(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000994
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】振れ補正機能付き光学ユニット
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20221222BHJP
H04N 23/68 20230101ALI20221222BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20221222BHJP
【FI】
G03B5/00 J
H04N5/232 480
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002722
(22)【出願日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2021101889
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】笠原 章吾
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
【テーマコード(参考)】
2K005
5C122
【Fターム(参考)】
2K005AA20
2K005BA52
2K005BA54
2K005CA03
2K005CA04
2K005CA23
2K005CA40
2K005CA44
2K005CA53
5C122EA41
5C122EA55
5C122FB03
5C122GE04
5C122GE05
5C122GE11
5C122GE19
5C122HA82
(57)【要約】
【課題】カメラモジュールを有する可動体と、カメラモジュールの光軸を回動中心にして可動体を回動させるための第1磁気駆動機構と、カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように可動体を回動させるための第2磁気駆動機構および第3磁気駆動機構とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、振れ補正機能付き光学ユニットが搭載される携帯機器等の設計の自由度の低下を従来よりも抑制することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供する。
【解決手段】振れ補正機能付き光学ユニット1では、第1磁気駆動機構7、第2磁気駆動機構8および第3磁気駆動機構9は、カメラモジュール2の光軸Lが基準位置にあるときに光軸方向から見たときの外形が正方形状となる中間部材保持部21aの2辺に沿って配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラモジュールを有する可動体と、前記可動体を回動可能に保持する第1中間部材と、前記第1中間部材を回動可能に保持する第2中間部材と、前記第2中間部材を回動可能に保持する固定体と、前記カメラモジュールの光軸を回動中心にして前記固定体に対して前記可動体を回動させるための第1磁気駆動機構と、前記カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように前記固定体に対して前記可動体を回動させるための第2磁気駆動機構および第3磁気駆動機構とを備え、
前記第2磁気駆動機構は、前記カメラモジュールの光軸が所定の基準位置にあるときに前記カメラモジュールの光軸に直交する第1光軸直交方向で対向配置される第2駆動用磁石および第2駆動用コイルを備え、
前記第3磁気駆動機構は、前記カメラモジュールの光軸が前記基準位置にあるときに前記カメラモジュールの光軸と前記第1光軸直交方向とに直交する第2光軸直交方向で対向配置される第3駆動用磁石および第3駆動用コイルを備え、
前記固定体は、前記第2中間部材を回動可能に保持する中間部材保持部を備え、
前記カメラモジュールの光軸が前記基準位置にあるときに前記カメラモジュールの光軸の方向である光軸方向から見たときの前記中間部材保持部の外形は、正方形状または長方形状となっており、
前記第1磁気駆動機構、前記第2磁気駆動機構および前記第3磁気駆動機構は、前記カメラモジュールの光軸が前記基準位置にあるときに前記光軸方向から見たときの外形が正方形状または長方形状となる前記中間部材保持部の2辺に沿って配置されていることを特徴とする振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項2】
前記可動体から前記第2光軸直交方向の一方側に引き出されるフレキシブルプリント基板を備え、
前記第1磁気駆動機構および前記第2磁気駆動機構は、前記第2光軸直交方向に平行な前記中間部材保持部の1辺に沿って配置され、
前記第3磁気駆動機構は、前記第1光軸直交方向に平行な前記中間部材保持部の1辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項1記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項3】
前記第1磁気駆動機構は、前記第1光軸直交方向で対向配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルを2組備え、
前記第2磁気駆動機構は、前記第2駆動用磁石および前記第2駆動用コイルを1組備え、
前記第2光軸直交方向における前記第2駆動用磁石の両側に前記第1駆動用磁石が配置され、
前記第2光軸直交方向における前記第2駆動用コイルの両側に前記第1駆動用コイルが配置されていることを特徴とする請求項2記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項4】
2個の前記第1駆動用磁石のそれぞれに対向配置される2個の磁気センサと、前記磁気センサが電気的に接続される制御部とを備え、
前記制御部は、2個の前記磁気センサの出力信号に基づいて、前記カメラモジュールの光軸を回動中心とした前記固定体に対する前記可動体の回動位置を検知することを特徴とする請求項3記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項5】
前記第1駆動用磁石は、前記第2光軸直交方向で分極された2個の着磁部によって構成され、
2個の前記第1駆動用磁石の、前記第2駆動用磁石側の磁極は同じ磁極になっていることを特徴とする請求項3または4記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項6】
前記第2磁気駆動機構は、前記第2光軸直交方向に平行な前記中間部材保持部の1辺に沿って配置され、
前記第3磁気駆動機構は、前記第1光軸直交方向に平行な前記中間部材保持部の1辺に沿って配置され、
前記第1磁気駆動機構は、前記第1光軸直交方向で対向配置されるとともに前記第2光軸直交方向に平行な前記中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルと、前記第2光軸直交方向で対向配置されるとともに前記第1光軸直交方向に平行な前記中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルとを備えることを特徴とする請求項1記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【請求項7】
前記カメラモジュールの光軸を回動中心とする前記可動体の回動方向の一方側を第1回動方向側とし、前記第1回動方向側の反対側を第2回動方向側とすると、
前記第2光軸直交方向に平行な前記中間部材保持部の1辺に沿って配置される前記第1駆動用磁石および前記第1駆動用コイルは、前記第2磁気駆動機構の前記第1回動方向側に配置され、
前記第1光軸直交方向に平行な前記中間部材保持部の1辺に沿って配置される前記第1駆動用磁石および前記第1駆動用コイルは、前記第3磁気駆動機構の前記第2回動方向側に配置されていることを特徴とする請求項6記載の振れ補正機能付き光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器等に搭載される振れ補正機能付き光学ユニットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットは、カバーに収容される光学ユニット本体部を備えている。光学ユニット本体部は、レンズおよび撮像素子を有する撮像モジュールを備えている。この振れ補正機能付き光学ユニットでは、レンズの光軸回り、光軸と直交する第1軸回り、および、光軸と第1軸とに直交する第2軸回りに撮像モジュールを回転させて振れ補正を行っている。
【0003】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、光学ユニット本体部は、撮像モジュールを有する可動体と、可動体を光軸回りに回転可能に支持する回転支持機構と、回転支持機構を第1軸回りおよび第2軸回りに回転可能に支持するジンバル機構と、ジンバル機構および回転支持機構を介して可動体を支持する固定体とを備えている。また、光学ユニット本体部は、第1軸および第2軸に対して光軸回りで45°傾斜するX軸回りの駆動力を可動体に発生させる第1振れ補正用磁気駆動機構と、光軸およびX軸に対して直交するY軸回りの駆動力を可動体に発生させる第2振れ補正用磁気駆動機構と、光軸回りに可動体を回転させるローリング補正用磁気駆動機構とを備えている。
【0004】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、光軸方向から見たときの固定体の外形は、正方形状となっている。具体的には、光軸方向から見たときの固定体の外形は、X軸方向に平行な2辺とY軸方向に平行な2辺とを有する正方形状となっている。この振れ補正機能付き光学ユニットでは、第1振れ補正用磁気駆動機構は、固定体の、Y軸方向に平行な2辺のうちの一方の辺に沿って配置され、ローリング補正用磁気駆動機構は、固定体の、Y軸方向に平行な2辺のうちの他方の辺に沿って配置され、第2振れ補正用磁気駆動機構は、固定体の、X軸方向に平行な2辺のうちの一方の辺に沿って配置されている。すなわち、この振れ補正機能付き光学ユニットでは、第1振れ補正用磁気駆動機構、第2振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構は、光軸方向から見たときの外形が正方形状となる固定体の3辺に沿って配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の振れ補正機能付き光学ユニットでは、第1振れ補正用磁気駆動機構、第2振れ補正用磁気駆動機構およびローリング補正用磁気駆動機構が固定体の3辺に沿って配置されており、固定体の3辺のそれぞれに沿った領域において磁気が漏洩するおそれがある。そのため、この振れ補正機能付き光学ユニットが搭載される携帯機器等では、固定体の3辺のそれぞれに沿った領域において磁気干渉が生じないように各種の部品を配置する必要が生じて、機器の設計の自由度が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、カメラモジュールを有する可動体と、カメラモジュールの光軸を回動中心にして可動体を回動させるための第1磁気駆動機構と、カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように可動体を回動させるための第2磁気駆動機構および第3磁気駆動機構とを備える振れ補正機能付き光学ユニットにおいて、振れ補正機能付き光学ユニットが搭載される携帯機器等の設計の自由度の低下を従来よりも抑制することが可能な振れ補正機能付き光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットは、カメラモジュールを有する可動体と、可動体を回動可能に保持する第1中間部材と、第1中間部材を回動可能に保持する第2中間部材と、第2中間部材を回動可能に保持する固定体と、カメラモジュールの光軸を回動中心にして固定体に対して可動体を回動させるための第1磁気駆動機構と、カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように固定体に対して可動体を回動させるための第2磁気駆動機構および第3磁気駆動機構とを備え、第2磁気駆動機構は、カメラモジュールの光軸が所定の基準位置にあるときにカメラモジュールの光軸に直交する第1光軸直交方向で対向配置される第2駆動用磁石および第2駆動用コイルを備え、第3磁気駆動機構は、カメラモジュールの光軸が基準位置にあるときにカメラモジュールの光軸と第1光軸直交方向とに直交する第2光軸直交方向で対向配置される第3駆動用磁石および第3駆動用コイルを備え、固定体は、第2中間部材を回動可能に保持する中間部材保持部を備え、カメラモジュールの光軸が基準位置にあるときにカメラモジュールの光軸の方向である光軸方向から見たときの中間部材保持部の外形は、正方形状または長方形状となっており、第1磁気駆動機構、第2磁気駆動機構および第3磁気駆動機構は、カメラモジュールの光軸が基準位置にあるときに光軸方向から見たときの外形が正方形状または長方形状となる中間部材保持部の2辺に沿って配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の振れ補正機能付き光学ユニットでは、第1磁気駆動機構、第2磁気駆動機構および第3磁気駆動機構は、カメラモジュールの光軸が基準位置にあるときに光軸方向から見たときの外形が正方形状または長方形状となる中間部材保持部の2辺に沿って配置されている。そのため、本発明の振れ補正機能付き光学ユニットが搭載される携帯機器等では、中間部材保持部の2辺のそれぞれに沿った領域において磁気干渉が生じないように各種の部品を配置すれば良い。したがって、本発明では、振れ補正機能付き光学ユニットが搭載される携帯機器等の設計の自由度の低下を従来よりも抑制することが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、振れ補正機能付き光学ユニットは、可動体から第2光軸直交方向の一方側に引き出されるフレキシブルプリント基板を備え、第1磁気駆動機構および第2磁気駆動機構は、第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置され、第3磁気駆動機構は、第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置されている。
【0011】
この場合には、可動体から第2光軸直交方向の一方側にフレキシブルプリント基板が引き出されているため、フレキシブルプリント基板の影響で、可動体は、第2光軸直交方向を回動の軸方向として回動するときよりも、第1光軸直交方向を回動の軸方向として回動するときの方が回動しにくくなる。しかしながら、この場合には、第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置されるのが第3磁気駆動機構のみであるため、第3磁気駆動機構を構成する第3駆動用磁石や第3駆動用コイルを大きくして第3磁気駆動機構の駆動力を高めることが可能になる。したがって、フレキシブルプリント基板の影響で、第1光軸直交方向を回動の軸方向として可動体が回動しにくくなっても、第1光軸直交方向を回動の軸方向として可動体を適切に回動させることが可能になる。
【0012】
本発明において、第1磁気駆動機構は、第1光軸直交方向で対向配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルを2組備え、第2磁気駆動機構は、第2駆動用磁石および第2駆動用コイルを1組備え、第2光軸直交方向における第2駆動用磁石の両側に第1駆動用磁石が配置され、第2光軸直交方向における第2駆動用コイルの両側に第1駆動用コイルが配置されていることが好ましい。
【0013】
このように構成すると、第2光軸直交方向における第1駆動用磁石の両側に第2駆動用磁石が配置され、かつ、第2光軸直交方向における第1駆動用コイルの両側に第2駆動用コイルが配置されている場合と比較して、第2光軸直交方向において振れ補正機能付き光学ユニットを小型化することが可能になる。また、このように構成すると、第2光軸直交方向の中心に第2駆動用磁石を配置することが可能になるため、たとえば、第2光軸直交方向を回動の軸方向とする固定体に対する可動体の回動位置を検知するための磁気センサが第1光軸直交方向において第2駆動用磁石に対向配置されている場合、第1光軸直交方向を回動の軸方向として固定体に対して可動体が回動したときの、第2駆動用磁石と磁気センサとの光軸方向のずれ量を抑制することが可能になる。したがって、第2駆動用磁石と磁気センサとを用いて、第2光軸直交方向を回動の軸方向とする固定体に対する可動体の回動位置を適切に検知することが可能になる。
【0014】
本発明において、振れ補正機能付き光学ユニットは、たとえば、2個の第1駆動用磁石のそれぞれに対向配置される2個の磁気センサと、磁気センサが電気的に接続される制御部とを備え、制御部は、2個の磁気センサの出力信号に基づいて、カメラモジュールの光軸を回動中心とした固定体に対する可動体の回動位置を検知する。
【0015】
第2光軸直交方向における第2駆動用磁石の両側に第1駆動用磁石が配置されていると、カメラモジュールの光軸を回動中心にして可動体が一方側に回動したときに、一方の磁気センサと第1駆動用磁石とが近づき、他方の磁気センサと第1駆動用磁石とが遠ざかる一方で、カメラモジュールの光軸を回動中心にして可動体が他方側に回動したときには、一方の磁気センサと第1駆動用磁石とが遠ざかり、他方の磁気センサと第1駆動用磁石とが近づく。また、磁気センサと第1駆動用磁石との距離は磁気センサの出力信号に影響を及ぼす。
【0016】
そのため、第2光軸直交方向における第2駆動用磁石の両側に第1駆動用磁石が配置されている場合、1個の磁気センサの出力信号のみに基づいてカメラモジュールの光軸を回動中心とした固定体に対する可動体の回動位置を検知すると、カメラモジュールの光軸を回動中心とした固定体に対する可動体の回動位置の検知精度が低下するおそれがある。これに対して、2個の磁気センサの出力信号に基づいて、カメラモジュールの光軸を回動中心とした固定体に対する可動体の回動位置を検知すれば、カメラモジュールの光軸を回動中心とした固定体に対する可動体の回動位置を適切に検知することが可能になる。
【0017】
本発明において、第1駆動用磁石は、第2光軸直交方向で分極された2個の着磁部によって構成され、2個の第1駆動用磁石の、第2駆動用磁石側の磁極は同じ磁極になっていることが好ましい。このように構成すると、第2光軸直交方向における第2駆動用磁石の両側に第1駆動用磁石が配置されていても、2個の第1駆動用磁石が発生させる磁気の、第2駆動用磁石に対するバランスが良くなる。したがって、第1磁気駆動機構が第2磁気駆動機構の磁気回路に与える影響を低減することが可能になる。
【0018】
本発明において、たとえば、第2磁気駆動機構は、第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置され、第3磁気駆動機構は、第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置され、第1磁気駆動機構は、第1光軸直交方向で対向配置されるとともに第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルと、第2光軸直交方向で対向配置されるとともに第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルとを備えていても良い。
【0019】
たとえば、2個の第1駆動用磁石および2個の第1駆動用コイルが第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置されている場合には、第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第2駆動用磁石および第2駆動用コイルが、第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第3駆動用磁石および第3駆動用コイルよりも小さくなって、第2磁気駆動機構の駆動力と第3磁気駆動機構の駆動力とに差異が生じるおそれがある。
【0020】
これに対して、第1磁気駆動機構が、第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルと、第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルとを備えている場合には、第2駆動用磁石および第2駆動用コイルと、第3駆動用磁石および第3駆動用コイルとを同じ大きさにすることが可能になる。したがって、第2磁気駆動機構の駆動力と第3磁気駆動機構の駆動力とを等しくすることが可能になる。
【0021】
本発明において、カメラモジュールの光軸を回動中心とする可動体の回動方向の一方側を第1回動方向側とし、第1回動方向側の反対側を第2回動方向側とすると、第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルは、第2磁気駆動機構の第1回動方向側に配置され、第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石および第1駆動用コイルは、第3磁気駆動機構の第2回動方向側に配置されていることが好ましい。
【0022】
このように構成すると、第2回動方向側に可動体が回動したときに、第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石と第1駆動用コイルとを近づける一方で、第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石と第1駆動用コイルとを遠ざけることが可能になる。また、第1回動方向側に可動体が回動したときに、第2光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石と第1駆動用コイルとを遠ざける一方で、第1光軸直交方向に平行な中間部材保持部の1辺に沿って配置される第1駆動用磁石と第1駆動用コイルとを近づけることが可能になる。したがって、第1回動方向側に可動体が回動するときの第1磁気駆動機構の駆動力と第2回動方向側に可動体が回動するときの第1磁気駆動機構の駆動力とのばらつきを抑制することが可能になる。その結果、固定体に対する可動体の回動動作を安定させることが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明では、カメラモジュールを有する可動体と、カメラモジュールの光軸を回動中心にして可動体を回動させるための第1磁気駆動機構と、カメラモジュールの光軸が任意の方向に傾くように可動体を回動させるための第2磁気駆動機構および第3磁気駆動機構とを備える振れ補正機能付き光学ユニットが搭載される携帯機器等の設計の自由度の低下を従来よりも抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニットの斜視図である。
【
図2】
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットの平面図である。
【
図3】
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニットの分解斜視図である。
【
図4】
図3に示す第2中間部材および第2支点部等の分解斜視図である。
【
図5】
図4に示すホルダ、第1中間部材および第1支点部等の分解斜視図である。
【
図6】
図2に示すホルダ、第1磁気駆動機構、第2磁気駆動機構および第3磁気駆動機構等を抜き出して示す平面図である。
【
図7】
図6に示す第1駆動用コイルおよび第2駆動用コイルを抜き出して示す正面図である。
【
図8】
図6に示す第1駆動用磁石および第2駆動用磁石の配置等を説明するための図である。
【
図9】
図2に示す可動体がカメラモジュールの光軸を回動中心にして固定体に対して回動したときの第1駆動用磁石と磁気センサとの配置関係を説明するための平面図である。
【
図10】
図9に示す磁気センサの出力信号等の一例を説明するためのグラフである。
【
図11】本発明の他の実施の形態にかかる第1磁気駆動機構の配置を説明するための平面図である。
【
図12】
図11に示すホルダがカメラモジュールの光軸を回動中心にして回動したときの第1磁気駆動機構の状態を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0026】
(振れ補正機能付き光学ユニットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる振れ補正機能付き光学ユニット1の斜視図である。
図2は、
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1の平面図である。
図3は、
図1に示す振れ補正機能付き光学ユニット1の分解斜視図である。
図4は、
図3に示す第2中間部材5および第2支点部13等の分解斜視図である。
図5は、
図4に示すホルダ16、第1中間部材4および第1支点部12等の分解斜視図である。
図6は、
図2に示すホルダ16、第1磁気駆動機構7、第2磁気駆動機構8および第3磁気駆動機構9等を抜き出して示す平面図である。
【0027】
以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、左右方向の一方側である
図1等のX1方向側を「右」側、その反対側である
図1等のX2方向側を「左」側、前後方向の一方側である
図1等のY1方向側を「前」側、その反対側である
図1等のY2方向側を「後ろ」側、上下方向の一方側である
図1等のZ1方向側を「上」側、その反対側である
図1等のZ2方向側を「下」側とする。
【0028】
本形態の振れ補正機能付き光学ユニット1(以下、「光学ユニット1」とする。)は、たとえば、スマートフォン等の携帯機器に搭載される小型かつ薄型のユニットであり、撮影用のレンズおよび撮像素子を有するカメラモジュール2を備えている。光学ユニット1は、全体として厚さの薄い扁平な略直方体状に形成されている。また、光学ユニット1は、撮影時に振れが発生した場合の撮影画像に乱れが発生することを回避するための振れ補正機能を備えている。
【0029】
光学ユニット1は、カメラモジュール2を有する可動体3と、可動体3を回動可能に保持する第1中間部材4と、第1中間部材4を回動可能に保持する第2中間部材5と、第2中間部材5を回動可能に保持する固定体6とを備えている。可動体3は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして第1中間部材4に対して回動可能となっている。
【0030】
第1中間部材4は、カメラモジュール2の光軸Lに直交する第1方向(
図2等のV方向)を回動の軸方向として第2中間部材5に対して回動可能となっている。すなわち、第1中間部材4は、第1方向を軸線方向とする第1軸線L1(
図2参照)を回動中心にして第2中間部材5に対して回動可能となっている。第2中間部材5は、第1方向に直交するとともにカメラモジュール2の光軸Lに交差する第2方向(
図2等のW方向)を回動の軸方向として固定体6に対して回動可能となっている。すなわち、第2中間部材5は、第2方向を軸線方向とする第2軸線L2(
図2参照)を回動中心にして固定体6に対して回動可能となっている。このように、可動体3と固定体6との間には、2軸のジンバル機構が構成されている。
【0031】
本形態では、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されていてカメラモジュール2の光軸Lが所定の基準位置にあるときに、カメラモジュール2の光軸Lの方向である光軸方向は、上下方向と一致している。本形態の前後方向(Y方向)は、カメラモジュール2の光軸Lが基準位置にあるときにカメラモジュール2の光軸Lに直交する第1光軸直交方向となっている。また、左右方向(X方向)は、カメラモジュール2の光軸Lが基準位置にあるときに第1光軸直交方向である前後方向とカメラモジュール2の光軸Lとに直交する第2光軸直交方向となっている。
【0032】
また、第1中間部材4が所定の基準位置に配置されているときに、第2方向は、光軸Lに直交している。すなわち、第1中間部材4が所定の基準位置に配置されていて第2中間部材5に対して回動していないときには、第2方向は、光軸Lに直交している。一方、第1中間部材4が第2中間部材5に対して回動しているときには、第2方向は、光軸Lに交差してはいるが、直角には交わっていない。第1方向は、上側から見たときに、前後方向に対して
図2の反時計回りの方向へ約45°ずれた方向となっている。
【0033】
光学ユニット1は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして固定体6に対して可動体3を回動させるための第1磁気駆動機構7と、カメラモジュール2の光軸Lが任意の方向に傾くように固定体6に対して可動体3を回動させるための第2磁気駆動機構8および第3磁気駆動機構9とを備えている。第1方向における第1中間部材4の両端部には、第2中間部材5に対する第1中間部材4の回動の支点となる第1支点部12が配置されている。第2方向における第2中間部材5の両端部には、固定体6に対する第2中間部材5の回動の支点となる第2支点部13が配置されている。可動体3と第1中間部材4との間には、第1中間部材4に対する可動体3の回動を可能にするための回動支持部14が配置されている。
【0034】
可動体3は、全体として光軸方向の厚さが薄い扁平な直方体状に形成されている。可動体3は、カメラモジュール2が固定されるホルダ16と、ホルダ16に固定される回動部材17とを備えている。ホルダ16は、樹脂材料で形成されている。ホルダ16は、正方形の枠状に形成されており、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されている状態で光軸方向から見たときのホルダ16の外形は、正方形状となっている。カメラモジュール2は、ホルダ16によってカメラモジュール2の外周側が覆われるように、ホルダ16の内周面に固定されている。
【0035】
また、可動体3、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されているときには、外形が正方形状をなすホルダ16の4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、ホルダ16の残りの2辺は、左右方向と平行になっている。なお、第1方向におけるホルダ16の両端部は、面取りされており、第1方向に略直交する平面となっている。同様に、第2方向におけるホルダ16の両端部は、面取りされており、第2方向に略直交する平面となっている。
【0036】
図6に示すように、ホルダ16の後側面には、第1磁気駆動機構7の一部を構成する後述の第1駆動用磁石35が配置される凹部16aと、第2磁気駆動機構8の一部を構成する後述の第2駆動用磁石37が配置される凹部16bとが形成されている。ホルダ16の左側面には、第3磁気駆動機構9の一部を構成する後述の第3駆動用磁石39が配置される凹部16cが形成されている。
【0037】
回動部材17は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。また、回動部材17は、金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。回動部材17は、回動支持部14に載置される被載置部17aと、ホルダ16に固定される被固定部17bとを備えている。被載置部17aは、円環状に形成されている。また、被載置部17aは、略平板状に形成されている。被載置部17aの厚さ方向は、光軸方向と一致している。
【0038】
被載置部17aは、ホルダ16よりも上側に配置されている。被載置部17aの下面には、回動支持部14の一部を構成する後述の球体31が配置される円環状の溝部(図示省略)が形成されている。この溝部は、上側に向かって窪んでいる。また、この溝部は、カメラモジュール2の光軸Lを中心とする円環状に形成されている。被載置部17aの内周側には、カメラモジュール2の上端部が配置されている。
【0039】
被固定部17bは、被載置部17aの外周面に繋がっている。本形態では、被載置部17aの外周面の前後左右方向の両側に被固定部17bが繋がっており、4個の被固定部17bが光軸Lを中心にして90°ピッチで配置されている。被固定部17bの先端側は、下側に向かって折れ曲がっている。ホルダ16には、被固定部17bの先端部が固定されている。また、被載置部17aの外周面には、平板状の突出部17cが繋がっている。突出部17cは、被載置部17aから第2方向の両側に突出している。突出部17cの厚さ方向は、光軸方向と一致している。
【0040】
上述のように、カメラモジュール2は、レンズおよび撮像素子を備えている。撮像素子は、カメラモジュール2の下端側に配置されており、カメラモジュール2の上側に配置される被写体がカメラモジュール2によって撮影される。カメラモジュール2の下端側からは、フレキシブルプリント基板18が引き出されている。フレキシブルプリント基板18は、カメラモジュール2から右側に引き出されている。すなわち、光学ユニット1は、可動体3から右側に引き出されるフレキシブルプリント基板18を備えている。
【0041】
第1中間部材4は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。また、第1中間部材4は、金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。第1中間部材4は、回動支持部14が載置される載置部4aと、載置部4aから第1方向の両側に向かって伸びる2本の腕部4bとを備えている。載置部4aは、円環状に形成されている。また、載置部4aは、略平板状に形成されている。載置部4aの厚さ方向は、光軸方向と一致している。
【0042】
載置部4aは、ホルダ16よりも上側に配置されている。また、載置部4aは、回動部材17の被載置部17aの下側に配置されている。
図5に示すように、載置部4aの上面には、回動支持部14の一部を構成する後述の球体31の一部分が配置される円環状の溝部4cが形成されている。溝部4cは、下側に向かって窪んでいる。また、溝部4cは、カメラモジュール2の光軸Lを中心とする円環状に形成されている。載置部4aの内周側には、カメラモジュール2の上端部が配置されている。
【0043】
腕部4bは、載置部4aの外周面に繋がっている。腕部4bの先端側は、下側に向かって折れ曲がっている。腕部4bの先端部4dは、平板状に形成されている。先端部4dの厚さ方向は、第1方向と略一致している。先端部4dは、第1方向において、ホルダ16の外側に配置されている。また、載置部4aの外周面には、磁石取付部4eが繋がっている。磁石取付部4eは、載置部4aから第2方向の両側に突出している。
【0044】
磁石取付部4eの上面には、磁石19(
図5参照)が取り付けられている。磁石19は、回動部材17の突出部17cの下側に配置されている。磁石19は、突出部17cを磁気的に吸引している。磁石19は、円環状に形成される載置部4aの周方向において2極に着磁されている。すなわち、磁石19は、載置部4aの周方向で分極された2個の着磁部によって構成されている。
【0045】
第2中間部材5は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成されている。また、第2中間部材5は、バネ性を有する金属板を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。第2中間部材5は、回動部材17および第1中間部材4よりも上側に配置される基部5aと、基部5aから第1方向の両側に向かって伸びる2本の腕部5bと、基部5aから第2方向の両側に向かって伸びる2本の腕部5cとによって構成されている。基部5aの中心には、円形の貫通穴が形成されている。基部5aの内周側には、カメラモジュール2の上端部が配置されている。
【0046】
腕部5bの先端側は、下側に向かって折れ曲がっている。腕部5bの先端部5dは、平板状に形成されている。先端部5dの厚さ方向は、第1方向と略一致している。先端部5dは、第1方向において、腕部4bの先端部4dの外側に配置されている。腕部5cの先端側は、下側に向かって折れ曲がっている。腕部5cの先端部5eは、平板状に形成されている。先端部5eの厚さ方向は、第2方向と略一致している。先端部5eは、第2方向において、磁石取付部4eよりも外側に配置されている。
【0047】
図4に示すように、先端部5dには、第1支点部12の一部を構成する後述の球体27の一部分が配置される凹部5fが形成されている。凹部5fは、半球状に形成されている。凹部5fは、第1方向の内側に向かって窪んでいる。先端部5eには、第2支点部13の一部を構成する後述の球体29の一部分が配置される凹部5gが形成されている。凹部5gは、半球状に形成されている。凹部5gは、第2方向の内側に向かって窪んでいる。
【0048】
固定体6は、第2中間部材5を回動可能に保持する四角筒状の中間部材保持部21aを有するケース体21と、ケース体21の上面側に固定されるカバー22と、ケース体21の下面側に固定されるベース板23とを備えている。ケース体21は、樹脂材料で形成されている。ケース体21は、上述の中間部材保持部21aと、内周側にフレキシブルプリント基板18が収容される四角筒状のFPC収容部21bとから構成されている。
【0049】
図3に示すように、中間部材保持部21aは、上下方向の両端が開口する四角筒状に形成されている。中間部材保持部21aは、光軸Lを中心とする径方向において可動体3、第1中間部材4および第2中間部材5の外側に配置されている。中間部材保持部21aの外形は、正方形状となっている。より具体的には、上下方向から見たときの中間部材保持部21aの外形は、正方形状となっている。すなわち、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されていてカメラモジュール2の光軸Lが所定の基準位置にあるときにカメラモジュール2の光軸方向から見たときの中間部材保持部21aの外形は、正方形状となっている。
【0050】
外形が正方形状をなす中間部材保持部21aの4辺のうちの2辺は、前後方向と平行になっており、中間部材保持部21aの残りの2辺は、左右方向と平行になっている。中間部材保持部21aの後面部には、第1磁気駆動機構7の一部を構成する後述の第1駆動用コイル36および第2磁気駆動機構8の一部を構成する後述の第2駆動用コイル38が配置される貫通穴21cが形成されている(
図3参照)。中間部材保持部21aの左面部には、第3磁気駆動機構9の一部を構成する後述の第3駆動用コイル40が配置される貫通穴21dが形成されている(
図3参照)。
【0051】
FPC収容部21bは、上下方向の両端が開口する四角筒状に形成されている。FPC収容部21bは、中間部材保持部21aの右側面に繋がっている。カバー22は、ケース体21を上側から覆っている。カバー22には、第2中間部材5等が配置される貫通穴が形成されている。ベース板23は、ケース体21の下面の開口(すなわち、中間部材保持部21aおよびFPC収容部21bの下面の開口)を塞いでいる。
【0052】
第1支点部12は、第1中間部材4の腕部4bの先端部4dに固定される支持部材26と、支持部材26に固定される球状の球体27とを備えている(
図5参照)。支持部材26および球体27は、金属材料で形成されている。支持部材26は、球体27が固定される平板状の固定部26aを備えている。固定部26aの厚さ方向は、第1方向と一致している。球体27は、第1方向における固定部26aの内側面に固定されている。固定部26aは、第1方向において、先端部4dの外側に配置されている。第2中間部材5の腕部5bの先端部5dは、第1方向において、先端部4dと固定部26aとの間に配置されている。球体27の一部は、凹部5fの中に配置されている。腕部5bのバネ性によって、球体27は、凹部5fの底面に所定の接触圧で接触している。
【0053】
第2支点部13は、中間部材保持部21aに固定される支持部材28と、支持部材28に固定される球状の球体29とを備えている(
図4参照)。支持部材28および球体29は、金属材料で形成されている。支持部材28は、球体29が固定される平板状の固定部28aを備えている。固定部28aの厚さ方向は、第2方向と一致している。球体29は、第2方向における固定部28aの内側面に固定されている。固定部28aは、第2方向において、第2中間部材5の腕部5cの先端部5eの外側に配置されている。球体29の一部は、凹部5gの中に配置されている。腕部5cのバネ性によって、球体29は、凹部5gの底面に所定の接触圧で接触している。
【0054】
回動支持部14は、平板状かつ円環状に形成される球体保持部材30と、球体保持部材30に保持される球状の複数の球体31とを備えている(
図5参照)。本形態の回動支持部14は、6個の球体31を備えている。球体保持部材30および球体31は、金属材料で形成されている。球体保持部材30は、球体保持部材30の厚さ方向と光軸方向とが一致するように配置されている。また、球体保持部材30は、球体保持部材30の中心と光軸Lとが一致するように配置されている。球体保持部材30は、光軸方向において被載置部17aと載置部4aとの間に配置されている。
【0055】
球体保持部材30には、球体31を保持するための複数(具体的には、6個)の貫通穴が形成されている。6個の貫通穴は、カメラモジュール2の光軸Lを中心とする等角度ピッチで球体保持部材30に形成されている。球体保持部材30の貫通穴に保持される球体31の一部分は、被載置部17aの下面に形成される溝部および載置部4aの上面に形成される溝部4cの中に配置されている。
【0056】
球体31は、磁石19と突出部17cの間に生じる磁気的吸引力によって、被載置部17aの溝部の底面および載置部4aの溝部4cの底面に所定の接触圧で接触している。なお、磁石19は、上述のように、円環状に形成される載置部4aの周方向において2極に着磁されており、磁石19および突出部17cは、カメラモジュール2の光軸Lを中心とする可動体3の回動方向において可動体3を所定の基準位置で保持する機能を果たしている。具体的には、磁石19および突出部17cは、第1磁気駆動機構7の一部を構成する後述の第1駆動用コイル36に電流が供給されていないときに、光軸Lを中心とする可動体3の回動方向において可動体3を所定の基準位置で保持する機能を果たしている。
【0057】
光学ユニット1では、可動体3の傾きの変化を検知するための所定の検知機構によって可動体3の傾きの変化が検知されると、この検知機構の検知結果に基づいて、第1磁気駆動機構7の一部を構成する後述の第1駆動用コイル36、第2磁気駆動機構8の一部を構成する後述の第2駆動用コイル38、および、第3磁気駆動機構9の一部を構成する後述の第3駆動用コイル40の少なくともいずれか1つに電流が供給されて、振れが補正される。
【0058】
(第1~第3磁気駆動機構およびその周辺部の構成)
図7は、
図6に示す第1駆動用コイル36および第2駆動用コイル38を抜き出して示す正面図である。
図8は、
図6に示す第1駆動用磁石35および第2駆動用磁石37の配置等を説明するための図である。
図9は、
図2に示す可動体3がカメラモジュール2の光軸Lを回動中心にして固定体6に対して回動したときの第1駆動用磁石35と磁気センサ43との配置関係を説明するための平面図である。
図10は、
図9に示す磁気センサ43の出力信号SG1、SG2等の一例を説明するためのグラフである。
【0059】
第1磁気駆動機構7は、前後方向で対向配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36を備えている。本形態の第1磁気駆動機構7は、第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36を2組備えている。すなわち、第1磁気駆動機構7は、2個の第1駆動用磁石35と2個の第1駆動用コイル36とを備えている。第2磁気駆動機構8は、前後方向で対向配置される第2駆動用磁石37および第2駆動用コイル38を備えている。本形態の第2磁気駆動機構8は、第2駆動用磁石37および第2駆動用コイル38を1組備えている。第3磁気駆動機構9は、左右方向で対向配置される第3駆動用磁石39および第3駆動用コイル40を備えている。本形態の第3磁気駆動機構9は、第3駆動用磁石39および第3駆動用コイル40を1組備えている。
【0060】
第2駆動用磁石37は、長方形の平板状に形成されている。第2駆動用磁石37は、ホルダ16の凹部16bに固定されている。すなわち、第2駆動用磁石37は、ホルダ16の後面側に固定されている。また、第2駆動用磁石37は、可動体3、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されているときの、ホルダ16の左右方向の中心部に固定されている。
【0061】
可動体3、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されているときに、第2駆動用磁石37の厚さ方向は前後方向と一致している。また、長方形の平板状に形成される第2駆動用磁石37の4辺のうちの2辺は、カメラモジュール2の光軸方向と平行になっている。第2駆動用磁石37は、上下方向において2極に着磁されている。すなわち、第2駆動用磁石37は、上下方向で分極された2個の着磁部37a、37bによって構成されている(
図8参照)。
【0062】
第2駆動用コイル38は、たとえば、導線が空芯状に巻回されることで形成された空芯コイルである。第2駆動用コイル38は、左右方向に平行な直線状の2個の直線部38aと、2個の直線部38aの左右方向の両端を繋ぐ円弧状の2個の円弧部38bとから構成されている(
図7参照)。第2駆動用コイル38は、フレキシブルプリント基板42(
図4参照)に取り付けられている。フレキシブルプリント基板42は、中間部材保持部21aの外周面に固定されている。
【0063】
第2駆動用コイル38は、中間部材保持部21aの貫通穴21cの中に配置されている。すなわち、第2駆動用コイル38は、中間部材保持部21aの後ろ側部分の中に配置されており、第2駆動用磁石37の後ろ側に配置されている。また、第2駆動用コイル38は、中間部材保持部21aの左右方向の中心部に配置されている。第2磁気駆動機構8は、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに左右方向に平行な軸線を回動中心にして固定体6に対して可動体3を回動させる。
【0064】
第3駆動用磁石39は、長方形の平板状に形成されている。第3駆動用磁石39は、ホルダ16の凹部16cに固定されている。すなわち、第3駆動用磁石39は、ホルダ16の左面側に固定されている。また、第3駆動用磁石39は、可動体3、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されているときの、ホルダ16の前後方向の中心部に固定されている。
【0065】
可動体3、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されているときに、第3駆動用磁石39の厚さ方向は左右方向と一致している。また、長方形の平板状に形成される第3駆動用磁石39の4辺のうちの2辺は、カメラモジュール2の光軸方向と平行になっている。第2駆動用磁石37と同様に、第3駆動用磁石39は、上下方向において2極に着磁されている。すなわち、第3駆動用磁石39は、上下方向で分極された2個の着磁部によって構成されている。第3駆動用磁石39の光軸方向の幅は、第2駆動用磁石37の光軸方向の幅と等しくなっている。第3駆動用磁石39の前後方向の幅は、第2駆動用磁石37の左右方向の幅よりも広くなっている。
【0066】
第3駆動用コイル40は、たとえば、導線が空芯状に巻回されることで形成された空芯コイルである。第3駆動用コイル40は、前後方向に平行な直線状の2個の直線部と、2個の直線部の前後方向の両端を繋ぐ円弧状の2個の円弧部とから構成されている。第3駆動用コイル40は、フレキシブルプリント基板42に取り付けられている。第3駆動用コイル40の光軸方向の幅は、第2駆動用コイル38の光軸方向の幅と等しくなっている。第3駆動用コイル40の前後方向の幅は、第2駆動用コイル38の左右方向の幅よりも広くなっている。
【0067】
第3駆動用コイル40は、中間部材保持部21aの貫通穴21dの中に配置されている。すなわち、第3駆動用コイル40は、中間部材保持部21aの左側部分の中に配置されており、第3駆動用磁石39の左側に配置されている。また、第3駆動用コイル40は、中間部材保持部21aの前後方向の中心部に配置されている。第3磁気駆動機構9は、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに前後方向に平行な軸線を回動中心にして固定体6に対して可動体3を回動させる。
【0068】
第1駆動用磁石35は、長方形の平板状に形成されている。第1駆動用磁石35は、ホルダ16の凹部16aに固定されている。すなわち、第1駆動用磁石35は、ホルダ16の後面側に固定されている。可動体3、第1中間部材4および第2中間部材5が所定の基準位置に配置されているときに、第1駆動用磁石35の厚さ方向は前後方向と一致している。また、長方形の平板状に形成される第1駆動用磁石35の4辺のうちの2辺は、カメラモジュール2の光軸方向と平行になっている。第1駆動用磁石35は、第2駆動用磁石37の左右方向の両側に配置されている。
【0069】
第1駆動用磁石35は、左右方向において2極に着磁されている。すなわち、第1駆動用磁石35は、左右方向で分極された2個の着磁部35a、35bによって構成されている(
図8参照)。本形態では、2個の第1駆動用磁石35の、第2駆動用磁石37側の磁極が同じ磁極になっている。すなわち、第2駆動用磁石37の左側に配置される第1駆動用磁石35の右側の磁極と、第2駆動用磁石37の右側に配置される第1駆動用磁石35の左側の磁極とが同じ磁極になっている。
【0070】
以下の説明では、第2駆動用磁石37の左側に配置される第1駆動用磁石35と、第2駆動用磁石37の右側に配置される第1駆動用磁石35とを区別して表す場合には、第2駆動用磁石37の左側に配置される第1駆動用磁石35を「第1駆動用磁石35A」とし、第2駆動用磁石37の右側に配置される第1駆動用磁石35を「第1駆動用磁石35B」とする。
【0071】
第1駆動用コイル36は、たとえば、導線が空芯状に巻回されることで形成された空芯コイルである。第1駆動用コイル36は、光軸方向に平行な直線状の2個の直線部36aと、2個の直線部36aの光軸方向の両端を繋ぐ円弧状の2個の円弧部36bとから構成されている(
図7参照)。上述のように、本形態では、第1駆動用磁石35Aの右側の磁極と、第1駆動用磁石35Bの左側の磁極とが同じ磁極になっているため、2個の第1駆動用コイル36のうちの一方の第1駆動用コイル36の巻回方向と他方の第1駆動用コイル36の巻回方向とが逆方向になっている。
【0072】
第1駆動用コイル36は、フレキシブルプリント基板42に取り付けられている。第1駆動用コイル36は、中間部材保持部21aの貫通穴21cの中に配置されている。すなわち、第1駆動用コイル36は、中間部材保持部21aの後ろ側部分の中に配置されており、第1駆動用磁石35の後ろ側に配置されている。また、第1駆動用コイル36は、第2駆動用コイル38の左右方向の両側に配置されている。
【0073】
上述のように、第1駆動用磁石35および第2駆動用磁石37は、ホルダ16の後面側に固定され、第1駆動用コイル36および第2駆動用コイル38は、中間部材保持部21aの後ろ側部分の中に配置されている。また、第3駆動用磁石39は、ホルダ16の左面側に固定され、第3駆動用コイル40は、中間部材保持部21aの左側部分の中に配置されている。
【0074】
すなわち、第1磁気駆動機構7および第2磁気駆動機構8は、左右方向に平行な中間部材保持部21aの1辺(具体的には、後ろ側の辺)に沿って配置され、第3磁気駆動機構9は、前後方向に平行な中間部材保持部21aの1辺(具体的には、左側の辺)に沿って配置されている。すなわち、第1磁気駆動機構7、第2磁気駆動機構8および第3磁気駆動機構9は、上下方向から見たときの外形が正方形状となる中間部材保持部21aの2辺に沿って配置されている。
【0075】
第1駆動用磁石35には、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知するための磁気センサ43が対向配置されている。第2駆動用磁石37には、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに左右方向に平行な軸線を回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知するための磁気センサ44が対向配置されている。第3駆動用磁石39には、カメラモジュール2の光軸Lに直交するとともに前後方向に平行な軸線を回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知するための磁気センサ45が対向配置されている。
【0076】
磁気センサ43~45は、ホール素子を有するホールセンサである。磁気センサ43~45は、フレキシブルプリント基板42に実装されている。磁気センサ43~45は、光学ユニット1の制御部47(
図8参照)に電気的に接続されている。すなわち、光学ユニット1は、磁気センサ43~45が電気的に接続される制御部47を備えている。磁気センサ43~45の出力信号は、制御部47に入力され、制御部47は、磁気センサ43~45の出力信号に基づいて可動体3の回動位置を検知する。
【0077】
磁気センサ44は、空芯コイルである第2駆動用コイル38の内周側に配置されている。また、磁気センサ44は、第3磁気駆動機構9の駆動力で回動する可動体3の回動中心軸の軸線上(すなわち、光軸Lに直交するとともに前後方向に平行な軸線上)に配置されている。磁気センサ45は、空芯コイルである第3駆動用コイル40の内周側に配置されている。また、磁気センサ45は、第2磁気駆動機構8の駆動力で回動する可動体3の回動中心軸の軸線上(すなわち、光軸Lに直交するとともに左右方向に平行な軸線上)に配置されている。
【0078】
磁気センサ43は、空芯コイルである第1駆動用コイル36の内周側に配置されている。磁気センサ43は、2個の第1駆動用磁石35のそれぞれに対向配置されている。すなわち、光学ユニット1は、2個の第1駆動用磁石35のそれぞれに対向配置される2個の磁気センサ43を備えている。以下の説明では、第1駆動用磁石35Aに対向配置される磁気センサ43と、第1駆動用磁石35Bに対向配置される磁気センサ43とを区別して表す場合には、第1駆動用磁石35Aに対向配置される磁気センサ43を「磁気センサ43A」とし、第1駆動用磁石35Bに対向配置される磁気センサ43を「磁気センサ43B」とする。
【0079】
図2の時計回りの方向を時計方向とし、
図2の反時計回りの方向を反時計方向とすると、(すなわち、上側から見たときの時計回りの方向を時計方向とし、上側から見たときの反時計回りの方向を反時計方向とすると)、可動体3が所定の基準位置に配置されている状態から光軸Lを回動中心にして時計方向に回動したときには、
図9(A)に示すように、第1駆動用磁石35Aと磁気センサ43Aとの距離は近づくが、第1駆動用磁石35Bと磁気センサ43Bとの距離は遠ざかる。一方、光軸Lを回動中心にして可動体3が反時計方向に回動したときには、
図9(B)に示すように、第1駆動用磁石35Aと磁気センサ43Aとの距離は遠ざかるが、第1駆動用磁石35Bと磁気センサ43Bとの距離は近づく。
【0080】
本形態では、第1駆動用磁石35Aの右側の磁極と第1駆動用磁石35Bの左側の磁極とが同じ磁極になっている。また、第1駆動用磁石35と磁気センサ43との距離は磁気センサ43の出力信号に影響を及ぼす。そのため、可動体3が基準位置から光軸Lを中心にして時計方向に回動したときの可動体3の回動角度をプラスの角度とし、可動体3が基準位置から光軸Lを中心にして反時計方向に回動したときの可動体3の回動角度をマイナスの角度とすると、磁気センサ43Aの出力信号SG1および磁気センサ43Bの出力信号SG2は、基準位置(0°)からの可動体3の回動角度に応じて、たとえば、
図10に示すように変動する。すなわち、出力信号SG1、SG2は、基準位置からの可動体3の回動角度に応じて一次関数的には変動しない。
【0081】
したがって、制御部47が出力信号SG1または出力信号SG2のみを用いて光軸Lを回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知すると、可動体3の回動位置の検知精度が低下する。そこで、本形態では、制御部47は、2個の磁気センサ43の出力信号SG1、SG2に基づいて光軸Lを回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知する。
【0082】
具体的には、本形態では、第1駆動用磁石35Aの右側の磁極と第1駆動用磁石35Bの左側の磁極とが同じ磁極になっており、出力信号SG1から出力信号SG2を引いた差分信号SG3は、
図10に示すように、基準位置からの可動体3の回動角度に応じて一次関数的に変動するため、制御部47は、出力信号SG1、SG2から差分信号SG3を生成し、差分信号SG3に基づいて光軸Lを回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知する。
【0083】
フレキシブルプリント基板42の、第2駆動用コイル38が取り付けられている面の反対側の面には、磁性材料からなる第2磁性板が固定され、フレキシブルプリント基板42の、第3駆動用コイル40が取り付けられている面の反対側の面には、磁性材料からなる第3磁性板が固定されている。第2駆動用磁石37と第2磁性板の間に生じる磁気的吸引力と、第3駆動用磁石39と第3磁性板の間に生じる磁気的吸引力とによって、基準位置に配置される第1中間部材4および第2中間部材5の位置が保持されている。すなわち、第2駆動用磁石37、第2磁性板、第3駆動用磁石39および第3磁性板は、第2駆動用コイル38や第3駆動用コイル40に電流が供給されていないときに、第1中間部材4および第2中間部材5の姿勢を維持する機能を果たしている。
【0084】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、第1磁気駆動機構7、第2磁気駆動機構8および第3磁気駆動機構9は、上下方向から見たときの外形が正方形状となる中間部材保持部21aの2辺に沿って配置されている。そのため、本形態の光学ユニット1が搭載される携帯機器等では、中間部材保持部21aの2辺のそれぞれに沿った領域において磁気干渉が生じないように各種の部品を配置すれば良い。したがって、本形態では、光学ユニット1が搭載される携帯機器等の設計の自由度の低下を抑制することが可能になる。
【0085】
本形態では、フレキシブルプリント基板18がカメラモジュール2から右側に引き出されているため、フレキシブルプリント基板18の影響で、可動体3は、左右方向を回動の軸方向として回動するときよりも、前後方向を回動の軸方向として回動するときの方が回動しにくくなる。しかしながら、本形態では、前後方向に平行な中間部材保持部21aの1辺に沿って配置されるのが第3磁気駆動機構9のみであるため、上述のように、第3駆動用磁石39の前後方向の幅を第2駆動用磁石37の左右方向の幅よりも広くするとともに、第3駆動用コイル40の前後方向の幅を第2駆動用コイル38の左右方向の幅よりも広くして、第3磁気駆動機構9の駆動力を高めることが可能になる。したがって、本形態では、フレキシブルプリント基板18の影響で、前後方向を回動の軸方向として可動体3が回動しにくくなっても、前後方向を回動の軸方向として可動体3を適切に回動させることが可能になる。
【0086】
本形態では、第1駆動用磁石35は、第2駆動用磁石37の左右方向の両側に配置され、第1駆動用コイル36は、第2駆動用コイル38の左右方向の両側に配置されている。そのため、本形態では、第1駆動用磁石35の左右方向の両側に第2駆動用磁石37が配置され、かつ、第1駆動用コイル36の左右方向の両側に第2駆動用コイル38が配置されている場合と比較して、左右方向において光学ユニット1を小型化することが可能になる。たとえば、第2駆動用コイル38の円弧部38bの2個分、左右方向において光学ユニット1を小型化することが可能になる。
【0087】
また、本形態では、左右方向において2個の第1駆動用磁石35の間に第2駆動用磁石37が配置されているため、第2駆動用磁石37をホルダ16の左右方向の中心部に固定することが可能になるとともに、第2駆動用磁石37に対向配置される磁気センサ44を、第3磁気駆動機構9の駆動力で回動する可動体3の回動中心軸の軸線上に配置することが可能になる。したがって、本形態では、前後方向を回動の軸方向として固定体6に対して可動体3が回動したときの、第2駆動用磁石37と磁気センサ44との光軸方向のずれ量を抑制することが可能になる。その結果、本形態では、第2駆動用磁石37と磁気センサ44とを用いて、左右方向を回動の軸方向とする固定体6に対する可動体3の回動位置を適切に検知することが可能になる。
【0088】
本形態では、制御部47は、2個の磁気センサ43の出力信号SG1、SG2に基づいて光軸Lを回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知している。具体的には、制御部47は、磁気センサ43Aの出力信号SG1と磁気センサ43Bの出力信号SG2とから、基準位置からの可動体3の回動角度に応じて一次関数的に変動する差分信号SG3を生成し、差分信号SG3に基づいて光軸Lを回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知している。そのため、本形態では、第2駆動用磁石37の左右方向の両側に第1駆動用磁石35が配置されていても、光軸Lを回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を適切に検知することが可能になる。
【0089】
本形態では、第2駆動用磁石37の左側に配置される第1駆動用磁石35Aの右側の磁極と、第2駆動用磁石37の右側に配置される第1駆動用磁石35Bの左側の磁極とが同じ磁極になっている。そのため、本形態では、第2駆動用磁石37の左右方向の両側に第1駆動用磁石35が配置されていても、2個の第1駆動用磁石35が発生させる磁気の、第2駆動用磁石37に対するバランスが良くなる。したがって、本形態では、第1磁気駆動機構7が第2磁気駆動機構8の磁気回路に与える影響を低減することが可能になる。
【0090】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0091】
上述した形態において、第2駆動用磁石37の左側に配置される第1駆動用磁石35Aの右側の磁極と、第2駆動用磁石37の右側に配置される第1駆動用磁石35Bの左側の磁極とが異なる磁極になっていても良い。この場合には、2個の第1駆動用コイル36のうちの一方の第1駆動用コイル36の巻回方向と他方の第1駆動用コイル36の巻回方向とが同じ方向になっている。また、この場合には、出力信号SG1に出力信号SG2を加えた和信号が、基準位置からの可動体3の回動角度に応じて一次関数的に変動するため、制御部47は、出力信号SG1、SG2から和信号を生成し、和信号に基づいて光軸Lを回動中心とした固定体6に対する可動体3の回動位置を検知する。
【0092】
上述した形態において、第1駆動用磁石35の左右方向の両側に第2駆動用磁石37が配置されるとともに、第1駆動用コイル36の左右方向の両側に、第2駆動用コイル38が配置されていても良い。また、上述した形態において、前後方向を回動の軸方向として可動体3を適切に回動させることができるのであれば、第1磁気駆動機構7および第3磁気駆動機構9が中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置されていても良い。この場合には、第3駆動用磁石39の前後方向の両側に第1駆動用磁石35が配置されるとともに、第3駆動用コイル40の前後方向の両側に第1駆動用コイル36が配置されていても良いし、第1駆動用磁石35の前後方向の両側に第3駆動用磁石39が配置されるとともに、第1駆動用コイル36の前後方向の両側に第3駆動用コイル40が配置されていても良い。
【0093】
上述した形態において、上下方向から見たときの中間部材保持部21aの外形が長方形状になっていても良い。また、上述した形態において、第1駆動用コイル36、第2駆動用コイル38および第3駆動用コイル40がホルダ16に取り付けられ、第1駆動用磁石35、第2駆動用磁石37および第3駆動用磁石39が中間部材保持部21aに取り付けられていても良い。また、上述した形態において、ケース体21は、FPC収容部21bを備えていなくても良い。すなわち、ケース体21は、中間部材保持部21aのみによって構成されていても良い。
【0094】
上述した形態において、
図11に示すように、1組の第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36と第2磁気駆動機構8とが中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置され、もう1組の第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36と第3磁気駆動機構9とが中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置されていても良い。すなわち、第1磁気駆動機構7は、前後方向で対向配置されるとともに左右方向に平行な中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36と、左右方向で対向配置されるとともに前後方向に平行な中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36とを備えていても良い。
【0095】
この場合には、たとえば、中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36は、第2磁気駆動機構8の左側に配置され、中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36は、第3磁気駆動機構9の後ろ側に配置されている。すなわち、上述のように、上側から見たときの時計回りの方向を時計方向とし、上側から見たときの反時計回りの方向を反時計方向とすると、中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36は、第2磁気駆動機構8の反時計方向側に配置され、中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36は、第3磁気駆動機構9の時計方向側に配置されている。
図11に示す例では、反時計方向側は、カメラモジュール2の光軸Lを回動中心とする可動体3の回動方向の一方側である第1回動方向側となっており、時計方向は、第1回動方向側の反対側である第2回動方向側となっている。
【0096】
図11に示す例では、第2駆動用磁石37の左右方向の幅と第3駆動用磁石39の前後方向の幅とを等しくして第2駆動用磁石37の大きさと第3駆動用磁石39の大きさとを同じにすることが可能になるとともに、第2駆動用コイル38の左右方向の幅と第3駆動用コイル40の前後方向の幅とを等しくして第2駆動用コイル38の大きさと第3駆動用コイル40の大きさとを等しくすることが可能になる。したがって、第2磁気駆動機構8の駆動力と第3磁気駆動機構9の駆動力とを等しくすることが可能になる。
【0097】
また、
図11に示す例では、
図12(A)に示すように、時計方向側に可動体3が回動したときに、中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35と第1駆動用コイル36とが近づく一方で、中間部材保持部21aの左辺に沿って配置される第1駆動用磁石35と第1駆動用コイル36とが遠ざかり、
図12(B)に示すように、反時計方向側に可動体3が回動したときに、中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35と第1駆動用コイル36とが遠ざかる一方で、中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35と第1駆動用コイル36とが近づく。したがって、
図11に示す例では、時計方向側に可動体3が回動するときの第1磁気駆動機構7の駆動力と反時計方向側に可動体3が回動するときの第1磁気駆動機構7の駆動力とのばらつきを抑制することが可能になる。その結果、固定体6に対する可動体3の回動動作を安定させることが可能になる。
【0098】
なお、中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36が、第2磁気駆動機構8の右側に配置され、中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36が、第3磁気駆動機構9の前側に配置されていても良い。すなわち、中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36が、第2磁気駆動機構8の時計方向側に配置され、中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36が、第3磁気駆動機構9の反時計方向側に配置されていても良い。この場合には、時計方向側が第1回動方向側となり、反時計方向が第2回動方向側となる。
【0099】
また、中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36が、第2磁気駆動機構8の左側に配置され、かつ、中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36が、第3磁気駆動機構9の前側に配置されていても良いし、中間部材保持部21aの後ろ側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36が、第2磁気駆動機構8の右側に配置され、かつ、中間部材保持部21aの左側の辺に沿って配置される第1駆動用磁石35および第1駆動用コイル36が、第3磁気駆動機構9の後ろ側に配置されていても良い。
【符号の説明】
【0100】
1 光学ユニット(振れ補正機能付き光学ユニット)
2 カメラモジュール
3 可動体
4 第1中間部材
5 第2中間部材
6 固定体
7 第1磁気駆動機構
8 第2磁気駆動機構
9 第3磁気駆動機構
18 フレキシブルプリント基板
21a 中間部材保持部
35 第1駆動用磁石
35a、35b 着磁部
36 第1駆動用コイル
37 第2駆動用磁石
38 第2駆動用コイル
39 第3駆動用磁石
40 第3駆動用コイル
43 磁気センサ
47 制御部
L カメラモジュールの光軸
SG1、SG2 磁気センサの出力信号
X 第2光軸直交方向
Y 第1光軸直交方向