IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

<>
  • 特開-積層型電子部品 図1
  • 特開-積層型電子部品 図2
  • 特開-積層型電子部品 図3
  • 特開-積層型電子部品 図4
  • 特開-積層型電子部品 図5
  • 特開-積層型電子部品 図6
  • 特開-積層型電子部品 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099415
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022072776
(22)【出願日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194289
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、チェ ドン
(72)【発明者】
【氏名】キム、オグ スーン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒェ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ウォン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層型電子部品において、導電性樹脂層がAgを過度に含む場合でもイオンマイグレーションを抑制できる外部電極を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、誘電体層111及び誘電体層と交互に配置される複数の内部電極121を含む本体と、本体上に配置される外部電極と、を含む。外部電極は、本体上に配置されて内部電極と連結される電極層131及び電極層上に配置され、第1導電性粒子132a、第2導電性粒子132b及び樹脂132cを含む導電性樹脂132層を含む。第1導電性粒子はCu粒子であり、第2導電性粒子は表面にAgが配置されたCu粒子である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層と交互に配置される複数の内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置される外部電極と、を含み、
前記外部電極は、
前記本体上に配置されて前記内部電極と連結される電極層と、
前記電極層上に配置され、第1導電性粒子、第2導電性粒子及び樹脂を含む導電性樹脂層と、を含み、
前記第1導電性粒子はCu粒子であり、前記第2導電性粒子は表面にAgが配置されたCu粒子であり、
前記導電性樹脂層は、前記第2導電性粒子の表面に配置されたAg以外はAgを含まない、積層型電子部品。
【請求項2】
前記導電性樹脂層の断面においてCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合は1/9以上3/7以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1導電性粒子の平均粒径は、前記第2導電性粒子の平均粒径とは異なる、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記導電性樹脂層は、融点が300℃以下の金属をさらに含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1導電性粒子及び前記第2導電性粒子の形状は、板(plate)状、フレーク(flake)状、デンドライト(dendrite)状、球状、又はこれらの混合である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記導電性樹脂層上に配置され、Niを含む第1めっき層を含む、請求項1から5の何れか1つに記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記第1めっき層上に配置され、Snを含む第2めっき層を含む、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記電極層は導電性金属及びガラスを含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記樹脂はエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。近年は、電子機器の小型化及び高性能化に伴い、積層セラミックキャパシタも小型化及び高容量化する傾向であり、このような流れに伴って積層セラミックキャパシタの高信頼性を確保することに対する重要度が高まっている。
【0004】
特に、産業及び電装用の積層セラミックキャパシタは、作動電圧が高く、稼働環境の温度及び湿度の変化範囲が広いため、基板に実装された状態での様々な環境因子による信頼性の保証のための努力が必須である。そこで、従来は、外部電極にエポキシ樹脂及び導電性金属粒子(Cu、Ag)を含む導電性樹脂層を導入して曲げ強度を向上させようとする試みがあった。
【0005】
導電性金属粒子がAgの場合、酸化が抑制される利点がある。しかし、Agの含量が高い場合やAg粒子が導電性樹脂層内で一部凝縮して存在する場合、イオンマイグレーション(migration)が発生する可能性がある。
【0006】
しかし、導電性金属粒子がCuの場合、Agに対して低いイオン化性によりイオンマイグレーション(migration)の発生が抑制されるが、積層型電子部品の高温、高圧の作動環境においてCuの酸化及びエポキシ樹脂の変性によるCO(Out gas)の発生を引き起こす可能性がある。
【0007】
上記問題点を解決するために、Ag coated Cu粒子の単一組成で導電性樹脂層を形成する場合にも、Agコーティングの均一度、Agの含量に応じてイオンマイグレーションが依然として発生する可能性があり、Cu粒子の粒度、含量等に応じて依然として酸化に弱く、エポキシ樹脂の変形を引き起こす可能性がある。したがって、イオンマイグレーションを抑制しながらも、ESR特性に優れ、樹脂の成分変化に伴うOut gasの発生の少ない導電性樹脂層が必要となる実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の一つは、導電性樹脂層がAgを過度に含む場合や、導電性樹脂層内で一部凝縮する場合に、イオンマイグレーションが発生するという問題点を解決することである。
【0009】
本発明の目的の一つは、導電性樹脂層がCuを過度に含む場合、高温、高圧、多湿環境で酸化しやすい、又はエポキシ樹脂の変性によりアウトガス(Out gas)が発生するという問題点を解決することである。
【0010】
本発明の目的の一つは、導電性樹脂層をAg coated Cuの単独組成で形成する場合、依然として発生し得る上記問題点を解決することである。
【0011】
ただし、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層と交互に配置される複数の内部電極を含む本体と、上記本体上に配置される外部電極と、を含み、上記外部電極は、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される電極層及び上記電極層上に配置され、第1導電性粒子、第2導電性粒子及び樹脂を含む導電性樹脂層を含み、上記第1導電性粒子はCu粒子であり、上記第2導電性粒子は表面にAgが配置されたCu粒子であり、上記導電性樹脂層は上記第2導電性粒子の表面に配置されたAg以外はAgを含まなくてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のいくつかの効果の一つは、酸化に脆弱な導電性樹脂層にCu粒子及び表面にAgが配置されたCu粒子を同時に含むようにすることにより、導電性樹脂層に含まれる金属の酸化を抑制し、樹脂の変性を抑制し、イオンマイグレーションが発生することを抑制することである。
【0014】
本発明のいくつかの効果の一つは、導電性樹脂層に含まれたCu元素が占める面積とAg元素が占める面積を調節して導電性樹脂層に含まれる金属の酸化を抑制し、樹脂の変性を抑制し、イオンマイグレーションが発生することを抑制することである。
【0015】
本発明のいくつかの効果の一つは、導電性樹脂層にAgの単独粒子が形成されることを抑制し、Ag粒子の凝縮により発生し得るイオンマイグレーションを抑制することである。
【0016】
ただし、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものである。
図2図1のI-I'線に沿った断面に対する断面図である。
図3図1のII-II'線に沿った断面に対する断面図である。
図4】本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して示す分解斜視図である。
図5図2のK1領域に対する拡大図である。
図6図5のK2領域に対する拡大図である。
図7】本発明の一実施形態による積層型電子部品の長さ-厚さ方向の断面において導電性樹脂層の一領域を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張することができ、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0019】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されない。なお、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素については、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0020】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、図2は、図1のI-I'線に沿った断面に対する断面図であり、図3は、図1のII-II'線に沿った断面に対する断面図であり、図4は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の本体を分解して示す分解斜視図であり、図5は、図2のK1領域に対する拡大図であり、図6は、図5のK2領域に対する拡大図であり、図7は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の長さ-厚さ方向の断面において導電性樹脂層の一領域を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した画像である。
【0022】
以下では、図1図7を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品100について詳細に説明する。
【0023】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層と交互に配置される複数の内部電極121、122を含む本体110と、上記本体上に配置される外部電極130、140と、を含み、上記外部電極は、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される電極層131、141及び上記電極層上に配置され、第1導電性粒子132a、第2導電性粒子132b及び樹脂132cを含む導電性樹脂層132、142を含み、上記第1導電性粒子はCu粒子であり、上記第2導電性粒子は表面にAgが配置されたCu粒子であり、上記導電性樹脂層は、上記第2導電性粒子の表面に配置されたAg以外はAgを含まなくてもよい。
【0024】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成工程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0025】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1面1及び第2面2、上記第1面1及び第2面2と連結され、第2方向に互いに対向する第3面3及び第4面4、第1面及び第2面2に連結され、第3面3及び第4面4と連結され、第3方向に互いに対向する第5面5及び第6面6を有することができる。
【0026】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111の間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0027】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り特に限定されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)等が挙げられる。
【0028】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などを添加することができる。
【0029】
一方、誘電体層111の平均厚さは特に限定する必要はない。例えば、誘電体層111の平均厚さtdは0.2μm以上2μm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。誘電体層111の平均厚さは、上記第1内部電極121及び第2内部電極122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0030】
誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、一つの誘電体層を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0031】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113とを含むことができる。また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を反復的に積層して形成することができる。
【0032】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0033】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0034】
一方、カバー部112、113の平均厚さは特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の平均厚さは15μm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0035】
カバー部112、113の平均厚さは第1方向サイズを意味することができ、容量形成部Acの上部又は下部において等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向サイズを平均した値であることができる。
【0036】
また、上記容量形成部Acの側面にはマージン部114、115が配置されることができる。マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置されたマージン部114と、第6面6に配置されたマージン部115とを含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の第3方向(幅方向)の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0037】
マージン部114、115は、図3に示すように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切断した断面(cross-section)において第1内部電極121及び第2内部電極122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0038】
マージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される箇所を除いて、導電性ペーストを塗布して内部電極を形成することにより形成されたものであってもよい。
【0039】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後に内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層又は2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0040】
一方、マージン部114、115の幅は特に限定する必要はない。ただし、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、マージン部114、115の平均幅は15μm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0041】
マージン部114、115の平均幅は、マージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができ、容量形成部Acの側面において等間隔の5個の地点で測定したマージン部114、115の第3方向サイズを平均した値であることができる。
【0042】
複数の内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで交互に配置されることができる。複数の内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができる。第1内部電極121及び第2内部電極122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置されて本体110の第3面3及び第4面4にそれぞれ連結されることができる。
【0043】
具体的に、第1内部電極121の一端は第3面に連結され、第2内部電極122の一端は第4面に連結されることができる。第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には第1外部電極130が配置され、第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には第2外部電極140が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0044】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極140とは連結されず、第1外部電極130と連結され、第2内部電極122は第1外部電極130とは連結されず、第2外部電極140と連結される。したがって、第1内部電極121は第4面4から一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は第3面3から一定距離離隔して形成されることができる。
【0045】
このとき、第1内部電極121及び第2内部電極122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されてもよい。本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0046】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0047】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを使用することができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0048】
一実施形態において、内部電極121、122はNiを含むことができる。この場合、後述する本発明の第1電極層131a、132aに含まれた銅(Cu)と合金を形成するか、又は金属接合によって電気的連結性を向上させることができる。また、内部電極121、122の平均厚さは特に限定する必要はない。例えば、内部電極121、122の平均厚さは0.2μm以上2μm以下であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0049】
したがって、内部電極121、122の厚さが平均0.35μm以下である場合に、本発明による効果がより顕著になることができ、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成することができる。
【0050】
上記内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で画像をスキャンして測定することができる。より具体的に、スキャンされた画像において、一つの内部電極を長さ方向に等間隔の30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔の30個の地点は、容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0051】
外部電極130、140は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。外部電極130、140は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置されて、第1内部電極121及び第2内部電極122とそれぞれ連結された第1外部電極130及び第2外部電極140を含むことができる。
【0052】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極130、140を有する構造を説明しているが、外部電極130、140の個数や形状などは内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0053】
一方、外部電極130、140は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成してもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0054】
本発明の一実施形態によると、外部電極130、140は、本体110上に配置される電極層131、141を含むことができる。電極層131、141に対するより具体的な例を挙げると、電極層131、141は、導電性金属131a及びガラス131bを含む焼成電極であってもよい。
【0055】
また、電極層は、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されるか、又は焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。電極層に含まれる導電性金属として、電気伝導性に優れた材料を使用することができるが、特に限定されない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち一つ以上であってもよい。
【0056】
本発明の一実施形態によると、上記電極層131、141上に配置され、第1導電性粒子132a、第2導電性粒子132b及び樹脂132cを含む導電性樹脂層132、142を含むことができる。
【0057】
導電性樹脂層132、142は、電極層131、141及び後述する第1めっき層133,143及び第2めっき層134、144を電気的に連結させる役割を果たすことができ、積層型電子部品100を基板に実装した場合、機械的又は熱的環境で発生する引張ストレス(stress)を吸収してクラック(crack)が発生することを防止し、基板の曲げ応力から積層型電子部品100を保護する役割を果たすことができる。
【0058】
本発明の一実施形態によると、上記第1導電性粒子132aはCu粒子であり、上記第2導電性粒子132bは表面にAgが配置されたCu粒子であることができる。
【0059】
第1導電性粒子132a及び第2導電性粒子132bは、導電性樹脂層132、142内で粒子の形態で分散して電気的連結性を確保する役割を果たすことができる。上記導電性樹脂層132、142は、樹脂132cに第1導電性粒子及び第2導電性粒子が均一に分散したペーストを上記電極層131、141上に塗布して形成され、100~250℃で乾燥及び硬化工程を経て形成するため、焼成により形成する方法と異なり、第1導電性粒子132a及び第2導電性粒子132bが完全に溶融せず、粒子の形態で導電性樹脂層132、142内に存在することができる。
【0060】
上記第1導電性粒子132a及び第2導電性粒子132bは、Cu粒子の粉末に樹脂、硬化剤触媒及びその他の添加剤を混合した導電性樹脂ペーストとAg coated Cu粉末に樹脂、硬化剤触媒及びその他の添加剤を混合した導電性樹脂ペーストを混合及び分散したペーストを上記電極層131、141上に塗布して形成することができる。
【0061】
導電性樹脂層に含まれた金属粒子がCuの単独組成である従来の場合、積層型電子部品の高温、高圧の作動環境においてCuの酸化及びエポキシ樹脂の変性によるCO(Out gas)の発生を引き起こす可能性があり、積層型電子部品の優れた信頼性を確保しにくいという問題点がある。
【0062】
導電性樹脂層に含まれた金属粒子がAgの単独組成である従来の場合、導電性樹脂層の酸化を抑制し、曲げ強度を向上させることができる利点があるが、イオンマイグレーション(migration)が発生するという問題点がある。
【0063】
上記問題点を解決するために、Ag coated Cu粒子を含む導電性樹脂ペーストを用いて導電性樹脂層を形成する場合にも、Agコーティングの均一度、Agの含量に応じて、完成した積層型電子部品の導電性樹脂層内にAg粒子が一部凝縮して依然としてイオンマイグレーションが発生し得るという問題点があり、Cu粒子の粒度、含量などに応じて依然として酸化に脆弱で樹脂の変形を引き起こすという問題点がある。
【0064】
本発明の一実施形態によると、導電性樹脂層132、142は、Cu粒子である第1導電性粒子132a、表面にAgが配置されたCu粒子である第2導電性粒子132b及び樹脂132cを含むことにより、Cu粒子及びAgが表面に配置されたCu粒子を導電性樹脂層内に共存させてイオンマイグレーションの発生を抑制し、酸化及び樹脂の変性を抑制することができる。
【0065】
本発明の一実施形態によると、上記導電性樹脂層132、142は、上記第2導電性粒子132bの表面に配置されたAg以外はAgを含まなくてもよい。上述のようにAg coated Cu粉末を使用して導電性樹脂層を形成する場合にも、AgでコーティングされたCu粒子の粒度、形状、含量等に応じて、Agが導電性樹脂層132、142内で部分的に凝縮して依然としてイオンマイグレーションが発生する可能性がある。
【0066】
特に、Ag coated Cu粉末とAg粉末とを混合したり、Ag粉末とCu粉末とを混合して導電性樹脂層を形成する場合、Agは粒子の形態で導電性樹脂層内に独立的に存在するか、Ag粒子同士が凝縮してAgが密集する可能性がある。これにより、Agの濃度の高い部分が導電性樹脂層内に部分的に形成され、イオンマイグレーションが発生する可能性がある。
【0067】
これに対し、本発明の一実施形態によると、導電性樹脂層132、142が第2導電性粒子132bの表面に配置されたAg以外はAgを含まないようにすることにより、Ag粒子が導電性樹脂層132、142内に粒子の形態で独立的に存在又は密集する現象を抑制し、イオンマイグレーションの発生可能性をさらに下げることができる。
【0068】
一実施形態において、上記導電性樹脂層132、142の断面における、Cu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合は1/9以上3/7以下であってもよい。上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合が1/9未満の場合、導電性樹脂層内にAgが占める比重が十分でないため、ESR特性が向上せず、高温環境において樹脂の変性が起こる現象を抑制することができない。
【0069】
上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合が3/7を超える場合、導電性樹脂層内にAgが占める比重が過度となり、イオンマイグレーションの発生を抑制することができない。
【0070】
したがって、一実施形態では、上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合を1/9以上3/7以下に調節することで、マイグレーションの発生を抑制する効果、酸化防止効果、及び樹脂変性の抑制効果がさらに顕著になることができる。
【0071】
導電性樹脂層132、142の断面においてCu及びAgのそれぞれが占める面積及びその割合は、積層型電子部品100を幅の1/2まで研磨した後、長さ及び厚さ方向の断面(LT断面)において本体の第3及び第4面上に形成された導電性樹脂層132、142の中央部の長さ×厚さ=30μm×30μmの領域を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で観察し、EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)mappingによって分析した後、画像分析プログラム(ImageJ)を用いて算出することができる。
【0072】
具体的に、導電性樹脂層の長さ-厚さ方向の断面において、CuとAgは走査電子顕微鏡(SEM)のBSE(Back scattered electron)画像上で相対的な明暗差が生じる。したがって、上記BSE画像をピクセル(pixel)ベースで明暗及び色を相対的に比較した画像に変換し、EDS内のImageJプログラム等によってAgの面積とCuの面積を測定することにより計算することができる。
【0073】
一実施形態において、上記第1導電性粒子132aの平均粒径は、上記第2導電性粒子132bの平均粒径と異なることができる。これにより、導電性樹脂層132、142内に金属粒子の充填密度を増加させ、強度及び電気伝導性を向上させてESRを減少させることができる。
【0074】
一方、導電性樹脂層132、142内にCu及びAgがそれぞれ占める比重と第1導電性粒子132a及び第2導電性粒子132bの平均粒径は、Cu粒子粉末に樹脂、硬化剤触媒及びその他の添加剤を混合した導電性樹脂ペーストとAg coated Cu粉末に樹脂、硬化剤触媒及びその他の添加剤を混合した導電性樹脂ペーストの混合割合を異ならせたり、各粉末の粒径を異ならせることにより調節することができる。
【0075】
また、第1導電性粒子132a及び第2導電性粒子132bのそれぞれの平均粒径は、積層型電子部品100を幅の1/2まで研磨した後、長さ及び厚さ方向の断面(LT断面)において本体の第3及び第4面上に形成された導電性樹脂層132、142の中央部の長さ×厚さ=30μm×30μmの領域を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)で観察し、EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)mappingによって分析した後、画像分析プログラム(ImageJ)を用いて算出することができる。
【0076】
一実施形態において、上記導電性樹脂層132、142は低融点金属をさらに含むことができる。導電性樹脂層132、142が低融点金属を含む場合、第1導電性粒子132a及び第2導電性粒子132bの間で溶融して金属粒子間のネットワークを形成し、電気伝導性を向上させることができる。上記低融点金属は、融点が300℃以下の金属であってもよい。
【0077】
上記低融点金属は、第1導電性粒子132a及び第2導電性粒子132bに含まれるCu及び第2導電性粒子132bに含まれるAgより融点の低い金属であってもよく、好ましくは、融点が130~250℃の金属粉末であってもよく、さらに好ましくは錫(Sn)を含む金属であってもよい。上記低融点金属は、上記導電性132、142を形成するペーストに低融点金属粉末を添加して形成することができる。
【0078】
上記第1導電性粒子132aの形状及び上記第2導電性粒子132bの形状は様々であってもよい。導電性樹脂層132、142に含まれる金属粒子のうち、板状粒子の含量が増加するほど電気伝導性を向上させることができるが、充填密度が減少し、比表面積が減少して樹脂との接着力が弱くなる可能性がある。
【0079】
したがって、一実施形態において、上記第1導電性粒子及び上記第2導電性粒子の形状は、板(plate)状、フレーク(flake)状、デンドライト(dendrite)状、球状、又はこれらの混合であってもよい。これにより、第1導電性粒子132a及び第2導電性粒子132bのそれぞれを様々な形状とすることで、電気伝導性、充填密度、樹脂との接着力を向上させることができる。
【0080】
一方、上記導電性樹脂層132、142は樹脂132cを含むことができ、一実施形態において、上記樹脂132cはエポキシ樹脂を含むことができる。しかし、上記樹脂132cの種類は特に限定されず、積層型電子部品101を曲げ応力から保護できるように延性を有し、熱耐性の強い樹脂が挙げられる。例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。樹脂を用いる場合、必要に応じて架橋剤、重合開始剤などの硬化剤をさらに添加することができる。
【0081】
上記導電性樹脂層132、142上にはめっき層133、143、134、144が配置されることができる。めっき層は、外部の水分に対する抵抗性を向上させ、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層の種類は特に限定されず、Ni、Sn、Pd及びこれらの合金のうち一つ以上を含むめっき層であってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0082】
めっき層に対するより具体的な例を挙げると、めっき層は、Niめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層は、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含んでもよい。
【0083】
本発明の一実施形態によると、上記導電性樹脂層132、142上に配置され、Niを含む第1めっき層133、143を含むことができる。これにより、導電性樹脂層132、142に外部の水分が浸透することを防止することができる。
【0084】
本発明の一実施形態によると、上記第1めっき層133、143上に配置され、Snを含む第2めっき層134、144を含むことができる。これにより、基板にSnを含む半田を介して実装される場合、実装特性を向上させることができる。
【0085】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。ただし、小型化及び高容量化を同時に達成するためには、誘電体層及び内部電極の厚さを薄くして積層数を増加させなければならないため、0603(長さ×幅、0.6mm×0.3mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100において本発明による固着強度の向上効果がより顕著になることができる。
【0086】
したがって、製造誤差、外部電極のサイズ等を考慮すると、積層型電子部品100の長さが0.66mm以下、幅が0.33mm以下である場合、本発明による固着強度の向上効果がより顕著になることができる。ここで、積層型電子部品100の長さは、積層型電子部品100の第2方向の最大サイズを意味し、積層型電子部品100の幅は、積層型電子部品100の第3方向の最大サイズを意味することができる。
【0087】
(実施例)
下記の表1は、上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合を異ならせてESR特性、温度サイクル後のCOガスの発生量、イオンマイグレーションの発生レベルを測定及び評価したものである。各測定及び評価は、3225sizeの積層型電子部品のサンプルについて行った。
【0088】
上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積は、上述したように積層型電子部品100を幅の1/2まで研磨した後、長さ及び厚さ方向の断面(LT断面)において本体の第3及び第4面上に形成された導電性樹脂層132、142の中央部30μm×30μmの領域を走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)のBSE画像で観察した。その後、上記BSE画像をピクセル(pixel)ベースで明暗及び色を相対的に比較した画像に変換し、画像分析プログラム(ImageJ)を用いてAg及びCuが占める領域の各面積を測定して計算した。
【0089】
ESR特性は、各試験番号当たり200個の完成した積層型電子部品100のサンプルを基板に実装した後、初期のESR値と-55℃~+125℃(Min./Max.temperatureで各30min保持)の温度サイクル500回以降のESR値の平均値を測定した。ESR特性は、上記温度サイクル後のESR値が5.2を超える場合を不良と判定した。
【0090】
温度サイクル後のCOガスの発生量は、各試験番号当たり3つの完成した積層型電子部品100のサンプルをチャンバに入れ、Nガス雰囲気下で常温から400℃まで10℃/minの昇温速度で加熱しながら発生するCOガスの量をEGA-MS(Evolved Gas Analysis-Mass Spectrometry)によって測定した。このとき、COガスの発生量が20μgを超える場合を、樹脂に変性が生じると判断し、不良と判定した。
【0091】
イオンマイグレーションの発生レベルは、試験番号当たり10個の完成した積層型電子部品100のサンプルの外部電極にDC 20V電源を印加するwater drop testにより測定した。具体的に、電源印加後、外部電極間の本体の表面に負極から正極に成長するdendriteが観察され、両方の電極がdendriteによって繋がる瞬間に1mA以上の電流が流れる。表1のイオンマイグレーションの発生レベル評価は、両方の電極がdendriteによって連結され、1mA以上の電流が流れる時間を測定した。このとき、1mA以上の電流が流れる時間が150秒未満の場合を不良と判定した。
【0092】
【表1】
【0093】
試験番号1は、上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合が1/9未満の場合であって、導電性樹脂層内にAgが占める比重が十分でなく、ESR特性が向上せず、高温環境で樹脂の変性が起こる現象を抑制することができないことが確認できる。
【0094】
試験番号5は、上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合が3/7を超える場合であって、導電性樹脂層内にAgが占める比重が過度であり、イオンマイグレーションの発生を抑制することができないことが確認できる。
【0095】
試験番号2~4は、上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合は1/9以上3/7以下を満たす場合であって、優れたESR特性を有し、樹脂の変性によるCOガスの生成を抑制することができ、イオンマイグレーションの発生を抑制することができることが確認できる。
【0096】
したがって、一実施形態によると、上記導電性樹脂層132、142に含まれたCu元素が占める面積に対してAg元素が占める面積の割合を1/9以上3/7以下に調節することで、マイグレーションの発生を抑制する効果、酸化防止効果及び樹脂変性の抑制効果がさらに顕著になることができる。
【0097】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当該技術分野の通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0098】
また、本発明で使用された「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記に提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態で説明された事項が他の一実施形態に説明されていなかったとしても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に係る説明として理解されることができる。
【0099】
本発明で使用された用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0100】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
121、122:内部電極
112、113:カバー部
114、115:マージン部
130、140:外部電極
131、141:電極層
132、142:導電性樹脂層
133、143:第1めっき層
134、144:第2めっき層
132a:第1導電性粒子
132b:第2導電性粒子
132c:樹脂
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7