(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099337
(43)【公開日】2023-07-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20230705BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230705BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20230705BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20230705BHJP
H10K 50/852 20230101ALI20230705BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20230705BHJP
【FI】
G09F9/30 349B
G09F9/30 365
G02B27/02 Z
H10K59/38
H10K59/35
H10K50/852
H10K50/844
G09F9/30 348A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022210197
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0192483
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム, ホジン
(72)【発明者】
【氏名】パク, ハンスン
(72)【発明者】
【氏名】キム, プルム
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ドンウク
【テーマコード(参考)】
2H199
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
2H199CA25
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC05
3K107CC35
3K107DD10
3K107EE03
3K107EE22
3K107EE46
3K107FF06
5C094AA07
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094CA20
5C094EA04
5C094EA06
5C094ED03
5C094FA01
5C094FA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高解像度の実現が可能であり、光効率を向上させることができる表示装置を提供する。
【解決手段】本発明は、光効率が向上した表示装置に関するものであって、基板と、前記基板上に形成され、複数のサブ画素を通じ、互いに異なる色を発光するように構成された発光素子と、前記互いに異なる色のうち、少なくとも2つを出力するように構成された前記複数のサブ画素の第1サブセットに形成された部分カラーフィルター層を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成され、複数のサブ画素を通じ、異なる色の光を発するように構成された発光素子と、
前記異なる色のうち、少なくとも2つを出力するように構成された前記複数のサブ画素の第1サブセットに形成されたカラーフィルター層を含む表示装置。
【請求項2】
前記カラーフィルター層が形成されていない前記複数のサブ画素の第2サブセット上に位置する空気層をさらに含み、
前記第2サブセットは、前記異なる色のうち、1つを出力するように構成された、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記空気層は、前記カラーフィルター層のカラーフィルターとは異なる屈折率を有する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記異なる色は、赤色、緑色、青色を含み、
前記複数のサブ画素は、それぞれ前記赤色、緑色、青色のうちの1つに対応し、
前記複数のサブ画素の前記第1サブセットは、前記赤色、緑色、青色のうち、2つに対応するサブ画素を含み、
前記複数のサブ画素の前記第2サブセットは、前記赤色、緑色、青色のうち、残り1つに対応するサブ画素を含む、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光素子は、
前記複数のサブ画素のそれぞれに対応する複数の第1電極と、
前記基板の全面上に形成され、前記複数の第1電極を覆う発光層と、
前記発光層上に形成された第2電極を含む、請求項2に記載の表示装置。
【請求項6】
保護層と、
前記保護層上に形成された絶縁層と、
前記保護層上に形成され、前記複数のサブ画素の前記第2サブセットに対応する第1反射電極と、
前記絶縁層上に形成され、前記複数のサブ画素の前記第1サブセットに対応する第2反射電極をさらに含む、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1反射電極と前記第2電極との間の光学距離は、前記複数のサブ画素の前記第2サブセットから発光される色の波長帯を有する、前記第1反射電極と前記第2電極との間で反射される光に対し、補強干渉を引き起こすよう調整される、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記光学距離は、補強干渉を引き起こすよう調整されると、該当色とは異なる色の波長帯の他の光に対し、相殺干渉を引き起こす、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成された保護層と、
前記保護層上に形成された第2絶縁層と、
前記第1絶縁層上に形成され、前記複数のサブ画素の前記第2サブセットに対応する第1反射電極と、
前記第2絶縁層上に形成され、前記複数のサブ画素の前記第1サブセットに対応する第2反射電極をさらに含む、請求項5に記載の表示装置。
【請求項10】
水分が前記発光素子に浸透することを防止するように構成された封止層をさらに含む、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
複数のトランジスタをさらに含み、
前記複数のトランジスタのそれぞれは、前記基板内部のアクティブ領域を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
基板と、
前記基板上に形成され、複数のサブ画素を通じ、異なる色を発光してマルチメディアを表示装置上に表示するように構成された発光素子と、
前記発光素子上のカラーフィルター層と、
複数の反射電極を含み、
前記複数の反射電極のうち、少なくとも1つは、前記カラーフィルター層から第1距離に位置し、前記複数の反射電極のうち、残りは前記カラーフィルター層から第2距離に位置する、バーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【請求項13】
複数のトランジスタをさらに含み、
前記複数のトランジスタのそれぞれは、前記基板内部のアクティブ領域を有する、請求項12に記載のバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【請求項14】
前記カラーフィルター層は、
前記複数のサブ画素の第1サブセットに対応する第1カラーフィルターおよび第2カラーフィルターと、
前記複数のサブ画素の第2サブセットに対応する空気層を含む、請求項12に記載のバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【請求項15】
前記空気層は、前記第1カラーフィルターおよび前記第2カラーフィルターとは異なる屈折率を有する、請求項14に記載のバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【請求項16】
前記異なる色は、赤色、緑色、青色を含み、
前記複数のサブ画素は、それぞれ前記赤色、緑色、青色のうちの1つに対応し、
前記複数のサブ画素の前記第1サブセットは、前記赤色、緑色、青色のうち、2つに対応するサブ画素を含み、
前記複数のサブ画素の前記第2サブセットは、前記赤色、緑色、青色のうち、残り1つに対応するサブ画素を含む、請求項12に記載のバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【請求項17】
前記発光素子は、
前記複数のサブ画素のそれぞれに対応する複数の第1電極と、
前記基板の全面上に形成され、前記複数の第1電極を覆う発光層と、
前記発光層上に形成された第2電極を含む、請求項12に記載のバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【請求項18】
前記複数の反射電極は、
前記複数のサブ画素の前記第1サブセットに対応する少なくとも2つの第1反射電極と、
前記複数のサブ画素の前記第2サブセットに対応する第2反射電極を含む、請求項17に記載のバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【請求項19】
前記第1反射電極と前記第2電極との間の光学距離は、前記複数のサブ画素の前記第2サブセットから発光される色の波長帯を有する、前記第1反射電極と前記第2電極との間で反射される光に対し、補強干渉を引き起こすよう調整される、請求項18に記載のバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【請求項20】
前記カラーフィルター層は、前記複数のサブ画素の少なくとも1つのサブセット上においてカラーフィルターを含まない、請求項12に記載のバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光効率が向上した高解像度の表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチメディアの発展に伴い、フラットパネル表示装置の重要性が増大してきている。それに応じ、液晶表示装置やプラズマ表示装置、有機電界発光表示装置などのフラットパネル表示装置が常用化されている。かかるフラットパネル表示装置のうち、有機電界発光表示装置は、応答速度が速く、輝度が高くて視野角に優れていることから、現在、多く使われている。
【0003】
ところが、最近、バーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティが多くの注目を集めており、それを実現することができる高解像度でコンパクトな表示装置に対する要求が高まっているが、既存の有機電界発光表示装置では、高解像度、かつコンパクトの条件を満たすことが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前述した点に着目してなされたものであって、高解像度の実現が可能であり、光効率を向上させることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る表示装置は、基板と、前記基板上に形成され、複数のサブ画素を通じ、互いに異なる色の光を発するように構成された発光素子と、前記互いに異なる色のうち、少なくとも2つを出力するように構成された前記複数のサブ画素の第1サブセットに形成された部分カラーフィルター層を含む。
【0006】
前記部分カラーフィルター層が形成されていない前記複数のサブ画素の第2サブセット上に位置する空気層をさらに含み、前記第2サブセットは、前記互いに異なる色のうち、1つを出力するように構成することができる。
【0007】
前記空気層は、前記部分カラーフィルター層のカラーフィルターとは異なる屈折率を有することができる。
【0008】
前記互いに異なる色は、赤色、緑色、青色を含み、前記複数のサブ画素は、それぞれ前記赤色、緑色、青色に対応し、前記第1サブセットは、前記赤色、緑色、青色のうち、2つに対応するサブ画素を含み、前記第2サブセットは、前記赤色、緑色、青色のうち、残り1つに対応するサブ画素を含むことができる。
【0009】
前記発光素子は、前記複数のサブ画素のそれぞれに対応する複数の第1電極と、前記基板の全面上に形成され、前記複数の第1電極を覆う発光層と、前記発光層上に形成された第2電極を含むことができる。
【0010】
保護層と、前記保護層上に形成された絶縁層と、前記保護層上に形成され、前記第2サブセットに対応する第1反射電極と、前記絶縁層上に形成され、前記第1サブセットに対応する第2反射電極をさらに含むことができる。
【0011】
前記第1反射電極と前記第2電極との間の光学距離は、前記第2サブセットから発光される色の波長帯を有する、前記第1反射電極と前記第2電極との間で反射される光に対し、補強干渉を引き起こすよう調整することができる。
【0012】
前記光学距離は、該当色とは異なる色の波長帯の他の光に対し、相殺干渉を引き起こすことができる。
【0013】
第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成された保護層と、前記保護層上に形成された第2絶縁層と、前記第1絶縁層上に形成され、前記第2サブセットに対応する第1反射電極と、前記第2絶縁層上に形成され、前記第1サブセットに対応する第2反射電極をさらに含むことができる。
【0014】
水分が前記発光素子に浸透することを防止するように構成された封止層をさらに含むことができる。
【0015】
複数のトランジスタをさらに含み、前記複数のトランジスタのそれぞれは、前記基板内部のアクティブ領域を有することができる。
【0016】
他の側面において、本発明に係るバーチャル・リアリティおよびオーグメンテッド・リアリティを表現するマルチメディアを表示する表示装置は、基板と、前記基板上に形成され、複数のサブ画素を通じ、互いに異なる色を発光してマルチメディアを表示するように構成された発光素子と、前記発光素子上のカラーフィルター層と、複数の反射電極を含み、前記複数の反射電極のうち、少なくとも1つは、前記カラーフィルター層から第1距離に位置し、前記複数の反射電極のうち、残りは前記カラーフィルター層から第2距離に位置する。
【0017】
複数のトランジスタをさらに含み、前記複数のトランジスタのそれぞれは、前記基板内部のアクティブ領域を有することができる。
【0018】
前記カラーフィルター層は、前記複数のサブ画素の第1サブセットに対応する第1カラーフィルターおよび第2カラーフィルターと、前記複数のサブ画素の第2サブセットに対応する空気層を含むことができる。
【0019】
前記空気層は、前記第1カラーフィルターおよび前記第2カラーフィルターとは異なる屈折率を有することができる。
【0020】
前記互いに異なる色は、赤色、緑色、青色を含み、前記複数のサブ画素は、それぞれ前記赤色、緑色、青色に対応し、前記第1サブセットは、前記赤色、緑色、青色のうち、2つに対応するサブ画素を含み、前記第2サブセットは、前記赤色、緑色、青色のうち、残り1つに対応するサブ画素を含むことができる。
【0021】
前記発光素子は、前記複数のサブ画素のそれぞれに対応する複数の第1電極と、前記基板の全面上に形成され、前記複数の第1電極を覆う発光層と、前記発光層上に形成された第2電極を含むことができる。
【0022】
前記複数の反射電極は、前記第1サブセットに対応する少なくとも2つの第1反射電極と、前記第2サブセットに対応する第2反射電極を含むことができる。
【0023】
前記第1反射電極と前記第2電極との間の光学距離は、前記第2サブセットから発光される色の波長帯を有する、前記第1反射電極と前記第2電極との間で反射される光に対し、補強干渉を引き起こすよう調整することができる。
【0024】
前記カラーフィルター層は、前記複数のサブ画素の少なくとも1つのサブセット上においてカラーフィルターを含まなくてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る有機電界発光表示装置では、カラーフィルター間にブラックマトリクスを形成しないため、高解像度の超小型表示装置を実現することができる。
【0026】
また、本発明に係る有機電界発光表示装置では、一部のサブ画素におけるカラーフィルターを取り除き、その位置に低屈折率の空気層を形成することで、隣接するサブ画素との界面に入射する光を全反射させる。その結果、前記サブ画素に他色の光が混入することによって発生するシミを防止することができる。
【0027】
また、本発明に係る有機電界発光表示装置では、隣接するサブ画素から、カラーフィルターが取り除かれたサブ画素との界面に入射する光を全反射させ、再び隣接するサブ画素に出力させるため、隣接するサブ画素に出力される光の強度を増加させ、光効率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る有機電界発光表示装置を概略的に示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すサブ画素を概略的に示すブロック図である。
【
図3】本発明に係る有機電界発光表示装置のサブ画素を概念的に示す回路図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る有機電界発光表示装置の構造を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例に係る有機電界発光表示装置の構造を具体的に示す断面図である。
【
図6】Gカラーフィルターを備えた有機電界発光表示装置における有機発光素子から発せられた光の出力経路を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置における有機発光素子から発せられた光の出力経路を示す図である。
【
図8A】Gカラーフィルターを備えた場合と、Gカラーフィルターを備えず、空気層を備えた場合におけるRサブ画素の輝度を示す図である。
【
図8B】Gカラーフィルターを備えた場合と、Gカラーフィルターを備えず、空気層を備えた場合におけるBサブ画素の輝度を示す図である。
【
図9A】本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置のGサブ画素において、光学距離が調整されていない場合の光学スペクトルを示すグラフである。
【
図9B】本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置のGサブ画素において、光学距離が調整された場合の光学スペクトルを示すグラフである。
【
図10】本発明の第2実施例に係る有機電界発光表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、図面とともに詳述する実施例を参照すると明確になるであろう。しかしながら、本発明は、以下に開示する実施例に限定されるものではなく、相違する様々な形に具現化することができる。但し、本実施例は、本発明の開示が完全となるようにして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に理解させるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範疇によって定義される。
【0030】
本発明の実施例を説明するための図面に開示した形状や大きさ、比率、角度、個数などは例示的なものであって、本発明がそれに限定されるものではない。明細書全体に亘り、同一の参照符号は、同一の構成要素を示す。また、本発明を説明するに当たり、関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にすると判断された場合は、その詳細な説明を省略する。本明細書で「備える」、「含む」、「有する」、「持つ」、「なる」などが記載された場合、「のみ/だけ」がともに記載されていない限り、他の部分を追加することができる。また、構成要素を単数形で記載した場合は、特に明示的な記載がない限り、複数形に解釈することができる。
【0031】
また、構成要素を解釈するに当たり、明示的な記載がなくても誤差範囲を含むものとする。
【0032】
例えば「上に」、「上部に」、「下部に」、「横に」などで2つの構成要素同士の位置関係を説明する場合、「直」または「直接」と記載されていなければ、1つ以上の他の構成要素が該2つの構成要素間に位置することもできる。
【0033】
また、時間関係の説明において、例えば「後に」、「に続き」、「次に」、「前に」などで時間的な前後関係を説明する場合、「直」または「すぐ」と記載されていなければ、非連続的な場合を含むことができる。
【0034】
また、構成要素を区別するため、「第1」や「第2」などの用語が用いられるが、構成要素は、かかる用語に制限されるものではない。したがって、以下に言及する第1構成要素は、本発明の技術的思想内で第2構成要素でもあり得る。
【0035】
本発明の様々な実施例における各々の特徴が部分的、または全体的に互いに結合、または組み合わせ可能であり、技術的に多様に連動、および駆動可能である。また、各実施例を互いに対して独立に実施、または連関して共に実施することもできる。
【0036】
以下、図面を参照しながら、本発明について詳細に説明する。
【0037】
図1は、本発明に係る有機電界発光表示装置100を概略的に示すブロック図であり、
図2は、
図1に示すサブ画素SPを概略的に示すブロック図である。
【0038】
図1に示すように、有機電界発光表示装置100は、映像処理部102、タイミング制御部104、ゲート駆動部106、データ駆動部107、電源供給部108および表示パネル109を含んで構成される。
【0039】
前記映像処理部102は、外部から供給された映像データと共に各種装置を駆動するための駆動信号を出力する。例えば、前記映像処理部102から出力される駆動信号は、データイネーブル信号や垂直同期信号、水平同期信号、クロック信号などを含むことができる。
【0040】
前記タイミング制御部104は、映像処理部102から映像データと共に駆動信号などの供給を受ける。タイミング制御部104は、映像処理部102から入力された駆動信号に基づき、ゲート駆動部106の動作タイミングを制御するためのゲートタイミング制御信号GDCと、データ駆動部107の動作タイミングを制御するためのデータタイミング制御信号DDCを生成し、出力する。
【0041】
前記ゲート駆動部106は、タイミング制御部104から供給されたゲートタイミング制御信号GDCに応じ、スキャン信号を表示パネル109へ出力する。前記ゲート駆動部106は、複数のゲートラインGL1~GLmを介し、スキャン信号を出力する。このとき、ゲート駆動部106は、IC(Integrated Circuit)形態に形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0042】
前記データ駆動部107は、前記タイミング制御部104から入力されたデータタイミング制御信号DDCに応じ、データ電圧を表示パネル109へ出力する。データ駆動部107は、タイミング制御部104から供給されたデジタルのデータ信号DATAをサンプリングし、ラッチして、ガンマ電圧に基づくアナログのデータ電圧に変換する。前記データ駆動部107は、複数のデータラインDL1~DLnを介し、データ電圧を出力する。このとき、前記データ駆動部107は、IC形態に形成してもよいが、これに限定されるものではない。
【0043】
前記電源供給部108は、高電位電圧VDDや低電位電圧VSSなどを出力し、表示パネル109に供給する。高電位電圧VDDは第1電源ラインEVDDを介し、表示パネル109に供給され、前記低電位電圧VSSは第2電源ラインEVSSを介し、表示パネル109に供給される。このとき、電源供給部108から出力された電圧は、前記ゲート駆動部106、または前記データ駆動部107へ出力され、それらの駆動に用いられ得る。
【0044】
前記表示パネル109は、ゲート駆動部106およびデータ駆動部107から供給されたデータ電圧およびスキャン信号、電源供給部108から供給された電源に対応し、映像を表示する。
【0045】
前記表示パネル109は、複数のサブ画素SPで構成され、実際に映像が表示される。前記サブ画素SPは、赤色Rのサブ画素、緑色Gのサブ画素、および青色Bのサブ画素を含む、または、白色Wのサブ画素、赤色Rのサブ画素、緑色Gのサブ画素、および青色Bのサブ画素を含むことができる。このとき、前記W、R、G、Bサブ画素SPは、全て同じ面積を有するように形成してもよく、互いに異なる面積を有するように形成してもよい。
【0046】
図2に示すように、1つのサブ画素SPは、ゲートラインGL1、データラインDL1、第1電源ラインEVDDおよび第2電源ラインEVSSに接続することができる。サブ画素SPにおけるトランジスタおよびキャパシタの数はもちろん、その駆動方法は、画素の回路構成により決まる。
【0047】
図3は、本発明に係る有機電界発光表示装置100のサブ画素SPを概念的に示す回路図である。
【0048】
図3に示すように、本発明に係る有機電界発光表示装置は、互いに交差してサブ画素SPを区画するゲート配線GL、データ配線DL、およびパワー配線PLを含み、サブ画素SPには、スイッチングトランジスタTs、駆動トランジスタTd、ストレージキャパシタCstおよび有機発光素子Dが配置される。
【0049】
前記スイッチングトランジスタTsは、ゲート配線GLおよびデータ配線DLに接続され、前記駆動トランジスタTdおよびストレージキャパシタCstは、スイッチングトランジスタTsとパワー配線PLとの間に接続され、前記有機発光素子Dは駆動トランジスタTdに接続される。
【0050】
かかる構造の有機電界発光表示装置において、ゲート配線GLに印加されたゲート信号に応じ、スイッチングトランジスタTsがオンすると、データ配線DLに印加されたデータ信号がスイッチングトランジスタTsを介し、駆動トランジスタTdのゲート電極およびストレージキャパシタCstの一電極に印加される。
【0051】
前記駆動トランジスタTdは、ゲート電極に印加されたデータ信号に応じ、オンする。その結果、データ信号に比例する電流が、パワー配線PLから駆動トランジスタTdを介し、有機発光素子Dに流れるようになり、有機発光素子Dは、駆動トランジスタTdを介して流れる電流に比例する輝度に発光する。
【0052】
このとき、ストレージキャパシタCstは、データ信号に比例する電圧に充電され、1フレームの間、駆動トランジスタTdのゲート電極の電圧が一定に維持されるようにする。
【0053】
図3には、2つのトランジスタTd、Tsと1つのキャパシタCstのみが示されているが、これに限定されるものではなく、3つ以上のトランジスタと2つ以上のキャパシタを備えることもできる。
【0054】
図4は、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100の構造を概略的に示す斜視図である。
【0055】
本発明に係る有機電界発光表示装置100は、様々な構造に適用することができるが、以下では、半導体工程により、シリコンウェーハの基板上に有機発光素子を形成する、いわゆるOLEDoS(Organic Light Emitting Diode on Silicon)構造について説明する。しかしながら、本発明がかかる構造の有機電界発光表示装置100に限定されるものではない。
【0056】
図4に示すように、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100は、ウェーハ基板110、第1電極132、有機発光層134、第2電極136、封止層160およびカラーフィルター層180を含む。
【0057】
前記ウェーハ基板110は、半導体工程により形成されたシリコンウェーハ基板であり得る。ウェーハ基板110の内部にはアクティブ層が形成され、上面にはゲートライン、データラインおよびトランジスタを配置することができる。
【0058】
第1電極132、有機発光層134および第2電極136が順次形成され、有機発光素子Eを構成する。複数の赤色(R)サブ画素、緑色(G)サブ画素、青色(B)サブ画素における第1電極132は、ウェーハ基板110上において、所定の間隔で互いに離間して配列される。
【0059】
有機発光層134は、ウェーハ基板110および第1電極132を覆うよう、ウェーハ基板110の上部全体に亘って形成される。有機発光層134は、全てのR、G、Bサブ画素に共通して形成され、これらの画素により白色光が発せられる。
【0060】
第2電極136は、有機発光層134上に形成される。第2電極136は、サブ画素の全体に亘り形成され、全てのサブ画素に信号が同時に印加される。
【0061】
封止層160は第2電極136の上部に形成され、有機発光素子Eに酸素や水分などが浸透することを防止する。前記封止層160は、無機層および有機層の多層に構成することができる。
【0062】
カラーフィルター層180は、封止層160上に形成される。
【0063】
カラーフィルター層180(または、部分カラーフィルター層)は、2色のカラーフィルター層に形成することができる。例えば、カラーフィルター層180は、赤色(R)および緑色(G)カラーフィルター層で構成されてもよく、緑色(G)および青色(B)カラーフィルター層で構成されてもよく、赤色(R)および青色(B)カラーフィルター層で構成されてもよい。すなわち、本発明に係る有機電界発光表示装置100では、R、G、Bサブ画素の全てにカラーフィルター層が備えられるものではなく、R、G、Bサブ画素のうち、2つのサブ画素(または、第1サブセット)にのみカラーフィルター層が備えられ、残りのサブ画素(または、第2サブセット)にはカラーフィルター層の代わりに空いた空間、すなわち、空気層が存在する。
【0064】
OLEDoS構造の有機電界発光表示装置100では、アクティブ層がウェーハ基板110に形成され、トランジスタを形成するため、電気移動度に優れた単結晶トランジスタを形成することができる。その結果、サブ画素の面積を大幅に縮小することができ、高解像度の表示装置を製作することができる。
【0065】
また、OLEDoS構造の有機電界発光表示装置100では、サブ画素内のトランジスタのみならず、ゲート駆動部およびデータ駆動部のトランジスタも単結晶トランジスタで構成することができるため、高速の応答速度を実現することができる。
【0066】
また、本発明に係る有機電界発光表示装置100では、R、G、Bサブ画素のうち、2つのサブ画素にのみカラーフィルター層が形成され、残りのサブ画素には空気層が形成されるため、カラーフィルター層に対応する波長帯における光効率が大幅に向上するが、その詳細については後述する。
【0067】
かかるOLEDoS構造の有機電界発光表示装置100は、多様な分野に採用することができる。例えば、OLEDoS構造の有機電界発光表示装置100は、最近、脚光を浴びているバーチャル・リアリティ(VR)およびオーグメンテッド・リアリティ(AR)に基づく仮想世界を表すメタバース用機器に採用することができる。
【0068】
図5は、
図4のI‐I’線に沿った断面図であって、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100の具体的な構造を示す図である。
【0069】
本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、R、G、Bサブ画素のうち、2つのサブ画素(第1サブセット)にのみカラーフィルター層が形成され、残りのサブ画素(第2サブセット)には空気層が形成されるが、以下では、R、Bサブ画素にカラーフィルター層が形成され、Gサブ画素にはカラーフィルター層が形成されない構造を例に挙げ、説明する。
【0070】
しかしながら、本発明がかかる構造に限定されるものではない。G、Bサブ画素にカラーフィルター層が形成され、Rサブ画素にはカラーフィルター層が形成されない構造、および/またはR、Gサブ画素にカラーフィルター層が形成され、Bサブ画素にはカラーフィルター層が形成されない構造に適用することもできる。
【0071】
また、Bサブ画素の構造はRサブ画素の構造と同一であるため、以下では、説明の便宜上、互いに隣接するRサブ画素およびGサブ画素についてのみ説明する。
【0072】
図5に示すように、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、各々のR、Gサブ画素におけるウェーハ基板110上にトランジスタTが配置される。
【0073】
前記トランジスタTは、ウェーハ基板110の内部に配置されたアクティブ領域112と、ウェーハ基板110の上面に形成されたゲート絶縁層122と、ゲート絶縁層122上に配置されたゲート電極114と、ゲート電極114が配置されたゲート絶縁層122上に形成された第1層間絶縁層124と、第1層間絶縁層124上に配置されたソース電極116およびドレイン電極117で構成される。
【0074】
前記ウェーハ基板110は、単結晶シリコンSiを成長させ、作製した単結晶シリコンウェーハであり得るが、これに限定されるものではなく、様々な半導体物質で構成されたウェーハであってもよい。
【0075】
前記アクティブ領域112は、ウェーハ基板110の内部に形成することができる。前記ウェーハ基板110におけるアクティブ領域112の一部は、ウェーハ基板110の内部で不純物がドープされてもよい。したがって、アクティブ領域112は、不純物がドープされていない中央のチャネル領域112aと、チャネル領域112aの両側面にある不純物がドープされたソース領域112bおよびドレイン領域112cで構成され得る。
【0076】
ゲート絶縁層122は、SiOx、またはSiNxのような無機物質から構成され、単層であってもよく、多層であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0077】
ゲート電極114は、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al、またはAl合金などの金属から構成され、単層であってもよく、多層であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0078】
第1層間絶縁層124は、フォトアクリルのような有機物、またはSiNx、若しくはSiOxのような無機物から構成され、単層であってもよく、多層であってもよい。また、第1層間絶縁層124は、有機物層と無機物層の多層にすることもできる。
【0079】
ソース電極116およびドレイン電極117は、Cr、Mo、Ta、Cu、Ti、Al、またはAl合金のような金属から構成され、単層であってもよく、多層であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0080】
また、ソース電極116とドレイン電極117は、それぞれゲート絶縁層122および第1層間絶縁層124に形成されたコンタクトホールを介し、アクティブ領域112におけるソース領域112bとドレイン領域112cにオーミック接触する。
【0081】
トランジスタTが配置されたウェーハ基板110には、保護層126および第2層間絶縁層128が形成される。保護層126は、フォトアクリルのような有機物質で形成することができ、有機物質からなる有機層および無機物質からなる無機層の多層に構成することができるが、これに限定されるものではない。
【0082】
第2層間絶縁層128は、SiOx、またはSiNxのような無機物から構成され、単層であってもよく、多層であってもよいが、これに限定されるものではなく、様々な物質を用いることができる。
【0083】
例えば、複数のサブ画素のうち、第2サブセットに対応するGサブ画素における保護層126上には第1反射電極118aが形成される。第1反射電極118aは、Ag、またはAlのように反射率の高い金属で形成することができるが、これに限定されるものではない。このとき、前記第1反射電極118aはフローティングされ、信号が印加されない。
【0084】
例えば、複数のサブ画素のうち、第1サブセットに対応するRサブ画素(およびBサブ画素)における第2層間絶縁層128上には、第2反射電極118bが形成される。第2反射電極118bは、Ag、またはAlのように反射率の高い金属で形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0085】
第2層間絶縁層128上における各サブ画素の境界には、バンク層152が形成される。バンク層152は、サブ画素を定義するある種の隔壁であり得る。バンク層152は、各サブ画素を区画し、隣接する画素からの特定色の光が混合して出力されることを防止することができる。
【0086】
前記第2層間絶縁層128上には有機発光素子Eが形成され、前記第2層間絶縁層128および保護層126に形成されたコンタクトホールを介し、トランジスタTのドレイン電極117に接続する。
【0087】
前記有機発光素子Eはバンク層152間に形成され、コンタクトホールを介し、トランジスタTのドレイン電極117に接続する第1電極132と、前記第1電極132およびバンク層152上に形成された有機発光層134と、前記有機発光層134上に形成された第2電極136で構成される。
【0088】
前記第1電極132は、ITO(酸化インジウムスズ)、IZO(酸化インジウム亜鉛)のような透明導電物質、または可視光線が透過できる薄い金属から形成することができるが、これに限定されるものではない。第1電極132は、トランジスタTのドレイン電極117に接続し、外部から映像信号が印加される。
【0089】
第1電極132は、サブ画素の単位ごとに形成され、サブ画素の第1電極132には、対応する映像信号が印加される。
【0090】
有機発光層134は、第1電極132およびバンク層152上に形成される。有機発光層134は、正孔輸送層(Hole Transporting Layer)、正孔注入層(Hole Injecting Layer)、発光層(Light Emitting Layer)、電子輸送層(Electron Transporting Layer)、電子注入層(Electron Injecting Layer)のうち、1つ以上を含むことができる。
【0091】
有機発光層134は、有機電界発光表示装置100の全体に亘り形成される、白色光を発する白色有機発光層であり得る。有機発光層134は、タンデム構造の2つ以上のスタックで形成することができる。スタックのそれぞれは、正孔輸送層、発光層、および電子輸送層を含むことができる。
【0092】
発光層は、複数の発光層を積層したタンデム構造にすることができる。例えば、発光層は、赤色(R)発光層、緑色(G)発光層、青色(B)発光層を積層したタンデム構造にし、これらの発光層から出力される赤色光、緑色光、青色光が混合し、白色光を出力することができる。このとき、複数の発光層の間には、正孔輸送層、電子輸送層、および電荷生成層(Charge Generate Layer)を配置することができる。
【0093】
また、発光層は、黄緑色(Yellow‐Green)発光層、および青色(B)発光層を積層したタンデム構造にし、これらの発光層から出力される黄緑色光と青色光が混合し、白色光を出力することもできる。
【0094】
本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100において、白色光を出力するための発光層の構造は、前述した構造に限定されるものではなく、様々な構造にすることができる。有機発光層134は、蒸着工程、または溶液工程により、ウェーハ基板110の全体に亘り形成することができる。
【0095】
第2電極136は、Ca、Ba、Mg、Al、Agなどの金属、またはこれらの合金から構成され、単層であってもよく、多層であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0096】
かかる構造の有機発光素子Eにおいて、第1電極132と第2電極136に電圧が印加されると、正孔と電子がそれぞれ正孔輸送層と電子輸送層を介し、発光層に移動することになり、発光層で互いに結合して発光する。
【0097】
第2電極136上には封止層160が形成される。封止層160は、無機物質からなる第1封止層162と、有機物質からなる第2封止層164と、無機物質からなる第3封止層166で構成することができる。このとき、無機物質は、SiOxとSiNxを含むことができるが、これに限定されるものではない。また、有機物質は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、またはこれらの混合物質を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0098】
封止層160上には、カラーフィルター層180が形成される。カラーフィルター層180は、Rサブ画素とBサブ画素にそれぞれ形成されたRカラーフィルターとBカラーフィルターを含む。このとき、Gサブ画素には、カラーフィルター層180が形成されず、空いた空間が設けられる。厳密に言うと、カラーフィルター層180はRカラーフィルターおよびBカラーフィルターを意味するが、Gサブ画素の空いた空間、すなわち、空気で満たされた空気層184もカラーフィルター層180の一部として見なすこともできる。有機電界発光表示装置100は、複数の反射電極を含むことができるが、複数の反射電極のうち、少なくとも1つはカラーフィルター層から第1距離に位置し、複数の反射電極のうち、残りはカラーフィルター層から第2距離に位置することができる。複数の反射電極は、複数のサブ画素の第1サブセットに対応する少なくとも2つの第1反射電極と、複数のサブ画素の第2サブセットに対応する第2反射電極を含むことができる。カラーフィルター層は、複数のサブ画素の少なくとも1つのサブセット上において、カラーフィルターを含まなくてもよい。
【0099】
Rカラーフィルターは、有機発光素子Eから発せられ、入射する白色光がRカラーフィルターを透過する際、赤色光を除いた他の波長帯の光を吸収し、赤色光のみを出力する。また、Bカラーフィルターは、有機発光素子Eから発せられ、入射する白色光がBカラーフィルターを透過する際、青色光を除いた他の波長帯の光を吸収し、青色光のみを出力する。
【0100】
カラーフィルター層180上には接着剤192が配置され、その上に保護部材190が配置され、接着剤192により保護部材190が貼り付けられる。
【0101】
保護部材190は、有機電界発光表示装置100を保護し、封止するものであって、ガラスで構成されてもよく、透明フィルムで構成されてもよい。かかるフィルムとして、PS(ポリスチレン)フィルム、PE(ポリエチレン)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム、またはPI(ポリイミド)フィルムといった透明な保護フィルムを用いることができる。
【0102】
接着剤192には、透明な光学粘着シート(Optical Clear Adhesive:OCA)を用いることができる。OCAは、両面テープ状に形成され、両面には異形フィルムが貼り付けられるが、貼り合わせる際に、異形フィルムを剥離した状態で両面に貼り合わせ対象を貼り付けることで、その対象物同士を貼り合わせることができる。かかるOCAは、カラーフィルター層180と保護部材190との間において、半固体状態で配置されるため、接着物質が空気層184の内部に入り込むことなく、カラーフィルター層180の空気層184が、RカラーフィルターおよびBカラーフィルターと同じ形状を維持することができる。
【0103】
しかしながら、本発明の一実施例に係る有機電界発光表示装置100において、接着剤192はOCAに限定されるものではなく、様々な接着部材を用いることができる。
【0104】
前述したように、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、ガラスやプラスチックフィルムではなく、単結晶シリコンからなるウェーハ基板110上にトランジスタTが形成されるため、サブ画素の面積を大幅に縮小しても、希望する高画質の映像表現が可能となり、高解像度の表示装置100の実現が可能となる。
【0105】
さらに、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、R、Gサブ画素間に光漏れを防止するためのブラックマトリクスを設けないため、さらに微細なサブ画素を形成することができ、超高解像度の表示装置100を実現することができる。
【0106】
本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、カラーフィルター層180にR、Bカラーフィルターのみを形成し、Gカラーフィルターを削除して空気層184を形成することで、R、G、Bサブ画素の光効率を向上させることができる。以下、これについて詳述する。
【0107】
図6は、Gカラーフィルターを備えた有機電界発光表示装置における有機発光素子Eから発せられた光の出力経路を示す図である。
【0108】
図6に示すように、カラーフィルター層180がR、G、Bカラーフィルターで構成された場合、R、G、Bサブ画素から発せられた白色光は、カラーフィルター層180を透過し、出力される。このとき、Rカラーフィルターを透過する白色光は、他の波長帯の光を吸収して赤色光のみを出力し、Gカラーフィルターを透過する白色光は、他の波長帯の光を吸収して緑色光のみを出力し、Bカラーフィルターを透過する白色光は、他の波長帯の光を吸収して青色光のみを出力する。
【0109】
しかしながら、かかる構造の有機電界発光表示装置の場合、R、G、Bカラーフィルター間にブラックマトリクスが配置されないため、特定のサブ画素を透過した光が、隣接する他のサブ画素領域を通って出力されることがある。
【0110】
例えば、RカラーフィルターとGカラーフィルターを垂直に透過した光1、3は、そのままRサブ画素とGサブ画素に出力される。
【0111】
カラーフィルター層180は、類似の屈折率を持つR、G、Bカラーフィルターで構成され、サブ画素の界面において、R、G、Bカラーフィルターは互いに接しているため、サブ画素の界面は、略類似の屈折率を持つ。そのため、特定のサブ画素に所定の角度で入射し、隣接するサブ画素との界面に入射した光は、屈折することなく、そのまま隣接するサブ画素を通り、出力される。
【0112】
例えば、Rカラーフィルターに所定の角度で入射した光2は、Rサブ画素とGサブ画素との界面に入射するが、入射光は、屈折または反射することなく、そのままGサブ画素に入射する。Rサブ画素から出力された光の全てがRサブ画素から出力されるわけではなく、一部の光が、隣接するGサブ画素から出力されるため、Gサブ画素において、赤色光と緑色光の混色が発生する。その結果、画面上において、光漏れによるシミが発生する。
【0113】
図7は、本発明に係る有機電界発光表示装置100、すなわち、Gカラーフィルターを備えていない有機電界発光表示装置における有機発光素子Eから発せられた光の出力経路を示す図である。
【0114】
図7に示すように、本発明に係る有機電界発光表示装置100において、R、Bサブ画素にはカラーフィルター層180が形成されるが、Gサブ画素にはカラーフィルター層180が形成されない。Gサブ画素のカラーフィルター層に相当する領域には、カラーフィルター層180の代わりに空気層184が形成される。
【0115】
また、有機発光素子Eの下部には第2層間絶縁層128が形成され、Gサブ画素における第2層間絶縁層128の下部には第1反射電極118aが配置される。R、Bサブ画素における有機発光素子Eの下部には第2反射電極118bが配置される。
【0116】
かかる構造の有機電界発光表示装置100において、R、Bサブ画素の有機発光素子Eから発せられた白色光は、上部のカラーフィルター層180を透過し、出力される。例えば、Rサブ画素の有機発光素子Eから発せられた白色光は、Rカラーフィルターを透過する際に他の波長帯の光を吸収し、赤色光のみを出力する。また、Bサブ画素の有機発光素子Eから発せられた白色光は、Bカラーフィルターを透過する際に他の波長帯の光を吸収し、青色光のみを出力する。
【0117】
このとき、有機発光素子Eから下部に発せられた光は、有機発光素子Eの下部における第2反射電極118bで反射し、再びカラーフィルター層180を透過して出力される。
【0118】
R、Bサブ画素の有機発光素子Eから発せられ、垂直上方向に出力される光1は、対応するカラーフィルターを通って出力される。
【0119】
R、Bサブ画素の有機発光素子Eから発せられ、上方向に向けて所定の角度で出力される光2は、Gサブ画素との界面に入射する。ところが、Gサブ画素にはカラーフィルター層が形成されず、空気層184が存在するため、有機物質からなるカラーフィルター層180と空気層184との間に屈折率差が生じる。その結果、Gサブ画素との界面に入射した光は、Gサブ画素に入射せず、界面で反射する。言い換えると、Gサブ画素との界面に入射した光は、反射により、R、Bサブ画素を通り、出力される。
【0120】
したがって、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、R、Bサブ画素の有機発光素子Eから発せられた光が、隣接するサブ画素に入射せず、全て対応するカラーフィルターを通って出力されるため、該当サブ画素の輝度が大幅に上昇する。
【0121】
図8Aと
図8Bは、それぞれGカラーフィルターを備えた場合、およびGカラーフィルターを備えず、空気層を備えた場合におけるRサブ画素の輝度、そしてBサブ画素の輝度を示す図である。実線(Ref.)は、Gカラーフィルターを備えた場合の輝度を示し、点線(Air Gap)は、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置の輝度を示す。
【0122】
図8Aに示すように、Gカラーフィルターを備えた場合、Rサブ画素を通り、出力される赤色光の輝度が約0.11であるに対し、空気層184を備えた場合、Rサブ画素を通り、出力される赤色光の輝度は約0.14に増加する。
【0123】
図8Bに示すように、Gカラーフィルターを備えた場合、Bサブ画素を通り、出力される青色光の輝度が約0.20であるに対し、空気層184を備えた場合、Bサブ画素を通り、出力される青色光の輝度は約0.30に増加する。
【0124】
このように、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、R、Bサブ画素の有機発光素子Eから出力され、Gサブ画素との界面に入射した光が全反射し、再びR、Bサブ画素を通り、出力されるため、R、Bサブ画素の輝度が大幅に向上する。
【0125】
一方、Gサブ画素の有機発光素子Eから発せられた白色光の一部は、直接上部に出力されて空気層184を透過し、残りの光は、第1反射電極118aで反射した後、上部に出力され、空気層184を透過する。すなわち、有機発光素子Eから発せられ、空気層184を直接透過する光と、第1反射電極118aで反射した後、空気層184を透過する光が、Gサブ画素を通って出力される。
【0126】
本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、有機発光素子Eから直接出力される光と、第1反射電極118aで反射した後、出力される光とを補強干渉させる。特に、本発明では、緑色の波長帯で、有機発光素子Eから直接出力される光と、第1反射電極118aで反射した後、出力される光とを補強干渉させることで、Gカラーフィルターがなくても緑色光のみがGサブ画素を通り、出力されるようにする。このとき、他の波長帯の光は、完全に、若しくはある程度相殺干渉され、除去され、または強度が大幅に減少し、Gサブ画素を通って出力される光は、実質的に緑色光となる。
【0127】
有機発光素子Eから直接出力される光と、第1反射電極118aで反射した後、出力される光との補強干渉は、下記の数式1に従って行われる。
【0128】
【0129】
ここで、nは整数、dは光学距離、λは波長、mは次数である。
【0130】
光学距離dは、第1反射電極118aの上面から第2電極136の下面までの距離である。したがって、光学距離dは、有機発光素子Eにおける第1電極132および有機発光層134の厚さt1と、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2との和である。ここで、距離t2は、第2層間絶縁層128の厚さから第1反射電極118aの厚さを引いた値であるので、第1反射電極118aの厚さが固定されていると仮定すると、距離t2は、第2層間絶縁層128の厚さを調節することにより調整することができる。また、第2層間絶縁層128の厚さが固定されていると仮定すると、距離t2は、第1反射電極118aの厚さを調節することにより調整することができる。そして、距離t2は、第2層間絶縁層128の厚さおよび第1反射電極118aの厚さを調節することにより調整することができる。
【0131】
本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、緑色光の波長、例えば、約528nmの波長で光を補強干渉させることで(λ=528nm)、緑色光がGサブ画素を通り、出力されるようにする。出力される緑色光は、1次、2次、3次、およびそれ以上の次数で補強干渉した光であり得る。ところが、約528nm波長の光を1次補強干渉させるためには、光学距離dを最小にしなければならないが、工程上の限界により、光学距離dに対応する第1電極132および有機発光層134の厚さt1と、第2層間絶縁層128(および/または第1反射電極118a)の厚さを設定値以下に形成することができない。そのため、実質的に1次補強干渉した光を出力することができない。また、4次以上に補強干渉した緑色光は、その強度が非常に小さいため、Gサブ画素を通し、実際に緑色光を出力することができなくなる。
【0132】
本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、緑色光の波長帯、例えば、528nmの波長帯で光が2次および3次補強干渉するよう、第1電極132および有機発光層134の厚さt1と、第2層間絶縁層128(および/または第1反射電極118a)の厚さを調節することで、Gサブ画素を通り、希望する強度の緑色光が出力されるようにする。
【0133】
表1に、2次および3次補強干渉時における第1電極132および有機発光層134の厚さt1と、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2を例示する。しかしながら、本発明における第1電極132および有機発光層134の厚さt1、並びに第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2が、例示した数値に限定されるものではない。また、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、カラーフィルター層180を備えず、Gサブ画素を通して緑色光を出力させるため、緑色光に対応する様々な波長帯で2次および3次補強干渉を起こすことができ、補強干渉する波長帯によって第1電極132および有機発光層134の厚さt1、そして第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2を多様に設定することができる。
【0134】
【0135】
表1に示すように、528nmの波長帯における光学距離dが2640nmである場合、2次補強干渉が起こる。このとき、第1電極132および有機発光層134の厚さt1が2000nmであり、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2は640nmであり得る。また、第1電極132および有機発光層134の厚さt1が2200nmであり、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2は440nmであり得る。また、第1電極132および有機発光層134の厚さt1が2400nmであり、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2は240nmであり得る。
【0136】
528nm波長帯における光学距離dが3960nmである場合、3次補強干渉が起こる。このとき、第1電極132および有機発光層134の厚さt1が3300nmであり、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2は660nmであり得る。また、第1電極132および有機発光層134の厚さt1が3500nmであり、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2は460nmであり得る。また、第1電極132および有機発光層134の厚さt1が3700nmであり、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2は260nmであり得る。
【0137】
しかしながら、本発明に係る有機電界発光表示装置100における第1電極132および有機発光層134の厚さt1と、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2が、かかる数値に限定されるものではない。補強干渉する波長帯により、光学距離dが変更されることがある。それにより、第1電極132および有機発光層134の厚さt1と、第1反射電極118aの上面から第2層間絶縁層128の上面までの距離t2も変更され得る。
【0138】
また、工程上、可能であれば、光学距離dの条件を満たすよう、第1電極132および有機発光層134の厚さt1と、第2層間絶縁層128(および/または第1反射電極118a)の厚さを、様々な組み合わせで形成することができる。
【0139】
図9Aと
図9Bは、それぞれ本発明に係る有機電界発光表示装置100のGサブ画素において、光学距離dが調整されていない場合(すなわち、補強干渉していない場合)の光学スペクトルと、光学距離dが調整された場合(すなわち、補強干渉した場合)の光学スペクトルを示すグラフである。
【0140】
図9Aに示すように、光学距離dが調整されていない場合、Gサブ画素から出力される光は、約460nmおよび570nmに低いピークを持つ光、すなわち、全体的に白色光に近い光である。一方、
図9Bに示すように、光学距離dが調整された場合、Gサブ画素から出力される光は、約528nmにピークを持つ緑色光である。
【0141】
このように、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、Gカラーフィルターを備えず、光学距離dを調整することで、Gサブ画素を通し、純度の高い緑色光を出力することができる。
【0142】
上述した通り、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、トランジスタをウェーハ上に形成し、カラーフィルター間にブラックマトリクスを形成しないため、高解像度、かつ高性能な表示装置を実現することができる。
【0143】
また、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、Gカラーフィルターを取り除き、その位置に低屈折率の空気層を形成することで、Gサブ画素との界面に入射する光を全反射させる。その結果、Gサブ画素に他色の光が混入することによって発生するシミを防止することができる。
【0144】
また、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、R、Bサブ画素から、Gサブ画素との界面に入射する光を全反射させ、再びR、Bサブ画素に出力させるため、R、Bサブ画素に出力される光の強度を増加させ、光効率を大幅に向上させることができる。
【0145】
一方、本発明の第1実施例に係る有機電界発光表示装置100では、R、Bサブ画素にカラーフィルター層が形成され、Gサブ画素にはカラーフィルター層が形成されない構造を例に挙げ、説明したが、本発明がかかる構造に限定されるものではない。G、Bサブ画素にカラーフィルター層が形成され、Rサブ画素にはカラーフィルター層が形成されない構造と、R、Gサブ画素にカラーフィルター層が形成され、Bサブ画素にはカラーフィルター層が形成されない構造に適用することもできる。
【0146】
図10は、本発明の第2実施例に係る有機電界発光表示装置200の断面図である。
図5に示す第1実施例と同じ構成については説明を省略、または簡略にし、相違点についてのみ詳細に説明する。
【0147】
図10に示すように、本実施例に係る有機電界発光表示装置200では、単結晶シリコンのような単結晶半導体からなるウェーハ基板210上に、トランジスタTおよび有機発光素子Eか形成される。
【0148】
トランジスタT上における第1層間絶縁層224上には第1反射電極218aが形成される。前記第1反射電極218aは、トランジスタTのソース電極216およびドレイン電極217と同一金属で、同一工程により形成することができるが、これに限定されるものではない。ソース電極216およびドレイン電極217とは異なる金属で、別工程により形成してもよい。
【0149】
前記第1反射電極218aは、AlやAgのように反射率の高い金属で形成することができるが、これに限定されるものではない。
【0150】
有機発光素子Eは、バンク層252間に形成され、コンタクトホールを介してトランジスタTのドレイン電極217に接続する第1電極232と、前記第1電極232およびバンク層252上に形成される有機発光層234と、前記有機発光層234上に形成される第2電極236で構成される。
【0151】
第1電極232の下部には、第2反射電極218bを形成することができる。ソース電極216とドレイン電極217は、それぞれゲート絶縁層222および第1層間絶縁層224に形成されたコンタクトホールを介し、アクティブ領域212のチャネル領域212aの両側に位置するソース領域212bとドレイン領域212cにオーミック接触することができる。第2電極236上に形成された封止層260は、無機物質からなる第1封止層262と、有機物質からなる第2封止層264、無機物質からなる第3封止層266を含むことができる。保護部材290は、接着剤292によりカラーフィルター層280に貼り付けることができる。
【0152】
本実施例においても、Gサブ画素にはカラーフィルター層280が形成されず、空気層284が形成されるため、R、Bサブ画素から、Gサブ画素との界面に入射する光が全反射し、再びR、Bサブ画素に出力される。その結果、R、Bサブ画素に出力される光の効率を大幅に向上させることができる。
【0153】
また、第1反射電極218aの上面から第2電極236の下面までの光学距離を調整し、緑色光の波長帯における補強干渉の光学距離を調整することで、カラーフィルター層が存在しないGサブ画素を通り、緑色光が出力される。このとき、光学距離は、第1電極232および有機発光層234の厚さと、第1反射電極218aの上面から第2層間絶縁層228の上面までの距離(すなわち、第2層間絶縁層228の厚さおよび保護層226の厚さ)を調節することで、調整することができる。したがって、2次および3次補強干渉のためには、保護層226をSiOx、またはSiNxのような無機物質で形成し、その厚さを数百nmにすることが好ましい。
【0154】
本実施例でも、Gサブ画素にはカラーフィルター層280が形成されず、空気層284が形成されるため、R、Bサブ画素から、Gサブ画素との界面に入射する光が全反射し、再びR、Bサブ画素に出力される。その結果、R、Bサブ画素に出力される光の効率を大幅に向上させることができる。
【0155】
また、第1電極232および有機発光層234の厚さと、第2層間絶縁層228および保護層226の厚さを調節し、緑色光の波長帯における補強干渉の光学距離を調整することで、カラーフィルター層が存在しないGサブ画素を通り、緑色光が出力されるようにすることができる。
【0156】
上述した本発明の例で説明した特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも1つの例に含まれるが、必ずしもそれに限定されるものではない。さらに、本発明の少なくとも1つの例で挙げられた特徴、構造、効果などは、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、他の例に対しても組み合わせ、または変形して実施することが可能である。よって、かかる組み合わせと変形に関連した内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【0157】
以上で説明した本発明は、前述した実施例および図面に限定されるものではない。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的事項から逸脱しない範囲内で置換、変形、変更することが可能であろう。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示される。また、特許請求の範囲の意味およびその範囲、そして、それと同等な概念から導出された変更、または変形されたあらゆる形態が、本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0158】
110…ウェーハ基板、112…アクティブ領域、114…ゲート電極、116…ソース電極、117…ドレイン電極、118a、118b…反射電極、128…第2層間絶縁層、160…封止層、180…カラーフィルター層、184…空気層