(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099531
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】吸水性樹脂粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20230706BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20230706BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20230706BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
C08J3/12 A
C08J3/24 Z
C08F8/00
A61F13/53 300
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063891
(22)【出願日】2023-04-11
(62)【分割の表示】P 2020562914の分割
【原出願日】2019-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2018242577
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018242578
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104813
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 信也
(72)【発明者】
【氏名】松原 佑介
(72)【発明者】
【氏名】南里 武
(72)【発明者】
【氏名】王 艶ブン
(72)【発明者】
【氏名】宮島 徹
(57)【要約】
【課題】吸収体中の親水性繊維の含有量が少ない場合でも、不織布からの液引きが速く、液漏れの問題を生じない吸水性樹脂粒子、また、血液に対する高い吸収性能を有し、吸収性物品に使用したときに優れたドライ感を発揮できる吸水性樹脂粒子、これを含む吸収体及び吸収性物品、並びに吸水性樹脂粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子が少なくとも1種の表面架橋剤(d)により表面架橋された構造を有する吸水性樹脂粒子であって、重量平均粒子径が200~420μmであり、画像解析式粒度分布測定装置により測定される粒度分布指数(SPAN)が0.30~0.75である吸水性樹脂粒子である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子が少なくとも1種の表面架橋剤(d)により表面架橋された構造を有する吸水性樹脂粒子であって、重量平均粒子径が200~420μmであり、画像解析式粒度分布測定装置により測定される下記の式1
粒度分布指数(SPAN)=(体積基準積算粒度で90%の粒子径-体積基準積算粒度で10%の粒子径)/(体積基準積算粒度で50%の粒子径) (式1)
で表される粒度分布指数(SPAN)が0.30~0.65である吸水性樹脂粒子であって、血液吸収量が10~30g/gであり、血液が投入されてから血液の流動性がなくなるまでの時間である血液吸収時間が120秒以下であり、粒子形状が不定形破砕状である、吸水性樹脂粒子であって、さらに、疎水性物質(C)を含有し、表面に存在する無機微粒子及び/又は多価金属塩を含む、吸水性樹脂粒子の、製造方法であって、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする単量体組成物を重合し、架橋重合体(A)を含む含水ゲルを得る重合工程、前記含水ゲルを混練細断し、含水ゲル粒子を得るゲル粉砕工程、前記含水ゲル粒子を乾燥、粉砕後に分級する際に、異なる目開きの2つの篩を上から順に大きい目開きのもの、小さい目開きのもので構成した篩で第1回目の分級をした後に、前記大きい方の目開きの篩の篩上品を再度粉砕し、異なる目開きの2つの篩を上から順に大きい目開きのもの、小さい目開きのもので構成した篩で第2回目の分級を行い、第1回目の分級における2つの篩の間の分級品と第2回目の分級における2つの篩の間の分級品とを混合する工程、(A)を含有する樹脂粒子を得る工程、及び前記樹脂粒子を表面架橋剤(d)により表面処理する表面処理工程を含み、疎水性物質(C)をゲル粉砕工程で添加し、ゲル粉砕工程において、ゲル粉砕前及び/又はゲル粉砕と同時に疎水性物質(C)を添加し、その際前記疎水性物質(C)の融点が(C)を添加する工程の温度以下である、製造方法。
【請求項2】
混練細断温度が、70~120℃の温度である請求項1に記載の吸水性樹脂粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸水性樹脂粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パット等の衛生材料には、パルプ等の親水性繊維とアクリル酸(塩)等を主原料とする吸水性樹脂粒子との混合物が吸収体として幅広く利用されている。近年の消費者は、より快適性を求める傾向にあり、よりドライ性が高くかつより薄型の衛生材料へと需要が遷移しており、これに伴ってドライ性が高いものが望まれ、また親水性繊維の使用量低減が望まれるようになってきた。そのため、これまで親水性繊維が担ってきた初期の高い吸収速度や液拡散性の役割を吸水性樹脂粒子それ自体に求められるようになった。また、吸収体の表面ドライ性を向上させるために、吸水性樹脂粒子自体の吸水速度だけでなく、吸収性物品に使用されている表面不織布からの液引きの速い吸水性樹脂粒子が強く望まれている。
【0003】
吸水性樹脂粒子の吸水速度を向上させる手段としては、吸水性樹脂の表面積を物理的に大きくする方法が一般的である。例えば、吸水性樹脂にマイクロバルーンを添加する方法(特許文献1)や篩分工程で吸水性樹脂粒子の粒度を小さくすることで吸水速度を向上させる方法(特許文献2)等が提案されている。しかし、これらの吸水性樹脂粒子を吸収性物品(紙おむつ等)に適用した吸収体において、親水性繊維の含有量が吸水性樹脂粒子の含有量よりも多い場合には問題ないが、親水性繊維の含有量が少ないもしくは含有しない場合には、不織布からの液引きが遅く、漏れが発生する問題があった。
【0004】
一方、粒度分布をある範囲に制御することで吸水性樹脂の性能が向上すること(特許文献3、4、5)が知られているが、ここで開示されている粒度分布範囲ではなお不織布からの液引きが遅く問題があり、漏れも改善されていない。また、もっと狭い粒度分布の吸水性樹脂は、生産性に問題があるためにこれまでに検討されてこなかった。
【0005】
また、吸収する対象が血液の場合、尿と違いタンパク質成分や血球成分等の固形分が多いために水分が少なく、経血の場合は血液と比べてさらに水分が少ないため、尿が吸収対象である場合と比べて吸水性能が低くなるという問題がある。
【0006】
従来、血液の吸収性能を向上させる技術として、吸水性樹脂粒子の表面にカオリナイトを付着させ、吸水性樹脂粒子表面が湿潤することによる血液吸収阻害を改善することによって、血液に対して優れた吸収性能を有する血液吸収材料の製造方法が知られている(特許文献6、7参照)。また、吸水性樹脂粒子に水溶性カチオン性ポリマーを付着させ、血液中の赤血球を凝集させることによって、赤血球が吸水性樹脂粒子表面に堆積することによる皮膜形成を抑制し、優れた血液吸収性能を有する生理用品が知られている(特許文献8参照)。その他、特定の溶解度パラメータを持つ添加剤を添加することで血液吸収量を増やす方法(特許文献9参照)、吸水性樹脂粒子の粒度分布を2山にすることで血液の繰り返し吸収性を向上させる方法(特許文献10参照)等が開示されている。しかしながら、上記従来の技術では、血液に対して吸収性能が十分に発揮されずに吸収体のドライ感に問題があるのみならず、特定の粒度分布にする場合には、そのために特殊な生産プロセスが必要になる等、生産性にも課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2012-522880号公報
【特許文献2】特開平11-43508号公報
【特許文献3】特開2004-261797号公報
【特許文献4】特表2009-510177号公報
【特許文献5】特開2017-222875号公報
【特許文献6】国際公開第00/10496号パンフレット
【特許文献7】特開2000-51690号公報
【特許文献8】特開2016-107100号公報
【特許文献9】特開2018-021133号公報
【特許文献10】特開平11-246625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、吸収体中の親水性繊維の含有量が少ない場合でも、不織布からの液引きが速く、液漏れの問題を生じず、また、血液に対する高い吸水性能を有し、吸収性物品に使用したときに優れたドライ感を発揮できる吸水性樹脂粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子が少なくとも1種の表面架橋剤(d)により表面架橋された構造を有する吸水性樹脂粒子であって、重量平均粒子径が200~420μmであり、画像解析式粒度分布測定装置により測定される下記の式1
粒度分布指数(SPAN)=(体積基準積算粒度で90%の粒子径-体積基準積算粒度で10%の粒子径)/(体積基準積算粒度で50%の粒子径) (式1)
で表される粒度分布指数(SPAN)が0.30~0.65である吸水性樹脂粒子であって、血液吸収量が10~30g/gであり、血液が投入されてから血液の流動性がなくなるまでの時間である血液吸収時間が120秒以下であり、粒子形状が不定形破砕状である、吸水性樹脂粒子であって、さらに、疎水性物質(C)を含有し、表面に存在する無機微粒子及び/又は多価金属塩を含む、吸水性樹脂粒子の、製造方法であって、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする単量体組成物を重合し、架橋重合体(A)を含む含水ゲルを得る重合工程、前記含水ゲルを混練細断し、含水ゲル粒子を得るゲル粉砕工程、前記含水ゲル粒子を乾燥、粉砕後に分級する際に、異なる目開きの2つの篩を上から順に大きい目開きのもの、小さい目開きのもので構成した篩で第1回目の分級をした後に、前記大きい方の目開きの篩の篩上品を再度粉砕し、異なる目開きの2つの篩を上から順に大きい目開きのもの、小さい目開きのもので構成した篩で第2回目の分級を行い、第1回目の分級における2つの篩の間の分級品と第2回目の分級における2つの篩の間の分級品とを混合する工程、(A)を含有する樹脂粒子を得る工程、及び前記樹脂粒子を表面架橋剤(d)により表面処理する表面処理工程を含み、疎水性物質(C)をゲル粉砕工程で添加し、ゲル粉砕工程において、ゲル粉砕前及び/又はゲル粉砕と同時に疎水性物質(C)を添加し、その際前記疎水性物質(C)の融点が(C)を添加する工程の温度以下である、製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の製造方法による吸水性樹脂粒子(以下、単に「本発明の吸水性樹脂粒子」ともいう)は、特定範囲の粒子径と粒度分布を有し、優れた吸収速度と通液速度を示す。また、優れた血液吸収量と血液吸収速度を示す。従って、本発明の吸水性樹脂を適用した吸収性物品(紙おむつ及び生理用ナプキン等)は、吸収体中の親水性繊維の含有量が少ない場合でも、吸収させる液体と接触した後の不織布からの液引きが速く、液漏れが少ない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の吸水性樹脂は、水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子が少なくとも1種の表面架橋剤(d)により表面架橋された構造を有する吸水性樹脂粒子である。
【0012】
本発明における水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007~0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003-165883号公報の0009~0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005-75982号公報の0041~0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
【0013】
水溶性ビニルモノマー(a1)としては、好ましくはアニオン性ビニルモノマー、より好ましくはカルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマーである。これらのなかでは、より好ましくはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、特に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)、最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
【0014】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩又はアンモニウム(NH4)塩等が含まれる。これらの塩のうち、吸収特性の観点等から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。
【0015】
水溶性ビニルモノマー(a1)としてアクリル酸やメタクリル酸等の酸基含有モノマーを用いる場合、酸基含有モノマーの一部を塩基で中和することができる。中和する塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩を通常使用できる。中和は吸水性樹脂の製造工程において、酸基含有モノマーの重合前及び重合中のいずれで行っても良いし、後述する架橋重合体(A)を含む含水ゲルの状態で酸基含有ポリマーを中和することもできる。
【0016】
酸基含有モノマーを用いる場合の酸基の中和度は、50~80モル%であることが好ましい。中和度が50モル%未満の場合、得られる含水ゲル重合体の粘着性が高くなり、製造時及び使用時の作業性が悪化する場合がある。更に得られる吸水性樹脂粒子の遠心保持量が低下する場合がある。一方、中和度が80%を超える場合、得られた樹脂のpHが高くなり人体の皮膚に対する安全性が懸念される場合がある。
【0017】
架橋重合体(A)の構成単位として、水溶性ビニルモノマー(a1)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a2)を構成単位とすることができる。その他のビニルモノマー(a2)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0018】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a2)としては特に限定はなく、公知(例えば、特許第3648553号公報の0028~0029段落に開示されている疎水性ビニルモノマー、特開2003-165883号公報の0025段落及び特開2005-75982号公報の0058段落に開示されているビニルモノマー等)の疎水性ビニルモノマー等が使用でき、具体的には例えば下記の(i)~(iii)のビニルモノマー等が使用できる。
(i)炭素数8~30の芳香族エチレン性モノマー
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン及びヒドロキシスチレン等のスチレン、並びにビニルナフタレン、並びにジクロルスチレン等のスチレンのハロゲン置換体等。
(ii)炭素数2~20の脂肪族エチレン性モノマー
アルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等);並びにアルカジエン(ブタジエン及びイソプレン等)等。
(iii)炭素数5~15の脂環式エチレン性モノマー
モノエチレン性不飽和モノマー(ピネン、リモネン及びインデン等);並びにポリエチレン性ビニルモノマー[シクロペンタジエン、ビシクロペンタジエン及びエチリデンノルボルネン等]等。
【0019】
その他のビニルモノマー(a2)単位の含有量は、吸収性能等の観点から、水溶性ビニルモノマー(a1)単位のモル数に基づいて、0~5モル%が好ましく、更に好ましくは0~3モル%、特に好ましくは0~2モル%、とりわけ好ましくは0~1.5モル%であり、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a2)単位の含有量が0モル%であることが最も好ましい。
【0020】
架橋剤(b)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031~0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003-165883号公報の0028~0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005-75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005-95759号公報の0015~0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。これらの内、吸収性能等の観点から、エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤が好ましく、更に好ましいのは、炭素数2~40の多価アルコールのポリ(メタ)アリルエーテル、炭素数2~40の多価アルコールの(メタ)アクリレート、炭素数2~40の多価アルコールの(メタ)アクリルアミド、特に好ましいのは炭素数2~40の多価アルコールのポリアリルエーテル、最も好ましいのはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。架橋剤(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0021】
架橋剤(b)単位の含有量(モル%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)単位のモル数、その他のビニルモノマー(a2)を用いる場合は(a1)~(a2)の合計モル数に基づいて、0.001~5が好ましく、更に好ましくは0.005~3、特に好ましくは0.01~1である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0022】
本発明の吸水性樹脂粒子の製造方法は、前述した水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする単量体組成物を重合し、架橋重合体(A)を含む含水ゲルを得る重合工程、前記含水ゲルを混練細断し、含水ゲル粒子を得るゲル粉砕工程、及び前記含水ゲル粒子を乾燥、粉砕後に分級し、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子を得る工程を含む。
【0023】
重合工程としては、公知の溶液重合(断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55-133413号公報等)や、公知の懸濁重合法や逆相懸濁重合(特公昭54-30710号公報、特開昭56-26909号公報及び特開平1-5808号公報等)によって架橋重合体(A)を含む含水ゲル(架橋重合体が水を含んだ含水ゲル状物)を得ることができる。架橋重合体(A)は、1種単独でも良いし、2種以上の混合物であっても良い。
【0024】
重合方法の内、好ましいのは溶液重合法であり、有機溶媒等を使用する必要がなく生産コスト面で有利なことから、特に好ましいのは水溶液重合法であり、遠心保持量が大きく、且つ水可溶性成分量の少ない吸水性樹脂が得られ、重合時の温度コントロールが不要である点から、水溶液断熱重合法が最も好ましい。
【0025】
水溶液重合を行う場合、水と有機溶媒とを含む混合溶媒を使用することができ、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びこれらの2種以上の混合物を挙げられる。
水溶液重合を行う場合、有機溶媒の使用量(重量%)は、水の重量を基準として40以下が好ましく、更に好ましくは30以下である。
【0026】
重合濃度、即ち、重合液中の水溶性ビニルモノマー(a1)およびその他のビニルモノマー(a2)の仕込濃度(重量%)は、特に制限されないが、重合液の重量、即ち、例えば、水溶性ビニルモノマー(a1)およびその他のビニルモノマー(a2)、溶媒、架橋剤(b)および後述の重合触媒、重合コントロール剤の合計重量、に基づいて10~55が好ましく、20~45が更に好ましい。重合濃度がこの範囲より低い場合生産性が低くなり、重合濃度がこの範囲より高い場合、自己架橋等の副反応がおこることにより、得られる吸水性樹脂粒子の遠心保持量が低下する。
【0027】
重合に触媒を用いる場合、従来公知のラジカル重合用触媒が使用可能であり、例えば、アゾ化合物[アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシアノ吉草酸及び2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ハイドロクロライド等]、無機過酸化物(過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等)、有機過酸化物[過酸化ベンゾイル、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、コハク酸パーオキサイド及びジ(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート等]及びレドックス触媒(アルカリ金属の亜硫酸塩又は重亜硫酸塩、亜硫酸アンモニウム、重亜硫酸アンモニウム及びアスコルビン酸等の還元剤とアルカリ金属の過硫酸塩、過硫酸アンモニウム、過酸化水素及び有機過酸化物等の酸化剤との組み合わせよりなるもの)等が挙げられる。これらの触媒は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
ラジカル重合触媒の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)の、その他のビニルモノマー(a2)を用いる場合は(a1)~(a2)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0028】
重合時には、必要に応じて連鎖移動剤等の重合コントロール剤を併用しても良く、これらの具体例としては、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、アルキルメルカプタン、ハロゲン化アルキル、チオカルボニル化合物等が挙げられる。これらの重合コントロール剤は、単独で使用してもよく、これらの2種以上を併用しても良い。
重合コントロール剤の使用量(重量%)は、水溶性ビニルモノマー(a1)の、その他のビニルモノマー(a2)を用いる場合は(a1)~(a2)の、合計重量に基づいて、0.0005~5が好ましく、更に好ましくは0.001~2である。
【0029】
重合方法として懸濁重合法又は逆相懸濁重合法をとる場合は、必要に応じて、従来公知の分散剤又は界面活性剤の存在下に重合を行っても良い。また、逆相懸濁重合法の場合、従来公知のキシレン、ノルマルヘキサン及びノルマルヘプタン等の炭化水素系溶媒を使用して重合を行うことができる。
【0030】
重合開始温度は、使用する触媒の種類によって適宜調整することができるが、0~100℃が好ましく、更に好ましくは2~80℃である。
【0031】
ゲル粉砕工程は、前記の重合工程により得られた架橋重合体(A)を含む含水ゲルを混練細断し、含水ゲル粒子を得る工程である。ゲル粉砕工程後の含水ゲル粒子の大きさ(最長径)は50μm~10cmが好ましく、更に好ましくは100μm~2cm、特に好ましくは500μm~1cmである。この範囲であると、乾燥工程での乾燥性が更に良好となる。
【0032】
ゲル粉砕は、公知の方法で行うことができ、粉砕装置(例えば、ニーダー、万能混合機、一軸又は二軸の混練押し出し機、ミンチ機およびミートチョッパー等)を使用して混練細断できる。Vortex法による吸水時間を制御する観点から、混練押出機構を備えた粉砕装置(例えば一軸又は二軸の混練押し出し機、ミンチ機等)が好ましい。
【0033】
ゲル粉砕工程でのゲルの固形分濃度(重量%)は10~55が好ましく、25~45が更に好ましい。固形分濃度がこの範囲より低いと生産性が悪くなり、この範囲より高いと粉砕に必要なエネルギーが高くなりすぎるため粉砕装置が破損する可能性がある。
【0034】
ゲル粉砕工程でのゲル温度は70~120℃が好ましく、80~110℃が更に好ましい。ゲル温度がこの範囲より低いと、重合工程後に冷却工程が必要になり不要なエネルギーが必要になるばかりでなくゲルの粘着性が上がり含水ゲル粒子の大きさが大きくなりやすく、ゲル温度がこの範囲より高いと水の突沸が生じ安定的に粉砕ができない。
【0035】
また、前述のとおり、重合後に得られた酸基含有ポリマーの含水ゲルを、ゲル粉砕工程前又はゲル粉砕工程中に塩基を混合して、中和することもできる。なお、酸基含有ポリマーを中和する場合に使用する塩基や中和度の好ましい範囲は、酸基含有モノマーを用いる場合と同様である。
【0036】
架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子は、前記含水ゲル粒子を乾燥し、粉砕後に分級することで得ることができる。
【0037】
含水ゲル粒子を乾燥(溶媒の留去を含む。)する方法としては、80~230℃の温度の熱風で乾燥する方法、100~230℃に加熱されたドラムドライヤー等による薄膜乾燥法、(加熱)減圧乾燥法、凍結乾燥法、赤外線による乾燥法、デカンテーション及び濾過等が適用できる。
【0038】
溶媒に水を含む場合、乾燥後の含水率(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0~20が好ましく、更に好ましくは1~15、特に好ましくは2~13、最も好ましくは3~12である。この範囲であると、吸収性能が更に良好となる。
【0039】
溶媒に有機溶媒を含む場合、乾燥後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0~10が好ましく、更に好ましくは0~5、特に好ましくは0~3、最も好ましくは0~1である。この範囲であると、吸水性樹脂粒子の吸収性能が更に良好となる。
【0040】
なお、有機溶媒の含有量及び水分は、赤外水分測定器[例えば、(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W]により加熱したときの測定試料の重量減量から求められる。
【0041】
なお、乾燥後、その性能を損なわない範囲で、残留溶媒や残存架橋成分等の他の成分を多少含んでも良い。
【0042】
架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子は、粉砕後に分級することで粒度および粒度分布が調整される。粉砕する方法については、特に限定はなく、公知の粉砕装置(例えば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機等)が使用できる。これらの内、粒度分布を制御する観点からロール式粉砕機が好ましい。また、粒度分布を制御するために分級後に篩上品、すなわち、特定の目開きの篩上に残存した粒子、を再度粉砕しても良い。篩上品を再度粉砕する場合には、それぞれの粉砕機は同じであってもよく、あるいは異なる粉砕機を用いても良く、違う種類の粉砕機を用いても良い。
【0043】
分級する方法については、粉砕された樹脂粒子の粒度分布を制御するために、特定の目開きの篩を複数もしくは単独で用いて分級しても良い。分級装置は特に限定されないが、振動篩、面内運動篩、可動網式篩、強制撹拌篩、音波篩等の公知の方法が用いられ、好ましくは振動篩、面内運動篩が用いられる。樹脂粒子の粒度分布を制御するためには、特定の目開きの篩上に残存した粒子(篩上品)と特定の目開きの篩を通過した粒子(篩下品)の一部またはすべてを除去することが好ましい。
【0044】
篩上品とする篩の目開きは850~250μmが好ましく、更に好ましくは710~300μm、特に好ましくは500~425μmであり、篩下品とする篩の目開きは500~90μmが好ましく、更に好ましくは425~106μm、特に好ましくは300~150μmである。これらの範囲から外れると後述する再利用する粒子の割合が増え、生産性が低下するばかりでなく、目的の粒度分布が得られない可能性がある。
【0045】
なお、篩で除去した粒子(特に、篩下品)は再利用する公知の技術が利用可能である。例えば、温水と吸水性樹脂の微粉を混合し乾燥する方法(米国特許第6228930号明細書)や、吸水性樹脂の微粉を水溶性ビニルモノマーと混合し重合する方法(米国特許第5264495号明細書)、吸水性樹脂の微粉に水を加え特定の面圧以上で造粒する方法(欧州特許第844270号明細書)、吸水性樹脂の微粉を十分に湿潤させ非晶質のゲルを形成し乾燥・粉砕する方法(米国特許第4950692号明細書)、吸水性樹脂の微粉と重合ゲルを混合する方法(米国特許第5478879号明細書)などを用いることが可能である。
【0046】
分級後の架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、200~420が好ましく、更に好ましくは250~410、特に好ましくは300~400、最も好ましくは350~390である。この範囲より大きいと、Vortex法による吸収時間が長くなり、イオン交換水60秒吸収量が減り、この範囲より小さいと、スポット吸収やゲルブロッキングを生じやすくなる。
【0047】
なお、重量平均粒子径は、ロータップ試験篩振とう機及び標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いて、ペリーズ・ケミカル・エンジニアーズ・ハンドブック第6版(マックグローヒル・ブック・カンパニー、1984、21頁)に記載の方法で測定される。すなわち、JIS標準ふるいを、上から1000μm、850μm、710μm、500μm、425μm、355μm、250μm、150μm、125μm、75μm及び45μm、並びに受け皿、の順に組み合わせる。最上段のふるいに測定粒子の約50gを入れ、ロータップ試験篩振とう機で5分間振とうさせる。各ふるい及び受け皿上の測定粒子の重量を秤量し、その合計を100重量%として各ふるい上の粒子の重量分率を求め、この値を対数確率紙[横軸がふるいの目開き(粒子径)、縦軸が重量分率]にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、重量分率が50重量%に対応する粒子径を求め、これを重量平均粒子径とする。
【0048】
分級後の架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子に含まれる微粒子の含有量は少ない方が吸収性能が良好となるため、樹脂粒子の合計重量に占める106μm以下(好ましくは150μm以下)の微粒子の含有率(重量%)は3以下が好ましく、更に好ましくは1以下である。微粒子の含有量は、上記の重量平均粒子径を求める際に作成するグラフを用いて求めることができる。
【0049】
分級後の架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子の画像解析式粒度分布測定装置により測定される粒度分布指数(SPAN)は、0.30~0.75である。この範囲より高いと、イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量が悪化し、不織布からの液引きが悪くなる。また、この範囲より低いSPANにすることは吸水性樹脂粒子の再利用率が高くなりすぎるため現実的ではない。好ましくは0.30~0.65、より好ましくは0.30~0.60である。
【0050】
粒度分布指数(SPAN)は粒度分布の広がり度合を示すもので、この値が小さいほど粒度分布が狭く粒子径が揃っていることを示す。SPANは、重量平均粒子径を測定する際に、重量分率10%、重量分率50%、重量分率90%を対数確率紙を用いて求めることにより計算することも可能であるが、本発明では、標準ふるいを用いる方法よりも細かい区分で計算でき、より正確な値を求めることができることから、画像解析式粒度分布測定装置により測定することにより算出する。例えばCamsizer(登録商標)画像分析システム(レッチェテクノロジー社)を用いて測定することができる。
【0051】
粒度分布指数(SPAN)は(式1)より求められる。ここでの体積基準積算粒度は粒子の投影像の最大差し渡し長さ(最大コード径)を64方向から測定した最小値を粒子径(Xcmin)とし、粒度分布を測定した後、積算体積10%、50%および90%に相当する粒子径を求めた。
粒度分布指数(SPAN)=(体積基準積算粒度で90%の粒子径-体積基準積算粒度で10%の粒子径)/(体積基準積算粒度で50%の粒子径) (式1)
【0052】
なお、本発明の吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径、微粒子の含有量及び粒度分布指数(SPAN)は後述する表面処理工程後にも調整可能であるが、後述する表面処理(表面架橋を含む)の均一性の観点から、表面処理前の樹脂粒子の段階で上記範囲に調整することが好ましい。
【0053】
本発明の吸水性樹脂粒子は、液拡散性の観点から疎水性物質(C)を含有することが好ましい。疎水性物質(C)としては、炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)及びポリシロキサンである疎水性物質(C2)等が含まれる。
【0054】
炭化水素基を含有する疎水性物質(C1)としては、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂誘導体、ポリスチレン樹脂、ポリスチレン樹脂誘導体、ワックス、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸及びその塩、長鎖脂肪族アルコール、第四級アンモニウム塩型界面活性剤、及びこれらの2種以上の混合物等が含まれる。
【0055】
ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2~4のオレフィン{エチレン、プロピレン、イソブチレン及びイソプレン等}を必須構成単量体(オレフィンの含有量はポリオレフィン樹脂の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000~100万の重合体{たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(エチレン-イソブチレン)及びイソプレン等}が挙げられる。
【0056】
ポリオレフィン樹脂誘導体としては、ポリオレフィン樹脂にカルボキシ基(-COOH)や1,3-オキソ-2-オキサプロピレン(-COOCO-)等を導入した重量平均分子量1000~100万の重合体{たとえば、ポリエチレン熱減成体、ポリプロピレン熱減成体、マレイン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-無水マレイン酸共重合体、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、マレイン化ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-酢酸ビニル共重合体のマレイン化物等}が挙げられる。
【0057】
ポリスチレン樹脂としては、重量平均分子量1000~100万の重合体等が使用できる。
【0058】
ポリスチレン樹脂誘導体としては、スチレンを必須構成単量体(スチレンの含有量は、ポリスチレン誘導体の重量に基づいて、少なくとも50重量%)としてなる重量平均分子量1000~100万の重合体{たとえば、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体及びスチレン-イソブチレン共重合体等}が挙げられる。
【0059】
ワックスとしては、融点50~200℃のワックス{たとえば、パラフィンワックス、ミツロウ、カルナウバワックス及び牛脂等}が挙げられる。
【0060】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8~25の脂肪酸と炭素数1~12のアルコールとのエステル{たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸ジエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐モレ性の観点等から、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステルが好ましく、さらに好ましくはグリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル及びショ糖ステアリン酸ジエステルである。
【0061】
長鎖脂肪酸及びその塩としては、炭素数8~25の脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びベヘニン酸等}が挙げられる。塩としてはカルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Alが好ましく、さらに好ましくはステアリン酸Mgである。
【0062】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8~25の脂肪族アルコール{たとえば、ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐モレ性の観点等から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0063】
第四級アンモニウム塩型界面活性剤としては、炭素数8~25の脂肪族鎖を1~2個含有する第四級アンモニウム塩{たとえば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルデシルアンモニウムクロライド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド}が挙げられ、好ましくは、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライドである。
【0064】
これらの2種以上の混合物としては、長鎖脂肪酸エステルと長鎖脂肪族アルコールとの混合物{例えば、ショ糖ステアリン酸ジエステルとステアリルアルコールとの混合物等}が挙げられる。
【0065】
ポリシロキサンである疎水性物質(C2)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン{ポリオキシエチレン変性ポリシロキサン及びポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)変性ポリシロキサン等}、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、アルコキシ変性ポリシロキサン等及びこれらの混合物等が含まれる。
【0066】
変性シリコーン{ポリエーテル変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン及びアミノ変性ポリシロキサン等}の有機基(変性基)の位置としては特に限定はしないが、ポリシロキサンの側鎖、ポリシロキサンの両末端、ポリシロキサンの片末端、ポリシロキサンの側鎖と両末端との両方のいずれでもよい。これらのうち、吸収特性の観点等から、ポリシロキサンの側鎖及びポリシロキサンの側鎖と両末端との両方が好ましく、さらに好ましくはポリシロキサンの側鎖と両末端との両方である。
【0067】
ポリエーテル変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン基又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)基を含有する基等が含まれる。ポリエーテル変性ポリシロキサンに含まれるオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の含有量(個)は、ポリエーテル変性ポリシロキサン1分子あたり、2~40が好ましく、さらに好ましくは5~30、特に好ましくは7~20、最も好ましくは10~15である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基の含有量(重量%)は、ポリシロキサンの重量に基づいて、1~30が好ましく、さらに好ましくは3~25、特に好ましくは5~20である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。
【0068】
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、オキシアルキレンの種類}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF-945{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、KF-6020{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-6191{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-4952{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-4272{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、X-22-6266{側鎖、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0069】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-2110{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2122{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-7006{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2166{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2164{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2154{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}、FZ-2203{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}及びFZ-2207{両末端、オキシエチレン及びオキシプロピレン}
【0070】
カルボキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性ポリシロキサンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2、3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーンの有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200~11000が好ましく、さらに好ましくは600~8000、特に好ましくは1000~4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0071】
カルボキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、カルボキシ当量(g/mol)}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X-22-3701E{側鎖、4000}、X-22-162C{両末端、2300}、X-22-3710{片末端、1450}
【0072】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
BY 16-880{側鎖、3500}、BY 16-750{両末端、750}、BY 16-840{側鎖、3500}、SF8418{側鎖、3500}
【0073】
エポキシ変性ポリシロキサンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、エポキシ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
X-22-343{側鎖、525}、KF-101{側鎖、350}、KF-1001{側鎖、3500}、X-22-2000{側鎖、620}、X-22-2046{側鎖、600}、KF-102{側鎖、3600}、X-22-4741{側鎖、2500}、KF-1002{側鎖、4300}、X-22-3000T{側鎖、250}、X-22-163{両末端、200}、KF-105{両末端、490}、X-22-163A{両末端、1000}、X-22-163B{両末端、1750}、X-22-163C{両末端、2700}、X-22-169AS{両末端、500}、X-22-169B{両末端、1700}、X-22-173DX{片末端、4500}、X-22-9002{側鎖・両末端、5000}
【0074】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-3720{側鎖、1200}、BY 16-839{側鎖、3700}、SF 8411{側鎖、3200}、SF 8413{側鎖、3800}、SF 8421{側鎖、11000}、BY 16-876{側鎖、2800}、FZ-3736{側鎖、5000}、BY 16-855D{側鎖、180}、BY 16-8{側鎖、3700}
【0075】
アミノ変性シリコーンは、市場から容易に入手でき、たとえば、以下の商品{変性位置、アミノ当量}が好ましく例示できる。
・信越化学工業株式会社製
KF-865{側鎖、5000}、KF-864{側鎖、3800}、KF-859{側鎖、6000}、KF-393{側鎖、350}、KF-860{側鎖、7600}、KF-880{側鎖、1800}、KF-8004{側鎖、1500}、KF-8002{側鎖、1700}、KF-8005{側鎖、11000}、KF-867{側鎖、1700}、X-22-3820W{側鎖、55000}、KF-869{側鎖、8800}、KF-861{側鎖、2000}、X-22-3939A{側鎖、1500}、KF-877{側鎖、5200}、PAM-E{両末端、130}、KF-8010{両末端、430}、X-22-161A{両末端、800}、X-22-161B{両末端、1500}、KF-8012{両末端、2200}、KF-8008{両末端、5700}、X-22-1660B-3{両末端、2200}、KF-857{側鎖、2200}、KF-8001{側鎖、1900}、KF-862{側鎖、1900}、X-22-9192{側鎖、6500}
【0076】
・東レ・ダウコーニング株式会社製
FZ-3707{側鎖、1500}、FZ-3504{側鎖、1000}、BY 16-205{側鎖、4000}、FZ-3760{側鎖、1500}、FZ-3705{側鎖、4000}、BY 16-209{側鎖、1800}、FZ-3710{側鎖、1800}、SF 8417{側鎖、1800}、BY 16-849{側鎖、600}、BY 16-850{側鎖、3300}、BY 16-879B{側鎖、8000}、BY 16-892{側鎖、2000}、FZ-3501{側鎖、3000}、FZ-3785{側鎖、6000}、BY 16-872{側鎖、1800}、BY 16-213{側鎖、2700}、BY 16-203{側鎖、1900}、BY 16-898{側鎖、2900}、BY 16-890{側鎖、1900}、BY 16-893{側鎖、4000}、FZ-3789{側鎖、1900}、BY 16-871{両末端、130}、BY 16-853C{両末端、360}、BY 16-853U{両末端、450}
【0077】
これらの混合物としては、ポリジメチルシロキサンとカルボキシル変性ポリシロキサンとの混合物、及びポリエーテル変性ポリシロキサンとアミノ変性ポリシロキサンとの混合物等が挙げられる。
【0078】
ポリシロキサンである疎水性物質の粘度(mPa・s、25℃)は、10~5000が好ましく、さらに好ましくは15~3000、特に好ましくは20~1500である。この範囲であると、吸収特性、特に血液吸収特性がさらに良好となる。なお、粘度は、JIS Z8803-1991「液体の粘度」9.円すい及び円すい-平板形回転粘度計による粘度測定法に準拠して測定される{たとえば、25.0±0.5℃に温度調節したE型粘度計(東機産業株式会社製RE80L、半径7mm、角度5.24×10-2radの円すい型コーン)を用いて測定される。}
【0079】
疎水性物質(C)のHLB値は、1~9が好ましく、さらに好ましくは2~8、特に好ましくは3~7である。この範囲であると、吸収性物品の耐モレ性がさらに良好となる。なお、HLB値は、親水性-疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法(新・界面活性剤入門、197頁、藤本武彦、三洋化成工業株式会社発行、1981年発行)により求められる。
【0080】
これらの疎水性物質(C)のうち、吸収性物品の液拡散性、血液吸収性の観点等から、長鎖脂肪酸エステル、長鎖脂肪酸塩、長鎖脂肪酸族アルコール、第四級アンモニウム塩型界面活性剤、ポリシロキサンである疎水性物質が好ましく、さらに好ましくはグリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ステアリルアルコール、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド、アミノ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、特に好ましくはグリセリンステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ステアリルアルコール、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド、カルボキシ変性ポリシロキサンである。
【0081】
疎水性物質(C)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001~5.0が好ましく、さらに好ましくは0.08~1.0、特に好ましくは0.08~0.16である。この範囲であると、吸収性物品の耐カブレ性に優れるため好ましい。
【0082】
疎水性物質(C)を添加する方法としては、重合工程、ゲル粉砕工程、後述する表面架橋剤(d)により表面処理する表面処理工程等、いずれの工程で添加しても良いが、ゲル粉砕工程又は表面処理工程で添加することが好ましく、ゲル粉砕工程において、含水ゲルを混練細断する前及び/又は含水ゲルを混練細断すると同時に添加する方法がさらに好ましい。
【0083】
ゲル粉砕工程において、含水ゲルを混練細断する温度は、70~120℃が好ましく、さらに好ましくは80~110℃である。含水ゲルを混練細断する温度がこの範囲より低いと、重合工程後に冷却工程が必要になり不要なエネルギーが必要になるばかりでなくゲルの粘着性が上がり含水ゲル粒子の大きさが大きくなりやすく、含水ゲルを混練細断する温度がこの範囲より高いと水の突沸が生じ安定的に粉砕ができない。
【0084】
また、疎水性物質(C)の融点は、(C)を添加する工程の温度以下である。融点がこの範囲より高いと、疎水性物質(C)が固体状態で凝集して存在してしまい均一性が悪くなり、この範囲であると、疎水性物質(C)が融解することによりゲル表面に広がり、ゲル同士の合着を防ぐことにより微細構造が維持されることからVortex法による吸水時間を短くすることができ、粉砕効率が上がり、分級時の吸水性樹脂のリサイクル率を下げることができる。従って、本発明の製造方法では、疎水性物質(C)の融点は、(C)を添加する工程の温度以下の温度、例えば、含水ゲルを混練細断する温度以下であり、この場合、好ましくは室温以下~90℃、特に好ましくは50~80℃である。含水ゲルを混練細断する温度以下の融点を持つ疎水性物質(C)の例としては、グリセリンステアリン酸モノエステル(融点78~81℃)、グリセリンステアリン酸ジエステル(融点72~74℃)、ショ糖ステアリン酸エステル(60~80℃)、ステアリルアルコール(59~60℃)、ポリシロキサンである疎水性物質(融点データなく室温で液体)等が挙げられる。また、疎水性物質が混合物と存在することで融点が低くなっていてもよく、溶媒に溶解して添加してもよい。
【0085】
本発明の吸水性樹脂粒子は、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子が少なくとも1種の表面架橋剤(d)により表面架橋された構造を有する。従って、本発明の製造方法は、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子を表面架橋剤(d)により表面処理する工程含む。表面架橋剤(d)により表面架橋された構造を有することにより、ゲルブロッキングを抑制でき、表面架橋を実施しない場合、荷重下吸収量及び通液速度が低くなる。
【0086】
表面架橋剤(d)としては、公知{特開昭59-189103号公報、特開昭58-180233号公報、特開昭61-16903号公報、特開昭61-211305号公報、特開昭61-252212号公報、特開昭51-136588号公報及び特開昭61-257235号公報等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0087】
表面架橋剤(d)の使用量(重量%)は、表面架橋剤(d)の種類、架橋させる条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収特性の観点等から、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子の重量に基づいて、0.001~3が好ましく、さらに好ましくは0.005~2、特に好ましくは0.01~1である。
【0088】
表面架橋剤(d)により表面処理をする方法は、公知{たとえば、特許第3648553号公報、特開2003-165883号公報、特開2005-75982号公報、特開2005-95759号公報}の方法が適用できる。
【0089】
表面架橋剤(d)により表面処理する工程を行った後、更に篩別して粒度調整しても良い。粒度調整後に得られた吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径、微粒子の含有量、及び粒度分布指数(SPAN)の好適な範囲は後述する。
【0090】
本発明の吸水性樹脂粒子は、更に無機微粒子及び/又は多価金属塩を含有してもよく、このために、本発明の製造方法は、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子を無機微粒子及び/又は多価金属塩により表面処理する工程を含んでも良い。無機微粒子及び/又は多価金属塩を含有することで、吸水性樹脂粒子の耐ブロッキング性及び通液速度が向上する。
【0091】
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、タルク等が挙げられる。また、多価金属塩としては、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、アルミニウム及びチタニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と無機酸、例えば、硫酸、塩酸、硝酸臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸等、又は有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ-安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)等)、との塩が挙げられる。これらのうち、好ましくはシリカ、アルミナ、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、乳酸アルミニウムである。これらは1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0092】
無機微粒子又は多価金属塩の使用量(重量%)は、通液性や耐ブロッキング性の観点から、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子の重量に基づいて、0.01~2.0が好ましく、更に好ましくは0.05~1.0である。
【0093】
無機微粒子及び/又は多価金属塩により表面処理する場合、無機微粒子及び/又は多価金属塩と混合する工程は、前記の表面架橋剤により表面処理をする工程前、上記工程後、及び上記工程と同時のいずれにおいても行うことができる。
【0094】
本発明の製造方法において、無機微粒子及び/又は多価金属塩により表面処理する工程を行った後、更に粒度調整を行っても良い。
【0095】
本発明の吸水性樹脂粒子には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003-225565号、特開2006-131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001~10が好ましく、さらに好ましくは0.01~5、特に好ましくは0.05~1、最も好ましくは0.1~0.5である。
【0096】
本発明の吸水性樹脂粒子の形状については、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0097】
本発明の吸水性樹脂粒子の見掛け密度(g/ml)は、0.52~0.67が好ましく、さらに好ましくは0.55~0.65、特に好ましくは0.57~0.63である。この範囲であると、吸収性物品の吸収特性がさらに良好となる。なお、見掛け密度は、JIS K7365:1999に準拠して、25℃で測定される。
【0098】
本発明の吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(μm)は、200~420であり、好ましくは250~410、更に好ましくは300~400、最も好ましくは350~390である。200~420の範囲より大きいと、Vortex法による吸収時間が長くなり、イオン交換水60秒吸収量が減り、血液吸収時間が長くなる。この範囲より小さいと、スポット吸収やゲルブロッキングを生じやすくなる。なお、重量平均粒子径は、架橋重合体(A)を含有する樹脂粒子、すなわち表面架橋前の樹脂粒子、における前述と同様にして測定できる。
【0099】
本発明の吸水性樹脂粒子の微粒子の含有量は少ない方が吸収性能がよく、全粒子に占める106μm以下の微粒子の含有量が3重量%以下が好ましく、さらに好ましくは全粒子に占める150μm以下の微粒子の含有量が3重量%以下である。なお、微粒子の含有量は前述と同様にして測定できる。
【0100】
本発明の吸水性樹脂粒子の画像解析式粒度分布測定装置により測定される粒度分布指数(SPAN)は、0.30~0.75であり、好ましくは0.30~0.65、より好ましくは0.30~0.60である。この範囲より高いと、イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量が悪化し、不織布からの液引きが悪くなる。また、血液吸収速度が悪化し、ドライ性が悪くなる。一方、この範囲より低いSPANにすることは吸水性樹脂粒子の再利用率が高くなりすぎるため現実的ではない。なお、粒度分布指数(SPAN)は前述と同様にして測定できる。
【0101】
本発明の吸水性樹脂粒子は、0.71kPaの荷重下における生理食塩水(食塩濃度0.9重量%。以下おなじ)の通液速度が80ml/分以上であることが好ましい。さらに好ましくは100ml/分以上である。80ml/分以上であれば、吸収体への浸透速度が速く、モレを低減できる。上限値は高いほど好ましく特に制限されないが、遠心保持量と両立する観点から、好ましくは1000ml/分以下である。なお、通液速度は以下の方法により測定される。
【0102】
<0.71kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度の測定方法>
測定試料0.32gを150ml生理食塩水に30分間浸漬して含水ゲル粒子を調製する。そして、垂直に立てた円筒[直径(内径)25.4mm、長さ40cm、底部から40mlの位置及び60mlの位置にそれぞれ目盛り線(m1)及び(m2)が設けてある。]の底部に、金網(目開き106μm、JIS Z8801-1:2006)と、開閉自在のコック(内径5mm、長さ10cm)とを有する濾過円筒管内に、コックを閉鎖した状態で、調製した含水ゲル粒子を生理食塩水と共に移した後、この含水ゲル粒子の上に円形金網(目開き150μm、直径25mm:金網面に対して垂直に結合する加圧軸(重さ22g、長さ47cm)を有する)を金網と含水ゲル粒子とが接触するように載せ、更に加圧軸におもり(14.8g)を載せ、1分間静置する。引き続き、コックを開き、濾過円筒管内の液面が60ml目盛り線(m2)から40ml目盛り線(m1)になるのに要する時間(T1;秒)を計測し、次式より通液速度(ml/分)を求める。なお、使用する生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃で行う。
通液速度(ml/分)=20ml×60/(T1-T2)
なお、T2は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測した時間である。
【0103】
本発明の吸水性樹脂粒子は、Vortex法による吸収時間が15~40秒であることが好ましい。さらに好ましくは20~35秒である。15~40秒より遅いと、吸収体の斜めモレが起こりやすく、この範囲より速いと過剰にスポット吸収するため浸透速度が遅くなる。なお、Vortex法による吸収時間は以下の方法により測定される。
【0104】
<Vortex法による吸収時間の測定方法>
100mlビーカーに50gの生理食塩水を入れ、25±2℃に温度調整を行う。次にスターラーピース(長さ30mm、中心部直径8mm、端部直径7mm)をビーカーの中央部に入れ、生理食塩水を600rpmで撹拌する。ビーカー壁面付近に測定試料2.000gを投入する。なお、使用する測定試料はその代表的粒子径の状態でサンプリングされるように、サンプルスプリッター等を用いて調整する。測定試料を投入し終わった時点から計測をスタートし、測定試料と生理食塩水とからなる混合液の液面が平らになる(液面からの乱反射光が消失する点)までの時間(秒)を吸収時間とする。なお、試験は25±3℃、60±5RH%の条件下で行う。
【0105】
本発明の吸水性樹脂粒子は、生理食塩水の遠心保持量が25~45g/gであることが好ましい。この範囲であると、吸収体が十分に液を保持でき、通液速度と両立することができる。なお、生理食塩水の遠心保持量は以下の方法により測定される。
【0106】
<生理食塩水の遠心保持量の測定方法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に測定試料1.00gを入れ、生理食塩水1,000ml中に無撹拌下、1時間浸漬した後、15分間吊るして水切りする。その後、ティーバッグごと、遠心分離器にいれ、150Gで90秒間遠心脱水して余剰の生理食塩水を取り除き、ティーバックを含めた重量(h1)を測定し次式から遠心保持量を求める。
遠心保持量(g/g)=(h1)-(h2)
なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。測定試料を用いない以外は上記と同様にして、遠心脱水後のティーバックの重量を測定し(h2)とする。
【0107】
本発明の吸水性樹脂粒子は、生理食塩水の荷重下吸収量が15~30g/gであることが好ましい。この範囲であると、吸収体が荷重下に置かれても十分に液を吸収することができる。なお、生理食塩水の荷重下吸収量は以下の方法により測定される。
【0108】
<生理食塩水の荷重下吸収量の測定方法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、30メッシュふるいと60メッシュふるいを用いて250~500μmの範囲にふるい分けした測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この測定試料の上に分銅(重量:210.6g、外径:24.5mm、)を乗せる。この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量した後、生理食塩水60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にして生理食塩水に浸し、60分静置する。60分後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、これを斜めに傾けて底部に付着した生理食塩水を一箇所に集めて水滴として垂らすことで余分な生理食塩水を除去した後、測定試料及び分銅の入った円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式から荷重下吸収量を求める。なお、使用した生理食塩水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
荷重下吸収量(g/g)={(M2)-(M1)}/0.16
【0109】
本発明の吸水性樹脂粒子は、イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量が50~100g/gであることが好ましい。この範囲であると、高膨潤倍率での不織布からの液引きが速くドライ性が高まる。なお、イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量は以下の方法により測定される。
【0110】
<イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量の測定方法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網を底面に貼った円筒型プラスチックチューブ(内径:25mm、高さ:34mm)内に、測定試料0.16gを秤量し、円筒型プラスチックチューブを垂直にしてナイロン網上に測定試料がほぼ均一厚さになるように整えた後、この円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M1)を計量する。つぎに、イオン交換水60mlの入ったシャーレ(直径:12cm)の中に測定試料の入った円筒型プラスチックチューブを垂直に立ててナイロン網側を下面にしてイオン交換水に浸し、60秒静置する。60秒後に、円筒型プラスチックチューブをシャーレから引き上げ、測定試料及び円筒型プラスチックチューブ全体の重量(M2)を計量し、次式からイオン交換水の60秒吸い上げ吸収量を求める。なお、使用したイオン交換水及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃である。
イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量(g/g)={(M2)-(M1)}/0.16
【0111】
本発明の吸水性樹脂粒子は、血液吸収量が10~30g/gが好ましく、より好ましくは12~30g/gである。この範囲より低いと、血液の吸収量が低くドライ性が悪くなる場合がある。この範囲より高いとドライ性は向上するものの、吸収体の膨れ等の問題が発生することがある。なお、血液吸収量は以下の方法により測定される。
【0112】
<血液吸収量の測定方法>
目開き63μm(JIS Z8801-1:2006)のナイロン網で作製したティーバッグ(縦3.5cm、横3.5cm)に測定試料0.100gを加えて、四方をヒートシールする。あらかじめJIS R 3503に規定する底面が平らな100mlのビーカーに馬血(馬EDTA全血、有限会社ジャパンラム製)15.0gを用意し、測定試料の入ったナイロンメッシュ袋を15分間浸漬させる。15分後にナイロンメッシュを取り出し、1分間吊るして余分な血を除き、重量(h3)を測定し次式から血液吸収量を求める。なお、使用する馬血及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。重量(h4)は、測定試料の無い場合について上記と同様の操作により計測したティーバッグの重量である。
血液吸収量(g/g)=((h3)-(h4))/0.100
【0113】
本発明の吸水性樹脂粒子は、血液吸収時間が120秒以下が好ましく、より好ましくは30~100秒である。この範囲より高いと、ドライ性が悪くなり、この範囲より低いと過剰にスポット吸収するため吸収体への吸収速度が遅くなりドライ性が悪くなる場合がある。なお、血液吸収時間は以下の方法により測定される。
【0114】
<血液吸収時間の測定方法>
9mlのスクリューバイアル瓶に測定試料0.2gを底面全体に均一に散布し、馬血(馬EDTA全血、有限会社ジャパンラム製)1.0gを一気に投入してから馬血の流動性がなくなるまでの時間(秒)を肉眼で測定して血液吸収速度(秒)とする。なお、本測定において、流動性がなくなるとは、スクリューバイアル瓶の底面を水平に対して45度傾けたとき、吸水性樹脂粒子から独立して流動する血液がない状態を意味する。なお、使用する馬血及び測定雰囲気の温度は25℃±2℃とする。
【0115】
本発明の吸水性樹脂粒子は、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる吸収体を構成するものであり、吸収体を備える吸収性物品に好適に用いられ、特に経血又は血液の吸収用に対して好適に用いられる。血液又は経血の吸収用である吸収性物品としては、例えば、生理用ナプキン、タンポン、医療用シート、ドリップ吸収剤、創傷保護材、創傷治癒材、手術用廃液処理剤等々の血液吸収特性が要求される物品が挙げられる。
【0116】
本発明の吸水性樹脂粒子が使用された吸収体は、経血又は血液等の体液の吸収量に優れ、液の取り込み速度に優れるとともに、吸収後の加圧下のドライタッチ性に優れる。
【0117】
本発明の吸収体は、本発明の吸水性樹脂粒子と不織布とを含有する。
【0118】
本発明に用いられる不織布としては、公知の不織布であれば特に限定されないが、液体浸透性、柔軟性及び吸収体とした際の強度の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維、レーヨン繊維、その他の合成繊維製からなる不織布や、綿、絹、麻、パルプ(セルロース)繊維等が混合されて製造された不織布等が挙げられる。これらの不織布のなかでも、吸収体の強度を高める等の観点から、合成繊維の不織布が好ましく、更に好ましくはレーヨン繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維からなる不織布である。これらの不織布は、前記繊維の単独の不織布でもよく、2種以上の繊維を組み合わせた不織布でもよい。
【0119】
本発明に用いられる不織布は吸収体に、良好な液体浸透性、柔軟性、強度やクッション性を付与すること及び吸収体の液体浸透速度を速める観点から、適度に嵩高く、目付量が大きい不織布が好ましい。その目付量は、好ましくは5~300g/m2であり、より好ましくは8~200g/m2であり、さらに好ましくは10~100g/m2であり、よりさらに好ましくは11~50g/m2である。また、不織布の厚さとしては、20~800μmの範囲が好ましく、50~600μmの範囲がより好ましく、80~450μmの範囲がさらに好ましい。
【0120】
本発明の吸収体において、吸収層は、吸水性樹脂粒子、不織布及び必要により接着剤を含有し、所望によりさらにフラッフパルプ等の親水性繊維を含有してなるものであり、例えば、接着剤を塗布した不織布上に、吸水性樹脂粒子を均一に散布した後、要すれば接着剤を塗布した不織布をさらに重ねて、要すれば圧力下で加熱することにより形成される。また、不織布上で吸水性樹脂粒子と接着剤の混合粉末を均一に散布し、さらに不織布を重ねて、接着剤の溶融温度付近で加熱すること、要すれば圧力下で加熱することによっても形成される。上記不織布と吸水性樹脂粒子の間にフラッフパルプを均一に散布することができる。
本発明の吸収体において、吸収層を重ねて、2層以上にすることもできる。
【0121】
本発明に用いられる接着剤としては、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、ポリイソプレン等のゴム系接着剤;スチレン-イソプレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソブチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系エラストマー接着剤;エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)接着剤;エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-アクリル酸ブチル共重合体(EBA)等のエチレン-アクリル酸誘導体共重合系接着剤;エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)接着剤;共重合ナイロン、ダイマー酸ベースポリアミド等のポリアミド系接着剤;ポリエチレン、ポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、共重合ポリオレフィン等のポリオレフィン系接着剤;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、共重合ポリエステル等のポリエステル系接着剤等、及びアクリル系接着剤が挙げられる。本発明においては、接着力が強く、吸水シート構成体における不織布の剥離や吸水性樹脂粒子の散逸を防ぐことができるという観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体接着剤、スチレン系エラストマー接着剤、ポリオレフィン系接着剤及びポリエステル系接着剤が好ましい。これらの接着剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0122】
熱溶融型の接着剤を使用する場合、接着剤の溶融温度(軟化温度)は、吸水性樹脂粒子を不織布に十分に固定するとともに、不織布の熱劣化や変形を防止する観点から、60~180℃が好ましく、70~150℃がより好ましく、75~125℃がさらに好ましい。
【0123】
吸収体における接着剤の含有割合は、吸水性樹脂粒子の含有量(質量基準)の0.05~2.0倍の範囲が好ましく、0.08~1.5倍の範囲がより好ましく、0.1~1.0倍の範囲がさらに好ましい。十分な接着によって不織布の剥離や吸水性樹脂粒子の散逸を防止し、吸収体の形態保持性を高める観点から、接着剤の含有割合は0.05倍以上であることが好ましく、接着が強くなり過ぎることによる吸水性樹脂粒子の膨潤阻害を回避し、吸収体の浸透速度や液漏れを改善する観点から、接着剤の含有割合は2.0倍以下であることが好ましい。
【0124】
本発明の吸水性樹脂粒子と上述の不織布の重量を基準とした吸水性樹脂粒子の重量%{吸水性樹脂粒子の重量/(吸水性樹脂粒子の重量+不織布の重量)}は40重量%以上が好ましく、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは80重量%である。
【0125】
また、上記の吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの{特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等}の吸収体を上記の吸収体に変更する以外は同様である。
【実施例0126】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
【0127】
<製造例1>
水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}155部、架橋剤(b-1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソ-株式会社製}0.50部及び脱イオン水340.39部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.62部、2%アスコルビン酸水溶液1.16部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.33部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。
【0128】
次にこの含水ゲル(1)500部をゲル温度90℃でミンチ機(ROYAL社製12VR-400K、目皿径8mm)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、1回混練細断後、引き続き疎水性物質(C)としてグリセリンジステアリン酸エステル(富士フィルム和光純薬製、融点73℃)0.124部を添加して混合し、3回混練細断した。細断直後にゲルの温度を測定したところ82℃であった。SUSバット(幅59cm角、深さ5cm)にゲルを敷き詰め、ESPEC社製セーフティーオーブンにて150℃で45分乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をロールミル(クリアランス0.4mm)で1回目の粉砕をし、上から順に目開き500μmと目開き150μmで構成される篩にて1回目の分級した後、500μm以上の粒分をロールミル(クリアランス0.2mm)で2回目の粉砕をし、上から順に目開き850μmと目開き150μmで構成される篩にて2回目の分級をした。1回目の分級での500μmと150μmの間の粒子と2回目の分級での850μmと150μmの間の粒子を混合し、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-1)を得た。
【0129】
<実施例1>
樹脂粒子(A-1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.06部、プロピレングリコール1.0部、水2.4部、無機微粒子としてクレボゾール30CAL25(メルク製)0.9部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で30分間静置することで乾燥し、目開き850μmの篩を通過させることで、吸水性樹脂粒子(P-1)を得た。(P-1)の重量平均粒子径は384μm、SPANは0.60であった。
【0130】
<製造例2>
製造例1において、グリセリンジステアリン酸エステル0.124部を0.248部に変更し、1回目の粉砕のロールミルクリアランスを0.2mm、1回目の分級での篩の目開きを300μmと150μmとして300μm以上の粒子を2回目の粉砕に供し、2回目の粉砕のロールミルクリアランスを0.2mm、2回目の分級での篩の目開きを300μmと150μmとして1回目の分級での300μmと150μmの間の粒子と2回目の分級での300μmと150μmの間の粒子を混合した以外は同様にして、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-2)を得た。細断直後にゲルの温度を測定したところ79℃であった。
【0131】
<実施例2>
樹脂粒子(A-1)を(A-2)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粒子(P-2)を得た。(P-2)の重量平均粒子径は211μm、SPANは0.61であった。
【0132】
<製造例3>
製造例2において、1回目の粉砕のロールミルクリアランスを0.3mm、1回目の分級での篩の目開きを425μmと300μmとして425μm以上の粒子を2回目の粉砕に供し、2回目の粉砕のロールミルクリアランスを0.3mm、2回目の分級での篩の目開きを425μmと300μmとして1回目および2回目の分級での425μmと300μmの間の粒子を混合した以外は同様にして、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-3)を得た。細断直後にゲルの温度を測定したところ82℃であった。
【0133】
<実施例3>
樹脂粒子(A-1)を(A-3)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粒子(P-3)を得た。(P-3)の重量平均粒子径は387μm、SPANは0.32であった。
【0134】
<製造例4>
製造例1において、グリセリンジステアリン酸エステル0.124部を用いなかった以外は同様にして架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-4)を得た。細断直後にゲルの温度を測定したところ83℃であった。
【0135】
<参考例4>
樹脂粒子(A-4)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.06部、プロピレングリコール1.2部、水2.4部、疎水性物質(C)としてカルボキシ変性ポリシロキサン(X-22-3701E(信越化学工業製)))を0.01部混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で30分間静置することで乾燥し、無機微粒子としてアエロジル200(日本アエロジル製)0.2部を混合し、目開き850μmの篩を通過させることで、吸水性樹脂粒子(P-4)を得た。(P-4)の重量平均粒子径は384μm、SPANは0.71であった。
【0136】
<製造例5>
製造例1において、グリセリンジステアリン酸エステル0.124部をステアリン酸マグネシウム(富士フィルム和光純薬製、融点120℃)0.124部に変更した以外は同様にして架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-5)を得た。細断直後にゲルの温度を測定したところ81℃であった。
【0137】
<実施例5>
樹脂粒子(A-1)を(A-5)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂粒子(P-5)を得た。(P-5)の重量平均粒子径は390μm、SPANは0.64であった。
【0138】
<実施例6>
樹脂粒子(A-1)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.18部、プロピレングリコール1.8部、水4.8部、無機微粒子としてクレボゾール30CAL25(メルク製)0.3部を混合した混合溶液とプロピレングリコール0.8部と水1.6部と多価金属塩として硫酸アルミニウムナトリウム16水和物(富士フィルム和光純薬製)を0.30部混合した混合溶液を同時に添加し、均一混合した後、130℃で30分間静置することで乾燥し、目開き850μmの篩を通過させることで、吸水性樹脂粒子(P-6)を得た。(P-6)の重量平均粒子径は387μm、SPANは0.61であった。
【0139】
<製造例6>
水溶性ビニルモノマー(a1-1){アクリル酸、三菱化学株式会社製、純度100%}135部、架橋剤(b-1){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ダイソー株式会社製}0.37部及び脱イオン水356.38部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.50部、2%アスコルビン酸水溶液1.0部及び2%の2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩水溶液6.75部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が82℃に達した後、82±2℃で約8時間重合することにより含水ゲル(2)を得た。
【0140】
次にこの含水ゲル(2)500部をゲル温度82℃でミンチ機(ROYAL社製12VR-400K、目皿径8mm)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液111.50部を添加して混合し、1回混練細断後、引き続き疎水性物質(C)としてカチオンDSV(三洋化成工業製、主成分ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、融点63℃)0.216部を添加して混合し、3回混練細断した。細断直後にゲルの温度を測定したところ71℃であった。SUSバット(幅59cm角、深さ5cm)にゲルを敷き詰め、ESPEC社製セーフティーオーブンにて150℃で45分乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をロールミル(クリアランス0.3mm)で1回目の粉砕をし、上から順に目開き600μmと目開き300μmで構成される篩にて1回目の分級した後、600μm以上の粒分をロールミル(クリアランス0.2mm)で2回目の粉砕をし、上から順に目開き850μmと目開き150μmで構成される篩にて2回目の分級をした。1回目の分級での600μmと300μmの間の粒子と2回目の分級での850μmと150μmの間の粒子を混合し、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-6)を得た。
【0141】
<参考例7>
樹脂粒子(A-6)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.01部、プロピレングリコール1.0部、水2.1部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で30分間静置することで乾燥し、無機微粒子としてアエロジル200(日本アエロジル製)0.2部を混合し、目開き850μmの篩を通過させることで、吸水性樹脂粒子(P-7)を得た。(P-7)の重量平均粒子径は412μm、SPANは0.71であった。
【0142】
<製造例7>
製造例1と同様に作成した含水ゲル(1)500部をゲル温度90℃でミンチ機(ROYAL社製12VR-400K、目皿径8mm)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、1回混練細断後、引き続き疎水性物質(C)としてグリセリンジステアリン酸エステル(富士フィルム和光純薬製、融点73℃)0.124部を添加して混合し、3回混練細断した。細断直後にゲルの温度を測定したところ82℃であった。SUSバット(幅59cm角、深さ5cm)にゲルを敷き詰め、ESPEC社製セーフティーオーブンにて150℃で45分乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をロールミル(クリアランス0.3mm)で粉砕し、上から順に目開き710μmと目開き150μmで構成される篩にて分級し710μmと150μmの間の粒子を回収し、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-7)を得た。
【0143】
<比較例1>
樹脂粒子(A-1)を(A-7)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(R-1)を得た。(R-1)の重量平均粒子径は398μm、SPANは0.99であった。
【0144】
<製造例8>
製造例1と同様に作成した含水ゲル(1)500部をゲル温度90℃でミンチ機(ROYAL社製12VR-400K、目皿径8mm)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、1回混練細断後、引き続き疎水性物質(C)としてグリセリンジステアリン酸エステル(富士フィルム和光純薬製、融点73℃)0.124部を添加して混合し、3回混練細断した。細断直後にゲルの温度を測定したところ82℃であった。SUSバット(幅59cm角、深さ5cm)にゲルを敷き詰め、ESPEC社製セーフティーオーブンにて150℃で45分乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をロールミル(クリアランス0.4mm)で粉砕し、上から順に目開き710μmと目開き300μmで構成される篩にて分級し710μmと300μmの間の粒子を回収し、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-8)を得た。
【0145】
<比較例2>
樹脂粒子(A-1)を(A-8)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(R-2)を得た。(R-2)の重量平均粒子径は461μm、SPANは0.72であった。
【0146】
<比較例3>
クレボゾール30CAL25を用いなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(R-3)を得た。(R-3)の重量平均粒子径は388μm、SPANは0.61であった。
【0147】
<製造例9>
製造例1と同様に作成した含水ゲル(1)500部をゲル温度90℃でミンチ機(ROYAL社製12VR-400K、目皿径8mm)で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、1回混練細断後、引き続き疎水性物質(C)としてグリセリンジステアリン酸エステル(富士フィルム和光純薬製、融点73℃)0.124部を添加して混合し、3回混練細断した。細断直後にゲルの温度を測定したところ82℃であった。SUSバット(幅59cm角、深さ5cm)にゲルを敷き詰め、ESPEC社製セーフティーオーブンにて150℃で45分乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をロールミル(クリアランス0.2mm)で粉砕し、目開き300μmの篩にて分級し300μm以下の粒子を回収し、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-9)を得た。
【0148】
<比較例4>
樹脂粒子(A-1)を(A-9)に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(R-4)を得た。(R-4)の重量平均粒子径は170μm、SPANは0.75であった。
【0149】
<製造例10>
製造例1と同様に作成した含水ゲル(1)500部をはさみで約1mm角に細分し、48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合した。SUSバット(幅59cm角、深さ5cm)にゲルを敷き詰め、ESPEC社製セーフティーオーブンにて150℃で55分乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をロールミル(クリアランス0.4mm)で1回目の粉砕をし、上から順に目開き500μmと目開き150μmで構成される篩にて1回目の分級した後、500μm以上の粒分をロールミル(クリアランス0.2mm)で2回目の粉砕をし、上から順に目開き850μmと目開き150μmで構成される篩にて2回目の分級をした。1回目の分級での500μmと150μmの間の粒子と2回目の分級での850μmと150μmの間の粒子を混合し、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-10)を得た。
【0150】
<比較例5>
樹脂粒子(A-4)を(A-10)に変更したこと以外は、実施例4と同様の操作を行い、比較用の吸水性樹脂粒子(R-5)を得た。(R-5)の重量平均粒子径は385μm、SPANは0.69であった。
【0151】
<比較例6> 特開2004-261797号公報の実施例1(0082~0085段落)に開示されている方法を参考にし比較用の吸水性樹脂粒子を得た。即ち、シグマ型羽根を2本有するジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中でアクリル酸158.3部と水301.5部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液129.3部を混合し71.3モル%の中和率を有するアクリル酸ナトリウムの水溶液(単量体濃度39%)を調製し、ポリエチレングリコールジアクリレート(Mw=523)0.85部を溶解させ反応液とし、この反応液に窒素を30分流入し脱気した。続いて、反応液に10%過硫酸ナトリウム水溶液2.67部および0.1%アスコルビン酸水溶液2.22部を撹拌しながら添加した。約1分後に重合が開始し、25~95℃で30分間撹拌しながら重合を継続し、30分後に含水ゲル(3)を取り出した。
【0152】
含水ゲル(3)は約5mmに細断されており、目開き300μmの金網の上に広げ180℃50分熱風乾燥し乾燥体を得た。乾燥体をロールミル(クリアランス0.3mm)で粉砕し上から順に目開き600μmと目開き180μmで構成される篩にて分級した。目開き180μmを通過した粒子20部を30部の90℃の水と高速撹拌可能なジャケット付容器内で3分間撹拌し造粒を行い、300μmの金網に乗せ、150℃2時間乾燥を行った。乾燥後ロールミル(クリアランス0.3mm)で粉砕し上から順に目開き850μmと目開き150μmで構成される篩にて分級した。600μmと180μmの間の粒子90部と、850μmと150μmの間の粒子を10部を混合することで架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-11)を得た。
【0153】
樹脂粒子(A-11)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤としての1,4-ブタンジオール1.0部、水4.0部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、195℃で20分間静置することで乾燥し、目開き600μmの篩を通過させ、無機微粒子としてアエロジル200(日本アエロジル製)0.3部を混合することで、比較用の吸水性樹脂粒子(R-6)を得た。(R-6)の重量平均粒子径は317μm、SPANは0.97であった。
【0154】
<比較例7> 特表2017-222875号公報の実施例1(0088~0091段落)に開示されている方法を参考にし含水ゲルの乾燥体を得た。即ち、アクリル酸100g、架橋剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(Mw=523)0.5g、UV開始剤としてジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド0.033g、50%苛性ソーダ水溶液(NaOH)83.3g、および水89.8gを混合して、単量体の濃度が45重量%のモノマー水溶液組成物を製造した。つぎに、前記モノマー水溶液組成物を連続移動するコンベヤベルトからなる重合器の供給部を介して投入した後、UV照射装置により紫外線を照射(照射量:2mW/cm2)し、2分間UV重合を進行させて、含水ゲル(4)を製造した。
【0155】
含水ゲル(4)を切断機に移送した後、0.2cmに切断し、160℃で30分間熱風乾燥機で乾燥し乾燥体を得た。乾燥体をロールミル(クリアランス0.4mm)で粉砕し、上から順に目開き850μm、600μm、300μm、150μm、90μm、45μmで構成される篩にて分級し、850μm以上の粒子を0.57%、600~850μmの粒子を15%、300~600μmの粒子を68.62%、150~300μmの粒子を15%、90~150μmの粒子を0.81%含むように混合し、架橋重合体を含有する樹脂粒子(A-12)を得た。
【0156】
樹脂粒子(A-12)100部を高速攪拌(細川ミクロン製高速攪拌タービュライザー:回転数2000rpm)しながら、これに、表面架橋剤としてのエチレングリコールジグリシジルエーテル0.05部、プロピレングリコール0.10部、水4.85部を混合した混合溶液を添加し、均一混合した後、130℃で40分間静置することで乾燥し、目開き850μmの篩を通過させ、目開き150μmの篩上品を回収することで、比較用の吸水性樹脂粒子(R-7)を得た。(R-7)の重量平均粒子径は424μm、SPANは1.11であった。
【0157】
実施例1~3、5~6、参考例4、7および比較例1~7で得たそれぞれの吸水性樹脂粒子を用いて、以下のようにして、吸収性物品-1、吸収性物品-2(紙おむつ)を調製し、表面不織布からの液引きによるドライ性(白化時間)および斜めモレ試験(モレ量)、逆戻り量、吸収時間試験(吸収時間)を評価した。
【0158】
<吸収体の調製>
10cm×40cmの長方形に細断した不織布A(目付量40g/m2、厚さ0.5mm、ポリプロピレン製)に、接着剤としてスチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS;軟化点85℃)をホットメルト塗布機(AD41、Nordson製)で目付量2.85g/m2となるように均一に塗布した。接着剤を塗布した面に、評価試料{それぞれの吸水性樹脂粒子}11.6g(目付量290g/m2)を均一に散布した後、10cm×40cmの長方形に細断した不織布B(目付量45g/m2、厚さ7.0mm、ポリプロピレン製)を重ねた。不織布A-吸水性樹脂-不織布Bとなったシートをアクリル板(厚み4mm)で挟み、5kg/cm2の圧力で30秒間プレスした。プレス後、不織布A側のアクリル板を取り外し、上記と同様の方法で、接着剤と吸水性樹脂および不織布Bを積層し、再びアクリル板で挟み、5kg/cm2の圧力で30秒間プレスし、それぞれの吸水性樹脂粒子を用いた各吸収体を調製した。
【0159】
<吸収性物品-1の調製>
上記各吸収体の片方の面に、ポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB-1)、反対側の面に不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を配置することにより各吸収性物品-1を調製した。
【0160】
<表面不織布からの液引きによるドライ性試験>
横11cm×縦41cm×高さ4cmで上部(11cm×41cmの面)が空いた箱(ステンレス製)の中に上記で作成した各吸収性物品-1を入れた。25±5℃に調整したイオン交換水500mlを用意し、吸収体を入れた箱の中へ一気に流し込んだ。イオン交換水が吸収体と接触したと同時に時間の計測を開始した。表面不織布に保持された脱イオン水が吸水性樹脂に吸収され、表面不織布が白く見える範囲が不織布の半分になるまでの時間を白化時間(秒)とした。なお、測定は180秒で打ち切った。
【0161】
<斜めモレ試験>
40度の傾斜を持つ台に長辺が傾斜面に添うように各吸収性物品-1を乗せ、上辺2cmをガムテープにより台に固定した。上端から10cm部分、左右の中心位置へ滴下ロートで生理食塩水80mlを高さ1cmのところから滴下し、吸収体下端から漏れ出た生理食塩水の重量を計測し、モレ量(g)とした。
【0162】
<吸収時間試験>
各吸収性物品-1を平板の上に乗せ、吸収性物品の中心部に直径6cm高さ3cmのSUS製リングを置き、吸収体の中心部に滴下ロートで生理食塩水80mlを高さ1cmのところから滴下した。5分間静置後に再度滴下ロートで生理食塩水80mlを高さ1cmのところから滴下し、吸収体と接触したと同時に時間の計測を開始した。SUS製リング内の生理食塩水が吸収体に吸収され目視で確認できなくなるまでの時間を吸収時間(秒)とした。
【0163】
<吸収性物品-2の調製>
フラッフパルプ400部と評価試料{実施例、参考例及び比較例で得られた各吸収性樹脂粒子}100部とを気流型混合装置{株式会社オーテック社製パッドフォーマー}で混合して、混合物を得た後、この混合物を坪量約500g/m2となるように均一にアクリル板(厚み4mm)上に積層し、5Kg/cm2の圧力で30秒間プレスし、それぞれの吸水性樹脂粒子を用いた各吸収体を得た。この各吸収体を5cm×20cmの長方形に裁断し、その上下に吸収体と同じ大きさの吸水紙(坪量15.5g/m2、アドバンテック社製、フィルターペーパー2番)を配置し、さらにポリエチレンシート(タマポリ社製ポリエチレンフィルムUB-1)を裏面に、不織布(坪量20g/m2、旭化成社製エルタスガード)を表面に配置することにより各吸収性物品-2を調製した。
【0164】
<吸収性物品の血液ドライ性評価>
上記で作成した各吸収性物品-2を平板の上に乗せ、吸収性物品の中心部に馬血(馬EDTA全血、有限会社ジャパンラム製)5gを一気に注ぎ、吸収体と接触したと同時に時間の計測を開始した。表面の馬血が吸収体に吸収され目視で確認できなくなるまでの時間を血液吸収時間(秒)とした。また、5分経過後あらかじめ重量(W0)を測定した5cm×5cmの大きさに細断したろ紙20枚を吸収性物品中心部に乗せ、175gの錘を乗せ20秒間保持し、再度ろ紙の重量(W1)を測定した。次式から血液逆戻り量(g)を計算した。なお、吸収時間が遅いとドライ感を感じるまでの時間が長くなることからドライ性が悪く、逆戻り量が多いと長時間経った後でもドライ性が悪くなる。
血液逆戻り量(g)=W1(g)-W0(g)
【0165】
実施例1~3、5~6、参考例4、7の吸水性樹脂粒子(P-1)~(P-7)及び比較例1~7の吸水性樹脂粒子(R-1)~(R-7)およびこれらを用いて作成した各吸収体について、重量平均粒子径、画像解析式粒度分布測定装置により測定される粒度分布指数(SPAN)、血液吸収量、血液吸収時間、0.71kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度、Vortex法による吸収時間、見かけ密度、生理食塩水の遠心保持量、生理食塩水の荷重下吸収量、イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量、液引きによるドライ性試験(白化時間)、斜めモレ試験(モレ量)、吸収時間、血液ドライ性評価(血液逆戻り量)、血液吸収時間の評価結果を表1、2に示す。
【0166】
【0167】
【0168】
表1、2からわかるように、本発明の吸収性樹脂粒子は重量平均粒子径及び粒度分布指数(SPAN)が特定の範囲にあり、比較例の吸収性樹脂粒子と比較して、吸収体のドライ性に関連する逆戻り量及び吸収時間の評価結果のいずれもが優れている。また、吸収性樹脂粒子自体の血液吸収量及び血液吸収時間についても、本発明の吸収性樹脂粒子は比較例と比較して優位であることが分かる。また本発明の吸水性樹脂粒子は特定の重量平均粒子径範囲にあり、粒度分布が狭く(粒度分布指数SPANが低い)、0.71kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度が80ml/分以上あり、Vortex法よる吸収時間が特定の範囲にある。粒度分布が狭く、Vortex法による吸収時間が特定の範囲にあると、イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量が高く、白化時間が短くなっていることから、高膨潤倍率下での不織布からの液引き性が良いことがわかり、ドライ性に優れていると言える。また、Vortex法による吸収時間が短いとモレ量が少なく、0.71kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度が80ml/分以上あると、吸収体の吸収時間が短くなっており、長時間使用した際にモレが低減するといえる。詳細に比較例を確認していくと、比較例1では粒度分布指数SPANが高く、血液吸収量が低く、逆戻り量が多く、イオン交換水の60秒吸い上げ吸収量が低く、白化時間が長くなっている。比較例2では重量平均粒子径が大きすぎるために、血液吸収量が低くかつ血液吸収時間が長いため、逆戻り量がさらに悪化し、Vortex法による吸収時間が長いためにモレ量が多く、更にイオン交換水60秒吸い上げ吸収量が低くなり白化時間が長くなっている。比較例3では重量平均粒子径が小さすぎるために、スポット吸収やゲルブロッキングが生じやすくなっており、Vortex法による吸収時間は短いものの通液速度は遅く、白化時間が長く、吸収体の吸収時間が長くなっている。比較例4では0.71kPaの荷重下における生理食塩水の通液速度が低いため、吸収体の吸収時間が長くなっている。比較例5ではゲル粉砕工程に押出混練機構を用いておらずVortex法による吸収時間が長くなっており白化時間およびモレ量が多くなっている。比較例6,7では粒度分布が狭いことを特徴とした公知文献のトレースを行ったが、本発明に比べ粒度分布が広く白化時間が長い。
【0169】
更に、実施例1と参考例4、実施例5を比較するとゲル粉砕工程で混練細断するゲル温度以下の融点を持つ疎水性物質(C)を添加した実施例1が粒度分布指数SPANが低く、本工程が粒度分布指数を低くする効果があることがみてとれる。言い換えると、篩操作によって同一粒度分布指数を得る場合、実施例1においては参考例4、実施例5よりもリサイクル率を減らすことが可能であり、生産性が高い。
本発明の吸水性樹脂粒子は、吸水性樹脂粒子と不織布を含有してなる吸収体のみならず、吸水性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキンおよび医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤および人口雪等の種々の用途にも使用できる。特に、高い血液吸収性能を有することから、生理用ナプキン、タンポン、医療用シート、ドリップ吸収剤、創傷保護材、創傷治癒材、手術用廃液処理剤等の経血又は血液吸収用の吸収性物品に有用である。