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特開2023-99345薬用植物抽出物を有効成分とする眼疾患予防又は改善用組成物及びその製造方法
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  • 特開-薬用植物抽出物を有効成分とする眼疾患予防又は改善用組成物及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099345
(43)【公開日】2023-07-12
(54)【発明の名称】薬用植物抽出物を有効成分とする眼疾患予防又は改善用組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/48 20060101AFI20230705BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230705BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20230705BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20230705BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230705BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20230705BHJP
   A61K 36/54 20060101ALI20230705BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20230705BHJP
   A61K 36/27 20060101ALI20230705BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20230705BHJP
【FI】
A61K36/48
A61P27/02
A61P27/06
A61P27/12
A61P3/10
A61K36/61
A61K36/54
A61K36/28
A61K36/27
A23L33/105
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211488
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0191930
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Witepsol
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】317017461
【氏名又は名称】ロッテ コンフェクショナリー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭秀學
(72)【発明者】
【氏名】朴昭貞
(72)【発明者】
【氏名】朴在雄
(72)【発明者】
【氏名】李庚▲ヒョン▼
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB02
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018MD09
4B018MD15
4B018MD25
4B018MD26
4B018MD28
4B018MD31
4B018MD34
4B018MD46
4B018MD48
4B018MD57
4B018MD61
4B018MD66
4B018ME14
4B018MF01
4C088AB12
4C088AB26
4C088AB33
4C088AB57
4C088AB59
4C088BA08
4C088CA05
4C088CA06
4C088CA08
4C088MA07
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZA33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】天然物が持つ有益な成分を活用し、副作用が少なく、眼球関連疾患を予防し改善する組成物を提供する。
【解決手段】コロハ抽出物、チョウジ抽出物、又はこれらの混合物を有効成分として含む、眼疾患(網膜及び角膜疾患)予防又は治療用組成物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロハ抽出物及びチョウジ抽出物のいずれか一つ以上を有効成分として含む、眼疾患の予防、軽減又は治療用薬学組成物。
【請求項2】
前記有効成分は、ウヤク抽出物、蒼耳子抽出物、ひよこ豆抽出物及び白首烏抽出物のいずれか一つ以上の抽出物をさらに含む、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項3】
前記抽出物は、水、C1~C6の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出した抽出物である、請求項1又は2に記載の薬学組成物。
【請求項4】
前記有効成分は、0.01mg/kg/日~10g/kg/日の投与量で投与される、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項5】
前記眼疾患は、眼球乾燥症、黄斑変性、白内障、緑内障及び糖尿網膜病症のいずれか一つである、請求項1に記載の薬学組成物。
【請求項6】
コロハ抽出物及びチョウジ抽出物のいずれか一つ以上を有効成分として含む、眼疾患改善用健康機能性食品組成物。
【請求項7】
前記有効成分は、ウヤク抽出物、蒼耳子抽出物、ひよこ豆抽出物及び白首烏抽出物のいずれか一つ以上の抽出物をさらに含む、請求項6に記載の食品組成物。
【請求項8】
前記抽出物は、水、C1~C6の低級アルコール、又はそれらの混合溶媒で抽出した抽出物である、請求項6又は7に記載の食品組成物。
【請求項9】
前記眼疾患は、眼球乾燥症、黄斑変性、白内障、緑内障及び糖尿網膜病症のいずれか一つである、請求項6に記載の食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロハ抽出物、チョウジ抽出物、又はこれらの混合物を有効成分として含む眼疾患(網膜及び角膜疾患)予防又は治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
全世界的に人類の平均寿命が延びる中、健康に長く生きる健康寿命への人々の関心も高まっている。「目」は、生活中に80%以上の情報が目から得られる程度に最も重要な感覚器官である。しかし、このような「目」は、身体器官のうち老化が最も早く訪れる器官である。老化の他にも、更年期症状、自己免疫疾患、甲状腺疾患又は角膜の鋭敏性減少などが要因となって全年齢層で眼疾患が増加している。最近では、西欧化した食習慣、コンピュータやスマートフォンなどのメディア機器と汚染した環境への過度な露出により、視力障害や様々な眼科疾患がさらに増えている現実である。したがって、目の機能的障害や喪失は生活の質を低下させる最大の要因であるだけに、目の健康への関心が増加しつつあり、目の健康に対する管理が要求されている。代表的な眼科疾患には、眼球乾燥症、黄斑変性、白内障、緑内障、糖尿網膜病症などがある。
【0003】
眼球乾燥症は、韓国成人の20%前後で発生する一般的な病気であり、涙液の量と質が低減したり、涙液と眼球の表面の炎症によって発生する。このような眼球乾燥症は、角膜の酸化的損傷と涙層の不安定性によって眼表面に損傷が与えられ、正常群に比べて視機能が低下し、コントラスト感度が著しく低下し、生活の質を有意に低下させる。韓国全体の罹患率は16%と調査されており、65歳以上の高齢層では33%程度の有病率が報告されている。このような眼球乾燥症は、適切な時期に治療しなければ角膜潰瘍や傷痕によって視力を喪失する危険もある。一般に、眼球乾燥症の改善のためにカリウムとアントシアニンが豊富な食品の摂取が推奨され、人工涙を点眼したり、涙点を塞いで排出される涙の量を調節する治療法が用いられている。しかし、人工涙による一時的な涙の補充は、一時的な症状改善に留まるだけであり、ステロイド成分や血管収縮剤成分を含む炎症治療眼薬を長期使用すると、それらの成分による眼圧上昇、緑内障、白内障などの副作用が発生し得る。これにより、角膜上皮細胞などのアポトーシスあるいは細胞生存率をバイオマーカーとして活用した眼球乾燥症治療剤の開発が活発に行われており、天然物素材を用いた治療剤研究事例も多く明らかにされている。マキベリー(Maqui Berry)抽出物を有効成分として含む眼球乾燥症治療剤(特許文献1)、魚類眼球抽出物を含む眼球乾燥症治療用組成物(特許文献2)などが開発されたことがある。
【0004】
黄斑変性は50歳以上の年齢層で主に発生するが、すでに先進国で発生する成人失明原因第1位の疾患で、韓国でも高齢人口の増加とともにますます増加する傾向である。黄斑変性の原因についてはまだ正確にされていないが、危険因子としては、加齢、家族歴、人種、喫煙との関連が挙げられている。発症初期には視界がぼやけたり、近所の事物が歪んで見えるが、結局には失明に至る。
【0005】
黄斑は視細胞と視神経細胞が密集している網膜の中心部位であり、中心部視野を担当している。中心部の視野を維持するためには、光受容体細胞を保護して視覚信号を伝達することに制限があってはならない。光受容体細胞の機能を維持する上で網膜色素上皮細胞は必須の細胞であり、脳の血管-脳-障壁(BBB)のような血管-網膜-障壁(blood-retinal-barrier)をなす細胞でもある。網膜色素上皮細胞が加齢とともにその機能が徐々に低下し、このため、細胞内で代謝後の副産物である「A2E」と呼ばれる分子が網膜色素上皮細胞内から排出されずに蓄積することになる。リポフスチン(lipofuscin)の主な発色団の一つであるA2E分子が光刺激や様々な酸化的ストレスに晒されると、酸化型のA2Eに転換され、酸化型のA2E分子が網膜色素上皮細胞の死滅に関連するという先行報告がある。したがって、網膜色素上皮細胞のA2E分子自体の蓄積を事前に遮断し、酸化による危険自体を減らすことによって細胞生存率を増加させることが目の健康維持に役立ち得る。
【0006】
また、脈絡膜はその大部分が血管層から構成されており、これは、網膜層に栄養物質を供給し、網膜細胞から出る代謝物質を除去する役割を担う。しかし、老化などの原因によって脈絡膜の血管が網膜細胞部分まで突き抜け、視神経細胞部分にまで異常に生成され、異常な血管(脈絡膜新生血管)を作り出す。新生血管は、癌細胞や組織から血管内皮細胞増殖因子 (vascular endothelial growth factor:VEGF、fibroblast growth factor:FGFなど)が発現し、既存の血管から微小血管が成長する。網膜における新生血管の生成は、異常な血管が生成され、血液の滲出現象が起き、黄斑変性を誘発する。
【0007】
現在、個別認定型原料のうち、2020年生産実績基準で売上高が300億ウォンを超える上位5品目に目健康関連原料が含まれるほど、目健康改善用健康機能食品の需要が増えている。したがって、眼球疾患を治療する治療薬の開発だけでなく、視力保護、目の健康のために予防まで可能な長期服用できる食品素材を開発することが重要である。以前からニンジン、ホウレン草、決明子、クコ、ブルーベリーなどの様々な天然素材が目の健康に役立つと知られており、実際に、ワイルドブルーベリーから抽出したアントシアノサイドを主成分とする視力改善剤が開発されており、また、決明子、クコなどの生薬材が昔から視力維持と視力改善を目的に茶として飲用されている。
【0008】
しかしながら、現在販売中の眼疾患改善用組成物はその効果が十分でなく、より優れた効果を示す素材への研究が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2015-0109354号
【特許文献2】韓国登録特許第10-1211969号
【特許文献3】韓国登録特許第10-1932862号
【特許文献4】韓国公開特許第10-2020-0022930号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、天然物素材のin vivo目健康効能評価のための前段階のin vitro試験により、前記探索対象生薬材(60余種)に対して目の酸化的損傷を予防できる抗酸化能、A2E活性評価、網膜と角膜の細胞生存率を測定した。したがって、天然物が持つ有益な成分を活用して、副作用が少なく、優れた機能を有する組成物を提供することにより、このような眼球関連疾患を予防し改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、下記のような課題の解決手段を提供する。
【0012】
本発明の一側面は、コロハ及びチョウジ抽出物のいずれか一つ以上を有効成分として含む、角膜及び網膜疾患予防又は改善健康機能食品組成物を提供する。
【0013】
本発明の一側面において、前記コロハ及びチョウジ抽出物は、それぞれ独立に或いは混合して、水、炭素数1~5のアルコール又は炭素数1~5のアルコール水溶液を抽出溶媒として抽出されたものである、角膜及び網膜疾患予防又は改善健康機能食品組成物を提供する。
【0014】
本発明の一側面において、前記コロハ及びチョウジ抽出物は、水抽出物であり、60℃~150℃で1時間~8時間抽出される、角膜及び網膜疾患予防又は改善健康機能食品組成物を提供する。
【0015】
本発明の一側面において、前記コロハ抽出物及びチョウジ抽出物は、9:1~1:9の重量比で含まれる、角膜及び網膜疾患予防又は改善健康機能食品組成物を提供する。
【0016】
本発明の一側面において、前記組成物は、人体の内部及び外部刺激による酸化ストレス及び浸透圧衝撃を減少させる、角膜及び網膜疾患予防又は改善健康機能食品組成物を提供する。
【0017】
本発明の他の側面において、前記眼球関連疾患は、眼球乾燥、緑内障、ブドウ膜炎、及び黄斑変性から選ばれる眼球関連疾患の予防、軽減又は治療用組成物を提供する。
【0018】
本発明の他の側面において、前記組成物は薬学組成物である、組成物を提供する。
【0019】
本発明の他の側面において、前記組成物は食品組成物である、組成物を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面に係る組成物は、体内酸化ストレス及び外部環境ストレスなどによって発生する角膜及び網膜疾患を予防、改善又は治療する効果に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施例3の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
別に断りのない限り、本明細書で使われる成分、反応条件、成分の含有量を表す全ての数字、値及び/又は表現は、これらの数字が本質的に他の物からこのような値を得る上で発生する測定の様々な不確実性が反映された近似値である点で、全ての場合において「約」という用語で修飾されるものと理解されるべきである。また、本記載において数値範囲が開示される場合に、このような範囲は連続的であり、特記しない限り、このような範囲の最小値から最大値を含む該最大値までの全ての値を含む。さらに、このような範囲が整数を示す場合に、特記しない限り、最小値から最大値を含む該最大値までの全ての整数が含まれる。
【0023】
本明細書において、範囲が変数に対して記載される場合に、前記変数は、前記範囲の記載された終了点を含む記載範囲内の全ての値を含むものと理解されよう。例えば、「5~10」の範囲、5、6、7、8、9、及び10の値だけでなく、6~10、7~10、6~9、7~9などの任意の下位範囲も含み、5.5、6.5、7.5、5.5~8.5及び6.5~9などのような、記載範囲の範疇に妥当な整数間の任意の値も含むものと理解されよう。また、例えば、「10%~30%」の範囲は、10%、11%、12%、13%などの値と30%までを含む全ての整数だけでなく、10%~15%、12%~18%、20%~30%などの任意の下位範囲も含み、10.5%、15.5%、25.5%などのような、記載範囲の範疇内の妥当な整数間の任意の値も含むものと理解されよう。
【0024】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0025】
本発明は、コロハ抽出物及びチョウジ抽出物のいずれか一つ以上を含む混合物、或いはコロハ抽出物、チョウジ抽出物から選ばれる一つの薬用植物を含む網膜及び角膜疾患予防及び改善用組成物及びその製造方法を提供する。
【0026】
一具現例において、前記薬用植物は、80~100℃の温度で1~8時間抽出することを特徴とする薬用植物抽出物を含有する網膜及び角膜疾患予防及び改善用組成物及びその製造方法を提供する。
【0027】
本発明は、コロハ抽出物及びチョウジ抽出物を含む混合物、コロハ抽出物及びチョウジ抽出物から選ばれる一つの薬用植物を含んで製造されることにより、網膜の老化及び損傷の原因とされている体内酸化ストレスに対する抑制力を有し、角膜損傷の原因とされる高浸透圧による細胞損傷を効率的に防止して人体に副作用がない、網膜及び角膜疾患予防及び改善用組成物及びその製造方法に関する。
【0028】
前記抽出物は、水、酒精、二酸化炭素から選ばれる一つで抽出された物質であってよく、好ましくは、前記コロハ或いはチョウジ100重量部を基準に、水2,000重量部を還流抽出装置で80℃、2時間加熱した後、濾過、濃縮、乾燥段階を行うことが好ましいが、これに限定されず、60~100℃の温度で0.5~8時間加熱する過程と、濾過、濃縮及び乾燥段階を行っても構わない。また、各抽出物は、混合して抽出してもよく、それぞれを抽出してその抽出物を混合してもよい。
【0029】
前記コロハ(Trigonella foenum-graecum)は、マメ科の植物で、主に香辛料として使われる。英語の表記はfenugreek、ヒンディー語/ウルドゥー語ではmethiという。ギリシャ干し草という言葉通りに、(乾燥した)草をとって使うこともあり、種の形で使うこともある。漢方医学では腹痛や疝痛(出産の痛みではなく、前立腺炎などで腹が差し込まれるような痛み)を減らす作用があるとされ、種を炒めて薬用とすることもある。
【0030】
前記チョウジ(Syzygium aromaticum)は、フトモモ科に属する常緑の牧草である。インドネシア原産で、乾燥したつぼみがまるで釘に似ていることからチョウジと名付けられた。香りが良いだけでなく、香料の中でも腐敗防止と殺菌力がとても良い。チョウジは韓国でも貴重な薬剤であり、古くから丸薬や粉薬、煎じ薬など様々に利用されているが、「東医宝鑑」にもその処方が載っている。脾胃が弱い、腹が冷たいか痛い、吐き気又は下痢する、食欲がないとき、しゃっくり、消化障害、膝と腰の痛み、回虫症などに用いられる
【0031】
コロハ抽出物及びチョウジ抽出物を含む混合物、コロハ抽出物及びチョウジ抽出物から選ばれる一つの薬用植物を含む網膜又は角膜疾患予防又は改善用健康機能食品は、飲料、丸、錠剤(tablet)、カプセル剤(capsule)、散剤のいずれか一剤形に製造されてもよく、他の食品又は食品の成分に添加して製造されてもよく、通常の方法によって適宜製造されてよい。
【0032】
本発明の健康食品に含まれる食品の一例は、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤から選ばれるいずれか一形態であってよく、通常の意味の如何なる健康食品も含まれる。
【0033】
前記健康機能食品は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成及び天然風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルキン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH 調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを含有できる。その他にも天然果物ジュース及び野菜飲料の製造のための果肉を含有できる。このような成分は独立に又は組合せで使用することができる。
【0034】
本発明の健康機能食品は、様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有できる。前記天然炭水化物は、ブドウ糖、果糖のようなモノサッカライド、マルトース、スクロースのようなジサッカライド、及びデキストリン、シクロデキストリンのようなポリサッカライド、キシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、タウマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用することができる。
【0035】
また、本発明は、コロハ抽出物及びチョウジ抽出物を含む混合物、コロハ抽出物及びチョウジ抽出物から選ばれる一つの薬用植物を含む網膜又は角膜疾患予防又は改善用薬学組成物に関する。本発明の薬学組成物は、前記コロハ或いはチョウジ抽出物に加えて担体、賦形剤又は希釈剤をさらに含むことができる。好ましくは、本発明の組成物に含まれてよい担体、賦形剤又は希釈剤には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、マルチトール、澱粉、アカシアガム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク及びステアリン酸マグネシウムなどがあり、これに限定されない。
【0036】
また、通常の方法によって経口又は非経口の剤形で投与されてよく、製剤化する場合には、一般に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を含めて調製する。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、前記組成物に少なくとも一つの賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース、ラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調製する。また、単純な賦形剤の他に、ステアリン酸マグネシウム、タルクのような潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、耐溶液剤、乳剤、シロップ剤などがあるが、通常使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他にも様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてよい。非経口投与のための製剤には、滅菌した水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。また、非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されてよい。坐剤の基材としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されてよい。
【0037】
以下、本発明の様々な側面について詳しく説明する。
【0038】
本発明の一側面は、コロハ抽出物及びチョウジ抽出物のいずれか一つ以上を有効成分として含む、眼疾患の予防、軽減又は治療用薬学組成物を提供する。
【0039】
本明細書において「抽出物」とは、天然物からその中の成分を抽出することによって得られる物質であれば、抽出する方法や成分の種類に関係なく如何なる物質も意味できる。例えば、水や有機溶媒を用いて天然物から溶媒に溶解される成分を抽出したもの、天然物の特定成分だけを抽出して得られたものなどのいずれをも含む広義の概念である。本発明の一具現例において、前記有機溶媒は、特に限定されるものではなく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブタノール及びイソブタノールなどのC1~C5の低級アルコール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール,1,3-ブチレングリコールなどの多価アルコール、酢酸メチル、酢酸エチル、ベンゼン、n-ヘキサン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒、及び石油エーテル、酢酸メチル、ベンゼン、ヘキサン、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルエーテル、酢酸エチルなどの非極性有機溶媒などであってよい。
【0040】
本発明の一側面において、前記抽出物は、薬用植物の地上部又は地下部の抽出物である、組成物を提供する。
【0041】
本発明の一側面において、前記抽出物は、水、C1-C5アルコール、アセトン、アセトン水溶液又はC1-C5アルコール水溶液を用いて抽出した抽出物である、組成物を提供する。
【0042】
本発明の一側面において、前記C1-C5アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブタノール及びイソブタノールからなる群から選ばれるいずれか一つ以上を用いた、組成物を提供する。
【0043】
本発明の一側面において、前記C1-C5アルコール水溶液及びアセトン水溶液の濃度はそれぞれ独立に、10%~90%(v/v)である、組成物を提供する。
【0044】
本発明の一側面において、前記有効成分は、ウヤク抽出物、蒼耳子抽出物、ひよこ豆抽出物及び白首烏抽出物のいずれか一つ以上の抽出物をさらに含む、薬学組成物を提供する。
【0045】
本発明の一側面において、前記抽出物は、水、C1-6の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出した抽出物である、薬学組成物を提供する。
【0046】
本発明の一側面において、前記有効成分は、0.01mg/kg/日~10g/kg/日の投与量で投与される、薬学組成物を提供する。
【0047】
本発明の一側面において、前記眼疾患は、眼球乾燥症、黄斑変性、白内障、緑内障及び糖尿網膜病症のいずれか一つである、薬学組成物を提供する。
【0048】
本発明の他の側面は、コロハ抽出物及びチョウジ抽出物のいずれか一つ以上を有効成分として含む、眼疾患改善用健康機能性食品組成物を提供する。
【0049】
本発明の他の側面において、前記有効成分は、ウヤク抽出物、蒼耳子抽出物、ひよこ豆抽出物及び白首烏抽出物のいずれか一つ以上の抽出物をさらに含む、食品組成物を提供する。
【0050】
本発明の他の側面において、前記抽出物は、水、C1-6の低級アルコール、又はこれらの混合溶媒で抽出した抽出物である、食品組成物を提供する。
【0051】
本発明の他の側面において、前記眼疾患は、眼球乾燥症、黄斑変性、白内障、緑内障及び糖尿網膜病症のいずれか一つである、食品組成物を提供する。
【0052】
本発明の一側面に係る薬学組成物は、経口又は非経口の様々な剤形であってよい。製剤化する場合には、一般に使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を使用して調製される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、軟質又は硬質カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、一つ以上の化合物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、炭酸カルシウム、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調製される。また、単純な賦形剤の他にステアリン酸マグネシウム、タルクなどのような潤滑剤も使用される。経口投与のための液状製剤には、懸濁剤、耐溶液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、通常使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他にも様々な賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてよい。非経口投与のための製剤には、滅菌した水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが使用されてよい。坐剤の基材としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用されてよい。
【0053】
本発明の一側面に係る薬学組成物は、目的とするところに応じて、非経口投与又は経口投与されてよく、体重1kgにつき1日に0.1~500mg、具体的には1~100mgの量で投与されるように、1回~数回に分けて投与できる。特定患者への投与容量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率、疾患の重症度などによって変わってよい。
【0054】
本発明の一側面に係る薬学組成物は、それぞれ、通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、軟質又は硬質カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、ドリンク剤、エアゾールなどの経口型剤形、軟膏、クリームなどの皮膚外用剤、坐剤、注射剤及び滅菌注射溶液などをはじめとして、薬剤学的製剤に適するいかなる形態にも剤形化して使用可能であり、具体的には、注射剤又は皮膚外用剤の形態に剤形化して使用されてよい。
【0055】
本発明の一側面に係る薬学組成物は、ネズミ、マウス、家畜、ヒトなどの哺乳動物に非経口、経口などの様々な経路で投与されてよく、投与の全ての方式は予想されてよいが、例えば、経口、経皮(trandermally)、直腸又は静脈、筋肉、皮下、子宮内硬膜又は脳血管内(intracerebroventricular)注射によって投与されてよい。
【0056】
本発明の一側面に係る薬学組成物は、通常の技術者が容易に適用できる様々な経路で投与されてよい。特に、本明細書による薬学組成物は皮膚外用剤であってよく、皮膚表面に塗布される経路で投与されてよい。
【0057】
本発明の他の側面において、食品組成物の剤形は、特に限定されないが、例えば、錠剤、顆粒剤、粉末剤、ドリンク剤のような液剤、キャラメル、ゲル、バーなどとして剤形化されてよい。各剤形の食品組成物は有効成分の他にも、当該分野で通常使用される成分を、剤形又は使用目的に応じて当業者が容易に適宜選定して配合でき、他の原料と同時に適用する場合に上昇効果が得られる。
【0058】
本発明の他の側面に係る食品組成物において、前記有効成分の投与量の決定は、当業者レベルでなされ、その1日投与容量は、例えば、0.1mg/kg/日~5000mg/kg/日、より具体的には50mg/kg/日~500mg/kg/日であってよいが、これに限定されず、投与しようとする対象の年齢、健康状態、合併症など、様々な要因によって変わってよい。
【0059】
本発明の他の側面に係る食品組成物は、例えば、チューインガム、キャラメル製品、キャンディ類、氷菓類、菓子類などの各種食品類、清涼飲料、ミネラルウォーター、アルコール飲料などの飲料製品、ビタミンやミネラルなどを含む食品類であってよい。この他にも、本発明の他の側面に係る食品組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び増進剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを含むことができる。その他にも、本発明の他の側面に係る機能性食品組成物は、天然果物ジュースと、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。このような成分は、独立に又は組合せで使用されてよい。このような添加剤の比率は特に重要ではないが、本明細書の組成物100重量部につき0~約20重量部の範囲で含まれるのが一般的である。
【0060】
以下、本発明を製造例、実施例及び実験例によって詳細に説明する。ただし、下記の製造例、実施例及び実験例は本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0061】
実施例1.薬用植物抽出物製造
乾燥した薬用植物を20~100メッシュ、好ましくは40~80メッシュの範囲の粒子サイズになるように粉砕した。粉砕した薬用植物50gに1Lの精製水を加え、80℃で2時間抽出した後、濾過した液を55℃で減圧濃縮し凍結乾燥して薬用植物抽出物を得た。
【0062】
下記の表1に、抽出した薬用植物の種類と抽出収率を示す。
【0063】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0064】
実施例2.過酸化水素で誘発した網膜細胞の酸化ストレス改善
実施例1で製造された60種の天然物抽出物に対する網膜細胞の酸化ストレス改善効果を確認するために、ヒト網膜細胞株ARPE-19細胞を実験に使用した。
【0065】
網膜細胞に酸化ストレスを誘発させるために様々な物質を使用するが、本実験には過酸化水素(H)を使用した。過酸化水素の適正処理濃度は、既に研究された結果に基づいて600uMに設定した。24時間培養中のARPE-19細胞に、実施例1で製造された60種の天然物抽出物を前処理した後、H 600uMを処理して24時間培養した。Hを処理して誘発させた酸化ストレスに対する抑制効果を調べるために、MTTを用いて細胞生存率を確認し、その結果は下記[表2]に示した。

網膜保護(%)=(実験物質吸光度(O.D.)/H処理群吸光度(O.D.))×100
【0066】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0067】
実施例3.NaClで誘発した角膜細胞の浸透圧ストレス改善
実施例2で酸化ストレスに対する網膜保護効果を有する天然物抽出物6種(コロハ、ウヤク、蒼耳子、ひよこ豆、白首烏、チョウジ)に対する角膜細胞の浸透圧ストレス改善効果を確認するためにヒト角膜(上皮)初代細胞(Human corneal epithelial primary cell,HCEC)を実験に使用した。
【0068】
角膜細胞に浸透圧ストレスを誘発させるために様々な物質が使用されるが、本実験にはNaClを用いた。NaCl適正処理濃度は、既に研究された結果に基づいて120mMに設定した。24時間培養中のHCEC細胞にコロハ、ウヤク、蒼耳子、ひよこ豆、白首烏、チョウジのそれぞれを前処理した後、NaCl 120mMを処理して24時間培養した。NaClを処理して誘発させた浸透圧ストレスに対する抑制効果を調べるために、MTTを用いて細胞生存率を確認した。
細胞生存率(%)=(実験物質吸光度(O.D.)/NaCl処理群吸光度(O.D.))×100
【0069】
その結果は[図1]に示した。
【0070】
実験の結果、コロハ及びチョウジ抽出物が、最も優れた角膜細胞における浸透圧改善効能を示した。
【0071】
剤形例
本発明の一側面に係る組成物の剤形例を次に説明するが、他の様々な剤形にも応用可能であり、これは、本明細書を限定しようとするものではなく、単に具体的に説明するためのものである。
【0072】
[剤形例1]軟質カプセル
実施例の混合抽出物8mg、ビタミンE 9mg、ビタミンC 9mg、パーム油2mg、植物性硬化油8mg、黄鉛4mg及びレシチン9mgを、通常の方法によって混合して軟質カプセル充填液を製造する。1カプセルにつき400mgずつ充填して軟質カプセルを製造する。そして、上記と別に、ゼラチン66重量部、グリセリン24重量部及びソルビトール液10重量部の割合で軟質カプセルシートを製造し、前記充填液を充填することで、本明細書による組成物400mgが含まれた軟質カプセルを製造する。
【0073】
[剤形例2]錠剤
実施例の混合抽出物8mg、ビタミンE 9mg、ビタミンC 9mg、ガラクトオリゴ糖200mg、乳糖60mg及び麦芽糖140mgを混合し、流動層乾燥器を用いて顆粒した後、糖エステル(sugar ester)6mgを添加する。これらの組成物500mgを通常の方法で打錠して錠剤を製造する。
【0074】
[剤形例3]ドリンク剤
実施例の混合抽出物8mg、ビタミンE 9mg、ビタミンC 9mg、ブドウ糖10g、クエン酸0.6g、及び液状オリゴ糖25gを混合した後、精製水300mlを加え、各瓶に200mlとなるように充填する。瓶に充填した後、130℃で4~5秒間殺菌してドリンク剤を製造する。
【0075】
[剤形例4]顆粒剤
実施例の混合抽出物8mg、ビタミンE 9mg、ビタミンC 9mg、無水結晶ブドウ糖250mg及び澱粉550mgを混合し、流動層顆粒器を用いて顆粒として成形した後、布に充填して顆粒剤を製造する。
【0076】
[剤形例5]注射剤
下記の表3に記載の組成によって通常の方法で注射剤を製造した。
【0077】
【表3】
【0078】
[剤形例6]健康飲料
下記表4に記載の組成によって通常の方法で健康飲料を製造した。
【0079】
【表4】
【0080】
通常の健康飲料製造方法によって上記の成分を混合した後、約1時間85℃で撹拌加熱した後、作られた溶液を濾過して滅菌する。
【0081】
以上、本発明を実施例、実験例及び製造例を用いて説明したが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者は、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態で実施されてもよいことが理解できる。したがって、以上で記述した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。
図1