(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099520
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】ツイストループワイヤを有する医療装置送達システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20230706BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022211627
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】17/566,907
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513069064
【氏名又は名称】デピュイ・シンセス・プロダクツ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive, Raynham MA 02767-0350 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】レイシー・ゴロチョウ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・スラザス
(72)【発明者】
【氏名】ズーシアオ・チェン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD53
4C160DD63
4C160DD70
(57)【要約】
【課題】塞栓コイル及び他のインプラントの移植を容易にするための改良された方法、装置、及びシステムを提供すること。
【解決手段】塞栓コイルインプラントを治療部位に送達するための取り外しシステムが提供される。システムのプルワイヤ上でループ状にされるループワイヤは、プルワイヤに対する摩擦抵抗を増加させるために、1つ又は複数のツイストを含むことができる。追加の抵抗は、取り外しシステムが治療部位に到達する前に塞栓コイルが時期尚早に展開する可能性を減少させる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植込み型医療装置を身体血管の標的位置に送達するための取り外しシステムであって、
中を通って延在するルーメンと、圧縮された遠位チューブとを備える管状本体と、
前記管状本体に固定された第1の端部取付具及び第2の端部取付具を備え、かつ、前記圧縮された遠位チューブの遠位端に近接して位置付けられたループ開口部をさらに備えるループワイヤと、
前記ルーメン及び前記ループ開口部を通って延在するプルワイヤと、を備え、
前記ループワイヤが、前記ループワイヤと前記プルワイヤとの間の摩擦を増加させるために、前記ループワイヤが前記プルワイヤの周りに少なくとも1回ねじられるようなツイストを含む、取り外しシステム。
【請求項2】
前記ループワイヤが、前記プルワイヤの周りに複数回ねじられている、請求項1に記載の取り外しシステム。
【請求項3】
前記ループワイヤの遠位端が、前記プルワイヤに近接して摩擦コーティングを備える、請求項1に記載の取り外しシステム。
【請求項4】
前記ループワイヤ及び前記プルワイヤが、前記植込み型医療装置を前記取り外しシステムから解放するために移動可能である、請求項1に記載の取り外しシステム。
【請求項5】
前記ツイストが、前記ツイストを介して前記ループワイヤによって提供される摩擦抵抗に起因して前記プルワイヤの近位方向への並進を阻止することによって、前記植込み型医療装置の時期尚早な取り外しを阻止するのに有効である、請求項1に記載の取り外しシステム。
【請求項6】
前記管状本体が、前記圧縮された遠位チューブから近位方向に配置された可撓性コイルをさらに備え、前記ループワイヤが、前記プルワイヤ上にループ状にされるとき、前記可撓性コイルの伸長を阻止する、請求項1に記載の取り外しシステム。
【請求項7】
前記植込み型医療装置の近位端に近接して前記植込み型医療装置に固定されたキーと、
前記キーに係合され、前記植込み型医療装置のインプラントルーメンを通って延在し、前記植込み型医療装置の遠位端に近接して前記植込み型医療装置に固定された耐伸張性繊維と、をさらに備える、請求項1に記載の取り外しシステム。
【請求項8】
前記キーが、
前記キーを貫通する遠位開口部であって、前記耐伸張性繊維が前記遠位開口部を通過する、遠位開口部と、
前記キーを貫通する近位開口部と、
前記遠位開口部と前記近位開口部とを分離するブリッジと、を備える、請求項7に記載の取り外しシステム。
【請求項9】
前記ブリッジが、前記ループ開口部から遠位方向に前記プルワイヤの一部分を支持する、請求項8に記載の取り外しシステム。
【請求項10】
前記ツイストが、前記ブリッジの近位の前記ループワイヤ内に位置付けられている、請求項9に記載の取り外しシステム。
【請求項11】
前記プルワイヤが、前記キーの第1の側から、前記近位開口部を通って前記キーの第2の側に進み、前記ブリッジを横切り、前記遠位開口部を通って前記キーの前記第1の側に進むように、前記プルワイヤが前記ブリッジを横切って縫うように進む、請求項8に記載の取り外しシステム。
【請求項12】
植込み型医療装置を身体血管の標的位置に送達するための取り外しシステムであって、
前記取り外しシステムの管状本体を通って延在するプルワイヤと、
ループワイヤであって、前記ループワイヤの遠位端において前記プルワイヤ上にループ状にされ、前記プルワイヤの周りに少なくとも1回ねじられたループワイヤと、を備え、
前記ループワイヤ内のツイストが、前記ループワイヤの前記遠位端内のループ開口部に対する前記プルワイヤの近位方向への並進を阻止することによって、前記植込み型医療装置の時期尚早な取り外しを阻止するのに有効である、取り外しシステム。
【請求項13】
前記ループワイヤが、前記プルワイヤの周りに複数回ねじられている、請求項12に記載の取り外しシステム。
【請求項14】
前記取り外しシステムが、圧縮された遠位チューブを備え、前記管状本体が、前記圧縮された遠位チューブから近位方向に配置された可撓性コイルを備え、前記ループワイヤが、前記プルワイヤ上にループ状にされるときに前記可撓性コイルの伸長を阻止する、請求項12に記載の取り外しシステム。
【請求項15】
前記植込み型医療装置の近位端に近接して前記植込み型医療装置に固定されたキーと、
前記キーに係合され、前記植込み型医療装置のインプラントルーメンを通って延在し、前記植込み型医療装置の遠位端に近接して前記植込み型医療装置に固定された耐伸張性繊維と、をさらに備える、請求項12に記載の取り外しシステム。
【請求項16】
前記キーが、
前記キーを貫通する遠位開口部であって、前記耐伸張性繊維が前記遠位開口部を通過する、遠位開口部と、
前記キーを貫通する近位開口部と、
前記遠位開口部と前記近位開口部とを分離するブリッジと、を備える、請求項15に記載の取り外しシステム。
【請求項17】
前記ブリッジが、前記ループ開口部から遠位方向に前記プルワイヤの一部分を支持する、請求項16に記載の取り外しシステム。
【請求項18】
前記ツイストが、前記ブリッジの近位の前記ループワイヤ内に位置付けられている、請求項17に記載の取り外しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、ヒト対象の身体血管を通してナビゲートする血管内医療装置システムに関し、より詳細には、身体血管の標的位置に植込み型医療装置を送達及び展開するための取り外し/送達システムならびにそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は、動脈瘤に治療装置を送達して動脈瘤の嚢を塞栓材料で装填し、かつ/又は動脈瘤の頸部を遮断して動脈瘤への血流を抑制することによって血管内治療することができる。動脈瘤嚢を装填するときに、塞栓材料が、血液凝固を促して、動脈瘤内に血栓腫瘤を作り出す場合がある。実質的に動脈瘤嚢を装填することなく、動脈瘤頸部を治療する場合、動脈瘤頸部への血流を抑制して、動脈瘤内の静脈うっ血を誘発し、動脈瘤内での血栓腫瘤の自然な形成を容易にすることができる。
【0003】
いくつかの現在の治療では、動脈瘤嚢を装填するか、又は動脈瘤頸部の入口を治療するかのいずれかに複数の塞栓コイルが使用される。塞栓コイル治療の間の一般的な課題は、移植されたコイル及び部分的に移植されたコイルの移植された部分が絡まり、再位置決めが困難となることである。場合によっては、医師は、部分的に移植されたコイルを後退させることができない場合があり、理想的ではない場所にコイルを位置決めするように強いられる場合がある。動脈瘤頸部に不適切に位置決めされる塞栓コイルは、特に、入口及び/又は嚢が過剰に充填されている場合、血管に接合する際に、血液の流れを妨害するという有害作用を潜在的に有し得る。不適切に配置されたコイルの一部分が取り除かれる場合、当該部分が、隣接する血管に入り、血塊形成を促進するおそれがあり、最終的に、動脈瘤に繋留され、ひいては、治療が非常に困難な閉塞を引き起こす可能性がある。反対に、入口及び/又は嚢が十分に充填されていない場合、血流が動脈瘤内に残留する可能性がある。
【0004】
いくつかの現在の治療では、塞栓コイルは、管状送達装置に取り付けられ、送達カテーテルを介して動脈瘤に送達される。送達中、塞栓コイルは、送達部材のインプラント取り外し/展開システム(本明細書では、同等に「取り外しシステム」又は「展開システム」と呼ばれる)に係合され得る。塞栓コイルが定位置にあるとき、展開システムはコイルを解放することができ、コイルを移植されたままにすることができ、送達部材を後退させることができる。いくつかの治療は、本明細書において一般的に「プルワイヤ」と呼ばれる1つもしくは複数のワイヤ又は他の伸長された部材を引っ張ることによってインプラントを解放するために医師によって作動され得る機械的取り外し/展開システムを利用する。機械的取り外しシステムを有する送達部材を備えた塞栓コイルの送達及び展開に関連した課題のうちのいくつかには、近位へのプルワイヤの時期尚早な移動によるコイルの時期尚早な解放が含まれ、それにより、システムが治療部位に存在する前にコイルを開放する。これは、システムが曲がりくねった血管構造を通って治療部位に移動するために悪化する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、同様の課題に直面する塞栓コイル及び他のインプラントの移植を容易にするための改良された方法、装置、及びシステムに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、上述の必要性を満たすシステム、装置、及び方法を提供することである。本明細書に提示されるいくつかの例では、プルワイヤの時期尚早な近位方向への移動又は並進は、プルワイヤの周りに1回又は複数回ねじれるループワイヤを提供し、それによってプルワイヤに対してより大きな摩擦を提供することによって減少させることができる。
【0007】
身体血管の標的位置に植込み型医療装置を送達するための取り外しシステムは、中を通って延在するルーメンと、圧縮された遠位チューブとを備える管状本体を含むことができる。取り外しシステムは、管状本体に固定された第1の端部取付具及び第2の端部取付具を備えるループワイヤを含むことができる。ループワイヤは、圧縮された遠位チューブの遠位端に近接して位置付けられたループ開口部をさらに含むことができる。取り外しシステムは、ルーメン及びループ開口部を通って延在するプルワイヤを含むことができる。ループワイヤは、ループワイヤとプルワイヤとの間の摩擦を増加させるために、ループワイヤがプルワイヤの周りに少なくとも1回ねじられるようなツイストを含むことができる。
【0008】
ループワイヤは、プルワイヤの周りに1回ねじられ得るが、他の実施例では、ループワイヤは、プルワイヤの周りに複数回ねじられ得る。追加のツイストは、プルワイヤとループワイヤとの間の接合部の摩擦/緊密性を増加させることができる。
【0009】
ループワイヤは、プルワイヤとループワイヤとの間の摩擦を増加させるために、プルワイヤに近接して摩擦コーティングを含むことができる。
【0010】
ループワイヤ及びプルワイヤは、取り外しシステムから植込み型医療装置を解放するために移動可能であり得る。
【0011】
ツイストは、ツイストを介してループワイヤによって提供される摩擦抵抗に起因してプルワイヤの近位方向への並進を阻止することによって、植込み型医療装置の時期尚早な取り外しを阻止することができる。
【0012】
管状本体は、圧縮された遠位チューブから近位方向に配置された可撓性コイルを含むことができる。ループワイヤは、プルワイヤ上にループ状にされるとき、可撓性コイルの伸長を阻止することができる。
【0013】
取り外しシステムは、植込み型医療装置の近位端に近接して植込み型医療装置に固定されたキーを含むことができる。取り外しシステムは、キーに係合され、植込み型医療装置のインプラントルーメンを通って延在し、植込み型医療装置の遠位端に近接して植込み型医療装置に固定された耐伸張性繊維を含むことができる。キーは、それを貫通する遠位開口部を含むことができ、耐伸張性繊維は、遠位開口部を通過する。キーは、それを貫通する近位開口部を含むことができる。キーは、遠位開口部と近位開口部とを分離するブリッジを含むことができる。ブリッジは、ループ開口部から遠位方向にプルワイヤの一部分を支持することができる。ツイストは、ブリッジの近位のループワイヤ上に位置付けられることができる。
【0014】
プルワイヤは、プルワイヤがキーの第1の側から、近位開口部を通ってキーの第2の側に進み、ブリッジを横切り、遠位開口部を通ってキーの第1の側に進むように、ブリッジを横切って縫うように進むことができる。
【0015】
身体血管の標的位置に植込み型医療装置を送達するための取り外しシステムは、取り外しシステムの管状本体を通って延在するプルワイヤを含むことができる。取り外しシステムは、ループワイヤの遠位端でプルワイヤ上にループ状にされ、プルワイヤの周りに少なくとも1回ねじられたループワイヤを含むことができる。ループワイヤ内のツイストは、ループワイヤの遠位端のループ開口部に対するプルワイヤの近位方向への並進を阻止することによって、植込み型医療装置の時期尚早な取り外しを阻止することができる。
【0016】
ループワイヤは、プルワイヤの周りに1回ねじられ得るが、他の実施例では、ループワイヤは、プルワイヤの周りに複数回ねじられ得る。追加のツイストは、プルワイヤとループワイヤとの間の接合部の摩擦/緊密性を増加させることができる。
【0017】
取り外しシステムは、圧縮された遠位チューブを含むことができる。管状本体は、圧縮された遠位チューブから近位方向に配置された可撓性コイルを含むことができる。ループワイヤは、プルワイヤ上にループ状にされるとき、可撓性コイルの伸長を阻止することができる。
【0018】
取り外しシステムは、植込み型医療装置の近位端に近接して植込み型医療装置に固定されたキーを含むことができる。取り外しシステムは、キーに係合され、植込み型医療装置のインプラントルーメンを通って延在し、植込み型医療装置の遠位端に近接して植込み型医療装置に固定された耐伸張性繊維を含むことができる。キーは、それを貫通する遠位開口部を含むことができ、耐伸張性繊維は、遠位開口部を通過することができる。キーは、それを貫通する近位開口部を含むことができる。キーは、遠位開口部と近位開口部とを分離するブリッジを含むことができる。ブリッジは、ループ開口部から遠位方向にプルワイヤの一部分を支持することができる。ツイストは、ブリッジの近位のループワイヤ上に位置付けられ得る。
【0019】
塞栓インプラントを有する取り外しシステムを構築し、インプラントを展開するための方法は、中を通って延在するルーメンと、圧縮可能遠位チューブとを備える、管状本体を提供することを含むことができる。方法は、ループワイヤを管状本体に固定することを含むことができる。方法は、圧縮可能遠位チューブを圧縮することを含むことができる。方法は、ループワイヤがルーメンを通して延在されるように、圧縮可能遠位チューブの遠位端に近接してループワイヤ内のループ開口部を位置付けることを含むことができる。方法は、ルーメンを通してプルワイヤを延在させることを含むことができる。方法は、ループ開口部を植込み型医療装置のキーを通して延在させることを含むことができる。方法は、ループワイヤをプルワイヤの周りに少なくとも1回ねじることを含むことができる。方法は、プルワイヤの遠位端を、ねじられたループワイヤのループ開口部を通して延在させることを含むことができる。
【0020】
インプラントを展開する方法は、植込み型医療装置が、血管構造を通って治療部位に送達される間、プルワイヤの周りのねじられたループワイヤの摩擦抵抗を介して、ループワイヤを通るプルワイヤの並進を阻止することを含むことができる。方法は、プルワイヤが近位方向に並進し、治療部位において植込み型医療装置を解放するように、摩擦抵抗を克服することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の上記及びさらなる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照してさらに考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例解として、本発明のデバイスの1つ又は複数の実装形態を描写している。
【
図1A】本発明の態様による、送達/取り外しシステム及びインプラントの例示である。
【
図1B】本発明の態様による、取り外し機構(すなわち、キー)に近接するループワイヤのツイストを示す取り外しシステムの詳細図である。
【
図1C】本発明の態様による、ループワイヤが遠位チューブにおいてシステムに係留/取付られる、取り外しシステムの別の図である。
【
図2A】本発明の態様による、その中を通る耐伸張性繊維を有する取り外し機構(すなわち、キー)の例示である。
【
図2B】本発明の態様による、その中を通る耐伸張性繊維を有する取り外し機構(すなわち、キー)の例示である。
【
図3A】本発明の態様による、塞栓コイルに固定された取り外し機構の例示である。
【
図3B】本発明の態様による、塞栓コイルに固定された取り外し機構の例示である。
【
図3C】本発明の態様による、塞栓コイルに固定された取り外し機構の例示である。
【
図4】本発明の態様による、動脈瘤内に位置付けられている塞栓コイルの例示である。
【
図5A】本発明の態様による、プルワイヤにおいて摩擦を増加させる例示的なループワイヤの変形例の例示である。
【
図5B】本発明の態様による、プルワイヤにおいて摩擦を増加させる例示的なループワイヤの変形例の例示である。
【
図5C】本発明の態様による、プルワイヤにおいて摩擦を増加させる例示的なループワイヤの変形例の例示である。
【
図6A】本発明の態様による、取り外しシステムから塞栓インプラントを解放するための一連の工程を例示する。
【
図6B】本発明の態様による、取り外しシステムから塞栓インプラントを解放するための一連の工程を例示する。
【
図6C】本発明の態様による、取り外しシステムから塞栓インプラントを解放するための一連の工程を例示する。
【
図6D】本発明の態様による、取り外しシステムから塞栓インプラントを解放するための一連の工程を例示する。
【
図7】本発明の態様による、取り外しシステム及びインプラントを設計、構築、又は構成し、インプラントを送達するためのステップを例示するフローチャートである。
【
図8A】本発明の態様による、プルワイヤがブリッジの周りを縫うように進むことを可能にする取り外し機構(すなわち、キー)の設計の例示である。
【
図8B】本発明の態様による、プルワイヤが複数のブリッジの周りを縫うように進むことを可能にする取り外し機構(すなわち、キー)の設計の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的は、治療部位、すなわち、動脈瘤にコイルを配置する前に、取り外しシステムからの塞栓コイルの時期尚早な取り外しの発生を減少させるか、又は最終的に防止することである。より具体的には、本発明の目的は、取り外しシステムのループワイヤとプルワイヤとの間の接合部に追加の支持を提供することである。塞栓コイル送達システムのためのある現在の設計は、圧縮から解放されると、塞栓コイルを治療部位に送達する、圧縮された遠位チューブを有する、管状本体を含むことができる。その遠位チューブ(本明細書では「遠位ハイポチューブ」とも呼ばれる)内には、ループワイヤ及びプルワイヤの両方が延びる。ループワイヤは、インプラントの取り外し機構(本明細書では「キー」とも呼ばれる)内に延在し、遠位ハイポチューブをその圧縮状態に固定するためにプルワイヤ上でループを形成することができ、同時に、キーに取り付けられる塞栓コイルも含む。従来の設計に対する1つの一般的な落とし穴は、例えば、医師が屈曲部を通してデバイスを送達しているときに、プルワイヤがループワイヤから近位に時期尚早に並進し得る可能性があり、反作用摩擦力が、プルワイヤを後退させることである。塞栓コイルからの取り外しシステムの時期尚早な取り外しは、医師がもはや動脈瘤内への塞栓コイルの取り外しのタイミングを制御しないため、重大な問題となり得る。本デバイス、システム、及び方法は、塞栓コイルの早期の不注意な展開に対する解決策を提供する。
【0023】
図を参照すると、
図1Aは、本発明の態様による、送達/取り外しシステム10及び植込み型医療装置12(示される例では、塞栓コイルである)の図である。植込み型医療装置12は、本明細書ではインプラント12とも呼ばれる。取り外しシステム10は、近位チューブ100と、支持コイル200を備えるコイル状セクション600と、遠位チューブ300と、コイル状セクション600を取り囲むスリーブ500と、コイル状セクション600を通って延在するループワイヤ400と、コイル状セクション600を通って延在するプルワイヤ140とを含むことができる。プルワイヤ140の遠位端144は、インプラント12のキー18(本明細書では「取り外し機構」とも呼ばれる)の近位部分を少なくとも部分的に越えて延在することができる。取り外しシステム10は、近位チューブ100、支持コイル200を備えるコイル状セクション600、及び遠位チューブ300によって形成される管状本体90を有することができる。遠位ハイポチューブ300が圧縮可能部分306を含むときに関して以下で説明するように、遠位チューブ300が圧縮されるとき、遠位チューブ300は、圧縮遠位チューブと呼ぶことができる。
【0024】
近位チューブ100の近位端102は、送達部材(例えば、カテーテル250)内で近位に延在することができる。近位チューブ100の遠位端104は、支持コイル200の近位端202に接続することができる。支持コイル200の遠位端204は、一端で遠位チューブ300に接続することができ、インプラント12は、遠位チューブ300の遠位端304で遠位チューブ300に接続することができる。近位チューブ100は近位ルーメン108を含むことができ、コイル状セクション600及び支持コイル200はコイルルーメン208を含むことができ、遠位チューブ300は遠位ルーメン308を含むことができる。近位ルーメン108、コイルルーメン208、及び遠位ルーメン308は、プルワイヤ140及びループワイヤ400が通過する連続ルーメンを提供する。
【0025】
コイル状セクション600は、鋼などの非放射線不透過性材料から主に形成することができ、白金及び/又はタングステンなどの放射線不透過性材料から作製された放射線不透過性セクション216を含み得る。放射線不透過性セクション216は、支持コイル200の近位の非放射線不透過性セクションと支持コイル200の遠位の非放射線不透過性セクションとの間に位置決めすることができる。放射線不透過性セクション216は、治療手技中に医師がシステムの遠位部分の配置を容易に可視化することができるように、取り外しシステム10の遠位端304から所定の距離に位置決めされ得る。支持コイル200の近位セクション、放射線不透過性セクション216、及び遠位セクションは、同心円状に溶接され得る。
【0026】
スリーブ500は、可撓性セクション106の少なくとも一部分を覆って、血管内ナビゲーション中に可撓性セクションの変形を阻止し、かつ/又は血管構造及び可撓性セクション106との摩擦を低減することができる。いくつかの例では、スリーブ500は、近位チューブ100の遠位端104に接近する及び/又は含む近位チューブ100の約10cmを覆うことができる。取り外しシステム10が組み立てられると、コイル状セクション600及びスリーブ500は、遠位ハイポチューブ300及び近位ハイポチューブ100よりも柔軟であり得る。可撓性を測定する1つの方法は、3点曲げ試験を実行することであり、取り外しシステム10の一部分が、2つの端点で固定されて保持され、力が、点の間の中央で取り外しシステム10に垂直に加えられ、可撓性は、力によって引き起こされる取り外しシステム10のたわみの長さによって定量化される。このように測定されるとき、いくつかの例では、コイル状セクション600及びスリーブ500は、遠位ハイポチューブ300よりも約1.5倍柔軟であり、近位ハイポチューブ100よりも約20倍柔軟であり得る。換言すれば、3点試験が3つのセクション100、600、300で同じように実行されるとき、コイル状セクション600は、遠位ハイポチューブ300のたわみ長さの約1.5倍、及び近位ハイポチューブ100のたわみの長さの約20倍の長さにわたってたわむことができる。可撓性は、当業者によって認識され理解されるように、他の方法で測定することができる。取り外しシステム10が組み立てられると、コイル状セクション600及びスリーブ500は、可撓性が当業者に既知である他の手段によって判定されるとき、遠位ハイポチューブ及び近位ハイポチューブよりも可撓性であり得る。
【0027】
ループワイヤ400は、管状本体90に沿った位置で取り外しシステム10に取り付けることができる。ループワイヤ400は、ループワイヤ400をルーメン108、208、308の壁に接続するため第1の端部取付具406と、ループワイヤ400の反対側の端部をルーメン108、208、308の壁に接続するため第2の端部取付具408とを含むことができる。第1の端部取付具406及び第2の端部取付具408は、溶接、接着剤、又はループワイヤ400を管状本体90に接続する他の機械的締結具であり得る。第1の端部取付具406及び第2の端部取付具408は、
図1Aに示されるように、近位ハイポチューブ100に沿って、又はコイル状セクション600もしくは近位ハイポチューブ300に沿ったものを含む、管状本体90の任意の他の場所に沿って位置することができる。
【0028】
ループワイヤ400は、上述され、
図1Aに示されるように、ループワイヤ400とプルワイヤ140との間に追加の抵抗/摩擦を提供するためにツイスト650を含むことができる。
図1Bは、本発明の態様による、取り外し機構(すなわち、キー18)に近接するループワイヤ400のツイスト650を示す、取り外しシステム10の詳細図を提供する。従来のシステムでは、ループワイヤ400は、キー18に近接したプルワイヤ140の一方の側にある。キー18の近位端を通過した後、ループワイヤ400は、キー18の周り及びプルワイヤ140の周りをループワイヤ140の他方の側にループし、それによって、キー18をプルワイヤ140に固定する。プルワイヤ140をループワイヤ400のループを越えて近位方向に並進させることによって、キー18(及びインプラント12)を取り外しシステム10から展開することができる。
図1Bでは、第1の端部取付具406及び第2の端部取付具408は、管状本体90に沿ってデバイス上の近位に位置する。
図1Cは、遠位チューブ300に沿って管状本体90に固定/取り付けられたループワイヤ400の一例を提供する。例えば、いくつかの実施形態によるものでは、第1の端部取付具406及び第2の端部取付具408は、遠位チューブ300に沿って位置付けられる。
【0029】
上述のように、従来のシステムに関する1つの共通の懸念は、システムが屈曲部を通して送達されるときプルワイヤの不注意な近位方向への並進である。ループワイヤ400をプルワイヤ140の周りに1回以上ねじることによって、さらなる抵抗が、プルワイヤの不注意な近位方向への並進を防止する。ツイスト650のさらなる詳細及び変形例は、
図5A~
図5Cの説明において提供される。プルワイヤ140がループワイヤ400の端部でループから取り外されると、遠位チューブ300の圧縮された部分が拡張してインプラント12を送達することができるように、遠位チューブ300を圧縮することができるか、又は遠位チューブ300の一部を圧縮することができる。
図6A~6Bは、遠位ハイポチューブ300の圧縮可能部分306の詳細図を提供する。
【0030】
図2A及び
図2Bは、本発明の態様による、それぞれが中を通る耐伸張性繊維16を有する取り外し機構(すなわち、キー18)の例示である。
図2Aは、機械的取り外しシステム10及び/又は送達チューブ(例えば、遠位ハイポチューブ300)と係合するようにサイズ設定された近位部分32を有する、二重開口キー18aを例示している。近位部分32は、幅W1を有するものとして例示されている。二重開口キー18aは、塞栓コイル(例えば、インプラント12)のルーメン13内に嵌合するようにサイズ設定された遠位部分34を有し得る。遠位部分34は、インプラント12の内径とほぼ同じ幅である幅W2を有するより広いセクションと、インプラント12の内径よりも狭い幅W3を有するテーパ状セクションとを有し得る。二重開口キー18aは、近位部分32よりも狭く、送達チューブのルーメン(例えば、遠位ルーメン308)内に嵌合するようにサイズ設定されている、近位タブ38を有し得る。二重開口キー18aの「二重開口」は、キー18aの面内の2つの別個の開口部、例えば、近位開口部22及び遠位開口部24を指すことができる。ブリッジ28は、図示のように、近位開口部22と遠位開口部24とを分離することができる。ブリッジ28は、取り外しシステム10が装填/展開前状態にあるときに、プルワイヤ140の遠位端144を支持するために使用することができる。
【0031】
図2Bは、機械的取り外しシステム10及び/又は送達チューブ(例えば、遠位ハイポチューブ300)と係合するようにサイズ設定されている近位部分32を有する単一開口キー18bを例示している。近位部分32は、幅W1を有して例示されている。単一開口キー18bは、近位部分32よりも狭く、インプラント12のルーメン13内に嵌合するようにサイズ設定されている、遠位部分34を有し得る。単一開口キー18bは、二重開口キー18aについても示されているように、近位部分32よりも狭く、送達チューブのルーメン内に嵌合するようにサイズ設定されている近位タブ38を有し得る。
【0032】
本明細書でキー18を参照する場合、二重開口キー18a又は単一開口キー18bを含むものと理解されるよう。キー18が形成された後、耐伸張性繊維16は、二重開口キー18aの遠位開口部24、又は単一開口キー18bの単一開口部26に通され得る。縫合糸材料などであり得る耐伸張性繊維は、インプラントの塞栓コイル部分にキーを固定することができる。キー18は、キー18の近位部分32の遠位端に係合面36を含むことができる。係合面36は、インプラント12の近位端15に当接し得る。
【0033】
図3A~
図3Cは、本発明の態様による、塞栓コイル(例えば、インプラント12)に固定されたキー18の例示である。具体的には、
図3A及び
図3Bは、遠位部分34がインプラント12のルーメン内13に完全に挿入された状態のキー18の例示であり、キー18は、溶接部42又は他の取付具によってインプラント12に固定される。溶接部52は、キー18の係合面36がインプラント12の近位端15と交わる位置に位置付けることができる。
図3A及び
図3Bの両方では、キー18は、インプラント12のルーメン13の内径にほぼ等しい遠位部分34の長さの少なくとも一部分を上回る幅を有する、遠位部分34を有して例示されている。
【0034】
図4は、本発明の態様による、動脈瘤A内に位置付けられている塞栓コイル(例えば、インプラント12)の例示である。取り外しシステム10は、カテーテル250を介して血管BVを通過して動脈瘤Aに至る。位置付けられると、インプラント(複数可)12は、動脈瘤嚢内で屈曲して、血栓性塊を形成し得る。インプラント(複数可)12は、それ自体に巻きつく、及び/又は隣の他のインプラントに巻きついてもよい。動脈瘤Aが次第に充填されると、インプラント12の重複部分が互いに押し込まれ得る。
【0035】
図5A~
図5Cは、本発明の態様による、プルワイヤ140における摩擦を増大させる例示的なループワイヤ400の変形例の例示である。
図5A及び
図5Bは、プルワイヤ140の遠位端144におけるループワイヤ400のツイスト650の変形例を具体的に示す。上述したように、ループワイヤ400は、プルワイヤ140の一方の側で管状部材のルーメン(例えば、ルーメン108、208、308)を通って延在することができる。ループワイヤがキー18の近位端(例えば、近位延長部38)を通過した後、ループワイヤ400は、プルワイヤ140と交差することができ、ループワイヤ400の遠位端404は、プルワイヤ140が通過する開口部405を形成する。
【0036】
本取り外しシステム10は、ループワイヤ400がプルワイヤ400と交差する場所の近位にあるループワイヤ内にツイスト650を含むことができる。ツイスト650は、プルワイヤ400の最後の遠位開口部405で終端する前に、ループワイヤ400をプルワイヤの周りに少なくとも1回通過させる。このツイスト650は、
図5Aに示されるように単一のツイストであってもよく、又はツイスト650は、
図5Bに示されるように複数のツイストであってもよい。1つ又は複数のツイスト650は、プルワイヤ140の遠位端144における緊密性の程度を増加させることができ、それによって、インプラント12の望ましくない近位方向への並進及び結果として生じる時期尚早な展開を防止する。上述したように、キーが二重開口キー18aである場合、プルワイヤ140の遠位端144は、近位開口部22と遠位開口部24との間のブリッジ28によって支持され得る。ツイスト650は、これらの例では、ブリッジ28の近位に位置付けられることができ、ループワイヤ400内の開口部405は、近位開口部22内に位置付けられることができる。キーが単一開口キー18bである場合、ループワイヤ400の開口部405は、単一開口部26内にあり得る。
【0037】
図5Cを参照すると、例示的な取り外しシステム10は、プルワイヤ140が通って延在するループワイヤ400内の開口部405に近接するループワイヤ400の遠位端404上に摩擦コーティング652を含むことができる。摩擦コーティング652は、プルワイヤ140とループワイヤ400との間の接合部における摩擦を増加させるために、シリコーン、ゴム、合成ポリマー、又は他のコーティングを含むことができる。あるいは、ループワイヤ400の遠位端404は、プルワイヤ140とループワイヤ400との間の接合部における摩擦を増加させるため、例えばハッチマークなどを提供することによって、粗面を有することができる。いくつかの例では、プルワイヤ140の遠位端144は、追加の摩擦を作り出すように構成することもできる。ある従来のシステム設計では、低摩擦ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コーティングが、インプラント12のより容易な展開を可能にするように摩擦を減少させるために、プルワイヤ140に塗布されてもよい。しかしながら、容易な展開は、場合によっては、インプラントの不注意な展開を引き起こす可能性がある。プルワイヤ140の遠位端144は、PTFEコーティングを含まないことが企図される。いくつかの例では、プルワイヤ140の遠位端144は、プルワイヤ140とループワイヤ400との間の接合部における摩擦を増加させるために、シリコーン、ゴム、合成ポリマー、又は他のコーティングを含むことができる。あるいは、プルワイヤ140の遠位端144は、プルワイヤ140とループワイヤ400との間の接合部における摩擦を増加させるため、例えば、ハッチマーク等を提供することによって、粗面を有することができる。
【0038】
図6A~
図6Dは、本発明の態様による、取り外しシステム10から塞栓インプラント12を解放するための一連の工程を例示している。
図6Aは、インプラント12の送達及び位置位置付けのために構成された、インプラント12及び送達チューブ(例えば、遠位ハイポチューブ300)の例示である。
図6B~
図6Dは、例示的な塞栓インプラント12を遠位ハイポチューブ300から解放することを示す。遠位ハイポチューブ300の一部分は、例示目的のために切り取られている。管状本体90のより近位の特徴は、図に示されていない。
【0039】
図6Aは、インプラント12のキー18内にロックされたプルワイヤ140及びループワイヤ400を含む取り外しシステムを示す(
図6A~
図6Dに示すキーは、二重開口キー18aであるが、図は、単一開口キー18b又は三重開口キー18cに等しく適用することができる)。遠位チューブ300は、圧縮可能部分306を含み得る。ループワイヤ400は、ループワイヤ400の遠位端404に開口部405を有することができ、開口部405は、キー18内の開口部(例えば、二重開口キー18a内の近位開口部22、又は単一開口キー18b内の単一開口部26)を通して配置することができる。上述したように、ツイスト650は、終端部、すなわちプルワイヤ140が通って延在する開口部405の近位のプルワイヤ140の周りでねじられ得る。プルワイヤ140が開口部405を通って配置されると、インプラント12は、ここで固定される。
【0040】
二重開口キー18aの場合、ループワイヤ開口部405から遠位に位置付けられ、ループワイヤ開口部405がプルワイヤ140のそばで周りを巻く場所の遠位にある、プルワイヤ140の遠位部分を支持するように位置付けられている、ブリッジ28を含み得る。このように構成されると、ブリッジ28は、ループワイヤ400がループ開口部405でプルワイヤ140に張力をかけているときに、ブリッジ28がプルワイヤ140の遠位部分の変形を阻止できるように、プルワイヤ140の遠位部分を支持することができる。キー18の近位タブ38は、ループワイヤ開口部405がプルワイヤ140によって支持される場所の近位にある、プルワイヤ140の一部分を支持するように位置付けられ得る。ブリッジ28と近位タブ38との組み合わせは、ループワイヤ400によって加えられる力によってプルワイヤ140が変形することを抑制することができる。遠位ハイポチューブ300は、血管構造を通してのインプラント12の送達中、及びインプラント12が治療部位に位置付けられている間、
図6Aに例示されるように、インプラント12に着脱可能に取り付けられることができる。ブリッジ28は、ループワイヤ400からの力に起因するプルワイヤ140の屈曲に起因して、インプラント12が時期尚早に解放される可能性を低減し得る。
【0041】
図6Bは、インプラント12の解放シーケンスを開始するために、近位に引き込まれているプルワイヤ140を例示している。
図6Cは、プルワイヤ140が開口部405から出て、ループワイヤ400から引きほどかれた瞬間を例示している。ループワイヤ400の遠位端404は外れて、キー18から抜ける。図から分かるように、ここでインプラント12を遠位ハイポチューブ300に保持しているものは何もない。
図6Dは、解放シーケンスの終了を示す。ここで、圧縮可能部分306は元の形状に拡張し/戻り、前方に「弾ける」。遠位ハイポチューブ300の遠位端304により弾性力Eがインプラント12に付与されて、これを離れる方向に「押し出し」、インプラント12の完全な分離及び送達を確実にする。圧縮可能部分306は、遠位ハイポチューブ300のスパイラルカット部分、例えば、取り外しシステム10が装填されるときに圧縮され得るレーザカットスパイラルセグメントであり得る。
【0042】
図7は、本発明の態様による、取り外しシステム10及びインプラント12を設計、構築、又は構成するための方法800を例示するフロー図である。ステップ704から732は、本明細書に説明される取り外しシステム10のうちの1つ又は複数を作り出す/構築するためのステップを説明する。ステップ704では、取り外しシステム10の構築は、中を通って延在するルーメン(例えば、ルーメン108、208、308)と、圧縮可能遠位チューブ(例えば、遠位ハイポチューブ300)とを備える、管状本体90を提供することによって開始することができる。ステップ708では、ループワイヤ400を管状本体90に固定することができる。例えば、ループワイヤの近位端は、第1の端部取付具406及び第2の端部取付具408において管状本体に取り付けられ得る。
【0043】
ステップ712では、圧縮可能遠位チューブ300は、その装填構成に圧縮され得る。ステップ716で、ループワイヤ400内のループワイヤ開口部405は、ループワイヤ400がルーメン(例えば、ルーメン108、208、308)を通して延在されるように、圧縮可能遠位チューブの遠位端304に近接して位置付けられることができる。ステップ720では、プルワイヤ140は、ルーメン(例えば、ルーメン108、208、308)を通して延在され得る。
【0044】
ステップ724では、ループ開口部405は、植込み型医療装置12のキー18を通して延在され得る。ステップ728では、ループワイヤ400は、プルワイヤ140の周りで少なくとも1回ねじられてもよく、それによって、本明細書に記載されるループワイヤツイスト650を作り出す。ステップ732では、プルワイヤ140の遠位端144は、ねじられたループワイヤ140のツイスト650及びループ開口部405を通して延在され得る。
【0045】
取り外しシステム10を作り出す/構築するためのステップは、ステップ732の後に終了することができる。いくつかの実施例では、ステップ736及び740は、プルワイヤ140の不注意な近位方向への並進を阻止し、インプラントが展開され得るような追加のステップを提供する。例えば、ステップ736では、ループワイヤ400を通るプルワイヤ140の近位並進は、植込み型医療装置12が血管構造を通って治療部位に送達される間、プルワイヤ140の周りのねじられたループワイヤ400の摩擦抵抗を介して抑制され得る。ステップ740では、ループワイヤ400とプルワイヤ140との間の接合部の摩擦抵抗は、プルワイヤ140が近位方向に並進し、治療部位において植込み型医療装置12を解放するように克服され得る。
【0046】
いくつかの例では、キー18は、プルワイヤ140の時期尚早の近位方向への並進をさらに阻止するために、プルワイヤ140に追加の摩擦を提供するように設計され得る。
図8A及び
図8Bは、そのような構築の例を提供し、プルワイヤ140は、キー18の1つ又は複数のブリッジの周りを縫うように進む。
図8Aは、
図2Aを参照して示し、上述したように、「二重開口部」キー18aを示す。キー18aは、図示されるように、近位開口部22と遠位開口部24とを分離するブリッジ28を含むことができる。いくつかの例では、プルワイヤ140は、プルワイヤ140とキー18aとの間の接合部に追加の摩擦を作り出すように、ブリッジ28の周りを縫うように進むことができる。例えば、
図8Aに示すように、プルワイヤ140は、キー18aの第1の側でキー18aの近位タブ38の上を通過し、キー18aの第2の側でブリッジ28の上/下を通過し、キー18aの第1の側に戻って縫うように進み、キー18aの第1の側でキー18aの遠位端40の上で静止することができる。プルワイヤ140をブリッジ28の周りで縫うように進める際に、プルワイヤ140は、プルワイヤ140の不注意な近位方向への並進を阻止するように、キー18aとのより強い係合を有することができる。
【0047】
いくつかの例では、キー18は、プルワイヤ140がより多く縫うように進むことを可能にし、したがって追加の摩擦を提供するために、複数のブリッジを含むことができる。
図8Bを参照すると、キー18c(例えば、三重開口部キー)は、第1のブリッジ42及び第2のブリッジ44を含む。第1のブリッジ42は、近位タブ38と第1のブリッジ42との間に第1の開口部46を作り出す。第2のブリッジ44は、第1のブリッジ42と第2のブリッジ44との間に第2の開口部48を作り出すとともに、第2のブリッジ44とキー18cの遠位端40との間に第3の開口部50を作り出す。この例示的な設計では、プルワイヤ140は、第1の開口部46、第2の開口部48、及び第3の開口部50を通って第1のブリッジ42及び第2のブリッジ44の周りを縫うように進むことができる。例示すると、プルワイヤ140は、キー18aの第1の面でキー18cの近位タブ38の上を通過し、キー18cの第2の側で第1のブリッジ42の上/下を通過し、キー18cの第1の側で第2のブリッジ44の下/上を通過し、キー18cの第2の側に縫うように戻り、キー18cの第2の側でキー18cの遠位端40上に静止することができる。
図8A及び
図8Bを参照して説明された縫うように進んだプルワイヤ140は、本明細書で説明されるツイストループワイヤ400とともに使用され得ることが理解されるであろう。また、
図8A及び
図8Bを参照して説明された縫うように進んだプルワイヤ140は、摩擦を増加させる手段として、ツイストループワイヤ400の代替として実装され得ることが理解されるであろう。
【0048】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は数値の範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書において説明されるその意図された目的に沿って機能することを可能にする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指してもよい。
【0049】
本明細書に含まれる説明は、本発明の実施形態の例であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。本明細書に記載されるように、本発明は、代替的な材料、構成要素部品の代替的な幾何学形状、構成要素部品の互いに対する代替的な位置決めなどを含む、インプラントの多くの変形例及び修正例、ならびにインプラントを作製及び使用するための方法を企図する。これらの修正例は、本発明が関連する当業者には明らかであり、以下の特許請求の範囲内であることが企図される。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) 植込み型医療装置を身体血管の標的位置に送達するための取り外しシステムであって、
中を通って延在するルーメンと、圧縮された遠位チューブとを備える管状本体と、
前記管状本体に固定された第1の端部取付具及び第2の端部取付具を備え、かつ、前記圧縮された遠位チューブの遠位端に近接して位置付けられたループ開口部をさらに備えるループワイヤと、
前記ルーメン及び前記ループ開口部を通って延在するプルワイヤと、を備え、
前記ループワイヤが、前記ループワイヤと前記プルワイヤとの間の摩擦を増加させるために、前記ループワイヤが前記プルワイヤの周りに少なくとも1回ねじられるようなツイストを含む、取り外しシステム。
(2) 前記ループワイヤが、前記プルワイヤの周りに複数回ねじられている、実施態様1に記載の取り外しシステム。
(3) 前記ループワイヤの遠位端が、前記プルワイヤに近接して摩擦コーティングを備える、実施態様1に記載の取り外しシステム。
(4) 前記ループワイヤ及び前記プルワイヤが、前記植込み型医療装置を前記取り外しシステムから解放するために移動可能である、実施態様1に記載の取り外しシステム。
(5) 前記ツイストが、前記ツイストを介して前記ループワイヤによって提供される摩擦抵抗に起因して前記プルワイヤの近位方向への並進を阻止することによって、前記植込み型医療装置の時期尚早な取り外しを阻止するのに有効である、実施態様1に記載の取り外しシステム。
【0051】
(6) 前記管状本体が、前記圧縮された遠位チューブから近位方向に配置された可撓性コイルをさらに備え、前記ループワイヤが、前記プルワイヤ上にループ状にされるとき、前記可撓性コイルの伸長を阻止する、実施態様1に記載の取り外しシステム。
(7) 前記植込み型医療装置の近位端に近接して前記植込み型医療装置に固定されたキーと、
前記キーに係合され、前記植込み型医療装置のインプラントルーメンを通って延在し、前記植込み型医療装置の遠位端に近接して前記植込み型医療装置に固定された耐伸張性繊維と、をさらに備える、実施態様1に記載の取り外しシステム。
(8) 前記キーが、
前記キーを貫通する遠位開口部であって、前記耐伸張性繊維が前記遠位開口部を通過する、遠位開口部と、
前記キーを貫通する近位開口部と、
前記遠位開口部と前記近位開口部とを分離するブリッジと、を備える、実施態様7に記載の取り外しシステム。
(9) 前記ブリッジが、前記ループ開口部から遠位方向に前記プルワイヤの一部分を支持する、実施態様8に記載の取り外しシステム。
(10) 前記ツイストが、前記ブリッジの近位の前記ループワイヤ内に位置付けられている、実施態様9に記載の取り外しシステム。
【0052】
(11) 前記プルワイヤが、前記キーの第1の側から、前記近位開口部を通って前記キーの第2の側に進み、前記ブリッジを横切り、前記遠位開口部を通って前記キーの前記第1の側に進むように、前記プルワイヤが前記ブリッジを横切って縫うように進む、実施態様8に記載の取り外しシステム。
(12) 植込み型医療装置を身体血管の標的位置に送達するための取り外しシステムであって、
前記取り外しシステムの管状本体を通って延在するプルワイヤと、
ループワイヤであって、前記ループワイヤの遠位端において前記プルワイヤ上にループ状にされ、前記プルワイヤの周りに少なくとも1回ねじられたループワイヤと、を備え、
前記ループワイヤ内のツイストが、前記ループワイヤの前記遠位端内のループ開口部に対する前記プルワイヤの近位方向への並進を阻止することによって、前記植込み型医療装置の時期尚早な取り外しを阻止するのに有効である、取り外しシステム。
(13) 前記ループワイヤが、前記プルワイヤの周りに複数回ねじられている、実施態様12に記載の取り外しシステム。
(14) 前記取り外しシステムが、圧縮された遠位チューブを備え、前記管状本体が、前記圧縮された遠位チューブから近位方向に配置された可撓性コイルを備え、前記ループワイヤが、前記プルワイヤ上にループ状にされるときに前記可撓性コイルの伸長を阻止する、実施態様12に記載の取り外しシステム。
(15) 前記植込み型医療装置の近位端に近接して前記植込み型医療装置に固定されたキーと、
前記キーに係合され、前記植込み型医療装置のインプラントルーメンを通って延在し、前記植込み型医療装置の遠位端に近接して前記植込み型医療装置に固定された耐伸張性繊維と、をさらに備える、実施態様12に記載の取り外しシステム。
【0053】
(16) 前記キーが、
前記キーを貫通する遠位開口部であって、前記耐伸張性繊維が前記遠位開口部を通過する、遠位開口部と、
前記キーを貫通する近位開口部と、
前記遠位開口部と前記近位開口部とを分離するブリッジと、を備える、実施態様15に記載の取り外しシステム。
(17) 前記ブリッジが、前記ループ開口部から遠位方向に前記プルワイヤの一部分を支持する、実施態様16に記載の取り外しシステム。
(18) 前記ツイストが、前記ブリッジの近位の前記ループワイヤ内に位置付けられている、実施態様17に記載の取り外しシステム。
(19) 方法であって、
中を通って延在するルーメンと、圧縮可能遠位チューブとを備える、管状本体を提供することと、
ループワイヤを、前記管状本体に固定することと、
前記圧縮可能遠位チューブを圧縮することと、
前記ループワイヤが前記ルーメンを通して延在されるように、前記圧縮可能遠位チューブの遠位端に近接して前記ループワイヤ内のループ開口部を位置付けることと、
プルワイヤを、前記ルーメンを通して延在させることと、
植込み型医療装置のキーを通して前記ループ開口部を延在させることと、
前記ループワイヤを前記プルワイヤの周りに少なくとも1回ねじることと、
前記プルワイヤの遠位端を、前記ねじられたループワイヤの前記ループ開口部を通して延在させることと、を含む、方法。
(20) 前記プルワイヤの周りの前記ねじられたループワイヤの摩擦抵抗を介して、前記植込み型医療装置が血管構造を通して治療部位に送達される間、前記ループワイヤを通る前記プルワイヤの並進を阻止することと、
前記プルワイヤが近位に並進し、前記治療部位において前記植込み型医療装置を解放するように、摩擦抵抗を克服することと、をさらに含む、実施態様19に記載の方法。
【外国語明細書】