IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エーエーシー テクノロジーズ (ナンジン) カンパニーリミテッドの特許一覧

特開2023-99419リール機構及びフレキシブル銅張積層板連続巻取装置
<>
  • 特開-リール機構及びフレキシブル銅張積層板連続巻取装置 図1
  • 特開-リール機構及びフレキシブル銅張積層板連続巻取装置 図2
  • 特開-リール機構及びフレキシブル銅張積層板連続巻取装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099419
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】リール機構及びフレキシブル銅張積層板連続巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 18/10 20060101AFI20230706BHJP
   B65H 75/10 20060101ALI20230706BHJP
   B65H 75/18 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
B65H18/10
B65H75/10
B65H75/18 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022095774
(22)【出願日】2022-06-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】202123438065.9
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522237667
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ (ナンジン) カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Technologies (Nanjing) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】8th Floor, R&D Building, Emerging Industry Incubation Base, Nanda Science Park, Yuanhua road, Xianlin University Town, Qixia district, Nanjing City, Jiangsu Province, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(72)【発明者】
【氏名】パン,ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ホンユァン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イーラン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヘチー
【テーマコード(参考)】
3F055
3F058
【Fターム(参考)】
3F055AA00
3F055AA05
3F055AA10
3F055BA20
3F055DA01
3F058AA03
3F058AA04
3F058AB01
3F058AC00
3F058BB19
3F058DA04
3F058DB03
3F058DB05
3F058DB08
3F058KA01
3F058KA04
(57)【要約】
【課題】本発明は、リール機構及びフレキシブル銅張積層板の連続巻取装置を提供する。
【解決手段】リール機構は、回転ローラと回転ローラの表面に巻設される巻取ベルトとを含み、巻取ベルトは、フレキシブル銅張積層板を巻き取るために用いられ、リール機構は、巻取ベルトの回転ローラから離れる側に設けられかつ間隔をあけて設けられた第1位置制限構造及び第2位置制限構造をさらに含み、第1位置制限構造と第2位置制限構造との間の間隔は、フレキシブル銅張積層板を収容するために用いられ、第1位置制限構造及び第2位置制限構造は、巻取ベルトの表面から突出し、巻取ベルトが回転ローラに巻き取られて巻取ベルトが少なくとも2層巻設される場合、隣り合う巻取ベルト層の間は、第1位置制限構造及び第2位置制限構造によってともに隔てられる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール機構であって、
回転ローラと、前記回転ローラの表面に巻設される巻取ベルトとを含み、
前記巻取ベルトは、フレキシブル銅張積層板を巻き取るために用いられ、
前記リール機構は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に設けられかつ前記回転ローラの軸方向に間隔をあけて設けられた第1位置制限構造及び第2位置制限構造をさらに含み、
前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造は、いずれも前記巻取ベルトの長さ方向に延在しており、
前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造は、前記巻取ベルトの表面から突出し、前記第1位置制限構造と前記第2位置制限構造との間の間隔は、前記フレキシブル銅張積層板を収容するために用いられ、
前記巻取ベルトが前記回転ローラの外に少なくとも2層巻設される場合、隣り合う層となる巻取ベルト層は、前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造によってともに隔てられる、ことを特徴とするリール機構。
【請求項2】
前記第1位置制限構造は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に固定されかつ前記巻取ベルトの長さ方向に沿って配列された少なくとも2つの第1ストッパを含み、
前記第2位置制限構造は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に固定されかつ前記巻取ベルトの長さ方向に沿って配列された少なくとも2つの第2ストッパを含み、
前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれも前記巻取ベルトの表面から突出するとともに、前記第1ストッパの突出高さと前記第2ストッパの突出高さの取り得る値は、いずれも0.1cm~1cmである、ことを特徴とする請求項1に記載のリール機構。
【請求項3】
前記第1ストッパの突出高さと前記第2ストッパの突出高さとは、等しい、ことを特徴とする請求項2に記載のリール機構。
【請求項4】
前記第1ストッパの数と前記第2ストッパの数は等しく、かつ前記第1ストッパと前記第2ストッパは、それぞれ前記巻取ベルトの両側辺に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のリール機構。
【請求項5】
各前記第1ストッパは、間隔をあけて配列され、かつ隣り合う前記第1ストッパ同士の間隔は、0.05m~0.35mであり、各前記第2ストッパは、間隔をあけて配列され、かつ隣り合う前記第2ストッパ同士の間隔は、0.05m~0.35mである、ことを特徴とする請求項2に記載のリール機構。
【請求項6】
前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれも金属ストッパである、ことを特徴とする請求項2に記載のリール機構。
【請求項7】
前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれもケージナットである、ことを特徴とする請求項6に記載のリール機構。
【請求項8】
前記巻取ベルトの厚さは、5μm~550μmである、ことを特徴とする請求項1に記載のリール機構。
【請求項9】
フレキシブル銅張積層板連続巻取装置であって、
請求項1~8のいずれか一項に記載のリール機構と、前記リール機構に接続された駆動アセンブリと、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側の板面に積層して設けられるフレキシブル銅張積層板とを含み、前記駆動アセンブリが前記回転ローラに接続される、ことを特徴とするフレキシブル銅張積層板連続巻取装置。
【請求項10】
前記フレキシブル銅張積層板は、金属箔と、前記金属箔の前記巻取ベルトから離れる側に積層して設けられたフィルム層とを含み、前記フィルム層は、ポリアミド酸フィルム又は液晶ポリマーフィルムである、ことを特徴とする請求項9に記載のフレキシブル銅張積層板連続巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル銅張積層板の製造技術分野に属し、特にリール機構及びフレキシブル銅張積層板連続巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル銅張積層板(Flexible Copper Clad Laminate、FCCL)とは、一定のプロセス処理により、ポリイミドなどの絶縁材料と銅箔を接着して形成された片面又は両面銅張積層板を指すものである。フレキシブル銅張積層板は、従来の剛性銅張積層板に比べて、薄く、軽く、かつ可撓性を有するため、携帯電話、デジタルカメラ、自動車衛星方向位置決め装置、液晶テレビ、ノートパソコンなどのマイクロ電子製品に広く用いられる。
【0003】
関連技術におけるポリイミド片面フレキシブル銅張積層板の製造は、主に2種類のイミド化方式を有し、1つは高温トンネル炉を用いてオンライン連続イミド化を行うものであるが、イミド化炉の設備が高価であり、設備の納期が長く、プロセスコストが高く、国内のFCCL製造業界での使用が少なく、もう1つは片面板コイル材を巻き戻し機で巻き戻した後にオフラインイミド化を行うものであり、当該方法の設備投入が少なく、プロセスが簡単であるため、国内の多くの銅張積層板メーカーに使用されている。しかしながら、実際の応用過程において、巻き戻し機で巻き戻した片面板は、以下のような問題が発生しやすい。即ち、1、巻き戻した後、各層のピッチを制御しにくくなることによって、層と層との間に接着が発生しやすくなるか又は溶媒の揮発速度の差異が大きいため、製品に接着及び銅箔表面の酸化などの問題が発生し、製品の合格率を低下させる。2、接着剤レス片面フレキシブル銅張積層板に用いられた銅箔が薄く、そのまま巻き戻すときにその底部及び正面に他の支持体がないため、製品に皺変形が発生しやすい。3、コイル材をイミド化した後に巻き締めスリット処理を行う必要があり、巻締巻戻機のモータ周波数が一定であるため、巻き締め張力が一致しないことによってコイル材層間の折り及び層間の掻き取りを引き起こしやすく、製品の品質に深刻な影響を与える。
【0004】
したがって、上記の問題を解決するために、リール機構及びフレキシブル銅張積層板の連続巻取装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、関連技術において巻き戻し機で巻き戻した片面板が巻き戻した後に各層のピッチを制御しにくくなるという技術問題を解決できるリール機構及びフレキシブル銅張積層板連続巻取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面によれば、リール機構が提供され、当該リール機構は、回転ローラと前記回転ローラの表面に巻設される巻取ベルトとを含み、前記巻取ベルトは、フレキシブル銅張積層板を巻き取るために用いられ、前記リール機構は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に設けられかつ前記回転ローラの軸方向に間隔をあけて設けられた第1位置制限構造及び第2位置制限構造をさらに含み、前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造は、いずれも前記巻取ベルトの長さ方向に延在しており、前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造は、前記巻取ベルトの表面から突出し、前記第1位置制限構造と前記第2位置制限構造との間の間隔は、前記フレキシブル銅張積層板を収容するために用いられ、前記巻取ベルトが前記回転ローラの外に少なくとも2層巻設される場合、隣り合う層となる巻取ベルト層は、前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造によってともに隔てられる。
【0007】
好ましくは、前記第1位置制限構造は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に固定されかつ前記巻取ベルトの長さ方向に沿って配列された少なくとも2つの第1ストッパを含み、前記第2位置制限構造は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に固定されかつ前記巻取ベルトの長さ方向に沿って配列された少なくとも2つの第2ストッパを含み、前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれも前記巻取ベルトの表面から突出するとともに、前記第1ストッパの突出高さと前記第2ストッパの突出高さの取り得る値は、いずれも0.1cm~1cmである。
【0008】
好ましくは、前記第1ストッパの突出高さと前記第2ストッパの突出高さとは、等しい。
【0009】
好ましくは、前記第1ストッパの数と前記第2ストッパの数は等しく、かつ前記第1ストッパと前記第2ストッパは、それぞれ前記巻取ベルトの両側辺に設けられている。
【0010】
好ましくは、各前記第1ストッパは、間隔をあけて配列され、かつ隣り合う前記第1ストッパ同士の間隔は、0.05m~0.35mであり、各前記第2ストッパは、間隔をあけて配列され、かつ隣り合う前記第2ストッパ同士の間隔は、0.05m~0.35mである。
【0011】
好ましくは、前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれも金属ストッパである。
【0012】
好ましくは、前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれもケージナットである。
【0013】
好ましくは、前記巻取ベルトの厚さは、5μm~550μmである。
【0014】
本発明の第2局面によれば、フレキシブル銅張積層板連続巻取装置が提供され、当該フレキシブル銅張積層板連続巻取装置は、上記したようなリール機構と、前記リール機構に接続された駆動アセンブリと、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側の板面に積層して設けられるフレキシブル銅張積層板とを含み、前記駆動アセンブリが前記回転ローラに接続されている。
【0015】
好ましくは、前記フレキシブル銅張積層板は、金属箔と、前記金属箔の前記巻取ベルトから離れる側に積層して設けられたフィルム層とを含み、前記フィルム層は、ポリアミド酸フィルム又は液晶ポリマーフィルムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造が前記巻取ベルトの表面から突出するため、巻取ベルトが前記回転ローラに巻き取られて複数層の前記巻取ベルトが巻設される場合、隣り合う巻取ベルト層同士が前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造によってともに隔てられ、それによって巻取ベルトとフレキシブル銅張積層板で形成された複合コイル材の隣り合う層同士の間に同じピッチを有することができ、後続のコイル材のイミド化プロセス処理時に複合コイル材の各層の間の溶媒の揮発速度が一致することを図ることに有利となり、イミド化するときにフレキシブル銅張積層板に粘着及び銅箔表面の酸化などの問題が発生することを回避して、製品の合格率を向上させることができる。同時に、巻取ベルトとフレキシブル銅張積層板とが密着していることによって、巻取ベルトとフレキシブル銅張積層板が複合コイル材を形成する過程において張力を一定に保持させ、支持レス巻き戻し時に銅箔に皺及び変形が発生することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明におけるリール機構の全体概略図である。
図2】本発明におけるフレキシブル銅張積層板連続巻取装置の複合コイル材のフレキシブル銅張積層板を除去した左側面図である。
図3】本発明におけるフレキシブル銅張積層板の連続巻取装置の複合コイル材が開いた後の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面及び実施形態を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【0019】
図に示すように、本実施例によるフレキシブル銅張積層板連続巻取装置は、駆動アセンブリと、駆動アセンブリに接続されたリール機構と、巻取ベルト2の回転ローラ1から離れる側の板面に積層して設けられたフレキシブル銅張積層板3とを含む。
【0020】
図に示すように、本実施例において、リール機構は、回転ローラ1と回転ローラ1の表面に巻設される巻取ベルト2とを含み、巻取ベルト2は、フレキシブル銅張積層板3を巻き取るために用いられ、リール機構は、巻取ベルト2の回転ローラ1から離れる側に設置されかつ間隔をあけて設けられた第1位置制限構造4及び第2位置制限構造5をさらに含み、第1位置制限構造4と第2位置制限構造5との間の間隔は、フレキシブル銅張積層板3を収容するために用いられ、かつ第1位置制限構造4及び第2位置制限構造5は、巻取ベルト2の表面から突出し、巻取ベルト2が回転ローラ1に巻き取られて少なくとも2層の巻取ベルト2が巻設される場合、隣り合う巻取ベルト2層同士は、第1位置制限構造4及び第2位置制限構造5によってともに隔てられる。理解されるように、第1位置制限構造4及び第2位置制限構造5が巻取ベルト2の表面から突出するため、巻取ベルト2が回転ローラ1に巻き取られて少なくとも2層の巻取ベルト2が巻設される場合、隣り合う層となる巻取ベルト2が第1位置制限構造4及び第2位置制限構造5によりともに隔てられることによって、巻取ベルト2とフレキシブル銅張積層板3で形成された複合コイル材6の隣り合う層の間に同じピッチを有し、後続のコイル材のイミド化プロセス処理時に複合コイル材6の各層の間の溶媒の揮発速度の一致を図ることに有利であり、フレキシブル銅張積層板3がイミド化時に接着及び銅箔表面の酸化などの問題が発生することを回避して、製品の合格率を向上させることができる。それと同時に、巻取ベルト2とフレキシブル銅張積層板3が密着することによって、巻取ベルト2とフレキシブル銅張積層板3が複合コイル材6を形成する過程において張力を一定に保持し、支持レス巻き戻し時に銅箔に皺及び変形が発生することを回避することができる。
【0021】
図に示すように、本実施例において、第1位置制限構造4は、巻取ベルト2の回転ローラ1から離れる側に固定されかつ巻取ベルト2の長さ方向に沿って配列された少なくとも2つの第1ストッパ41を含み、第2位置制限構造5は、巻取ベルト2の回転ローラ1から離れる側に固定されかつ巻取ベルト2の長さ方向に沿って配列された少なくとも2つの第2ストッパ51を含み、第1ストッパ41と第2ストッパ51は、いずれも巻取ベルト2の表面から突出し、かつ突出高さが等しい。具体的には、巻取ベルト2には多数の第1ストッパ41及び第2ストッパ51が設けられ、各第1ストッパ41が間隔をあけて配列され、かつ隣り合う第1ストッパ41同士の間隔が0.05m~0.35mであり、各第2ストッパ51が間隔をあけて配列され、かつ隣り合う第2ストッパ51同士の間隔が0.05m~0.35mである。好ましくは、各第1ストッパ41は等間隔に配列され、各第2ストッパ51は等間隔に配列され、隣り合う第1ストッパ41同士のピッチと隣り合う第2ストッパ51同士のピッチが等しく、それによって第1ストッパ41と第2ストッパ51から複合コイル材6の各層の間に提供される支持力が均衡になり、複合コイル材6の隣り合う層の間において同じピッチを有することを確保することに有利である。隣り合う第1ストッパ41(第2ストッパ51)同士のピッチの値範囲は、0.1m~0.3mとされ、第1ストッパ41と第2ストッパ51が十分な支持力を提供できることを確保する場合、複合コイル材6の各層の間における溶媒の揮発速度を最大化に向上させることができる。そして、第1ストッパ41(第2ストッパ51)の突出高さの値範囲は、0.1cm~1cmとされ、理解されるように、第1ストッパ41(第2ストッパ51)の巻取ベルト2の表面から突出する高さが0.1cmよりも小さくなる場合、この時に複合コイル材6の隣り合う層同士のピッチは0.1cmよりも小さくなり、これによって溶媒の揮発速度が遅くなり、第1ストッパ41(第2ストッパ51)の巻取ベルト2の表面から突出する高さが1cmよりも大きくなる場合、この時に複合コイル材6の隣り合う層同士の間隔は1cmよりも大きくなり、これによってイミド化に必要な空間が大きくなり、生産効率が低下してしまい、エネルギー消費が高くなる。他の実施例において、隣り合う第1ストッパ41(第2ストッパ51)同士のピッチは、ゼロであってもよく、すなわち各第1ストッパ41(第2ストッパ51)は、長尺を構成する。
【0022】
図に示すように、本実施例において、第1ストッパ41の数と第2ストッパ51の数は等しく、かつ第1ストッパ41と第2ストッパ51は、それぞれ巻取ベルト2の両側辺に設けられている。具体的には、第1位置制限構造4における第1ストッパ41のそれぞれは、第2位置制限構造5における第2ストッパ51のそれぞれに対向して設けられ、それによってさらに第1ストッパ41と第2ストッパ51から複合コイル材6の各層の間に提供される支持力が均衡になることを確保できる。第1ストッパ41と第2ストッパ51は、それぞれ巻取ベルト2の両側辺に設けられ、それによって第1位置制限構造4と第2位置制限構造5との間の間隔を最大にすることができ、より大きいサイズのフレキシブル銅張積層板3を収容することに有利であり、異なる仕様のフレキシブル銅張積層板3に適合することができる。
【0023】
第1ストッパ41及び第2ストッパ51は、金属ストッパであり、本実施例において、第1ストッパ41及び第2ストッパ51は、いずれもケージナットである。具体的には、第1ストッパ41と第2ストッパ51は、同様であり、第1ストッパ41(第2ストッパ51)は、ステンレス材質のケージナットであってもよく、例えば、鉄、ニッケル及びクロムなどの他の耐高温(350℃~400℃)、耐食性の金属材料であってもよく、ケージナットとスクリューロッドが協働することによって、0.05cm~1.5cmの範囲内で隣り合う層となる巻取ベルト2のピッチを調整することができ、隣り合う層となる巻取ベルト2のピッチを調整することが容易である。他の実施形態において、第1ストッパ41(第2ストッパ51)が後続のイミド化プロセスにおける高温及び腐食の影響を受けないことを保証し、第1ストッパ41(第2ストッパ51)の製造材料は、実際の必要に応じて設定することができる。第1ストッパ41(第2ストッパ51)は、台形ブロック又は矩形ブロックであってもよい。
【0024】
図に示すように、本実施例において、巻取ベルト2の厚さは、5μm~550μmであり、巻取ベルト2の長さは、5m~55mである。具体的には、巻取ベルト2は、鋼帯であってもよく、フレキシブル銅張積層板3に支持力を提供することに有利である。好ましくは、巻取ベルト2の厚さは、10μm~500μmであり、巻取ベルト2の長さは、10m~50mであり、巻取ベルト2の厚さが10μmよりも小さい場合、巻取ベルト2が薄すぎるため、それに提供される支持力が小さくなり、巻取ベルト2の厚さが500μmよりも大きい場合、巻取ベルト2が厚すぎるため、それに占められる空間及び巻取張力が大きくなる。巻取ベルト2の長さが10m~50mである場合には、巻取ベルト2とフレキシブル銅張積層板3で形成される複合コイル材6の体積が大きすぎることも小さすぎることもないことを確保することができ、複合コイル材6に対してイミド化プロセスを行うことに有利である。
【0025】
図に示すように、本実施例において、駆動アセンブリは、回転ローラ1に接続され、フレキシブル銅張積層板3の回転ローラ1から離れる板面に処理対象フィルム層31が積層して設けられ、処理対象フィルム層31は、ポリアミド酸膜又は液晶ポリマーフィルムである。具体的には、駆動アセンブリは、回転ローラ1と共に巻上機を構成し、ここで駆動アセンブリは、モータを含み、モータは、回転ローラ1を回転駆動することによって、巻取ベルト2及びフレキシブル銅張積層板3を動かして連続的に巻き取ることになり、最終的に巻取ベルト2及びフレキシブル銅張積層板3で形成された複合コイル材6を形成する。フレキシブル銅張積層板3は、接着剤レス片面フレキシブル銅張積層板3であってもよく、フレキシブル銅張積層板3は、金属箔と、金属箔の前記巻取ベルト2から離れる側に積層して設けられたフィルム層31とを含み、金属箔は、例えば銅箔であってもよく、フィルム層31がPAAフィルム(ポリアミド酸フィルム)である場合、そのイミド化に必要な温度が300℃~400℃であり、処理対象のフィルム層31がLCPフィルム(液晶ポリマーフィルム)である場合、その硬化に必要な温度が200℃~300℃である。巻取ベルト2の巻取速度は、0.15m/s~0.55m/sであり、好ましくは、巻取ベルト2の巻取速度は、0.2m/s~0.5m/sであり、フレキシブル銅張積層板3を安定的に巻き取ることに有利である。理解されるように、フレキシブル銅張積層板3を巻取ベルト2に積層して設けた後にそのフィルム層31を有する側が上に位置し、その金属面が下に位置して巻取ベルト2と貼り合わせ、モータが回転ローラ1を回転駆動し、フレキシブル銅張積層板3と巻取ベルト2が複合巻き取りを行って複合コイル材6を形成し、巻き取られた複合コイル材6を高温真空オーブンに置き、プロセスに応じて半硬化接着剤レス片面フレキシブル銅張積層板3のイミド化工程を行い、その後にイミド化された複合コイル材6をリールに嵌着して巻き出しを行い、巻取ベルト2を回収して再利用し、完成品のフレキシブル銅張積層板3を巻き取り、包装して貯蔵する。
【0026】
本実施例において、生産効率及び製品品質を向上させるために、関連試験を行い、試験パラメータ及び結果は、以下の表1に示すとおりである。表1は、フレキシブル銅張積層板の連続巻取装置の関連パラメータにおける試験結果である。
【0027】
【表1】
【0028】
上述したのは、本発明の実施形態に過ぎず、当業者にとって、本発明の創造的構想を逸脱しない前提で、種々の改良も行ってもよいが、これらは、いずれも本発明の保護範囲に含まれると理解されるべきである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール機構であって、
回転ローラと、前記回転ローラの表面に巻設される巻取ベルトとを含み、
前記巻取ベルトは、フレキシブル銅張積層板を巻き取るために用いられ、
前記リール機構は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に設けられかつ前記回転ローラの軸方向に間隔をあけて設けられた第1位置制限構造及び第2位置制限構造をさらに含み、
前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造は、いずれも前記巻取ベルトの長さ方向に延在しており、
前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造は、前記巻取ベルトの表面から突出し、前記第1位置制限構造と前記第2位置制限構造との間の間隔は、前記フレキシブル銅張積層板を収容するために用いられ、
前記巻取ベルトが前記回転ローラの外に少なくとも2層巻設される場合、隣り合う層となる巻取ベルト層は、前記第1位置制限構造及び前記第2位置制限構造によってともに隔てられ
前記フレキシブル銅張積層板は、金属箔と、前記金属箔の前記巻取ベルトから離れる側に積層して設けられたフィルム層とを含み、前記フィルム層は、ポリアミド酸フィルム又は液晶ポリマーフィルムであり、
前記第1位置制限構造は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に固定され、かつ前記巻取ベルトの長さ方向に沿って配列された少なくとも2つの第1ストッパを含み、
前記第2位置制限構造は、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側に固定され、かつ前記巻取ベルトの長さ方向に沿って配列された少なくとも2つの第2ストッパを含み、
各前記第1ストッパは、間隔をあけて配列され、かつ隣り合う前記第1ストッパ同士の間隔は0.1m~0.3mであり、各前記第2ストッパは、間隔をあけて配列され、かつ隣り合う前記第2ストッパ同士の間隔は0.1m~0.3mである、ことを特徴とするリール機構。
【請求項2】
前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれも前記巻取ベルトの表面から突出するとともに、前記第1ストッパの突出高さと前記第2ストッパの突出高さの取り得る値は、いずれも0.1cm~1cmである、ことを特徴とする請求項1に記載のリール機構。
【請求項3】
前記第1ストッパの突出高さと前記第2ストッパの突出高さとは、等しい、ことを特徴とする請求項2に記載のリール機構。
【請求項4】
前記第1ストッパの数と前記第2ストッパの数は等しく、かつ前記第1ストッパと前記第2ストッパは、それぞれ前記巻取ベルトの両側辺に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載のリール機構。
【請求項5】
前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれも金属ストッパである、ことを特徴とする請求項2に記載のリール機構。
【請求項6】
前記第1ストッパと前記第2ストッパは、いずれもケージナットである、ことを特徴とする請求項に記載のリール機構。
【請求項7】
前記巻取ベルトの厚さは、5μm~550μmである、ことを特徴とする請求項1に記載のリール機構。
【請求項8】
フレキシブル銅張積層板連続巻取装置であって、
請求項1~のいずれか一項に記載のリール機構と、前記リール機構に接続された駆動アセンブリと、前記巻取ベルトの前記回転ローラから離れる側の板面に積層して設けられるフレキシブル銅張積層板とを含み、前記駆動アセンブリが前記回転ローラに接続される、ことを特徴とするフレキシブル銅張積層板連続巻取装置。