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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099482
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】弾性筆記デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20230706BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/1333 500
G02F1/13 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022195073
(22)【出願日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】17/567,726
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】502144800
【氏名又は名称】ケント ディスプレイズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ブラガンザ, クリントン アイ.
(72)【発明者】
【氏名】モリス, ハンター
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H190
【Fターム(参考)】
2H088EA02
2H088FA29
2H088GA03
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA05
2H088HA06
2H088HA07
2H088JA29
2H088MA20
2H189FA81
2H189JA15
2H189JA25
2H189LA01
2H189LA08
2H189NA05
2H190JA09
2H190JA13
2H190JA16
2H190JB03
2H190LA01
2H190LA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】曲げることが可能な、コレステリック液晶材料を含む液晶層を具備する筆記デバイス。
【解決手段】1つの態様では、筆記デバイスを曲げることに対する弾性は、10回の曲げの繰り返しにわたって100.0ミリメートルの曲率半径まで筆記デバイスが曲げられることを可能にする。曲げを繰り返すたびに、電圧波形が画像を完全に消去する。別の態様では、背面支持層は、背面電導層に隣接する可撓性ポリマー材料で形成された第1の副層と、可撓性であり且つ第1の副層よりも厚く且つ第1の副層とは異なる材料で作られた裏打ちを含む第2の副層と、第1の副層と第2の副層との間に配置された接合層と、を備える。別の態様では、シールは、エラストマ材料を含み、前記前面筆記面層は、0.5~4.5ミル(12.7~114.3μm)の範囲内の厚さを有し、背面支持層は、0.6~34.5ミル(15.2~876.3μm)の範囲内の厚さを有する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステリック液晶材料を含む液晶層と、
前記液晶層が間に配置される前面電導層及び背面電導層と、
前記前面電導層、前記背面電導層、及び前記液晶層が間に配置される、透明な前面筆記面層、及び背面支持層と、
前記コレステリック液晶材料を前記前面筆記面層と前記背面支持層との間に閉じ込めるシールと
を備える筆記デバイスであって、
前記コレステリック液晶材料が、前記前面筆記面層への圧力の印加によりテクスチャが変化して、画像を作り出し、
前記電導層が、前記画像を消去する電圧波形が前記電導層に印加されることを可能にするように構成され、
前記筆記デバイスが、10回の繰り返しの曲げにわたって100.0ミリメートルの曲率半径まで曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、前記曲げを繰り返すたびに前記電圧波形が前記画像を完全に消去して、前記筆記デバイスを初期化する、筆記デバイス。
【請求項2】
10回の曲げの繰り返しにわたって50.0ミリメートルの曲率半径まで前記筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、前記曲げを繰り返すたびに前記電圧波形が前記画像を完全に消去して、前記筆記デバイスを初期化する、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項3】
10回の曲げの繰り返しにわたって20.0ミリメートルの曲率半径まで前記筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、前記曲げを繰り返すたびに前記電圧波形が前記画像を完全に消去して、前記筆記デバイスを初期化する、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項4】
10回の曲げの繰り返しにわたって10ミリメートルの曲率半径まで前記筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、前記曲げを繰り返すたびに前記電圧波形が前記画像を完全に消去して、前記筆記デバイスを初期化する、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項5】
前記前面筆記面層が、少なくとも0.5ミルの厚さを有する可撓性ポリマー材料を含む、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項6】
前記背面支持層が、多層化されている、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項7】
前記背面支持層が、前記背面電導層に隣接する可撓性材料を含む第1の副層と、可撓性の裏打ちを含む第2の副層と、前記第1の副層と前記第2の副層との間に配置された接合層と、を備える、請求項6に記載の筆記デバイス。
【請求項8】
前記第2の副層が、前記第1の副層とは異なる材料で形成される、請求項7に記載の筆記デバイス。
【請求項9】
前記第1の副層が、0.5~4.5ミルに及ぶ厚さを有する可撓性ポリマー材料を含む、請求項7に記載の筆記デバイス。
【請求項10】
前記第2の副層が、0.1~30ミルに及ぶ厚さを有する可撓性材料を含む、請求項7に記載の筆記デバイス。
【請求項11】
前記接合層が、感圧接着剤層、UV硬化可能な接着剤層、熱的に硬化可能な接着剤層、超音波溶接層、及び熱硬化接着剤層、並びにそれらの組合せのうちのいずれかから選択される、請求項7に記載の筆記デバイス。
【請求項12】
前記第1の副層及び前記第2の副層のうちの少なくとも一方が、不透明又は半透明である、請求項11に記載の筆記デバイス。
【請求項13】
前記第1の副層及び前記第2の副層のうちの少なくとも一方が、色を有する、請求項11に記載の筆記デバイス。
【請求項14】
前記第1の副層及び前記第2の副層のうちの少なくとも一方が、少なくとも片側でグラフィックを有する、請求項11に記載の筆記デバイス。
【請求項15】
前記第2の副層が、少なくとも片側でテクスチャを呈する、請求項11に記載の筆記デバイス。
【請求項16】
前記第1の副層及び前記第2の副層のうちの少なくとも一方が、透明である、請求項11に記載の筆記デバイス。
【請求項17】
露出した端子、及び前記端子の下にある磁石を備える、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項18】
前記画像を消去するためのスタイラスを備え、前記スタイラスが、スタイラス端子の近傍に磁石を備える、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項19】
前記背面支持層が、0.5~30.0ミルに及ぶ厚さを有する可撓性ポリマー材料を含む、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項20】
前記背面支持層が、透明である、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項21】
前記背面支持層が、不透明又は半透明である、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項22】
前記背面支持層が、色を有する、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項23】
前記背面支持層が、少なくとも片側でグラフィックを有する、請求項1に記載の筆記デバイス。
【請求項24】
前記背面支持層が、少なくとも片側でテクスチャを呈する、請求項1に記載の筆記タブレット。
【請求項25】
コレステリック液晶材料を含む液晶層と、
前記液晶層が間に配置される前面電導層及び背面電導層と、
前記前面電導層、前記背面電導層、及び前記液晶層が間に配置される、透明な前面筆記面層、及び背面支持層と、
前記コレステリック液晶材料を前記前面筆記面層と前記背面支持層との間に閉じ込めるシールと
を備える筆記デバイスであって、
前記コレステリック液晶材料が、前記前面筆記面層への圧力の印加によりテクスチャが変化して、画像を作り出し、
前記電導層が、前記画像を消去する電圧波形が前記電導層に印加されることを可能にするように構成され、
前記背面支持層が、前記背面電導層に隣接する可撓性ポリマー材料で形成された第1の副層と、可撓性であり前記第1の副層よりも厚く前記第1の副層とは異なる材料で作られた裏打ちを含む第2の副層と、前記第1の副層と前記第2の副層との間に配置された接合層とを備える、筆記デバイス。
【請求項26】
10回の曲げの繰り返しにわたって100.0ミリメートルの曲率半径まで前記筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、前記曲げを繰り返すたびに前記電圧波形が前記画像を完全に消去して、前記筆記デバイスを初期化する、請求項25に記載の筆記デバイス。
【請求項27】
前記第1の副層が、0.5~4.5ミルに及ぶ厚さを有し、前記第2の副層が、0.1~30ミルに及ぶ厚さを有する、請求項25に記載の筆記デバイス。
【請求項28】
コレステリック液晶材料を含む液晶層と、
前記液晶層が間に配置される複数の電導層と、
前記複数の電導層及び前記液晶層が間に配置される、透明な前面筆記面層、及び背面支持層であり、前記前面筆記面層が、0.5~4.5ミルの範囲内の厚さを有し、前記背面支持層が、0.6~34.5ミルの範囲内の厚さを有する、前面筆記面層及び背面支持層と
を備える筆記デバイスであって、
前記コレステリック液晶材料が、前記前面筆記面層への圧力の印加に応じてテクスチャが変化して、画像を作り出し、
前記筆記デバイスが、
前記液晶材料を閉じ込める、前記前面筆記面層及び前記背面支持層の周辺部の周りに延在するエラストマ材料で形成されたシール
をさらに備え、
前記電導層が、前記画像を消去する電圧波形が前記電導層に印加されることを可能にするように構成される、筆記デバイス。
【請求項29】
10回の曲げの繰り返しにわたって100.0ミリメートルの曲率半径まで前記筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性を有し、前記曲げを繰り返すたびに前記電圧波形が前記画像を完全に消去して、前記筆記デバイスを初期化する、請求項28に記載の筆記デバイス。
【請求項30】
前記背面支持層が、ポリマーから成り0.5~4.5ミルに及ぶ厚さを有する基板である第1の副層と、0.1~30ミルに及ぶ厚さを有する第2の副層と、前記第1の副層と前記第2の副層との間に配置された接合層と、を備え、前記第2の副層の前記筆記デバイスの使用者からの位置が、前記第1の副層の前記筆記デバイスの使用者からの位置よりもより遠位である、請求項28に記載の筆記デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して筆記/描画タブレットに関し、詳細には、乱暴な使用に対して弾性のある、頑強で可撓性のコレステリック液晶圧力筆記/描画デバイスに関する。
【背景】
【0002】
[0002]2010年、Kent Displays Inc.のブギーボード(Boogie Board)(登録商標)感圧コレステリック液晶筆記タブレットが市場に出た。このタブレットは、単純なスタイラスさらには指の爪による筆記及び描画並びに繰り返し使用のための迅速な消去の利便性を提供する、家庭、教室、及び事務作業のための人気の紙代用品になった。長年にわたって、大小様々なコレステリック筆記タブレットの多数のバージョンが市場に出た。市場に出たコレステリック液晶筆記タブレットは、実質的にどれもが同じ方法で構成され、この方法では、感圧コレステリック液晶筆記パネルは、感圧コレステリック液晶筆記パネルを所定の位置に保持するベゼルを正面に有する硬質プラスチックケーシング内に収容される。ハウジングの目的は、パネルを損傷から守ること、並びに、新たな画像を形成するために書かれた画像を消去しタブレットを初期化するのに必要とされる電子装置及びボタンスイッチを収容することである。ハウジングは、スタイラスのための圧力支持をさらに提供する。
【0003】
[0003]分解組立図図1Aに示されるように、感圧液晶筆記パネル10は、前面基板1、上部導電層2、コレステリック液晶材料の層3、下部導電層4、背面基板5、及び光吸収層6を含む、一連の層で構成される。前面基板1及び背面基板5は、図1Aに示されるように導電層2及び4を支持する。前面基板1は、先のとがったスタイラスによる基板への局所的な圧力がコレステリック液晶の局所的なテクスチャを変化させて光を反射し且つ画像を作り出すことができるように、透明であり且つ可撓性である。背面基板5は、透明であってよいが、デバイスは、光反射画像のための明暗差を作り出すために不透明又は半透明の隣接する光吸収層6を含み得る。或いは、背面基板5は、光吸収層として機能するように不透明又は半透明であってもよい。剛体ケーシング11が、図1Aの分解組立図及び組み立てられたタブレットの正面図である図1Bに示されるように、ベゼル9により所定の位置に保持される筆記パネル10を収容する。ケーシング11及びベゼル9は、筆記タブレット又は描画タブレットとして使用されたときに著しい屈曲が起きるのを防ぐことにより筆記パネル10を保護するために、十分に剛体である。ケーシング11は、筆記しているときのスタイラスの圧力をさらに支持する。組み合わせられた剛体ケーシング11及びベゼル9によって提供される保護により、コレステリック液晶層3は、層を層間剥離させ且つ筆記タブレットに損傷を与え得る著しい曲げ又は屈曲から保護されている前面基板2と背面基板4との間に弱く又は部分的に封止されればよい。従来技術のコレステリック液晶筆記及び描画タブレットは、筆記パネル10が剛体ケーシング11及び剛体ベゼル9により層間剥離又は他の損傷から保護されているので、乱暴な使用に対して弾性があるように作られており、著しい曲げ又は屈曲を回避する。
【0004】
[0004]ケーシング11は、通常、硬質プラスチックで作られており、また、スタイラスのための圧力支持をさらに提供するケーシング11とともにハウジングを通常使用のために頑丈にする必要があるので、わずかにしか曲がることができない。人が先のとがったスタイラス又は指の爪で筆記パネル10の頂部基板を押すと、前面基板は、局所的に変形して液晶を流動させることにより、液晶の光学テクスチャをフォーカルコニック透明テクスチャから明瞭な反射色プレーナテクスチャに変化させる。したがって、先のとがった物体により圧力が印加されると、先のとがった物体で描かれたような図形により図1Cに示されるように、筆記パネル10上に画像13が形成される。画像の反射光は、液晶層の下の不透明な又は半透明な色とはかなりの対照をなす。スタイラス又は指の爪によって形成された画像は、電圧の印加がなければ、消去されるまでいつまでもタブレット上に残る。消去は、基板1の内側表面の出張り8上に露出されている透明な導電性電極2及び基板5の内側表面の出張り7上に露出されている透明な導電性電極4に電圧波形を印加する押しボタンスイッチ12により筆記パネルがクリアされることによって達成することができ、電圧波形は、コレステリック液晶をその色反射状態からそのフォーカルコニック透明状態に戻して、筆記パネルを図1Bに示されるように新たな画像のために初期化又はクリアする。電圧波形を供給する消去電子装置(図示せず)は、ケーシング11の内側に収容されている。動作に関する上記の原理は、米国特許第10,558,065号で開示されている消去電圧波形とともに、米国特許第6,104,448号でより詳細に開示されており、それらの特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0005】
[0005]米国特許第9,651,813号で開示されているように、液晶ペーパーと呼ばれる、ケーシングに収容されているパネルを伴わない使用のためのコレステリック液晶筆記タブレットが開示されてきた。ケーシングを含まない液晶ペーパーデバイスは、スタイラスのための圧力支持を提供するケーシングが存在しないので、筆記又は描画のために剛体の又は硬い表面上に置かれる必要がある。しかし、ケーシングを含まないこれらの液晶ペーパーデバイスは取扱いに対してあまり頑丈でなく、また特に、剛体の骨組み又はケーシングに十分にパッケージングされていない場合には乱暴な取扱いにより液晶ペーパーが層間剥離し得るという点で、問題が生じる。米国特許第9,651,813号は、液晶ペーパーを頑丈にすることができる、基板と接触するケーシングを特に開示している。表示部の後ろの1.5mm厚さの黒色アクリルシートと表示部の前の200μm厚さの黒色PETフレームとから成るパッケージング手段が、米国特許第9,651,813号で開示された。黒色PETフレームは、黒色PETフレームに積層されて黒色PETフレームが表示部周辺部及びアクリルバックプレーンの縁部に付着するのを可能にする、50μm厚さの感圧接着剤(3M)を有した。ケーシングを含まない液晶ペーパーデバイスは、乱暴な使用に対する弾性が十分ではないため、決して商品化されなかった。
【0006】
[0006]米国特許第8,958,048号は、コレステリック液晶筆記/描画パネルの頑丈さを高めるために前面基板と背面基板との間でコレステリック液晶筆記/描画パネルの周辺部の周りに配置される、硬化接着剤材料で形成されたパッキンを開示している。パッキンは、コレステリック筆記タブレットの周辺部全体に沿って完全なシールを提供する。パッキンは、内部パッキンとして基板内に含まれ、したがって、層間剥離及び縁部の上から下への短絡を防止することにより、生産高を増大させる。パッキンは、分散する材料が液晶を汚染することなくパッキンと接触した後でパッキンがなおも接着性を有するように、コレステリック液晶材料に対して適合性があり且つ不活性である。しかし、パッキンは、頑丈さを高める一方で、従来技術の市販の筆記パネルにおいて使用される厚さの基板で特に起こり得る層間剥離を防止しない。
【0007】
[0007]米国特許第10,739,631号は、増進された線の鋭さを提供するスタイラスのための独特の圧力支持を開示している。適切な接着性を有する接着剤層が、使用者がクリア且つくっきりとした線を書く又は描くことができるように、下部電導層と裏当てとの間に配置され、シャープな線の鋭さを維持し、粒子の視覚効果をさらに軽減し、また概して美的成果(aesthetic yield)を向上させる。開示された液晶筆記デバイスの裏当ては、使用者がクリア且つくっきりとした線で筆記面に筆記又は描画することができるように、筆記面を補強する。裏当ては、タブレットを曲げること、ねじること、又は巻くことなどの屈曲に対してタブレットを頑丈にするようには設計されていない。米国特許第10,739,631号で開示されている圧力支持は、この特許で開示されているアルミニウムクラッドプラスチックの剛体裏当てにより、クリアでくっきりとした線を書くために設計されている。包囲するケーシング内に表示部を固定するための機械式クランプ構造が開示されている。
【0008】
[0008]従来技術の筆記タブレットは、ケーシング内に封じられていないので、乱暴な又は苛酷な使用に対して十分に頑丈ではない。ケーシングは、頑丈さを向上させるが、可撓性を制限し、重さを加え、且つ、嵩を増やす。さらに、従来技術の市販の筆記タブレットは、概して約5ミル(約127μm)以上の厚さを持つ厚い基板を有し、前面基板1及び背面基板2は、同じ材料で作られる。そのような筆記タブレットのパネルは、あまり柔軟又は可撓性ではなく、過度に激しく曲げられると層が剥離することになる。さらに、市場に出ている従来技術の筆記パネルは、特にレーザ溶接が避けられている出張りの近傍では、弱くシールされていることが多い。レーザ溶接が導体2から4を切断又は短絡させて消去機構を破壊する可能性があるので、出張り近くでのレーザ溶接は避けられている。便宜及び費用のために、パネルをシールするためのレーザ溶接は、製造ウェブ(manufacturing web)からパネルを切り出している間に行われることが多い。そのようなレーザ溶接は、特に5ミル以上の厚さの基板では、重度の曲げの下で断裂してシールを破壊し、有害な気泡をもたらすことになる。
【開示の概要】
【0009】
[0009]本開示は、可撓性がある上に頑丈であり且つ乱暴な使用に対して弾性のある筆記デバイスを対象とする。筆記デバイスは、表示部を収容するためのベゼルを含む剛体ケーシングを必要としないが、スタイラスの筆記圧のための支持をさらに提供する可撓性背面支持層によって頑丈にされる。背面支持層は、筆記デバイスが表面上に平らに置かれることを可能にし、よじれを軽減し、衝撃を吸収し、且つ、色、デザイン、滑り抵抗などのような美的特徴及び有用な特徴を提供する、筆記デバイスの重要な部分である。背面支持層の設計に呼応して筆記デバイスをさらに頑丈にする筆記デバイスの筆記面層は、従来技術の基板と比較すると、著しく薄い。筆記デバイスの全体的な厚さは薄く、可撓性があり、且つ、少なくとも100mmの曲率半径にまたさらにはより小さな半径まで繰り返し曲げられたときの損傷に対して弾性がある。筆記デバイスは、メモを取るか又は伝言を残すためのポストイットノート(Post It Note)(登録商標)シートに少し類似し得るが、何千回も消去され且つ再使用されるというさらなる特徴を有する。ポストイットノート(登録商標)シートと同様に、筆記デバイスは、電子装置がなくてよく、且つ、見るために壁又は他の表面に付着され得る。薄く且つ可撓性があることで、本開示の多くの筆記デバイスは、紙の索引カードと同様に小さなパッケージ内に積み重ねられ得る。
【0010】
[0010]次に本開示の第1の一般的態様の説明に目を向けると、筆記デバイスが、コレステリック液晶材料を含む液晶層を備える。筆記デバイスは、液晶層が間に配置される前面電導層及び背面電導層を含む。筆記デバイスは、前面電導層、背面電導層、及び液晶層が間に配置される、透明な前面筆記面層、及び背面支持層を含む。シールが、コレステリック液晶材料を前面筆記面層と背面支持層との間に閉じ込める。コレステリック液晶材料は、前面筆記面層への圧力の印加によってテクスチャが変化し、画像を作り出す。電導層は、画像を消去する電圧波形が電導層に印加されることを可能にするように構成される。筆記デバイスは、10回の曲げの繰り返しにわたって100.0ミリメートルの曲率半径まで筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、曲げを繰り返すたびに電圧波形が画像を完全に消去して、筆記デバイスを初期化する。
【0011】
[0011]次に本開示の第1の態様の具体的な特徴を参照すると、筆記デバイスは、10回の曲げの繰り返しにわたって50.0ミリメートルの曲率半径まで筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、曲げを繰り返すたびに電圧波形が画像を完全に消去して、筆記デバイスを初期化する。さらに、筆記デバイスは、10回の曲げの繰り返しにわたって20.0ミリメートルの曲率半径まで筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、曲げを繰り返すたびに電圧波形が画像を完全に消去して、筆記デバイスを初期化する。なおもさらに、筆記デバイスは、10回の曲げの繰り返しにわたって10ミリメートルの曲率半径まで筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性があり、曲げを繰り返すたびに電圧波形が画像を完全に消去して、筆記デバイスを初期化する。
【0012】
[0012]別の特徴では、前面筆記面層は、少なくとも0.5ミル(12.7μm)の厚さを有する可撓性ポリマー材料を含む。
【0013】
[0013]別の特徴では、背面支持層は、多層化されている。
【0014】
[0014]なおも別の特徴では、背面支持層は、背面電導層に隣接する可撓性材料を含む第1の副層と、可撓性の裏打ちを含む第2の副層と、第1の副層と第2の副層との間に配置された接合層と、を備える。別の特徴は、第2の副層が、第1の副層とは異なる材料で形成されることである。別の特徴は、第1の副層が、0.5~4.5ミル(12.7~114.3μm)に及ぶ厚さを有する可撓性ポリマー材料を含むことである。なおも別の特徴では、第2の副層は、0.1~30ミル(2.54~762μm)に及ぶ厚さを有する可撓性材料を含む。さらに、接合層は、感圧接着剤層、UV硬化可能な接着剤層、熱的に硬化可能な接着剤層、超音波溶接層、及び熱硬化接着剤層、並びにそれらの組合せのうちのいずれかから選択される。さらに、第2の副層は、不透明又は半透明であってもよい。より詳細には、第1の副層及び第2の副層のうちの少なくとも一方は、色を有する。別の特徴では、第1の副層及び第2の副層のうちの少なくとも一方は、少なくとも片側でグラフィックを有する。さらに、第2の副層は、少なくとも片側でテクスチャを呈する。なおも別の特徴は、第1の副層及び第2の副層のうちの少なくとも一方が透明であることである。別の特徴では、筆記デバイスは、露出した端子、及び端子の下にある磁石を備える。
【0015】
[0015]別の特徴は、画像を消去するためのスタイラスが筆記デバイスに含まれることであり、スタイラスは、スタイラス端子の近傍に磁石を備える。
【0016】
[0016]第1の一般的態様のさらなる特徴を参照すると、背面支持層は、0.5~30.0ミル(12.7~762.0μm)に及ぶ厚さを有する可撓性ポリマー材料を含む。さらなる特徴では、背面支持層は、透明であり得る。別の特徴では、背面支持層は、不透明又は半透明である。なおも別の特徴は、背面支持層が色を有することである。さらに、背面支持層は、少なくとも片側でグラフィックを有し得る。最後に、背面支持層が少なくとも片側でテクスチャを呈することが、特徴である。
【0017】
[0017]本開示の第2の態様は、コレステリック液晶材料を含む液晶層を備える筆記デバイスである。筆記デバイスは、前面電導層及び背面電導層を含み、前面電導層と背面電導層との間には、液晶層が配置される。筆記デバイスは、透明な前面筆記面層、及び背面支持層を含み、前面筆記面層と背面支持層との間には、前面電導層、背面電導層、及び液晶層が配置される。シールが、コレステリック液晶材料を前面筆記面層と背面支持層との間に閉じ込める。コレステリック液晶材料は、前面筆記面層への圧力の印加によってテクスチャが変化し、画像を作り出す。電導層は、画像を消去する電圧波形が電導層に印加されることを可能にするように構成される。背面支持層は、背面電導層に隣接する可撓性ポリマー材料で形成された第1の副層と、可撓性があり且つ第1の副層よりも厚く且つ第1の副層とは異なる材料で作られた裏打ちを含む第2の副層と、第1の副層と第2の副層との間に配置された接合層と、を備える。
【0018】
[0018]次に本開示の第2の態様の具体的な特徴を参照すると、筆記デバイスは、10回の曲げの繰り返しにわたって100.0ミリメートルの曲率半径まで筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性を有し、曲げを繰り返すたびに電圧波形が画像を完全に消去して、筆記デバイスを初期化する。
【0019】
[0019]別の特徴は、第1の副層が、0.5~4.5ミル(12.7~114.3μm)に及ぶ厚さを有し、第2の副層が、0.1~30ミル(2.54~762μm)に及ぶ厚さを有することである。
【0020】
[0020]本開示の第3の態様は、コレステリック液晶材料を含む液晶層を備える筆記デバイスである。筆記デバイスは、液晶層が間に配置される複数の電導層を含む。筆記デバイスは、電導層及び液晶層が間に配置される、透明な前面筆記面層、及び背面支持層を含む。前面筆記面層は、0.5~4.5ミル(12.7~114.3μm)の範囲内の厚さを有し、背面支持層は、0.6~34.5ミル(15.2~876.3μm)の範囲内の厚さを有する。コレステリック液晶材料は、前面筆記面層への圧力の印加の下でテクスチャが変化して、画像を作り出す。液晶材料を閉じ込めるエラストマ材料で形成されたシールが、前面筆記面層及び背面支持層の周辺部の周りに延在する。電導層は、画像を消去する電圧波形が電導層に印加されることを可能にするように構成される。
【0021】
[0021]本開示の第3の態様の具体的な特徴を参照すると、筆記デバイスは、10回の曲げの繰り返しにわたって100.0ミリメートルの曲率半径まで筆記デバイスが曲げられることを可能にすることによって定義される曲げに対する弾性を有し、曲げを繰り返すたびに電圧波形が画像を完全に消去して、筆記デバイスを初期化する。
【0022】
[0022]別の特徴では、背面支持層は、ポリマーから成り且つ0.5~4.5ミル(12.7~114.3μm)に及ぶ厚さを有する基板である第1の副層と、0.1~30ミル(2.54~762μm)に及ぶ厚さを有する第2の副層と、第1の副層と第2の副層との間に配置された接合層と、を備える。第2の副層の筆記デバイスの使用者からの位置は、第1の副層の筆記デバイスの使用者からの位置よりもより遠位である。
【0023】
[0023]本開示の多くのさらなる特徴、利点、及びより十分な理解は、添付の図面、及び以下の詳細な説明から分かるであろう。上記の開示の概要は、本開示の主題を大まかに説明するものであるが、以下の詳細な説明は、本開示の主題をより綿密に説明するものであり、且つ、本開示の広範な主題の必然的な限定として解釈されるべきではない特定の実施形態を提示するものであることが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1A図1Aは、従来技術のコレステリック液晶筆記タブレットの層を示す分解組立図である。
図1B図1Bは、組み立てられた従来技術のコレステリック液晶筆記タブレットの図である。
図1C図1Cは、筆記タブレットに画像が書かれている、組み立てられた従来技術のコレステリック液晶筆記タブレットの図である。
図2A図2Aは、弾性があり且つコレステリック液晶を含む本開示の筆記デバイスを備える層を示す、分解組立上面斜視図である。
図2B図2Bは、組み立てられた図2Aの筆記デバイスを示す上面斜視図である。
図3A図3Aは、背面支持層の副層をその多層形態で示す分解組立図である。
図3B図3Bは、組み立てられた背面支持層をその多層形態で示す側面図である。
図4A図4Aは、消去端子が示されている、弾性があり且つコレステリック液晶を含む本開示の筆記デバイスの正面図である。
図4B図4Bは、図4Aの筆記デバイスの側面図である。
図4C図4Cは、消去端子を含む図4A及び4Bの筆記デバイスのための回路図である。
図5A図5Aは、コレステリック液晶及び消去電子装置を含む本開示の筆記デバイスの正面図である。
図5B図5Bは、図5Aの消去電子装置を含む筆記デバイスの側面図である。
図5C図5Cは、図5A及び5Bの筆記デバイスの消去電子装置のための回路図である。
図6A図6Aは、2重の曲げで屈曲された本開示の筆記デバイスの可撓性を示す図である。
図6B図6Bは、図6Aにおける筆記デバイスの側面図である。
図6C図6Cは、ねじりによって屈曲された本開示の筆記デバイスの可撓性を示す図である。
図7A図7Aは、以下で論じられる弾性試験の開始時の本開示の筆記デバイスの側面図である。
図7B図7Bは、筆記タブレットが特定の曲率半径Rに曲げられる弾性試験におけるステップ中の図7Aの筆記デバイスの側面図である。
【詳細な説明】
【0025】
[0025]乱暴な使用に対して弾性のある筆記デバイスは、図2Aの組立分解図及び図2Bの組立図に示されるように、コレステリック液晶材料を含み、且つ、多層構造20である。図2A及び2Bに示されるように、前面筆記面層21が、透明且つ可撓性であるのと同時に、薄く頑強な基板として機能する。前面筆記面層は、0.5~4.5ミル(1.0ミル=25.4ミクロン)に及ぶ特定の厚さを有する薄いポリマー層である。この厚さの範囲は、筆記デバイスが損傷するのを防ぎながら、筆記デバイスにきつい曲げに対する弾性を与えるのに貢献する。損傷した筆記デバイス構造は、結果的に、新たな画像を書くために完全に消去されて初期化される筆記デバイスの能力を損なう。前面筆記面層の薄い構造のさらに別の特徴は、従来技術の筆記タブレット技術では一般に用いられている下層の剛体支持層を含まずに、筆記スタイラスによる局所変形を可能にすることである。前面筆記面層の薄い構造は、加えられる歪みをより少なくすることを可能にすることにより、筆記デバイスへの構造上の損傷をさらに防ぐのにさらに役立ち、加えられる歪みをより少なくすることにより、シール24の断裂が回避される。
【0026】
[0026]前面筆記面層21には、従来技術で知られており通常はインジウムスズ酸化物又は導電性ポリマーなどの材料から成る前面電導層22が接合される。感圧分散系を含む液晶層23が、上の層から順に続く。感圧分散系は、従来技術によく見られるようにポリマー及びスペーサで分散されたコレステリック液晶材料を含む。シール24が、液晶層23を閉じ込める。シール24は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,958,048号で開示されているような層内にエラストマ材料又は接着性材料(例えば、硬化接着剤)を含み得る。レーザ又は熱によって実施され得る溶接などで溶接されるシールが、いくつかの用途で使用されてもよいが、特に接着剤のシールは、1つの態様では液晶を完全に取り囲むだけでなく、損傷を伴わずに筆記タブレットの頑強な屈曲を実現するので、使用される。溶接は露出した電導層の出張りを容易に破壊し得るので、溶接されるシールは、液晶材料を完全に取り囲まない場合がある。背面電導層25が、液晶層23の下に位置し、また、1つの態様では、背面支持層80に接合される。
【0027】
[0027]当業者は、前面電導層22と前面筆記面層21との間及び背面電導層25と背面支持層80との間に他の材料が配置され得る変形形態を本開示がカバーすることに気が付くであろう。同様に、他の材料が、液晶層23と前面電導層22及び背面電導層25のうちの一方又は両方との間に配置され得る。さらに、例えば防眩層又は傷防止層を含む他の層が、前面筆記面層21及び背面支持層80上に配置され得る。また、2つ以上の液晶層、及び、層或いはポリマー若しくは他の材料によって分離されているか又は分離されていない積み重ねられた液晶層の平面内の副層若しくは領域を含めて、液晶層には変形形態が存在し得る。
【0028】
[0028]背面支持層80は、可撓性であり、且つ、スタイラス筆記のための圧力を支持するだけでなく、筆記デバイスに取扱い機能性を提供する。再使用可能な筆記デバイスの通常の日々の使用においてすら起こり得る乱暴で苛酷な扱い方に対する弾性に貢献するのは、機械的支持である。背面支持層80は、筆記デバイスが表面上に平らに置かれることをさらに可能にし、よじれを軽減し、衝撃を吸収し、且つ、滑り抵抗、並びに色、デザイン、滑り、及び装飾などの美的特徴を提供することができる。背面支持層80の厚さは、0.5~30ミル(12.7~762μm)に及ぶが、スタイラスのための圧力支持を可能にするため、及び前面筆記面層への損傷を防ぐために、より大きくてもよい。背面支持層80は、図3Aの分解組立図及び図3Bの組立図に示されるように、多層構造を有してもよい。背面支持層は、その多層形態90において、可撓性であり且つ0.5~4.5ミル(12.7~114.3μm)に及ぶ好ましい厚さを有するポリマー材料で作られた基板の形態の第1の副層91を備える。図2A及び2Bの背面電導層25は、基板であり得る第1の副層91上に被覆されるか他の方法で積層される。第2の副層93は、背面支持層が表面上に平らに置かれることを可能にし、スタイラスのための圧力支持を提供し、さらによじれを軽減し且つ衝撃を吸収するために頑丈にされるという特徴を有する、可撓性の裏打ちである。第2の副層93は、滑り抵抗、色、デザイン、及び装飾などの特徴をさらに提供することができる。第2の副層93は、選択された光の波長を吸収することにより、反射コレステリック液晶画像のための明暗差を提供することもできる。第2の副層93は、0.1~少なくとも30.0ミル(2.54~少なくとも762.0μm)に及ぶ厚さを有するが、それより大きくてもよい。第2の副層93は、第1の副層91と同じ又は異なる材料のものであってもよい。第1の副層91もまた、色、デザイン、装飾、明暗差といった特徴を提供することができる。接合層92が、第1の副層91と第2の副層93との間に配置される。接合層92は、特に感圧接着剤であってもよく、或いは、熱溶接若しくは超音波溶接、又は熱固定接着剤、熱接着剤、若しくはUV硬化接着剤によって作り出される層のような層であってもよい。
【0029】
[0029]図2Aのシール24は、前面筆記面層21を背面支持層80に又はその多層形態90に接合する。
【0030】
[0030]接着剤材料であるシール24は、前面電導層22の一部分及び背面電導層25の一部分がそれぞれ露出されている箇所である出張り27及び28に液晶を閉じ込めることをさらに可能にする。出張りは、将来の筆記のために液晶層上の書かれた画像を消去しタブレットを初期化するために、電導層への電圧波形の印加を可能にするのに使用される。溶接されるシールの場合、シールは、レーザ溶接又は熱溶接により2つの電導層を互いに電気的に短絡させること又は電導層と出張り上にある導電リードとの間の電気的接続を破壊することを避けるために、出張り上又は出張りの近くには存在していなくてもよい(図2A及び2Bには示されていない)。短絡又は電気的接続の損傷を防ぐために、出張り27及び28の箇所に絶縁層が追加されてもよい。電圧波形は、画像を消去すること、及び/又は筆記デバイスを初期化してクリアな表面に画像を書くことを可能にすることのために、出張り27上の前面電導層22及び出張り28上の背面電導層25に印加される。1つの例では、初期化された筆記デバイスは、筆記面21へのスタイラスの圧力により反射平面状テクスチャに画像を書く/描くことに備えて、実質的に前面筆記面層の表示領域の全てにわたって、コレステリック液晶材料のおおむね透明なフォーカルコニックテクスチャを含む。
【0031】
[0031]図4A及び4Bは、筆記デバイス40の前面斜視図及び側面図をそれぞれ示し、筆記デバイス40は、弾性があり、且つ、前面筆記面及び背面支持層に付着されたカプセル43を含み、カプセル43は、消去スタイラスとの電気的接続を行うための露出した端子45及び46を備える。消去スタイラスは、新たな画像を開始するために画像を消去し筆記デバイスを初期化するための消去電子装置(参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第17/380,812号参照)を含む。図4Cは、カプセル43内に封入される回路の回路図を示し、この回路は、導電リード41及び42を介して端子45及び46をそれぞれ前面電導層22及び背面電導層25に(図2Aの出張り28及び27それぞれを介して)電気的に接続する。
【0032】
[0032]米国特許出願第17/380,812号で開示されているように、画像を消去し筆記タブレットを初期化して新たな画像を開始するために消去スタイラスと電気的に接触しているときの消去電子装置により、端子45及び46に電圧波形が印加される。任意選択的な磁石49が、電気接触のためにスタイラスを端子の正確な位置に引き付けるために、端子45及び46の下に配置される(図4A又は4Bには示されていない)。任意選択的な磁石49は、複数の筆記タブレットを便利に積み重ねるためにも使用されてよく、この場合、1つの筆記タブレットの磁石が隣接する筆記タブレットの磁石に引き付けられて、それらを一緒に保持する。任意選択的な抵抗器44が、1)端子45及び46との電気接触に応じて消去のための電圧波形を印加するためにスタイラスを自動的に作動させること、並びに、2)消去及び初期化後の筆記タブレットでの即時の筆記を可能にすることの、複数の機能を有する。筆記タブレットを消去するための電圧波形は、参照によって組み込まれる米国特許第10,558,065号で開示され且つ説明されている。
【0033】
[0033]図5A及び5Bは、筆記デバイス50の正面図及び側面図をそれぞれ示し、筆記デバイス50は、弾性があり、且つ、前面筆記面及び背面支持層に付着されたカプセル53を含み、カプセル53は、新たな画像の開始のために画像を消去し筆記デバイスを初期化するための図5Cの消去電子装置を備える。図5Cに示された消去電子装置のための回路図は、マイクロプロセッサ51、電池55、及びアクチュエータ52を含み、そのうちのアクチュエータ52は、機械的な押しボタンスイッチであるか、又は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第17/168,507号で開示されているように磁石若しくは何らかの他のアクティベータの間近にあるときに作動される磁気作動スイッチであってもよい。アクチュエータ52は、位置56においてカプセル53上又はカプセル53内に配置される。マイクロプロセッサ51は、新たな画像の開始のために電導層に電圧波形を供給することにより画像を消去し筆記タブレットを初期化するために、前面電導層22及び背面電導層25に(図2Aの出張り28及び27それぞれを介して)接続される。
【0034】
[0034]本開示の筆記デバイスは、大いに可撓性である。図6Aは、2重の曲げの3次元図によりこの可撓性を示し、同じ2重の曲げを側面図で示す図6Bは、薄い構造をさらに示す。ねじり曲げの例が、図6Cに示されている。本開示の筆記デバイスは、層の恒久的な層間剥離、シールを破壊すること、液晶層内の気泡の存在を許すこと、又は消去電圧波形への電気接続を破壊することなどの、筆記デバイスの構造に損傷を与えることを伴わずに、100mm以下の曲率半径による極端な曲げに対して頑強である。上記その他の構造上の損傷に対して頑強でない場合、筆記デバイスの動作が損なわれることになる。損傷したデバイスは、部分的に又は完全に動作しなくなる。頑強さに対する弾性試験は、次の画像のために消去し且つ完全にクリアするか又は全く初期化する筆記デバイスの能力を判定することである。筆記デバイスが画像を消去せず、コレステリック液晶の全領域をフォーカルコニックテクスチャに変換しない場合には、筆記デバイスは損傷していると考えられる。
【0035】
[0035]図7A及び7Bは、筆記デバイスの乱暴な又は苛酷な使用下で起こり得るきつい曲げに対する筆記デバイスの弾性のための頑強さに対する弾性試験を示す。この試験では、筆記デバイス70Aは、筆記が行われる閉じ込められた液晶の領域において、10回の繰り返しにわたって特定の曲率半径R72まで、70Bによって示されるように曲げられる。次いで、損傷を試験するために、表示部は、繰り返しのたびに電子的に消去される。全ての繰り返しに対して筆記デバイスが完全に消去され初期化された場合、筆記デバイスは、乱暴な使用に耐えるための弾性があると考えられる。これは、筆記デバイスが、試験の乱用後でも完全に消去することにより、依然として満足に機能するためである。筆記デバイスは、試験において使用される曲率半径Rが100ミリメートルであるより劣った条件、さらに特には曲率半径Rがより厳しい50ミリメートルであるより劣った条件に耐えるように設計され得る。特定の指定された半径Rは、弾性試験を満たすと同時に、最も極端な条件下では10ミリメートルである。曲率半径Rごとに、また、任意選択で少なくとも10~少なくとも100mmの曲率半径の範囲内で、筆記デバイスが乱暴な又は苛酷な使用に対して頑強であり且つ弾性があることを確認しながら、筆記デバイスは10回の繰り返しにわたって消去され且つ全く初期化された。
【0036】
[0036]次に、本開示は実施例を参照するが、実施例は、特定の態様の例示のために提供されたものであって、本開示を過度に制限するために使用されるべきではない。
実施例1
【0037】
[0037]損傷を伴うことなく曲げに対する弾性のある筆記デバイスが、基板、接着ボンド、及び可撓性裏打ちを含む3つの副層を備える背面支持層を組み込んで作製された。基板は、PEDOTベースの導電性ポリマーで被覆された2ミル(50.8μm)厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート)から作られた。この基板は、PSAにより10ミル(254μm)厚さの赤色ビニル可撓性裏打ちに付着されて、背面支持層を作った。この背面支持層は、100mm×105mmの寸法に切断された。背面支持層の導電側には、将来の電気的接続のために周辺部の外側に導電層の残存部分を残しながら、四角形の枠周辺部(100mm×100mm×1mm厚さ)を形成するように接着剤(ノーランド(Norland)91)が堆積された。緑色光を反射するように調整されたモノマー、架橋剤、光重合開始剤、スペーサ、及びコレステリック液晶の混合物が、背面支持層基板の導電側上に配置された。この混合物の化学的性質は、米国特許第8,228,301号におけるものと同じであった。前面筆記面層は、透明なPEDOTベースの導電性ポリマーで片面を被覆された100mm×105mm、2ミル(50.8μm)のクリアなPETであった。前面筆記面層の導電側は、背面支持層の導電側に面し、シール周辺部内に混合物を封入し、将来の電気的接続のために周辺部の外側に導電層の残存部分を残しながら、積層された。この積層物は、米国特許第8,228,301号におけるように筆記面に印加される筆記圧に敏感なポリマー及びコレステリック液晶の相分離系を形成しながら硬化された。
【0038】
[0038]すると、この積層物は、いつでも筆記デバイスとして使用できる状態にあった。接着剤領域の外側の導体(突き出ている出張り)に電圧源を接続することにより、液晶層にわたってわずかな電場が印加された。画像を消去するために、コレステリック液晶をフォーカルコニックテクスチャからプレーナテクスチャにするための振幅の電圧波形が、従来技術(例えば、米国特許第8,228,301号)で知られているように印加された。このデバイスの弾性を試験するために、表示部が筆記され、次いで50mmの半径を有するダウエルに表示部が巻かれ得るように、周辺部の2つの対向する辺において挟持された。デバイスは、アクティブ領域が筆記され、完全に消去され、そして新たな画像のために初期化されることが可能であることを確認することにより毎回機能性を検査しながら、このダウエル上で10回曲げ伸ばしされた。
実施例2
【0039】
[0039]損傷せずに曲げに対する弾性のある筆記デバイスが、PEDOTベースの導電性ポリマーで被覆された4ミル(101.6μm)厚さの黒色PET(ポリエチレンテレフタレート)を含む背面支持層を組み込んで作製された。この背面支持層は、100mm×105mmの寸法に切断された。背面支持層の導電側には、将来の電気的接続のために周辺部の外側に導電層の残存部分を残しながら、四角形の枠周辺部(100mm×100mm×1mm厚さ)を形成するように接着剤(ノーランド91)が堆積された。緑色光を反射するように調整されたモノマー、架橋剤、光重合開始剤、スペーサ、及びコレステリック液晶の混合物が、背面支持層の導電側上に配置された。この混合物の化学的性質は、米国特許第8,228,301号におけるものと同じであった。前面筆記面層は、透明なPEDOTベースの導電性ポリマーで片面を被覆された100mm×105mm、2ミル(50.8μm)厚さのクリアなPETであった。前面筆記面層の導電側は、背面支持層の導電側に面し、シール周辺部内に混合物を封入し、将来の電気的接続のために周辺部の外側に導電層の残存部分を残しながら、積層された。この積層物は、米国特許第8,228,301号におけるように筆記面に印加される筆記圧に敏感なポリマー及びコレステリック液晶の相分離系を形成しながら硬化された。
【0040】
[0040]すると、この積層物は、いつでも筆記デバイスとして使用できる状態にあった。接着剤領域の外側の導体(突き出ている出張り)に電圧源を接続することにより、液晶層にわたってわずかな電場が印加された。画像を消去するために、コレステリック液晶をフォーカルコニックテクスチャからプレーナテクスチャにするための振幅の電圧波形が、従来技術(例えば、米国特許第8,228,301号)で知られているように印加された。このデバイスの弾性を試験するために、表示部が筆記され、次いで100mmの半径を有するダウエルに表示部が巻かれ得るように、周辺部の2つの対向する辺において挟持された。デバイスは、損傷が起こることなしにアクティブ領域が筆記され、完全に消去され、そして新たな画像のために初期化されることが可能であることを確認することにより毎回機能性を検査しながら、このダウエル上で10回曲げ伸ばしされた。
【0041】
[0041]上記の開示を踏まえると、開示された実施形態の多くの変更形態及び変形形態が、当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲に記載の範囲内において、本発明は具体的に示され且つ説明されたのとは別の態様で実践され得ることが、理解されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
【外国語明細書】