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特開2023-99101皮膚へのおよび皮膚を通した磁気補助送達
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099101
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】皮膚へのおよび皮膚を通した磁気補助送達
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20230704BHJP
【FI】
A61M37/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023073309
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2020543730の分割
【原出願日】2018-10-31
(31)【優先権主張番号】62/579,544
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】520152766
【氏名又は名称】オトマグネティクス,インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】19 Firstfield Road #200,Gaithersburg,MD 20878 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャピロ,ベンジャミン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薬剤を皮膚へおよび皮膚を通して送達するための改善された方法を提供する。
【解決手段】患者を治療するための方法は、磁場を発生させることが可能な送達デバイスを提供することと、デバイスを皮膚の上または下に配置することと、デバイスを介して患者の皮膚に薬剤を誘導することと、を含む。治療剤は、皮膚を通して治療部位に誘導される。薬剤を誘導するためのシステムも含まれる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁化可能な(強磁性、フェリ磁性、常磁性、または超常磁性)ナノ粒子を磁場によって作用させ、かかる粒子を皮膚へおよび皮膚を通して誘導させる、誘導治療剤を皮膚に誘導するためのシステム。
【請求項2】
前記薬剤が、皮膚へまたは皮膚を通して誘導される、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記磁場が、磁気注入デバイスによって印加される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記磁場が、磁気引き込みデバイスによって印加される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
皮膚パッチであって、磁気インジェクタデバイスおよび磁気ナノ粒子を、皮膚上に粘着/接着することができる少なくとも1つのパッチに組み合わせ、次いで皮膚へおよび皮膚を通して前記粒子を送達する、皮膚パッチ。
【請求項6】
前記ナノ粒子を、薬物、タンパク質、または遺伝子を含む治療剤とともに充填することができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
患者を治療するための方法であって、(a)磁場を発生させることが可能な送達デバイスを提供することと、(b)前記デバイスを皮膚の上、下、または側面に配置することと、(c)前記デバイスを介して前記患者の皮膚に前記薬剤を誘導することと、を含み、前記治療剤が、治療部位に誘導される、方法。
【請求項8】
前記薬剤が、磁性、超常磁性、フェリ磁性、強磁性、または常磁性である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記薬剤が、磁性、超常磁性、フェリ磁性、強磁性、または常磁性である材料と組み合わせられている、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤を引き込むステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
有効量の前記治療剤が、前記磁場によって前記患者の皮膚に押し込まれる、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
有効量の前記治療剤が、前記磁場によって前記患者の皮膚に押し込まれる、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記治療剤が、生分解性である、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記デバイスが、少なくとも2つの磁気素子がある角度で配置されている複数の磁気素子を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記患者の中間皮膚内に前記薬剤を配置するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
皮膚の表面から皮膚に前記薬剤を押し込むステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年10月31日に出願の米国仮特許出願第62/579,544号の優先権を主張し、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に、薬剤を哺乳動物の皮膚へおよび/または皮膚を通して送達することに関する。より具体的には、本出願は、治療剤、医薬薬剤、分子薬剤、ヌクレオチド、またはタンパク質を皮膚へおよび/または皮膚を通して送達すること、ならびにかかる治療剤を皮膚へのおよび/または皮膚を通した投与を可能にするためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚は保護被膜であり、異物の体内への進入を防止するために進化した。図1は、皮膚の層を示しており、皮膚は、薬物の皮膚へのおよび皮膚を横断しての効率的な送達を妨げる。これらのバリアのせいで、薬物送達は、針による皮下への注入によって皮膚を通して達成される。かかる注入は、痛みおよび針恐怖症、ならびに針の再使用および皮膚への損傷に起因して発生し得る感染症の伝播という2つの重大な欠点を有する。最外層である角質層は、15~20マイクロメートルの厚さであり、脂質マトリックスに固定された死んだ角質細胞で構成されている。その下には、弱体化したケラチノサイトである生存表皮(厚さ100μm)がある。緊密な細胞間の連結によって、隣接する上皮細胞が互いに密着しており、そのため薬物の皮膚への進入を困難にしている。その下は、1~2mm(1,000~2,000μm)の厚さである真皮層である。皮膚は、物質が体内に進入しないように進化および設計されており、これらの皮膚の層が一緒になって薬物送達の強力なバリアを形成している。
【0004】
米国特許公開第2014/0073835号は、磁力を使用して活性薬剤を患者の耳の区画に押し込むための方法に関する。この開示は、磁力を使用して皮膚へおよび皮膚を通して薬剤を誘導することについては開示していない。
【0005】
したがって、薬剤を皮膚へおよび皮膚を通して送達するための改善された方法に対する必要性が存在する。本出願が対象とするのは、とりわけ、この必要性である。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、患者を治療するための方法であって、(a)磁場を発生させることが可能な送達デバイスを提供することと、(b)デバイスを皮膚の上または下に配置することと、(c)デバイスを介して患者の皮膚に薬剤を誘導することと、を含む方法について開示する。治療剤は、皮膚を通して治療部位に誘導される。
【0007】
本出願はまた、磁気インジェクタデバイスおよび磁気ナノ粒子を、皮膚上に粘着/接着することができる少なくとも1つのパッチに組み合わせ、次いで皮膚へおよび皮膚を通して粒子を送達する、皮膚パッチについて開示する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】皮膚の顕微鏡的な図を示す。
図2】ナノ粒子または薬剤がパッチを通して皮膚に適用される一実施形態を例示する。
図3】ラットの手の真下の永久磁石を示し、これは、下部組織および血管を含む皮膚へおよび皮膚を通して酸化鉄ナノ粒子を送達するために使用することができる。
図4図3に示される実験からの試料の皮膚断面を示す。
図5】足の皮膚を通して粒子を押し込むことによって、粒子が駆動される例示的な実施形態を示す。
図6】足の皮膚を通して粒子を引き込むことによって、粒子が駆動される例示的な実施形態を示す。
図7】チップアセンブリを有する実験環境を示す。
図8A】粒径および濃度に対する粘性媒体中の粒子速度を示す、データを示す。
図8B】同上。
図8C】同上。
図9】様々な磁場強度および磁気粒子濃度での、皮膚様バリアを通した浸透についてのデータを示す。
図10】緊密に細胞間が連結した細胞の層を通る磁気粒子送達の割合を示し、この図は、極端に小さい(直径26nm)および大きい(直径201nm)2つの粒径が、皮膚の表皮を模したこの緊密に連結した細胞層に浸透することが可能であったことを示すデータを示す。
【0009】
定義
本明細書で相互交換可能に使用される「治療(therapy)」および「治療(treatment)」という用語は、疾患または障害の任意の治療を網羅し、例えば、疾患または障害を治癒すること、疾患または障害を有するとは未だ診断されていないが、疾患にかかりやすい可能性がある対象において疾患または障害の発生を防止すること、疾患または障害を阻害すること、疾患または障害を軽減すること、予防効果を提供すること、有益な免疫学的効果を発展させること、および疾患または障害に苦しむ対象の生活の質を改善することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願は、針、マイクロパッチ、皮膚の化学的透過、または他の化学的もしくは侵襲的処置の必要性を低減することができる、皮膚へおよび皮膚を通してナノ粒子を送達するための方法およびシステムについて開示する。一実施形態では、磁場は、(ジェル、パッチ中の、または他の手段によって)皮膚表面に配置されたナノ粒子に作用し、皮膚へおよび皮膚を通してナノ粒子を輸送する。磁場は、磁気注入システムによって印加することができ、磁気インジェクタデバイスは粒子の上に配置される。別の実施形態では、例えば、四肢の幅を通って作用するように、粒子の下に配置された引き込みシステムによって印加してもよい。
【0011】
特定の実施形態は、皮膚へおよび/または皮膚を通して活性薬剤または治療剤を誘導するための方法、デバイス、およびシステムを提供する。例示的な一実施形態は、図5に概略的に示される活性薬剤の磁気補助伝達のためのデバイス1である(本体部分1、パッチ2、永久磁石3A、磁石3B、小さい磁石を有するパッチ3C、および磁力4)。磁化可能なナノ粒子を含む磁気粒子(例えば、Feコア)に関連する薬剤(または治療薬)をを磁気的に(例えば、力Fで)誘導するための1つの動作原理は、標的部位から離れて(例えば、標的部位付近の表面上、または標的組織の近傍で)適用される磁気粒子製剤または薬剤を標的部位に誘導するために、北(N)極および南(S)極を有し得る磁石の配置を伴う。この原理を使用して、その複数の磁石または磁気素子を有するデバイスは、例えば、流体/ゲル溶液から標的部位に薬剤を誘導することができる。この例では、粒子はデバイスによって「押し出される」。あるいは、当事者は、図6に示される実施形態では引き込まれる(永久磁石1、磁場線2、強い磁場の領域3、弱い磁場の領域4、力5、鉄粒子の鎖6A、6B)。
【0012】
別の実施形態では、患者または動物を治療するための方法は、(a)患者の真皮または皮膚の近位にデバイスを配置することと、(b)真皮もしくは皮膚にまたは真皮もしくは皮膚を通して患者または動物内の所望の位置に薬剤または活性薬剤を磁気的に押し込むことと、を含む。この方法を使用して、活性薬剤を真皮または皮膚の表面からその下の所望の場所に押し込むことができる。かかる方法は、非外傷性であることができ、治療有効量または濃縮用量の薬剤を送達することができる。
【0013】
別の実施形態は、磁化可能な薬剤を治療部位に送達するためのデバイスを含む。磁石の配置によって、押し込む力を生じる磁場を作り出し、これらの力を使用して、磁気を帯びているかまたは磁化可能な薬剤を押し込む(磁気的に注入する)ことができる。より具体的には、デバイスは、皮膚または物質を通して磁気を帯びているか磁化可能な担体を外側に押し出すか、または磁気的に注入する。具体的には、磁性、常磁性、フェリ磁性、強磁性、または超常磁性材料上に力を作り出し、それらをデバイス(例えば磁気インジェクタ)から外側に輸送する。特定の実施例では、デバイスは、皮膚治療のために構成され得る。
【0014】
別の実施形態は、磁石および磁気ナノ粒子製剤を選択して、身体の外側から、皮膚の層へのおよび皮膚の層を通した磁気薬物送達を可能にするための方法を含む。
【0015】
この方法に好適な1つの例示的なデバイスとしては、筐体、および磁場を発生させることが可能であり得る複数の磁気素子または磁石または磁化を含むデバイスが挙げられる。典型的には、単一の磁石は、その周りに磁場線を有し得る。磁石は、所望の位置で水平x軸に沿って磁場を作り出す角度で設定することができる。反対極性を有する第2の磁石は、第1の磁石に対して磁場が同じ所望の位置で等しくかつ対向する(マイナスx軸に沿って)ような構成で配置され、角度付けされ得る。次いで、2つの磁場の打ち消しによって、ノード-ゼロまたは最小の磁場を作り出すことができる。一実施例では、2つの磁場が重複し、所望のノード点の周りを打ち消すことなくその点の位置での磁場を打ち消すことができるように、これらの2つの磁石は配置される。一実施形態では、局所磁場最小値は、ノードを取り囲むより高い磁場で作り出され得る。これは、ノードから出て低磁場強度の領域から高磁場強度の領域までの磁力を作り出し、したがって磁気注入デバイスから磁気を帯びている薬剤または磁化可能な薬剤を押し出す。
【0016】
あるいは、この方法に好適な例示的なデバイスとしては、筐体および電磁石を有するデバイスが挙げられる。電磁石は、治療剤または他の薬剤を誘導または押し込むことができる力を生じる磁場を発生させることが可能であり得る。
【0017】
複数の磁気素子が筐体内に配置され、磁場は、磁場強度によって部分的に決定される速度で、薬剤を皮膚の外側から皮膚の中間に動かす効果を有し得、さらに皮膚に誘導することもできる。磁気デバイスは、治療剤を皮膚へおよび皮膚を通して押し込むことができる。
【0018】
使用および実践では、磁気を帯びている薬剤または磁化可能な薬剤を含む活性薬剤は、例えば、薬物または他の治療薬でコーティングされているか、またはそれらを含有する磁気ナノ粒子であってもよく、皮膚を通して最初の位置から別の部位(例えば治療部位)に送達することができる。例えば、かかる薬剤は、流れの中もしくは流れを介して送達される流体中の薬剤(例えば水中に懸濁されたナノ粒子)として、またはゲル中の薬剤として、または粉末として、またはペーストとして、またはそれらを皮膚上の開始位置に確実に送達するであろう任意の他の手段によって、皮膚上に配置することができる。次いで、薬剤上に発生する力が開始位置から皮膚または皮膚の真下の所望の位置または治療部位に薬剤を押し込むような方式で、磁気を帯びている薬剤または磁化可能な薬剤の近傍にデバイスを保持する。この磁気注入力は、皮膚を通して薬剤を輸送することができる。
【0019】
本方法に関連して投与することができる医薬化合物または活性薬剤の製剤は、治療剤、医薬薬剤(ステロイド、抗炎症剤、または保護剤など)、分子薬剤、ヌクレオチド、またはタンパク質を含む。
【0020】
薬剤または磁気を帯びている薬剤または治療剤は、これらの材料自体が磁気を帯びていることによって(例えば、磁気を帯びているかまたは磁化可能な薬物分子)、磁気材料もしくは分子単位の磁気材料のいずれかを組み込むことによって(例えば、鉄を含む薬物分子)、または磁気材料に結合もしくは付着させることによってのいずれかによる、治療薬、薬物、タンパク質、または遺伝子治療薬であってもよいか、またはそれらを含んでもよい。磁気材料を内部に配置するか、または磁気を帯びていない対象物にそれらを付着させる(例えば、デンプンまたはポリマー対象物に、ミセル、リポソーム、ウイルス、細菌、細胞にまたはそれらの中に付着させる)ことによって作製される磁気を帯びている薬剤は、それら自体が治療薬であってもよいか、または治療薬、薬物、タンパク質、もしくは遺伝子治療薬をそれらの表面上もしくは内部にさらに含有してもよい。磁気を帯びていない薬剤(治療薬、薬物、タンパク質、または遺伝子治療薬など)はまた、磁気を帯びているかまたは磁気を帯びるように作製した薬剤に付着させるかまたはそれらを内部に含有することによって、磁気的に押し込むこともできる。結合、カプセル化、コーティング、および他の手段を選択して、標的領域または位置を最も効率的に治療するために、治療薬放出速度(遅いまたは速い)、放出時間(即時またはある一定の持続時間後)、および放出が生じるであろう条件(pH、浸透圧、または他のパラメータ)を選択してもよい。薬剤は、粉末、懸濁液、ゲル、スプレー、ローション、または薬物送達において既知の他の製剤に製剤化してもよい。
【0021】
治療薬および薬物としては、ステロイド(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン)、プロストグランジン、抗炎症剤、アミノグリコシド、抗生物質(例えばグリコシド)、または他の薬物、およびヌクレオチド、または遺伝子治療薬を挙げることができる。それらは、標的特異的リガンド、他の部分へのリンカー、極性または非極性部分、および生理学的バリアを越える薬剤の輸送を助けるために使用することができる素子を含み得る。
【0022】
かかる医薬組成物は、治療有効量の活性成分、および必要な場合は、無機または有機、固体または液体の医薬的に許容可能な担体を含有してもよい。皮膚内側への局部/局所投与に好適な医薬組成物としては、水溶液または懸濁液が挙げられ、これらは、すぐに使用できるか、または使用前に調製を必要であるか(例えば凍結乾燥物)のいずれかであり得る。好適な医薬組成物は、生分解性もしくは非生分解性、水性もしくは非水性、または微小球またはナノ球ベースであってもよいゲルをさらに含む。かかるゲルの例としては、限定されないが、カルボマー、ポロキサマー、アルギン酸塩、ヒアルロン酸塩、キシログルカン、ポリエステル、多糖類、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、またはそれらのコポリマーPLGA、酢酸ショ糖イソブチレート、およびグリセロールモノオレイン酸塩が挙げられるが、一方で、ゲルは、インサイチュでまたは使用前に溶液または懸濁液から形成してもよい。これらの化合物としてはさらに、クリーム、および軟膏、乳剤、マイクロエマルション、または自己乳化組成物が挙げられる。腸管または非経口投与に好適な医薬組成物としては、上述の錠剤、またはゼラチンカプセル、または水溶液、または懸濁液が挙げられる。
【0023】
医薬組成物を含む薬剤は、滅菌されてもよく、ならびに/またはアジュバント、例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、および/もしくは乳化剤、浸透圧および/もしくは緩衝液を調節するための塩、浸透向上剤、生体接着剤を含有してもよい。本発明の医薬組成物は、所望に応じて、限定されないが、抗生物質または鎮痛剤などのさらなる薬理活性物質を含有し得る。それらは、例えば、従来の混合、造粒、糖菓化、溶解、または凍結乾燥方法による方法のうちのいずれかによって調製され得、約0.01~100%の活性成分を含有し得る。
【0024】
投与される量は、投与方法、治療期間、治療される対象の状態、および皮膚疾患の重症度に応じて変動し得る。一実施例では、治療の継続時間は、1回の治療に1分(またはそれ未満)~数時間の範囲であり得、数日、数週間、数ヶ月、または数年の期間にわたって1回または複数回投与され得、長期的な治療にまで延長され得る。送達される化合物の治療有効量は、ピコグラム~ミリグラムの範囲であり得る。
【0025】
薬剤は、磁気を帯びているかまたは磁化可能であるべきである(磁気材料と関連する)。部位特異的送達に好適な磁気材料は、部位特異的送達のために、経口投与量の製剤のコーティングに、または経口投与量の製剤の内部に組み込んで使用することができる。あるいは、薬剤を局部的に適用し、次いで標的部位に送達してもよい。さらに、薬剤を静脈内に送達し、次いで標的部位に送達してもよい。
【0026】
磁気材料としては、常磁性、フェリ磁性、強磁性、および超常磁性材料(例えば鉄含有化合物)、マルテンサイト系ステンレス鋼(例えば400系)、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)、ネオジム鉄ホウ素、アルニコ(AINiCo)、およびサマリウムコバルト(SmCo.sub.5)を挙げることができる。さらに、個々の磁気材料は、局所送達を達成するために組み合わせることができる特性を有することが示されている。強磁性および超常磁性化合物としては、限定されないが、マルテンサイト系ステンレス鋼(例えば400系)、鉄および酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)などの鉄含有化合物が挙げられる。
【0027】
薬剤が反磁性である場合、または薬剤と関連する磁気材料が反磁性である場合、デバイスまたはシステムからの力の組み合わせは、薬剤または関連する反磁気材料を引き寄せることができる。反磁気材料は、磁場によってわずかに反発する。反磁性特性は、外部磁場の影響下での電子軌道の再調整から生じる。反磁気材料の使用によって、デバイスまたはシステムとの相互作用を逆にすることができる。
【0028】
例示的な一実施形態では、磁気材料は、ナノメートル、ミクロンサイズ、またはサブミクロンサイズの粒子の形態である。かかる粒子は、マイクロまたはナノ担体に組み込まれてもよく、任意選択的にマイクロまたはナノ担体は、送達される活性薬剤を含有する。磁気材料に好適なサイズは、断面直径または幅がナノメートルから最大サブミリメートルの範囲である。別の例示的な実施形態では、磁気材料は、長さ、幅、および/または直径が10ナノメートル超であり、任意の形状(例えば、チューブ、楕円形など)を有し得る。
【0029】
磁気粒子は、細胞に組み込んでも、細胞表面に付着させてもよい。ある特定の例示的な実施形態では、磁気粒子は、標的細胞に供給してもよいか、または電気穿孔によって標的細胞の細胞膜に一時的な細孔を作り出してもよい。他の例示的な実施形態では、磁気粒子は、細胞膜受容体に結合する抗体を介して、または細胞膜に磁気粒子を化学的に連結することを通じて細胞表面に付着させてもよい。
【0030】
元来皮膚上部に配置されていた酸化鉄ナノ粒子は、皮膚を通過し、皮膚内部の血管の位置に到達している。磁気および治療薬送達の当業者は、他の磁石サイズ、配置、粒子の選択、投与方法とともに、開示の酸化鉄の皮膚への磁気送達を身体の他の領域で行う他の代替手段があることを認識しているであろう。
【0031】
1つ以上の薬剤は、単独で、または賦形剤とともに製剤化しても、微小粒子またはナノ粒子上にカプセル化しても、それらの中に組み込んでもよい。好適な薬剤としては、治療剤、予防剤、および診断剤が挙げられる。これらの薬剤は、有機もしくは無機化合物、アミノ酸およびタンパク質、糖および多糖類、核酸、または標準的な技法を使用して組み込むことができる他の材料を含む。
【0032】
いくつかの例示的な実施形態では、磁場は、磁気を有する、すなわち、永久磁場を呈するか、または一時的な磁場を呈することが可能であるかのいずれかの1つ以上の材料の形態で提供され得る。デバイス全体、またはその選択された部分は、磁場発生器を提供するために、1つ以上の磁気材料から製造され得る。例えば、所定量の磁石またはその合金は、デバイスの構造に含まれ得る。所望の磁気特性を提供するために、磁鉄鉱に加えて、または磁石の代わりに、他の材料を利用してもよい。かかる材料は、一時的な磁気材料または永久磁気材料であり得る。好適な磁気材料のいくつかの例としては、例えば、鉄および他の1つ以上の金属の酸化物の混合物、例えばナノ結晶性コバルトフェライトからなる物質である、磁気フェライトまたは「フェライト」が挙げられる。しかしながら、他のフェライト材料を使用してもよい。磁気材料の別の例は、ネオジム、コバルト、または希土類元素の他の合金である。
【0033】
磁性、常磁性、フェリ磁性、強磁性、または超常磁性材料から作製されたか、またはそれらを含有する薬剤。それらは、球状、楕円形、または棒状の薬剤が一般的であり、多様なコーティングを有し得るが、任意の形状またはサイズのものであってもよい。これらの薬剤は、治療薬を含有するか、または治療薬に付着しているか、またはそれら自体が治療薬であろう。
【0034】
薬剤のサイズ、形状、およびコーティングは、用途パラメータに基づいて変動および選択することができる。薬剤にかかる磁力は、典型的には、その薬剤中の磁気材料または磁化可能な材料の体積とともに変動する。したがって、磁力を増加させるためには、より大きい薬剤を選択することが望ましい。しかしながら、より大きい薬剤は、同じ磁力では、運動に対するより大きいバリア抵抗を経験し得る。大きい薬剤はまた、皮膚を通って移動する際に、より多くの損傷を皮膚に作り出し得る。この理由により、十分な磁力を経験するのに十分大きいが、望ましくない損傷を引き起こすことなく、容易に皮膚バリアを通って移動するのに十分小さい薬剤を選択することが好適であり得る、というトレードオフがある場合がある。薬剤は、皮膚バリアを通過しやすくするコーティングまたは表面を有するように選択されてもよい。
【0035】
印加された磁場によって薬剤に作り出される磁力は、ある程度既知である。例えば、磁力は、典型的には薬剤中の磁気材料または磁化可能な材料の体積とともに増すことが知られている。薬剤に対する力もまた、測定することができる。したがって、薬剤は、所望の程度の磁力を提供するように選択することができる。本開示の発明的態様は、皮膚へのおよび皮膚を通した送達に最も効果的な、磁気を帯びている薬剤を選択するための研究を含む。
【0036】
皮膚バリアを通る運動に抵抗する力である、薬剤にかかる皮膚および組織の力に近接させてもよい。したがって、薬剤のサイズ、形状、およびコーティングに応じて、薬剤運動に対する皮膚/バリアの抵抗を測定するための皮膚および動物実験の実行について開示する。試料実験は、様々なサイズの薬剤を選び、慎重に印加した磁場下で、指定の厚さの皮膚試料または皮膚模倣試料を通る、多様な薬剤形状、サイズ、およびコーティングの運動を測定することである。かかる測定からのデータを使用して、様々な薬剤サイズ、形状、およびコーティングの薬剤運動に対する皮膚の抵抗を決定することができる。皮膚を通る薬剤の運動の測定を使用して、最適化を支援することができる。対照的に、薬剤にかかる磁力は、多くの場合正確に予測することができるが、予測することができない場合/できないときは、代わりに実験を使用してもよい。)
【0037】
粒子の組成(それらのサイズ、表面電荷、および任意のコーティングの化学的性質)、ならびにそれらが含有される媒体(液体緩衝液中の化学物質、または粒子を含有するゲル、ペースト、もしくは軟膏の特性)は、印加される磁場によって皮膚におよび皮膚を通して達成される送達量を増加または減少させ得る。これらの因子(サイズ、電荷、コーティング、および媒体の組成)が磁気薬物送達にどのように影響するかは、複雑に相互関連する物理的および化学的性質を考慮することによって決定され、したがって、好ましい粒子および媒体の組成は明らかではない。
【0038】
粒径の増加は、各粒子にかかる磁力を増加し、皮膚へのおよび皮膚を通した送達力を増加するので磁気薬物送達に有利であるが、同時に粒径の増加はまた、直接(より大きい粒子は、より大きい粘性の抗力および皮膚の抵抗力を経験する)および間接(より大きい粒子は、より長い範囲の磁気引力を作り出し、より容易かつ迅速に、より大きい凝集体に凝集し、皮膚層を通過するのにより困難な時間を有する)の両方の運動力に対する抵抗も増加する。したがって、印加される磁力(粒子は大きいほどよい)と、抵抗および凝集(粒子は小さいほどよい)との競合に依存するので、どの粒径が皮膚を通した磁気薬物送達に最良であるかは明らかではない。
【0039】
サイズに加えて、粒子濃度の選択はまた、物理的効果の競合をもたらし、最良の濃度をどのように選択するかは明らかではない。低濃度の粒子は、薬物を皮膚へおよび皮膚を通して送達するのに利用可能な粒子が少なく、したがって薬物送達が制限されるであろうことを意味する。しかし、逆に高濃度の粒子は、粒子の凝集、大きい凝集体、および後方の粒子を詰まらせる前方の粒子(非常に混雑した高速道路の料金所で起こるであろうことと同様の、皮膚表面の「交通渋滞」)をもたらす。したがって、皮膚へのおよび皮膚を通した磁気薬物送達を最大限にするために、後方の粒子を進入させず詰まらせる前方の粒子による粒子速度(印加される磁場強度から生じる)、凝集、および閉塞および表面被覆が考慮される。粒子の濃度設定が高すぎると、凝集、詰り、粒子間干渉の問題を悪化させることよって、送達される薬物の量が低減する可能性がある。皮膚へのおよび皮膚を通して最大限に送達するための最良の粒子濃度は、磁場強度、粒子タイプ(異なるタイプは異なる速度で凝集および相互作用する)、粒子を保持する媒体の化学的性質に相互依存し、明らかではない。
【0040】
濃度に関しては、皮膚へのおよび皮膚を通した最大限の薬物送達のための、印加される磁場の最適な強度および磁気勾配もまた、明らかではない。磁場が小さすぎると、粒子にほとんど影響を与えず、運動がほとんどなく、したがって皮膚を通したおよび皮膚への送達が制限されるであろう。しかし、磁場が強すぎると、凝集および粒子間の詰りを引き起こし、粒子運動に対する皮膚の抵抗が増加し、薬物送達の低下につながるであろう。上のように、どのくらいの磁場強度が最良であるのかは、他の要因、粒子サイズ、組成、濃度、および最初に粒子を含有する媒体(液体緩衝液、ゲル、ペースト、または軟膏)の化学的性質に依存する。
【0041】
述べられているように、皮膚へのおよび皮膚を通した磁気薬物送達に影響を与える考慮事項の別の設定は、媒体の化学的性質である。磁気粒子を最初に含有する媒体の粘度、加えて化学遮蔽剤、界面活性剤、石鹸、糖および塩などの媒体への添加物、ならびに薬物送達の当業者に既知の他の賦形剤は、どのように磁気粒子が互いに相互作用するかを変化させ得る。媒体粘度の増加によって、磁気粒子が液体緩衝液、ゲル、ペースト、または軟膏媒体中で経験するであろう運動に対する抵抗が増加し得るが、媒体粘度の増加はまた、粒子が迅速にまとまる速度を低減することができ、粒子間の相互作用を制限して凝集体の形成を低減することができる(これは、皮膚層へのおよび皮膚層を通した磁気薬物送達を改善することができる)。同様に、界面活性剤および石鹸媒体添加剤は、粒子電荷を改変することによって(したがって、例えば粒子間の静電気反発を増加し、したがって粒子凝集を低減する)、粒子間の立体相互作用を変化させることによって、ならびに媒体および間接的に磁気粒子の特性を改変することによって、粒子間の相互作用を改変することができる。媒体添加剤および賦形剤は、磁気粒子の相互作用に対して明らかではない効果を有し、したがって、それらの粒子が互いにどのように相互作用するか、磁場の印加下でどれだけ強く凝集体を形成するのかしないのか、およびしたがって、それらが印加された磁場の作用下でどれだけ効果的に皮膚層に浸透するかに対して明らかではない効果を有する。
【0042】
上の考慮事項の全てに加えて、磁気薬物送達の当業者によって理解されるであろう追加の相互作用(粒径分布、粒子形状、粒子コーティング、皮膚の様々な層を通って粒子が前進すると変化する化学的性質およびpH、粒子が磁石に対して移動すると変化する磁場強度および勾配など)は、それらの全てによって、互いに相互作用し、皮膚の層におよび皮膚の層を通して治療薬を最大限に送達するであろう最良の製剤の選択を、明確に明らかにすることができない。磁気粒子の組成およびそれらを保持する媒体(緩衝液、ゲル、ペースト、軟膏など)、ならびに押し込みまたは引き込み磁石デバイスの設計は、皮膚の層によって提供される強い抵抗に適合するように慎重かつ適切に選択する必要がある。特に重要なのは、磁気粒子のサイズ、表面電荷、コーティング、および濃度、ならびに磁場および磁場勾配の強度を選択し、皮膚の最も強靭な層、特に、その緊密な細胞間の連結を有する最も外側の角質層および表皮層に浸透することが可能であることである。
【0043】
ある特定の実施形態では、本方法の結果は、皮膚の一部分に対するアンチエイジング効果である。これに関しては、磁気デバイスを使用して、アンチエイジングまたはある特定の有益な皮膚薬剤を適用することができる。
【0044】
1つの利点は、磁場の印加によって皮膚におよび皮膚を通して送達される磁気ナノ粒子を使用することによる特定の方法が、皮膚におよび皮膚を通して薬物を送達することを可能にすることである。この方法では、針で皮膚を機械的に穿刺する必要がないかまたは少なくともほとんど必要がない。
【実施例0045】
本開示は、説明の目的でのみ記載される以下の実施例と関連して、さらに説明されるであろう。
【0046】
図2は、ナノスケールまたはマイクロスケールの磁気を帯びている酸化鉄粒子の例示的な製剤(コーティングの有無にかかわらず)を患者の皮膚上(例えば、腕または足の皮膚のパッチ上)に配置し、次いで磁気デバイスがナノスケールまたはマイクロスケールの酸化鉄コアに力を印加して皮膚を通して製剤を輸送するであろうことを示す。所望に応じて、粒子を血管までずっと輸送するのに十分に長い時間、磁場を印加し、したがって、皮膚から血流への非侵襲的送達を達成することができる。
【0047】
磁力は、微小粒子またはナノ粒子の近傍に配置される1つ以上の磁石によって印加することができる。適切に選択された磁石は、皮膚上または四肢もしくは身体部分の下のいずれかに(例えば、手、腕、足、脚、または他の身体部分の皮膚表面上方に、粒子を含有するパッチ、次いで、手、腕、足、脚、または他の身体部分の真下に磁石を)配置することができる。1つ以上の磁石は、永久磁石(複数可)、電磁石(複数可)、または組み合わせであり得る。磁石は、四肢の下に適用して引力を作り出することができるか、または磁石システムを皮膚上に配置して粒子を皮膚に押し込むことができる。押し込みシステムは、手持ち式デバイスであってもよいか、または皮膚上に直接配置されるフィルム、シート、パッチ、または可撓性もしくは剛性カートリッジの内部に一体化されている小さい磁石で構成してもよい。1つ以上の磁石は、磁場が、図2に示されるように酸化鉄粒子に印加される正味の力が皮膚へおよび皮膚を通して下にある血管に印加されるように選択される限り、時間的に一定である磁場、または時間で変動する磁場を印加することができる。
【0048】
実施例1
本実施例では、および図3に示されるように、ラットの手の真下に永久磁石を使用して、皮膚を通して血管に酸化鉄ナノ粒子を送達する。ラットの手を0.4テスラの小さい矩形磁石上にテープで留めた。手の上方表面をイソプロパノールで洗浄し、風燥させた。次いで、手の甲の中心にマーカーで印をつけた。PEGコーティングを有する4マイクロリットル(4μL)の直径10nmの酸化鉄ナノ粒子を、印をつけた円の中心に適用した。皮膚を通して血管内に粒子を引き込むために、磁石を手の下に残した。
【0049】
マグネット適用完了時にラットを処理し、手首から手を切断し、Fixative Decalcifier Formical-4を含むチューブに入れ、(足のスライスで粒子の浸透を見ることを可能にするために)骨が完全脱灰するまで4℃で冷蔵庫に入れた。脱灰後、各手をパラフィン包埋用に処理した。パラフィン包埋した手を10μm厚のスライス(皮膚に対して垂直にスライス)に切片化し、顕微鏡スライドに載せた。これらの切片を、10%のフェロシアン化カリウムを使用することによって、Perlのプルシアンブルー染色で鉄(Fe)を染色した。プルシアン染色(青色)の存在を全ての染色した切片で検査し、皮膚および下部組織内の粒子の位置を示した。
【0050】
図4に試料皮膚断面を示す。印加された磁場の下にある皮膚への粒子の浸透。A)ラットの手の皮膚を通る低倍率断面。画像上部(手の腹面)は皮膚の上であり、画像下部は皮膚の下である。磁力は上部から底部(灰色の矢印)に作用する。皮膚を通るこの断面では、血管は、皮膚および下部組織の白い隙間として見え(かつ赤い矢印で印をつけられている)、b)皮膚上部でのより高い倍率の拡大図である。酸化鉄粒子は、Perlのプルシアンブルー染色によって可視化され、青色の点として見え、青色の矢印によって印をつけており、c)より高い倍率の皮膚内部深くの拡大図である。酸化鉄粒子(青い矢印によって印をつけた青い点)が血管近傍(赤い矢印によって印をつけた白い隙間)に到達している。
【0051】
図4は、磁気送達後のラットの手の皮膚を通る代表的な断面を示す。
【0052】
上の実施例では、水溶液(水系)内部の粒子を皮膚上に配置した。撥水するワックスまたはワセリンまたは他の物質で取り囲んだ環を使用して、溶液が皮膚上に配置されると溶液の粒子を収容することができるように、皮膚上に容器を本質的に形成してもよく、それによって(より多くの用量の酸化鉄を送達するために)より多くの体積の溶液を適用することができる。粒子はまた、他の液体の内部、例えば、アルコール、油の内部、または別の液体中で皮膚上に配置してもよい。一部の液体は、(例えば表面張力効果によって)粒子を皮膚により近づけるか、もしくは所望の構成で(例えばより長く、より高密度で充填された鎖で)粒子を配置するので有利であり得るか、または粒子運動に対する皮膚の抵抗を低減し得るので、液体を特定して選択することが有利であり得る。例えば、一部の液体は、皮膚透過剤として作用することが知られており、典型的には、例えば角質層細胞の非常に規則正しい「レンガとモルタル」のタイル構造の一時的な破壊によって、皮膚の上部層(角質層)の抵抗を低減する。また、素粒子(ふりかけまたは粉末形態)として皮膚上に粒子を配置してもよい。また、まず、パッチ、膜、ゲル、ペースト、軟膏、包帯、または他の手段によって内部に粒子を封入して、磁力を印加する前にそれらを皮膚に効果的に適用してもよい。
【0053】
実施例2
磁石の構成:本出願は、磁石を磁気(例えば酸化鉄)粒子の真下に配置して、皮膚を通してそれらを誘導することを含む。本出願はまた、磁石の構成を粒子上に置き、粒子を皮膚に押し込むことについて開示する。かかる磁石の構成は、皮膚の近くに保持されたデバイス内にあってもよいか(図3b)、またはデバイス自体が、フィルム、シート、もしくはパッチの形態で皮膚上に直接配置してもよい(図3cのように)。磁石デバイスを直接皮膚上に配置する場合、磁石デバイスを適用する前に粒子を皮膚上に配置してもよいか、または(例えば、皮膚上に適用する直前に磁石デバイス内に滑り入れる薄型カートリッジとして)磁石デバイスとともにおよび磁石デバイス内で粒子の配置を一体化してもよい。
【0054】
磁石(永久磁石、電磁石、またはそれらの組み合わせ)を配置して、皮膚を通しておよび下部血管に最も効果的に粒子を誘導する例示的な方法がある。例えば、磁場が粒子の進行方向に沿うように、1つ以上の磁石を配置することが有利であり、そうすれば、粒子の鎖は、それらの意図された運動と揃い、皮膚を通って移動する「矢」のように作用するであろう。
【0055】
実施例4
図6は、適切な磁石配置による磁場の例示的な配置を示す。A)有利な磁場および磁気勾配。得られる鎖は、その意図した運動に沿って矢のように並んでいる。B)効果の少ない磁石配置では、鎖は意図した運動に対して垂直に揃い、皮膚を通って移動する能力が低減する。
【0056】
実施例4
本出願はまた、磁気パッチまたはその使用を含む。磁場の当業者は、粒子の近くの小さい磁石が、さらに遠くに配置されるより大きい磁石よりも強い力を生み出すことができることを認識するであろう。皮膚への磁気注入のために、粒子および皮膚の真上に磁石を配置することが可能であるので、図5C、ラベル3Cに示されるように、薄膜(磁気パッチ)内部に小さい磁石を使用することが有利であり得る。パッチ、ステッカー、包帯、またはフィルムは、付着治療薬を用いる磁気ナノ粒子と、多くの小さい磁気インジェクタの集合体との両方を収容することができる。この磁石+粒子の組み合わせのシステムは、粒子+治療薬を皮膚に送達するための便利なパッチとして皮膚に適用することができる。治療薬を皮膚へおよび皮膚を通して送達するためのかかる一体型磁石+粒子パッチシステムについて開示する。
【0057】
1つ以上の実施形態では、ナノ粒子は、約200nm~約400nmの直径を有し得る。他の実施形態では、ナノ粒子は、約10nm~約800nmの直径を有し得る。ナノ粒子を活性薬剤として導入してもよい。
【0058】
実施例5
皮膚層を通した最良の薬物送達のために、粒径、濃度、印加される磁場強度、および媒体添加剤を選択するために、発明の実験研究を行った。図3は、生きたラットの無傷の手の皮膚を通るナノ粒子の磁気送達のための研究について記載する。本研究では、可能な限り粒子の近くに強力な永久磁石を配置し(ラットの手の真下)、非常に小さい磁気粒子(直径10nm)を使用した。したがって、皮膚へおよび皮膚を通して効果的に磁気送達するための、皮膚磁気薬物送達設計空間の1つの限界(最も小さい粒子、強力かつ近辺にある磁石は、高い磁場および勾配を作り出す)を試験した。これは、皮膚へのおよび皮膚を通した磁気送達を可能にする発明の一実施形態である。他の実施形態を選択するために、皮膚磁気薬物送達空間のマッピングを開始するために、以下の追加の実験研究も行った。
【0059】
図7は、(a)ガラススライド上に粘着された円形の膜からなるチップアセンブリ、(b)ピペットを介してチップ内に配置されている磁気粒子溶液、(c)共焦点顕微鏡上の磁石を含むチップ、および(d)共焦点顕微鏡上の磁石を含むチップの側面図、(e)磁気粒子の無修正画像のスナップショット(40x対物ズームでの画像)、(f)画像は、Matlabで処理される、を有する実験環境を示す。閾値を適用し、識別可能な微小粒子またはナノ粒子凝集体の幾何中心を赤丸で印をつける(40x対物ズームでの画像)。
【0060】
粘性媒体中の磁気粒子の速度は、1回あたりどの程度の薬物を送達することができるかを決定する。磁場の印加下で粒子がより速く移動する場合、単位時間当たりにより多くの薬物が送達される(送達フラックス=濃度x速度=1秒間当たりの面積当たりの送達量)。この速度は、磁気粒子のサイズおよび組成、ならびに印加される磁場および勾配の強度によるだけでなく、粒子凝集にも依存する。磁気粒子が鎖様構造に凝集すると、凝集体が経験する磁力および粘性抵抗の抗力は、その長さおよび組成とともに変化し、したがって得られる運動速度も変化する。校正した磁場強度の印加下で粒子凝集および運動速度を測定するように試験システムを設計した。微小流体試験システムは、顕微鏡下に配置したガラスチップからなる。磁場は、異なる強度の磁場および勾配を作り出すようにサイズおよび粒子からの距離を選択することができる永久磁石によって印加した。これらの強度は、数学的シミュレーションによって予測し、次いでホールプローブ測定によって確認したので、印加された強度は既知であり、事前に較正されていた。粒子運動の動画を記録した。画像処理コードを書き出し、実装して凝集の長さおよび凝集の運動速度を定量化した(動画でどのくらい迅速に凝集が枠から枠へ移動するのかを見た)。この実験環境の写真を図7に示す。
【0061】
実施例6
図8A図8Cは、粒径および濃度に対する粘性媒体中の粒子速度を示す、データを示す。図8A図8B、および図8Cは、t=0~240秒での粒径に対する磁気ナノ粒子速度を示す。異なる磁気粒子は異なる記号で表す。各粒子タイプについて、速度を3つの異なる濃度i)0.075mg[鉄]/mL、ii)0.15mg[鉄]/mL、およびii)0.3mg[鉄]/mLで測定した。各条件で、3回測定を行った。各期間の線形回帰fitモデルを提供する(R2値は、t=0~60秒で0.2~0.3、60~120秒で1~1.1、および120~240秒で2.0であった)。
【0062】
得られた凝集速度に対する粒径および粒子濃度についての力関係を観察した。これらの力関係のfitモデルは、印加された磁場および対向する粘性力の影響下での磁気ナノ粒子の凝集運動の物理についての理解を提供する。具体的には、これらの実験設定からの結果は以下の通りであった。より大きい磁気粒子は、より速く移動した。より高い濃度の粒子は、より長い凝集体を作り出し、より速く移動した。凝集体が形成され、粒子速度が最大に到達すると、鎖または針様の凝集体のこの最大速度は、試験された粒子の直径の二乗(V~d)に比例した。長時間では、凝集体の長さは、粒子の直径(L~d)に線形に比例した。粒子凝集体の速度は、鎖または針様の凝集体の長さの二乗(V~l)に比例することが観察された。凝集速度が粒径および粒子濃度とともにどのように変動するかについてのこの理解を使用して、次の発明実験設定を設計し、皮膚層を通した最大薬物送達のための最良の粒子選択の選択についての情報を提供した。
【0063】
実施例7
上の凝集運動に関する研究は、皮膚層へおよび皮膚層を通して最大限に送達するための粒径、濃度、および磁場構成をどのように選択するかに関する第1の発明についての理解を提供した。しかしながら、これらの実験は、依然バリア層を含まなかった。追加したバリアを含む微小流体顕微鏡環境での別の研究設定を行った。このバリアは、密度および細孔サイズを制御することができるアガロースゲルであり、この研究設定では、緊密に架橋したアガロースゲルを使用して、皮膚層によって表される強靭なバリアを模した。本研究は、粒子濃度および磁場強度が皮膚様バリアを通る輸送にどのように影響を与えるかを評価することに焦点を当てた。結果は驚くべきものであり、明らかではなく、図9を参照されたい。
【0064】
これらの実験を実行して、微小流体試験床における皮膚様の高密度架橋アガロースバリアを通って最良の浸透を可能にするであろう磁場強度および磁気粒子濃度を評価した。磁場の作用下で、磁気ナノ粒子は、鎖様の凝集体を形成する。この研究では、皮膚様バリアを通って異なる送達効率を達成した磁場強度(垂直軸)および粒子濃度(水平軸)の組み合わせを試験した。明らかではない結果は、磁場に依存し、それを超えると輸送効率(マーキング%)が著しく低減する濃度閾値(図9の太線)があったことである。さらに明らかではない側面は、この閾値が低磁場強度で最も低い(最も左)ことであり、可能性としては、より強い磁場が皮膚様のバリアを押し通す能力を増加させたためであった。この濃度閾値が凝集サイズのみに起因する場合、依存関係は逆になっていたであろう(より低い磁場はより小さい凝集体を作り出す)。したがって、磁場、凝集体、およびバリアを通る浸透との間の相互作用は、相互に関連し、明らかではない。このデータは、送達効率(各パネル上の割合)に濃度を乗じて送達数に変換することができ、したがって皮膚様バリアを通して送達される磁気粒子の総量の指標を提供する。したがって、本研究は、プロットでの「最良の選択」および「2番目に最良の選択」の標示によって印されるように、どの磁場強度および濃度が皮膚を通した磁気送達に最良であり得るかに関する情報を提供する。
【0065】
図9は、微小流体試験床における皮膚様バリアに浸透するための、最良の印加磁場強度および粒子濃度を決定するための実験を示す。磁場の作用下で、磁気ナノ粒子は、鎖様の凝集体を形成する。この実験では、皮膚様バリアを通って異なる送達効率を達成した磁場強度(垂直軸)および粒子濃度(水平軸)の組み合わせを試験した。明らかではない結果は、磁場に依存し、それを超えると輸送効率(マーキング%)が著しく低減する濃度閾値(太線)があったことである。さらに明らかではない側面は、この閾値が低磁場強度で最も低い(最も左)ことであり、可能性としては、より強い磁場が皮膚様のバリアを押し通す能力を増加させたためであった。この濃度閾値が凝集サイズのみに起因する場合、依存関係は逆になっていたであろう(より低い磁場はより小さい凝集体を作り出す)。したがって、磁場、凝集体、およびバリアを通る浸透との間の相互作用は、相互に関連し、明らかではない。このデータを送達数に変換するために、送達効率(各パネル上の割合)に濃度を乗じて、皮膚様バリアを通して送達される磁気粒子の総量の指標を提供する。したがって、本研究は、プロットでの「最良の選択」および「2番目に最良の選択」の標示によって印されるように、どの磁場強度および濃度が皮膚を通した磁気送達に最良であり得るかに関する情報を提供する。
【0066】
上のバリア実験は、高密度の架橋アガロースゲルを皮膚ラインバリアとして使用した。別の実験設定は、(パッチクランプによって検証されるように)細胞間の連結が緊密であるような方式で増殖させた細胞の層で行った。磁気ナノ粒子をこの細胞層上に配置し、次いで校正した磁場を使用して、これらの細胞層を通して粒子を輸送した。これらの細胞層は、皮膚の表皮層における緊密な細胞の連結バリアのより良好に表した。
【0067】
図9は、小さい粒径(直径26nm)およびかなり大きい粒径(直径201nm)の2つの極端な粒径が、皮膚の表皮を模したこの緊密に連結した細胞層に浸透することが可能であったことを示す、得られたデータを示す。これに対する可能性のある理由は、中間サイズでは、異なる競合する効果(例えば、バリアによる凝集運動に対する抵抗に対する通過する磁力)があり、全て中間サイズの強度および得られた送達が控えめであるからである。皮膚を通した送達が効果的である2つ以上のレジメン(小さい粒径および大きい粒径)があるという指標。
【0068】
実施例8
図10は、緊密な細胞の連結を有する細胞層を通る磁気粒子送達の割合を示す。かかる細胞層は、皮膚における上皮バリア層の組成を模している。このバリアを通して送達された粒子の量を、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)によって測定した。
【0069】
本出願の実施例について、添付の図面を参照して説明してきたが、本出願は、実施例に限定されず、様々な形態で作製され得、本出願に関連する当業者は、本出願の技術的趣旨または本質的な特色を改変することなく、本出願は他の特定の形態で実施され得ることを理解するであろう。したがって、上述の実施例は、あらゆる意味で例示的であり、限定的ではないことが意図されていることを理解されたい。
【0070】
本発明の具体的な実施形態は、上に詳述されているが、説明は単に説明の目的のためのものである。したがって、本発明の多くの態様は、例としてのみ上述されており、別途明示されない限り、本発明の必要な要素または必須要素として意図されるものではないことが理解されるべきである。例示的実施形態の開示されている態様の改変、およびそれに対応する同等のステップは、上述のものに加えて、以下の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の利益を有する当業者によって行うことができ、その範囲は、かかる改変および同等の構造を包含するように最も広い解釈を付与されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的表面を通して組成物を送達するためのデバイスの作動方法であって、
(a)磁化可能なナノ粒子を含む前記組成物を前記標的表面に提供することと、
(b)前記組成物を縛るように、撥水物質を用いて前記組成物を取り囲むことと、
(c)前記標的表面の近位にデバイスを配置することと、
d)前記デバイスを介して前記標的表面に前記組成物を誘導することと、を含んでおり、
前記デバイスが、磁場を発生させることが可能である、
デバイスの作動方法。
【請求項2】
前記デバイスが、少なくとも2つの磁気素子がある角度で配置されている複数の磁気素子を備える、請求項1に記載のデバイスの作動方法。
【請求項3】
前記磁化可能なナノ粒子が、1つまたは複数の治療剤を含む、請求項1または2に記載のデバイスの作動方法。
【請求項4】
前記磁化可能なナノ粒子が、水溶液内で提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項5】
前記磁化可能なナノ粒子が、強磁性、フェリ磁性、常磁性、または超常磁性ナノ粒子のいずれかである、請求項1~4のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項6】
前記磁化可能なナノ粒子が、酸化鉄ナノ粒子である、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項7】
前記磁化可能なナノ粒子が、界面活性剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項8】
前記治療剤が、薬物、タンパク質、または遺伝子を含む、請求項3に記載のデバイスの作動方法。
【請求項9】
前記治療剤が、ステロイドを含む、請求項3に記載のデバイスの作動方法。
【請求項10】
前記治療剤が、プロストグランジンを含む、請求項3に記載のデバイスの作動方法。
【請求項11】
前記治療剤が、抗炎症剤を含む、請求項3に記載のデバイスの作動方法。
【請求項12】
前記治療剤が、抗生物質を含む、請求項3に記載のデバイスの作動方法。
【請求項13】
前記治療剤が、皮膚疾患を治療するためのものである、請求項3に記載のデバイスの作動方法。
【請求項14】
前記標的表面が、皮膚である、請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
本発明の具体的な実施形態は、上に詳述されているが、説明は単に説明の目的のためのものである。したがって、本発明の多くの態様は、例としてのみ上述されており、別途明示されない限り、本発明の必要な要素または必須要素として意図されるものではないことが理解されるべきである。例示的実施形態の開示されている態様の改変、およびそれに対応する同等のステップは、上述のものに加えて、以下の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の利益を有する当業者によって行うことができ、その範囲は、かかる改変および同等の構造を包含するように最も広い解釈を付与されるものである。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
磁化可能な(強磁性、フェリ磁性、常磁性、または超常磁性)ナノ粒子を磁場によって作用させ、かかる粒子を皮膚へおよび皮膚を通して誘導させる、誘導治療剤を皮膚に誘導するためのシステム。
(項目2)
前記薬剤が、皮膚へまたは皮膚を通して誘導される、項目に記載のシステム。
(項目3)
前記磁場が、磁気注入デバイスによって印加される、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記磁場が、磁気引き込みデバイスによって印加される、項目1に記載のシステム。
(項目5)
皮膚パッチであって、磁気インジェクタデバイスおよび磁気ナノ粒子を、皮膚上に粘着/接着することができる少なくとも1つのパッチに組み合わせ、次いで皮膚へおよび皮膚を通して前記粒子を送達する、皮膚パッチ。
(項目6)
前記ナノ粒子を、薬物、タンパク質、または遺伝子を含む治療剤とともに充填することができる、項目1に記載のシステム。
(項目7)
患者を治療するための方法であって、(a)磁場を発生させることが可能な送達デバイスを提供することと、(b)前記デバイスを皮膚の上、下、または側面に配置することと、(c)前記デバイスを介して前記患者の皮膚に前記薬剤を誘導することと、を含み、前記治療剤が、治療部位に誘導される、方法。
(項目8)
前記薬剤が、磁性、超常磁性、フェリ磁性、強磁性、または常磁性である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記薬剤が、磁性、超常磁性、フェリ磁性、強磁性、または常磁性である材料と組み合わせられている、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記薬剤を引き込むステップをさらに含む、項目7に記載の方法。
(項目11)
有効量の前記治療剤が、前記磁場によって前記患者の皮膚に押し込まれる、項目7に記載の方法。
(項目12)
有効量の前記治療剤が、前記磁場によって前記患者の皮膚に押し込まれる、項目7に記載の方法。
(項目13)
前記治療剤が、生分解性である、項目7に記載の方法。
(項目14)
前記デバイスが、少なくとも2つの磁気素子がある角度で配置されている複数の磁気素子を備える、項目7に記載の方法。
(項目15)
前記患者の中間皮膚内に前記薬剤を配置するステップをさらに含む、項目7に記載の方法。
(項目16)
皮膚の表面から皮膚に前記薬剤を押し込むステップをさらに含む、項目9に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的表面を通して組成物を送達するためのデバイスの作動方法であって、
(a)磁化可能なナノ粒子を含む前記組成物を前記標的表面に提供することと、
(b)前記組成物を縛るように、撥水物質を用いて前記組成物を取り囲むことと、
(c)前記標的表面の近位にデバイスを配置することと、
(d)前記デバイスを介して前記標的表面に前記組成物を誘導することと、を含んでおり、
前記デバイスが、磁場を発生させることが可能である、
デバイスの作動方法。
【請求項2】
標的表面を通して組成物を送達するためのデバイスの作動方法であって、
(a)前記デバイスが、前記組成物を縛るように、撥水物質を用いて、磁化可能なナノ粒子を含む前記標的表面に提供される前記組成物を取り囲むことと、
(b)前記デバイスが、前記組成物を前記標的表面に誘導することと、を含んでおり、
前記デバイスが、前記標的表面の近位に配置されており、磁場を発生させることが可能である、
デバイスの作動方法。
【請求項3】
前記デバイスが、少なくとも2つの磁気素子がある角度で配置されている複数の磁気素子を備える、請求項1または2に記載のデバイスの作動方法。
【請求項4】
前記磁化可能なナノ粒子が、1つまたは複数の治療剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項5】
前記磁化可能なナノ粒子が、水溶液内で提供される、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項6】
前記磁化可能なナノ粒子が、強磁性、フェリ磁性、常磁性、または超常磁性ナノ粒子のいずれかである、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項7】
前記磁化可能なナノ粒子が、酸化鉄ナノ粒子である、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項8】
前記磁化可能なナノ粒子が、界面活性剤を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項9】
前記治療剤が、薬物、タンパク質、または遺伝子を含む、請求項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項10】
前記治療剤が、ステロイドを含む、請求項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項11】
前記治療剤が、プロストグランジンを含む、請求項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項12】
前記治療剤が、抗炎症剤を含む、請求項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項13】
前記治療剤が、抗生物質を含む、請求項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項14】
前記治療剤が、皮膚疾患を治療するためのものである、請求項に記載のデバイスの作動方法。
【請求項15】
前記標的表面が、皮膚である、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスの作動方法。
【外国語明細書】