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特開2023-99524多段ヒータを備えた薄膜蒸着装置およびそれを用いた薄膜蒸着方法
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  • 特開-多段ヒータを備えた薄膜蒸着装置およびそれを用いた薄膜蒸着方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099524
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】多段ヒータを備えた薄膜蒸着装置およびそれを用いた薄膜蒸着方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/46 20060101AFI20230706BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
C23C16/46
C23C16/458
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212168
(22)【出願日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2021-0194457
(32)【優先日】2021-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】523000167
【氏名又は名称】ハンファ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】禹 ▲ラム▼
(72)【発明者】
【氏名】李 承俊
(72)【発明者】
【氏名】金 相▲ヨプ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 鎭煥
(72)【発明者】
【氏名】金 相▲ボ▼
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030EA05
4K030EA06
4K030GA02
4K030GA06
4K030KA03
4K030KA08
4K030KA23
(57)【要約】
【課題】複数のヒータ部材と複数の支持板が共に回転するときにも他の構造物との干渉がない薄膜蒸着装置を提供する。
【解決手段】薄膜蒸着装置は、複数の基板を処理するチャンバと、前記チャンバ内で、前記複数の基板それぞれの下面に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材と、前記複数のヒータ部材それぞれを貫通して昇降することができ、前記基板の下面を支持するリフトピンと、前記リフトピンの下端が安着できる複数の支持板、前記複数のヒータ部材を一体に結合し、かつ支持する複数の支持コラムと、前記複数の基板にプロセスガスを供給する複数の噴射ポートを含み、前記複数の支持板は前記チャンバの一側に形成された安着部に載置されてから、前記複数のヒータ部材が上昇するときに共に上昇する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基板を処理するチャンバと、
前記チャンバ内で、前記複数の基板それぞれの下面に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材と、
前記複数のヒータ部材それぞれを貫通して昇降することができ、前記基板の下面を支持するリフトピンと、
前記リフトピンの下端が安着できる複数の支持板と、
前記複数のヒータ部材を結合し、かつ支持する複数の支持コラムと、
前記複数の基板にプロセスガスを供給する複数の噴射ポートを含み、
前記複数の支持板は前記チャンバの一側に形成された安着部に載置されてから、前記複数のヒータ部材が上昇するときに共に上昇する、薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記複数の支持コラムには側方に突出したフィンガ部が形成され、前記支持コラムが前記複数のヒータ部材とともに上昇するとき、前記フィンガ部が前記複数の支持板の下面を持ち上げることができる、請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記安着部は前記チャンバの側壁から内側に向かって突出形成される、請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記安着部は前記複数の支持板が前記複数のヒータ部材とともに下降するとき、前記複数の支持板が前記安着部上の定位置に置かれるように段差部が形成される、請求項3に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記複数の基板がロードまたはアンロードされるように前記リフトピンが前記複数のヒータ部材の上部に最大に露出するロードポジションでは、
前記複数のヒータ部材が上昇しても前記複数の支持板は前記安着部に載置された状態を維持する、請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記複数のヒータ部材が前記複数の支持コラムと共に上昇して特定の距離だけ移動した接触ポジションでは、前記フィンガ部が前記複数の支持板の下面と接触し始める、請求項5に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記複数のヒータ部材が前記特定の距離だけ移動するとき、前記複数のヒータ部材に対する前記リフトピンの露出値が0に到達する、請求項6に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記複数のヒータ部材が前記複数の噴射ポートに最も近く近接して前記複数の噴射ポートが前記複数の基板にプロセスガスを供給できる工程ポジションでは、前記リフトピンの下端と前記複数の支持板とが離隔し、前記複数の支持板と前記安着部が最も遠く離れている、請求項6に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記複数のヒータ部材を昇降または回転させ得る駆動部をさらに含み、
前記複数の支持板それぞれの下面には、前記フィンガ部と噛み合うことができる結合溝が形成され、前記複数のヒータ部材が昇降するか回転しても前記複数のヒータ部材と前記複数の支持板の間の揺動が防止される、請求項2に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
複数の基板を処理するチャンバと、前記チャンバ内で、前記複数の基板それぞれの下面に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材と、前記複数のヒータ部材それぞれを貫通して昇降することができ、前記基板の下面を支持するリフトピンが備えられた複数の支持板と、前記複数のヒータ部材を結合し、かつ支持する複数の支持コラムと、前記複数の基板にプロセスガスを供給する複数の噴射ポートを含む装置で行われる薄膜蒸着方法であって、
前記複数の支持板を前記チャンバの一側に形成された安着部に載置する段階;
駆動部によって前記複数のヒータ部材と前記複数の支持コラムがロードポジションから一体に上昇する段階;
前記複数のヒータ部材が特定の距離だけ上昇するとき、前記複数の支持コラムに形成されたフィンガが前記複数の支持板の下面と接触する段階;
前記フィンガと前記複数の支持板の下面が接触した状態で、前記複数のヒータ部材および前記複数の支持板が工程ポジションまで共に上昇する段階;および
前記工程ポジションで前記複数の基板にプロセスガスを供給する段階を含む、薄膜蒸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜蒸着技術に関し、より詳細には垂直に積層された複数の基板に反応ガスを供給して薄膜を蒸着させる薄膜蒸着装置およびそれを用いた薄膜蒸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板に反応ガスを供給して薄膜を蒸着させる薄膜蒸着方法は、原子層薄膜蒸着(ALD;Atomic Layer Deposition)と化学気相蒸着(CVD;Chemical Vapor Deposition)などが知られている。前記原子層薄膜蒸着法は基板に反応ガスの供給とパージを交互に行って基板に吸着および蒸着させる方法であり、前記化学気相蒸着法は反応ガスを同時に噴射して基板に蒸着させる方法である。
【0003】
このような薄膜蒸着方法を用いる装置は、単一基板反応炉は基板を直接加熱して基板より低い温度で基板に反応ガスを均一に供給する。これは単一基板のみ処理するので高品質の薄膜を得ることができるが、低速の蒸着速度で行うべき条件では生産性が顕著に減少する問題があった。
【0004】
このような問題によって最近では垂直積層型多段ヒータを有する薄膜蒸着装置が提示されている。このような多段ヒータを有する薄膜蒸着装置の場合、前記ヒータの上部にリフトピンの露出程度が同期的に調節されるべきであるが、このためには別途の駆動部材を備えるかリフトピンを有する支持板を載置する構造が必要である。
【0005】
前者の場合は別途の駆動部材を備えるため構造が複雑になり、かつコストが上昇し、リフトピン露出タイミングを工程シーケンスと同期化する制御が必要であるという問題があり、後者の場合は支持板がチャンバなどに載置/安着する構造が、工程ポジションでヒータと支持板が同時に回転するときに干渉を起こす問題がある。
【0006】
したがって、多段ヒータを備えた薄膜蒸着装置でリフトピン露出制御のための別途の駆動部材なくとも、ロードポジションや工程ポジションで適切なリフトピンの露出がなされ、工程ポジションで多段ヒータとともに支持板が回転するときにも他の構造物と干渉が発生しない解決法を設ける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、複数のヒータ部材と複数の支持板が共に回転するときにも他の構造物との干渉がない薄膜蒸着装置を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、複数のヒータ部材が上昇することにより前記複数の支持板との相互関係に応じてリフトピンの露出値が自動で調節される薄膜蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記技術的課題を達成するための本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置は、複数の基板を処理するチャンバと、前記チャンバ内で、前記複数の基板それぞれの下面に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材と、前記複数のヒータ部材それぞれを貫通して昇降することができ、前記基板の下面を支持するリフトピンと、前記リフトピンの下端が安着できる複数の支持板、前記複数のヒータ部材を一体に結合し、かつ支持する複数の支持コラムと、前記複数の基板にプロセスガスを供給する複数の噴射ポートを含み、前記複数の支持板は前記チャンバの一側に形成された安着部に載置されてから、前記複数のヒータ部材が上昇するときに共に上昇する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による薄膜蒸着装置によれば、複数の支持板に形成されたリフトピンの露出値を調節するための別途の駆動装置がなくとも、複数のヒータ部材上のリフトピンの露出値が現在の作業段階に合わせて自動で調節されることができる。
【0011】
また、本発明による薄膜蒸着装置によれば、工程ポジションにおいて複数のヒータ部材と複数の支持板が共に回転するときにも他の構造物との干渉を起こさず、本来のロードポジションに復帰するときには複数の支持板が複数のヒータ部材から分離されてチャンバの一側に安定的に安着する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置を示す斜視図である。
図2a図1の薄膜蒸着装置をA-A’方向に切り取った断面斜視図である。
図2b図1の薄膜蒸着装置をA-A’方向に切り取った縦断面図である。
図3a】工程ポジションにおけるベース上に取り付けられた多段ヒータアセンブリを示す正面図である。
図3b】ロードポジションにおけるベース上に取り付けられた多段ヒータアセンブリを示す正面図である。
図4図3aの多段ヒータアセンブリを示す斜視図である。
図5図1の薄膜蒸着装置をB-B’方向に切り取った断面斜視図である。
図6】ロード/アンロードポジションにおける複数のヒータ部材、リフトピンおよび複数の支持板の間の相対的な位置を示す図である。
図7】ピン離脱ポジションにおける複数のヒータ部材、リフトピンおよび複数の支持板の間の相対的な位置を示す図である。
図8】接触ポジションにおける複数のヒータ部材、リフトピンおよび複数の支持板の間の相対的な位置を示す図である。
図9】工程ポジションにおける複数のヒータ部材、リフトピンおよび複数の支持板の間の相対的な位置を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による支持板を下方から見た斜視図である。
図11】支持板に形成された結合溝にフィンガ部が結合された状態を下方から見た斜視図である。
図12図9を変形して安着部に追加的に段差部を形成した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置100を示す斜視図である。
【0014】
薄膜蒸着装置100は複数の基板を処理するチャンバ10と、ロボットアームのような基板移送手段によって前記複数の基板をロードまたはアンロードするための基板出入口70と、前記複数の基板それぞれにプロセスガスを供給するために前記チャンバ10の側壁に形成された噴射ポート11と、プロセスガスの残余物を排出する排気ポート12を含んで構成されることができる。また、薄膜蒸着装置100はチャンバ10内の部品を昇降または回転させるための駆動部を含む下部ブロック30をさらに含むことができる。
【0015】
図2aは図1の薄膜蒸着装置100をA-A’方向に切り取った断面斜視図であり、図2bは図1の薄膜蒸着装置100をA-A’方向に切り取った縦断面図である。図2aおよび図2bを参照すると、チャンバ10の内部にはヒータ部材および支持板が多階層で設けられた多段ヒータアセンブリ50が収容される。このような多段ヒータアセンブリ50は下部に配置された駆動部20により昇降および回転運動が可能なように構成される。このような駆動部20は例えば、回転可能なモータが昇降可能な線状アクチュエータ上に配置されて回転および昇降運動を両方とも提供するように構成されることができる。前記回転は一般的に回転方向を変えながら360度以内で回動する動きであり、前記昇降は基板をロードまたはアンロードするためにロードポジションと基板を蒸着するための工程ポジションの間での垂直的な動きである。
【0016】
図3aは工程ポジションにおけるベース59上に取り付けられた多段ヒータアセンブリ50を示す正面図であり、図3bはロードポジションにおけるベース59上に取り付けられた多段ヒータアセンブリ50を示す正面図である。
【0017】
多段ヒータアセンブリ50は前記複数の基板(図示せず)それぞれの下部に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4と、前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4それぞれを貫通して昇降し、かつ前記複数の下面を支持するリフトピン53-1,53-2,53-3,53-4と、前記リフトピンの下端が安着できる複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4を含む。前記リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4は後述する図4に示すように、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4を厚さ方向に貫通する貫通孔54-1,54-2,54-3,54-4に嵌め込まれて複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の上側に露出することができる。
【0018】
前記ロードポジションで前記複数の基板がロード/アンロードされるときには、前記リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4は図3bのように、前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4から上方に最大に露出する。反面、前記工程ポジションで前記複数の基板が蒸着されるときには、前記リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4は前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4から露出しないので、前記複数の基板は前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4上に安着することができる。リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4は前述したように、ヒータ部材の貫通孔54-1,54-2,54-3,54-4に嵌め込まれてその内部で昇降できる一方で、チャンバ10内の作業シーケンスに従ってその下端は支持板52-1,52-2,52-3,52-4の上面に安着するか(ストッパの役割)、前記上面から多少離隔することができる。また、前記リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4はそれが属する階層と関係なくチャンバ内で同期的に昇降することができる。
【0019】
このような複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4は複数の支持コラム(55:55aないし55d)により一体に結合されて支持される。このような複数の支持コラムは下側に配置されたベース59に安着することができ、ヒータ部材の階層の個数と同じ4個で形成できるが、これに限らない。一例として、前記複数の支持コラムは複数のベースコラム(55:55a,55b,55c,55d)と複数の連結コラム(56:56-1,56-2,56-3)を含むことができる。複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4はそれぞれ対応するベースコラム(55:55-1,55-2,55-3,55-4)と一体に形成されることができ、それぞれ対応する連結コラム(56:56-1,56-2,56-3)と連結されて支持されることができる。これとは異なり、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4は複数のベースコラム55および複数の連結コラム56と分離および結合可能に提供されることができる。そのため、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4のいずれか一つが破損するか故障する場合、ヒータ部材51全体でない対象ヒータ部材51だけを交換することができ、機器のメンテナンスコストを低減させることができる。
【0020】
この時、駆動部20は昇下降駆動部によって前記チャンバ10内で前記ベース59を昇下降させることができ、同時に回転駆動部によって前記チャンバ10内で前記ベース59を回転させることができる。したがって、前記複数のコラム55,56により結合された多段ヒータアセンブリ50は前記ベース59とともに一体で昇下降するかまたは回転することができる。ただし、複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4は複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4に対してリフトピン53-1,53-2,53-3,53-4を相対的に昇降(露出)する構造が必要である。本発明ではこのようなリフトピン53-1,53-2,53-3,53-4の露出制御は別途の駆動装置がなくとも自体で行われる。これに係るより具体的な説明は、図6ないし9を参照して後述する。
【0021】
図4図3aの多段ヒータアセンブリ50を示す斜視図である。複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の間には複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4が配置され、このような支持板52-1,52-2,52-3,52-4にはリフトピンが形成される。
【0022】
一方、4個のコラム55,56は複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4および複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4の円周方向に沿って、近距離空間および遠距離空間を有するように非等角に配置されることが好ましい。このように、4個のコラム55,56を非等角に配置する理由は基板が複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4上にロード/アンロードされるように十分な空間を確保するためである。したがって、前記非等角に配置されたコラム55,56の間のうち、遠距離空間を介して前記複数の基板がロードおよびアンロードされる。したがって、図2aで基板出入口70-1,70-2,70-3,70-4はいずれも前記遠距離空間と整列している。
【0023】
図5図1の薄膜蒸着装置100をB-B’方向に切り取った断面斜視図である。チャンバ10は側壁10a、上部カバー10bおよび下壁10cを含んで構成されることができる。ここで、上部カバー10bは管理のためにチャンバ10の内部を開放できるように備えられ、下壁10cは開口部を含んでベース59から延びるシャフト58が貫通できるようにする。
【0024】
チャンバ10の側壁10aには前記複数の基板に対応して複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4および複数の排気ポート12-1,12-2,12-3,12-4が設けられる。前記複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4は前記複数の基板それぞれにプロセスガスを供給し、前記複数の排気ポート12-1,12-2,12-3,12-4は前記プロセスガスが前記複数の基板を蒸着した後に残った残余ガスを排出する機能を有する。
【0025】
図5に示す位置でヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4がより上昇して蒸着工程のための配置になったとき、複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4は複数の基板ないしヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の上面と最も近接する状態となる。すなわち、それぞれの基板処理のための蒸着空間は各噴射ポートおよび排気ポートと誤差範囲内で同一線上に位置するようになる。
【0026】
この時、4個の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4に対応して4個の蒸着空間が形成されることができる。具体的には、第4噴射ポート11-4は上部カバー10bとヒータ部材51-4の間の蒸着空間を担当し、第3噴射ポート11-3は支持板52-4とヒータ部材51-3の間の蒸着空間を担当し、第2噴射ポート11-2は支持板52-3とヒータ部材51-2の間の蒸着空間を担当し、第1噴射ポート11-1は支持板52-2とヒータ部材51-1の間の蒸着空間を担当する。
【0027】
また、ヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の上昇により蒸着空間を形成するとき、前記ヒータ部材の上昇位置に応じて蒸着空間の高さおよび大きさも変更されることができる。したがって、基板の大きさ、蒸着ガスの種類、蒸着速度などの蒸着条件に従って、昇降部によってヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の上昇高さを微調節することも可能である。
【0028】
一方、図示していないが、前記チャンバ10の内部には前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4に対応して取り付けられる複数の温度センサが備えられることができる。そのため、前記複数の温度センサで感知した温度に基づいて前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4それぞれが個別の温度に制御されるように可変制御が可能である。すなわち、前記複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4によっても熱遮蔽が充分でない場合は、このような可変温度制御によってより正確な温度で基板を蒸着することができる。また、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4それぞれの温度を個別に制御可能に提供することにより複数の蒸着空間の温度を個別に制御することができる。
【0029】
以下では、薄膜蒸着装置100のチャンバ10内で構成要素の機能および動作をより具体的に説明する。図6ないし図9はそれぞれ、ロード/アンロードポジション、ピン離脱ポジション、接触ポジションおよび工程ポジションでの複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4と支持板52-1,52-2,52-3,52-4の相対的な位置を示す図面である。
【0030】
チャンバ10内には、複数の基板それぞれの下面に対応するように配置されて前記複数の基板を加熱する複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4と、前記複数のヒータ部材に対応して隣接して配置される複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4が収容される。また、前記複数の支持板上にはリフトピン53-1,53-2,53-3,53-4が固定配置される。前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4は複数の支持コラム55a,55b,55c,55dにより支持されて一体に結合される。
【0031】
また、チャンバ10の一側壁10aには複数の基板が工程ポジションにあるとき、プロセスガスを複数の基板に供給するための複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4が形成されている。
【0032】
前記複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4は前記チャンバ10の一側に形成された安着部72-1,72-2,72-3,72-4(seat portion)に載置され得、複数の支持コラム55a,55b,55c,55dが駆動部によって上昇するとき、前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4とともに上昇することができる。
【0033】
前記安着部72-1,72-2,72-3,72-4は前記チャンバ10の側壁10dから内側に向かって突出形成される。前記安着部はチャンバ10の内側に向かって局所的に突出した突起形状であり得るが、これに限らず、前記内側に向かって円周方向に沿って均一に突出しているリム(rim)形状であってもよい。
【0034】
一方、前記複数の支持コラム55a,55b,55c,55dには側方に突出したフィンガ部75-1,75-2,75-3,75-4(finger portion)が形成され、前記支持コラム55a,55b,55c,55dが前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4とともに上昇するとき、前記フィンガ部75-1,75-2,75-3,75-4が前記複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4の下面を持ち上げることができる構造になっている。
【0035】
図6を参照すると、ロードポジションでは、前記複数の基板が基板出入口70-1,70-2,70-3,70-4を介してロードまたはアンロードされるように、リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4が複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の上部に最大に露出する。そのため、リフトピン上の基板とヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の間には空間が存在するので前記基板をチャンバ10の外部に引き出すこともでき、外部の基板をチャンバ10内に引き込まれて前記リフトピン上に載せることもできる。また、このようなロードポジションで、前記支持板52-1,52-2,52-3,52-4は前記チャンバ10の一側に形成された安着部72-1,72-2,72-3,72-4に載置された状態であり、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4がある程度上昇しても前記安着部に載置された状態を維持する。
【0036】
その後、前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4が前記複数の支持コラム55a,55b,55c,55dと共に上昇して特定距離(図6のdだけ移動すると図7のようなピン離脱ポジションに到達する。前記ピン離脱ポジションでは、前記支持コラム上に形成されたフィンガ部75-1,75-2,75-3,75-4が前記複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4の下面と接触する直前であり、リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4の露出値がゼロ(0)に到達する。このように、ピン離脱ポジションで前記露出値が0になるが、フィンガ部はまだ支持板の下面に接触しない。したがって、このような構成のためには、図6に示すロードポジションでフィンガ部75-1と支持板52-1の下面の間の距離dが、ヒータ部材51-1上でリフトピン53-1の露出値dより若干大きいように設計されなければならない。
【0037】
前記ピン離脱ポジションの後に、前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4がさらに上昇すると、リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4のヘッドがヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の結合溝(図4の54-1,54-2,54-3,54-4)の上端にかかるので、リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4の下端が複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4から離隔し始める。これと共に、支持コラム上に形成されたフィンガ部75-1,75-2,75-3,75-4が複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4の下端に接触するようになる。
【0038】
このように、フィンガ部75-1,75-2,75-3,75-4が複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4の下端に接触する接触ポジションでのチャンバ10内の構成要素は図8に示す。図8においてリフトピン53-1,53-2,53-3,53-4の下端は複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4と所定間隔(e)だけ離隔した状態である。
【0039】
接触ポジションの後には、前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4が上昇することにより、前記フィンガ部に載せられた複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4も共に上昇する。このような上昇により、図9に示すように、前記ヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4が工程ポジションに到達すると、前記複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4に最も近く近接する。前記工程ポジションで、複数の噴射ポート11-1,11-2,11-3,11-4は前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4上に配置された複数の基板にプロセスガスを供給する蒸着工程を実施することができる。この時、前記複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4と前記安着部72-1,72-2,72-3,72-4が最も遠く離れている。このように、接触ポジションから工程ポジションまでは、ヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4および支持板52-1,52-2,52-3,52-4が共に上昇しても、両者間の相対的な距離は変わらない。したがって、リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4の下端と複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4の間の間隔(e)は変更されず前記接触ポジションと同一に維持される。
【0040】
このようなプロセスガス供給による薄膜蒸着が完了した後に、駆動部によって支持コラム55a,55b,55c,55dは下降し、そのため複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4と複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4も共に下降する。
【0041】
このような下降により、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4が図8のような接触ポジションに到達すると、複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4は前記安着部72-1,72-2,72-3,72-4に再び載置される。そして、複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4が前記接触ポジションからさらに下降すると、前記複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4から分離されて図6のようなロードポジションに復帰することができる。
【0042】
このようなロードポジションで、リフトピン53-1,53-2,53-3,53-4上に位置した複数の基板は前記チャンバ10に形成された基板出入口70-1,70-2,70-3,70-4を介してアンロードされることができる。
【0043】
以上、説明した通り、本発明による薄膜蒸着装置でリフトピンの上昇/下降タイミングはそれぞれのポジションに合わせて別に制御することなく自動で行われ、工程ポジションでヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4と支持板52-1,52-2,52-3,52-4は他の構造物との干渉なしに共に回転可能になる。
【0044】
しかし、前記回転時にヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4と支持板52-1,52-2,52-3,52-4の間にはフィンガ部75-1,75-2,75-3,75-4によってのみ接触しているので、支持板52-1,52-2,52-3,52-4がヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4に対して揺動するかスリップする可能性がある。
【0045】
これを防止するために、前記支持板の下面に前記フィンガ部75-1,75-2,75-3,75-4と結合できる結合溝を形成することができる。図10は本発明の一実施形態による支持板52を下方から見た斜視図であり、図11は前記支持板52に形成された結合溝73にフィンガ部75が結合された状態を下方から見た斜視図である。
【0046】
図示のように、支持板52には、前記4個の支持コラム55a,55b,55c,55dを前記複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4の間に連結するときに妨げにならないように、所定の円周角度(circumferential angle)内で半径方向内側に窪んだリセス62が形成されることができる。
【0047】
また、前記支持板52の下面には、前記フィンガ部75と噛み合うことができる結合溝73が形成され、ヒータ部材51が昇降するか回転しても前記ヒータ部材51と支持板52の間の揺動やスリップが防止されることができる。ただし、フィンガ部75と結合溝73の間には、前記ヒータ部材51が下降するときフィンガ部75が支持板52の結合溝73から妨げを受けることなく離脱できる程度の公差(clearance)は必要である。
【0048】
一方、複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4が安着部72-1,72-2,72-3,72-4に安着しているとき、または複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4が安着部72-1,72-2,72-3,72-4に復帰するとき、前記支持板が安着部に安定的に安着できるさらなる考慮が必要である。
【0049】
図12図9を変形して安着部72-1,72-2,72-3,72-4に追加的に段差部74-1,74-2,74-3,74-4を形成した実施形態を図示する。図12において、複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4が複数のヒータ部材51-1,51-2,51-3,51-4とともに下降するとき、前記複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4が前記安着部72-1,72-2,72-3,72-4上の定位置に置かれるように、安着部72-1,72-2,72-3,72-4には段差部74-1,74-2,74-3,74-4が形成されている。このような段差部74-1,74-2,74-3,74-4は前述したポジションの移動過程中に多少の揺動や遊びが発生した状況でも複数の支持板52-1,52-2,52-3,52-4が常に安着部72-1,72-2,72-3,72-4内の定位置に位置できるように保障する。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12