(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023009923
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】開閉装置並びにこの開閉装置を用いた端末機器
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20230113BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20230113BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
F16C11/04 F
G06F1/16 312F
H05K5/02 V
F16C11/04 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113590
(22)【出願日】2021-07-08
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】武富 義隆
【テーマコード(参考)】
3J105
4E360
【Fターム(参考)】
3J105AA05
3J105AB13
3J105AB16
3J105AC07
3J105BB21
3J105BC02
3J105BC14
3J105BC25
3J105DA15
3J105DA24
4E360AB05
4E360AB17
4E360AB18
4E360AB42
4E360BB05
4E360BB12
4E360BB17
4E360BB19
4E360BB27
4E360BC06
4E360BC08
4E360EA28
4E360EC05
4E360EC11
4E360EC13
4E360EC14
4E360EC15
4E360EC16
4E360ED02
4E360ED04
4E360ED16
4E360ED17
4E360ED23
4E360ED28
4E360GA02
4E360GA03
4E360GA08
4E360GB26
4E360GB46
4E360GC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】端末機器をより薄型化できると共に、第1筐体と第2筐体の両面にまたがって設けた1枚のフレキシブルディスプレイシートに対応できたり、第1筐体と第2筐体の内部機構を第1筐体と第2筐体の開閉操作時に動作させることができる機能を持った開閉装置並びにこの開閉装置を用いた端末機器を提供する。
【解決手段】第1筐体側に取り付けられる第1取付ベースと第2筐体側に取り付けられる第2取付ベースとに、それぞれヒンジシャフトを回転可能に取り付け、これらのヒンジシャフトを連結部材で連結すると共に、前記第1取付ベースと第2取付ベースの側にそれぞれ一対のスライド部材をスライド可能に設け、これらの各一対のスライド部材と前記ヒンジシャフト間を各一対の駆動ベルトで接続させ、さらに少なくとも前記各一対のスライド部材の少なくとも一方のものにスライド動作によって旋回する作動部材をそれぞれリンク部材で連結する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筐体側に取り付けられる第1取付ベースに設けた第1スライド機構及び第2筐体側に取り付けられる第2取付ベースに設けた第2スライド機構を有し、前記第1スライド機構は、前記第1取付ベースの側に前記第1筐体の開閉操作時に回転可能となるように取り付けられた第1Bヒンジシャフトと、前記第1取付ベースの側に前記第1Bヒンジシャフトの半径方向へスライド可能に設けた第1スライド部材及び第2スライド部材と、各一端部側を前記第1Bヒンジシャフトに巻き付け方向を変えて巻き付けた前記第2取付ベース側に前記第1Bヒンジシャフトと対向し前記第2筐体の開閉操作時に回転可能となるように取り付けられた第2Bヒンジシャフトと、前記第1Bヒンジシャフトと前記第2Bヒンジシャフトを互いに相対的に回転可能に半径方向へ連結する連結部材と、前記第1Bヒンジシャフトに所定間隔を空けて各一端部を互いに巻付け方向を変えて巻き付けられた第1スライド機構駆動ベルト及び第2スライド機構駆動ベルトと、前記第2Bヒンジシャフトに所定間隔を空けて各一端部を互いに巻付け方向を変えて巻き付けられた第3スライド機構駆動ベルト及び第4スライド機構駆動ベルトと、前記第1取付ベース側に前記第1Bヒンジシャフトの半径方向へスライド可能に取り付けられ前記第1スライド機構駆動ベルト及び前記第2スライド機構駆動ベルトの他端部側を連結させて成る第1スライド部材及び第2スライド部材と、前記第2取付ベース側の前記第2Bヒンジシャフトの半径方向にスライド可能に取り付けられ前記第3スライド機構駆動ベルト及び第4スライド機構駆動ベルトの他端部側を連結させて成る第3スライド部材及び第4スライド部材と、前記第1スライド部材及び第2スライド部材の間と前記第3スライド部材及び前記第4スライド部材の間にそれぞれ設けた第1リンク機構と第2リンク機構とで構成したことを特徴とする、開閉装置。
【請求項2】
前記第1スライド機構と前記第2スライド機構に隣接して同期回転機構が設けられており、この同期回転機構は、前記第1取付ベース側に回転可能に取り付けられると共に前記第1Bヒンジシャフトに連結された第1Aヒンジシャフトと、前記第2取付ベースに回転可能に取り付けられると共に前記第2Bヒンジシャフトに連結された第2Aヒンジシャフトと、前記第1Aヒンジシャフトと前記第2Aヒンジシャフトを互いに半径方向へ連結する連結部材と、前記第1Aヒンジシャフトと前記第2Aヒンジシャフトにそれぞれ所定間隔を空けてそれぞれ巻き付け方向を変えて巻き付けた第1同期回転駆動ベルトと第2同期回転駆動ベルトとで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記第1スライド機構と前記第2スライド機構に隣接してフリクショントルク発生機構が設けられており、前記フリクショントルク発生機構は、前記第1取付ベース7に回転可能に取り付けられると共に前記第1Bヒンジシャフトに連結された第1Cヒンジシャフトと、前記第2取付ベースに回転可能に取り付けられると共に前記第2Bヒンジシャフトに連結された第2Cヒンジシャフトと、前記第1Cヒンジシャフトと前記第2Cヒンジシャフトを互いに連結する連結部材と、前記第1Cヒンジシャフトに取り付けた締付ネジとフリクションワッシャと皿バネとで構成した第1フリウショントルク発生部と、前記第2Cヒンジシャフトに取り付けた締付ネジとフリクションワッシャと皿バネとで構成した第2フリクショントルク発生部とで構成したことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記第1筐体と前記第2筐体は、前記第1取付ベースと前記第2取付ベースに対し、スライド可能に取り付けられており、前記第1スライド機構と前記第2スライド機構によりそれぞれスライド動作できるように成したことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記第1筐体と前記第2筐体のいずれか一方或は双方と、前記第1取付ベースと前記第2取付ベースのいずれか一方或は双方の間には、引張コイルスプリングを張設してあることを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項6】
前記第1スライド機構と前記第2スライド機構の各スライド部材の間には、それぞれ第1リンク機構と第2リンク機構が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項7】
前記第1筐体と前記第2筐体の開閉操作時に動作する前記第1スライド機構と前記第2スライド機構により、前記第1筐体と前記第2筐体内部の動作機構が動作されるように成したことを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記請求項1~7に各記載の開閉装置を用いたことを特徴とする、端末機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノート型パソコン、ラップトップ型パソコン、電子辞書、PDA(Personal Digital Assistant)等の端末機器において、相対的に開閉される第1筐体と第2筐体とを互いに連結する開閉装置並びにこの開閉装置を用いた端末機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒンジシャフトを用いてノート型パソコンや電子辞書等の端末機器のキーボード側の第1筐体とディスプレイ側の第2筐体を開閉可能に連結する開閉装置には、例えば、下記特許文献1に示されたものが公知である。この従来公知の開閉装置は、第1筐体と第2筐体の開閉操作時に、第1筐体側の内部機構を操作できる操作機構を開閉装置と第1筐体の間に設置したもので、開閉装置の開閉操作時に操作機構を介して第1筐体の内部操作機構、例えば第1筐体の底部に設けた脚部を、第1筐体と第2筐体の開閉操作時に、その開閉角度によって出没させる機構を動作させることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ノート型パソコン等で持ち運びを前提とした端末機器は、さらに一層の薄型化が求められると共に、ディスプレイにしても、第1筐体と第2筐体の両面に渡って1枚のフレキシブルディスプレイシートを用いたものに対応した開閉装置や、第1筐体と第2筐体の両筐体の内部機構を開閉装置の開閉操作に伴い操作できるようにした操作機構を備えた開閉装置が求められている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、端末機器をより薄型化できると共に、第1筐体と第2筐体の両面にまたがって設けた1枚のフレキシブルディスプレイシートに対応できたり、第1筐体と第2筐体の内部機構を第1筐体と第2筐体の開閉操作時に動作させることができる機能を持った開閉装置並びにこの開閉装置を用いた端末機器を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本願請求項1に記載の開閉装置は、第1筐体側に取り付けられる第1取付ベースに設けた第1スライド機構及び第2筐体側に取り付けられる第2取付ベースに設けた第2スライド機構を有し、前記第1スライド機構は、前記第1取付ベースの側に前記第1筐体の開閉操作時に回転可能となるように取り付けられた第1Bヒンジシャフトと、前記第1取付ベースの側に前記第1Bヒンジシャフトの半径方向へスライド可能に設けた第1スライド部材及び第2スライド部材と、各一端部側を前記第1Bヒンジシャフトに巻き付け方向を変えて巻き付けた前記第2取付ベース側に前記第1Bヒンジシャフトと対向し前記第2筐体の開閉操作時に回転可能となるように取り付けられた第2Bヒンジシャフトと、前記第1Bヒンジシャフトと前記第2Bヒンジシャフトを互いに相対的に回転可能に半径方向へ連結する連結部材と、前記第1Bヒンジシャフトに所定間隔を空けて各一端部を互いに巻付け方向を変えて巻き付けられた第1スライド機構駆動ベルト及び第2スライド機構駆動ベルトと、前記第2Bヒンジシャフトに所定間隔を空けて各一端部を互いに巻付け方向を変えて巻き付けられた第3スライド機構駆動ベルト及び第4スライド機構駆動ベルトと、前記第1取付ベース側に前記第1Bヒンジシャフトの半径方向へスライド可能に取り付けられ前記第1スライド機構駆動ベルト及び前記第2スライド機構駆動ベルトの他端部側を連結させて成る第1スライド部材及び第2スライド部材と、前記第2取付ベース側の前記第2Bヒンジシャフトの半径方向にスライド可能に取り付けられ前記第3スライド機構駆動ベルト及び第4スライド機構駆動ベルトの他端部側を連結させて成る第3スライド部材及び第4スライド部材と、前記第1スライド部材及び第2スライド部材の間と前記第3スライド部材及び前記第4スライド部材の間にそれぞれ設けた第1リンク機構と第2リンク機構とで構成したことを特徴とする。
【0007】
次に、本願請求項2に記載の開閉装置は、前記第1スライド機構と前記第2スライド機構に隣接して同期回転機構が設けられており、この同期回転機構は、前記第1取付ベース側に回転可能に取り付けられると共に前記第1Bヒンジシャフトに連結された第1Aヒンジシャフトと、前記第2取付ベースに回転可能に取り付けられると共に前記第2Bヒンジシャフトに連結された第2Aヒンジシャフトと、前記第1Aヒンジシャフトと前記第2Aヒンジシャフトを互いに半径方向へ連結する連結部材と、前記第1Aヒンジシャフトと前記第2Aヒンジシャフトにそれぞれ所定間隔を空けてそれぞれ巻き付け方向を変えて巻き付けた第1同期回転駆動ベルトと第2同期回転駆動ベルトとで構成したことを特徴とする。
【0008】
次に、本願請求項3に記載の開閉装置は、前記第1スライド機構と前記第2スライド機構に隣接してフリクショントルク発生機構が設けられており、前記フリクショントルク発生機構は、前記第1取付ベース7に回転可能に取り付けられると共に前記第1Bヒンジシャフトに連結された第1Cヒンジシャフトと、前記第2取付ベースに回転可能に取り付けられると共に前記第2Bヒンジシャフトに連結された第2Cヒンジシャフトと、前記第1Cヒンジシャフトと前記第2Cヒンジシャフトを互いに連結する連結部材と、前記第1Cヒンジシャフトに取り付けた締付ネジとフリクションワッシャと皿バネとで構成した第1フリウショントルク発生部と、前記第2Cヒンジシャフトに取り付けた締付ネジとフリクションワッシャと皿バネとで構成した第2フリクショントルク発生部とで構成したことを特徴とする。
【0009】
さらに、本願請求項4に記載の開閉装置は、前記第1筐体と前記第2筐体が、前記第1取付ベースと前記第2取付ベースに対し、スライド可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
さらに、本願請求項5に記載の開閉装置は、前記第1筐体と前記第2筐体のいずれか一方或は双方と、前記第1取付ベースと前記第2取付ベースのいずれか一方或は双方の間には、引張コイルスプリングを張設してあることを特徴とする。
【0011】
さらに、本願請求項6に記載の開閉装置は、前記第1スライド機構と前記第2スライド機構の各スライド部材の間には、それぞれ第1リンク機構と第2リンク機構が設けられていることを特徴とする。
【0012】
さらに、本願請求項7に記載の開閉装置は、前記第1筐体と前記第2筐体の開閉操作時に動作する前記第1スライド機構と前記第2スライド機構により、前記第1筐体と前記第2筐体内部の動作機構が動作されるように成したことを特徴とする。
【0013】
そして、本願請求項8に記載の開閉装置は、請求項1~7に各記載の開閉装置を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、第1筐体と第2筐体のいずれか一方に対して開閉操作を行うと、第1筐体と第2筐体のいずれか一方或いは双方は、第1筐体と第2筐体のいずれか一方或いは双方に対してスライド可能となるので、第1筐体と第2筐体の開成操作時にフレキシブルディスプレイシートを延ばすことができ、当該フレキシブルディスプレイシートにしわが寄るのを有効に防止でき、さらに第1筐体と第2筐体の各連結端部が干渉することも防止できるものである。
【0015】
次に、請求項2に記載の発明によれば、第1筐体と第2筐体のいずれか一方に対して開閉操作を行うと、その開閉操作は同期回転機構を介して第1筐体と第2筐体のいずれか他方の筐体ヘ伝達され、同時に開閉動作を行うことができるものである。
【0016】
次に、請求項3に記載の発明によれば、第1筐体と第2筐体の開閉操作時にフリクショントルク発生機構が創出するフリクショントルクが発生することから、しっくりとした操作感覚を操作者に与えることができたうえで、第1筐体と第2筐体を任意の開閉角度で安定的に停止保持させることができるものである。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、前記第1筐体と前記第2筐体は、前記第1取付ベースと前記第2取付ベースに対し、スライド可能に取り付けられており、前記第1スライド機構と前記第2スライド機構によりそれぞれスライド動作できるように成したことを特徴とするものである。
【0018】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、第1筐体と第2筐体の開閉操作時に、当該第1筐体と第2筐体の各表面に渡って設けたフレキシブルディスプレイシートにしわが寄ってしまうのを防止できるものである。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、リンク機構は、一対のスライド部材の間にその中央部を回転可能に取り付けられると共に、その一端部をスライド部材の一方に、その他端部をスライド部材の他方に係合させたリンク部材で構成したので、開閉装置の開閉いずれの動作においても、ヒンジシャフトに巻き付けられる駆動ベルトにより一方のスライド部材が進み、これが一対のスライド部材の間に中央部を回転可能に取り付けられたリンク部材が回転することにより他方のスライド部材が退く動きになり、他方の駆動ベルトが巻き戻される。従って、開閉装置の開閉いずれの動作においても駆動ベルトがよれたりねじれたりすることを防止できるので、開閉装置は好適な開閉動作を行うことができる。
【0020】
さらに、請求項7の発明によれば、第1スライド機構と第2スライド機構により、第1筐体と第2筐体の各内部に設けた内部機構を動作させることができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1~7に記載の開閉装置の特徴を備えた端末機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る開閉装置を用いた端末機器の一例としてのノート型パソコンを示し、(a)は端末機器の閉成状態の斜視図、(b)は端末機器を90°開いた状態の斜視図、(c)は端末機器を180°開いた状態の斜視図である。
【
図2】本発明に係る開閉装置を用いた端末機器の一部分解斜視図である。
【
図3】本発明に係る開閉装置の第1筐体と第2筐体への取付状態を説明するもので、(a)はその斜視図、(b)は取付部の状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3のA-A線断面図であり、開閉装置の内部機構を省略して図示してある。
【
図5】本発明に係る開閉装置を裏返して180°開いた状態の斜視図である。
【
図6】
図5に示した状態からカバーを取り外して見た斜面図である。
【
図8】
図5に示した開閉装置の第1取付ベースと第2取付ベースの斜視図である。
【
図9】
図5に示した開閉装置のスライド部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその側面図、(c)はその横断面図である。
【
図10】
図5に示した開閉装置の調整部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその横断面図である。
【
図11】
図5に示した開閉装置の同期回転機構の要部の分解斜視図である。
【
図12】
図5に示した開閉装置のスライド機構の第1Bヒンジシャフトと第2Bヒンジシャフトの部分の構成を説明する分解斜視図である。
【
図13】フリクショントルク発生機構の拡大斜視図である。
【
図14】
図5に示した開閉装置の第1連結部材を示し、(a)はその斜視図、(b)はその平面図、(c)はその正面図である。
【
図15】
図5に示した開閉装置の第1A取付部材と第2A取付部材の斜視図である。
【
図16】
図5に示した開閉装置の各駆動ベルトを示し、(a)は同期回転駆動ベルトの展開平面図、(b)スライド機構駆動ベルトの展開平面図である。
【
図17】
図5に示した開閉装置のスライド機構の作動部材を示し、(a)は長い方のものの平面図、(b)は短い方のものの平面図である。
【
図18】
図5に示した開閉装置のリンク部材の斜視図である。
【
図19】
図5に示した開閉装置を閉じた状態の横断面図であり、(a)は第1スライド部材と第3スライド部材の部分で割った状態の横断面図、(b)は第2スライド部材と第4スライド部材の部分で割った横断面図である。
【
図20】
図5に示した開閉装置を180°開いた状態の横断面図であり、(a)は第1スライド部材と第3スライド部材の部分で割った状態の横断面図、(b)は第2スライド部材と第4スライド部材の部分で割った横断面図である。
【
図21】本発明に係る開閉装置並びに端末機器の他の実施の形態2を示し、(a)は端末機器を閉じた状態の斜視図、(b)は端末機器を90°開いた状態の斜視図、(c)は端末機器を180°開いた状態の斜視図である。
【
図22】
図21に示す端末機器と開閉装置をスライド部材の部分で割って見た拡大断面説明図を示し、(a)は第1筐体と第2筐体を閉じた状態を示し、(b)は90°開いた状態を示している。
【
図23】
図21に示す端末機器と開閉装置スライド部材の部分で割ってみた拡大断面説明図を示し、(a)は180°開いた状態を示し、(b)は360°開いた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を、端末機器としてノート型パソコンに実施した場合について添付図面を用いて説明するが、本発明を実施する端末機器には、ノート型パソコン以外のラップトップ型パソコン、電子辞書をはじめとするPDA等の端末機器も含まれる。その他、第1筐体と第2筐体を開閉する際に同期回転機構やスライド機構、さらにはフリクショントルク発生機構を必要とする種々の機器や容器において用いることができる。
【0024】
[実施の形態1]
図1(a)、(b)、(c)に示すように、この実施の形態1に係るところのノート型パソコンに代表される端末機器1は、これを構成する第1筐体2と第2筐体3の連結部分の左右箇所に設けられた本発明に係る開閉装置4,4によって、第1筐体2と第2筐体3が相対的に0°から約180°の間で開閉自在となるように連結されている。
【0025】
ディスプレイ部5は、実施の形態1のものは、折り畳み可能な1枚のフレキシブルディスプレイシート5aで構成されており、クッションシート5bを介して、第1筐体2と第2筐体3の各両面を覆っている。また、本実施形態では、開閉装置4,4は、同じ構成のものが端末機器1(ノート型パソコン)の左右に一対設けられている。したがって、開閉装置4,4の構成が同じであるので、以下の説明では、
図1(a)における右側の開閉装置4について説明し、もう一方の左側の開閉装置の構成は説明を省略する。
【0026】
とくに
図1乃至
図7に示すように、開閉装置4は、内部機構を説明するために、第1取付ベース7と第2取付ベース8を共に裏返した状態で図示してある。図面によれば、開閉装置4は、第1筐体2側に取り付けられる第1取付ベース7と、第2筐体3側に取り付けられる第2取付ベース8とを有する。この第1取付ベース7と第2取付ベース8は、同じ構成のもので、とくに
図8に示すように、平面矩形状を呈し、後述する複数のヒンジシャフトを取り付ける側を除いた3辺側に壁部7a、7a、7a・8a、8a、8aを設けることにより、内側に後述する第1スライド機構B1と第2スライド機構B2等の内部機構を収容させる収容部7bと収容部8bが設けられている。
【0027】
この収容部7bと収容部8bには、とくに
図6と
図7に示したように、それぞれの略中央部に設けた中央仕切壁7c、8cと、この中央仕切壁7c、8cを挟んだ両側に設けた取付台部7t、7t、7t、7tと取付台部8t、8t、8t、8tに取付ネジで取り付けた各一対のサイド仕切部材7d、7e・8d、8eとで仕切られたスライドガイド溝6a、6bとスライドガイド溝9a・9bが設けられている。また、各サイド仕切部材7d、7e・8d、8eと収容部7b及び収容部8bの各底部との間には、後述するように長さの長い第1作動部材26aと長さの短い第2作動部材26bと、長さの長い第3作動部材27aと長さの短い第4作動部材27bとを挿通させるガイド長が形成されている。
尚、とくに
図17に示したように、第1作動部材26aと第3作動部材27aには、
【0028】
さらに、第1取付ベース7と第2取付ベース8には、壁部7aと8aを設けてない側に、互いに対向させて取付部7h、7i、7j、7k、7mと取付部8h、8i、8j、8k、8mが設けられると共に、後述する第1リンク機構B3と第2リンク機構B4の第1リンク部材70と第2リンク部材71を回転可能に軸支する軸支部7z、8zと、が設けられている。
【0029】
第1取付ベース7と第2取付ベース8の各周壁である壁部7a、7a、7aと8a、8a、8aを設けない側には、
図5~
図7に示したように、後述する、同期回転機構Aを構成する第1Aヒンジシャフト10及び第2Aヒンジシャフト13と、スライド機構Bを構成する第1Bヒンジシャフト11及び第2Bヒンジシャフト14と、フリクショントルク発生機構Cを構成する第1Cヒンジシャフト12及び第2Cヒンジシャフト15がそれぞれ互いに軸心を共通にさせつつ同一方向へ平行、かつ共に回転可能となるように取り付けられている。
【0030】
同期回転機構Aの第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13同士は同じ構成である。
図11に示したように、第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13は、全体として変形軸部10aと13aであり、各中央部は第2連結部材46に設けた円形軸受孔46a、46aへ回転可能に挿通させている。スライド機構Bの第1Bヒンジシャフト11と第2Bヒンジシャフト14同士も同じ構成であり、
図12に示したように、略中央部にフランジ部11a、14aがあり、その両側部に変形軸部11b、11bと14b、14bが形成されている。さらに、フリクショントルク発生機構Cの第1Cヒンジシャフト12と第2Cヒンジシャフト15同士も同じ構成である。
【0031】
上記のうち、同期回転機構Aの第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13は、
図7と
図8に示したように、第1取付ベース7と第2取付ベース8の各右側端部に設けた取付部7hと取付部8hに、その取付片16c、17cを取り付けた第1A取付部材16及び第2A取付部材17の円形軸受孔16a、17aにそれぞれ一端部側の変形軸部10a、13aを回転可能に軸支させている。また、第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13の各他端部側は、第1A取付部材16及び第2A取付部材17より内側に配置して第1取付ベース7と第2取付ベース8の各取付部7iと取付部8iに取り付けたところの第1B取付部材18及び第2B取付部材19に設けた変形軸受孔18a、19aと係合しており、第1取付ベース7と第2取付ベース8の開閉動作に伴って、共に回転するように構成されている。
【0032】
次に、スライド機構Bの第1Bヒンジシャフト11と第2Bヒンジシャフト14は、
図6~
図8に示したように、その各一端側を、第1取付ベース7と第2取付ベース8の略中間部に設けた各取付部7j、8jに取り付けたところの、第1C取付部材20と第2C取付部材21に設けた円形軸受孔20a、21aに回転可能に軸支されると共に、第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13の各他端部側と係合している第4連結部材48に設けた円形軸受孔48a、48aに挿入係合されている。
【0033】
また、取付部7k、8kに取り付けた第1D取付部材22と第2D取付部材23に設けた変形軸受孔22a、23aには、フリクショントルク発生機構Cの第1Cヒンジシャフト12と第2Cヒンジシャフト15の各一端部が係合されると共に、第1Cヒンジシャフト12と第2Cヒンジシャフト15の各他端部は取付部7m、8mに取り付けた第1E取付部材24と第2E取付部材25の円形軸受孔24a、25aに回転可能に軸支されている。
【0034】
以上の構成により、第1Aヒンジシャフト10、第1Bヒンジシャフト11及び第1Cヒンジシャフト12と、第2Aヒンジシャフト13、第2Bヒンジシャフト14及び第2Cヒンジシャフト15は、第1取付ベース7及び第2取付ベース8、しかして第1筐体2と第2筐体3の開閉操作と共にそれぞれ1本のヒンジシャフトのように一体的に回転することになる。もっともこの構成は、実施例のものに限定されるものではなく、他の構成のものでも良く、後述するように、それぞれのヒンジシャフトに装着させる同期回転機構Aやスライド機構Bやフリクショントルク発生機構Cのどれかを省略する場合には、必要とされない場合がある。
【0035】
図3と
図4に示されたように、第1取付ベース7と第2取付ベース8は、各両側部にガイドレール7n、7n・8n、8nが設けられ、この各ガイドレール7n、7n・8n、8nは、とくに
図3と
図4に示されたように、第1取付ベース7と第2取付ベース8を収容させるべく第1筐体2と第2筐体3にそれぞれ設けた第1取付ベース収容部2aと第2取付ベース収容部3aの両サイドに設けたガイド溝2b、2b・3b、3bと係合しており、この各ガイドレール7n、7n及び8n、8nと各ガイド溝2b、2b・3b、3bの係合により第1取付ベース7と第2取付ベース8に第1筐体2と第2筐体3が取り付けられ、かつ、第1筐体2と第2筐体3は、開閉装置4の第1取付ベース7と第2取付ベース8に対してスライド可能である。
【0036】
また、第1取付ベース7及び第2取付べース8と第1筐体2及び第2筐体3との間には、とくに
図1と
図3に示したように、複数の引張コイルスプリング2d、2d・・と引張コイルスプリング3d、3d・・・が張設されており、第1筐体2と第2筐体3を常に第1取付ベース7と第2取付ベース8側へスライド付勢させている。
【0037】
以上説明したように、各第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13には、後述する同期回転機構Aが設置され、第1Bヒンジシャフト11と第2Bヒンジシャフト14には、スライド機構Bが設置され、さらに、第1Cヒンジシャフト12と第2Cヒンジシャフト15には、フリクショントルク発生機構Cが設置されている。
【0038】
第1A取付部材16、第1B取付部材18、第1C取付部材20、第1D取付部材22、及び第1E取付部材24と、第2A取付部材17、第2B取付部材19、第2C取付部材21、第2D取付部材23、及び第2E取付部材25の各構成は、軸受孔の形状が円形か変形かが異なるのみで後は同じ構成である。そのうちの一つである第1A取付部材16と第2A取付部材17を代表して説明すると、とくに
図15に示したように、それぞれ略長方形の本体部16bと17bの一方の側に円形軸受孔16a、17aが設けられ、他方の側の一側部に直角に折り曲げられた取付片16c、17cが設けられている。取付片16c、17cには取付孔16d、17dが形成されており、この第1A取付部材16と第2A取付部材17は、この取付片16c,17cを第1取付ベース7と第2取付ベース8の一端部に設けた取付孔7o、8oを有する取付部7h、8hに重ねて取付ネジで締め付けて固定されている。
【0039】
その他の第1B取付部材18、第1C取付部材20、第1D取付部材22、及び第1E取付部材24と第2B取付部材19、第2C取付部材21、第2D取付部材23、及び第2E取付部材25のうち、第1B取付部材18、第1D取付部材22と第2B取付部材19、第2D取付部材23の各軸受孔18a、22a、19a、23aは変形軸受孔であるが、他の第1C取付部材20、第1E取付部材24と第2C取付部材21、第2E取付部材25の各軸受孔20a、24aと21a、25aは円形軸受孔である。そして、その他の構成は、 第1A取付部材16と第2A取付部材17に係止段部16eと17eがあるのみで、他の構成は同じ構成であり、
図7と
図8に示したように、第1取付ベース7と第2取付ベース8に設けた各取付部7i、8i・7j、8jと取付部7k、8k・7m、8mへ取り付けられている。図面では、とくに
図7に示されたように、第1A取付部材16及び第2A取付部材17と第1E取付部材24及び第2E取付部材25だけを独立して図示してあり、他のものは各取付部へ組付けた状態で示してある。
【0040】
上記したように、各取付部材を取り付ける取付部は、
図7と
図8に示したように、第1A取付部材16と第2A取付部材17の取付部7h、8hから順に第1取付ベース7と第2取付ベース8に所定間隔を空けて設けられており、指示記号7i、8i・7j、8j・7k、8k・7m、8mで示してある。各取付部7h~7mと8h~8mにはそれぞれ取付孔7о、7p、7q、7r、7sと8о,8p,8q,8r,8sが設けられている。第1B取付部材18~第1D取付部材22と第2B取付部材19~第2D取付部材23に設けた各取付片(16c、17と24c、25cのみを図示)を各取付部7i、8i・7j、8j・7k、8kに重ね合わせ、それぞれ締付ネジで固着してある。
【0041】
同期回転機構Aを構成する第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13の場合には、各変形軸部10a、13aの一端部側を第1A取付部材16と第2A取付部材17に設けた各円形軸受孔16a、17aへ回転可能に軸支させると共に、他端部側を第1B取付部材18と第2B取付部材19の各変形軸受孔18a、19aと係合させている。
【0042】
次に、第1Aヒンジシャフト10の一端部は、第1A取付部材16に設けた円形軸受孔16aに対し回転可能に取り付けられ、他端部は第1B取付部材18に設けた変形軸受孔18aに係合されている。第1Bヒンジシャフト11の一端部は、第1C取付部材20に設けた円形軸受孔20aに対し回転可能に軸支され、他端部は第1連結筒部61に設けた変形孔(図示せず)と係合している。さらに、第1Cヒンジシャフト12の一端部は、第1D取付部材22に設けた変形軸受孔22aに係合されつつ、第1連結筒部61に設けた変形孔(図示せず)と係合し、他端部は第1E取付部材24に設けた円形軸受孔24aに回転可能に軸支されている。
【0043】
同じく
図6~
図7に示したように、第2Aヒンジシャフト13の一端部は、第2A取付部材17に設けた円形軸受孔17aに対し回転可能に取り付けられ、他端部は第2B取付部材19に設けた変形軸受孔19aに係合されている。第2Bヒンジシャフト14の一端部は、第2C取付部材21に設けた円形軸受孔21aに対し回転可能に軸支され、他端部は第2連結筒部63に設けた図示してない変形孔と係合しており、第2Cヒンジシャフト15の一端部は第2D取付部材23に設けた変形軸受孔23aに係合されつつ、第2連結筒部63に設けた図示してない変形孔と係合し、他端部は第2E取付部材25に設けた円形軸受孔25aに回転可能に軸支されている。
【0044】
したがって、第1筐体2と第2筐体3をその閉成状態から開くと、共に回転する第1取付ベース7に取り付けた第1B取付部材18と第1D取付部材22を介して第1Aヒンジシャフト10と第1Bヒンジシャフト11、及び第1Cヒンジシャフト12が一体に同一方向へ回転し、第2取付ベース8に取り付けた第2B取付部材19と第2D取付部材23を介して第2Aヒンジシャフト13と第2Bヒンジシャフト14、及び第2Cヒンジシャフト15が一体に同一方向へ回転することになる。この際の第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13の回転は同期回転機構Aにより同期してなされる。
【0045】
尚、とくに
図5~
図7において、指示記号43で示したものは、開閉装置4の内部へ異物が侵入するのを防止し、内部構造を外部の視線から遮る遮蔽部材であり、各第1Bヒンジシャフト11と第2Bヒンジシャフト14と、各第1Cヒンジシャフト12と第2Cヒンジシャフト15の間に取り付けられている。そこに設けられたネジ孔43a,43b、43c、43dには、フリクショントルク発生機構Cの各第1Cンジシャフト12と第2Cヒンジシャフト15を連結する第8連結部材52と第5連結部材49設けた取付孔52c、49cと、第4連結部材48と第3連結部材47に設けた取付孔48c、47cに図示してない取付ネジで取り付けられている。
【0046】
同期回転機構Aは、
図11に示したように、第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13の各軸方向へ第2連結部材46を挟んでそれぞれ変形軸部10a、10aと13a、13aに取り付けた第1プーリ53と第2プーリ54及び第3プーリ55と第4プーリ56へ、それぞれ両端部を逆方向に巻き付けた第1同期回転駆動ベルト28と第2同期回転駆動ベルト29で構成されている。第1プーリ53と第2プーリ54及び第3プーリ55と第4プーリ56は、それぞれ3個の同一径の第1a小プーリ53a、第1b小プーリ53b、第1c小プーリ53cと第2a小プーリ54a、第2b小プーリ54b、第2c小プーリ54c及び第3a小プーリ55a、第3b小プーリ55b、第3c小プーリ55cと第4a小プーリ56a、第4b小プーリ56b、第4c小プーリ56cを軸方向へ重ね合わせたもので、真ん中の第1b小プーリ53bと第2b小プーリ54b及び第3b小プーリ55bと第4b小プーリ56bには、その各外周に係止突片53d、54d及び55d、56dが設けられている。
【0047】
各第1同期回転駆動ベルト28と第2同期回転駆動ベルト29は、厚さ0.3mm程度の薄い柔軟性のある例えばステンレス鋼の金属製の薄肉シートであり、
図16の(a)にその展開図を示してある。図面に示したように、それぞれその両端部には、平面矩形状を呈した係止孔28a、28bと係止孔29a、29bが設けられ、中央部長手方向に長孔28cと29cが設けられている。まず、第1同期回転駆動ベルト28は、第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13に取り付けたそれぞれ第1プーリ53と第3プーリ55を構成する第1b小プーリ53b、第3b小プーリ55bにそれぞれ設けた係止突片53d、55dに係止孔28a、28bを係止しつつ当該第1プーリ53と第3プーリ55に対しそれぞれその両端部側を巻き付け方向を変えて巻き付けられている。
【0048】
次に、第2同期回転駆動ベルト29は、第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13に取り付けたそれぞれ第2プーリ54と第4プーリ56を構成する第2b小プーリ54bと第4b小プーリ56bにそれぞれ設けた係止突片54d、56dに係止孔29a、29bを係止させつつ、第1同期回転駆動ベルト28とは逆方向へ巻き付けられている。各第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13は、実施の形態1のものは4本の第1連結部材45、第2連結部材46、第3連結部材47、第4連結部材48で互いに回転可能に連結されると共に、その各両端部側を第1取付ベース7と第2取付ベース8に設けた第1A取付部材16及び第2A取付部材17に設けた円形軸受孔16aと17aに回転可能に軸支され、他端部側を第1B取付部材18及び第2B取付部材19に設けた変形軸受孔18aと19aへ係止させている。このことによって、第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13は、第1筐体2と第2筐体3の開閉操作に伴い第1取付ベース7と第2取付ベース8と共に回転可能となるように構成されている。
【0049】
次に、スライド機構Bについて説明する。このスライド機構Bは、第1取付ベース7側の第1スライド機構B1と、第2取付ベース8側の第2スライド機構B2から成るが、第1スライド機構B1と第2スライド機構B2は同じ構成である。したがって、本明細書において、単にスライド機構といった場合には、第1スライド機構B1と第2スライド機構B2の双方を指すものとする。
【0050】
まず、第1スライド機構B1から説明すると、
図5~
図7と
図12に示したように、この第1スライド機構B1は、第1Bヒンジシャフト11と、第1取付ベース7上に中央仕切壁7cとサイド仕切部材7d、7eによって仕切られたスライドガイド溝6a、6b内を第1Bヒンジシャフト11の半径方向へスライドする第1スライド部材34及び第2スライド部材35と、第1Bヒンジシャフト11のフランジ部11aを挟んで設けたところの変形軸部11b、11bに取り付けた第5プーリ57と第6プーリ58に巻き付け方向を逆にしてそれぞれその一端部側を巻き付け、他端部側を第1スライド部材34と第2スライド部材35に連結させた第1スライド機構駆動ベルト30及び第2スライド機構駆動ベルト31と、で構成されている。
【0051】
第2スライド機構B2は、同じく
図5~
図7と
図12に示したように、第2Bヒンジシャフト14と、第2取付ベース8上に中央仕切壁8cとサイド仕切部材8d、8eによって仕切られたスライドガイド溝9a、9b内を第2Bヒンジシャフト14の半径方向へスライドする第3スライド部材36及び第4スライド部材37と、第2Bヒンジシャフト14のフランジ部14aを挟んで設けた変形軸部14b、14bへ取り付けたところの第7プーリ59と第8プーリ60に巻き付け方向を逆にしてそれぞれその一端部側を巻き付け、他端部側を第3スライド部材36と第4スライド部材37に連結させた第3スライド機構駆動ベルト32及び第4スライド機構駆動ベルト33と、で構成されている。
【0052】
さらに詳しく説明すると、第1Bヒンジシャフト11と第2Bヒンジシャフト14の構成は同じであり、
図12に示したように、フランジ部11aとフランジ部14aを挟んで設けた変形軸部11b、11bと変形軸部14b、14bを設けたものであり、この変形軸部11a、11b・14b、14bを通して第5プーリ57と第6プーリ58、及び第7プーリ59と第8プーリ60を取り付けてある。各第5プーリ57と第6プーリ58、及び第7プーリ59と第8プーリ60は、それぞれ3個ずつの同一径の薄肉プーリである、第5a小プーリ57a、第5b小プーリ57b、第5c小プーリ57cと、第6a小プーリ58a、第6b小プーリ58b、第6c小プーリ58cと、第7a小プーリ59a、第7b小プーリ59b、第7c小プーリ59cと、第8a小プーリ60a、第8b小プーリ60b、第8c小プーリ60cとを重ね合わせてあり、それぞれ真ん中の第5小プーリ57b、第6小プーリ58b、第7小プーリ59b、第8小プーリ60bに係止片57d、58d、59d、60dが設けられている。
【0053】
第1スライド機構駆動ベルト30~第4スライド機構駆動ベルト33は、例えばステンレス鋼のような金属製の部材であり、約0.3mmの厚さのシート状のもので、同じ材料で同じ構成しており、それらはまた、第1同期回転駆動ベルト28と第2同期回転駆動ベルト29と同じ構成をしている。したがって、
図16の(b)にその1個の展開図を代表して示し、他のものは、それぞれの指示記号を付してある。図面に示したように、それぞれその両端部には、平面矩形状を呈した係止孔30a、30b・31a、31b・32a、32b・33a、33bが設けられ、各中央部長手方向に長孔30c、31c、32c、33cが設けられている。
【0054】
第1スライド部材34、第2スライド部材35、第3スライド部材36、及び第4スライド部材37は、同じ構成のものである。そのうちの第1スライド部材34を代表して
図9に図示し、他のスライド部材は()書きで指示記号を示してある。図面によれば、第1スライド部材34~第4スライド部材37は、どれも全体は平面略長方形状を呈し、肉厚部34a、35a、36a、37aと肉薄部34b、35b、36b、37bから成り、肉薄部34b、35b、36b、37bの先端部には、その伸長方向と直交する方向に第1リンク機構B3の第1リンク部材70と第2リンク機構B4の第2リンク部材71のリンク部材係合孔34c、35c、36c、37cが設けられると共に、その反対側の肉厚部34a、35a、36a、37aの部分に駆動ベルト取付凹部34d、35d、36d、37dが設けられ、さらに、この駆動ベルト取付凹部34d、35d、36d、37dとリンク部材係合孔34c、35c、36c、37cとの間の肉薄部34b、35b、36b、37bの下面に取付軸部34e、35e、36e、37eが設けられている。駆動ベルト取付凹部34d、35d、36d、37dの構成は、内部に駆動ベルト取付部34f、35f、36f、37fが傾設されると共に、この駆動ベルト取付部34f、35f、36f、37fの中央部には取付ネジ孔34g、35g、36g、37gが設けられている。さらに、駆動ベルト取付部34f、35f、36f、37fの前部と後部には、第1スライド機構駆動ベルト30~第4スライド機構駆動ベルト33を通す前側間隙34h、35h、36h、37hと、後側間隙34i、35i、36i、37iが設けられている。尚、前側間隙34h、35h、36h、37hは、前壁部34k、35k、36k、37kと駆動ベルト取付部34f、35f、36f、37fとの間に形成されている。
【0055】
そして、
図5と
図7に示したように、第1リンク機構B3と第2リンク機構B4の上面を覆って第1リンク機構側カバー97と第2リンク機構側カバー98が、第1取付ベース7と第2取付ベース8に設けた取付台部7u、7uと8u、8uに取り付けられて、第1リンク機構 B3と第2リンク機構B4のそれぞれの上面を覆っている。
【0056】
各第1A調整部材39、第1B調整部材40、第2A調整部材41、第2B調整部材42の各構成は同じであり、とくに
図10に示したように、その一端部側に係止突起39a、40a、41a、42aを有し、中央部にガイド長孔39b、40b、41b、42bが設けられている。
【0057】
各第1スライド機構駆動ベルトと30~第4スライド機構駆動ベルト33のうち、第1スライド機構駆動ベルト30と第2スライド機構駆動ベルト31は、とくに
図5~
図7と
図12及び
図20に示したように、その各一端部側を第1Bヒンジシャフト11に取付けた第5プーリ57と第6プーリ58に、前者は下側から、後者は上側から巻き付けられ、第5b小プーリ57bと第6b小プーリ58b設けられている係止片57d、58dに係止孔30a,31aを係合させつつ、巻き付けられている。
図20に示したように、第1スライド機構駆動ベルト30と第2スライド機構駆動ベルト31の各他端部のうち、前者は第1スライド部材34の前壁部34kの下側を通して駆動ベルト取付部34f上に導かれ、そこで第1A調整部材39に設けた係止突起39aに先端部の係止孔30aを挿入係合させた上で、調節ネジ38aで締め付けられることによって取り付けられている。後者は第2スライド部材35の前壁部35kの上側を通して駆動ベルト取付部35f上に導かれ、そこに第1B調整部材部材40に設けた係止突起40aに先端部の係止孔31aを挿入係合させた上で、調節ネジ38bで締め付けられることによって取り付けられている。したがって、第1A調整部材39と第1B調整部材40をスライドさせた上で、調節ネジ38a、38bを締め付けることによりそのテンションを自在に調節できる構成である。
【0058】
第3スライド機構駆動ベルト32と第4スライド機構駆動ベルト33は、その各一端部側を第2Bヒンジシャフト14に取り付けた第7プーリ59と第8プーリ60の第7b小プーリ59bと第8b小プーリ60bに、前者は下側から、後者は上側から、そこに設けられている係止片59dと60dに係止孔32a、33aを係合させつつ、巻き付けられている。
図20に示したように、これらの第3スライド機構駆動ベルト32と第4スライド機構駆動ベルト33の各他端部のうち、前者は第3スライド部材36の前壁部36kの下側を通して駆動ベルト取付部36f上に導かれ、そこで第2A調整部材41に設けた係止突起41aに先端部の係止孔32bを挿入係合させた上で、調節ネジ38cで締め付けることによって取り付けられている。後者は第2Bスライド部材37の前壁部37kを通して駆動ベルト取付部37f上に導かれ、そこに第2B調整部材42に設けた係止突起42aに先端部の係止孔33bを挿入係合させた上で、調節ネジ38dで締め付けることによって取り付けられている。したがって、第2A調整部材41と第2B調整部材42をスライドさせた上で、調節ネジ38c、38dを締め付けることによりそのテンションを自在に調節できる構成である。
【0059】
第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13には、とくに
図6に示したように、それぞれの回転角度を規制するストッパー機構Dが設けられている。このストッパー機構Dは、第1ストッパー機構D1と第2ストッパー機構D2から構成されている。
【0060】
まず、第1ストッパー機構D1は、とくに
図5~
図7に示したように、第1連結部材45に設けた取付片部45dと、第1取付ベース7に取り付けられ第1Aヒンジシャフト10を回転可能に軸支する第1A取付部材16に設けた係止段部16eから成り、第2ストッパー機構D2は、第1連結部材45に設けた取付片部45dと、第2取付ベース8に取り付けられ第2Aヒンジシャフト13を回転可能に軸支する第2A取付部材17に設けた係止段部17eから成る。そこで、第1取付ベース7と第2取付ベース8が、第1筐体2と第2筐体3の開閉操作と共に、90°ずつ回転すると、第1A取付部材16の係止段部16eと第2A取付部材17の係止段部17eが、第1連結部材45の取付片部45dへ当接し、それ以上の回転が規制される。尚、第1連結部材45は、とくに
図14に示したように、取付片部45dの他に、その本体部45aに第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13を回転可能に挿通させる円形軸受孔45b、45cを有している。また、第1ストッパー機構D1と第2ストッパー機構D2の各構成は、実施の形態1のものに限定されない。それは要するに第1筐体2と第2筐体3の開閉角度を0°~180°に規制すればよいので、公知技術を含めて様々な構成のものが考えられる。
【0061】
図18に示すように、第1リンク機構B3の第1リンク部材70は、平面視で略長円形状を呈している。この第1リンク部材70は、第1スライド部材34と第2スライド部材35の動きをリンクさせ、第2リンク部材71は、第3スライド部材36と第4スライド部材37の動きをリンクさせる部材である。即ち、第1リンク部材70は、
図8に示したように、その略中央部に第1取付ベース7に設けた軸支部7zを挿入させる回転軸孔70aと、その両端部に設けた一対の係合軸部70b、70cを有し、この係合軸部70b、70cを、
図6と
図7に示したように、第1スライド部材34と第2スライド部材35の各一端部に設けたリンク部材係合孔34c、35cと係合させている。したがって、この第1リンク部材70によって、第1スライド部材34と第2スライド部材35のいずれか一方が、連結された第1スライド機構駆動ベルト30か第2スライド機構駆動ベルト31によって巻き取られる際に、巻き戻される第2スライド機構駆動ベルト31か第1スライド機構駆動ベルト30によるスライド動作をアシストし、スムーズなスライド動作がなされるものである。
【0062】
次に、第2リンク部材71は、
図6と
図7及び
図18に示したように、その略中央部に第2取付ベース8に設けた軸支部8zを挿入させる回転軸孔71aと、その両端部に設けた一対の係合軸部71b、71cを有し、この係合軸部71b、71cを、第3スライド部材36と第4スライド部材37の各一端部に設けたリンク部材係合孔36c、37cと係合させている。したがって、この第2リンク部材71によって、第3スライド部材36と第4スライド部材37のいずれか一方が、連結された第3スライド機構駆動ベルト32か第4スライド機構駆動ベルト33によって巻き取られる際に、巻き戻される第4スライド機構駆動ベルト33か第3スライド機構駆動ベルト32によるスライド動作をアシストし、スムーズなスライド動作がなされるものである。
【0063】
図5と
図7に示すように、第1取付ベース7の上面側には、第1スライド部材34と第2スライド部材35を覆う第1スライド部材側カバー95が設けられている。この第1スライド部材側カバー95は、平面長方形状を呈した板状体であり、第1スライド部材34と第2スライド部材35の一部を覆っている。この第1スライド部材側カバー95は、第1取付ベース7に設けた取付台部7t、7tにビス等を用いて取り付けられている。また、第1スライド部材側カバー95は、第1スライド部材34と第2スライド部材35がスライドする際に、第1筐体2側に接触して、スムーズなスライド動作が阻害されるのを防止するものである。
【0064】
また、第2取付ベース8の収容部8bの上面側には、第3スライド部材36と第4スライド部材37を覆う第2スライド部材側カバー96が設けられている。この第2スライド部材側カバー96は、平面長方形状を呈した板状体であり、第3スライド部材36と第4スライド部材37の一部を覆っている。この第2スライド部材側カバー96は、第2取付ベース8に設けた取付台部8t、8t、8t、8tにビス等を用いて取り付けられている。また、第2スライド部材側カバー96は、第3スライド部材36と第4スライド部材37がスライドする際に、第2筐体3側に接触して、スムーズなスライド動作が阻害されるのを防止するものである。
【0065】
次に、フリクショントルク発生機構Cについて説明する。このフリクショントルク発生機構Cは、第1Cヒンジシャフト12の側に設けた第1フリクショントルク発生機構C1と、第2Cヒンジシャフト15の側に設けた第2フリクショントルク発生機構C2から成る。
【0066】
まず、第1フリクショントルク発生機構C1は、さらに第1フリクショントルク発生部C1-1と第2フリクショントルク発生部C1-2から成る。第1フリクショントルク発生部C1-1は、第1Cヒンジシャフト12側に設けられており、第1Cヒンジシャフト12の略中央部に設けた第1締付ネジ72に接して順に第1フリクションワッシャ73、複数枚の皿バネ74、さらに第2フリクションワッシャ75、第7連結部材51、第3フリクションワッシャ76、第8連結部材52、第4フリクションワッシャ77の順に構成されている。第2フリクショントルク発生部C1-2は、前記第1締付ネジ72に隣接して設けた第2締付ネジ78に接して設けた第5フリクションワッシャ79から順に、複数枚の皿バネ80、さらに第6フリクションワッシャ81、第6連結部材50、第7フリクションワッシャ82、第5連結部材49の順に構成されている。
【0067】
次に、第2フリクショントルク発生機構C2は、第2Cヒンジシャフト15の側に設けられており、第3フリクショントルク発生部C2-1と第4フリクショントルク発生部C2-2から成る。第3フリクショントルク発生部C2-1は、第2Cヒンジシャフト15の略中央部に設けた第3締付ネジ84に接して順に第8フリクションワッシャ85、複数枚の皿バネ86、さらに第9フリクションワッシャ87、第7連結部材51、第10フリクションワッシャ88、第8連結部材52、第11フリクションワッシャ89の順に構成されている。第4フリクショントルク発生部C2-2は、前記第3締付ネジ84に隣設して設けた第4締付ネジ90に接して設けた第12フリクションワッシャ91から順に、複数枚の皿バネ92、第13フリクションワッシャ93、第6連結部材50、第14フリクションワッシャ94、第5連結部材49の順に構成されている。
【0068】
したがって、第1筐体2と第2筐体3が開閉されると、第1フリクショントルク発生機構C1と第2フリクショントルク発生機構C2の各第1フリクショントルク発生部C1-1と第2フリクショントルク発生部C1-2及び第3フリクショントルク発生部C2-1と第4フリクショントルク発生部C2-2にフリクショントルクが発生する。
【0069】
次に、開閉装置4の動作について説明する。ユーザーは、端末機器1を手に持って、第1筐体2か第2筐体3のいずれか一方或は双方を開くことができる。この場合、例えば、第1筐体2側を一方の手で保持し、他方の手で第2筐体3側を開くと、その開成操作を通して同期回転機構Aの第1B取付部材18を介して第1Aヒンジシャフト10が回転することから、この回転駆動力は第1同期回転駆動第1ベルト28と第1同期回転駆動第2ベルト29を介して第2Aヒンジシャフト13ヘ伝達され、この回転駆動力により第2取付ベース8が第1取付ベース7とは反対方向へ回転するので、第1B取付部材18と第2B取付部材19を介して第1筐体2は第2筐体3とは反対方向へ開かれることになる。そうすると、第1取付ベース7と第2取付ベース8の開閉操作に伴い、第1D取付部材22を介して第1Cヒンジシャフト12が回転し、同時に第2D取付部材23を介して第2Cヒンジシャフト15が回転することになる。また、同時に第1連結筒部61を介して第1Bヒンジシャフト11が回転し、第2連結筒部63を介して第2Bヒンジシャフト14が回転する。そうすると、同期回転機構Aを介してスライド機構Bの第1スライド機構B1と第2スライド機構B2、並びにフリクショントルク発生機構Cの第1フリクショントルク発生機構C1と第2フリクショントルク発生機構C2が同時に動作することになる。
【0070】
上記動作は、第1筐体2と第2筐体3を閉じる際にも動きが逆になるだけで起きることになる。上記動作は、また、第1筐体2を主体的に操作しても、さらに、第1筐体2と第2筐体3を同時に操作しても、同期回転機構Aが動作してその回転駆動力を第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13へ伝達することから、第1Bヒンジシャフト11と第2Bヒンジシャフト14、並びに第1Cヒンジシャフト12と第2Cヒンジシャフト15が同時に回転することから同様に起きることになる。
【0071】
或いは、本発明にあっては、同期回転機構Aを用いなくともスライド機構Bは動作する。さらに、フリクショントルク発生機構Cは、これがあると第1筐体2と第2筐体3の開閉操作の際に第1筐体と第2筐体をフリーストップに安定停止保持できることになるが、これがなくともスライド機構Bは動作する。
【0072】
次に、スライド機構Bの動作について述べる。このスライド機構Bを構成する第1スライド機構B1と第2スライド機構B2は、同期回転機構Aを介して同期して動作して、第1Bヒンジシャフト11と第2Bヒンジシャフト14が共に逆方向へ回転することから、第1スライド機構駆動ベルト30及び第2スライド機構駆動ベルト31によって第1スライド部材34と第2スライド部材35がそれぞれ逆方向へ駆動され、第3スライド機構駆動ベルト32及び第4スライド機構駆動ベルト33によって、第3スライド部材36及び第4スライド部材37がそれぞれ逆方向へスライド動作する。この際に、各第1スライド機構駆動ベルト30~第4スライド機構駆動ベルト33を金属製の薄い材質のもので構成しても、第1リンク機構B3と第2リンク機構B4の各第1リンク部材70と第2リンク部材71が、巻き戻される側の第1スライド機構駆動ベルト30~第4スライド機構駆動ベルト34のどれかの動作をアシストし、この巻き戻されるスライド機構駆動ベルトに連結された第1スライド部材34~第4スライド部材37のどれかの動作をアシストして、ベルトのたわみを防止し、スムーズなスライドを行わせることができるものである。
【0073】
そして、開閉装置4のスライド機構Bの第1スライド機構B1と第2スライド機構B2の、各短い第2作動部材26bと第4作動部材27bの係合軸部26gと27gと係合しているところの
図3に示した第1筐体2と第2筐体3に設けた係合部3c(第1筐体2側のものは図示を省略)が、各引張コイルスプリング3d,3d、・・・(一方のみ図示)の牽引力に抗して互いに離れる方向へスライドすることから、第1筐体2と第2筐体3の両表面に渡って張設してあるフレキシブルディスプレイシート5aを外方向へ引っ張ることになり、当該フレキシブルディスプレイシート5aにしわが寄ることを防止できるものである。
【0074】
そして、第1筐体2と第2筐体3の開閉操作時においては、フリクショントルク発生機構Cの第1フリクショントルク発生機構C1と第2フリクショントルク発生機構C2が共に動作して、上記したように、フリクショントルクを創出させるので、第1筐体2と第2筐体3はどの開閉角度においてもフリーストップに安定停止保持でき、しっくりとした操作感覚を提供できるものである。
【0075】
この実施の形態1の開閉装置4の開閉角度は、0°から180°の間であり、第1筐体2と第2筐体3が90°ずつ合計180°まで開かれると、第1Aヒンジシャフト10と第2Aヒンジシャフト13を連結する第1連結部材45の取付片部45dと、第1A取付部材16と第2A取付部材17に設けてある係止段部16e、17eが当接することにより、それ以上開かれることは阻止されるものである。
【0076】
[実施の形態2]
次に、
図21乃至
図23は、本発明に係る開閉装置及びこの開閉装置を用いたところのノート型パソコンに係る端末機器の他の実施形態を示す。この実施の形態2に係る開閉装置101にあっては、図示は省略してあるが、実施の形態1で示した開閉装置4のように、第1取付ベース7と第2取付ベース8がガイドレール7n、7nや8n、8nを有しないことや、引張コイルスプリング2d、2d・・・、3d、3d・・・やストッパー機構Dなどを設けてない点を除けば、その他の構成、例えば同期回転機構A、スライド機構B、フリクショントルク発生機構Cなどの構成は、実施の形態1のものと同じである。
【0077】
したがって、この実施の形態2の開閉装置101は、第1筐体2と第2筐体3を
図21から
図23に示したように、0°から360°の間で開閉できることになる。さらに、端末機器100の第1筐体102と第2筐体103の上面には、
図22と
図23に示したように、それぞれ個別に第1ディスプレイシート104と第2ディスプレイシート105が張設されている。この実施の形態2の場合には、第1筐体102と第2筐体103の開閉操作に伴い、実施の形態1のとくに
図17に示した第1作動部材26aと第3作動部材27a及び第2作動部材26bと第4作動部材27bを用い、図示してない連結部材を介して第1筐体102と第2筐体103の内部、或は外部に装備した図示を省略した各種動作機構を動作させることができるものである。場合によっては、第1スライド機構と第2スライド機構を同時にフリクショントルク発生機構に併用することもできよう。第1作動部材26aと第3作動部材27aには、とくに
図17(a)に示したように、軸支孔26c、27cが設けられると共に、一端部側に作動軸部26d、27dが、他端部側に連結長孔26e、27eが設けられている。また、第2作動部材2bと第3作動部材27bには、これもとくにぅ17に示したようにとくに
図17の(b)に示したように、軸支孔26f、27fが設けられると共に、一端部側に作動軸部26g、27gが、他端部側に連結長孔26h、27hが設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、以上のように構成したので、端末機器の第1筐体と第2筐体の厚さを薄くすることのできる開閉装置、或は第1筐体と第2筐体の両面に渡ってフレキシブルディスプレイシートを設けた端末機器の開閉装置、さらには、第1筐体と第2筐体の内部機構や外部機構を操作できる開閉装置、並びにこれらの開閉装置を用いた端末機器として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0079】
A 同期回転機構
B スライド機構
B1 第1スライド機構
B2 第2スライド機構
B3 第1リンク機構
B4 第2リンク機構
C フリクショントルク発生機構
C1 第1フリクション機構発生機構
C1-1 第1フリクショントルク発生部
C1-2 第2フリクショントルク発生部
C2 第2フリクション機構発生機構
C2-1 第3フリクショントルク発生部
C2-2 第4フリクショントルク発生部
D ストッパー機構
D1 第1ストッパー機構
D2 第2ストッパー機構
1 端末機器
2 第1筐体
2a 第1取付ベース収容部
2b ガイド溝
3 第2筐体
3a 第2取付ベース収容部
3b ガイド溝
4 開閉装置
5a フレキシブルディスプレイシート
5b クッションシート
6a スライドガイド溝
6b スライドガイド溝
7 第1取付ベース
7a 壁部
7b 収容部
7c 中央仕切壁
7d サイド仕切部材
7e サイド仕切部材
7h 取付部
7i 取付部
7j 取付部
7k 取付部
7m 取付部
7n ガイドレール
7o 取付孔
7p 取付孔
7q 取付孔
7r 取付孔
7s 取付孔
7t 取付台部
7u 取付台部
7x 取付軸部
7y 取付軸部
7z 軸支部
8 第2取付ベース
8a 壁部
8b 収容部
8c 中央仕切壁
8d サイド仕切部材
8e サイド仕切部材
8h 取付部
8i 取付部
8j 取付部
8k 取付部
8m 取付部
8n ガイドレール
8o 取付孔
8p 取付孔
8q 取付孔
8r 取付孔
8s 取付孔
8t 取付台部
8u 取付台部
8x 取付軸部
8y 取付軸部
8z 軸支部
9a スライドガイド溝
9b スライドガイド溝
10 第1Aヒンジシャフト
11 第1Bヒンジシャフト
12 第1Cヒンジシャフト
13 第2Aヒンジシャフト
14 第2Bヒンジシャフト
15 第2Cヒンジシャフト
16 第1A取付部材
18 第1B取付部材
20 第1C取付部材
22 第1D取付部材
24 第1E取付部材
17 第2A取付部材
19 第2B取付部材
21 第2C取付部材
23 第2D取付部材
25 第2E取付部材
26a 第1作動部材
26b 第2作動部材
27a 第3作動部材
27b 第4作動部材
28 第1同期回転駆動ベルト
29 第2同期回転駆動ベルト
30 第1スライド機構駆動ベルト
31 第2スライド機構駆動ベルト
32 第3スライド機構駆動ベルト
33 第4スライド機構駆動ベルト
34 第1スライド部材
35 第2スライド部材
36 第3スライド部材
37 第4スライド部材
38a 調節ネジ
38b 調節ネジ
38c 調節ネジ
38d 調節ネジ
39 第1A調整部材
40 第1B調整部材
41 第2A調整部材
42 第2B調整部材
43 遮蔽部材
44 サイドカバー部材
45 第1連結部材
46 第2連結部材
47 第3連結部材
48 第4連結部材
49 第5連結部材
50 第6連結部材
51 第7連結部時
52 第8連結部材
53 第1プーリ
53a 第1a小プーリ
53b 第1b小プーリ
54c 第1c小プーリ
54d 係止片
54 第2プーリ
54a 第2a小プーリ
54b 第2b小プーリ
54c 第2c小プーリ
54d 係止片
55 第3プーリ
55a 第3a小プーリ
55b 第3b小プーリ
55c 第3c小プーリ
55d 係止片
56 第4プーリ
56a 第4a小プーリ
56b 第4b小プーリ
56c 第4c小プーリ
56d 係止片
57 第5プーリ
57a 第5a小プーリ
57b 第5b小プーリ
57c 第5c小プーリ
57d 係止片
58 第6プーリ
58a 第6a小プーリ
58b 第6b小プーリ
58c 第6c小プーリ
58d 係止片
59 第7プーリ
59a 第7a小プーリ
59b 第7b小プーリ
59c 第7c小プーリ
59d 係止片
60 第8プーリ
60a 第8a小プーリ
60b 第8b小プーリ
60c 第8c小プーリ
60d 係止片
61 第1連結筒部
62 押えワッシャー
63 第2連結筒部
64 押えワッシャ
70 第1リンク部材
71 第2リンク部材
72 第1締付ネジ
73 第1フリクションワッシャ
74 皿バネ
75 第2フリクションワッシャ
76 第3フリクションワッシャ
77 第4フリクションワッシャ
78 第2締付ネジ
79 第5フリクションワッシャ
80 皿バネ
81 第6フリクションワッシャ
82 第7フリクションワッシャ
84 第3締付ネジ
85 第8フリクションワッシャ
86 皿バネ
87 第9フリクションワッシャ
88 第10フリクションワッシャ
89 第11フリクションワッシャ
90 第4締付ネジ
91 第12フリクションワッシャ
92 皿バネ
93 第13フリクションワッシャ
94 第14フリクションワッシャ
100 端末機器
101 開閉装置
102 第1筐体
103 第2筐体
104 第1ディスプレイシート
105 第2ディスプレイシート