(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099478
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】ハイブリッド自動車及びハイブリッド自動車の音響入出力支援方法
(51)【国際特許分類】
B60W 20/17 20160101AFI20230706BHJP
B60K 6/442 20071001ALI20230706BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20230706BHJP
B60W 20/40 20160101ALI20230706BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20230706BHJP
【FI】
B60W20/17
B60K6/442 ZHV
B60W10/06 900
B60W20/40
B60L50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192837
(22)【出願日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194669
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 眞 謙
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA02
3D202BB00
3D202BB05
3D202BB06
3D202BB08
3D202DD01
3D202DD04
3D202DD24
3D202EE25
3D202EE26
3D202FF06
3D202FF12
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA00
5H125BD17
5H125CA02
5H125CA09
5H125CD02
5H125EE31
5H125EE42
(57)【要約】
【課題】音声命令入力の際、認識率を向上させ、音響ガイド出力の際、運転者が容易に認識することができるようにパワートレーンの騷音を制御することができるハイブリッド自動車及びそのための音響入出力支援方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施例によるハイブリッド自動車の音響入出力支援方法は、音響入出力機能に対する第1条件及び室内騷音度に対する第2条件を満たすかを判断する段階と、前記第1条件及び前記第2条件が満たされれば、現在走行モードに基づいてエンジンオフ状態の誘導による騷音低減制御を遂行する段階と、を含むことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響入出力機能に対する第1条件及び室内騷音度に対する第2条件を満たすかを判断する段階と、
前記第1条件及び前記第2条件が満たされれば、現在走行モードに基づいてエンジンオフ状態の誘導による騷音低減制御を遂行する段階と、を含むことを特徴とする、ハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項2】
前記第1条件は、音響案内の出力開始及び音声命令の入力開始のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項3】
前記第2条件は、前記室内騷音度が既設定の基準騷音度より大きい場合を含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項4】
前記現在走行モードがEVモードの場合、前記騷音低減制御を遂行する段階は、
HEVシリーズモードへの遷移禁止制御及びモード転換基準トルクの上昇のうちの少なくとも一つを遂行する段階を含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項5】
前記現在走行モードがHEVモードの場合、前記騷音低減制御を遂行する段階は、
運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きければ、前記HEVモードを維持する段階と、
前記運転者要求トルクが前記EVモード最大トルク以下であれば、EVモードに遷移する段階と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項6】
モード転換基準トルクを上昇させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項7】
前記現在走行モードがHEVモードの場合、前記騷音低減制御を遂行する段階は、
エンジン騷音が主騒音源であるかを判断する段階を含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項8】
前記騷音低減制御を行う段階は、
前記エンジン騷音が前記主騒音源であると判断し、運転者要求トルクがEVモード最大トルク以下であれば、EVモードに遷移する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項9】
前記騷音低減制御を行う段階は、
前記エンジン騷音が前記主騒音源であると判断し、運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きいか、または前記エンジン騷音が前記主騒音源ではないと判断すれば、前記HEVモードを維持する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項10】
前記エンジン騷音が前記主騒音源であるかを判断する段階は、
エンジン運転毎に室内流入エンジン音が定義されたテーブルと現在のエンジン運転の騒音を比較する段階と、
前記比較の結果と前記室内騷音度とを比較する段階と、を含むことを特徴とする、請求項7に記載のハイブリッド自動車の音響入出力支援方法。
【請求項11】
エンジンと、
モーターと、
音響入出力機能に対する第1条件及び室内騷音度に対する第2条件を満たすかを判断し、前記第1条件及び前記第2条件が満たされれば、現在走行モードに基づいて前記エンジンのオフ状態の誘導による騷音低減制御を遂行する制御器と、を含むことを特徴とする、ハイブリッド自動車。
【請求項12】
前記第1条件は、音響案内の出力開始及び音声命令の入力開始のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする、請求項11に記載のハイブリッド自動車。
【請求項13】
前記第2条件は、前記室内騷音度が既設定の基準騷音度より大きい場合を含むことを特徴とする、請求項11に記載のハイブリッド自動車。
【請求項14】
前記制御器は、前記現在走行モードがEVモードの場合、HEVシリーズモードへの遷移禁止制御及びモード転換基準トルクの上昇のうちの少なくとも一つを遂行することを特徴とする、請求項11に記載のハイブリッド自動車。
【請求項15】
前記制御器は、前記現在走行モードがHEVモードの場合、運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きければ、前記HEVモードを維持し、前記運転者要求トルクが前記EVモード最大トルク以下であれば、EVモードに遷移するように制御することを特徴とする、請求項11に記載のハイブリッド自動車。
【請求項16】
前記制御器は、前記第1条件及び前記第2条件が満たされれば、モード転換基準トルクを上昇させることを特徴とする、請求項15に記載のハイブリッド自動車。
【請求項17】
前記制御器は、前記現在走行モードがHEVモードの場合、エンジン騷音が主騒音源であるかを判断することを特徴とする、請求項11に記載のハイブリッド自動車。
【請求項18】
前記制御器は、前記エンジン騷音が前記主騒音源であると判断し、運転者要求トルクがEVモード最大トルク以下であれば、EVモードに遷移するように制御することを特徴とする、請求項17に記載のハイブリッド自動車。
【請求項19】
前記制御器は、前記エンジン騷音が前記主騒音源であると判断し、運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きいか、または前記エンジン騷音が前記主騒音源ではないと判断すれば、前記HEVモードを維持することを特徴とする、請求項17に記載のハイブリッド自動車。
【請求項20】
前記制御器は、エンジン運転毎に室内流入エンジン音が定義されたテーブルと現在のエンジン運転の騒音を比較し、前記比較の結果と前記室内騷音度とを比較して前記エンジン騷音が前記主騒音源であるかを判断することを特徴とする、請求項17に記載のハイブリッド自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声命令入力の際、認識率を向上させ、音響ガイド出力の際、運転者が容易に認識することができるようにパワートレーンの騷音を制御することができるハイブリッド自動車及びそのための音響入出力支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、車両には音声を用いた入出力機能が活発に適用されている。例えば、ナビゲーションシステムに運転者の音声で目的地を入力し、道案内の際にターンバイターン案内を音声で出力することができる。ところが、車両の環境は、走行中に持続的にパワートレーンによる騷音が発生し、路面騷音はもちろんのこと、周辺騷音も室内に流入する。よって、室内で音声入出力の機能を使うにあたり、騷音によって運転者の発言に対する認識率が低下することがあり、運転者も車両から出力される音声案内を認知しにくくなることがある問題点がある。特に、音声命令を入力する方式は、物理的な操作による命令入力に比べて運転者の注意分散防止効果が優れていることが一般的であるが、音声認識率が落ちれば、反復的な音声命令の入力及びその結果を確認する過程でむしろ運転者の注意を分散させることになってもっと問題になる。
【0003】
一方、最近、環境に対する関心が高くなるのに伴い、電気モーターを動力源として備えた環境に優しい車両が増加している趨勢である。環境に優しい車両は電動化車両とも言い、代表的な例としては、電気車(EV:Electric Vehicle)及びハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)を挙げることができる。このうち、ハイブリッド自動車は、EVモードで走行する場合、駆動源のうち電気モーターのみが動作するので、自体発生騷音が少ないが、エンジンの駆動中にはエンジン音が室内に流入してパワートレーンによる音声の入出力に対する阻害要素がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、音声入出力に関連した機能が使われるとき、車両騷音を効果的に制御することができるハイブリッド自動車及びそのための音響入出力支援方法を提供することである。
本発明で達成しようとする技術的課題は以上で言及した技術的課題に限定されず、言及しなかった他の技術的課題は下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例によるハイブリッド自動車の音響入出力支援方法は、音響入出力機能に対する第1条件及び室内騷音度に対する第2条件を満たすかを判断する段階と、前記第1条件及び前記第2条件が満たされれば、現在走行モードに基づいてエンジンオフ状態の誘導による騷音低減制御を遂行する段階とを含むことができる。
【0007】
例えば、前記第1条件は、音響案内の出力開始及び音声命令の入力開始のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0008】
例えば、前記第2条件は、前記室内騷音度が既設定の基準騷音度より大きい場合を含むことができる。
【0009】
例えば、前記現在走行モードがEVモードの場合、前記騷音低減制御を遂行する段階は、HEVシリーズモードへの遷移禁止制御及びモード転換基準トルクの上昇のうちの少なくとも一つを遂行する段階を含むことができる。
【0010】
例えば、前記現在走行モードがHEVモードの場合、前記騷音低減制御を遂行する段階は、運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きければ、前記HEVモードを維持する段階と、前記運転者要求トルクが前記EVモード最大トルク以下であれば、EVモードに遷移する段階とを含むことができる。
【0011】
例えば、前記方法は、前記第1条件及び前記第2条件が満たされれば、モード転換基準トルクを上昇させる段階をさらに含むことができる。
【0012】
例えば、前記現在走行モードがHEVモードの場合、前記騷音低減制御を遂行する段階は、エンジン騷音が主騒音源であるかを判断する段階を含むことができる。
【0013】
例えば、前記騷音低減制御を行う段階は、前記エンジン騷音が前記主騒音源であると判断し、運転者要求トルクがEVモード最大トルク以下であれば、EVモードに遷移する段階をさらに含むことができる。
【0014】
例えば、前記騷音低減制御を行う段階は、前記エンジン騷音が前記主騒音源であると判断し、運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きいか、または前記エンジン騷音が前記主騒音源ではないと判断すれば、前記HEVモードを維持する段階をさらに含むことができる。
【0015】
例えば、前記エンジン騷音が前記主騒音源であるかを判断する段階は、エンジン運転毎に室内流入エンジン音が定義されたテーブルと現在のエンジン運転の騒音を比較する段階と、前記比較の結果と前記室内騷音度とを比較する段階とを含むことができる。
【0016】
また、本発明の一実施例によるハイブリッド自動車は、エンジンと、モーターと、音響入出力機能に対する第1条件及び室内騷音度に対する第2条件を満たすかを判断し、前記第1条件及び前記第2条件が満たされれば、現在走行モードに基づいて前記エンジンのオフ状態の誘導による騷音低減制御を遂行する制御器とを含むことができる。
【0017】
例えば、前記第1条件は、音響案内の出力開始及び音声命令の入力開始のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0018】
例えば、前記第2条件は、前記室内騷音度が既設定の基準騷音度より大きい場合を含むことができる。
【0019】
例えば、前記制御器は、前記現在走行モードがEVモードの場合、HEVシリーズモードへの遷移禁止制御及びモード転換基準トルクの上昇のうちの少なくとも一つを遂行することができる。
【0020】
例えば、前記制御器は、前記現在走行モードがHEVモードの場合、運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きければ、前記HEVモードを維持し、前記運転者要求トルクが前記EVモード最大トルク以下であれば、EVモードに遷移するように制御することができる。
【0021】
例えば、前記制御器は、前記第1条件及び前記第2条件が満たされれば、モード転換基準トルクを上昇させることができる。
【0022】
例えば、前記制御器は、前記現在走行モードがHEVモードの場合、エンジン騷音が主騒音源であるかを判断することができる。
【0023】
例えば、前記制御器は、前記エンジン騷音が前記主騒音源であると判断し、運転者要求トルクがEVモード最大トルク以下であれば、EVモードに遷移するように制御することができる。
【0024】
例えば、前記制御器は、前記エンジン騷音が前記主騒音源であると判断し、運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きいか、または前記エンジン騷音が前記主騒音源ではないと判断すれば、前記HEVモードを維持することができる。
【0025】
例えば、前記制御器は、エンジン運転毎に室内流入エンジン音が定義されたテーブルと現在のエンジン運転の騒音を比較し、前記比較の結果と前記室内騷音度とを比較して前記エンジン騷音が前記主騒音源であるかを判断することができる。
【発明の効果】
【0026】
上述したような本発明の多様な実施例によれば、ハイブリッド自動車において音響入出力機能の使用の際、パワートレーン制御によって車両で発生する騷音を低減することで、車両では音声命令の認識率が向上し、運転者は車両から出力される音声案内を認知しやすくなる。
本発明によって得られる効果は以上で言及した効果に限定されず、言及しなかった他の効果は下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施例に適用可能なハイブリッド自動車のパワートレーンの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例によるハイブリッド車両の制御系統の構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による音響入出力支援制御器の構成の一例を示す図である。
【
図4】一実施例によるEVライン調整を遂行する形態の一例を示す図である。
【
図5】一実施例による音響入出力支援過程の一例を示す図である。
【
図6】他の実施例による音響入出力支援過程の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例による警告情報を出力する形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本明細書に開示する実施例を詳細に説明するにあたり、図面番号に関係なく、同一または類似の構成要素は同じ参照符号を付与し、これについての重複説明は省略する。以下の説明で使う構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は明細書作成の容易性を考慮して付与するか混用するものであり、それ自体として互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本明細書に開示する実施例を説明するにあたり、関連した公知の技術についての具体的な説明が本明細書に開示する実施例の要旨をあいまいにする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付図面は本明細書に開示する実施例を容易に理解することができるようにするためのものであるだけで、添付図面によって本明細書に開示する技術的思想が限定されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物及び代替物を含むものと理解されなければならない。
【0029】
第1、第2などのような序数を含む用語は多様な構成要素を説明するのに使うことができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一構成要素を他の構成要素と区別する目的のみで使われる。
ある構成要素が他の構成要素に「連結」されているまたは「接続」されていると言及したときには、その他の構成要素に直接的に連結されるかまたは接続されることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならないであろう。一方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているまたは「直接接続」されていると言及したときには、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されなければならないであろう。
【0030】
単数の表現は、文脈上明白に他に指示しない限り、複数の表現も含む。
本明細書で、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組合せが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組合せなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0031】
本発明の実施例による音響入出力支援のためのパワートレーン制御方法を説明するに先立ち、ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)の構造及び制御系統を説明する。
【0032】
図1は本発明の実施例に適用可能なハイブリッド自動車のパワートレーン構造の一例を示す。
図1を参照すると、エンジン(内燃機関)(ICE)110と変速機150との間に電気モーター(または駆動モーター)140及びエンジンクラッチ130を装着した並列型(Parallel Type)ハイブリッドシステムを採用したハイブリッド自動車のパワートレーンが図示されている。
【0033】
このような車両では、一般的に、始動の後に運転者がアクセルを踏む場合(すなわち、加速ペダル位置センサーがオン)、エンジンクラッチ130がオープンした状態で、まずバッテリーの電力を用いて駆動モーター140が駆動し、モーターの動力が変速機150及び最終減速機(FD:Final Drive)160を介して車輪に伝達されることで、車輪が動くようになる(すなわち、EVモード)。図示していないが、最終減速機160の代わりにまたは最終減速機160と一緒にディファレンシャルギアを備えることもできる。
【0034】
車両が徐々に加速するのに伴って段々大きな駆動力が必要になれば、補助モーター(または、始動発電モーター)120が動作してエンジン110を駆動することができる。よって、エンジン110と駆動モーター140との回転速度差が一定の範囲内になれば初めてエンジンクラッチ130が噛み合うことで、エンジン110と駆動モーター140とが一緒に車両を駆動するようになる(すなわち、EVモードからHEVモードに遷移)。車両が減速するなど、既設定のエンジンオフの条件が満たされれば、エンジンクラッチ130がオープンし、エンジン110は停止する(すなわち、HEVモードからEVモードに遷移)。この際、車両はホイールの駆動力を用いて駆動モーター140を介してバッテリー170を充電する。これを制動エネルギー回生、または回生制動と言う。よって、始動発電モーター120はエンジンの始動の際にはスタートモーターの役割を果たし、始動の後または始動オフの際、エンジンの回転エネルギーを回収するときには発電機として動作するので、ハイブリッドスタータージェネレーター(HSG:Hybrid Starter Generator)と言える。
【0035】
一般的に、変速機150としては、有段変速機、多板クラッチ、例えばデュアルクラッチ変速機(DCT)を使うことができる。
【0036】
上述した走行モードの遷移において、HEVモードはエンジン110の駆動力がホイールに伝達されるHEVパラレル(Parallel)モードの意味として記述したが、HEVシリーズ(Series)モードも存在する。HEVシリーズモードで、エンジンクラッチ130は解除され、エンジン110の動力がホイールには伝達されず、始動発電モーター120によって充電されることができる。
【0037】
図2は本発明の実施例が適用可能なハイブリッド自動車の制御系統の一例を示すブロック図である。
図2を参照すると、本発明の実施例が適用可能なハイブリッド自動車において、エンジン(内燃機関)110はエンジン制御器210が制御し、始動発電モーター120及び駆動モーター140のトルクはモーター制御器(MCU:Motor Control Unit)220が制御することができ、エンジンクラッチ130はクラッチ制御器230がそれぞれ制御することができる。ここで、エンジン制御器210はエンジン制御システム(EMS:Engine Management System)とも言う。また、変速機150は変速機制御器250が制御する。
【0038】
それぞれの制御器はその上位制御器としてモード転換過程の全般を制御するハイブリッド制御器(HCU:Hybrid Controller Unit)240と連結され、ハイブリッド制御器240の制御によって走行モードを変更するか、ギア変速の際にエンジンクラッチ制御に必要な情報及び/またはエンジン停止制御に必要な情報をハイブリッド制御器240に提供するかまたは制御信号による動作を遂行することができる。
【0039】
例えば、ハイブリッド制御器240は、車両の運行状態によって、EV-HEVモード間またはCD(充電された電力主体の走行)モード-CS(燃料による走行)モード間の転換を遂行するかを決定する。このために、ハイブリッド制御器240は、エンジンクラッチ130の解除(Open)時点を判断し、解除の際に油圧制御を遂行する。また、ハイブリッド制御器240は、エンジンクラッチ130の状態(Lock-up、Slip、Openなど)を判断し、エンジン110の燃料噴射中断時点を制御することができる。また、ハイブリッド制御器240は、エンジン停止制御のために始動発電モーター120のトルクを制御するためのトルク指令をモーター制御器220に伝達してエンジン回転エネルギーの回収を制御することができる。さらに、ハイブリッド制御器240は、走行モード転換制御の際、モード転換条件の判断及び転換のための下位制御器の制御を遂行することができる。
【0040】
もちろん、上述した制御器間の連結関係及び各制御器の機能/区分は例示的なものであり、その名称も限定されないというのは当業者に明らかである。例えば、ハイブリッド制御器240はそれを除いて残った制御器のうちのいずれか一つが該当機能を果たすように具現されることもでき、他の制御器のうちの二つ以上が該当機能を分担して果たすこともできる。
【0041】
上述した
図1及び
図2の構成はハイブリッド自動車の一構成例であるだけで、実施例に適用可能なハイブリッド自動車はこのような構造に限定されないのは当業者に明らかであると言える。
【0042】
本発明の一実施例は、ハイブリッド自動車で音声命令の入力を受けるかまたは音響案内を出力する場合、エンジンオフ状態を誘導してパワートレーンから発生する騷音を減少させることで、音声認識率を高め、車両から出力される案内音響を搭乗者がよく認知することができるようにすることを提案する。
【0043】
まず、
図3を参照して実施例による効果的な音響入出力支援のためにパワートレーン制御を遂行することができる音響入出力支援制御器の構成を説明する。
【0044】
図3は本発明の一実施例による音響入出力支援制御器の構成の一例を示す。
図3を参照すると、一実施例による音響入出力支援制御器300は、入力情報として、音響案内出力の開始及び終了を示す情報、音声命令入力の開始及び終了を示す情報、車両内部騷音、運転者要求トルク(または要求パワー)、EVモード最大トルク(または最大パワー)を有することができる。また、音響入出力支援制御器300は、出力情報として、目標走行モード及びEVラインなどを有することができる。
【0045】
ここで、音響案内はナビゲーション案内音声のような音声形態の情報を含むことができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、音声ではない警告音も音響案内に含まれることができる。もちろん、実施例によるパワートレーンの騷音低減制御の進入条件になる音響案内はスピーカーを介して出力されるすべての種類の音響案内を含むこともでき、頻繁なパワートレーン制御による運転性阻害や燃費悪化を防止するために、所定の種類の重要音響案内(例えば、ナビゲーションシステムのターンバイターン案内音声、速度違反取締りカメラに対する警告音など)を制限的に含むこともできる。
【0046】
また、音響案内出力の開始及び終了を示す情報はAVN(Audio/Video/Navigation)システムから提供することができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、音響案内のソースによって多様な変形が可能である。
【0047】
音声命令入力の開始及び終了を示す情報のソースも音響案内出力の開始及び終了を示す情報のソースと類似していることがある。例えば、音声命令を入力するために運転者がハンドルの音声認識ボタンを操作することによってAVNシステムの音声認識機能を活性化した場合、音声命令入力の開始が音響入出力支援制御器300に伝達されることができる。また、AVNシステムにおいて音声命令の認識の成功または失敗が判断された場合、または運転者が音声認識機能を終了した場合、AVNシステムで音声命令入力の終了を音響入出力支援制御器300に通知することができる。もちろん、これは例示的なものであり、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0048】
車両内部の騷音情報は車両室内のマイクを通して提供することもでき、パワートレーンの現在運転及び変速段数によって予め準備されたテーブルなどの情報を参照することもできる。
【0049】
運転者要求トルクはパワートレーンを制御する上位制御器、例えば、ハイブリッド制御器240から獲得することができ、EVモード最大トルクは実質的に駆動モーター140の最大トルクを意味することができ、モーター制御器220またはハイブリッド制御器240から獲得することができる。
【0050】
一方、出力情報において、目標走行モードはEVモードまたはHEVモードのうちのいずれか一つを指示する情報であり得、EVラインはEVモードとHEVモードとの間の遷移基準になる要求トルクの形態であり得る。例えば、EVモードでの走行中に運転者要求トルクがEVラインを超えない場合にはEVモードを維持することができ、運転者要求トルクがEVラインを上回る場合はHEVモードへのモード遷移を遂行することができる。仮に、頻繁なモード転換を防止するために遷移方向別に所定のヒステリシスが適用された場合、EVラインは、EVモードからHEVモードへの遷移基準になるHEV onラインと、HEVモードからEVモードへの遷移基準になるHEV offラインとに区分されることができる。HEV onラインがHEV offラインより高い値を有することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0051】
上述した目標走行モード及びEVラインはハイブリッド制御器240に伝達されることができる。
具現において、音響入出力支援制御器300はパワートレーンの制御(例えば、運転制御)を伴うので、ハイブリッド制御器240のようなパワートレーンの全般を制御する上位制御器の一機能として具現されることが効率的であり得るが、これは例示的なものであり、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0052】
以下、音響入出力支援制御器300の詳細構成を説明する。
音響入出力支援制御器300は、判断部310及び制御部320を含むことができる。判断部310は制御進入/終了判断部311を含み、制御部320は、EVモード制御部321、HEVモード制御部322、及び制御終了部323を含むことができる。
【0053】
まず、判断部310の制御進入/終了判断部311は、上述した入力情報に基づいて実施例による音響入出力の支援のためにパワートレーンの騷音低減制御に対する制御進入及び制御終了を判断することができる。
例えば、制御進入/終了判断部311は、既設定の進入条件が満たされるかを判断することができる。例えば、進入条件は、i)既設定の種類の音響案内が開始するか運転者が音声認識機能を活性化した場合、ii)車両内部の騷音が基準騷音より大きい場合、満たされることができる。
【0054】
この際、現在走行モードがEVモードの場合、判断部310は制御部320にEVモード制御進入を要請し、現在走行モードがHEVモードの場合、制御部320にHEVモード制御進入を要請することができる。ここで、基準騷音は試験によって音声認識率が一定水準以下になる騷音程度に予め決定することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0055】
制御進入/終了判断部311は、上述した進入条件が満たされないか、音響案内出力または音声命令入力が終了した場合、制御終了を制御部320に通知することができる。
【0056】
次に、制御部320の各構成要素を説明する。
EVモード制御部321は、エンジン起動、特に、HEVパラレルモード進入を防止するために、デフォルトEVライン(またはHEV onライン)を高めることができる。これについて
図4を参照して説明する。
【0057】
図4は一実施例によるEVライン調整を遂行する形態の一例を示す。
図4を参照すると、EVモード制御部321は、音響入出力支援のために、既設定のデフォルトEVラインを上昇EVラインに調整することができる。ここで、上昇EVラインはEVモード最大トルクラインよりは低く設定することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0058】
また、EVモード制御部321はHEVシリーズモードへの進入を禁止させることができる。ここで、HEVシリーズモードへの進入要件は、バッテリーの充電必要性による場合はもちろんのこと、空調の目的やエンジン110の触媒加熱の目的を共に含むことができる。
【0059】
HEVモード制御部322は、音声制御のうち、運転者の要求トルクがEVモード最大トルクより小さい場合、EVモードに遷移するようにし、運転者の要求トルクがEVモード最大トルクより大きい場合、現在走行モードであるHEVモードを維持することができる。ただ、どの場合にもEVモードに容易に進入することができるように、EVライン(またはHEV offライン)を高めることができる。ここで、EVモードに遷移させる方法としては、制御部320の出力情報として目標走行モードをEVモードに設定する方法があり、EVラインを高めることで自然にEVモードへの進入を誘導することもできる。
【0060】
制御終了部323は、判断部310の制御終了の通知によってパワートレーンの騷音低減制御を終了することができる。ここで、騷音低減制御を終了するとは、パワートレーンが運転者の要求トルク(または要求パワー)、バッテリー状態、駆動源の状態などを考慮したデフォルト制御によることを意味することができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0061】
以上で説明したパワートレーンの騷音低減制御をフローチャートにまとめると
図5の通りである。
図5は一実施例による音響入出力支援過程の一例を示す。
図5を参照すると、音響入出力支援制御器300の判断部310で音声制御の開始を判断することができる(S410)。ここで、音声制御の開始とは、
図3を参照して前述した音響案内出力の開始または音声命令入力の開始を意味することができる。
【0062】
音声制御が開始すれば(S410の「はい」)、判断部310は車両内部騷音が基準騷音より大きいかを判断し(S420)、基準騷音より大きい場合(S420の「はい」)、制御進入を決定する。
【0063】
したがって、判断部310は、現在走行モードがEVモードの場合(S430の「はい」)、制御部320にEVモード制御進入を要請し、よって制御部320はHEVシリーズモードの遷移を禁止し(S440)、EVライン(またはHEV onライン)を高めることができる(S480)。
【0064】
これとは異なり、判断部310は、現在走行モードがHEVモードの場合(S430の「いいえ」)、制御部320にHEVモード制御進入を要請し、よって制御部320は、運転者要求トルクがEVモード最大トルクより大きい場合(S450の「はい」)、走行モードとしてHEVモードの維持を決定することができる(S460)。仮に、運転者要求トルクがEVモード最大トルク以下の場合(S450の「いいえ」)、EVモードへの遷移を決定することができる(S470)。制御部320は、現在走行モードがHEVモードの場合にも(S430の「いいえ」)、EVライン(またはHEV offライン)を高めることで、音声制御の遂行のうちに追後のEVモード進入が容易になるようにしておくことができる(S480)。
【0065】
前述したS430段階以降の制御は音声制御が終了するまで繰り返し遂行することができる(S490)。
【0066】
一方、本発明の他の実施例によれば、現在の走行モードがHEVモードの場合、判断部310は、エンジン騷音が主騷音源であるかをさらに判断してHEVモード制御進入可否を決定するようにすることもできる。ここで、エンジン騷音が主騒音源であるかをさらに判断する理由は次のようである。
【0067】
本実施例による走行モード制御は、エンジン110の駆動音が電気モーター(駆動モーター)140の駆動音より概して大きいため、エンジン110ができるだけ駆動しないように、例えば現在の走行モードがEVモードの場合、できるだけEVモードを維持し、HEVモードの場合、EVモードに遷移するようにすることで、エンジン起動を防止することに重点を置く形態になる。したがって、エンジン110を起動している途中に停止する場合に室内騷音を減らすことができる状況、すなわち、エンジン110の駆動音が室内騷音の主原因になる場合、特に大きな効果を得ることができる。言い換えれば、エンジン110の駆動音ではない外部騷音のような要因によって室内騷音が大きい場合には、エンジン110をオフしても室内騷音低減効果を得にくい。他の実施例による音響入出力過程について
図6を参照して説明する。
【0068】
図6は他の実施例による音響入出力支援過程の一例を示す。
図6に示すフローチャートは、S430段階とS450段階との間に、エンジン騷音が主騒音源であるかを判断する段階(S435)を追加した点を除けば、
図5と同様であるので、重複説明は省略する。
【0069】
図6を参照すると、現在走行モードがHEVモードの場合(S430の「いいえ」)、判断部310は、エンジン騷音が主騒音源であるかを判断することができる(S435)。エンジン騷音が主騒音源であるかを判断するに際して、判断部310は、室内騷音の大きさと室内に流入するエンジン騷音とを比較し、室内騷音の大きさがエンジン騷音の大きさより一定値以上だけ大きい場合、エンジン騷音が主騒音源ではないと判断し、そうではない場合には、エンジン騷音が主騒音源であると判断することができる。室内に流入するエンジン騷音の大きさは、エンジンの運転によって予め試験によって作成されたテーブルを参照することができる。すなわち、判断部310は、エンジン制御器210またはハイブリッド制御器240からエンジンの現在運転についての情報を獲得し、現在のエンジン運転の騒音をテーブルと比較することで、室内に流入するエンジン騷音の大きさを判断することができる。ただ、このようなテーブルを用いる方式は例示的なものであるだけで、必ずしもこれに限定されるものではなく、室内に流入するエンジン騷音の大きさを判断することができれば、その方法に限定されない。
【0070】
エンジン騷音が主騒音源であると判断された場合(S435の「はい」)、運転者要求トルクとの比較(S450)によってEVモードに遷移することができるが(S470)、エンジン騷音が主騒音源ではない場合(S435の「いいえ」)、エンジンオフによる室内騷音低減の効果が小さいので、制御部320は現在走行モードを維持することができる(S460)。
【0071】
一方、上述した実施例で、現在走行モードがHEVモードの場合(S430の「いいえ」)、EVモードへの強制遷移(S470)またはEVライン上昇(S480)によるEVモード進入が誘導されるので、運転者は普段と異なる異質感を感じることができる。このために、HEVモード制御部322は、HEVモード制御を遂行することを知らせる警告情報を出力するように出力手段を制御することもできる。これについて
図7を参照して説明する。
【0072】
図7は本発明の一実施例による警告情報を出力する形態の一例を示す。
図7を参照すると、警告情報は、クラスター500においてグラフィック表示可能なディスプレイにより構成された領域510を介して出力することができる。ただ、これは例示的なものであるだけで、グラフィックの代わりに警告灯の形態として警告情報を出力することもできる。また、警告情報はクラスターの他にもヘッドアップディスプレイ(HUD)またはヘッドユニットのディスプレイを介して表示することもできるというのは言うまでもない。
【0073】
以上で説明した本発明の実施例によれば、ハードウェアの追加なしにもハイブリッド制御器などのロジッグ変更によって音声認識及び音響案内の性能を向上させることができ、これにより車両の商品性の向上が可能である。さらに、重要な音響案内の際、運転者により明確に案内を伝達することができる。
【0074】
一方、前述した本発明は、プログラムが記録された媒体にコンピュータが読めるコードで具現することが可能である。コンピュータ可読の媒体は、コンピュータシステムによって読められるデータを保存するすべての種類の記録装置を含む。コンピュータ可読の媒体の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Disk)、SDD(Silicon Disk Drive)、ROM、RAM、CD-ROM、磁気テープ、フロッピーディスク、光データ記録装置などがある。よって、前記詳細な説明はすべての面で制限的に解釈されてはならず、例示的なものと見なされてはならない。本発明の範囲は特許添付の範囲の合理的解釈によって決定されなければならず、本発明の等価的範囲内のすべての変更は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0075】
110 エンジン(内燃機関)
120 補助モーター(始動発電モーター)
130 エンジンクラッチ
140 電気モーター(駆動モーター)
150 変速機
160 最終減速機
210 エンジン制御器
220 モーター制御器
230 クラッチ制御器
240 ハイブリッド制御器
250 変速機制御器
310 判断部
311 制御進入/終了判断部
320 制御部
321 EVモード制御部
322 HEVモード制御部
323 制御終了部
500 クラスター
510 ディスプレイにより構成された領域