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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099279
(43)【公開日】2023-07-12
(54)【発明の名称】タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/04 20060101AFI20230705BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20230705BHJP
   G01N 27/00 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
G01N17/04
G01N27/04 Z
G01N27/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022092974
(22)【出願日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】202111649568.2
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519308156
【氏名又は名称】ティーピーケイ アドバンスド ソリューションズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TPK ADVANCED SOLUTIONS INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リウ シャオジエ
(72)【発明者】
【氏名】シュー シーチャン
(72)【発明者】
【氏名】ユー チエンシン
(72)【発明者】
【氏名】リン チアジュイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】カオ ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】ラン メイファン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジュンフア
(72)【発明者】
【氏名】バイ メイフェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ソンシン
【テーマコード(参考)】
2G050
2G060
【Fターム(参考)】
2G050AA07
2G050BA02
2G050CA03
2G050EB02
2G050EC05
2G060AA10
2G060AD04
2G060AE28
2G060AF07
2G060AG03
2G060EA08
2G060HC15
2G060KA11
(57)【要約】
【課題】塩水噴霧試験後に正常な動作機能を提供可能なタッチセンサを提供すること。
【解決手段】タッチセンサは、基板と、複数の検出チャネルと、保護層とを含む。検出チャネルは、基板の表面において間隔を空けて配置される。複数の検出チャネルのいずれか1つは、電極部と、電極部に電気的に接続された銀配線部とを含む。保護層は、基板に配置され、検出チャネルを覆う。タッチセンサに対して、気温35℃で48時間、質量パーセント濃度が5%の塩化ナトリウム溶液を用いて、1mL/H~2mL/Hの流量で塩水噴霧試験を実施した後、複数の検出チャネルのいずれか1つの抵抗変化率は10%以下であり、検出チャネルにおける抵抗分布差は10%以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチセンサであって、
基板と、
前記基板の表面において間隔を空けて配置された複数の検出チャネルであって、それぞれが電極部と、前記電極部に電気的に接続された銀配線部とを備えた複数の検出チャネルと、
前記基板に配置され、前記検出チャネルを覆う保護層と
を備え、
前記複数の検出チャネル及び前記保護層は、塩水噴霧試験に耐えるように構成されており、
前記タッチセンサに対して、気温が35℃で48時間、質量パーセント濃度が5%の塩化ナトリウム溶液を用いて、1mL/H~2mL/Hの流量で塩水噴霧試験を実施した後、前記検出チャネルの少なくとも1つの抵抗変化率が10%以下であり、前記複数の検出チャネルにおける抵抗分布差が10%以下である、タッチセンサ。
【請求項2】
前記保護層は、前記基板の支持面と前記銀配線部の上面に直接接触し、
前記保護層は、前記基板の反対側に位置する上面を有し、
前記保護層の上面と前記銀配線部の上面との垂直距離は、前記銀配線部の厚さの20%以上である、請求項1に記載のタッチセンサ。
【請求項3】
前記保護層の上面と前記銀配線部の上面との前記垂直距離と、前記銀配線部の上面と前記基板の支持面との垂直距離との合計が12μm以下である、請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項4】
前記銀配線部の厚さは、1μm以上かつ9μm以下の範囲内である、請求項2に記載のタッチセンサ。
【請求項5】
前記保護層の水蒸気透過性が、400g/(m×日)以上かつ1500g/(m×日)以下の範囲内である、請求項1~4のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項6】
前記電極部は、基質と、前記基質内に配置された複数の金属ナノワイヤとを含む金属ナノワイヤ電極部である、請求項1~4のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【請求項7】
前記検出チャネルの少なくともいずれか1つはさらに、金属ナノワイヤ配線部を含み、
前記金属ナノワイヤ配線部及び前記銀配線部は積層され、
前記金属ナノワイヤ配線部は、前記銀配線部と前記基板との間に位置し、
前記金属ナノワイヤ配線部は、前記金属ナノワイヤ電極部に接続され、
前記金属ナノワイヤ配線部及び前記金属ナノワイヤ電極部は同一平面上にあり、
前記金属ナノワイヤ配線部及び前記銀配線部は、前記タッチセンサの周辺回路を少なくとも構成する、請求項6に記載のタッチセンサ。
【請求項8】
前記電極部は網目状であり、
前記電極部及び前記銀配線部が同一平面上にある、請求項1~4のいずれか1項に記載のタッチセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料にとってミスト状の塩水による腐食は、一般的に起こり得る破壊的な大気による腐食である。塩水内の塩化物イオンは、金属材料の表面の酸化物層を通過し、金属材料内の金属と電気化学的に反応して、金属材料に欠陥が生じる。したがって、多くの電子製品に対して塩水噴霧試験を実施して、塩水に対する耐性を調べることがよく行われる。
【0003】
一般に、電子製品が塩水噴霧試験で合格しているか否かは、通常、電子製品の外観を肉眼で検査することによって判断される。例えば、タッチセンサの場合、通常、肉眼検査により、電極や回路等の金属部品の表面に痕跡、変色、及び他の変化があるか否かを判断する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子製品に対する一層高い品質基準が要求される状況では、従来の肉眼検査では、塩水噴霧試験によって金属部品に損傷が生じたか否かを正確に判断できないため、検査結果が不正確になることがよくあり、製品の品質が劣化する。従って、塩水噴霧試験後に正常な動作機能を提供可能なタッチセンサをどのように提供するかについて、現在のところ研究する価値がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態によれば、タッチセンサは、基板と、複数の検出チャネルと、保護層とを含む。検出チャネルは、基板の表面において間隔を空けて配置されており、検出チャネルのいずれか1つは、電極部と、電極部に電気的に接続された銀配線部とを含み得る。保護層は、基板に配置され、検出チャネルを覆うことができる。タッチセンサに対して、気温35℃で48時間、質量パーセント濃度が5%の塩化ナトリウム溶液を用いて、1mL/H~2mL/Hの流量で塩水噴霧試験を実施した後、複数の検出チャネルのいずれか1つの抵抗変化率は10%以下であり、複数の検出チャネルにおける抵抗分布差は10%以下である。
【0006】
本開示のいくつかの実施形態では、保護層は、基板の支持面及び銀配線部の上面と直接接触し、保護層は、基板の反対側に位置する上面を有し、保護層の上面と銀配線部の上面との垂直距離は、銀配線部の厚さの20%以上とし得る。
【0007】
本開示のいくつかの実施形態では、保護層の上面と銀配線部の上面との垂直距離と、銀配線部の上面と基板の支持面との垂直距離の和は、12μm以下とし得る。
【0008】
本開示のいくつかの実施形態では、銀配線部の厚さは、1μm以上かつ9μm以下の範囲内とし得る。
【0009】
本開示のいくつかの実施形態では、保護層の水蒸気透過性は、400g/(m×日)以上かつ1500g/(m×日)以下の範囲内とし得る。
【0010】
本開示のいくつかの実施形態では、電極部は、基質と、基質内に配置された複数の金属ナノワイヤとを含む金属ナノワイヤ電極部とし得る。
【0011】
本開示のいくつかの実施形態では、複数の検出チャネルの少なくともいずれか1つは、金属ナノワイヤ配線部をさらに含み得る。金属ナノワイヤ配線部及び銀配線部は、積層され得る。金属ナノワイヤ配線部は、銀配線部と基板との間に位置し、金属ナノワイヤ電極部に接続され得る。金属ナノワイヤ配線部及び金属ナノワイヤ電極部は、同一平面上に位置し得る。金属ナノワイヤ配線部及び銀配線部は、少なくともタッチセンサの周辺回路を構成し得る。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態では、保護層は、基板の支持面及び銀配線部の上面に直接接触し、基板の反対側に位置する上面を有し得る。保護層の上面と銀配線部の上面の垂直距離は、銀配線部の厚さの20%以上とし得る。保護層の上面と銀配線部の上面の垂直距離と、銀配線部の上面と基板の支持面の垂直距離との和は、12μm以下とし得る。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態では、電極部は網目状とし得る。電極部及び銀配線部は、同一平面上に位置し得る。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態では、電極部は、少なくともタッチセンサの接触電極を構成し、銀配線部は、少なくともタッチセンサの周辺回路を構成し得る。
【発明の効果】
【0015】
上述した本開示の実施形態により、本開示のタッチセンサに対して48時間の塩水噴霧試験を実施した後、タッチセンサの複数の検出チャネル(センシングチャネル)のいずれか1つの抵抗変化率を小さくすることができ、また、複数の検出チャネルにおける抵抗分布差を小さくすることができ、本開示によって定義される電気特性を有することができる。従って、外観検査よりも厳密で正確な電気試験で検査した場合、本開示のタッチセンサは、塩水噴霧試験後に正常な動作機能を提供可能であることが保証される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示は、以下の添付図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、より完全に理解することができる。
図1】本開示のいくつかの実施形態に係るタッチセンサを示す概略的な部分断面図である。
図2】本開示のいくつかの実施形態に係る検出チャネルの抵抗の測定方法を示す概略図である。
図3】本開示のいくつかの他の実施形態に係るタッチセンサを示す概略的な部分断面図である。
図4】塩水噴霧試験が実施されたタッチセンサの走査電子顕微鏡(SEM)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に示されている本開示の本実施形態及び実施例について詳細に説明する。しかしながら、これらの詳細は、本開示を限定するものではないことを理解すべきである。なお、図面中の各部品の大きさについては、読者の便宜のため、実際の大きさで描かれていない。本明細書では、「下側」又は「下側」及び「上側」又は「上側」等の相対的な用語は、図に示すように、或る部品と別の部品との関係を説明するために用いられることを理解すべきである。相対的な用語は、図に示す装置の向きとは異なる向きを含み得ることを理解すべきである。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態に係るタッチセンサ100を示す概略的な部分断面図である図1を参照する。タッチセンサ100は、基板110と、複数の検出チャネル120(図1には、複数の検出チャネル120のうちの1つのチャネルの一部のみが示されている)と、保護層130とを含む。いくつかの実施形態では、タッチセンサ100は、可視領域VAと周辺領域PAとを備えており、周辺領域PAは、可視領域VAの少なくとも一方側に配置される。基板110は、検出チャネル120及び保護層130を支持するように構成されており、例えば、剛性の透明基板又は可撓性の透明基板とし得る。いくつかの実施形態では、基板110の材料は、透明材料、例えば、ガラス、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、無色ポリイミド、又はこれらの組み合せなどを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、基板110は、異なる機能的な要件(例えば、光学的な要件及び信頼性の要件)を満たすコーティング層(図示せず)を用いて、表面処理を施すことができ、又は被覆することができる。本開示では、これらの追加の表面処理層又はコーティング層は、基板110の一部とみなされる。
【0019】
複数の検出チャネル120は、基板110の支持面111において間隔を空けて配置され、単一の検出チャネル120が、可視領域VAから周辺領域PAまで延在して、可視領域VA及び周辺領域PAに跨がる電子伝達経路を形成する。具体的には、単一の検出チャネル120は、電極部120aと、銀配線部120bとを含む。電極部120aは主に、可視領域VAに位置し、周辺領域PAに部分的に延在することにより、タッチ機能を実現する。銀配線部120bは、周辺領域PAに位置し、電極部120aと電気的に接続されることにより、信号を、外部コントローラ等の電子部品に送信する。換言すると、電極部120aは、タッチセンサ100の接触電極を少なくとも構成し、銀配線部120bは、タッチセンサ100の周辺回路を少なくとも構成し得る。図1に示す実施形態では、電極部120aと銀配線部120bの電気的接続は、銀配線部120bの一部が、周辺領域PA内に延在する電極部120aを覆うことによって実現される。換言すると、電極部120a及び銀配線部120bは、タッチセンサ100の周辺領域PAで重なり、互いに電気的に接続される。
【0020】
電極部120aは、様々な構成を有することができ、また、電極部120aの材料として様々な材料を選択できるため、タッチセンサ100は、様々な応用が可能である。いくつかの実施形態では、電極部120aは、基板110に配置された片面単層の電極構造、両面単層の電極構造、片面二層の電極構造、又はブリッジ型の単層の電極構造とし得る。図1に示す実施形態では、電極部120aは、基板110の片面に配置された単層の電極構造の一例であり、複数の電極部120aが組み合わされずに配置される。例えば、電極部120aは、第1の方向D1に延在し、かつ、第1の方向D1と直交する第2の方向D2において間隔を空けて配置された帯状の電極とし得る。いくつかの実施形態では、電極部120aは、例えば、金属ナノワイヤの電極部(以下、「金属ナノワイヤ電極部」とする。)、金属の電極部(以下、「金属の電極部」とする。)、又は金属酸化物の電極部(以下、「金属酸化物電極部」とする。)とし得る。具体的には、金属ナノワイヤ電極部は、基質と、基質内に配置された複数の金属ナノワイヤとを含み得る。基質は、ポリアクリレート、エポキシ樹脂、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリ(シリコンーアクリル酸)、ポリウレタン、又はこれらの物質の混合物等のポリマーを含み得る。金属ナノワイヤは、銀ナノワイヤ、金ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、ニッケルナノワイヤ、又はこれらの組み合わせを含み得る。具体的には、金属電極部は、銀又は銅とし得る。電極部120aが金属電極部である場合、電極部120aはさらに、複数の細い金属線が組み合わされた網目状等の特別のパターンを有するように構成でき、その結果、電極部120aが見え難くなる。また、電極部120a及び銀配線部120bは、同一平面上にある(換言すると、電極部120aは、図示しない銀配線部120bと同一平面上にある)。具体的には、金属酸化物電極部は、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、カドミウム錫酸化物、アルミニウムドープ酸化亜鉛、又はこれらの組み合わせを含み得る。以下の実施形態では、電極部120aとして金属ナノワイヤ電極部を例示する。
【0021】
銀配線部120bは、銀を含む。銀配線部120bは、スクリーン印刷により、基板110の支持面111と、周辺領域PAに延在する電極部120aの少なくとも一部とに形成することができる。銀配線部120bは、形成された後、上面121b、換言すると、基板110と反対側に位置する面を有する。具体的には、銀ペーストを含む溶液が、スクリーン印刷によって基板110に付された後、その溶液を硬化及び乾燥させて、周辺領域PA全体に銀層を形成できる。次いで、銀層にパターンが形成され、銀配線部120bが周辺領域PAに形成される。
【0022】
保護層130は、基板110の全面に配置され、可視領域VA及び周辺領域PAを覆い、その結果、基板110の各検出チャネル120を覆う。換言すると、保護層130は、各電極部120aと、各銀配線部120bを覆う。いくつかの実施形態では、保護層130の材料は、絶縁材料、例えば、アクリル材料、フッ素含有アクリル材料、エポキシ樹脂、又はこれらの組合せ等とし得る。アクリル材料は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)とし得る。保護層130は、検出チャネル120を水蒸気による腐食から守ることができる。その結果、質量パーセント濃度が5%、PHが6.5~7.2の塩化ナトリウム溶液を用いて、1mL/H~2mL/Hの流量で48時間、塩水噴霧試験(塩水噴霧試験の実施方法については、標準的な方法であるGB/T2423.17:2008「Environmental Testing of Electrical and Electronic Products, Part II: Test method Ka: salt spray(電気製品及び電子製品の環境試験、第2:試験方法Ka:塩水噴霧)」を参照されたい)を実施後の本開示のタッチセンサ100の電気特性は、少なくとも数式(1)及び数式(2)の関係を満たす。数式(1)及び数式(2)を以下に記す。
【数1】
【数2】
【0023】
数式(1)では、RT0は、塩水噴霧試験前のタッチセンサ100の検出チャネル120のいずれか1つの抵抗であり、RT48は、塩水噴霧試験を48時間実施した後の同じ検出チャネル120の抵抗である。数式(1)は、タッチセンサ100に塩水噴霧試験を48時間実施した後のいずれかの検出チャネル120の抵抗変化率が、10%以下であることを示す。数式(2)では、RMAXは、塩水噴霧試験を48時間実施した後の全ての検出チャネル120のうち、抵抗が最大の検出チャネル120の抵抗である。RMINは、塩水噴霧試験を48時間実施した後の全ての検出チャネル120のうち、抵抗が最小の検出チャネル120の抵抗である。数式(2)は、タッチセンサ100に塩水噴霧試験を48時間実施した後の全ての検出チャネル120における抵抗分布差が、10%以下であることを示す。なお、本開示における「検出チャネル120における抵抗分布差」は、「検出チャネル120における抵抗差の程度」を意味することに留意すべきである。検出チャネル120における抵抗分布差が小さい程、全ての検出チャネル120の抵抗分布の範囲が小さくなり、全ての検出チャネル120の抵抗値が近くなる。上述した電気特性を満たすことにより、本開示のタッチセンサ100は、銀配線部120bの上面121bの外観の痕跡や変色の有無にかかわらず、塩水噴霧試験後に正常なタッチ操作機能を提供することができる。
【0024】
検出チャネル120の抵抗を測定する方法についてさらに補足する。検出チャネル120の抵抗の測定方法を示す概略図である図2を参照する。測定機器は、第1のプローブ及び第2のプローブを備えたFluke(登録商標)マルチメータ(モデル:F287C)であり、測定は、常温の環境下で行われる。具体的には、測定方法は、以下の工程を含む。工程1では、測定機器の電源を入れ、測定機器の回転式スイッチを抵抗の測定位置にする。工程2では、2つのプローブを接触させて、目盛りをゼロに較正する。工程3では、較正された第1のプローブを、検出チャネル120の電極部120aの端部の任意の位置P1に接触するように配置し、較正された第2のプローブを、通常は導電性パッド150として設計される同一の検出チャネル120の銀配線部120bの端部の任意の位置P2に接触するように配置して、検出チャネル120の抵抗を測定する。工程4では、工程3を3回繰り返し、3回の測定で得られた3つの抵抗の平均値を算出し、その平均値を検出チャネル120の抵抗とする。以上の工程により、数式(1)の抵抗RT0が得られる。次に、上述した条件でタッチセンサ100に塩水噴霧試験を48時間実施した後、タッチセンサ100を塩水噴霧試験の環境から取り出し、抵抗RT0が測定された同一の検出チャネル120に対して、工程1~工程4を順次行うことにより、数式(1)の抵抗RT48が得られる。さらに、タッチセンサ100を上述した条件で塩水噴霧試験を48時間実施した後、タッチセンサ100を塩水噴霧試験の環境から取り外し、全ての検出チャネル120について工程1~工程4を順次行うことにより、数式(2)の抵抗RMAX及び抵抗RMINが得られる。
【0025】
いくつかの実施形態では、タッチセンサ100の電気特性はさらに、「検出チャネル120の2つの隣接する検出チャネル120の間の絶縁抵抗が100MΩ以上である」という条件を満たすことにより、隣接する2つの検出チャネル120において短絡が生じないことを保証してもよい。絶縁抵抗を測定する方法は、以下の工程を含み得る。まず、上述した工程1及び工程2を順次行う。次に、工程2が実行された後、較正された第1のプローブが、接触検出チャネル120の任意の位置P3に接触するように配置され、次いで、較正された第2のプローブが、較正された第1のプローブと接触した検出チャネル120に隣接する検出チャネル120の任意の位置P4に接触するように配置される。これにより、隣接する2つの検出チャネル120の間の絶縁抵抗が得られる。
【0026】
タッチセンサ100の保護層130及び銀配線部120bの特別な設計について、以下でさらに説明する。保護層130は、基板110の支持面111及び銀配線部120bの上面121bに直接接触し、基板110の反対側に位置する上面131を有する。保護層130の上面131と銀配線部120bの上面121bとの垂直距離d2(換言すると、銀配線部120bの直上の保護層130の厚さT2)と、銀配線部120bの上面121bと基板110の支持面111との垂直距離d1(換言すると、銀配線部120bの厚さT1)との関係を設計し、かつ、保護層130の材料特性を設計することにより、本開示のタッチセンサ100は、塩水噴霧試験が48時間実施された後、外観検査よりも厳密で正確な電気的試験に確実に合格することができる。以下、「保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1との関係」及び「保護層130の材料特性」について続けて説明する。
【0027】
「保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1との関係」の設計について、通常、銀配線部120bの上面を覆う保護層130の厚さT2が大きい程、保護層130による銀配線部120bの保護が強化される。換言すると、保護層130の厚さT2が厚くなると、保護層130は、塩水噴霧試験後のタッチセンサ100が電気試験に合格する確率に良い影響を与える。しかしながら、保護層130の厚さT2が厚すぎると、タッチセンサ100の光学特性に悪影響を与える可能性があり、また、タッチセンサ100の柔軟性が制限されることがあり、さらに、コストが増加する可能性がある。これらの要因を総合的に考慮し、本開示の保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1は、下記数式(3)及び数式(4)の関係を満たすように設計される。
【数3】
【数4】
【0028】
数式(3)及び数式(4)では、T1は、銀配線部120bの厚さであり、T2は、銀配線部120bの上面を覆う保護層130の厚さである。数式(3)は、銀配線部120bの上面を覆う保護層130の厚さT2が、銀配線部120bの厚さT1の20%以上であることを示している。換言すると、保護層130の上面131と銀配線部120bの上面121bとの垂直距離d2は、銀配線部120bの厚さT1の20%以上である。また、数式(4)は、銀配線部120bの厚さT1と、銀配線部120bの上面を覆う保護層130の厚さT2との和が、12μm以下であることを示している。換言すると、保護層130の上面131と銀配線部120bの上面121bとの垂直距離d2と、銀配線部120bの上面121bと基板110の支持面111との垂直距離d1との和は、12μm以下である。保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1が、数式(3)及び数式(4)の関係を満たすことにより、タッチセンサ100は、タッチセンサ100の電気的な要件、信頼性の要件、光学的な要件及び構造的な要件(例えば、柔軟性)を満たすことができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、保護層130は、スクリーン印刷によって基板110に形成できる。本開示では、1回のスクリーン印刷で形成可能な保護層130の全体の厚さの限界に基づき、銀配線部120bの厚さT1と、銀配線部120bを覆う保護層130の厚さT2との和を12μm以下とする。このように、スクリーン印刷工程を1回のみ行って保護層130を形成することを前提とし、かつ、コストの考慮を考慮して、タッチセンサ100は、タッチセンサ100の電気的な要件、信頼性の要件、光学的な要件、及び構造的な要件(例えば、柔軟性)を満たすことができる。例えば、6μm~8μm程度の厚さの絶縁材料を、1回のスクリーン印刷工程で銀配線部120bに形成でき、また、完全に硬化していない(換言すると、完全に形成されていない)絶縁材料が、隣接する複数の銀配線部120bの間に部分的に流れ込むことができる。これにより、銀配線部120bを覆う保護層130の厚さT2と、銀配線部120bの厚さT1(すなわち、厚さT1+厚さT2)との合計が12μm以下となるように調整される。換言すると、タッチセンサ100の電気特性の要件及び信頼性の要件を満たすべく、厚さT1と厚さT2の合計が12μmを超えるように設計した場合、複数のスクリーン印刷工程が行われることによって、タッチセンサ100のコストが増え、また、タッチセンサ100の全体の厚さが増加するため、本開示の上記要件を満たすことができない。補足として、当業者であれば、スクリーン印刷によって形成される層の厚さに影響を与える要因には、例えば、スクリーン印刷のスキージ速度、スクリーンメッシュ数、スクリーン印刷のスキージの圧力等のパラメータが含まれることを理解できるであろう。
【0030】
また、別の補足として、銀配線部120bのスクリーン印刷工程において、スクリーン印刷プレートを取り除きながら、スクリーン印刷プレートを用いて銀ペーストを取り除いてもよい。その結果、銀配線部120bの上面121bに僅かな凹凸が形成され得る。したがって、顕微鏡で観察すると、銀配線部120bの上面121bは、通常、図1の部分的に拡大された範囲に示すように平らでない。本開示では、銀配線部120bの上面121bの均一性の程度はさらに、「単位を%とする、U(%)で表される均一性割合」によって定量化できる。より詳細には、銀配線部120bの上面121bの均一性割合は、下記式(5)によって定義できる。
【数5】
【0031】
式(5)では、DMAXは、基板110の支持面111と、選択された1つの銀配線部120bの上面121bの最高点Aとの垂直距離である。10倍の対物レンズ及び10倍の眼レンズの観察範囲で光学顕微鏡を用いて観察した場合、選択された銀配線部120bの上面121bのランダムに選択された4点の中から最高点Aが選択される。DMINは、基板110の支持面111と、選択された4点の中から選択された銀配線部120bの上面121bの最下点Bとの垂直距離である。銀配線部120bの上面121bの均一性の程度を式(5)で定量化する場合、均一性分布を10%以上かつ30%以下に調整することが好ましい。均一性分布が大きい場合、銀配線部120bの上面121bにおける各点の高低差が大きくなり(すなわち、変動の程度が大きい)、銀配線部120bの上面121bの凹凸が大きくなる。銀配線部120bの上面121bの均一性分布が上述した適切な範囲に調整することにより、銀配線部120bの上面121bの均一性分布が、保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1との関係の設計に与える付加的な影響を、さらに低減することができる。
【0032】
また、スクリーン印刷によって銀配線部120bを形成した場合、銀ペーストの粘性が、銀配線部120bの厚さT1に影響を与え、また、銀配線部120bの上面121bの均一性の程度(均一性分布)に影響を与えることがある。通常、銀ペーストの粘性が高い場合、スクリーン印刷によって形成される銀配線部120bの厚さT1が大きくなり、また、銀配線部120bの配線抵抗が小さくなる。しかしながら、銀ペーストの粘性が高い場合、銀ペーストのスクリーン印刷の調整が難しくなり、銀配線部120bの上面121bの均一性分布が悪くなる(大きくなる)。本開示で採用する銀ペーストの粘性は、1000cp以上かつ10万cp以下とし得る。銀ペーストの粘性が1000cpの場合、実現可能な銀配線部120bの厚さT1は、1μm以上かつ2μm以下であり、銀配線部120bの上面121bの均一性分布を約10%に調整できる。銀ペーストの粘性が10万cpの場合、銀配線部120bの実現可能な厚さT1は、6μm以上かつ9μm以下であり、銀配線部120bの上面121bの均一性分布を約30%に調整できる。換言すると、信頼性及び電気特性を考慮すると、本開示の銀配線部120bの厚さT1は、1μm以上かつ9μm以下の範囲内とすることが好ましく、その結果、銀配線部120bの上面121bの均一性分布を10%以上かつ30%以下とし得る。従って、銀配線部120bは、電気伝導の要件を満たすことができ、また、銀配線部120bの上面121bの均一性分布が、保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1との関係の設計に及ぼす付加的な影響をさらに低減できる。ここで、保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1との関係は、信頼性の要件を満たすように設計される。
【0033】
上述した均一性分布の補足は主に、銀配線部120bの上面121bの均一性分布によって生じるばらつきが、本開示の数式(3)及び数式(4)の厚さT1及びT2に含まれることを説明するためのものである。また、銀配線部120bの厚さT1は、通常、電極部120aの厚さT4よりも遙かに大きいため(銀配線部120bの厚さT1は、通常、電極部120aの厚さT4の約100倍である)、銀配線部120bと電極部120aが重なる位置では、電極部120aの厚さT4は無視できる。換言すると、電極部120aの厚さT4は、数式(3)及び数式(4)の関係の解釈に影響を与えない。より詳細には、銀配線部120bと電極部120aが重なる位置では、銀配線部120bの厚さT1は、銀配線部120bの上面121bと基板110の支持面111との垂直距離d1とみなすことができる。
【0034】
「保護層130の材料特性」の設計に関し、保護層130の水蒸気透過性が、保護層130の遮水性能に影響を与えることがあり、さらに、保護層130による銀配線部120bの保護に影響を与えることがある。一般に、保護層130の水蒸気透過性が低い場合、保護層130の遮水性が高くなり、銀配線部120bの保護が強化される。しかしながら、保護層130の水蒸気透過性が低い場合、保護層130の硬化の度合いが大きくなり、保護層130が硬くなり、保護層130の柔軟性が悪くなり、さらに、保護層130の費用が高くなるため、コストが低減できない。上述した要因を総合的に考慮した結果、本開示の保護層130の水蒸気透過性は、400g/(m×日)以上かつ1500g/(m×日)以下の範囲内となるように設計される。このように、塩水噴霧試験において、保護層130は、構造(例えば、厚さの関係)だけでなく、より良好な保護を提供する材料特性も設計されるため、銀配線部120bを水蒸気による腐食から守ることができ、タッチセンサ100の柔軟性を考慮でき、コストを低減できる。さらに、本実施形態のタッチセンサ100の電極部120aが、例えば、上述した金属ナノワイヤ電極部である場合、上述した水蒸気透過性を有する保護層130により、金属ナノワイヤ電極部内の金属ナノワイヤに対する水蒸気の影響を一層効果的に防ぐことができる。換言すると、保護層130は、イオンの移動を容易にする環境が形成されるのを防ぐことにより、電極部120a内の金属ナノワイヤにおけるイオンの移動を防止し、又は、金属ナノワイヤにおけるイオンの移動速度を遅くして、タッチセンサ100の信頼性を高めるのに役立つ。
【0035】
本開示のいくつかの他の実施形態に係るタッチセンサ100aを示す概略的な部分断面図である図3を参照する。図3の実施形態と図1の実施形態との少なくとも1つの違いは、図3のタッチセンサ100aの検出チャネル120がさらに、銀配線部120bに積層された金属ナノワイヤ配線部120cを含むことであり、金属ナノワイヤ配線部120cが、銀配線部120bと基板110との間に配置され、銀配線部120bに接触することである。金属ナノワイヤ配線部120cは、基質と、基質内に配置された複数の金属ナノワイヤとを含む。いくつかの実施形態では、電極部120aが金属ナノワイヤ電極部120aである場合、金属ナノワイヤ配線部120cと金属ナノワイヤ電極部120aが、互いに接続され、同一平面上に一体的に形成される(換言すると、金属ナノワイヤ配線部120cと金属ナノワイヤ電極部120aが同一平面上にある)。また、金属ナノワイヤ配線部120c及び銀配線部120bは、少なくともタッチセンサ100の周辺回路を構成し得る。以上より、金属ナノワイヤ電極部120aと金属ナノワイヤ配線部120cを一体的に形成して、電気的接続を直接形成することにより(換言すると、金属ナノワイヤ電極部120a及び金属ナノワイヤ配線部120cが、単層の金属ナノワイヤ層の異なる部分に属するように構成することにより)、周辺回路と接触電極との電気的接触を実現するために追加の接触構造を必要としないため、周辺領域PAにおいて接触構造が占める面積を減らすことができる。
【0036】
金属ナノワイヤ配線部120cの厚さT5は、金属ナノワイヤ電極部120aの厚さT4と同じであるため(換言すると、銀配線部120bの厚さT1も、金属ナノワイヤ配線部120cの厚さT5より遙かに大きいため)、図3に示す実施形態では、上記数式(3)及び数式(4)を計算する場合、金属ナノワイヤ配線部120cの厚さT5及び金属ナノワイヤ電極部120aの厚さT4は、いずれも無視できることに留意すべきである。換言すると、銀配線部120bの厚さT1は、銀配線部120bの上面121bと基板110の支持面111との垂直距離d1とみなすことができる。
【0037】
以下、各実施形態及び各比較例のタッチセンサを参照して、本開示の特徴及び効果についてより詳細に説明する。表1を参照すると、厚さT1の異なる銀配線部120bと、厚さT2の異なる保護層130とを備えたタッチセンサに対して、塩水噴霧試験を48時間実施した後の当該タッチセンサの電気特性が示されている。表1では、各タッチセンサのスタック構造は、図1に示すスタック構造と同じである。これらの実施形態/比較例では、厚さT1が1μm及び2μmの銀配線部120bは、粘性が1000cpの銀ペーストで形成され、厚さT1が3μm及び4.5μmの銀配線部120bは、粘性が3万cpの銀ペーストで形成され、厚さT1が6μm、7.5μm及び9μmの銀配線部120bは、粘性が10万cpの銀ペーストで形成された。保護層130は、水蒸気透過性が1230g/(m×日)のPMMAで形成された。また、表1に示す電気試験の結果は、上述した抵抗の測定方法によって得られたものである。電気試験の結果が「合格」の場合、タッチセンサの電気性能(電気特性)が、少なくとも上記数式(1)及び数式(2)の関係を満たすことを意味する。また、電気試験の結果が「不合格」の場合、タッチセンサの電気性能が、少なくとも上記数式(1)及び数式(2)のいずれかを満たさないことを意味する。本開示の範囲を超えない限りにおいて、表1のタッチセンサは、本開示を限定するものでないことを理解すべきである。
【表1】
【0038】
表1の電気試験の結果から、銀配線部120bを覆う保護層130の厚さT2が銀配線部120bの厚さT1の20%以上であり、かつ、銀配線部120bの厚さT1と銀配線部120bを覆う保護層130の厚さT2との合計が12μm以下である場合(換言すると、保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1が上記数式(3)及び数式(4)の関係を満たす場合)、タッチセンサは、塩水噴霧試験後の電気測定により、本開示で定義された電気特性を満たし得ることが分かる。このことから、本開示の保護層130の厚さT2と銀配線部120bの厚さT1との関係に基づく設計により、塩水噴霧試験後もタッチセンサ100が正常な動作機能を確実に提供でき、タッチセンサの信頼性を効果的に高め得ることが分かる。
【0039】
一方、図4は、表1の銀配線部120bの厚さT1と保護層130の厚さT2が、数式(3)の関係式を満たさなかった場合の塩水噴霧試験後のタッチセンサの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。より詳細には、図4のタッチセンサは、銀配線部120bの厚さT1が7.1μmであり、保護層130の厚さT2が1.1μmである。走査型電子顕微鏡のスケールでは、保護層130が銀配線部120bによって貫通されておらず、また、損傷しておらず、保護層130によって銀配線部120bが露出していないが、実際には、銀配線部120bに欠陥があったことが分かることに留意すべきである。このことから、本技術分野では、塩水噴霧試験を実施した後の保護層130及び銀配線部120bの変化の有無や具体的な変化の程度を目視検査で正確に判断できないことが分かる。特に、銀配線部120bが保護層130で覆われているため、塩水噴霧試験後の銀配線部120bの変化の有無や具体的な変化の程度を、銀配線部120bの外観から判断することは非常に困難である。したがって、塩水噴霧試験後のタッチセンサの構造が依然として完全であるか否か、また、塩水噴霧試験後にタッチセンサが電気特性に適合する機能を提供するか否かを、タッチセンサの外観を観察するだけでは効果的に判断できないことが証明された。
【0040】
上述した本開示の実施形態によれば、本開示のタッチセンサでは、保護層の厚さと銀配線部の厚さの間に特別な関係があり、かつ、保護層の材料特性(例えば、水蒸気透過性)も適切に調整及び検査されるため、保護層による銀配線部の保護を向上させ、水蒸気による腐食によって生じ得る銀配線部の構造的な欠陥や電気的な故障の問題を防ぐことができる。本開示では、塩水噴霧試験後にタッチセンサの電気試験を行った。その試験結果は、本開示のタッチセンサに塩水噴霧試験を実施した後では、複数の検出チャネルのいずれか1つの抵抗変化率が小さくなり、また、複数の検出チャネルにおける抵抗分布差が小さく、本開示によって定義される電気特性を有することを示している。このことから、外観検査よりも厳密で正確な電気試験で検査した場合、本開示のタッチセンサは、塩水噴霧試験後に正常な動作機能を確実に提供できることが分かる。
【0041】
本開示の特定の実施形態を参照して、本開示について非常に詳細に説明したが、他の実施形態も可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0042】
当業者であれば、本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、本開示の構造に様々な修正及び変更を加え得ることは明らかであろう。上記の観点から、本開示は、以下の特許請求の範囲内にあることを条件として、本開示の修正及び変形を含むものである。
【符号の説明】
【0043】
100 タッチセンサ
100a タッチセンサ
110 基板
111 支持面
120 検出チャネル
120a 電極部
120b 銀配線部
120c 金属ナノワイヤ配線部
121b 上面
130 保護層
131 上面
150 導電性パッド
図1
図2
図3
図4