(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099434
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】ロープ移動機械及びマルチ機械移動システム
(51)【国際特許分類】
B62D 59/04 20060101AFI20230706BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
B62D59/04
B25J5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156645
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】202210000130.X
(32)【優先日】2022-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲しん▼
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707CS08
3C707HT04
3C707WA16
3C707WA23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】吸着機構を必要とせずに対象物体を鉛直又は傾斜した対象表面上を移動させることができるロープ移動機械を提供する。
【解決手段】機械本体と、機械本体に接続されるロープ機構と、表面接続機構とを備え、ロープ機構はロープ巻き取り・巻き出し機構とロープを備え、ロープ巻き取り・巻き出し機構はロープに接続され、表面接続機構はロープを対象物体に接続し、対象物体に1つ又は複数の接続点を形成し、接続点はロープにより前記機械本体の一部又は全部の重力を受け、ロープ巻き取り・巻き出し機構は接続点と機械本体との間のロープの長さを変更可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体上を移動可能な機械本体を備えるロープ移動機械であって、
機械本体に接続されるロープ機構と、表面接続機構とをさらに備え、ロープ機構はロープ巻き取り・巻き出し機構とロープを備え、ロープ巻き取り・巻き出し機構はロープに接続され、表面接続機構はロープを前記対象物体に接続し、対象物体に1つ又は複数の接続点を形成し、接続点はロープにより前記機械本体の一部又は全部の重力を受け、ロープ巻き取り・巻き出し機構は接続点と機械本体との間のロープの長さを変更可能であることを特徴とするロープ移動機械。
【請求項2】
前記表面接続機構は接着剤を用いてロープを前記対象物体に接着することを特徴とする請求項1に記載のロープ移動機械。
【請求項3】
前記表面接続機構は機械的接続を利用してロープを対象物体に接続することを特徴とする請求項1に記載のロープ移動機械。
【請求項4】
前記表面接続機構はロープを対象物体に打ち付けることを特徴とする請求項3に記載のロープ移動機械。
【請求項5】
前記表面接続機構はロープの異なる位置に固定される1つ又は複数のフックを備え、フックを対象物体に引っ掛けることにより接続点を形成することを特徴とする請求項3に記載のロープ移動機械。
【請求項6】
前記表面接続機構はロープと対象物体との接続を解除する接続解除機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のロープ移動機械。
【請求項7】
前記表面接続機構は、ロープが緊張部分と緩んだ部分となるように、ロープを係止可能なロープ係止機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のロープ移動機械。
【請求項8】
前記機械本体は、機械本体を対象物体に吸着する吸着機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のロープ移動機械。
【請求項9】
前記機械本体は、機械本体を駆動して対象物体上を移動させる移動機構を備えることを特徴とする請求項1に記載のロープ移動機械。
【請求項10】
前記表面接続機構は、ロボットアーム、接着剤吐出ヘッド、吐出ヘッドプッシュロッド、ロープ係止機構を備え、ロープ係止機構は、ロープを係止して緊張部分と緩んだ部分にするために用いられ、ロボットアームは回転軸を介して機械本体に接続され、接着剤吐出ヘッド及び吐出ヘッドプッシュロッドはロボットアームに設けられてロープの緩んだ部分を対象物体に接着することを特徴とする請求項1に記載のロープ移動機械。
【請求項11】
マルチ機械移動システムであって、
2つ以上の請求項1~10のいずれか1項に記載のロープ移動機械を備え、且つ少なくとも2つの異なるロープ移動機械は機械接続ロープを介して互いに接続され、前記機械接続ロープの長さが調整可能であることを特徴とするマルチ機械移動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着及び移動の技術分野に属し、ロープ移動機械及びマルチ機械移動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
傾斜面上を機械が移動して作業する際に、機械自体の重力の傾斜面方向の分力が機械を落下させる原因となる。傾斜面方向の重力の分力を克服するために、技術者は通常、機械に吸着機構を取り付ける。発明特許出願202111135155.2は反発力により吸着する機械車を開示する。該機械車は、ホイール型移動車体と反発力吸着機構とを備え、傾斜した、又は鉛直の壁面上を移動可能である。反発力吸着機構はホイール型移動車体に取り付けられる。反発力吸着機構は、高速回転する羽根によって反発力を発生させ、ロボットを壁面に吸着させる。車輪と壁面との間で接触力が発生し、これにより摩擦力が発生する。摩擦力はロボットの重力を克服し、ロボットに移動の駆動力を提供する。このタイプの壁面移動ロボットには以下の欠点がある。
【0003】
(1)エネルギー消費が大きいこと
反発力吸着機構は、吸着力を保持してロボットを傾斜面に吸着させるのに常にエネルギーを消費しなければならない。機械車は携帯電池を用いて給電すると、反発力吸着機構の高エネルギー消費は電池の航続時間を大幅に短縮させ、機械車は、傾斜面に長時間保持されて動作することができない。
【0004】
(2)騒音が大きいこと
反発力吸着機構の機械的運動と気流運動は高デシベルの機械的騒音と空力騒音を生成する。吸着力が大きいほど騒音が大きくなる。このようにして、機械車が傾斜面上で何らかの特殊な作業(例えば、対テロ偵察)を行うと、高デシベルの騒音が機械車の行方を暴露させてしまう。
【0005】
エネルギー消費及び騒音を低減するために、技術者はロープによって吊り上げられる高所作業機械を開発している。例えば、傾斜面の上方には、ロープ巻き取り・巻き出しを行うことができるロープリール機構が固定される。ロープの一端は作業機械に接続される。作業機械は吊り下げ方向に移動可能である。作業機械が壁面上を二次元的に移動できるようにするために、発明特許出願202110088053.3では、複数のロープによって吊り下げる方法がさらに提案される(
図1)。しかしながら、複数のロープによって吊り下げるタイプの高所作業機械には次のような欠点がある。
【0006】
(1)壁面の上方に複数のロープリール機構が固定されるため、作業フローが煩雑になり、作業の難易度が高い。
【0007】
(2)高所作業機の移動範囲はロープリール機構によって規制される。例えば、
図1には、高所作業機100の横方向の移動範囲は2つのロープリール機構400の間のみである。また、高所作業機械は1つの壁面上を移動することしかできず、直角をなす隣接する壁面を乗り越えることができない。例えば、
図1には、高所作業機械100は壁面A上のみを移動可能であり、壁面Bに移動できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、従来技術の不足に対し、クモの糸張り、糸引きの動きを模倣することによってエネルギー消費が高く、騒音が大きく、運動範囲が限られるという、従来技術(例えば、傾斜面移動ロボットなど)に通常存在している技術的課題を解決できるロープ移動機械及びマルチ機械移動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために以下の解決手段を採用する。
対象物体上を移動可能な機械本体を備えるロープ移動機械であって、機械本体に接続されるロープ機構と、表面接続機構とをさらに備え、ロープ機構はロープ巻き取り・巻き出し機構とロープを備え、ロープ巻き取り・巻き出し機構はロープに接続され、表面接続機構はロープを前記対象物体に接続し、対象物体に1つ又は複数の接続点を形成し、接続点はロープにより前記機械本体の一部又は全部の重力を受け、ロープ巻き取り・巻き出し機構は接続点と機械本体との間のロープの長さを変更可能である。
【0010】
さらに、前記表面接続機構は接着剤を用いてロープを前記対象物体に接着するようにしてもよい。
【0011】
さらに、前記表面接続機構は機械的接続を利用してロープを対象物体に接続するようにしてもよい。さらに、前記表面接続機構はロープを対象物体に打ち付けるようにしてもよい。前記表面接続機構は、ロープの異なる位置に固定される1つ又は複数のフックを備え、フックを対象物体に引っ掛けることにより接続点を形成するようにしてもよい。
【0012】
さらに、前記表面接続機構はロープと対象物体との接続を解除する接続解除機構を備えてもよい。
【0013】
さらに、前記表面接続機構は、ロープが緊張部分と緩んだ部分になるように、ロープを係止可能なロープ係止機構を備えてもよい。
【0014】
さらに、前記機械本体は、機械本体を対象物体に吸着する吸着機構を備えてもよい。
【0015】
さらに、前記機械本体は、機械本体を駆動して対象物体上を移動させる移動機構を備えてもよい。
【0016】
さらに、前記表面接続機構は、ロボットアーム、接着剤吐出ヘッド、吐出ヘッドプッシュロッド、ロープ係止機構を備え、ロープ係止機構は、ロープを係止して緊張部分と緩んだ部分にするために用いられ、ロボットアームは回転軸を介して機械本体に接続され、接着剤吐出ヘッド及び吐出ヘッドプッシュロッドはロボットアームに設けられてロープの緩んだ部分を対象物体に接着する。
【0017】
本発明のマルチ機械移動システムは、2つ以上の上記ロープ移動機械を備え、且つ少なくとも2つの異なるロープ移動機械は機械接続ロープを介して互いに接続され、前記機械接続ロープの長さが調整可能である。
【発明の効果】
【0018】
従来技術に比べ、本発明のロープ移動機械及びマルチ機械移動システムは以下の利点を有する。
【0019】
本発明のロープ移動機械は、吸着機構を必要とせずに対象物体を鉛直又は傾斜した対象表面上を移動させることができる。本発明のロープ移動機械は、吸着機構を使用しても、吸着機構が弱い吸着力を提供するだけで動作のニーズを満たすことができる。そのため、本発明のロープ移動機械は大電力の吸着機構を備えず、つまり高速の機械的運動及び気体流動が存在せず、これにより、機械的損失及び流体流動損失が発生せず、つまり機械的騒音及び空力騒音が発生せず、又は発生した機械的騒音及び空力騒音が従来技術の機械よりもはるかに低い。また、本発明のロープ移動機械は、ロープを対象物体の複数箇所に接続して複数の接続点を形成することによって、面一ではない2つの対象表面を乗り越えることができ、また、エネルギー消費がゼロの場合には、鉛直又は傾斜した対象表面に長時間保持することができる。そして、ロープ移動機械の組み合わせによりマルチ機械移動システムを形成し、対象物体上での効率的な移動を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は従来技術における解決手段の1つである。
【
図2】
図2は本発明のロープ移動機械に係る実施例1の側面構造概略図である。
【
図3】
図3は本発明のロープ移動機械に係る実施例1の正面構造概略図である。
【
図4】
図4は本発明のロープ移動機械に係る実施例1のロープ係止機構の概略図であり、
図2の平面図の一部である。
【
図5a】
図5aは実施例1に係るロープ移動機械の動作過程において、ロープ係止機構がロープを係止した後の状態概略図である。
【
図5b】
図5bは実施例1に係るロープ移動機械の動作過程において、ロボットアームの回転概略図である。
【
図5c】
図5cは本発明の実施例1に係るロープ移動機械の動作過程において、接続点を形成する状態概略図である。
【
図5d】
図5dは本発明の実施例1に係るロープ移動機械の動作過程において、吐出ヘッドプッシュロッドに増設されたロープクリップがロープを挟む概略図である。
【
図5e】
図5eは本発明の実施例1に係るロープ移動機械の動作過程において、接続点を形成した後にロープ係止機構が解放したときの状態概略図である。
【
図6】
図6は釘でロープと対象物体の表面を接続する概略図である。
【
図7】
図7は釘でロープと対象物体の表面を接続する概略図である。
【
図8a】
図8aは本発明の実施例2に係るロープ移動機械の動作過程において、ロープ移動機械が対象表面1上にある概略図である。
【
図8b】
図8bは本発明の実施例2に係るロープ移動機械の動作過程において、ロープ移動機械が対象表面2に移動する概略図である。
【
図8c】
図8cは本発明の実施例2に係るロープ移動機械の動作過程において、ロープ移動機械が対象表面2に新たな接続点を形成したときの状態概略図である。
【
図9】
図9は本発明の実施例3に係るロープ移動機械の構造概略図である。
【
図10】
図10は本発明の実施例4に係るロープ移動機械が対象表面1から対象表面2へ移動する動作概略図であって、ロボットアームの回転後の状態概略図である。
【
図11】
図11は本発明の実施例4に係るロープ移動機械が対象表面1から対象表面2へ移動する動作概略図であって、ロボットアーム2が所望の位置まで回転したときの状態概略図である。
【
図12】
図12は本発明の実施例5に係るロープ移動機械の横方向移動方法の概略図である。
【
図13】
図13は本発明の実施例6に係るマルチ機械移動システムの構造概略図である。
【
図14】
図14は本発明の実施例6に係るマルチ機械移動システムの動作概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は本発明を説明するために用いられるにすぎず、本発明を限定するものではないと理解すべきである。
【実施例0022】
本発明のロープ移動機械100は、機械本体110と、表面接続機構120と、ロープ機構130とを備える。ロープ機構130は、ロープ131とロープ巻き取り・巻き出し機構132を備える。機械本体110には、ロープを対象物体300の表面(以下、対象表面という)の1つ又は複数の箇所に接続して対象表面に1つ又は複数の接続点200を形成する表面接続機構120が取り付けられる。ロープ機構130は、機械本体110と対象物体表面上の接続点200を接続し、ロープ巻き取り・巻き出し機構132は、機械本体110と接続点200との間のロープ131の長さを変更可能である。接続点200はロープ131により機械本体110の一部又は全部の重力を受ける。
【0023】
本実施例(
図2及び
図3)では、機械本体110は、4つの駆動車輪112が取り付けられた車体111である。ロープ巻き取り・巻き出し機構132は、車体111に取り付けられたロープリール132-1である。ロープリールはシーブを内部に有し、片端がシーブに接続され、シーブを正転、逆転制御することによってロープ巻き取り・巻き出しを実現する。本実施例では、表面接続機構120は接着剤を用いてロープを対象表面に接着し、接着剤はホットメルト接着剤である。ホットメルト接着剤は、加熱されると、スプレーすることができる液状のメルト接着剤になり、冷却されると固体となり、接着力を発生させ、ロープ131と対象表面を接続することができる。表面接続機構120は、1つのロボットアーム121、ホットメルト接着剤吐出ヘッド122、吐出ヘッドプッシュロッド123、ロープ係止機構124で構成される。ロボットアーム121は、長尺状のプレートである。ロボットアーム121の一端に吐出ヘッドプッシュロッド123が設けられ、吐出ヘッドプッシュロッド123の先端にホットメルト接着剤吐出ヘッド122が設けられる。ホットメルト接着剤吐出ヘッド122は、メルト接着剤を加熱して吐出する機能を有する。ロープは、ロボットアーム121のロープ通し孔121-1に通される。ロボットアーム121の他端は、ロボットアーム回転軸121-2を介して車体111に接続される。ロボットアーム回転軸121-2はロボットアーム121を駆動して回転させることができる。表面接続機構120はロープ係止機構124をさらに備え、ロープ係止機構124はロープを係止して、ロープ131が緊張部分と緩んだ部分となるようにする。本実施例のロープ係止機構124はロープクランプ124-1である。
図4に示すように、ロープクランプ124-1は2つの回転可能なクランプ片124-2で構成され、2つのクランプ片124-2は回転可能である。2つのクランプ片124-2が開いているとき、ロープクランプ124-1はロープ131を締め付けていない。2つのクランプ片124-2が閉じられると、ロープ131がロープクランプ124-1に締め付けられる。
【0024】
本実施例のロープ移動機械は、ホットメルト接着剤を用いてロープを対象物体の表面に接着する。機械がロープによって傾斜した対象表面に吊り下げられると仮定すると、重力の作用下でロープが緊張状態にあり、
図5はロープを対象表面に接着する過程を示す。
【0025】
(1)
図5(a)に示すように、ロープクランプ124-1はロープ131を締め付ける。その後、ロープリール132-1はロープ131を巻き出す。このように、ロープクランプ124-1とロープリール132-1との間のロープは緩んだ状態にあるが、ロープクランプ124-1の上部のロープは緊張状態のままである。
【0026】
(2)
図5(b)に示すように、ロボットアーム121は所定位置まで揺動する。ロープはロボットアーム121のロープ通し孔121-1を貫通するので、ロボットアーム121はロープを引っ張ってそれを同期して回転させることができる。また、ロープクランプ124-1とロープリール132-1との間のロープは緩んだ状態にあるので、緩んだ状態のロープはロボットアーム121の回転を妨げることはない。
【0027】
(3)
図5cに示すように、吐出ヘッドプッシュロッド123が伸び、これによりホットメルト接着剤吐出ヘッド122を駆動して前へ移動させる。それと同時に、ホットメルト接着剤吐出ヘッド122は少量の高温メルト接着剤を吐出し、高温メルト接着剤はロープ通し孔121-1の先端のロープをホットメルト接着剤吐出ヘッド122の先端に接着する。続いて、吐出ヘッドプッシュロッド123が伸び続け、これによりホットメルト接着剤吐出ヘッド122が対象表面に当接する。その後、ホットメルト接着剤吐出ヘッド122は、大量の高温メルト接着剤を吐出し始める。高温メルト接着剤はロープと対象表面を接着する。十分なメルト接着剤を吐出した後、ホットメルト接着剤吐出ヘッド122はメルト接着剤の吐出を停止する。続いて、吐出ヘッドプッシュロッド123及びホットメルト接着剤吐出ヘッド122は後退し始める。高温メルト接着剤は徐々に冷却し、十分な接着力を有する接着点(すなわち接続点200)を形成する。接着点はロープを対象表面に強固に接着する。
図5dに示すように、ロープを対象表面により確実に接着するために、発明者らは吐出ヘッドプッシュロッド123の先端にロープクリップ123-1を増設してもよい。ロープクリップ123-1は、吐出ヘッドプッシュロッド123に取り付けられ、2つの移動可能なクランプ片を備える。2つのクランプ片が下へ移動すると、ロープ通し孔121-1の先端のロープが締め付けられるので、吐出ヘッドプッシュロッド123はロープを対象表面に確実に押し当てることができ、これは次の接着作業の円滑化に寄与する。
【0028】
(4)
図5(e)に示すように、ロボットアーム121は中間位置に戻る。その後、ロープクランプ124-1はロープを放す。ロープ移動機械は接着点の下方に吊り下げられる。
【0029】
本実施例では、ロープ巻き取り・巻き出し機構132は車体に取り付けられたロープリール132-1であり、ロープ巻き取り・巻き出し機構132はロープの巻き取り、巻き出しが可能な他のいずれかの構成であってもよい。
【0030】
本実施例はホットメルト接着剤を例としてロープと対象表面を接続する過程を説明した。接着剤による接着方式によってロープを対象表面に接続するという革新的な設計は、クモがクモ糸をくっつけることを模倣する生体模倣設計である。接着剤はホットメルト接着剤に限定されない。本発明の接着剤は硬化及び/又は化学反応及び/又は他の接着原理によってロープ及び対象表面と力学的接続を確立することができる。接着剤は各種のゴム糊、溶接棒、テープ、グラウト等であってもよく、いくつかの必要なステップ(例えば、本実施例のホットメルト接着剤の場合、加熱、スプレー、冷却凝固は必要なステップである)を行った後、接着剤は対象表面に接着点(すなわち接続点200)を形成することができ、接着点はロープにより機械本体110の全部又は一部の重力を受ける。
【0031】
本発明の実際の適用では、ロープを対象表面に接続し、接続点200を形成するように、対象物体300の表面状況に応じて適切な方式を選択してもよい。例えば、機械的接続の方式を採用してもよい。
図6に示すように、対象表面が木製表面又は柔らかい表面である場合、ホットメルト接着剤吐出ヘッド122及び吐出ヘッドプッシュロッド123に代えて釘打機122-1を用いてもよい。釘打機122-1は釘122-2を高速射出することができる。釘122-2は、ロープ通し孔121-1の先端のロープに当たって、ロープを伴って対象表面に当たる。このようにして、
図7に示すように、釘122-2によってロープが対象表面に固定され、接続点200が形成される。また例えば、対象表面が金網構造である場合、表面接続機構120はロープの異なる位置に固定される複数のフックを備えてもよく、ロープのフックを金網に掛けることによって接続点200が形成される。
ロープ移動機械は、第2対象表面320に新たな接着点を作製することにより横方向移動を行うとともに、ロープリールによるロープ巻き取り・巻き出しにより上下移動する。