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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099470
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
H01G4/30 201N
H01G4/30 201L
H01G4/30 515
H01G4/30 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】41
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182729
(22)【出願日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194082
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】趙 範俊
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC09
5E001AD02
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082BC33
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG28
5E082JJ03
5E082JJ23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性に優れ、サイドマージン部のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制された積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、誘電体層111を間に挟んでに交互に配置される第1内部電極121、第2内部電極122を含み、積層方向に対向する第1面、第2面と、長さ方向に対向する第1端面、第2端面と、幅方向に対向する第1側面、第2側面を含む本体110と、第1側面、第2側面に配置されるサイドマージン部114、115と、第1端面、第2端面に配置される外部電極と、を含む。サイドマージン部は、複数の第1誘電体結晶粒を含む。誘電体層は、複数の第2誘電体結晶粒を含む。サイドマージン部及び本体の第1方向及び第3方向の断面において、第1誘電体結晶粒は、短軸長さに対する長軸長さの比が3以上30以下であり、第2誘電体結晶粒は、短軸長さに対する長軸長さの比が1.5以下である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対応する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第5面及び前記第6面に配置されるサイドマージン部と、
前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極と、
を含み、
前記サイドマージン部は、複数の第1誘電体結晶粒を含み、
前記誘電体層は、複数の第2誘電体結晶粒を含み、
前記サイドマージン部及び前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記第1誘電体結晶粒は短軸長さに対する長軸長さの比が3以上30以下であり、前記第2誘電体結晶粒は短軸長さに対する長軸長さの比が1.5以下である、積層型電子部品。
【請求項2】
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の個数をNm0、前記第1誘電体結晶粒の個数をNm1とするとき、Nm1/Nm0は0.09以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記サイドマージン部に含まれた前記第1誘電体結晶粒の個数をNm1、前記第1方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒の個数をNm2とするとき、Nm2/Nm1は0.55以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1誘電体結晶粒の短軸長さは100nm以上500nm以下であり、前記第1誘電体結晶粒の長軸長さは300nm以上5000nm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第2誘電体結晶粒の短軸長さは100nm以上500nm以下であり、前記第2誘電体結晶粒の長軸長さは100nm以上500nm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSm、前記サイドマージン部に含まれた前記誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLmとするとき、Lm/Smは1.15以上2.70以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSm、前記サイドマージン部に含まれた前記誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLmとするとき、Lm/Smは1.2以上2.0以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSd、前記誘電体層に含まれた前記誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLdとするとき、Ld/Sdは1.15未満である、請求項6に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記サイドマージン部は、前記本体と隣接した第1領域及び前記積層型電子部品の外表面に隣接した第2領域を含み、
前記第1領域に含まれた第1誘電体結晶粒の個数は、前記第2領域に含まれた第1誘電体結晶粒の個数よりも少ない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記サイドマージン部は、前記本体と接する面から離れるほど、誘電体結晶粒の短軸長さの合計に対する長軸長さの合計の比が増加する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記サイドマージン部は、前記本体と隣接した第1領域及び前記積層型電子部品の外表面に隣接した第2領域を含み、
前記第1領域に含まれた第1誘電体結晶粒の個数は、前記第2領域に含まれた第1誘電体結晶粒の個数よりも多い、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記サイドマージン部は、前記本体と接する面から離れるほど誘電体結晶粒の短軸長さの合計に対する長軸長さの合計の比が減少する、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記サイドマージン部の前記第3方向の平均大きさは15μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記サイドマージン部は、前記第1方向の中央における前記第3方向の大きさに対する前記第1方向の最外郭に配置された内部電極と接する領域における前記第3方向の大きさが0.9以上1.0以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記サイドマージン部は、前記第1方向の最外郭に配置された内部電極と接する領域における前記第3方向の大きさに対する前記第1方向の最外郭の領域における前記第3方向の大きさが0.9以上1.0以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記積層型電子部品の前記第2方向の最大サイズは3.0mm以上であり、前記積層型電子部品の前記第3方向の最大サイズは2.3mm以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項17】
前記外部電極は、前記第3面に配置される第1外部電極及び前記第4面に配置される第2外部電極を含み、
前記第1内部電極は、前記第3面で前記第1外部電極と連結され、前記第5面及び前記第6面で前記サイドマージン部と連結され、
前記第2内部電極は、前記第4面で前記第2外部電極と連結され、前記第5面及び前記第6面で前記サイドマージン部と連結される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項18】
前記サイドマージン部は、球状粉末及び板状粉末を含むセラミックグリーンシートを用いて形成され、
前記球状粉末は、平均粒径が50nm以上400nm以下であり、
前記板状粉末の厚さは0.1μm以上0.5μm以下であり、面の直径は0.5μm以上5μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項19】
前記セラミックグリーンシートに含まれた前記球状粉末及び前記板状粉末の総重量に対する前記板状粉末の重量の重量割合は、0.19以上0.80以下である、請求項18に記載の積層型電子部品。
【請求項20】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第5面及び前記第6面に配置されるサイドマージン部と、
前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極と、
を含み、
前記サイドマージン部は、複数の第1誘電体結晶粒を含み、
前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記第1誘電体結晶粒は、短軸長さに対する長軸長さの比が3以上30以下であり、前記サイドマージン部に含まれた第1誘電体結晶粒の個数をNm1、前記第1方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒の個数をNm2とするとき、Nm2/Nm1は0.55以上である、積層型電子部品。
【請求項21】
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の個数をNm0、第1誘電体結晶粒の個数をNm1とするとき、Nm1/Nm0は0.09以上である、請求項20に記載の積層型電子部品。
【請求項22】
前記第1誘電体結晶粒の短軸長さは100nm以上500nm以下であり、前記第1誘電体結晶粒の長軸長さは300nm以上5000nm以下である、請求項20に記載の積層型電子部品。
【請求項23】
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSm、前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLmとするとき、Lm/Smは1.15以上2.70以下である、請求項20に記載の積層型電子部品。
【請求項24】
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSm、前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLmとするとき、
Lm/Smは1.2以上2.0以下である、請求項20に記載の積層型電子部品。
【請求項25】
前記誘電体層は、複数の第2誘電体結晶粒を含み、
前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記第2誘電体結晶粒は、短軸長さに対する長軸長さの比が1.5以下である、請求項20に記載の積層型電子部品。
【請求項26】
前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSd、前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLdとするとき、Ld/Sdは1.15未満である、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項27】
前記第2誘電体結晶粒の短軸長さは100nm以上500nm以下であり、前記第2誘電体結晶粒の長軸長さは100nm以上500nm以下である、請求項25に記載の積層型電子部品。
【請求項28】
前記誘電体層は、前記第1誘電体結晶粒を複数個含む、請求項20に記載の積層型電子部品。
【請求項29】
前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSd、前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLdとするとき、Ld/Sdは1.15以上である、請求項28に記載の積層型電子部品。
【請求項30】
前記積層型電子部品の前記第2方向の最大サイズは3.0mm以上であり、前記積層型電子部品の前記第3方向の最大サイズは2.3mm以上である、請求項20に記載の積層型電子部品。
【請求項31】
誘電体層及び前記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、前記第1方向に対向する第1面及び第2面、前記第1面及び前記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、前記第1面、前記第2面、前記第3面、及び前記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、
前記第5面及び前記第6面に配置されるサイドマージン部と、
前記第3面及び前記第4面に配置される外部電極と、
を含み、
前記サイドマージン部は、複数の第1誘電体結晶粒を含み、
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記第1誘電体結晶粒は、短軸長さに対する長軸長さの比が3以上30以下であり、
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の個数をNm0、第1誘電体結晶粒の個数をNm1とするとき、Nm1/Nm0は0.09以上である、積層型電子部品。
【請求項32】
前記サイドマージン部に含まれた第1誘電体結晶粒の個数をNm1、前記第1方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒の個数をNm2とするとき、
Nm2/Nm1は0.55以上である、請求項31に記載の積層型電子部品。
【請求項33】
前記第1誘電体結晶粒の短軸長さは100nm以上500nm以下であり、前記第1誘電体結晶粒の長軸長さは300nm以上5000nm以下である、請求項31に記載の積層型電子部品。
【請求項34】
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSm、前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLmとするとき、Lm/Smは1.15以上2.70以下である、請求項31に記載の積層型電子部品。
【請求項35】
前記サイドマージン部の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSm、前記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLmとするとき、
Lm/Smは1.2以上2.0以下である、請求項31に記載の積層型電子部品。
【請求項36】
前記誘電体層は、複数の第2誘電体結晶粒を含み、
前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記第2誘電体結晶粒は、短軸長さに対する長軸長さの比が1.5以下である、請求項31に記載の積層型電子部品。
【請求項37】
前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSd、前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLdとするとき、Ld/Sdは1.15未満である、請求項36に記載の積層型電子部品。
【請求項38】
前記第2誘電体結晶粒の短軸長さは100nm以上500nm以下であり、前記第2誘電体結晶粒の長軸長さは100nm以上500nm以下である、請求項36に記載の積層型電子部品。
【請求項39】
前記誘電体層は、前記第1誘電体結晶粒を複数個含む、請求項31に記載の積層型電子部品。
【請求項40】
前記本体の前記第1方向及び前記第3方向の断面において、
前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSd、前記誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計をLdとするとき、Ld/Sdは1.15以上である、請求項39に記載の積層型電子部品。
【請求項41】
前記積層型電子部品の前記第2方向の最大サイズは3.0mm以上であり、前記積層型電子部品の前記第3方向の最大サイズは2.3mm以上である、請求項31に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話など、様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化され、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求も増大している。
【0004】
また、最近では、自動車用電装部品に対する業界の関心が高まり、積層セラミックキャパシタも自動車やインフォテインメントシステムに用いられるために高信頼性及び高強度特性が要求されている。
【0005】
積層セラミックキャパシタの小型及び高容量化のためには、電極有効面積の最大化(容量実現に必要な有効体積分率を増加)が求められる。
【0006】
上記のような小型及び高容量積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造する際に、内部電極が本体の幅方向に露出するようにし、マージンのない設計により内部電極の幅方向の面積を最大化する。このように本体を製作した後、焼成前段階で本体の幅方向の電極露出面にサイドマージン部用セラミックグリーンシートを別途付着してから、焼結する方法が適用されている。
【0007】
サイドマージン部用セラミックグリーンシートを別途付着する方法によってサイドマージン部を形成することにより、キャパシタの単位体積当たりの容量は向上させることができるが、焼結時のサイドマージン部と本体の接合界面に応力が発生してデラミネーション(delamination)、クラック(crack)などの問題点が発生し、信頼性が低くなるおそれがある。したがって、デラミネーション(delamination)、クラック(crack)などの発生を抑制して信頼性を向上させることができる積層型電子部品に対する開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、信頼性に優れた積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明のいくつかの目的の一つは、サイドマージン部のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制された積層型電子部品を提供することである。
【0010】
但し、本発明の目的は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解されることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面、上記第2面、上記第3面、及び上記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記第5面及び上記第6面に配置されるサイドマージン部と、上記第3面及び上記第4面に配置される外部電極と、を含み、上記サイドマージン部は複数の第1誘電体結晶粒を含み、上記誘電体層は複数の第2誘電体結晶粒を含み、上記サイドマージン部及び上記本体の上記第1方向及び上記第3方向の断面において、上記第1誘電体結晶粒は短軸長さに対する長軸長さの比が3以上30以下であり、上記第2誘電体結晶粒は短軸長さに対する長軸長さの比が1.5以下であることができる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面、上記第2面、上記第3面、及び上記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記第5面及び上記第6面に配置されるサイドマージン部と、上記第3面及び上記第4面に配置される外部電極と、を含み、上記サイドマージン部は、複数の第1誘電体結晶粒を含み、上記サイドマージン部の上記第1方向及び上記第3方向の断面において、上記第1誘電体結晶粒は短軸長さに対する長軸長さの比が3以上30以下であり、上記サイドマージン部に含まれた第1誘電体結晶粒の個数をNm1、上記第1方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒の個数をNm2とするとき、Nm2/Nm1は0.55以上であることができる。
【0013】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1面及び第2面、上記第1面及び上記第2面と連結され、且つ第2方向に対向する第3面及び第4面、上記第1面、上記第2面、上記第3面、及び前記第4面と連結され、且つ第3方向に対向する第5面及び第6面を含む本体と、上記第5面及び上記第6面に配置されるサイドマージン部と、上記第3面及び上記第4面に配置される外部電極と、を含み、上記サイドマージン部は、複数の第1誘電体結晶粒を含み、上記サイドマージン部の上記第1方向及び上記第3方向の断面において、上記第1誘電体結晶粒は、短軸長さに対する長軸長さの比が3以上30以下であり、上記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の個数をNm0、第1誘電体結晶粒の個数をNm1とするとき、Nm1/Nm0は0.09以上であることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の様々な効果の一つは、サイドマージン部が複数の第1誘電体結晶粒を含むことで、サイドマージン部の収縮挙動を制御してサイドマージン部のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制させたものである。
【0015】
また、本発明の様々な効果の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させたものである。
【0016】
また、本発明の様々な目的の一つは、単位体積当たりの容量を向上させたものである。
【0017】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面である。
図2図1の積層型電子部品における外部電極を除いて示した斜視図である。
図3図1の積層型電子部品における外部電極及びサイドマージン部を除いて示した斜視図である。
図4図1のI-I’線に沿った断面図である。
図5図1のII-II’線に沿った断面図である。
図6図5のP領域を拡大した図面である。
図7】第1誘電体結晶粒を示した図面である。
図8】第2誘電体結晶粒を示した図面である。
図9】複数の第1誘電体結晶粒及び複数の第2誘電体結晶粒が混合された領域において、第1誘電体結晶粒が第1方向に整列されたことを示した図面である。
図10】複数の第2誘電体結晶粒を示した図面である。
図11】複数の第1誘電体結晶粒及び複数の第2誘電体結晶粒が混合された領域において、第1誘電体結晶粒が第3方向に整列されたことを示した図面である。
図12図6のPm領域を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いてスキャンしたイメージである。
図13】比較例及び発明例の体積収縮率を示したグラフである。
図14】比較例及び発明例のxy収縮率及びz収縮率を示したグラフである。
図15図1の変形例に係る積層型電子部品のII-II’線に沿った断面図である。
図16図15のP’領域を拡大した図面である。
図17】球状粉末を撮影した写真である。
図18】板状粉末を撮影した写真である。
図19】サイドマージン部用セラミックグリーンシートの斜視図である。
図20】球状粉末及び板状粉末を含むセラミックグリーンシートの断面を撮影した写真である。
図21a】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
図21b】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
図21c】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
図21d】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示した斜視図である。
図21e】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
図21f】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0020】
そして、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、図面において示された各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜のために任意で示したため、本発明が必ずしも図示によって限定されるものではない。また、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を付与して説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0021】
図面において、第1方向は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0022】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示した図面であり、図2は、図1の積層型電子部品における外部電極を除いて示した斜視図であり、図3は、図1の積層型電子部品における外部電極及びサイドマージン部を除いて示した斜視図であり、図4は、図1のI-I’線に沿った断面図であり、図5は、図1のII-II’線に沿った断面図であり、図6は、図5のP領域を拡大した図面である。
【0023】
以下、図1図6を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100について説明する。
【0024】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111及び上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、上記第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1面から第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記第5及び第6面に配置されるサイドマージン部114、115と、上記第3及び第4面に配置される外部電極131、132と、を含み、上記サイドマージン部114、115は、複数の第1誘電体結晶粒G1を含み、上記サイドマージン部の第1及び第3方向の断面において、上記第1誘電体結晶粒は短軸長さに対する長軸長さの比が3以上30以下であることができる。
【0025】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されていることができる。
【0026】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図示のように本体110は六面体状またはこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮によって、本体110は完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0027】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0028】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0029】
本発明の一実施形態に係ると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0030】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO)などのパウダーに本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0031】
一方、誘電体層111の平均厚さtdは特に限定する必要はない。例えば、誘電体層111の平均厚さtdは、0.2μm以上10μm以下であることができる。
【0032】
上記誘電体層111の平均厚さtdは、上記第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0033】
誘電体層111の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージの1つの誘電体層を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の誘電体層に拡張して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0034】
内部電極121、122は、互いに異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対とすることができる。本体110の内部に配置された複数個の内部電極121、122は、本体の第3面3または第4面4に一端が露出することがある。
【0035】
第1及び第2内部電極121、122は、誘電体層111を間に挟んで第1方向に交互に配置されることができる。
【0036】
第1内部電極121の一端は第3面3に露出し、第2内部電極122の一端は第4面4に露出することがある。第1内部電極121の他端は第4面4から離隔して配置され、第2内部電極122の他端は第3面3から離隔して配置されることができる。
【0037】
本体の第3面3及び第4面4には、外部電極131、132が配置されて内部電極121、122と連結されることができる。
【0038】
図3を参照すると、誘電体層111に第1内部電極121が形成されている。上記第1内部電極121は、誘電体層の長さ方向に対しては全体的に形成されない。すなわち、第1内部電極121の一端は第3面3まで形成されて第3面3に露出し、第1内部電極121の他端は本体110の第4面4から所定の間隔を空けて形成されることができる。
【0039】
本体110の第3面3に露出した第1内部電極121の端部は、第1外部電極131と連結されることができる。第1内部電極とは逆に、第2内部電極122の一端は第4面4に露出して第2外部電極132と連結され、第2内部電極122の他端は第3面3から所定の間隔を空けて形成されることができる。
【0040】
内部電極121、122は、高容量積層型電子部品の実現のために400層以上積層されることができるが、必ずしもこれに制限されるものではない。
【0041】
内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0042】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0043】
一方、内部電極121、122の平均厚さteは特に限定する必要はない。例えば、内部電極121、122の平均厚さteは、0.2μm以上3μm以下であることができる。
【0044】
上記内部電極121、122の平均厚さteは、内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。
【0045】
内部電極121、122の平均厚さは、本体110の長さ及び厚さ方向(L-T)の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)を用いてイメージをスキャンして測定することができる。より具体的には、スキャンされたイメージの1つの内部電極を長さ方向に等間隔である30個の地点でその厚さを測定して平均値を測定することができる。上記等間隔である30個の地点は、容量形成部Acで指定されることができる。また、このような平均値測定を10個の内部電極に拡張して平均値を測定すると、内部電極の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0046】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0047】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0048】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0049】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0050】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は内部電極を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。
【0051】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミック材料を含むことができる。
【0052】
一方、カバー部112、113の平均厚さは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させるために、カバー部112、113の平均厚さは15μm以下であることができる。本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115が複数の第1誘電体結晶粒を含むことによってサイドマージン部114、115のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制させることができるため、カバー部112、113の平均厚さが15μm以下である場合にも優れた信頼性を確保することができる。
【0053】
カバー部112、113の平均厚さは第1方向の大きさを意味することができ、容量形成部Acの上部または下部で等間隔の5個の地点で測定したカバー部112、113の第1方向の大きさを平均した値であることができる。
【0054】
本体110の第5及び第6面にはサイドマージン部114、115が配置される。
【0055】
サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114及び第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。すなわち、サイドマージン部114、115は、本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0056】
サイドマージン部114、115は、第5及び第6面で内部電極121、122と連結されることができる。
【0057】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0058】
サイドマージン部114、115は、本体110の第5及び第6面に別途のサイドマージン部用セラミックグリーンシートを付着して形成されたものであることができ、容量形成部Acの第3方向の両端面(end surfaces)に1つ以上のサイドマージン部用セラミックグリーンシートを第3方向(幅方向)に積層して形成されたものであることができる。
【0059】
サイドマージン部114、115は、複数の第1誘電体結晶粒G1を含むことができ、第1誘電体結晶粒G1は、短軸長さSxに対する長軸長さLxの比Lx/Sxが3以上30以下であることができる。但し、サイドマージン部114、115が第1誘電体結晶粒のみからなることを意味するのではなく、サイドマージン部114、115は第1誘電体結晶粒G1の以外に他の誘電体結晶粒も含むことができる。
【0060】
小型及び高容量の積層セラミックキャパシタを実現するために、積層セラミックキャパシタを製造するにおいて、内部電極が本体の幅方向に露出することで、マージンのない設計によって内部電極の幅方向の面積を最大化するが、焼結前段階で本体の幅方向の内部電極露出面にサイドマージン部用セラミックグリーンシートを別途付着してから、焼結する方法が適用されている。
【0061】
サイドマージン部用セラミックグリーンシートを別途付着する方法により、キャパシタの単位体積当たりの容量は向上させることができるが、焼結時のサイドマージン部と本体の接合界面に応力が発生し、デラミネーション(delamination)、クラック(crack)などの問題点が発生する可能性があり、信頼性が低くなるおそれがある。
【0062】
サイドマージン部114、115と本体110の接合界面に応力が発生する主な原因は、サイドマージン部114、115と本体110の収縮挙動の相違によるものと見なすことができる。
【0063】
図2を参照すると、サイドマージン部114、115の第1及び第2方向の収縮が抑制されてこそ、サイドマージン部114、115と本体110の接合界面に応力が発生することを最小化することができる。サイドマージン部用セラミックグリーンシートは、厚さが薄い板状を有し、板の厚さ方向をz方向、板の長さ及び幅方向をxy方向とするとき、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを本体110の第5及び第6面に第3方向に付着する場合、図2の第3方向はサイドマージン部用セラミックグリーンシートのz方向に対応し、図2の第1及び第2方向はサイドマージン部用セラミックグリーンシートのxy方向に対応するようになる。したがって、サイドマージン部用セラミックグリーンシートのxy方向の収縮率を抑制してこそ、サイドマージン部114、115の第1及び第2方向の収縮を抑制することができ、サイドマージン部114、115と本体110の接合界面に応力が発生することを最小限に抑えることができる。
【0064】
本発明の一実施形態によるサイドマージン部114、115が複数の第1誘電体結晶粒G1を含む場合、焼結時のサイドマージン部114、115の第1及び第2方向の収縮が抑制されたと判断することができ、焼結時のサイドマージン部114、115の第1及び第2方向の収縮が抑制されることでサイドマージン部114、115のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制することができる。
【0065】
一方、サイドマージン部に複数の第1誘電体結晶粒G1を含ませる方法は、特に限定する必要はない。例えば、板状粉末を含むサイドマージン部用セラミックグリーンシートを用いてサイドマージン部を形成することによって複数の第1誘電体結晶粒G1をサイドマージン部に含ませることができる。サイドマージン部用セラミックグリーンシートの成形過程で板状粉末は狭いスロットを抜け出してキャリアフィルムに塗布されるときに、サイドマージン部用セラミックグリーンシートのxy方向に整列されるようになる。この後、サイドマージン部用セラミックグリーンシートを焼結する際に、xy方向に整列された板状粉末の機械的な収縮挙動の抑制効果と粉末間の接点減少によってサイドマージン部用セラミックグリーンシートは焼結時のxy方向の収縮挙動が抑制され、z方向に主に収縮されることができる。
【0066】
サイドマージン部114、115の第1及び第3方向の断面において、第1誘電体結晶粒G1は、短軸長さSxに対する長軸長さLxの比Lx/Sxが3以上30以下であることができる。
【0067】
Lx/Sxが3未満である場合には、焼結時のサイドマージン部114、115が第1方向に収縮することを抑制する効果が不十分であり、焼結時のサイドマージン部114、115の第1方向の収縮率が本体110の第1方向の収縮率よりも大きくなることがあるため、サイドマージン部と本体の接合界面に応力が発生してデラミネーション(delamination)、クラック(crack)などの問題点が発生することがある。
【0068】
一方、Lx/Sxが30超過である場合には、第1方向の収縮抑制効果が過度であることから、焼結時のサイドマージン部114、115の第1方向の収縮率が本体110の第1方向の収縮率よりも小さくなることがあり、サイドマージン部114、115と本体110間の収縮率の差が却って大きくなるおそれがある。
【0069】
図7は、第1誘電体結晶粒G1を示した図面である。図7を参照すると、第1誘電体結晶粒G1の中心xを通りながら第1誘電体結晶粒G1内で最大長さを有する直線を第1誘電体結晶粒G1の長軸とすることができ、上記長軸の長さをLxとすることができる。また、第1誘電体結晶粒G1の中心xで上記長軸に直交する直線を第1誘電体結晶粒G1の短軸とすることができ、上記短軸の長さをSxとすることができる。ここで、第1誘電体結晶粒G1の中心xは、第1及び第3方向の断面で観察される第1誘電体結晶粒G1の重心を意味することができる。
【0070】
第1誘電体結晶粒G1の短軸長さに対する長軸長さの比Lx/Sxは、積層型電子部品100を本体110の第2方向の中央位置まで研磨して第1及び第3方向の断面(W-T断面)を露出させた後、露出した断面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、光学顕微鏡(Optical microscope)を用いて観察した画像から測定したものであることができる。
【0071】
一方、上述した第1誘電体結晶粒G1の短軸長さ及び長軸長さを測定する方法は、サイドマージン部及び誘電体層に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さ及び長軸長さを測定する場合にも同様に適用されることができる。例えば、第2誘電体結晶粒G2を示した図8のように、第2誘電体結晶粒G2の中心x’を通って第2誘電体結晶粒G2内で最大長さを有する直線を第2誘電体結晶粒G1の長軸とすることができ、上記長軸の長さをLx’とすることができる。また、第2誘電体結晶粒G2の中心x’において上記長軸に直交する直線を第2誘電体結晶粒G2の短軸とすることができ、上記短軸の長さをSx’とすることができる。ここで、第2誘電体結晶粒G2の中心x’は、第1及び第3方向の断面で観察される第2誘電体結晶粒G1の重心を意味することができる。
【0072】
一実施形態において、サイドマージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒の個数をNm0、第1誘電体結晶粒G1の個数をNm1とするとき、Nm1/Nm0は0.09以上であることができる。
【0073】
Nm1/Nm0が0.09未満である場合には、焼結時のサイドマージン部の第1方向の収縮抑制効果が不十分であるおそれがある。したがって、Nm1/Nm0は0.09以上であることが好ましく、より好ましくは0.11以上であることができる。
【0074】
一方、Nm1/Nm0の上限は特に限定する必要はないが、好ましくはNm1/Nm0が0.65以下であることができる。Nm1/Nm0が0.65超過で第1誘電体結晶粒G1の個数が多すぎる場合、第1方向の収縮抑制効果が過度であって、却ってサイドマージン部と本体の接合界面での応力が増加するおそれがあり、または比表面積の減少による焼結駆動力不足によって緻密な焼結が行われないことがある。より好ましくは、Nm1/Nm0は0.55以下であり、より好ましくは0.45以下であることができる。
【0075】
一実施形態において、サイドマージン部114、115に含まれた第1誘電体結晶粒G1の個数をNm1、第1方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒G1の個数をNm2とするとき、Nm2/Nm1は0.55以上であることができる。より好ましくは、Nm2/Nm1は0.6以上であり、より好ましくは0.7以上であることができる。
【0076】
図9は、複数の第1誘電体結晶粒G1及び複数の第2結晶粒G2が混合された領域において、第1誘電体結晶粒G1が第1方向に整列されたことを示した図面である。第1誘電体結晶粒G1の長軸が第1方向となす角度が45度以下に配置される場合、第1誘電体結晶粒G1が第1方向に整列されたものと見なすことができ、この場合、焼結時のサイドマージン部114、115が第1方向に収縮することを抑制する効果がより顕著になることがある。したがって、図6のPm領域は、図9に示した形態の誘電体結晶粒を含むことができる。また、図12は、図6のPm領域を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いてスキャンしたイメージとして、第1誘電体結晶粒G1の長軸が第1方向となす角度が45度以下に配置されたことを確認することができる。
【0077】
一方、Nm2/Nm1の値が1に近いほど、それぞれの第1誘電体結晶粒による第1方向の収縮抑制効果が向上することができるため、Nm2/Nm1の上限は特に限定する必要はない。但し、Nm2/Nm1を0.9超過に制御するためには別途の工程が必要であるか、製造時間が増加するおそれがあるため、そのNm2/Nm1は0.9以下であることができる。
【0078】
サイドマージン部114、115に含まれた誘電体結晶粒の個数Nm0、第1誘電体結晶粒の個数Nm1、及び第1方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒の個数Nm2は、積層型電子部品100を本体110の第2方向の中央位置まで研磨して第1及び第3方向の断面(W-T断面)を露出させた後、露出した断面でサイドマージン部の第1方向の中央に該当する領域を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて3000倍率以上で観察した画像から測定したものであることができる。
【0079】
観察領域を特に限定する必要はないが、散布及び測定時間を考慮すると、50μm×50μm以上300μm×300μm以下の領域で観察することが好ましい。また、本体110を第2方向に等間隔を有する5個の地点で第1及び第3方向に切断した断面(W-T断面)でNm0、Nm1及びNm2の値を求めた後、各値を平均した値をNm0、Nm1及びNm2とすることで、Nm0、Nm1及びNm2をさらに一般化することができる。
【0080】
第1誘電体結晶粒G1の短軸長さSx及び長軸長さLxは特に限定する必要はない。但し、誘電体結晶粒の形状が収縮率に及ぼす影響よりは小さいことがあるが、誘電体結晶粒の大きさも収縮率に影響を及ぼすことができるため、第1誘電体結晶粒の短軸長さSxは100nm以上500nm以下であり、長軸長さLxは、300nm以上5000nm以下であることが好ましい。
【0081】
一実施形態において、上記サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSm、長軸長さの合計をLmとするとき、Lm/Smは1.15以上2.70以下であることができる。より好ましくは、Lm/Smは1.2以上2.0以下であることができる。
【0082】
Lm/Smが1.15未満である場合、焼結時のサイドマージン部114、115が第1方向に収縮することを抑制する効果が不十分であり、焼結時のサイドマージン部の第1方向の収縮率が本体の第1方向の収縮率よりも大きくなる可能性があるため、サイドマージン部と本体の接合界面に応力が発生し、デラミネーション(delamination)、クラック(crack)などの問題点が発生する可能性がある。したがって、Lm/Smは1.15以上であることが好ましく、より好ましくはLm/Smは1.2以上であることができる。
【0083】
一方、Lm/Smが2.70超過である場合には、第1方向の収縮抑制効果が過度であり、焼結時のサイドマージン部の第1方向の収縮率が本体の第1方向の収縮率よりも小さくなることがあり、サイドマージン部と本体間の収縮率の差が却って大きくなるおそれがある。したがって、Lm/Smは2.70以下であることが好ましく、より好ましくはLm/Smは2.0以下であることができる。
【0084】
Lm及びSmは、積層型電子部品100を本体110の第2方向の中央位置まで研磨して第1及び第3方向の断面(W-T断面)を露出させた後、露出した断面でサイドマージン部の第1方向の中央に該当する領域を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて3000倍率以上で観察した画像から測定したものであることができる。
【0085】
観察領域を特に限定する必要はないが、散布及び測定時間を考慮すると、50μm×50μm以上300μm×300μm以下の領域で観察することが好ましい。また、本体110を第2方向に等間隔を有する5個の地点で第1及び第3方向に切断した断面(W-T断面)でLm及びSmの値を求めた後、各値を平均した値をLm及びSmとすることで、Lm及びSmをさらに一般化することができる。
【0086】
サイドマージン部114、115を形成する方法は特に限定しないが、後述するように、サイドマージン部114、115は、球状粉末及び板状粉末を含むサイドマージン部用セラミックグリーンシートを用いて形成されることができる。サイドマージン部114、115を形成する方法に関する詳細な内容は後述する。
【0087】
一方、サイドマージン部114、115の第3方向の大きさは特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品100の積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させるために、マージン部114、115の第3方向の平均大きさは15μm以下であることができる。本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115が複数の第1誘電体結晶粒を含むことによって、サイドマージン部114、115のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制させることができるため、サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさが15μm以下である場合にも優れた信頼性を確保することができる。
【0088】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさの下限は特に限定しない。但し、サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさが2μm未満である場合には、第5及び第6面に露出する内部電極121、122のショートを防止し難い場合があるため、サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさの下限は2μmであることができる。
【0089】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均大きさは、容量形成部Acと接する領域で等間隔の5個の地点で測定したサイドマージン部114、115の第3方向の大きさを平均した値であることができる。
【0090】
本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115が従来とは違ってサイドマージン部用セラミックグリーンシートを本体110の側面に付着して形成されるため、サイドマージン部114、115の位置別の第3方向の大きさが一定することができる。
【0091】
すなわち、従来にはサイドマージン部をセラミックスラリーを塗布または印刷する方式で形成したため、サイドマージン部の位置別の厚さのばらつきが激しかった。
【0092】
具体的には、従来の場合には、サイドマージン部114、115は、第1方向の中央における第3方向の大きさtc1がサイドマージン部の他の領域の第3方向の大きさに比べて厚く形成された。
【0093】
例えば、従来の場合、サイドマージン部114、115は、第1方向の中央における第3方向の大きさtc1に対して第1方向の最外郭に配置された内部電極121、122と接する領域における第3方向の大きさtc2の比tc2/tc1が0.9未満程度として、そのばらつきが大きかった。
【0094】
このようにサイドマージン部の位置別の厚さのばらつきが大きい従来の場合、同一サイズの積層型電子部品においてサイドマージン部が占める部分が大きいため、容量形成部のサイズを大きく確保することができないため、高容量の確保に困難がある。
【0095】
一方、本発明の一実施形態によると、サイドマージン部114、115は、第1方向の中央における第3方向の大きさtc1に対して第1方向の最外郭に配置された内部電極121、122と接する領域における第3方向の大きさtc2の比tc2/tc1が0.9以上1.0以下であるため、サイドマージン部114、115の第3方向の大きさを小さくすることができ、容量形成部Acのサイズを大きく確保することができる。
【0096】
本発明の一実施形態において、従来と異なってセラミックグリーンシートを本体の側面に付着して形成するため、サイドマージン部114、115の位置別の第3方向の大きさが一定であることができ、高容量の積層型電子部品の実現が容易であることができる。
【0097】
また、サイドマージン部114、115は、第1方向の最外郭に配置された内部電極と接する領域における第3方向の大きさtc2に対して第1方向の最外郭領域における第3方向の大きさtc3の比tc3/tc2が0.9以上1.0以下であることができる。上記特徴により、サイドマージン部114、115の領域別の第3方向の大きさのばらつきが少なくて、容量形成部Acのサイズを大きく確保することができ、これによって高容量の積層型電子部品の実現が可能である。
【0098】
以下、誘電体層111に含まれた結晶粒について具体的な例を説明する。但し、サイドマージン部114、115とは異なって、誘電体層111に含まれた誘電体結晶粒は特に限定する必要はなく、確保しようとするキャパシタンス(capacitance)、絶縁抵抗などを考慮して設計することができる。
【0099】
誘電体層111は、複数の第2誘電体結晶粒G2を含むことができる。
【0100】
図6において、誘電体層111のPd領域は、図10に示したように、複数の第2誘電体結晶粒G2を含むことができ、第2誘電体結晶粒G2は短軸長さSx’に対する長軸長さLx’の比Lx’/Sx’が1.5以下であることができる。一般的な球状粉末を用いて誘電体層を形成する場合、ほとんどの誘電体結晶粒は第2誘電体結晶粒G2のような形態であることができる。また、Lx’/Sx’の下限は1.0として短軸長さと長軸長さが同じである場合も第2誘電体結晶粒G2に該当する。
【0101】
一方、第2誘電体結晶粒G2の短軸長さSx’及び長軸長さLx’は特に限定する必要はない。例えば、第2誘電体結晶粒G2の短軸長さSx’は100nm以上500nm以下であり、長軸長さLx’は100nm以上500nm以下であることができる。
【0102】
一実施形態において、誘電体層111に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計をSd、長軸長さの合計をLdとするとき、Ld/Sdは1.15未満であることができる。一般的な球状粉末を用いて誘電体層を形成する場合、ほとんどの誘電体結晶粒は、第2誘電体結晶粒G2のような形態であることができる。
【0103】
但し、本発明の誘電体層111が第2誘電体結晶粒のみを含むものに限定する必要はない。一実施形態において、誘電体層111も複数の第1誘電体結晶粒G1を含むことができる。また、誘電体層111が複数の第1誘電体結晶粒を含むことによって、Ld/Sdが1.5以上であることができる。
【0104】
図6において、誘電体層111のPd領域は、図11に示したように、複数の第1誘電体結晶粒G1及び複数の第2誘電体結晶粒G2が混合された領域であり、第1誘電体結晶粒G1は、短軸長さSxに対する長軸長さLxの比Lx/Sxは、3以上30以下であることができる。誘電体層111が複数の第1の結晶粒G1を含むことによって、誘電体層111に含まれた全体誘電体結晶粒の個数は減少しつつ、誘電体層111の厚さ当たりに配置される誘電体結晶粒の数は類似した水準で維持することができ、高電界でも誘電率の減少を抑制することができる。
【0105】
このとき、誘電体層111に含まれた第1誘電体結晶粒の個数は特に限定する必要はない。例えば、誘電体層111に含まれた誘電体結晶粒の個数をNd0、第1誘電体結晶粒G1の個数をNd1とするとき、Nd1/Nd0は0.15以上であることができる。
【0106】
サイドマージン部114、115に含まれた第1誘電体結晶粒は主に第1方向に整列された形態を有するが、誘電体層111に含まれた第1誘電体結晶粒G1は第3方向に整列された形態であることができる。具体的には、誘電体層111に含まれた第1誘電体結晶粒G1の個数をNd1、第3方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒G1の個数をNd2とするとき、Nd2/Nd1は0.55以上であることができる。
【0107】
図11は、第1誘電体結晶粒G1が第3方向に整列されたことを示した図面である。第1誘電体結晶粒G1の長軸が第3方向となす角度が45度以下に配置される場合、第1誘電体結晶粒G1が第3方向に整列されたものと見なされ、この場合、高電界で誘電率の減少を抑制する効果がより顕著になることができる。
【0108】
一方、Nd2/Nd1の値が1に近いほど、それぞれの第1誘電体結晶粒による高電界で誘電率の減少を抑制する効果が向上することができるため、Nd2/Nd1の上限は特に限定する必要はない。
【0109】
一方、誘電体層111に含まれた誘電体結晶粒の個数Nd0、第1誘電体結晶粒の個数Nd1、及び第3方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒の個数Nd2は、積層型電子部品100を本体110の第2方向の中央位置まで研磨して第1及び第3方向の断面(W-T断面)を露出させた後、露出した断面で容量形成部Acの中央に該当する領域を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて3000倍率以上で観察した画像から測定したものであることができる。
【0110】
観察領域を特に限定する必要はないが、散布及び測定時間を考慮すると、50μm×50μm以上300μm×300μm以下の領域で観察することが好ましい。また、本体110を第2方向に等間隔を有する5個の地点で第1及び第3方向に切断した断面(W-T断面)でNd0、Nd1及びNd2の値を求めた後、各値を平均した値をNd0、Nd1及びNd2とすることで、Nd0、Nd1及びNd2をさらに一般化することができる。
【0111】
外部電極131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0112】
外部電極131、132は、本体110の第3面3に配置され、第1内部電極121と連結される第1外部電極131及び本体110の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結される第2外部電極132を含むことができる。このとき、第1内部電極121は、第3面で第1外部電極131と連結され、第5及び第6面でサイドマージン部114、115と連結され、第2内部電極122は第4面で第2外部電極と連結され、第5及び第6面でサイドマージン部114、115と連結されることができる。
【0113】
本実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造を説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは内部電極121、122の形態や他の目的に応じて変わることができる。
【0114】
また、外部電極131、132は、サイドマージン部114、115の一部を覆う形態で配置されることができる。例えば、サイドマージン部114、115の第2方向の両端面を一部覆う形態で配置されることができる。また、図1に示したように、サイドマージン部114、115の第2方向の両端面を全て覆い、サイドマージン部114、115の第1及び第3方向の端面の一部を覆うように延長して配置されることもできる。
【0115】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような材料を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。
【0116】
図4を参照して、外部電極131、132の多層構造に対する例を挙げると、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a、上記電極層131a、132a上に配置された導電性樹脂層131b、132b及び上記導電性樹脂層131b、132b上に配置されためっき層131c、132cを含むことができる。
【0117】
但し、これに限定されるものではなく、外部電極は電極層131a、132a及び上記電極層131a、132a上に配置されためっき層を含む2層構造を有することができる。
【0118】
電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であることができる。また、電極層131a、132aは、本体上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されることもできる。また、第1及び第2電極層131a、132aは、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング(Sputtering)工法などを用いて形成されることもできる。
【0119】
電極層131a、132aに用いられる導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択された1つ以上を含むことができる。
【0120】
導電性樹脂層131b、132bは、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であることができる。
【0121】
導電性樹脂層131b、132bに用いられる導電性金属は、静電容量形成のために上記内部電極と電気的に連結されることができる材質であれば特に制限されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)、及びこれらの合金からなる群から選択された1つ以上を含むことができる。
【0122】
めっき層131c、132cは、実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0123】
めっき層131c、132cの種類は特に限定されず、Cu、Ni、Sn、Ag、Au、Pd及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数の層で形成されることができる。
【0124】
めっき層131c、132cに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131c、132cは、Niめっき層またはSnめっき層で一層形態を有することができ、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができ、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次形成された形態であることができる。また、めっき層131c、132cは、複数のNiめっき層及び/または複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0125】
積層型電子部品100のサイズは特に限定する必要はない。
【0126】
但し、積層型電子部品100のサイズが大きくなると、サイドマージン部と本体が接する面積が大きくなり、接する面積が大きくなるほど焼結時にサイドマージン部と本体の接合界面で発生する応力は徐々に増加するようになる。したがって、サイドマージン部が複数の第1誘電体結晶粒を含まない場合、積層型電子部品100のサイズが大きくなるほどデラミネーション、クラックなどの発生が顕著になることがある。
【0127】
一方、本発明によると、サイドマージン部114、115が複数の第1誘電体結晶粒を含ませてサイドマージン部の収縮挙動を制御することで、デラミネーション、クラックなどの発生を抑制させることができるため、積層型電子部品100のサイズが大きくなっても効果的にデラミネーション、クラックなどの発生を抑制させることができる。
【0128】
特に、積層型電子部品100のサイズが3225(長さ×幅、3.2mm×2.5mm)以上である場合、本発明によるデラミネーション、クラックなどの発生を抑制させる効果がより顕著になることができる。したがって、製造誤差、外部電極サイズなどを考慮すると、積層型電子部品100の第2方向の最大サイズが3.0mm以上であり、第3方向の最大サイズが2.3mm以上である場合、本発明による信頼性の向上効果がより顕著になることができる。
【0129】
図15図1の変形例に係る積層型電子部品のII-II’線に沿った断面図である。図16は、図15のP’領域を拡大した図面である。
【0130】
図15及び図16を参照すると、サイドマージン部114’、115’は、本体110と隣接した第1領域114a’、115a’及び上記積層型電子部品の外表面に隣接した第2領域114b、115bを含み、第1領域114a’、115a’に含まれた第1誘電体結晶粒G1の個数は、第2領域114b’、115b’に含まれた第1誘電体結晶粒G1の個数よりも少ないことがある。
【0131】
本体110に隣接した領域である第1領域114a’、115a’に第1誘電体結晶粒G1を多数配置して、本体110とサイドマージン部114’、115’間の応力発生を最小化することができ、本体110とサイドマージン部114’、115’間の界面に発生する応力に影響力が少ない第2領域114b’、115b’には、第1誘電体結晶粒G1を最小に配置することができる。
【0132】
このとき、第2領域114b’、115b’の場合、第1誘電体結晶粒G1を含まないことができ、第1領域114a’、115a’はサイドマージン部用セラミックグリーンシートを用いて形成し、第2領域114b’、115b’は、誘電体層111を形成するためのセラミックグリーンシートを用いて形成することができる。したがって、図16のPm1領域は、図9に示した形態の誘電体結晶粒を含むことができ、図16のPm2領域は、図10に示した形態の誘電体結晶粒を含むことができる。
【0133】
また、サイドマージン部114’、115’は、上記本体と接する面から離れるほど、サイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の短軸長さの合計に対する長軸長さの合計の比が増加する形態を有することができ、これによって少ない数の第1誘電体結晶粒で本体とサイドマージン部との間の界面に発生する応力を最小限に抑えることができる。
【0134】
但し、上述した形態でサイドマージン部を制限する必要はなく、本体の第1方向の収縮率を考慮して、第1領域114a’、115a’に含まれた第1誘電体結晶粒の個数が第2領域114b’、115b’に含まれた第1誘電体結晶粒の個数よりも多い形態を有することもできる。また、サイドマージン部114’、115’は、上記本体と接する面から離れるほど誘電体結晶粒の短軸長さの合計に対する長軸長さの合計の比が減少する形態を有することもできる。
【0135】
積層型電子部品の製造方法
図17は、球状粉末を撮影した写真であり、図18は、板状粉末を撮影した写真であり、図19は、球状粉末及び板状粉末を含むセラミックグリーンシートの断面を撮影した写真であり、図21a~21fは、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法を概略的に示した断面図及び斜視図である。
【0136】
以下、図17図19図21a~21fを参照して、本発明の一実施形態である積層型電子部品の製造方法について詳細に説明する。
【0137】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の製造方法は、複数個の第1内部電極パターンが所定の間隔を空けて形成された第1セラミックグリーンシート及び複数個の第2内部電極パターンが所定の間隔を空けて形成された第2セラミックグリーンシートを設ける段階と、上記第1内部電極パターンと上記第2内部電極パターンが交差するように上記第1セラミックグリーンシートと上記第2セラミックグリーンシートを積層してセラミックグリーンシート積層本体を形成する段階と、上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が幅方向に露出した側面を有するように上記セラミックグリーンシート積層本体を切断して積層本体を得る段階と、上記積層本体の上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面にサイドマージン部用セラミックグリーンシートを付着する段階と、上記サイドマージン部用セラミックグリーンシートが付着された積層本体を焼成する段階と、上記焼成後に還元雰囲気で熱処理する段階と、上記還元雰囲気で熱処理された積層本体に外部電極を形成する段階と、を含むことができる。
【0138】
サイドマージン部用セラミックグリーンシート214は、球状粉末及び板状粉末を含むことができる。
【0139】
図17を参照すると、球状粉末は完全な球状ではないが、ほぼ球に近い形態を有することができる。球状粉末の平均粒径は50nm以上400nm以下であることができる。
【0140】
図18を参照すると、板状粉末は完全な平面ではないが、実質的に平坦な面と薄い厚さを有する粉末を意味することができる。板状粉末の厚さは0.1μm以上0.5μm以下であることができ、面の直径は0.5μm以上5μm以下であることができる。板状粉末の厚さ及び面の直径を上記範囲に制御することによって、サイドマージン部の第1方向の収縮率を制御してサイドマージン部のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制することができ、短軸長さは100nm以上500nm以下であり、長軸長さは300nm以上5000nm以下である第1誘電体結晶粒G1を容易に形成することができる。
【0141】
サイドマージン部用セラミックグリーンシート214は、球状粉末、板状粉末を原料粉末として、バインダー及びエタノールなどの有機溶媒を添加し、湿式混合してスラリーを設けた後、スラリーを狭いスリットを介してキャリアフィルム上に塗布及び乾燥して製造することができる。
【0142】
図19を参照すると、サイドマージン部用セラミックグリーンシートは、厚さが薄い板状を有し、板の厚さ方向をz方向、板の長さ及び幅方向をxy方向とすることができ、板状粉末は狭いスロットを抜け出してキャリアフィルム上に塗布されるとき、サイドマージン部用セラミックグリーンシートのxy方向に整列されることができる。図20は、図19のサイドマージン部用セラミックグリーンシートをIII-III’に沿った断面(z方向及びy方向の断面)をSEMを用いて観察した画像である。板状粉末がxy方向に整列されたことを確認することができる。サイドマージン部用セラミックグリーンシートを焼結する際に、xy方向に整列された板状粉末の機械的な収縮挙動の抑制効果と粉末間の接点減少によってサイドマージン部用セラミックグリーンシートは焼結時にxy方向の収縮挙動が抑制され、z方向に主に収縮することがある。サイドマージン部用セラミックグリーンシートのz方向はサイドマージン部114、115の第3方向に対応し、x方向またはy方向がサイドマージン部114、115の第1方向に対応するようになるため、サイドマージン部の第1方向の収縮率を抑制してサイドマージン部のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制することができる。
【0143】
図13は、比較例及び発明例の焼結温度による体積収縮率を示したグラフであり、図14は、比較例及び発明例の焼結温度によるxy収縮率及びz収縮率を示したグラフである。ここで、比較例は、球状粉末を含み、板状粉末を含まないセラミックグリーンシートであり、発明例は、球状粉末及び板状粉末の総重量に対する板状粉末の重量の比が0.3であるセラミックグリーンシートである。体積収縮率の場合、比較例と発明例が類似した値を有するが、図14のようにxy収縮率及びz収縮率を別々に測定した場合、xy収縮率は発明例が比較例に比べて顕著に低く、z収縮率は発明例が比較例に比べて顕著に高いことが確認できる。したがって、セラミックグリーンシートが板状粉末を含む場合、焼結時のxy方向の収縮率が抑制され、z方向の収縮率が増加することを確認することができる。
【0144】
一実施形態において、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに含まれた球状粉末及び板状粉末の総重量(Ma)に対する板状粉末の重量(Mb)の比(Mb/Ma)は、0.19以上0.80以下であることができる。すなわち、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに含まれた板状粉末の重量(Mb)を球状粉末及び板状粉末の総重量(Ma)で割った値が0.19以上0.80以下であることができる。
【0145】
これにより、サイドマージン部114、115の第1方向の収縮率を抑制してサイドマージン部114、115のデラミネーション、クラックなどの発生を抑制することができ、サイドマージン部114、115が図9に示した形態の誘電体結晶粒を含むことができる。
【0146】
サイドマージン部114、115のデラミネーション、クラックなどの発生をさらに抑制するために、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに含まれた球状粉末及び板状粉末の総重量に対する板状粉末の重量の比(Mb/Ma)は0.25以上0.70以下であることができる。
【0147】
球状粉末及び板状粉末は、高い誘電率を有する物質として十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料またはチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末の例示として、BaTiO、BaTiOにCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCa)TiO(0<x<1)、Ba(Ti1-yCa)O(0<y<1)、(Ba1-xCa)(Ti1-yZr)O(0<x<1、0<y<1)またはBa(Ti1-yZr)O(0<y<1)などが挙げられる。
【0148】
誘電体層を形成するためのセラミックグリーンシート211は球状粉末を含むことができる。サイドマージン部用セラミックグリーンシート214に含まれた球状粉末と同じ球状粉末を用いることができるが、これに制限されるものではない。セラミックグリーンシート211が主に球状粉末を含む場合、誘電体層111は、図10に示した形態の誘電体結晶粒を含むことができる。
【0149】
但し、誘電体層を形成するためのセラミックグリーンシート211として上述したサイドマージン部用セラミックグリーンシート214を用いることも可能であり、この場合、誘電体層111は図11に示した形態の誘電体結晶粒を含むことができる。
【0150】
図21aに示したように、セラミックグリーンシート211上に所定の間隔を空けて複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221を形成する。上記複数個のストライト状の第1内部電極パターン221は、互いに平行に形成されることができる。
【0151】
ストライプ状の第1内部電極パターン221は、導電性金属を含む内部電極ペーストによって形成されることができる。上記導電性金属はこれに制限されるものではないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上であることができる。
【0152】
上記セラミックグリーンシート211上にストライプ状の第1内部電極パターン221を形成する方法は特に制限されないが、例えば、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などの印刷法によって形成されることができる。
【0153】
また、図示されてはいないが、また別のセラミックグリーンシート211上に所定の間隔を空けて複数個のストライプ状の第2内部電極パターン222を形成することができる。
【0154】
以下、第1内部電極パターン221が形成されたセラミックグリーンシートは、第1セラミックグリーンシートと称することができ、第2内部電極パターン222が形成されたセラミックグリーンシートは、第2セラミックグリーンシートと称することができる。
【0155】
次に、図21bに示したように、ストライプ状の第1内部電極パターン221とストライプ状の第2内部電極パターン222が交差積層されるように第1及び第2セラミックグリーンシートを交互に積層することができる。
【0156】
この後、上記ストライプ状の第1内部電極パターン221は第1内部電極121となり、ストライプ状の第2内部電極パターン222は第2内部電極122となる。
【0157】
このとき、積層型電子部品の誘電体層及び内部電極の厚さを制御するために、第1及び第2セラミックグリーンシートの厚さtd’、第1及び第2内部電極パターンの厚さte’を制御することができる。
【0158】
図21cは、本発明の一実施形態による第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層本体220を示した断面図であり、図21dは、第1及び第2セラミックグリーンシートが積層されたセラミックグリーンシート積層本体220を示した斜視図である。
【0159】
図21c及び図21dを参照すると、複数個の平行なストライプ状の第1内部電極パターン221が印刷された第1セラミックグリーンシートと、複数個の平行なストライプ状の第2内部電極パターン222が印刷された第2セラミックグリーンシートは互いに交互に積層されている。
【0160】
より具体的には、第1セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第1内部電極パターン221の中央部と第2セラミックグリーンシートに印刷されたストライプ状の第2内部電極パターン222との間隔が重なるように積層されることができる。
【0161】
次に、図21dに示したように、上記セラミックグリーンシート積層本体220は、複数個のストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222を横切るように切断されることができる。すなわち、上記セラミックグリーンシート積層本体210は、互いに直交するC1-C1及びC2-C2の切断線に沿って切断された積層本体210になることができる。
【0162】
より具体的には、ストライプ状の第1内部電極パターン221及びストライプ状の第2内部電極パターン222は長さ方向に切断されて一定の幅を有する複数個の内部電極に分割されることができる。このとき、積層されたセラミックグリーンシートも内部電極パターンと共に切断される。これによって、誘電体層は内部電極の幅と同じ幅を有するように形成されることができる。
【0163】
また、C2-C2切断線に沿って個別的な本体サイズに合わせて切断することができる。すなわち、第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成する前に棒状積層体をC2-C2切断線に沿って個別的な本体サイズに切断して複数個の積層本体210を形成することができる。
【0164】
すなわち、重なる第1内部電極の中心部と第2内部電極との間に形成された所定の間隔が同一の切断線によって切断されるように棒状積層体を切断することができる。これにより、第1内部電極及び第2内部電極の一端は切断面に交互に露出することがある。
【0165】
この後、積層本体210の第1及び第2内部電極パターンがすべて露出した第1及び第2側面に第1サイドマージン部及び第2サイドマージン部を形成することができる。積層本体210の第1及び第2側面は、本体110の第5及び第6面に対応する。
【0166】
次に、図21eに示したように、上記積層本体210の上記第1内部電極パターンと第2内部電極パターンの末端が露出した側面にサイドマージン部用セラミックグリーンシート214を付着することができる。
【0167】
上記積層本体210の第1側面にサイドマージン部用セラミックグリーンシート214を付着して第1サイドマージン部を形成することができ、この後、上記積層本体220の第2側面にサイドマージン部用セラミックグリーンシート214を付着して第2サイドマージン部を形成することができる。
【0168】
具体的には、第1サイドマージン部の形成方法は、サイドマージン部用セラミックグリーンシート214をラバー材質のパンチング弾性材300の上部に配置する。
【0169】
次に、上記積層本体210の第1側面が上記サイドマージン部用セラミックグリーンシート214と向かい合うように上記積層本体210を90度回転した後、上記積層本体210を上記サイドマージン部用セラミックグリーンシート214に加圧密着させる。
【0170】
上記積層本体210を上記サイドマージン部用セラミックグリーンシート214に加圧密着させて、サイドマージン部用セラミックグリーンシート214を上記積層本体210に転写する場合、上記ラバー材質のパンチング弾性材300によって、上記サイドマージン部用セラミックグリーンシート214は上記積層本体210の側面角部まで形成され、残りの部分は切断することができる。
【0171】
図21fでは、サイドマージン部用セラミックグリーンシート214が上記積層本体210の側面角部まで形成されたことを示している。
【0172】
この後、上記積層本体210を180度回転させて、上述した工程を繰り返すことで積層本体210の第2側面に第2サイドマージン部を形成することができる。
【0173】
次に、上記サイドマージン部用セラミックグリーンシートが付着された積層本体210を焼成することができる。焼成が終わった後冷却して、還元雰囲気で熱処理を行うことができる。
【0174】
この後、上記第1内部電極が露出した本体の第3側面と上記第2内部電極が露出した本体の第4側面にそれぞれ外部電極を形成することができる。積層本体210の第3及び第4側面は、本体110の第3及び第4面に対応する。
【0175】
外部電極を形成する方法は特に限定されず、導電性金属及びガラスを含むペーストにディッピングする方法を用いることができ、導電性金属を含んだシートを転写する方式で形成されることもできる。また、導電性金属及び樹脂を含むペーストを用いたり、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition、ALD)工法、分子層蒸着(Molecular Layer Deposition、MLD)工法、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition、CVD)工法、スパッタリング(Sputtering)工法などを用いて外部電極を形成することもできる。この後、めっき工程を行ってめっき層を形成することができる。
【0176】
(実施例)
サイドマージン部に含まれた第1誘電体結晶粒によるクラック発生抑制の効果を確認するために、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに含まれた板状粉末の割合を調節してサンプルチップを製作した。一方、誘電体層は球状粉末を含み、板状粉末は含まないセラミックグリーンシートを用いて形成し、サンプルチップのサイズは3225(長さ×幅×厚さ:3.2mm×2.5mm×2.5mm)であった。
【0177】
下記表1において、Mb/Maは、サイドマージン部用セラミックグリーンシートに含まれた球状粉末及び板状粉末の総重量(Ma)に対する板状粉末の重量(Mb)の比を意味する。
【0178】
また、サンプルチップについてLm/Sm、Nm1/Nm0、Nm2/Nm1及びクラック発生率を測定し、下記表1に記載した。
【0179】
Lm/Smはサイドマージン部に含まれた誘電体結晶粒の長軸長さの合計(Lm)を短軸長さの合計(Sm)で割った値であり、Nm1/Nm0はサイドマージン部に含まれた第1誘電体結晶粒の個数(Nm1)を誘電体結晶粒の個数(Nm0)で割った値であり、Nm2/Nm1は、第1方向と長軸がなす角度が45度以下である第1誘電体結晶粒の個数(Nm2)をNm1で割った値である。ここで、第1誘電体結晶粒は、短軸長さ(Sx)に対する長軸長さ(Lx)の比(Lx/Sx)が3以上30以下である誘電体結晶粒を意味する。
【0180】
Lm/Sm、Nm1/Nm0、Nm2/Nm1は、各サンプルチップを第2方向の中央位置まで研磨して第1及び第3方向の断面(W-T断面)を露出させた後、露出した断面でサイドマージン部の第1方向の中央に位置した50μm×50μm領域に含まれた誘電体結晶粒を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて測定したものである。
【0181】
クラック発生率は、各試験番号につき400個のサンプルを用意し、サンプルチップについて評価した。各サンプルチップを第2方向(長さ方向)に沿ってサンプルチップの第2方向の中央位置まで研磨しながらチップ長さ(L)の5分の1、5分の2、5分の3(中央)の地点で第1及び第3方向の断面(W-T断面)をそれぞれ露出させた後、サイドマージン部とセラミック本体の界面を観察し、露出した断面でクラックの長さが5μm以上である場合、クラックが発生したと判断し、400個のうちクラックが発生したサンプルチップの割合を記載した。
【0182】
【表1】
【0183】
試験番号1及び2の場合、Lm/Smが1.15未満としてクラック発生率が22.5%と高いのに対し、Lm/Smが1.15である試験番号3は、クラック発生率が7.5%として試験番号2に比べてクラック発生率が顕著に減ったことが確認できる。試験番号1及び2は、第1誘電体結晶粒の個数が非常に少なく、第1方向に整列された第1誘電体結晶粒の割合も非常に小さい。
【0184】
試験番号11及び12の場合、Lm/Smが2.70超過としてクラック発生率が15.0%と高いのに対し、Lm/Smが2.56である試験番号10の場合、クラック発生率が5.0%として試験番号11に比べてクラック発生率が顕著に減ったことが確認できる。
【0185】
試験番号3~10は、本発明の一実施例で提示するLm/Smの範囲である1.15以上2.7以下を満たすことによって、クラック発生率が顕著に減ったことが確認できる。
【0186】
特に、試験番号5~9の場合、Lm/Smが1.21~1.88の値を有し、400個のサンプルのうちクラックが発生したサンプルが一つもないと評価され、クラック抑制効果が非常に優れた。
【0187】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0188】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 サイドマージン部
121、122 内部電極
131、132 外部電極
G1 第1誘電体結晶粒
G2 第2誘電体結晶粒
図1
図2
図3
図4
図5
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図21b
図21c
図21d
図21e
図21f