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特開2023-99124心肺健康状態をモニタリングするシステム、システムの作動方法及びコンピュータ可読媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099124
(43)【公開日】2023-07-11
(54)【発明の名称】心肺健康状態をモニタリングするシステム、システムの作動方法及びコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20230704BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20230704BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/113
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074413
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2020180519の分割
【原出願日】2013-05-30
(31)【優先権主張番号】2012/0254
(32)【優先日】2012-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IE
(31)【優先権主張番号】2012902693
(32)【優先日】2012-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2012905221
(32)【優先日】2012-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2013901482
(32)【優先日】2013-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】508354647
【氏名又は名称】レスメッド センサー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(72)【発明者】
【氏名】シンドヘルム,クラウス・ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ファルジア,スティーヴン・ポール
(72)【発明者】
【氏名】コールファックス,マイケル・ワツラフ
(72)【発明者】
【氏名】ジャヴェッド,ファイザン
(72)【発明者】
【氏名】クシャバ,ラミ
(72)【発明者】
【氏名】ヘネガン,コナー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・シャザル,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ザッファローニ,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】フォックス,ナイル
(72)【発明者】
【氏名】セルカ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】オヘア,エマー
(72)【発明者】
【氏名】レドモンド,スティーヴン・ジェイムズ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】快適さ、コスト、効能、使い易さ、及び製造可能性のうちの1つ以上のものを有する心肺健康状態モニタリング装置を提供する。
【解決手段】本装置は、モニタリングセッション中に患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号を生成するように構成される非接触式動きセンサと、プロセッサと、プロセッサに1つ以上の運動信号を処理する手順を実施させるように構成されるプログラム命令を記憶するメモリとを備える。手順は、1つ以上の運動信号から1つ以上の睡眠呼吸障害特徴を抽出し、1つ以上の睡眠呼吸障害特徴に基づいて、所定の予測範囲中に臨床事象が起こる可能性があるかどうかを予測することを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺健康状態モニタリング装置であって、
モニタリングセッション中に患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号を生成するよ
うに構成される非接触式動きセンサと、
プロセッサと、
前記プロセッサに、前記1つ以上の運動信号を処理する手順を実施させるように構成さ
れるプログラム命令を記憶するメモリと
を備えてなり、
前記手順は、
前記1つ以上の運動信号から1つ以上の睡眠呼吸障害特徴を抽出し、
前記1つ以上の睡眠呼吸障害特徴に基づいて所定の予測範囲中に臨床事象が起こる可能
性があるかどうかを予測することを含む、心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項2】
前記非接触式動きセンサ、前記プロセッサ、及び前記メモリは、非接触式センサユニッ
トの一部を形成する、請求項1に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項3】
前記プロセッサ及び前記メモリは、前記非接触式動きセンサの外部にあるコンピューテ
ィングデバイスの一部を形成する、請求項1に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項4】
前記手順は、前記予測に応じて外部コンピューティングデバイスに警報メッセージを送
信することを更に含む、請求項2に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項5】
ディスプレイを更に備え、前記手順は、前記予測に応じて警報メッセージを前記ディス
プレイ上に表示することを更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の心肺健康状態
モニタリング装置。
【請求項6】
オーディオ出力を更に備え、前記手順は、前記予測に応じて前記オーディオ出力によっ
て警告音を生成することを更に含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の心肺健康状態
モニタリング装置。
【請求項7】
前記非接触式動きセンサは、無線周波数動きセンサである、請求項1~6のいずれか1
項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項8】
前記無線周波数動きセンサは、互いに直交位相状態にあるそれぞれの送信無線周波数信
号に基づいて2つの運動信号を生成するように構成される、請求項7に記載の心肺健康状
態モニタリング装置。
【請求項9】
前記手順は、前記抽出する前に、組合せ型の運動信号になるよう前記2つの運動信号を
組合せることを含む、請求項8に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項10】
前記手順は、前記予測する前に、各運動信号から抽出される前記睡眠呼吸障害特徴を組
合せることを含む、請求項8に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、接触式動きセンサから取得される1つ以上の運動信号から前記特徴
を抽出するように更に構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の心肺健康状態
モニタリング装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、非動きセンサから取得される前記患者の心肺健康状態に関連するデ
ータから前記特徴を抽出するように更に構成される、請求項1~11のいずれか1項に記
載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項13】
心肺健康状態モニタリング装置であって、
患者の心肺健康状態に関連するデータを生成するように適合される少なくとも1つのセ
ンサと、
ディスプレイと、
前記少なくとも1つのセンサに結合されるコントローラと
を備えてなり、
該コントローラは、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記センサデータを分析し、
前記分析に基づいて、応答するよう前記患者を促すように構成される少なくとも1つの
クエリの前記ディスプレイ上への生成をトリガし、
前記コントローラに入力される、前記クエリに対する患者の応答に基づいて臨床的警報
の生成をトリガする
ように構成されている、心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項14】
質問のデータ構造を含むメモリを更に備え、各質問は、前記少なくとも1つの呼吸パラ
メータの検出可能な条件に関連する、請求項13に記載の心肺健康状態モニタリング装置
【請求項15】
前記質問は、服薬遵守を扱う、請求項14に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項16】
前記質問は、食事遵守を扱う、請求項14に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項17】
前記コントローラは、前記呼吸パラメータの検出条件に応答して第1の質問を選択し、
前記第1の質問に対する応答に基づいて、臨床的警報を生成する前に、後続のモニタリン
グセッションにおいて前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析し続けるように更に構
成される、請求項14~16のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項18】
前記コントローラは、前記後続のモニタリングセッションに続いて前記臨床的警報の生
成をトリガするように更に構成され、前記臨床的警報の生成は、前記コントローラによっ
て生成される第2の質問に対する患者の応答に基づく、請求項17に記載の心肺健康状態
モニタリング装置。
【請求項19】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのクエリに対する患者の応答に基づいて、患
者インタフェースに対する呼吸可能なガスの流れを生成するように構成されるPAPデバ
イスの処置制御パラメータを調整するように更に構成される、請求項13~18のいずれ
か1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項20】
前記臨床的警報の生成をトリガすることは、前記ディスプレイ上に警告を表示すること
を含む、請求項13~19のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項21】
通信デバイスを更に備え、前記臨床的警報の生成をトリガすることは、前記通信デバイ
スから電子メッセージを送信することを更に含む、請求項13~20のいずれか1項に記
載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項22】
前記分析は、前記データから前記患者の前記心肺健康状態に関連する特徴を抽出するこ
とを含む、請求項13~21のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項23】
前記データは前記患者の運動を示す運動信号であり、前記特徴は睡眠呼吸障害特徴であ
る、請求項22に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項24】
前記分析は、前記抽出された特徴に基づいて所定の予測範囲内に臨床事象が起こる可能
性があるかどうかを予測することを更に含む、請求項23に記載の心肺健康状態モニタリ
ング装置。
【請求項25】
心肺健康状態モニタリング装置であって、
患者の心肺健康状態に関連するデータを生成するように適合される少なくとも1つのセ
ンサと、
前記少なくとも1つのセンサに結合されるコントローラと
を備えてなり、
該コントローラは、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記データから少なくとも1つの呼吸パラメー
タを測定し、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析し、
前記予測に基づいて再発可能性警報を生成する
ように構成されている、心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項26】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータは呼吸数を含む、請求項25に記載の心肺健康状
態モニタリング装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータは換気の測定値を含む、請求項25に記載の心肺
健康状態モニタリング装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、前記1つ以上のモニタリングセッ
ションにわたる前記少なくとも1つの呼吸パラメータの変化についての評価を含む、請求
項25~27のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、再発が起こる確率を計算すること
を含む、請求項25~28のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項30】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、ブール値再発可能性の指標を計算
することを含む、請求項25~28のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装
置。
【請求項31】
前記計算することは、前記1つ以上の呼吸パラメータの変化とそれぞれの閾値との比較
を含む、請求項30に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項32】
前記再発可能性警報を生成することは、ディスプレイ上で前記再発可能性警報を表示す
ることを含む、請求項25~31のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置
【請求項33】
前記再発可能性警報を生成することは、該装置のユーザに前記再発可能性警報を送信す
ることを含む、請求項25~32のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置
【請求項34】
前記データは前記患者の運動を示す運動信号であり、前記呼吸パラメータは睡眠呼吸障
害特徴である、請求項25~33のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置
【請求項35】
心肺健康状態モニタリング装置であって、
患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号を生成するように構成される非接触式動き
センサを備える非接触式センサユニットと、
プロセッサと、
前記プロセッサに、前記1つ以上の運動信号を処理する手順を実施させるように構成さ
れるプログラム命令を記憶するメモリと
を備えてなり、
前記手順は、
モニタリングセッションにわたって、前記1つ以上の運動信号から、1つ以上の睡眠呼
吸障害特徴であって、前記モニタリングセッション中の、前記患者による睡眠呼吸障害の
重篤度を示す、1つ以上の睡眠呼吸障害特徴を抽出することを含む、心肺健康状態モニタ
リング装置。
【請求項36】
前記手順は、前記抽出された睡眠呼吸障害特徴に応じて外部コンピューティングデバイ
スに警報メッセージを送信することを更に含む、請求項35に記載の心肺健康状態モニタ
リング装置。
【請求項37】
前記手順は、前記抽出された睡眠呼吸障害特徴に応じてディスプレイに警報メッセージ
を表示することを更に含む、請求項35又は36に記載の心肺健康状態モニタリング装置
【請求項38】
オーディオ出力を更に備え、前記手順は、前記抽出された睡眠呼吸障害特徴に応じて前
記オーディオ出力によって警告音を生成することを更に含む、請求項35~37のいずれ
か1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
【請求項39】
前記1つ以上の睡眠呼吸障害特徴は、
無呼吸/低呼吸指数と、
前記総睡眠時間と、
前記総睡眠時間に対するチェーンストークス呼吸事象の総継続時間の比と、
前記モニタリングセッションの継続時間に対するチェーンストークス呼吸事象の総継続
時間の比と
からなる群からの複数の特徴を含む、請求項35~38のいずれか1項に記載の心肺健
康状態モニタリング装置。
【請求項40】
患者の心肺健康状態をモニタリングする方法であって、
前記患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号から、1つ以上の睡眠呼吸障害(SD
B)特徴を抽出するステップであって、該運動信号は、少なくとも1つのモニタリングセ
ッション中に前記患者に向けられた非接触式動きセンサによって生成される、抽出するス
テップと、
前記1つ以上のSDB特徴に基づいて所定の予測範囲中に臨床事象が起こる可能性があ
るかどうかを予測するステップと
を含んでなる、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法。
【請求項41】
前記抽出するステップは、
前記運動信号の睡眠及び呼吸セクションを選択し、
前記睡眠及び呼吸セクション内でSDB事象を検出し、
前記検出されたSDB事象からSDB特徴を計算する
ことを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記抽出するステップは、前記運動信号を最初に前処理することを含む、請求項41に
記載の方法。
【請求項43】
前記運動信号の数は2つであり、前記前処理するステップは、前記2つの運動信号を最
初に組合せることを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記組合せるステップは、
各運動信号の平均を除去し、
各運動信号の最小値を計算し、
各サンプルにおける成分が、前記それぞれの運動信号の、それぞれの最小値からの距離
である、サンプルベクトルの長さを計算し、
各サンプルにおいて前記長さの平均を除去する
ことを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記前処理するステップは、各運動信号をトレンド除去することを含む、請求項42~
44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記選択するステップは、良好な品質の睡眠及び呼吸セクションを選択することを更に
含む、請求項41~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
良好な品質のセクションは、当該セクションにわたる前記運動信号についての良度指数
が該セクションについてのノイズ閾値を超えるセクションを含む、請求項46に記載の方
法。
【請求項48】
前記良度指数は、前記セクションにわたる前記運動信号の2乗平均平方根(RMS)で
ある、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記良度指数は、前記セクションにわたる前記運動信号のRMS値の分布の75パーセ
ンタイルである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記セクションについての前記ノイズ閾値は、前記動きセンサについての最大ノイズ値
及び前記セクションにわたる前記運動信号の前記RMS値の分布のパーセンタイルの小さ
い方である、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
睡眠及び呼吸セクションは、当該セクション中に、前記患者は眠っていて、著しい身体
的運動を行わなかったセクションを含む、請求項41~50のいずれか1項に記載の方法
【請求項52】
前記患者が眠っていたセクションは、前記患者が存在するエポックを含み、前記エポッ
ク内の前記運動信号の波形の長さの値が閾値より小さい、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記患者が眠っていたセクションは、眠っているとしてLDA分類子によってラベル付
けされるエポックを含み、前記LDA分類子は、前記エポックについての活動カウント系
列及び運動フラグ系列に基づいて各エポックをラベル付けするように構成される、請求項
51に記載の方法。
【請求項54】
前記活動カウント系列は、前記エポック内の1つ以上の間隔にわたって前記運動信号の
包絡線を積分することによって取得される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記患者が眠っており、著しい身体的運動を行わなかったセクションは、前記患者が眠
っており、著しい身体的運動を示す運動フラグ系列が偽りであるセクションを含む、請求
項51~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記運動フラグ系列は、
前記運動信号の各サンプルについてノイズ特徴、相関特徴、及びパワー特徴を計算し、
前記サンプルについての前記ノイズ特徴が高い閾値を超え、対応する前記相関特徴及び
パワー特徴が低い閾値より低い場合には、各サンプルについての運動フラグを真に設定し
、そうでなければ、前記運動フラグを偽に設定する
ことによって取得される、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記患者が眠っており、著しい身体的運動を行わなかったセクションは、エポックであ
って、該エポック中に前記患者が眠っており、該エポック内の前記運動信号の分散が、前
記モニタリングセッションについての閾値を超えるエポックを含む、請求項51~56の
いずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記患者が存在するエポックは、該エポック内の前記運動信号の2乗平均平方根の値が
、ノイズのみの閾値を超えるエポックである、請求項52に記載の方法。
【請求項59】
SDB事象を検出するステップは、
前記運動信号の選択された各セクションの呼吸努力包絡線を1つ以上の呼吸努力テンプ
レートと相関付けることによって相関特徴を計算し、
前記相関特徴が、ある継続時間の間、第2の閾値より大きい第1の閾値を超えるときは
いつでも、SDB事象を検出する
ことを含む、請求項41~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記相関特徴は、前記呼吸努力テンプレートにわたる前記相関値の最大値である、請求
項59に記載の方法。
【請求項61】
前記呼吸努力テンプレートは、それぞれの一般的なテンプレートであり、該一般的なテ
ンプレートの継続時間は、前記モニタリングセッションにわたって前記患者について推定
される平均呼吸調節サイクル長によってスケーリングされる、請求項59又は60に記載
の方法。
【請求項62】
前記呼吸調節サイクル長は、前記選択されたセクション内の1つ以上のマクロエポック
にわたって計算される前記呼吸努力包絡線のパワースペクトル密度のピーク周波数の逆数
の重み付き平均として推定される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記重み付けは、前記それぞれのピークの高さに依存する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
SDB事象を検出するステップは、
主ウィンドウにわたって、選択された各セクションの呼吸努力包絡線の平均値を計算し

前記主ウィンドウを囲む2つのウィンドウにわたる前記平均呼吸努力包絡線値としてベ
ースラインを計算し、
前記主ウィンドウにわたる前記平均呼吸努力包絡線値が、前記計算されたベースライン
に関して無呼吸基準又は低呼吸基準を満たす場合に前記SDB事象を検出し、
を含む、請求項41~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
検出される各SDB事象を有効SDB事象として確認することステップを更に含む、請
求項41~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記確認するステップは、検出される各事象に対応する呼吸努力包絡線の最小値に隣接
する低呼吸セクションが、最小値より大きい継続時間を有することを検証することを含む
、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記確認するステップは、前記呼吸努力包絡線が、前記患者について調節サイクル長の
1/5より長い時間の間、低呼吸閾値未満に下がることを検証することを更に含む、請求
項66に記載の方法。
【請求項68】
前記確認するステップは、
各候補SDB事象に対応する前記運動信号から1つ以上の特徴を計算し、
検出される各SDB事象を確認するかどうかを判定するために、前記1つ以上の計算さ
れた特徴にルールベース推論エンジンを適用する
ことを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記呼吸努力包絡線は、実数部が前記選択されるセクションの前記運動信号であり、虚
数部が前記セクションの前記運動信号のヒルベルト変換である、複素数値信号のモデュラ
スをローパスフィルタリングすることによって前記選択されるセクションについて計算さ
れる、請求項59、64、66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記呼吸努力包絡線は、前記選択されるセクションの前記運動信号のヒルベルト変換の
経験的モード分解として前記選択されるセクションについて計算される、請求項59、6
4、66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記呼吸努力包絡線は、前記選択されるセクションの前記運動信号にダブルマックス及
びホールドフィルタを適用して、正の包絡線及び負の包絡線を計算し、前記正の包絡線か
ら前記負の包絡線を減算することによって、前記選択されるセクションについて計算され
る、請求項59、64、66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記計算するステップは、前記モニタリングセッションの間に、前記検出されるSDB
事象の統計量を計算することを含む、請求項41~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記計算するステップは、前記モニタリングセッションの複数のサブセッションのそれ
ぞれの間に、前記検出されるSDB事象の前記統計量を計算することを更に含む、請求項
72に記載の方法。
【請求項74】
前記サブセッションは、前記モニタリングセッションの主睡眠期間の半分である、請求
項73に記載の方法。
【請求項75】
前記サブセッションは、前記モニタリングセッションの四分位数である、請求項73に
記載の方法。
【請求項76】
前記計算するステップは、複数のモニタリングセッションについて前記検出されるSD
B事象の統計量を計算することを含む、請求項72~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記計算するステップは、前記モニタリングセッションに先行するとともに前記モニタ
リングセッションを含む複数のモニタリングセッションを含むスライディングウィンドウ
にわたって、前記計算されるSDB特徴を、ゼロ平均及び1標準偏差に正規化することを
更に含む、請求項72~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記スライディングウィンドウは、前記モニタリングセッションに先行するとともに前
記モニタリングセッションを含む全てのモニタリングセッションを含む、請求項77に記
載の方法。
【請求項79】
前記予測するステップは、前記SDB特徴を「事象未発生」クラス又は「事象発生」ク
ラスに分類する分類子を適用することを含む、請求項40~78のいずれか1項に記載の
方法。
【請求項80】
前記分類子は、線形判別分析分類子である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記分類子は、前記SDB特徴の1つ以上の主成分に適用される、請求項79に記載の
方法。
【請求項82】
前記予測するステップは、前記SDB特徴の1つ以上の主成分に発見的ルールを適用す
ることを含む、請求項40~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記予測に基づいて、応答するよう前記患者を促すように構成される少なくとも1つの
クエリのディスプレイ上への生成をトリガするステップと、
前記クエリに対する前記患者の応答に基づいて臨床的警報の生成をトリガするステップ

を更に含む、請求項40~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記予測に基づいて、再発可能性警報を生成するステップを更に含む、請求項40~8
2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
患者の心肺健康状態をモニタリングする方法であって、
前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータを分析するステップと、
前記分析に基づいて、応答するよう前記患者を促すように構成される少なくとも1つの
クエリのディスプレイ上への生成をトリガするステップと、
前記クエリに対する患者の応答に基づいて臨床的警報の生成をトリガするステップと
を含んでなる、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法。
【請求項86】
患者の心肺健康状態をモニタリングする方法であって、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータ
から少なくとも1つの呼吸パラメータを測定するステップと、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析するステップと、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析に基づいて再発可能性警報を生成する
ステップと
を含んでなる、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法。
【請求項87】
患者の心肺健康状態をモニタリングする方法であって、
前記患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号から1つ以上の睡眠障害特徴を抽出す
るステップを含み、該運動信号は、少なくとも1つのモニタリングセッション中に前記患
者に向けられた非接触式動きセンサによって生成され、前記睡眠呼吸障害特徴は、前記モ
ニタリングセッション中の、前記患者による睡眠呼吸障害の重篤度を示すものである、患
者の心肺健康状態をモニタリングする方法。
【請求項88】
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成され
るプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
前記患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号から、1つ以上の睡眠呼吸障害(SD
B)特徴を抽出する手順であって、前記運動信号は、少なくとも1つのモニタリングセッ
ション中に前記患者に向けられた非接触式動きセンサによって生成される、抽出する手順
と、
前記1つ以上のSDB特徴に基づいて所定の予測範囲中に臨床事象が起こる可能性があ
るかどうかを予測する手順と
を前記プロセッサに実行させることを含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項89】
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成され
るプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータを分析する手順と、
前記分析に基づいて、応答するよう前記患者を促すように構成される少なくとも1つの
クエリのディスプレイ上への生成をトリガする手順と、
前記クエリに対する患者の応答に基づいて臨床的警報の生成をトリガする手順と
を前記プロセッサに実行させることを含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項90】
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成され
るプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータ
から少なくとも1つの呼吸パラメータを測定する手順と、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析する手順と、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析に基づいて再発可能性警報を生成する
手順と
を前記プロセッサに実行させることを含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項91】
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成され
るプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
前記患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号から1つ以上の睡眠呼吸障害特徴を抽
出する手順を含み、前記運動信号は、少なくとも1つのモニタリングセッション中に前記
患者に向けられた非接触式動きセンサによって生成され、前記睡眠呼吸障害特徴は、前記
モニタリングセッション中の、前記患者による睡眠呼吸障害の重篤度を示すものである、
コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対する相互参照]
本出願は、その開示が全体として引用することにより本明細書の一部をなすものとする
以下の出願の利益を主張する。以下の出願とは、2012年5月30日に出願されたアイ
ルランド出願第IE2013/0254号、2012年6月26日に出願されたオースト
ラリア仮出願第2012902693号、2012年11月30日に出願されたオースト
ラリア仮出願第2012905221号、及び2013年4月29日に出願されたオース
トラリア仮出願第2013901482号である。
【0002】
[連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する記載]
非適用
【0003】
[共同研究開発の関係者の名称]
非適用
【0004】
[シーケンスリスト]
非適用
【背景技術】
【0005】
本技術は、呼吸障害の診断、治療、及び改善のうちの1つ以上のもの、並びに呼吸障害
を防止する手法に関する。特に、本技術は、呼吸障害を治療する医療デバイス及びそれら
の使用、並びに呼吸障害を防止する医療デバイス及びそれらの使用に関する。
【0006】
身体の呼吸器系は、ガス交換を容易にしている。鼻及び口は、患者の気道への入口を形
成する。
【0007】
気道は、一連の分岐する管を備え、これらの管は、肺の中に深く入り込むにつれて、よ
り細く、より短く、かつより多くなっていく。肺の最も重要な機能は、酸素が空気から静
脈血内に移動することを可能にするとともに二酸化炭素が排出することを可能にするガス
交換である。気管は、左右の主気管支に分岐し、これらの主気管支は、最終的に終末細気
管支に更に分岐する。気管支は、誘導気道を構成し、ガス交換には関与しない。気道が更
に分岐すると、呼吸細気管支に至り、最終的には肺胞に至る。肺のこの胞状部位は、ガス
交換が行われる場所であり、呼吸域と呼ばれる。これについては、West, Respiratory Ph
ysiology-the essentialsを参照されたい。
【0008】
様々な心肺障害が存在する。
【0009】
睡眠呼吸障害(SDB)の一形態である閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠中の上
側気道の閉塞によって特徴付けられる。この閉塞性睡眠時無呼吸は、睡眠中に、異常に小
さな上気道と、舌、軟口蓋、及び中咽頭後壁の部位における筋緊張の正常欠損とが組合さ
った結果生じる。この条件によって、罹患患者は、夜毎に、時に200回~300回、通
常は30秒~120秒の継続時間の期間中、呼吸が停止する。この閉塞性睡眠時無呼吸は
、多くの場合、過度の日中の傾眠を引き起こし、心血管疾患及び脳損傷を引き起こす場合
がある。この症候群は、特に中高年の太りすぎの男性にとって一般的な障害であるが、罹
患した人は、その問題に気付いていない場合がある。これについては、米国特許第4,9
44,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0010】
例えば、チェーンストークス呼吸(CSR)のような周期性呼吸又は変調型呼吸は、動
脈血の反復的な脱酸素及び再酸素添加を引き起こす律動的な増大する換気及び減退する換
気(過呼吸及び無呼吸又は低呼吸)の交番する周期が存在する患者の呼吸調節器の障害で
ある。CSRは、反復的な低酸素のために有害である可能性がある。患者の中には、CS
Rが睡眠からの反復的な覚醒に結び付き、これによって、深刻な不眠、交感神経作用の増
大、及び後負荷の増加が引き起こされる者がいる。これについては、米国特許第6,53
2,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0011】
肥満低換気症候群(OHS:Obesity Hyperventilation Syndrome)は、低換気につい
て他の既知の原因が存在しない状態での、重度の肥満と意識下慢性高炭酸ガス血症との組
合せとして定義される。症状は、呼吸困難、朝の頭痛、及び過剰の日中の眠気を含む。
【0012】
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、或る特
定の特性を共通に有する下部気道疾患の群のうちの任意の下部気道疾患を包含する。これ
らは、空気移動に対する抵抗の増加、呼吸の呼気位相の延長、及び肺の正常弾性の喪失を
含む。COPDの例は、肺気腫及び慢性的な気管支炎である。COPDは、慢性的喫煙(
主要な危険因子)、職業上の曝露、空気汚染、及び遺伝因子によって引き起こされる。症
状は、運動時呼吸困難、慢性咳、及び痰生成を含む。
【0013】
神経筋疾患(NMD:Neuromuscular Disease)は、内在筋病理によって直接、又は、
神経病理によって間接的に筋肉の機能を損なう多くの疾患及び病気を包含する広義の用語
である。一部のNMD患者は、進行性筋肉障害を特徴とし、歩行不能となり、車椅子での
生活を強いられ、嚥下困難となり、呼吸筋が衰弱し、そして最終的には呼吸不全による死
に至る。神経筋障害は、急速進行性及び緩徐進行性、すなわち、(i)数か月にわたって
悪化し、数年以内に死に至る筋肉損傷を特徴とする急速進行性障害(例えば、10代の少
年少女の筋委縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic lateral sclerosis)及びデュセン
ヌ筋ジストロフィ(DMD:Duchenne muscular dystrophy)、(ii)数年にわたって
悪化し、寿命を少し減少させるだけである筋肉損傷を特徴とする変わり易い又は緩徐進行
性障害(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型、及び筋緊張性筋ジストロフィ)に分類すること
ができる。NMDにおける呼吸不全の症状は、全体的衰弱、嚥下障害、運動時及び安静時
呼吸困難、疲労、眠気、朝の頭痛、並びに意識集中及び気分転換に関する困難さを含む。
【0014】
胸壁障害は、呼吸筋と胸郭との間の不十分な結合をもたらす胸郭変形の群である。その
障害は、通常、拘束性障害を特徴とし、長期高炭酸ガス血症的呼吸不全の可能性を共有す
る。脊柱側弯症及び/又は脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全をもたらす場合がある。呼吸
不全の症状は、運動時呼吸困難、末梢性浮腫、起座呼吸、反復される胸部感染、朝の頭痛
、疲労、不十分な睡眠品質、及び食欲不振を含む。
【0015】
心不全は、身体の酸素要求に心臓が追い付くことができないことを特徴とする、比較的
一般的でかつ重篤な臨床状態である。心不全の管理は、その有病率及び重篤度が高いこと
により現代のヘルスケアシステムにとってかなりの難題である。心不全は、慢性状態であ
り、本質的に進行性である。心不全の進行は、しばしば、急性性質のエピソードによって
区切られる(心臓血管機能の低下があっても)長い期間にわたって比較的安定であること
によって特徴付けられる。これらの急性エピソードにおいて、患者は、呼吸困難(dyspne
a)(呼吸困難(difficulty breathing))、奔馬調律、頸静脈圧の増加、及び起座呼吸
等の症状の悪化を経験する。これは、通常、顕在的うっ血(肺の空洞内への流体の蓄積で
ある)を伴う。この過剰な流体は、しばしば、数キログラムの測定可能な体重増加をもた
らす。しかし、顕在的うっ血が起こるまでに、医師が、患者を安定化させるのを助けるオ
プションには制限があり、多くの場合、患者は入院を必要とする。極端な場合、適時な処
置無しで、患者は、急性非代償性心不全(ADHF:acute decompensated heart failur
e)を受ける場合がある。
【0016】
1 療法
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を治療するために、経鼻持続気道陽圧(CPAP:nasa
l continuous positive airway pressure)療法が用いられている。前提は、持続気道陽
圧が空気圧式スプリントとして動作し、軟口蓋及び舌を前方に押して中咽頭後壁から離す
ことによって上気道閉塞を防止することができるということである。
【0017】
CSR、OHS、COPD、NMD、及び胸壁障害を治療するために、非侵襲的換気(
NIV:non-invasive ventilation)が用いられている。
【0018】
2 PAPデバイス
CPAP療法では、陽圧の空気が、通常、モータ駆動ブロワ等のPAPデバイスによっ
て患者の気道に供給される。このブロワの放出口は、可撓性の配送導管を介して、マスク
等の患者インタフェースに接続される。
3 モニタリングシステム
【0019】
ADHF事象等の心肺事象の可能性を、こうした事象を防止するか又は改善させるため
に、予測できることは興味深い。心肺事象を予測するために提案されるか又は使用されて
きた特徴は、体重、B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP:B natriuretic peptides)の
レベル、夜間心拍数、睡眠姿勢の変化、及び呼吸の変化を含む。睡眠ポリグラフ(PSG
:Polysomnography)は、心肺障害の診断及び予後のための従来のシステムである。更に
、睡眠呼吸障害の重篤度を確定するため、睡眠中に呼吸パラメータをモニタリングし分析
する能力を有するマスク又は口鼻(oronasal)カニューレ等の接触式センサモダリティが
知られている。しかし、こうしたシステムは、複雑であり、またおそらく費用がかかり、
及び/又は、家庭で寝ようと試みる患者にとって不快であるか又は非実用的である場合が
ある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本技術は、改善された快適さ、コスト、効能、使い易さ、及び製造可能性のうちの1つ
以上のものを有する、心肺障害の診断及び予測に用いられる医療デバイスを提供すること
を対象としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本技術の第1の態様は、心肺障害の診断及び予測に用いられる装置に関する。
【0022】
本技術の別の態様は、心肺障害の診断及び予測に用いられる方法に関する。
【0023】
本技術の一形態は、患者の心肺健康状態をモニタリングする心肺健康状態モニタリング
装置及び方法を備え、心肺健康状態モニタリング装置及び方法は、患者の身体的運動を示
す、非接触式動きセンサから取得される(複数の場合もある)運動信号から、患者による
睡眠呼吸障害の重篤度を示す特徴を抽出し、抽出された特徴を使用して、所定の予測範囲
中に臨床事象が起こる可能性があるかどうかを予測する。
【0024】
本技術の一形態の別の態様は、心肺健康状態に関連するセンサデータを分析し、分析に
基づいて患者に対して表示するクエリを生成し、クエリに対する応答に基づいて臨床警報
を生成する心肺健康状態モニタリング装置及び方法である。
【0025】
本技術の一形態の別の態様は、センサデータから抽出される呼吸パラメータを分析し、
分析に基づいて再発可能性(potential relapse)警報を生成する心肺健康状態モニタリ
ング装置及び方法である。
【0026】
本技術の一形態の別の態様は、患者の身体的運動を示す、非接触式動きセンサから取得
される(複数の場合もある)運動信号から、睡眠呼吸障害の重篤度を示す特徴を抽出する
心肺健康状態モニタリング装置及び方法である。
【0027】
もちろん、上記態様の幾つかの部分は、本技術の部分態様を形成することができる。ま
た、これらの部分態様及び/又は態様のうちの様々なものは、様々な方法で組合せること
ができ、本技術の追加の態様又は部分態様も構成することができる。
【0028】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約書、図面、及び特許請求の範囲に含まれ
る情報を検討することから明らかになるであろう。
【0029】
本技術は、限定ではなく例として、添付図面の図に示されている。これらの図において
、同様の参照符号は、以下のものを含む類似の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a】[1 治療システム]本技術による実施に適したシステム例を示す図である。患者インタフェース3000を装着している患者1000は、PAPデバイス4000から陽圧の空気の供給を受ける。PAPデバイスからの空気は、加湿器5000において加湿され、空気回路4170に沿って患者1000に進む。
図1b】[2 モニタリングシステム]寝ている患者をモニタリングする非接触式センサユニットを示す。
図2a】[3 呼吸器系]鼻腔及び口腔、喉頭、声帯、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓、並びに横隔膜を含む人間の呼吸器系の概略を示す図である。
図2b】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻孔、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、咽頭口腔部、舌、喉頭蓋、声帯、食道、及び気管を含む人間の上気道の図である。
図3a】[4 患者インタフェース]本技術の1つの形態による患者インタフェースを示す図である。
図4a】[5 PAPデバイス]本技術の1つの形態によるPAPデバイスを示す図である。
図5a】[6 加湿器]本技術の1つの態様による加湿器を示す図である。
図6a】[7 呼吸波形]睡眠中の人の一般的な呼吸波形のモデルを示す図である。横軸は時間であり、縦軸は呼吸流量である。パラメータ値は変動する場合があるが、一般的な呼吸は、次の近似値、すなわち、1回換気量Vt、0.5L、吸息時間Ti、1.6s、ピーク吸気流量Qpeak、0.4L/s、呼息時間Te、2.4s、ピーク呼気流量Qpeak、-0.5L/sを有することができる。呼吸の全継続時間Ttotは、約4sである。人は、通常、約15呼吸毎分(BPM)の呼吸数で呼吸し、換気量Ventは約7.5L/分である。Ttotに対するTiの比である通常のデューティサイクルは約40%である。
図6b】約90秒の期間にわたって約34呼吸で正常に呼吸するノンレム睡眠中の患者を示す図である。この患者は、自動PAPを用いて治療され、マスク圧力が約11cmHOであった。上部のチャネルは、オキシメトリ(SpO2)を示し、縦方向の目盛りは、90%~99%の飽和度の範囲を有する。この患者は、図示した期間全体を通じて約95%の飽和度を維持していた。第2のチャネルは、定量的な呼吸気流量を示し、目盛りは縦方向で-1LPS~+1LPSの範囲であり、吸気は正である。第3のチャネル及び第4のチャネルには、胸部運動及び腹部運動が示されている。
図6c】患者の睡眠ポリグラフである。上部から底部に6分間の横スパンを有する11個の信号チャネルがある。上部の2つのチャネルはともに、異なる頭皮ロケーションからのEEG(脳波図:electroencephalogram))である。第2のチャネルの周期的なスパイクは、大脳皮質の覚醒及び関連した活動を表している。下にある第3のチャネルは、おとがい下のEMG(筋電図)である。覚醒時点の辺りの活動の増加は、おとがい舌筋漸増を表す。第4のチャネル及び第5のチャネルは、EOG(電気眼球図)である。第6のチャネルは、心電図(electrocardiogram)である。第7のチャネルは、約90%から70%未満への反復的な脱飽和を有するパルスオキシメトリ(SpO2)を示している。第8のチャネルは、差圧トランスデューサに接続された鼻カニューレを用いた呼吸気流量である。25秒~35秒の反復的な無呼吸が10秒~15秒の回復呼吸のバーストと交互に起こることは、EEG覚醒及びEMG活動の増加と一致する。第9のチャネルは、胸部運動を示し、第10のチャネルは、腹部運動を示している。腹部は、覚醒に至る無呼吸の長さにわたる運動の漸強を示す。両者は、回復過呼吸の間の身体全体の運動に起因して、覚醒の間は乱雑になる。したがって、無呼吸は閉塞性であり、その状態は深刻である。最も下のチャネルは姿勢であり、この例では、変化を示していない。
図6d】患者が一連の総合的な閉塞性無呼吸を体験している場合の患者流量データを示す図である。記録継続時間は、ほぼ160秒である。流量は、約+1L/s~約-1.5L/sの範囲である。各無呼吸はほぼ10s~15sの間続く。
図6e】チェーンストークス呼吸の患者を示す図である。酸素飽和度(SpO2)、流量を示す信号、及び3番目に、運動を示す信号の3つのチャネルがある。データは6分間にわたる。流量を表す信号は、鼻カニューレに接続された圧力センサを用いて測定されたものである。患者は、約22秒の無呼吸と、約38秒の過呼吸との繰り返しを呈する。各無呼吸中のより高い周波数の低振幅振動は心臓性のものである。
図7a】[8 モニタリング装置]患者の心肺健康状態をモニタリングする、図1bの非接触式センサユニットを含む装置を示す。
図7b図7aのモニタリング装置によって実行される、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法を示すフローチャートである。
図7c図7aのモニタリング装置内で実施される、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法を示すフローチャートである。
図7d図7b又は図7cの方法において使用することができる、患者の運動を示す信号から臨床事象を予測する方法における例示的なステップを示すフローチャートである。
図7e図7dの方法における特徴抽出ステップを実施するのに役立つことができる例示的なモジュール、及び、本技術の一形態における組合せ式の又は単一チャネルのアプローチの下でのそれらの関係を示すブロック図である。
図7f図7dの方法における特徴抽出ステップを実施するのに役立つことができる例示的なモジュール、及び、本技術の一形態におけるハイブリッドアプローチの下でのそれらの関係を示すブロック図である。
図7g図7e/図7fの睡眠/覚醒分析モジュールの1つの実施中に適用されるロトヨネンパターン展開を示す。
図7h図7e/図7fの睡眠/覚醒分析モジュールの代替の実施における波形長閾値を設定する方法を示すフローチャートである。
図7i】3つの一般的なSDB呼吸努力低減テンプレートの例の図を含む。
図7j図7dの方法の予測ステップを実施するために使用することができる方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本技術を更に詳細に説明する前に、本明細書において説明する特定の例は変化すること
ができ、本技術はこれらの例に限定されるものではないことが理解されるべきである。こ
の開示において用いられる術語は、本明細書において論述する特定の例のみを説明するた
めのものであり、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0032】
1 治療システム
1つの形態では、本技術は、呼吸障害を治療する装置を含む。この治療装置は、空気等
の加圧呼吸ガスを、患者インタフェース3000に通じる空気配送チューブを介して患者
1000に供給するPAPデバイス4000を備えることができる。
【0033】
2 療法
1つの形態では、本技術は、患者1000の気道の入口に陽圧を印加するステップを含
む、呼吸障害を治療する方法を含む。
【0034】
3 PAPデバイス4000
本技術の1つの態様によるPAPデバイス4000は、機械構成要素及び空気圧構成要
素4100、電気構成要素4200を備え、1つ以上のプロセス4300を実行するよう
にプログラムされる。このPAPデバイスは、好ましくは、外部ハウジング4010を有
する。外部ハウジング4010は、外部ハウジング4010の上側部分4012及び外部
ハウジング4010の下側部分4014の2つの部分で形成される。代替の形態では、外
部ハウジング4010は、1つ以上のパネル4015を備えることができる。好ましくは
、PAPデバイス4000は、PAPデバイス4000の1つ以上の内部構成要素を支持
するシャーシ4016を備える。1つの形態では、空気圧ブロック(pneumatic block)
4020が、シャーシ4016によって支持されるか、又はその一部分として形成される
。PAPデバイス4000は、取っ手4018を備えることができる。
【0035】
4 加湿器5000
本技術の1つの形態では、貯水器5110及び加熱板5120を備える加湿器5000
が設けられる。
【0036】
5 モニタリング装置7000
一形態では、本技術は、患者の心肺健康状態をモニタリングする装置7000を備える
。装置7000は、図1bに示すように、(例えば、ベッドサイドテーブル上で)眠って
いる患者1000に隣接しかつ患者1000の比較的近くに位置決めされた非接触式セン
サユニット1200を備える。
【0037】
心不全は、睡眠呼吸障害(SDB:sleep disordered breathing)と強く相関すること
が示されてきた。特に、その例が図6eに示されるチェーンストークス呼吸(CSR:Ch
eyne-Stokes respiration)は、一般に、身体の呼吸制御システムの不安定性によっても
たらされ、その原因の1つは心不全である。更に、無呼吸/低呼吸指数(AHI:Apnea/
Hypopnea Index)等のOSAの重篤度を示す特徴は、ADHF事象による死及びADHF
事象のための入院の独立した予測因子であることが示されてきた。したがって、ADHF
事象を予測する1つのアプローチは、睡眠呼吸障害の重篤度を示す特徴、すなわち、SD
B特徴を使用することである。SDB特徴の一例は、睡眠中の呼吸が、典型的なCSR、
すなわち、「チェーンストークス様(Cheyne-Stokes-like)」特徴に似る程度を示す特徴
のセットとすることができる。こうしたSDB特徴の値及び変化は、ADHF事象の可能
性に関する有用な情報を含むことができる。したがって、開示されるモニタリング装置7
000は、患者1000の睡眠呼吸障害の重篤度を示す特徴、すなわち、SDB特徴を抽
出し分析するように構成される。場合によっては、こうした特徴は、2005年12月2
1日に出願された国際公開第2006/066337号に記載される方法のうちの任意の
方法に従って確定することができる。
【0038】
さらに、チェーンストークス呼吸特徴はまた、心不全患者の代償不全事象の急性フェー
ズ中の変化の短期間マーカとすることができる(代償不全事象は、適切な心拍出量を維持
するために心臓が使用する代償性メカニズムがもはや十分でないとき起こる-これらの代
償不全は、症状の迅速な悪化をもたらすとともに、しばしば、入院を必要とする場合があ
る)。代償不全に対する医療応答は、しばしば、利尿剤の使用を一時的に増加させ、した
がって、過剰の流体を除去することである。これは結果として、呼吸パラメータの変化を
もたらす可能性があり、したがって、上述した「チェーンストークス様」特徴は、処置の
短期間有効性を評価するために使用することができる。特定の例として、チェーンストー
クス呼吸の調節サイクル長は、身体の循環遅延と相関し(例えば、Dai Yumino及びT.Doug
las Bradley著「Central Sleep Apnea and Cheyne-Stokes Respiration」Proceedings of
the American Thoracic Society, Vol.5, No.2 (2008), pp.226-236参照)、したがっ
て、予知マーカとして使用される可能性がある。
【0039】
5.1 コンポーネント
図7aは、本技術の一形態による、患者1000の心肺健康状態をモニタリングする、
図1bの非接触式センサユニット1200を含む装置7000をより詳細に示すブロック
図である。装置7000では、非接触式センサユニット1200は、全体的に患者100
0の方に向けられる非接触式動きセンサ7010を含む。動きセンサ7010は、患者1
000の身体的運動を示す1つ以上の信号を生成するように構成され、動きセンサ701
0から、患者の呼吸運動を示す1つ以上の信号が取得される。
【0040】
センサユニット1200は、マイクロコントローラユニット(MCU)7001、デー
タをロギングするメモリ7002(例えば、メモリカード)も含むことができる。一実施
形態では、センサユニット1200は、接続7008を介して、データを、外部コンピュ
ーティングデバイス7005、例えば、ローカルの汎用コンピュータ又はリモートサーバ
に転送するように構成される通信回路要素7004を含む。接続7008は、有線とする
こともできるし、通信回路要素7004が無線機能を有する場合に無線とすることもでき
るし、直接的とすることもできるし、インターネット(図示せず)等のローカルネットワ
ーク又はワイドエリアネットワークを介して間接的とすることもできる。
【0041】
センサユニット1200は、以下で詳細に述べるように、動きセンサ7010によって
生成される信号を処理するように構成されるプロセッサ7006を含む。
【0042】
センサユニット1200は、ユーザに視覚フィードバックを提供するように構成される
ディスプレイデバイス7015を含む。一実施態様では、ディスプレイデバイス7015
は、1つ以上の警告光(例えば、1つ以上の発光ダイオード)を備える。ディスプレイデ
バイス7015は、LCD又はタッチ感応式ディスプレイ等のディスプレイスクリーンと
しても実施することができる。ディスプレイデバイス7015の動作は、患者の心肺健康
状態の評価に基づいてプロセッサ7006によって制御される。ディスプレイデバイス7
015は、患者か、医師か、又は他の臨床医等の、モニタリング装置7000のユーザに
情報を視覚的に示すように実施することができる。ディスプレイデバイス7015は、モ
ニタリング装置7000の動作のためのグラフィカルユーザインタフェースも表示するこ
とができる。
【0043】
センサユニット1200は、プロセッサ7006の制御下で、ユーザに音響フィードバ
ック、例えば、その周波数が呼吸とともに変動するトーン又は或る特定の条件が満たされ
るときに鳴る警告音を提供するように構成されるオーディオ出力7017を含む。
【0044】
モニタリング装置7000の動作のユーザ制御は、モニタリング装置7000のプロセ
ッサ7006によって検知されるコントローラ(図示せず)の動作に基づくことができる
【0045】
センサユニット1200の一例は、非接触式ドプラ無線周波数(RF)動きセンサ70
10を含む、レスメドセンサーテクノロジーズ(ResMed Sensor Technologies)社によっ
て製造されるSleepMinder装置である。
【0046】
SleepMinder装置がセンサユニット1200として使用されるとき等の本技
術の一形態では、動きセンサ7010は、RF信号7060を送信するように構成される
RF送信機7020を含む。例えば、無線周波数信号7060は、以下の形態を有する。
【数1】
【0047】
式1では、搬送波周波数はf(通常、100MHz~100GHzの範囲、例えば、
3GHz~12GHz、例えば、5.8GHz又は10.5GHz)であり、tは時間で
あり、θは任意の位相角度であり、u(t)はパルス形状である。連続波システムでは、
u(t)は1である場合があり、また、式1から省略される可能性がある。より一般的に
は、パルスu(t)は、式2として定義されることになる。
【数2】
【0048】
ここで、Tは周期幅であり、Tはパルス幅である。T<<Tである場合、これは、
パルス(pulsed)連続波システムになる。ある場合、Tが非常に小さくなるにつれて、
放出信号のスペクトルが非常に広くなり、システムは、超広帯域(UWB)レーダ又はイ
ンパルスレーダと呼ばれる。代替的に、RF送信信号7060の搬送波周波数は、いわゆ
る周波数変調連続波(FMCW:frequency modulated continuous wave)システムを生
成するように変動(チャープ)される可能性がある。
【0049】
無線周波数信号7060は、パルスゲーティングを適用する回路要素に結合したローカ
ル発振器7040を使用して送信機7020によって生成することができる。FMCWの
場合、電圧制御式発振器が、電圧-周波数変換器とともに使用されて、送信用のRF信号
7060を生成する。空気に対する送信RF信号7060の結合は、アンテナ7050を
使用して達成することができる。アンテナ7050は、(全ての方向にほぼ等しくパワー
を送信する)無指向性又は(或る特定の方向に優先的にパワーを送信する)指向性とする
ことができる。送信エネルギー及び反射エネルギーが一方向から主にやって来るように装
置7000内で指向性アンテナ7050を使用することを有利とすることができる。装置
7000の一実施態様では、単一アンテナ7050が、単一搬送波周波数を用いて送信機
7020及び受信機7030の両方について使用される。代替的に、複数の搬送波周波数
を用いて複数の受信及び送信アンテナ7050を使用することができる。
【0050】
装置7000は、種々の実施形態において、簡単なダイポールアンテナ、パッチアンテ
ナ、及びヘリカルアンテナ等の種々のタイプのアンテナ7050に適合し、アンテナの選
択は、必要とされる指向性、サイズ、形状、又はコスト等の因子によって影響を受ける可
能性がある。装置7000が、人間の使用について安全であることが示されてきた方法で
動作する可能性があることに留意するべきである。1mW(0dBm)以下の総システム
放出平均パワーを有する装置7000を説明してきた。RF暴露についての推奨される安
全レベルは1mW/cmである。0dBmで送信するシステムから1メートルの距離に
おいて、等価パワー密度は、推奨されるこの限界より少なくとも100倍小さいことにな
る。
【0051】
使用時、送信RF信号7060は、無線波を反射する物体(患者1000の空気-身体
界面等)から反射され、反射信号7070の一部は、受信機7030で受信されることに
なる。受信機7030は、送信機7020と並置することもできるし、送信機7020か
ら離れている、いわゆる「バイスタティック(bistatic)」構成とすることもできる。受
信信号7070及び送信信号7060は、(アナログ方式又はデジタル方式で)混合器7
080でともに乗算される可能性がある。この混合器7080は、乗算器(以下で(式3
)に示す)の形態とすることもできるし、乗算器(例えば、正弦波を加算する包絡線検出
器回路)の効果を近似する回路内にあることもできる。例えば、CWの場合、混合信号は
、以下に等しいことになる。
【数3】
【0052】
ここで、φ(t)は、(反射が単一反射物体によって支配される場合)送信信号706
0及び受信信号7070の経路差に起因する位相項であり、γは受信信号7070が受け
る減衰である。反射物体が固定される場合、φ(t)は固定される。装置7000では、
反射物体(例えば、患者1000の胸部)は、一般に運動しており、φ(t)は時間変動
的となる。簡単な例として、胸部が、呼吸による周波数fの正弦波の動きを受けている
場合、混合信号m(t)は、fの成分(及びローパスフィルタリングによって簡単に除
去することができる2fに中心のある成分)を含む。混合した後のローパスフィルタの
出力における信号は、未処理又は復調センサ信号7003と呼ばれ、著しい身体的(非呼
吸)運動及び呼吸運動に関する情報を含む。
【0053】
復調センサ信号7003の振幅は、反射信号の平均経路距離によって影響を受け、セン
サ7010内でヌル及びピーク(センサの感度が低いか又は高いエリア)の検出をもたら
す。この効果は、直交位相技法を使用することによって最小にされる可能性がある。直交
位相技法では、送信機7020は、式1の信号7060と位相が90度ずれた(直交位相
状態にある)信号を同時に送信する。これは、2つの反射信号をもたらし、その両方が、
混合器7080によって混合されるとともにローパスフィルタリングされ、それぞれI及
びQ「チャネル(channel)」内の2つの復調信号7003a(「I信号」)及び700
3b(「Q信号」)をもたらす。
【0054】
UWBの実施態様では、復調センサ信号7003を取得する代替の方法を使用すること
ができる。最も重要な空気-身体界面に対する経路距離は、送信パルスとピーク反射信号
との間の遅延を測定することによって確定することができる。例えば、パルス幅が1ns
であり、センサ7010から身体までの距離が0.5メートルである場合、パルスのピー
ク反射が受信機7030に到達するまでの遅延は、1/(3×10)s=3.33ns
であることになる。多数のパルス(例えば、1μsごとに1nsパルス)を送信し、また
、経路距離が所与の期間にわたってゆっくり変化すると仮定することによって、復調セン
サ信号7003は、その期間にわたる時間遅延の平均として計算することができる。
【0055】
こうして、動きセンサ7010、例えば無線周波数センサは、胸部壁の呼吸運動、又は
より一般的には、装置7000がモニタリングしている患者1000の身体の一部の運動
を推定する可能性がある。
【0056】
上記で述べたように、受信信号7070は、例えば、著しい身体的運動の結果として、
大きな動きアーチファクトを含む可能性がある。これは、身体からの反射信号が2つ以上
の反射経路を含み、複雑な信号をもたらす可能性があることによる(例えば、一方の手が
センサに向かって動き、胸部が離れるように動く場合)。こうした信号の受信は、睡眠状
態を判定するのに有用である上体が動いていることを信号が示すことができるため有用で
ある。センサは、下肢静止不能症候群(Restless Legs Syndrome)又は周期性四肢運動(
Periodic Limb Movement)等の睡眠障害の診断に有用である患者1000の身体の下側部
分の動き(不随意下肢けいれん等)を検出するためにも使用される可能性がある。
【0057】
呼吸運動信号、及びより一般的な身体的運動信号の品質を改善するため、反射エネルギ
ーがセンサユニット1200によってそこから収集される物理的体積は、種々の方法を使
用して制限することができる。例えば、センサユニット1200は、受信機7030のア
ンテナができるように、「方向選択的(directionally selective)」に作られることが
できる(すなわち、センサユニット1200は、或る特定の方向により多くのエネルギー
を送信する)。方向選択性は、指向性アンテナ7050又は複数のRF送信機7020を
使用して達成される可能性がある。本技術の代替の形態では、連続波、FMCW、又はU
WBレーダは、同様な信号を取得するために使用される。「時間領域ゲーティング(time
-domain gating)」と呼ばれる技法は、センサユニット1200から或る特定の物理的距
離の信号から生じる反射信号7070を測定するだけのために使用される可能性がある。
周波数領域ゲーティング(フィルタリング)は、或る特定の周波数を超える反射物体の動
きを無視するために使用される可能性がある。
【0058】
複数の周波数を使用する(例えば、500MHz及び5GHzにおける)装置7000
の実施形態では、低周波数は、位相の曖昧さ無しで大まかな動きを正確に確定するために
使用される可能性があり、低周波数は、その後、高周波数センサ信号(細かい動きを測定
するのにより適する)から減算することができる。こうしたセンサユニット1200を使
用して、装置7000は、患者1000から情報を収集し、その情報を使用して、呼吸運
動、及びより一般的な身体的運動情報を確定する。
【0059】
他の非接触式動きセンサ、例えば、赤外線センサ、超音波センサ、光センサ、又は、圧
電センサ又は呼吸インダクタンスプレチスモグラフ等の接触式動きセンサは、センサユニ
ット1200の一部として又は別個のセンサユニットの一部として、非接触式動きセンサ
7010に対する更なる動きセンサとして使用することができる。こうした更なる動きセ
ンサは、それぞれの動きセンサの特徴に従って、患者1000に対して位置決めされる必
要がある。例えば、動きセンサが呼吸インダクタンスプレチスモグラフである場合、セン
サは、患者1000の胸部又は腹部の周りに位置決めすることができる。動きセンサが圧
電センサ又は直接的な空気-マット圧力センサである場合、こうしたセンサは、患者10
00のマットレスの下に位置決めすることができる。
【0060】
或る特定の実施態様では、患者1000の心肺健康状態に関連するデータを提供するよ
うに構成される1つ以上の非接触式非動きセンサが、装置7000に組込まれて、総合精
度を高めるか又は更なる頑健性を提供することができる。非接触式非動きセンサの一例は
音センサである。睡眠時無呼吸に関連する特徴的な音パターンが、分析され、SDBの生
成された簡易尺度の精度を高めるのに使用することができる。「Silence-breathing-snor
e classification from snore-related sounds」Physiol. Meas. 29(2):227-43(Febru
ary 2008)において、Karunajeewa A.S., Abeyratne U.R., Hukins C.によって述べられ
るシステムは、SDBについての音響ベーススクリーニングの一例であり、こうした技法
は、装置7000によって容易に組込まれて、心肺健康状態をモニタリングする有用でか
つ頑健なツールを提供することができる。こうした組込みの利点は、呼吸運動信号が、過
剰の動きアーチファクトにより時として使用不能である場合があることである。こうした
ときに、音響信号は、呼吸パラメータの妥当な推定を提供することができる。逆に、音響
信号は、背景ノイズ汚染により時として使用不能である場合があり、そのときには、呼吸
運動が、主要なセンサモダリティとして引継ぐ。
【0061】
更なる他の実施態様では、装置7000は、患者1000の心肺健康状態に関連するデ
ータを提供するように構成される1つ以上の接触式非動きセンサを組込むことができる。
こうした接触式センサの例は、酸素濃度計(血中酸素レベルを測定する)、口鼻カニュー
レ(呼吸空気流を直接測定する)、及び心電図(ECG)モニタを含む。ECGモニタは
、心拍数等の心臓関連特徴を検出するように構成され、呼吸パラメータ(中枢性無呼吸又
は閉塞性無呼吸、低呼吸等)を同様に確定することができる。任意選択的に、これらのパ
ラメータは、プロセッサ7006に送信されるECGデータに基づいてプロセッサ700
6によって計算することもできるし、これらのパラメータは、ECGモニタによって計算
され、プロセッサ7006に送信することもできる。上記で強調された酸素測定センサは
、呼吸努力信号を同様に提供することができるという利点を有し、こうした信号は、酸素
濃度計の基礎にあるフォトプレチスモグラム(PPG:photoplethysmogram)成分から、
PPGのピーク値及びトラフ値を追跡することによって導出することができる。
【0062】
臨床的に重要な更なるパラメータは、患者の位置及び配向に関連する。頭側体液移動(
rostal fluid shift)が中枢性事象及び閉塞性事象の発生に影響を及ぼす可能性があるこ
とが示された(例えば、「Role of nocturnal rostral fluid shift in the pathogenes
of obstructive and central sleep apnoea」White LH, Bradley TD. J Physiol. 2013 M
ar 1;591参照)。実際には、心不全患者はまた、この現象に直感的に気づいており、しば
しば、流体蓄積を減少させ、したがって、睡眠中の呼吸をより容易にする角度で自分自身
を支持する枕を使用する。さらに、閉塞性事象の可能性は、しばしば位置によって左右さ
れる(例えば、多くの患者は、側臥位よりも仰臥位にあるときに閉塞性事象を経験する)
。したがって、本明細書で述べるシステムの一実施形態では、患者は、1つ以上の3次元
加速度計を装着することができ、3次元加速度計は、患者のリクライン角度及び患者の身
体的位置(仰臥位、左臥位、右臥位、腹臥位)に関する情報を提供することができる。こ
の情報は、測定済み呼吸パラメータと組合されて、患者の状態に対する更なる洞察を提供
する可能性がある。
【0063】
センサユニット1200のプロセッサ7006又は外部コンピューティングデバイス7
005のプロセッサ7006は、以下で更に述べるように、センサ、例えば動きセンサ(
複数の場合もある)7010から取得される信号7003を処理する。述べる処理につい
ての命令は、センサユニット1200のコンピュータ可読記憶媒体、例えばメモリ700
2上に記憶し、センサユニット1200のプロセッサ、例えばプロセッサ7006によっ
て解釈及び実行することができる。本技術の幾つかの形態では、処理は、「バッチモード
(batch mode)」で実行することができる。すなわち、取得信号7003は、1つ以上の
完全なモニタリングセッションの間、センサユニット1200のメモリ7002又は外部
コンピューティングデバイス7005のメモリ7003に記憶され、その後、単一バッチ
で処理される。一実施態様では、各モニタリングセッションの継続時間は一晩である。本
技術の他の形態では、処理は、モニタリングセッション中、「リアルタイム(real time
)」に実行することができる。
【0064】
モニタリング装置7000の機能が、センサユニット1200によって制御されるもの
として以下で述べられるが、他の実施態様では、外部コンピューティングデバイス700
5が、上述した装置7000内のセンサユニット1200及び任意の他のセンサによって
外部コンピューティングデバイス7005に送信されるデータに基づいて、述べた機能を
実施することができることに留意するべきである。こうした実施態様では、ビジュアルデ
ィスプレイ7015及びオーディオ出力7017の上記説明は、外部コンピューティング
デバイス7005の匹敵する要素に同様に当てはまる。一例では、外部コンピューティン
グデバイス7005は、モニタリング装置7000等のリモート患者データ記録デバイス
からのデータを臨床医が検討することを可能にする複数患者モニタリングシステム等の臨
床医アクセス可能装置である。これらのシステムでは、患者モニタリングデータを記録す
るデータベースを設けることができる。こうした外部コンピューティングデバイス700
5を通して、臨床医は、患者がより厳密な観察を必要とする場合があるか又は病院に連れ
て行かれるべきであるというレポート又は警報を受信することができる。
【0065】
5.2 プロセス
プロセッサ7006は、プロセス4300を実行して、センサユニット1200及び任
意の他のセンサから受信されるデータから患者の心肺健康状態をモニタリングする。
【0066】
5.2.1 臨床警報
プロセス4300は、入院の前、入院中、入院後に患者1000をモニタリングするた
めに実行することができる。例えば、心不全及びCOPD患者は、増悪事象又は代償不全
事象(ADHF)にかかる場合がある。これらの「臨床事象(clinical events)」は、
医療処置に対する修正を必要とする場合がある。未処置の増悪は、更なる増悪をもたらし
、もしかすると、患者の入院を必要とする可能性がある。しかし、増悪は、その発症の最
も早い段階等、十分に早期に発見される場合、(再)入院を回避することができる方法で
処置することができる。
【0067】
本技術の一形態では、プロセッサ7006は、処理済み又は受信済みのセンサデータを
分析して、センサデータから抽出される心肺健康状態に関連する特徴に基づいて臨床警報
の生成をトリガする。1つ以上の変化状態指標の評価を含むことができるこうした分析の
更なる例は、それらの全体の開示が相互参照をもって本文の一部をなすものとする、20
10年3月31日に出願された米国特許出願第12/751,174号及び2009年6
月12日に出願された米国特許出願第12/483,357号に記載される。
【0068】
任意選択的に、臨床警報は、幾つかの形態をとる警告又は警報メッセージを含むことが
できる。例えば、プロセッサ7006は、臨床警報を生成するため、モニタリング装置7
000の状態光(例えば、ディスプレイデバイス7015上のLED又はアイコン)を起
動することができる。指標の評価に関するより詳細なメッセージもまた、ディスプレイデ
バイス7015上に表示することができる。任意選択的に、プロセッサ7006は、同様
に又は代替的に、接続7008を介して、臨床医に関連する外部コンピューティングデバ
イス7005に警報メッセージを送信することができる。こうしたメッセージは、有線通
信又は無線通信の形態をとることができる。例えば、プロセッサ7006は、ページング
システムに自動的にダイヤルすること等によって、ページングシステムを介して警報メッ
セージを生成することができる。プロセッサ7006はまた、自動化音声電話呼出しメッ
セージを生成するように構成することができる。プロセッサ7006はまた、ファックス
伝送によって警報メッセージを送信することができる。幾つかの実施形態では、プロセッ
サ7006はまた、電子メールメッセージ等の任意のインターネットメッセージングプロ
トコル又は任意の他のインターネットデータファイルプロトコルによって警報メッセージ
を送信することができる。警報メッセージは、患者情報を機密に保つために更に暗号化す
ることができる。典型的な警報メッセージは、患者を特定することができる。こうしたメ
ッセージはまた、モニタリング装置7000によって記録されるデータ又は任意の他の記
録される患者情報を含むことができる。任意選択的に、幾つかの実施形態では、警報メッ
セージは、潜在的なADHF事象又はCOPDの増悪の検出によって、患者が、更なる処
置、入院、又は評価について考慮されるべきであることを更に表現することができる。
【0069】
警報メッセージは、モニタリング装置7000のディスプレイデバイス7015を介し
て患者に及び/又は接続7008を介して臨床医に、プロセッサ7006によって送るこ
とができるが、幾つかの実施形態では、警報メッセージは、より選択的に送られる可能性
がある。例えば、第1の警報メッセージは、ディスプレイデバイス7015上に警報を全
く示さない状態で、接続7008を通して外部コンピューティングデバイス7005に警
報メッセージを単に送信することによって、臨床医に単に送信することができる。しかし
、より緊急性が高いメッセージとすることができる第2の警報メッセージは、外部コンピ
ューティングデバイス7005に送信されることに加えて、ディスプレイデバイス701
5上にアクティブに表示される可能性がある。プロセッサ7006によって制御されるオ
プションのスピーカからの可聴警告音もまた、実施することができる。可聴警告音の使用
は、警報メッセージの緊急性に依存することができる。
【0070】
5.2.2 クエリ
本技術の別の形態では、プロセッサ7006は、患者クエリに対する入力応答上で警報
を調節することができ、警報は不必要な警報を回避するのに役立つことができる。例えば
、モニタリング装置7000によるセンサデータの分析(例えば、1つ以上の呼吸パラメ
ータと1つ以上の閾値との比較)に基づいて、プロセッサ7006は、患者に対する患者
クエリの提示をトリガして、プロセッサによって行われる評価に基づいて入力するよう患
者に促することができる。こうした場合、プロセッサ7006の制御下のディスプレイデ
バイス7015は、患者に対してクエリを提示し、ユーザインタフェースを介して更なる
情報を入力するよう患者を促すことができる。提示されるクエリの1つ以上の質問は、装
置のメモリ内のデータ構造等の、データベース又は他の質問のデータ構造から選択するこ
とができ、それにより、選択される質問は、分析中のプロセッサによって検出されるパタ
ーンに特に関連する。プロセッサ7006は、その後、クエリに対する受信応答のデータ
を更に評価することができる。この更なる評価に基づいて、プロセッサ7006は、警報
メッセージをトリガすることもでき、警報メッセージをトリガすることを控えることもで
き、及び/又は、警報メッセージのトリガを遅延させ、トリガされる1つ以上の更なるク
エリに対する応答を後回しにすることもできる。こうした更なるクエリは、一定時間後に
、パターンが更に検出された後に、又は、モニタリング装置7000を更に使用した後に
トリガすることができる。
【0071】
例えば、切迫した急性非代償性心不全(ADHF)事象に関して心不全患者をモニタリ
ングする、又は、増悪に関してCOPD患者をモニタリングするとき、プロセッサ700
6によって行われるパターン検出を認定することを患者に問合せることが望ましい場合が
ある。こうしたクエリは、偽陽性(例えば、処理が、臨床的接触の必要性をフラグで知ら
せ、臨床的接触が、不必要であったことが後でわかるとき)を減少させるのに役立つこと
ができる。このタイプの偽陽性は、医療的介入無しで補正することができる患者の振舞い
の変化による場合がある。こうした振舞いは、服薬の用量の抜け落ち又は不適切な用量、
食事指定及び/又は安静要件に関する不遵守(non-compliance)等を含む場合がある。
【0072】
例えば、幾つかの実施形態では、偽陽性を最小にしようとして、プロセッサ7006は
、臨床的警報を必要とする場合がある呼吸パターン又は潜在的な臨床事象(例えば、CO
PD増悪及び/又はADHFを示すことができる、一定期間にわたる一定数のSDB事象
)を検出することができる。検出されるパターン又は事象に基づいて、プロセッサ700
6は、装置7000のユーザインタフェース上で患者に対して1つ以上の質問をクエリで
提示することができる。こうした質問は、患者による医薬品的及び/又は生活様式的な遵
守(例えば、患者が処方された薬物を摂取したか、及び/又的に、医師の処置助言に従っ
たか等)を扱うことができる。任意選択的に、場合によっては、1つ以上の質問は、収集
されたデータが有効であることを保証するため、モニタリング装置7000の運用完全性
を扱うことができる。任意選択的に、プロセッサ7006は、所定のスパンの時間(睡眠
についての1つ以上のモニタリングセッション又は夜間等)にわたって一連のクエリを遂
行し、所定のスパンの時間が経過した後にだけ臨床警報を生成することができる。
【0073】
例えば、再発性呼吸パターン(幾つかのモニタリングセッションにおいて繰返し検出さ
れる呼吸パターン等)が臨床事象の可能性を示す場合、プロセッサ7006は、再発性パ
ターンと因果関係を有する場合がある食事に関する一連のクエリを患者に対してプロンプ
ト表示することができる。プロセッサ7006は、モニタリング装置7000に入力され
る患者の応答から患者が食事要件を遵守していないと判定する場合、患者をモニタリング
し続け、更なるモニタリング期間が経過した後に再び患者に問合せることができる(例え
ば、数分後、数時間後、又は数日後に患者に問合せる)。プロセッサ7006が、検出さ
れた呼吸パターンの継続を検出し、食事が原因でないことを患者の応答が示す(例えば、
患者が、後続のクエリに対して、食事要件を現在遵守していると応答する)場合、プロセ
ッサ7006は、以下で述べるように、通知インフラストラクチャ(例えば、遠隔モニタ
リング)を介して臨床医に対する臨床警報メッセージをトリガして、臨床医に直接通知す
ることができる。場合によっては、クエリの1つ以上の質問に対する或る特定の受信応答
(複数の場合もある)は、代替的に、こうした警報メッセージのトリガ動作を除外するこ
とができる。例えば、クエリ及び応答は、患者が自分のマスクを装着していなかったと判
定する場合があり、結果として、プロセッサ7006は、警報をトリガするのを控えるこ
とができる。
【0074】
上述した技術は、以下の例に関して更に示することができる。心不全患者が、或る特定
の期間の間、処方された利尿剤を摂取しない。不遵守のせいで、患者は、夜間に呼吸困難
及び呼吸不規則性を経験する。モニタリング装置7000のプロセッサ7006は、切迫
した代償不全又は増悪事象を示すことができる、こうした事象又はこうした事象のパター
ンを検出することができる。臨床医に臨床警告を直接発する代わりに、モニタリング装置
7000は、患者が処方された利尿剤を摂取したかどうかを判定するクエリを患者に対し
て(例えば、ディスプレイデバイス7015を介して)トリガすることができる。応答の
評価は、臨床医に対する警告ではなく、患者に対するメッセージをトリガして、入力され
る回答が否定的である場合、薬物を摂取するよう患者に想起させることができる。24時
間等の或る特定の期間後に、モニタリング装置7000のプロセッサ7006は、患者の
呼吸パターンを更に評価して、パターンが再発するか又は(利尿剤の摂取によって)解決
されたかを調べることができる。警告メッセージは、プロセッサ7006が、最初のクエ
リをトリガした直前に検出された呼吸パターンを検出しない場合、生成されないことにな
る。任意選択的に、プロセッサ7006は、補助クエリによって、患者が薬物を摂取した
ことも確認することができる。こうした場合、モニタリングは、その後、通常通りに再開
することができる。しかし、最初のクエリ後に、再発性パターンが、プロセッサによって
依然として又は再び検出される場合、異なる質問を有するクエリ等の後続のクエリが、デ
ィスプレイデバイス7015上で患者に提示することができる。所定の数及び頻度のクエ
リが実施され、パターンが、プロセッサ7006によって依然として検出された後、モニ
タリング装置7000は、警告メッセージをトリガして、臨床医に切迫した臨床事象を通
知することができる。こうして、プロセッサは、患者が接触されることを要求する臨床的
警告メッセージについての必要性無しで、不遵守の単純な場合(食事又は運動等)に対処
するか、又は、例えば意図しない切断又はパワー喪失による装置誤動作を説明するように
構成することができる。
【0075】
一例では、プロセッサ7006は、クエリのセットを含むメモリ7002にアクセスす
ることができる。クエリの各質問は、1つ以上の検出可能な呼吸パターン又は事象に関連
することができる。質問は、幅があることもできるし(例えば、「患者は規定された食事
を遵守したか?」)、具体的とすることもできる(例えば、「患者の食事の栄養価はカリ
ウムによって高められたか?」)。検出可能なこうしたパターン又は事象によって索引付
けされた質問のセットによって、プロセッサ7006は、検出されたパターン又は事象に
基づいて、クエリ用の質問のサブセットを選択することができる。
【0076】
質問は、特定のモニタリングセッションに応答して連続して提示することができる。例
えば、プロセッサ7006は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれより多くの質問
を行(row)でプロンプト表示して、警告メッセージを必要とするか又は必要としないで
あろうモニタリングセッションの検出された呼吸異常の原因を特定又は除外することがで
きる。代替的に、プロセッサ7006は、可能性の順序を示す質問についての関連するラ
ンク又は優先度にアクセスすることができる。そのため、プロセッサ7006は、各質問
に関連するランクに従って一連の質問を条件付きで提示することができる。例えば、コン
トローラは、予測される事象に応答して第1のクエリを提示することができる。第1のク
エリに回答するときに、予測される事象が警告を(少なくともまだ)必要としないことを
(複数の場合もある)患者応答が示す場合、その応答及び判定は、ログされ、プロセッサ
7006は、所定の期間中に第2のモニタリングセッションに進むことができる。呼吸パ
ターンが再び検出される場合、第1のクエリと異なるランクの第2のクエリをトリガする
ことができる。この検出及びクエリ実行サイクルは、更なるクエリが全く残らなくなるま
で、又は、クエリに対する応答が警告についての必要性を示すまで繰返すことができ、そ
の後、プロセッサ7006は警告メッセージをトリガすることができる。
【0077】
図7bは、本技術の一形態において、モニタリング装置7000内で実施される、心肺
健康状態をモニタリングする方法7100を示すフローチャートである。方法7100は
、モニタリング装置7000のプロセッサ7006によって実行され、メモリ7002等
のコンピュータ可読記憶媒体上に記憶される命令によって構成される。
【0078】
第1のステップ7110にて、プロセッサ7006は、センサユニット1200及び上
述した任意の他のセンサから受信されるデータをモニタリングし分析して、以下で詳細に
述べるように、所定の予測範囲内で臨床事象が起こる可能性があるかどうかを予測する。
ステップ7120にて、事象が全く予測されない(「N」の)場合、プロセッサ7006
は、7110にてモニタリング/分析し続けることができる。ステップ7120にて、潜
在的な臨床事象が予測される(「Y」の)場合、プロセッサ7006、及び/又は、プロ
セッサ7006と直接的に又は間接的につながっている別の処理デバイス(例えば、タブ
レットコンピュータ、携帯電話、又は他のコンピューティングデバイス等)は、7130
にて、臨床事象の潜在的な原因を評価する1つ以上のクエリの生成を、本明細書でより詳
細に論じるディスプレイデバイス7015上にそのクエリを表示すること等によってトリ
ガする。ステップ7140にて受信されるクエリに対する患者入力応答に応じて、プロセ
ッサ7006及び/又はこうした他の処理デバイスは、ステップ7180に進んで、臨床
警告の生成を即座にトリガすることができる(破線矢印7145として示す)、又は、ス
テップ7150に進むことによって、臨床警告生成を延期することができる。
【0079】
ステップ7150にて、プロセッサ7006は、患者クエリに対する受信応答に応答し
て処置の調整を制御することができる。例えば、プロセッサ7006は、PAPデバイス
4000のターゲット換気又は他の処置制御パラメータを修正することができる。代替的
に、プロセッサ7006は、モニタリング/分析ステップ7110中に提供される処置と
同じ処置を維持し、代わりに、食事又は服薬の変更等の調整を行う、又は、装置7000
又はPAPデバイス4000のリセット若しくは修理を行うよう患者に指令する指令メッ
セージを発することができる。次のステップ7160にて、所定の遅延(例えば、24時
間~48時間)後に、装置は、ステップ7110と同様の方式で、センサデータをモニタ
リングし分析して、指令されるか又は制御されたステップ7150の調整が、ステップ7
110にて上記で検出された問題を解決したかどうかを(例えば、予測される臨床事象が
依然として予測されるかどうかを判定することによって)判定する。ステップ7170に
て、問題が解決された(例えば、臨床事象がもはや予測されない)(「Y」の)場合、方
法7100は、ステップ7110に戻って、センサデータをモニタリングし分析し続ける
。方法7100は、臨床事象が依然として予測される(「N」の)場合、更なるクエリ又
は調整が利用可能である場合に(破線矢印7175及び7178を介して)ステップ71
30又は7150に戻ることができ、又は、予測されない場合、臨床警報の生成が、本明
細書で更に詳細に述べるようにステップ7180にてトリガされる。
【0080】
5.2.3 再発モニタリング
幾つかの実施形態では、モニタリング装置7000は、更なる操作を実施することがで
きる。例えば、上記で述べたように、モニタリング装置7000は、入院した患者(例え
ば、心不全又はCOPD患者)が、すぐに退院できるか、退院させるべきでないかを判定
するのに有用とすることができる。あまりにも早期に患者を退院させることは、特に、再
発が退院直後に起こり、患者が再入院しなければならない場合、患者にとって有益でない
場合がある。心不全及びCOPD患者は、代償不全及び/又は増悪に苦しみ、より長い初
期滞在によって回避される場合がある再発のせいで頻繁に再入院を必要とする。同様に、
あまりにも早期に患者を退院させることは、他の実体について必然的な結果を有する場合
がある。例えば、病院は、こうした再発の結果としての再入院に関連するコストについて
、償還されない場合があるか又は部分的にしか償還されない場合がある。そのため、あま
りにも早期に患者を退院させることを回避するのに役立つためのツールとしてCOPD又
はHF患者のありそうな再発を予測する技法を提供することが有用であることになる。本
技術の幾つかの形態は、最初の期間中に患者の状態を評価して、後続の期間における再発
についての可能性に関連する予測を提供する。例えば、心不全及び/又はCOPD患者の
場合、入院以後の代償不全及び/又は悪化事象についての可能性は、上記で述べた呼吸運
動信号の分析等の、入院中の呼吸パラメータの分析から予測することができる。
【0081】
したがって、モニタリング装置7000は、退院後の再発の可能性を示すことができる
呼吸パラメータを、入院から退院までの期間中、モニタリングし分析するように構成する
ことができる。入院から退院に近いか又は退院の前の時点までの期間内で呼吸パラメータ
をモニタリングし分析することによって、モニタリング装置7000は、患者が退院直後
に再入院するリスクがあるかどうかを判定することができる。この点に関して、モニタリ
ング装置7000の方法は、再発のリスクのせいで退院が早過ぎるかどうかを助言する再
発可能性警報を臨床医に提供することができる。例えば、モニタリング装置7000は、
患者が退院すると再発及び/又は再入院についてのリスクが高いことを臨床医に警告する
場合があり、また、再発についての注意深いモニタリングが特定の患者について考慮され
るべきであること、又は、退院が再考されるか又は延期されるべきであることを更に助言
することができる。場合によっては、こうした再発可能性警報は、ブール指標又は確率等
の数値として提示され、ブール指標又は確率は、将来の再発のより大きな又はより少ない
リスクのスケーリングされた指示をもたらすため、或る特定の範囲内の推定を含むことが
できる。
【0082】
図7cは、本技術の一形態においてモニタリング装置7000内に実施される患者の心
肺健康状態をモニタリングする方法を示すフローチャートである。患者が入院している間
にこの患者に関して使用することができる方法7200は、モニタリング装置7000の
プロセッサ7006及び/又はこうしたプロセッサと直接的に又は間接的につながってい
るプロセッサによって実行され、メモリ7002等のコンピュータ可読記憶媒体上に記憶
される命令によって構成される。
【0083】
方法7200は、第1のステップ7210にて、以前に述べたセンサのうちの任意のう
ちの1つ以上のものによって取得されるデータから、呼吸数、毎分換気量、一回換気量、
(例えば、無呼吸/低呼吸指数等の)睡眠呼吸障害重篤度指標、吸気波形形状、呼気波形
形状等のうちの1つ以上のものを含む、患者の呼吸パラメータを、入院期間にわたって、
抽出し、モニタリングし、記録する。方法7200は、ステップ7220にて、抽出され
る呼吸パラメータの1つ以上の分析を実施して、再発可能性の指標又は再発の確率を計算
することができる。ステップ7220は、入院期間の過程中にパラメータがどのように変
化したかを評価することを含むことができる。パラメータ又はパラメータの変化の1つ以
上のものは、1つ以上の閾値と比較されて、再発可能性の指標を計算することができる。
こうした閾値は、入院後に再発した及び/又は再発しなかった1人以上の入院患者の履歴
データから経験的に確定することができる。任意選択的に、こうしたデータは、特定の患
者の履歴データから採用した閾値に基づくことができる。代替的に又は付加的に、再発の
確率は、複数のパラメータのパターン又は複数のパラメータの変化に基づいてステップ7
220にて計算することができる。こうした比較及び/又はパターン評価は、例えば、決
定木、分類子、又は任意の他の評価方法によって行うことができる。再発の計算される確
率又は再発可能性指標に基づいて、ステップ7230にて、再発可能性警報が生成するこ
とができる。例えば、再発可能性指標又は再発の計算される確率等の再発の確率を示すデ
ータは、ステップ7230にて、ディスプレイデバイス7015上に表示することができ
る、及び/又は、接続7008を介して臨床医に対するメッセージとして送信することが
できる。
【0084】
幾つかの実施形態では、再発可能性指標又は再発の確率は、入院のモニタリング期間中
の、抽出される呼吸パラメータの連続したモニタリング及び分析に基づいて、連続して更
新され、表示又は送信することができる。しかし、幾つかの実施形態では、再発について
の可能性に関する、指標、確率、及び/又はメッセージは、装置7000のユーザインタ
フェース(例えば、1つ以上のボタン、又は、装置のユーザインタフェースのオペレーシ
ョン)を通して、又は、方法7200を始動させる電子的要求を送信することによって、
臨床医等のユーザによって行われる要求に応答して生成することができる。この点に関し
て、モニタリング装置7000は、呼吸パラメータのその直前の分析に基づいて再発可能
性警報を生成するように構成することができる。しかし、幾つかの実施形態では、方法7
200において使用される呼吸パラメータは、モニタリング装置7000によって抽出さ
れ、モニタリング装置7000から外部コンピューティングデバイス7005に送信され
ることができ、外部コンピューティングデバイス7005は、受信済み呼吸パラメータか
ら再発可能性の確率又は再発指標を計算し、再発可能性警報を生成するステップ7220
及びステップ7230を実施することができる。
【0085】
5.2.4 事象予測
図7dは、運動を示す信号(運動信号)から臨床事象を予測する方法7300の主要な
ステップを示すフローチャートである。方法7300は、本技術の一形態において方法7
100のステップ7110を実施するために使用することができ、センサデータは動きセ
ンサ7010から取得される1つ以上の運動信号であり、心肺健康状態に関連する特徴は
1つ以上のSDB特徴である。方法7300は、本技術の一形態において方法7200の
ステップ7210及びステップ7220を実施するために同様に使用することができ、セ
ンサデータは動きセンサ7010から取得される1つ以上の運動信号であり、呼吸パラメ
ータは1つ以上のSDB特徴である。一実施態様では、方法7300は、モニタリング装
置7000のプロセッサ7006によって実行され、メモリ7002等のコンピュータ可
読記憶媒体上に記憶される命令によって構成され、運動信号は、非接触式動きセンサ70
10から取得される。
【0086】
方法7300は、ステップ7310にて始まり、ステップ7310にて、運動信号は、
更なる処理のため運動信号を調節するよう前処理される。前処理ステップ7310(図7
dにおいて破線で示す)は、任意選択的であり、省略することができる。次のステップ7
320にて、前処理済み運動信号が分析されて、運動信号によって示される期間中、患者
1000によるSDBの重篤度を示すSDB特徴を抽出する。最後に、予測ステップ73
30にて、方法7300は、抽出済みSDB特徴を使用して、臨床事象が所定の予測ホラ
イズン内に起こる可能性があるかどうかを予測する。
【0087】
上述したように、本技術の一形態では、非接触式動きセンサ7010は、ドプラRF動
きセンサである。こうした実施態様では、動きセンサ7010は、I信号7003a及び
Q信号7003bとラベル付けされた2つの未処理運動信号を提供し、I信号7003a
及びQ信号7003bはそれぞれ、全体的に身体的運動を示すが、互いに全体的に90度
位相がずれている。
【0088】
第1アプローチ又は「並列(parallel)」アプローチでは、ステップ7310及びステ
ップ7320は、I信号7003a及びQ信号7003bのそれぞれに関して並列に実施
され、別々に取得される特徴は、特徴抽出ステップ7320中に組合される。一実施態様
では、「並列」アプローチの下で、前処理ステップ7310は省略することができる。第
2アプローチ又は「組合せ式(combined)」アプローチでは、I信号7003a及びQ信
号7003bは、前処理ステップ7310の一部として組合され、処理ステップ7320
~処理ステップ7330は、組合せ型の運動信号に関して実行される。組合せ式アプロー
チは、予測精度が低くなるという潜在的な犠牲を払って、並列アプローチより計算複雑度
が低いという利点を有する。
【0089】
本技術の他の形態では、非接触式動きセンサ7010は、単一の運動信号7003を提
供する。これは、「単一チャネル(single-channel)」アプローチと以下で呼ばれる。
【0090】
本技術の一形態では、ステップ7330は省略される。すなわち、臨床事象の予測は全
く行われない。ステップ7320にて抽出されるSDB特徴は、上述した臨床警報をトリ
ガするために使用することができる。代替的に、抽出されるSDB特徴は、メモリ700
2に記憶することもできるし、後の診断的検討のために外部コンピューティングデバイス
7005に送信することもできる。
【0091】
以下の節は、事象予測方法7300のステップ7310~ステップ7330のそれぞれ
の実施態様をより詳細に述べる。
【0092】
5.2.4.1 前処理7310
「組合せ型」アプローチの下で、前処理ステップ7310は、I信号7003a及びQ
信号7003bを適応的幾何学的方法で組合せて、組合せ型運動信号cにすることによっ
て始まる。一実施態様では、組合せサブステップは、I信号7003a及びQ信号700
3bに沿って摺動するウィンドウに適用される3つの段階を含む。一実施態様では、ウィ
ンドウは、継続時間が10秒であり、50%オーバラップを有する。
a.相互相関を使用して、信号の位相が180度ずれているかどうかをチェックし、ず
れている場合、信号を同じ直交位相状態に戻るよう反転させる。
b.ベクトル(I,Q)が準円弧の周りで点群を形成するので、この群の平均を減算し
て、弧を(0,0)にセンタリングし、センタリングされた点群の最小mIQを両方向に
突止め、mIQに関する各ベクトル(I,Q)の長さmを計算する。
【数4】
【数5】
c.mの平均を減算して、(1次元)組合せ型信号cを生成する。
【数6】
【0093】
そして、組合せ型運動信号cは、(任意選択的に)トレンド除去されて、ベースライン
変動を除去する。一実施態様では、トレンド除去することは、3次多項式を使用して実施
される。
【数7】
【0094】
別の実施態様では、トレンド除去することは、ダブルパス中央値フィルタリングを使用
して実施される。
【0095】
トレンド除去済み信号cは、(任意選択的に)呼吸機能の周波数範囲に設定された所
定の範囲を有するバタワースバンドパスフィルタによってバンドパスフィルタリングされ
る。所定の範囲は、一実施態様では、[0.1Hz,0.8Hz](6~48呼吸/分に
対応する)である。
【0096】
前処理ステップ7310における更なる(任意選択的な)サブステップはノイズ低減で
ある。非定常的であるドプラRF動きセンサ7010からの信号に特に適する一実施態様
では、ノイズ低減サブステップが、ウェーブレット変換ドメインにおいて、(バンドパス
フィルタリングされた)トレンド除去された組合せ型運動信号cに関して実行される。
【数8】
【0097】
ここで、Wは、ウェーブレット変換、例えば、第5の2進レベルまでの30係数「シム
レット(symmlet)」ウェーブレットを示し、Mは、或る特定のウェーブレット係数を通
過させ、他のウェーブレットを、「擾乱的(perturbative)」であると考えて排除するマ
スキング行列である。
【0098】
Mのアクションを実施するステップは次の通りである。
a.ウェーブレット係数の「アーチファクトネス(artefactness)」(以下を参照)が
、それについて第1の閾値Tを超える2進スケールを選択する。
b.このスケールのセットから、標準偏差に基づいてウェーブレット係数の(閾値T
による)ハード閾値法を実施する。
【0099】
或る特定のスケールにおける「アーチファクトネス」は、アーチファクトが、そのスケ
ールにおいて信号に影響を及ぼす程度を定量化する。アーチファクトネスは、ありそうも
なく高い振幅値を含む可能性がある信号の歪度の尺度である。信号xのアーチファクトネ
スは、
【数9】
として計算することができる。
【0100】
ここで、σは信号xの標準偏差である。Art(x)が1から離れれば離れるほど、
アーチファクトが大きくなる。
【0101】
上記で述べた「並列」アプローチの下で、組合せサブステップは、前処理ステップ73
10から省略され、後続のサブステップ(トレンド除去、フィルタリング、及びノイズ低
減)の任意のサブステップ又は全てのサブステップが、I信号7003a及びQ信号70
03bのそれぞれに関して並列に実施される。
【0102】
「単一チャネル」アプローチの下で、トレンド除去、フィルタリング、及びノイズ低減
の任意のサブステップ又は全てのサブステップが、運動信号7003に関して実施される
【0103】
以下の説明では、特徴抽出ステップ7320に対する入力(複数の場合もある)は、前
処理ステップ7310のオプションの性質を反映するため(前処理済みの)運動信号(複
数の場合もある)と呼ばれる。
【0104】
5.2.4.2 特徴抽出7320
図7eは、特徴抽出ステップ7320の一実施形態を構成するモジュール及び組合せ型
アプローチ又は単一チャネルアプローチの下でのそれらの関係を示すブロック図7400
である。
【0105】
図7eに示す実施態様では、活動推定及び運動検出モジュール7410は、(前処理済
みの)運動信号から活動計数信号及び運動フラグ系列を生成する。存在/非存在検出モジ
ュール7420は、(前処理済みの)運動信号及び運動フラグ系列から存在/非存在フラ
グ系列を生成する。睡眠/覚醒分析モジュール7430は、存在/非存在フラグ系列、運
動フラグ系列、及び活動計数信号から睡眠図を計算する。呼吸数推定モジュール7440
は、(前処理済みの)運動信号及び睡眠図から患者の呼吸数の一連の推定値を生成する。
信号選択モジュール7450は、運動フラグ系列及び睡眠図を使用して、(前処理済みの
)運動信号の所定のセクションを選択する。変調サイクルメトリック計算モジュール74
55は、(前処理済みの)運動信号の所定の選択済みセクションから患者の呼吸の変調サ
イクル長の推定値を生成する。包絡線発生モジュール7460は、推定済み呼吸数を使用
して(前処理済みの)運動信号の選択済みセクションの包絡線を生成する。SDB事象検
出モジュール7465は、推定済み変調サイクル長を使用して(前処理済みの)運動信号
の選択済みセクションから候補SDB事象を生成する。SDB事象確認モジュール747
0は、SDB事象検出モジュール7465によって生成される候補SDB事象を確認する
。最後に、特徴計算モジュール7540は、確認済みSDB事象からSDB特徴値を計算
する。
【0106】
並列アプローチの下で、ブロック図7400のモジュール7410~モジュール747
0は、I信号7003a及びQ信号7003bのそれぞれを独立に処理するため、簡単に
複製される。特徴計算モジュール7480の修正バージョンは、2つの並列処理ストリー
ムからのSDB事象を組合せて、2つの(前処理済みの)運動信号について単一のSDB
特徴セットを計算する。
【0107】
「ハイブリッド」アプローチの下で、特徴抽出ステップ7320の或る特定のモジュー
ルは、(前処理済みの)運動信号を独立に処理するために複製され、中間結果は、以下で
記述する特徴抽出ステップ7320の種々のモジュール内で組合される。
【0108】
図7fは、特徴抽出ステップ7320の一実施形態を構成するモジュール及びハイブリ
ッドアプローチの下でのそれらの関係を示すブロック図7500である。
【0109】
図7fに示す実施態様では、活動推定及び運動検出モジュール7510は、I信号70
03a及びQ信号7003bから活動計数信号及び運動フラグ系列を生成する。存在/非
存在検出モジュール7520は、I信号7003a及びQ信号7003b並びに運動フラ
グ系列から存在/非存在フラグ系列を生成する。睡眠/覚醒分析モジュール7530は、
存在/非存在フラグ系列、運動フラグ系列、及び活動計数信号から睡眠図を計算する。呼
吸数推定モジュール7540は、I信号7003a及びQ信号7003b及び睡眠図から
患者の呼吸数の一連の推定値を生成する。信号選択モジュール7550a及び7550b
は、運動フラグ系列及び睡眠図を使用して、I信号7003a及びQ信号7003bのセ
クションをそれぞれ選択する。変調サイクルメトリック計算モジュール7555は、I信
号7003a及びQ信号7003bの選択済みセクションから患者の呼吸の変調サイクル
長の推定値を生成する。包絡線発生モジュール7560a及び7560bは、推定済み呼
吸数を使用してI信号7003a及びQ信号7003bの選択済みセクションの包絡線を
それぞれ生成する。SDB事象検出モジュール7565a及び7565bは、推定済み変
調サイクル長を使用してI信号7003a及びQ信号7003bの選択済みセクションか
ら候補SDB事象を生成する。SDB事象確認モジュール7570a及び7570bは、
SDB事象検出モジュール7565a及び7565bによってそれぞれ生成される候補S
DB事象を確認する。最後に、特徴計算モジュール7580は、確認済みSDB事象から
SDB特徴値を計算する。
【0110】
特徴抽出ステップ7320を構成するモジュールのそれぞれは、以下の節で詳細に述べ
られる。
【0111】
5.2.4.2.1 活動推定及び運動検出7410
活動推定モジュール及び運動検出モジュールは、身体的活動のレベルを示す「活動計数
(activity count)」値の時系列、及び、著しい身体的(非呼吸)運動の存在又は非存在
を示す2値運動フラグの時系列を返す。各時系列は、一実施態様では、10Hzに等しい
(前処理済みの)運動信号のサンプリングレート(運動信号周波数)でサンプリングされ
る。運動フラグ系列は、以下で述べる、存在/非存在検出、睡眠/覚醒分析、信号選択、
及び呼吸数推定モジュールによって使用される。特に、信号選択モジュールは、分析のた
めに、著しい身体的運動によって支配されない信号のセクションを選択する。活動計数系
列並びに運動の継続時間及び直前の運動から経過した時間は、睡眠/覚醒分析モジュール
によって使用されて、患者の睡眠/覚醒状態を判定する。
【0112】
一実施態様では、活動推定モジュール及び運動検出モジュールは、運動信号パワーレベ
ル、運動信号形態、及び運動パターンに基づく。
【0113】
一実施態様では、5つの主要なサブモジュールは、活動推定モジュール及び運動検出モ
ジュールの一部を形成する。
【0114】
活動マッピングサブモジュールは、対応する時間における運動信号のパワーに全体的に
比例する一連の活動計数値を生成する。活動計数は、以下のように生成される。
・信号が範囲[1.5Hz,4.5Hz]に対してバンドパスフィルタリングされる。
・継続時間4秒の最大値フィルタが、信号に関して実行されて、振幅包絡線を取得する

・信号のベースライン(残留呼吸活動による)が、ローリング20秒ウィンドウ上で信
号の5パーセンタイルを推定することによって抽出される。
・包絡線とベースラインとの差が、閾値(一実施態様では0.0075V)と比較され
、包絡線によって再びスケーリングされる。
・信号が、非オーバラップ間隔に分割される。一実施態様では、各間隔の継続時間は2
秒である。
・スケーリング済み信号が、各間隔にわたって積分され、運動信号周波数にアップサン
プリングされて、活動計数系列を生成する。
【0115】
一実施態様では、運動検出器サブモジュールは、次の通りに進む。
【0116】
信号は、最初にハイパスフィルタリングされて、VLF成分及びベースラインを除去す
る。その後、3つの特徴が、ベースライン除去済み信号から導出される。第1の特徴は、
ノイズ特徴と呼ばれる。
・およそ1Hzのカットオフ周波数を有するハイパスフィルタが、適用されて、呼吸成
分を除去する。
・ハイパスフィルタリング済み信号が、その後、非オーバラップ間隔に分割される。一
実施態様では、各間隔は継続時間2秒である。
・ノイズ特徴が、各間隔についてフィルタリング済み「ノイズ(noise)」信号の2乗
平均平方根(RMS:root mean square)として計算される。
【0117】
第2及び第3の特徴は、相関特徴及びパワー特徴であり、ノイズ特徴に対して異なる周
波数帯域に関して計算される。
【0118】
総合モニタリングセッションの平均呼吸数は、はじめに、ベースライン除去済み信号の
バイアス無し自己相関を実行し、平均呼吸数の半分を規定する最初の最小値を見出すこと
によって推定される。平均呼吸数は、平均呼吸数あたりの或る特定の範囲の周波数として
患者固有の許容可能呼吸数周波数ウィンドウを規定する。
【0119】
およそ2Hzのカットオフ周波数を有するローパスフィルタは、ベースライン除去済み
信号に適用される。ローパスフィルタリング済み信号は、その後、オーバラップウィンド
ウに分割され、トレンド除去され、平均除去(de-mean)される。一実施態様では、ウィ
ンドウの長さは15秒であり、12秒のオーバラップ(3秒のシフト)を有する。
【0120】
相関特徴は、
・各ウィンドウ内でトレンド除去され平均除去された信号のバイアス無し自己相関をと
り、
・第1のピークが、平均呼吸数によって規定される患者固有の許容可能呼吸数ウィンド
ウ内にある場合、第1のピークを選択する(否定的な場合、相関特徴は0に設定される)
ことによって計算される。
【0121】
パワー特徴は、
・各ウィンドウについてローパスフィルタリング済み信号のパワースペクトル密度を計
算し、
・平均呼吸数から規定される患者固有の許容可能呼吸数ウィンドウ内で最大値を特定し

・最大周波数及び最初の2つの高調波にわたって+/-0.05Hzの呼吸帯域を選択
し、
・選択済み呼吸帯域内の信号パワーと信号の全帯域内の信号パワーとの比を計算する
ことによって計算することができる。
【0122】
ウィンドウ長が、ウィンドウの間で3秒より大きいシフトであるため、最大値フィルタ
は、そのように計算された相関及びパワー特徴にわたって実行することができる。
【0123】
そして、3つ全ての特徴は、(前処理済みの)運動信号内の各サンプルについて特徴値
が存在するように運動信号周波数に対して補間することができる。
【0124】
ノイズ特徴は、高い相関特徴値を有する全てのサンプル(0.9より大きい値を有する
全てのサンプル)及び高いパワー特徴値を有する全てのサンプル(0.8より大きい値を
有する全てのサンプル)について計算される平均パワー特徴によって正規化することがで
きる。
【0125】
ノイズ特徴のベースラインは、0.003を超えるノイズ特徴値に、0.003未満の
全ての値の95パーセンタイルを割当てることによって計算することができる。そして、
幅180秒の中央値フィルタが実行され、ベースラインは、フィルタリング済み系列の5
0パーセンタイルとして規定される。そして、ベースラインは、ノイズ特徴から減算され
る。
【0126】
ベースライン除去済みノイズ特徴が「高い(high)」閾値(一実施態様では1に等しい
)を超え、相関及びパワー特徴が「低い(low)」閾値(一実施態様では0.7に等しい
)未満である場合、対応する運動フラグは、真に設定される。ベースライン除去済みノイ
ズ特徴がその平均値を超える場合、運動フラグは、同様に真に設定される。
【0127】
運動フラグ系列は、一実施態様では4秒に等しいマルチ秒継続時間の最大値フィルタを
通過することによって、検出される各運動セクションの前及び後で最終的に拡張される。
【0128】
運動補正サブモジュールは、数分にわたる運動のトレンドを分析することによって、運
動検出器サブモジュールにおいて検出される運動について2値「妥当性検証(validation
)」フラグを生成する。無呼吸に関連する運動は、実際には、睡眠/覚醒分析モジュール
とSDB事象検出モジュールの両方の性能を損なうことになるため、そのようにラベル付
けされる必要はない。
・反復的運動マスクが、互いの120秒以内の全ての運動を併合することによって取得
されて、連続した無呼吸(一般に、閉塞性)が、誤って運動セクションとしてラベル付け
され、その後、覚醒としてラベル付けされる場合があるセクションを特定する。
・少なくとも5分の継続時間を有するセクションだけが、2/3のオーバラップ(ウィ
ンドウ間に100秒シフトを有するように300秒ウィンドウに分割することによって実
施される)を持った状態でこのサブモジュールによって処理される。
・振幅包絡線が、
○以下で述べる呼吸数推定モジュールの場合と同じ方法でピーク-トラフ検出を実施
し、
○個々の呼吸の開始点及び終了点を、1つのピークとその連続するトラフとの間の中
間点として規定し、
○検出される各呼吸中の信号のピーク間振幅に包絡線を割当てる
ことによって生成することができる。
・振幅包絡線がカットオフ周波数0.5Hzを有するローパスフィルタによってフィル
タリングすることができる。
・フィルタリング済み包絡線が、その70パーセンタイル値又はその標準偏差の2倍を
超えるときにソフトリミティングを実施することによって、及び、1.6のスケーリング
因子よって乗じられたその70パーセンタイルに達すると、ハードリミティングすること
によって平滑化することができる。
・包絡線の自己相関を、その間隔について計算することができ、16秒と90秒との間
の期間に対応する自己相関関数内の最初の2つのピーク及びトラフが特定される。
【0129】
各ピークの値とその先行するトラフの値との差を、計算することができ、設定閾値より
大きいことが見出される場合、SDB事象の列に適合する反復的パターンが起こりそうで
あると思われるため、全間隔が非運動としてマーク付けされる。
【0130】
ハイブリッドアプローチの下で、組合せサブモジュールが続き、組合せサブモジュール
において、
・両方の(前処理済みの)運動信号にわたる活動計数が平均化される。
・両方の(前処理済みの)運動信号にわたる運動フラグがAND演算を通して組合され
る(すなわち、運動は、真の運動フラグを生成するように、両方の信号に関して検出され
ている必要がある)。
【0131】
他のアプローチの下で、組合せサブモジュールは必要とされない。
【0132】
最終的なサブモジュールは、運動状態継続時間を計算する。このサブモジュールは、全
ての運動/非運動遷移を特定し、全ての個々の運動/非運動状態の継続時間を有するベク
トルを生成する。
【0133】
平均非ゼロ活動計数は、その標準偏差、歪度、尖度、並びに、非ゼロ活動計数を有する
全ての間隔にわたる分布の5パーセンタイル、25パーセンタイル、50パーセンタイル
、75パーセンタイル、及び95パーセンタイルとともに、同様に計算するとともに記憶
することができる。非ゼロ活動計数を有する間隔の総継続時間は、総運動時間として計算
するとともに記憶することができる。モニタリングセッション中の非ゼロ活動計数を有す
る間隔のパーセンテージは、同様に計算するとともに記憶することができる。このパーセ
ンテージは、主睡眠期間(以下で規定される)の第1の半分及び第2の半分としてマーク
付けされる期間に関して同様に計算することができる。
【0134】
5.2.4.2.2 存在/非存在検出7420
存在/非存在検出モジュールは、患者がセンサ7010の視野内に存在する(すなわち
、ベッドにいる)か、存在しない(すなわち、ベッドにいない)かを検出する。存在/非
存在検出モジュールは、活動推定及び運動検出モジュールによって生成される信号パワー
レベル、信号形態、及び運動フラグ系列に基づいて存在/非存在フラグの時系列を生成す
る。
【0135】
一実施態様では、存在/非存在検出モジュールはサブモジュールを含むことができる。
例えば、5つの主要なサブモジュールが次の通りに実施することができる。
・各(前処理済みの)運動信号に関して別々に実施される前処理、その前処理において
、例えば、
○信号が、カットオフ周波数0.1Hzによってハイパスフィルタリングされて、形
態学的特徴に影響を及ぼす場合があるベースライン変動及び低周波数成分を除去する。
○信号が、分析のために、非オーバラップエポックに分割される。エポック長は、呼
吸の継続時間と比較して長くなるように選択される。一実施態様では、各エポックは継続
時間が30秒である。
○信号は、各エポックにわたって平均除去される。
・振幅分析-形態学的特徴ゲートが、前処理サブモジュール後に、(前処理済みの)各
運動信号に関して同様に別々に実施することができる。このサブモジュールは、例えば、
以下の5項目を検証することができる。
○各エポック内の信号のRMSは、或る特定の非存在に関連する最小値(一実施態様
では、0.0015に等しい)より大きい。
○各エポック内の信号は、明確な外れ値を含まない。低振幅信号がある場合、準ガウ
スノイズ又は小振幅呼吸が存在するということを仮定する。外れ値は、99.95パーセ
ンタイルと66.6パーセンタイルとの間、又は、33.3パーセンタイルと0.05パ
ーセンタイルとの間の比が6の係数を超える場合に存在すると思われる。ガウス分布の場
合、この比は3を超えるべきでなく、2の安全係数が使用される。
○上記条件がともに検証される場合、以下で述べる次のサブモジュールによって計算
される形態学的特徴はそのまま維持される。
○第1の条件が検証されない(仮定が非存在である)場合、形態学的特徴は、その計
算値の最大値でかつ非存在が検出されることを保証するのに十分に大きな値に設定される

○第2の条件が検証されない場合、形態学的特徴は、NaN(not a number:非数の
)値を割当てられ、エポックは、存在及び非存在の検出において無視されることになる(
仮定は、ノイズ又は攣縮のバーストである)。
・形態学的特徴の計算は、前処理サブモジュールの後に(前処理済みの)運動信号に関
して同様に別々に実施することができ、次の通りに実施することができる。
○形態学的特徴は、エポック中の信号の自己相関の尖度として計算される。未相関信
号は、ピーク性自己相関関数を返すことになり、一方、呼吸信号は、周期的ピークを有す
る自己相関関数を返すことになる。尖度は、ピーク性分布について大きい。形態学的特徴
のより大きい値は非存在と関連する。
・アーチファクト除去、トレンド形成、及び組合せ。このサブモジュールは、次の通り
に、直前のサブモジュールによって計算される形態学的特徴系列又は各形態学的特徴系列
に関して実施することができる。
○形態学的特徴の孤立した高い値は、直前のエポックの値に割当てられる。
○各信号について、一実施形態において長さを9エポックに設定される平均フィルタ
は、形態学的特徴系列にわたって実行される。
○ハイブッドアプローチの下で、一時的な組合せ型の特徴ベクトルが次の通りに生成
される。両方の信号のRMSが、予測される存在に関連する最大閾値(一実施形態では、
0.01に設定される)より下がる場合、ベクトルは、各入力信号の形態学的特徴の平均
に等しい値を割当てられ、そうでない場合、ゼロの値が割当てられて、存在/非存在フラ
グを存在に向けてスキューさせる。
○(組合せ型)形態学的特徴系列は、一実施態様では、20に設定される各値を非存
在/存在閾値と比較することによって、存在/非存在フラグ系列に変換される。形態学的
特徴値が閾値より小さい場合、対応するフラグは真(存在)に設定され、そうでない場合
、フラグは偽(非存在)に設定される。
・存在/非存在フラグ系列に関して実施される後処理は、次の通りに、活動推定及び運
動検出モジュールによって生成される運動フラグ系列を利用して実施することができる。
○モニタリング装置7000の電源投入の遷移は、5番目のエポックのフラグ値を最
初の4つのエポックに割当てることによって無視される。
○存在から非存在への又は非存在から存在への全ての遷移が調査される。存在/非存
在の遷移の前の最後の運動(運動フラグ系列によって示される)と遷移自体との間のセク
ション中に、形態学的特徴値の少なくとも85%がNaNでない場合、遷移は、直前の運
動に続くエポックに戻る。同等のことが、非存在と存在との間の遷移について行われる。
(このタイプの再ラベル付けについての理論的根拠は、存在/非存在の遷移が、ベッドに
入る又はベッドから出る著しい身体的運動に関連するはずであることである。)
【0136】
組合せ型又は単一チャネルアプローチに適する存在/非存在検出モジュールの代替の実
施形態では、各エポックについて、エポック内の(前処理済みの)運動信号のRMS値が
、エポックが5秒継続時間である代替の実施形態の1バージョンでは0.015に設定さ
れる「ノイズだけの(noise-only)」閾値より下がる場合に、存在/非存在フラグは偽(
非存在)に設定される。そうでない場合、そのエポックについての存在/非存在フラグは
真(存在)に設定される。代替の実施態様は、運動フラグ系列を使用しない。
【0137】
5.2.4.2.3 睡眠/覚醒分析7430
睡眠/覚醒分析モジュールは、各エポックを、眠っている、覚醒している、非存在、又
は不明として分類することを目指す。(エポックは、存在/非存在検出モジュールのエポ
ックに一致する。)結果として得られるエポック分類の系列は睡眠図と呼ばれる。
【0138】
一実施態様では、睡眠/覚醒分析モジュールは、活動推定モジュール及び運動検出モジ
ュールの出力を使用して、各エポックについての分類器内に給送される特徴を生成する。
幾つかの初期の後処理、存在/非存在検出モジュールからの存在フラグ/非存在フラグに
関する積分、及び最終的な後処理は、睡眠/覚醒分析モジュールが睡眠図を改良すること
を可能にする。
【0139】
この実施態様では、睡眠/覚醒分析モジュールは、次の通りに、幾つか(例えば、4つ
)のサブモジュールによって実施することができる。
【0140】
特徴抽出サブモジュールは、活動計数信号及び運動フラグ系列から以下の特徴の一部又
は全てを抽出する。
・次の通りに処理することができる活動特徴
○活動計数信号が、その平均で割ることによって正規化されて、範囲/感度効果を低
減する。
○正規化済み活動計数信号が各エポックにわたって積分される。
○積分値の4乗根が計算される。
・次の通りに処理することができる運動特徴の継続時間
○各エポックについて、運動の1つ以上の部分が存在する場合、(関心のエポックの
外側の部分を含む)サンプル内のそれらの平均継続時間の平方根が計算される。
・次の通りに処理することができる非運動特徴の継続時間
○各エポックについて、非運動の1つ以上の部分が存在する場合、(関心のエポック
の外側の部分を含む)サンプル内のそれらの平均継続時間の平方根が計算される。
・次の通りに処理することができるクシダ(Kushida)活動特徴
○クシダ活動は、重みが一実施態様では{0.04,0.04,0.2,0.2,2
,0.2,0.04,0.04}/2.96に設定された状態で、積分済み活動係数に適
用される重み付き総和である。(最初の4つのエポックと最後の4つのエポックについて
のクシダ活動特徴は、部分的な重み付き総和のみに基づく)
【0141】
分類器サブモジュールは、各エポック内で、抽出済み特徴を分類して、仮の睡眠/覚醒
ラベル[睡眠=0,覚醒=1]を生成する。一実施態様では、分類器は、事前訓練済み線
形判別分析(LDA:linear discriminant analysis)分類器である。
【0142】
後処理サブモジュールは、仮の睡眠/覚醒ラベル系列を以下の方式で処理することがで
きる。
・仮の睡眠/覚醒ラベルは、ロトヨネンパターン展開(Lotjonen pattern expansion)
に従って後処理され、大きな睡眠又は覚醒セクション内の覚醒又は睡眠の短いバーストは
、それぞれ睡眠又は覚醒として再ラベル付けされる。ロトヨネンパターン展開は図7gに
示される。
・存在/非存在検出器モジュールからの存在/非存在フラグは、後処理済み睡眠/覚醒
ラベル系列上にオーバレイされる。第1の一時的な睡眠図は、非存在としてフラグを立て
られたエポックに一致する睡眠としてラベル付けされた各エポックにNaN値を割当てる
ことによって、後処理済み睡眠/覚醒ラベル系列から生成される。
・一方、未処理の(後処理済みでない)仮の睡眠/覚醒ラベルは、覚醒ラベルによって
上書きされ、NaN値は、第1の一時的な睡眠図内に存在し、ロトヨネンパターン展開法
を使用して後処理されて、第2の一時的な睡眠図を生成する。
・第2の一時的な睡眠図は、次の通りに第1の一時的な睡眠図と組合される。すなわち
、第1の一時的な睡眠図の値が睡眠であり、第2の一時的な睡眠図の値が覚醒である各エ
ポックにおいて、第1の一時的な睡眠図の値は不明に設定される。
【0143】
第1の一時的な睡眠図は、以下の最終の後処理ステップ後に最終の睡眠図になる。
・不明のラベルが、2つの覚醒ラベルの間にある場合、不明のラベルは覚醒に設定され
る。
・少なくとも15分の連続的な不明のラベルが存在する場合、これらのラベルは非存在
に設定される。
・5分以下の継続時間の非存在のセクションは、非存在として再ラベル付けされる。
・最後に、未処理の(後処理済みでない)睡眠図の始まり及び/又は終りに存在する任
意の覚醒は、最終の睡眠図内に維持される。
【0144】
組合せ型又は単一チャネルアプローチに適する代替の実施態様では、睡眠/覚醒分析モ
ジュールは、存在/非存在検出モジュールからの存在/非存在フラグ系列及び組合せ型の
(前処理済みの)運動信号を使用して、各エポックを、睡眠、覚醒、又は非存在としてラ
ベル付けする睡眠図を生成する。代替の実施態様では、睡眠/覚醒分析モジュールは、活
動推定及び運動検出モジュールによって生成される運動フラグ系列を使用するのではなく
、むしろ、モニタリングセッションについて、そのエポック内の運動信号の分散を適応的
閾値と比較することによって、自分自身の運動フラグ系列(そのエポック内での著しい身
体的運動を示す、各エポックについての1つのフラグ)を生成する。適応的閾値は、例え
ば、代替の実施態様の1つのバージョンでは、モニタリングセッションにわたる分散の9
5パーセンタイルから、同じモニタリングセッションにわたる分散の75パーセンタイル
の2倍を引いた値(75パーセンタイルが0.5より大きいとき)に、又は、モニタリン
グセッションにわたる分散の95パーセンタイルから、同じモニタリングセッションにわ
たる分散の75パーセンタイルの1.5倍を引いた値(75パーセンタイルが0.5以下
であるとき)に設定することができる。分散が適応的閾値を超える場合、そのエポックに
ついての運動フラグは真に設定される。
【0145】
代替の実施態様では、存在/非存在フラグ系列内で非存在としてラベル付けされるエポ
ックは、睡眠図において非存在として最初にラベル付けされる。「波形の長さ(waveform
length)」特徴は、存在/非存在フラグ系列内で存在としてラベル付けされる各エポッ
ク内の(前処理済みの)運動信号cから抽出される。波形の長さは、そのエポックにわ
たるサンプルごとの振幅の累積的変化を測定することによって計算される。比喩的には、
それは、運動信号波形をゴタ混ぜのひものように扱い、ひもの真直ぐに伸ばした長さを測
定することに相当する。波形の長さ特徴は、そのエポックにわたって運動信号の振幅、周
波数、及び継続時間を効果的にカプセル化する。エポックiについての波形の長さ特徴の
値wは、
【数10】
として計算される。
【0146】
ここで、Nはそのエポック内のサンプルの数である。
【0147】
それぞれの存在エポックiについての波形の長さ特徴の値wは、適応的閾値Tと比較
される。値wが閾値Tより小さい場合、存在エポックは、睡眠図において睡眠としてラ
ベル付けされ、そうでない場合、存在エポックは覚醒としてラベル付けされる。モニタリ
ングセッションについて閾値Tを計算するため、四分位間範囲(inter-quartile range)
特徴が、モニタリングセッションにわたって波形の長さ特徴wについて計算される(こ
の特徴ベクトル内の各点は、よく知られているR&K睡眠スコア付け基準と同様の方式で
エポックの波形の長さを示す)。閾値Tは、図7hのフローチャートに示す方法を使用し
て、波形の長さ特徴wの50パーセンタイルw50、75パーセンタイルw75、及び
95パーセンタイルw95から計算される。パラメータα、α、β、β、及びβ
は、代替の実施態様の1つのバージョンでは、4、2.78、10、0.95、及び4
に設定される。
【0148】
要約サブモジュールは、最終の睡眠図から以下の要約メトリックの任意のメトリックを
計算することができる。
・総睡眠時間(TST:total sleep time)(睡眠としてラベル付けされる全てのエポ
ックの継続時間の総和)。
・ベッドにいる総時間(非存在としてラベル付けされない全てのエポックの継続時間の
総和)。
・睡眠効率(眠っているとしてラベル付けされる第1のエポックと第2のエポックとの
間における総睡眠時間と、ベッドにいる総時間との比)。
・(もしあれば)不明としてラベル付けされるエポックの継続時間の総和。
【0149】
睡眠図は、患者が存在する(すなわち、睡眠又は覚醒としてマーク付けされる)複数の
別個の連続的なセクションを示す場合がある。これは、自身の状態のせいで昼間の一部を
ベッドで過ごす患者について特に当てはまる。したがって、要約サブモジュールは、一実
施態様では30分に設定される閾値より短い非存在とマーク付けされるセクションを無視
して、睡眠又は覚醒としてマーク付けされる連続的なセクションを突止めることによって
「一時的な睡眠期間」を生成する。例えば、患者がモニタリングセッション中に存在する
状態の5つのセクションから、2つの「一時的な睡眠期間」が生成される場合がある。そ
の理由は、存在セクションの間の、非存在とマーク付けされる4つのうちの3つのギャッ
プが閾値より小さいからである。そして、要約サブモジュールは、そのように生成された
「一時的な睡眠期間」のうちの最も長い期間として、「主睡眠期間」を規定し、主睡眠期
間の第1及び第2の半分の開始及び終了をマーク付けする。
【0150】
5.2.4.2.4 呼吸数推定7440
呼吸数推定モジュールは、(前処理済みの)運動信号のピーク-トラフ検出に基づく呼
吸検出器を使用して、モニタリングセッションの各エポックについて呼吸数のオフライン
の非因果性推定を行う。(エポックは、存在/非存在検出モジュール及び睡眠/覚醒分析
モジュールのエポックに一致する。)呼吸数推定モジュールの出力は、呼吸曲線と呼ばれ
る。
【0151】
一実施態様では、4つの主要なサブモジュールは、呼吸数推定モジュールとして役立つ
ことができる。
・前処理サブモジュールは、以下のステップの任意のステップを実施することができる
○運動フラグに一致する運動信号のセクションを抹消すること。
○信号がローパスフィルタによってフィルタリングされて、任意の未検出残留運動を
除去することができる。一実施態様では、ローパスフィルタは、0.8Hzのカットオフ
周波数を有する10次のバタワースフィルタである。
・ピーク-トラフ検出サブモジュールは、以下のステップの任意のステップを実施する
ことができる
○信号がハイパスフィルタを通されて、VLF成分を除去する。一実施態様では、カ
ットオフ周波数は0.15Hzである。
○モニタリングセッションにわたる平均呼吸数は、フィルタリング済みの全信号にわ
たって自己相関を実施し、0.5Hz後の最初のピークを選択することによって推定され
る。この平均呼吸数は、更なる処理のために1/0.8倍だけスケールアップされて、全
ての呼吸が捕捉されることを保証する。
○レイリー分布が構築され、そのピークは、平均呼吸継続時間の半分である。この分
布は、転換点を特定する尤度因子として使用されることになる(したがって、呼吸継続時
間の半分だけが使用される)。
○フィルタリング済み信号上の全てに転換点が特定される。各転換点について:
○候補転換点として、次の10秒にわたる全ての転換点を選択する。
○現在の転換点から候補転換点までの距離に、それ自身のレイリー確率(現在の転換
点からその距離にあるレイリー分布値)を掛けた値として良度指数を規定する。
○最も高い良度指数を有する転換点が選択され、プロセスが繰返され、進む。
○前に検出された運動セクションに関連する全ての転換点を除去する。
・呼吸数推定サブモジュールは、以下のものの任意のものを実施することができるよう
に進む。
○ピーク-トラフ検出サブモジュールによって特定される転換点から、トラフが廃棄
されるため、ピークだけが考慮される。
○呼吸間隔は、連続的なピーク間の距離として規定される。一実施態様では7秒に設
定される通常の呼吸間隔と比較して長い継続時間以上の呼吸間隔が除去される。その理由
は、それらの呼吸間隔が、呼吸時の中断又は運動に関連する可能性があるからである。
○各エポックを囲むウィンドウについての呼吸数は、ウィンドウ内の全ての呼吸にわ
たる中央値呼吸数(呼吸間隔の逆数)として計算される。一実施態様では、ウィンドウは
3.5分の長さである。
・ハイブリッドアプローチの下で、両方の(前処理済みの)運動信号からの呼吸数が各
エポックにおいて平均される組合せサブモジュールが続く。他のアプローチの下で、組合
せサブモジュールは必要とされない。
【0152】
呼吸数推定のために使用されるウィンドウの長さを考慮すると、呼吸数推定モジュール
は、かなりの量の平均化を含み、したがって、アーチファクトに対してかなり頑健である
。しかし、同じ理由で、呼吸数推定モジュールは、ローカルな呼吸数変動にそれほど敏感
でない。
【0153】
睡眠図において非存在又は不明としてラベル付けされる全てのエポックについて、呼吸
数は、NaN値に割当てられる。
【0154】
代替の実施態様では、呼吸数推定値は、単に、活動推定及び運動検出サブモジュールに
よって(式19)を使用して計算される値Freqである。
【0155】
モニタリングセッションにわたる平均呼吸数は、その標準偏差、並びに、分布の5、2
5、50、75、及び95パーセンタイルとともに、呼吸数推定モジュールによって同様
に計算して記憶することができる。
【0156】
5.2.4.2.5 信号選択7450
信号選択モジュールは、後続のSDB事象検出のために(前処理済みの)運動信号の適
したセクションを選択することを目指す。信号選択の基礎をなす1つの考えは、SDB事
象検出が、患者が眠っている場合、運動信号のセクションに関してだけ実施することがで
きることである。したがって、睡眠/覚醒分析モジュールの睡眠図出力は、信号選択モジ
ュールを通してSDB事象検出をゲート制御するのに役立つことができる。さらに、著し
い身体的運動によって生成される任意の信号が、SDB事象に関連する可能性のある呼吸
運動信号を目立たなくするので、運動セクションが、信号選択モジュールによって同様に
除去され、SDB事象検出のために睡眠及び呼吸セクションだけを残す。最後に、SDB
事象検出モジュールにおいて使用される方法が、時間ドメイン振幅依存方法であることを
考慮すると、SDB事象を特徴付ける呼吸努力の降下を検出するのに十分な余裕を保証す
るため、十分な信号対ノイズ比が存在することを保証することが有益である。
【0157】
信号選択モジュールは、睡眠/覚醒分析モジュールとSDB事象検出モジュールとの間
のインタフェースとして働く。その主要な機能は、後続の信号処理モジュールに、睡眠及
び呼吸並びに十分な信号品質のセクションだけを給送することである。
【0158】
信号選択モジュールは次の通りに進む。
【0159】
睡眠図(運動フラグ系列のサンプリングレートまでアップサンプリングされた)及び運
動フラグ系列は、最初に組合されて、睡眠及び呼吸のマスクを取得する。マスクは、睡眠
図が睡眠を示し、運動フラグが偽である場合、サンプルにおいて値1を有する。
【0160】
睡眠及び呼吸のマスクは、その後、各(前処理済みの)運動信号に適用され、可変継続
時間の1つ以上のセクションをもたらす。これらのセクションのそれぞれについて、良度
指数が計算され、そのセクションが選択されるべきかどうかに関する決定が、良度指数と
閾値との比較に基づいて行われる。
【0161】
SDB事象検出の場合、呼吸努力の妥当性検証済みの尺度の少なくとも50%の降下を
観測することが可能であるはずであることが推定される。したがって、呼吸努力尺度は、
ノイズによって50%閾値未満にめったに引張られないはずである。準ガウス加法性ノイ
ズ分布を仮定すると、ノイズサンプルの97.5%は、所与のセクションのRMSノイズ
値の4倍以内のピーク間振幅を有することになる。正弦曲線の場合、ピーク間振幅とRM
S値との比は2√2である。したがって、信頼性のあるSDB事象検出について十分な品
質であるため、睡眠及び呼吸セクションは、少なくとも、
【数11】
によって与えられるRMS値を有するべきである。
ここで、rmsmaxnoiseは、ノイズについての最大RMS値である。
【0162】
したがって、信号選択モジュールは、一実施形態では150秒に等しい継続時間の、実
行中標準偏差(RMS:running standard deviation)フィルタを、睡眠及び呼吸(前処
理済みの)運動信号の各セッションに適用することができる。セクションは、良好な品質
であると思われ、したがって、そのセクションについてのRMS値の分布の、一実施態様
では75パーセンタイルに設定される、高いパーセンタイルが、ノイズ閾値を超えるとき
に、信号選択モジュールによって選択される。ノイズ閾値は、動きセンサ7010につい
ての最大RMSノイズ値(SleepMinderセンサユニットに関しては0.005
に等しい)と、そのセクションについて計算される前処理済みの運動信号のRMS値の分
布の5パーセンタイルの小さい方として計算される。
【0163】
ハイブリッド又は並列アプローチの下で、各(前処理済みの)運動信号は、独立に処理
されるため、或る特定のセクションは、1チャネルだけのために選択される場合がある。
総分析時間(TAT:total analysis time)は、少なくとも1つのチャネル内でSDB
事象検出のために選択された信号の総継続時間として計算される。TATは、以下で述べ
る特徴計算モジュールによって計算されるAHIの分母として使用される。
【0164】
各チャネルについての睡眠及び呼吸信号セクションの総継続時間が計算するとともに記
憶される。各チャネルについての良品質の睡眠及び呼吸信号の総継続時間が計算するとと
もに記憶される。各チャネルについての低品質の睡眠及び呼吸信号の総継続時間も計算す
るとともに記憶される。
【0165】
特徴計算モジュールによって返されるAHIが、信頼性がありかつ代表的であることを
保証するため、以下の条件の少なくとも1つを、各チャネルにおいて継続してSDB事象
検出を行う前に課することができる。
・「患者存在(patient-presence)」の総継続時間は最小継続時間より大きい。一実施
態様では、この最小継続時間は、PSG実験所における標準的な慣行に従って3時間であ
る。
・良品質の睡眠及び呼吸信号の総継続時間は最小継続時間より大きい。一実施態様では
、この最小継続時間は、PSG実験所における標準的な慣行に従って2時間である。
・良品質の睡眠及び呼吸信号継続時間と低品質の睡眠及び呼吸信号継続時間の比は少な
くとも1:Rである。一実施態様では、Rは、睡眠及び呼吸信号の少なくとも33%をS
DB事象検出のために使用することができることを保証するため、2に設定された。
【0166】
その他の場合、予測方法7300は、そのチャネルについて中止される。
【0167】
5.2.4.2.6 包絡線発生7460
包絡線発生モジュールは、呼吸変調の周波数部分だけでなく振幅部分もまた保持する包
絡線の形態で呼吸努力の尺度を生成することを目指す。
【0168】
一実施態様では、包絡線発生モジュールは、幾つかの信号処理ステップに頼る。信号選
択モジュールによって選択される良品質の睡眠及び呼吸信号の各セクションについて、以
下のものの任意のものが実施することができる。
・セクションは、
【数12】
及び
【数13】
であるよう割当てることによって外れ値除去について処理することができる。
・振幅変調型呼吸運動信号(式16参照)のスペクトルが呼吸数基本部分の両側に2つ
の小さなピークを有することになることを考慮すると、セクションは、バンドパスフィル
タによってフィルタリングされて、非常に低い周波数成分及び非常に高い周波数成分を除
去することができる。この実施態様の1つのバージョンでは、バンドパスフィルタは、範
囲[0.1Hz,0.8Hz]を有する2次バタワースフィルタである。
・振幅情報を維持するため、セクションは、一方のフィルタが正のサンプルについてで
あり、もう一方のフィルタが負のサンプルについてである、ダブルマックス及びホールド
フィルタ(double max and hold filter)によってフィルタリングされて、正の包絡線及
び負の包絡線を与えることができる。
○ダブルマックス及びホールドフィルタの継続時間は重要である可能性がある。すな
わち、長過ぎると、フィルタは、より平滑な包絡線を生成するが、平均化のせいで、沈下
部の継続時間を減少させることになる。同時に、短過ぎると、フィルタは、呼吸信号の性
質によりリンギングを生じることになる。
○理想的なマックス及びホールドフィルタ継続時間は、単一呼吸継続時間よりわずか
に長い。この理由で、呼吸数推定モジュールによって推定される呼吸数は、1よりわずか
に大きい倍率だけスケールダウンされて、適度に短い(<<2呼吸)フィルタ継続時間を
維持しながら、リンギング作用を回避するように余裕を与える。一実施態様では、倍率は
1.25である。
○各セクションについて、そのセクションにわたるスケールダウン済みの呼吸曲線の
平均値が、マックス及びホールドフィルタ継続時間として使用される。
・最終的な包絡線は、正の包絡線と負の包絡線との差として生成することができる。
【0169】
代替の実施態様では、(前処理済みの)運動信号の選択される各セクションcの包絡
線は、
・cのヒルベルト変換H{c}をとり、
・経験的モード分解(EMD:Empirical Mode Decomposition)を使用して、次の通り
にヒルベルト変換H{c}から包絡線Ecを生成すること
によって生成することができる。
【数14】
【0170】
代替の実施態様の変形では、包絡線は、c+jH{c}のモデュラスをローパスフ
ィルタリングすることによって生成することができる。ここで、jは-1の平方根である
。代替の実施態様の変形の1つのバージョンでは、ローパスフィルタは、0.15Hzの
カットオフ周波数を有する。
【0171】
5.2.4.2.7 変調サイクルメトリック計算7455
変調サイクルメトリック計算モジュールは、患者の変調型呼吸サイクルの平均変調サイ
クル長を推定して、SDB事象検出モジュールをその患者によりよく適合させる。主要な
難題は、推定が基づく正しいサンプルの選択、及び選択されたサンプルを使用する、スペ
クトルのVLF帯域内での変調周波数の抽出である。
【0172】
一実施態様では、変調サイクルメトリック計算モジュールは、上述した包絡線発生モジ
ュールの方法と同一の方法(外れ値除去及びバンドパスフィルタリング)で(前処理済み
の)運動信号の選択される各セクションを前処理することによって始まる。
【0173】
次に、前処理済みの各セクションは、平均0及び標準偏差1に対して正規化され、包絡
線が、包絡線発生モジュールにおいて上述した方法の任意の方法を使用して正規化済みの
各セクションについて生成することができる。
【0174】
選択済みの各セクションについて、オーバラップするマクロエポックが生成することが
できる。マクロエポックの継続時間の選択は、変調型呼吸サイクルが、それぞれ一部の患
者について2分まで続く場合があること、及び、変調サイクル長を推定するために3つの
波長が望ましいことによって影響を受ける。一実施態様では、マクロエポックは、4分の
オーバラップを有する6分の継続時間を有する。
【0175】
各マクロエポックは、以下のステップの任意のステップによって処理することができる

・包絡線は平均除去することができる。
・包絡線は、チェビシェフウィンドウによって乗ぜられて、スペクトルのVLFセクシ
ョンに関するエッジ効果を回避することができる。
・包絡線について、高速フーリエ変換(FFT)が計算され、FFTから、パワースペ
クトル密度(PSD:power spectral density)が計算することができる。
・PSDが補間されて、その解像度を増加することができる。
・PSDのピークを突き止めることができる。各ピークは、考えられる変調型呼吸サイ
クルに対応する。ピーク高さは変調パワーを示し、ピーク周波数は変調サイクル長の逆数
である。
・無効なピークが廃棄することができる。有効な変調型呼吸サイクルは、以下の3つを
有するものとして規定することができる。
○生理的範囲(30秒と100秒との間、すなわち、0.01Hzと0.033Hz
との間)に適合するサイクル長。
○一実施態様では10に設定される最小パワーより大きいピークパワー。
○0.01Hz未満の最大高さの50%における占有帯域(OBW:occupied bandw
idth)及び隣接する極小値の200%より大きい高さを有するピークとして規定される明
瞭なピーク。
・PSDのDCパワーに関して、特別な条件、すなわち、DC関連作用が呼吸変調のせ
いであるとしてマーク付けされることを回避するため、DCパワーが最大ピーク高さの値
の150%を超えないことが課することができる。
【0176】
最後の時点で詳述した条件に基づいて、各マクロエポックについて、有効なピークが全
く残らない、1つ残る、又は2つ以上残る場合がある。
【0177】
モニタリングセッションについての全てのマクロエポックは、その後、以下のものの任
意のものによって処理することができる。
・有効ピークが全く無いマクロエポックは廃棄される。
・有効ピークが1つだけ残っているマクロエポックは最初に処理される(それらの推定
値がより正確であるはずであるため-すなわち、高調波成分の誤検出によって影響を受け
ないため)。変調パワー(ピーク高さ)の対数によって重み付けられた変調サイクル長(
ピーク周波数の逆数)の平均は、こうした全てのマクロエポックにわたって計算される。
・2つ以上の有効ピークを含む他の全てのマクロエポックについて、単一ピークを有す
る全てのマクロエポックについて計算される平均変調サイクル長に対して最も近いピーク
が選択される。
・総合変調サイクル長の分布の5及び95パーセンタイルから外れる変調サイクル長を
有する任意の有効ピークは廃棄される。
【0178】
モニタリングセッションにわたる残りの全ての(それらの変調パワーによって重み付け
られた)変調サイクル長の平均は、その後、その標準偏差、並びに、5、25、50、7
5、及び95パーセンタイルとともに計算することができる。
【0179】
うっ血性心不全とCSRとを結び付ける1つのメカニズムは、身体の呼吸制御システム
の「ループ利得(loop gain)」に影響を及ぼす肺の空洞内での流体の蓄積である。CS
Rの程度は、肺の空洞内の流体の未処理量だけでなく、その分布にも依存する。この分布
は、人の身体位置が、セッションの開始時に全体的に垂直から全体的に水平に変化してい
るため、モニタリングセッションにわたって変化する。したがって、抽出される特徴の値
は、モニタリングセッションにわたって変動することを予想することができる。モニタリ
ングセッション中の、より後期の値は、より早期の値に比べて、うっ血性心不全の重篤度
、したがって、ADHF事象の尤度についてのより真の指示を提供することができる。そ
の理由は、その後期までに、流体が新しい平衡分布をとっているはずだからである。
【0180】
したがって、残りの全ての(それらの変調パワーによって重み付けられた)変調サイク
ル長の平均は、その標準偏差、並びに、5、25、50、75、及び95パーセンタイル
とともに、睡眠/覚醒分析モジュールによって主睡眠期間の第1及び第2の半分としてマ
ーク付けされる期間について、同様に計算することができる。
【0181】
同様な方式で、少なくとも1つの有効ピークを有する各マクロエポックについて変調パ
ワー及びOBWの値が、それらの平均、標準偏差、並びに5、25、50、75、及び9
5パーセンタイルとともに、全モニタリングセッション及び主睡眠期間のそれぞれの半分
について計算するとともに記憶することができる。
【0182】
ハイブリッドアプローチの下で、両方のチャネルからの統計量は、各チャネルについて
有効マイロエポックの数で乗ぜられた両方のチャネルからの統計量を平均することによっ
て組合せることができる。他のアプローチの下で、こうした組合せは必要とされない。
【0183】
5.2.4.2.8 SDB事象検出7465
SDB事象検出モジュールは、OSAとCSRの両方のエピソードを含むSDB事象が
起こっている可能性がある運動信号の部分を検出することを目指している。こうした部分
は、候補SDB事象と呼ばれる。
【0184】
一実施態様では、SDB事象検出モジュールは、変調サイクル長推定モジュールによっ
て推定される変調サイクル長を使用して、患者1000に固有の1つ以上の汎用SDB呼
吸努力テンプレートのセットを作る。汎用テンプレートは、SDB事象に関連する呼吸努
力の減少を検出するように設計することができる。患者固有のテンプレートを、包絡線発
生モジュールによって生成される包絡線(呼吸努力の尺度)に対して相互相関させ、閾値
と比較することによって、候補SDB事象を検出することができる。
【0185】
この実施態様の1つのバージョンでは、3つの汎用SDB呼吸努力減少テンプレートは
、正弦関数と余弦関数とガウス分布とを使用して規定される。図7iは、この実施態様の
1つのバージョンにおける3つの例示的な汎用SDB呼吸努力減少テンプレートの図を含
む。付録Aは、変調サイクル長CLによってパラメータ化された3つの汎用テンプレート
のそれぞれについての仕様を含む。
【0186】
汎用テンプレートは、パラメータCLとして変調サイクル長推定モジュールによって推
定される変調サイクル長の値を書入れることによってインスタンス化される。
【0187】
相関特徴は、各サンプルについて包絡線を患者固有のテンプレートのそれぞれに相互相
関させ、相関値の最大値を受付けることによって生成される。一実施態様では、この操作
は、運動信号のサンプリングレートのごくわずか、例えば1/10で実施されて計算負荷
を低減する。(一実施態様では、変調サイクル長の1/6又は10秒のうちの値の小さい
方に設定される)別の閾値より長い時間の間、相関特徴が、一実施態様では0.5に設定
される閾値を超えるときはいつでも、候補SDB事象が検出される。互いに近過ぎる候補
SDB事象、すなわち、それらの中点が、平均変調サイクル長の半分以内にあるような候
補SDB事象は廃棄される。結果として得られるものは、モニタリングセッション内の候
補SDB事象の場所のベクトルである。
【0188】
SDB事象検出モジュールの代替の実施態様は、組合せ型又は単一チャネルアプローチ
に適する。代替の実施態様は、AASMスコアリングルールに従って呼吸努力包絡線内の
降下をベースラインと比較することによって候補SDB事象を検出する。AASMスコア
リングルールとは、
・低呼吸:3%脱飽和を有するベースラインの≧50%の空気流の減少、又は4%脱飽
和し、少なくとも10秒間持続する≧30%の空気流の減少
・無呼吸:少なくとも10秒間持続するベースラインの≧90%の空気流の減少
である。
【0189】
装置7000の幾つかのバージョンでは、酸素脱飽和レベルに対するアクセスが全く存
在しない場合がある。代わりに、3つのスライディングウィンドウが利用することができ
る。主ウィンドウは、平均包絡線値が空気流用のプロキシとして計算されるウィンドウで
ある。一例では、主ウィンドウは、75%オーバラップを有する10秒のスライディング
ウィンドウである。主ウィンドウがスライドするときに主ウィンドウを囲む他の2つのウ
ィンドウは、ベースラインを確定するために利用される。一例では、これらの2つのベー
スラインウィンドウは、主ウィンドウの前と後で、直前の35秒及び次の35秒を含む。
主ウィンドウ内の平均包絡線値が、2つのベースラインウィンドウ内の平均包絡線値によ
って規定されるベースラインに関して(酸素脱飽和無しで)上記基準のいずれかを満たす
場合、候補SDB事象を検出する。
【0190】
そして、SDB事象検出モジュールの代替の実施態様は、上述したAASMスコアリン
グルールに従って10秒より短い継続時間の候補SDB事象を廃棄する。
【0191】
SDB事象検出モジュールの更なる代替の実施態様は、組合せ型又は単一チャネルアプ
ローチにも適する。
【0192】
更なる代替の実施態様の1つのバージョンは、前処理済みでない及び前処理済みの運動
信号c及びc並びに包絡線Ecに関して働き、したがって、モジュール7410~モ
ジュール7450を使用しない。
【0193】
(前処理済みでない)運動信号cの瞬時パワーは、長さNのサンプルのスライディング
ウィンドウにわたってcの偏差Varとして最初に計算される。
【数15】
【0194】
更なる代替の実施態様の1つのバージョンでは、Varは、75%オーバラップを有す
る30秒のスライディングウィンドウに関して計算される。
【0195】
次に、(前処理済みの)運動信号cの変調深さMDが推定することができる。ノイズ
無しの規則的に振幅変調される信号は、以下の形態を有する。
【数16】
・ここで、MDは、0と1との間で変動する変調深さである。呼吸運動信号の変調深さ
は、CSRの重篤度の指示である。変調深さMDは、次の通りに推定することができる。
【数17】
【0196】
ここで、σc3及びσEc3は、信号及びその包絡線の標準偏差であり、SatLin
は、
【数18】
によって与えられる、範囲[0,1]にMDを制限する飽和マッピングである。
【0197】
ここで、aは1に設定され、Θ()はヘビサイド(Heaviside)ステップ関数である。
【0198】
スペクトル分析は、こうした運動が存在するときに呼吸運動である信号cの主要な高
調波を抽出する簡単でかつ頑健な方法を提供する。更なる代替の実施態様の1つのバージ
ョンでは、(9次の)自己回帰ユールウォーカ法(Yule Walker method)が使用されて、
のパワースペクトル密度(PSD)及びその包絡線Ecを推定し、したがって、2
つのPSD、すなわち、
【数19】
及び
【数20】
を生成することができる。
【0199】
PSD
【数21】
の大きさの最大ピークの場所は、呼吸数の推定値Freqとして使用される。
【数22】
【0200】
信号の帯域幅は、「不規則性(irregularity)」の尺度とすることができる。信号c
の帯域幅BWは、
【数23】
として計算することができる。
【0201】
ここで、
【数24】
はPSD
【数25】
の大きさの最大ピークの場所であり、Ωは関心の周波数範囲であり、
【数26】
は、
【数27】
として計算されるcの正規化PSDである。
【0202】
スペクトルエントロピーは、前に推定されたPSDを十分に利用する。信号xの正規化
スペクトルエントロピーHは、次の通りにxの正規化PSDから計算される。
【数28】
【0203】
信号cのスペクトルエントロピーHc及び包絡線Ecのスペクトルエントロピー
HEcはともに、(式22)を使用して計算される。
【0204】
呼吸の3つのカテゴリを特定することができる。
・呼吸周波数帯域内のほぼ一定の振幅の信号を特徴とする規則的呼吸(RB:Regular
breathing)。周波数は時間変化する可能性がある。
・呼吸周波数帯域内の不規則な振幅の信号を特徴とする不規則的呼吸(IB:Irregula
r breathing)。この不規則性は、胸部又は腹部の運動の不規則性、気道閉鎖、嚥下/咳
き込み、及び同様な挙動による可能性がある。
・呼吸周波数帯域内の規則的に振幅変調される信号を特徴とするチェーンストークス呼
吸(CSR)。
【0205】
エントロピーHc及びHEcは、呼吸カテゴリに応じて特徴的な挙動を有する。更
なる代替の実施態様の1つのバージョンでは、ガウス混合モデル(Gaussian Mixture Mod
el)に基づくクラスタリングアルゴリズムが、エントロピーHc及びHEcに適用さ
れて、3つのカテゴリに最もよく対応する3つの確率密度(probability density)のセ
ットの近似を見出す。更なる代替の実施態様の別のバージョンでは、ランドマークベース
スペクトルクラスタリングが最初に適用され、それに続いて、クラスタの確率密度のガウ
スフィットが適用される。
【0206】
それぞれのバージョンによって、クラスタリングによって特定される3つのガウシアン
の中心(平均)は、3ベクトルGc3及びGEc3として表現される。
【0207】
c3の中央値Hhcは、次の通りに見出され、上側をクリップされる。
【数29】
【0208】
この中央値Hhcを参照するエントロピーHcは、その後、反転され飽和させられ
、それにより、「反転エントロピー(inverted entropy)」Hの高い値が、より規則的
な信号に対応する。
【数30】
【0209】
ここで、S状飽和関数SatNLが、
【数31】
として規定される。
【0210】
また、λ、Tc3、及びSc3はパラメータである。更なる代替の実施態様の1つのバ
ージョンでは、λ=5、Tc3=1、及びSc3=20である。
【0211】
運動信号のチェーンストークス指数CSは、その後、次の通りに計算される。
【数32】
【0212】
ここで、
【数33】
である。
【0213】
また、TCS、CSCS、及びSCSはパラメータである。更なる代替の実施態様の1
つのバージョンでは、TCS=1、CSCS=0.3、及びSCS=20である。
【0214】
運動信号の以下の4つのクラスが規定される。
1.チェーンストークス呼吸(CSR)(クラスCS)
2.CSRでない運動(クラスM)
3.運動無し(クラスNM)
4.無呼吸及び低呼吸(クラスAH)
【0215】
4つのブール値指標又は「真(truth)」変数CS、M、NM、及びAHは、
運動信号が、所与の瞬間においてそれぞれのクラスに属する(真)か又は属さない(偽)
ことを示す、時系列として計算することができる。3つのうちの1つだけがいつでも真で
ある可能性があるという意味で互いに排他的である、第1の3つの真変数CS、M
NMは、論理ルールのセットを適用することによって計算される。更なる代替の実施態
様の1つのバージョンでは、論理ルールは、
・信号は、瞬時パワーが運動閾値より大きく、エントロピーがエントロピー閾値より小
さく、チェーンストークス指数がチェーンストークス閾値未満である場合、運動クラスに
属する:
【数34】
・信号は、瞬時パワーが非運動閾値より小さく、信号が運動クラスに属さない場合、非
運動クラスに属する:
【数35】
・信号は、チェーンストークス指数がチェーンストークス閾値より大きく、信号が運動
クラス又は非運動クラスに属さない場合、CSクラスに属する。
【数36】
【0216】
運動閾値、エントロピー閾値、チェーンストークス閾値、及び非運動閾値T、THi
、TCS、及びTNMは、更なる代替の実施態様の1つのバージョンでは、T=2、T
Hi=0.95、TCS=0.1、及びTNM=0.0001Tであるように設定され
る。
【0217】
第4の真変数AHは、長さWAHのスライディングウィンドウ上で適応的閾値法を使用
して計算される。更なる代替の実施態様の1つのバージョンでは、WAHは30秒に設定
される。WAHの値は、より長い継続時間の無呼吸又は低呼吸に対処するために増加する
ことができる。
【0218】
適応的閾値TAHIはウィンドウにわたる瞬時パワーVarの平均の半分として計算さ
れ、真変数AHは、瞬時パワーが適応的閾値TAHIより小さく、チェーンストークス
指数が無呼吸/低呼吸チェーンストークス閾値より小さいか又はエントロピーが無呼吸/
低呼吸エントロピー閾値より大きい場合、真である。
【数37】
【0219】
無呼吸/低呼吸チェーンストークス閾値及び無呼吸/低呼吸エントロピー閾値TCSA
及びTHiAHは、更なる代替の実施態様の1つのバージョンでは、以下の値をとる。
すなわち、TCSAH=0.1TCS及びTHiAH=0.095である。
【0220】
候補SDB事象は、AH又はCSが真である間隔である。
【0221】
5.2.4.2.9 SDB事象確認7470
事象確認モジュールは、候補CSR事象に対応する(前処理済みの)運動信号c又は
呼吸努力を示すその包絡線の分析に基づいて各候補SDB事象を確認又は廃棄する。
【0222】
事象確認モジュールの一実施態様は、各候補SDB事象に関連する呼吸努力の減少の継
続時間及び量を、SDB事象を規定する患者固有の閾値の時間ドメイン及び振幅ドメイン
の基準と比較する。また、事象確認モジュールのこの実施態様は、候補SDB事象に隣接
する過呼吸セクションの特徴を抽出して、「攣縮(twitch)」又は他の非SDB生理的事
象による誤検出を排除する。
【0223】
この実施態様では、事象確認モジュールは、2つの主要な段階を含む。第1に、各候補
SDB事象の極端な点は、
・候補SDB事象中の最小呼吸努力を突止め、
・変調サイクル長の85%(平均変調サイクル長値にわたる約70%の余裕)以内で最
小努力の場所を囲む全ての局所ピークを特定し、
・最小呼吸努力の場所と、最小呼吸努力の場所の両側の最大呼吸努力のそれぞれの場所
との間の距離kの予め規定された関数として確率pを計算し、一実施態様では、関数p[
k]は、
【数38】
として規定され、
・ここで、CLは推定される変調サイクル長であり、
・呼吸努力の差を確率pで乗じた値に基づいて最もありそうな最大値を選択し、
・極大値間の最小距離が、一実施態様では10秒に設定される最小継続時間より大きい
ことを検証する
ことによって突止められる。
【0224】
各候補SDB事象は、その後、
・いずれかの最大呼吸努力と最小呼吸努力との間の最小比を計算し、
・この比に従って候補SDB事象についての包絡線を正規化し、
・呼吸努力包絡線が最小値の大きさの2倍より大きい大きさを有する、隣接する過呼吸
セクションが(この実施態様の1つのバージョンでは9秒に設定される)最小値より大き
い継続時間を有することを検証し、
・変調サイクル長の1/5より長い時間の間、呼吸努力包絡線が低呼吸閾値(元々の呼
吸努力の60%として規定される)より沈下することを検証する
ことによって確認することができる。包絡線を検出するために適用されるマックス及びホ
ールドフィルタリングが2秒より長い継続時間を有するため、検出されるSDB事象は1
0秒より短い可能性がある。
【0225】
SDB事象確認モジュールの代替の実施態様は、各候補SDB事象に対応する(前処理
済みの)運動信号c又はその包絡線から或る特定の特徴を計算し、計算される特徴にル
ールベース推論エンジンを適用して、各候補SDB事象を確認又は廃棄するかどうかを判
定する。各候補SDB事象に対応する(前処理済みの)運動信号cは、2つの期間、す
なわち、無呼吸/低呼吸期間及び換気又は過呼吸期間に最初に分割される。
【0226】
計算される特徴は、以下の一部又は全てとすることができる。
・運動信号cの自己相関R(i)の尖度K。尖度は、確率分布の「ピーク性(peakin
ess)」の尺度である。より高い尖度は、候補SDB事象が真のSDB事象である可能性
が小さいことを示し、その自己相関は、そのピークから徐々に離れて減衰する傾向がある
。尖度Kは、
【数39】
として計算される。ここで、Pは自己相関のサンプルの数であり、
【数40】
は、その平均値であり、σはその標準偏差である。
・(式10)に関して上述したように、過呼吸セクションの振幅、周波数、及び継続時
間をカプセル化する特徴である候補SDB事象の低呼吸期間の波形の長さHwlより大き
い波形の長さは、候補SDB事象が真のSDB事象である可能性が小さいことを示す。波
形の長さは、(式10)の場合と同様に計算される。
・自由度(DOF:Degree of Freedom):cによって示される呼吸パターンの複雑
さの指示。DOF値は、cから、
【数41】
として計算される。1つだけの急峻なピークを有する運動信号はほぼ1のDOF値を有す
ることになり、一方、正弦波信号は、0自由度を有することになる。候補SDB事象の一
部は、実際には、運動信号のノイズ様部分に関連する場合がある。しかし、こうしたノイ
ズ様部分は、正常呼吸パターンに関連せず、また、本物のSDB事象がDOFのより低い
値を示す傾向があるため、DOF特徴値によって判別することができる。
・候補SDB事象中に呼吸努力を示す特徴である平均包絡線(ME:Mean Envelope)
。患者が正常に呼吸している場合、突然の運動又は一過性の覚醒は、偽陽性SDB事象検
出をトリガする可能性がある。こうした場合に対処するため、数人の患者について候補S
DB事象の平均包絡線値の50、75、及び95パーセンタイルの値が計算されて、正常
値が平均してどんな値になるべきかを推論し、極端な値を特定する。モニタリングセッシ
ョン中の全ての候補SDB事象の平均包絡線値の95パーセンタイルより高い平均包絡線
値を有する候補SDB事象は、真のSDB事象である可能性が小さい。平均包絡線値の9
5パーセンタイルが、波形の長さ特徴の95パーセンタイルについて大きな値を有する他
の患者の平均包絡線値と比較して、大き過ぎる場合、候補SDB事象は、真のSDB事象
である可能性が小さい。
・低い計算資源を必要とする、候補SDB事象の過呼吸セクションにおける呼吸間変動
を定量化する特徴である不規則性因子IR。不規則性因子は、基礎にあるプロセスの性質
、すなわち、狭帯域か又は広帯域かを示す。狭帯域プロセスは、定常ランダムプロセス(
stationary random process)であり、そのスペクトル密度は、その幅がその帯域の中心
周波数の大きさと比較して小さい周波数帯域においてだけ有効値を有する。広帯域プロセ
スは、広い範囲の周波数にわたって有効なパワー項を有する。SDB事象は、低い不規則
性因子を有する狭帯域プロセスであることが予想される。代替の実施態様の1つのバージ
ョンでは、不規則性因子IRは、以下で述べるように計算される上方ゼロ交差の数ZCと
ピークの数NPの比として過呼吸セクションについて計算される。
【数42】
ここで、NPは、過呼吸セクションの第4のモーメントと第2のモーメントの比の平方根
として計算される。モーメントは、周波数ドメイン又は時間ドメインで計算することがで
きる。
【0227】
ルールベース推論エンジンは、計算される特徴値にルールのセットを適用して、各候補
SDB事象を確認する。候補SDB事象は、特徴値が、指定されたルールを満たすかどう
かに応じて確認又は廃棄される。代替の実施態様の1つのバージョンでは、推論エンジン
は、付録Bに述べるルールを適用する。SDB事象確認モジュールの代替の実施態様は、
候補SDB事象も分析して、候補SDB事象がCSR事象に対応するか否かを調べる。代
替の実施態様の下でのSDB事象確認の場合と同様に、或る特定の特徴は、各候補SDB
事象に対応する(前処理済みの)運動信号cから計算され、ルールベース推論エンジン
が、計算される特徴に適用されて、各候補SDB事象をCSR事象としてマーク付けする
か否かを判定する。
【0228】
計算される特徴は次の通りである。
・SDB事象の無呼吸/低呼吸期間の開始から、後続の過呼吸期間、すなわち、無呼吸
/低呼吸期間長に換気期間長(VentlLength)を足した期間の終了までの時間
として規定される変調サイクル長(CL:cycle length)。CSR事象におけるCLにつ
いての典型的な範囲は、30秒~90秒である。CWLとして表記される各変調サイクル
の波形の長さは、変調サイクルにわたって(式10)を使用して同様に計算される。
・ゼロ交差の数(ZC):この特徴は、運動信号cがx軸を交差する回数を示す。こ
れは、運動信号cが変調サイクル内でどれほど速く振動するかについての指標であり、
それは、次に、SDB事象中の呼吸数の指標である。生理的呼吸範囲外の呼吸数を示すZ
C値を有するSDB事象は、CSR事象である可能性が小さい。Nサンプルを有する運動
信号セクションの場合、ゼロ交差特徴値の数ZCは、
【数43】
として計算される。ここで、sgn()はシグナム関数(signum function)であり、t
は、1つのバージョンでは0に設定される所定の閾値である。
・位相ロック値(PLV:Phase locking value):運動信号cの2つの半分の間の
瞬時位相差を見て、2つの半分が互いにどれだけ似ているかを示す統計的記述子。典型的
なCSR事象は、漸増及び漸減(waxing and waning)効果によって2つの半分の間に高
い位相類似性を、したがってPLVの高い値を示し、一方、損なわれているCSR事象は
低い類似性を示す。PLV特徴値は次の通りに計算することができる。
○cの絶対値のヒルベルト変換の角度を採用する。
○結果として得られる位相波形を2つの半分に分割し、第2の半分を時間反転させて
、Φ及びΦを取得する。
○以下の式を適用する:
【数44】
ここで、Nは、それぞれの半分内のサンプルの数である。
・信号アーチファクトネス(SA:Signal Artefactness):CSRの漸増及び漸減形
状に似ていない非常に急峻な突然のピーク等の、運動信号c内のアーチファクトの存在
の2値指標。SA値は、cから次の通りに計算される。
【数45】
ここで、z(k)はcの絶対値のk番目のサンプルであり、σはz(k)の標準偏差
である。SAは、w(k)がkの任意の値について非ゼロである場合、1の値を割当てら
れ、そうでない場合、0を割当てられる。
・変調深さ(MD:Modulation depth):この特徴は、2つの量の比として計算するこ
とができる。第1の量(サイクルパーセンテージCP)は、SDB事象のデューティ比、
すなわち、SDB事象の換気期間の継続時間と無呼吸/低呼吸期間の継続時間の比である
。第2の量(振幅変動AV)は、無呼吸/低呼吸期間の振幅に対する、換気期間の振幅の
パーセンテージ変化であり、
【数46】
として計算される。ここで、tは換気期間と無呼吸/低呼吸期間との間の遷移の場所であ
る。換気期間の継続時間が無呼吸/低呼吸期間の継続時間より大きい(又は、小さい)場
合、CPは1より大きい(又は、小さい)ことになる。同じ挙動は、AVにおいて観測さ
れることになる。すなわち、AVは、換気振幅の積分が、対応する無呼吸/低呼吸振幅よ
り大きい場合、1より大きく、そうでない場合、1より小さい。MDは、SDB事象が、
大きな振幅変動及び小さなサイクルパーセンテージを有し、大きな変調を示す場合、1よ
り大きく、SDB事象が低い振幅変動及び大きなサイクルパーセンテージを有するとき、
1より小さい。MDの高い値は、SDB事象がCSR事象である尤度が高いことを示す。
・立上り時間(RT:Rise Time):立上り時間は、運動信号振幅包絡線が、過呼吸継
続時間のパーセンテージとして表現されるその最終値のx%~y%まで立上るのに必要と
される時間として計算することができる。ここで、x及びyは、1つのバージョンでは0
及び95に設定される。最大振幅への突然のジャンプは、SDB事象が、CSR事象の漸
増及び漸減効果を欠くことを示すため、立上り時間のより小さな値は、SDB事象がCS
R事象である可能性が小さいことを示す。
・パワースペクトル自己相関の標準偏差(STDPSD:Standard Deviation of Powe
r Spectrum AutoCorrelation):各候補SDB事象は、高速フーリエ変換(FFT)によ
って分析されて、その対応するパワースペクトルを取得する。そして、パワースペクトル
の自己相関の標準偏差は、別の特徴として計算されて、CSR事象を他のSDB事象から
区別する。
・最大パワー周波数(Fmax):CSR事象が0.15より大きいFmax値を有す
る傾向があるため、各候補SDB事象のパワースペクトルの最大パワー値を有する周波数
もまた計算される。
【0229】
ルールベース推論エンジンは、計算される特徴値にルールのセットを適用して、各候補
SDB事象を、CSR事象又はCSR事象でないとしてマーク付けする。代替の実施態様
の1つのバージョンでは、推論エンジンは、付録Cに述べるルールを適用する。
【0230】
そして、SDB事象確認モジュールの代替の実施態様は、(前処理済みの)運動信号を
、代替の実施態様の1つのバージョンでは長さが10分に設定される連続的な非オーバラ
ップセグメントに分割する。SDB事象確認モジュールの代替の実施態様は、その後、セ
グメントのそれぞれにおいてどれだけの数のCSR事象が起こるかを計算する。各セグメ
ントは、少なくとも3つの連続的なCSR事象を含む場合、CSR事象としてマーク付け
される。
【0231】
最後に、SDB事象確認モジュールの代替の実施態様は、CSRセグメントの総継続時
間と総睡眠時間(TST)の比、及び、CSRセグメントの総継続時間とモニタリングセ
ッションの長さ(総記録時間又はTRT)の比を計算する。
【0232】
SDB事象確認モジュールの全ての実施態様は、確認済みの各SDB事象について事象
継続時間及び最小(残留)呼吸努力を記憶することによって終了する。
【0233】
5.2.4.2.10 特徴計算7480
並列又はハイブリッドアプローチの下で、特徴計算モジュールは、論理OR演算によっ
て各チャネル内で確認済みのSDB事象を最初に組合せる。組合せ型又は単一チャネルア
プローチの下で、組合せは全く必要とされない。
【0234】
一実施態様では、特徴計算モジュールは、確認済みのSDB事象の総数を、信号選択モ
ジュールによって計算される総分析時間(TAT:total analysis time)(時間単位)
で除した値として、無呼吸/低呼吸指数(AHI)を計算する。
【0235】
確認済みのSDB事象のセットから、特徴計算モジュールはまた、全モニタリングセッ
ションと、主睡眠期間の第1及び第2の半分、の両方の期間の間、確認済みのSDB事象
の継続時間及び残留努力について平均及び標準偏差を計算し記憶する。
【0236】
計算される基本的な特徴セットは、表1に要約される特徴の一部又は全てを含むことが
できる。
【表1】
【0237】
特徴計算モジュールは、任意選択的に、単一モニタリングセッションにわたって、或る
特定の方法で基本的特徴を組合せ、基本的特徴から新しい特徴を導出することによって基
本的特徴セットを拡張する。表2は、特徴計算モジュールの一実施態様における単一セッ
ションの組合せ型及び導出型特徴を要約する。
【表2】
【0238】
特徴計算モジュールは、任意選択的に、複数のモニタリングセッションにわたって基本
的特徴セットから特徴を更に導出する。表3は、特徴計算モジュールの一実施態様におけ
るマルチセッションの導出型特徴を要約する。(現在のモニタリングセッションはiと番
号付けされる)
【表3】
【0239】
マルチセッションにわたる特徴導出の代替の実施態様では、差分フィルタリングが基本
的特徴セットに適用される。一実施態様では、差分フィルタリングは、モニタリングセッ
ションi-Nにおける各基本的特徴値を、現在のモニタリングセッションiにおけるその
値から減算することを含む。
【0240】
計算された特徴は、予測ステップ7330に渡される前に正規化することができる。正
規化は、大きな絶対値を有するだけによって特徴が予測を支配することを防止する。従来
の正規化は、各特徴値とその平均値との差を、その特徴値の標準偏差で割ることを含み、
ゼロ平均及び1の標準偏差を有する正規化特徴をもたらす。
【0241】
しかし、特徴値の平均及び標準偏差の計算は、前もって利用可能であることを全データ
セットに要求し、そのことは、センサデータが各セッション後に記録され処理される本技
術のアプリケーション等のリアルタイムアプリケーションにとって非現実的である。
【0242】
本技術の一形態では、正規化は、n個の最も最近の特徴値を含むスライディングウィン
ドウにわたって各特徴の平均及び標準偏差を計算する。利用可能なデータが、nより小さ
い数のモニタリングセッションを含むとき、平均及び標準偏差は、全ての利用可能なデー
タに対して計算される。各特徴値xについて、正規化は、
【数47】
を計算する。
【0243】
一実施態様では、nは35に設定される。
【0244】
一実施態様では、特徴計算モジュールによって計算される、基本的特徴、組合せ型特徴
、単一セッションの導出型特徴、及びマルチセッションの導出型特徴の完全なセットが予
測ステップ7330に渡される。
【0245】
代替の実施態様では、完全なセットのサブセットだけが予測ステップ7330に渡され
る。こうした実施態様は、事象予測の精度が低くなるという潜在的な犠牲を払って、予測
ステップ7330によって要求される計算量を低減する。
【0246】
一実施態様では、予測ステップ7330に渡される特徴の一部又は全てのリストは表4
に与えられ、表4は、各特徴が正規化されているか、正規化されていないかも示す。
【表4】
【0247】
別の実施態様では、特徴計算モジュールは、SDB事象検出モジュールの代替の実施態
様によって計算される4つの真の変数CS、M、NM、及びAHから8つの統計
量を導出する。
・CSCum及びCSTot%は、モニタリングセッション中に信号がチェーンストー
クスクラスに属した総時間及び時間のパーセンテージである。
・MCum及びMTot%は、モニタリングセッション中に信号が運動クラスに属した
総時間及び時間のパーセンテージである。
・NMCum及びNMTot%は、モニタリングセッション中に信号が非運動クラスに
属した総時間及び時間のパーセンテージである。
・AHCum及びAHTot%は、モニタリングセッション中に信号が無呼吸/低呼吸
クラスに属した総時間及び時間のパーセンテージである。
【0248】
パーセンテージ値は、モニタリングセッションの継続時間Dによって正規化される総時
間値である。
【0249】
特徴計算モジュールは、モニタリングセッションを、同じ長さのN個のサブセッション
Q(n)に分割する。SDB事象検出モジュールの代替の実施態様によって計算される、
帯域幅、変調深さ、及びチェーンストークス指数の値BW、MD、及びCSは、各サブセ
ッション内でCSクラス期間にわたって総和をとられ、Dによって正規化される。
【数48】
【数49】
【数50】
【0250】
SDB事象検出モジュールの代替の実施態様によって計算される反転エントロピー値H
は、各サブセッションにわたって総和をとられ、Dによって正規化される。
【数51】
【0251】
一実施態様では、N=4であるため、サブセッションは四分位である。
【0252】
一実施態様では、特徴計算モジュールの代替の実施態様によって計算される特徴のサブ
セットは、予測ステップ7330に渡される。1つのこうしたサブセットは、表5に上げ
る6つの特徴の一部又は全てを含む。
【表5】
【0253】
更に別の実施態様では、N=4のサブセッションを有する特徴計算モジュールの両方の
実施態様によって計算される特徴のサブセットは、正規化され、予測ステップ7330に
渡される。1つのこうしたサブセットは、表6に挙げる特徴の一部又は全てを含むことが
できる。
【表6】
【0254】
予測ステップ7330が省略される本技術の或る特定の形態の一実施態様では、特徴抽
出ステップ7320によって返されるSDB特徴は、AHI、総睡眠時間(TST)、C
SR事象の総継続時間と総睡眠時間(TST)の比、及び、CSR事象の総継続時間とモ
ニタリングセッションの長さ(総記録時間又はTRT)の比である。
【0255】
5.2.4.2.11 特徴選択
表4、表5、及び表6において上記で挙げた特徴等の特徴のサブセットは、特徴選択に
よって取得することができる。特徴選択は、予測ステップ7330が、妥当な精度で、見
えないデータから臨床事象を効率的に予測することを可能にする完全特徴セットのサブセ
ットを特定することを目指す。
【0256】
特徴選択のための1つのスキームは、差分評価特徴選択(DEFS:differential eva
luation feature selection)と呼ばれる。DEFSは、選択される予め指定された数の
特徴、母集団サイズ、及び反復回数を使用する。DEFSは、完全特徴セットから、予め
指定された母集団サイズに等しいサブセットの母集団を最初に生成する。各サブセットは
、予め指定された数の特徴に等しい幾つかのランダムに選択される特徴を含む。DEFS
は、次に、生成されるサブセットのそれぞれに擾乱を適用し、擾乱を受けた各サブセット
が、その母集団内で、対応する生成されたサブセットに置換されるべきかどうかを判定す
る。擾乱及び置換ステップは、予め指定された反復回数について繰返される。全ての反復
について、擾乱を受けたサブセットが、その相手方に比べて良好な良度指数をもたらすか
どうかを判定することによって、置換の判定が、所定の良度指数を使用して行われる。全
ての反復が終了した後、最良の良度指数を有する母集団内のサブセットが、選択されたサ
ブセットとして返される。
【0257】
所定の良度指数は、訓練用データに関する予測ステップ7330の性能に基づく。訓練
用データセットは、複数の患者から取得されるデータの複数回のモニタリングセッション
を含む。訓練用データセット内のセッションの少なくとも一部は、関連するセッションの
直後の期間内で、対応する患者において臨床専門家によって特定された臨床事象に関連す
る。特徴は、モニタリング装置7000が本当に予測的であることを保証するため、1モ
ニタリングセッションだけシフトされる(すなわち、セッションnの特徴は、セッション
nの臨床事象を予測するために使用することができない)。
【0258】
所与のサブセットについて良度指数を計算するため、訓練用セット内の各患者について
、予測ステップ7330は、(訓練が必要とされる場合)その患者以外の全ての患者から
のセッションを使用して訓練され、訓練式予測が、その患者からのセッションに関して実
行されて、そのサブセットについての真陽性(TP:true positive)、偽陽性(FP:f
alse positive)、偽陰性(FN:false negative)、真陰性(TN:true negative)の
性能比を取得する。
【0259】
DEFSの一実施態様では、良度指数は、受信者動作曲線(ROC:receiver operati
ng curve)における急峻な立上りを保証する、少なくとも75%の感度を可能にする最大
特異度である。より高い良度指数はよりよい性能を示す。
【0260】
DEFSの代替の実施態様では、良度指数は、偽陽性によって覆われるエリアであり、
かつ特異度に対して逆に関連する偽陽性カバリッジ(FPCカバリッジ)と、感度(TP
/(TP+FN)との比である。FPCカバリッジ及び感度は、40%及び75%の上限
及び下限をそれぞれ有するように設定される。低い良度指数は、よりよい性能を示す。
【0261】
上記DEFS実施態様のオプションの拡張では、選択される特徴の数は、DEFSによ
って選択されるサブセットの全てのサブサブセットを特定し、全サブセットの性能に対し
て各サブサブセットの性能を評価し、その性能が、全サブセットの性能に対して大幅に減
少しない、と良度指数によって判断される、サブサブセットを選択することによって、予
め指定された数から低減される。この拡張は、通常、選択される特徴の数を2だけ低減す
る。
【0262】
別のオプションの拡張は、投票システムであり、DEFSの複数のラウンドが実施され
、それぞれのラウンドが、予め指定された元々の数より多い数の特徴を指定する。特徴の
数は、その後、全ての選択されるサブセットに関して投票スキームを使用して低減され、
それにより、特徴は、選択されるサブセットの少なくとも或る特定のパーセンテージ(例
えば、80%)が特徴を含まなければ廃棄される。
【0263】
5.2.4.3 予測7330
予測ステップ7330は、特徴抽出ステップ7320によって渡されるSDB特徴のベ
クトルxから、臨床事象が、所定の予測ホライズン内に起こる可能性があるかどうかにつ
いてのブール指示を生成する。
【0264】
図7jは、本技術の一形態において予測ステップ7330を実施するために使用するこ
とができる方法7900を示すフローチャートである。方法7900は、ステップ791
0にて始まり、ステップ7910は、状態空間主成分分析(SSPCA:State-Space Pr
incipal Component Analysis)を適用して、特徴ベクトルイxの主成分S、S、..
.を生成する。SSPCAは、特徴空間の次元を低減するために適用される、直交化特性
を有する自己同調型線形フィルタバンクと同等である。
【0265】
ステップ7910の一実施態様では、SSPCAは、履歴行列(trajectory matrix)
Zを生成するため、SDB特徴ベクトルx及び先行するモニタリングセッションからのそ
の先行物を高次元空間に埋め込むことによって始まる。埋め込みは、2つのパラメータ、
すなわち、埋め込み用ラグL及び埋め込み用次元Nを必要とする。
【数52】
【0266】
ここで、x(j)は、jによって索引付けされるモニタリングセッションにおける特
徴ベクトルxのi番目の成分の値である。Zの次元は、M(N+1)行×L列であり、M
は選択される特徴の数である。一実施態様では、L=1であり、N=30である。
【0267】
SSPCAは、その後、履歴行列Zの特異値分解を実施する。
【数53】
【0268】
ここで、Dは、その対角線上に降順でZのL特異値dを有し、その他の所ではゼロで
あり、P及びPは、正方ユニタリ行列であり、その列は、
【数54】
を満たすZの、それぞれ左及び右の特異ベクトルs及びeである。
【0269】
状態空間主成分行列SSPCは、その後、対応するn左特異ベクトルs上に履歴行
列Zを射影することによって最大n特異値dから計算される。
【数55】
【0270】
行列SSPCは、n行及びL列を有する。行列SSPCの行は、特徴ベクトルxのn
個の主成分S、S、...、Sn0である。一実施態様では、nは4に設定され
る。
【0271】
SSPCAのオプションの最終ステップでは、n個の主成分S、S、...、S
n0(行列SSPCの行)はそれぞれ、2次バタワースフィルタを使用して周波数帯域[
0.001Hz,0.05Hz]にバンドパスフィルタリングされる。
【0272】
方法7900に戻ると、オプションのステップ7920(図7jにおいて破線で示す)
は、所定の予測ホライズンにわたって主成分Sについて適応的予測的線形(APL:ad
aptive predictive linear)モデルの係数Hを推定する。一実施態様では、APLモデル
は、12次の外因性入力を有する自己回帰運動平均モデル(ARMAX)モデルであり、
予測ホライズンは7セッションである。最小2乗平均(LMS:least mean square)ア
ルゴリズムを使用して、主成分SについてAPLモデルの係数Hを推定することができ
る。
【0273】
更なるオプションのステップ7930(図7jにおいて同様に破線で示す)は、その後
、ステップ7920によって計算されるAPLモデル係数Hの差分尺度Wを計算する。差
分尺度Wを取得するために差分演算子を使用する理由は、APLモデル係数Hの絶対値で
はなく変化率が、予測のための対象となるからである。一実施態様では、差分尺度Wは、
次の通りに計算される。
【数56】
【0274】
最後に、ステップ7940は、以下でより詳細に述べるように、オプションのステップ
7920及び7930が実施された場合、主成分S、S、...の1つ以上のもの及
び差分尺度Wを採用し、予測ホライズン内で臨床事象が起こる可能性があるかどうかにつ
いてのブール指示を生成する。方法7900は、その後終了する。
【0275】
差分尺度Wを計算するためステップ7920及び7930が使用された場合に適する、
予測ステップ7940の一実施態様では、発見的ルールが使用されて、ブール指示を生成
する。この実施態様では、ブール指示Pは、主成分S、差分尺度W、及び3つの閾値T
、T、及びTの2値(1=真、0=偽)関数である。
【数57】
【0276】
ここで、Θはヘビサイドステップ関数である。閾値T、T、及びTが、S及び
Wの極値に応じて以下の範囲内で選択される。
【数58】
【0277】
ステップ7920及び7930が省略された場合に適する、予測ステップ7940の別
の実施態様では、異なる発見的ルールが適用されて、最初の2つの主成分S及びS
らブール指示Pを生成する。この発見的ルールの下で、Pは、S及びSがともに、所
定の範囲(T1I,T1S)及び(T2I,T2S)内にそれぞれ存在する場合、真であ
る。
【数59】
【0278】
ここで、T1I、T1S、T2I及びT2Sは所定の端点である。一実施態様では、以
下の端点が使用される。すなわち、T1I=T2I=0.35、T1S=T2Sは=20
である。
【0279】
予測ステップ7940の他の実施態様では、分類器が適用されて、c出力クラスのそれ
ぞれに属するその入力ベクトルyの事後確率を推定する。c出力クラスの1つは「事象が
全く起こらない(no-event-occurring)」クラスであり、残りは、所定の予測ホライズン
中に起こる種々のタイプの臨床事象に関連する。推定される各事後確率は、事後確率閾値
と比較される。臨床事象の発生関連する任意のクラスの事後確率が事後確率閾値より大き
い場合、ブール指示は真に設定され、そうでない場合、ブール指示は偽に設定される。
【0280】
予測ステップ7940の幾つかの分類器ベース実施態様では、分類器に対する入力ベク
トルyは、主成分S、S、...、Sn0の1つ以上のもの及び(計算される場合)
差分尺度Wである。
【0281】
予測ステップ7940の1つのこうした実施態様では、分類器は、主成分S及び差分
尺度Wに適用される量子ニューラルネットワーク(QNN:Quantum Neural Network)で
ある。QNNは、それぞれの関連するクラスラベルを有する複数の入力ベクトルを含む訓
練用データに関して最初に訓練される。QNNは、ファジー非線形推論システムとして働
き、非常に少数の隠れニューロンによって複素関数を近似することができる。
【0282】
予測ステップ7940の更なるこうした実施態様では、分類器は、主成分S及び差分
尺度Wに適用される単純ベイズ分類器である。ベイズ分類器は、クラスの独立性を仮定す
る点で、単純である。
【0283】
予測ステップ7940の他のこうした実施態様では、上述したQNN又はベイズ分類器
は、差分尺度Wを省略して、最初のk主成分S、...、Sに適用される。
【0284】
予測ステップ7330の代替の実施態様では、ステップ7910、7920、及び79
30は省略され、ステップ7940にて使用される分類器に対する入力ベクトルyは、単
にSDB特徴ベクトルxである。ステップ7330のこうした「直接的(direct)」実施
態様は、完全な方法7900を使用する実施態様に比べて、計算集約的でない。ただし、
特徴ベクトルxが長過ぎない場合に限る。
【0285】
1つのこうした実施態様では、ステップ7940にて使用される分類器は、線形判別分
析(LDA)分類である。LDA分類器の基本的な考えは、異なるクラスを特徴付けるか
又は分離する特徴の線形組合せを見出すことである。LDAは、パラメータ最適化のため
にデータに対して複数のパスを要求せず、当然、3つ以上のクラスを有する問題を処理す
る。
【0286】
LDA分類器は、
【数60】
として、k=1、...、cによって索引付けられたcクラスのそれぞれに属する所与の
入力ベクトルyの事後確率Pを推定する。
【0287】
ここで、
【数61】
である。
【0288】
これは、cベクトルzへのベクトルyの線形変換である。
【0289】
線形変換のパラメータW(cベクトル)及びW(c×N行列、ここで、Nは入
力ベクトルyの長さ)は、それぞれの関連するクラスラベルを有する複数のベクトルを含
む訓練用データに関してLDA分類器を訓練することによって取得される。各クラスk内
の訓練用ベクトルのクラス平均μ及び共分散Σが最初に取得される。そして、一般的
な共分散Σは、クラス共分散Σの重み付き総和として計算される。全てのクラスの重み
は、1つの実施態様では1/cに設定される。代替の実施態様では、各クラスの重みは、
そのクラスによってラベル付けされる訓練用ベクトルの小部分である。
【0290】
そして、線形変換パラメータW及びWのk番目の行は、
【数62】
【数63】
として、各クラスkについて計算される。
【0291】
ここで、πは、一実施態様では1/kに設定される事前クラス確率である。
【0292】
非接触式動きセンサから取得される運動データについて一般的でないが、入力ベクトル
yが1つ以上の抜けている特徴(すなわち、NaNに設定される成分)を含む場合、(式
55)及び(式56)によって規定される線形変換パラメータは、(式54)の場合のよ
うな、不完全な特徴ベクトルyに適用することができない。こうした不完全な特徴ベクト
ルyの場合、「縮小型(reduced)」クラス平均μ’及び共分散Σ’が、不完全な入
力特徴ベクトルy内の利用可能な特徴だけに基づいて各クラスkについて計算される。そ
して、縮小型の一般的な共分散行列Σ’は、上記の縮小型クラス共分散Σ’の重み付き
総和として計算される。そして、「縮小型」線形変換パラメータW’及びW’は、(
式55)及び(式56)を使用して、縮小型クラス平均及び縮小型の一般的な共分散行列
Σ’から計算される。最後に、「縮小型」線形変換パラメータW’及びW’を使用す
る線形変換(式54)が、不完全な特徴ベクトルyに適用されて、事後確率Pを取得す
る。
【0293】
予測ステップ7940の分類器ベースの実施態様では、クラスの数cは通常2である。
その理由は、訓練用データベクトルが、2つのラベル、すなわち、予測される事象又は予
測されない事象だけを有するからである。しかし、幾つかの実施態様では、事象予測型ク
ラスは、関連するベクトルをサブクラスに最初にクラスタリングすることによって、例え
ば、k平均クラスタリングによって、異なる予測事象に関連するサブクラスに再分するこ
とができる。
【0294】
予測ステップ7940の分類器ベースの実施態様では、事後確率閾値の値が設定される
必要がある。これらの実施態様の幾つかのバージョンでは、訓練用データセットが使用さ
れて、一実施態様では75%に設定される閾値以上の感度値について、ROCにおいて偽
陽性カバリッジを最小にする値に事後確率閾値を設定する。
【0295】
これらの実施態様の他のバージョンでは、事後確率閾値の設定は、事後確率閾値を、範
囲[0,1]内に存在するように制約された、上述したDEFS法によって最適化される特
別なパラメータにすることによって、特徴選択と組合される。
【0296】
セッションnにて予測される臨床事象についてセッションn-7とセッションn-1と
の間で、すなわち、7セッション予測ホライズンの間で警報が提供されるモニタリング装
置7000の1つのアプリケーションに従って、各陽性予測は、7セッションによって将
来に拡張される。この修正は、分類器訓練及び特徴選択において使用される感度及び偽陽
性カバリッジの計算に含まれた。
【0297】
また、訓練のため、この操作の反転が、臨床エキスパート評価に関して実施され、臨床
事象についてのセッションn-7とセッションn-1との間のスミアリング(smearing)
が、セッションnにて起こると思われる。これは、分類器性能を高めるための最も効果的
な範囲であることがわかったため、訓練用データに関して適用されただけであった。
【0298】
6 用語解説
本技術を開示するために、本技術の或る特定の形態では、以下の定義のうちの1つ以上
のものを適用することができる。本技術の他の形態では、代替の定義を適用することがで
きる。
【0299】
6.1 通則
本技術の或る特定の形態では、患者に供給される空気とは、大気の空気とすることがで
き、本技術の他の形態では、大気の空気には、酸素を補うことができる。
【0300】
持続気道陽圧(CPAP)とは、大気に対して連続して陽圧であり、好ましくは患者の
呼吸サイクルを通じてほぼ一定の圧力であり、空気又は呼吸に適したガスの供給を気道の
入口に適用することである。幾つかの形態では、気道の入口における圧力は、単一の呼吸
サイクル内で数水柱センチメートルだけ変動し、例えば、吸息中は高くなり、呼息中は低
くなる。幾つかの形態では、気道の入口における圧力は、呼息中は僅かに高くなり、吸息
中は僅かに低くなる。幾つかの形態では、圧力は、患者の呼吸サイクルごとに変動し、例
えば、部分的上気道閉塞の指標の検出に応答して増加され、部分的上気道閉塞の指標が存
在しない場合には減少される。
【0301】
6.2 PAPデバイスの態様
空気回路とは、PAPデバイスと患者インタフェースとの間の空気又は呼吸に適したガ
スの供給を配送するように使用時に構成及び準備された導管又はチューブである。特に、
空気回路は、空気圧ブロック及び患者インタフェースの放出口と流体接続することができ
る。空気回路は、空気配送チューブと呼ばれる場合がある。幾つかの場合には、吸息用及
び呼息用に回路の別々のリムが存在する場合がある。他の場合には、単一のリムが用いら
れる。
【0302】
ブロワ又はフロージェネレータとは、周囲圧力を超える圧力で空気の流れを配送するデ
バイスである。
【0303】
コントローラとは、入力に基づいて出力を調整するデバイス、又はデバイスの一部分で
ある。例えば、コントローラの1つの形態は、デバイスへの入力を構成する、制御を受け
る変数、すなわち制御変数を有する。デバイスの出力は、制御変数の現在の値とその変数
の設定点との関数である。サーボ人工呼吸器は、入力として換気量を有し、設定点として
目標換気量を有し、出力として圧補助のレベルを有するコントローラを備えることができ
る。入力の他の形態は、酸素飽和度(SaO2)、二酸化炭素の分圧(PCO2)、運動
、光プレチスモグラムからの信号、及びピーク流量のうちの1つ以上のものとすることが
できる。コントローラの設定点は、固定されたもの、可変のもの、又は学習されたものの
うちの1つ以上のものとすることができる。例えば、人工呼吸器における設定点は、患者
の測定された換気量の長期平均とすることができる。別の人工呼吸器は、時間とともに変
化する換気設定点を有することができる。圧力コントローラは、特定の圧力で空気を配送
するようにブロワ又はポンプを制御するように構成することができる。
【0304】
本文脈における療法とは、陽圧療法、酸素療法、二酸化炭素療法、死腔の制御、及び薬
の投与うちの1つ以上のものとすることができる。
【0305】
気道陽圧(PAP)デバイスとは、陽圧の空気の供給を気道に提供するデバイスである
【0306】
トランスデューサとは、エネルギー又は信号の1つの形態を別の形態に変換するデバイ
スである。トランスデューサは、力学的エネルギー(運動等)を電気信号に変換するセン
サ又は検出器とすることができる。トランスデューサの例には、圧力センサ、流量センサ
、二酸化炭素(CO)センサ、酸素(O)センサ、努力センサ、運動センサ、雑音セ
ンサ、プレチスモグラフ、及びカメラを含む。
【0307】
6.3 呼吸サイクルの態様
無呼吸とは、流量が或る継続時間、例えば10秒の間、所定の閾値未満に降下したとき
に発生したと言われる。閉塞性無呼吸は、患者の努力にもかかわらず、気道の或る閉塞に
よって空気が流れることができないときに発生したと言われる。中枢性無呼吸は、呼吸努
力の低下又は呼吸努力の欠如に起因した無呼吸が検出されたときに発生したと言われる。
【0308】
呼吸数とは、患者の自発呼吸数は、通例、呼吸毎分で測定される。
【0309】
デューティサイクルとは、全呼吸時間Ttotに対する吸息時間Tiの比である。
【0310】
努力(呼吸)とは、呼吸を試みる自発呼吸者によってなされる仕事である。
【0311】
呼吸サイクルの呼気部分とは、呼気流の開始から吸気流の開始までの期間である。
【0312】
好ましくは、流量制限とは、患者による努力の増大が流量の対応する増加を引き起こさ
ない患者の呼吸の状態とされる。流量制限が呼吸サイクルの吸気部分の間に生じている場
合、これは、吸気流量制限と呼ぶことができる。流量制限が呼吸サイクルの呼気部分の間
に生じている場合、これは、呼気流量制限と呼ぶことができる。
【0313】
好ましくは、低呼吸とは、流量の停止ではなく、流量の低下とされる。1つの形態では
、低呼吸は、或る継続時間の間、閾値を下回る流量の低下があるときに発生したと言うこ
とができる。成人の1つの形態では、以下のもののいずれかが低呼吸であるとみなすこと
ができる。
(i)少なくとも10秒間の患者呼吸の30%の低下に、関連した4%脱飽和が加わっ
たもの、又は
(ii)少なくとも3%の関連した脱飽和又は覚醒を伴った少なくとも10秒間の患者
呼吸の低下(ただし、50%未満)。
【0314】
過呼吸とは、標準流量よりも高いレベルへの流量の増加である。
【0315】
呼吸サイクルの吸気部分とは、好ましくは、吸気流の開始から呼気流の開始までの期間
が、呼吸サイクルの吸気部分とされる。
【0316】
開存性(気道)とは、気道が開放している度合い、又は気道が開放している程度である
。開存気道は開放している。気道開存性は定量化することができ、例えば、1の値は開存
しており、0の値は閉鎖している。
【0317】
呼吸流量、空気流量、患者空気流量、呼吸気流量(Qr)の同義の用語は、通例はリッ
トル毎分で表される、患者が受けている実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」又は「真
の呼吸気流量」とは対照的に、PAPデバイスの呼吸気流量の推定値を指すものと理解す
ることができる。
【0318】
上気道閉塞(UAO)とは、部分上気道閉塞及び完全上気道閉塞の双方を含む。これは
、上気道にわたる圧力差が増加するにつれて、流量のレベルが僅かにしか増加しないか又
は減少する場合さえある(スターリングレジスタ挙動)流量制限の状態に関連付けること
ができる。
【0319】
6.4 PAPデバイスパラメータ
流量率とは、単位時間当たりに配送される空気の瞬時体積(又は質量)である。流量率
及び換気量は、単位時間当たりの体積又は質量という同じ次元を有するが、流量率は、は
るかに短い時間期間にわたって測定される。流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分の間
は名目的に正とすることができ、したがって、患者の呼吸サイクルの呼気部分の間は負と
することができる。幾つかの場合には、流量率というときは、スカラー量、すなわち、大
きさのみを有する量を指す。他の場合には、流量率というときは、ベクトル量、すなわち
、大きさ及び方向の双方を有する量を指す。流量には、シンボルQが与えられる。総流量
Qtは、PAPデバイスを出て行く空気の流量である。通気孔流量Qvは、吐き出された
ガスのウォッシュアウトを可能にする通気孔を出て行く空気の流量である。漏れ流量Ql
は、患者インタフェースシステムからの意図的でない漏れの流量率である。呼吸流量Qr
は、患者の呼吸器系内に受け入れられる空気の流量である。
【0320】
好ましくは、漏れという言葉は、周囲への空気の流れであると解釈される。漏れは、例
えば吐き出されたCOのウォッシュアウトを可能にするために意図的である場合がある
。漏れは、例えば、マスクと患者の顔との間の不完全なシールの結果として意図的でない
場合がある。
【0321】
圧力とは、単位面積当たりの力である。圧力は、cmHO、g-f/cm、ヘクト
パスカルを含む様々な単位で測定することができる。1cmHOは、1g-f/cm
に等しく、ほぼ0.98ヘクトパスカルである。この明細書では、別段の明示がない限り
、圧力はcmHOの単位で与えられる。OSAの経鼻CPAP治療の場合、治療圧とい
うときは、約4cmHO~20cmHO又は約4cmHO~30cmHOの範囲
の圧力を指す。患者インタフェースにおける圧力には、シンボルPmが与えられる。
【0322】
6.5 呼吸器系の解剖学
横隔膜とは、胸郭の底部にわたって延在する筋層である。横隔膜は、心臓、肺、及び肋
骨を収容する胸腔を腹腔から隔てている。横隔膜が収縮するにつれて、胸腔の体積が増加
し、空気が肺に引き込まれる。
【0323】
喉頭又は発声器(voice box)は、声帯を収容し、咽頭の下部分(下咽頭)を気管と接
続する。
【0324】
肺は、人間の呼吸器官である。肺の気道部(conducting zone)は、気管、気管支、細
気管支、及び終末細気管支を含む。呼吸域は、呼吸細気管支、肺胞管、及び肺胞を含む。
【0325】
鼻腔(又は鼻窩)は、顔の中央において鼻の上部及び背後の空気で満たされた大きな空
間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直のひれによって2つに分割されている。鼻腔の
両側には、鼻甲介又は鼻介骨と呼ばれる3つの水平の伸び出たもの(outgrowths)がある
。鼻腔の前方には鼻がある一方、後方は、後鼻孔を経由して鼻咽頭に融合している。
【0326】
咽頭とは、鼻腔の直ぐ下(下部)でかつ食道及び喉頭の上に位置する咽喉の部分である
。咽頭は、慣習的に3つの区域、すなわち、鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、咽頭口
腔部(中咽頭)(咽頭の口腔部分)、及び喉頭咽頭(下咽頭)に分割される。
【0327】
7 他の特記事項
本特許文書の開示内容の一部分は、著作権保護を受けるマテリアルを含んでいる。著作
権者は、本特許文書又は特許開示内容が特許商標庁の包袋又は記録に現われているときは
、いかなる者によるこの特許文書又は特許開示内容の複製に対しても異議を有しないが、
それ以外については、いかなる著作権も全てこれを留保する。
【0328】
文脈が明らかに別段の規定をしていない限り、値の範囲が提供されている場合には、下
限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間にある各値、及びその明示され
た範囲にある他の任意の明示された値又は間にある値が、本技術の範囲内に包含されるこ
とが理解される。これらの間にある範囲の上限及び下限は、当該間にある範囲に独立して
含まれる場合があり、これらも、本技術の範囲内に包含され、明示された範囲内で任意の
明確に除外された制限に従う。明示された範囲がこれらの上限及び下限の一方又は双方を
含む場合、それらの含まれる上限及び下限の一方又は双方を除外した範囲も本技術に含ま
れる。
【0329】
さらに、単数又は複数の値が、本技術の一部分として実施されるものとして本明細書に
明示されている場合、そのような値は、別段の明示がない限り、近似することができ、そ
のような値は、実際の技術的な実施態様が可能とすることができるか又は必要とする場合
がある程度まで任意の好適な有効桁で利用することができることが理解される。
【0330】
別段の定義がない限り、本明細書に用いられる全ての科学技術用語は、この技術が属す
る技術分野の当業者によって一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に
記載された方法及びマテリアルと類似の又は等価ないずれの方法及びマテリアルも、本技
術の実践又は試験において用いることができるが、限られた数の例示の方法及びマテリア
ルが本明細書に記載されている。
【0331】
特定のマテリアルが、構成要素の構築に用いられることが好ましいと特定されたとき、
同様の性質を有する明らかな代替のマテリアルを代替物として用いることができる。さら
に、本明細書に記載したありとあらゆる構成要素は、逆のことが明記されていない限り、
製造することが可能であると理解され、したがって、合わせて又は別々に製造することが
できる。
【0332】
数が特定されていないものは、本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる
とき、文脈が明らかに別段の規定をしていない限り、単数及び複数の等価なものを含むこ
とに留意しなければならない。
【0333】
本明細書で言及した全ての刊行物は、それらの刊行物の主題である方法及び/又はマテ
リアルを開示及び記載しているように引用することによって本明細書の一部をなすものと
する。本明細書において論述した刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示内容につい
てのみ提供される。本明細書におけるいかなるものについても、本技術が先行発明による
そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さ
らに、提供される刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、実際の公開日は
、別個に確認することが必要な場合がある。
【0334】
その上、開示内容を解釈する際に、全ての用語は、文脈と一貫性のある最も広い合理的
な方法で解釈されるべきである。特に、「備える」及び「含む」(“comprises” and “
comprising”)という用語は、非排他的な方法で要素、構成要素、又はステップを指すも
のと解釈されるべきであり、参照される要素、構成要素、又はステップが存在することが
できること、利用することができること、又は明確に参照されない他の要素、構成要素、
若しくはステップと組合せることができることを示す。
【0335】
詳細な説明において用いられた見出し語は、読み手の参照を容易にするためにのみ含ま
れており、本開示又は特許請求の範囲全体を通じて見られる主題を限定するために用いら
れるべきではない。これらの見出し語は、特許請求の範囲の範囲又は特許請求の範囲の限
定事項を解釈する際に用いられるべきではない。
【0336】
特定の実施形態を参照して本明細書における技術を説明してきたが、これらの実施形態
は、本技術の原理及び適用の単なる例示にすぎないことが理解されるべきである。幾つか
の場合には、術語及びシンボルは、本技術を実施するのに必要とされない特定の詳細を意
味している場合がある。例えば、「第1」及び「第2」という用語が用いられる場合があ
るが、別段の指定がない限り、それらは、何らかの順序を示すことを意図するものではな
く、異なる要素を区別するのに利用される場合がある。さらに、上記方法論におけるプロ
セスステップは、或る順序で説明又は図示される場合があるが、そのような順序付けは必
須ではない。当業者であれば、そのような順序付けを変更することができ、及び/又はそ
れらの態様を同時に行うこともできるし、同期して行うこともできることを認識するであ
ろう。
【0337】
したがって、本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、非常に多くの変更を例示の
実施形態に行うことができ、他のアレンジを考案することができることが理解されるべき
である。
【符号の説明】
【0338】
1000 患者
1200 センサユニット
3000 患者インタフェース
4000 PAPデバイス
4010 外部ハウジング
4012 上側部分
4014 下側部分
4015 パネル
4016 シャーシ
4018 取っ手
4020 空気圧ブロック
4100 空気圧構成要素
4170 空気回路
4200 電気構成要素
4300 プロセス
5000 加湿器
5110 貯水器
5120 加熱板
7000 装置
7001 マイクロコントローラユニット(MCU)
7002 メモリ
7003 運動信号
7003a I信号
7003b Q信号
7004 通信回路要素
7005 外部コンピューティングデバイス
7006 プロセッサ
7008 接続
7010 非接触式動きセンサ
7015 ディスプレイデバイス
7017 オーディオ出力
7020 送信機
7030 受信機
7040 ローカル発振器
7050 アンテナ
7060 信号
7070 信号
7080 混合器
7100 方法
7110 第一のステップ
7120 ステップ
7130 ステップ
7140 ステップ
7145 破線矢印
7150 ステップ
7160 ステップ
7170 ステップ
7175 破線矢印
7178 破線矢印
7180 ステップ
7200 方法
7210 ステップ
7220 ステップ
7230 ステップ
7300 予測する方法
7310 ステップ
7320 ステップ
7330 ステップ
7400 ブロック図
7410 モジュール
7420 存在/非存在検出モジュール
7430 睡眠/覚醒分析モジュール
7440 呼吸数推定モジュール
7450 信号選択モジュール
7455 変調サイクルメトリック計算モジュール
7460 包絡線発生モジュール
7465 SDB事象検出モジュール
7470 SDB事象確認モジュール
7480 特徴計算モジュール
7500 ブロック図
7510 運動検出モジュール
7520 存在/非存在検出モジュール
7530 睡眠/覚醒分析モジュール
7540 呼吸数推定モジュール
7550a 信号選択モジュール
7550b 信号選択モジュール
7555 変調サイクルメトリック計算モジュール
7560a 包絡線発生モジュール
7560b 包絡線発生モジュール
7565a SDB事象検出モジュール
7565b SDB事象検出モジュール
7570a SDB事象確認モジュール
7570b SDB事象確認モジュール
7580 特徴計算モジュール
7900 方法
7910 ステップ
7920 ステップ
7930 ステップ
7940 ステップ
【0339】
(付録A)
kは-CL/2~CL/2の範囲にある。
テンプレート1:
【数64】
ここで、β=6000。
テンプレート2:
【数65】
テンプレート3:
【数66】

(付録B)
//セッションにわたって各特徴についての四分位間範囲の統計量を抽出する
【数67】
//各候補SDB事象用の各特徴について統計量をバッチプロセスする
//検出される事象について論理インデックスベクトルを生成する(1はこのSDB事象が
確認されていることを意味し、0はそうでないことを意味する)
【数68】
//そのDOF値が0.9未満である事象、すなわち、非ノイズ又は非スパイク様事象を維
持する
【数69】
//ルール1:非常に高いAHI値を有する患者は、非ゼロ値のy05Kを有する傾向があ
り、他の場合、y05Kは常にゼロである。
【数70】
//ルール2:非常に低いAHI値を有する患者は、ゼロ値のy05K、y25K、及びy
50Kを有する傾向があり、他の場合、これらの値は全てゼロでない。
【数71】
//SDB事象がK<24の状態であるが非ゼロであることを確認しようと試みる
【数72】
//ルールの残りは、中間AHI値を有する患者に的を絞る。
//ルール3:AHI<10である患者に主に的を絞る:ここでは範囲が小さいはずである
ため、K≧12である事象を除去する
【数73】
//ルール4:AHI<20である患者に主に的を絞る
【数74】
//ルール5:AHI<30である患者に主に的を絞る
【数75】
//ルール6:AHI<50である患者に主に的を絞り、ここでは、AHI≧5からAHI
≦50まで変動する広い範囲が予想される。
【数76】
//ルール7:主に、AHI>30かつAHI<60である患者について
【数77】
//ルール8:上記でカバーされない任意の他の状況をカバーする
【数78】
//ルール9:不規則性因子の範囲をカバーする
【数79】

(付録C)
//各特徴について四分位間範囲記述子を抽出する
【数80】
//確認されるSDB事象について論理インデックスベクトルを生成する(1は、この事象
がCSR事象としてマーク付けされていることを意味し、0はそうでないことを意味する

【数81】
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図4a
図5a
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図7g
図7h
図7i
図7j
【手続補正書】
【提出日】2023-05-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心肺健康状態モニタリングするシステムであって、
患者の心肺健康状態に関連するデータを生成するなくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサと通信可能に接続されるコントローラと
を備えてなり、
該コントローラは、
1つ以上のモニタリングセッション中に、前記少なくとも1つのセンサが生成した前記データから少なくとも1つの呼吸パラメータを抽出し、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析し、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの分析に基づいて再発可能性警報を生成する
ように構成されている、心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項2】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータは呼吸数を含む、請求項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項3】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータは換気の測定値を含む、請求項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項4】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、前記1つ以上のモニタリングセッションにわたる前記少なくとも1つの呼吸パラメータの変化についての評価を含む、請求項のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項5】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、再発が起こる確率を計算することを含む、請求項のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項6】
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、ブール値再発可能性の指標を計算することを含む、請求項のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項7】
前記計算することは、前記1つ以上の呼吸パラメータの変化とそれぞれの閾値との比較を含む、請求項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項8】
前記再発可能性警報を生成することは、ディスプレイ上で前記再発可能性警報を表示することを含む、請求項のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項9】
前記再発可能性警報を生成することは、該装置のユーザに前記再発可能性警報を送信することを含む、請求項のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項10】
前記データは前記患者の運動を示す運動信号であり、前記呼吸パラメータは睡眠呼吸障害特徴である、請求項のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリングするシステム
【請求項11】
センサユニットが、前記少なくとも1つのセンサと前記コントローラを含んでいる、請求項1~10のいずれか1項に記載の心肺健康状態をモニタリングするシステム。
【請求項12】
センサユニットが前記少なくとも1つのセンサを含んでおり、外部コンピューティングデバイスが前記コントローラを含んでいる、請求項1~10のいずれか1項に記載の心肺健康状態をモニタリングするシステム。
【請求項13】
少なくとも1つのセンサと、該少なくとも1つのセンサに通信するように結合したコントローラとを含む、心肺健康状態をモニタリングするシステムの作動方法であって、
前記少なくとも1つのセンサが、患者の前記心肺健康状態に関連するデータを生成するステップと、
前記コントローラが、1つ以上のモニタリングセッション中に、前記少なくとも1つのセンサによって生成された前記データから少なくとも1つの呼吸パラメータを抽出するステップと、
前記コントローラが、前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析するステップと、
前記コントローラが、前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析に基づいて再発可能性警報を生成するステップと
を含んでなる、肺健康状態をモニタリングするシステムの作動方法。
【請求項14】
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成されるプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータから少なくとも1つの呼吸パラメータを抽出する手順と、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析する手順と、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析に基づいて再発可能性警報を生成する手順と
を前記プロセッサに実行させることを含む、コンピュータ可読媒体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0337
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0337】
したがって、本技術の趣旨及び範囲から逸脱することなく、非常に多くの変更を例示の実施形態に行うことができ、他のアレンジを考案することができることが理解されるべきである。
なお、本願の出願当初の開示事項を維持するために、本願の出願当初の請求項1~91の記載内容を以下に追加する。
(請求項1)
心肺健康状態モニタリング装置であって、
モニタリングセッション中に患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号を生成するように構成される非接触式動きセンサと、
プロセッサと、
前記プロセッサに、前記1つ以上の運動信号を処理する手順を実施させるように構成されるプログラム命令を記憶するメモリと
を備えてなり、
前記手順は、
前記1つ以上の運動信号から1つ以上の睡眠呼吸障害特徴を抽出し、
前記1つ以上の睡眠呼吸障害特徴に基づいて所定の予測範囲中に臨床事象が起こる可能性があるかどうかを予測することを含む、心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項2)
前記非接触式動きセンサ、前記プロセッサ、及び前記メモリは、非接触式センサユニットの一部を形成する、請求項1に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項3)
前記プロセッサ及び前記メモリは、前記非接触式動きセンサの外部にあるコンピューティングデバイスの一部を形成する、請求項1に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項4)
前記手順は、前記予測に応じて外部コンピューティングデバイスに警報メッセージを送信することを更に含む、請求項2に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項5)
ディスプレイを更に備え、前記手順は、前記予測に応じて警報メッセージを前記ディスプレイ上に表示することを更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項6)
オーディオ出力を更に備え、前記手順は、前記予測に応じて前記オーディオ出力によって警告音を生成することを更に含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項7)
前記非接触式動きセンサは、無線周波数動きセンサである、請求項1~6のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項8)
前記無線周波数動きセンサは、互いに直交位相状態にあるそれぞれの送信無線周波数信号に基づいて2つの運動信号を生成するように構成される、請求項7に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項9)
前記手順は、前記抽出する前に、組合せ型の運動信号になるよう前記2つの運動信号を組合せることを含む、請求項8に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項10)
前記手順は、前記予測する前に、各運動信号から抽出される前記睡眠呼吸障害特徴を組合せることを含む、請求項8に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項11)
前記プロセッサは、接触式動きセンサから取得される1つ以上の運動信号から前記特徴を抽出するように更に構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項12)
前記プロセッサは、非動きセンサから取得される前記患者の心肺健康状態に関連するデータから前記特徴を抽出するように更に構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項13)
心肺健康状態モニタリング装置であって、
患者の心肺健康状態に関連するデータを生成するように適合される少なくとも1つのセンサと、
ディスプレイと、
前記少なくとも1つのセンサに結合されるコントローラと
を備えてなり、
該コントローラは、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記センサデータを分析し、
前記分析に基づいて、応答するよう前記患者を促すように構成される少なくとも1つのクエリの前記ディスプレイ上への生成をトリガし、
前記コントローラに入力される、前記クエリに対する患者の応答に基づいて臨床的警報の生成をトリガする
ように構成されている、心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項14)
質問のデータ構造を含むメモリを更に備え、各質問は、前記少なくとも1つの呼吸パラメータの検出可能な条件に関連する、請求項13に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項15)
前記質問は、服薬遵守を扱う、請求項14に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項16)
前記質問は、食事遵守を扱う、請求項14に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項17)
前記コントローラは、前記呼吸パラメータの検出条件に応答して第1の質問を選択し、前記第1の質問に対する応答に基づいて、臨床的警報を生成する前に、後続のモニタリングセッションにおいて前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析し続けるように更に構成される、請求項14~16のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項18)
前記コントローラは、前記後続のモニタリングセッションに続いて前記臨床的警報の生成をトリガするように更に構成され、前記臨床的警報の生成は、前記コントローラによって生成される第2の質問に対する患者の応答に基づく、請求項17に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項19)
前記コントローラは、前記少なくとも1つのクエリに対する患者の応答に基づいて、患者インタフェースに対する呼吸可能なガスの流れを生成するように構成されるPAPデバイスの処置制御パラメータを調整するように更に構成される、請求項13~18のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項20)
前記臨床的警報の生成をトリガすることは、前記ディスプレイ上に警告を表示することを含む、請求項13~19のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項21)
通信デバイスを更に備え、前記臨床的警報の生成をトリガすることは、前記通信デバイスから電子メッセージを送信することを更に含む、請求項13~20のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項22)
前記分析は、前記データから前記患者の前記心肺健康状態に関連する特徴を抽出することを含む、請求項13~21のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項23)
前記データは前記患者の運動を示す運動信号であり、前記特徴は睡眠呼吸障害特徴である、請求項22に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項24)
前記分析は、前記抽出された特徴に基づいて所定の予測範囲内に臨床事象が起こる可能性があるかどうかを予測することを更に含む、請求項23に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項25)
心肺健康状態モニタリング装置であって、
患者の心肺健康状態に関連するデータを生成するように適合される少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサに結合されるコントローラと
を備えてなり、
該コントローラは、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記データから少なくとも1つの呼吸パラメータを測定し、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析し、
前記予測に基づいて再発可能性警報を生成する
ように構成されている、心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項26)
前記少なくとも1つの呼吸パラメータは呼吸数を含む、請求項25に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項27)
前記少なくとも1つの呼吸パラメータは換気の測定値を含む、請求項25に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項28)
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、前記1つ以上のモニタリングセッションにわたる前記少なくとも1つの呼吸パラメータの変化についての評価を含む、請求項25~27のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項29)
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、再発が起こる確率を計算することを含む、請求項25~28のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項30)
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析は、ブール値再発可能性の指標を計算することを含む、請求項25~28のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項31)
前記計算することは、前記1つ以上の呼吸パラメータの変化とそれぞれの閾値との比較を含む、請求項30に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項32)
前記再発可能性警報を生成することは、ディスプレイ上で前記再発可能性警報を表示することを含む、請求項25~31のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項33)
前記再発可能性警報を生成することは、該装置のユーザに前記再発可能性警報を送信することを含む、請求項25~32のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項34)
前記データは前記患者の運動を示す運動信号であり、前記呼吸パラメータは睡眠呼吸障害特徴である、請求項25~33のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項35)
心肺健康状態モニタリング装置であって、
患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号を生成するように構成される非接触式動きセンサを備える非接触式センサユニットと、
プロセッサと、
前記プロセッサに、前記1つ以上の運動信号を処理する手順を実施させるように構成されるプログラム命令を記憶するメモリと
を備えてなり、
前記手順は、
モニタリングセッションにわたって、前記1つ以上の運動信号から、1つ以上の睡眠呼吸障害特徴であって、前記モニタリングセッション中の、前記患者による睡眠呼吸障害の重篤度を示す、1つ以上の睡眠呼吸障害特徴を抽出することを含む、心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項36)
前記手順は、前記抽出された睡眠呼吸障害特徴に応じて外部コンピューティングデバイスに警報メッセージを送信することを更に含む、請求項35に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項37)
前記手順は、前記抽出された睡眠呼吸障害特徴に応じてディスプレイに警報メッセージを表示することを更に含む、請求項35又は36に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項38)
オーディオ出力を更に備え、前記手順は、前記抽出された睡眠呼吸障害特徴に応じて前記オーディオ出力によって警告音を生成することを更に含む、請求項35~37のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項39)
前記1つ以上の睡眠呼吸障害特徴は、
無呼吸/低呼吸指数と、
前記総睡眠時間と、
前記総睡眠時間に対するチェーンストークス呼吸事象の総継続時間の比と、
前記モニタリングセッションの継続時間に対するチェーンストークス呼吸事象の総継続時間の比と
からなる群からの複数の特徴を含む、請求項35~38のいずれか1項に記載の心肺健康状態モニタリング装置。
(請求項40)
患者の心肺健康状態をモニタリングする方法であって、
前記患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号から、1つ以上の睡眠呼吸障害(SDB)特徴を抽出するステップであって、該運動信号は、少なくとも1つのモニタリングセッション中に前記患者に向けられた非接触式動きセンサによって生成される、抽出するステップと、
前記1つ以上のSDB特徴に基づいて所定の予測範囲中に臨床事象が起こる可能性があるかどうかを予測するステップと
を含んでなる、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法。
(請求項41)
前記抽出するステップは、
前記運動信号の睡眠及び呼吸セクションを選択し、
前記睡眠及び呼吸セクション内でSDB事象を検出し、
前記検出されたSDB事象からSDB特徴を計算する
ことを含む、請求項40に記載の方法。
(請求項42)
前記抽出するステップは、前記運動信号を最初に前処理することを含む、請求項41に記載の方法。
(請求項43)
前記運動信号の数は2つであり、前記前処理するステップは、前記2つの運動信号を最初に組合せることを含む、請求項42に記載の方法。
(請求項44)
前記組合せるステップは、
各運動信号の平均を除去し、
各運動信号の最小値を計算し、
各サンプルにおける成分が、前記それぞれの運動信号の、それぞれの最小値からの距離である、サンプルベクトルの長さを計算し、
各サンプルにおいて前記長さの平均を除去する
ことを含む、請求項43に記載の方法。
(請求項45)
前記前処理するステップは、各運動信号をトレンド除去することを含む、請求項42~44のいずれか1項に記載の方法。
(請求項46)
前記選択するステップは、良好な品質の睡眠及び呼吸セクションを選択することを更に含む、請求項41~45のいずれか1項に記載の方法。
(請求項47)
良好な品質のセクションは、当該セクションにわたる前記運動信号についての良度指数が該セクションについてのノイズ閾値を超えるセクションを含む、請求項46に記載の方法。
(請求項48)
前記良度指数は、前記セクションにわたる前記運動信号の2乗平均平方根(RMS)である、請求項47に記載の方法。
(請求項49)
前記良度指数は、前記セクションにわたる前記運動信号のRMS値の分布の75パーセンタイルである、請求項47に記載の方法。
(請求項50)
前記セクションについての前記ノイズ閾値は、前記動きセンサについての最大ノイズ値及び前記セクションにわたる前記運動信号の前記RMS値の分布のパーセンタイルの小さい方である、請求項47~49のいずれか1項に記載の方法。
(請求項51)
睡眠及び呼吸セクションは、当該セクション中に、前記患者は眠っていて、著しい身体的運動を行わなかったセクションを含む、請求項41~50のいずれか1項に記載の方法。
(請求項52)
前記患者が眠っていたセクションは、前記患者が存在するエポックを含み、前記エポック内の前記運動信号の波形の長さの値が閾値より小さい、請求項51に記載の方法。
(請求項53)
前記患者が眠っていたセクションは、眠っているとしてLDA分類子によってラベル付けされるエポックを含み、前記LDA分類子は、前記エポックについての活動カウント系列及び運動フラグ系列に基づいて各エポックをラベル付けするように構成される、請求項51に記載の方法。
(請求項54)
前記活動カウント系列は、前記エポック内の1つ以上の間隔にわたって前記運動信号の包絡線を積分することによって取得される、請求項53に記載の方法。
(請求項55)
前記患者が眠っており、著しい身体的運動を行わなかったセクションは、前記患者が眠っており、著しい身体的運動を示す運動フラグ系列が偽りであるセクションを含む、請求項51~54のいずれか1項に記載の方法。
(請求項56)
前記運動フラグ系列は、
前記運動信号の各サンプルについてノイズ特徴、相関特徴、及びパワー特徴を計算し、
前記サンプルについての前記ノイズ特徴が高い閾値を超え、対応する前記相関特徴及びパワー特徴が低い閾値より低い場合には、各サンプルについての運動フラグを真に設定し、そうでなければ、前記運動フラグを偽に設定する
ことによって取得される、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
(請求項57)
前記患者が眠っており、著しい身体的運動を行わなかったセクションは、エポックであって、該エポック中に前記患者が眠っており、該エポック内の前記運動信号の分散が、前記モニタリングセッションについての閾値を超えるエポックを含む、請求項51~56のいずれか1項に記載の方法。
(請求項58)
前記患者が存在するエポックは、該エポック内の前記運動信号の2乗平均平方根の値が、ノイズのみの閾値を超えるエポックである、請求項52に記載の方法。
(請求項59)
SDB事象を検出するステップは、
前記運動信号の選択された各セクションの呼吸努力包絡線を1つ以上の呼吸努力テンプレートと相関付けることによって相関特徴を計算し、
前記相関特徴が、ある継続時間の間、第2の閾値より大きい第1の閾値を超えるときはいつでも、SDB事象を検出する
ことを含む、請求項41~58のいずれか1項に記載の方法。
(請求項60)
前記相関特徴は、前記呼吸努力テンプレートにわたる前記相関値の最大値である、請求項59に記載の方法。
(請求項61)
前記呼吸努力テンプレートは、それぞれの一般的なテンプレートであり、該一般的なテンプレートの継続時間は、前記モニタリングセッションにわたって前記患者について推定される平均呼吸調節サイクル長によってスケーリングされる、請求項59又は60に記載の方法。
(請求項62)
前記呼吸調節サイクル長は、前記選択されたセクション内の1つ以上のマクロエポックにわたって計算される前記呼吸努力包絡線のパワースペクトル密度のピーク周波数の逆数の重み付き平均として推定される、請求項61に記載の方法。
(請求項63)
前記重み付けは、前記それぞれのピークの高さに依存する、請求項62に記載の方法。
(請求項64)
SDB事象を検出するステップは、
主ウィンドウにわたって、選択された各セクションの呼吸努力包絡線の平均値を計算し、
前記主ウィンドウを囲む2つのウィンドウにわたる前記平均呼吸努力包絡線値としてベースラインを計算し、
前記主ウィンドウにわたる前記平均呼吸努力包絡線値が、前記計算されたベースラインに関して無呼吸基準又は低呼吸基準を満たす場合に前記SDB事象を検出し、
を含む、請求項41~63のいずれか1項に記載の方法。
(請求項65)
検出される各SDB事象を有効SDB事象として確認することステップを更に含む、請求項41~64のいずれか1項に記載の方法。
(請求項66)
前記確認するステップは、検出される各事象に対応する呼吸努力包絡線の最小値に隣接する低呼吸セクションが、最小値より大きい継続時間を有することを検証することを含む、請求項65に記載の方法。
(請求項67)
前記確認するステップは、前記呼吸努力包絡線が、前記患者について調節サイクル長の1/5より長い時間の間、低呼吸閾値未満に下がることを検証することを更に含む、請求項66に記載の方法。
(請求項68)
前記確認するステップは、
各候補SDB事象に対応する前記運動信号から1つ以上の特徴を計算し、
検出される各SDB事象を確認するかどうかを判定するために、前記1つ以上の計算された特徴にルールベース推論エンジンを適用する
ことを含む、請求項65に記載の方法。
(請求項69)
前記呼吸努力包絡線は、実数部が前記選択されるセクションの前記運動信号であり、虚数部が前記セクションの前記運動信号のヒルベルト変換である、複素数値信号のモデュラスをローパスフィルタリングすることによって前記選択されるセクションについて計算される、請求項59、64、66のいずれか1項に記載の方法。
(請求項70)
前記呼吸努力包絡線は、前記選択されるセクションの前記運動信号のヒルベルト変換の経験的モード分解として前記選択されるセクションについて計算される、請求項59、64、66のいずれか1項に記載の方法。
(請求項71)
前記呼吸努力包絡線は、前記選択されるセクションの前記運動信号にダブルマックス及びホールドフィルタを適用して、正の包絡線及び負の包絡線を計算し、前記正の包絡線から前記負の包絡線を減算することによって、前記選択されるセクションについて計算される、請求項59、64、66のいずれか1項に記載の方法。
(請求項72)
前記計算するステップは、前記モニタリングセッションの間に、前記検出されるSDB事象の統計量を計算することを含む、請求項41~71のいずれか1項に記載の方法。
(請求項73)
前記計算するステップは、前記モニタリングセッションの複数のサブセッションのそれぞれの間に、前記検出されるSDB事象の前記統計量を計算することを更に含む、請求項72に記載の方法。
(請求項74)
前記サブセッションは、前記モニタリングセッションの主睡眠期間の半分である、請求項73に記載の方法。
(請求項75)
前記サブセッションは、前記モニタリングセッションの四分位数である、請求項73に記載の方法。
(請求項76)
前記計算するステップは、複数のモニタリングセッションについて前記検出されるSDB事象の統計量を計算することを含む、請求項72~75のいずれか1項に記載の方法。
(請求項77)
前記計算するステップは、前記モニタリングセッションに先行するとともに前記モニタリングセッションを含む複数のモニタリングセッションを含むスライディングウィンドウにわたって、前記計算されるSDB特徴を、ゼロ平均及び1標準偏差に正規化することを更に含む、請求項72~76のいずれか1項に記載の方法。
(請求項78)
前記スライディングウィンドウは、前記モニタリングセッションに先行するとともに前記モニタリングセッションを含む全てのモニタリングセッションを含む、請求項77に記載の方法。
(請求項79)
前記予測するステップは、前記SDB特徴を「事象未発生」クラス又は「事象発生」クラスに分類する分類子を適用することを含む、請求項40~78のいずれか1項に記載の方法。
(請求項80)
前記分類子は、線形判別分析分類子である、請求項79に記載の方法。
(請求項81)
前記分類子は、前記SDB特徴の1つ以上の主成分に適用される、請求項79に記載の方法。
(請求項82)
前記予測するステップは、前記SDB特徴の1つ以上の主成分に発見的ルールを適用することを含む、請求項40~78のいずれか1項に記載の方法。
(請求項83)
前記予測に基づいて、応答するよう前記患者を促すように構成される少なくとも1つのクエリのディスプレイ上への生成をトリガするステップと、
前記クエリに対する前記患者の応答に基づいて臨床的警報の生成をトリガするステップと
を更に含む、請求項40~82のいずれか1項に記載の方法。
(請求項84)
前記予測に基づいて、再発可能性警報を生成するステップを更に含む、請求項40~82のいずれか1項に記載の方法。
(請求項85)
患者の心肺健康状態をモニタリングする方法であって、
前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータを分析するステップと、
前記分析に基づいて、応答するよう前記患者を促すように構成される少なくとも1つのクエリのディスプレイ上への生成をトリガするステップと、
前記クエリに対する患者の応答に基づいて臨床的警報の生成をトリガするステップと
を含んでなる、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法。
(請求項86)
患者の心肺健康状態をモニタリングする方法であって、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータから少なくとも1つの呼吸パラメータを測定するステップと、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析するステップと、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析に基づいて再発可能性警報を生成するステップと
を含んでなる、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法。
(請求項87)
患者の心肺健康状態をモニタリングする方法であって、
前記患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号から1つ以上の睡眠障害特徴を抽出するステップを含み、該運動信号は、少なくとも1つのモニタリングセッション中に前記患者に向けられた非接触式動きセンサによって生成され、前記睡眠呼吸障害特徴は、前記モニタリングセッション中の、前記患者による睡眠呼吸障害の重篤度を示すものである、患者の心肺健康状態をモニタリングする方法。
(請求項88)
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成されるプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
前記患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号から、1つ以上の睡眠呼吸障害(SDB)特徴を抽出する手順であって、前記運動信号は、少なくとも1つのモニタリングセッション中に前記患者に向けられた非接触式動きセンサによって生成される、抽出する手順と、
前記1つ以上のSDB特徴に基づいて所定の予測範囲中に臨床事象が起こる可能性があるかどうかを予測する手順と
を前記プロセッサに実行させることを含む、コンピュータ可読媒体。
(請求項89)
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成されるプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータを分析する手順と、
前記分析に基づいて、応答するよう前記患者を促すように構成される少なくとも1つのクエリのディスプレイ上への生成をトリガする手順と、
前記クエリに対する患者の応答に基づいて臨床的警報の生成をトリガする手順と
を前記プロセッサに実行させることを含む、コンピュータ可読媒体。
(請求項90)
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成されるプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
1つ以上のモニタリングセッション中に前記患者の前記心肺健康状態に関連するデータから少なくとも1つの呼吸パラメータを測定する手順と、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータを分析する手順と、
前記少なくとも1つの呼吸パラメータの前記分析に基づいて再発可能性警報を生成する手順と
を前記プロセッサに実行させることを含む、コンピュータ可読媒体。
(請求項91)
患者の心肺健康状態をモニタリングする手順をプロセッサに実行させるように構成されるプログラム命令を記憶するコンピュータ可読媒体であって、
前記患者の身体的運動を示す1つ以上の運動信号から1つ以上の睡眠呼吸障害特徴を抽出する手順を含み、前記運動信号は、少なくとも1つのモニタリングセッション中に前記患者に向けられた非接触式動きセンサによって生成され、前記睡眠呼吸障害特徴は、前記モニタリングセッション中の、前記患者による睡眠呼吸障害の重篤度を示すものである、コンピュータ可読媒体。