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特開2023-99335回転及び脱着可能な馬鍬一体型ロータベーター
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099335
(43)【公開日】2023-07-12
(54)【発明の名称】回転及び脱着可能な馬鍬一体型ロータベーター
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/04 20060101AFI20230705BHJP
   A01B 31/00 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
A01B35/04 A
A01B31/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210007
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192795
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522504053
【氏名又は名称】アグロス・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AGROS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】イム,ソンス
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA03
2B034BA05
2B034BB01
2B034BC06
2B034BD02
2B034BE01
2B034EA05
2B034EB02
2B034EB08
2B034EB35
2B034JA04
2B034JA06
2B034JA24
2B034JB13
2B034JB15
2B034JB18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水田整地作業時に地面の上に上がってきた藁などの異物を埋没させるための異物除去手段を有する馬鍬一体型ロータベーター構造を提供する。
【解決手段】ロータベーターを、耕うんしたい位置に迅速に移動できるように、第1耕うん部と第2耕うん部とをトップマスターの左右両側から起立可能に折り畳まれるように構成したフォルダー型ロータベーターであって、第1耕うん部と第2耕うん部の各整地板の下端に、整地作業のための馬鍬部が一体型に結合され、それぞれの馬鍬部は、整地作業の間、藁をはじめとした異物を地面の下に埋没させるための異物除去手段と、整地作業をしない時、馬鍬を上方に持ち上げるための馬鍬回動手段とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整地作業のための馬鍬部が整地板の下端に一体型に結合される馬鍬一体型ロータベーターであって、
前記馬鍬部は、整地作業をしないとき、馬鍬板を上方に持ち上げるための馬鍬回動手段を含み、
前記馬鍬回動手段は、
前記整地板と前記馬鍬部の上端とを連結する回動アームと、
前記整地板の上端に伸縮可能に設置され、一端が前記回動アームの馬鍬側端部にヒンジ結合される昇降シリンダーと、
前記昇降シリンダーの両方向に前記整地板と前記馬鍬部との間を固定するように構成された馬鍬固定装置とを含み、
前記馬鍬固定装置は、前記整地板に固定された複数の支持ブラケットに挿入される操縦ハンドルと、前記整地板と前記馬鍬部とを連結するように前記操縦ハンドルに係止される複数の係止レバーとを含むことを特徴とする、馬鍬一体型ロータベーター。
【請求項2】
前記操縦ハンドルは、U字型の取手を有する、長さの異なる二つの棒からなり、長さの長い長棒は、整地板に固定された少なくとも三つの支持ブラケットに挿入されて支持され、長さの短い短棒は、長棒が通過する支持ブラケットの一番前に位置する第1ブラケットに挿入されて、前記第1ブラケットは、短棒の端部が通過する一つの孔の通過孔と、長棒が後進して引っ張られるように、短棒の端部が係止状態で据え置かれるもう一つの孔の据え置き孔とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の馬鍬一体型ロータベーター。
【請求項3】
前記係止レバーは、長棒が通過する支持ブラケットの一番後ろに位置する第3ブラケットの付近で操縦ハンドルの長棒が通過する環レバーと、第1ブラケットと第3ブラケットとの間の第2ブラケットの付近で操縦ハンドルの長棒に据え置かれるフックレバーとを含み、前記操縦ハンドルは、第1ブラケットと第2ブラケットとの間で、長棒表面にコイルスプリングが巻き取られた状態で弾支されており、操縦ハンドルの取手を引っ張って、長棒を軸に短棒を回転させることができるように構成されたことを特徴とする、請求項2に記載の馬鍬一体型ロータベーター。
【請求項4】
整地作業中に、藁をはじめとした異物を地面の下に埋没させるための異物除去手段をさらに含み、前記異物除去手段は、∩字状ワイヤからなって、前記馬鍬板には、∩字状ワイヤの縦部が嵌合される多数の嵌合孔が形成され、それぞれの嵌合孔の間には、前記ワイヤの横部を支持するための突起が馬鍬板の上下方向に多数突出し、前記突起は、上部から下部に行くほど、だんだん高くなってだんだん広くなる形態の傾斜構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の馬鍬一体型ロータベーター。
【請求項5】
前記ワイヤの横部は、中間部分が鉛直上方向に折り曲げられた形態であって、前記馬鍬板の各突起に密着して前後揺れを起こさないように、前記折り曲げられた中間部分が台形状を有することを特徴とする、請求項4に記載の馬鍬一体型ロータベーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクターまたは耕うん装置に装着して使用するロータベーターに関し、より詳細には、馬鍬を回転させて持ち上げることができ、脱着も可能な馬鍬一体型ロータベーターに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータベーターは、一般に、トラクターまたは耕うん装置の付属作業機であって、トラクターに装着され移動しながら、PTO動力を利用し刃を回転させ、土壌を切削するか、掘り返すなど、農作業の始まりの耕地整理に主に使われる。
【0003】
ここで、耕地整理は、土壌を100~200mm程度の深さで耕うんすることにより、土壌をアルカリ性に回復させると同時に、土質の通気性及び排水性を回復させて、寄生虫卵などを除去するための覆土作業を含む。
【0004】
一般に、ロータベーターの構成は、トラクターの後方に昇降可能に連結されるフレームと、このフレームの下部に、トラクターの動力伝達ジョイントと連結され駆動するロータリーシャフトと、このロータリーシャフトに一定間隔で多数設置されたロータリー刃と、これらのロータリー刃によって掘り返された田や畑を平らにする整地板(grading panel)とを含み、フレームは、トラクターの後方に連結するためのリンク機構に連結された油圧シリンダーによって昇降され、ロータリー刃は、トラクターの変速機に装着されたPTO(power take off)に連結され、エンジン駆動力により駆動される原理である。
【0005】
したがって、このような構成を有するロータベーターは、トラクターの後方に装着され、トラクターの動力伝達ジョイントに連結されるロータリー刃が高速回転しながら、田と畑の土を掘り返す耕うん作業をすることができ、また、ロータリー刃を田の底に一定深さで差し込んだ状態で、高速で回転させて田の底を掘り返すことにより、トラクターでロータベーターを引きずりながら、田んぼ全体を、苗が植えられるよう、屈曲のない平坦などろどろの状態にする。
【0006】
本出願人は、ロータベーターを、耕うんしたい位置に迅速に移動できるようにするために、第1耕うん部及び第2耕うん部をトップマスターの左右両側から起立可能に折り畳まれるように構成したフォルダー型ロータベーターを、2021年5月21日付大韓民国特許出願第2021-0065553号で出願したことがある。
【0007】
このフォルダー型ロータベーターの構成を、図1を参照して説明すると以下のようである。
【0008】
図1は、本出願人によって出願された従来のフォルダー型ロータベーターを示したもので、図1aは、フォルダー型ロータベーターの概略的な形態を示した図面、図1bは、フォルダー型ロータベーターの第1耕うん部を折り畳んだ状態を示した図面、図1cは、フォルダー型ロータベーターの第1耕うん部と第2耕うん部とを全部折り畳んだ状態を示した図面である。
【0009】
フォルダー型ロータベーターは、トラクターの後方に連結した状態で耕うん作業のための場所に移動するために折り畳まれ、起立可能に構成された第1耕うん部20及び第2耕うん部20’を含む。このような第1耕うん部20と第2耕うん部20’は、駆動ミッション11を含むトップマスター10の左右両側にそれぞれ回動及び駆動可能に連結される。
【0010】
第1耕うん部20と第2耕うん部20’とは、トップマスター10の両方向挽くに回転して、起立可能に折り畳まれるように構成され、このために、トップマスター10の両側面から各耕うん部20、20’の端部、例えば各駆動軸23の一側間に、伸縮可能に動作するシリンダーアーム24が備えられる。
【0011】
シリンダーアーム24の収縮動作による第1耕うん部20及び第2耕うん部20’の起立は、トップマスター10の両端に設けられた回動軸13を中心になされて、また、前記回動軸13に一側が連結され、他側が第1耕うん部20及び第2耕うん部20’の各上端に固定される支持台26を通じて、シリンダーアーム24と共に第1耕うん部20及び第2耕うん部20’の起立を維持することができる。
【0012】
図面において、未説明の符号‘21’は、水田整地作業(grading)を行うための‘整地板’を示す。
【0013】
また、本出願人は、馬鍬を一体型に形成した馬鍬一体型ロータベーターを2017年04月03日に大韓民国特許出願第2017-0043116号で出願し、特許第1897671号として登録を受けた。
【0014】
周知のように、馬鍬(harrow)は、トラクターの軸力を利用し、田んぼや畑の土壌を切削するか、掘り返すなどの耕うん作業時に、耕した田畑の土塊を崩すか、地面を平らにするために使用する農機具であって、主に田植え作業のために水田整地作業などに使われており、一般にトラクターの後方に連結して使われる。
【0015】
本出願人の大韓民国特許出願第2017-0043116号では、ロータベーターによる耕うん作業と同時に、水田整地作業が行えるようにするために、ロータベーターと馬鍬とを一体型に構成した新しい形態のロータベーターを提供した。
【0016】
しかし、このような馬鍬一体型ロータベーターの場合、馬鍬の先端が固定されていて、整地作業時に馬鍬の平坦能力が低下し、また馬鍬自体に土の流入と溜まりが激しく、馬鍬板の誤作動が発生する可能性が高くて、整地作業を行っていない時は、ロータベーターの移動に障害を起こす問題があった。
【0017】
特に、田んぼで土を掘り返す耕うん作業の場合、わらなどの異物が上に上がってくる場合が多く、田植えなどの作業において作業者にたくさんの煩わしさを提供するため、これを、耕うん作業と同時に進行される水田整地作業で地面の下に埋没させるなどの追加作業が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、上述のような問題点を解決するために開発されたもので、整地作業時に均一な平坦能力を高め、整地作業を行っていない時は、馬鍬を上方に持ち上げることができるように、馬鍬回動手段を備えて、必要に応じ、馬鍬を容易に脱着することができるように構成した馬鍬一体型ロータベーター構造を提供することにその目的がある。
【0019】
本発明の他の目的は、水田整地作業時に地面の上に上がってきた藁などの異物を埋没させるための異物除去手段を有する馬鍬一体型ロータベーター構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記のような目的を達成するための本発明の一様態によると、馬鍬を回転させて持ち上げることができ、且つ脱着も可能な馬鍬一体型ロータベーターであって、整地作業のための馬鍬部が整地板の下端に一体型に結合されて、前記馬鍬部は、整地作業の間、藁をはじめとした異物を地面の下に埋没させるための異物除去手段と、整地作業をしない時、馬鍬を上方に持ち上げるための馬鍬回動手段と、馬鍬脱着手段とを含む、馬鍬一体型ロータベーターが提供される。
【0021】
本発明において、異物除去手段は、∩字状ワイヤからなって、馬鍬板には、∩字状ワイヤの縦部が嵌合される多数の嵌合孔が形成され、それぞれの嵌合孔の間には、前記ワイヤの横部を支持するための突起が馬鍬板の上下方向に多数突出し、前記突起は、上部から下部に行くほど、だんだん高くてなってだんだん広くなる形態の傾斜構造を有し、前記ワイヤの横部は、中間部分が鉛直上に折り曲げられた形態であって、前記馬鍬板の各突起に密着して前後揺れを起こさないように、前記折り曲げられた中間部分が台形状を有する。
【0022】
また、馬鍬回動手段は、前記馬鍬部を上下回動可能にするために、前記第1耕うん部と前記第2耕うん部との各整地板の上端に伸縮可能に設置され、一端が、整地板と馬鍬部の上端を連結する回動アームの馬鍬側端部にヒンジ結合される昇降シリンダーと、前記昇降シリンダーの作動による馬鍬部の昇・下降が可能になるように、前記昇降シリンダーの両方向に前記整地板と前記馬鍬部との間を固定するように構成された馬鍬固定装置とを含み、前記回動アームの他の端部は、整地板に回動可能にヒンジ結合されて、前記回動アームは、ラウンド状構造を有する。
【0023】
ここで、前記馬鍬固定装置は、整地板に固定された複数の支持ブラケットに挿入される操縦ハンドルと、整地板と馬鍬部とを連結するように操縦ハンドルに係止される複数の係止レバーとを含み、前記操縦ハンドルは、U字型の取手を有する、長さの異なる二つの棒からなり、長さの長い長棒は、整地板に固定された少なくとも三つの支持ブラケットに挿入されて支持され、長さの短い短棒は、長棒が通過する支持ブラケットの一番前に位置する第1ブラケットに挿入されて、前記第1ブラケットは、短棒の先端が通過する一つの孔である通過孔と、長棒が後進して引っ張られるように、短棒の先端が係止状態で据え置かれるまた一つの孔である据え置き孔とを備える。
【0024】
また、前記係止レバーは、長棒が通過する支持ブラケットの一番後ろに位置する第3ブラケットの付近で操縦ハンドルの長棒が通過する環レバーと、第1ブラケットと第3ブラケットとの間の第2ブラケットの付近で操縦ハンドルの長棒に据え置かれるフックレバーとを含み、前記操縦ハンドルは、第1ブラケットと第2ブラケットとの間で、長棒表面にコイルスプリングが巻き取られた状態で弾支されており、操縦ハンドルの取手を引っ張って、長棒を軸に短棒を回転させることができるように構成される。
【発明の効果】
【0025】
上述の特徴から、本発明は、整地作業をしない時、馬鍬回動手段を利用して馬鍬を上方に持ち上げることにより、ロータベーターの移動に障害となる問題を解消することができるようになる。また、必要な場合、馬鍬回動手段と共に、簡単な操作を通じて、馬鍬を容易に脱着することができる。
【0026】
また、本発明は、耕うん作業を進行する間、地面の上に上がってきた藁などの異物を、整地作業過程で異物除去手段を利用し、地面の下に埋没することができるため、作業後、きれいな現場状態を維持することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1a】本出願人の従来のフォルダー型ロータベーターの構成と、それぞれ異なる作動状態(a、b、c)の(a)を示した図である。
図1b】本出願人の従来のフォルダー型ロータベーターの構成と、それぞれ異なる作動状態(a、b、c)の(b)を示した図である。
図1c】本出願人の従来のフォルダー型ロータベーターの構成と、それぞれ異なる作動状態(a、b、c)の(c)を示した図である。
図2】本発明による馬鍬一体型ロータベーターの全体的な構成及び外観形態を示した斜視図である。
図3a図2による馬鍬一体型ロータベーターの正面図一体型である。
図3b図2による馬鍬一体型ロータベーターの背面図である。
図4図2の馬鍬一体型ロータベーターに備えられた馬鍬部の構成を拡大して示した斜視図である。
図5a図2の馬鍬一体型ロータベーターに備えられる馬鍬回動手段の操作前の状態を示した斜視図一体型一体型である。
図5b図2の馬鍬一体型ロータベーターに備えられる馬鍬回動手段の操作前の状態を示した正面図である。
図5c図2の馬鍬一体型ロータベーターに備えられる馬鍬回動手段の操作前の状態を示した側面図である。
図6a図2の馬鍬一体型ロータベーターに備えられる馬鍬回動手段の操作後の状態を示した斜視図一体型後一体型後である。
図6b図2の馬鍬一体型ロータベーターに備えられる馬鍬回動手段の操作後の状態を示した平面図である。
図6c図2の馬鍬一体型ロータベーターに備えられる馬鍬回動手段の操作後の状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図2は、本発明による馬鍬一体型ロータベーターの概略的な外観形態を示したもので、ロータベーターの後面の形態を示す。図3aは、本発明による馬鍬一体型ロータベーターの前面構造を示した正面図であり、図3bは、馬鍬一体型ロータベーターの裏面構造を示した背面図である。
【0029】
図によると、ロータベーターは、トップマスター10を中心に一側に位置した第1耕うん部20”がシリンダーアーム24の作動によって起立した状態を示している。ここで、第1耕うん部20”と第2耕うん部20”’の整地板21の下端には、水田整地作業のための馬鍬部40が結合されており、それぞれの馬鍬部40には、水田整地作業で藁などの異物を埋没させるための異物除去手段50が設置されていることが分かる。本発明によると、第1耕うん部20”と第2耕うん部20”’の整地板21は、地面と接して水田整地作業を行うもので、整地板の下端への馬鍬部40の追加的な設置は、水田整地作業において、地面により深く差し込まれ、整地作業と同時に異物除去作業をより効率的に行えるようにする。このため、馬鍬部40は、整地板21の後面下端に、ロータベーターの移動方向に対して斜めに傾いた状態で設置することができる。また、本発明のロータベーターは、下記図6で説明するように、整地板21から馬鍬部40を分離する場合も、整地板21が常に地面に触れた状態を維持することになるため、水田整地作業には全く否定的な影響を及ぼさない。
【0030】
一方、図2及び3は、本発明の技術的思想を、一実施例である折り畳み式のフォルダー型ロータベーターに適用した例を示したもので、本発明は、このような折り畳み式フォルダー型ロータベーターに適用することに限らず、単一耕うん部を有するロータベーター構造にも適用可能であることはもちろんである。馬鍬部40と異物除去手段50の構成は、図4を参照して説明する。
【0031】
図4は、整地板の後面下端に設置される馬鍬部の構成を拡大して示したもので、馬鍬部40には、水田整地作業で地面の上に上がってきた藁などの異物を地面の下に埋没させるための異物除去手段50が設置されている。
【0032】
異物除去手段50は、ワイヤ状の弾性体からなっており、異物除去手段を設置するために、馬鍬板41には一定間隔で多数の嵌合孔43が形成されていて、嵌合孔43の間には異物除去手段50を支持するための突起42が、馬鍬板41の上下方向に多数突出している。このような突起42は、上部から下部に行くほど、だんだん高くなってだんだん広くなる、概ねピラミッド状の傾斜した構造を有することが好ましい。
【0033】
異物除去手段50は、∩字状の形態を有し、∩の両側縦部52は、馬鍬板41の突起42を中心に両側に位置した嵌合孔43にそれぞれ嵌められるように構成される。このような縦部52の嵌合は、図4に示すように、縦部52の下端から、ロータベーターの後方側から前方側に挿入するようになるが、この際、嵌合孔43を通過した縦部52は、図示したように、馬鍬板41の傾斜した前面(図示せず)に密着した状態で下降し、馬鍬板41の後面方向に露出するように設置される。このような設置が可能になるように、異物除去手段50は、図4に示したように、横部51の中間部分51aが鉛直上方向に折り曲げられた形態であって、馬鍬板41の各突起42に密着するようにするために、この折り曲げ部51a(中間部分)は、概ね台形状を有することが好ましい。
【0034】
このように構成された異物除去手段50は、馬鍬部40による整地作業において、ロータベートに沿ってスライディングしつつ、地面に露出された藁のような異物をかき集めて地面の下に埋没させるようになるが、この過程で、異物除去手段50は、横部51の折り曲げ部51aが台形状を有するため、馬鍬板41の各突起42に密着し、前後揺れなく安定的な結合を維持することができて、これにより異物の埋没作業が円滑に行われる。
【0035】
本発明の馬鍬一体型ロータベーターは、整地作業を行わない時、耕うん作業の邪魔にならないよう、馬鍬部を上方に持ち上げることができるようにする構成の馬鍬回動手段をさらに含む。
【0036】
このような馬鍬回動手段は、図4図5を参照して詳細に説明する。
【0037】
図5は、本発明の馬鍬一体型ロータベーターに備えられる馬鍬回動手段の操作前の状態を示したもので、馬鍬を利用した水田整地作業のために、馬鍬部が地面に向かっている状態を示している。
【0038】
図によると、馬鍬部40は、上下方向に回動できるように、昇降シリンダー70によって上端44が連結されている。昇降シリンダー70は、馬鍬回動手段を構成する一要素であって、本体が整地板21の上端部に設置されており、一端が整地板21と馬鍬部40の上端を連結する回動アーム71の馬鍬側端部72(締結部)にヒンジ結合されていて、回動アーム71の他端部73(ヒンジ部)は、整地板21に回動可能にヒンジ結合されている。このような結合形態により、馬鍬部40は、整地作業時は、昇降シリンダー70の延長により下降し、地面に触れた状態を維持し(図5c参照)、整地作業をしない時は、昇降シリンダー70の収縮により、上方に持ち上げられた状態を維持するようになる(図6c参照)。昇降シリンダー70による馬鍬部40の昇・下降を容易にするために、回動アーム71は、図4に示すようにラウンド状構造を有することが好ましい。
【0039】
馬鍬回動手段を構成するもう一つの要素として、本発明は、昇降シリンダー70の作動による馬鍬部40の昇・下降を可能にするために、昇降シリンダー70の両方向に整地板21と馬鍬部40との間を固定するように構成された馬鍬固定装置60を提供する。
【0040】
馬鍬固定装置60は、整地板21に固定された複数の支持ブラケット211、211’、212に挿入される操縦ハンドル61と、整地板21と馬鍬部40とを連結するように操縦ハンドル61に係止される複数の係止レバー45a、45bとを含む。
【0041】
操縦ハンドル61は、U字状の取手を有する、長さの異なる二つの棒からなり、一側の棒61aが他側の棒61bより長く伸びた形態を有する。長さの長い長棒61aは、整地板21に固定された少なくとも三つの支持ブラケット211、211’、212に挿入されて支持され、長さの短い短棒61bは、長棒が通過する支持ブラケットの一番前に位置する第1ブラケット212に挿入される。第1ブラケット212は、短棒61bの端部が通過する一つの孔212a(以下、‘通過孔’という)と、長棒61aが後進して引っ張られるように、短棒61bの端部が係止状態で据え置かれるもう一つの孔212b(以下、‘据え置き孔’という)とを備える。
【0042】
係止レバー45a、45bは、長棒61aが通過する支持ブラケットの一番後ろに位置する第3ブラケット211の付近で操縦ハンドル61の長棒61aが通過する環状の係止レバー45a(以下、‘環レバー’という)が提供されて、第1ブラケット212と第3ブラケット211との間の第2ブラケット211’の付近で操縦ハンドル61の長棒61aに据え置かれるフック状の係止レバー45b(以下、‘フックレバー’という)が提供される。
【0043】
好ましくは、操縦ハンドル61は、第1ブラケット211と第2ブラケット211’との間で、長棒61a表面にコイルスプリングsが巻き取られた状態で弾支されており、これにより、操縦ハンドル61は、取手を引っ張って、長棒61aを軸に短棒61bを回転させることができる。操縦ハンドル61の取手を引っ張った時、コイルスプリングsは圧縮されて、短棒61bを回転させた後、取手を放すと、コイルスプリングsは、元の状態に戻る。
【0044】
本発明によると、短棒61bを回転させるために操縦ハンドル61の取手を引っ張る場合、操縦ハンドル61の長棒61aは、第3ブラケット211と環レバー45aを抜け出して離脱するように構成される。また、この場合、操縦ハンドル61の短棒61bは、通過孔212aから抜け出し、据え置き孔212bに係止状態で長棒61a表面のコイルスプリングsによって弾支されるように構成される。
【0045】
図5a~5cによると、本発明の馬鍬一体型ロータベーターは、馬鍬部40による整地作業時、昇降シリンダー70が延長して回動アーム71が下方に回動するにつれて、馬鍬部40が下降し、地面に触れた状態を維持するようになって(図5c参照)、馬鍬固定装置60は、操縦ハンドル61の長棒61aが第1、第2及び第3ブラケット211、211’、212と、環レバー45aとを通過して据え置かれ、操縦ハンドル61の短棒61bが通過孔212aに挿入された状態で、フックレバー45bが操縦ハンドル61の長棒61aに係止されて、据え置き状態を維持するようになる(図5b参照)。これにより、馬鍬部40は、整地板21の下端に固定された状態で整地作業を安定的に行うことができるようになる。
【0046】
図6は、本発明の馬鍬一体型ロータベーターに備えられる馬鍬回動手段の操作後の状態を示したもので、整地作業を行っていない時、馬鍬を上方に持ち上げるための動作状態を示す。
【0047】
図6a~6cによると、本発明の馬鍬一体型ロータベーターは、馬鍬部40による整地作業をしない場合、まず、馬鍬固定装置60のフックレバー45bを操縦ハンドル61の長棒61aから係止解除し、操縦ハンドル61の取手を引っ張って、操縦ハンドルの長棒61aを第3ブラケット211と環レバー45aから抜け出して離脱するようにするとともに、操縦ハンドル61の短棒61bを通過孔212aから抜け出して離脱するようにする。この状態で、操縦ハンドル61の長棒61aを軸に操縦ハンドル61の短棒61bを回転させて、長棒61a表面のコイルスプリングsによって弾支された状態で、短棒61bの端部を据え置き孔212bに係止して、据え置き状態を維持するようにする(図6a~図6b参照)。このために据え置き孔212bは、操縦ハンドル61の短棒61bが通過せずにただ据え置き状態を維持するよう、前記通過孔212aに比べて口径を小さく形成することが好ましい。
【0048】
これにより、馬鍬部40は、整地板21の後面下端への固定状態が解除され、回動アーム71のヒンジ部73を中心に回動可能な状態になる。
【0049】
このようにしても、6cに示されたように、昇降シリンダー70が収縮すると、馬鍬部40は、回動アーム71が上方に回動することによって、ヒンジ部73を軸に地面から離隔して上方に持ち上げられた状態を維持することができるようになる。
【0050】
一方、このような構成において、本発明の馬鍬一体型ロータベーターは、必要に応じて、馬鍬部40を分離できるように構成されており、本発明は、図6に説明された馬鍬固定装置60の解除作業を完了した後、整地板21及び昇降シリンダー70と馬鍬部40をそれぞれ連結している回動アーム71の締結部72及びヒンジ部73における連結を解除することにより、馬鍬部40を容易に分離することができるようになる。
【0051】
以上、本発明を詳細にまたは特定の実施例を参照して説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではない。したがって、本発明の請求の範囲に記載された範囲内で発明の技術的思想と要旨を逸脱することなく、様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0052】
10 トップマスター
20” 第1耕うん部
20”’ 第2耕うん部
21 整地板
211、211’212 支持ブラケット
212a 通過孔
212b 据え置き孔
24 シリンダーアーム
40 馬鍬部
41 馬鍬板
43 嵌合孔
42 突起
45a 係止レバー(環レバー)
45b 係止レバー(フックレバー)
50 異物除去手段
51 横部
51a 折り曲げ部
52 縦部
60 馬鍬固定装置
61 操縦ハンドル
61a 長棒
61b 短棒
70 昇降シリンダー
71 回動アーム
72 締結部
73 ヒンジ部
s コイルスプリング
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c