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特開2023-99514薬物投与量の決定のためのコンピュータ化されたシステムおよび方法、ならびにコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099514
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】薬物投与量の決定のためのコンピュータ化されたシステムおよび方法、ならびにコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20230706BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022210462
(22)【出願日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】21218463
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520023949
【氏名又は名称】ダイアベループ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジル・ガイラルドン
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・カッテラン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
5L099AA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安全かつ効率的な方法でユーザが携行することができる薬物投与量システムを提供する。
【解決手段】薬物投与量システムにおいて、プロセッサ23は、考えられる薬物投与量を決定する用量決定モジュール24と、セキュリティしきい値がトリガされるかどうかを決定するセキュリティモジュール25と、セキュリティモジュール25が、セキュリティしきい値がトリガされると決定するとき、ユーザ通知を発行する通知モジュール26と、・薬物投与デバイス4から薬物投与量データを受信する通信モジュール27と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに適用される薬物投与量の決定のためのコンピュータ化されたシステムであって、
- 少なくとも時間ベースのユーザの代謝産物データを含むデータを記憶するメモリ(22)と、
- プロセッサ(23)であって、
・前記データならびに考えられる投与量およびデータを関連づける少なくとも1つのルールに基づいて、考えられる薬物投与量を決定するように適合された用量決定モジュール(24)、
・前記時間ベースのユーザの代謝産物データがセキュリティしきい値をトリガするかどうかを決定するように適合されたセキュリティモジュール(25)、
・前記セキュリティモジュール(25)が、セキュリティしきい値がトリガされると決定するとき、少なくとも前記考えられる投与量を含むユーザ通知を発行するように適合された通知モジュール(26)
を備えるプロセッサ(23)と、
- 前記ユーザと対話するように適合されたユーザインターフェースであって、
・前記ユーザ通知を前記ユーザに提供するように適合された出力モジュール、
・前記通知に関して前記ユーザから情報を受信するように適合された入力モジュール
を備えるユーザインターフェースと、
- 薬物投与デバイス(4)から薬物投与量データを受信するように適合された通信モジュール(27)と
を備え、
前記通知モジュール(26)が、前記ユーザが前記受信した薬物投与量データとは無関係に前記入力モジュールを通して前記通知に確認応答できるように適合される、コンピュータ化されたシステム。
【請求項2】
前記通知モジュール(26)が、前記通信モジュール(27)が通知に関連する薬物投与量データを受信した後でも、前記ユーザが前記入力モジュールを通して前記通知に確認応答できるように適合される、請求項1に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項3】
前記通知モジュール(26)が、作動可能なウィンドウを閉じるボタン(10)とともに前記通知を発行するように適合され、通知の確認応答が、前記ウィンドウを閉じるボタン(10)の作動を検出するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項4】
前記通知モジュール(26)が、作動時に、後の通知をトリガするように適合された、作動可能なリマインダボタン(11)とともに前記通知を発行するように適合され、通知の確認応答が、前記リマインダボタン(11)の作動を検出するステップを含む、請求項1に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項5】
前記通知モジュール(26)が、前記リマインダボタンの作動時に、前記考えられる薬物投与量を記載する代替ウィンドウ(12)の表示を制御するように適合される、請求項4に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記ユーザによって作動されると、直近の考えられる薬物投与量データを前記ユーザに提供するように適合された照会モジュール(28)をさらに備える、請求項1に記載のコンピュータ化されたシステム。
【請求項7】
ユーザに適用される薬物投与量の決定のためのコンピュータ化された方法であって、
・プロセッサの用量決定モジュール(24)が、メモリに含まれている、少なくとも時間ベースのユーザの代謝産物データを含むデータと、考えられる投与量およびデータを関連づける少なくとも1つのルールとに基づいて、考えられる薬物投与量を決定し、
・セキュリティモジュール(25)が、前記時間ベースのユーザの代謝産物データがセキュリティしきい値をトリガするかどうかを決定し、
・前記セキュリティモジュール(25)が、セキュリティしきい値がトリガされると決定するとき、通知モジュール(26)が、少なくとも前記考えられる投与量を含むユーザ通知を発行し、
・前記ユーザと対話するように適合されたユーザインターフェースの出力モジュールが、前記ユーザ通知を前記ユーザに提供し、
・前記ユーザインターフェースの入力モジュールが、前記通知に関して前記ユーザから情報を受信し、
・通信モジュール(27)が、薬物ディスペンサーから薬物投与量データを受信し、
・前記通知モジュール(26)が、前記ユーザが前記受信した薬物投与量データとは無関係に、前記入力モジュールを通して前記通知に確認応答できるようにする、コンピュータ化された方法。
【請求項8】
プログラムがコンピュータによって実行されると、前記コンピュータに請求項7に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物投与量の決定のためのコンピュータ化されたシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
より詳細には、本発明は、薬物投与量の決定のためのコンピュータ化されたシステムに関する。
【0003】
ユーザは、薬物の好適な量を決定する必要があることがある。詳細には、いくつかの条件について、ユーザは、医師または開業医の助けなしに、自身に投与される薬物の好適な量を決定する必要があることがある。
【0004】
本発明の一例は、たとえば、糖尿病の分野である。ユーザは、ユーザの血糖を調節するために自身に投与されるインスリンの量を決定する必要があることがある。この決定は、複数の因子を考慮に入れる。インスリンは、一般的に流体形態で皮内に投与される。
【0005】
文献WO2020/214,981は、ユーザが注入されるインスリンの用量を決定するために、ボーラス用量計算機を使用する例である。用量計算機の出力は、ユーザインターフェース上に表示される用量推奨(dose recommendation)である。この文献は、ユーザがその用量を注入するまで、用量推奨が表示されることを提案する。しかしながら、経過時間または用量の合計値に基づいて、ユーザインターフェース画面から用量推奨を消すまたは除去するために、様々なオプションが提示される。このシステムは、ボーラス用量計算を定期的に要求するという患者の習慣に大きく依存する。
【0006】
文献US2018/353,698は、学習用量計算機モジュール(learning dose calculator module)が患者に注入するためのインスリンの用量を決定するように適合されたインスリンペンシステムを記載している。このシステムは、ディスプレイ画面を有するスマートフォン上で動作するアプリケーションを備え、このアプリケーションは、その時点で計算されるグルコース補正用量のリアルタイムの表示を示し得る。いくつかの実装形態では、目標グルコース値に戻るために少なくとも一定量の薬剤の計算された用量が必要とされるとき、学習用量計算機モジュールの出力に基づいてアラームが生成される。しかしながら、アラームの場合の端末との患者の対話は、説明されていない。アラームが不適当に表示されたままになる危険があり、これは患者にとって厄介なことであり、分布異常(misdistribution)に至る可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2020/214,981
【特許文献2】US2018/353,698
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はしたがって、安全かつ効率的な方法でユーザが携行することができる薬物投与量システムを提供することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、ユーザに適用される薬物投与量の決定のためのコンピュータ化されたシステムに関し、このコンピュータ化されたシステムは、
- 少なくとも時間ベースのユーザの代謝産物データを含むデータを記憶するメモリと、
- プロセッサであって、
・上記のデータならびに考えられる投与量およびデータを関連づける少なくとも1つのルールに基づいて、考えられる薬物投与量を決定するように適合された用量決定モジュール、
・上記の時間ベースのユーザの代謝産物データがセキュリティしきい値をトリガするかどうかを決定するように適合されたセキュリティモジュール、
・セキュリティしきい値がトリガされるとセキュリティモジュールが決定するとき、少なくとも上記の考えられる投与量を含むユーザ通知を発行するように適合された通知モジュール
を備えるプロセッサと、
- ユーザと対話するように適合されたユーザインターフェースであって、
・上記のユーザ通知をユーザに提供するように適合された出力モジュール、
・通知に関してユーザから情報を受信するように適合された入力モジュール
を備えるユーザインターフェースと、
- 薬物ディスペンサーから薬物投与量データを受信するように適合された通信モジュールと
を備え、
通知モジュールは、ユーザが、上記の受信した薬物投与量データとは無関係に入力モジュールを通して通知に確認応答できるように適合される。
【0010】
これらの提供の結果、ユーザは、ユーザがシステムによる推奨を実際に適用するかどうかにかかわらず、薬物投与量通知を通知として扱ってもよい。通知システムは、ユーザのためにセキュリティを強化できるようにするが、糖尿病の対処に異なる感覚および知識をもつ様々なユーザにより使用可能である大きな柔軟性を可能にする。
【0011】
異なる態様によれば、単独でまたは組み合わせて取り込まれる以下の特徴の一方および/または他方を提供することが可能である。
【0012】
一実施形態によれば、通知モジュールは、通知モジュールが通知に関連する薬物投与量データを受信した後でも、ユーザが入力モジュールを通して通知に確認応答できるように適合される。
【0013】
一実施形態によれば、通知モジュールは、作動可能なウィンドウを閉じるボタン(actuatable window close button)とともに上記の通知を発行するように適合され、通知の確認応答は、上記のウィンドウを閉じるボタンの作動を検出するステップを含む。
【0014】
一実施形態によれば、通知モジュールは、作動時に、後の通知をトリガするように適合された、作動可能なリマインダボタン(actuatable reminder button)とともに上記の通知を発行するように適合され、通知の確認応答は、上記のリマインダボタンの作動を検出するステップを含む。
【0015】
一実施形態によれば、通知モジュールは、リマインダボタンの作動時に、上記の考えられる薬物投与量を記載する代替ウィンドウの表示を制御するように適合される。
【0016】
一実施形態によれば、プロセッサは、ユーザによって作動されると、直近に考えられる薬物投与量データをユーザに提供するように適合された照会モジュールをさらに備える。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、ユーザに適用される薬物投与量の決定のためのコンピュータ化された方法に関し、このコンピュータ化された方法は、
・プロセッサの用量決定モジュールが、メモリに含まれている、少なくとも時間ベースのユーザの代謝産物データを含む上記のデータと、考えられる投与量およびデータを関連づける少なくとも1つのルールとに基づいて、考えられる薬物投与量を決定し、
・セキュリティモジュールが、上記の時間ベースのユーザの代謝産物データがセキュリティしきい値をトリガするかどうかを決定し、
・セキュリティモジュールが、セキュリティしきい値がトリガされると決定するとき、通知モジュールが、少なくとも上記の考えられる投与量を含むユーザ通知を発行し、
・ユーザと対話するように適合されたユーザインターフェースの出力モジュールが、上記のユーザ通知をユーザに提供し、
・上記のユーザインターフェースの入力モジュールが、通知に関してユーザから情報を受信し、
・通信モジュールが、薬物ディスペンサーから薬物投与量データを受信し、
・通知モジュールは、ユーザが上記の受信した薬物投与量データとは無関係に、入力モジュールを通して通知に確認応答できるようにする。
【0018】
別の態様によれば、本発明は、プログラムがコンピュータによって実行されるとき、コンピュータに上記の方法を実行させる命令を含むコンピュータソフトウェアに関する。
【0019】
本発明の実施形態について、以下で簡単に説明する図面を参照しながら以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】薬物投与量システムを概略的に表す図である。
図2】一実施形態による、薬物投与デバイスを概略的に表す分解図である。
図3】端末の表の表示面を概略的に表す図である。
図4】端末の表の表示面を概略的に表す図である。
図5】端末の表の表示面を概略的に表す図である。
図6】端末の表の表示面を概略的に表す図である。
図7】端末の表の表示面を概略的に表す図である。
図8】端末の表の表示面を概略的に表す図である。
図9】端末の表の表示面を概略的に表す図である。
図10】端末の表の表示面を概略的に表す図である。
図11】端末の構成要素を概略的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面において、同一の参照符号は、同一または同様の物を示す。
【0022】
図1は、薬物投与量システム1の一例を示す。薬物投与量システム1について、糖尿病の場合の適用例に関して説明する。しかしながら、本発明の他の適用例が考えられる。薬物投与量システム1は、ユーザのパラメータを測定するように適合された検知システム2を備える。詳細には、検知システム2は、ユーザによって装着されるウェアラブルを含み得る。加えて、検知システム2は、ユーザのパラメータの測定を繰り返して行うように適合される。検知システム2は、時間データが測定データと関連づけられるように、クロックを備えてもよい。そのような検知システムは、連続検知システムと呼ばれることがある。検知システムは、生体内で測定を行うように適合され得る。したがって、測定されたパラメータは、たとえば、グルコースなどの代謝産物の濃度であることがある。
【0023】
検知システム2は、データをリモートシステムに通信するように適合されたデータ通信デバイスを備える。データ通信デバイスは、たとえば、本出願の優先日ではBluetooth(登録商標)規格に対応する近距離無線通信を使用して、ワイヤレスに通信するように適合され得る。
【0024】
薬物投与量システム1は、端末3をさらに含む。図11にさらに示されているように、端末3は、プロセッサ23と、メモリ22とを備える。端末3は、データをリモートシステムに通信するように適合されたデータ通信モジュール27を備える。データ通信モジュール27は、たとえば本出願の優先日ではBluetooth(登録商標)規格に対応する近距離無線通信を使用して、ワイヤレスに通信するように適合され得る。たとえば、端末3のデータ通信モジュール27および検知システム2のデータ通信デバイスは、互いに互換性があって、通信システムを形成し、それによって端末3および検知システム2は互いに通信する。詳細には、測定データ、および場合によっては時間データが、検知システム2から端末3に通信され、端末3のメモリに記憶される。
【0025】
端末3は、ユーザインターフェースをさらに備えてもよい。ユーザインターフェースは、ユーザが端末3のプロセッサ23および/またはメモリ22と通信できるようにする。ユーザインターフェースは、押しボタン、タッチスクリーン、音声コマンド、およびスピーカーなどのうちの1つまたは複数を備えてもよい。ユーザインターフェースは、それを通じてプロセッサがユーザに情報を提供し得る出力モジュール30と、それを通じてユーザがプロセッサに情報を提供し得る入力モジュール29とを備える。
【0026】
ユーザインターフェースは、ユーザがプロセッサに情報を提供できるように設計されてもよい。糖尿病の特定の例では、ユーザインターフェースは、食事の時間(開始時間、終了時間、…)、食事のサイズ(定性的または定量的)、食事のタイプ(朝食、昼食、夕食、軽食、…)、食事の栄養学的特性(脂肪分の多い食事、甘い食事、…)など、食事に関する情報を提供するためにユーザによって使用され得る。ユーザインターフェースは、身体運動(時間、強度、…)、またはシステムのパラメータ用の値など、他の情報を提供するためにユーザによって使用され得る。
【0027】
ユーザインターフェースは、ユーザから情報を取得できるように設計されてもよい。ユーザインターフェースは、たとえば、表示された情報をナビゲートし、入力または検索することができるように、選択されるオプションをユーザに提供するいくつかの画面を表示する。より詳細な例について、以下で説明する。
【0028】
図2により詳細に説明するように、薬物投与量システム1は、薬物投与デバイス4をさらに備える。薬物投与デバイス4は、薬物とともに容器5を備える。一般に、容器5は、複数回使用されるように、2回以上の用量の薬物を含む。薬物投与デバイス4は、薬物をユーザに投与するように適合された投与システム6をさらに備える。これは、たとえば、ユーザの身体に挿入される針14と、容器5から針14を通ってユーザの身体に薬物を放出するために押すことができるプランジャ15とを備える。
【0029】
薬物投与デバイス4は、設定システム7をさらに備える。設定システム7は、薬物投与デバイス4を使用して一度に注入され得る薬物の量を制限するために、ユーザによって設定され得る。たとえば、設定システム7は、たとえば、図示のように2単位の量に、ユーザによって設定されてもよく、投与システムは、薬物を投与するために作動され、2単位が注入されると、動作できないようにされる。たとえば、プランジャ用の設定可能な機械的栓(settable mechanical stop)が使用されてもよい。薬物投与デバイス4は、設定された用量を示すウィンドウ16を備えてもよい。他の実施形態も可能である。
【0030】
薬物投与デバイス4は、投与される薬物の量を推定するように適合された薬物量推定デバイスをさらに備える。たとえば、推定デバイスは、所定の時間の間の薬物投与システム6の作動によってトリガされる。推定デバイスは、開始時間から終了時間までに薬物投与デバイス4を出る薬物の量を推定する。薬物の量は、質量、体積、または任意の他の好適な量として決定されてもよい。
【0031】
たとえば、設定システム7は、基準に対する設定システムの位置が、投与される薬物の量を表すように、エンコーダを備える。薬物量推定デバイスは、エンコーダから投与される薬物の量に関する情報を集める。したがって、薬物の量は、投与の開始時と投与の終了時のエンコーダの位置の差に基づいて推定され得る。
【0032】
薬物投与デバイス4は、データをリモートシステムに通信するように適合されたデータ通信デバイス17をさらに備える。データ通信デバイス17は、たとえば、本出願の優先日ではBluetooth(登録商標)規格に対応する近距離無線通信を使用して、ワイヤレスに通信するように適合され得る。たとえば、端末3のデータ通信モジュール27および薬物投与デバイス4のデータ通信デバイス17は、互いに互換性があって、第2の通信システムを形成し、それによって端末3および薬物投与デバイス4は互いに通信する。詳細には、薬物量推定デバイスによって推定された投与薬物量推定データは、薬物投与デバイス4から端末3へ通信され、端末3のメモリ22に記憶される。
【0033】
薬物投与デバイス4は、キャップ18、シール19、…などの他の部品をさらに備えてもよい。
【0034】
端末3は、コントローラを備える。コントローラは、投与される薬物の量を決定するように適合された用量決定モジュール24を備える。コントローラはそれの決定を、ユーザによって入力されたデータ(上記で説明した生理学的情報および食事および活動情報など)、検知システム2から受信された測定データ、薬物デバイス4から受信された投与薬物データに基づく。
【0035】
たとえば、コントローラは、上記のデータに基づいて投与される薬物の量を決定するために、あらかじめ定義されたルールを実施する。
【0036】
たとえば、コントローラは、上記のデータを結合してユーザの生理機能を表す生理学的モデルを実施する。糖尿病の特定の場合では、コントローラは、少なくとも測定されたグルコースデータ、申告された食事、および身体活動、ならびに投与されたインスリンの履歴に基づいて、投与されるインスリンの量を決定するモデルを含む。
【0037】
本発明によれば、コントローラは、投与されるインスリンの最新の値を推定するために、繰り返して実行される。この値は、考えられる薬物投与量である。本明細書では、「推奨」用量とも呼ばれる。しかしながら、用量決定モジュールは、「推奨」用量の決定時に、必ずしも必要な情報すべてにアクセスできるとは限らない。したがって、「推奨」用量は、用量決定モジュールに利用可能な情報に照らして推奨されるにすぎない。用量推奨モジュールは、医療診断を行わない。
【0038】
たとえば、コントローラは、たとえば、数分ごとに、たとえば2分ごとにまたは15分ごとになど、事前設定された頻度で実行される。代替または追加として、コントローラは、端末3が検知システム2からセンサーデータを受信するたびに実行されてもよい。
【0039】
所与の時間に、ユーザは、決定された薬物の最新の量をチェックするために、端末に照会してもよい。たとえば、ユーザは、食事の前に、またはユーザが薬剤を注入できないことがわかっている時間期間、たとえば、車、列車、船、もしくは飛行機での移動、社交行事(レストラン、映画館、パーティ)その他の前に、これを行ってもよい。端末3は、直近に決定された薬物用量を知りたいユーザ(たとえば、押しボタンまたは音声コマンド)によって作動できる用量照会モジュール28を提供する。
【0040】
図3に示すように、端末3のディスプレイ8は、直近に決定された推奨用量を表示する。
【0041】
ユーザは次いで、ユーザが適切と思う任意の値に、薬物投与デバイス4の設定システム7を設定する。概して、ユーザは、コントローラによって提供される厳密な値を使用する義務はない。ユーザは、その日の残りについて何が計画されているかを端末よりもよくわかっているので、異なる量を投与することを決定してもよい。たとえば、ユーザは、次の12時間の間、薬物を投与することができないこと、または脂肪分の多い食事をすることをわかっており、推奨されるよりも多い量を投与してもよい。
【0042】
厳密な注入量は、第2の通信システムを通して端末3に通信される。
【0043】
いずれの場合も、直近に決定された用量は、薬物が注入されている、または注入されたばかりであっても、新しいセンサーデータおよび/または新しい注入データを考慮に入れる、コントローラによる新しい決定が実行されるまで、図3に示すように、端末に表示されたままである。
【0044】
一例によれば、ユーザがシステム1から薬物送達データを「プルする」上記の説明に加えて、システム1は、投与される薬物の量についてユーザに知らせることが適しているとシステム1が決定する「プッシュ」モードで動作する場合もある。詳細には、プロセッサは、セキュリティしきい値がトリガされたかどうかを決定するように適合されたセキュリティモジュール25を備える。
【0045】
本例では、投与量決定が頻繁に、たとえば1時間当たり多数回行われるので、セキュリティモジュールは、薬物の投与が推奨されることをユーザに通知するかどうかを決定するように適合される。
【0046】
セキュリティモジュールは、ユーザに通知するかどうかを決定するために、あらかじめ設定されたルールを適用する。ルールは、必要なときにのみユーザを妨げるように設定される。たとえば、ルールは、薬物が不足していることに関連する健康リスクの評価に基づいている。健康リスクは、セキュリティモジュールにあらかじめプログラムされてもよく、以下の基準の1つまたは複数に基づくトリガを含んでもよい。
- 検知されたデータが、あらかじめ設定された範囲の外にある。
- 検知されたデータの変化率が、あらかじめ設定された範囲の外にある。
- 検知されたデータの加速度が、あらかじめ設定された範囲の外にある。
- コントローラは、入力データに基づいて、将来の時間における検知されたデータについての値の予測を決定し、この予測値が、あらかじめ設定された範囲の外にある。
【0047】
基準は、たとえば、コントローラが新しい薬物投与推奨データを決定するために実行されるたびにチェックされる。基準が満たされない場合、ユーザに通知は提供されない。
【0048】
基準、または基準の1つが満たされる場合、通知モジュール26がユーザに通知する。たとえば、通知モジュールは、図4に示すように、端末のディスプレイ画面に警告メッセージを表示し、直近に決定された薬物投与推奨データもまた表示する。端末3は、ラウドスピーカーまたは振動システムなど、通知の発行をユーザに警告するための警告手段をさらに備えてもよい。
【0049】
図4でわかるように、ディスプレイ画面8は、推奨値の表示を含むウィンドウ9を表示する。ディスプレイ画面8は、ウィンドウを閉じるボタン10によってウィンドウを閉じるオプションをユーザに提供する。ディスプレイ画面8は、リマインダボタン11によって、ユーザがリマインダを求めることを可能にするオプションをさらに含んでもよい。ウィンドウを閉じるボタン10またはリマインダボタン11は、ユーザがプロセッサに通知の確認応答をすることを可能にする。
【0050】
ユーザがウィンドウを閉じるボタン10もリマインダボタン11も作動させない場合、ウィンドウは図4に示すように表示されたままである。
【0051】
ユーザがウィンドウを閉じるボタン10を作動させる場合、ウィンドウ9は、図5に示すように、リマインダボタン11と同様に、ディスプレイから除去される。必要な場合、ユーザは、「プル」モードで上記で説明したように直近に決定された推奨データにさらにアクセスしてもよい。
【0052】
ユーザがリマインダボタン11を作動させる場合、ウィンドウ8は、ディスプレイから除去され、リマインダボタン11も同様に除去される。しかし図6に示すように、アイコンまたは代替ウィンドウ12が、画面に表示されたままである。アイコンまたは代替ウィンドウ12は、推奨データの値を表示してもよい。事前設定時間の後、ユーザは、図4に示すように、通知を再び受信し得る。リマインダラグの事前設定時間は、コントローラによる2つの決定間の時間間隔よりも少なくてもよい。代替的に、リマインダラグの事前設定時間は、コントローラによる2つの決定間の時間間隔よりも多くてもよい。この場合、通知のリマインダを通知する前に、新しい決定が行われる場合、リマインダ通知は、以前の決定の代わりに更新された決定を含む。これは、詳細には、更新された決定が0よりも大きい、または少なくとも所定のしきい値よりも大きい場合である。たとえば、薬物がその間に投与され、投与された薬物が更新された決定に考慮されたために、更新された決定が0、または所定のしきい値よりも小さい場合、リマインダ通知はキャンセルされ、表示されない。2つの通知間の、「スヌーズ」時間とも呼ばれる、事前設定時間が、設定されてもよく、カスタマイズ可能/パラメータ化可能であってもよい。
【0053】
ユーザがボタンのいずれも押さないか、窓を閉じるボタン10またはリマインダボタン11を押すかどうかにかかわらず、いずれの場合も、ユーザが薬物を注入する場合、注入される薬物の量の値は、上記で説明したようにコントローラに転送される。
【0054】
薬物が注入され、情報が端末3に通信されると、端末3のディスプレイ8は、図7に示すような、注入された薬物の量、ならびに注入時間をユーザに提供するウィンドウ13を示す。たとえば、薬物投与デバイスは、投与される薬物の量を表すエンコーダを備え、エンコーダの現在の値は、繰り返して検出され、端末3に送信される。たとえば、エンコーダは、プランジャの位置が監視されるように、プランジャ15に関連づけられる。たとえば、ウィンドウ13は、薬の投与された量を表示するために繰り返して更新される。別の例によれば、薬物投与の終了は、薬物投与デバイスで検出され、投与された薬物の量は、そのとき端末3に通信される。薬物投与の終了は、たとえば、プランジャのエンドオブストローク接触(end-of-stroke contact)によって検出される。このウィンドウ13は、所定の時間量のために表示される。
【0055】
一実施形態によれば、図8に示すように、ウィンドウ13は、評価された用量を修正するためにユーザに可能性を提供し得る。ウィンドウ13はしたがって、「修正」ボタン20を含み、作動されると、推定された用量を変更するためにユーザに可能性を提供する。この変更は、たとえば事前設定された値だけ、表示された値の増減を制御するために、またはユーザが訂正を打ち込むためのキーボードにアクセスするために、増減記号を使用して可能であってもよい。ウィンドウ13はしたがって、修正が行われることをユーザが端末のプロセッサに知らせることを可能にする「確認」ボタン21を含む。「確認」ボタンは、変更が入力されない場合でも作動され得る。
【0056】
一実施形態によれば、端末3は、いくつかの状況においてのみ、たとえば、投与される薬物の量に応じて、修正ボタン20および確認ボタン21にアクセスできるようにする。たとえば、投与される薬物の量が所定のしきい値よりも少ない場合、修正ボタンおよび確認ボタンがユーザに表示される。したがって、投与される薬物が少ない場合、たとえば、プライミング用量(priming dose)を考慮に入れるために、ユーザが量を修正することが可能である。大きい用量の場合、プライミング用量の影響は小さくなり、用量が訂正される必要はない。
【0057】
一実施形態によれば、図4の実施形態に関係して図9に、および図5の実施形態に関係して図10にそれぞれ示すように、ウィンドウ13は、ウィンドウ9に隣接して表示されてもよく、ユーザが推奨用量および投与用量を同時に見ることを可能にする。
【0058】
投与が行われた後、ウィンドウ13はもはや表示されず、投与された薬物の情報は依然として、メニューナビゲーションによってユーザに利用可能であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、実際に投与された薬物の情報は、薬物投与の間または後にはライブで表示されず、薬物投与後はメニューナビゲーションによってのみ入手可能である。
【0060】
本発明の例示的な実施形態を2つの主要な実施形態に関して説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくそれらの要素に対して様々な変更、省略、および/または追加が行われる場合があり、均等物が代用される場合があることは、当業者に理解されよう。さらに、特定の状況または材料を本発明の教示内容に適合させるために、本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更が行われる場合がある。したがって、本発明は、本発明を実行するために企図された最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲の範囲内にあるすべての実施形態を含むものとする。さらに、特に明記されていない限り、第1の、第2のなどの用語の使用は、順序または重要度を示さず、むしろ第1の、第2のなどの用語は、1つの要素を別の要素と区別するために使用される。
【符号の説明】
【0061】
1 薬物投与量システム
2 検知システム
3 端末
4 薬物投与デバイス
5 容器
6 投与システム
7 設定システム
8 ディスプレイ
9 ウィンドウ
10 ウィンドウを閉じるボタン
11 リマインダボタン
12 代替ウィンドウ
13 ウィンドウ
14 針
15 プランジャ
16 ウィンドウ
17 データ通信デバイス
18 キャップ
19 シール
20 「修正」ボタン
21 「確認」ボタン
22 メモリ
23 プロセッサ
24 用量決定モジュール
25 セキュリティモジュール
26 通知モジュール
27 通信モジュール
28 照会モジュール
29 入力モジュール
30 出力モジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】