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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023099565
(43)【公開日】2023-07-13
(54)【発明の名称】飛行体、点検方法及び点検システム
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/18 20060101AFI20230706BHJP
   B64U 10/13 20230101ALI20230706BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20230706BHJP
   B64U 20/87 20230101ALI20230706BHJP
   G01S 17/933 20200101ALI20230706BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20230706BHJP
【FI】
B64C13/18 Z
B64U10/13
B64D45/00 Z
B64U20/87
G01S17/933
G05D1/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023072000
(22)【出願日】2023-04-26
(62)【分割の表示】P 2020106875の分割
【原出願日】2019-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】518156358
【氏名又は名称】株式会社センシンロボティクス
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西本 晋也
(57)【要約】
【課題】飛行体を構造物に接触させないように飛行させることができるようにする。
【解決手段】本発明は、略管状の構造体の内壁を撮像する飛行体であって、前記内壁との
距離を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づいて前記内壁から所定の距離
を維持するように前記飛行体を制御する制御部と、前記内壁の少なくとも表面を撮像する
撮像部と、を備える飛行体であって、前記制御部は、前記飛行体を自律飛行で飛行制御し
、前記構造体内の所定範囲内に仮想的な飛行空間を設定し、前記飛行体が当該飛行空間内
を飛行するように制御する、ことを特徴とする飛行体。
【選択図】図10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略管状の構造体の内壁を撮像する飛行体であって、
前記内壁との距離を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて前記内壁から所定の距離を維持するように前記飛
行体を制御する制御部と、
前記内壁の少なくとも表面を撮像する撮像部と、を備える飛行体であって、
前記制御部は、
前記飛行体を自律飛行で飛行制御し、
前記構造体内の所定範囲内に仮想的な飛行空間を設定し、前記飛行体が当該飛行空間内
を飛行するように制御する、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記制御部は、前記飛行空間を前記構造体の延伸方向に沿って当該構造体の中心から所
定範囲内に設定し、当該飛行空間内を飛行させる、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の飛行体であって、
前記測定部は、前記内壁のうちの一の対象側面からの距離を測定し、
前記制御部は、前記対象側面から所定の距離を維持するように前記飛行体を制御する、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の飛行体であって、
前記制御部は、前記構造体内の所定範囲内に仮想的な飛行空間を設定し、前記飛行体が
当該飛行空間内を飛行するように制御する、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の飛行体であって、
前記制御部は、前記飛行体が前記構造体の延伸方向に沿って当該構造体の中心を飛行す
るように制御する、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の飛行体であって、
前記撮像部は、前記内壁の前記表面を撮像範囲がオーバーラップするようにして連続的
に撮像する、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項7】
請求項6に記載の飛行体であって、
前記構造体は、進行方向に沿って見た場合に、左側面、右側面、上側面及び下側面を有
しており、
少なくとも前記左側面、前記上側面及び前記右側面の順に撮像する第1撮像、並びに少
なくとも前記右側面、前記上側面及び前記左側面の順に撮像する第2撮像を交互に繰り返
すことにより、前記撮像範囲が前記進行方向と前記進行方向に直交方向との双方において
オーバーラップするように、前記撮像部を制御する撮像制御部を更に備えている、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の飛行体であって、
前記測定部は、3次元LIDAR(Light Detection and Ran
ging)を含む、
ことを特徴とする飛行体。
【請求項9】
飛行体を利用して略管状の構造体の内壁を撮像して行う点検方法であって、
前記飛行体と前記内壁との距離を測定する測定ステップ、
測定結果に基づいて前記内壁から所定の距離を維持するように前記飛行体を制御する制
御ステップ、
前記内壁の少なくとも表面を撮像する撮像ステップ、
撮像された前記表面を分析する分析ステップを含む、点検方法であって、
前記制御ステップは、
前記飛行体を自律飛行で飛行制御し、
前記構造体内の所定範囲内に仮想的な飛行空間を設定し、前記飛行体が当該飛行空間内
を飛行するように制御する、
ことを特徴とする点検方法。
【請求項10】
飛行体と分析装置とを備える点検システムであって、略管状の構造体の内壁を撮像する
点検システムにおいて、
前記飛行体は、
前記内壁との距離を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて前記内壁から所定の距離を維持するように前記飛
行体を制御する制御部と、
前記内壁の少なくとも表面を撮像する撮像部と、を備えており、
前記分析装置は、
撮像された前記前記表面を分析する分析部を含み、
前記制御部は、
前記飛行体を自律飛行で飛行制御し、
前記構造体内の所定範囲内に仮想的な飛行空間を設定し、前記飛行体が当該飛行空間内
を飛行するように制御する、
ことを特徴とする点検システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行体の制御にはGPS(Global Positioning System)が多く用いられているところ
、構造物の点検時などにはGPSの電波が届かないこともあり、GPSに頼らない飛行制
御も行われている。たとえば、特許文献1には、測距データと2次元画像データとを用い
て自己位置を把握するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-111414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムでは、構造体内部(例えば、トンネル、ダ
クト、暗渠のような管状の構造体内部)のような暗部を飛行する場合には光源を確保しな
ければ自己の位置を測定することができない。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、GPSに依らずに飛行体を所望
の方向に構造体(の内壁等)に接触させないように飛行させて当該内壁の点検を実施する
技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、略管状の構造体の内壁を撮像する飛
行体であって、前記内壁との距離を測定する測定部と、前記測定部による測定結果に基づ
いて前記内壁から所定の距離を維持するように前記飛行体を制御する制御部と、前記内壁
の少なくとも表面を撮像する撮像部と、を備える飛行体であって、前記制御部は、前記飛
行体を自律飛行で飛行制御し、前記構造体内の所定範囲内に仮想的な飛行空間を設定し、
前記飛行体が当該飛行空間内を飛行するように制御することとする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面に
より明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飛行体を構造物に接触させないように飛行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る飛行体1の機能ブロック図である。
図2】本実施の形態による点検システムの概要を示す図である。
図3図2のトンネル内を垂直方向から示した図である。
図4図2のトンネル内を水平方向から示した図である。
図5図2の点検システムの撮像の様子を概念的に示す図である。
図6図5の点検システムの撮像の様子を概念的に示す他の図である。
図7図5の点検システムの撮像の様子を概念的に示す更に他の図である。
図8図5の点検システムの撮像により得られる画像例である。
図9】本実施の形態による点検システムを他の構造体に応用した例を示す図である。
図10】本実施の形態による点検システムの飛行体の飛行の様子を示す図である。
図11図10に示す点検システムを水平方向から示した図である。
図12】本発明による他の実施の形態による飛行の様子を示す図である。
図13図12の飛行体による撮像の様子を示す図である。
図14】本発明による他の実施の形態による他の飛行の様子を示す図である。
図15】本発明による他の実施の形態による他の飛行の様子を示す図である。
図16】本発明による他の実施の形態による他の飛行の様子を示す図である。
図17】本発明による他の実施の形態による他の飛行の様子を示す図である。
図18】本発明による他の実施の形態による他の飛行の様子を示す図である。
図19】本発明による他の実施の形態による他の飛行の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以
下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
略管状の構造体の内壁を撮像する飛行体であって、
前記内壁との距離を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて前記内壁から所定の距離を維持するように前記飛
行体を制御する制御部と、
前記内壁の少なくとも表面を撮像する撮像部とを備える
飛行体。
[項目2]
請求項1に記載の飛行体であって、
前記測定部は、前記内壁のうちの一の対象側面からの距離を測定し、
前記制御部は、前記対象側面から所定の距離を維持するように前記飛行体を制御する
飛行体。
[項目3]
請求項1又は請求項2に記載の飛行体であって、
前記制御部は、前記構造体内の所定範囲内に仮想的な飛行空間を設定し、前記飛行体が
当該飛行空間内を飛行するように制御する、
飛行体。
[項目4]
請求項3に記載の飛行体であって、
前記制御部は、前記飛行空間を前記構造体の延伸方向に沿って当該構造体の中心から所
定範囲内に設定し、当該飛行空間内を飛行させる、
飛行体。
[項目5]
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の飛行体であって、
前記制御部は、前記飛行体が前記構造体の延伸方向に沿って当該構造体の中心を飛行す
るように制御する、
飛行体。
[項目6]
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の飛行体であって、
前記撮像部は、前記内壁の前記表面を撮像範囲がオーバーラップするようにして連続的
に撮像する、
飛行体。
[項目7]
請求項6に記載の飛行体であって、
前記構造体は、進行方向に沿って見た場合に、左側面、右側面、上側面及び下側面を有
しており、
少なくとも前記左側面、前記上側面及び前記右側面の順に撮像する第1撮像、並びに少
なくとも前記右側面、前記上側面及び前記左側面の順に撮像する第2撮像を交互に繰り返
すことにより、前記撮像範囲が前記進行方向と前記進行方向に直交方向との双方において
オーバーラップするように、前記撮像部を制御する撮像制御部を更に備えている、
飛行体。
[項目8]
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の飛行体であって、
前記測定部は、3次元LIDAR(Light Detection and Ran
ging)を含む、
飛行体。
[項目9]
飛行体を利用して略管状の構造体の内壁を撮像して行う点検方法であって、
前記飛行体と前記内壁との距離を測定する測定ステップ、
測定結果に基づいて前記内壁から所定の距離を維持するように前記飛行体を制御する制
御ステップ、
前記内壁の少なくとも表面を撮像する撮像ステップ、
撮像された前記表面を分析する分析ステップを含む、
点検方法。
[項目10]
飛行体と分析装置とを備える点検システムであって、略管状の構造体の内壁を撮像する
点検システムにおいて、
前記飛行体は、
前記内壁との距離を測定する測定部と、
前記測定部による測定結果に基づいて前記内壁から所定の距離を維持するように前記飛
行体を制御する制御部と、
前記内壁の少なくとも表面を撮像する撮像部とを備えており、
前記分析装置は、
撮像された前記前記表面を分析する分析部を含む、
点検システム。
【0012】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施形態に係る点検システムについて図面を参照しながら説明する。本
発明による点検システムは、例えば、トンネル、ダクト、暗渠のような少なくとも上下左
右を囲まれた管状の構造体の内部を点検するためのものである。
【0013】
図1は、本実施形態に用いられる飛行体の機能ブロック図を示すものである。図示され
るブロック図は一例であり、これ以外の機能を備えていてもよい。
【0014】
フライトコントローラ11は、プログラマブルプロセッサ(たとえば、中央演算処理装
置(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。
【0015】
フライトコントローラ11は、メモリ12を有しており、当該メモリ12にアクセス可
能である。メモリ12は、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラ11が
実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。
【0016】
メモリ12は、たとえば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離
可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラやセンサ類13から取得し
たデータは、メモリ12に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。たとえば、カメラ等1
3で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。カメラ13
は飛行体にジンバル14を介して設置される。
【0017】
フライトコントローラ11は、飛行体1の状態を制御するように構成された制御モジュ
ールを含んでいる。たとえば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並
びに回転運動θx、θy及びθz)を有する飛行体1の空間的配置、速度、および/また
は加速度を調整するために、ESC15を経由して飛行体1の推進機構(モータ16等)
を制御する。モータ16によりプロペラ17が回転することで飛行体1の揚力を生じさせ
る。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができ
る。
【0018】
フライトコントローラ11は、1つ以上の外部のデバイス(たとえば、送受信機(プロ
ポ)、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受
け取るように構成された送受信部18と通信可能である。送受信機18は、有線通信また
は無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。
【0019】
送受信部18は、たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネ
ットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネッ
トワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することが
できる。
【0020】
送受信部18は、センサ類19で取得したデータ、フライトコントローラ11が生成し
た処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのう
ちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0021】
本実施の形態によるセンサ類19は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、
GPSセンサ、近接センサ(たとえば、ソナー)、またはビジョン/イメージセンサ(た
とえば、カメラ)を含み得る。
【0022】
本実施の形態による測定部20は、3次元LIDAR(Light Detectio
n and Ranging)で構成されている。なお、測定部20は、ステレオカメラ
等のように、奥行きを認識することができる機構、離隔した対象物(との距離)を検知可
能な機構であれば、どのようなものでも採用可能である。
【0023】
図2に示されるように、本実施の形態においては、トンネル状の構造体5の内部を当該
構造体5の延伸方向dに沿って飛行体1を飛行させる。
【0024】
構造体5は、延伸方向d(即ち、進行方向)に沿って見た場合に、左側面LW、右側面
RW、上側面TW及び下側面GNDを有している。飛行体1は、入口Inから入り出口O
utに向けて飛行する。
【0025】
飛行体1は入口Inの手前までは手動操作などにより操作され、構造体5の内部におい
ては後述する自律飛行で飛行制御される。
【0026】
図3及び図4に示されるように、飛行体1は、左側面LW及び右側面RWから等距離で
あり、且つ上側面TW及び下側面GNDからも等距離を維持して飛行する。即ち、飛行体
1が、構造体5の延伸方向dに沿って当該構造体5の中心付近を飛行するように制御され
る((a)乃至(c)参照)。
【0027】
飛行体1が構造体5の内部にある状態において、LIDARによって左側面LW、右側
面RW、上側面TW及び下側面GNDまだの距離とその形状を検知する。検知の結果によ
って、飛行体1は、各側面までの距離と方向に関する情報を取得することが可能となり、
当該情報に基づいて飛行を行う。
【0028】
図5乃至図8に示されるように、飛行体1は、カメラ13を撮像方向PD、即ち、左側
面LWの最下部、上側面TW及び右側面RWの最下部まで連続的に撮像する(第1撮像ス
テップ:PD1)。その後、進行方向に移動して(PD2)、右側面RWの最下部、上側
面TW及び左側面LWの最下部まで連続的に撮像する(第2撮像ステップ:PD3)本実
施の形態による飛行体1は、第1撮像ステップと第2撮像ステップとを反復しながら進行
方向dへの飛行と撮像とを行う。
【0029】
詳しくは、図5乃至図7に示されるように、撮像範囲を撮像方向PDに沿って所定の割
合でオーパラップさせて撮像する。オーバーラップさせて撮像することにより、構造体5
の内壁をもれなく撮像することができる。
【0030】
飛行体1が進行方向dに移動すると、図6に示されるように反対方向へ向かって撮像を
行う。このとき、撮像範囲は進行方向dにおいても所定の割合でオーバーラップさせて撮
像する。また、飛行体1は、カメラに対して、かかる動きを行うようにするための方向制
御部を備えている。方向制御部によって、カメラは、所謂ワイパーのような反復変位を行
うことができる。
【0031】
撮像された画像は、図8に示されるように、夫々の撮像範囲が合成されて、左側面LW
、上側面TW及び右側面RWが開かれた状態の1枚の画像として加工される。この際、例
えば、壁面に欠陥(ヒビ等の異常)がある場合には、それを目視にて確認することとして
もよいし、自動で分析することとしてもよい。
【0032】
<実施の形態2>
上述した実施の形態は、上側面TWの高さが一定であったが、例えば、図9に示される
ように、構造体5の上側面TWの高さが途中から変化するような場合であっても、同様に
飛行することが可能である。
【0033】
即ち、上下方向における中心を飛行するように制御されることによって上側面TWの高
さが低くなる箇所に来るとそれに対応して飛行高度が下がることとなる。
【0034】
図10及び図11に示されるように、本実施の形態においては、構造体5の中心から所
定範囲内に仮想的な飛行空間Vを設定し、飛行体1を当該飛行空間内において飛行させる
【0035】
即ち、図10に示されるように、飛行体1は、水平方向においては幅Vwの範囲に収ま
るように飛行制御がされ、図11に示されるように、垂直方向においては、幅Vhの範囲
に収まるように飛行制御される。
【0036】
飛行経路を構造体4の中心に厳密に定めた場合、当該中心から少しでも外れた場合に、
当該飛行体1の位置を中心に戻そうとする制御が頻繁に働くこととなり、カメラによる撮
像のブレ等が生じる恐れがある。しかしながら、上述したように、飛行範囲に所定の幅を
持たせることによって、このような問題を解決することか可能となる。
【0037】
<実施の形態3>
図12に示されるように、飛行体1は、いずれか一の側面(例えば、右側面RW)を撮
像することとしてもよい。この場合、例えば、右側面RWから所定の距離L’’を維持し
た状態で、位置(a)乃至位置(c)の飛行を行いつつ当該側面を連続的に撮像する。
【0038】
図13に示されるように、飛行体1は、右側面RWを上方PD1及び下方PD2に連続
的にその撮像範囲をオーバーラップさせながら移動する。
【0039】
<実施の形態4>
図10及び図11のように、飛行体1は、構造体5の中心から所定範囲に設定された飛
行空間V内を飛行するように制御されていたが、本発明はこれに限られない。即ち、図1
4及び図15に示されるように、構造体5内に任意の飛行空間V’を設定し、当該飛行空
間V’内を飛行するように制御することとしてもよい。即ち、図14に示されるように、
上方から見た場合に左側寄りに、且つ、図15に示されるように、水平方向から見た場合
に下寄りに飛行経路が設定される。この場合、飛行体1は、水平方向の飛行空間Vwと垂
直方向の飛行空間Vh内を飛行することとなる。
【0040】
なお、当該飛行空間V’は、撮像する側面や撮像の範囲等に応じて、その位置、大きさ
(VwやVh)、延伸する方向、形状は適宜設定することとすればよい。
【0041】
<実施の形態5>
上述した実施の形態においては、飛行体1は、直線的に飛行するように制御されていた
が、例えば、図16に示されるように、構造体5の途中から飛行位置を変更することとし
てもよい。
【0042】
例えば、図示されるように、位置(a)乃至位置(b)まだは、右側面RWから所定距
離L’’を維持して飛行し、位置(b)に到達すると、左側面から所定距離L’’’を維
持するようにして飛行するように制御される。
【0043】
かかる飛行制御によれば、例えば、図17に示されるような所謂クランク状の構造体で
あったとしても、自律的な飛行と撮像を行うことができる。
【0044】
<実施の形態6>
上述した実施の形態による飛行体1は、左側面LW、上側面TW及び右側面RWの3面
の撮像を行うこととしていた。しかしながら、例えば、図18に示されるように、左側面
LW、上側面TW、右側面RW及び下側面GNDの4面を撮像することとしてもよい。即
ち、撮像方向PD1、PD2及びPD3の順に連続的に撮像を行う。
【0045】
<実施の形態7>
図7及び図18に示されるように、飛行体1は、構造体5の内壁側面を一周するように
して撮像した後、飛行体1を進行方向へ飛行させて進行させ、更に構造体5の内壁側面を
一周するようにして撮像することを繰り返して撮像を行った。しかしながら、例えば、図
19に示されるように、進行しながら撮像を行うこととしてもよい。
【0046】
以上説明したように、本発明によれば、GPSが機能しない(機能しにくい)閉所のよ
うな場所であっても、LIDARを利用することによって構造体の内壁をあたかも飛行の
ためのガイドのように利用して、飛行体1を自律的に飛行させ構造体の内部の点検(撮像
)を行うことが可能となる。
【0047】
本発明の飛行体は、マルチコプター・ドローン等の飛行機関連産業において利用するこ
とができ、さらに、本発明は、カメラ等を搭載した空撮用の飛行体としても好適に使用す
ることができる他、セキュリティ分野、農業、インフラ監視等の様々な産業にも利用する
ことができる。
【0048】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定
して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良
することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1 飛行体
5 構造体(トンネル)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19