
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【0154】
実施例。アカンプロセートカルシウムスプリンクルの貯蔵安定性試験。開放したペトリ皿に載せたスプリンクルの溶解
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【0155】
実施例。イヌのCampralのPK試験(参考例)。薬物動態試験は、Covanceのウィスコンシン州マディソンの施設においてビーグル犬で実施する。この認められた動物モデルは、活性成分がどのように吸収され、分配され、排除されるかを理解するために使用される。なお、ビーグル犬はCampralの動物モデルとして使用されており、公開されている研究は比較のために利用できる(Kathleen Haberny-FDA Review,Adam Wasserman-FDA review and Rhee et al.,2008 a,b)。この研究では、既存の333mg腸溶性錠剤のベースラインプロファイルを複数の用量範囲にわたって実証すると同時に、活性成分が水溶液に溶解している単純な「裸の」製剤と賦形剤を比較する。
【0156】
これらの研究により、3つの発見が確認された:体内の活性薬物の初期ピーク濃度(Cmax)は、非腸溶性コーティング溶液として送達されても大幅に増加した。第二に、全身的に利用可能な「裸の」薬物の量(バイオアベイラビリティ)は、Campral錠剤よりもかなり高かった。最後に、「裸の」薬は全ての犬の全ての投与量にわたって胃腸非認容性(intolerability)を大幅に増加させた。完成した製剤試験は、単純な「裸の」水溶液の問題が、この薬物を投与するための非現実的な経路であることを実証した。
【0157】
実施例。CampralおよびAcamprol錠剤と比較した、本明細書に開示された実施例の、イヌにおけるPK試験。7日間の試験中、イヌに666mgまたは1,332mgのBIDを、1日あたりの最大総曝露量2,664mgで毎日投与する。全てのイヌは、Covanceのストックコロニーからの雄の非ナイーブビーグル犬である。投与時の動物の体重は9.4~12.0kgであり、若年成体/成体である。動物は、個別に番号が付けられたケージカードまたは埋め込み型マイクロチップ識別デバイス(IMID)で識別される。動物を、全体的な健康状態および体重に基づきテスト用に選択する。この試験は摂食条件下で実施し、動物には認定イヌ用餌#5007を与える。食物は自由に提供される。水は毎日新鮮に自由に提供される。動物は、20~26℃の温度、50±20%の相対湿度、および12時間の明/12時間の暗サイクルを維持するように設定された部屋のステンレス鋼ケージに収容する。必要に応じて、学習手順に対応するために、12時間の暗サイクルを一時的に中断する。スプリンクルを、Covanceで急速に溶解するカプセルに充填し、投与期間を通して1日2回投与するために分けておく。Campral錠剤は、投与期間を通して1日に2回投与する。残りの錠剤または充填カプセルは、周囲温度で保存する。個々の用量は、動物あたり2または4カプセル/錠(動物あたり666または1332mg)の固定用量として、1日2回、およそ12時間間隔で、1日あたりの最大総用量が8カプセル/錠(2664mg動物)となるように経口投与し、続いて約10mLの水を与える。
【0158】
毎日2回(午前と午後)、動物の死亡率および痛みと苦痛の兆候を観察する。一般的な健康状態および外観のケージ側観察を1日に1回行う。研究期間中に記録された異常な観察結果を、生データに記録する。体重は、動物の選択時および用量投与の1日目に計測する。1日目と7日目に、投与前および投与から0.25、0.5、1、2、4、8、12、24および48(7日目のみ))時間後に、K2EDTA抗凝固剤を含むチューブ内に頸静脈から血液(約2mL)を採取する。12時間の投与の前に12時間血液サンプルを採取し、2日目の投与の前に24時間血液サンプルを採取する。
【0159】
実施例。本明細書に開示される実施例のPK結果。合計1332mg(有効用量)のアカンプロセートカルシウム製剤をカプセル群に充填した。SF17001046Aの場合、各カプセルには787mgのスプリンクル製剤が含まれており、これは333mgのAPIに相当する。SF17001046Bの場合、各カプセルには816mgのスプリンクル製剤が含まれており、これは333mgのAPIに相当する。各投与の約1時間前に、全ての動物(約150g)に従来のイヌ用食餌を与えた。研究中、水は自由に提供された。カプセル/錠剤の投与後、約5mLのMilli-Q水を頬袋から投与した。
【0160】
血液サンプルは、投与前、最初の投与から0.25、1、2、4、8、12(2回目の投与前)、13、16、20、24時間後に連続して採取した。毎回、2mLの血液を頸静脈から採取し、ラベルを貼ったK
2EDTAコーティングチューブに移した。血液サンプルを遠心分離し、採取した血漿は、生体分析のためにAdvinus Therapeutics Limitedに出荷されるまで-60℃以下で保存した。血漿サンプルは、0.025μg/mLの定量下限を備えた目的に合ったLC-MS/MS法を使用して、アカンプロセートの定量について分析された。検証済みのPhoenix(登録商標)WinNonlin(登録商標)ソフトウェア(バージョン6.3)を使用して、試験製剤の薬物動態パラメーターを計算した。
【表25】
【0161】
図1は、各試験品の1日目および4日目のC
maxを示している。データによれば、4日目までの曝露は全ての試験品間で有意差がない。
【0162】
図2は、各試験品の1日目および4日目のAUC
lastを示している。データによれば、4日目までの曝露は全ての試験品間で有意差がない。
【0163】
図3および
図4は、Acamprol錠剤(Sun Pharma、BSR 3074)と比較して、本明細書に記載の製剤は、1日目および4日目の両方で、より迅速な開始、より持続的な放出プロファイル、およびより一貫した宿主動物のアカンプロセートカルシウムへの曝露を呈することを示している。対照的に、Acamprolは、ピークがより高くかつトラフがより低い、より不規則な曝露プロファイルを示した。
【0164】
参考例
2つの異なる市販の腸溶錠の溶解性を評価し、製品および溶解結果の詳細を次の表に示す。
【表26】
【表27】
【0165】
市販製品の溶解結果は、pH1.2緩衝液では薬物放出が無視できるかゼロであり、180分後にはpH6.8緩衝液でほぼ完全に放出されることを示した。120~180分後、2つの市販錠剤の放出プロファイルに差が観察された。
【0166】
比較例
各比較例は、PCT国際出願第PCT/US2016/030725号に従って適合され、本質的にECからなり、HPMCを含まない放出コーティングを含む。
【表28】
【0167】
データによれば、放出コーティングがより厚いと、早期放出を軽減することができるが、放出コーティングが薄いと、pH1.2で最小の放出を保証するためにはより厚い腸溶性コーティングが必要となる。
【表29】
【0168】
また、データによれば、薄い放出コーティングは、pH1.2でより高い全体的な早期放出を呈し、より厚い腸溶性コーティングを必要とする。また、データによれば、pH6.8での持続放出中に薄い放出コーティングが変動性を呈するのに対し、厚い放出コーティングは腸溶性コーティングの厚さに関係なく一貫性がある。
【表30】
【表31】
【0169】
また、データによれば、厚い放出コーティングの放出率は、最初はより一貫性があるが、保存後に100%も変化する。したがって、pH1.2でのほぼゼロの放出、pH6.8での一貫した持続放出、および保存安定性の3つの望ましい特性を同時に最適化することが課題になる。HPMCを含む放出コーティングは薄くても、pH1.2での早期の放出を緩和し、pH6.8での持続的な放出を提供し、パフォーマンスの結果のばらつきを抑えて保存できることが予想外に発見された。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のペレットを含む経口投与可能な医薬製剤であって、
前記ペレットが、コア、放出コーティングおよび腸溶性コーティングを含み、
前記コアがアカンプロセートカルシウムおよび希釈剤を含み、
前記放出コーティングがヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)とエチルセルロースとの混合物を含み、前記エチルセルロースに対するHPMCの比が重量で1以上であり、
前記腸溶性コーティングがアニオン性ポリマーまたはアニオン性コポリマーを含む、
医薬製剤。
【請求項2】
前記希釈剤が、微結晶セルロース(MCC)またはセルロースゲルを含む、請求項1に記載のペレット。
【請求項3】
前記エチルセルロースが、エチルセルロース標準品10、エチルセルロース標準品20、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載のペレット。
【請求項4】
前記エチルセルロースに対する前記HPMCの比が重量で5:1~1:1である、請求項1に記載のペレット。
【請求項5】
前記放出コーティングが、3重量%~10重量%である、請求項1に記載のペレット。
【請求項6】
前記腸溶性コーティングが、メタクリレートラジカルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のペレット。
【請求項7】
前記腸溶性コーティングが、メタクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマーを含む、請求項6に記載のペレット。
【請求項8】
前記腸溶性コーティングが、30重量%~60重量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載のペレット。
【請求項9】
重量で少なくとも30%のアカンプロセートカルシウムを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のペレット。
【請求項10】
有機溶媒を合計で総4000ppm未満含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のペレット。
【請求項11】
自閉症スペクトラム障害治療用医薬組成物であって、請求項1~10のいずれか一項に記載のペレットを含む、医薬組成物。