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特開2023-99523多段ヒータを備えた薄膜蒸着装置およびそれを用いた薄膜蒸着方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099523
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】多段ヒータを備えた薄膜蒸着装置およびそれを用いた薄膜蒸着方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/46 20060101AFI20230706BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
C23C16/46
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212167
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194446
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523000167
【氏名又は名称】ハンファ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】禹 ▲ラム▼
(72)【発明者】
【氏名】金 相▲ボ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 鎭煥
(72)【発明者】
【氏名】千 ▲ミン▼鎬
(72)【発明者】
【氏名】李 承俊
【テーマコード(参考)】
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
4K030GA02
4K030GA06
4K030KA04
4K030KA08
4K030KA23
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131BA03
5F131BA04
5F131CA32
5F131EA04
5F131EB31
5F131EB57
5F131EB72
(57)【要約】
【課題】複数のヒータを多階層で構成する際に必要な安定した基板支持を提供する薄膜蒸着装置を提供する。
【解決手段】多段薄膜蒸着装置は、複数の基板を処理するチャンバと、前記複数の基板それぞれの下部に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材と、前記複数のヒータ部材それぞれを貫通して昇降し、かつ前記複数の下面を支持するリフトピンと、前記リフトピンの下端が安着することができ、前記複数のヒータ部材の間の熱遮蔽機能を有する複数の熱遮蔽板と、前記複数のヒータ部材を一体に結合し、かつ支持する複数の支持コラムと、からなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を処理するチャンバと、
前記複数の基板それぞれの下部に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材と、
前記複数のヒータ部材それぞれを貫通して昇降し、かつ前記複数の基板の下面を支持するリフトピンと、
前記リフトピンの下端が安着することができ、前記複数のヒータ部材の間の熱遮蔽機能を有する複数の熱遮蔽板と、
前記複数のヒータ部材を結合し、かつ支持する複数の支持コラムと、を含む、薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記複数の支持コラムが安着する(seated)ベースと、
前記チャンバ内で前記ベースを昇下降させる昇下降駆動部と、
前記チャンバ内で前記ベースを回転させる回転駆動部と、をさらに含む、請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記複数の基板に対応して設けられ、前記複数の基板それぞれにプロセスガスを供給するために前記チャンバの側壁に形成された噴射ポートと、
前記複数の基板に対応して設けられ、前記プロセスガスが前記複数の基板を蒸着した後に残った残余ガスを排出する排気ポートと、をさらに含む、請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記複数の支持コラムはベースコラムを含み、前記複数のヒータ部材のうちの特定のヒータ部材は前記ベースコラムによって前記ベースからエンドツーエンド(end-to-end)で支持される、請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記複数の支持コラムは連結コラムを含み、前記特定のヒータ部材が最上段のヒータ部材でない場合に前記特定のヒータ部材は前記連結コラムによって前記最上段のヒータ部材まで連結される、請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記ベースコラムは縦方向に形成された中空(hollow)を有して、前記特定のヒータ部材を加熱する熱源に電源を供給するケーブルが前記中空内に収納される、請求項4に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記複数の支持コラムは前記複数のヒータ部材と同じ個数だけの前記ベースコラムと、前記複数のヒータ部材と同じ数より1だけ小さい個数の連結コラムと、を含む、請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記特定のヒータ部材には前記連結コラムを安着するための上側開放溝と、前記特定のヒータ部材と異なる他のヒータ部材から出発する連結コラムを結合するための貫通溝と、が形成される、請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記特定のヒータ部材が最上段ヒータ部材である場合に、
前記特定のヒータ部材には他のヒータ部材から出発する連結コラムを結合するための下側開放溝が形成される、請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記複数のヒータ部材、前記複数の熱遮蔽板および前記複数の支持コラムの個数はいずれも4個であり、
前記4個の支持コラムは前記複数のヒータ部材および前記複数の熱遮蔽板の円周方向に沿って、近距離空間および遠距離空間を有するように非等角に配置され、
前記遠距離空間を介して前記複数の基板がロードおよびアンロードされる、請求項7に記載の薄膜蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜蒸着技術に関し、より詳細には垂直に積層された複数の基板に反応ガスを供給して薄膜を蒸着させる薄膜蒸着装置およびそれを用いた薄膜蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板に反応ガスを供給して薄膜を蒸着させる薄膜蒸着方法は、原子層薄膜蒸着(ALD;Atomic Layer Deposition)および化学気相蒸着(CVD;Chemical Vapor Deposition)などが知られている。前記原子層薄膜蒸着法は基板に反応ガスの供給とパージとを交互に行って基板に吸着および蒸着させる方法であり、前記化学気相蒸着法は反応ガスを同時に噴射して基板に蒸着させる方法である。
【0003】
このような薄膜蒸着方法を用いる装置は、単一基板反応炉は基板を直接加熱して基板より低い温度で基板に反応ガスを均一に供給する。これは単一基板のみ処理するので高品質の薄膜を得ることができるが、低速の蒸着速度で行うべき条件では生産性が顕著に減少する問題があった。
【0004】
このような点で、従来の韓国登録特許第10-1625478号公報によれば、反応室内部に前記複数の基板を垂直に積層して支持する基板支持部、前記複数の基板それぞれの下部に対応するように配置されて基板を加熱する複数のヒータ、および前記複数のヒータを垂直に積層して支持するヒータ支持台を備えた薄膜蒸着装置が開示されている。特に、前記基板支持部は、前記複数の基板外郭に垂直に立設された複数の基板支持台と、前記基板支持台に結合されて前記基板下部を支持するリフトピンと、前記基板支持台を昇下降させて前記リフトピンに支持された基板を前記ヒータの上に安着または脱着させる基板駆動部と、を含む。したがって、多階層の基板支持部とヒータとにより複数の基板を同時に処理できる長所が提供される。
【0005】
しかし、このような従来の特許においても、個別のヒータを多階層で構成する際に、各階層別のヒータの上に配置される基板の安定的支持構造や、各階層別のヒータに安定的に電源を供給するためのケーブル連結方式については考慮されていない。また、垂直多段ヒータのうち、一つのヒータの発熱が隣接した他のヒータに意図しない温度変化を引き起こすという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、複数のヒータを多階層で構成する際に必要な安定した基板支持を提供する薄膜蒸着装置を提供することにある。
【0007】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、垂直多段ヒータにおいて各階層別に発熱による温度影響を最小化した薄膜蒸着装置を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、基板支持台のそれぞれの階層別に隔壁を形成して、ヒータの後面や基板の後面が蒸着される問題を解消しようとすることにある。
【0009】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、垂直多段ヒータを個別に制御できるようにすることによって処理される基板の温度の不均一性を減少させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、複数の基板を処理するチャンバと、前記複数の基板それぞれの下部に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材と、前記複数のヒータ部材それぞれを貫通して昇降し、かつ前記複数の下面を支持するリフトピンと、前記リフトピンの下端が安着することができ、前記複数のヒータ部材の間の熱遮蔽機能を有する複数の熱遮蔽板と、前記複数のヒータ部材を一体に結合し、かつ支持する複数の支持コラムと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明による薄膜蒸着装置によれば、既存のファーネス装備では実現が難しい基板の温度均一性効果を期待することができる。
【0012】
また、本発明による薄膜蒸着装置によれば、従来の垂直多段ヒータにおいて垂直方向にアップ/ダウン時に各階層に熱が伝達される問題を防止しながらも効率的に基板を支持する基板支持構造が提供される。
【0013】
また、本発明による薄膜蒸着装置によれば、ガス噴射時に回転によって蒸着均一性を向上させながらも、ヒータ間の温度均一性を維持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置を示す斜視図である。
図2a図1の薄膜蒸着装置をA-A’方向に切り取った断面斜視図である。
図2b図1の薄膜蒸着装置をA-A’方向に切り取った縦断面図である。
図3a】工程位置におけるベース上に取り付けられた多段ヒータアセンブリを示す正面図である。
図3b】ロード位置におけるベース上に取り付けられた多段ヒータアセンブリを示す正面図である。
図4図3aの多段ヒータアセンブリを示す斜視図である。
図5図1の薄膜蒸着装置をB-B’方向に切り取った断面斜視図である。
図6】本発明の一実施形態による熱遮蔽板を下方から見た斜視図である。
図7a】本発明の一実施形態による多段ヒータアセンブリのうちベースを除いた分解斜視図である。
図7b図7aの多段ヒータアセンブリを図7aと異なる方向から見た分解斜視図である。
図8】本発明の一実施形態によるヒータ部材のうち最上層ヒータ部材を下方から見た斜視図である。
図9a】本発明の一実施形態による第4階層のヒータ部材、第4階層の熱遮蔽板および該当支持コラムを示す正面図である。
図9b】本発明の一実施形態による第3階層のヒータ部材、第3階層の熱遮蔽板および該当支持コラムを示す正面図である。
図9c】本発明の一実施形態による第2階層のヒータ部材、第2階層の熱遮蔽板および該当支持コラムを示す正面図である。
図9d】本発明の一実施形態による第1階層のヒータ部材、第1階層の熱遮蔽板および該当支持コラムを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付する図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置100を示す斜視図である。
【0017】
薄膜蒸着装置100は複数の基板を処理するチャンバ10と、ロボットアームのような基板移送手段によって前記複数の基板をロードまたはアンロードするための基板出入口70と、前記複数の基板それぞれにプロセスガスを供給するために前記チャンバ10の側壁に形成された噴射ポート11と、プロセスガスの残余物を排出する排気ポート12と、を含んで構成されることができる。また、薄膜蒸着装置100はチャンバ10内の部品を昇降または回転させるための駆動部を含む下部ブロック30をさらに含むことができる。
【0018】
図2aは図1の薄膜蒸着装置100をA-A’方向に切り取った断面斜視図であり、図2bは図1の薄膜蒸着装置100をA-A’方向に切り取った縦断面図である。図2aおよび図2bを参照すると、チャンバ10の内部にはヒータ部材および熱遮蔽板が多階層で設けられた多段ヒータアセンブリ50が収容される。このような多段ヒータアセンブリ50は下部に配置された駆動部20により昇降および回転運動が可能なように構成される。このような駆動部20は例えば、回転可能なモータが昇降可能な線状アクチュエータ上に配置されて回転および昇降運動を両方とも提供するように構成されることができる。前記回転は一般的に回転方向を変えながら360度以内で回動する動きであり、前記昇降は基板をロードまたはアンロードするためにロード位置と基板を蒸着するための工程位置との間での直線的な動きである。
【0019】
図3aは工程位置におけるベース59上に取り付けられた多段ヒータアセンブリ50を示す正面図であり、図3bはロード位置におけるベース59上に取り付けられた多段ヒータアセンブリ50を示す正面図である。
【0020】
多段ヒータアセンブリ50は前記複数の基板(図示せず)それぞれの下部に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4と、前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4それぞれを貫通して昇降し、かつ前記複数の下面を支持するリフトピン53-1,53-2,53-3,53-4と、前記リフトピンの下端が安着することができ、前記複数のヒータ部材の間の熱遮蔽機能を有する複数の熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4と、を含む。前記リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4は後述する図4に示すように、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4を貫通して形成された貫通孔54-1,54-2,54-3,54-4に嵌め込まれて複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4を基準に昇降することができる。
【0021】
前記ロード位置で前記複数の基板がロード/アンロードされるときには、前記リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4は図3bのように、前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4から上方に突出する。反面、前記工程位置で前記複数の基板が蒸着されるときには、前記リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4は前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4から上方に突出しないので、前記複数の基板は前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4上に安着する。リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4は前述したように、ヒータ部材の貫通孔54-1,54-2,54-3,54-4に嵌め込まれてその内部で昇降できる一方で、チャンバ10内の作業シーケンスに従ってその下端は熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4の上面に安着するか(ストッパの役割)、前記上面から多少離隔することができる。また、前記リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4はそれが属する階層と関係なくチャンバ内で同期的に昇降することができる。
【0022】
このような複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4は複数の支持コラム55,56により一体に結合されて支持される。このような複数の支持コラムは後述する複数のベースコラム(55:55-1,55-2,55-3,55-4)と複数の連結コラム(56:56-1,56-2,56-3)で構成されることができる。一例として、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4はそれぞれ対応するベースコラム(55:55-1,55-2,55-3,55-4)と一体に形成されることができ、それぞれ対応する連結コラム(56:56-1,56-2,56-3)と連結されて支持されることができる。これとは異なり、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4は複数のベースコラム55および複数の連結コラム56と分離および結合可能に提供されることができる。そのため、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4のいずれか一つが破損または故障する場合、ヒータ部材51全体でない対象ヒータ部材51のみを交換することができ、機器のメンテナンスコストを低減させることができる。
【0023】
前記複数の支持コラム55,56は下側に配置されたベース59に安着する(seated)。また、前記ベース59からは駆動部20と結合されるシャフト58が延長形成される。この時、駆動部20は昇下降駆動部によって前記チャンバ10内で前記ベース59を昇下降させることができ、同時に回転駆動部によって前記チャンバ10内で前記ベース59を回転させることができる。したがって、前記複数の支持コラム55,56により結合された多段ヒータアセンブリ50は前記ベース59とともに一体で昇下降するかまたは回転することができる。ただし、複数の熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4は複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4が下降するときにはリフトピン53-1,53-2,53-3,53-4の下端を支持し、前記ヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4が上昇するときにはリフトピン53-1,53-2,53-3,53-4の下端から多少離隔することができる。この時、チャンバ内の作業シーケンスに従って、前記熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4が前記ヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4に相対的な昇降動きを有するようにするために、別の駆動要素が必要である。このような駆動要素としては複数の熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4の昇降のための別途の駆動装置を配置するか、複数の熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4が上昇するとき、特定の地点以降からは複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4とともに上昇するように複数の支持コラム55,56に突起を形成する方式などを考慮することができる。
【0024】
このように本発明の実施形態では多階層の数が4個である場合を例示して説明するが、これに限らず、複数の階層であればすべて適用が可能である。ただし、複数の基板の同時処理および基板のロード/アンロードの便宜性、支持コラムの個数などを考慮すると、前記多階層の数が4個であることが好ましい。
【0025】
図4図3aの多段ヒータアセンブリ50を示す斜視図である。
【0026】
前述した通り、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の間には相互間に熱干渉を起こし得、これは基板の蒸着の不均一性に繋がり得るので、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の間には複数の熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4が配置される。図3bのような基板ロード/アンロード段階で、このような熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4の上面によってリフトピンの下端が支持され得るので、熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4は熱遮蔽機能と共に、前記リフトピンによる基板支持機能もさらに有することができる。前記熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4の熱遮蔽効果を向上するために、セラミック、合成樹脂、合成ゴムのような非金属素材で作られることができる。また、前記熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4は前記ヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4より大きい面積を有し、チャンバ10内の側壁10aの内面と対応する大きさを有することができる。また、このような大面積の熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4は特定階層の工程ガスが上部階層のヒータ部材の後面や基板の後面を蒸着させる問題を防止することにも寄与することができる。
【0027】
一方、4個の支持コラム55,56は複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4および複数の熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4の円周方向に沿って、近距離空間および遠距離空間を有するように非等角に配置されることが好ましい。このように、4個の支持コラム55,56を非等角に配置する理由は基板が複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4上にロード/アンロードできるように十分な空間を確保するためである。したがって、前記非等角に配置されたコラム55,56の間のうち、遠距離空間を介して前記複数の基板がロードおよびアンロードされる。したがって、図2aにおいて基板出入口70-1,70-2,70-3,70-4はいずれも前記遠距離空間と整列している。
【0028】
図5図1の薄膜蒸着装置100をB-B’方向に切り取った断面斜視図である。チャンバ10は側壁10a、上部カバー10bおよび下壁10cを含んで構成されることができる。ここで、上部カバー10bは管理のためにチャンバ10の内部を開放できるように備えられ、下壁10cは開口部を含んでベース59から延びるシャフト58が貫通できるようにする。
【0029】
チャンバ10の側壁10aには前記複数の基板に対応して複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4および複数の排気ポート12-1,12-2,12-3,12-4が設けられる。前記複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4は前記複数の基板それぞれにプロセスガスを供給し、前記複数の排気ポート12-1,12-2,12-3,12-4は前記プロセスガスが前記複数の基板を蒸着した後に残った残余ガスを排出する機能を有する。
【0030】
図5に示す位置でヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4がより上昇して蒸着工程のための配置になったとき、複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4は複数の基板ないしヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の上面と最も近接する状態となる。すなわち、それぞれの基板処理のための蒸着空間は各噴射ポートおよび排気ポートと誤差範囲内で同一線上に位置するようになる。
【0031】
この時、4個の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4に対応して4個の蒸着空間が形成されることができる。具体的には、第4噴射ポート11-4は上部カバー10bとヒータ部材51-4との間の蒸着空間を担当し、第3噴射ポート11-3は熱遮蔽板52-4とヒータ部材51-3との間の蒸着空間を担当し、第2噴射ポート11-2は熱遮蔽板52-3とヒータ部材51-2との間の蒸着空間を担当し、第1噴射ポート11-1は熱遮蔽板52-2とヒータ部材51-1との間の蒸着空間を担当する。
【0032】
また、ヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の上昇により蒸着空間を形成する際、前記ヒータ部材の上昇位置に応じて蒸着空間の高さおよび大きさも変更されることができる。したがって、基板の大きさ、蒸着ガスの種類、蒸着速度などの蒸着条件に従って、昇降部によってヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の上昇高さを微調節することも可能である。
【0033】
一方、図示していないが、前記チャンバ10の内部には前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4に対応して取り付けられる複数の温度センサが備えられることができる。そのため、前記複数の温度センサで感知した温度に基づいて前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4それぞれが個別の温度に制御されるように可変制御が可能である。すなわち、前記複数の熱遮蔽板52-1,52-2,52-3,52-4によっても熱遮蔽が充分でない場合は、このような可変温度制御によってより正確な温度で基板を蒸着することができる。また、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4それぞれの温度を個別に制御可能に提供することにより複数の蒸着空間の温度を個別に制御することができる。このためには、それぞれのヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4に別途の熱源および電源ケーブルが提供されるべきであるが、これについては図9aを参照して後述する。
【0034】
図6は本発明の一実施形態による熱遮蔽板(52-1,52-2,52-3,52-4:52)を下方から見た斜視図である。図示のように、熱遮蔽板52には、前記4個の支持コラム55,56を前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の間に連結するのに干渉が発生しないように、所定の円周角度(circumferential angle)内で半径方向内側に窪んだリセス62が形成される。
【0035】
この時、前記リセス62は図4に示すように、前記支持コラム55,56の間の前記近距離空間をカバーできる大きさの前記円周角度を有する。
【0036】
図7aは本発明の一実施形態による多段ヒータアセンブリのうちベース59を除いた分解斜視図であり、図7bは図7aの多段ヒータアセンブリを図7aと異なる方向から見た分解斜視図である。
【0037】
前記複数の支持コラム55,56はベースコラム55-1,55-2,55-3,55-4と、前記ベースコラム55-1,55-2,55-3,55-4とインライン上に配置されるコラム56-1,56-2,56-3と、を含む。
【0038】
ベースコラム55-1,55-2,55-3,55-4は、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4それぞれをベース59からエンドツーエンド(end-to-end)で支持する役割をする。また、連結コラム56-1,56-2,56-3は複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4それぞれを前記ベースコラムを除いた残りの長さだけ最上段のヒータ部材51-4まで連結する役割をする。もちろん、前記特定のヒータ部材が最上段のヒータ部材51-4であればその上に連結のための連結部材(すなわち、56-4)は存在しない。
【0039】
図7aおよび図7bに示すように、インラインに配置されたベースコラムおよび支持コラムの組み合わせはその長さの合計は、4個の円周方向位置と関係なく常に同一である。
【0040】
具体的に調べると、第1階層のヒータ部材51-1をベース59から支持するベースコラム55-1の長さを1とするとき、前記ベースコラム55-1と連結されて第4階層のヒータ部材51-4まで連結される連結コラム56-1の長さは3である。
【0041】
また、第2階層のヒータ部材51-2をベース59から支持するベースコラム55-2の長さを2とするとき、前記ベースコラム55-2と連結されて第4階層のヒータ部材51-4まで連結される連結コラム56-2の長さは2である。
【0042】
また、第3階層のヒータ部材51-3をベース59から支持するベースコラム55-3の長さを3とするとき、前記ベースコラム55-3と連結されて第4階層のヒータ部材51-4まで連結される連結コラム56-3の長さは1である。
【0043】
最後に、第4階層のヒータ部材51-4をベース59から支持するベースコラム55-4の長さは4であるから、連結コラムは存在しない。
【0044】
このように、支持コラム55,56の位置と関係なくベースコラムと連結コラムの長さの合計は常に一定であり、複数の支持コラム55,56は前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4と同じ個数だけのベースコラム55-1,55-2,55-3,55-4と、その個数より1だけ小さい個数だけの連結コラム56-1,56-2,56-3と、を含む。
【0045】
一方、前記ベースコラムが直接支持するヒータ部材は前記ベースコラムと一体に形成されるが、その以外のヒータ部材にはベースコラムおよび連結コラムを結合するための結合溝が必要であり得る。
【0046】
したがって、図7aおよび図7bに示すように、それぞれのヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4には前記連結コラムを安着するための上側開放溝61aと、他のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4から出発する連結コラムまたは前記他のヒータ部材を直接支持するベースコラムと結合するための貫通溝61bと、が形成されることができる。ただし、最上段の第4ヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4にはベース59から直接連結されたベースコラム55-4以外に、他の連結コラムを結合するための下側開放溝61cのみが形成されることができる。
【0047】
このように、本発明による多段薄膜蒸着装置では、それぞれの階層のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4とベース59とを連結する少なくとも一つのベースコラム55-1,55-2,55-3,55-4が固定されるか、または一体で構成されることができる。したがって、ヒータ部材はすべての階層で少なくとも一つのベースコラムによってベース59と直接連結されるので、複数の階層をそれぞれを支持する同一長さのコラムによって階層別に積層する場合に発生し得る累積組立誤差を防止することができ、下部の階層の揺動が全体階層の揺動につながる問題を解決することができる。また、それぞれのベースコラムの内部に中空を形成して、ヒータ部材内の熱源と電源との間の連結のためのケーブルを収納できる長所も発生する。
【0048】
図8は本発明の一実施形態によるヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4のうち最上層、すなわち第4階層のヒータ部材51-4を下方から見た斜視図である。ヒータ部材51-4と一体に連結されたベースコラム55-4はその内部に中空57-4を有する。このような中空57-4は前述したケーブルを収納するための十分な空間を提供する。もちろん、第4階層のヒータ部材51-4だけでなく他の階層のヒータ部材51-1,51-2,51-3と一体に連結されるベースコラム55-1,55-2,55-3も長さのみ異なるだけであり、これと同様の機能のための中空を有することができる。
【0049】
図9aは本発明の一実施形態による第4階層のヒータ部材51-4、第4階層の熱遮蔽板52-4および支持コラム55-4を示す正面図である。図示するように、少なくとも一つ以上の熱源66-4がヒータ部材51-4の内部または隣接して配置され得、前記熱源66-4と下部ブロック30に配置された電源(図示せず)との間にはケーブル65-4が連結される。この時、前記ケーブル65-4はベースコラム55-4内に形成された中空57-4内に収容されることができる。
【0050】
図9bは本発明の一実施形態による第3階層のヒータ部材51-3、第3階層の熱遮蔽板52-3および該当支持コラム55-3,56-3を示す正面図である。前記支持コラム55-3,56-3はベースコラム55-3と連結コラム56-3とを含む。重複する図示は省略したが、図9bにおいてベースコラム55-3の内部にも中空57-3が形成されており、ヒータ部材51-3の内部または隣接して配置された熱源との電気的な連結のためのケーブルが前記中空57-3内に収納されることができる。
【0051】
図9cは本発明の一実施形態による第2階層のヒータ部材51-2、第2階層の熱遮蔽板52-2および該当支持コラム55-2,56-2を示す正面図である。前記支持コラム55-2,56-2はベースコラム55-2と連結コラム56-2とを含む。重複する図示は省略したが、図9cにおいてベースコラム55-2の内部にも中空57-2が形成されており、ヒータ部材51-2の内部または隣接して配置された熱源との電気的な連結のためのケーブルが前記中空57-2内に収納されることができる。
【0052】
図9dは本発明の一実施形態による第1階層のヒータ部材51-1、第1階層の熱遮蔽板52-1および該当支持コラム55-1,56-1を示す正面図である。前記支持コラム55-1,56-1はベースコラム55-1と連結コラム56-1とを含む。重複する図示は省略されたが、図9dにおいてベースコラム55-1の内部にも中空57-1が形成されており、ヒータ部材51-1の内部または隣接して配置された熱源との電気的な連結のためのケーブルが前記中空57-1内に収納されることができる。
【0053】
ただし、図9bないし図9dにおいてベースコラム55-1,55-2,55-33とは異なり、連結コラム56-1,56-2,56-33はケーブル連結のための構成が不要であるため中空が形成されなくてもよい。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図9c
図9d