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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099414
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
H01G4/30 201C
H01G4/30 513
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022069832
(22)【出願日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2021-0193709
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シム、ウォン チュル
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スー ファン
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヨン ギュ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC02
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE16
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
(57)【要約】
【課題】内部応力によるクラック(crack)を減らしたり、耐電圧特性を高めることができる積層型キャパシタを提供する。
【解決手段】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された容量領域を含む本体と、少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して本体に配置された第1及び第2外部電極を含み、本体は少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極に第1方向に重ならないサイドマージン(side margin)を含み、サイドマージンの中心幅は、サイドマージンの最小幅よりも広いことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された容量領域を含む本体と、
前記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して前記本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、
前記本体は、前記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極に前記第1方向に重ならないサイドマージン(side margin)を含み、
前記サイドマージンの中心幅は、前記サイドマージンの最小幅よりも広い、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記サイドマージンは、
前記本体の表面を提供するサイドマージン層と、
前記サイドマージン層の中心と前記容量領域との間に配置され、前記容量領域に含まれた少なくとも一つの誘電体層の一部分が配置された中心マージン部と、を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記サイドマージンは、
前記容量領域が間に位置するように配置された複数のサイドマージン層と、
前記複数のサイドマージン層の中心と前記容量領域との間にそれぞれ配置された複数の中心マージン部と、を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記複数の中心マージン部のそれぞれは、前記第1方向に延長した柱状である、請求項3に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記第1及び第2外部電極が向かい合う方向の前記複数の中心マージン部のそれぞれの長さは、前記本体の長さの0.25倍超過0.75倍未満である、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記複数の中心マージン部のそれぞれの中心幅は、
前記複数の中心マージン部において、前記第1方向に前記本体の1/3の地点の幅よりも広く、2/3の地点の幅よりも広い、請求項4に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記サイドマージンの中心幅は、
前記サイドマージンにおいて、前記第1外部電極から前記第2外部電極に向かう方向に前記本体の10%の地点の幅よりも広く、90%の地点の幅よりも広い、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記サイドマージンは中心から前記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極に向かって突出した形態であり、
前記サイドマージンの突出した部分は、角を有する形態である、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記サイドマージンにおいて、前記第1及び第2外部電極に電圧が印加されることによる応力が最大である地点は、前記サイドマージンの中心から外れる、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記少なくとも一つの誘電体層と前記サイドマージンは、それぞれチタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含む、請求項9に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
前記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極のそれぞれは互いに前記第1方向に重なる凹部領域を有する、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記本体は、
前記少なくとも一つの第1内部電極の凹部領域に配置され、前記少なくとも一つの第1内部電極から離隔して配置される第1ダミー電極と、
前記少なくとも一つの第2内部電極の凹部領域に配置され、前記少なくとも一つの第2内部電極から離隔して配置される第2ダミー電極と、をさらに含む、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された容量領域を含む本体と、
前記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して前記本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、
前記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極のそれぞれは互いに前記第1方向に重なる凹部領域を有する、積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記本体の表面のうち、前記凹部領域に最も近い表面は、導電性構造に連結されない、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記凹部領域は、前記第1外部電極から前記第2外部電極に向かう方向に前記本体の50%の地点を含む、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記第1及び第2外部電極が向かい合う方向の前記凹部領域の長さは、前記本体の長さの0.25倍超過0.75倍未満である、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記凹部領域の中心幅は、前記第1方向に前記本体の1/3の地点の幅よりも広く、2/3の地点の幅よりも広い、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された容量領域を含む本体と、
前記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して前記本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、
前記少なくとも一つの第1内部電極は、前記第1外部電極から前記第2外部電極に向かう方向に前記本体の50%の地点を含む凹部領域を有する、積層型キャパシタ。
【請求項19】
前記少なくとも一つの第1内部電極の凹部領域は、前記少なくとも一つの第2内部電極の一部分に前記第1方向に重なる、請求項18に記載の積層型キャパシタ。
【請求項20】
前記本体は、前記少なくとも一つの第1内部電極の凹部領域に配置され、前記少なくとも一つの第1内部電極から離隔して配置される第1ダミー電極をさらに含み、
前記第1ダミー電極は、前記少なくとも一つの第2内部電極の一部分に前記第1方向に重なる、請求項18に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、コンピュータ、PDA、携帯電話などの電子機器部品として広く用いられており、高信頼性、高強度特性を有しているため、電気機器(車両を含む)部品としても広く用いられている。
【0003】
積層型キャパシタに用いられ得る高い誘電率の誘電体材料は、圧電性も有することができるため、積層型キャパシタは電圧の印加による逆圧電(または電歪)現象による内部応力の影響を受けることがあり、内部応力は積層型キャパシタのクラック(crack)を引き起こしたり、耐電圧特性を低下させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2015-0042500号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、内部応力によるクラック(crack)を減らしたり、耐電圧特性を高めることができる積層型キャパシタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された容量領域を含む本体と、上記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して上記本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、上記本体は、上記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極に上記第1方向に重ならないサイドマージン(side margin)を含み、上記サイドマージンの中心幅は、上記サイドマージンの最小幅よりも広いことができる。
【0007】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された容量領域を含む本体と、上記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して上記本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、上記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極のそれぞれは、互いに上記第1方向に重なる凹部領域を有することができる。
【0008】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極が少なくとも一つの誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に積層された容量領域を含む本体と、上記少なくとも一つの第1内部電極と少なくとも一つの第2内部電極にそれぞれ連結されるように互いに離隔して上記本体に配置された第1及び第2外部電極と、を含み、上記少なくとも一つの第1内部電極は、上記第1外部電極から上記第2外部電極に向かう方向に上記本体の50%の地点を含む凹部領域を有することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、内部応力によるクラック(crack)を減らしたり、耐電圧特性を高めることができる積層型キャパシタを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシタが基板に実装された構造を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの本体の内部を示した斜視図である。
図3a図2のC-C'を示した断面図である。
図3b】本発明の一実施形態による積層型キャパシタのサイドマージン及び凹部領域の第1変形構造を例示した断面図である。
図3c】本発明の一実施形態による積層型キャパシタのサイドマージン及び凹部領域の第2変形構造を例示した断面図である。
図3d】本発明の一実施形態による積層型キャパシタのサイドマージン及び凹部領域の第2変形構造を例示した断面図である。
図3e】本発明の一実施形態による積層型キャパシタのサイドマージン及び凹部領域の第3変形構造を例示した断面図である。
図4a】本発明の一実施形態による積層型キャパシタ及びその内部を示した斜視図である。
図4b】本発明の一実施形態による積層型キャパシタ及びその内部を示した斜視図である。
図4c】本発明の一実施形態による積層型キャパシタのサイドマージン及び凹部領域の変形構造を例示した斜視図である。
図5a図4aのA-A'を示した断面図である。
図5b図4bのD-D'を示した断面図である。
図6図4aのB-B'を示した断面図である。
図7】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの内部応力を示したグラフである。
図8a】積層型キャパシタの内部応力の分布を示した断面図である。
図8b】積層型キャパシタの内部応力の分布を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0012】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一参照符号を用いて説明する。
【0013】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0014】
本発明の実施形態を明確に説明するために、六面体の方向を定義すると、図面上に示されているL、W、及びTはそれぞれ、長さ方向、幅方向、及び厚さ方向を示す。ここで、厚さ方向は、誘電体層が積層される積層方向と同一の概念として用いられる。
【0015】
以下では、本発明の一実施形態による積層型キャパシタを説明するが、特に積層セラミックキャパシタ(Multi-layer ceramic capacitor、MLCC)として説明するが、これに制限されるものではない。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による積層型キャパシタが基板に実装された構造を示した斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態による積層型キャパシタの本体の内部を示した斜視図であり、図3aは、図2のC-C'を示した断面図であり、図4a及び図4bは、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ及びその内部を示した斜視図であり、図5aは、図4aのA-A'を示した断面図であり、図5bは、図4bのD-D'を示した断面図であり、図6は、図4aのB-B'を示した断面図である。
【0017】
図1図2図3a、図4a、図4b、図5a及び図6を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100は、本体110、第1外部電極131及び第2外部電極132を含むことができる。
【0018】
本体110は、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122が少なくとも一つの誘電体層111を間に挟んで第1方向(例:T方向)に交互に積層された積層構造を含むことができる。
【0019】
例えば、本体110は、積層構造の焼成によってセラミック本体で構成されることができる。ここで、本体110に配置された少なくとも一つの誘電体層111は焼結された状態であり、隣接する誘電体層の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0020】
例えば、本体110は、長さ方向Lの両側面、幅方向Wの両側面及び厚さ方向Tの両側面を有する六面体から形成されることができ、上記六面体の角及び/またはコーナーは研磨されることによって丸い形であることができる。但し、本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数が本実施形態に示されたものに限定されるものではない。
【0021】
少なくとも一つの誘電体層111は、その厚さを積層型キャパシタ100の容量設計に合わせて任意に変更することができ、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系粉末を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。また、積層型キャパシタ100の要求規格に応じて、セラミック粉末に様々なセラミック添加剤(例:MgO、Al、SiO、ZnO)、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0022】
少なくとも一つの誘電体層111の形成に用いられるセラミック粉末の平均粒径は特に制限されず、積層型キャパシタ100の要求規格(例:電子機器用キャパシタのように小型化及び/または高容量が要求されるか、電気機器用キャパシタのように高い耐電圧特性及び/または強い強度が要求されるなど)によって調節されることができるが、例えば、400nm以下に調節されることができる。
【0023】
例えば、少なくとも一つの誘電体層111は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数個のセラミックシートを設けることによって形成されることができる。上記セラミックシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状に製作することによって形成されることができるが、これに限定されない。
【0024】
少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122は、導電性金属を含む導電性ペーストを印刷して誘電体層の積層方向(例:T方向)に沿って本体110の長さ方向Lの一側面と他側面に交互に露出するように形成されることができ、中間に配置された誘電体層によって互いに電気的に絶縁されることができる。
【0025】
例えば、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122のそれぞれは、粒子平均大きさが0.1~0.2μmであり、40~50重量%の導電性金属粉末を含む内部電極用導電性ペーストによって形成されることができるが、これに限定されない。上記導電性ペーストは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、鉛(Pb)または白金(Pt)などの単独またはこれらの合金であることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0026】
例えば、上記セラミックシート上に上記内部電極用導電性ペーストを印刷工法などで塗布して内部電極パターンを形成することができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、及びインクジェット印刷法などを用いることができるが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、上記内部電極パターンが印刷されたセラミックシートを200~300層積層し、圧着、焼成することで本体110を製作することができる。
【0027】
積層型キャパシタ100の静電容量は、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122との間の積層方向(例:T方向)の重なり面積に比例し、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122の総積層数に比例し、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122との間の間隔に反比例することができる。上記間隔は、少なくとも一つの誘電体層111のそれぞれの厚さと実質的に同一であることができる。
【0028】
積層型キャパシタ100は、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122との間の間隔が短いほど、厚さに対してさらに大きい静電容量を有することができる。一方、積層型キャパシタ100の耐電圧は、上記間隔が長いほど高いことができる。したがって、上記間隔は積層型キャパシタ100の要求規格(例:電子機器用キャパシタのように小型化及び/または高容量が要求されるか、電気機器用キャパシタのように高い耐電圧特性及び/または強い強度が要求されるなど)によって調節されることができる。少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122のそれぞれの厚さも上記間隔の影響を受けることができる。
【0029】
例えば、積層型キャパシタ100は、高い耐電圧特性及び/または強い強度が要求される場合に、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122との間の間隔がそれぞれの厚さの2倍を超えるように設計されることができる。例えば、積層型キャパシタ100は、小型化及び/または高容量が要求される場合に、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122のそれぞれの厚さが0.4μm以下であり、総積層数が400層以上になるように設計されることができる。
【0030】
第1及び第2外部電極131、132は、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122にそれぞれ連結されるように互いに離隔して本体110に配置されることができる。
【0031】
例えば、第1及び第2外部電極131、132のそれぞれは、金属成分が含まれたペーストにディッピング(dipping)する方法、導電性ペーストを印刷する方法、シート(Sheet)転写、パッド(Pad)転写方法、スパッタめっきまたは電解めっきなどで形成されることができる。例えば、第1及び第2外部電極131、132は、上記ペーストが焼成されることによって形成された焼成層及び上記焼成層の外面に形成されためっき層を含むことができ、上記焼成層と上記めっき層との間に導電性樹脂層をさらに含むことができる。例えば、上記導電性樹脂層は、エポキシなどの熱硬化性樹脂に導電性粒子が含有されることによって形成されることができる。上記金属成分は、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、鉛(Pb)、スズ(Sn)などの単独またはこれらの合金であることができるが、これに限定されない。
【0032】
積層型キャパシタ100は、基板210に実装または埋め込まれることができ、第1及び第2外部電極131、132を介して基板210上の第1及び第2パッド221、222に連結されることで、基板210に電気的に連結された回路(例:集積回路、プロセッサ)に電気的に連結されることができる。
【0033】
はんだ230は、積層型キャパシタ100の第1及び第2外部電極131、132が基板210の第1及び第2パッド221、222上に載置された状態でリフロー(reflow)工程によって第1及び第2外部電極131、132と第1及び第2パッド221、222に接するように配置されてこれらを固着させることができる。はんだ230は、第1及び第2外部電極131、132に含まれ得る銅(Cu)よりも低い溶融点を有することができ、スズ(Sn)またはスズ系合金を含むことができる。
【0034】
図4a、図4b、図5a、図5b及び図6を参照すると、本体110は上部カバー層112、下部カバー層113、及びコア領域115を含むことができ、コア領域115はサイドマージンSM及び容量領域116を含むことができる。
【0035】
上部及び下部カバー層112、113は、第1方向(例:T方向)にコア領域115を間に挟むように配置され、それぞれ少なくとも一つの誘電体層111のそれぞれよりもさらに厚いことができる。
【0036】
上部及び下部カバー層112、113は、外部環境要素(例:水分、めっき液、異物)がコア領域115に浸透することを防止することができ、本体110を外部衝撃から保護することができ、本体110の曲げ強度も向上させることができる。
【0037】
例えば、上部及び下部カバー層112、113は、少なくとも一つの誘電体層111と同一の材料または他の材料(例:エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂)を含むことができる。
【0038】
容量領域116は、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122との間を含むことができるため、積層型キャパシタ100の静電容量を形成することができる。
【0039】
容量領域116は、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122が少なくとも一つの誘電体層111を間に挟んで第1方向(例:T方向)に交互に積層された積層構造を含むことができ、上記積層構造と同一のサイズを有することができる。
【0040】
サイドマージンSMは、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122の境界線Mと本体110の表面との間を含むことができる。すなわち、サイドマージンSMは、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極121に第1方向(例:T方向)に重ならないことができる。
【0041】
複数のサイドマージンSMは、第1方向(例:T方向)に垂直な第2方向(例:W方向)に容量領域116を間に挟むように配置されることができる。
【0042】
複数のサイドマージンSMは、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122が本体110から第2方向(例:W方向)の表面に露出することを防止することができるため、外部環境要素(例:水分、めっき液、異物)が上記第2方向の表面を介して少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122に浸透することを防止することができ、積層型キャパシタ100の信頼性及び寿命を向上させることができる。また、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122は、複数のサイドマージンSMによって第2方向に効率的に拡張して形成されることができるため、複数のサイドマージンSMは、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122との重なり面積を広げて、積層型キャパシタ100の静電容量の向上にも寄与することができる。
【0043】
図8a及び図8bは、積層型キャパシタの内部応力の分布を示した断面図である。
【0044】
積層型キャパシタ100の単位サイズに対する静電容量は、少なくとも一つの誘電体層111の誘電率が高いほど大きいことができるため、少なくとも一つの誘電体層111は、チタン酸バリウム(BaTiO)のように誘電率が高い材料を含むことができる。チタン酸バリウム(BaTiO)のように誘電率が高い材料は圧電性も有する可能性が高いため、積層型キャパシタ100に電圧が印加されることによる逆圧電(または電歪)現象による内部応力も形成することができる。
【0045】
図8aを参照すると、内部応力は、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122が積層された方向(垂直方向)に形成されることができ、内部応力は積層型キャパシタの表面でさらに大きいことができ、表面の大きな応力は積層型キャパシタの引張及び膨張を引き起こす可能性がある。
【0046】
内部応力は垂直ベクトル成分及び水平ベクトル成分を含むことができ、垂直/水平ベクトル成分の重なりは、積層型キャパシタの表面に近いほど相殺よりも補強に近いため、積層型キャパシタの内部応力は積層型キャパシタのサイド表面で最も大きいことができる。
【0047】
図8bは、内部応力が積層型キャパシタのサイドの表面に最も大きく集中していることを示す。内部応力の集中は、クラック(crack)を引き起こすか、または電気的ボトルネックのポイント(例:空隙、不安定な内部電極境界など)を引き起こす可能性がある。
【0048】
再び、図2図3a、図4a、図4b、図5a及び図5bを参照すると、サイドマージンSMの中心幅WはサイドマージンSMの最小幅Wよりも広いことができる。または、少なくとも一つの第1内部電極121及び少なくとも一つの第2内部電極122のそれぞれは、互いに第1方向(例:T方向)に重なる凹部領域RCを含むことができる。
【0049】
これにより、サイドマージンSMの中心と凹部領域RCは集中された内部応力を効率的に分散させることができるため、サイドマージンSMに集中された内部応力によるクラック及び電気的ボトルネックのポイントの発生は防止されることができる。
【0050】
サイドマージンSMの中心幅Wは、本体110の中心を含むXY平面として、本体110を切断または研磨した後に露出するLW断面において、サイドマージンSMのL方向に沿った幅の変化が急激に大きい2つの地点の間での平均幅で測定されることができ、サイドマージンSMの最小幅Wは、上記2つの地点のL方向の外側の平均幅で測定されることができる。サイドマージンSMの中心幅W及び最小幅Wは、TEM(Transmission Electron Microscopy)、AFM(Atomic Force Microscope)、SEM(Scanning Electron Microscope)、光学顕微鏡、及びsurface profilerの少なくとも一つを用いた分析によって測定されることができる。
【0051】
例えば、サイドマージンSMはサイドマージン層114及び中心マージン部CMを含むことができる。サイドマージンSMは、本体110のW方向の両表面に提供される場合に、複数のサイドマージン層114及び複数の中心マージン部CMを提供することができる。
【0052】
サイドマージン層114は、本体110の表面を提供することができ、サイドマージンSMの最小幅Wと同一厚さを有することができる。複数のサイドマージン層114は、容量領域116が間に位置するように配置されることができる。例えば、サイドマージン層114は、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができ、少なくとも一つの誘電体層111と類似した方式(積層方向は異なる)で形成されることができる。
【0053】
中心マージン部CMは、サイドマージン層114の中心と容量領域116との間に配置され、容量領域116に含まれた少なくとも一つの誘電体層111の一部分が配置されることができる。
【0054】
例えば、中心マージン部CMは、少なくとも一つの誘電体層111において、少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122のいずれか一つにも第1方向(例:T方向)に重ならない部分を含むことができる。したがって、中心マージン部CMは、少なくとも一つの誘電体層111の上面及び/または下面において少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122が配置されない面積だけの空いた空間を含むことができるが、上記空いた空間は、サイドマージンSMの中心に集中した内部応力による中心マージン部CM内における少なくとも一つの誘電体層111の微細動きの余裕空間を提供することができる。これにより、中心マージン部CMは、サイドマージンSMの中心に集中した内部応力を効率的に緩和させることができる。
【0055】
内部応力が集中されることができるサイドマージン層114の外表面の中心は、本体110の表面のうち凹部領域RCに最も近い表面であることができ、導電性構造(例:外部電極、ビア電極、端子など)に連結されないことができる。
【0056】
内部応力が集中されることができるサイドマージンSMの中心は、第1外部電極131から第2外部電極132に向かう方向(例:L方向)に本体110の50%の地点を含むことができる。したがって、中心マージン部CM及び凹部領域RCは、第1外部電極131から第2外部電極132に向かう方向(例:L方向)に本体110の50%の地点を含むことで、集中された内部応力を効率的に分散/緩和させることができる。
【0057】
中心マージン部CMは、第1方向(例:T方向)に延長した柱状であることができる。図8aがサイド表面で集中された内部応力に応じた引張応力が垂直方向に形成されることを示すため、中心マージン部CMは、サイド表面で集中された内部応力による引張応力の方向と同一方向に延長した形態を有することで、引張応力を効率的に分散/緩和させることができる。
【0058】
例えば、第1及び第2外部電極131、132が向かい合う方向(例:L方向)の中心マージン部CMの長さ及び凹部領域RCの長さLは、本体110の長さLchipの0.25倍超過0.75倍未満であることができる。これにより、サイドマージンSM及び凹部領域RCは、内部応力の分散/緩和の信頼性を安定的に確保することができ、容量領域116の静電容量に大きな影響を与えないことができる。サイドマージンSMの中心幅W及び最小幅Wの測定方式と類似して、長さLは、本体110の中心を含むLW断面において平均長さで測定されることができる。
【0059】
サイドマージンSMの最小幅Wは、第1外部電極131から第2外部電極132に向かう方向(例:L方向)に本体110の10%の地点及び/または90%の地点の幅であることができる。したがって、サイドマージンSMの中心幅Wは、10%の地点及び/または90%の地点の幅よりも広いことができる。
【0060】
図7は、本発明の一実施形態による積層型キャパシタの内部応力を示したグラフである。
【0061】
図7の横軸は、長さが2.0mmである本体のL方向の位置を示し、縦軸は、第1及び第2外部電極に電圧が印加されることによるL方向の位置別の内部応力бTを示す。図7を参照すると、サイドマージンSMの中心幅Wと最小幅Wが同一である第1場合(W=W)、内部応力бTが最大である地点はL方向の50%の地点であることができる。
【0062】
サイドマージンSMの中心幅Wが最小幅Wよりも広い第2場合(W<W)、内部応力бTが最大である地点は、L方向の約30%の地点及び約70%であることができる。すなわち、サイドマージンにおいて、第1及び第2外部電極に電圧が印加されることによる応力が最大である地点は、サイドマージンの中心(50%の地点)から外れることができる。
【0063】
また、第2場合(W<W)の内部応力бTの最大値は、第1場合(W=W)のそれよりも低いことができる。したがって、本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、本体のL方向の50%の地点に集中された内部応力を効率的に分散/緩和させることができる。
【0064】
図3b~図3eは、本発明の一実施形態による積層型キャパシタのサイドマージン及び凹部領域の変形構造を例示した断面図である。
【0065】
図3aを参照すると、中心マージン部CM及び凹部領域RCは角を有する形態であることができ、図3bを参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100bのサイドマージンSMbの中心マージン部CMb及び凹部領域RCbの断面は、半円状であることができる。
【0066】
図3a及び図3bを参照すると、サイドマージンSM、SMbは、中心から少なくとも一つの第1内部電極121と少なくとも一つの第2内部電極122に向かって突出した形態であることができる。
【0067】
図3a、図3c、及び図3dを参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100dは、第1ダミー電極141及び第2ダミー電極142をさらに含むことができる。図3cの第1ダミー電極141及び図3dの第2ダミー電極142は、図3aの中心マージン部CMb及び凹部領域RCb内に配置されることができる。第1ダミー電極141は、少なくとも一つの第1内部電極121dによって囲まれることができ、少なくとも一つの第1内部電極121dから離隔して配置されることができる。第2ダミー電極142は、少なくとも一つの第2内部電極122dによって囲まれることができ、少なくとも一つの第2内部電極122dから離隔して配置されることができる。
【0068】
第1及び第2ダミー電極141、142は、少なくとも一つの第1内部電極121dと少なくとも一つの第2内部電極122dと同一の材料を含み、同一の方式で形成されることができるが、これに限定されない。第1及び第2ダミー電極141、142が本体の内部応力のメカニズムに与える影響は、少なくとも一つの誘電体層111が与える影響よりも少なくとも一つの第1内部電極121d及び少なくとも一つの第2内部電極122dが与える影響にさらに近いことができるため、図3aの幅W及び長さLは、第1及び第2ダミー電極141、142が追加された場合にさらに小さくなるものと見なすことができる。
【0069】
図3eを参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100eの少なくとも一つの第2内部電極122eは、図3aの中心マージン部CM及び凹部領域RCを提供しないことができる。ここで、積層型キャパシタ100eの少なくとも一つの第1内部電極は、図3aの少なくとも一つの第1内部電極121や図3cの少なくとも一つの第1内部電極121dと同一形態であることができる。したがって、少なくとも一つの第2内部電極122eの一部分は、図3aの中心マージン部CM及び凹部領域RCや図3cの第1ダミー電極141に第1方向(例:T方向)に重なることができる。
【0070】
図4cは、本発明の一実施形態による積層型キャパシタのサイドマージン及び凹部領域の変形構造を示した斜視図である。
【0071】
図4cを参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100cのサイドマージンSMcの中心マージン部CMc及び凹部領域RCcの中心幅Wcは上端/下端の幅Waよりも広いことができる。したがって、中心マージン部CMc及び凹部領域RCcの中心幅Wcは、第1方向(例:T方向)に本体110の1/3の地点の幅よりも広く、2/3の地点の幅よりも広いことができる。
【0072】
内部応力はサイドマージンSMcの中心に集中された状態で分散されることができ、中心マージン部CMc及び凹部領域RCcの形態はサイドマージンSMcの中心から内部電極までの距離偏差を減らすことができるため、内部応力の分散効率を高めることができる。
【0073】
サイドマージンSMの中心幅W及び最小幅Wの測定方式と類似して、中心幅Wc及び上端/下端の幅Waは、本体110の中心を含むWT断面で測定されることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0075】
100 積層型キャパシタ
110 本体(body)
111 誘電体層
112 上部カバー層
113 下部カバー層
114 サイドマージン層
115 コア領域
116 容量領域
121 第1内部電極
122 第2内部電極
131 第1外部電極
132 第2外部電極
CM 中心マージン部
RC 凹部領域
SM サイドマージン(side margin)
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6
図7
図8a
図8b